JP2022109419A - 織物 - Google Patents

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知彦 松浦
Tomohiko Matsuura
正人 増田
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Abstract

【課題】カジュアル用途から激しい動きのあるスポーツ用途まで幅広く対応が可能で、かつ締め付け感が適度なストレッチ性能と反発感があり心地よい滑らかな触感を備えた快適性衣料に適したストレッチ素材を提供する。【解決手段】異種のポリマーが複合化された捲縮繊維が少なくとも一部を構成しており、布帛表面粗さ(Ra)が40μm以下、表面粗さCV%20以下であり、布帛伸長率が20%以上であることを特徴とする織物。【選択図】図1

Description

本発明は、ストレッチ織物に関するものである。
ポリエステルやポリアミドなどからなる合成繊維は優れた力学特性や寸法安定性を有しているため、衣料用途から産業資材用途まで幅広く利用されている。近年の生活様式の変化や着用シーンの変化に伴い、人々が繊維製品に求める特性は多様化し、特に人間が身につける衣料用テキスタイルでは、優れた高機能な快適素材が求められ続けている。
近年においては、衣服用テキスタイルにおける基本特性として、着用時の束縛感の抑制や動作の追従性が求められ、動作にストレスを感じない衣服が伸び縮みすることを目的としたストレッチテキスタイルに関する種々提案がある。
このストレッチテキスタイル用の繊維は、一般に、サイドバイサイド型複合繊維や偏心芯鞘複合繊維が多く利用されている。該複合繊維は、熱処理前より捲縮が発現する潜在捲縮繊維であり、これ等の繊維が発現する捲縮構造は、伸長変形を加えた場合にバネのように伸び縮みし、布帛に十分なストレッチ性能を付与することができる。
このストレッチテキスタイルの進化は精力的に進められており、ストレッチ性能の高度化に加えて、様々な付加的機能を追加した快適ストレッチテキスタイルに注目が集まっている。
例えば、ストレッチテキスタイルにおいて、捲縮発現による収縮を利用して、布帛表面形態を制御し、テキスタイル表面を制御する技術が特許文献1および特許文献2で開示されている。
特許文献1では、一方にポリトリメチレンテレフタレートを主体とするポリエステルである互いに異なるポリエステル系重合体を繊維長さに沿ってサイドバイサイド型に貼り合わせた捲縮発現性能を有する複合繊維を緯糸として用いることで、捲縮によって生じた収縮でテキスタイル表面の凸凹を制御可能としたストレッチテキスタイルである。
特許文献2では、ポリブチレンテレフタレートを芯成分としポリエチレンテレフタレートを鞘成分とした粘度差のある2成分のポリマーによる偏心芯鞘複合繊維の仮撚り加工糸を用いた織編物が提案されている。この偏心芯鞘複合繊維の仮撚り加工糸を用いれば、熱処理後に繊維が高収縮成分側に大きく湾曲することになるため、これが連続することで3次元的なスパイラル構造をとる。このため、該構造がバネのように伸び縮みすることで、布帛に十分なストレッチ性能と耐摩耗性能を兼ね備え、さらにはシボやスジの無い均一でなめらかな外観を有し、滑らかで繊細な風合いを有する織編物を得ることができると開示されている。
さらに、ストレッチテキスタイルの展開拡大に伴い、女性用衣料への展開や、スポーツ衣料だけでなくカジュアルなシーンへの展開に合わせ、柔らかさと適度な反発感といった、相反する特性の両立を訴求するものや、見た目の美しさを付与するなど、付加的機能の追求がなされており、特許文献3では、撚り方向の異なる仮撚り加工糸を混繊交絡させる技術の提案がある。特許文献3では、撚り方向の異なる加工糸を組み合わせることにより、従来技術で見られた糸束の撚り方向による凹凸を乱すことにより、布帛表面がフラットなストレッチ性織物を達成できるとしている。
特開2002-004149号公報(特許請求の範囲) 特開2019-214798号公報(特許請求の範囲) 特開2009-138287号公報(特許請求の範囲)
特許文献1においては、布帛表面に凹凸があることで、肌との接触面積が少なくなりドライ感が優れている反面、場合によっては凹凸の差が大きくなってしまい、ザラザラとした不快な触感となる場合がある。また、該凹凸が不均一であることから、柔らかさや滑らかさにおいては劣っている場合があり、用途展開が限定される場合がある。
特許文献2においては、布帛のストレッチ性能は十分でありシボやスジの無い外観を有しているが、繊維同士が密着しており、繊維1本1本が十分に捲縮を発現できない場合がある。この場合、隣同士の繊維がまとまりながら捲縮を発現することになり、布帛表面に不要な筋が発生してしまう場合があり、布帛品位が低下してしまう場合があった。また、この捲縮発現した繊維がまとまって存在する場合には、隣り合う繊維間に空隙が形成されにくくなり、嵩高性にも乏しい糸束形態となるため、布帛の膨らみ感が不足し、ペーパーライクな布帛となる場合がある。また、この嵩高性不足を解消するために、仮撚り加工等を施す場合もあるが、この場合でも、布帛表面の凹凸を滑らかな触感とするには、組織や高次加工工程を調整する必要があるなど、用途展開の制約となる場合がある。
特許文献3でも、仮撚り加工の撚り方向を2種類用意することにより、布帛の滑らかさを達成することを目的としているが、仮撚り加工糸を利用する場合には、上記の通り、組織や複雑な高次工程を経る必要があることに加えて、元々は機械的に付与された屈曲を捲縮のよりどころにしているために、ストレッチ性能や反発感が不足する場合があった。
このように、従来提案されている技術では、昨今のストレッチ素材に求められている着用時の束縛感の抑制(ソフトストレッチ)や動作の追従性(柔軟性)などの高機能性と、布帛表面の滑らかさ等柔らかな風合いといった良好な触感の両立は困難であった。このようにカジュアル用途から激しい動きのあるスポーツ用途まで幅広く対応が可能で、かつ締め付け感が適度なストレッチ性能と反発感があり心地よい滑らかな触感を備えた快適性衣料に適したストレッチ素材が求められていた。
本発明の目的は、以下の手段によって達成される。
(1)異種のポリマーが複合化された捲縮繊維が少なくとも一部を構成しており、布帛表面粗さ(Ra)が40μm以下、表面粗さCV%が20以下であり、布帛伸長率が20%以上であることを特徴とする織物。
(2)捲縮繊維がA成分とB成分の2種類のポリマーからなる偏心芯鞘繊維であり、その断面において、A成分を覆うB成分の最小厚みの1.05倍以下の部分の周囲長が繊維全体の周囲長の1/3以上であることを特徴とする前記(1)に記載の織物。
(3)捲縮繊維を構成するA成分とB成分のいずれもがポリエチレンテレフタレートを主体とする成分であり、捲縮繊維の弾性率が70cN/dtex以上であることを特徴とする前記(1)もしくは(2)に記載の織物。
(4)捲縮繊維の撚り数が500T/m以上であり、布帛伸縮回復率が80%以上であることを特徴とする前記(1)~(3)のいずれかに記載の織物。
