JP2022105887A - 硬化性樹脂組成物、硬化物、接着剤、及び、接着フィルム - Google Patents

硬化性樹脂組成物、硬化物、接着剤、及び、接着フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】長期耐熱性及び冷熱サイクルにおける応力緩和性に優れる硬化性樹脂組成物を提供する。また、該硬化性樹脂組成物の硬化物、並びに、該硬化性樹脂組成物を用いてなる接着剤及び接着フィルムを提供する。【解決手段】硬化性樹脂と硬化剤とを含有し、硬化物のシリコンチップに対する初期接着力が5.0N/mm2以上であり、150℃で1000時間保管した後の硬化物のシリコンチップに対する接着力が5.0N/mm2以上であり、かつ、硬化物が海島構造を有する硬化性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、長期耐熱性及び冷熱サイクルにおける応力緩和性に優れる硬化性樹脂組成物に関する。また、本発明は、該硬化性樹脂組成物の硬化物、並びに、該硬化性樹脂組成物を用いてなる接着剤及び接着フィルムに関する。
近年、フレキシブルプリント配線板(FPC)は、用途が車載用途にまで拡大しており、FPCやFPCを保護するカバーレイフィルムに用いられる接着剤には、高温長期耐熱性が求められている。このような接着剤には、低収縮であり、接着性、絶縁性、及び、耐薬品性に優れるエポキシ樹脂等の硬化性樹脂を用いた硬化性樹脂組成物が使用されており、特に、短時間の耐熱性に関するはんだリフロー試験や繰り返しの耐熱性に関する冷熱サイクル試験において良好な結果が得られる硬化性樹脂組成物が求められている。耐熱性や接着性に優れる硬化性樹脂組成物として、例えば、特許文献1、2には、エポキシ樹脂と硬化剤としてイミド化合物とを含有する硬化性樹脂組成物が開示されている。
特開昭61-270852号公報 特表2004-502859号公報
従来の長期耐熱性に優れる硬化性樹脂組成物は、冷熱サイクル試験において硬化物が充分な応力緩和性を発揮させることができず、冷熱サイクル試験後にクラックが生じたり、冷熱サイクル試験後の接着性に劣るものとなることがあった。
本発明は、長期耐熱性及び冷熱サイクルにおける応力緩和性に優れる硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、該硬化性樹脂組成物の硬化物、並びに、該硬化性樹脂組成物を用いてなる接着剤及び接着フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、硬化性樹脂と硬化剤とを含有し、硬化物のシリコンチップに対する初期接着力が5.0N/mm以上であり、150℃で1000時間保管した後の硬化物のシリコンチップに対する接着力が5.0N/mm以上であり、かつ、硬化物が海島構造を有する硬化性樹脂組成物である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者は、硬化性樹脂組成物について、硬化物のシリコンチップに対する初期接着力、及び、150℃で1000時間保管した後の硬化物のシリコンチップに対する接着力をそれぞれ特定の範囲内とし、かつ、硬化物が海島構造を有するものとなるようにすることを検討した。その結果、長期耐熱性及び冷熱サイクルにおける応力緩和性に優れる硬化性樹脂組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化物のシリコンチップに対する初期接着力の下限が5.0N/mmである。上記硬化物のシリコンチップに対する初期接着力が5.0N/mm以上であることにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、電子部品の接着に好適に用いることができるものとなる。上記硬化物のシリコンチップに対する初期接着力の好ましい下限は5.1N/mm、より好ましい下限は5.2N/mmである。
上記硬化物のシリコンチップに対する初期接着力は、以下の方法で測定することができる。
即ち、まず、ポリイミド基板に硬化性樹脂組成物を塗布し、シリコンチップを重ねる。次いで、190℃で1時間加熱することにより硬化性樹脂組成物を硬化させ、試験片を得る。得られた試験片について、ダイシェアテスターを用いて、100μm/sの速度、テスト高さ100μmで25℃におけるダイシェア強度を測定する。得られたダイシェア強度を硬化物のシリコンチップに対する初期接着力とする。上記ポリイミド基板としては、カプトン200H(東レ・デュポン社製、表面粗さ0.03~0.07μm)を用いることができ、上記シリコンチップとしては、グローバルウェーハ社製のシリコンチップ(表面粗さ0.5~1.0nm)を用いることができる。また、上記ダイシェアテスターとしては、DAGE4000(Nordson社製)を用いることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、150℃で1000時間保管した後の硬化物のシリコンチップに対する接着力の下限が5.0N/mmである。上記150℃で1000時間保管した後の硬化物のシリコンチップに対する接着力が5.0N/mm以上であることにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、高温環境で使用される電子部品の接着に好適に用いることができるものとなる。上記150℃で1000時間保管した後の硬化物のシリコンチップに対する接着力の好ましい下限は5.1N/mm、より好ましい下限は5.2N/mmである。
上記150℃で1000時間保管した後の硬化物のシリコンチップに対する接着力の好ましい上限は特にないが、実質的な上限は7.0N/mmである。
上記150℃で1000時間保管した後の硬化物のシリコンチップに対する接着力は、以下の方法で測定することができる。
即ち、まず、上述した「硬化物のシリコンチップに対する初期接着力」と同様にして得られた試験片を150℃のオーブンで1000時間保管する。次いで、保管後の試験片について、ダイシェアテスターを用いて、100μm/sの速度、テスト高さ100μmで25℃におけるダイシェア強度を測定する。得られた接着力を150℃で1000時間保管した後の硬化物のシリコンチップに対する接着力とする。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化物が海島構造を有する。上記硬化物が海島構造を有することにより、冷熱サイクルにおける応力緩和性に優れるものとなる。
なお、本発明において上記「海島構造」とは、ある成分(島成分)からなる相が、別の成分(海成分)からなる相中に分散した構造を表す。上記海島構造は、透過型電子顕微鏡を用いて、2000~1万倍の倍率で観察することにより確認することができる。
上記海島構造の島部分の平均直径の好ましい下限は0.05μm、好ましい上限は1.0μmである。上記島部分の平均直径がこの範囲であることにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、冷熱サイクルにおける応力緩和性により優れるものとなる。上記島部分の平均直径のより好ましい下限は0.1μm、より好ましい上限は0.8μmである。
なお、上記島部分の平均直径は、硬化性樹脂組成物の硬化物を透過型電子顕微鏡を用いて、10000倍の倍率で観察したときに、観察できる5個の島部分の長径の平均値を意味する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化物が30℃以上160℃以下の範囲内の低温側ガラス転移温度と、150℃以上200℃以下の範囲内の高温側ガラス転移温度とを有することが好ましい。このような低温側ガラス転移温度と高温側ガラス転移温度とを有することにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、冷熱サイクルにおける応力緩和性により優れるものとなる。上記低温側ガラス転移温度の好ましい下限は35℃、より好ましい下限は40℃、好ましい上限は155℃、より好ましい上限は150℃である。また、上記高温側ガラス転移温度は、155℃を超えることが好ましく、より好ましい下限は160℃、好ましい上限は195℃、より好ましい上限は190℃である。本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化物が上記低温側ガラス転移温度を2つ以上有していてもよい。また、本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化物が上記高温側ガラス転移温度を2つ以上有していてもよい。
