JP2022107737A - 出没式筆記具 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ペン先没入操作が容易で操作性を損なうことなく、外装体を細身にでき、外観デザインの自由度が高い出没式筆記具を提供する。【解決手段】 外装体1は、ペン先突出係止部とペン先没入係止部に凸部を案内するための案内路を有し、筆記具本体は、前後動によって、凸部7aが前記ペン先突出係止部に係合して外装体先端の開口部よりペン先3が突出した突出状態と、凸部がペン先没入係止部に係合してペン先が外装体内に没入した没入状態との間で切替可能に構成され、凸部を外装体の周方向に案内する周方向案内傾斜壁と、凸部を外装体の径方向に案内する径方向案内傾斜壁とを、それぞれ、案内孔内を移動する凸部に接触可能に設け、径方向案内傾斜壁の側壁を、周方向傾斜壁によって案内される凸部の周方向への移動量を規制するための移動規制部とする。【選択図】 図1

Description

本発明は、外装体内に収容する、先端にペン先を備えた筆記具本体を、操作によって前後動させ、筆記具本体の側部に配置した凸部を、外装体に形成した案内路によってペン先突出係止部とペン先没入係止部に案内して、外装体先端の開口部よりペン先の突出状態と没入状態とをそれぞれ形成する出没式筆記具に関する。
従来、操作によって外装体の先端よりペン先を出没させてなる出没式筆記具として、カム機構を利用したものが知られている。例えば、外装体内にてコイルスプリング等の弾撥部材にて後方付勢された筆記具本体を、弾撥部材の弾撥力に抗してノック操作などで前進させ、外装体に形成した溝などの案内路に筆記具本体が有する凸部等を案内して、ペン先の突出状態、没入状態のそれぞれを形成できるようにしたような、所謂ハートカム機構と呼ばれている繰り出し機構を用いたものが、ノックなどの操作のみで、ペン先の出没係止を操作でき、操作性に優れたものとして知られている。
例えば、特開平11-321182号公報(特許文献1)に記載の出没式筆記具では、筆記具本体の側部に配置された凸部(係止部26a)が、外装体に設けられた案内路内を移動し、案内路内に設けられたペン先の突出状態を形成する係止凹部と、没入係止状態を形成する最後端位置へ、それぞれ係止することによって、ペン先の外装体からの出没を可能とする出没式筆記具が記載されている。
特開平11-321182号公報
しかし、特許文献1に記載の出没式筆記具では、係止解除の際に、凸部(係止部26a)が、係止受部(28b)を避けて通るため、その分周方向に案内路の幅が必要となって外装体の外径を大きくする必要があり、デザインが制限されるものであった。
本発明は、ペン先没入操作が容易で操作性を損なうことなく、外装体を細身にでき、外観デザインの自由度が高い出没式筆記具を提供することを目的とする。
本発明は、外装体と、前後動可能に前記外装体内に収容されるとともに、先端に設けられたペン先、および、側部に設けられた凸部を有する筆記具本体と、を備え、前記外装体は、ペン先突出係止部とペン先没入係止部に前記凸部を案内するための案内路を有し、前記筆記具本体は、前後動によって、前記凸部が前記ペン先突出係止部に係合して前記外装体先端の開口部より前記ペン先が突出した突出状態と、前記凸部が前記ペン先没入係止部に係合して前記ペン先が前記外装体内に没入した没入状態との間で切替可能に構成され、前記凸部を外装体の周方向に案内する周方向案内傾斜壁と、前記凸部を外装体の径方向に案内する径方向案内傾斜壁とを、それぞれ、前記案内孔内を移動する前記凸部に接触可能に設け、前記径方向案内傾斜壁の側壁を、前記周方向傾斜壁によって案内される前記凸部の前記周方向への移動量を規制するための移動規制部とした出没式筆記具を要旨とする。
本発明の出没式筆記具は、外装体に形成した案内路内に、凸部を、外装体の周方向に案内する傾斜壁と、凸部を、外装体の径方向に案内する傾斜壁とを形成し、径方向に案内する傾斜壁の側壁を、周方向に案内する傾斜壁の周方向の移動規制部とし、凸部を径方向に案内する傾斜壁が、凸部の周方向の移動規制部を兼ねているため、凸部の移動軌跡としての案内路を、係止部を避けた経路として形成する必要が無く、その分案内路の周方向の幅を狭くすることが出来るので、出没式筆記具の軸を細くすることができ、外観デザインの自由度が高い出没式筆記具を提供することができるものである。
また、案内路における、凸部がペン先没入係止部からペン先突出係止部に至る道のりの最前進位置を形成する壁部よりも、凸部がペン先突出係止部からペン先没入係止部に至る道のりの最前進位置を形成する壁部が後方に配置することによって、凸部を、ペン先没入係止部からペン先突出係止部に移動させる際よりも、ペン先突出係止部からペン先没入係止部に移動させる際の方が、短い操作ストロークにて係止解除可能なため、ペン先の没入操作を容易に行うことができ、ペン先を外装体内に収納し損ねるといった誤作動が起こりにくいものとなる。
本実施例の全体を示す縦断面図 外装体1の先端部の縦断面斜視図 外装体1の先端部の縦断面正面図 外装体1の後部拡大斜視図 外装体1の後部拡大正面図 筆記具本体2の斜視図 筆記具本体2の縦断面正面図 ペン先3の正面図 ペン先ホルダー15の縦断面正面図 筆記具本体2の先端部分の斜視図 筆記具本体2の後方部分の斜視図 操作部材8の正面図 操作部材8の縦断面正面図 操作部材8のインキ吸蔵体14を挿入する方向である前方から見た図 蓋体9の斜視図 蓋体9の側面図 蓋体9の内側を示す断面正面図 環状部材13の斜視図 環状弾性体12の縦断面斜視図 クリップ4の斜視図 クリップ4の下方から見た図 基部5の斜視図 基部5の側面図 基部5の縦断面図 基部5の下方から見た図 回転子7の斜視図 回転子7の上方から見た図 本筆記具の各部品を展開した斜視図 基部5を外装体1に嵌め込む様子を示す、基部5の前方係合突起5a及び後方係合突起5bの縦断面正面図 基部を外装体1に嵌め込む様子を示す、基部5の中心からカットした縦断面図 外装体1に基部5を配設し後方から見た正面図 蓋体9の回転と筆記具本体2の前進動作を説明する本筆記具の前方縦断面正面図 蓋体9の回転と筆記具本体2の前進動作を説明する本筆記具の外装体1及び環状弾性体10の前方縦断面正面図 図32の段階(1)前方拡大正面図 図32の段階(2)前方拡大正面図 図32の段階(3)前方拡大正面図 図32の段階(4)前方拡大正面図 図32の段階(5)前方拡大正面図 図32の段階(6)前方拡大正面図 本筆記具の案内路を示し、上方から見た正面図 図40の部分拡大正面図 回転子7の凸部7aが前進する様子を示す図 回転子7の凸部7aが第1の傾斜壁4dに案内される様子を示す図 回転子7の凸部7aが第2の傾斜壁1oに案内された後を示す図 回転子7の凸部7aがペン先突出係止部1pに係合した様子を示す図 回転子7の凸部7aがペン先突出係止部1pから前進し、第3の傾斜壁4eに案内されている様子を示す図 回転子7の凸部7aが第3の傾斜壁4eに案内された後を示す図 回転子7の凸部7aが図47の状態から後退し、第4の傾斜壁1qに案内されている様子を示す図
本発明の出没式筆記具は、先端に開口部を有する外装体内に、筆記具本体を前後動可能に収容し、筆記具本体が先端に有するペン先を外装体の先端開口部より出没可能にしたものである。
外装体は、1部品又は前軸と後軸などの2部品以上の部材を組み立てたものとすることができ、筆記具本体を交換式とすることもできる。外装体の先端開口部よりのペン先の出没を係止するために、外装体内にコイルスプリング等の弾撥部材を配して、筆記具本体を常時後方付勢するなどして、ペン先突出又は没入の係止状態を維持可能としている。また、筆記具本体の出没係止状態とする操作は、後端部にノック冠を配置したり側部に操作片を配置するなど、従来の出没式筆記具にて知られた構造を適宜採用できる。