(5)前記(1)~(4)に記載の織物が少なくとも一部に使用された繊維製品。異種のポリマーが複合化された捲縮繊維が少なくとも一部を構成しており、布帛表面粗さ(Ra)が40μm以下、表面粗さCV%20以下であり、布帛伸長率が20%以上であることを特徴とする織物。
本発明によれば、細かで均一な捲縮形態が発現することにより、締め付け感が適度なストレッチ性能と反発感があり心地よい滑らかな触感を備えた快適性衣料テキスタイルに適したストレッチ織物を提供できる。
本発明の織物に用いる捲縮繊維の繊維横断面の写真の一例である。 本発明の織物に用いる捲縮繊維の一例であり、その繊維断面における重心位置を説明するための繊維横断面である。 本発明の織物に用いる捲縮繊維の繊維断面における繊維直径(D)と最小厚み(S)を説明するための繊維断面である。 本発明の織物に用いる捲縮繊維の繊維断面におけるIFR(繊維断面におけるA成分とB成分の界面の曲率半径)を説明するための繊維断面である。 本発明の織物に用いる捲縮繊維の製造方法を説明するための説明図であり、複合口金の形態の一例であって、複合口金を構成する主要部分の正断面図である。 本発明の織物に用いる捲縮繊維の製造方法を説明するための説明図であり、分配プレートの一部の横断面図である。 本発明の織物に用いる捲縮繊維の製造方法を説明するための説明図であり、吐出プレートの横断面図である。 本発明の織物に用いる捲縮繊維の製造方法を説明するための説明図であり、最終分配プレートにおける分配孔配置の一実施形態の一部拡大図である。
以下、本発明について望ましい実施形態と共に記述する。
本発明の織物は、ストレッチ性能を有しながらも、表面凹凸の滑らかさに優れることを特徴としており、捲縮繊維で構成されながらも、布帛表面粗さ(Ra)が40μm以下で、表面粗さCV%が20%以下であることが重要である。
本発明で言う布帛表面粗さ(Ra)は、人間が肌で触れた際に滑らかを感じる閾値として規定しており、この表面粗さが40μm以下であることが重要である。すなわち、人肌の平均的な凹凸のサイズは数十~数百μmとされており、例えば、指紋の凹凸の高さは50μm、凸間の長さは400μm程度と言われている。この指紋で感じる滑らかさは、指と布帛の間の摩擦力及び指を移動させた場合の変動によるものであり、指紋の凹凸高さよりも十分に低い40μm以下の凹凸であれば、指紋に抵抗を感じることなく、更には、指を移動させた場合に、布帛表面に存在する繊維や布帛組織の凹凸に、指紋が掛かることなく移動することになるため、非常に滑らかな表面と認識するのである。
ここで言う布帛表面粗さ(Ra)は、布帛表面の凹凸をμm単位で評価するものであり、本発明の織物を接触式、あるいは非接触式の表面粗さ測定機により評価する値となる。該表面粗さ測定においては、対象物が繊維からなる比較的柔軟な織物であるため、非接触式表面粗さ測定機を用いることが好適であり、以下の方法で評価することができる。
すなわち、対象となる織物を準備し、折り皺等を伸ばすようにしてサンプル台に設置する。サンプル台に設置された織物の表面を、レーザー顕微鏡(キーエンス社製形状測定レーザーマイクロスコープVK-X210)にて観察視野2mm×2mm以上の大きさで、3次元画像を撮影する。3次元画像は織物の任意の位置で、計5箇所撮影し、解析アプリケーション(VK-H1XA)を用いて、各画像の表面粗さ計測を行い、その単純平均の小数点以下を四捨五入し、本発明の布帛表面粗さ(Ra)とした。各画像の計測値から標準偏差を求め、CV%=(標準偏差/平均値)×100として算出し、パーセント表示で小数点以下を四捨五入した値を、本発明の表面粗さCV%とした。
ここで言う表面粗さCV%とは、織物表面の形態の変動を意味しており、本発明においては、この値が20%以下であることが重要である。すなわち、この値が十分に低いことにより、上記した通り、触感に変動がなくなることとなり、布帛表面粗さの凹凸のサイズに加えて、その変動が極小化されることによって、本発明の目的とする従来のストレッチ素材にはない、非常に心地よい滑らかな触感を達成することができる。
上記布帛表面粗さ40μm以下になることにより、滑らかな良好な触感を活かした、アウターやミッドレイヤーなどのトップスからパンツに活用することが可能となり、後述する良好なストレッチ性も相まって、快適衣料用テキスタイルとしてスポーツ衣料からカジュアル衣料まで幅広く展開が可能となる。
本発明の織物については、その滑らかな触感を活かし、人肌に触れる機会が多いシャツやブラウスにも活用が可能であり、いわゆる着心地を訴求するためには触感を高めること方が良く、織物表面の滑らかさを高めるという観点で言えば、布帛表面粗さを更に低下させることが好適となる。具体的には、シャツやブラウスなどに活用する場合には、本発明の表面粗さが30μm以下であることが好ましく、係る範囲であれば、人肌の凹凸と比較して、大幅に凹凸が低下した織物表面になるため、人肌との引っかかり等がなく、好適な着心地を実現することが可能となる。また、この観点で言えば、本発明の織物の特徴をより顕著なものにするためには、表面粗さは低い方が好適であると言え、人肌に常に接触するインナー用途に展開する場合には、表面粗さが27μm以下であることが特に好ましい範囲として挙げることができる。また、本発明の要件のひとつである、布帛表面粗さCV%は低い方が好適であるが、特に、表面粗さが低くなるにつれて、布帛表面の変動が顕著化される場合があるため、このインナー用途への展開を想定した場合には、布帛表面粗さの低下に加え、表面粗さCV%も15%以下であることが特に好ましい。
本発明の織物は、織組織が平織(タフタ)、綾織(ツイル)、朱子織(サテン)、梨地織(アムンゼン)、重織等のいずれか、またはそれらの応用組織から、用途、使用部位に応じて選択されるものであり、特に、本発明の特徴を鑑みると、平織(タフタ)、綾織(ツイル)、朱子織(サテン)、梨地織(アムンゼン)のいずれか、またはそれらの応用組織から選択することが好ましい。
上記した織り組織にて構成された織物において、本発明においては、その表面特性に加え、その経方向または緯方向の少なくともいずれか一方における14.7N荷重時の布帛伸長率が20%以上である必要がある。
ここで言う布帛伸長率とは、織物サンプルについて、JIS L1096(2010)8.16に記載のA法(定速伸長法)に従い、14.7N荷重時の伸長率を測定したものであり、同じ水準の織物サンプル5枚準備し、各サンプルについて同様の測定を実施し、パーセント表示にて小数点以下を四捨五入した値を本発明で言う布帛伸長率とした。
本発明の織物においては、布帛伸長率が20%以上であることが重要であり、係る範囲であれば、人の動きに合わせて布帛が自由に伸び縮みすることを意味しており、肘や膝といった動きの大きい部位に関しても、つっぱることなく、ストレスフリーなテキスタイルとなる。このため、本発明の織物においては、スラックスやビジネスシャツ、カジュアルシャツ、ジャケットといったタウンユースのアパレル素材としての快適性を十分備えることは言うまでもなく、大きな動きがあるスポーツ衣料としても展開が可能である。特に、過酷な環境下で激しい動きが必要となるアウトドア衣料ではこの特性が快適性に有効に作用するため、布帛伸長率は高いほど好適であり、本発明者等の検討においては、布帛伸長率が25%以上であることが好ましい範囲として挙げることができる。布帛伸長率は組織密度等を適宜調整することにより、制御することも可能であり、使用する部位に応じて変更する等すると、ストレッチ衣料として快適性が増すこととなり好適である。この観点からすると、上記した大きな動きを伴う、肘や膝の部位では、伸長率を高めることが良く、布帛伸長率を30%以上とすることが特に好ましい。この傾向に従えば、布帛伸長率は高いほど良いが、縫製時の取り扱い性や実使用時の回復性を考えると、本発明の布帛伸長率の実質的な上限は100%以下とすることである。
