JP2022101125A - 結合構造及び収縮シャフト - Google Patents

結合構造及び収縮シャフト Download PDF

Info

Publication number
JP2022101125A
JP2022101125A JP2020215526A JP2020215526A JP2022101125A JP 2022101125 A JP2022101125 A JP 2022101125A JP 2020215526 A JP2020215526 A JP 2020215526A JP 2020215526 A JP2020215526 A JP 2020215526A JP 2022101125 A JP2022101125 A JP 2022101125A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
shaft
axial direction
diameter
outer peripheral
joint
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020215526A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2022101125A5 (ja
Inventor
誠一 森山
Seiichi Moriyama
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP2020215526A priority Critical patent/JP2022101125A/ja
Publication of JP2022101125A publication Critical patent/JP2022101125A/ja
Publication of JP2022101125A5 publication Critical patent/JP2022101125A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Vibration Dampers (AREA)

Abstract

【課題】溶接部に欠陥が生じた場合にも、トルク伝達機能を確保することができ、かつ、1対の部材の分離防止を図れる、結合構造を提供する。【解決手段】第一外筒12の大径筒部27の内側に、ジョイントシャフト13の円筒部33を挿入し、円筒部33の外周面に備えられた雄セレーション34と、大径筒部27の内周面に備えられた雌セレーション29とを凹凸係合させ、かつ、ジョイントシャフト13の外周面と大径筒部27の軸方向他方側の端部とを溶接ビード部52により溶接固定する。さらに、大径筒部27の外周面に備えられた外径側環状凹溝30の底部にエンボス凹部31を形成することで大径筒部27の内周面に形成されたエンボス凸部32を、円筒部33の外周面に備えられた内径側環状凹溝35の内側に配置する。【選択図】図8