筆記具本体は、先端にペン先を備え、側部に前述の出没係止のための凸部を有している。ペン先は、ボールペンチップ、繊維収束体、ウレタンなどの多孔質体、連通孔を有する合成樹脂など、内蔵するインキを挿通させるペンリフィルのタイプのものや、自己摩耗により筆跡を形成する鉛筆芯を繰り出すシャープペンシルなど、適宜使用可能である。また、筆記具本体を構成する部材は、合成樹脂の射出成型品としたり、金属材料の組成変形品としたり、それらを組み合わせたものなど適宜採用できる。
筆記具本体を、インキを収容したペンリフィルのタイプのものとする場合、内蔵するインキは、繊維収束体などに含浸させても、インキタンク内に自由状態で収容してもよいし、パイプ内に直接的に収容したインキの後端に、インキの減量に伴い移動するインキ界面に接触して追従する高粘度流体などのインキフォロワーを配置したものでも良い。収容されるインキは、水を主媒体とする水性インキでも、有機溶剤を主媒体とする油性インキでもよく、着色成分としては染料、顔料、染料と顔料との両方を使用することもできる。また、多糖類や樹脂成分を溶解させたり、微粒子を分散させるなどして、インキの粘度や剪断減粘性などのレオロジー特性を調整したインキとすることもできる。また、インキのほかに、液状の化粧料などを収容することもできる。
筆記具本体の側部に形成する、ペン先出没係止のための凸部は、筆記具本体の側部を構成する部品と一体に設けたり、凸部を有する別部材を組み立て配置するなどが適宜選択できる。
外装体には、筆記具本体の前後動操作に伴って、筆記具本体の有する凸部が移動する案内路が形成されており、この案内路内は、凸部が係止することによって、ペン先の外装体先端の開口部よりの突出状態を形成するペン先突出係止部と没入状態とを形成するペン先没入係止部を有している。いずれの係止も、前述したコイルスプリングによる付勢によって案内路の壁に押し付けられた状態で係止されるものとすることができるが、凹凸乗り越えなどによる着脱可能な嵌合係止構造であっても良い。
案内路は、例えば外装体の軸筒部分に設けた孔や溝、クリップなどの外側に突出配置された外装体一部に形成した孔や溝であって良い。いずれにしても筆記具本体側部の凸部が摺接して移動できるガイドとなれば良い。前述したコイルスプリング等の弾撥部材によって筆記具本体を後方付勢した場合には、案内路の後方に配置されるペン先没入系止部に弾撥部材に押し付けられる状態で係止され、弾撥部材に抗して筆記具本体を前進操作させた際に、筆記具本体の凸部が前側に配置されているペン先突出係止部に摺動案内され、弾撥部材の後方付勢力によってペン先の突出状態に係止される。
このペン先突出状態とペン先没入状態のそれぞれを係止した状態とするためには、各係止部には弾撥部材の付勢力や凹凸嵌合の嵌合力を受けて凸部を係止接触する部分としての壁部分が必要となり、少なくとも前側に位置するペン先突出係止部の当該壁部分を迂回する経路が必要となる。この迂回経路に案内するために、案内路内には、前記凸部を、外装体の周方向に案内する周方向案内傾斜壁と、前記凸部を、外装体の径方向に案内する径方向案内傾斜壁とを形成する。本願発明の出没式筆記具では特に、径方向案内傾斜壁の側壁を、凸部が係止接触する部分としての壁部分であり凸部の周方向の移動を規制するための移動規制部としている。これにより、凸部を径方向に案内する傾斜壁が、周方向に案内する傾斜壁によって、周方向に移動する凸部の周方向の移動規制部を兼ねているため、その分案内路の周方向の幅を狭くすることが出来るので、出没式筆記具の軸を細くすることが出来る。
また、案内路において、筆記具本体の凸部が、ペン先没入係止部からペン先突出係止部に至る道のりである往路と、ペン先突出係止部からペン先没入係止部に至る道のりである復路において、それぞれの最前進位置を形成する壁部を異ならせることによって、往路と復路での操作ストロークを異なるものとすることができるが、本発明においては、凸部の移動規制部が径方向案内傾斜壁の側壁を兼ねて、周方向の移動幅を狭く設定するので、往路と復路のそれぞれの最先端位置に凸部を案内する周方向案内傾斜壁を、外装体の径方向に積層されたように形成することによって、案内路の幅が極小となるようにできる。
本発明の実施例を説明する。本実施例において、筆記具のペン先方向を前方、その反対を後方、そして筆記具の長手方向の軸線から筆記具の外側壁に配設されたクリップに向かう方向を上方、その反対側の軸線に向かう方向を下方とし、筆記具の軸線とクリップを結ぶ線及び軸線との垂線方向を横方として説明する。
図1に示すように、外装体1の内部には、ペン先3を先端に備えた筆記具本体2を前後動可能に収容している。外装体1の先端には、ペン先3の突出口としての先端開口部1aが設けてあり、後端には、筆記具本体2を前後動させるための操作部材8の突出口としての後端開口部1bが設けてある。先端開口部1aの内面には、蓋体9と当接する環状弾性体10が嵌めこまれて固定されており、その蓋体9が閉じた状態では蓋体9と環状弾性体10とが周状当接し、外部との通気を遮断している。
外装体1の内部には、後端部を筆記具本体2の肩部2cに当接したコイルスプリング11が配置されており筆記具本体2を後方に付勢している。筆記具本体2の細径部2aには、環状弾性体12が嵌められており、コイルスプリング11の前端部を環状弾性体12に当接し、環状部材13を介して蓋体9を前方に付勢している。環状弾性体12が外装体1の内壁と気密状に摺接することで、ペン先3の存在する空間の後方密閉状態を形成し、蓋体9の外装体1の先端開口部1aの閉塞によってペン先3の存在する空間を外気と遮断し得る。筆記具本体2には、凸部7aを有するリングである回転子7が周上を回動可能且つ前後方向に移動規制された状態で配置されている。筆記具本体2の内部には、インキ吸蔵体14にインキが含浸して収納されている。
外装体1の後方側面には、基部5とコイルスプリング6を介してクリップ4が配置されている。
外装体1の先端部の縦断面斜視図である図2及び外装体1の先端部の縦断面正面図である図3に示すように、先端開口部1aの後方には、大径部の前方に小径部を有する環状弾性体10を嵌め込むことができる固定部1Gが形成され、その後方には外装体1の内側面から向かい合うように軸受部1cが後方に向かって延設されている。軸受部1cには、蓋体9の回転軸9cの移動を規制するため前方及び上下に壁を設けている。なお、前方の壁(受面1d)の上下に設けられた壁(開口ストッパー1h及び閉塞ストッパー1i)の間の距離は、回転軸9cが上下動するための距離が必要である。そのため、軸受部1cは上方に長い凹形状となっている。
また、受面1dには、外装体1の前方に向かって互いの側面の距離が小さくなるようなテーパと成した開凹部1eと閉凹部1fが形成されている。そして、開凹部1eと閉凹部1fとの間には、開凹部1eと閉凹部1fを結ぶテーパ面を延設し、受け面1dよりも後方に伸びた中央突部1gが形成されている。なお、その中央突部1gの頂部は蓋体9の回転軸9cに形成された凹カム部9gと当接するため、R曲面と成している。
開凹部1e、閉凹部1f、及び、中央突部1gが、軸受部1cに形成された歯に該当する部分(ラック部)である。
このラック部の両端には、蓋体9の開口時及び閉口時の動作の終点を規定する開口ストッパー9hと閉塞ストッパー9iがそれぞれ当接する、開口ストッパー当接壁1hと閉塞ストッパー当接壁1iが形成されている。閉塞ストッパー当接壁1iは、環状部材13の側壁部13bと対向するように、開口ストッパー当接壁1hよりも後方に長く形成されている。
開凹部1eは、蓋体9が開口状態にある時、蓋体9の回転軸9cに形成された開カム突起9fが開凹部1eの底部と当接し、また閉凹部1fは、蓋体9が閉塞状態にある時、蓋体9の閉カム突起9dの底部が当接し、蓋体9の前方への規制をしている。軸受部1cの後方は壁のない解放された部分となっているが、外装体1に蓋体9を配置する際に、蓋体9が後方より挿入配置を容易にするためである。なお、蓋体9の後方移動規制は、蓋体9の後方に配置する環状部材13の接触面13cにて行う。
