JP2022102437A - 連続構造梁及びこれを使用した屋根構造 - Google Patents

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哲二郎 亀田
Tetsujiro Kameda
彰 野呂
Akira Noro
梨絵 吉浦
Rie Yoshiura
大地 畠山
Daichi Hatakeyama
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Abstract

【課題】連続化した第1及び第2構造梁に作用する正方向及び負方向の曲げモーメントに確実に抗することができる連続構造梁を提供する。【解決手段】第1構造梁10Aの一方の端部及び連結部材11を固定する第1固定部12と、第2構造梁10Bの一方の端部及び連結部材を固定する第2固定部13と、第1固定部に対して第1構造梁の他方の端部側に離間した位置で第1構造梁及び連結部材を固定する第3固定部14と、第2固定部に対して第2構造梁の他方の端部側に離間した位置で第2構造梁及び連結部材を固定する第4固定部15と、を備えている。そして、第1構造梁及び第2構造梁に作用する正方向及び負方向の曲げモーメントに対して、第1固定部及び第3固定部の間で生じる反力Fと、第2固定部及び第4固定部の間で生じる反力Fとで発生する抵抗モーメントM1が対抗するようにした。【選択図】図3

Description

本発明は、長手方向の端部で隣接する一対の構造梁を連結した連続構造梁及びこれを使用した屋根構造に関する。
鉄骨造の建築物の屋根構造は、複数の柱上部に形鋼からなる複数の主梁が平行に連結され、複数の主梁上に、形鋼からなる複数の小梁(構造梁)が主梁に交差して平行に連結され、小梁上に複数の屋根材を並べて連結することで屋根が形成されている。
従来の小梁は、主梁間に長手方向の両端が連結される単純梁として配置されていた。屋根材には、自重とともに暴風時の風荷重が鉛直方向に作用するので、単純梁として配置された小梁の長手方向中央には、風荷重によって大きな曲げモーメントが作用する。このため、従来の小梁は、大きな曲げモーメントが作用しても変形量が抑制できるような大断面の形鋼が必要であった。
そこで、長手方向の端部で隣接する1対の小梁の端部同士を、連結部材を介して連結することで、風荷重による曲げモーメントが作用しても小さな小梁断面で変形量を抑制し、経済性を向上させる技術が提案されている(例えば特許文献1)。
特許文献1の構造は、主梁上に受部材が固定され、この受部材の立ち上がり部に、長手方向の端部で隣接する一対の小梁の端部と連結部材とが2本のボルトで固定されているとともに、連結部材の一部が一対の小梁の一部に、上部又は下部のどちらか一方の水平方向の面接触状態で当接している。
特開2017-114731号公報
屋根に作用する風荷重には吹き上げや吹き降ろしがあり、このような風荷重を支持する一対の小梁の長手方向の端部には、正方向及び負方向の回転力が作用する。
特許文献1の梁構造は、正方向及び負方向の回転力の一方の反力を、連結部材及び小梁の上部又は下部のどちらか一方の水平方向の面接触部分で受けているため、小梁に曲がりが生じたときには面接触状態が変化して、曲げに対する十分な剛性が確保できない場合がある。また、連結部材及び小梁の面接触部分は上部又は下部のどちらか一方の水平方向に限られているため、正方向及び負方向の回転力の一方に抗することができない。