なお、本明細書において上記「ガラス転移温度」とは、動的粘弾性測定により得られる損失正接(tanδ)の極大のうち、ミクロブラウン運動に起因する極大が現れる温度を意味し、動的粘弾性測定装置を用いた従来公知の方法により測定することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物において、硬化物のシリコンチップに対する初期接着力、及び、150℃で1000時間保管した後の硬化物のシリコンチップに対する接着力、及び、硬化物のガラス転移温度をそれぞれ上述した範囲としたり、硬化物を海島構造を有するものとしたりする方法としては、硬化性樹脂組成物に含まれる各構成成分の種類やその含有割合を調整する方法が好適である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂と硬化剤とを含有する。特に、本発明の硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂組成物であることが好ましく、硬化性樹脂と硬化剤として熱硬化剤とを含有することがより好ましい。上記硬化性樹脂及び上記硬化剤は、通常、海島構造の海部分を構成する成分となる。
上記硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、マレイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。なかでも、上記硬化性樹脂は、エポキシ樹脂を含むことが好ましい。また、これらの硬化性樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種以上が混合して用いられてもよい。
上記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、2,2’-ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、トリアジン型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スルフィド型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、アルキルポリオール型エポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂、グリシジルエステル化合物等が挙げられる。
上記熱硬化剤としては、例えば、主鎖にイミド骨格、末端に架橋性官能基を有するイミドオリゴマー、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、チオール系硬化剤、アミン系硬化剤、シアネート系硬化剤、活性エステル系硬化剤等が挙げられる。なかでも、得られる硬化性樹脂組成物の硬化物の接着性及び長期耐熱性の観点から、上記熱硬化剤は、イミドオリゴマーを含むことが好ましい。更に、本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化物の接着性及び長期耐熱性により優れるものとなり、かつ、塗布性やチクソ性にも優れるものとなることから、上記熱硬化剤としてイミドオリゴマーを含有し、かつ、後述する高分子化合物を含有することが好ましい。
上記イミドオリゴマーは、上記架橋性官能基として主鎖の末端に酸無水物基又はフェノール性水酸基を有することが好ましく、主鎖の両末端に酸無水物基又はフェノール性水酸基を有することがより好ましい。
上記イミドオリゴマーは、下記式(1-1)若しくは下記式(1-2)、又は、下記式(2-1)若しくは下記式(2-2)で表される構造を有することが好ましい。下記式(1-1)若しくは下記式(1-2)、又は、下記式(2-1)若しくは下記式(2-2)で表される構造を有することにより、上記イミドオリゴマーは、上記硬化性樹脂との反応性及び相溶性により優れるものとなる。
Figure 2022105887000001
式(1-1)及び式(1-2)中、Aは、酸二無水物残基であり、Bは、脂肪族ジアミン残基又は芳香族ジアミン残基であり、式(1-2)中、Arは、置換されていてもよい2価の芳香族基である。
Figure 2022105887000002
式(2-1)及び式(2-2)中、Aは、酸二無水物残基であり、Bは、脂肪族トリアミン残基又は芳香族トリアミン残基であり、式(2-2)中、Arは、置換されていてもよい2価の芳香族基である。
上記酸二無水物残基は、下記式(3-1)又は下記式(3-2)で表される4価の基であることが好ましい。
Figure 2022105887000003
式(3-1)及び式(3-2)中、*は、結合位置であり、式(3-1)中、Zは、結合手、酸素原子、カルボニル基、硫黄原子、スルホニル基、結合位置に酸素原子を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、結合位置に酸素原子を有していてもよい芳香環を有する2価の基である。式(3-1)及び式(3-2)中における芳香環の水素原子は置換されていてもよい。
上記式(3-1)中のZが、結合位置に酸素原子を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、結合位置に酸素原子を有していてもよい芳香環を有する2価の基である場合、これらの基は、置換されていてもよい。
上記結合位置に酸素原子を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、上記結合位置に酸素原子を有していてもよい芳香環を有する2価の基が置換されている場合の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、脂環式基、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。
上記酸二無水物残基の由来となる酸二無水物としては、例えば、後述する式(9)で表される酸二無水物等が挙げられる。
上記式(1-1)、上記式(1-2)、上記式(2-1)、又は、上記式(2-2)中のBが上記脂肪族ジアミン残基及び/又は上記脂肪族トリアミン残基である場合の該脂肪族ジアミン残基及び該脂肪族トリアミン残基の炭素数の好ましい下限は4である。上記脂肪族ジアミン残基及び上記脂肪族トリアミン残基の炭素数が4以上であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が、硬化前における可撓性及び加工性、及び、硬化後の誘電特性により優れるものとなる。上記脂肪族ジアミン残基及び上記脂肪族トリアミン残基の炭素数のより好ましい下限は5、更に好ましい下限は6である。
また、上記脂肪族ジアミン残基及び上記脂肪族トリアミン残基の炭素数の好ましい上限は特にないが、実質的な上限は60である。
上記脂肪族ジアミン残基の由来となる脂肪族ジアミンとしては、例えば、ダイマー酸から誘導される脂肪族ジアミンや、直鎖若しくは分岐鎖脂肪族ジアミンや、脂肪族エーテルジアミンや、脂肪族脂環式ジアミン等が挙げられる。
上記ダイマー酸から誘導される脂肪族ジアミンとしては、例えば、ダイマージアミン、水添型ダイマージアミン等が挙げられる。
