JP2022106503A - 緩衝シート - Google Patents

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Abstract

【課題】緩衝シート(1)の上に床仕上げ材(8)を接着剤(10)で張り付けて床構造(6)を施工したときに、長期間使用しても、緩衝シートと床仕上げ材の接着が維持され、床仕上げ材の剥がれや膨れが発生しにくい緩衝シートを提供する。【解決手段】下地(7)と床仕上げ材(8)との間に設置される緩衝シート(1)であって、緩衝シート(1)は発泡体層(2)および発泡体層の少なくとも片面に積層された表層(3)を含み、前記表層(3)が床仕上げ材の施工時に使用する接着剤(10)または前記接着剤の溶剤成分を浸透させない層であることを特徴とする。表層(3)は好ましくは接着剤親和性材料層(5)および接着剤親和性材料層の片面に設けられた接着剤不透過性樹脂層(4)を含み、接着剤不透過性樹脂層(4)が発泡体層(2)に熱融着により結合している。【選択図】図2

Description

本発明は、緩衝シートに関する。より詳しくは、本発明は、コンクリート等の下地と床仕上げ材との間に設置される緩衝シートに関する。
学校や福祉施設等の床は、コンクリート等の下地に塩化ビニル樹脂製の床材や木質の床材(フローリング)等を敷設するのが一般的である。また、歩行や車輪の通過などに伴う階下への衝撃音の低減や転倒時の衝撃を軽減する目的として、発泡樹脂層(発泡ポリエチレンシートや発泡塩化ビニル樹脂シート、発泡ポリウレタン)を有する緩衝シート(下張材、アンダーレイシート)を下地の上に敷設し、その下地材の上に、床材を敷設した床構造が知られている。
緩衝シートを使った施工手順は、コンクリート等の下地に接着剤を塗布し、その後、緩衝シートを被せ、圧着し、緩衝シートを張り付け、1昼夜置き、接着剤の溶剤成分を揮発させる。次いで、緩衝シートの上に接着剤を塗布し、その後、床仕上げ材を被せ、圧着し、床仕上げ材を張り付けるのが、一般的である。
緩衝シートの例としては、塩化ビニル発泡シートの少なくとも1面に不織布を積層してなる緩衝シート(特許文献1)や、ポリエチレン発泡シートの表面に、金属を蒸着したポリエステル製不織布を積層したもの(特許文献2)が知られている。これらは、従来から、床仕上げ材表面を平滑に仕上がるようにするため、緩衝シートの表面も平滑にしており、それにより施工時の接着剤の塗布も容易にできる。
特開2013-249606号公報 特開2014-025216号公報
それらの緩衝シートは、表面に不織布が積層されており、それらが接着剤を介して床仕上げ材や下地と接着する。ただし、緩衝シート自体が柔らかいため、強固に接着することは難しく、歩行により、緩衝シートや接着剤が破壊されることがあり、破壊されると床仕上げ材が膨れるという問題があった。
本発明は、緩衝シートの上に床仕上げ材を接着剤で張り付けて床構造を施工したときに、長期間使用しても、緩衝シートと床仕上げ材の接着が維持され、床仕上げ材の剥がれや膨れが発生しにくい緩衝シートを提供することを目的とする。
本発明は、下地と床仕上げ材との間に設置される緩衝シートであって、緩衝シートは発泡体層および発泡体層の少なくとも片面に積層された表層を含み、前記表層が床仕上げ材の施工時に使用する接着剤または前記接着剤の溶剤成分を浸透させない層であることを特徴とする。
本発明は以下の実施態様を含む。
[1]下地と床仕上げ材との間に設置される緩衝シートであって、緩衝シートは発泡体層および発泡体層の少なくとも片面に積層された表層を含み、前記表層が床仕上げ材の施工時に使用する接着剤または前記接着剤の溶剤成分を浸透させない層であることを特徴とする緩衝シート。
[2]緩衝シートは、床仕上げ材の接着する面に表層が積層され、前記表層の表面に規則的な配列の凹凸形状があることを特徴とする[1]に記載の緩衝シート。
