JP2022111759A - リクライニング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】摺動時にブッシュの全周を接触することができるようにして、360°のいずれの方向からでも力を伝えることができるようにして摺動を安定化させることができるリクライニング装置を提供する。【解決手段】本発明のリクライニング装置100は、外歯歯車10と、内歯歯車20と、ブッシュ40と、回転シャフト30と、弾性体60と、を備え、第1ブッシュ41及び第2ブッシュ45は、ロック状態においては、円筒ボス22との間に外歯歯車10と内歯歯車20が噛合している側と反対側の円筒ボス22との間に隙間が設けられるように配置され、回転シャフト30を回転し、摺動状態にしたときは、外歯歯車10と内歯歯車20が噛合している側と反対側の前記円筒ボス22との間の隙間が低減するように配置されていることを特徴とする。【選択図】図3
Description
本発明は、リクライニング装置に関する。
シートクッションに対してシートバックを傾動可能に保持するシートのリクライニング装置は、種々提案されている(例えば、特許文献1等)。こうしたリクライニング装置において、図7に示すように、内周面に軸方向と同軸の貫通孔312を備える外歯歯車310と、外周面に外歯に噛合可能な内歯が形成され、内周面に軸方向と同軸の円筒ボス部を備える内歯歯車320と、外歯歯車310に同軸的かつ回転自在に嵌合すると共に、外歯歯車310および内歯歯車320のいずれか一方を他方の歯車軸を中心に回転させる回転軸330と、貫通孔312と円筒ボス322との間に設けられるブッシュ340と、このブッシュ340に設けられ、円筒ボス322側とブッシュ340とに同時に接触して円筒ボス322とブッシュ340との回転を規制するとともに、円筒ボス322とブッシュ340との少なくとも一方を摺動させ、円筒ボス322とブッシュ340との回転を許容する一対のくさび状カム350と、を備えたリクライニング装置300がある。
こうした構成のリクライニング装置300は、外歯歯車310と内歯歯車320とが偏心状態で噛み合っている場合に、噛み合っている側と反対側のブッシュ340と外歯歯車310の貫通孔との間(μ)には、外歯歯車310が内歯歯車320に対して回転するためには、相対的にわずかに上下する必要があることから隙間が必要であり、また、製造上の誤差等によっても隙間が発生してしまうことを避けることができない。
しかし、摺動時においては、ブッシュの全周に渡って接触していることによって、力を効率よく伝達することができ、軸受けとなることできるため、摺動が安定化し、スムーズな回転を確保することができる。
そこで、本発明は、こうした課題を鑑みてなされたものであり、ロック時においては外歯歯車と内歯歯車とが噛合している側と反対側のブッシュと歯車の間に隙間を形成することができ、外歯歯車と内歯歯車との噛み合わせのため偏心方向に移動することができ、摺動時には、この隙間を低減し、ブッシュの全周を接触することができるようにして、360°のいずれの方向からでも力を伝えることができるようにして摺動を安定化させることができるリクライニング装置を提供することを目的とする。
本発明は、上述の目的を達成するために、以下の手段を採った。
本発明のリクライニング装置は、
シートクッションを構成するシートクッションフレームに対してシートバックを構成するシートバックフレームを傾動可能に保持するシートのリクライニング装置であって、
前記シートクッションフレーム及び前記シートバックフレームの一方に対して直接又は間接的に取り付けられ、外周面に外歯が形成され、内周面に軸方向と同軸の貫通孔が形成された外歯歯車と、
前記シートクッションフレーム及び前記シートバックフレームの他方に対して直接又は間接的に取り付けられ、内周面に少なくとも外歯よりも1つ以上多く設けられた前記外歯と噛合可能な内歯を有し、かつ軸方向と同軸の円筒ボスが形成された内歯歯車と、
前記外歯歯車の貫通孔の内周と前記内歯歯車の前記円筒ボスの外周との間に配置されてなり、円形に形成された外周面の中心と楕円形に形成された内周面の中心とが偏心している円環状に形成され、正面に弾性体用孔を有する突起部を有する第1ブッシュと、正面に弾性体用孔を有し、円形に形成された外周面の中心と楕円形に形成された内周面の中心とが偏心している円環形状が一部開環された略弓状に形成され、開環された部分に前記突起部を配置するように前記第1ブッシュに重ねて配置される第2ブッシュと、を備えたブッシュと、
