JP2022098757A - 給電制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】給電制御装置において、外部給電を開始する際のユーザの利便性を高めつつ、HV給電モードによる外部給電を適切な環境下で行ないやすくする。【解決手段】給電制御装置は、外部給電が許可された状態で車両が給電対象に電気的に接続されると、EV給電モードで外部給電を開始し、外部給電の開始後に蓄電装置のSOCが所定値を下回ったときに、HV給電環境下に車両が存在する場合には、給電モードをEV給電モードからHV給電モードに切り替えて外部給電を継続する一方、上記HV給電環境下に車両が存在しない場合には、ユーザ端末に所定の通知を行なう。【選択図】図2
Description
本開示は、給電制御装置に関し、特に、車両から車両外部への外部給電を制御する給電制御装置に関する。
特開2019-034567号公報(特許文献1)には、EV給電モードとHV給電モードとのいずれかを選択し、選択された給電モードで外部給電を実行する給電制御装置が開示されている。EV給電モードでは、蓄電装置に蓄えられた電力を用いて外部給電が行なわれる。HV給電モードでは、エンジンの出力を利用して発電された電力を用いて外部給電が行なわれる。特許文献1に記載される給電制御装置は、車両の現在地がアイドリング禁止地域(すなわち、駐車中におけるエンジンのアイドリングが禁止される地域)に含まれる場合に、EV給電モードを選択する。
上記特許文献1に記載される給電制御装置は、車両の現在地がアイドリング禁止地域に含まれず、かつ、車両が屋外にある場合に、ユーザにより選択された給電モードで外部給電を実行する。この場合、ユーザが給電モードを選択するまでは、外部給電が開始されない。ユーザは、車両に搭載されたHMI(Human Machine Interface)装置を通じて給電モードを選択する。こうした作業は、ユーザにとって煩わしく、ユーザの利便性を低下させる。
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、給電制御装置において、外部給電を開始する際のユーザの利便性を高めつつ、HV給電モードによる外部給電を適切な環境下で行ないやすくすることである。
本開示に係る給電制御装置は、蓄電装置及びエンジンを備える車両から車両外部の給電対象へ電力を供給する外部給電を制御するように構成される。この給電制御装置は、複数種の給電モードの中から選ばれた給電モードで外部給電を実行するように構成される。複数種の給電モードは、蓄電装置に蓄えられた電力を用いて外部給電を行なうEV給電モードと、エンジンの出力を利用して発電した電力を用いて外部給電を行なうHV給電モードとを含む。上記の給電制御装置は、外部給電が許可された状態で車両が給電対象に電気的に接続されると、EV給電モードで外部給電を開始するように構成される。上記の給電制御装置は、外部給電の開始後に蓄電装置のSOC(State Of Charge)が所定値を下回ったときに、HV給電環境下に車両が存在する場合には、給電モードをEV給電モードからHV給電モードに切り替えて外部給電を継続する一方、上記HV給電環境下に車両が存在しない場合には、ユーザ端末に所定の通知を行なうように構成される。
なお、HV給電環境は、HV給電モードでの外部給電に適した環境である。SOCは、蓄電残量を示し、たとえば、満充電状態の蓄電量に対する現在の蓄電量の割合を0~100%で表わしたものである。
上記給電制御装置では、外部給電が許可された状態で車両が給電対象に電気的に接続されると、EV給電モードで外部給電が開始される。このため、外部給電を開始する際のユーザの利便性が向上する。外部給電は、常に許可されていてもよいし、所定の要件を満たす場合に限って許可されてもよい。
また、外部給電開始後に蓄電装置のSOCが所定値を下回ったときに、HV給電環境下に車両が存在する場合には、給電モードがEV給電モードからHV給電モードに切り替わって外部給電が継続される。これにより、HV給電モードによる外部給電がHV給電環境下で行なわれる。こうした制御により、蓄電装置の過放電を抑制することができる。