本発明の緩衝シートは、その上に床仕上げ材を接着剤で張り付けて床構造を施工したときに、長期間使用しても、緩衝シートと床仕上げ材の接着が維持され、床仕上げ材の剥がれや膨れが発生しにくい。
図1は、本発明の緩衝シートの断面図である。 図2は、本発明の緩衝シートを含む床構造の断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明を詳しく説明するが、本発明は図面に記載されたものに限定されない。
図1は本発明の緩衝シート1の断面図であり、図2は本発明の緩衝シートを含む床構造6の断面図である。
本発明は、下地7と床仕上げ材8との間に設置される緩衝シート1であって、緩衝シート1は発泡体層2および発泡体層の少なくとも片面に積層された表層3を含み、前記表層3が床仕上げ材の施工時に使用する接着剤10または前記接着剤の溶剤成分を浸透させない層であることを特徴とする。
緩衝シート1は下地7と床仕上げ材8との間に設置されるものであり、転倒時の衝撃を緩和する目的または/および歩行や車輪の通過などに伴う階下への衝撃音を低減する目的で設置される。下地7は、限定されないが、たとえばコンクリート、モルタル、プラスチック、ウレタン塗膜防水、木材、あるいは既設床材等、各種の下地および床材を挙げることができ、これらの2種以上が複合したものなどを例示することができる。床仕上げ材8は、従来公知の床材を使用できる。床仕上げ材8としては、表面に合成樹脂層を配した合成樹脂製床材(好ましくは塩化ビニル樹脂シート)、表面に天然石を配した床材、表面に天然木を配した床材などが挙げられる。
緩衝シート1は発泡体層2および表層3を含む。
緩衝シート1が発泡体層2を含むことにより、衝撃を緩和し、遮音効果を発揮することができる。
表層3は、発泡体層2の少なくとも片面に積層されている。表層3は、床仕上げ材8の施工時に使用する接着剤10または前記接着剤の溶剤成分を浸透させない層である。緩衝シートは、床仕上げ材の接着する面に表層が積層されている。すなわち、表層3が発泡体層2の片面にのみ積層されている場合、緩衝シート1を下地7と床仕上げ材8との間に設置するときは、緩衝シート1の発泡体層2側の面が下地7に対向し、表層3側の面が床仕上げ材8に対向するように設置する。
緩衝シート1が表層3を含むことにより、緩衝シート1の表層3の上に接着剤10を介して床仕上げ材8を張り付けたときに、接着剤または接着剤の溶剤成分が発泡体層2に浸透しないので、緩衝シート1と床仕上げ材8を強固に接着することができ、長期使用しても緩衝シート1と床仕上げ材8の接着が維持され、その結果、床仕上げ材8の剥がれや膨れを抑制することができる。なお、浸透とは、接着剤を塗布したときに、接着剤が固化するまでに、接着剤または接着剤の溶剤成分が下層にしみ込むことをいい、浸透するか否かは目視により観察することができる。接着剤が発泡体層2まで浸透すると、緩衝シート1上に接着剤成分が残らないため、床仕上げ材8と緩衝シート1との接着性が低下する。
発泡体層2としては、限定するものではないが、好ましくはポリエチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体、フェノール発泡体、ポリ塩化ビニル発泡体、シリコーン発泡体、ポリスチレン発泡体、またはポリウレタン発泡体からなる層が挙げられる。なかでも、耐軽量床衝撃音性の点から、ポリエチレン発泡体が好ましい。
ポリエチレン発泡体としては、一般的に、化学架橋発泡体と、電子線(放射線)架橋発泡体が知られている。化学架橋では、厚い発泡樹脂層を容易に形成できるという利点があるが、薄い発泡樹脂層の形成には適しておらず、また表面が凹凸状になりやすい。表面が平滑な薄い発泡樹脂層の形成には電子線架橋が適している。