前記内歯歯車の前記円筒ボスに同軸かつ回転自在に嵌挿され、前記第2ブッシュの開環部に突出したブッシュ押圧部を有する回転シャフトと、
前記第1ブッシュと前記第2ブッシュの弾性体用孔に固定され、それぞれ前記第1ブッシュと前記第2ブッシュを付勢する弾性体と、を備え、
前記第1ブッシュ及び前記第2ブッシュは、ロック状態においては、前記円筒ボスとの間に前記外歯歯車と前記内歯歯車が噛合している側と反対側の前記円筒ボスとの間に隙間が設けられるように配置され、前記回転シャフトを回転し、摺動状態にしたときは、前記外歯歯車と前記内歯歯車が噛合している側と反対側の前記円筒ボスとの間の隙間が低減するように配置されていることを特徴とする。
シートクッションを構成するシートクッションフレームに対してシートバックを構成するシートバックフレームを傾動可能に保持するシートのリクライニング装置であって、
前記シートクッションフレーム及び前記シートバックフレームの一方に対して直接又は間接的に取り付けられ、外周面に外歯が形成され、内周面に軸方向と同軸の貫通孔が形成された外歯歯車と、
前記シートクッションフレーム及び前記シートバックフレームの他方に対して直接又は間接的に取り付けられ、内周面に少なくとも外歯よりも1つ以上多く設けられた前記外歯と噛合可能な内歯を有し、かつ軸方向と同軸の円筒ボスが形成された内歯歯車と、
前記外歯歯車の貫通孔の内周と前記内歯歯車の前記円筒ボスの外周との間に配置されてなり、円形に形成された外周面の中心と楕円形に形成された内周面の中心とが偏心している円環状に形成され、正面に弾性体用孔を有する突起部を有する第1ブッシュと、正面に弾性体用孔を有し、円形に形成された外周面の中心と楕円形に形成された内周面の中心とが偏心している円環形状が一部開環された略弓状に形成され、開環された部分に前記突起部を配置するように前記第1ブッシュに重ねて配置される第2ブッシュと、を備えたブッシュと、
前記内歯歯車の前記円筒ボスに同軸かつ回転自在に嵌挿され、前記第2ブッシュの開環部に突出したブッシュ押圧部を有する回転シャフトと、
前記第1ブッシュと前記第2ブッシュの弾性体用孔に固定され、それぞれ前記第1ブッシュと前記第2ブッシュを付勢する弾性体と、を備え、
前記第1ブッシュ及び前記第2ブッシュは、ロック状態においては、前記円筒ボスとの間に前記外歯歯車と前記内歯歯車が噛合している側と反対側の前記円筒ボスとの間に隙間が設けられるように配置され、前記回転シャフトを回転し、摺動状態にしたときは、前記外歯歯車と前記内歯歯車が噛合している側と反対側の前記円筒ボスとの間の隙間が低減するように配置されていることを特徴とする。
かかる構成を採用することによって、ロック時においては外歯歯車と内歯歯車とが噛合している側と反対側のブッシュと歯車の間に隙間を形成することができ、摺動時にブッシュが回転し、ロック時と摺動時でブッシュの使用する部位が変化し、隙間関係が変化し、第1ブッシュと第2ブッシュとで異なる位置に隙間が設けられるため、全周に渡って第1ブッシュ又は第2ブッシュが接している面が多くなり、全方向で荷重を受けられる構造体となる。よって、ブッシュによってほぼ全周に渡って軸受することができる。そのため、360°のいずれの方向からの外力が加わった場合であってもブッシュによって力を受けることができるので、摺動を安定化させることができる。
また、本発明にかかるリクライニング装置は、
シートクッションを構成するシートクッションフレームに対してシートバックを構成するシートバックフレームを傾動可能に保持するシートのリクライニング装置であって、
前記シートクッションフレーム及び前記シートバックフレームの一方に対して直接又は間接的に取り付けられ、外周面に外歯が形成され、内周面に軸方向と同軸の円筒ボスが形成された外歯歯車と、
前記シートクッションフレーム及び前記シートバックフレームの他方に対して直接又は間接的に取り付けられ、内周面に少なくとも外歯よりも1つ以上多く設けられた前記外歯と噛合可能な内歯を有し、かつ軸方向と同軸の貫通孔が形成された内歯歯車と、
前記内歯歯車の貫通孔の内周と前記外歯歯車の前記円筒ボスの外周との間に配置されてなり、円形に形成された外周面の中心と楕円形に形成された内周面の中心とが偏心している円環状に形成され、背面に弾性体用孔を有する突起部を有する第1ブッシュと、背面に弾性体用孔を有し、円形に形成された外周面の中心と楕円形に形成された内周面の中心とが偏心している円環形状が一部開環された略弓状に形成され、開環された部分に前記突起部を配置するように前記第1ブッシュに重ねて配置される第2ブッシュと、を備えたブッシュと、
