JP2022111418A - 製紙用エマルジョンサイズ剤、紙 - Google Patents

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雅彦 須田
Masahiko Suda
賢至 高木
Kenji Takagi
拓未 梅田
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Abstract

【課題】紙中に含まれるサイズ剤の定着率が高く、かつ良好なサイズ効果を示す製紙用エマルジョンサイズ剤を提供する。【解決手段】下記の樹脂(A)及び乳化剤(B)の乳化物を含む製紙用エマルジョンサイズ剤。<樹脂(A)>3価又は4価のカルボン酸(a1)と、特定の脂肪族アルコール(a2-1)及び特定の脂肪族アミン(a2-2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(a2)との脱水縮合物。<乳化剤(B)>エピハロヒドリン(b1)、並びに、アルキレンポリアミン(b2)及び/又は下記一般式(3)で表されるモノアミン(b3)を反応成分に含むポリマー乳化剤。[化3]R4-NH-R5・・・(3)(式中、R4、R5は独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアリールアルキル基を示す。なお、R4及びR5がいずれも水素原子の場合を除く。)【選択図】なし

Description

本発明は、製紙用エマルジョンサイズ剤、紙に関する。
サイズ剤は、紙の吸水性を抑制する目的に、抄紙の際に用いられる薬品であり、一般的には、ロジン系サイズ剤や反応性サイズ剤(ケテンダイマー系サイズ剤(AKD)、置換環状ジカルボン酸無水物系サイズ剤(ASA))が知られている。
ロジン系サイズ剤は、段ボール等の板紙に適用されるが、酸性系で使用する必要があり、弱酸性からアルカリ条件ではサイズ効果が低下しやすく、一方、AKDサイズ剤とASAサイズ剤は、洋紙等のいわゆる中性からアルカリ抄紙系に適用されるが、これらのサイズ剤は加水分解を起こしやすく、その結果、サイズ効果も発現しにくくなる。
上記のサイズ効果を改善する方法として、本出願人は、多価カルボン酸と、アルキルアルコール又はジアルキルアミンとの脱水縮合物をアニオン性乳化剤で乳化した製紙用サイズ剤を開示している(特許文献1、2)。当該サイズ剤を使用すると、幅広いpH領域で紙が良好なサイズ効果を示すものの、紙中に含まれるサイズ剤の定着率が充分とはいえず、またサイズ効果もさらに改善の余地があった。
特開平5-339896号公報 特開2015-063786号公報
本発明の課題は、紙とした際に紙中に含まれるサイズ剤の定着率が高く、かつ良好なサイズ効果を示す製紙用エマルジョンサイズ剤を提供することにある。
本発明者らは、乳化剤の組成について鋭意検討することにより、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下の製紙用エマルジョンサイズ剤、紙に関する。
1. 下記の樹脂(A)及び乳化剤(B)の乳化物を含む製紙用エマルジョンサイズ剤。
<樹脂(A)>
3価又は4価のカルボン酸(a1)と、一般式(1)で表される脂肪族アルコール(a2-1)及び一般式(2)で表される脂肪族アミン(a2-2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(a2)との脱水縮合物
[化1] R-OH・・・(1)
(式1中、Rは炭素数6~22のアルキル基又はアルケニル基を表す。)
[化2] R-NH-R・・・(2)
(式2中、R、Rはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数6~22のアルキル基又はアルケニル基を表す(R及びRがいずれも水素原子の場合を除く)。)
<乳化剤(B)>
エピハロヒドリン(b1)、並びに、アルキレンポリアミン(b2)及び/又は一般式(3)で表されるモノアミン(b3)を反応成分に含むポリマー乳化剤
[化3] R-NH-R・・・(3)
(式3中、R、Rは独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアリールアルキル基を示す。なお、R及びRがいずれも水素原子の場合を除く。)
2.(b2)成分が、アルキレンジアミン及び/又はアルキレントリアミンである前項1に記載の製紙用エマルジョンサイズ剤。
3.(b3)成分が、脂肪族第1級アミン、脂肪族第2級アミン及び芳香族第1級アミンからなる群より選ばれる1種以上である前項1又は2に記載の製紙用エマルジョンサイズ剤。
4.(b3)成分の使用量が、固形分重量で、(b1)成分、(b2)成分及び(b3)成分の合計100重量%に対して、0.3~40重量%である前項1~3のいずれかに記載の製紙用エマルジョンサイズ剤。
5.(B)成分の含有量が、固形分重量で、樹脂(A)100重量部に対して、5~70重量部である前項1~4のいずれかに記載の製紙用エマルジョンサイズ剤。
6.前項1~5のいずれかに記載の製紙用エマルジョンサイズ剤を用いて得られる紙。
本発明の製紙用エマルジョンサイズ剤(以下、単に“サイズ剤”ともいう。)によれば、特定のポリマー乳化剤を使用したことにより、紙とした際に紙中に含まれるサイズ剤の定着率が高く、かつ良好なサイズ効果も示すようになる。