外部給電開始後に蓄電装置のSOCが所定値を下回ったときに、HV給電環境下に車両が存在しない場合には、ユーザ端末に所定の通知が行なわれる。この通知を受けたユーザは、任意の対応をすることができる。ユーザは、外部給電を中止してもよいし、EV給電モードによって外部給電を継続してもよいし、HV給電モードによって外部給電を継続してもよい。ユーザは、車両をHV給電環境下に移動させてから給電モードをHV給電モードに切り替えてもよい。ユーザは、外部給電を中止して、代わりに予備の電源によって給電を行なってもよい。上記の通知により、HV給電モードによる外部給電が適切な環境下で行なわれやすくなる。
給電対象の例としては、EVSE(Electric Vehicle Supply Equipment:車両用給電設備)、電気機器、又は他の車両が挙げられる。
ユーザ端末は、予め車両のユーザに紐付けて給電制御装置に登録されてもよい。ユーザ端末は、ユーザが乗車する車両に搭載された報知装置(たとえば、ナビゲーションシステム又はメータパネル)であってもよいし、ユーザが携帯する携帯端末であってもよい。
HV給電モードでの外部給電に適さない環境の例としては、アイドリング禁止地域、及び密閉空間が挙げられる。たとえば、屋内のガレージは、密閉空間に相当する。
上記給電制御装置は、外部給電開始後に蓄電装置のSOCが所定値を下回ったときに、車両が密閉空間に存在する場合には、外部給電の継続/中止のいずれかを選択することをユーザに要求する通知を、ユーザ端末に行なってもよい。そして、ユーザによって中止が選択された場合には、給電制御装置は、外部給電を終了してもよい。また、ユーザによって継続が選択された場合には、給電制御装置は、給電モードをEV給電モードからHV給電モードに切り替えて外部給電を継続し、密閉空間におけるCO2(二酸化炭素)濃度が所定値を超えたときに、HV給電モードによる外部給電を終了してもよい。
本開示によれば、外部給電を開始する際のユーザの利便性が向上し、HV給電モードによる外部給電が適切な環境下で行なわれやすくなる。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図中、同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
図1は、この実施の形態に係る給電制御装置が搭載された車両の構成を示す図である。図1を参照して、車両100は、バッテリ10と、監視ユニット10aと、モータジェネレータ(以下、「MG(Motor Generator)」と称する)11,12と、電力制御ユニット(以下、「PCU(Power Control Unit)」と称する)13と、エンジン20と、駆動輪21と、駆動軸22と、動力分割装置23と、電子制御ユニット(以下、「ECU(Electronic Control Unit)」と称する)30と、電力変換器51と、給電リレー52と、給電口53と、接続センサ54と、ナビゲーションシステム(以下、「NAVI」と称する)60と、環境センサ70と、入力装置80と、通信機90とを備える。また、車両100のユーザは、携帯端末200を携帯している。この実施の形態では、携帯端末200として、タッチパネルディスプレイを具備するスマートフォンを採用する。ただしこれに限られず、携帯端末200としては、任意の携帯端末を採用可能であり、タブレット端末、ウェアラブルデバイス(たとえば、スマートウォッチ)、電子キー、又はサービスツールなども採用可能である。
バッテリ10は、車両走行用の電力を蓄電する。バッテリ10は、たとえばリチウムイオン電池又はニッケル水素電池のような二次電池を含む。この実施の形態では、二次電池として、複数のリチウムイオン電池を含む組電池を採用する。組電池は、複数の単電池(一般に「セル」とも称される)が互いに電気的に接続されて構成される。なお、バッテリ10としては、大容量のキャパシタなども採用可能である。この実施の形態に係るバッテリ10は、本開示に係る「蓄電装置」の一例に相当する。
監視ユニット10aは、バッテリ10の状態(たとえば、電圧、電流、及び温度)を検出する各種センサを含み、検出結果をECU30へ出力する。監視ユニット10aは、上記センサ機能に加えて、SOC(State Of Charge)推定機能、SOH(State of Health)推定機能、セル電圧の均等化機能、診断機能、及び通信機能をさらに有するBMS(Battery Management System)であってもよい。ECU30は、監視ユニット10aの出力に基づいてバッテリ10の状態(たとえば、温度、電流、電圧、SOC、及び内部抵抗)を取得することができる。
