JP2022101901A - 石英ガラスルツボ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】単結晶引き上げ処理において、シリコン融液に溶ける不純物を低減することができ、高純度のシリコン単結晶を得ることが可能となる石英ガラスルツボ及びその製造方法を提供する。【解決手段】透明内層4と、透明内層よりも外側に配置された少なくとも1層の外層2とを有し、透明内層4は、Fe、Ni、Cr、Cuの含有量が表面において最も小さく、表面より20~40μmの深さにおいて極大となる分布を有する、石英ガラスルツボ。透明内層4と、透明内層よりも外側に配置された少なくとも1層の外層2とを有する高純度化処理前の石英ガラスルツボを製造する工程と、高純度化処理前の石英ガラスルツボの透明内層4側から1000~1300℃の温度に加熱するとともに、透明内層4側にハロゲンガスを所定時間供給し、ハロゲンガスを透明内層4の表面と反応させて金属不純物を除去する高純度化処理を施す工程と、を備える石英ガラスルツボの製造方法。【選択図】図2
Description
本発明は、チョクラルスキー法(以下、「CZ法」という)によって単結晶を引上げるためのシリコン単結晶引上げ用石英ガラスルツボに関する。
シリコン単結晶の引き上げに用いられる石英ガラスルツボは、シリコン融液を収容する石英部材であり、融液が接触するルツボ内表面は、高純度な透明層とする必要がある。一方、ルツボ外表面側は、通常、コストの低減、及び高温機械特性向上の目的のため、一般にSi以外の金属元素を多く含む不透明外層が形成されている。
ところで、石英部材を高純度化するには、例えば特許文献1に開示されているように塩化水素等のハロゲンガスに曝し、金属不純物を除去する方法がある。
特許文献1に開示された方法では、石英部材をHF溶液でその表層から30μm以上をエッチングした後、400℃~1300℃のハロゲンガスで処理し、含有する金属不純物を除去するようにしている。
特許文献1に開示された方法では、石英部材をHF溶液でその表層から30μm以上をエッチングした後、400℃~1300℃のハロゲンガスで処理し、含有する金属不純物を除去するようにしている。
ところで、特許文献1に開示された方法においては、反応性を高めるために石英部材を高温に加熱する。通常1000℃以上の高温が適しているが、1500℃付近では石英が軟化する虞があり、1300℃程度が処理温度の上限値となる。
この温度まで加熱する場合、通常、熱源は加熱炉の側壁近傍に配置される。ここで、石英部材が石英ガラスルツボの場合、ルツボはその外面側から加熱されることになる。すると、ルツボは外側が高温で内面側が低温という温度勾配が生じる。即ち、高純度化したい透明内層よりも不透明外層が高温となる。
この温度まで加熱する場合、通常、熱源は加熱炉の側壁近傍に配置される。ここで、石英部材が石英ガラスルツボの場合、ルツボはその外面側から加熱されることになる。すると、ルツボは外側が高温で内面側が低温という温度勾配が生じる。即ち、高純度化したい透明内層よりも不透明外層が高温となる。
しかしながら、不透明外層が高温になると、高温での元素の拡散速度が大きくなり、不透明外層に含まれる金属不純物が透明内層へ拡散してくるという課題があった。
また、ハロゲンガスによる高純度層の形成も元素の拡散速度に依存するため、より高温のルツボ外層側から金属不純物が拡散してくる環境は、十分な厚さの高純度層を形成することができないという課題があった。
また、ハロゲンガスによる高純度層の形成も元素の拡散速度に依存するため、より高温のルツボ外層側から金属不純物が拡散してくる環境は、十分な厚さの高純度層を形成することができないという課題があった。