外装体1の後部拡大斜視図である図4及び外装体1の後部拡大正面図である図5に示すように、外装体1の後方外周面には、回転子7の凸部7aを案内する案内路である窓孔1kが形成されている。窓孔1kは、筆記具本体2を外装体1の後端開口部1bから挿入するときに、後述する回転子7の外周側面に形成した凸部7aが入り易いように、外装体1の後端開口部1bから形成されている。窓孔1kは、後方が回転子7の凸部7aよりも若干幅広く成した幅狭部1m、前方は周方向片側に広い幅広部1nとなっている。窓孔1kの幅広部1nの前方には第2の傾斜壁1oが設けてある。第2の傾斜壁1oの幅狭部1mのある方と反対側の周方向後方には、ペン先3の先端開口部1aからの突出状態を形成するペン先突出係止部1pが形成されている。第2の傾斜壁1oは、幅狭部1mがある側から、ペン先突出係止部1pがある側にかけて前方に傾斜しているため、回転子7の凸部7aを、周方向に変移案内することができる。窓孔1kの幅広部1n後方には、第4の傾斜壁1qが形成されている。第4の傾斜壁1qは、ペン先突出係止部1pのある側から幅狭部1mのある側にかけて後方に傾斜しているため、回転子7の凸部7aを、周方向に変移案内することができる。
また、外装体1の窓孔1kの幅狭部1mの後方には、幅狭部1mの幅をさらに小さくした突部1rが対向するように形成されている。この突部1rは、段部1sと、後方の側面が前方に向かうに連れて窓孔の幅を狭くした傾斜面1tとから成る略台形形状となっており、外装体1の後端開口部1bから挿入される回転子7の凸部7aが通過し易く、さらに、コイルスプリング10によって後方に付勢された筆記具本体2の後方への移動を規制する役割をしている。また、この突部1rは、クリップ4を組み立てる際の仮抑えで、筆記具使用時はこの突部1rが破損しても、後述するクリップ4の基端部4aに設けた突部4gがすぐ後ろに挿入され、ペン先没入係止部1uとなり、筆記具本体2の後方への付勢を抑えることができる。
この窓孔1k内において、ペン先突出係止部1pと、ペン先没入係止部1uとを有する案内路1vが形成される。
突部1rよりも後方の外周面には、外装体1の後端開口部1bから前方に向かって基部5を取り付けるための基部取付部1wが形成されている。
このように外装体1は、前方に外部との通気を遮断した状態でペン先3を収納する密閉部と後方に、クリップ4を取り付けるための基部が取り付けられる基部取付部1w、及び基部取付部1wの前方に形成した案内路1vにより構成されている。本発明においては、外装体1は一部品で構成しているが、成形性や組立性に応じて複数の部品をネジ螺合や凹凸部による嵌合圧入で一体とした外装体1としても良い。
基部取付部1wは、窓孔1kにより断面が略C字状に成した外周面の両縁部を橋渡しするように形成した橋渡し部1Aと、その両側に形成し橋渡し部1Aの天面よりも一段下がった平面を持った係合部1Bとにより構成されている。このように形成することで、外装体1の後端開口部1bから形成した窓孔1kにより断面が略C状に成した外装体1後方の変形を抑えることができる。
また、基部取付部1wには、係合孔(前方係合孔1C、後方係合孔1D)が、係合部1B内に形成されている。
基部取付部1wの両側面には、基部5との接続部分を横から見えないようにする目隠し壁1Eが形成されている。
また、外装体1の外周面には基部取付部1wの前端部から窓孔1kに沿って、前方に向かった保護壁1Fが形成されている。没入状態において外装体1の外周面から突出した回転子7の凸部7aを保護する役割となっている。さらに保護壁1Fの前方端面は前方に向かって漸次高さが低くなるよう傾斜となっており、非使用時にクリップに紙などを挟んだ際に引っ掛かることなく案内することができる。
筆記具本体2は、気体透過が少なく、成形性の良いポリプロピレンを使用し、先端にペン先3を有し、内部にインキ吸蔵体14を備えている。
筆記具本体2の斜視図である図6と、筆記具本体2の縦断面正面図である図7に示すように、筆記具本体2は前後端に開口部を有した貫通穴を備えている。
筆記具本体2の外形は、細径部2aと太径部2bとその間の肩部2cとが形成されており、細径部2aは先端より突出したペン先3を主に収容し、太径部2bはインキ吸蔵体14を収容している。
ペン先3の正面図である図9に示すペン先3は、筆記部3aと筆記部3aよりも細径のインキ吸蔵体14と接続する接続部3bからなっている。ペン先3は筆記部3aが後述するペン先ホルダー15に圧入固定され、ペン先ホルダー15の先端から露出した部分で筆記できるようになっている。
ペン先3の接続部3bは、後方の一部から後端に向かい先細となるテーパ部3dが形成されており、そのテーパ部3dの一部又はストレート部に至るまでインキ吸蔵体14の先端に埋没状に接続され、インキが連通するようなしてある。接続部3bにテーパ部3dを設けることにより、インキ吸蔵体14に接続し易くなる。インキ吸蔵体14に接続部3bが挿入されていることによりインキ吸蔵体14を内側から押圧し、インキ吸蔵体14の押圧部分の繊維密度が徐々に高くなることで、インキ吸蔵体14中に含浸したインキが、毛管力により、繊維密度の高い方へ移動し易くなり、ペン先3へのインキ供給が確実なものとなる。
ペン先ホルダー15は、ペン先ホルダー15の縦断面正面図である図9に示すように、筒状体で前方にペン先3を圧入固定する圧入固定部15aが形成され、ペン先3の筆記部3aと接続部3bとの間に形成した段部15cと圧入固定部15aの段部15bが当接するまで挿入されている。ペン先ホルダー15は筆記具本体2の細径部2a内部に圧入固定されている。そのペン先ホルダー15は成形部品であり、材質としてポリプロピレンを使用している為、筆記具本体2内部にペン先ホルダー15を圧入固定しようとすると筆記具本体2の細径部2aが拡径する。その為、ペン先ホルダー15の外径と筆記具本体2の細径部2aの内側面に形成した保持リブ2dの内接径はゆるい圧入関係となっている。しかし、ペン先ホルダー15の筆記具本体2からの抜け強度を保つ為に、ペン先ホルダー15の中間部には、溝部15cが設けられており、その溝部15cに、筆記具本体2の保持リブ2dの後方に形成したC形状のペン先押さえ凸部2eが引っかかっている。これにより、ペン先ホルダー15の筆記具本体2からの脱落が防止されている。
筆記具本体2の大径部2bのインキ吸蔵体14を収容する内側壁にはリブ2fが形成され、インキ吸蔵体14が挿入される際の案内をしている。
また、太径部2bの外周面の前方には突起2lと反対の側面にブレ防止リブ2rが形成され、筆記具本体2が外装体1内で前後動する際の径方向へのブレを防止している。
さらに、筆記具本体2の太径部2bの後方内側面には、後述する操作部材8と螺合するための雌ネジ部2sと、その前方に内部空間を液密状態にするために凸部2tが周状に形成されている。
筆記具本体2の先端部分の斜視図である図10に示すように、筆記具本体2の前端面には、蓋体9の内側カム部9jと衝接して蓋体9に回転力を与える凹曲面2gが設けられている。筆記具本体2の凹曲面2gは第1、第2の二つ曲率半径を有する凹曲面となっており、筆記具本体2の後方から前方に向かって、第1曲面の曲率半径が第2曲面の曲率半径よりも大きい曲面で、かつ、二つの曲面の間は極力角とならない様になだらかにつながっている。蓋体9の内側カム部9jは凹曲面2g上を、第2曲面から第1曲面へと移動する。また、凹曲面2gの一部には、面取り部2hが形成されている。これは、蓋体9が回転し、内側カム部9jが筆記具本体2の凹曲面2gからの離脱をスムーズにするために設けている。これにより、内側カム部9j及び凹曲面2gの角部の摩耗を低減することができ、繰り返しの使用でも動作不良無く、長く使用することができる。
筆記具本体2の細径部2aの内側面とペン先ホルダー15の外側面の間には、筆記具本体2の内部と外部を気体通行可能に筆記具本体2に空気溝2kが設けられている。