本発明の織物はストレッチ性を訴求する素材のため、上記の通り、比較的動きのある衣料用テキスタイルとして、好適な特性となるが、実使用を考えると、布帛を伸長した後の回復性にも配慮する必要がある。この観点においては、本発明の織物は、その経方向または緯方向の少なくともいずれか一方において、14.7N荷重時の伸長回復率が80%以上であることが好ましいと言える。係る範囲であれば、伸長した織物で、部分的に伸びが回復しない、いわゆるワライ現象が起こりにくくなり、実使用においては、動きの大きい肘や膝で、肘抜けや膝抜けが発生しにくい織物となる。
ここで言う布帛の伸長回復率とは、JIS L1096(2010)8.16に記載のC法に従い、14.7N荷重、除重を5回繰り返した後の伸長回復率を測定したものである。伸長回復率においても、布帛伸長率と同様に、同じ水準の織物サンプル5枚準備し、各サンプルについて同様の測定を実施し、パーセント表示にて小数点以下を四捨五入した値を本発明で言う伸長回復率とした。
本発明の織物は、カトーテック製純曲げ試験機(KES-FB2)で得られるヒステリシス(2HB)と剛性(B)の比である2HB/Bの値が、2.0cm-1以下が好ましく、1.5cm-1以下がより好ましい。
これは、布帛の反発感を評価する手法であり、曲げ特性におけるヒステリシス曲線から求められるヒステリシス(2HB)と剛性(B)からその曲げ戻り性として、2HB/Bの値から反発感を求めることが出来る。この値は曲げ変形から回復変形過程におけるエネルギーロスを残留歪み量でとらえるものであり、反発感という官能評価との対応がとれ、2HB/Bの値で定量化できるのである。つまりこの値は、曲げ変形から回復変形過程における残留歪みとしてとらえることができる。この残留歪みが小さいほど反発感が良いというのである。さらに、剛性(B)について、布帛の硬さや柔らかさの指標であり、この値が小さい場合は、柔らかいということである。この値が、0.010gf・cm/cm以下が好ましく、より好ましくは0.008gf・cm/cm以下である。
このように2HB/BとBの値が上記範囲であることで布帛の適度な反発感と柔らかな触感を両立できている心地よい快適衣料素材となっている。
次に、本発明の織物を構成する捲縮繊維について説明する。
本発明の織物を構成する捲縮繊維は、繊維形成可能ポリマーからなっている複合繊維であり、偏心芯鞘型に接合された2種類以上の異種のポリマーで形成している偏心芯鞘繊維であることが好ましい。
本発明で言う繊維形成可能ポリマーとは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PPT)などのポリエステル、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリ乳酸、熱可塑性ポリウレタン、ポリフェニレンサルファイドなどの溶融成形可能なポリマーおよびそれらの共重合体が挙げられる。
特に、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが好ましく用いられ、中でもポリエステルは力学特性等も兼ね備えるため、より好ましい。ここで言うポリエステルとは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートや、それらにジカルボン酸成分、ジオール成分あるいはオキシカルボン酸成分が共重合されたもの、あるいはそれらのポリエステルをブレンドしたものが挙げられる。また、生分解性ポリエステルとして知られるポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリε-カプロラクタム等の脂肪族ポリエステルでもよい。
本発明の織物を構成する捲縮繊維は、製糸後に種々の高次加工を経て、最終製品にされるものである。このため、これ等の工程での処理温度等を踏まえると、用いる繊維形成可能ポリマーは融点が165℃以上の耐熱性が良好なポリマーであることが好適であり、中でもポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどのポリエステル系ポリマーやポリアミド系ポリマーが好ましい。特に適度な反発感やハリコシの観点からポリエチレンテレフタレートが好適に用いることができる
また、これらの繊維形成可能ポリマーには本発明の目的を損なわない範囲で酸化チタン、シリカ、酸化バリウムなどの無機物質、カーボンブラック、染料や顔料などの着色剤、難燃剤、蛍光増白剤、酸化防止剤、あるいは紫外線吸収剤などの各種添加剤を含んでいてもよい。
なお、環境問題に注目が集まる中、本発明においても植物由来のバイオポリマーやリサイクルポリマーを用いることは環境負荷低減の観点からも好適なことであり、上記した本発明に用いられるポリマーは、ケミカルリサイクル、マテリアルリサイクルおよびサーマルリサイクルのいずれの手法で再資源化されたリサイクルポリマーを用いることができる。バイオポリマーやリサイクルポリマーを用いる場合にも、ポリエステル系樹脂はそのポリマー特性として、本発明の特徴を顕著化することができ、リサイクルポリエステルは本発明に好適に用いることができる。
本発明の織物を構成する捲縮繊維においては、薄皮偏心芯鞘型に接合された2種類の異なるポリマーからなっていることが好ましい。これは、ポリマー特性が異なる2種類以上のポリマーが実質的に分離せず接合された状態で存在するものであり、一般的な複合繊維で見られる一方の成分を他方の成分が被覆した芯鞘型の芯成分が偏っている偏心芯鞘型など、2種類のポリマーが接合したいずれの複合形態とすることも可能である。
本発明の織物を構成する捲縮繊維を形成する2種類のポリマーが実質的に分離せず接合された状態とは、芯成分用ポリマーA(以下A成分)と鞘成分用ポリマーB(以下B成分)が接合面を持って接着した状態にあることを意味する。このため、A成分とB成分が剥離することなく一体となって存在している状態となる。
本発明の織物を構成する捲縮繊維の2種類の異なるポリマーが接合した複合形態を形成するポリマーとして、加熱処理を施した際に収縮差を生じるポリマーの組み合わせが好適であり、組み合わせるポリマーの溶融粘度差が10Pa・s以上となる分子量または組成が異なるポリマーの組み合わせが好適である。