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、連続化した第1及び第2構造梁に作用する正方向及び負方向の曲げモーメントに確実に抗することができる連続構造梁を提供するとともに、風荷重による大きな曲げモーメントが作用しても屋根材を確実に支持することができる屋根構造を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る連続構造梁は、直線状に並べて互いの一方の端部同士を突き合わせて配置した第1構造梁及び第2構造梁と、第1構造梁及び第2構造梁の一方の端部を跨いで配置された連結部材と、を備え、少なくとも、第1構造梁の一方の端部及び前記連結部材を固定する第1固定部と、第2構造梁の一方の端部及び連結部材を固定する第2固定部と、第1固定部に対して第1構造梁の他方の端部側に離間した位置で第1構造梁及び連結部材を固定する第3固定部と、第2固定部に対して第2構造梁の他方の端部側に離間した位置で第2構造梁及び連結部材を固定する第4固定部と、を備えており、第1構造梁及び第2構造梁に作用する正方向及び負方向の曲げモーメントに対して、第1固定部及び第3固定部の間で生じる反力と、第2固定部及び第4固定部の間で生じる反力とで発生する抵抗モーメントが対抗するようにした。
また、本発明に係る屋根構造は、上記連続構造梁を、屋根材を支持する母屋として大梁に交差して固定して構成した。
本発明に係る連続構造梁によると、連続化した第1及び第2構造梁に作用する正方向及び負方向の曲げモーメントに確実に抗することができる。また、本発明に係る屋根構造は、風荷重による大きな曲げモーメントが作用しても屋根材を確実に支持することができる。
本発明に係る第1実施形態の屋根構造を示す斜視図である。 第1実施形態の屋根構造を構成する連続小梁部の要部を示す斜視図である。 第1実施形態の連続小梁部の構成を示す図である。 図3のIV-IV線矢視図である。 第1実施形態の連続小梁部の組み立て途中を示す図である。 本発明に係る第1~第8締結部を設けた第2実施形態の連続小梁部の構成を示す図である。 本発明に係る第3実施形態の連続小梁部を示す図である。 本発明に係る第4実施形態の連続小梁部を示す図である。
次に、図面を参照して、本発明に係る実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
[第1実施形態の屋根構造]
図1は、本発明に係る第1実施形態の屋根構造1の一部を示すものであり、H型鋼からなる大梁2と、大梁2に交差して固定された連続小梁部3と、を示している。
大梁2は、上下方向に延在するウェブ4と、ウェブ4の上端及び下端から交差する上部フランジ5、下部フランジ6と、を備えており、図示しないが、他の大梁も、大梁2に対して幅方向に所定間隔をあけて平行に複数配置されている。連続小梁部3は、複数の大梁2上に、所定間隔をあけて平行に複数配置されており、複数の連続小梁部3を、複数の屋根材を並べて連結する母屋として使用することで屋根が形成されている。
大梁2の上部フランジ5には、図2に示すように、クリップ8が固定されている。クリップ8は、金属板をL字状に曲げて小梁支持板8a及び大梁接続板8bを有する部材で
あり、大梁接続板8bが上部フランジ5に溶接で固定され、小梁支持板8aの面方向が大梁2に直交する方向に延在するように配置されている。
[第1実施形態の連続小梁部]
第1実施形態の連続小梁部3は、図1に示すように、長手方向に並べて長手方向端部同士を突き合せて配置した一対の小梁10A,10Bと、一対の小梁10A,10Bの端部同士を跨いで固定されている連結部材11と、を備え、クリップ8を介して大梁2に固定されている。
小梁10A,10Bは、Z形鋼で構成されており、図2に示すように、梁ウェブ10aと、梁ウェブ10aの幅方向一端から直交して延在する第1梁フランジ10bと、第1梁フランジ10bの端部から直交して梁ウェブ10aに平行に延在する梁リップ部10cと、梁ウェブ10aの幅方向他端から第1梁フランジ10bが延在する方向に対して逆方向に直交する第2梁フランジ10dと、第2梁フランジ10dの端部から直交して梁ウェブ10aに平行に延在する梁リップ部10eと、を備えている。