本発明は、前記事情の下になされたものであり、内層表面に十分な厚さの高純度化層を有し、単結晶引き上げ処理において、シリコン融液に溶ける不純物を低減することができ、高純度のシリコン単結晶を得ることが可能となる石英ガラスルツボ及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するためになされた本発明に係る石英ガラスルツボは、単結晶を引上げるための石英ガラスルツボにおいて、透明内層と、前記透明内層よりも外側に配置された少なくとも1層の外層とを有し、前記透明内層は、Fe、Ni、Cr、Cuの含有量が表面において最も小さく、表面より20~40μmの深さにおいて極大となる分布を有することに特徴を有する。
尚、前記透明内層において、Feの含有量が10ppb以下、Ni、Cr、Cuの含有量が1ppb以下となるのは表面から10μmないし表面から30μmの範囲となる。
尚、前記透明内層において、Feの含有量が10ppb以下、Ni、Cr、Cuの含有量が1ppb以下となるのは表面から10μmないし表面から30μmの範囲となる。
このような構成によれば、透明内層を有する石英ガラスルツボにあっては、透明内層の表面において金属不純物含有量が最も少なく、前記透明内層の表面から深さ20~40μmにおいて金属不純物含有量の極大値を有する。即ち、前記透明内層の表面に十分な厚さの高純度化層が形成されている。それにより、単結晶引き上げ処理において、シリコン融液に溶ける不純物を低減することができ、高純度のシリコン単結晶を得ることが可能となる。
また、前記課題を解決するためになされた本発明に係る石英ガラスルツボの製造方法は、前記石英ガラスルツボの製造方法であって、透明内層と、前記透明内層よりも外側に配置された少なくとも1層の外層とを有する高純度化処理前の石英ガラスルツボを製造する工程と、前記高純度化処理前の石英ガラスルツボの透明内層側から1000℃~1300℃の温度に加熱するとともに、該透明内層側にハロゲンガスを所定時間供給し、ハロゲンガスを前記透明内層の表面と反応させて金属不純物を除去する高純度化処理を施す工程と、を備えることに特徴を有する。
このような方法によれば、前記石英ガラスルツボは、高純度化処理前の石英ガラスルツボに対し、その内表面側から加熱するとともにハロゲンガスを供給し、高純度化処理を行うことにより得られる。この高純度化処理においては、内層側が高温となり、外層側がより低温となるため、金属不純物の多い不透明外層からの金属不純物の拡散を抑制することができ、効率的に高純度化処理を行うことができる。この際、石英ガラスルツボの外側からの加熱を併用させても良い。
本発明によれば、内層表面に十分な厚さの高純度化層を有し、単結晶引き上げ処理において、シリコン融液に溶ける不純物を低減することができ、高純度のシリコン単結晶を得ることが可能となる石英ガラスルツボ及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明に係る石英ガラスルツボ及びその製造方法の実施の形態について図面に基づき説明する。
図1は本発明に係る石英ガラスルツボ1の断面図である。図2は、図1の石英ガラスルツボの一部拡大断面図である。
この石英ガラスルツボ1は、例えば単結晶引上装置(図示せず)において用いられ、装置内でカーボンサセプタ(図示せず)によって抱持された状態で使用される。
即ち、単結晶引上装置では、石英ガラスルツボ1内に原料シリコンが溶融され、溶融液からシリコン単結晶が引上げられる。
図1は本発明に係る石英ガラスルツボ1の断面図である。図2は、図1の石英ガラスルツボの一部拡大断面図である。
この石英ガラスルツボ1は、例えば単結晶引上装置(図示せず)において用いられ、装置内でカーボンサセプタ(図示せず)によって抱持された状態で使用される。
即ち、単結晶引上装置では、石英ガラスルツボ1内に原料シリコンが溶融され、溶融液からシリコン単結晶が引上げられる。
石英ガラスルツボ1は、例えば直径(口径)32インチに形成され、所定の曲率(第一の曲率)を有する底部9と、前記底部9の周りに形成され、所定の曲率(第二の曲率)を有する底部コーナー8と、前記底部コーナー8から上方に延びる側部7とを有する。