本発明の製紙用エマルジョンサイズ剤は、以下の樹脂(A)及び乳化剤(B)の乳化物を含むものである。
<樹脂(A)>
樹脂(A)は、3価又は4価のカルボン酸(a1)(以下、(a1)成分という。)と、一般式(1)で表される脂肪族アルコール(a2-1)(以下、(a2-1)成分という。)及び一般式(2)で表される脂肪族アミン(a2-2)(以下、(a2-2)成分という。)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(a2)(以下、(a2)成分という。)との脱水縮合物であり、紙の良好なサイズ効果に寄与する成分である。一般式(1)と(2)は後述する。
(a1)成分としては、3価又は4価のカルボン酸であれば、特に限定されず、各種公知のものを使用できる。例えば、クエン酸、トリカルバリル酸、t-アコニット酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ブタンテトラカルボン酸等が挙げられる。なお、これらの3価又は4価のカルボン酸はカルボキシル基が酸無水物となっていても良い。また、(a1)成分は、エステル交換、アミド交換反応により(a2)成分と反応できる3価カルボン酸又は4価カルボン酸のエステル、アミドであってもよい。これらは単独でも2種以上を混合してもよい。中でも、紙のサイズ効果を高め、比較的安価である点から、クエン酸が好ましい。
(a2-1)成分は、一般式(1)で表される脂肪族アルコールである。
[化1] R-OH・・・(1)
(式(1)中、Rは炭素数6~22のアルキル基又はアルケニル基を表す。)
一般式(1)で表されるものとしては、例えば、2-エチルヘキシルアルコール、オクチルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の飽和脂肪族アルコール;オレイルアルコール等の不飽和脂肪族アルコールが挙げられる。これらは単独でも2種以上を混合しても良い。
(a2-2)成分は、一般式(2)で表される脂肪族アミンである。
[化2] R-NH-R・・・(2)
(式(2)中、R、Rはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数6~22のアルキル基又はアルケニル基を表す(R及びRがいずれも水素原子の場合を除く)。)
一般式(2)で表されるものとしては、例えば、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン等の第1級脂肪族アミン;ジオクチルアミン、ジデシルアミン、ジステアリルアミン、ジ硬化牛脂アミン、ジベヘニルアミン等の第2級脂肪族アミンが挙げられる。これらは単独でも2種以上を混合しても良い。
なお、前記(a2-1)成分と前記(a2-2)成分とを併用しても良い。
これらの(a2)成分の中でも、サイズ剤のサイズ効果を高める点から、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ジステアリルアミン及びジ硬化牛脂アミンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、また、サイズ剤に高い疎水性を付与して、サイズ効果を更に高める点から、ジステアリルアミン、ジ硬化牛脂アミンがより好ましい。
(a1)成分と(a2)成分の反応は、通常のカルボン酸とアルコールを反応させてエステル化する反応、カルボン酸とアミンを反応させてアミド化する反応の反応条件で脱水縮合させることができる。例えば、各成分の沸点を考慮して、常圧又は減圧下に約110~180℃程度で1~24時間程度撹拌しながら脱水縮合させればよい。また、必要に応じて、公知の塩基性又は酸性の触媒や、溶剤を用いても良い。ベンゼン、トルエン、キシレン等の溶剤を用いることで共沸脱水して反応を進めても良い。
(a1)成分として、カルボン酸の低級エステル又はカルボン酸のアミドを出発原料として使用する場合でも、同様に行うことができる。なお、エステル交換に際しては、触媒を用いることが好ましく、例えば、酸化ジ-n-ブチルスズ、p-トルエンスルホン酸等が挙げられる。
(a1)成分及び(a2)成分の使用量は、通常は、(a1)成分の少なくとも1つのカルボキシル基が(a2)成分とエステル結合及び/又はアミド結合を形成し、かつ(a1)成分の少なくとも1個のカルボキシル基が未反応のまま残存するように調整することが好ましい。(a1)成分として、3価のカルボン酸を使用する場合には、(a1)成分のカルボキシル基の3当量に対して、(a2)成分の水酸基又はアミノ基が1~2当量となるようにする。また、(a1)成分として、4価のカルボン酸を使用する場合には、(a1)成分のカルボキシル基の4当量に対して、(a2)成分の水酸基又はアミノ基が2~3当量となるようにする。残存したカルボキシル基は、カルボキシル基のまま存在していても良く、カルボキシル基の塩を形成していても良い。カルボキシル基塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニア、メチルアミン、エタノールアミン等のアンモニウム塩等が挙げられる。