MG11,12は、たとえば交流回転電機である。MG11,12は、ロータに永久磁石が埋設された三相交流同期電動機であってもよい。PCU13は、ECU30からの制御信号に従って、バッテリ10とMG11,12との間で双方向の電力変換を実行する。PCU13は、インバータ及びコンバータを含み、MG11,12の状態を別々に制御可能に構成される。PCU13は、MG11を発電状態にしつつ、MG12を力行状態にすることができる。
エンジン20は、空気と燃料との混合気を燃焼させたときに生じる燃焼エネルギーをピストン又はロータのような運動子の運動エネルギーに変換することによって動力を出力する内燃機関である。エンジン20は、ECU30によって制御される。動力分割装置23は、たとえば、サンギヤ、キャリア、及びリングギヤを含む遊星歯車機構を含む。動力分割装置23は、エンジン20から出力される動力を、MG11を駆動する動力と、駆動輪21を駆動する動力とに分割するように構成される。エンジン20によって駆動輪21が駆動されることで、車両100は走行する。
エンジン20の駆動力は動力分割装置23を経由してMG11に伝達される。MG11は、主として、エンジン20により駆動される発電機として動作する。MG11は、エンジン20から出力される動力(たとえば、エンジン20の出力軸の回転力)を利用して発電(エンジン発電)を行ない、発電された電力(エンジン発電電力)をバッテリ10及び電力変換器51に供給する。また、MG11は、エンジン20を始動するためのスタータとしても機能する。
MG12は、駆動軸22(ひいては、駆動輪21)に機械的に接続されている。MG12は、バッテリ10に蓄えられた電力とエンジン発電電力との少なくとも一方によって駆動されたときに力行状態になる。力行状態のMG12は、電動機として動作し、駆動軸22(ひいては、駆動輪21)を回転させる。MG12によって駆動輪21が駆動されることで、車両100は走行する。走行中の車両100の減速時及び制動時には、MG12は、発電状態になり、回生発電を行なう。MG12が発電した回生電力は、PCU13を介してバッテリ10に供給される。PCU13から供給される回生電力によって、バッテリ10は回生充電される。
燃料タンク(図示せず)内の燃料(たとえば、ガソリン)は、燃料ポンプ(図示せず)によってエンジン20に供給され、エンジン20によって動力に変換される。一方、バッテリ10に蓄えられた電力は、PCU13によってMG12に供給され、MG12によって動力に変換される。エンジン20及びMG12の少なくとも一方から出力される動力は、駆動軸22を回転させる。車両100の駆動輪21(たとえば、前輪)は、駆動軸22の両端に取り付けられ、駆動軸22と一体となって回転する。なお、車両100の駆動方式は、前輪駆動に限られず、後輪駆動又は4輪駆動であってもよい。また、エンジン20は、ガソリンエンジンに限られず、軽油を燃料とするディーゼルエンジンであってもよい。
給電口53は、EVSE(Electric Vehicle Supply Equipment)40のコネクタ42Aと、ヴィークルパワーコネクタ(以下、「VPC」と表記する)42Bとの少なくとも一方が接続可能に構成される。
図1に示すEVSE40は、逆潮流に対応する給電設備であり、交流電源PG及び電気機器300Aの各々に接続されている。この実施の形態に係る交流電源PGは、電気事業者(たとえば、電力会社)が提供する電力系統(電力網)である。電気機器300Aは、交流電源PGから供給される電力によって動作し得る。EVSE40に接続される電力ケーブル41は、先端にコネクタ42Aを有し、内部に電力線を含む。コネクタ42Aが給電口53に接続されることによって、車両100はEVSE40と電気的に接続される。EVSE40は、車両100から充電要求を受けた場合には、交流電源PGから供給される電力を車両100へ供給する。また、EVSE40は、車両100から電力の供給を受けた場合には、車両100から供給される電力を電気機器300A及び交流電源PGの少なくとも一方へ供給する。EVSE40は、車両100から供給される電力を用いて、交流電源PGの代わりに電気機器300Aへ電力を供給することができる。電気機器300Aは、建物(たとえば、住宅又は工場)内で使用される電気機器であってもよい。