前記外歯歯車の前記円筒ボスに同軸かつ回転自在に嵌挿され、前記第2ブッシュの開環部に突出したブッシュ押圧部を有する回転シャフトと、
前記第1ブッシュと前記第2ブッシュの弾性体用孔に固定され、それぞれ前記第1ブッシュと前記第2ブッシュを付勢する弾性体と、を備え、
前記第1ブッシュ及び前記第2ブッシュは、ロック状態においては、前記円筒ボスとの間に外歯歯車と内歯歯車が噛合している側と反対側の前記円筒ボスとの間に隙間が設けられるように配置され、回転シャフトを回転し、摺動状態にしたときは、外歯歯車と内歯歯車が噛合している側と反対側の前記円筒ボスとの間の隙間が低減するように配置されていることを特徴とする。
シートクッションを構成するシートクッションフレームに対してシートバックを構成するシートバックフレームを傾動可能に保持するシートのリクライニング装置であって、
前記シートクッションフレーム及び前記シートバックフレームの一方に対して直接又は間接的に取り付けられ、外周面に外歯が形成され、内周面に軸方向と同軸の円筒ボスが形成された外歯歯車と、
前記シートクッションフレーム及び前記シートバックフレームの他方に対して直接又は間接的に取り付けられ、内周面に少なくとも外歯よりも1つ以上多く設けられた前記外歯と噛合可能な内歯を有し、かつ軸方向と同軸の貫通孔が形成された内歯歯車と、
前記内歯歯車の貫通孔の内周と前記外歯歯車の前記円筒ボスの外周との間に配置されてなり、円形に形成された外周面の中心と楕円形に形成された内周面の中心とが偏心している円環状に形成され、背面に弾性体用孔を有する突起部を有する第1ブッシュと、背面に弾性体用孔を有し、円形に形成された外周面の中心と楕円形に形成された内周面の中心とが偏心している円環形状が一部開環された略弓状に形成され、開環された部分に前記突起部を配置するように前記第1ブッシュに重ねて配置される第2ブッシュと、を備えたブッシュと、
前記外歯歯車の前記円筒ボスに同軸かつ回転自在に嵌挿され、前記第2ブッシュの開環部に突出したブッシュ押圧部を有する回転シャフトと、
前記第1ブッシュと前記第2ブッシュの弾性体用孔に固定され、それぞれ前記第1ブッシュと前記第2ブッシュを付勢する弾性体と、を備え、
前記第1ブッシュ及び前記第2ブッシュは、ロック状態においては、前記円筒ボスとの間に外歯歯車と内歯歯車が噛合している側と反対側の前記円筒ボスとの間に隙間が設けられるように配置され、回転シャフトを回転し、摺動状態にしたときは、外歯歯車と内歯歯車が噛合している側と反対側の前記円筒ボスとの間の隙間が低減するように配置されていることを特徴とする。
かかる構成を採用することによって、ロック時においては外歯歯車と内歯歯車とが噛合している側と反対側のブッシュと歯車の間に隙間を形成することができ、摺動時にブッシュが回転し、ロック時と摺動時でブッシュの使用する部位が変化し、隙間関係が変化し、第1ブッシュと第2ブッシュとで異なる位置に隙間が設けられるため、全周に渡って第1ブッシュ又は第2ブッシュが接している面が多くなり、全方向で荷重を受けられる構造体となる。よって、ブッシュによってほぼ全周に渡って軸受することができる。そのため、360°のいずれの方向からの外力が加わった場合であってもブッシュによって力を受けることができるので、摺動を安定化させることができる。
また、本発明にかかるリクライニング装置において、
前記第1ブッシュと前記第2ブッシュの楕円の長軸が、ロック時において、前記外歯歯車と前記内歯歯車の偏心方向に対して、いずれか一方が+3°~+12°いずれか他方が-3°~-12°位相がずれるように配置されていることを特徴とするものであってもよい。
前記第1ブッシュと前記第2ブッシュの楕円の長軸が、ロック時において、前記外歯歯車と前記内歯歯車の偏心方向に対して、いずれか一方が+3°~+12°いずれか他方が-3°~-12°位相がずれるように配置されていることを特徴とするものであってもよい。
かかる範囲に設定することによって、摺動時には円筒ボスに対してなるべく大きな面で全周に接触するようにすることができる。
以下、本発明の実施形態にかかるリクライニング装置100を、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、車両用シート200の模式図であり、図2は、リクライニング装置100の内部構造を示す正面図であり、図3は、リクライニング装置100の分解斜視図であり、図4は図2のA-A断面図である。なお、以下に説明する実施形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではない。なお、各図において対応する構成要素には同一又は類似の符号が付されている。