かくして得られた樹脂(A)の物性としては、特に限定されず、例えば、融点が通常100℃以下であり、好ましくは70℃以下である。
また、酸価が特に限定されず、通常は10~200mgKOH/g程度、好ましくは20~150mgKOH/g程度である。なお、酸価はJIS K 0070に準拠して測定されたものである。
<乳化剤(B)について>
乳化剤(B)は、エピハロヒドリン(b1)(以下、(b1)成分という。)、並びに、アルキレンポリアミン(b2)(以下、(b2)成分という。)、及び/又は一般式(3)で表されるモノアミン(b3)(以下、(b3)成分という。)を反応成分に含むポリマー乳化剤である。なお、一般式(3)におけるアルキル基(シクロアルキル基中のアルキル基を含む)は、直鎖構造でも分岐構造であっても良い。
[化3] R-NH-R・・・(3)
(式3中、R、Rは独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアリールアルキル基を示す。なお、R及びRがいずれも水素原子の場合を除く。)
(b1)成分は、エピハロヒドリンであり、例えば、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせても良い。
(b2)成分は、アルキレンポリアミンであり、少なくとも2つの第1級アミノ基を有するものが好ましい。このような(b2)成分としては、例えば、エチレンジアミン、1,2-プロピレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、1,4-ブチレンジアミン、1,5-ペンタンジアミン(ペンタメチレンジアミン)、1,6-ヘキサンジアミン(ヘキサメチレンジアミン)等のアルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、ジブチレントリアミン等のアルキレントリアミン;トリエチレンテトラミン、トリプロピレンテトラミン等のアルキレンテトラアミン;トリス(2-アミノエチル)アミン、トリス(2-アミノプロピル)アミン等のトリス(2-アミノアルキル)アミン;テトラエチレンペンタミン、テトラプロピレンペンタアミン等のアルキレンペンタミン;ペンタエチレンヘキサミン等のアルキレンヘキサアミン等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせても良い。中でも、得られた乳化剤(B)によって、樹脂(A)が良好に乳化できる点から、アルキレンジアミン、アルキレントリアミンが好ましく、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミンがより好ましい。
(b3)成分は、一般式(3)で表されるモノアミンである。(b3)成分を使用することにより、得られた乳化剤(B)によって、樹脂(A)が良好に乳化されやすくなる。
[化3] R-NH-R
(式3中、R、Rは独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアリールアルキル基を示す。なお、R及びRがいずれも水素原子の場合を除く。)
(b3)成分としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、n-ブチルアミン、イソブチルアミン、s-ブチルアミン、t-ブチルアミン、n-ペンチルアミン、n-ヘキシルアミン、イソヘキシルアミン、n-ヘプチルアミン、n-オクチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、n-デシルアミン、n-ウンデシルアミン、n-ドデシルアミン(ラウリルアミン)、n-トリデシルアミン、n-テトラデシルアミン(ミリスチルアミン)、n-ヘキサデシルアミン(パルミチルアミン)、n-ステアリルアミン、イソステアリルアミン等の脂肪族第1級アミン;
ジメチルアミン、ジエチルアミン、エチルメチルアミン、ジn-プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジn-ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジs-ブチルアミン、ジt-ブチルアミン、N-メチルブチルアミン、N-エチルブチルアミン、ジn-ペンチルアミン、ジn-ヘキシルアミン、ジn-ヘプチルアミン、ジn-オクチルアミン、ジ2-エチルヘキシルアミン、ジn-デシルアミン、ジn-ウンデシルアミン、ジn-ドデシルアミン(ジラウリルアミン)、ジn-トリデシルアミン、ジn-テトラデシルアミン(ジミリスチルアミン)、ジn-ヘキサデシルアミン(ジパルミチルアミン)、ジn-ステアリルアミン、ジイソステアリルアミン、ジ硬化牛脂アミン等の脂肪族第2級アミン;
シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロペンチルメチルアミン、1-シクロペンチルエチルアミン、2-シクロペンチルエチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロヘキシルメチルアミン、1-シクロヘキシルエチルアミン、2-シクロヘキシルエチルアミン、シクロヘプチルアミン、シクロオクチルアミン等の脂環族第1級アミン;