連結部材11はC形鋼で構成されており、図2に示すように、連結ウェブ11aと、連結ウェブ11aの幅方向一端から直交して延在する第1連結フランジ11bと、第1連結フランジ11bの端部から直交して連結ウェブ11aに平行に延在する連結リップ部11cと、連結ウェブ11aの幅方向他端から第1連結フランジ11bと同一方向に平行に延在する第2連結フランジ11dと、第2連結フランジ11dの端部から直交して連結ウェブ11aに平行に延在する連結リップ部11eと、を備えている。
図2に示すように、小梁10Aの梁ウェブ10aの高さH1は、連結部材11の連結ウェブ11aの高さH2と略同一寸法に設定されている(H1≒H2)。また、小梁10Aの第2梁フランジ10d(第1梁フランジ10b)のフランジ幅F1は、連結部材11の第2連結フランジ11d(第1連結フランジ11b)のフランジ幅F2より大きく設定されている(F1>F2)。
一対の小梁10A、10Bは、図2に示すように、互いの梁ウェブ10aが上下方向に延在して、大梁2に直交する方向に長手方向に並べて直線状に配置されている。そして、一対の小梁10A、10Bの互いの長手方向の端部同士を突き合せ、突き合せた互いの長手方向の端部側の梁ウェブ10aが、クリップ8の小梁支持板8aに当接する。
また、連結部材11は、一対の小梁10A,10Bの端部同士を跨ぐように配置されている。そして、連結ウェブ11aが一対の小梁10A,10Bの梁ウェブ10aに当接し、第2連結フランジ11d及び連結リップ部11eが、一対の小梁10A、10Bの第2梁フランジ10d及び梁リップ部10eの内側に嵌まり込んでいる。そして、第1連結フランジ11b及び連結リップ部11cが、一対の小梁10A、10Bの第1梁フランジ10b及び梁リップ部10cに対して逆側に延在するように配置されている。
[連続小梁部の第1~第4締結部の構造]
そして、図3に示すように、一方の小梁10Aは、他方の小梁10Bに突き合わせた長手方向の端部側に設けた第1締結部12で連結部材11及びクリップ8に固定されているとともに、他方の小梁10Bは、第1締結部12に近くの一方の小梁10Aに突き合わせた長手方向の端部側に設けた第2締結部13で連結部材11及びクリップ8に固定されている。
また、一方の小梁10Aは、第1締結部12に離間して連結部材11の一方の端部側に設けた第3締結部14で連結部材11に固定されているとともに、他方の小梁10Bは、第2締結部13に離間して連結部材11の他方の端部側に設けた第4締結部15に固定されている。
第1締結部12は、図4に示すように、上下方向に離間して配置した3本のボルト及びナットを備えている。第1締結部12の中で最上部に位置する第1ボルト16は、連結部材11の連結ウェブ11a及び一方の小梁10Aの梁ウェブ10aが当接している位置で両者を貫通した後に第1ナット17を締め込むことで、一方の小梁10A及び連結部材11を固定している。第1締結部12の中で最下部に位置する第2ボルト18は、連結部材11の連結ウェブ11a、クリップ8の小梁支持板8a及び一方の小梁10Aの梁ウェブ10aが当接している位置で三者を貫通した後に第2ナット19を締め込むことで、一方の小梁10A、クリップ8及び連結部材11を固定している。
また、第1締結部12の中で中間に位置する第3ボルト20は、連結部材11の連結ウェブ11aに形成した自身のボルト頭部20aより大きな直径の貫通孔11fを通過し、一方の小梁10Aの梁ウェブ10a及びクリップ8の小梁支持板8aが当接している位置で両者を貫通した後に第3ナット21を締め込むことで、一方の小梁10A及びクリップ8を固定している。
また、第2締結部13は、図示しないが、第1締結部12と同様に、上下方向に離間して配置した第1~第3ボルト16,18,20及び第1~第3ナット17,19,21を使用して他方の小梁10B、クリップ8の小梁支持板8a及び連結部材11を固定している。