Description

本発明は、自動車のステアリング装置などに組み込まれるトルク伝達部材を構成する、シャフトやヨークなどの結合構造に関する。また、結合構造を有し、全長を収縮可能に構成された、収縮シャフトに関する。
図14は、特開2017-25964号公報(特許文献1)に記載された自動車用のステアリング装置を示している。ステアリング装置は、ステアリングホイール1と、ステアリングシャフト2と、ステアリングコラム3と、1対の自在継手4a、4bと、中間シャフト5と、ステアリングギヤユニット6と、1対のタイロッド7とを備えている。
ステアリングホイール1は、ステアリングコラム3の内側に回転自在に支持されたステアリングシャフト2の後端部に取り付けられている。ステアリングシャフト2の前端部は、1対の自在継手4a、4b及び中間シャフト5を介して、ステアリングギヤユニット6のピニオン軸8に接続されている。そして、ピニオン軸8の回転を図示しないラックの直線運動に変換することで、1対のタイロッド7を押し引きし、操舵輪にステアリングホイール1の操作量に応じた舵角を付与する。なお、前後方向とは、ステアリング装置が組み付けられる車体の前後方向をいう。
ところで、自動車用のステアリング装置の分野では、中間シャフトなどのトルク伝達に用いるトルク伝達用シャフトを、複数のシャフトを連結して構成する場合がある。この場合、隣接配置される1対のシャフトを溶接により結合し、これら1対のシャフトの間で、トルク伝達を行えるようにすることが行われている。
また、特開2017-25964号公報には、自動車用のステアリング装置を構成する中間シャフトを、自動車に衝突事故が発生し、中間シャフトに軸方向の所定値以上の大きさの荷重が加わった場合にのみ全長が収縮可能となる、収縮シャフトにより構成することが開示されている。
特開2017-25964号公報
近年、トルク伝達用シャフトなどのトルク伝達部材に対する信頼性の要求が高度化している。そして、複数の部材を連結して構成されるトルク伝達部材にあっては、1対の部材同士を結合する溶接部に、ひび割れやはがれなどの欠陥が生じた場合にも、トルク伝達機能を確保することができ、かつ、1対の部材が分離しないことが求められている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、溶接部に欠陥が生じた場合にも、トルク伝達機能を確保することができ、かつ、トルク伝達部材を構成する1対の部材の分離防止を図れる、結合構造と、この結合構造を備えた収縮シャフトとを提供することを目的とする。
本発明の結合構造は、挿入部材と、被挿入部材と、溶接ビード部とを備える。
前記挿入部材は、軸方向一方側の端部に、第一結合部を有している。前記第一結合部は、中空筒状に構成されていても良いし、中実状に構成されていても良い。
前記被挿入部材は、軸方向他方側の端部に、前記第一結合部が挿入された円筒状の第二結合部を有している。
前記溶接ビード部は、前記第二結合部の軸方向他方側の端部と前記挿入部材の外周面のうち前記第二結合部から露出した部分とを溶接固定している。
前記第一結合部は、外周面に、円周方向に関する凹凸形状の外周側凹凸部と、内径側環状凹溝と、を有している。
前記第二結合部は、外周面に、前記内径側環状凹溝と径方向に重なる位置に配置された外径側環状凹溝と、該外径側環状凹溝の底部に形成されたエンボス凹部と、をそれぞれ有し、かつ、内周面に、前記外周側凹凸部と凹凸係合してトルク伝達部を構成する円周方向に関する凹凸形状の内周側凹凸部と、前記エンボス凹部と整合する位置に設けられ、前記内径側環状凹溝の内側に配置されて抜け止め部を構成するエンボス凸部と、をそれぞれ有している。
本発明の結合構造の一態様では、前記被挿入部材の軸方向に関する前記外径側環状凹溝の寸法を、前記被挿入部材の軸方向に関する前記エンボス凹部の寸法の1倍~2倍とすることができる。
本発明の結合構造の一態様では、前記内周側凹凸部を構成する内周側凸部の軸方向他方側の端面を、前記外周側凹凸部を構成する外周側凹部の軸方向他方側の端部に備えられ、軸方向一方側を向いた突き当て面に突き当てることで、前記挿入部材と前記被挿入部材との軸方向に関する位置決めを図ることができる。
本発明の結合構造の一態様では、前記外周側凹凸部を、前記内周側凹凸部に圧入(軽圧入)することができる。
この場合には、前記外周側凹凸部を、軸方向一方側の端部に、軸方向他方側に隣接した部分に比べて外接円直径の小さい、ガイド部を備えるものとすることができる。
本発明の結合構造の一態様では、前記エンボス凸部及び前記エンボス凹部のそれぞれを、前記第二結合部の円周方向に関して複数個所に配置することができる。
この場合には、前記エンボス凸部及び前記エンボス凹部のそれぞれを、前記第二結合部の円周方向に関して等間隔に2個所又は4個所に配置することができる。
あるいは、前記エンボス凸部及び前記エンボス凹部のそれぞれを、前記第二結合部の円周方向1個所に配置することもできる。
本発明の結合構造の一態様では、前記内径側環状凹溝の底面と前記エンボス凸部の先端面との間に、前記第一結合部の径方向に関する隙間を存在させることができる。
さらに、前記内径側環状凹溝の互いに対向する内側面と前記エンボス凸部との間に、前記挿入部材の軸方向に関する隙間を存在させることができる。
本発明の収縮シャフトは、大径シャフトと、該大径シャフトに対しトルク伝達を可能にかつ軸方向の相対変位を可能に内嵌された小径シャフトと、前記大径シャフトの軸方向端部に結合されたジョイントシャフトとを備える。
前記大径シャフトと前記ジョイントシャフトとは、本発明の結合構造により結合されており、前記大径シャフトは前記被挿入部材であり、前記ジョイントシャフトは前記挿入部材である。
本発明の収縮シャフトの一態様では、前記収縮シャフトを、自動車用のステアリング装置の中間シャフトを構成するものとすることができる。
この場合に、前記収縮シャフトを、自動車に衝突事故が発生し、前記収縮シャフトに軸方向に所定値以上の大きさの荷重が加わった場合にのみ、全長を収縮可能に構成することもできる。
本発明の結合構造及び収縮シャフトによれば、溶接部に欠陥が生じた場合にも、トルク伝達機能を確保することができ、かつ、トルク伝達部材を構成する1対の部材の分離防止を図れる。
図1は、実施の形態の1例にかかる結合構造を適用した、ステアリング装置の1例を示す模式図である。 図2は、実施の形態の1例に関して、図1に示したステアリング装置から中間シャフトを取り出して示す側面図である。 図3は、実施の形態の1例を示す、中間シャフトの断面図である。 図4は、実施の形態の1例に関して、図2に示した中間シャフトを分離し、収縮シャフトを取り出して示す側面図である。 図5は、実施の形態の1例を示す、収縮シャフトの斜視図である。 図6は、実施の形態の1例を示す、収縮シャフトの断面図である。 図7は、実施の形態の1例に関して、図2に示した収縮シャフトを構成する、第一外筒とジョイントシャフトとの結合体を示す側面図である。 図8は、実施の形態の1例を示す、第一外筒とジョイントシャフトとの結合体の断面図である。 図9は、実施の形態の1例を示す、図8の右側部の拡大図である。 図10は、実施の形態の1例を示す、図9のA部の拡大図である。 図11は、実施の形態の1例に関して、第一外筒とジョイントシャフトとの結合工程を示す、部分断面図である。 図12は、実施の形態の1例を示す、図9のB部に相当する部分の拡大模式図である。 図13は、実施の形態の1例に関して、ジョイントシャフトを示す図であり、(A)は平面図であり、(B)は(A)のC-C線断面図であり、(C)は側面図である。 図14は、従来から知られているステアリング装置を示す部分断面側面図である。
[実施の形態の1例]
実施の形態の1例について、図1~図13を用いて説明する。
本例のステアリング装置は、大型の自動車に搭載されるもので、ステアリングホイール1aと、ステアリングシャフト2aと、ステアリングコラム3aと、1対の自在継手4c、4dと、中間シャフト5aと、ステアリングギヤユニット6aと、1対のタイロッド7aとを備えている。
ステアリングシャフト2aは、車体に支持されたステアリングコラム3aの内側に回転自在に支持されている。ステアリングシャフト2aの後端部には、運転者が操作するステアリングホイール1aが取り付けられており、ステアリングシャフト2aの前端部は、自在継手4c、中間シャフト5a、及び、別の自在継手4dを介して、ステアリングギヤユニット6aのピニオン軸8aに接続されている。
このため、運転者がステアリングホイール1aを回転させると、該ステアリングホイール1aの回転が、ステアリングギヤユニット6aのピニオン軸8aに伝達される。ピニオン軸8aの回転は、該ピニオン軸8aと噛合したラック軸の直線運動に変換され、該ラック軸により、1対のタイロッド7aが押し引きされる。この結果、操舵輪にステアリングホイール1aの操作量に応じた舵角が付与される。