本発明で言う溶融粘度とは、チップ状のポリマーを真空乾燥機によって、水分率を200ppm以下とし、歪速度を段階的に変更して測定し、測定温度を紡糸温度と同様にした場合の歪速度1216s-1における値である。繊維を構成するポリマーの溶融粘度が10Pa・s以上異なると、例えば、紡糸線において、溶融粘度の高いポリマー成分に応力が集中することとなる。そのため、芯鞘型断面や海島型断面の場合には、主要ポリマーに応力が集中し、優れた力学特性を発現したり、貼り合わせ型断面等の場合には、組み合わせた成分の配向により顕著な差が生まれたりすることとなり、好適な捲縮を発現させることが可能となる。捲縮発現等を考慮すると、組み合わせるポリマーの溶融粘度差はより大きいことが好適であり、溶融粘度差が50~400Pa・sであることが好ましい範囲として挙げられる。溶融粘度差を高めることが好適とはなるが、特性発現と制御できる紡糸線での伸長変形差を考えると本発明においては、組み合わせるポリマーの溶融粘度差が100~300Pa・sであることが特に好ましい範囲となる。
本発明の織物を構成する捲縮繊維におけるA成分とB成分の繊維横断面における複合面積比率は、捲縮発現から鑑みるとA成分である高収縮成分の比率を多くすることで微細なスパイラル構造を実現できる。また、偏心芯鞘複合繊維として優れた物理特性を有している必要性もあるので、両成分の比率は、A成分:B成分=70:30~30:70(面積比)の範囲が好ましく、65:35~45:55の範囲がより好ましい。
本発明では、織物を構成する捲縮繊維が2種の異なるポリマーが接合してなる複合断面を有しており、ポリマー特性が異なる2種のポリマーが実質的に分離せず接合された状態で存在し、A成分がB成分に完全に覆われている偏心芯鞘型であることが好ましい。
ここで、本発明で言う偏心とは、複合繊維断面においてA成分の重心点位置が複合繊維断面中心と異なっていることを指し、図2を用いて説明する。
図2において、水平ハッチングがB成分であり、30degハッチング(右上がり斜線)がA成分であって、複合繊維断面におけるA成分の重心点が重心aであり、複合繊維断面の重心が中心点bである。
本発明のおいては重心aと中心bが離れていることが重要であり、これにより熱処理後に繊維が高収縮成分側に大きく湾曲することになる。このため、複合繊維が繊維軸方向に湾曲し続けることにより、3次元的なスパイラル構造をとり、良好な捲縮発現することになるのである。ここで、重心位置が離れているほどより良好な捲縮が発現し、良好なストレッチ性能が得られるのである。
本発明においては、A成分がB成分に完全に覆われていることにより、繊維や布帛に摩擦や衝撃が加わっても白化現象や毛羽立ちなどが生じることがないので布帛品位を保つことができる。加えて、従来の単純貼り合わせ構造では表面露出して複合繊維の欠点となる高分子量ポリマーや高弾性ポリマー等についても複合繊維の一方成分として用いることが出来るのである。
また、一方のA成分は他方のB成分で完全に覆われているので、例えば耐熱性や摩耗性の低いポリマー、あるいは吸湿性のポリマーなどを用いても繊維特性を良好に保持できる効果も備えることが出来る。
以上の効果を達成する本発明の織物を構成する捲縮繊維である偏心芯鞘複合繊維は、A成分を覆っているB成分の最小となる厚みSと複合繊維の直径Dの比S/Dが0.01~0.1であることが好ましい。この範囲であれば、毛羽等による布帛品位低下が抑制でき、十分な捲縮発現力とストレッチ性能を得ることが出来る。ここで捲縮繊維は、本来それぞれのポリマーは貼り合わせ界面のみで接していることで良好なストレッチ性能を得ることが出来るのであり、高収縮成分を低収縮成分で覆われているとストレッチ性能が低下する。ところが、本発明者らが、鋭意検討した結果、鞘成分であるB成分の厚みを本発明の範囲とすることで、ストレッチ性能と耐摩耗性の両特性を満足する複合繊維とすることが可能となった。
図3に示した繊維断面を用いて更に詳細に説明する。ここで芯鞘複合繊維におけるB成分の最薄部が最小厚みSである。
さらに、最小厚みSの1.05倍以内の厚みの部分の複合繊維の全の周囲長の1/3以上を占めていることが重要である。これは、繊維の輪郭に沿ってA成分が存在していることを意味しており、同一面積比の従来の偏心芯鞘複合繊維と比較すると、本発明が、繊維断面においてそれぞれの成分の重心位置がより離れており、微細なスパイラルを形成し、良好な捲縮を発現する。より好ましくは、1.05倍以内の厚みの周囲長を繊維全体の周囲長の2/3以上とすることで捲縮斑がなく良好なストレッチ性能が得られる。さらには、捲縮発現時の繊維一本一本のスパイラル構造が均等になることから繊度斑がなく十分なストレッチ性能を得ることが出来、シボやスジなどの無い良好な外観でなめらかで繊細な風合いの布帛を得ることが出来るのである。
さらに、繊維断面におけるA成分とB成分の界面の曲率半径IFRとし、繊維径Dを2で除した値Rとしたとき、下記式1を満足することが好ましい。
(IFR/R)≧1・・・(式1)
ここで言う曲率半径IFRとは、図4に示したように繊維横断面において、A成分を覆っているB成分の厚みの最大厚みとなるA成分とB成分の界面の曲率に接する円(鎖線)の半径を指す。
これは、界面がより直線に近いことを意味している。本発明は従来の貼り合わせ型捲縮糸の断面に近い形態でA成分とB成分の界面を直線に近い曲線とすることで、従来の偏心芯鞘複合繊維ではなし得なかった高い捲縮を発現することができるので好ましい。
ここで言うA成分を覆っているB成分の厚みが最小となる最小厚みSおよび繊維径D、界面の曲率半径IFR、面積比は、以下のように求める。
すなわち、偏心芯鞘複合繊維からなるマルチフィラメントをエポキシ樹脂などの包埋剤にて包埋し、この横断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で10本以上の繊維が観察できる倍率として画像を撮影する。この際、金属染色を施すとポリマー間の染め差を利用して、A成分とB成分の接合部のコントラストを明確にすることができる。撮影された各画像から同一画像内で無作為に抽出した10本の外接円径を測定した値が本発明で言う繊維径Dに相当する。ここで、10本以上の観察が不可能の場合は、他の繊維を含めて合計で10本以上を観察すれば良い。ここで言う外接円径とは、2次元的に撮影された画像から繊維軸に対して垂直方向の断面を切断面とし、この切断面に2点以上で最も多く外接する真円の径を意味する。
また、繊維径Dを測定した画像を用いて、10本以上の繊維について、A成分を覆っているB成分の最小となる厚みを測定した値が、本発明で言う最小厚みSに相当する。さらには、これら繊維径Dと最小厚みS、曲率半径IFRについては、単位をμmとして測定し、少数第3位以下を四捨五入する。以上の操作を撮影した10画像について、測定した値およびその比(S/D)の単純な数平均値を求める。
また、面積比は上述で撮影した画像、および画像解析ソフト、例えば三谷商事社製「WinROOF2015」を用いて、繊維全体の面積およびA成分、B成分の面積を求めた後、面積比を求める。
本発明の織物を構成する捲縮繊維は、JIS L1013(2010)8.11項C法(簡便法)に示す伸縮伸長率が40%以上であることが好ましい。より好ましくは55%以上である。これは、捲縮の度合いを示す値で有り、高ければ高いほどストレッチ性能が良好であることを示している。
本発明の織物を構成する捲縮繊維は、繊維長手方向の太さ斑いわゆる繊度斑の指標であるウスター斑U%は1.5%以下が好ましい。これにより、布帛の染め斑を回避できるのみならず、布帛の収縮斑による品位の低下を回避し、良好な布帛品位を得ることが出来る。より好ましくは1.0%以下である。