上記直鎖若しくは分岐鎖脂肪族ジアミンとしては、例えば、1,4-ブタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,14-テトラデカンジアミン、1,16-ヘキサデカンジアミン、1,18-オクタデカンジアミン、1,20-エイコサンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、2-メチル-1,9-ノナンジアミン、2,7-ジメチル-1,8-オクタンジアミン等が挙げられる。
上記脂肪族エーテルジアミンとしては、例えば、2,2’-オキシビス(エチルアミン)、3,3’-オキシビス(プロピルアミン)、1,2-ビス(2-アミノエトキシ)エタン等が挙げられる。
上記脂肪族脂環式ジアミンとしては、例えば、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン等が挙げられる。
なかでも、上記脂肪族ジアミン残基は、上記ダイマー酸から誘導される脂肪族ジアミン残基であることが好ましい。
上記脂肪族トリアミン残基の由来となる脂肪族トリアミンとしては、例えば、トリマー酸から誘導される脂肪族トリアミンや、直鎖若しくは分岐鎖脂肪族トリアミンや、脂肪族エーテルトリアミンや、脂肪族脂環式トリアミン等が挙げられる。
上記トリマー酸から誘導される脂肪族トリアミンとしては、例えば、トリマートリアミン、水添型トリマートリアミン等が挙げられる。
上記直鎖若しくは分岐鎖脂肪族トリアミンとしては、例えば、3,3’-ジアミノ-N-メチルジプロピルアミン、3,3’-ジアミノジプロピルアミン、ジエチレントリアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、2,2’-ビス(メチルアミノ)-N-メチルジエチルアミン等が挙げられる。
なかでも、上記脂肪族トリアミン残基は、上記トリマー酸から誘導される脂肪族トリアミン残基であることが好ましい。
また、上記脂肪族ジアミン及び/又は上記脂肪族トリアミンとして、上記ダイマージアミン及び上記トリマートリアミンの混合物を用いることもできる。
上記ダイマー酸及び/又は上記トリマー酸から誘導される脂肪族ジアミン及び/又は脂肪族トリアミンの市販品としては、例えば、BASF社製の脂肪族ジアミン及び/又は脂肪族トリアミンや、クローダ社製の脂肪族ジアミン及び/又は脂肪族トリアミン等が挙げられる。
上記BASF社製の脂肪族ジアミン及び/又は脂肪族トリアミンとしては、例えば、バーサミン551、バーサミン552等が挙げられる。
上記クローダ社製の脂肪族ジアミン及び/又は脂肪族トリアミンとしては、例えば、プリアミン1071、プリアミン1073、プリアミン1074、プリアミン1075等が挙げられる。
上記式(1-1)、上記式(1-2)、上記式(2-1)、又は、上記式(2-2)中のBが上記芳香族ジアミン残基である場合の該芳香族ジアミン残基は、下記式(4-1)又は下記式(4-2)で表される2価の基であることが好ましい。
Figure 2022105887000004
式(4-1)及び式(4-2)中、*は、結合位置であり、式(4-1)中、Yは、結合手、酸素原子、カルボニル基、硫黄原子、スルホニル基、結合位置に酸素原子を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、結合位置に酸素原子を有していてもよい芳香環を有する2価の基である。式(4-1)及び式(4-2)中における芳香環の水素原子は置換されていてもよい。
上記式(4-1)中のYが、結合位置に酸素原子を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、結合位置に酸素原子を有していてもよい芳香環を有する2価の基である場合、これらの基は、置換されていてもよい。
上記結合位置に酸素原子を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、上記結合位置に酸素原子を有していてもよい芳香環を有する2価の基が置換されている場合の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、脂環式基、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。
上記芳香族ジアミン残基の由来となる芳香族ジアミンとしては、例えば、後述する式(10)で表されるジアミンが芳香族ジアミンである場合のもの等が挙げられる。
また、上記イミドオリゴマーは、構造中にシロキサン骨格を有する場合、構造中にシロキサン骨格を有する場合、硬化後のガラス転移温度を低下させたり、被着体を汚染し接着不良の原因となり得ることから、構造中にシロキサン骨格を有さないイミドオリゴマーであることが好ましい。
上記イミドオリゴマーの重量平均分子量は、500以上5000以下であることが好ましい。上記イミドオリゴマーの重量平均分子量がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物の硬化物が長期耐熱性により優れるものとなり、かつ、海島構造を形成しやすくなる。上記イミドオリゴマーの重量平均分子量のより好ましい下限は1000、より好ましい上限は4000である。
なお、本明細書において上記「重量平均分子量」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で溶媒としてテトラヒドロフランを用いて測定を行い、ポリスチレン換算により求められる値である。GPCによってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定する際に用いるカラムとしては、例えば、JAIGEL-2H-A(日本分析工業社製)等が挙げられる。
上記イミドオリゴマーは、具体的には、下記式(5-1)、下記式(5-2)、下記式(5-3)、下記式(5-4)、若しくは、下記式(5-5)で表されるイミドオリゴマー、又は、下記式(6-1)、下記式(6-2)、下記式(6-3)、下記式(6-4)、若しくは、下記式(6-5)で表されるイミドオリゴマーであることが好ましい。
Figure 2022105887000005
式(5-1)~(5-5)中、Aは、上記酸二無水物残基であり、式(5-1)~(5-5)中、Aは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。式(5-1)~(5-4)中、Bは、上記脂肪族ジアミン残基若しくは上記芳香族ジアミン残基であり、式(5-3)及び式(5-4)中、Bは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。式(5-5)中、Bは、上記脂肪族トリアミン残基若しくは上記芳香族トリアミン残基である。式(5-2)中、Xは、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換されていてもよい1価の炭化水素基であり、式(5-4)中、Wは、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換されていてもよい1価の炭化水素基である。式(5-3)及び式(5-4)中、nは、繰り返し数である。
Figure 2022105887000006
式(6-1)~(6-5)中、Aは、上記酸二無水物残基であり、式(6-1)~(6-5)中、Aは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。式(6-1)~(6-5)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換されていてもよい1価の炭化水素基であり、式(6-1)、式(6-3)、及び、式(6-5)中、Rは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。式(6-2)及び式(6-4)中、Wは、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換されていてもよい1価の炭化水素基である。式(6-1)~(6-4)中、Bは、上記脂肪族ジアミン残基若しくは上記芳香族ジアミン残基であり、式(6-3)及び式(6-4)中、Bは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。式(6-5)中、Bは、上記脂肪族トリアミン残基若しくは上記芳香族トリアミン残基である。