図1に示すように、側部7において一番外側には、ルツボ上端6から側部7の下方まで、外層2が形成されている。外層2は、結晶化促進剤として例えばAlを添加したAl添
加石英ガラス層により形成されている。
図1に示すように、側部7において一番外側には、ルツボ上端6から側部7の下方まで、外層2が形成されている。外層2は、結晶化促進剤として例えばAlを添加したAl添
加石英ガラス層により形成されている。
具体的には、前記外層2(結晶化促進剤添加層)は、使用前(高温加熱前)においては、例えばAl濃度が100ppmの一次添加原料がガラス中に分散し、外層2におけるAl濃度が25ppmの状態となされている。即ち、ガラス化する部分と結晶化する部分とが層内に混在した状態に形成されている。使用後(高温加熱後)においては、外層2が結晶の単一層となるのではなく、前記一次添加原料が結晶化し、ガラス部分と結晶化部分とが混在することになる。
前記外層2より内側には、天然原料石英ガラスからなる不透明中間層3が形成されている。
さらに、この中間層3より内側には、シリコン単結晶引上げ時に溶融シリコンと接する高純度の合成原料石英ガラス(または天然原料石英ガラス)からなる透明内層4が形成されている。
さらに、この中間層3より内側には、シリコン単結晶引上げ時に溶融シリコンと接する高純度の合成原料石英ガラス(または天然原料石英ガラス)からなる透明内層4が形成されている。
ここで不透明とは、石英ガラス中に多数の気泡(気孔)が内在し、見かけ上、白濁した状態を意味する。また、天然石英層とは水晶等の天然質原料を溶融して製造されるシリカガラス層を意味し、合成石英層とは、例えばシリコンアルコキシドの加水分解により合成された合成原料を溶融して製造されるシリカガラス層を意味する。
また、外層2は、前記したようにルツボ外側全体には形成されない。即ち、ルツボ底部コーナー8及びルツボ底部9には外層2は形成されず、側部7のみに形成されている。
即ち、図示するようにルツボ底部コーナー8及びルツボ底部9は、側部7の不透明中間層3から連続して形成された天然原料石英ガラスからなる不透明外層5と、合成原料石英ガラス(または天然原料石英ガラス)からなる透明内層4とで形成された2層構造となされている。
これは、単結晶引上げの開始初期段階において、底部コーナー8及び底部9(不透明外層5)を軟化させ、ルツボ1を支持するカーボンサセプタと密着させるためである。
即ち、図示するようにルツボ底部コーナー8及びルツボ底部9は、側部7の不透明中間層3から連続して形成された天然原料石英ガラスからなる不透明外層5と、合成原料石英ガラス(または天然原料石英ガラス)からなる透明内層4とで形成された2層構造となされている。
これは、単結晶引上げの開始初期段階において、底部コーナー8及び底部9(不透明外層5)を軟化させ、ルツボ1を支持するカーボンサセプタと密着させるためである。
また、図2に示すように、外層2は、ルツボ側部7における厚さ寸法et1が例えば1mm以上40mm以下に形成される。これは、厚さが40mmより大きいと、結晶化層が厚すぎることにより、カーボンルツボとの密着性が得られ難いためであり、1mmより小さいと、耐久性向上の寄与が得られ難いためである。
また、前記外層2のAl添加石英ガラスのAl濃度は、10~300ppmの範囲で形成され、各結晶粒の粒度分布は、全結晶粒の90%が50~400μmの範囲に含まれる。
このように外層2においてガラス層中に結晶粒が分布していることにより、ガラス層である中間層3との間に生じる引張応力を結晶粒単位の僅かな力に分散し、クラックの発生を防止することができる。
このように外層2においてガラス層中に結晶粒が分布していることにより、ガラス層である中間層3との間に生じる引張応力を結晶粒単位の僅かな力に分散し、クラックの発生を防止することができる。
また、天然原料石英ガラスからなる不透明中間層3は、ルツボ側部7における厚さ寸法mt1が3mm以上となされる。