筆記具本体2の後方部分の斜視図である図11に示すように、筆記具本体2の太径部2bの後方外周面には、突起2lが上方に向かって形成され、外装体1の側部に設けられた窓孔1kを通じて外装体1の外に突出している。この突起2lは、後方に付勢された筆記具本体2がペン先3没入状態を維持するためにペン先没入係止部1uと係止している。
突起2lの前方には、後述する断面形状がC字状の回転子7を回動自在に配置するための凹部2mが形成されている。凹部2mは、断面が回転子7の断面形状に合わせ、C字状に形成されていて、回転子7が回転する範囲で干渉しないようになっている。
また、凹部2mは、前方が周方向に足の短いC字状部2nと、後方が周方向に足の長いC字状部2oとなっている。
操作部材8の正面図である図12に示すように、操作部材8の後方には外装体1の後端開口部1bから露出し、筆記具本体2を押圧するためのノック部8aと前方に挿入部8bが形成され、その挿入部8bは筆記具本体2の太径部2bの内向に挿入状態で液密に螺合し、操作部材8の内部空間にまでインキ吸蔵体14が介在するようになしてある。操作部材8の挿入部8bの外周面に形成した雄ネジ部8cと筆記具本体2の雌ネジ部2sとの螺合は1条ネジにて構成されているが、多条ネジとしても良い。また、筆記具本体2と操作部材8が液密に着脱が可能であれば乗り越えリブとして嵌合させる構成とすることもできる。さらに、操作部材8と筆記具本体2を挿入状態で液密にするために、操作部材8の雄ネジ部8cの前方に筆記具本体2の凸部2tと嵌合する凹形状の当接部8dを設けているが、前記当接部8dは凸形状や平面とすることも可能である。当接部8dを凹形状とすることで、筆記具本体2に形成した雌ネジ部2sに接触して当接部8dの表面に傷などを付けることなく操作部材8を挿入することができる。
操作部材8の縦断面正面図である図13及び操作部材8のインキ吸蔵体14を挿入する方向である前方から見た図である図14に示すように、操作部材8の内壁の底部と内側壁には、複数のリブ8eが形成され、特に内側壁のリブ8eは長手方向に延在しており、操作部材8の内部とインキ吸蔵体14との間に筆記具本体2の内部空間と連通する通気路を形成していると共に、リブ8eによってインキ吸蔵体14が挟持される形となっており、操作部材8を筆記具本体2から取り外す時にインキ吸蔵体14が筆記具本体2とともに取り外されるようなしてある。一方、筆記具本体2の複数のリブ2fは、インキ吸蔵体14を挿入する際の案内の役割でリブ2fの内接円径はインキ吸蔵体14の外径よりも大きく設定しており、収容時には筆記具本体2の複数のリブ2fには保持されない。インキ吸蔵体14は前端部から接続されたペン先3の接続部3bと操作部材8の複数のリブ8eにより保持されているのである。このようにすることによって、インキ吸蔵体14中に含浸するインキが消費されて少なくなったりインキがなくなったりした際に、操作部材8と共にインキ吸蔵体14を抜き出し、再度インキを含浸させたり、インキ吸蔵体14ごと交換するなどとすることができるものである。操作部材8の内側壁の複数のリブ8eは、横断面が板状で内接円径及びインキ吸蔵体14と接触する頂部面幅が一定となっている。その複数のリブ8eの前方端部は、前方に向かうに連れ操作部材8の内側面に潜り込むようなテーパ部8fが形成されている。テーパ部8fは、インキ吸蔵体14を操作部材8に挿入する際の案内となっており、インキ吸蔵体14を引っ掛かり無く操作部材8内に収容することができる。
複数のリブ8eの後方には、内接円径を小さくした受けリブ8gが操作部材8の内壁の底部から延設している。インキ吸蔵体14の端部が受けリブ8gと接触することで、インキ吸蔵体14の挿入完了としている。受けリブ8gを設けることにより、インキ吸蔵体14の端部と操作部材8の内壁の底部との間に空間ができ、複数のリブ8eによる通気路としているのである。さらには、衝撃などによりインキ吸蔵体からインキが漏れた時には、インキを保持する役割も担っている。
操作部材8の天面には中心部に凹部8hが形成され、さらに凹部8hよりも径が大きく深さが浅い段部8iが形成されている。
凹部8hは、射出成形する際のゲート部となり、離型時に発生するゲート残りが操作部材8の端面よりも突出しないように深い溝となっている。また段部8iはシールを貼るための段部で、尾栓5の端面よりも突出しないようになっている。さらにシールを貼ることでゲート跡を隠すことができ外観を向上することもできる。
またインキ吸蔵体14は、ポリエチレンなどの合成樹脂性フィルムで側壁を覆っており交換時にさわっても手を汚さないようになっている。
蓋体9の斜視図である図15に示すように、蓋体9は外装体1の先端開口部1aを塞ぎ得る球状の蓋部9aと、円柱状の回転軸9cを外側に突状態で備える側壁部9bとを有している。なお、回転軸9cの頂部は、蓋体9が外装体1の内部で回転及び移動した際に外装体1と干渉しないように傾斜のある曲面で形成されている。蓋体9には切り欠き部9lが設けてあることによって、蓋体9の向きを視認することができ、組み立て性が向上している。
蓋体9の回転軸9cには、側壁部9bを図16の方向(側面)から見た際に、蓋部9aの方向に向かって突設した閉カム突起9dと、その閉カム突起9dと90度の方向で外側カム部9eと逆方向に突設した開カム突起9fが形成されている。閉カム突起9d及び開カム突起9fはそれぞれ回転軸9cから遠ざかるに連れて幅が小さくなるように傾斜が形成されている。また、回転軸9cの閉カム突起9dと開カム突起9fとの間には、回転軸9cの中心に向かって凹カム部9gが形成されている。その凹カム部9gは両側面が回転軸9cの中心に向かってその幅を狭くする方向にテーパとなっており、外装体1の軸受部1cの中央突部1gの頂部と接するため、略楕円状の曲面で連接されている。
閉カム突起9d、開カム突起9f、及び、凹カム部9gが、前述した回転軸9cに部分的に形成された歯車に該当する部分(歯車部)である。
回転軸9cにこのような閉カム突起9d、開カム突起9f及び凹カム部9gからなる歯車部を形成することにより、回転軸9cが転がるように回転及び上下動する動作を近似的に実現させることができる。
回転軸9cの歯車部の両端には、角部を形成し、蓋体9の開口時及び閉塞時の動作の終点を規定する開口ストッパー9h、閉塞ストッパー9iが形成されている。
開口ストッパー9hは蓋体9の開口動作における終点を規制するもので、外装体1の軸受部1cに形成した平面の開口ストッパー当接壁1hと当接することで蓋体9の開口動作の終点を規定する。一方閉塞ストッパー9iは蓋体9の閉塞動作における終点を規制するもので、外装体1の軸受部1cに形成した平面の閉塞ストッパー当接壁1iと当接し、蓋体9の閉塞動作を規定する。
また、蓋体9の側壁部9bの間部分は空間部分となっており、蓋体9が回転及び移動して外装体1の先端開口部1aを開放した際には、ペン先3及び筆記具本体2が通過できる通路を形成するものである。
また、外側カム部9eにはカム面9kがあり、カム面9kにて、コイルスプリング11による前方付勢力を、環状部材13を介して受け、蓋体9は回転方向に力を受けている。
蓋体9の内側を示す断面正面図である図17のように、側壁部9bの内側には内方突起である内側カム部9j形成されている。内側カム部9jは筆記具本体2の前進によって筆記具本体2と衝接する部分である。
本実施例では、側壁部9b上で、内側カム部9jと蓋部9aとを最も離れた位置に設けている。内側カム部9jと蓋部9aとを極力離れた位置に形成することによって、蓋部9aと、筆記具本体2と蓋体9の内側カム部9jとの接触点とまでの間に広い空間を設けることができ、蓋体9の閉塞状態において、ペン先3の最先端位置から、筆記具本体2と蓋体9の内側カム部9jとの接触点までの長手方向の距離を稼ぐことができ、筆記具本体2の先端に長いペン先3を設けることができる。また、内側カム部9jから回転軸9cまでの距離を長くとることができ、より小さいノック荷重で蓋体9を回転させることが可能となる。