第3締結部14は、一方の小梁10Aの梁ウェブ10a及び連結部材11の連結ウェブ11aを上下2本の第4及び第5ボルト22,23が貫通してナット(不図示)を締め込むことで、一方の小梁10A及び連結部材11が固定されている。また、第4締結部15も、他方の小梁10Bの梁ウェブ10a及び連結部材11の連結ウェブ11aを上下2本の第4及び第5ボルト22,23が貫通してナット(不図示)を締め込むことで、他方の小梁10B及び連結部材11が固定されている。
ここで、図5は、第1締結部12(第2締結部13)の組立途中を示すものであり、先ず、第3ボルト20を、一方の小梁10A(他方の小梁10B)の梁ウェブ10a及びクリップ8の小梁支持板8aに貫通して第3ナット21を締め込むことで、一方の小梁10A及びクリップ8を固定する。次いで、連結部材11を、一対の小梁10A,10Bの端部同士を跨ぐように配置し、第2連結フランジ11d及び連結リップ部11eを、一対の小梁10A、10Bの第2梁フランジ10d及び梁リップ部10eの内側に嵌めこみ、連結ウェブ11aに形成した貫通孔11fに第3ボルト20を挿通しながら、連結ウェブ11aを梁ウェブ10aに当接させる。そして、当接した連結ウェブ11a及び梁ウェブ10aに第1ボルト16及び第2ボルト18を貫通して第1ナット17及び第2ナット19を締め込むことで、第1締結部12(第2締結部13)の固定が完了する。
[第1実施形態の連続小梁部及び屋根構造の作用効果]
本実施形態の連続小梁部3に、図3に示す曲げモーメント(正方向曲げモーメントと称する)が生じると、一方の小梁10A及び連結部材11を固定している第1締結部12と第3締結部14には、正方向曲げモーメントに対する反力が生じることで、連結部材11の曲げ抵抗によって抵抗モーメントM1が発生する。第1締結部12及び第3締結部14に生じる反力をFとし、第1締結部12と第3締結部14との間隔をLとすると、抵抗モーメントM1=F×Lとなる。また、他方の小梁10B及び連結部材11を固定している第2締結部13と第4締結部15にも、正方向曲げモーメントに対する反力が生じて抵抗モーメントM2が発生し、第2締結部13及び第4締結部15に生じる反力をFとし、第1締結部12と第3締結部14との間隔をLとすると、抵抗モーメントM2=F×Lとなる。
一方、図3の正方向曲げモーメントに対して逆向きの曲げモーメント(負方向曲げモーメントと称する)が生じると、一方の小梁10A及び連結部材11を固定している第1締結部12と第3締結部14には、連結部材11の曲げ抵抗による抵抗モーメントM1が発生する。この抵抗モーメントM1は、第1締結部12及び第3締結部14に生じる図3とは逆向きの反力Fと、第1締結部12と第3締結部14との間隔Lとで、M1=F×Lとなる。また、他方の小梁10B及び連結部材11を固定している第2締結部13と第4締結部15には、連結部材11の曲げ抵抗による抵抗モーメントM2が発生する。この抵抗モーメントM2は、第2締結部13及び第4締結部15に生じる図3とは逆向きの反力Fと、第2締結部13と第4締結部15との間隔Lとで、M2=F×Lとなる。
したがって、本実施形態の長手方向に並んで配置された連続小梁部3は、一対の小梁10A,10Bに、正方向及び負方向曲げモーメントが作用すると、一方の小梁10Aと連結部材11とを固定する2箇所の第1締結部12及び第3締結部14が設けられており、他方の小梁10Bと連結部材11とを固定する2箇所の第2締結部13及び第4締結部15が設けられていることから、正方向及び負方向曲げモーメントに対抗する抵抗モーメントM1、M2が連結部材11で発生する。これにより、一対の小梁10A,10B及びこれらを固定する連結部材11からなる連続小梁部3を、十分な曲げ耐力を有する構造部材として使用することができる。
また、連続小梁部3を、屋根構造1の複数の屋根材が並べて連結される母屋として使用することで、屋根に吹き上げや吹き降ろしの風荷重が作用しても、連続小梁部3が正方向及び負方向曲げモーメントに対して十分な曲げ耐力を有するので、吹き上げや吹き降ろしの風荷重に対する耐久効果を十分に高めた屋根構造1とすることができる。