また、不透明中間層3から連続して形成されたルツボ底部コーナー8の不透明外層5における厚さ寸法mt2は6mm以上に形成され、ルツボ底部9の不透明外層5における厚さ寸法mt3は6mm以上に形成される。
また、不透明中間層3から連続して形成されたルツボ底部コーナー8の不透明外層5における厚さ寸法mt2は6mm以上に形成され、ルツボ底部9の不透明外層5における厚さ寸法mt3は6mm以上に形成される。
これは、3層部分での不透明中間層3の厚さが3mmより小さいと、石英ガラス粉溶融中のアーク炎の不規則な流れによる不透明中間層3の結晶化促進剤化合物の飛散防止効果が減殺され易く、外層2の結晶化促進剤化合物が不透明中間層3を通過して透明内層4に混入し、透明内層4の結晶化促進剤濃度が大きくなる虞があるためである。
また、ルツボ底部コーナー8における不透明外層5の厚さ寸法mt2及びルツボ底部9における不透明外層5の厚さ寸法mt3が6mmより小さいと、充分な耐久性が得られ難いためである。
また、ルツボ底部コーナー8における不透明外層5の厚さ寸法mt2及びルツボ底部9における不透明外層5の厚さ寸法mt3が6mmより小さいと、充分な耐久性が得られ難いためである。
また、透明内層4は、合成原料石英ガラス(または天然原料石英ガラス)を溶融して形成した後、後述の高純度化処理によりFe、Ni、Cr、Cuの金属不純物含有量が低減された実質的に気泡の存在しない透明層である。
具体的には、(図5(b)のグラフに示すように)透明内層4の表面においてFe、Ni、Cr、Cuの金属不純物含有量が最も低く、透明内層4の表面から内部側に向かって徐々に前記金属不純物含有量が増加し、深さ20μm~40μmで極大値となり、より深くなると徐々に金属不純物含有量が低下するように形成されている。即ち、図2に示すように透明内層4の表面から10μmないし表面から30μmの深さまで金属不純物含有量が大幅に低減された十分な厚さの高純度化層4aが形成されている。
具体的には、(図5(b)のグラフに示すように)透明内層4の表面においてFe、Ni、Cr、Cuの金属不純物含有量が最も低く、透明内層4の表面から内部側に向かって徐々に前記金属不純物含有量が増加し、深さ20μm~40μmで極大値となり、より深くなると徐々に金属不純物含有量が低下するように形成されている。即ち、図2に示すように透明内層4の表面から10μmないし表面から30μmの深さまで金属不純物含有量が大幅に低減された十分な厚さの高純度化層4aが形成されている。
より詳しくは、透明内層4の表面から10μmないし表面から30μmの深さにおいて、Feの含有量が10ppb以下とされ、Ni、Cr、Cuの含有量が1ppb以下に形成されている。
このように透明内層4にあっては、その表面に高純度化処理により金属不純物含有量が低減された高純度化層4aが形成されている。それにより、単結晶引き上げ処理において、シリコン融液に溶ける不純物を低減することができ、高純度のシリコン単結晶を得ることが可能となる。
尚、透明内層4において、ルツボ側部7における厚さ寸法it1と、ルツボ底部コーナー8における厚さ寸法it2と、ルツボ底部9における厚さ寸法it3とは共に、例えば3mm以上の厚さに形成されている。
このように透明内層4にあっては、その表面に高純度化処理により金属不純物含有量が低減された高純度化層4aが形成されている。それにより、単結晶引き上げ処理において、シリコン融液に溶ける不純物を低減することができ、高純度のシリコン単結晶を得ることが可能となる。
尚、透明内層4において、ルツボ側部7における厚さ寸法it1と、ルツボ底部コーナー8における厚さ寸法it2と、ルツボ底部9における厚さ寸法it3とは共に、例えば3mm以上の厚さに形成されている。
次に、前記構造を有する石英ガラスルツボ1の製造方法について説明する。