内側カム部9jは筆記具本体2より荷重を受け、蓋体9を回転及び移動させる部位であるため、内側カム部9jが小さすぎると動作中に破損のおそれがあり、熱可塑性樹脂にて蓋体9を作る場合、内側カム部9jの断面積は0.2mm2以上が好ましい。しかし、内側カム部9jを大きくすると、内側カム部9jと筆記具本体2との接触点が蓋体9の回転及び移動の中で、蓋体9の回転軸9c側へと移動することとなり、接点の回転中心との距離が短く変化するので、この接触点が移動する距離を極力小さくすることがノック荷重を軽くする点において好ましい。よって、内側カム部9jの直径は0.4mm以上5.0mm以下とし、接触点の移動距離が3mm以下となるようにすることが好ましい。
蓋体9は、自己潤滑性があり、摩擦摩耗性が優れているポリアセタールを使用している。
なお、本発明においては、蓋体9の開口動作が回転しながら外装体1の軸線から上方に移動させているため、蓋体9が密接している外装体1の先端開口部1aの内縁から離れるように回転する。そのため、蓋体9と先端開口部1aの内縁との摺動抵抗が小さくなり、蓋体9と先端開口部1aの内縁の磨耗が抑えられ、密閉性が維持できる。よって、蓋体9には耐摩耗性が多少劣る材質であっても適宜選択することができる。その一例としては、気体透過の少ない材料であるポリプロピレンやポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートを積極的に使用することが出来る。
そして、蓋体9は形状的に、略コの字型をしているため、部品の射出成形時に蓋体9の側壁部9bが内側に撓みやすい。この撓みを防止するために、金型の樹脂流入口であるゲートを蓋部9aの外側中央部分に配置している。また、蓋体9と先端開口部1aとの接触をより早く実現させるため、蓋部9aの表面は平面に形成されている。さらに蓋部9aの表面より突設した頭部9mが形成され、この頭部9mの頂部にゲートが配置されている。ゲート残りによる蓋体9と先端開口部1aとが擦れることによる影響を無くすため、ゲート残りとなる部分の周囲に凹部9nを形成している。更に、ゲートの径として比較的大きく、成形において、熱可塑性樹脂を流動後の保圧を十分に取ることが出来るようにした方が成形後の撓みが少なくなるため、ゲート径を0.5mm以上0.8mm以下とした方が良い。
環状部材13の斜視図である図18に示すように、環状部材13は環状弾性体12と接続する接続部13aと、蓋体9に前方付勢力を付与する側壁部13bを有している。側壁部13bの前端には接触面13cが設けられている。接触面13c上には突起13dを有している。側壁部13bは後方のコイルスプリング11の弾発力を、接触面13cを介して蓋体9の外側カム部9eに伝え、蓋体9に外装体1の先端開口部1aを閉塞する方向へと回転力を与えている。
また、接続部13aには筆記具本体2の細径部2aが通行可能な中孔部13eを形成している。
側壁部13bの外側面は平面が形成され、前後方向に段部13fを形成している。この段部13fは、外装体1内に配置した時、後述する外装体1の軸受部1cの端部に形成した閉塞ストッパー当接壁1iと対向するようになっており、環状部材13が外装体1内で外装体1の軸線を中心に回転することを防止している。
なお、環状部材13は蓋体9と摺接し、蓋体9を回転及び上下動させる部材であるため、自己潤滑性があり、摩擦摩耗性が優れているポリアセタールを使用している。
環状弾性体12の縦断面斜視図である図19に示すように、環状弾性体12は、外側に、蓋体9が外装体1の先端開口部1aを閉塞した状態で、外装体1の内面と気密に接触する外側密閉リブ12aと環状弾性体12が外装体1内を摺動する際に傾きすぎることを防止した外側傾き防止リブ12bとを有しており、また、環状弾性体12の内側に、筆記具本体2と気密に摺接する内側密閉リブ12cを有している。内側密閉リブ12cは二条リブとなっているが、このリブの間に後述の難揮発性液状物が滞留することで、筆記具本体2との密閉を確実になすと共に、摺動抵抗を低く抑えている。また、外側密閉リブ12aと内側密閉リブ12cの形成位置を軸方向前後にずらすことによって、外装体1との接触による外側密閉リブ12aの内側への撓みと、筆記具本体2との接触による内側密閉リブ12cの外側への撓みが径方向でぶつかり合うことが無いため、筆記具本体2の移動時及び環状弾性体12が後方へ移動する際の摺動抵抗を小さくしている。
環状弾性体12の前端部には、環状部材13の接続部13aと接続するための段部12dが形成されている。また、環状弾性体12の後方に、コイルスプリング11を受ける受け溝12eが形成され、この受け溝12eの底面にコイルスプリング11の前端部が当接している。このように受け溝12eを形成することで、コイルスプリング11と環状部材13との距離が近くなり、コイルスプリング11の付勢力による環状弾性体12の変形を極力小さくすることができ、環状部材13に付勢力を伝わり易くしている。
環状弾性体12と外装体1及び筆記具本体2にて、ペン先密閉空間の後方密閉を行っているが、環状弾性体12の内側密閉リブ12cは筆記具本体2と摺動しつつ密閉を行い、外側密閉リブ12aは外装体1と摺動しつつ密閉を行う。つまり、密閉を行う為に、内側密閉リブ12cの内径(図19のA部)は筆記具本体2の外径(図10のB部)よりも小さく、外側密閉リブ12aの外径(図19のC部)は外装体1の内径(図3のD部)よりも大きく設定されるが、この各部材間の直径差、つまりB-A及びC-D、が大きいと密閉は強固になるが、筆記具本体2の前後動時に負荷となる摩擦の大きさは大きくなる為、摺動は悪くなる。よって、良好なノック感を得る為に、ノック荷重が1kgf以下となり、かつ十分な密閉が得られる範囲として、各部材間の直径差が0.1mm以上0.4mm以下が好ましく、本実施例では、内側密閉リブ12cと筆記具本体2の直径差を0.3mmとし、外側密閉リブ12aと外装体1の直径差を0.2mmとしている。
キャップ内空間を気密に保つ環状弾性体10と環状弾性体12の材質としては、ブチルゴム以外、イソブチレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、二トリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、アクリルゴム、シリコンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、エピクロロヒドリンゴム、多硫化ゴムや、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマーのゴムやエラストマー等及びこれらの混合物などが選択でき、インキに対する耐薬品性、密閉性に影響する耐ガス透過性に優れている物であれば良いが、ブチルゴムであると耐薬品性、耐ガス透過性ともに優れているので良好な密閉を行うことができる。また、特に、ハロゲン化ブチルゴムは圧縮永久歪みが小さいので、摺動の際の弾性変形を、静止時には元の形状に戻りやすく、良好な密閉と摺動を行うことができるものである。
また、環状弾性体12を蓋体9に近い位置に配置することによって、ペン先3の収容空間を小さいものとし、収容空間内でのペン先乾燥を極力抑制するものである。特に、細いペン先3の場合には、ペン先3の収容空間の大きさが収容空間内でのペン先乾燥に大きく影響するので、より効果的にペン先乾燥を抑制するものである。