なお、前後方向とは、ステアリング装置が組み付けられる車体の前後方向をいう。また、以下の説明において、軸方向とは、特に断らない限り、中間シャフト5aの軸方向をいう。本例においては、軸方向一方側が、車体の前方側に対応し、軸方向他方側が、車体の後方側に対応する。
〔中間シャフト〕
中間シャフト5aは、大型の自動車用のステアリング装置を構成することから全長が長く、ステアリングシャフト2aの前端部とステアリングギヤユニット6aを構成するピニオン軸8aとをトルク伝達可能に接続する。中間シャフト5aは、収縮シャフト9と伸縮シャフト10とを、軸方向に連結することで構成されている。中間シャフト5aは、エンジンルーム側である軸方向一方側に、収縮シャフト9を有し、かつ、運転席側である軸方向他方側に、伸縮シャフト10を有している。
〈収縮シャフト〉
収縮シャフト9は、小径シャフトに相当する第一内軸11と、大径シャフトに相当する第一外筒12と、ジョイントシャフト13とを有するコラプシブルシャフトであり、自動車に衝突事故が発生して、軸方向に所定値以上の大きさの衝撃荷重が加わった場合にのみ、全長が収縮可能となる構成を有する。このために、第一内軸11と第一外筒12とを、トルク伝達可能にかつ一次衝突時に軸方向に関する相対変位が可能になるように結合している。別な言い方をすれば、第一内軸11と第一外筒12とを、定常状態においては、軸方向に関する相対変位が不能になるように結合している。また、第一外筒12とジョイントシャフト13とを、トルク伝達可能に、かつ、一次衝突時においても軸方向に関する相対変位が不能となるように結合している。
本例では、第一内軸11を、伸縮シャフト10から遠い、収縮シャフト9の軸方向一方側に配置し、ジョイントシャフト13を、伸縮シャフト10に近い、収縮シャフト9の軸方向他方側に配置し、第一外筒12を、第一内軸11とジョイントシャフト13との間に配置している。
《第一内軸》
第一内軸11は、軸方向一方側に配されたヨーク部15と、軸方向他方側に配された軸部16とを有する。
ヨーク部15は、ステアリングギヤユニット6aのピニオン軸8aに接続される別のヨーク17と図示しない十字軸とにより、自在継手4dを構成する。ヨーク部15は、軸部16の軸方向一方側の端部に溶接固定されている。ヨーク部15は、略円板状の基部18と、該基部18の外周面の直径方向反対側となる2箇所位置から軸方向一方側に延出した1対の腕部19とを備えている。基部18の径方向中央部には、軸部16の軸方向一方側の端部を挿通可能な挿通孔20が備えられている。1対の腕部19の先端側部分には、円孔21が互いに同軸に形成されている。自在継手4bを組み立てた状態で、円孔21には、それぞれ図示しない軸受カップが内嵌され、十字軸を構成する軸が回動自在に支持される。
軸部16は、略円柱状で、ほぼ全長にわたり中実状に構成されている。軸部16は、外周面に、複数(図示の例では2つ)の雄スプライン22a、22bを有している。雄スプライン22a、22bは、軸方向に離隔して配置されている。雄スプライン22a、22bのうち、最も軸方向他方側に配置された雄スプライン22aは、軸部16の軸方向他方側の端部に配置されており、最も軸方向一方側に配置された雄スプライン22bは、軸部16の軸方向中間部に配置されている。
軸部16に備えられたすべての雄スプライン22a、22bは、円周方向に関する位相が互いに一致している。雄スプライン22a、22bのうち、最も方向他方側に配置された雄スプライン22aは、残りの雄スプライン22bよりも軸方向寸法が大きく、軸部16の全長のおよそ半分程度の軸方向寸法を有する。
軸部16は、軸方向他方側の端部に、軸方向他方側の端面にのみ開口した中心孔23を有する。このため、雄スプライン22aの軸方向他方側部は、軸部16のうちで、中心孔23を形成することで薄肉となった部分の外周面に備えられている。
軸部16は、雄スプライン22bの軸方向両側に、ヒューズ部24a、24bを有する。ヒューズ部24a、24bのそれぞれは、軸部16の外周面に、たとえば切削加工を施すことにより形成されている。ヒューズ部24a、24bのそれぞれは、略円筒面状の外周面を有しており、雄スプライン22a、22bの歯底円直径よりも小径である。ヒューズ部24a、24bのそれぞれの軸方向寸法は、互いに同じである。
《第一外筒》
第一外筒12は、被挿入部材に相当し、金属製で、全体が中空円管状に構成されている。第一外筒12は、後述する溶接ビード部52によって、ジョイントシャフト13と溶接固定される。このため、図9に示すように、溶接ビード部52の溶接品質の確保及び溶接欠陥の回避のために、第一外筒12の板厚T12と、ジョイントシャフト13(円筒部33)の板厚t13とを同程度とするか、又は、第一外筒12の板厚T12とジョイントシャフト13の板厚t13とのうち、厚さの大きい板厚T12(又はt13)を、厚さの小さい板厚t13(又はT12)の2倍以下に規制している。図示の例では、第一外筒12の板厚T12と、ジョイントシャフト13の板厚t13とをほぼ同じとしている(T12≒t13)。
第一外筒12は、軸方向一方側から順に、小径筒部25と、円すい筒部26と、第二結合部に相当する大径筒部27とを有する。
小径筒部25は、円筒状で、第一外筒12の軸方向一方側の半部に備えられている。小径筒部25は、素材の外周面にしごき加工を施してなり、軸方向他方側に配置された円すい筒部26及び大径筒部27よりも小径に構成されている。図8に示すように、小径筒部25は、内周面の軸方向の全長にわたり、雌スプライン28を備えている。雌スプライン28は、素材の外周面にしごき加工を施す際に形成されている。ただし、別途、ブローチ加工などにより形成することもできる。
図4及び図6に示すように、収縮シャフト9の組立状態では、軸部16の軸方向他方側部を、第一外筒12の軸方向一方側に位置する小径筒部25に挿入する。そして、軸部16の外周面の軸方向他方側の端部に備えられた雄スプライン22aのみを、小径筒部25の内周面に備えられた雌スプライン28に対して、トルク伝達可能にスプライン係合させる。また、一次衝突時に、第一内軸11と第一外筒12との軸方向に関する相対変位が可能となるように、雄スプライン22aを雌スプライン28に圧入嵌合する。本例では、圧入力が1kN~4kN程度となる軽圧入の状態で、雄スプライン22aを雌スプライン28にスプライン嵌合している。
これにより、第一内軸11と第一外筒12とは、自動車の衝突事故の発生していない定常状態においては、軸方向に関する相対変位が不能となるが、自動車に衝突事故が発生して、軸方向に所定値以上の大きさの衝撃荷重が加わると、軸方向に関する相対変位が可能になる。したがって、収縮シャフト9は、自動車の衝突事故の発生していない定常状態においては、全長が収縮不能であるが、自動車に衝突事故が発生して、軸方向に所定値以上の大きさの衝撃荷重が加わった場合には、全長が収縮可能となる。また、収縮シャフト9が収縮する際には、衝突によるエネルギを吸収する。
本例では、収縮シャフト9の組立状態において、軸部16の外周面の軸方向他方側の端部に備えられた雄スプライン22aの全部を第一外筒12の内周面に備えられた雌スプライン28にスプライン嵌合している。これにより、図6に示すように、定常状態における、雄スプライン22aと雌スプライン28との有効嵌合長Lxを、ヒューズ部24a、24bのそれぞれの軸方向寸法Laよりも長く設定している。
また、定常状態において、軸部16に備えられたヒューズ部24a、24bのそれぞれを、第一外筒12から露出させている。
円すい筒部26は、略円すい筒状に構成されており、小径筒部25の軸方向一方側に配置されている。円すい筒部26は、軸方向他方側に向かうほど外径寸法及び内径寸法のそれぞれが連続的に大きくなる。円すい筒部26は、大径筒部27の軸方向一方側の端部につながっている。
大径筒部27は、円筒状に構成されており、第一外筒12の軸方向他方側の半部に備えられている。大径筒部27は、軸方向一方側に配置された円すい筒部26及び小径筒部25よりも大径に構成されている。大径筒部27は、内周面の軸方向他方側部に、内周側凹凸部に相当する、円周方向に関する凹凸形状の雌セレーション29を備えている。
大径筒部27は、外周面の軸方向中間部に、全周にわたり径方向に凹んだ外径側環状凹溝30を有する。外径側環状凹溝30は、径方向外側に向かうほど軸方向寸法が大きくなった台形状の断面形状を有している。このため、外径側環状凹溝30の底面(内面)は、軸方向中間部に配置された平坦面状の平坦底面と、該平坦底面の軸方向両側に配置された1対の傾斜底面とからなる。外径側環状凹溝30(の開口部及び底面)の軸方向寸法W30及び外径側環状凹溝30深さ寸法は、円周方向にわたりそれぞれ一定である。外径側環状凹溝30は、大径筒部27の外周面に、たとえば切削加工を施すことにより形成されている。外径側環状凹溝の断面形状は、台形状に限らず、断面矩形状などを採用することができる。外径側環状凹溝の断面形状を矩形状とした場合には、外径側環状凹溝の内面は、平坦面状の底面と、軸方向に対向する1対の内側面とから構成される。