VPC42Bは、外部給電専用のコネクタであり、コンセントプラグの差込口を備える。電気機器300BのコンセントプラグがVPC42Bの差込口に接続された状態で、VPC42Bが給電口53に接続されることによって、車両100は電気機器300Bと電気的に接続される。電気機器300Bは、屋外で使用される電気機器であってもよい。
電気機器300A及び電気機器300Bの各々は、たとえば、照明器具、空調設備、調理器具、情報機器、電話機、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、又はアイロンであってもよい。
給電口53は、外部給電専用の接続ポート(以下、「専用ポート」とも称する)であってもよいし、外部給電及び外部充電で共用される接続ポート(以下、「共用ポート」とも称する)であってもよい。外部給電は、車両100から車両外部の給電対象へ電力を供給することである。たとえば、コネクタ42Aが給電口53に接続された状態で行なわれる外部給電では、EVSE40が給電対象に相当する。また、VPC42Bが給電口53に接続された状態で行なわれる外部給電では、電気機器300Bが給電対象に相当する。外部充電は、車両外部から供給される電力によってバッテリ10を充電することである。コネクタ42Aが給電口53に接続された状態で行なわれる外部充電では、交流電源PGからEVSE40を経て車両100に供給される電力によってバッテリ10が充電される。
この実施の形態に係るECU30は、EV給電モード及びHV給電モードのいずれかを選択し、選択された給電モードで外部給電を実行するように構成される。EV給電モードでは、エンジン20が停止された状態で、バッテリ電力(すなわち、バッテリ10に蓄えられた電力)によって外部給電が行なわれる。HV給電モードでは、エンジン20が作動した状態で、エンジン発電電力(すなわち、エンジン20の出力を利用して発電した電力)によって外部給電が行なわれる。
接続センサ54は、給電口53の状態(接続/非接続)を検出し、検出結果をECU30へ出力するように構成される。接続センサ54は、給電口53が接続状態/非接続状態のいずれであるかを検出するだけではなく、給電口53が接続状態であるときに、給電口53にコネクタ42AとVPC42Bとのいずれが接続されているかを判別するように構成されてもよい。この実施の形態に係るECU30は、接続センサ54の出力に基づいて、給電口53の状態(接続/非接続)を取得することができる。ただし、接続/非接続の検出方法は、接続センサ54に限られない。ECU30は、EVSE40又は電気機器300Bが車両100と電気的に接続されたときにEVSE40又はVPC42BからECU30へ出力される接続信号に基づいて、給電口53の状態(接続/非接続)を検出してもよい。接続信号の例としては、CPLT信号(コントロールパイロット信号)又はProximity信号が挙げられる。ECU30は、上記接続信号に基づいて、給電口53にコネクタ42AとVPC42Bとのいずれが接続されたかを判別してもよい。
電力変換器51は、バッテリ電力又はエンジン発電電力を、外部給電に適した電力に変換する。給電口53が専用ポートである構成では、電力変換器51が整流器及びインバータを含んでもよい。給電口53が共用ポートである構成では、電力変換器51は、車両外部から給電口53に供給される電力を、外部充電に適した電力に変換する。すなわち、電力変換器51は双方向の電力変換を行なう。電力変換器51は、双方向の電力変換を行なうために双方向コンバータを含んでもよい。
給電リレー52は、電力変換器51と給電口53との間に位置する。給電リレー52の状態(接続/遮断)は、ECU30によって制御される。以下では、EV給電モードによる外部給電を「EV給電」、HV給電モードによる外部給電を「HV給電」とも称する。