(第1実施形態)
第1実施形態にかかるリクライニング装置100は、図1に示すように、車両用シート200のシートクッション210と、このシートクッション210に対して、傾動可能に取り付けられるシートバック220の傾動の中心位置に取り付けられ、シートバック220に傾動機能を与える装置である。具体的には、シートクッション210の内部に配置されるシートクッションフレームと、シートバック220の内部に配置されるシートバックフレームとの間に直接又は他の取付用プレート230(以下「取付用プレート等」という。)を介して間接的に取り付けられて使用される。
第1実施形態にかかるリクライニング装置100は、図1に示すように、車両用シート200のシートクッション210と、このシートクッション210に対して、傾動可能に取り付けられるシートバック220の傾動の中心位置に取り付けられ、シートバック220に傾動機能を与える装置である。具体的には、シートクッション210の内部に配置されるシートクッションフレームと、シートバック220の内部に配置されるシートバックフレームとの間に直接又は他の取付用プレート230(以下「取付用プレート等」という。)を介して間接的に取り付けられて使用される。
本発明にかかるリクライニング装置100は、主として、図2及び図3に示すように、外歯歯車10、内歯歯車20、回転シャフト30、ブッシュ40、弾性体としてスプリング60、スプリングカバー70及びプレートカバー80を備えている。なお、図2では、内部構造を見やすくするため、スプリングカバー70及びプレートカバー80は省略されている。
外歯歯車10は、図3に示すように、円板状に形成されており、外周面には外歯11が形成され、中央には円筒状の貫通孔12が形成されている。外歯歯車10には、正面10bに突出部13が設けられており、取付用プレート等230に設けられた嵌合孔と嵌合した状態で溶接等によって取り付けられる。
内歯歯車20は、外歯歯車10よりも大きな直径を有する円板状に形成されており、外歯歯車10を内側に装着可能となるように円筒状の凹部が形成され、この凹部の内周面に内歯21が形成されている。内歯21は、外歯歯車10の外歯11の歯数よりも少なくとも1つ以上多く形成されており、外歯歯車10と内歯歯車20は、図2に示すように、それぞれ外歯歯車10の中心C1と内歯歯車20の中心C2が偏心するように内歯21と外歯11に対して噛合している。従って、外歯歯車10と内歯歯車20は差動歯車を形成し、内歯歯車20が外歯11の周りを1周すると、内歯21と外歯11の歯の差分だけ回転が進むことになる。すなわち、例えば、歯が1つだけ異なる場合、外歯歯車10が内歯歯車20の周囲を1周すると歯1つ分回転することになる。内歯歯車20の中心には、円筒ボス22が設けられている。図3に示すように、この内歯歯車20の背面には突出部23が設けられており、取付用プレート等230に設けられた嵌合孔と嵌合した状態で溶接等によって取り付けられる。
回転シャフト30は、内歯歯車20の円筒ボス22に対して同軸上で回転自在に嵌挿されている。また、回転シャフト30は、シートバック220の傾動を調整する際に回転駆動されるものであり、傾動用モータの回転力を受けるために内筒面には、セレーション31が設けられている。さらに、回転シャフト30は、後述する第1ブッシュ41及び第2ブッシュ45を回転させるためのブッシュ押圧部32が設けられている。
ブッシュ40は、内歯歯車20の円筒ボス22の外周面22aと、外歯歯車10の貫通孔12との間に配置される部材であり、図3に示すように、第1ブッシュ41と第2ブッシュ45が重ね合わせて形成されている。
第1ブッシュ41は、図2Bに示すように、内周面41aの中心C3と外周面41bに対する中心C4とがずれて偏心しているリング状に形成されている。外周面41bは、正面視で円形に形成されており、内周面41aは、楕円形に形成されている。第1ブッシュ41の正面には、弾性体用孔41cを有する突起部41dが設けられている。
第2ブッシュ45は、図2Cに示すように、第1ブッシュ41と同様に内周面45aの中心と外周面45bに対する中心とがずれて偏心している。外周面45bは正面視で円形に、内周面45aは正面視で楕円形に形成された円環形状の一部が開環した略弓状に形成されている。第2ブッシュ45は、第1ブッシュ41の正面側に開環部分に突起部41dが位置するように重ねて配置される。第2ブッシュ45は正面に弾性体用孔45cが設けられている。