化学架橋発泡体、電子線架橋発泡体のいずれも使用することができ、化学架橋発泡体を使用する場合は、発泡体をスライスして使用することが好ましい。特に、裏面にプライマーを塗布する場合、化学架橋発泡体をスライスした製品は面積が広くなり接着力が高くなるため、本発明には好ましい。スライスを使用した場合、重歩行にも接着剤の剥がれが起こりにくくなり、床仕上げ材の膨れなども起こりにくくなる。発泡体の強度は、化学架橋体の方が電子線架橋発泡体より厚さ方向の強度が強く、歩行により発泡体が潰れにくいため、化学架橋体の方が好ましい。裏面にも、表層3と同一の材料を使用してもよい。電子線架橋発泡体としては、ソフトロン(登録商標)(積水化学工業株式会社製)、東レペフ(登録商標)(東レ株式会社製)が挙げられる。化学架橋発泡体としては、PEライト(株式会社イノアックコーポレーション製)、フォームエース(登録商標)(古河電工株式会社製)などが挙げられる。
ポリエチレン発泡体の発泡倍率は、10~40倍が好ましい。発泡倍率が小さくなると材料自体が固くなるため、耐軽量床衝撃音性が低下する。発泡倍率が高くなると、クッション性が高くなりすぎるため、歩行性が悪くなる。さらに好ましい範囲としては、15~30倍が好ましい。
発泡体のセル構造としては、独立気泡型と連続気泡型がある。連続気泡型は、セル内に音を吸い込む吸音性能があり、独立気泡型はセル内にほとんど吸収されない性質がある。
そのため、緩衝シートとして使用される場合は、連続気泡型の方が独立気泡型よりも、耐軽量床衝撃音性が良くなるが、歩行により繰り返し、圧縮されるため、繰り返し圧縮に耐性のある独立気泡型が好ましい。
発泡体層2の厚さは3~5mmが好ましい。3mmを下回ると十分な遮音効果が得られず、5mmを超えると、クッション性が高くなりすぎるため、長い時間の歩行には不向きになり、歩行により疲れたり、躓きやすくなる。
発泡体層2の裏面は、プライマーの塗布、もしくは不織布を積層することができる。プライマーは市販のポリオレフィン用プライマーを使用することができ、ユニストール(登録商標)(三井化学株式会社製)、サーフレン(登録商標)(三菱ケミカル株式会社製)、マルチプライマー(武蔵塗料株式会社製)等が挙げられる。不織布は、熱溶着もしくは接着剤を介して発泡体材料と積層される。不織布としては、エルベス(登録商標)(ユニチカ株式会社製)、エルタス(登録商標)(旭化成株式会社製)等を使用することができる。また、裏面材料としては、表層3と同一の材料も使用することができるが、ロール状で保管した場合、折れることがあるため、不織布材料のみかプライマーのいずれかが好ましい。
表層3は、好ましくは、接着剤不透過性樹脂層4および接着剤親和性材料層5を含む。表層3は、より好ましくは、接着剤親和性材料層5および接着剤親和性材料層の片面に設けられた接着剤不透過性樹脂層4を含む。
表層3が接着剤不透過性樹脂層4および接着剤親和性材料層5を含む場合は、接着剤不透過性樹脂層側が発泡体層2に結合する。すなわち、緩衝シート1の上に床仕上げ材8を敷設するときは、接着剤親和性材料層5が接着剤10を介して床仕上げ材8に接合する。接着剤親和性材料層5は接着剤と親和性のある材料を含むので、床仕上げ材8が接着剤10を介して接着剤親和性材料層5に接合することにより、緩衝シート1と床仕上げ材8との接着を強固にし、かつ接着の耐久性を向上させることができる。
接着剤不透過性樹脂層4を構成する接着剤不透過性樹脂は、接着剤を透過させない限り限定されないが、好ましくは、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレンおよびポリプロピレン共重合体からなる群から選択される少なくとも1種であり、より好ましくはポリエチレンである。
接着剤不透過性樹脂層4を構成するポリエチレンは市販のものを使用することができ、熱溶融により均一に塗布できるものが好ましい。均一に塗布する方法としては、ロールコーター法やスプレーコート法などが挙げられる。