EV給電が実行されるときには、給電リレー52が閉状態(接続状態)とされ、バッテリ電力が電力変換器51によって所定の電力に変換され、所定の電力が給電口53から出力される。HV給電が実行されるときには、給電リレー52が閉状態(接続状態)とされ、エンジン発電電力が電力変換器51によって所定の電力に変換され、所定の電力が給電口53から出力される。上記所定の電力(すなわち、外部給電によって給電口53から出力される電力)は、交流電源PG(車両100が存在する場所の電力系統)が供給する電力と同じであってもよい。
給電口53が共用ポートである構成において、外部充電が実行されるときには給電リレー52が閉状態(接続状態)とされ、車両外部から給電口53に供給される電力が電力変換器51によって所定の電力に変換され、所定の電力がバッテリ10に供給される。
外部給電及び外部充電のいずれも実行されないときには給電リレー52は開状態(遮断状態)とされる。
NAVI60は、プロセッサと、記憶装置と、タッチパネルディスプレイと、GPS(Global Positioning System)モジュールと(いずれも図示せず)を含んで構成される。記憶装置は、地図情報を記憶している。タッチパネルディスプレイは、ユーザからの入力を受け付けたり、地図及びその他の情報を表示したりする。GPSモジュールは、GPS衛星600からの信号(以下、「GPS信号」と称する)を受信するように構成される。NAVI60は、GPS信号を用いて車両100の位置を特定することができる。NAVI60は、ユーザからの入力に基づき、車両100の現在位置から目的地までの最適ルート(たとえば、最短ルート)を見つけるための経路探索を行ない、経路探索により見つかった最適ルートを地図上に表示するように構成される。
環境センサ70は、車両100の外部環境を認識するための情報(以下、「環境情報」とも称する)を取得する各種センサを含む。環境センサ70は、車両100の環境情報を取得し、ECU30へ出力するように構成される。この実施の形態では、環境センサ70が、車両100の周囲(前方及び後方を含む)を撮像するカメラと、電磁波又は音波によって障害物を検知する障害物検知器(たとえば、ミリ波レーダ及び/又はライダー)と、CO2センサとを含む。障害物検知器は、車両100の四隅に設けられてもよい。CO2センサは、車両100の周囲におけるCO2(二酸化炭素)濃度を検出するように構成される。
入力装置80は、ユーザからの入力を受け付ける装置である。入力装置80は、ユーザによって操作され、ユーザの操作に対応する信号をECU30へ出力する。入力装置80の例としては、各種スイッチ、各種ポインティングデバイス、キーボード、タッチパネルが挙げられる。入力装置80は、音声入力を受け付けるスマートスピーカであってもよい。
通信機90は、各種通信I/F(インターフェース)を含んで構成される。通信機90は、携帯端末200と無線通信を行なうための通信I/Fを含む。通信機90と携帯端末200との通信は、Bluetooth(登録商標)のような近距離通信(たとえば、車内及び車両周辺の範囲での直接通信)であってもよい。通信機90は、DCM(Data Communication Module)を含んでもよい。通信機90は、5G(第5世代移動通信システム)対応の通信I/Fを含んでもよい。ECU30は、通信機90を通じて車両外部の通信装置と無線通信を行なうように構成される。
ECU30としては、たとえば、プロセッサ、RAM(Random Access Memory)、及び記憶装置を備えるマイクロコンピュータが採用される。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。RAMは、プロセッサによって処理されるデータを一時的に記憶する作業用メモリとして機能する。記憶装置は、格納された情報を保存可能に構成される。ECU30が備えるプロセッサの数は任意であり、1つでも複数でもよい。この実施の形態に係るECU30は、本開示に係る「給電制御装置」の一例に相当する。
この実施の形態に係るECU30は、外部給電が許可された状態で車両100が給電対象(たとえば、EVSE40又は電気機器300B)に電気的に接続されると、EV給電モードで外部給電を開始するように構成される。