N-メチルシクロペンチルアミン、N-エチルシクロペンチルアミン、N-プロピルシクロペンチルアミン、N-メチルシクロヘキシルアミン、N-エチルシクロヘキシルアミン、N-プロピルシクロヘキシルアミン、N-イソプロピルシクロヘキシルアミン等の脂環族第2級アミン;
アニリン、o-トルイジン、m-トルイジン、p-トルイジン、フェニルメチルアミン(ベンジルアミン)、1-フェニルエチルアミン、2-フェニルエチルアミン、1-フェニルプロピルアミン、2-フェニルプロピルアミン、3-フェニルプロピルアミン、4-フェニルブチルアミン、1-ナフチルアミン、2-ナフチルアミン、2-メチルナフチルアミン、1-(アミノメチルナフタレン)、2-(アミノメチル)ナフタレン、1-アミノアントラセン、2-アミノアントラセン、9-アミノアントラセン等の芳香族第1級アミン;
N-メチルアニリン、N-エチルアニリン、N-プロピルアニリン、N-イソプロピルアニリン、N-ブチルアニリン、N-イソブチルアニリン、N-メチルベンジルアミン、N-エチルベンジルアミン、N-プロピルベンジルアミン、N-イソプロピルベンジルアミン、N-ブチルベンジルアミン、1-(メチルアミノメチル)ナフタレン、9-(メチルアミノ)メチルアントラセン等の芳香族第2級アミン等が挙げられる。
これらの(b3)成分は、単独でも2種以上を組み合わせても良い。中でも得られた乳化剤(B)によって、樹脂(A)が良好に乳化できる点から、脂肪族第1級アミン、脂肪族第2級アミン及び芳香族第1級アミンからなる群より選ばれる1種以上が好ましく、n-オクチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、ジn-ブチルアミン、ベンジルアミンがより好ましい。
(b1)成分、(b2)成分及び(b3)成分の使用量としては、特に限定されないが、紙が良好なサイズ効果を示す点から、(b1)成分のエポキシ基のモル量、並びに、(b2)成分及び(b3)成分のアミノ基の合計モル量の比率で、((b1)成分のエポキシ基のモル量)/((b2)成分及び(b3)成分のアミノ基の合計モル量)=0.8~1.4程度が好ましく、1~1.2がより好ましい。(なお、(b2)成分又は(b3)成分のいずれかのみを使用した場合も同様の範囲に設定することが好ましい。)
なお、(b1)~(b3)成分を全て使用した場合における(b3)成分の使用量としては、得られた乳化剤(B)によって、樹脂(A)が良好に乳化できる点から、固形分重量で、(b1)成分、(b2)成分及び(b3)成分の合計100重量%に対して、0.3~40重量%が好ましく、1~20重量%がより好ましく、5~15重量%が更に好ましい。
乳化剤(B)の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、(b1)成分及び(b3)成分を先に仕込んで室温で混合し、(b2)成分を分割又は滴下で加えて、加熱して反応させること等が挙げられる。
また、上記の反応条件としては、特に限定されず、温度が50~100℃程度(好ましくは60~90℃程度)であり、時間が1~12時間程度(好ましくは2~8時間程度)である。
前記の製造方法においては、反応制御の点から、水を加えた反応液とすることが好ましい。水としては、例えば、純水、イオン交換水、水道水、工業用水等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせても良い。また水を加える場合、その反応濃度を40~60重量%程度にすることが好ましく、45~55重量%程度にすることがより好ましい。
更に、得られた乳化剤(B)には、更にpH調整剤、消泡剤、酸化防止剤、防腐剤、キレート剤、前記乳化剤(B)以外のカチオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤等を添加しても良い。
乳化剤(B)の物性としては、特に限定されないが、例えば、固形分濃度が通常は20~50重量%程度、好ましくは30~45重量%程度である。
乳化剤(B)の固形分濃度40重量%水溶液の温度25℃における粘度が、通常は、10~500mPa・s程度、好ましくは50~300mPa・sである。
本発明のサイズ剤における乳化剤(B)の含有量としては、特に限定されないが、樹脂(A)と乳化剤(B)との良好な乳化性の点から、樹脂(A)100重量部に対し、固形分重量で、5~70重量部が好ましく、7~60重量部がより好ましい、10~50重量部が更に好ましい。
樹脂(A)を乳化剤(B)で分散させる方法、すなわちサイズ剤を製造する方法としては、高圧乳化法、反転乳化法のいずれも採用することができる。なお、分散媒としては、環境負荷を低減する点から、水を用いることが好ましいが、水及び有機溶媒の混合溶媒を用いても良い。
有機溶媒としては、水に可溶なものであれば特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n-ヘキシルアルコール、n-オクチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジアセトンアルコール等のアルコール;エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせても良い。なお、有機溶媒を含有する場合、その含有量としては、10重量%未満が好ましい。