各部材の摺接する部分には、難揮発性液状物を塗布することにより、摺接時の摩擦を抑えることが可能である。難揮発性液状物としては、凝固点が-22℃以下、沸点が145℃以上、粘度が10mPa・s以上500,000mPa・s(20℃)以下のものであれば良く、合成潤滑油、鉱物油、グリセリン、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸等の不飽和脂肪酸や各種飽和脂肪酸より構成される大豆油、菜種油、コーン油、紅花油、米油、綿実油、胡麻油、ピーナッツ油、オリーブ油、パーム油等の植物油などが挙げられ、合成潤滑油としては、Α-オレフィン(ポリ-Α-オレフィン)、ポリブテン(ポリイソブチレン)、アルキルベンゼンなどの炭化水素系合成潤滑油、ジエステル(二塩基酸エステル)、ポリオールエステル(ヒンダードエステル)などの脂肪酸エステル系合成潤滑油、シリコーンオイル、ケイ酸エステル、シランなどのシリコーン系合成潤滑油、クロロフルオロカーボン、パーフルオロポリエーテル、フルオロエステルなどのフッ素系合成潤滑油、フェニルエーテル、リン酸エステルなどが挙げられる。これらは、単独もしくは複数を混合して使用することもできる。また、これらをゲル化したものであってもよい。
特に、摺接部を構成する部材に合成樹脂やゴム、エラストマー等が使用されている場合には、インキ等の溶剤に対して化学的に安定で、離型性、非粘着性の性質を持ち、表面張力が低く物質表面で広がりやすい性質を持つポリジメチルシロキサン、ポリメチルハイドロジェンシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、環状ジメチルシロキサンなどのストレートシリコーンオイルや、側鎖及び又は両末端を有機基により変性させた、アミノ変性、エポキシ変性、カルビノール変性、メルカプト変性、カルボキシル変性、メタクリル変性、ポリエーテル変性、フェノール変性、シラノール変性、アラルキル変性、フロロアルキル変性、長鎖アルキル変性高級脂肪酸エステル変性、高級脂肪酸含有などの変性シリコーンオイルが好適に使用される。また、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルハイドロジェンシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、環状ジメチルシロキサンなどのストレートシリコーンオイルは、温度による粘度変化が少ないので、環境変化等に影響され難いものである。
なお、該部以外でも、液密性を付与したり、摺動抵抗を低減したい部材にこれらの難揮発性液状物を配置することができる。
本実施例においては各部材の摺接する部分には、難揮発性液状物として凝固点が-50℃以下、沸点が200℃、粘度が10,000mPa・s(20℃)であるポリジメチルシロキサンを塗布して介在させており、気密性と摺動の低摩擦係数とを実現している。
クリップ4の斜視図である図20及びクリップ4の下方から見た図21に示すクリップ4は、外装体1の窓孔1kを覆うように配設される。クリップ4の基端部4aには、外装体側へ延びるコイルスプリング保持突起4cが形成されており、コイルスプリング6に挿入される。コイルスプリング保持突起4cには、両側面に突起4iと、根元にコイルスプリング圧入部4jが形成されている。コイルスプリング圧入部4jは、コイルスプリング6の内径よりもやや大きい外径を有しており、コイルスプリング6にコイルスプリング保持突起4cが挿入されると、圧入の関係となってコイルスプリング6を保持することができる。また、突起4iがあることによって、圧入後のコイルスプリング6が横ブレするのを防ぐことができるものである。さらに、コイルスプリング保持突起4cには、外装体1の長手方向にスリット4hが設けてある。
基端部4aには貫通孔4gが設けてあり、基部5の突起5eが挿入されることで、クリップ4が基部5に取付られ、コイルスプリング6による上方付勢力を受けたクリップ4が、突起5eが挿入された貫通孔4gを回転軸として反基端部4bが外装体1側へ付勢される。ここで、スリット4hがあることによって、クリップ4が基部5に取り付けられる際、貫通孔4gに突起5eを挿入するために、クリップ4の基端部4aが一時的に横方向に広がりやすくなり、クリップ4の基部5への取り付けを容易なものとしている。
クリップ4の反基端部4bには、回転子7の凸部7aを外装体1の径方向に案内する第1の傾斜壁4dが突出している。第1の傾斜壁4dの前方には、第2の傾斜壁1oが位置する。またペン先突出係止部1pの前方の位置であって、第2の傾斜壁1oの後方かつ第1の傾斜壁4dの前方の位置には、ペン先突出係止部1pのある側から、前方に向って傾斜した第3の傾斜壁4eが突出している。第3の傾斜壁4eは、回転子7の凸部7aの前側面が衝接することによって、凸部7aを、第2の傾斜壁1oによる周方向への案内と、逆方向の周方向へと案内するので、外装体1に形成した案内路1vの周方向の幅を狭くすることができ、外装体1を細身とすることができるものである。さらに、第3の傾斜壁4eが第2の傾斜壁1oの後方に設けてあるので、回転子7の凸部7aを、ペン先没入係止部1uからペン先突出係止部1pへ案内する際より、凸部7aを前方へ案内することなく、ペン先突出係止部1pからペン先没入係止部1uへ案内することができるため、ペン先3の没入操作が容易となるものである。
第3の傾斜壁4eの途中には、規制壁4fが設けてある。規制壁4fによって、凸部7aが第3の傾斜壁4eによって周方向に案内され、筆記具本体2の前進操作を解除した後、コイルスプリング11の後方付勢力によって筆記具本体2が後方に移動する際に、凸部7aがペン先突出係止部1p側へ移動せず、確実に第4の傾斜壁1qへと案内される。
さらに、規制壁4fは凸部7aの頂部と接触し、僅かにクリップを持ち上げるように高さを設定している。凸部7aが規制壁4fを通過する際、僅かに持ち上げたクリップが元に戻る衝撃で衝撃音を発し、ノック解除の合図としている。
基部5の斜視図である図22と、基部5の側面図である図23、基部5の縦断面図24及び基部5の下方から見た図25に示すように、基部5には、基部取付部1wの前方係合孔1Cと後方係合孔1Dに係合するよう、基部5の両側面に沿って下方向に突設した前後の係合突起(前方係合突起5a、後方係合突起5b)が形成されている。後方係合突起5bには、周方向に向いた爪部5dが形成され、前方係合突起5aには、前方に向かって爪部5cが形成されている。
基部5の下方面の中央前方には、外装体1の窓孔1kの幅狭部1mに入り込むよう下方向に突設した突部5fを形成しており、外装体1の窓孔1kの幅狭部1mの両側縁部と囲むようにして、ペン先没入係止部1uとしての役割となっている。
更に、基部5の下方面中に当接面5gを形成し、外装体1の基部取付部1wの橋渡し部1Aが当接することで、基部5と外装体1の取り付け完了としている。突部5f及び後方係合突起5bの後方には傾斜段部5h、傾斜段部5iがそれぞれ形成されている。この傾斜段部5h、傾斜段部5iがあることで、基部5を外装体1に取り付ける際に、前方係合突起5aの爪部5cが引っ掛かりなく前方係合孔1C内に挿入することができ、セットし易くしている。
回転子7の斜視図である図26及び回転子7の上方から見た図である図27に示すように、回転子7は、筆記具本体2の凹部2mの断面と同じようにC字状部7bを有し、その両端部から幅の狭い延長部7cが形成されている。これは、回転子7を筆記具本体2の凹部2mに前後逆方向に組み付けた時、回転子7の幅の短い延長部7cが筆記具本体2の凹部2mの足の短いC字状部2n及び足の長いC字状部2oと干渉することで、誤った組み付けを防止する役割をしている。
回転子7の外側面には、外装体1の窓孔1kに挿入され各傾斜壁に案内されるための凸部7aが、外装体1の側部に設けられた窓孔1kを通じて外装体1の外に突出している。
凸部7aの横断面は前後に延びた長方形で前方両角部に45°のテーパ面を設け、後方に後方傾斜面7dを設けているが、この形状の限りではなく設けなくともよい。外装体1の窓孔1k内に形成した案内路を通過することができ、さらにペン先突出係止部1pに係止され、ペン先突出状態を保つことができればよい。
次に、本筆記具の各部品を展開した斜視図である図28に示し、外装体1に各部品を組み立てる方法を説明する。
まず、外装体1に環状弾性体10を外装体1の後端開口部1bから挿入し、外装体1の先端開口部1aの後方に成形した固定部1Gに圧入固定する。続いて蓋体9、環状部材13、環状弾性体12及びコイルスプリング11を順に外装体1の後端開口部1bから挿入する。