前述したように、溶接ビード部52の溶接品質の確保及び溶接欠陥の回避の観点から、第一外筒12の板厚T12を十分に薄くすることは困難である。このため、このままでは、大径筒部27に、後述するようなエンボス加工(かしめ加工)を行い、大径筒部27の内周面に、形状精度の高いエンボス凸部32を形成することは難しい。そこで、本例では、大径筒部27の外周面に外径側環状凹溝30を形成し、外径側環状凹溝30を形成した部分における板厚T30を、第一外筒12の板厚T12よりも小さくしている(T30<T12)。なお、本例では、第一外筒12の板厚T12を、3mm程度とし、外径側環状凹溝30の深さ寸法を0.5mm~1mm程度とすることで、外径側環状凹溝30を形成した部分における板厚T30を、2mm~2.5mm程度としている。これにより、溶接ビード部52の溶接品質の確保及び溶接欠陥の回避を実現しつつ、大径筒部27の内周面に形状精度の高いエンボス凸部32を形成可能としている。
大径筒部27は、外周面のうち、外径側環状凹溝30の底部に、複数の凹状のエンボス凹部31を備えている。エンボス凹部31は、略円筒形状を有し、円形状の断面形状を有している。エンボス凹部31は、外径側環状凹溝30の底面にのみ開口している。図示の例では、エンボス凹部31は、外径側環状凹溝30の底面のうち、平坦底面に開口している。エンボス凹部31の軸方向寸法(直径寸法)W31は、外径側環状凹溝30の開口部の軸方向寸法W30の1/2倍~1倍である。したがって、外径側環状凹溝30の開口部の軸方向寸法W30は、エンボス凹部31の軸方向寸法W31の1倍~2倍である。図示の例では、外径側環状凹溝30の軸方向寸法W30は、エンボス凹部31の軸方向寸法W31の2倍である。また、エンボス凹部31の軸方向寸法W31は、外径側環状凹溝30の底面を構成する平坦底面の軸方向寸法と同じである。ただし、エンボス凹部31の軸方向寸法W31を、外径側環状凹溝30の平坦底面の軸方向寸法よりも大きくし、エンボス凹部31を、平坦底面及び傾斜底面のそれぞれに開口させることもできる。あるいは、エンボス凹部31の軸方向寸法W31を、外径側環状凹溝30の平坦底面の軸方向寸法よりも小さくすることもできる。
大径筒部27は、内周面に、複数の凸状のエンボス凸部32を備えている。エンボス凸部32は、エンボス凹部31と整合する位置、すなわち、大径筒部27の径方向に関してエンボス凹部31の反対側に備えられている。エンボス凸部32は、略円柱形状を有している。エンボス凹部31及びエンボス凸部32のそれぞれは、後述するように、ジョイントシャフト13の円筒部33を、大径筒部27の内側に挿入した後に形成する。
エンボス凹部31及びエンボス凸部32のそれぞれは、大径筒部27の円周方向に関して等間隔に配置されている。エンボス凹部31及びエンボス凸部32のそれぞれは、たとえば、円周方向に関する位相を90度ずつずらして4個所に設けても良いし、円周方向に関する位相を180度ずらして、大径筒部27の径方向反対側の2個所にのみ設けることもできる。
本例では、大径筒部27の内周面に、次のようにしてエンボス凸部32を形成する。すなわち、円柱形状を有する工具(ピン)の先端部によって、大径筒部27の外周面の円周方向複数個所を径方向内方に向けて押圧し、当該部分を半せん断(半抜き)する。これにより、大径筒部27の外周面のうち外径側環状凹溝30の底部に、略円筒状のエンボス凹部31を形成し、かつ、大径筒部27の内周面の円周方向複数個所を径方向内方に突出させて、略円柱状のエンボス凸部32を形成する。要するに、大径筒部27に対してエンボス加工を施すことで、大径筒部27の外周面にエンボス凹部31を形成し、エンボス凹部31の形成により押し出された材料を大径筒部27の内周面から径方向内方に突出させて、エンボス凸部32を形成する。エンボス凸部32を形成する際には、大径筒部27の径方向反対側に1対の工具を配置し、1対の工具の先端部を互いに近づけるように移動させることで、2つのエンボス凸部32(エンボス凹部31)を同時に形成することもできる。エンボス凹部31は、大径筒部27の板厚よりも小さい深さ寸法を有し、かつ、工具の先端部の外面形状に合致した内面形状を有する。また、エンボス凸部32は、エンボス凹部31の深さ寸法とほぼ同じ高さ寸法を有する。なお、本例では、エンボス凹部31の深さ寸法(エンボス凸部32の高さ寸法)が、0.5mm~3mmであり、エンボス凹部31の直径寸法(エンボス凸部32の直径寸法)が2mm~2.5mm程度である。
《ジョイントシャフト》
ジョイントシャフト13は、挿入部材に相当し、金属製で、全体が略円筒状に構成されている。ジョイントシャフト13は、軸方向一方側部に、第一結合部に相当する円筒部33を有している。
円筒部33の外周面には、外周側凹凸部に相当する、円周方向に関する凹凸形状の雄セレーション34と、雄セレーション34の軸方向中間部を円周方向に横切るように配置された、内径側環状凹溝35とを有する。別の言い方をすれば、円筒部33の外周面には、内径側環状凹溝35を挟んで軸方向両側に、雄セレーション34が備えられている。
内径側環状凹溝35は、円筒部33の外周面に、たとえば切削加工を施すことにより形成されている。内径側環状凹溝35の底面36の外径は、雄セレーション34の歯底円直径よりも小さい。内径側環状凹溝35は、台形状の断面形状を有している。図示の例では、内径側環状凹溝35の開口部の軸方向寸法は、第一外筒12に備えられた外径側環状凹溝30の開口部の軸方向寸法W30よりも大きい。ただし、内径側環状凹溝の開口部の軸方向寸法は、エンボス凸部の直径寸法(軸方向寸法)よりも大きければ足り、外径側環状凹溝の開口部の軸方向寸法よりも小さくすることもできる。
円筒部33の挿入方向前方側に位置する、雄セレーション34の軸方向一方側の端部には、軸方向他方側に隣接した部分に比べて外接円直径(歯先円直径)の小さい、ガイド部37を有する。
ジョイントシャフト13は、内周面の軸方向中間部に、円筒面状の内周面を有する中径孔部38を有しており、内周面の軸方向一方側の端部に、中径孔部38よりも内径の大きい、円筒面状の内周面を有する大径孔部39を有している。このため、内径側環状凹溝35の軸方向両側に配置された1対の雄セレーション34のうち、軸方向一方側に配置された雄セレーション34は、軸方向他方側に配置された雄セレーション34よりも、薄肉部に形成されている。中径孔部38の内径は、第一内軸11を構成する雄スプライン22aの外接円直径よりもわずかに大きい。これにより、収縮シャフト9の収縮時に、中径孔部38の内側に、雄スプライン22aを挿入可能としている。
ジョイントシャフト13は、中径孔部38の軸方向他方側に位置する、内周面の軸方向他方側の半部に、雌セレーション40を有している。雌セレーション40の歯底円直径は、中径孔部38の内径よりも小さい。
ジョイントシャフト13は、軸方向他方側の半部に、軸方向に伸長したスリット41を有しており、該スリット41の円周方向両側に、径方向外側に向けて張り出した1対の鍔部42を有している。1対の鍔部42のうち、一方の鍔部42には、ねじ孔43が備えられており、他方の鍔部42には、通孔が備えられている。ねじ孔43と通孔とは、互いに同軸上に配置されている。なお、図示の例では、ジョイントシャフト13の内側を、水分等の異物が通過するのを防止するために、中径孔部38にキャップ44を内嵌している。
《外筒とジョイントシャフトとの結合構造》
本例では、図11に示すように、ジョイントシャフト13の円筒部33を、第一外筒12の大径筒部27の内側に挿入することで、雄セレーション34を雌セレーション29に圧入(軽圧入)し、雄セレーション34と雌セレーション29とをセレーション係合(凹凸係合)させている。そして、雄セレーション34と雌セレーション29とにより、トルク伝達部45を構成している。
本例では、大径筒部27の軸方向他方側の端部が雄セレーション34の軸方向他方側の端部に突き当たるまで、ジョイントシャフト13の円筒部33を大径筒部27の内側に挿入している。具体的には、図12に示すように、大径筒部27の内周面に備えられた雌セレーション29を構成するセレーション歯46の軸方向他方側の端部が、雄セレーション34を構成するセレーション溝47の軸方向他方側の端部に位置する、軸方向一方側を向いた突き当て面48に突き当たるまで、円筒部33を大径筒部27の内側に挿入している。これにより、第一外筒12に対するジョイントシャフト13の軸方向に関する位置決めを図っている。なお、セレーション歯46が、内周側凸部に相当し、セレーション溝47が、外周側凹部に相当する。本例では、円筒部33の挿入方向前方側に位置する、雄セレーション34の軸方向一方側の端部に、ガイド部37を備えているため、円筒部33の挿入作業の作業性の向上を図れる。