上記式(5-1)~(5-5)、及び、上記式(6-1)~(6-5)中のAは、下記式(7-1)又は下記式(7-2)で表される4価の基であることが好ましい。
Figure 2022105887000007
式(7-1)及び式(7-2)中、*は、結合位置であり、式(7-1)中、Zは、結合手、酸素原子、カルボニル基、硫黄原子、スルホニル基、結合位置に酸素原子を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、結合位置に酸素原子を有していてもよい芳香環を有する2価の基である。式(7-1)及び式(7-2)中における芳香環の水素原子は置換されていてもよい。
上記式(5-1)~(5-4)、及び、上記式(6-1)~(6-4)中のBは、下記式(8-1)又は下記式(8-2)で表される2価の基であることが好ましい。
Figure 2022105887000008
式(8-1)及び式(8-2)中、*は、結合位置であり、式(8-1)中、Yは、結合手、酸素原子、カルボニル基、硫黄原子、スルホニル基、結合位置に酸素原子を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、結合位置に酸素原子を有していてもよい芳香環を有する2価の基である。式(8-1)及び式(8-2)中における芳香環の水素原子は置換されていてもよい。
上記式(1-1)で表される構造を有するイミドオリゴマーを製造する方法としては、例えば、下記式(9)で表される酸二無水物と下記式(10)で表されるジアミンとを反応させる方法等が挙げられる。また、下記式(10)で表されるジアミンに代えて脂肪族トリアミン又は芳香族トリアミンを用いることにより、上記式(2-1)で表される構造を有するイミドオリゴマーを製造することができる。
Figure 2022105887000009
式(9)中、Aは、上記式(1-1)中のAと同じ4価の基である。
Figure 2022105887000010
式(10)中、Bは、上記式(1-1)中のBと同じ2価の基であり、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の炭化水素基である。
上記式(9)で表される酸二無水物と上記式(10)で表されるジアミンとを反応させる方法の具体例を以下に示す。
まず、予め上記式(10)で表されるジアミンを、反応により得られるアミック酸オリゴマーが可溶な溶媒(例えば、N-メチルピロリドン等)に溶解させ、得られた溶液に上記式(9)で表される酸二無水物を添加して反応させてアミック酸オリゴマー溶液を得る。次いで、加熱や減圧等により溶媒を除去し、更に、約200℃以上で1時間以上加熱してアミック酸オリゴマーを反応させる方法等が挙げられる。上記式(9)で表される酸二無水物と上記式(10)で表されるジアミンとのモル比、及び、イミド化条件を調整することにより、所望の重量平均分子量を有し、両末端に上記式(1-1)で表される構造を有するイミドオリゴマーを得ることができる。
また、上記式(9)で表される酸二無水物の一部を下記式(11)で表される酸無水物に置き換えることにより、所望の重量平均分子量を有し、一方の末端に上記式(1-1)で表される構造を有し、他方の末端に下記式(11)で表される酸無水物に由来する構造を有するイミドオリゴマーを得ることができる。この場合、上記式(9)で表される酸二無水物と下記式(11)で表される酸無水物とは、同時に添加してもよいし、別々に添加してもよい。
更に、上記式(10)で表されるジアミンの一部を下記式(12)で表されるモノアミンに置き換えることにより、所望の重量平均分子量を有し、一方の末端に上記式(1-1)で表される構造を有し、他方の末端に下記式(12)で表されるモノアミンに由来する構造を有するイミドオリゴマーを得ることができる。この場合、上記式(10)で表されるジアミンと下記式(12)で表されるモノアミンとは、同時に添加してもよいし、別々に添加してもよい。
Figure 2022105887000011
式(11)中、Arは、置換されていてもよい2価の芳香族基である。
Figure 2022105887000012
式(12)中、Arは、置換されていてもよい1価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の炭化水素基である。
上記式(1-2)で表される構造を有するイミドオリゴマーを製造する方法としては、例えば、上記式(9)で表される酸二無水物と上記式(10)で表されるジアミンと下記式(13)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンとを反応させる方法等が挙げられる。また、上記式(10)で表されるジアミンに代えて脂肪族トリアミン又は芳香族トリアミンを用いることにより、上記式(2-2)で表される構造を有するイミドオリゴマーを製造することができる。
Figure 2022105887000013
式(13)中、Arは、置換されていてもよい2価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の炭化水素基である。
上記式(9)で表される酸二無水物と上記式(10)で表されるジアミンと上記式(13)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンとを反応させる方法の具体例を以下に示す。
まず、予め上記式(13)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミン及び上記式(10)で表されるジアミンを、反応により得られるアミック酸オリゴマーが可溶な溶媒(例えば、N-メチルピロリドン等)に溶解させ、得られた溶液に上記式(9)で表される酸二無水物を添加して反応させてアミック酸オリゴマー溶液を得る。次いで、加熱や減圧等により溶媒を除去し、更に、約200℃以上で1時間以上加熱してアミック酸オリゴマーを反応させる方法等が挙げられる。上記式(9)で表される酸二無水物と上記式(10)で表されるジアミンと上記式(13)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンとのモル比、及び、イミド化条件を調整することにより、所望の重量平均分子量を有し、両末端に上記式(1-2)で表される構造を有するイミドオリゴマーを得ることができる。
また、上記式(13)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンの一部を上記式(12)で表されるモノアミンに置き換えることにより、所望の重量平均分子量を有し、一方の末端に上記式(1-2)で表される構造を有し、他方の末端に上記式(12)で表されるモノアミンに由来する構造を有するイミドオリゴマーを得ることができる。この場合、上記式(13)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンと上記式(12)で表されるモノアミンとは、同時に添加してもよいし、別々に添加してもよい。
上記式(9)で表される酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸無水物、3,3’-オキシジフタル酸無水物、3,4’-オキシジフタル酸無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物、4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物、4,4’-ビス(2,3-ジカルボキシルフェノキシ)ジフェニルエーテルの酸二無水物、p-フェニレンビス(トリメリテート無水物)、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