次に、ペン先3、ペン先ホルダー15及びインキを充填したインキ吸蔵体14、操作部材8を筆記具本体2に組み付け、筆記具本体2の後方外側部に形成した凹部2mに回転子7をセットした筆記具本体2を外装体1の後端開口部1bから挿入し、筆記具本体2の突起2lが外装体1の突部1rを乗り越え、仮係合させることでコイルスプリング11により後方に付勢された筆記具本体2を外装体1内に収容することができる。
この状態において、ペン先3が存在する空間を外気と遮断する密閉空間ができる。
最後にクリップ4をコイルスプリング6及び基部5を介して外装体1の基部取付部1wに上方から押圧し嵌め込む。この時の様子を、基部5の前方係合突起5a及び後方係合突起5bの縦断面正面図を示した図29と、基部5の中心からカットした縦断面図を示した図30により説明する。図29及び図30の(1)は基部5を外装体1に組み付ける前の図で(2)は組み付ける途中、(3)は組み付け完了した状態を示し、図29、図30とではそれぞれ同じ瞬間を示している。
図29及び図30の(1)の状態から基部5を下方へ移動させると、基部5の突部5fが外装体1の橋渡し部1Aの前端面に当接し、続いて前方係合突起5a及び後方係合突起5bが外装体1の前方係合孔1C及び後方係合孔1Dにそれぞれ入り込んでいく。突部5f及び後方係合突起5bには傾斜段部5h、傾斜段部5iが形成されているため、前方係合突起5aに形成した爪部5cは前方係合孔1Cに引っ掛かることなく挿入することができる。
図29及び図30の(2)まで押し込むと、傾斜段部5h、傾斜段部5iにより、基部5が前方に移動しつつ入り込む。このとき前方係合突起5aは爪部5cにより後方に押され、変形しながら入り込むが、図29及び図30の(3)の状態まで一気に押し込むため、前方係合突起5aの変形を最小限にすることができる。
また、外装体1に基部5を配設し後方から見た正面図で図31に示すように、外装体1に配設された基部5は、当接面5gとクリップ取付部1wの橋渡し部1Aが当接し、前方係合突起5a及び後方係合突起5bと、1C及び1Dの係合により外装体1に対して固定される状態において、基部5とクリップ取付部1wの係合部1Bとの間に若干の隙間Fを設けている。このように隙間Fを設けることで基部5を外装体1に取り付ける際、基部5の両側面の下方向への撓み代とすることができ、基部5をより確実にクリップ取付部1wに取り付けることができる。
図32及び図33に、筆記具本体2が前進するに伴い蓋体9が回転及び上方へ移動し、外装体1の先端開口部1aを開口して、ペン先3及び筆記具本体2が先端開口部1aより突出する様子を示す。なお、説明の都合上、図32は縦断面正面図とし、ペン先3を未表示とし、図33は外装体1及び環状弾性体9を縦断面正面図として示している。なお、図32と図33の各段階(1)~(6)は同じ瞬間を示している。
また、図34~図39はそれぞれ、図32の段階(1)~(6)の前方拡大正面図であり、蓋体9の回転軸9cの回転及び上方方向への移動の様子を詳細に示している。
また、蓋体9の背面に隠れて本来は見えない外装体1の軸受部1cは、説明の都合上、破線で記載している。
筆記具本体2の前進によって筆記具本体2の凹曲面2gと蓋体9の内側カム部9jが衝接し、蓋体9を軸受部1cの上方に長い凹形状に沿って上方に移動させようとする。このとき、回転軸9cの閉カム突起9dが軸受部1cの閉凹部1f内に収まっている(段階(1)及び図34)。そのため、回転軸9cが上方向に力を受けると、閉カム突起9dが閉凹部1fと中央突部1gを延設した傾斜面1jを押圧する。しかし、閉カム突起9dは閉凹部1f又は中央突部1gにより上方へ移動することができず、閉カム突起9dと傾斜面1jの接触部を中心に回転することとなる。これにより、閉カム突起8dは曲面のため閉中央突部1g傾斜面1jを登るように傾斜面1jとの接触部が移動する(段階(2)及び図35)。
筆記具本体2が段階(3)及び図36の状態まで前進すると、回転軸9cの閉カム突起9dと傾斜面1jとの接触が解かれる。そして、軸受部1cに形成された中央突部1gのR曲面状の頂部が回転軸9cの凹カム部9gに接触することで蓋体8が上方へ移動しながら回転する。
さらに、筆記具本体2が段階(4)及び図37の状態まで前進すると、回転軸9cの開カム突起9fが軸受部1cの開凹部1eに入り込むように回転軸9cが回転及び上方へ移動する。
段階(5)及び図38の状態では、回転軸9cの開カム突起9fが軸受部1cの開凹部1eに入り込む直前の状態となり、蓋体9の外側カム部9eが環状部材13の接触面13cにより押圧され、接触面13c上を滑り、環状部材13を押し上げるように突起13dと接触する。
蓋体9の内側カム部9jと筆記具本体2の凹曲面2gが接触しない位置で筆記具本体2のさらなる前進によって、外装体1の先端開口部1aからペン先3及び筆記具本体2の先端を突出させる(段階(6)及び図39)。
蓋体9の外側カム部9eが、環状部材13を押し上げるように13dと接触することにより、筆記具本体2が後退する過程で、蓋体9を閉塞する方向へ回転させることができる。
本実施例では、回転軸9cに形成した突起及び、外装体の軸受部に形成した凹部をそれぞれ2つとして構成しているが、突起及び凹部は2つ以上形成することもできる。突起及び凹部の数を増やすことで、突起及び凹部の接触が次々に変わり、回転と直線の運動動作をよりスムーズに行うことができる。これはいわゆる歯車でいう「ラック&ピニオン」といわれるものである。
本実施例では、蓋体8の回転軸8cに2つのカムを設け、閉塞及び開口状態において、それぞれのカムが外装体1の軸受部1cの凹部に収まる構成であるため、開口及び閉塞動作の開始時、蓋体8に掛る直線の力をより確実に回転及び上下動する力に変えることができ、蓋体8の回転及び移動動作を確実に行うことができる。
このように回転軸が軸受部に対して転がるように動作させることで、回転軸と軸受部の摩擦抵抗が無くなり、かつ、蓋体8の回転及び移動を容易にすることができる。さらには蓋体8の繰り返しの開閉による回転軸の軸受部に対する摩耗が無いため回転軸の破損が防止でき、耐久性を向上させることができる。また、回転軸が磨耗することで径が細くなり、軸受部に対してがたつきが発生することによる誤動作を防止することができ耐久性を向上することができる。
次に、本筆記具2の後方操作部にクリップ4の反基端部のみを上方から見た正面図である図40に示すように、外装体1の窓孔1k部分を拡大した図41~図48に基づき、回転子13の凸部13aが、ペン先3の没入状態を形成する没入位置から、ペン先3が外装体1の前端開口部1aから突出した状態を形成する突出位置、さらにペン先3が突出した状態から没入状態までの一連の案内路を移動する動作について説明する。
筆記具本体2の後端部に接続され外装体1の後端開口部1bから突出した操作部材8を押圧すると、筆記具本体2が後方への付勢力に対抗して前進する。窓孔1k内の退没位置にある回転子7の凸部7aは、筆記具本体2の前進により回転子7が前進することで、窓孔1k内を前進する(図41)。凸部7aは、前方に位置したクリップ反基端部4bの裏面から突出した第1の傾斜壁4dに接触し(図42)、クリップ4の反基端部を径方向外方に押し上げながら前進する。
凸部7aは、第3の傾斜壁4eの天面に沿って第3の傾斜壁4eを通過し、更に前方へ移動する(図43)。そして、前進した凸部7aは、外装体1の窓孔1k前端部に形成した第2の傾斜壁1oに当接する。さらに筆記具本体2が前進すると、第2の傾斜壁1oに沿って移動し、ペン先突出係止部1pの前方に案内され、外装体1の幅広部1nの側壁と当接し、凸部7aの前方への移動が規制されることで筆記具本体2の前進動作が完了する(図44)。この外装体1の幅広部1nの側壁との当接による前進動作の完了位置が、本実施例における凸部がペン先没入係止部からペン先突出係止部に至る道のりの最前進位置となる。