先ず、図3に示すような石英ガラスルツボ製造装置10を用いて高純度化処理前の石英ガラスルツボを製造する。石英ガラスルツボ製造装置10のルツボ成形用型11は、例えば複数の貫通孔が穿設された金型、もしくは高純化処理した多孔質カーボン型などのガス透過性部材で構成された内側部材12と、その外周に通気部13を設けて、前記内側部材12を保持する保持体14とから構成されている。
先ず、図3に示すような石英ガラスルツボ製造装置10を用いて高純度化処理前の石英ガラスルツボを製造する。石英ガラスルツボ製造装置10のルツボ成形用型11は、例えば複数の貫通孔が穿設された金型、もしくは高純化処理した多孔質カーボン型などのガス透過性部材で構成された内側部材12と、その外周に通気部13を設けて、前記内側部材12を保持する保持体14とから構成されている。
また、保持体14の下部には、図示しない回転手段と連結されている回転軸15が固着されていて、ルツボ成形用型11を回転可能に支持している。通気部13は、保持体14の下部に設けられた開口部16を介して、回転軸15の中央に設けられた排気路17と連結されており、この排気路17は、減圧機構18と連結されている。
内側部材12に対向する上部にはアーク放電用のアーク電極19と、Al添加原料供給ノズル20と、天然石英粉供給ノズル22と、高純度合成石英粉供給ノズル23が設けられている。
内側部材12に対向する上部にはアーク放電用のアーク電極19と、Al添加原料供給ノズル20と、天然石英粉供給ノズル22と、高純度合成石英粉供給ノズル23が設けられている。
外層2に用いられるAl添加石英粉は、次のように得ることができる。例えばAl硝酸塩(Al(NO3)3)を石英粉のAl濃度が例えば濃度100ppmとなるような量だけ水に溶かして作られた硝酸Al水溶液を、石英粉に添加して攪拌する。攪拌後、脱水、酸分除去を目的として800~1100℃で加熱処理する。これにより、Al濃度の高い一次添加原料が得られる。
次いで、前記一次添加原料を同量の石英粉と混合し、前記一次添加原料が均一に分散したAl濃度が例えば25ppmの二次添加原料を得る。これを外層2に供給するAl添加石英粉とする。
次いで、前記一次添加原料を同量の石英粉と混合し、前記一次添加原料が均一に分散したAl濃度が例えば25ppmの二次添加原料を得る。これを外層2に供給するAl添加石英粉とする。
尚、前記Al添加石英粉において、全体の平均粒度±25%の範囲に前記一次添加原料C1の90%以上が含まれる。これにより輸送中の振動や、Al添加石英粉をルツボ形状に成型する際の撹拌等により一次添加原料が偏析することを防止することができる。
また、上記例では、一次添加原料を同量の石英粉と混合し、Al添加石英粉を形成するものとしたが、Al添加石英粉中の一次添加原料の含有割合は1~50%の範囲であることが望ましく、それにより一次添加原料間に無添加の石英粉が介在する状態とすることができる。
また、上記例では、一次添加原料を同量の石英粉と混合し、Al添加石英粉を形成するものとしたが、Al添加石英粉中の一次添加原料の含有割合は1~50%の範囲であることが望ましく、それにより一次添加原料間に無添加の石英粉が介在する状態とすることができる。
こうして得られたAl添加石英粉を用い、石英ガラスルツボ製造装置10により石英ガラスルツボの製造を行う場合、図示しない回転駆動源を稼働させて回転軸18を矢印の方向に回転させ、これによりルツボ成形用型11を高速で回転させる。
次いで、ルツボ成形用型11内にAl添加原料供給ノズル20からAl添加石英粉(Al濃度25ppm)を供給する。供給されたAl添加石英粉は、遠心力によって内側部材12の内面側に押圧され、外層2として形成される。尚、このときの外層2中の一次添加原料は、石英粉中に分散した状態である。
次いで、ルツボ成形用型11内にAl添加原料供給ノズル20からAl添加石英粉(Al濃度25ppm)を供給する。供給されたAl添加石英粉は、遠心力によって内側部材12の内面側に押圧され、外層2として形成される。尚、このときの外層2中の一次添加原料は、石英粉中に分散した状態である。