接着剤不透過性樹脂層4の膜厚は、接着剤を浸透させない限り限定されないが、接着剤不透過性樹脂層4が厚くなると緩衝シート1自体が固くなるため歩行性は良くなり、床仕上げ材8との接着強度は強くなるが、音を伝えやすくなるため耐軽量床衝撃音性は低下する。また、接着剤不透過性樹脂層4が薄かったり、不均一な場合は、接着剤の成分が、発泡体層2の中にまで浸透し、発泡体を硬くするため耐軽量床衝撃音性を低下させる。これらの理由から、接着剤不透過性樹脂層4の膜厚は8~55μmが好ましい。膜厚が8μmを下回ると接着性が低下し、55μmを超えると耐軽量床衝撃音性が低下する。床材の耐久性および耐軽量床衝撃音性の観点から、より好ましい範囲は12~45μmであり、15~40μmがさらに好ましい。
接着剤親和性材料層5は、好ましくは、接着剤親和性繊維層または接着剤親和性樹脂層である。
接着剤親和性材料層5が接着剤親和性繊維層である場合、接着剤親和性材料層5(接着剤親和性繊維層)は、好ましくは、接着剤と親和性のある繊維を含む不織布、織布または編物であり、より好ましくは、接着剤と親和性のある繊維を含む不織布である。
接着剤親和性材料層5が接着剤親和性繊維層である場合、接着剤親和性材料層5を構成する接着剤親和性材料(接着剤と親和性のある繊維)は、好ましくは、ポリエステル繊維、ビニロン繊維、ポリアミド繊維、ポリイミド繊維および羊毛や綿などの天然繊維からなる群から選択される少なくとも1種であり、より好ましくはポリエステル繊維である。さらに好ましくは、ポリエステル繊維の1種であるポリエチレンテレフタレート繊維である。
接着剤親和性繊維層の目付量は、好ましくは10~60g/mであり、より好ましくは15~50g/mであり、さらに好ましくは20~40g/mである。接着剤親和性繊維層の目付量をこの範囲にすることにより、施工を取り扱う際の緩衝シートの破れや、緩衝シート上に接着剤を塗布する際の歩行による接着剤表面の破れを防止することができる。
接着剤親和性材料層5が接着剤親和性繊維層である場合、表層3は、好ましくは、接着剤親和性繊維層および接着剤親和性繊維層の片面にコーティングされた接着剤不透過性樹脂層4を含むコーティング繊維層3′である。
不織布にポリエチレンを塗布したものとしては、ポリエチレン防音不織布(ダイニック株式会社製)等が挙げられる。接着剤を浸透させない層をコーティングした場合、コーティングした面に樹脂成分が偏在し、反対の面は接着剤を浸透させない樹脂が少なくなる。
接着剤親和性材料層5が接着剤親和性樹脂層である場合、接着剤親和性材料層5(接着剤親和性樹脂層)は、好ましくは、接着剤と親和性のある樹脂を含む層である。
接着剤親和性材料層5が接着剤親和性樹脂層である場合、接着剤親和性材料層5を構成する接着剤親和性材料(接着剤と親和性のある樹脂)は、好ましくは、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリアミドおよびポリイミドからなる群から選択される少なくとも1種であり、ウレタン系などの有機系接着剤との親和性の面から、より好ましくはポリエステルである。
接着剤親和性樹脂層の膜厚は、好ましくは80~400μmであり、より好ましくは100~300μmである。接着剤親和性樹脂層の膜厚が薄すぎると、床仕上げ材を施工時に、緩衝シート上を歩行した際、表面が傷ついたり破れたりすることがある。また、膜厚が厚すぎると、緩衝シートを取り扱う際、表面に皺が発生したりし、床仕上げ材を施工しても、表面に皺が浮き出て外観が悪くなる。また、大きな皺が発生すると、皺の溝に接着剤がたまり、その部分が接着剤の溶剤ガスにより膨れることがある。
接着剤親和性材料層5が接着剤親和性樹脂層である場合、表層3は、好ましくは、接着剤不透過性樹脂層4と接着剤親和性樹脂層の2層積層体である。接着剤不透過性樹脂層4と接着剤親和性樹脂層の2層積層体は、接着剤不透過性樹脂層4と接着剤親和性樹脂層を共押出することにより製造することができる。