高圧乳化法による場合は、分散相を形成する樹脂(A)を溶融させるか、あるいはベンゼン、トルエン等の有機溶媒に溶解させ、次いで、これに乳化剤(B)を前記使用割合で添加すると同時に温水を混合し、高圧乳化機を使用して乳化した後、そのままで、あるいは有機溶媒を留去することにより分散液を得ることができる。
また、反転乳化法による場合は、固形分である樹脂(A)と乳化剤(B)とを充分混練した後に、撹拌しながら徐々に温水を滴下し、相反転させることにより有機溶媒及び特殊な乳化装置を使用することなく分散液を得ることができる。当該分散液の固形分濃度は特に制限はされないが、通常10~50重量%であり、必要に応じて水で稀釈して使用することもできる。
また、本発明のサイズ剤には、例えば、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム又はそれらのポリマー等の水溶性アルミニウム化合物;カルボキシメチルセルロース等のセルロース類;ポリビニルアルコール類、ポリアクリルアミド類、アルギン酸ソーダ等の水溶性高分子等の紙力増強剤や、防滑剤、防腐剤、防錆剤、pH調整剤、消泡剤(シリコーン系消泡剤等)、増粘剤、充填剤、酸化防止剤、耐水化剤、造膜助剤、顔料、染料等を添加できる。
また、その他の物性としては、特に限定されず、サイズ剤の固形分濃度20重量%、温度25℃におけるB型粘度計での粘度が、通常100mPa・s以下、好ましくは5~50mPa・s程度である。
さらに、サイズ剤の体積平均粒子径が通常は、0.1~1.0μm程度、好ましくは0.3~0.8μm程度である。なお、体積平均粒子径は、レーザー回折・散乱法による粒子径測定装置により測定された値である。
本発明の紙は、本発明のサイズ剤を用いて得られる。サイジングの方法としては、内添サイジング及び表面サイジング、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
内添サイジングにおいては、本発明のサイズ剤をパルプスラリーに添加し、酸性領域ないし中性領域で抄紙する。また、本発明のサイズ剤の使用量は特に限定されないが、通常、パルプの乾燥重量に対して0.05~3重量%程度となる範囲である。また、パルプの種類も特に限定されず、広葉樹パルプ(LBKP)、針葉樹パルプ(NBKP)等の化学パルプ;砕木パルプ(GP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ;段ボール古紙等の古紙パルプ等が挙げられる。また、内添サイジングの際には、定着剤として、硫酸アルミニウム及び/又は水酸化アルミニウムが好ましい。また、パルプスラリーのpHは、硫酸や水酸化ナトリウム等によって調節できる。また、本発明以外の他のサイズ剤として、例えば、(スチレン-ジメチルアミノエチルメタクリレート)ポリマーのエピクロロヒドリン変性物、ロジン、アルケニル無水コハク酸、アルキルケテンダイマー、脂肪酸-ポリアルキルポリアミン縮合物のエピクロロヒドリン変性物等を併用できる。また、他にも紙力増強剤として、例えば、カチオン化澱粉等の澱粉類、ポリアクリルアミド系紙力増強剤、ポリアミドポリアミン樹脂のエピクロロヒドリン変性物、ジシアンジアミド樹脂のエピクロロヒドリン変性物、(スチレン-ジメチルアミノエチルメタクリレート)ポリマーのエピクロロヒドリン変性物、ポリアクリルアミドのマンニッヒ変性物、(アクリルアミド-ジメチルアミノエチルメタクリレート)ポリマー、ポリアクリルアミドのホフマン分解物、ジアルキルジアリルアンモニウムクロライドと二酸化硫黄とのポリマー等を併用できる。また、パルプスラリーには、タルク、クレー、カオリン、二酸化チタン、炭酸カルシウム等の填料を添加できる。
表面サイジングにおいては、本発明のサイズ剤を固形分濃度0.01~2重量%程度に希釈してサイズ液となし、これを各種公知の手段により原紙に塗工する。塗工手段は特に限定されず、例えば、サイズプレス法、ゲートロール法、バーコーター法、カレンダー法、スプレー法等が挙げられる。また、サイズプレス法としては、例えば、2ロールサイズプレス塗工方式やロッドメタリングサイズプレス塗工方式が挙げられる。また、サイズ液の塗布量(固形分)は特に限定されないが、通常、0.001~2g/m程度、好ましくは0.005~0.5g/m程度である。また、原紙も特に限定されず、例えば、木材セルロース繊維を原料とする未塗工の紙を用いることができる。また、原紙を構成するパルプとしては前記したものが挙げられる。また原紙は、前記定着剤、サイズ剤、紙力剤及び填料からなる群より選ばれる1種を用いて抄紙されたものであっても良く、また、当該サイズ剤及び/又は紙力剤が表面に塗工されたものであっても良い。
本発明の紙は、坪量に応じて様々な製品に供される。例えば20~150g/m程度の低~中坪量の成紙は、例えば、フォーム用紙、PPC用紙、感熱記録原紙、感圧記録原紙等の記録用紙;アート紙、キャストコート紙、上質コート紙等のコート紙;クラフト紙、純白ロール紙等の包装用紙;ノート用紙、書籍用紙、印刷用紙、新聞紙等の洋紙等として利用できる。また、150g/m以上の高坪量の成紙は、例えばマニラボール、白ボール、チップボール、ライナー、中芯等の板紙等として利用できる。