ここで、外層2は、図2を用いて説明したように下端の位置が決められ、底部コーナー及び底部が除去される。即ち、製造する石英ガラスルツボ1の底部コーナーから底部にかけて、外層2が除去される。
次いで、外層2の内面側における厚さが3mm以上の不透明中間層3、底部コーナー及び底部における厚さが6mm以上の不透明外層5が形成されるように、天然石英粉を天然石英粉供給ノズル22から供給する。供給された天然石英粉は、遠心力によって外層2の内面側及び内側部材12の底部に押圧されて、不透明中間層3及び不透明外層5の成形体として成形される。
次に、不透明中間層3及び不透明外層5の内面側に3mm以上の厚さを有する透明層が形成されるように、Na、K、Alの金属不純物含有量が各々1ppm以下の高純度合成石英粉を高純度合成石英粉供給ノズル23から供給する。
供給された高純度合成石英粉は、遠心力によって不透明中間層3及び不透明外層5の内面側に押圧されて、透明内層4の成形体として成形される。
供給された高純度合成石英粉は、遠心力によって不透明中間層3及び不透明外層5の内面側に押圧されて、透明内層4の成形体として成形される。
このようにしてAl添加原料の分散した外層2、不透明中間層3、不透明外層5および透明内層4のルツボ成形体が得られる。
さらに、減圧機構18の作動により内側部材12内を減圧し、アーク電極19に通電してルツボ成形体の内側から加熱し、ルツボ成形体の透明内層4、不透明中間層3、不透明外層5および外層2を溶融して、高純度化処理前の石英ガラスルツボ1Aを製造する。
さらに、減圧機構18の作動により内側部材12内を減圧し、アーク電極19に通電してルツボ成形体の内側から加熱し、ルツボ成形体の透明内層4、不透明中間層3、不透明外層5および外層2を溶融して、高純度化処理前の石英ガラスルツボ1Aを製造する。
次に前記高純度化処理前の石英ガラスルツボ1Aに対する高純度化処理を行う。図4は、高純度化処理装置を模式的に示した断面図である。
この高純度化処理装置30は、石英ガラスルツボ1Aを収容するチャンバ31と、チャンバ31内において石英ガラスルツボ1Aを載置する載置台32とを備える。図示するように石英ガラスルツボ1Aは、その開口部が載置台32に当接するよう上下逆に載置される。
この高純度化処理装置30は、石英ガラスルツボ1Aを収容するチャンバ31と、チャンバ31内において石英ガラスルツボ1Aを載置する載置台32とを備える。図示するように石英ガラスルツボ1Aは、その開口部が載置台32に当接するよう上下逆に載置される。
また、高純度化処理装置30は、石英ガラスルツボ1Aを加熱するためのヒータ33と、加熱温度を測定するための熱電対34と、チャンバ内にハロゲンガスを供給するためのガス供給部35とチャンバ内の雰囲気を排気するガス排気部36とを備える。
図示するようにヒータ33、熱電対34、ガス供給部35、及びガス排気部36は、ルツボ1A内に配置され、ルツボ内表面に対し高温下でハロゲンガスが曝されるように構成されている。
図示するようにヒータ33、熱電対34、ガス供給部35、及びガス排気部36は、ルツボ1A内に配置され、ルツボ内表面に対し高温下でハロゲンガスが曝されるように構成されている。
具体的には、例えば直径32インチの石英ガラスルツボ1Aを図4に示すようにチャンバ31内の載置台32上に上下逆に載置する。
このとき、ルツボ1A内には、ヒータ33、熱電対34、ガス供給部35、及びガス排気部36が配置される。
このとき、ルツボ1A内には、ヒータ33、熱電対34、ガス供給部35、及びガス排気部36が配置される。
次いで、ヒータ33を駆動し、熱電対34の温度が例えば1200℃となるまで加熱する。そして、ガス供給部35によりハロゲンガスとして塩化水素ガスを2L/min、アルゴンガスを3L/min流し、12時間状態を維持する。
その後、ヒータ33の駆動を停止するとともにガス排気部36によりチャンバ31より排気し、チャンバ31内からルツボを取り出すことにより高純度化処理された石英ガラスルツボ1が得られる。