なかでも、溶解性及び耐熱性により優れるものとなることから、上記イミドオリゴマーの原料に用いる酸二無水物としては、融点が240℃以下の芳香族性酸二無水物が好ましく、融点が220℃以下の芳香族性酸二無水物がより好ましく、融点が200℃以下の芳香族性酸二無水物が更に好ましく、3,4’-オキシジフタル酸二無水物(融点180℃)、4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物(融点190℃)が特に好ましい。
なお、本明細書において上記「融点」は、示差走査熱量計を用いて、10℃/minにて昇温した際の吸熱ピークの温度として測定される値を意味する。上記示差走査熱量計としては、例えば、EXTEAR DSC6100(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)等が挙げられる。
上記式(10)で表されるジアミンのうち、芳香族ジアミンとしては、例えば、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、o-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、3,3’-ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフォン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)メタン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3-ビス(2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、1,4-ビス(2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒドロキシフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシフェニルメタン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒドロキシフェニルエーテル、ビスアミノフェニルフルオレン、ビストルイジンフルオレン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシフェニルエーテル、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジアミノ-2,2’-ジヒドロキシビフェニル等が挙げられる。なかでも、入手性に優れることから、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、1,3-ビス(2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、1,4-ビス(2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼンが好ましく、更に溶解性及び耐熱性に優れることから、1,3-ビス(2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、1,4-ビス(2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼンがより好ましい。
上記式(11)で表される酸無水物としては、例えば、フタル酸無水物、3-メチルフタル酸無水物、4-メチルフタル酸無水物、1,2-ナフタル酸無水物、2,3-ナフタル酸無水物、1,8-ナフタル酸無水物、2,3-アントラセンジカルボキシ酸無水物、4-tert-ブチルフタル酸無水物、4-エチニルフタル酸無水物、4-フェニルエチニルフタル酸無水物、4-フルオロフタル酸無水物、4-クロロフタル酸無水物、4-ブロモフタル酸無水物、3,4-ジクロロフタル酸無水物等が挙げられる。
上記式(12)で表されるモノアミンとしては、例えば、アニリン、o-トルイジン、m-トルイジン、p-トルイジン、2,4-ジメチルアニリン、3,4-ジメチルアニリン、3,5-ジメチルアニリン、2-tert-ブチルアニリン、3-tert-ブチルアニリン、4-tert-ブチルアニリン、1-ナフチルアミン、2-ナフチルアミン、1-アミノアントラセン、2-アミノアントラセン、9-アミノアントラセン、1-アミノピレン、3-クロロアニリン、o-アニシジン、m-アニシジン、p-アニシジン、1-アミノ-2-メチルナフタレン、2,3-ジメチルアニリン、2,4-ジメチルアニリン、2,5-ジメチルアニリン、3,4-ジメチルアニリン、4-エチルアニリン、4-エチニルアニリン、4-イソプロピルアニリン、4-(メチルチオ)アニリン、N,N-ジメチル-1,4-フェニレンジアミン等が挙げられる。
上記式(13)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンとしては、例えば、3-アミノフェノール、4-アミノフェノール、4-アミノ-o-クレゾール、5-アミノ-o-クレゾール、4-アミノ-2,3-キシレノール、4-アミノ-2,5-キシレノール、4-アミノ-2,6-キシレノール、4-アミノ-1-ナフトール、5-アミノ-2-ナフトール、6-アミノ-1-ナフトール、4-アミノ-2,6-ジフェニルフェノール等が挙げられる。なかでも、入手性及び保存安定性に優れ、硬化後に高いガラス転移温度が得られることから、4-アミノ-o-クレゾール、5-アミノ-o-クレゾールが好ましい。
上述した製造方法で上記イミドオリゴマーを製造した場合、上記イミドオリゴマーは、上記式(1-1)で表される構造を有する複数種のイミドオリゴマー又は上記式(1-2)で表される構造を有する複数種のイミドオリゴマーと、各原料との混合物(イミドオリゴマー組成物)に含まれるものとして得られる。上記式(10)で表されるジアミンに代えて脂肪族トリアミン又は芳香族トリアミンを用いた場合は、上記イミドオリゴマーは、上記式(2-1)で表される構造を有する複数種のイミドオリゴマー又は上記式(2-2)で表される構造を有する複数種のイミドオリゴマーと、各原料との混合物(イミドオリゴマー組成物)に含まれるものとして得られる。該イミドオリゴマー組成物は、イミド化率が70%以上であることにより、硬化剤として用いた場合に高温での機械的強度及び長期耐熱性により優れる硬化物を得ることができる。
上記イミドオリゴマー組成物のイミド化率の好ましい下限は75%、より好ましい下限は80%である。また、上記イミドオリゴマー組成物のイミド化率の好ましい上限は特にないが、実質的な上限は98%である。
なお、上記「イミド化率」は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)を用いて全反射測定法(ATR法)にて測定を行い、アミック酸のカルボニル基に由来する1660cm-1付近のピーク吸光度面積から下記式にて導出することができる。上記フーリエ変換赤外分光光度計としては、例えば、UMA600(Agilent Technologies社製)等が挙げられる。なお、下記式中における「アミック酸オリゴマーのピーク吸光度面積」は、酸二無水物とジアミン又はフェノール性水酸基含有モノアミンとを反応させた後、イミド化工程を行わずに溶媒をエバポレーション等により除去することで得られるアミック酸オリゴマーの吸光度面積である。
イミド化率(%)=100×(1-(イミド化後のピーク吸光度面積)/(アミック酸オリゴマーのピーク吸光度面積))
上記イミドオリゴマー組成物は、硬化性樹脂組成物中における溶解性の観点から、25℃においてテトラヒドロフラン10gに対して3g以上溶解することが好ましい。
上記硬化性樹脂と上記熱硬化剤(後述する硬化促進剤を含有する場合は更に硬化促進剤)との合計100重量部中における上記イミドオリゴマーの含有量の好ましい下限は20重量部、好ましい上限は80重量部である。上記イミドオリゴマーの含有量がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が、硬化前における可撓性及び加工性、及び、硬化後の耐熱性により優れるものとなる。上記イミドオリゴマーの含有量のより好ましい下限は25重量部、より好ましい上限は75重量部である。