また、第1締結部12~第4締結部15は、一対の小梁10A,10Bの梁ウェブ10a及び連結部材11の連結ウェブ11aが面接触した状態で、上下方向に配置した少なくとも2本以上のボルト及びナットの締め込みで一対の小梁10A,10B及び連結部材が固定されていることから、正方向及び負方向曲げモーメントに対抗する抵抗モーメントM1、M2が発生する際に、梁ウェブ10a及び連結ウェブ11aの面外変形が防止され、連続小梁部3の剛性を確保することができる。
また、連続小梁部3は、Z形鋼で構成した一対の小梁10A,10Bと、C形鋼で構成した連結部材11に限るものではなく、一対の小梁10A,10Bを、コ形鋼、L形鋼、H形鋼、角形鋼管で構成し、連結部材11を、コ形鋼、L形鋼、H形鋼、角形鋼管で構成してもよい。このように、一対の小梁10A,10B及び連結部材11を、複数種類の形鋼の中から2種類を選んで構成することにより、断面形状の選定の自由度が広くなり、経済的で施工性を向上させることができる。
さらに、連続小梁部3の第1締結部12及び第3締結部14との間隔L、第2締結部13及び第4締結部15との間隔Lを長く設定すると、第1締結部12~第4締結部15で生じる反力Fが小さくなり、ボルト及びナットの本数を減少させることができる。
上記実施形態では、Z形鋼で構成した一対の小梁10A,10Bは、高さH1が237.5mm、フランジ幅F1が68.8mm、板厚が2mmである。また、C形鋼で構成した連結部材11は、高さH2が232mm、フランジ幅F2が60mm、板厚が2.3mmである。上述した寸法の一対の小梁10A,10B及び連結部材11を使用して連続小梁部3を構成する場合、第1締結部12と第3締結部14との間隔L(第2締結部13と第4締結部15との間隔L)は、715mmであり、第1締結部12と第3締結部14との間隔(第2締結部13と第4締結部15との間隔)Lと一対の小梁10A,10Bの高さH1との関係は、L/H1=3.1である。一般に、L/H1≧2.5にすると、第1~第4締結部12~15の配置、固定部材(ボルト及びナット)の仕様などを適切に選定することができる。
[第2実施形態の連続小梁部]
次に、図6は、第2実施形態の連続小梁部30を示すものである。なお、図3で示した第1実施形態の連続小梁部30と同一構成部分には、同一符号を付して説明は省略する。
一方の小梁10A(Z形鋼)は、他方の小梁10B(Z形鋼)に突き合わせた長手方向の端部側に設けた第1締結部31で連結部材11(C形鋼)及びクリップ8に固定されているとともに、第1締結部31に近接する位置に設けた第2締結部32で連結部材11に固定されている。また、他方の小梁10B(Z形鋼)は、第1締結部31に近くの一方の小梁10Aに突き合わせた長手方向の端部側に設けた第3締結部33で連結部材11及びクリップ8に固定されているとともに、第3締結部33に近接する位置に設けた第4締結部34で連結部材11に固定されている。
また、一方の小梁10Aは、第1及び第2締結部31,32に離間して連結部材11の一方の端部側に設けた第5締結部35で連結部材11に固定されているとともに、第5締結部35に近接する位置に設けた第6締結部36でも連結部材11に固定されている。
さらに、他方の小梁10Bは、第3及び第4締結部33,34に離間して連結部材11の他方の端部側に設けた第7締結部37で連結部材11に固定されているとともに、第7締結部37に近接する位置に設けた第8締結部38でも連結部材11に固定されている。
第1~第8締結部31~38の各々は、上下方向に離間して一対の小梁10A,10B及び連結部材を貫通締結する3本のボルト及びナットで構成されている。