その後、ヒータ33の駆動を停止するとともにガス排気部36によりチャンバ31より排気し、チャンバ31内からルツボを取り出すことにより高純度化処理された石英ガラスルツボ1が得られる。
この高純度化方法にあっては、ルツボ内面(透明内層4の表面)が高純化処理に適した温度(例えば1200℃)に到達した時のルツボ外面温度は、ルツボ外面側から加熱する通常の炉を使用した場合に比べて低くなる。そのため、金属不純物が多い不透明外層2から、透明内層4への金属不純物の拡散が抑制され、透明内層4の表面を効率的に高純度化することが可能となる。
尚、前記高純化処理を施す前の石英ガラスルツボ1Aにあっては、その製造法にもよるが、図5(a)のグラフ(縦軸が金属不純物含有量、横軸がルツボ内層表面からの深さ)に示すように透明内層4の表面に不純物が多く偏在している可能性がある。その様な石英ガラスルツボ1Aに前記高純化処理を適用した場合、図5(b)のグラフに示すように表面近傍の金属不純物が内部側に拡散し除去される。そのため、表面において金属不純物含有量を最も低くするとともに、表面側にあった金属不純物含有量の極大値を、内表面から所定深さに移動させることができる。
極大値の深さは、元となる石英ガラスルツボ1Aの不純物分布と純化条件に依存するが、より深い部分の不純物量勾配は緩やかになるため、明瞭な極大値の取りうる深さは20~40μmとなる。
以上のように本実施の形態によれば、透明内層4を有する石英ガラスルツボ1にあっては、透明内層4の表面において金属不純物含有量が最も少なく、前記透明内層4の表面から深さ20~40μmにおいて金属不純物含有量の極大値を有する。即ち、前記透明内層4の表面に十分な厚さの高純度化層4aが形成されている。それにより、単結晶引き上げ処理において、シリコン融液に溶ける不純物を低減することができ、高純度のシリコン単結晶を得ることが可能となる。
また、前記石英ガラスルツボ1は、高純度化処理前の石英ガラスルツボ1Aに対し、その内表面側から加熱するとともにハロゲンガスを供給し、高純度化処理を行うことにより得られる。この高純度化処理においては、内層4側が高温となり、中間層3及び外層5側がより低温となるため、金属不純物の多い不透明中間層3や不透明外層5からの金属不純物の拡散を抑制することができ、効率的に高純度化処理を行うことができる。
また、前記石英ガラスルツボ1は、高純度化処理前の石英ガラスルツボ1Aに対し、その内表面側から加熱するとともにハロゲンガスを供給し、高純度化処理を行うことにより得られる。この高純度化処理においては、内層4側が高温となり、中間層3及び外層5側がより低温となるため、金属不純物の多い不透明中間層3や不透明外層5からの金属不純物の拡散を抑制することができ、効率的に高純度化処理を行うことができる。
尚、前記実施の形態においては、ルツボ側部が3層構造のルツボ及びその製造方法を例に説明したが、本発明にあっては、それらに限定されるものではなく、例えば透明内層と不透明外層とを有する2層の石英ガラスルツボにも適用することができる。
続いて、本発明に係る石英ガラスルツボ及びその製造方法について、実施例に基づきさらに説明する。
本実施例では、前記実施の形態に示した構成の石英ガラスルツボの高純度化処理を行い、本発明の効果を検証した。
本実施例では、前記実施の形態に示した構成の石英ガラスルツボの高純度化処理を行い、本発明の効果を検証した。
(実施例1)
図4に示した高純度化処理装置を用い、32インチの石英ガラスルツボに対し高純度化処理を実施した。即ち、ルツボをチャンバ内において載置台上に上下逆さに置き、ルツボ内部に配置したカーボンヒータにより1200℃に加熱し、その後、塩化水素を2L/min、アルゴンガスを3L/min流し、12時間状態を維持して高純化処理を実施した。