なお、上記イミドオリゴマーが上述したイミドオリゴマー組成物に含まれるものである場合、上記イミドオリゴマーの含有量は、該イミドオリゴマー組成物(更に他のイミドオリゴマーを併用する場合は該イミドオリゴマー組成物と他のイミドオリゴマーとの合計)の含有量を意味する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化促進剤を含有することが好ましい。上記硬化促進剤を含有することにより、硬化時間を短縮させて生産性を向上させることができる。
上記硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール系硬化促進剤、3級アミン系硬化促進剤、ホスフィン系硬化促進剤、リン系硬化促進剤、光塩基発生剤、スルホニウム塩系硬化促進剤等が挙げられる。なかでも、保存安定性に優れることから、イミダゾール系硬化促進剤が好ましい。
上記硬化促進剤の含有量は、上記硬化性樹脂と上記熱硬化剤と上記硬化促進剤との合計100重量部に対して、好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限が10重量部である。上記硬化促進剤の含有量がこの範囲であることにより、優れた接着性等を維持したまま、硬化時間を短縮させる効果により優れるものとなる。上記硬化促進剤の含有量のより好ましい下限は0.05重量部、より好ましい上限は5重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、高分子化合物を含有することが好ましい。上記高分子化合物を含有することにより、得られる硬化性樹脂組成物の硬化物が長期耐熱性に優れるものとなり、かつ、海島構造を形成しやすくなる。本発明の硬化性樹脂組成物が上記高分子化合物を含有する場合、上記高分子化合物は、通常、海島構造の島部分を構成する成分となる。
上記高分子化合物の重量平均分子量の好ましい下限は1万、好ましい上限は20万である。上記高分子化合物の重量平均分子量がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が硬化前における可撓性及び加工性、及び、硬化後の長期耐熱性により優れるものとなり、かつ、海島構造の形成がより容易となる。上記高分子化合物の重量平均分子量のより好ましい下限は2万、より好ましい上限は10万である。
上記高分子化合物は、脂肪族骨格を含むことが好ましい。上記高分子化合物は、脂肪族骨格を含むことにより、海島構造の形成がより容易となる。
上記高分子化合物としては、例えば、ポリイミド、フェノキシ樹脂、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリマレイミド、シアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル等が挙げられる。なかでも、耐熱性の観点から、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリマレイミドが好ましく、ポリイミドがより好ましい。
上記高分子化合物の含有量は、上記硬化性樹脂と上記熱硬化剤(上記硬化促進剤を含有する場合は更に上記硬化促進剤)との合計100重量部に対して、好ましい下限が5重量部、好ましい上限が50重量部である。上記高分子化合物の含有量がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物の硬化物が長期耐熱性により優れるものとなり、かつ、海島構造の形成がより容易となる。上記高分子化合物の含有量のより好ましい下限は10重量部、より好ましい上限は40重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲において、無機充填剤を含有してもよい。
上記無機充填剤は、シリカ及び硫酸バリウムの少なくともいずれかであることが好ましい。上記無機充填剤としてシリカ及び硫酸バリウムの少なくともいずれかを含有することにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、耐リフロー性、めっき耐性、及び、加工性により優れるものとなる。
上記シリカ及び上記硫酸バリウム以外のその他の無機充填剤としては、例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、ガラスパウダー、ガラスフリット、ガラス繊維、カーボンファイバー、無機イオン交換体等が挙げられる。
上記無機充填剤としては、平均粒子径が50nm以上4μm未満のものが好適に用いられる。
上記無機充填剤の含有量は、上記硬化性樹脂と上記熱硬化剤(上記硬化促進剤を含有する場合は更に上記硬化促進剤)との合計100重量部に対して、好ましい上限が200重量部である。上記無機充填剤の含有量がこの範囲であることにより、優れたタック性等を維持したまま、得られる硬化性樹脂組成物の硬化物が耐リフロー性やめっき耐性により優れるものとなる。上記無機充填剤の含有量のより好ましい上限は150重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、被着体への短時間での塗れ性と形状保持性とを向上させる等の目的で流動調整剤を含有することが好ましい。
上記流動調整剤としては、例えば、アエロジル等のヒュームドシリカや層状ケイ酸塩等が挙げられる。
また、上記流動調整剤としては、平均粒子径が100nm未満のものが好適に用いられる。
上記流動調整剤の含有量は、上記硬化性樹脂と上記熱硬化剤(上記硬化促進剤を含有する場合は更に上記硬化促進剤)との合計100重量部に対して、好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が50重量部である。上記流動調整剤の含有量がこの範囲であることにより、被着体への短時間での塗れ性と形状保持性とを向上させる等の効果により優れるものとなる。上記流動調整剤の含有量のより好ましい下限は0.5重量部、より好ましい上限は30重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、応力緩和、靭性付与等を目的として有機充填剤を含有してもよい。
上記有機充填剤としては、例えば、シリコーンゴム粒子、アクリルゴム粒子、ウレタンゴム粒子、ポリアミド粒子、ポリアミドイミド粒子、ポリイミド粒子、ベンゾグアナミン粒子、及び、これらのコアシェル粒子等が挙げられる。なかでも、ポリアミド粒子、ポリアミドイミド粒子、ポリイミド粒子が好ましい。
上記有機充填剤の含有量は、上記硬化性樹脂と上記熱硬化剤(上記硬化促進剤を含有する場合は更に上記硬化促進剤)との合計100重量部に対して、好ましい上限が300重量部である。上記有機充填剤の含有量がこの範囲であることにより、優れた接着性等を維持したまま、得られる硬化性樹脂組成物の硬化物が靭性等により優れるものとなる。上記有機充填剤の含有量のより好ましい上限は200重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で難燃剤を含有してもよい。
上記難燃剤としては、例えば、ベーマイト型水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水和物、ハロゲン系化合物、りん系化合物、窒素化合物等が挙げられる。なかでも、ベーマイト型水酸化アルミニウムが好ましい。
上記難燃剤の含有量は、上記硬化性樹脂と上記熱硬化剤(上記硬化促進剤を含有する場合は更に上記硬化促進剤)との合計100重量部に対して、好ましい上限が200重量部である。上記難燃剤の含有量がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が優れた接着性等を維持したまま、難燃性に優れるものとなる。上記難燃剤の含有量のより好ましい上限は150重量部である。
上記硬化性樹脂組成物は、塗工性等の観点から溶剤を含有してもよい。
上記溶剤としては、塗工性や貯蔵安定性等の観点から、沸点が200℃未満の溶剤が好ましい。