本実施形態の連続小梁部30に正方向曲げモーメントが生じると、一方の小梁10A及び連結部材11を固定している第1、第2締結部31,32及び第5、第6締結部35,36には、正方向曲げモーメントに対する反力が生じることで、連結部材11の曲げ抵抗によって抵抗モーメントM3が発生する。第1締結部31及び第6締結部36に生じる反力をF1とし、第2締結部32及び第5締結部35に生じる反力をF2とし、第1締結部31と第6締結部36との間隔をL1とし、第2締結部32と第5締結部35との間隔をL2とすると、抵抗モーメントM1=F1×L1+F2×L2となる。また、他方の小梁10B及び連結部材11を固定している第3、第4締結部33,34及び第7、第8締結部37,38にも、正方向曲げモーメントに対する反力が生じて抵抗モーメントM4が発生する。この抵抗モーメントM4は、第4締結部33及び第8締結部38に生じる反力をF1とし、第4締結部34及び第7締結部37に生じる反力をF2とし、第3締結部33と第8締結部38との間隔をL1とし、第4締結部34と第7締結部37との間隔をL2とすると、抵抗モーメントM4=F1×L1+F2×L2となる。
一方、図3の正方向曲げモーメントに対して逆向きの負方向曲げモーメントが生じると、一方の小梁10A及び連結部材11を固定している第1、第2締結部31,32及び第5、第6締結部35,36には、負方向曲げモーメントに対する反力が生じることで、連結部材11の曲げ抵抗によって抵抗モーメントM3が発生する。また、他方の小梁10B及び連結部材11を固定している第3、第4締結部33,34及び第7、第8締結部37,38にも、負方向曲げモーメントに対する反力が生じることで、連結部材11の曲げ抵抗によって抵抗モーメントM4が発生する。
したがって、本実施形態の連続小梁部30は、一対の小梁10A,10Bに、正方向及び負方向曲げモーメントが作用すると、一方の小梁10Aと連結部材11とを固定する4箇所の第1、第2締結部31,32及び第5、第6締結部35,36が設けられており、他方の小梁10Bと連結部材11とを固定する4箇所の第3、第4締結部33,34及び第7、第8締結部37,38が設けられていることから、正方向及び負方向曲げモーメントに対抗する抵抗モーメントM3、M4が連結部材11で発生する。本実施形態の連続小梁部30は、正方向及び負方向曲げモーメントが作用すると、第2実施形態の連続小梁部3より大きな抵抗モーメントM3、M4が生じるので、第1実施形態の連続小梁部3より大きな曲げ耐力を有する構造部材として使用することができる。
また、本実施形態の連続小梁部30を、屋根構造1に使用することで、第1実施形態の連続小梁部3と比較して、吹き上げや吹き降ろしの風荷重に対する耐久効果を大幅に増大させた屋根構造1とすることができる。
[第3実施形態の連続小梁部]
次に、図7は、第3実施形態の連続小梁部40を示すものである。
連続小梁部40は、長手方向に並べて長手方向端部同士を突き合せて配置した一対の小梁41A,41Bと、一対の小梁41A,41Bの端部同士を跨いで固定されている連結部材42と、を備え、クリップ8を介して大梁2に固定されている。
一対の小梁41A,41Bは、オープンリップタイプのZ形鋼で構成されており、梁ウェブ41aと、梁ウェブ41aの幅方向一端から直交して延在する第1梁フランジ41bと、第1梁フランジ41bの端部から鈍角に延在する梁リップ部41cと、梁ウェブ41aの幅方向他端から第1梁フランジ41bが延在する方向に対して逆方向に直交する第2梁フランジ41dと、第2梁フランジ10dの端部から鈍角に延在する梁リップ部41eと、を備えている。
連結部材42も、一対の小梁41A,41Bと同一の形状のオープンリップタイプのZ形鋼で構成されており、図2に示すように、連結ウェブ42aと、連結ウェブ42aの幅方向一端から直交して延在する第1連結フランジ42bと、第1連結フランジ11bの端部から鈍角に延在する連結リップ部42cと、連結ウェブ42aの幅方向他端から第1連結フランジ42bが延在する方向に対して逆方向に直交する第2連結フランジ42dと、第2連結フランジ42dの端部から鈍角に延在する連結リップ部42eと、を備えている。