以下、実施例を挙げて、更に本発明を具体的に説明するが、本発明を限定するものではない。また特段の断りがない限り、「部」、「%」はいずれも重量基準である。
(粘度)
ブルックフィールド回転粘度計(製品名:「VISCOMETER TVK-10」、(株)東機産業製)を用いて、25℃に保温した乳化剤及びサイズ剤の粘度を測定した。
製造例1-1
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を備えた反応装置に、クエン酸一水和物210部(1モル)とジ硬化牛脂アミン(商品名「アーミン2HT」、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、アルキル鎖長比C16/C18=40/60)1000部(2モル)、及びトルエン1252部を混合し、トルエンの還流下で20時間、脱水縮合反応を続けた。この反応混合物から減圧下でトルエンを留去し、ジアミド化合物を主成分とする脱水縮合物の樹脂(A-1)を得た。融点は52~56℃、酸価は55.7mgKOH/gであった。
製造例1-2
製造例1-1と同様の反応装置に、クエン酸一水和物210部(1モル)とステアリルアルコール(商品名「NAA-46」、ステアリルアルコール/パルミチルアルコール=85/15(%)、日油(株)製)532部(2モル)を混合し、生成する水を反応系外に留去しながら160℃まで加熱し、同温度で1.5時間、脱水縮合反応を続けた。この反応生成物を冷却してジエステル化合物を主成分とする脱水縮合物の樹脂(A-2)を得た。融点は48~51℃、酸価は78.7mgKOH/gであった。
製造例1-3
製造例1-1と同様の反応装置に、トリカルバリル酸176部(1モル)とステアリルアルコール(商品名「NAA-46」)532部(2モル)を混合し、160℃まで加熱し、同温度で1.5時間脱水縮合反応を続けた。この反応生成物を冷却してジエステル化合物を主成分とする脱水縮合物の樹脂(A-3)を得た。融点は48~51℃、酸価は78.7mgKOH/gであった。
製造例1-4
製造例1-1と同様の反応装置に、トリカルバリル酸176部(1モル)とジ硬化牛脂アミン(商品名「アーミン2HT」)1000部(2モル)、及びトルエン1252部を
混合し、トルエンの還流下で20時間、反応を続けた。この反応混合物から減圧下でトルエンを除き、ジアミド化合物を主成分とする脱水縮合物の樹脂(A-4)を得た。融点は52~56℃、酸価は53.0mgKOH/gであった。
製造例1-5
製造例1-1と同様の反応装置に、t-アコニット酸174部(1モル)とジ硬化牛脂アミン(商品名「アーミン2HT」)1000部(2モル)、及びトルエン1252部を混合し、トルエンの還流下で20時間、反応を続けた。この反応混合物から減圧下でトルエンを留去し、ジアミド化合物を主成分とする脱水縮合物の樹脂(A-5)を得た。融点は52~56℃、酸価は53.0mgKOH/gであった。
製造例2-1
撹拌機、温度計、滴下ロート、還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、エピクロロヒドリン452.4部(75.4重量%)、2-エチルヘキシルアミン30.0部(5.0重量%)及び水272.7部を仕込んで室温で30分間撹拌後、エチレンジアミン168.0部(19.6重量%)を30分かけて滴下した。80℃まで昇温させた後、6時間反応させた。反応を停止させるため、固形分濃度62.5%の硫酸水溶液を28.1部加えた後、更に水592.7部を加えて、固形分濃度40%の乳化剤(B-1)の水溶液を得た。乳化剤(B-1)の組成及び粘度を表1に示す(以下同様)。
製造例2-2~2-20
表1に示す組成で、製造例2-1と同様の方法で行い、固形分濃度40%の乳化剤(B-2)~(B-20)の水溶液をそれぞれ得た。
製造例2-21
撹拌機、温度計、滴下ロート、還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、エピクロロヒドリン470.5部(78.4重量%)及び水267.6部を仕込んで室温で30分間撹拌後、エチレンジアミン185.0部(21.6重量%)を30分かけて滴下した。80℃まで昇温させた後、6時間反応させた。反応を停止させるため、固形分濃度62.5%の硫酸水溶液を29.3部加えた後、更に水593.4部を加えて、固形分濃度40%の乳化剤(B-21)の水溶液を得た。
製造例2-22~2-23
表1に示す組成で、製造例2-21と同様の方法で行い、固形分濃度40%の乳化剤(B-22)~(B-23)の水溶液をそれぞれ得た。
製造例2-24
撹拌機、温度計、滴下ロート、還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、エピクロロヒドリン325.2部(54.2重量%)、2-エチルヘキシルアミン274.8部(45.8重量%)及び水323.1部を仕込んで室温で30分間撹拌後、80℃まで昇温し、6時間反応させた。反応を停止させるため、固形分濃度62.5%の硫酸水溶液を10.7部加えた後、更に水582.9部を加えて、固形分濃度40%の乳化剤(B-24)の水溶液を得た。
Figure 2022111418000001
表1に示す略号は、以下の化合物を意味する。
(b1)成分
・ECH:エピクロロヒドリン