スプリング60は、弾性体で作製されており、図3に示すように、環状部61と、この環状部61から90°折れるように立ち上がった端部62a、62bとを有している。
回転シャフト30、第1ブッシュ41、第2ブッシュ45及びスプリング60は、以下のようにリクライニング装置100として配置される。外歯歯車10と内歯歯車20が、図2Aに示すように、矢印Dの方向に外歯歯車10が偏心している状態でロックされているとした場合、第1ブッシュ41は、図2Bに示すように、偏心方向であって外歯歯車10の中心を通過する矢印Dの線上以外の位置αで円筒ボス22に接触し外歯歯車10と内歯歯車20とをロックするとともに、少なくとも円筒ボス22の矢印Dの線上であって、偏心方向と反対側の位置βでは、円筒ボス22との間に隙間が設けられており、外歯歯車10は矢印Dの方向及び反対方向に移動することができる。第2ブッシュ45は、開環部位に第1ブッシュ41の突起部41dが配置され、図2Cに示すように、矢印Dの線上以外の位置γで円筒ボス22と接触し外歯歯車10と内歯歯車20とをロックするとともに、少なくとも円筒ボス22の矢印Dの方向と反対の位置δに開環部位が設けられており、かつ第2ブッシュ45の端部45dと円筒ボス22との間にも隙間εが設けられており、外歯歯車10は矢印Dの方向及び反対方向に移動することができる。このため外歯歯車10と内歯歯車20は、外歯11と内歯21とを効果的に噛み合わせることができる。回転シャフト30は、ブッシュ押圧部32が第1ブッシュ41の突起部41dと第2ブッシュ45のいずれかの端部との間に配置されるように取り付けられている。第2ブッシュ45の弾性体用孔45cは、第1ブッシュ41の突起部41dと隣接する側の近傍に設けられる。スプリング60は、第1ブッシュ41の弾性体用孔41cと第2ブッシュ45の弾性体用孔45cに端部62a、62bが挿入されており、図2Aに示すように、第1ブッシュ41及び第2ブッシュ45がそれぞれ反対の方向に回転するように(図2Aの矢印Eの方向に)付勢されており、この付勢により、それぞれ位置α、位置γで強く円筒ボス22と接触し、外歯歯車10と内歯歯車20のロック状態を維持している。
スプリングカバー70は、図4に示すように、スプリング60が外れることがないように、保持するためのカバーであり、スプリング60を保持できる形態であれば、特に限定するものではない。
プレートカバー80は、円環状に形成された金属板で形成されており、内歯歯車20の外周側の端部に溶接等で固定され、外歯歯車10の軸方向への移動を規制する機能を有する。
こうして作製されたリクライニング装置100は、以下のようにして作動する。前述したように、回転シャフト30に力を加えず、回転させていない図2の状態では、第1ブッシュ41及び第2ブッシュ45がそれぞれ反対の方向に回転するようにスプリング60で付勢されており、この付勢により、それぞれの位置α、位置γで強く円筒ボス22と接触し、外歯歯車10と内歯歯車20の相対運動はロックされており、シートバック220はロック状態にある。
このロック状態から、回転シャフト30を、例えば図2において、時計方向に回転させると、回転シャフト30のブッシュ押圧部32が第2ブッシュ45の端部45eを押圧し、第2ブッシュ45が時計方向に回転するとともに、第2ブッシュ45の反対側の端部45dが第1ブッシュ41の突起部41dを押圧することによって、第1ブッシュ41も時計方向に回転する。この第1ブッシュ41及び第2ブッシュ45の回転により、ロックしていた位置α、位置γには隙間が発生し、回転シャフト30、ブッシュ40は、内歯歯車20に対して、時計方向に回転し、この結果、ブッシュ40と円筒ボス22及びブッシュ40と外歯歯車10の貫通孔12との間に隙間が発生し、外歯歯車10が内歯歯車20に対して回転可能になる。これに伴い、スプリング60の付勢力によってこの隙間を埋めるように、時計周りに回転し、外歯歯車10、内歯歯車20及び回転シャフト30は、差動歯車機構を構成することになる。この際に、摺動時にブッシュ40が回転し、ロック時と摺動時でブッシュ40の使用する部位が変化し、隙間関係が変化し、第1ブッシュ41と第2ブッシュ45とで異なる位置に隙間が設けられるため、全周に渡って第1ブッシュ41又は第2ブッシュ45が接している面が多くなり、全方向で荷重を受けられる構造体となる。そのため、内歯歯車20又は外歯歯車10に外力が加わった時、外力方向又は反力方向に内歯歯車20又は外歯歯車10を動かそうとするが、動こうとした方向に対して、内歯歯車20の円筒ボス22の外周面22aと、外歯歯車10の貫通孔12とに対して、垂直方向にブッシュが挟まり、分力成分を極小に抑えて軸受けとなることができるため、摺動が安定化し、スムーズな回転を確保することができる。