図4に示した高純度化処理装置を用い、32インチの石英ガラスルツボに対し高純度化処理を実施した。即ち、ルツボをチャンバ内において載置台上に上下逆さに置き、ルツボ内部に配置したカーボンヒータにより1200℃に加熱し、その後、塩化水素を2L/min、アルゴンガスを3L/min流し、12時間状態を維持して高純化処理を実施した。
この高純化処理後のルツボ内面をフッ酸で10μmずつ50μmまでエッチングして分析した。その結果、最表面はFeの含有量が8ppb以下、Ni、Cr、Cuの含有量が1ppb以下であった。また、表面から深さ30μmまでFeの含有量が約50ppb、Ni、Cr、Cuの含有量が約10ppbに増加した。さらに表面から深さ50μmではFeが約30ppb、Ni、Cr、Cuの含有量が約5ppbと減少に転じていた。
(比較例1)
チャンバ内に32インチの石英ガラスルツボを配置し、ルツボ外側からカーボンヒータによりルツボを1200℃に加熱した。また、ルツボ内部にガスが供給できる様に配管を設置し、その後、塩化水素を2L/min、アルゴンガスを3L/min流し、12時間状態を維持して高純化処理を実施した。
この高純化処理後のルツボ内面をフッ酸で10μmずつ50μmまで溶融して分析した。その結果、最表面はFeの含有量が約100ppb、Ni、Cr、Cuの含有量が1~20ppbであった。また、表面から深くなるほど金属不純物含有量は小さくなり表面から深さ50μmではFeが約30ppb、Ni、Cr、Cuの含有量が約5ppbとであった。
チャンバ内に32インチの石英ガラスルツボを配置し、ルツボ外側からカーボンヒータによりルツボを1200℃に加熱した。また、ルツボ内部にガスが供給できる様に配管を設置し、その後、塩化水素を2L/min、アルゴンガスを3L/min流し、12時間状態を維持して高純化処理を実施した。
この高純化処理後のルツボ内面をフッ酸で10μmずつ50μmまで溶融して分析した。その結果、最表面はFeの含有量が約100ppb、Ni、Cr、Cuの含有量が1~20ppbであった。また、表面から深くなるほど金属不純物含有量は小さくなり表面から深さ50μmではFeが約30ppb、Ni、Cr、Cuの含有量が約5ppbとであった。
実施例の結果、本発明の石英ガラスルツボの製造方法によれば、内層表面の金属不純物含有量を表面から10μmないし表面から30μmの範囲において最も低くし、高純度化できることを確認した。
1 石英ガラスルツボ
2 外層
3 不透明中間層
4 透明内層
5 不透明外層
7 側部
8 底部コーナー
9 底部
10 石英ガラスルツボ製造装置
30 高純度化処理装置
2 外層
3 不透明中間層
4 透明内層
5 不透明外層
7 側部
8 底部コーナー
9 底部
10 石英ガラスルツボ製造装置
30 高純度化処理装置
Claims (3)
- 単結晶を引上げるための石英ガラスルツボにおいて、
透明内層と、前記透明内層よりも外側に配置された少なくとも1層の外層とを有し、
前記透明内層は、Fe、Ni、Cr、Cuの含有量が表面において最も小さく、表面より20~40μmの深さにおいて極大となる分布を有することを特徴とする石英ガラスルツボ。 - 前記透明内層において、Fe、Ni、Cr、Cuの含有量は、表面から10μmないし表面から30μmの深さまでFeの含有量が10ppb以下、Ni、Cr、Cuの含有量が1ppb以下であることを特徴とする請求項1に記載された石英ガラスルツボ。
- 前記請求項1または請求項2に記載された石英ガラスルツボの製造方法であって、
透明内層と、前記透明内層よりも外側に配置された少なくとも1層の外層とを有する高純度化処理前の石英ガラスルツボを製造する工程と、
前記高純度化処理前の石英ガラスルツボの透明内層側から1000℃~1300℃の温度に加熱するとともに、該透明内層側にハロゲンガスを所定時間供給し、ハロゲンガスを前記透明内層の表面と反応させて金属不純物を除去する高純度化処理を施す工程と、
を備えることを特徴とする石英ガラスルツボの製造方法。
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