上記沸点が200℃未満の溶剤としては、例えば、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤、ハロゲン系溶剤、エーテル系溶剤、含窒素系溶剤等が挙げられる。
上記アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソブチルアルコール、ノルマルブチルアルコール、ターシャリーブチルアルコール、2-エチエルヘキサノール等が挙げられる。
上記ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
上記エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸メトキシブチル、酢酸アミル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸イソプロピル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等が挙げられる。
上記炭化水素系溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、イソオクタン、ノルマルデカン、ノルマルヘプタン等が挙げられる。
上記ハロゲン系溶剤としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレン等が挙げられる。
上記エーテル系溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、3-メトキシブタノール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、4-メチルアニソール等が挙げられる。
上記含窒素系溶剤としては、例えば、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
なかでも、取り扱い性やイミドオリゴマーの溶解性等の観点から、沸点が60℃以上200℃未満のケトン系溶剤、沸点が60℃以上200℃未満のエステル系溶剤、及び、沸点が60℃以上200℃未満のエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。このような溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソブチル、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール等が挙げられる。
なお、上記「沸点」は、101kPaの条件で測定される値、又は、沸点換算図表等で101kPaに換算された値を意味する。
上記溶剤を含む硬化性樹脂組成物100重量部中における上記溶剤の含有量の好ましい下限は20重量部、好ましい上限は90重量部である。上記溶剤の含有量がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が塗工性等により優れるものとなる。上記溶剤の含有量のより好ましい下限は30重量部、より好ましい上限は80重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で反応性希釈剤を含有してもよい。
上記反応性希釈剤としては、接着信頼性の観点から、1分子中に2つ以上の反応性官能基を有する反応性希釈剤が好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、更に、カップリング剤、分散剤、貯蔵安定化剤、ブリード防止剤、フラックス剤、レベリング剤等の添加剤を含有してもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物を製造する方法としては、例えば、混合機を用いて、硬化性樹脂と、光重合開始剤と、熱硬化剤と、必要に応じて添加する硬化促進剤等とを混合する方法等が挙げられる。上記混合機としては、例えば、ホモディスパー、万能ミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、広い用途に用いることができるが、特に高い耐熱性が求められている電子材料用途に好適に用いることができる。例えば、航空、車載用電気制御ユニット(ECU)用途や、SiC、GaNを用いたパワーデバイス用途におけるダイアタッチ剤等に用いることができる。また、例えば、パワーオーバーレイパッケージ用接着剤、封止剤、フレキシブルプリント基板又はカバーレイフィルム用接着剤、銅張積層板、半導体接合用接着剤、層間絶縁膜、プリプレグ、LED用封止剤、構造材料用接着剤等にも用いることができる。なかでも、フレキシブルプリント基板又はカバーレイフィルムの接着に好適に用いられる。
本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物もまた、本発明の1つである。
本発明の硬化性樹脂組成物を用いてなる接着剤もまた、本発明の1つである。本発明の接着剤をフィルム上に塗工した後、乾燥させる等の方法により、接着フィルムを得ることができる。本発明の接着剤を用いてなる接着フィルムもまた、本発明の1つである。
本発明によれば、長期耐熱性及び冷熱サイクルにおける応力緩和性に優れる硬化性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該硬化性樹脂組成物の硬化物、並びに、該硬化性樹脂組成物を用いてなる接着剤及び接着フィルムを提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(イミドオリゴマー組成物の作製)
4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物(東京化成工業社製)104重量部をN-メチルピロリドン(富士フイルム和光純薬社製、「NMP」)300重量部に溶解させた。得られた溶液にダイマージアミンであるプリアミン1074(クローダ社製)28重量部をN-メチルピロリドン100重量部で希釈した溶液を添加し、25℃で2時間撹拌して反応させてアミック酸オリゴマー溶液を得た。得られたアミック酸オリゴマー溶液からN-メチルピロリドンを減圧除去した後、300℃で2時間加熱することにより、イミドオリゴマー組成物(イミド化率93%)を得た。
なお、得られたイミドオリゴマー組成物は、H-NMR、GPC、及び、FT-IR分析により、上記式(4-1)又は(4-3)で表される構造を有する脂肪族ジアミン残基含有イミドオリゴマー(Aは4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物残基、Bはダイマージアミン残基)を含むことを確認した。また、該イミドオリゴマー組成物の重量平均分子量は2200であった。
(合成例1(ポリイミド樹脂溶液Aの作製))
撹拌機、分水器、及び、窒素ガス導入管を備えた反応容器に4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物(東京化成工業社製)50.5重量部、及び、シクロヘキサノン200重量部を仕込み、溶解させた。得られた溶液に、ダイマージアミンであるプリアミン1074(クローダ社製)46.8重量部とシクロヘキサノン55.0重量部の混合溶液を滴下した後、150℃で8時間かけてイミド化反応を行った。次いで、脱水剤としてトルエンを40重量部を仕込み、180℃で3時間トルエンを還流しながらポリイミドの閉環に伴う水を水分トラップ装置に追い出し、その後、水及びトルエンを水分トラップ装置経由で除きながら4時間撹拌を行い、ポリイミド樹脂溶液Aを得た。なお、得られたポリイミド樹脂溶液Aの固形分濃度は30重量%、ポリイミド樹脂の重量平均分子量は2万であった。
(合成例2(ポリイミド樹脂溶液Bの作製))
ダイマージアミンであるプリアミン1074(クローダ社製)45.8重量部としたこと以外は、上記「(ポリイミド樹脂溶液Aの作製)」と同様にしてポリイミド樹脂溶液Bを得た。なお、得られたポリイミド樹脂溶液Bの固形分濃度は29重量%、ポリイミド樹脂の重量平均分子量は3万であった。