なお、反時計回りに回転シャフト30を、回転させた場合には、ブッシュ押圧部32が第1ブッシュ41の突起部41dを押圧し、突起部41dが第2ブッシュ45の端部45dを押圧することによって反時計方向に回転させることができる。摺動時にブッシュ40が回転し、ロック時と摺動時でブッシュ40の使用する部位が変化し、隙間関係が変化し、第1ブッシュ41と第2ブッシュ45とで異なる位置に隙間が設けられる点は時計方向の回転と同様である。こうして、ロック時には、偏心方向Dと反対側の位置βでは、円筒ボス22との間に隙間を設け、摺動時には円筒ボス22に対してなるべく大きな面で全周に接触するようにするには、図2B及び図2Cに示すように、ロック時において、第1ブッシュ41の楕円の長軸41fと外歯歯車10と内歯歯車の偏心方向(矢印Dの方向)に対する角度θ1及び第2ブッシュ45の楕円の長軸45fと外歯歯車10と内歯歯車の偏心方向(矢印Dの方向)に対する角度θ2が、いずれか一方が+3°~+12°いずれか他方が-3°~-12°位相がずれるように配置するとよい。
(第2実施形態)
第2実施形態にかかるリクライニング装置100が図6に示されている。第2実施形態にかかるリクライニング装置100は、第1実施形態にかかるリクライニング装置100に対して、外歯歯車10の中心に円筒ボス14が設けられており、内歯歯車20の中心に貫通孔25が設けられている点が異なる。また、回転シャフト30、ブッシュ40、スプリング60が軸方向へ移動するのを防止するスプリングカバー70が内歯歯車20の背面側に設けられており、このスプリングカバー70に取付用プレート等230の嵌合孔と嵌合する突出部71が設けられている点が異なる。一方、プレートカバー80は、円環状に形成された金属板で形成されており、外歯歯車10の正面側に配置され、内歯歯車20の外周側の端部に溶接等で固定され、外歯歯車10の軸方向への移動を規制している。
第2実施形態にかかるリクライニング装置100が図6に示されている。第2実施形態にかかるリクライニング装置100は、第1実施形態にかかるリクライニング装置100に対して、外歯歯車10の中心に円筒ボス14が設けられており、内歯歯車20の中心に貫通孔25が設けられている点が異なる。また、回転シャフト30、ブッシュ40、スプリング60が軸方向へ移動するのを防止するスプリングカバー70が内歯歯車20の背面側に設けられており、このスプリングカバー70に取付用プレート等230の嵌合孔と嵌合する突出部71が設けられている点が異なる。一方、プレートカバー80は、円環状に形成された金属板で形成されており、外歯歯車10の正面側に配置され、内歯歯車20の外周側の端部に溶接等で固定され、外歯歯車10の軸方向への移動を規制している。
回転シャフト30、ブッシュ40及びスプリング60は、第1実施形態に対して対称となるように作製されている。ブッシュ40は、外歯歯車10の円筒ボス14の外周面14aと、内歯歯車20の貫通孔25との間に、円筒ボス14がブッシュ40の内周面に挿入されるように配置される。回転シャフト30は、円筒ボス14の中心軸と同軸で回転するように円筒ボス14内に配置されており、第1実施形態と同様に、ブッシュ40に設けられるブッシュ押圧部32が設けられており、ブッシュ40を時計回り、反時計回りのいずれにも回転させることができる。ブッシュ40が第1ブッシュ41及び第2ブッシュ45で形成され、外周面が円形に形成され、内周面が楕円に形成されている点は第1実施形態と同様である。
こうして作製されたリクライニング装置100は、以下のようにして作動する。前述したように、回転シャフト30に力を加えず、回転させていない状態では、第1ブッシュ41及び第2ブッシュ45がそれぞれ反対の方向に回転するようにスプリング60で付勢されており、この付勢により、それぞれ第1ブッシュ41及び第2ブッシュ45が強く円筒ボス22と接触し、外歯歯車10と内歯歯車20の相対運動はロックされており、シートバック220はロック状態にある。