本発明の織物を構成する捲縮繊維の単繊維繊度は、3.0dtex以下が好ましい。これにより適度なストレッチ性能と反発感を有し、ソフト性も付与することが出来る。また、本発明の偏心芯鞘複合繊維の捲縮性能による微細なスパイラル構造と相まって緻密な布帛表面形態となることから、なめらかで繊細な風合いを有したこれまでにない触感のストレッチ素材となるのである。さらに好ましくは2.0dtex以下で、より好ましくは1.0dtex以下である。
また、本発明の織物を構成する捲縮繊維は繊維断面の異形度は1.0から1.5であることが好ましい。ここで言う異形度とは、以下のように求めるものである。すなわち、捲縮繊維について、10本以上の繊維が観察できる倍率として画像を撮影する。この2次元的に撮影された画像から繊維軸に対して垂直方向の断面を切断面に外接する真円の径を外接円径とし、この切断面に2点以上で最も多く内接する真円の径を内接円径とする。異形度とは、異形度=外接円径÷内接円径から、小数点第2位までを求め、小数点第2位以下を四捨五入したものであり、以上の操作を撮影した10画像について、それぞれの画像で測定した値の単純な数平均値を求め、本発明の捲縮繊維の異形度とした。ちなみに、本発明で言う異形度では、1.0が真円に相当し、その数値の増加はその繊維の断面がより変形していることを意味している。
本発明の織物を構成する捲縮繊維の繊維断面は任意の形状を有するものを選択することができるが、下記理由により丸型が好ましい。なお、中空断面構造では染色工程において断面が潰れやすくなり、異形度にバラツキが生じ易くなるので、実質的に中実断面構造であることが好ましい。さらに、一般的にストレッチ織物を構成する繊維は、仮撚り加工を施している場合が多いが、この加工においては断面変形が著しく、異型度が1.5を超え、捲縮のコイル形態が崩れ、乱雑なコイル形態を形成し布帛表面が荒れるため、好ましくない。
また、布帛拘束力に打ち勝って、安定的に捲縮を発現させるためには、収縮応力および収縮応力の最大値を示す温度が重要な特性となる。収縮応力は高いほど布帛拘束下での捲縮発現がよく、収縮応力の最大値を示す温度が高いほど仕上げ工程での取り扱いが容易となる。従って、捲縮発現をより高めるためには、収縮応力の最大値を示す温度は、110℃以上が好ましく、より好ましくは130℃以上であり、収縮応力の最大値は0.15cN/dtex以上が好ましく、より好ましくは0.20cN/dtexである。このように前記のような収縮応力を発生させるためには製糸条件や延伸条件で特定の条件にて行うことでできるほか、繊維に使用するポリマーの一方を熱で収縮しやすい高収縮ポリマーなどとすることも好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレートにイソフタル酸やビスフェノールA(2・2ビス{4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン)と言った第3成分を共重合したコポリエステルなどが好ましい。
本発明の織物を構成する捲縮繊維は、高次加工における工程通過性や実質的な使用を考えると、一定以上の靭性を持つことが好適であり、繊維の強度と伸度を指標とすることができる。ここで言う、強度とは、JIS L1013(2010)に示される条件で繊維の荷重-伸長曲線を求め、破断時の荷重値を初期繊度で割った値であり、伸度とは、破断時の伸長を初期試長で割った値である。また、初期繊度とは、繊維の単位長さの重量を複数回測定した単純な平均値から、10000m当たりの重量を算出した値を意味する。
本発明の織物を構成する捲縮繊維の強度は、0.5~10.0cN/dtex、伸度は5~700%であることが好ましい。本発明の捲縮繊維において、強度の実施可能な上限値は10.0cN/dtexであり、伸度の実施可能な上限値は700%である。また、本発明の織物を構成する捲縮繊維をインナーやアウターなどの一般衣料用途に用いる場合には、強度が1.0~4.0cN/dtex、伸度が20~40%とすることが好ましい。また、使用環境が過酷であるスポーツ衣料用途などでは、強度が3.0~5.0cN/dtex、伸度が10~40%とすることが好ましい。
以上のように本発明の繊維では、その強度および伸度を目的とする用途等に応じて、製造工程の条件を制御することにより、調整することが好適である。
本発明の織物を構成する捲縮繊維の弾性率は70cN/dtex以上が好ましい。より好ましくは、75cN/dtex以上である。捲縮繊維の弾性率は、例えば、原糸の種類や繊度、フィラメント構成、延伸条件、交絡条件、追撚条件などによってある程度制御することができるが、織物を形成したときの柔らかさや反発感などの風合いを決める主因となる。弾性率が70cN/dtex以上とすることで細繊度においても反発感が得られ、細繊度による柔らかさと適度な反発感やハリコシを保つことができる。これを実現するための好ましい異種のポリマーの組み合わせとしては、いずれもポリエチレンテレフタレートもしくはその共重合ポリマーであることが好ましい。適宜所望のストレッチ性を得るべく、分子量や共重合成分を変更し、収縮特性の異なるポリエチレンテレフタレートの組み合わせが好ましい。
次に、本発明の織物を構成する捲縮繊維の好ましい製造方法について述べる。
本発明の織物を構成する捲縮繊維は、吐出されたポリマーを未延伸糸として一旦巻き取った後に延伸する二工程法のほか、紡糸および延伸工程を連続して行う直接紡糸延伸法や高速製糸法など、いずれのプロセスにおいても製造できる。また、高速製糸法における紡糸速度の範囲は特に規定しないため、半延伸糸として巻き取った後に延伸する工程で延伸糸を得てもよい。
また、上記捲縮繊維は、織物の用途に応じて実撚を付与することで、適度な反発感を得られるとともに捲縮発現時に細かいコイル捲縮を発現しやすくなり、織物に存在する空隙をより効果的に埋めることができるため、コイル形態が安定し、滑らかな布帛表面となるほか、優れたストレッチ回復性も得ることができ、好ましい。好ましい撚糸数は500~2500T/Mであり、さらに好ましくは1000~2000T/Mである。一方、仮撚加工は繊維断面を変形させ、捲縮のコイル形態が崩れ、乱雑なコイル形態を形成し、布帛表面が荒れるため、好ましくない。
本発明の織物を構成する捲縮繊維を二工程法で製糸する場合、ホットロール-ホットロール延伸や熱ピンを用いた延伸の他、あらゆる公知の延伸方法を用いることができる。また、用途に応じて交絡などを加えながら延伸してもよい。毛羽発生や両成分の剥離などの複合異常を抑制するために、延伸糸の残留伸度は25~50%となるように延伸することが好ましい。
ストレッチ状態で熱セットを行い、緊張を保ったままガラス転移温度以下に冷却して分子鎖を構造固定すると、収縮応力を高くでき、布帛の風合い向上に有効である。具体的には、0.3~3.0%程度のストレッチ状態のまま冷ロールを通過させると、高い収縮応力が得られるので好ましい。なお、捲縮を発現させるために収縮するポリマー側(例えば本発明のA成分)に応力歪みを与えた状態で製糸、巻取を行うため、巻取後の布帛形成前に粘弾性的な挙動により遅延収縮が発生し、布帛にスジが出来る場合があった。一方、本発明では片側の成分を他方の成分で完全に覆っていることで遅延収縮が抑制でき、均一な布帛を得ることにも寄与することが出来る。さらには、高収縮成分としてこれまで用いることが出来なかった高分子量ポリマーや高弾性ポリマー等を用いることが出来、新たな芯鞘複合繊維を得ることも出来るのである。