また、ジョイントシャフト13の円筒部33を第一外筒12の大径筒部27の内側に挿入し、第一外筒12に対するジョイントシャフト13の軸方向の位置決めを図った状態で、円筒部33の外周面に備えられた内径側環状凹溝35と、大径筒部27の外周面に備えられた外径側環状凹溝30とは、径方向に重なる(重畳する)位置に配置される。より具体的には、外径側環状凹溝30を、軸方向に関して、内径側環状凹溝35の内側に配置する。そして、この状態で、大径筒部27に対してエンボス加工を施す。エンボス加工を施す際には、エンボス加工に使用する工具の軸方向に関する位置決めを、たとえば、ジョイントシャフト13の軸方向他方側の端面を基準にして行う。なお、工具の軸方向に関する位置決めは、ジョイントシャフト13の軸方向他方側の端面に限らず、第一外筒12の軸方向一方側の端面など、その他の部分を採用することもできる。
エンボス加工によって、大径筒部27の外周面のうち、外径側環状凹溝30の底面に、複数のエンボス凹部31を形成し、かつ、大径筒部27の内周面に、複数のエンボス凸部32を形成する。そして、エンボス凸部32を、内径側環状凹溝35の内側に配置する。これにより、エンボス凸部32と内径側環状凹溝35とにより、抜け止め部49を構成する。
エンボス凸部32を、内径側環状凹溝35の内側に配置した状態で、エンボス凸部32の先端面50と内径側環状凹溝35の底面36との間には、径方向隙間を存在させている。また、エンボス凸部32と、内径側環状凹溝35の互いに対向する内側面51との間には、軸方向隙間を存在させている。
本例では、前述のように、小径の工具(ピン)により被加工部を押圧し、当該部分を半せん断するエンボス加工により、大径筒部27の内周面に略円柱状のエンボス凸部32を形成している。このため、大径筒部27のうちで工具により押圧される部分以外の部分に塑性変形を生じにくくできて、大径筒部27の外周面の真円度が低下することを防止できる。さらに、本例では、大径筒部27の外周面に外径側環状凹溝30を形成して、外径側環状凹溝30を形成した部分の板厚を小さくし、かつ、外径側環状凹溝30底部(平坦底面)を工具によって径方向内方に向けて押圧することで、エンボス凸部32を形成しているため、エンボス凸部32を形成するのに必要なプレス荷重を低く抑えることができる。また、エンボス加工を行う際に、第一外筒12とジョイントシャフト13との間には、後述する溶接ビード部52はいまだ形成していないが、雄セレーション34を雌セレーション29に圧入しているため、第一外筒12とジョイントシャフト13との同軸度を確保できるとともに、第一外筒12とジョイントシャフト13とががたつくことも防止できる。さらに、内径側環状凹溝35の底面36とエンボス凸部32の先端面50との間に径方向隙間を存在させるとともに、内径側環状凹溝35の互いに対向する内側面51とエンボス凸部32との間に軸方向隙間を存在させているため、エンボス凸部32を形成することに起因して、大径筒部27の外周面の真円度が低下することを防止できる。
さらに本例では、ジョイントシャフト13の外周面のうち大径筒部27から露出した部分と、大径筒部27の軸方向他方側の端面との間を、溶接ビード部52により全周にわたり溶接固定している。溶接ビード部52は、たとえば略四分の一円形状、略三角形状又は略四角形状などの断面形状を有しており、大径筒部27の外径と同じか又は大径筒部27の外径よりも小さい外径を有している。
なお、本例では、ジョイントシャフト13の円筒部33を第一外筒12の大径筒部27の内側に挿入し、大径筒部27の内周面の円周方向複数個所にエンボス凸部32を形成した後、該エンボス凸部32から軸方向に離隔した、ジョイントシャフト13の外周面と大径筒部27の軸方向他方側の端面との間に、溶接ビード部52を形成している。これにより、溶接ビード部52を形成する際の溶接熱の影響が、エンボス凸部32にまで伝わることを防止している。さらに、雄セレーション34を雌セレーション29に圧入しているため、溶接ビード部52を形成する際に、第一外筒12とジョイントシャフト13との同軸度を確保できるとともに、第一外筒12とジョイントシャフト13とががたつくことも防止できる。
《伸縮シャフト》
伸縮シャフト10は、自動車に衝突事故の発生していない定常状態においても、全長が伸縮可能な構成を有する。伸縮シャフト10は、第二外筒53と、第二内軸54と、複数個のボール55と、複数本のローラ56と、複数枚の板ばね57とを備える。
本例の中間シャフト5aにおいては、第二外筒53を、収縮シャフト9に近い、伸縮シャフト10の軸方向一方側に配置し、第二内軸54を、収縮シャフト9から遠い、伸縮シャフト10の軸方向他方側に配置している。
《第二外筒》
第二外筒53は、たとえば冷間鍛造品であり、図3に示すように、軸方向一方側の端部に配置された中実状(略円柱状)の雄軸部58と、該雄軸部58の軸方向他方側に隣接配置された有底円筒状の雌筒部59とを一体に備えている。雄軸部58と雌筒部59とは、同軸上に配置されている。雄軸部58の外径は、雌筒部59の外径よりも小さく、雄軸部58の軸方向長さは、雌筒部59の軸方向長さよりも十分に短い。
雄軸部58は、収縮シャフト9を構成するジョイントシャフト13に連結する部分であり、外周面の軸方向中間部に、雄セレーション60を有する。雄軸部58の外周面の円周方向一箇所には、雄セレーション60を周方向に横切るように形成された周方向凹溝61が備えられている。
雌筒部59は、第二内軸54をスライド可能に挿入する部分である。雌筒部59は、内周面に、それぞれが軸方向に伸長した第一雌側溝62と第二雌側溝63とを円周方向に交互に有する。第一雌側溝62及び第二雌側溝63のそれぞれは、凹円弧形の断面形状を有する。
《第二内軸》
第二内軸54は、全長にわたり中実状に構成されている。第二内軸54は、軸方向一方側部の外周面に、それぞれが軸方向に伸長した第一雄側溝64と第二雄側溝65とを円周方向に関して交互に有する。第一雄側溝64は、略等脚台形状の断面形状を有しており、開口部の円周方向幅が底部の円周方向幅よりも広くなっている。これに対し、第二雄側溝65は、凹円弧形状の断面形状を有している。また、第二内軸54の軸方向一方側の端部外周面には、円輪状のストッパ66が係止されている。これにより、第一雄側溝64の内側に配置されるボール55及び第二雄側溝65の内側に配置されるローラ56が、これら第一雄側溝64及び第二雄側溝65から軸方向一方側に抜け出すことを防止している。また、第二内軸54の軸方向他方側の端部には、第二内軸54とは別体のヨーク67が溶接により固定されている。ヨーク67は、ステアリングシャフト2aの前端部に接続される別のヨーク68及び図示しない十字軸とともに、自在継手4cを構成する。
第二内軸54を第二外筒53の内側に挿入する際には、第一雄側溝64と第一雌側溝62との円周方向の位相を一致させ、かつ、第二雄側溝65と第二雌側溝63の円周方向の位相を一致させる。そして、第一雄側溝64と第一雌側溝62との間に、複数個のボール55を配置する。さらに、第一雄側溝64と複数個のボール55との間に板ばね57を配置し、これら複数個のボール55に予圧を付与する。また、第二雄側溝65と第二雌側溝63との間に、それぞれ1本ずつローラ56を配置する。
上述のような伸縮シャフト10は、第二内軸54と第二外筒53とが、トルク伝達可能に、かつ、定常状態において全長を伸縮可能に組み合わされている。また、伸縮シャフト10は、低トルクの伝達時には、複数個のボール55と板ばね57とが、第二内軸54と第二外筒53との間でトルクを伝達し、伝達するトルクが増加すると、増加した分のトルクを、複数本のローラ56が伝達する。また、第二内軸54と第二外筒53とが軸方向に相対変位する際には、複数個のボール55は、第一雄側溝64と第一雌側溝62との間で転動し、複数本のローラ56は、第二雄側溝65と第二雌側溝63との間で滑り摺動する。また、板ばね57の弾力により、複数個のボール55が第一雌側溝62の内面に押し付けられているため、第二内軸54と第二外筒53とのがたつきが防止される。
収縮シャフト9と伸縮シャフト10とを軸方向に連結する際には、収縮シャフト9を構成するジョイントシャフト13の内側に、伸縮シャフト10を構成する第二外筒53の雄軸部58を挿入する。そして、ジョイントシャフト13の内周面に備えられた雌セレーション40に対して、雄軸部58の外周面に備えられた雄セレーション60を、トルク伝達可能にセレーション係合させる。これにより、ジョイントシャフト13と第二外筒53との相対回転を防止する。また、雄軸部58の外周面に備えられた周方向凹溝61の内側に、ジョイントシャフト13のねじ孔43に螺合した締付ボルト69の中間部を進入させて、周方向凹溝61と締付ボルト69とをキー係合させる。これにより、ジョイントシャフト13と第二外筒53とが軸方向に相対移動することを防止する。また、締付ボルト69の螺合量を増やすことで、ジョイントシャフト13のスリット41の幅寸法を小さくし、ジョイントシャフト13を縮径する。そして、ジョイントシャフト13の内周面により雄軸部58の外周面を強く締め付ける。これにより、収縮シャフト9と伸縮シャフト10とをトルク伝達可能に連結する。