給電口53が専用ポートである構成では、車両100のユーザが駐車状態の車両100の周辺(車両100から所定範囲内)に存在するときに外部給電が許可されてもよい。たとえば、予め携帯端末200に認証情報(たとえば、ユーザの識別情報)が記憶されてもよい。そして、携帯端末200を携帯したユーザが車両100の周辺にいるときに携帯端末200と通信機90との間で自動的にユーザ認証が行なわれることによって外部給電が許可されてもよい。こうした構成によれば、ユーザが車両100の周辺にいないときには、外部給電が禁止される。このため、ユーザの知らないうちに第三者によって不正な外部給電が行なわれることを抑制できる。
給電口53が共用ポートである構成では、車両100のユーザが駐車状態の車両100の周辺(車両100から所定範囲内)に存在し、かつ、充電/給電の設定が「給電」になっているときに外部給電が許可されてもよい。充電/給電の設定は、たとえばECU30の記憶装置に記憶されている。ユーザは、入力装置80を通じて、充電/給電の設定を切り替えることができる。VPC42B(外部給電専用のコネクタ)が給電口53に接続された場合には、充電/給電の設定が自動的に「給電」になってもよい。
以下では、外部給電が許可された状態で車両100が給電対象に電気的に接続されることを、「給電接続」と称する。図2は、給電接続が行なわれたときにECU30が実行する処理を示すフローチャートである。
図1とともに図2を参照して、ステップ(以下、単に「S」と表記する)11では、ECU30がEV給電を実行するように電力変換器51及び給電リレー52を制御する。このため、外部給電が許可された状態で車両100が給電対象に電気的に接続されると、ECU30がEV給電モードを選択し、エンジン20が停止された状態で、EV給電モードによる外部給電が開始される。
S12では、バッテリ10のSOCが所定の閾値X1よりも低いか否かを、ECU30が判断する。閾値X1は、固定値であってもよいし、状況に応じて可変であってもよい。バッテリ10のSOCが閾値X1以上である場合(S12にてNO)には、ECU30は、S13において、給電終了要求があったか否かを判断する。給電終了要求の発生条件は任意に設定できる。たとえば、給電口53が非接続状態になったときに給電終了要求が発生してもよい。また、給電口53に接続されたEVSE40又はVPC42Bに対してユーザが給電終了操作を行なったときに、給電終了要求が発生してもよい。また、ユーザが入力装置80を通じてECU30に給電終了を要求したときに、給電終了要求が発生してもよい。給電終了要求がない場合(S13にてNO)には、処理がS11に戻り、EV給電が継続される。
EV給電開始後にバッテリ10のSOCが閾値X1を下回ると(S12にてYES)、処理がS14に進む。S14では、車両100が密閉空間に存在するか否かを、ECU30が判断する。密閉空間でエンジン20を作動させると、エンジン20の排気によって空気が汚染されやすいため、密閉空間は、HV給電(HV給電モードでの外部給電)に適さない環境に相当する。S14においてNOと判断されることは、HV給電環境下に車両100が存在することを意味する。S14においてYESと判断されることは、HV給電環境下に車両100が存在しないことを意味する。
S14において、ECU30は、たとえばNAVI60及び環境センサ70により、車両100が密閉空間に存在するか否かを判断する。より具体的には、GPS信号及び地図情報に基づいて車両100の位置が屋内か否かをNAVI60が判断し、車両100の位置が屋外と判断された場合には、ECU30は、車両100が密閉空間に存在しないと判断する。他方、車両100の位置が屋内と判断された場合には、ECU30は、環境センサ70によって車両100の環境情報を取得する。そして、ECU30は、車両100の周囲に壁及び屋根が検出されたときには車両100が密閉空間に存在すると判断し、車両100の周囲に壁及び屋根のいずれかが検出されないときには車両100が密閉空間に存在しないと判断する。
車両100が密閉空間に存在する場合(S14にてYES)には、ECU30は、S15においてEV給電を実行し、EV給電を継続しながら、S161~S163の処理を実行する。