連結部材42は、前述したように一対の小梁41A,41Bの端部同士を跨ぐように配置されている。そして、連結ウェブ42aが一対の小梁41A,41Bの梁ウェブ41aに面接触状態で当接し、第1連結フランジ42b及び連結リップ部42cが、一対の小梁41A、41Bの第1梁フランジ41b及び梁リップ部41cに面接触状態で当接し、第2連結フランジ42d及び連結リップ部42eが、一対の小梁41A、41Bの第2梁フランジ41d及び梁リップ部41eに面接触状態で当接している。
そして、一対の小梁41A,41B及び連結部材42は、ボルト43及びナット44を使用して連結ウェブ42a及び梁ウェブ41aが固定され、ボルト45及びナット46を使用して連結ウェブ42a、梁ウェブ41a及びクリップ8が固定されている。これら2本のボルト43,45の固定位置は、例えば第1実施形態の連続小梁部3と同様に、一対の小梁41A,41Bの突き合わせ部分に近い位置と、この位置から離間した位置である。
本実施形態の連続小梁部40によると、小梁41A,41B及び連結部材42を運搬する際には、オープンリップタイプのZ形鋼を重ね合わせることで運搬スペースを小さくすることができるので、運搬性を良好とすることができる。また、施工直前まで、一対の小梁41A,41B及び連結部材を重ね合わせておくことができるので、施工場所の部品スペースも小さくすることができる。
[第4実施形態の連続小梁部]
次に、図8は、第4実施形態の連続小梁部50を示すものである。
本実施形態は、第1実施形態の連続小梁部3の変形であり、第1締結部12及び第2締結部13は、第1~第3ボルト16,18、20及びナット17,19、21の締め込みにより、一対の小梁10A、10Bの突き合わせ部、連結部材11及びクリップ8を固定している。
本実施形態が、第1実施形態と異なる構成は、第1締結部12に離間して連結部材11の一方の端部側に設けられている第3締結部51と、第2締結部13に離間して連結部材11の他方の端部側に設けられている第4締結部52である。
第3締結部51は、上下方向に所定間隔をあけて一方の小梁10A及び連結部材11をねじ込み固定している複数のタッピングネジ53で構成されている。また、第4締結部52も、上下方向に所定間隔をあけて他方の小梁10B及び連結部材11をねじ込み固定している複数のタッピングネジ53で構成されている。
本実施形態の連続小梁部50によると、タッピングネジ53のねじ込みにより一対の小梁10A、10B及び連結部材11を固定する第3締結部51及び第4締結部52は、第4及び第5ボルト22,23及びナットを使用する第1実施形態の連続小梁部3と比較して、タッピングネジ53のねじ込み施工が大幅に容易となるので、施工効率を向上させることができる。また、第3締結部51及び第4締結部52に多くの本数のタッピングネジ53をねじ込み、第3締結部51及び第4締結部52の反力を増大させることができるので、連結部材11の長手方向の長さを短くしても剛性を保持することができ、部品の小型化及び軽量化を図ることができる。
なお、上述した第1実施形態の連続小梁部3では、一対の小梁10A,10B及び連結部材11を固定する固定手段としてボルト及びナットを使用し、第4実施形態の連続小梁部50では、一対の小梁10A,10B及び連結部材11を固定する固定手段としてタッピングネジ53を使用したが、溶接による固定を採用しても、一対の小梁10A,10B及び連結部材11からなる連続小梁部を、十分な曲げ耐力を有する構造部材として使用することができる。
1 屋根構造
2 大梁
3 連続小梁部(連続構造梁)
4 ウェブ
5 上部フランジ
6 下部フランジ
8 クリップ
8a 小梁支持板
8b 大梁接続板
9 支持部
10A 小梁(第1構造梁)
10B 小梁(第2構造梁)
10a 梁ウェブ(梁側固定部)
10b 第1梁フランジ
10c 梁リップ部
10d 第2梁フランジ
10e 梁リップ部
11 連結部材