本例のステアリング装置は、定常状態では、伸縮シャフト10を構成する第二外筒53と第二内軸54とが軸方向に相対変位することで、中間シャフト5aが伸縮する。これにより、走行時にタイヤに入力された振動を吸収する。また、車体の前面全体で他の自動車などに衝突する、いわゆるフルラップ衝突が発生した場合などには、収縮シャフト9及び伸縮シャフト10のそれぞれが収縮する。これにより、衝突による衝撃を吸収して、ステアリングホイール1aが運転者側に突き上げられることを防止する。
以上のような構成を有する本例では、トルク伝達用シャフトである中間シャフト5aを構成する1対のシャフトである、第一外筒12とジョイントシャフト13との結合部に関して、これら第一外筒12とジョイントシャフト13とを結合する溶接ビード部52に欠陥が生じた場合にも、トルク伝達機能を確保することができ、かつ、第一外筒12とジョイントシャフト13との分離防止を図れる。
すなわち、溶接ビード部52に欠陥が生じた場合にも、ジョイントシャフト13の雄セレーション34と、第一外筒12の雌セレーション29とを凹凸係合(セレーション係合)させてなるトルク伝達部45により、ジョイントシャフト13と第一外筒12との間でトルクを伝達することができる。さらに、第一外筒12の大径筒部27の内周面に形成したエンボス凸部32を、ジョイントシャフト13に備えられた内径側環状凹溝35の内側に配置してなる抜け止め部49により、ジョイントシャフト13が第一外筒12から軸方向に抜け出ることを防止できる。
また、第一外筒12の大径筒部27の板厚T12と、ジョイントシャフト13の円筒部33の板厚t13とを同程度とするか、又は、第一外筒12の板厚T12とジョイントシャフト13の板厚t13とのうち、厚さの大きい板厚T12(又はt13)を、厚さの小さい板厚t13(又はT12)の2倍以下に規制している。このため、溶接ビード部52の溶接品質の確保及び溶接欠陥の回避を図ることができる。さらに本例では、板厚t13の大きい大径筒部27に対してそのままエンボス加工を施すのではなく、大径筒部27の外周面に外径側環状凹溝30を形成し、この外径側環状凹溝30の底面に対してエンボス加工を施すことで、大径筒部27の内周面にエンボス凸部32を形成している。このため、溶接ビード部52の溶接品質の確保及び溶接欠陥の回避と、エンボス凸部32の形状精度の確保との両立を図ることができる。
また、本例では、エンボス加工を施す際に、エンボス加工に使用する工具の軸方向に関する位置決めを、ジョイントシャフト13の軸方向他方側の端面を基準にして行っている。このため、エンボス凹部31が、外径側環状凹溝30の内側(底部)に形成されているか否かを確認することで、第一外筒12に対するジョイントシャフト13の軸方向の位置決めが正しく行われているか確認することができ、かつ、エンボス凸部32が、内径側環状凹溝35の内側に配置されているか確認することもできる。したがって、第一外筒12とジョイントシャフト13との結合部の品質管理を、目視により行うことができる。また、カメラなどを利用して、品質検査を自動で行うことも可能になる。
また、抜け止め部49を、溶接ビード部52から軸方向に離隔して配置している。このため、溶接ビード部52を形成する際の溶接熱が、抜け止め部49にまで伝わることを有効に防止できる。このため、溶接ビード部52を形成することに起因して、抜け止め機能が損なわれることを有効に防止できる。
また、抜け止め部49を構成するエンボス凸部32を、大径筒部27の内周面に、小径の工具を用いたエンボス加工により形成するため、大径筒部27の外周面の真円度が低下することを防止できる。さらに本例では、エンボス凸部32と内径側環状凹溝35との間に、径方向隙間及び軸方向隙間を存在させているため、この面からも、大径筒部27の外周面の真円度が低下することを防止できる。
また、第一内軸11を構成する軸部16の外周面に、円周方向に関する位相が互いに一致した雄スプライン22a、22bを断続的に備えている。さらに、定常状態における、雄スプライン22aと雌スプライン28との有効嵌合長Lxを、ヒューズ部24a、24bのそれぞれの軸方向寸法Laよりも長く設定している。このため、衝突事故が発生し、収縮シャフト9が収縮した場合においても、雌スプライン28に対し、少なくとも1つの雄スプライン22a、22bをスプライン係合させることができる。したがって、収縮シャフト9が収縮した状態で、第一内軸11と第一外筒12との間でトルク伝達が不能になり、ステアリングホイール1aの操作が操舵輪に伝わらなくなることを防止できる。なお、収縮シャフト9を完全に収縮した状態では、雄スプライン22aは、大径筒部27及びジョイントシャフト13の内側に配置される。
また、ヒューズ部24a、24bのそれぞれを、定常状態において、第一外筒12から露出させるとともに、雄スプライン22a、22bの歯底円直径よりも小径に構成している。このため、車体の前面のうちの一部が他の自動車などに衝突する、いわゆるオフセット衝突が発生した場合には、衝突に伴う衝撃荷重に基づいて、ヒューズ部24a、24bの少なくとも1つを曲げ変形させたり、捩り変形させたりすることができる。このため、衝突による衝撃を効果的に吸収することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、発明の技術思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
本発明を実施する場合に、挿入部材の外周面に設ける外周側凹凸部については、実施の形態で説明した雄セレーションに限定されず、雄スプラインでも良いし、外周面の円周方向1個所ないし複数個所に凹溝(キー溝)又は突条を備えた構成とすることもできる。また、外周側凹凸部の断面形状を、多角形状や花びら形状とすることもできる。同様に、被挿入部材の内周面に設ける内周側凹凸部についても、実施の形態で説明した雌セレーションに限定されず、雌スプラインでも良いし、内周面の円周方向1個所ないし複数個所に凹溝(キー溝)又は突条を備えた構成とすることもできる。また、内周側凹凸部の断面形状を、多角形状や花びら形状とすることもできる。
本発明を実施する場合に、挿入部材及び被挿入部材は、実施の形態で説明したシャフトに限定されず、ヨークやその他の部材を採用することができる。このため、本発明の結合構造を、たとえば、ヨークとシャフトとの結合部に採用することもできる。また、本発明を実施する場合に、被挿入部材に対する挿入部材の軸方向に関する位置決めは、内周側凹凸部を構成する内周側凸部の端面を、外周側凹凸部に備えられた突き当て面に突き当てる構成に限らず、その他の構成を採用することもできる。
また、本発明を実施する場合に、エンボス凸部及びエンボス凹部の数及び形状、並びに、内径側環状凹溝及び外径側環状凹溝の形状については、実施の形態で説明した構造に限定されず、挿入部材と被挿入部材との抜け止め機能が図れる限りにおいて変更が可能である。
1、1a ステアリングホイール
2、2a ステアリングシャフト
3、3a ステアリングコラム
4a、4b、4c、4d 自在継手
5、5a 中間シャフト
6、6a ステアリングギヤユニット
7、7a タイロッド
8、8a ピニオン軸
9 収縮シャフト
10 伸縮シャフト
11 第一内軸
12 第一外筒
13 ジョイントシャフト
15 ヨーク部
16 軸部
17 ヨーク
18 基部
19 腕部
20 挿通孔
21 円孔
22a、22b 雄スプライン
23 中心孔
24a、24b ヒューズ部
25 小径筒部
26 円すい筒部
27 大径筒部
28 雌スプライン
29 雌セレーション
30 外径側環状凹溝
31 エンボス凹部
32 エンボス凸部
33 円筒部
34 雄セレーション
35 内径側環状凹溝
36 底面
37 ガイド部
38 中径孔部
39 大径孔部
40 雌セレーション
41 スリット
42 鍔部
43 ねじ孔
44 キャップ
45 トルク伝達部
46 セレーション歯
47 セレーション溝
48 突き当て面
49 抜け止め部
50 先端面
51 内側面
52 溶接ビード部
53 第二外筒
54 第二内軸
55 ボール
56 ローラ
57 板ばね
58 雄軸部
59 雌筒部
60 雄セレーション
61 周方向凹溝
62 第一雌側溝
63 第二雌側溝
64 第一雄側溝
65 第二雄側溝
66 ストッパ
67 ヨーク
68 ヨーク
69 締付ボルト