このロック状態から、回転シャフト30を、時計方向に回転させると、回転シャフト30のブッシュ押圧部32が第2ブッシュ45の端部45eを押圧し、第2ブッシュ45が時計方向に回転するとともに、第2ブッシュ45の反対側の端部45dが第1ブッシュ41の突起部41dを押圧することによって、第1ブッシュ41も時計方向に回転する。この第1ブッシュ41及び第2ブッシュ45の回転により、ロックしていた位置には隙間が発生し、回転シャフト30、ブッシュ40は、内歯歯車20に対して、時計方向に回転し、この結果、ブッシュ40と外歯歯車10の円筒ボス14及びブッシュ40と内歯歯車20の貫通孔25との間に隙間が発生し、外歯歯車10が内歯歯車20に対して回転可能になる。これに伴い、スプリング60の付勢力によってこの隙間を埋めるように、時計周りに回転し、外歯歯車10、内歯歯車20及び回転シャフト30は、差動歯車機構を構成することになる。この際に、摺動時にブッシュ40が回転し、ロック時と摺動時でブッシュ40の使用する部位が変化し、隙間関係が変化し、第1ブッシュ41と第2ブッシュ45とで異なる位置に隙間が設けられるため、全周に渡って第1ブッシュ41又は第2ブッシュ45が接している面が多くなり、全方向で荷重を受けられる構造体となる。そのため、内歯歯車20又は外歯歯車10に外力が加わった時、外力方向又は反力方向に内歯歯車20又は外歯歯車10を動かそうとするが、動こうとした方向に対して、外歯歯車10の円筒ボス14の外周面14aと、内歯歯車20の貫通孔25とに対して、垂直方向にブッシュが挟まり、分力成分を極小に抑えて軸受けとなることができるため、摺動が安定化し、スムーズな回転を確保することができる。なお、反時計回りに回転シャフト30を回転させた場合の関係は、第1実施形態の場合と同様である。こうして、ロック時には、偏心方向Dと反対側の位置βでは、円筒ボス22との間に隙間を設け、摺動時には円筒ボス22に対してなるべく大きな面で全周に接触するようにするには、第1ブッシュ41の楕円の長軸41fと外歯歯車10と内歯歯車の偏心方向(矢印Dの方向)に対する角度θ1及び第2ブッシュ45の楕円の長軸45fと外歯歯車10と内歯歯車の偏心方向(矢印Dの方向)に対する角度θ2が、いずれか一方が+3°~+12°いずれか他方が-3°~-12°位相がずれるように配置するとよい。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施しうる。
上述した実施の形態で示すように、主として、車両用シートのリクライニング装置として産業上利用可能である。
10…外歯歯車、10b…正面、11…外歯、12…貫通孔、13…突出部、14…円筒ボス、14a…外周面、20…内歯歯車、21…内歯、22…円筒ボス、22a…外周面、23…突出部、25…貫通孔、30…回転シャフト、31…セレーション、32…ブッシュ押圧部、40…ブッシュ、41…第1ブッシュ、41a…内周面、41b…外周面、41c…弾性体用孔、41d…突起部、41f…長軸、45…第2ブッシュ、45a…内周面、45b…外周面、45c…弾性体用孔、45d…端部、45e…端部、45f…長軸、60…スプリング、61…環状部、62a,62b…端部、70…スプリングカバー、71…突出部、80…プレートカバー、100…リクライニング装置、200…車両用シート、210…シートクッション、220…シートバック、230…取付用プレート
Claims (3)
- シートクッションを構成するシートクッションフレームに対してシートバックを構成するシートバックフレームを傾動可能に保持するシートのリクライニング装置であって、
前記シートクッションフレーム及び前記シートバックフレームの一方に対して直接又は間接的に取り付けられ、外周面に外歯が形成され、内周面に軸方向と同軸の貫通孔が形成された外歯歯車と、
前記シートクッションフレーム及び前記シートバックフレームの他方に対して直接又は間接的に取り付けられ、内周面に少なくとも外歯よりも1つ以上多く設けられた前記外歯と噛合可能な内歯を有し、かつ軸方向と同軸の円筒ボスが形成された内歯歯車と、
前記外歯歯車の前記貫通孔の内周と前記内歯歯車の前記円筒ボスの外周との間に配置されてなり、円形に形成された外周面の中心と楕円形に形成された内周面の中心とが偏心している円環状に形成され、正面に弾性体用孔を有する突起部を有する第1ブッシュと、正面に弾性体用孔を有し、円形に形成された外周面の中心と楕円形に形成された内周面の中心とが偏心している円環形状が一部開環された略弓状に形成され、開環された部分に前記突起部を配置するように前記第1ブッシュに重ねて配置される第2ブッシュと、を備えたブッシュと、
前記内歯歯車の前記円筒ボスに同軸かつ回転自在に嵌挿され、前記第2ブッシュの開環部に突出したブッシュ押圧部を有する回転シャフトと、
前記第1ブッシュと前記第2ブッシュの弾性体用孔に固定され、それぞれ前記第1ブッシュと前記第2ブッシュを付勢する弾性体と、を備え、