11a 連結ウェブ(連結側固定部)
11b 第1連結フランジ
11c 連結リップ部
11d 第2連結フランジ
11e 連結リップ部
11f 貫通孔
12 第1締結部(第1固定部)
13 第2締結部(第2固定部)
14 第3締結部(第3固定部)
15 第4締結部(第4固定部)
16 第1ボルト
17 第1ナット
18 第2ボルト
19 第2ナット
20 第3ボルト
20a ボルト頭部
21 第3ナット
22 第4ボルト
23 第5ボルト
30 連続小梁部
31 第1締結部(第1固定部)
32 第2締結部
33 第3締結部(第2固定部)
34 第4締結部
35 第5締結部
36 第6締結部(第3固定部)
37 第7締結部
38 第8固定部(第4固定部)
40 連続小梁部(連続構造梁)
41A 小梁(第1構造梁)
41B 小梁(第2構造梁)
41a 梁ウェブ(梁側固定部)
41b 第1梁フランジ
41c 梁リップ部
41d 第2梁フランジ
41e 梁リップ部
42 連結部材
42a 連結ウェブ(連結側固定部)
42b 第1連結フランジ
42c 連結リップ部
42d 第2連結フランジ
42e 連結リップ部
50 連続小梁部(連続構造梁)
51 第3締結部(第3固定部)
52 第4締結部(第4固定部)
53 タッピングネジ

Claims (7)

  1. 直線状に並べて互いの一方の端部同士を突き合わせて配置した第1構造梁及び第2構造梁と、前記第1構造梁及び前記第2構造梁の一方の端部を跨いで配置された連結部材と、を備え、
    少なくとも、前記第1構造梁の前記一方の端部及び前記連結部材を固定する第1固定部と、前記第2構造梁の前記一方の端部及び前記連結部材を固定する第2固定部と、前記第1固定部に対して前記第1構造梁の他方の端部側に離間した位置で前記第1構造梁及び前記連結部材を固定する第3固定部と、前記第2固定部に対して前記第2構造梁の他方の端部側に離間した位置で前記第2構造梁及び前記連結部材を固定する第4固定部と、を備えており、
    前記第1構造梁及び前記第2構造梁に作用する正方向及び負方向の曲げモーメントに対して、前記第1固定部及び前記第3固定部の間で生じる反力と、前記第2固定部及び前記第4固定部の間で生じる反力とで発生する抵抗モーメントが対抗するようにしたことを特徴とする連続構造梁。
  2. 前記第1構造梁及び前記第2構造梁と前記連結部材は、上下方向に延在して互いに面接触する梁側固定部及び連結側固定部を有しており、前記第1固定部から第4固定部は、上下方向に離間して設けた複数の固定手段で前記梁側固定部及び前記連結側固定部を固定することを特徴とする請求項1記載の連続構造梁。
  3. 前記固定手段は、ボルト結合手段、溶接結合手段、タッピングビス結合手段であることを特徴とする請求項2記載の連続構造梁。
  4. 前記第1構造梁及び第2構造梁は、Z形鋼、C形鋼、コ形鋼、L形鋼、H形鋼、鋼管の何れかで構成されていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の連続構造梁。
  5. 前記連結部材は、Z形鋼、C形鋼、コ形鋼、L形鋼、H形鋼、鋼管の何れかで構成されていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の連続構造梁。
  6. 前記第1構造梁及び第2構造梁の高さをH1とし、前記第1固定部と前記第3固定部との間隔及び前記第2固定部と前記第4固定部との間隔をLとすると、L/H1≧2.5 の関係を有することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の連続構造梁。
  7. 請求項1から6の何れか1項に記載の連続構造梁を、屋根材を支持する母屋として大梁に交差して固定してなることを特徴とする屋根構造。
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