(b2)成分
・EDA:エチレンジアミン
・HMDA:ヘキサメチレンジアミン
・DETA:ジエチレントリアミン
(b3)成分
・2EHA:2-エチルヘキシルアミン
・nOA:n-オクチルアミン
・BnA:ベンジルアミン
・DBA:ジn-ブチルアミン
比較製造例2-1
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を備えた反応装置に、アクリルアミド293.3部(60.5重量%)、イタコン酸59.3部(12.2重量%)、メタリルスルホン酸ナトリウム25.4部(5.2重量%)、2-エチルヘキシルアクリレート29.6部(6.1重量%)、シクロヘキシルメタクリレート77.3部(15.9重量%)、イオン交換水711.3部、イソプロピルアルコール784.9部、この混合液を攪拌しながら窒素ガスバブリング下で50℃まで昇温した。重合開始剤として過硫酸アンモニウム(APS)11.0部(重合成分の総モル数に対し0.9モル%)を加え、80℃まで昇温し、180分間保持した。次いで水蒸気吹き込みによりイソプロピルアルコールの留去を行い、イオン交換水を加えて固形分濃度24%、粘度1040mPa・sの乳化剤(C-1)の水溶液を得た。
比較製造例2-2
製造例2-1と同様の反応装置に、界面活性剤(ハイテノールLA-10、第一工業製薬(株)製)4.0部(モノマーの合計重量対比で1.0重量%)、ヒドロキシブチルアクリレート43.7部(10.9重量%)、80%メタクリル酸158.5部(31.7重量%)、イタコン酸19.7部(4.9重量%)、メタリルスルホン酸ナトリウム31.7部(7.9重量%)、スチレン140.0部(35.0重量%)、α-メチルスチレン26.4部(6.6重量%)、ブチルアクリレート11.6部(2.9重量%)、イオン交換水1090.0部、連鎖移動剤として、α-メチルスチレンダイマー16.0部(対モノマー総量4.0重量%)を仕込み、この混合液を撹拌しながら窒素ガスバブリング下で60℃まで昇温した。重合開始剤として過硫酸アンモニウム(APS)16.0部(対モノマー総量4.0重量%)を加え、90℃まで昇温し、100分間保持した後、後重合用の触媒として過硫酸アンモニウム(APS)4.0部(対モノマー総量1.0重量%)を更に加え、さらに90℃で60分間保持した。次いで48%水酸化ナトリウム水溶液146.5部(メタクリル酸、イタコン酸のカルボン酸基を99モル%中和)を加え、メタクリル酸、イタコン酸の中和を行い、イオン交換水を加えて固形分濃度25.2%、粘度53mPa・sの乳化剤(C-2)の水溶液を得た。
比較製造例2-3
製造例2-1と同様の反応装置に、ヘキサエチレングリコールジアクリレート31.4部(6.1重量%)、アクリルアミド287.6部(56.3重量%)、イタコン酸59.3部(11.6重量%)、メタリルスルホン酸ナトリウム25.4部(5.0重量%)、2-エチルヘキシルアクリレート29.6部(5.8重量%)、シクロヘキシルメタクリレート77.3部(15.1重量%)、イオン交換水711.3部、イソプロピルアルコール784.9部、この混合液を攪拌しながら窒素ガスバブリング下で50℃まで昇温した。重合開始剤として過硫酸アンモニウム(APS)11.0部(重合成分の総モル数に対し0.9モル%)を加え、80℃まで昇温し、180分間保持した。次いで水蒸気吹き込みによりイソプロピルアルコールの留去を行い、イオン交換水を加えて固形分濃度24%、粘度1040mPa・sの乳化剤(C-3)の水溶液を得た。
比較製造例2-4
製造例2-1と同様の反応装置に、界面活性剤(ハイテノールLA-10、第一工業製薬(株)製)4.0部(モノマーの合計重量対比で1.0重量%)、グリセリンモノアクリレート43.7部(10.6重量%)、80%メタクリル酸122.2部(23.6重量%)、イタコン酸58.6部(14.2重量%)、メタリルスルホン酸ナトリウム31.7部(7.7重量%)、スチレン143.9部(34.8重量%)、α-メチルスチレン26.4部(6.4重量%)、n-ブチルアクリレート11.6部(2.8重量%)、イオン交換水1090.0部、連鎖移動剤として、α-メチルスチレンダイマー16.0部(対モノマー総量4.0重量%)を仕込み、この混合液を撹拌しながら窒素ガスバブリング下で60℃まで昇温した。重合開始剤として過硫酸アンモニウム(APS)16.0部(対モノマー総量4.0重量%)を加え、90℃まで昇温し、100分間保持した後、後重合用の触媒として過硫酸アンモニウム(APS)4.0部(対モノマー総量1.0重量%)を更に加え、さらに60分間90℃で保持した。次いで48%水酸化ナトリウム水溶液146.5部(メタクリル酸、イタコン酸のカルボン酸基を99モル%中和)を加え、メタクリル酸、イタコン酸の中和を行い、イオン交換水を加えて固形分濃度25.2%、粘度53mPa・sの乳化剤(C-4)の水溶液を得た。
実施例1
樹脂(A-1)100部を加熱溶融し、次いで乳化剤(B-1)を50部(固形分:20部)及び温水(80℃)を250部加えて混合し、高圧乳化機(装置名「APV」、GAULIN社製)にて乳化することにより固形分濃度30%の製紙用エマルションサイズ剤を調製した。組成、粘度及び体積平均粒子径を表2に示す。(以下同様)
実施例2~30、比較例1~4