表層3が接着剤不透過性樹脂層4および接着剤親和性材料層5を含む場合は、接着剤不透過性樹脂層側が発泡体層2に結合し、好ましくは、接着剤不透過性樹脂層4と発泡体層2は熱融着により結合している。接着剤不透過性樹脂層4と発泡体層2が熱融着により結合することにより、緩衝シートの層間剥離強度が強くなり、長期間使用しても床仕上げ材が剥がれたり、膨れたりしない。
緩衝シート1の床仕上げ材8と接着する面(すなわち表層3の接着剤親和性材料層面)は、凹凸形状を設けた方が好ましい。凹凸形状を設けることによって、床施工時の接着剤の塗布量が多くなるため、緩衝シート1と床仕上げ材8の接着力は向上する。凹凸の高さは、0.1~0.4mm程度が好ましく、0.4mmを超えると、接着剤が凹凸のくぼみに入りこみ、接着剤の均一な塗布が難しくなる。接着剤の液だまりができると、その後溶剤が揮発し、床仕上げ材が膨れることがある。また、凹凸の形状としては、接着剤を均一に塗布できることから線状が好ましい。格子状や亀シボ状(亀の甲羅模様)では、均一に塗布するのが難しい。凹凸形状は、たとえばエンボス加工により設けることができる。すなわち、表層の接着剤親和性材料層面にエンボス加工が施されていることが好ましい。
緩衝シート1の製造方法は、限定するものではないが、たとえば、次のようにして製造することができる。
接着剤親和性材料層5としてたとえば不織布を準備し、その不織布の片面に、接着剤不透過性樹脂層4を構成する樹脂をコーティングして、コーティング繊維層3′(表層3)を作製する。コーティングする方法は、限定されないが、樹脂を溶剤に溶かした溶液を塗布するか、または樹脂を溶融押出ラミネートすることにより実施することができる。別途、発泡体層2を構成する発泡体シートを準備し、その上にコーティング繊維層3′の接着剤不透過性樹脂層側(樹脂コーティング面)が発泡体シートに接するようにコーティング繊維層3′を重ね、コーティング繊維層3′と発泡体シートを熱融着させ、緩衝シート1を得る。コーティング繊維層3′と発泡体シートを熱融着させる方法は、熱プレスや圧着ロール等により製造することができる。
緩衝シート1の施工方法は、限定するものではないが、たとえば、次のようにして施工することができる。
図2に示すように、下地7の上に、接着剤9を塗布する。接着剤9は、限定するものではないが、たとえば、セメントVG、セメントEP20、セメントEP30(田島ルーフィング(株)製)などを例示することができる。接着剤9を塗布した面に、緩衝シート1を、表層3を上にして、被せ、圧着し、緩衝シート1を張り付ける。一昼夜置き、接着剤9の溶剤成分を揮発させる。その後、緩衝シート1の上に、接着剤10を塗布する。接着剤10を塗布した面に、床仕上げ材8を被せ、圧着し、床仕上げ材8を張り付ける。耐軽量床衝撃音性の点から、エポキシ系接着剤よりもウレタン系接着剤の方が、硬化物が柔軟であるため、歩行による音を伝えにくく、ウレタン系の方が好ましい。
接着剤は位置ずれ防止の観点から用いられる。床仕上げ材に使用する接着剤10としては、従来公知の溶剤型接着剤、エマルジョン型接着剤、エポキシ系やウレタン系の反応型接着剤などが挙げられる。屋内では匂いの少ないエマルジョン型接着剤が使用され、屋外や台所、洗面台等の水が垂れる場所や歩行量の多い場所には、エポキシ系やウレタン系が好ましい。耐軽量床衝撃音性の点から、エポキシ系よりもウレタン系の方が材料が柔らかいため、耐軽量床衝撃音性は低減し、ウレタン系の方が好ましい。
実施例1
厚さ6mmのPEライト(株式会社イノアックコーポレーション製の独立気泡型の化学架橋ポリエチレン発泡体、20倍発泡、幅1000mm)をスライスした厚さ3mmの発泡体のスキン層側の面に、ポリエチレンをコーティングした不織布(製品名:ポリエチレン防音不織布、ポリエチレンテレフタレート製の長繊維不織布(目付量25g/m)にポリエチレンを8μmの膜厚になるように塗布したもの、ダイニック株式会社製)をポリエチレンコーティング面がポリエチレン発泡体側になるようにして、熱溶融にて積層した。次いで、エンボスローラにてライン状の凹凸を付けた。エンボスはシートの幅方向に線状で平行の凹凸であり、エンボス形状を顕微鏡で観察したところ、幅方向に3mm間隔、高さは0.1~0.4mm、山の間隔は3mmであった。