S161では、ECU30が、所定のユーザ端末に所定の通知を行なう。この実施の形態では、ユーザ端末として携帯端末200がECU30に登録されている。ECU30は、以下に説明する選択画面を、携帯端末200のタッチパネルディスプレイに表示させることにより、上記の通知を行なう。
図3は、携帯端末200が表示する選択画面の一例を示す図である。図3を参照して、この選択画面は、メッセージM1と、「はい」ボタンM2と、「いいえ」ボタンM3とを含む。選択画面はタッチパネルディスプレイに表示されるため、選択画面に対してユーザはタッチパネル操作を行なうことができる。
メッセージM1は、車両100の位置が密閉空間であることをユーザに伝えて注意喚起するとともに、外部給電の継続/中止のいずれかを選択することをユーザに要求する。
ユーザが「はい」ボタンM2を押すと、図2のS162において「継続」と判断される。ユーザが「はい」ボタンM2を押すことは、ユーザによって外部給電の継続が選択されることを意味する。他方、ユーザが「いいえ」ボタンM3を押すと、図2のS162において「中止」と判断される。ユーザが「いいえ」ボタンM3を押すことは、ユーザによって外部給電の中止が選択されることを意味する。また、携帯端末200が図3に示す選択画面を表示した状態で、ユーザが操作を行なわずに所定時間が経過した場合にも、ユーザによって外部給電の中止が選択されたとみなされる。すなわち、この場合も、図2のS162において「中止」と判断される。
再び図1とともに図2を参照して、S162において「継続」と判断された場合には、処理がS163に進む。S163では、ECU30が給電終了条件を設定する。この実施の形態において設定される給電終了条件は、密閉空間におけるCO2(二酸化炭素)濃度が所定値を超えたときに成立する。ECU30は、CO2センサ(環境センサ70)の出力に基づいて、給電終了条件が成立したか否かを判断することができる。給電終了条件が成立したか否かは、後述するS18において判断される。なお、S163において設定される給電終了条件は、上記に限られず適宜変更可能であり、たとえば密閉空間におけるO2(酸素)濃度が所定値を下回ったときに成立してもよい。
S163の処理が実行されると、処理はS17に進む。また、S14においてNO(車両100が密閉空間に存在しない)と判断された場合にも、処理はS17に進む。S17では、ECU30がHV給電を実行するように、PCU13、エンジン20、及び電力変換器51を制御する。これにより、エンジン20が作動し、エンジン発電が行なわれる。車両100が密閉空間に存在しない場合(S14にてNO)と、ユーザによって外部給電の継続が選択された場合(S162にて「継続」)とにおいては、ECU30がHV給電モードを選択することにより、給電モードがEV給電モードからHV給電モードに切り替わって外部給電が継続される。
S17の処理後、ECU30は、S18において、給電終了要求があったか否かを判断する。S18の給電終了要求は、たとえばエンジン20の燃料タンク内の燃料残量が所定値を下回ったときに発生する。さらに、S163において設定された給電終了条件が成立したときにも、S18の給電終了要求は発生する。密閉空間においてHV給電が実行されている場合には、エンジン20の排気によって、密閉空間におけるCO2濃度が上昇すると考えられる。この場合、S163において前述の給電終了条件が設定されるため、密閉空間におけるCO2濃度が所定値を超えたときに給電終了要求が発生し、S18においてYESと判断される。また、S18の給電終了要求は、前述したS13の給電終了要求が発生する条件で発生してもよい。給電終了要求がない場合(S18にてNO)には、処理がS17に戻り、HV給電が継続される。
S13においてYES(給電終了要求あり)と判断された場合と、S162において「中止」と判断された場合と、S18においてYES(給電終了要求あり)と判断された場合との各々においては、処理がS19に進む。S19では、ECU30が、外部給電を停止するように、PCU13、エンジン20、電力変換器51、及び給電リレー52を制御して、外部給電を終了する。S19の処理が実行されることによって、図2に示す一連の処理は終了する。