紡糸温度はポリマー融点よりも+20~+50℃高い温度で設定するのが好ましい。ポリマー融点よりも+20℃以上高く設定することで、ポリマーが紡糸機配管内で固化して閉塞することを防ぐことができ、かつ高めに設定する温度を+50℃以下とすることでポリマーの過度な熱劣化を抑制することができるため好ましい。
本発明の織物を構成する捲縮繊維は、偏心芯鞘複合繊維とすることが好ましく、溶融紡糸法によって好ましく得られるが、口金は、品質および操業安定的に紡糸することが可能であれば、公知のいずれの内部構造のものであっても良く、特に特開2011-174215号公報や特開2011-208313号公報、特開2012-136804号公報に例示される分配板方式口金が好適に用いて所望とする断面形状をとすることが出来る。
ここで、本発明の偏心芯鞘複合繊維は、図1の如くB成分でA成分を完全に覆っていることが好ましい。本発明の断面とすることで、口金吐出時の2種のポリマーの流速差のため起こる、吐出線曲がり(ニーイング現象)を抑制できるのである。また、従来の単純貼り合わせ構造(バイメタル構造)の場合では、口金吐出後の紡糸線上での細化時のそれぞれのポリマーにかかる応力バランスに差が生じ、伸長変形に斑が生じ、これが繊度斑として顕在化し、U%が大きくなる場合があった。この傾向は、粘度差の大きいポリマーの組み合わせや、吐出量を絞るなどして、細繊度化する場合は非常に顕著に現れるものであるが、本発明においては、片方のポリマーで覆われていることで応力バランスが繊維断面内で均衡化して繊度斑が抑制できるのである。さらには、A成分に高分子量ポリマーを用い、B成分に低分子量ポリマーを用いる場合には、A成分が完全に覆われていることで高速製糸安定性に優れることも見出されている。これは、低分子量ポリマーが外側に配置されることで口金吐出後の伸長変形に高分子量ポリマーが追従しやすくなった効果である。
これにより、細繊度糸においてもストレッチ性能向上以外の付加価値向上や製糸安定性向上のためのポリマー選択の自由度が飛躍的に上がり、生産性の向上にも寄与する。
上述のとおり、本発明の断面形状とすることで繊度斑を抑制できるのである。
このとき、紡糸ドラフトは300倍以下とするとフィラメント間での物性バラツキが抑制された均質な繊維が得られ好ましい。フィラメント数は、口金のサイズにより適宜設定できるが、フィラメントの吐出孔間隔を10mm以上に保つと、フィラメントの冷却固化がスムーズに行えて均質な繊維を得やすいので好ましい。
本発明の織物を構成する捲縮繊維である偏心芯鞘複合繊維の下記式で表される紡糸ドラフトは50~300が好ましい。
紡糸ドラフト=Vs/V0
Vs:紡糸速度(m/分)
V0:吐出線速度(m/分)
紡糸ドラフトを50以上とすることで、口金孔から吐出されたポリマー流が長時間口金直下に留まることを防止し、口金面汚れを抑制することができることから、製糸性が安定する。また、紡糸ドラフトを300以下とすることで過度な紡糸張力による糸切れを抑制することが可能となり、偏心芯鞘複合繊維を安定した製糸性で得ることができるので好ましい。より好ましくは80~250である。
本発明の織物を構成する捲縮繊維である偏心芯鞘複合繊維の紡糸張力は0.02~0.15cN/dtexにするのが好ましい。紡糸張力を0.02cN/dtex以上にすることで紡糸時の糸揺れによる単糸間での糸条干渉がなく、第1ローラーである引取りローラーに逆巻きすることもないため安定走行が可能となる。また、紡糸張力を0.15cN/dtex以下とすることで、製糸安定的に偏心芯鞘複合繊維を得られるので好ましい。紡糸張力のより好ましい範囲は0.07~0.1cN/dtexである。
本発明の織物を構成する捲縮繊維である偏心芯鞘複合繊維を操業・品質安定的に製糸するにあたり、吐出されたポリマーの冷却固化を厳密に制御することが好ましい。細繊度化に伴い吐出ポリマー量を抑制すると、ポリマーの細化および冷却固化が口金に近づく(上流へ移動する)ため、従来技術で想定される冷却方法では長手方向の糸斑の多い繊維しか得られない。また、固化した繊維による随伴気流が増大し、紡糸張力が大きくなるため、これらを低減する技術が必要となる。紡糸張力の増大を低減する方法として、冷却開始点を口金面から20~120mmとすることが好ましい。冷却開始点が20mm以上であれば冷却風による口金の面温度低下を抑制でき、低温糸、口金孔詰まりや複合異常、吐出斑といった諸問題を回避できるので好ましい。また、冷却開始点は120mm以下とすることで、長手方向での糸斑の少ない高品質な偏心芯鞘複合繊維を得ることができるので好ましい。冷却開始点のより好ましい範囲は25~100mmである。
また、冷却風による口金面温度の低下を抑制するため、必要に応じて冷却風の温度管理や、口金周辺部に加熱装置を設置してもよい。
口金吐出面から給油位置までの距離は1300mm以下であることが好ましい。口金吐出面から給油位置までの距離を1300mm以下とすることで冷却風による糸条揺れ幅を抑え、繊維長手方向での糸斑を改善できるほか、糸条の収束に至るまでの随伴気流を抑制できるため紡糸張力を低減でき、毛羽や糸切れの少ない安定した製糸性が得やすいので好ましい。偏心芯鞘複合繊維の紡糸工程における給油位置のより好ましい範囲は1200mm以下である。
本発明の織物を得るためには、所望の組織に適する公知の織機を選択することができる。例えば、シャットル織機、レピア織機、エアージェット織機、ウオータージェット織機などが例示される。開口装置は織物の組織に応じて、タペット式、ドビー式、ジャガード式など適宜選択すれば良い。
また製織後も、公知の方法で処理することができ、精練、アルカリ処理、リラックス熱処理、中間セット処理、染色処理、および仕上げ処理などを施すことができる。リラックス熱処理においては、オープンソーパーを用い、液中温度を60℃前後に設定し、徐々に収縮させ、生地にシボやシワが入ることを抑えることも可能である。
以下実施例を挙げて、本発明のストレッチ織物について具体的に説明する。実施例および比較例については、下記の評価を行った。
(1)ポリマーの溶融粘度
チップ状のポリマーを真空乾燥機によって、水分率200ppm以下とし、東洋精機製キャピログラフ1Bによって、歪速度を段階的に変更して、溶融粘度を測定した。なお、測定温度は紡糸温度と同様にし、実施例あるいは比較例には、1216s-1の溶融粘度を記載している。ちなみに、加熱炉にサンプルを投入してから測定開始までを5分とし、窒素雰囲気下で測定を行った。
(2)繊度
枠周1.0mの検尺機を用いて100回分のカセを作製し、下記式に従って繊度を測定した。これを10回繰り返して測定し、その単純平均値の小数点以下を四捨五入した値を繊度とした。
繊度(dtex)=100回分のカセ重量(g)×100