次いで、裏面のスライス層にプライマー(サーフレン(登録商標)P-1000、三菱ケミカル株式会社製)を固形分が4g/mになるように塗布し、その後、熱風乾燥器で乾燥し、緩衝シートを製造した。緩衝シートは、不織布が外側になるようにロールに巻き付け保管した。
実施例2
実施例1で用いたポリエチレンの膜厚が8μmのポリエチレン防音不織布に代えて、ポリエチレンの膜厚が12μmのポリエチレン防音不織布を用いた以外は、実施例1と同様の方法で緩衝シートを製造した。
実施例3
実施例1で用いたポリエチレンの膜厚が8μmのポリエチレン防音不織布に代えて、ポリエチレンの膜厚が15μmのポリエチレン防音不織布を用いた以外は、実施例1と同様の方法で緩衝シートを製造した。
実施例4
実施例1で用いたポリエチレンの膜厚が8μmのポリエチレン防音不織布に代えて、ポリエチレンの膜厚が40μmのポリエチレン防音不織布を用いた以外は、実施例1と同様の方法で緩衝シートを製造した。
実施例5
実施例1で用いたポリエチレンの膜厚が8μmのポリエチレン防音不織布に代えて、ポリエチレンの膜厚が45μmのポリエチレン防音不織布を用いた以外は、実施例1と同様の方法で緩衝シートを製造した。
実施例6
実施例1で用いたポリエチレンの膜厚が8μmのポリエチレン防音不織布に代えて、ポリエチレンの膜厚が55μmのポリエチレン防音不織布を用いた以外は、実施例1と同様の方法で緩衝シートを製造した。
実施例7
実施例1で用いた厚さ6mmのPEライトをスライスした厚さ3mmの発泡体に代えて、厚さ10mmのポリエチレン発泡体(PEライト(登録商標)、20倍発泡、株式会社イノアックコーポレーション製)をスライスした厚さ5mmのポリエチレン発泡体を用いた以外は、実施例3と同様の方法で緩衝シートを製造した。
実施例8
実施例1において、エンボス加工をしなかった点、およびポリエチレンの膜厚が8μmのポリエチレン防音不織布に代えてポリエチレンの膜厚が15μmのポリエチレン防音不織布を用いた点以外は、実施例1と同様の方法で緩衝シートを製造した。
実施例9
実施例3において、裏面のスライス層にプライマーを塗布する代わりに、実施例3の表層で調製したポリエチレン防音不織布を熱溶着して緩衝シートを製造した。
比較例1
実施例1において、ポリエチレン防音不織布を積層する代わりに、プライマー(サーフレン(登録商標)P-1000、三菱ケミカル株式会社製)を固形分が4g/mになるように塗布し、その後、熱風乾燥器で乾燥した点、エンボス加工をしなかった点、および裏面のスライス層にプライマーを塗布する代わりに、オレフィン系不織布(品番:SO403WDO、ユニチカ株式会社製)を熱溶融にて積層した点以外は、実施例1と同様の方法で緩衝シートを製造した。
比較例2
実施例1で用いたポリエチレン防音不織布の代わりに、オレフィン系不織布(品番:SO403WDO、ユニチカ株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で緩衝シートを製造した。
[床仕上げ材の施工の方法]
くし目ごてを用いてコンクリート下地に、ウレタン系接着剤(セメントU、田島ルーフィング株式会社製)を塗布し、オープンタイムを30分取った後、実施例または比較例で得られた緩衝シートのプライマー面に接着した。1日養生したのち、緩衝シートの表面に、セメントVGを塗布、30分経過したのち、床仕上げ材(塩ビ長尺シート、ハードウッドVML630、田島ルーフィング株式会社製)を貼付け、ローラで圧着し、床仕上げ材を施工した。さらに、2日経過後にシートの端部に、1液型ウレタン系シーリング材(VGシール、田島ルーフィング株式会社製)を打設し、床仕上げ材の端部から水が浸入しないように処理した。