(合成例3(ポリイミド樹脂溶液Cの作製))
ダイマージアミンであるプリアミン1074(クローダ社製)15.6重量部としたこと以外は、上記「(ポリイミド樹脂溶液Aの作製)」と同様にしてポリイミド樹脂溶液Cを得た。なお、得られたポリイミド樹脂溶液Cの固形分濃度は25重量%、ポリイミド樹脂の重量平均分子量は5000であった。
(実施例1~5、比較例1、2)
表1に記載された配合比に従い、各材料を撹拌混合し、実施例1~5、比較例1、2の各硬化性樹脂組成物を作製した。
(硬化物のシリコンチップに対する初期接着力)
得られた各硬化性樹脂組成物を、長さ10mm、幅10mmのポリイミド基板に塗布し、長さ50μm、幅3mm、厚さ3mmのシリコンチップを重ねた。次いで、190℃で1時間加熱することにより硬化性樹脂組成物を硬化させ、試験片を得た。得られた試験片について、ダイシェアテスターを用いて、100μm/sの速度で25℃におけるダイシェア強度を測定し、得られたダイシェア強度を硬化物のシリコンチップに対する初期接着力とした。上記ポリイミド基板としては、カプトン200H(東レ・デュポン社製、表面粗さ0.03~0.07μm)を用い、上記シリコンチップとしては、グローバルウェーハ社製のシリコンチップ(表面粗さ0.5~1.0nm)を用い、上記ダイシェアテスターとしては、DAGE4000(Nordson社製)を用いた。結果を表1に示した。
(150℃で1000時間保管した後の硬化物のシリコンチップに対する接着力)
上記「(硬化物のシリコンチップに対する初期接着力)」と同様にして得られた試験片を150℃のオーブンで1000時間保管した。次いで、保管後の試験片について、ダイシェアテスターを用いて、100μm/sの速度でダイシェアを実施し、接着力を測定した。得られた接着力を150℃で1000時間保管した後の硬化物のシリコンチップに対する接着力とした。結果を表1に示した。
(ガラス転移温度)
実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物を厚みが約20μmとなるように基材PETフィルム上に塗工し、乾燥させることにより、基材PETフィルム上に硬化性接着フィルムを作製した。得られた各硬化性接着フィルムを厚さ約300μmとなるように積層し、幅3mm、長さ5cmに切り出し、190℃で1時間加熱することにより硬化させ、硬化物を作製した。
得られた各硬化物について、動的粘弾性測定装置(SII社製「EXSTAR6000」)を用いて、変形モード:引っぱり、歪振幅10μm、測定周波数10Hz、昇温速度10℃/minの条件で30℃~300℃の範囲で動的粘弾性を測定した。損失正接(tanδ)の極大値の温度をガラス転移温度として求めた。結果を表1に示した。
(海島構造の有無)
実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物を厚みが約20μmとなるように基材PETフィルム上に塗工し、乾燥させることにより、基材PETフィルム上に硬化性接着フィルムを作製した。得られた各硬化性接着フィルムを厚さ約300μmとなるように積層し、幅3mm、長さ5cmに切り出し、190℃で1時間加熱することにより硬化させ、硬化物を作製した。
得られた硬化物について、透過型電子顕微鏡を用いて、2000~1万倍の倍率で観察することにより海島構造の有無を確認した。結果を表1に示した。
<評価>
実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物について以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(高分子化合物の硬化性樹脂組成物への溶解性)
実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物について、-15℃で30日間貯蔵した後の状態を目視にて観察した。各硬化性樹脂組成物について、均一であった場合を「○」、分離、析出物が確認された場合を「×」として溶解性を評価した。
(長期耐熱性)
実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物を厚みが約20μmとなるように基材PETフィルム上に塗工し、乾燥させることにより、基材PETフィルム上に硬化性樹脂組成物フィルムを作製した。得られた硬化性樹脂組成物フィルムから基材PETフィルムを剥離し、両面に厚さ20μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、「カプトンV」)を積層し、190℃で1時間加熱することにより硬化させ、試験片を得た。得られた試験片について、150℃で1000時間熱処理を行った。熱処理後の試験片を目視にて観察し、硬化性樹脂組成物の硬化物へのクラックの有無を確認した。ひびや割れが全く確認されなかった場合を「○」、ひびや割れが確認された場合を「×」として長期耐熱性を評価した。
(冷熱サイクル試験)
上記「(硬化物のシリコンチップに対する初期接着力)」と同様にして得られた試験片について、-55℃/30分、200℃/30分を1サイクルとして1000サイクル実施する冷熱サイクル試験を行った。冷熱サイクル試験後の試験片を光学顕微鏡にて観察し、硬化性樹脂組成物の硬化物へのクラックの有無を確認した。ひびや割れが全く確認されなかった場合を「○」、ひびや割れが確認された場合を「×」として評価した。
また、冷熱サイクル試験後の試験片について、ダイシェアテスターを用いて、100μm/sの速度でダイシェアを実施し、接着力を測定した。上記ダイシェアテスターとしては、DAGE4000(Nordson社製)を用いた。
Figure 2022105887000014
本発明によれば、長期耐熱性及び冷熱サイクルにおける応力緩和性に優れる硬化性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該硬化性樹脂組成物の硬化物、並びに、該硬化性樹脂組成物を用いてなる接着剤及び接着フィルムを提供することができる。

Claims (10)

  1. 硬化性樹脂と硬化剤とを含有し、
    硬化物のシリコンチップに対する初期接着力が5.0N/mm以上であり、
    150℃で1000時間保管した後の硬化物のシリコンチップに対する接着力が5.0N/mm以上であり、かつ、
    硬化物が海島構造を有する
    ことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. 硬化物が30℃以上160℃以下の範囲内の低温側ガラス転移温度と、150℃以上200℃以下の範囲内の高温側ガラス転移温度とを有する請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 前記硬化性樹脂は、エポキシ樹脂を含む請求項1又は2記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 前記硬化剤は、イミドオリゴマーを含む請求項1、2又は3記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 前記イミドオリゴマーは、重量平均分子量が500以上5000以下である請求項4記載の硬化性樹脂組成物。
  6. 高分子化合物を含有する請求項1、2、3、4又は5記載の硬化性樹脂組成物。
  7. 前記高分子化合物は、重量平均分子量が1万以上20万以下である請求項6記載の硬化性樹脂組成物。
  8. 請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の硬化性樹脂組成物の硬化物。
  9. 請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の硬化性樹脂組成物を用いてなる接着剤。
  10. 請求項9記載の接着剤を用いてなる接着フィルム。
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