これを10回繰り返して測定し、その単純平均値の小数点以下を四捨五入した値を繊度とした。
(3)繊維の強度、破断伸度、タフネス、弾性率、伸縮伸長率
試料を引張試験機(オリエンテック製“テンシロン”(TENSILON)UCT-100)でJIS L1013(2010) 8.5.1標準時試験に示される定速伸長条件で測定した。この時の掴み間隔は20cm、引張り速度は20cm/分、試験回数10回であった。なお、破断伸度はS-S曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。弾性率は、JIS L1013(2010) 8.10の初期引張抵抗度を弾性率とした。タフネスは以下の式から求めた。
タフネス=強度(cN/dtex)×√(伸度(%))
また、繊維の伸縮伸長率は、測定前に90℃、20分間で処理した繊維サンプルについて、JIS L1013(2010)8.11項C法(簡便法)に従い、繊維の伸縮伸長率を求めた。いずれの値も、これら操作を水準毎に5回繰り返し、得られた結果の単純平均値を求め、強度は小数点第2位、破断伸度およびタフネス、弾性率、伸縮伸長率は小数点以下を四捨五入した値とした。
(4)U%
繊度斑測定装置Zellweger製(UT-4)を用いて、供糸速度200m/分、ツイスター回転数20000rpm、測定長200mの条件で、U%(H)を測定した。これを10回繰り返して測定し、その単純平均値の小数点第2位以下を四捨五入した値をU%とした。
(5)収縮応力
インテック社製(旧カネボウエンジニアリング社製)KE-2S熱応力測定器で、昇温速度150℃/分で測定した。サンプルは、0.1m×2ループとし、初期張力は繊度(dtex)×0.03cNとした。なお、収縮応力が最大値となったときの温度が最大値温度(℃)である。これを10回繰り返して測定し、その単純平均値について、応力は小数点第3位以下を、最大温度は小数点以下を四捨五入して求めた。
(6)異形度
捲縮繊維の繊維軸方向の任意の位置で切断し、その繊維断面をHITACHI製 走査型電子顕微鏡(SEM)にて、各断面形状の単糸が10本以上観察できる倍率として撮影し、各断面の切断面に内接する真円の径を内接円径、外接する真円の径を外接円径として、異形度=外接円径/内接円径から算出した。この操作を各断面について10ヶ所行い、得られた結果の単純平均値の小数点第2位以下を四捨五入して求めた。
(7)布帛表面粗さ(Ra)
対象となる織物を準備し、折り皺等を伸ばすようにしてサンプル台に設置する。サンプル台に設置された織物の表面を、レーザー顕微鏡(キーエンス社製形状測定レーザーマイクロスコープVK-X210)にて観察視野2mm×2mm以上の大きさで、3次元画像を撮影する。3次元画像は織物の任意の位置で、計5箇所撮影し、解析アプリケーション(VK-H1XA)を用いて、各画像の表面粗さ計測を行った行い、その単純平均の小数点以下を四捨五入し、本発明の布帛表面粗さ(Ra)とした。各画像の計測値から標準偏差を求め、
CV%=(標準偏差/平均値)×100
として算出し、パーセント表示で小数点以下を四捨五入した値を、本発明の表面粗さCV%とした。
(8)織物の伸長率(織物)
JIS L1096(2010)8.16に記載のA法(定速伸長法)に従い、14.7N荷重時の伸長率を測定した。これを10回繰り返して測定し、その単純平均値の小数点以下を四捨五入して求めた。
(9)織物の伸長回復率(織物)
JIS L1096(2010)8.16に記載のC法に従い、14.7N荷重、除重を5回繰り返した後の伸長回復率を測定した。これを10回繰り返して測定し、その単純平均値の小数点以下を四捨五入して求めた。
(10)織物の反発感(2HB/B)、剛性(B)
得られた織物について精練、アルカリ処理、熱セットを行った布帛にて反発感を評価した。反発感は、カトーテック製純曲げ試験機(KES-FB2)の曲げ特性におけるヒステリシス曲線から求められるヒステリシス(2HB)と剛性(B)からその曲げ戻り性として、2HB/Bの値から反発感を求めることが出来る。この値は曲げ変形から回復変形過程におけるエネルギーロスを残留歪み量でとらえるものであり、反発感という官能評価との対応がとれ、2HB/Bの値で定量化できるのである。つまりこの値は、曲げ変形から回復変形過程における残留歪みとしてとらえることができる。この残留歪みが小さいほど反発感が良いというのである。また、Bの値で数値が小さいほど柔らかいことを示している。
この2HB/Bの値と官能評価による反発感の関係を調べ、高い反発感が得られるとするのを1.5cm-1未満で◎、反発感はあるとするのを1.5cm-1以上2.0cm-1未満で○、そして反発感が不十分とするのを2.0cm-1以上で×として、3段階評価した。
また、Bの値と官能評価による柔らかさの関係を調べ、より柔らかいと感じるのを0.008gf・cm/cm未満で◎、比較的柔らかいと感じるのを0.008gf・cm/cm以上0.010gf・cm/cm未満で○、硬いと感じるのを0.010gf・cm/cm以上で×として、3段階評価した。これを10回繰り返して測定し、その単純平均値について、反発感(2HB/B)は、小数点第2位以下を、剛性(B)は小数点第4位以下を四捨五入して求めた。
なお、官能評価においては熟練した検査者(5人)にて行い、5人すべてで高い評価を得た場合は◎として、2~4人では○、1人以下では×とした。
実施例1
A成分として、共重合ポリエチレンテレフタレート(co-PET イソソフタル酸7.0mol%、2・2ビス{4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン4mol%共重合したポリエチレンテレフタレート、溶融粘度:110Pa・s)、B成分として、ポリエチレンテレフタレート(PET1 溶融粘度:70Pa・s)とし、A成分ポリマーとB成分ポリマーをいずれもエクストルーダーを用いてそれぞれ270℃、280℃で溶融後、ポンプによる計量を行い、それぞれのポリマーで最も融点の高い、B成分の融点よりも30℃高い290℃を紡糸温度として、温度を保持したまま口金に流入させた。A成分とB成分の重量複合比は50/50とし、吐出孔数72の偏心芯鞘複合繊維用紡糸口金に流入させた。各ポリマーは、口金内部で合流し、B成分ポリマー中にA成分ポリマーが包含された偏心芯鞘複合形態を形成し、口金から吐出した。なお、実施例1の紡糸においては、図1に示す偏心芯鞘複合繊維が得られるような分配板方式の口金を用いた。
口金から吐出された糸条は、空冷装置により冷却、油剤付与後、ワインダーにより紡糸ドラフトが220となるように1000m/分の速度で巻き取り、165dtex-72フィラメントの未延伸糸として安定的に巻き取った。このとき、冷却開始点は口金吐出面から97mmに設定し、さらに給油位置を口金吐出面から1130mmとすることで、紡糸応力は0.10cN/dtexとなり、長手糸斑の抑制と製糸性の安定を図った。
続いて、得られた未延伸糸を600m/分の速度で延伸装置に送糸し、延伸温度90℃、伸度20~40%程度となるように延伸倍率2.92倍で延伸した後、130℃で熱セットし、紡糸、延伸工程を通じて安定的に強度3.4cN/dtex、伸度34%、異形度1.0の56dtex-72フィラメントの延伸糸を得た。