施工した面積は1m×1.8mのサイズで屋外に施工し、施工環境は、気温は24~28℃、湿度は39~45%RHであった。
[耐久試験の評価]
実施例および比較例で施工した床材に、歩行カウンターを設置し、100,000歩経過した時点で、床の膨れの状態を目視にて観察した。
耐久試験後の床材の状態に従って、次のように評価した。
◎:床材に凹凸が全くみられない(合格)。
〇:床材に凹凸は見られないが、打診棒で評価すると9cm以下の領域に浮きが1か所確認できる(合格)。
△:電灯もしくは日光の下では凹凸は見られないが、暗所で光を斜めから照射すると、凹凸がわずかに見える(合格)。
×:凹凸が確認できる(不合格)。
評価結果を表1~表3に示す。
[軽量床衝撃音の評価]
実施例と比較例の下張材を、それぞれ50cm×60cmの大きさにカットした塩ビシート製の床仕上げ材(田島ルーフィング株式会社製、ビュージスタサンドVSH403)の裏面に両面テープ(大共株式会社製、P-060)で貼り付け、床衝撃音性の評価用試料とした。作成した評価用試料を、2階のコンクリート床下地に両面テープ(株式会社大共製、P-060)を用いて貼り付け、JIS A1418-1(2000)に準拠し軽量床衝撃音を測定した。残響室コンクリートスラブの厚さは200mmとした。軽量床衝撃音の測定結果がLL-55以下であれば、実用上問題がないので床衝撃音性を合格とした。評価結果を表1~表3に示す。
[総合評価]
次の基準で総合評価を行った。
〇:軽量床衝撃音がLL55以下であり、評価が全て〇以上のもの(合格)。
△:軽量床衝撃音がLL55以下であり、評価に1つ以上△がある(実用上許容されるレベル)(合格)。
×:評価に1つでも不合格があり、実用上問題があるもの(不合格)。
評価結果を表1~表3に示す。
実施例1~9は、緩衝シートを施工後に、緩衝シートの表面に接着剤を塗布した際、接着剤が緩衝シートの発泡体側にまで浸透していない様子が観察された。また、接着剤の山の形状が変化しない様子も確認された。
比較例1においては、緩衝シート施工後に、緩衝シート表面に接着剤を塗布した際、接着剤が緩衝シートとなじみ徐々に接着剤の山がなだらかになっていく様子が観察された。
比較例2において、緩衝シート施工後に、緩衝シート表面に接着剤を塗布した際、接着剤が不織布に吸収され、接着剤のくし山がたっていないことが確認された。
なお、緩衝シートの上に塗布した接着剤の使用量を調べたところ、エンボスのない緩衝シートの実施例7は290~310g/mに対し、エンボスのある緩衝シート(実施例1~6)は、330~350g/mであり、表面のエンボスにより、接着剤の塗布量が多くなっていた。
Figure 2022106503000002
Figure 2022106503000003
Figure 2022106503000004
本発明の緩衝シートは、コンクリート等の下地と床仕上げ材との間に設置される緩衝シートとして好適に利用することができる。
1 緩衝シート
2 発泡体層
3 表層
3′ コーティング繊維層
4 接着剤不透過性樹脂層
5 接着剤親和性材料層
6 床構造
7 下地
8 床仕上げ材
9 接着剤
10 接着剤

Claims (2)

  1. 下地と床仕上げ材との間に設置される緩衝シートであって、緩衝シートは発泡体層および発泡体層の少なくとも片面に積層された表層を含み、前記表層が床仕上げ材の施工時に使用する接着剤または前記接着剤の溶剤成分を浸透させない層であることを特徴とする緩衝シート。
  2. 緩衝シートは、床仕上げ材の接着する面に表層が積層され、前記表層の表面に規則的な配列の凹凸形状があることを特徴とする請求項1に記載の緩衝シート。
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