Claims (10)

  1. 軸方向一方側の端部に第一結合部を有する、挿入部材と、
    軸方向他方側の端部に前記第一結合部が挿入される円筒状の第二結合部を有する、被挿入部材と、
    前記第二結合部の軸方向他方側の端部と前記挿入部材の外周面のうち前記第二結合部から露出した部分とを溶接固定した溶接ビード部と、を備え、
    前記第一結合部は、外周面に、円周方向に関する凹凸形状の外周側凹凸部と、内径側環状凹溝と、をそれぞれ有し、
    前記第二結合部は、外周面に、前記内径側環状凹溝と径方向に重なる位置に配置された外径側環状凹溝と、該外径側環状凹溝の底部に形成されたエンボス凹部と、をそれぞれ有し、かつ、内周面に、前記外周側凹凸部と凹凸係合してトルク伝達部を構成する円周方向に関する凹凸形状の内周側凹凸部と、前記エンボス凹部と整合する位置に設けられ、前記内径側環状凹溝の内側に配置されて抜け止め部を構成するエンボス凸部と、をそれぞれ有する、
    結合構造。
  2. 前記被挿入部材の軸方向に関する前記外径側環状凹溝の寸法は、前記被挿入部材の軸方向に関する前記エンボス凹部の寸法の1倍~2倍である、請求項1に記載の結合構造。
  3. 前記内周側凹凸部を構成する内周側凸部の軸方向他方側の端面を、前記外周側凹凸部を構成する外周側凹部の軸方向他方側の端部に備えられ、軸方向一方側を向いた突き当て面に突き当てることで、前記挿入部材と前記被挿入部材との軸方向に関する位置決めが図られている、請求項1~2のうちのいずれか1項に記載の結合構造。
  4. 前記外周側凹凸部は、前記内周側凹凸部に圧入されている、請求項1~3のうちのいずれか1項に記載の結合構造。
  5. 前記外周側凹凸部は、軸方向一方側の端部に、軸方向他方側に隣接した部分に比べて外接円直径の小さい、ガイド部を備える、請求項4に記載の結合構造。
  6. 前記エンボス凸部及び前記エンボス凹部のそれぞれは、前記第二結合部の円周方向に関して複数個所に配置されている、請求項1~5のうちのいずれか1項に記載の結合構造。
  7. 前記内径側環状凹溝の底面と前記エンボス凸部の先端面との間には、前記第一結合部の径方向に関する隙間が存在する、請求項1~6のうちのいずれか1項に記載の結合構造。
  8. 前記内径側環状凹溝の互いに対向する内側面と前記エンボス凸部との間には、前記挿入部材の軸方向に関する隙間が存在する、請求項1~7のうちのいずれか1項に記載の結合構造。
  9. 大径シャフトと、該大径シャフトに対しトルク伝達を可能にかつ軸方向の相対変位を可能に内嵌された小径シャフトと、前記大径シャフトの軸方向端部に結合されたジョイントシャフトと、を備えた収縮シャフトであって、
    前記大径シャフトと前記ジョイントシャフトとが、請求項1~8のうちのいずれか1項に記載した結合構造により結合されており、前記大径シャフトが前記被挿入部材であり、前記ジョイントシャフトが前記挿入部材である、収縮シャフト。
  10. 前記収縮シャフトは、自動車用のステアリング装置の中間シャフトを構成するものであり、自動車に衝突事故が発生し、前記収縮シャフトに軸方向に所定値以上の大きさの荷重が加わった場合にのみ、全長を収縮可能に構成されている、請求項9に記載の収縮シャフト。
JP2020215526A 2020-12-24 2020-12-24 結合構造及び収縮シャフト Pending JP2022101125A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020215526A JP2022101125A (ja) 2020-12-24 2020-12-24 結合構造及び収縮シャフト