表2に示す樹脂及び乳化剤を用いて、実施例1と同様の方法で行い、固形分濃度30%の製紙用エマルジョンサイズ剤をそれぞれ得た。
(体積平均粒子径)
レーザー回折・散乱法による粒子径測定装置(装置名「LASER DIFFRACTION PARTICLE SIZE ANALYZER SALD-7500nano」、SHIMADZU製)で測定した。表2に結果を示す(以下同様)。
<抄紙評価>
広葉樹晒クラフトパルプ(以下、L-BKPという)に、パルプの固形分濃度が2.0%になる量の水道水を加え、ビーターを用いて、カナディアン・スタンダード・フリーネス(C.S.F)が300mlとなるまで叩解した。次いで、得られたパルプスラリーを更に水道水で希釈して、固形分濃度を1.0%に調製した。このパルプスラリーに、パルプ固形分対比で16.0%(絶乾重量基準、以下同様)となる填料(炭酸カルシウムとタルクの混合物)、1.5%となる硫酸アルミニウム、及び0.3%となる市販カチオン変性澱粉を添加して、pH7.0のパルプスラリーを調成した。なお、抄紙系のpHは硫酸水溶液で調節した。
次いで、当該パルプスラリーに、各サイズ剤を、パルプ固形分対比で0.3%(固形分換算)となるように加え、抄紙機(Tappi Standard Sheet Machine(丸型)、以下同様)を用いて抄紙し、湿紙を得た。湿紙をロールプレス機(条件:線圧5.5kg/cm、送り速度2m/分)で脱水し、回転式ドライヤーを用いて90℃で6分間乾燥させた。得られた乾燥紙を恒温恒湿(温度23℃、湿度50%)環境下で24時間調湿することによって、坪量が80g/mの成紙(試験用紙)を得た。
(定着率)
各試験用紙から150~200μgを切り出し、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析(PY-GC/MS)法により、以下の装置及び温度で測定し、得られたピーク面積と、下記の検量線を用いて紙中のエマルジョンサイズ剤の定着率(%)を求めた。結果を表2に示す。
<装置>
・熱分解装置:PY-2020D(フロンティア・ラボ(株)製)
・GC/MS本体:HP6890/5973(アジレント・テクノロジー(株)製)
・カラム:UA-5(フロンティア・ラボ(株)製))
<条件>
開始温度を225℃、昇温速度を10℃/分で10分間測定した。
<検量線>
標準サンプルとして、紙固形分に対して、実施例1のエマルジョンサイズ剤を0.01、0.10、0.50%含有する紙を作成し、上記条件で測定し、得られたピーク面積を求めた。
(ステキヒトサイズ度)
各試験用紙について、JIS-P8122に準じてステキヒトサイズ度を測定した。数値が大きいほど、サイズ効果が良好であることを示す。結果を表2に示す。
Figure 2022111418000002
*1:各成分の使用量は、固形分重量での値を示す。

Claims (6)

  1. 下記の樹脂(A)及び乳化剤(B)の乳化物を含む製紙用エマルジョンサイズ剤。
    <樹脂(A)>
    3価又は4価のカルボン酸(a1)と、一般式(1)で表される脂肪族アルコール(a2-1)及び一般式(2)で表される脂肪族アミン(a2-2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(a2)との脱水縮合物
    [化1] R-OH・・・(1)
    (式1中、Rは炭素数6~22のアルキル基又はアルケニル基を表す。)
    [化2] R-NH-R・・・(2)
    (式2中、R、Rはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数6~22のアルキル基又はアルケニル基を表す(R及びRがいずれも水素原子の場合を除く)。)
    <乳化剤(B)>
    エピハロヒドリン(b1)、並びに、アルキレンポリアミン(b2)及び/又は一般式(3)で表されるモノアミン(b3)を反応成分に含むポリマー乳化剤
    [化3] R-NH-R・・・(3)
    (式3中、R、Rは独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアリールアルキル基を示す。なお、R及びRがいずれも水素原子の場合を除く。)
  2. (b2)成分が、アルキレンジアミン及び/又はアルキレントリアミンである請求項1に記載の製紙用エマルジョンサイズ剤。
  3. (b3)成分が、脂肪族第1級アミン、脂肪族第2級アミン及び芳香族第1級アミンからなる群より選ばれる1種以上である請求項1又は2に記載の製紙用エマルジョンサイズ剤。
  4. (b3)成分の使用量が、固形分重量で、(b1)成分、(b2)成分及び(b3)成分の合計100重量%に対して、0.3~40重量%である請求項1~3のいずれかに記載の製紙用エマルジョンサイズ剤。
  5. (B)成分の含有量が、固形分重量で、樹脂(A)100重量部に対して、5~70重量部である請求項1~4のいずれかに記載の製紙用エマルジョンサイズ剤。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の製紙用エマルジョンサイズ剤を用いて得られる紙。
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