前記第1ブッシュ及び前記第2ブッシュは、ロック状態においては、前記円筒ボスとの間に前記外歯歯車と前記内歯歯車が噛合している側と反対側の前記円筒ボスとの間に隙間が設けられるように配置され、前記回転シャフトを回転し、摺動状態にしたときは、前記外歯歯車と前記内歯歯車が噛合している側と反対側の前記円筒ボスとの間の隙間が低減するように配置されていることを特徴とするリクライニング装置。 - シートクッションを構成するシートクッションフレームに対してシートバックを構成するシートバックフレームを傾動可能に保持するシートのリクライニング装置であって、
前記シートクッションフレーム及び前記シートバックフレームの一方に対して直接又は間接的に取り付けられ、外周面に外歯が形成され、内周面に軸方向と同軸の円筒ボスが形成された外歯歯車と、
前記シートクッションフレーム及び前記シートバックフレームの他方に対して直接又は間接的に取り付けられ、内周面に少なくとも外歯よりも1つ以上多く設けられた前記外歯と噛合可能な内歯を有し、かつ軸方向と同軸の貫通孔が形成された内歯歯車と、
前記内歯歯車の前記貫通孔の内周と前記外歯歯車の前記円筒ボスの外周との間に配置されてなり、円形に形成された外周面の中心と楕円形に形成された内周面の中心とが偏心している円環状に形成され、背面に弾性体用孔を有する突起部を有する第1ブッシュと、背面に弾性体用孔を有し、円形に形成された外周面の中心と楕円形に形成された内周面の中心とが偏心している円環形状が一部開環された略弓状に形成され、開環された部分に前記突起部を配置するように前記第1ブッシュに重ねて配置される第2ブッシュと、を備えたブッシュと、
前記外歯歯車の前記円筒ボスに同軸かつ回転自在に嵌挿され、前記第2ブッシュの開環部に突出したブッシュ押圧部を有する回転シャフトと、
前記第1ブッシュと前記第2ブッシュの弾性体用孔に固定され、それぞれ前記第1ブッシュと前記第2ブッシュを付勢する弾性体と、を備え、
前記第1ブッシュ及び前記第2ブッシュは、ロック状態においては、前記円筒ボスとの間に前記外歯歯車と前記内歯歯車が噛合している側と反対側の前記円筒ボスとの間に隙間が設けられるように配置され、前記回転シャフトを回転し、摺動状態にしたときは前記外歯歯車と前記内歯歯車が噛合している側と反対側の前記円筒ボスとの間の隙間が低減するように配置されていることを特徴とするリクライニング装置。 - 前記第1ブッシュと前記第2ブッシュの楕円の長軸が、ロック時において、前記外歯歯車と前記内歯歯車の偏心方向に対して、いずれか一方が+3°~+12°いずれか他方が-3°~-12°位相がずれるように配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のリクライニング装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021007398A JP2022111759A (ja) | 2021-01-20 | 2021-01-20 | リクライニング装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021007398A JP2022111759A (ja) | 2021-01-20 | 2021-01-20 | リクライニング装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2022111759A true JP2022111759A (ja) | 2022-08-01 |
Family
ID=82655943
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021007398A Pending JP2022111759A (ja) | 2021-01-20 | 2021-01-20 | リクライニング装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2022111759A (ja) |
-
2021
- 2021-01-20 JP JP2021007398A patent/JP2022111759A/ja active Pending
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Legal Events
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A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20231215 |