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020215526A JP2022101125A (ja) 2020-12-24 2020-12-24 結合構造及び収縮シャフト

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2022101125A true JP2022101125A (ja) 2022-07-06
JP2022101125A5 JP2022101125A5 (ja) 2024-01-10

Family

ID=82271540

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020215526A Pending JP2022101125A (ja) 2020-12-24 2020-12-24 結合構造及び収縮シャフト

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022101125A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0891230A (ja) 衝撃吸収式ステアリングシャフトの製造方法
JP6760507B2 (ja) シャフトの結合構造および伸縮シャフト
JP2009040302A (ja) ステアリング装置用エネルギ吸収式シャフト
JP2006097884A (ja) シャフトと自在継手のヨークとの結合部
JP2022101125A (ja) 結合構造及び収縮シャフト
JP4157213B2 (ja) 自在継手におけるヨークとシャフトとの連結構造
JP6900876B2 (ja) シャフト同士の結合構造及び結合方法
CN110953256B (zh) 带止动器的伸缩轴
JP6926797B2 (ja) 伸縮シャフト
JP2018016128A (ja) 伸縮シャフト
JP2019031992A (ja) シャフト同士の結合構造
JP7099157B2 (ja) シャフトとのクランプ部材との結合部、および、シャフトとクランプ部材との結合部の製造方法
JP2022085813A (ja) 中間シャフト
JP7359056B2 (ja) ストッパ付伸縮シャフト
JP7147509B2 (ja) トルク伝達軸
JP2019084860A (ja) ステアリング装置
JP7314951B2 (ja) ステアリングコラムおよびステアリング装置
JP7322617B2 (ja) ステアリング中間シャフト用アウタチューブの製造方法
JP2011105069A (ja) プロペラシャフト
JP7375768B2 (ja) ステアリングコラムおよびステアリング装置
JP2023002896A (ja) ラック軸およびステアリング装置
JP6922581B2 (ja) ヨークと回転軸との結合部
JP6897184B2 (ja) アウタチューブ及びその製造方法
JP2006300085A (ja) シャフトとヨークとの結合部
JP5251159B2 (ja) シャフトと自在継手のヨークとの結合部及びシャフトの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20231205

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20231220

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20231220

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20231205