得られた偏心芯鞘複合繊維を用いて行った評価結果を表1に示す。繊維断面におけるS/Dは0.02であり、最小厚み部分が繊維円周上の40%を占めていた。該偏心芯鞘複合繊維のストレッチ性能指標である伸縮伸長率が45%であり、繊維形態は細かな捲縮が発現している嵩高い形態であった。
さらに、得られた延伸糸にダブルツイスターで1300T/Mの撚糸を施し、その後、上記糸を経糸・緯糸に用いて、エアージェット織機で平織物に製織を行い、次に、得られた製織生地に対して、98℃拡布連続精練、130℃液流リラックス、180℃の中間セット、分散染料を用いた130℃での紺色染色を行い、さらに160℃仕上げセットを施し、加工密度(経糸:170本/2.54cm、緯糸:130本/2.54cm)の製品とした。
実施例1で得られた織物は、シボやスジの無い均一な布帛品位の高いものであり、布帛伸長率は経18%、緯24%、布帛伸長回復率は経94%、緯93%と優れたストレッチ性能を有した織物となった。
得られた織物の布帛表面粗さ(Ra)は26μmで表面粗さCV%は8%であり、細かで均一な捲縮形態となっていることから滑らかな触感が得られる布帛表面となっていた。
得られた織物の剛性および反発感について評価を行ったところ、反発感は1.4cm-1で、高い反発感が得られる◎で、剛性においては、0.007gf・cm2/cmとより柔らかく感じられる◎ものであり、適度な柔軟性を持ちながら、心地よい反発感のある織物となっており、表面触感においても、滑らかな快適ストレッチ織物となった。
結果を表1に示す。
Figure 2022109419000002
実施例2、3、比較例1
実施例2、3および比較例1については、表1に示す通りに口金の吐出孔数を変更し、単繊維繊度を変えた以外は実施例1同様に実施した。
実施例2および3について、実施例1同様にいずれの布帛も滑らかで反発感と柔らかさを兼ね備えた快適ストレッチ織物が得られた。
しかしながら、単繊維繊度が太い比較例1においては、外観で織物表面の凹凸感が分かるものであり、触感評価においても、実施例1と比較して滑らかさが低下し、更に、剛性が高くなることで、柔軟性も低下するものであった。結果を表1に示す。
実施例4
実施例1のA成分ポリマーを高分子量ポリエチレンテレフタレート(PET2:溶融粘度:160Pa・s)とした以外は、全て実施例1に従い実施した。
実施例4の織物は、実施例1と比較すると柔らかさにおいて多少劣るが、従来素材と比較して十分優れた特性を有した問題のないものであり、滑らかで反発感と柔らかさを兼ね備えた快適ストレッチ織物が得られた。
結果を表1に示す。
比較例2
表1のとおり実施例1のA成分のポリマーを高分子量ポリエチレンテレフタレート(PET2:溶融粘度:160Pa・s)とし、単繊維繊度を4.6dtexとした以外は、実施例1同様に実施した。
得られた織物は、比較例1同様に単繊維繊度が太くなったことにより、布帛表面の凹凸感が感じされるようになり、滑らかさにおいて劣っており、単繊維繊度が太くなったことにより剛性が高くなり、柔らかさにおいても劣っていた。結果を表1に示す。
比較例3
実施例1のA成分ポリマーをポリブチレンテレフタレート(PBT、溶融粘度160Pa・s)とした以外は実施例1同様に実施し布帛を得た。
織物の表面を評価したところ、表面粗さが45μmで、表面粗さCV%が35%となっており、明らかに実施例1で得られた布帛とは異なり、滑らかさにおいては劣っていた。また、布帛は柔らかい風合いであるが、実施例1と比較して反発感が低下し、値も2.5cm-1であった。結果を表1に示す。
実施例5、6
表1のとおり撚り数を変更した以外は実施例1と同様に実施した。
得られた布帛は、実施例1と比較すると表面粗さが多少異なっているが、実施例1同様に滑らかで反発感と柔らかさを兼ね備えた快適ストレッチ織物が得られた。結果を表1に示す。
比較例4
実施例1のA成分ポリマーをポリトリメチレンテレフタレート(3GT、溶融粘度130Pa・s)とし、断面形状を貼り合わせ型として、A成分がB成分で覆われていない断面形状とした。それ以外は実施例1同様に実施した。
比較例3同様に、A成分ポリマーをポリエチレンテレフタレート以外のポリトリメチレンテレフタレートとしたことにより弾性率が低くなり、剛性が低くなったことで、織物の柔軟性が向上する一方で、本発明の目的とした反発感が低下したものであった。結果を表1に示す。
比較例5
比較例5は、ポリエチレンテレフタレート(PET3、溶融粘度140Pa・s)単独である56dtex-72フィラメント仮撚り糸(東レ(株)製“テトロンW20L”)を用いて、実施例1と同様の方法で布帛を得た。
得られた織物の表面は、外観から明らかに実施例1の形態とは異なるものであり、表面粗さが52μm、表面粗さCV%が30%となった。比較例5の織物については、仮撚り加工糸により構成されているため、機械的に付与された捲縮により織物表面を形成することになって、実施例1の織物と比較して滑らかさが低下したものとなった。また、布帛伸長率が低く、高々8%であり、十分なストレッチ性能を有したものとはならなかった。結果を表1に示す。
a:複合繊維断面におけるA成分の重心点
b:複合繊維断面の重心点
S:B成分の最小厚み
D:繊維径
IFR:界面の曲率半径
1:計量プレート
2-1:A成分用計量孔
2-2:B成分用計量孔
3:分配プレート
4:吐出プレート
5:分配溝
6:分配孔
7:吐出導入孔
8:縮小孔
9:吐出孔
10:芯A成分用分配孔
11:鞘B成分用分配孔
この素材は、細かで均一な捲縮形態が発現することにより、締め付け感が適度なストレッチ性能と反発感があり心地よい滑らかな触感を備えた快適性衣料テキスタイルに適したストレッチ織物を提供できる。
この滑らかな良好な触感を活かし、アウターやミッドレイヤーなどのトップスからパンツなどに活用することが可能となり、良好なストレッチ性も相まって、快適衣料用テキスタイルとしてスポーツ衣料からカジュアル衣料まで幅広く展開が可能となる。

Claims (5)

  1. 異種のポリマーが複合化された捲縮繊維が少なくとも一部を構成しており、布帛表面粗さ(Ra)が40μm以下、表面粗さCV%が20以下であり、布帛伸長率が20%以上であることを特徴とする織物。
  2. 捲縮繊維がA成分とB成分の2種類のポリマーからなる偏心芯鞘繊維であり、その断面において、A成分を覆うB成分の最小厚みの1.05倍以下の部分の周囲長が繊維全体の周囲長の1/3以上であることを特徴とする請求項1に記載の織物。
  3. 捲縮繊維を構成するA成分とB成分のいずれもがポリエチレンテレフタレートを主体とする成分であり、捲縮繊維の弾性率が70cN/dtex以上であることを特徴とする請求項1もしくは2に記載の織物。
  4. 捲縮繊維の撚り数が500T/m以上であり、布帛伸縮回復率が80%以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の織物。
  5. 請求項1~4に記載の織物が少なくとも一部に使用された繊維製品。
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