ここで、操作部材8への押圧を解除すると、後方に付勢された筆記具本体2は筆記具本体2の軸線に沿って後退する。このとき、筆記具本体2に伴って回転子7も同時に後退し、ペン先突出係止部1pに係止することで、ペン先3が外装体1の先端開口部1aからの突出状態となり、回転子13の凸部13aの退没位置から突出位置までの動作が完了する(図45)。
ペン先3が外装体1の先端開口部1aからの突出状態から没入状態とするため、外装体1の後端開口部1bから突出した操作部材8を押圧すると、前進した筆記具本体2に伴い、回転子7及び回転子7の凸部7aも前進する。
凸部7aの前方には、クリップ4の反基端部4bの裏面に形成した第3の傾斜壁4eが位置し、凸部7aが第3の傾斜壁4eと当接する(図46)。さらに凸部7aが前進すると、第3の傾斜壁4eに沿って凸部13aが周方向へ移動し、第1の傾斜壁4dの側壁と当接すると同時に、凸部7aの前方への移動が規制されることで筆記具本体2の前進動作が完了する(図47)。第1の傾斜壁4dの側壁との当接による前進動作の完了位置が、本実施例における凸部がペン先突出係止部からペン先没入係止部に至る道のりの最前進位置となる。
本実施例において、第1の傾斜壁4dの側壁を周方向に案内する周方向案内傾斜壁(第3の傾斜壁4e)の周方向の移動規制部とし(即ち、第1の傾斜壁4d(径方向案内傾斜壁)の側壁によって、周方向案内傾斜壁(第3の傾斜壁4e)によって案内される凸部7aの周方向への移動量を規制することとし)、凸部を径方向に案内する径方向案内傾斜壁(第1の傾斜壁4d)が、凸部の周方向の移動規制部を兼ねているため、凸部の移動軌跡としての案内路を、係止部を避けた経路として形成する必要が無く、その分案内路の周方向の幅を狭くすることが出来るので、出没式筆記具の軸を細くすることができ、外観デザインの自由度が高い出没式筆記具を提供することができるものである。さらに、この過程において、凸部7aの頂部が第3の傾斜壁4eの途中に形成した規制壁4fと接触、通過する際、僅かに持ち上げたクリップが元に戻る衝撃で衝撃音を発生させる。
操作部材8への押圧を解除すると、後方に付勢された筆記具本体2は筆記具本体2の軸線に沿って後退する。このとき、筆記具本体2に伴って回転子7も同時に後退し、突起7aは、第1の傾斜壁4dと規制壁4fに沿って後退し、外装体に形成した第4の傾斜壁1qに当接する(図48)。そして、凸部7aは第4の傾斜壁1qに沿って、退没位置まで戻る。
本実施例では、凸部がペン先没入係止部からペン先突出係止部に至る道のりの最前進位置を形成する外装体1の幅広部1nの側壁との当接部よりも、凸部がペン先突出係止部からペン先没入係止部に至る道のりの最前進位置を形成する第1の傾斜壁4dの側壁との当接部が後方に配置されているので、凸部を、ペン先没入係止部からペン先突出係止部に移動させる際よりも、ペン先突出係止部からペン先没入係止部に移動させる際の方が、短い操作ストロークにて係止解除可能なため、ペン先の没入操作を容易に行うことができ、ペン先を外装体内に収納し損ねるといった誤作動が起こりにくいものとなる。
本実施例では、第1の傾斜壁4d及び第3の傾斜壁4eをクリップ4の反基端部4bに形成したが、クリップ4ではなく、外装体1の窓孔1kに設け、回転子7の凸部7aの前進により、上下動可能に形成することもできる。外装体1の窓孔1kをクリップ4が覆うように配設することにより、外観から窓孔1kを隠すことができ、見栄えが良くなる。
また、本発明において、ペン先突出係止部1pを外装体1の窓孔1kの幅狭部1mと幅広部1nとの間に設けたが、幅広部1nの側縁部から後方に向かうに連れ幅狭部の側縁部に向かう傾斜面とし、クリップ反基端部4bの裏面からペン先突出係止部1pを形成することも可能である。
この場合、ペン先突出状態において、クリップ4を持ち上げると、クリップ反基端部14bの裏面に形成したペン先突出係止部1pに係止されている回転子7の凸部7aが離脱し、傾斜面に案内されて、退没位置に戻ることが可能となり、いわゆる安全機構と言われる構成とすることができる。
1 外装体
1a 先端開口部
1b 体後端開口部
1c 軸受部
1d 受面
1e 開凹部
1f 閉凹部
1g 中央突部
1h 開口ストッパー当接壁
1i 閉塞ストッパー当接壁
1j 傾斜面
1k 窓孔
1m 幅狭部
1n 幅広部
1o 第2の傾斜壁
1p ペン先突出係止部
1q 第4の傾斜壁
1r 突部
1s 段部
1t 傾斜面
1u ペン先没入係止部
1v 案内路
1w 基部取付部
1A 橋渡し部
1B 係合部
1C 前方係合孔
1D 後方係合孔
1E 目隠し壁
1F 保護壁
1G 固定部
2 筆記具本体
2a 細径部
2b 太径部
2c 肩部
2d 保持リブ
2e ペン先押さえ凸部
2f リブ
2g 凹曲面
2h 面取り部
2k 空気溝
2l 突起
2m 凹部
2n 足の短いC字状部
2o 足の長いC字状部
2r ブレ防止リブ
2s 雌ネジ部
2t 凸部
3 ペン先
3a 筆記部
3b 接続部
3c 段部
3d テーパ部
4 クリップ
4a 基端部
4b 反基端部
4c コイルスプリング保持突起
4d 第1の傾斜壁
4e 第3の傾斜壁
4f 規制壁
4g 貫通孔
4h スリット
4i 突起
4j コイルスプリング圧入部
5 基部
5a 前方係合突起
5b 後方係合突起
5c 爪部
5d 爪部
5e 突起
5f 突部
5g 当接面
5h 傾斜段部
5i 傾斜段部
6 コイルスプリング
7 回転子
7a 凸部
7b C字状部
7c 幅の狭い延長部
7d 後方傾斜面
7e 前端側面
8 操作部材
8a ノック部
8b 挿入部
8c 雄ネジ部
8d 当接部
8e リブ
8f テーパ部
8g 受けリブ
8h 凹部
8i 段部
9 蓋体
9a 蓋部
9b 側壁部
9c 回転軸
9d 閉カム突起
9e 外側カム部
9f 開カム突起
9g 凹カム部
9h 開口ストッパー
9i 閉塞ストッパー
9j 内側カム部
9k カム面
9l 切り欠き部
9m 頭部
9n 凹部
10 環状弾性体
11 コイルスプリング
12 環状弾性体
12a 外側密閉リブ
12b 外側傾き防止リブ
12c 内側密閉リブ
12d 段部
12e 受け溝
13 環状部材
13a 接続部
13b 側壁部
13c 接触面
13d 突起
13e 中孔部
13f 段部
14 インキ吸蔵体
15 ペン先ホルダー
15a 圧入固定部
15b 段部
15c 溝部

Claims (2)

  1. 外装体と、前後動可能に前記外装体内に収容されるとともに、先端に設けられたペン先、および、側部に設けられた凸部を有する筆記具本体と、を備え、前記外装体は、ペン先突出係止部とペン先没入係止部に前記凸部を案内するための案内路を有し、前記筆記具本体は、前後動によって、前記凸部が前記ペン先突出係止部に係合して前記外装体先端の開口部より前記ペン先が突出した突出状態と、前記凸部が前記ペン先没入係止部に係合して前記ペン先が前記外装体内に没入した没入状態との間で切替可能に構成され、前記凸部を前記外装体の周方向に案内する、前記凸部の前側面と衝接するように設けられた周方向案内傾斜壁と、前記凸部を前記外装体の径方向に案内する径方向案内傾斜壁とを、それぞれ、前記案内路内を移動する前記凸部に接触可能に設け、前記径方向案内傾斜壁の側壁を、前記周方向案内傾斜壁によって案内される前記凸部の前記周方向への移動量を規制するための移動規制部とした出没式筆記具。
  2. 前記案内路における、前記凸部が前記ペン先没入係止部から前記ペン先突出係止部に至る道のりにおける最前進位置を形成する壁部よりも、前記凸部が前記ペン先突出係止部から前記ペン先没入係止部に至る道のりにおける、前記凸部の前側面と衝接するように設けられた最前進位置を形成する壁部が後方に配置した請求項1に記載の出没式筆記具。
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