以上説明したように、この実施の形態に係るECU30(給電制御装置)は、バッテリ10(蓄電装置)及びエンジン20を備える車両100から車両外部の給電対象(たとえば、EVSE40又は電気機器300B)へ電力を供給する外部給電を制御するように構成される。ECU30は、複数種の給電モード(たとえば、EV給電モード及びHV給電モード)の中から選ばれた給電モードで外部給電を実行するように構成される。
ECU30は、外部給電が許可された状態で車両が給電対象に電気的に接続されると、EV給電モードで外部給電を開始するEV給電手段(図2のS11参照)を備える。これにより、外部給電を開始する際のユーザの利便性が向上する。
また、ECU30は、外部給電の開始後にバッテリ10のSOCが所定値(閾値X1)を下回ったときに、HV給電環境下に車両が存在する場合(たとえば、車両100が密閉空間に存在しない場合)には、給電モードをEV給電モードからHV給電モードに切り替えて外部給電を継続する一方、上記HV給電環境下に車両が存在しない場合(たとえば、車両100が密閉空間に存在する場合)には、ユーザ端末に所定の通知を行なうHV給電手段(図2のS14,S161,S17参照)を備える。上記の通知を受けたユーザは、外部給電の継続/中止のいずれかを選ぶことができる。これにより、HV給電が適切な環境下で行なわれやすくなる。また、バッテリ10のSOCが所定値を下回ったときに、上記給電モードの切替え又は上記通知が行なわれることで、バッテリ10の過放電が抑制される。
この実施の形態に係るECU30においては、プロセッサと、プロセッサにより実行されるプログラムとによって、上記各手段が具現化される。ただしこれに限られず、上記各手段は、専用のハードウェア(電子回路)によって具現化されてもよい。
HV給電に適さない環境は、上述した密閉空間に限られない。また、車両100がHV給電に適さない環境に存在する場合に行なわれる通知も、図3に示した選択画面に限られない。
図4は、図2に示した処理の変形例を示すフローチャートである。図4に示す処理では、図2に示した処理に対してS20が追加され、図2に示した処理におけるS15,S161~S163が割愛されている。また、図4に示す処理では、S14(図2)に代えてS14Aが採用されている。以下、S14A及びS20について説明する。
図1とともに図4を参照して、S14Aでは、車両100がアイドリング禁止地域に存在するか否かを、ECU30が判断する。アイドリング禁止地域は、駐車中におけるエンジン(内燃機関)のアイドリングが禁止された地域であり、たとえば自治体によって指定される。自治体は、たとえば条例によってアイドリング禁止地域を定める。アイドリング禁止地域でエンジン20を作動させると、条例違反になる可能性があるため、アイドリング禁止地域は、HV給電に適さない環境に相当する。S14AにおいてNOと判断されることは、HV給電環境下に車両100が存在することを意味する。S14AにおいてYESと判断されることは、HV給電環境下に車両100が存在しないことを意味する。
S14Aにおいて、ECU30は、たとえばNAVI60により、車両100がアイドリング禁止地域に存在するか否かを判断する。より具体的には、NAVI60は、アイドリング禁止地域を取得し、GPS信号及び地図情報に基づいて車両100の位置がアイドリング禁止地域内か否かを判断する。NAVI60は、外部サーバ(たとえば、自治体のサーバ)との通信によってアイドリング禁止地域を取得してもよい。あるいは、予めNAVI60の地図情報にアイドリング禁止地域が登録されてもよい。
車両100がアイドリング禁止地域に存在しない場合(S14AにてNO)には、処理がS17に進み、S17において給電モードがEV給電モードからHV給電モードに切り替わって外部給電が継続される。
他方、車両100がアイドリング禁止地域に存在する場合(S14AにてYES)には、処理がS20に進む。ECU30は、S20において、外部給電を終了する旨をユーザ端末(たとえば、携帯端末200)に通知した後、S19において外部給電を終了する。ECU30は、S20において、外部給電を終了する理由を含むメッセージ(たとえば、「車両の位置がアイドリング禁止地域内であるため、外部給電を終了します」のようなメッセージ)をユーザ端末に表示(たとえば、ポップアップ)させてもよい。S20の通知を受けたユーザは、車両100をアイドリング禁止地域の外に移動させてから再び給電接続を行なって外部給電を開始してもよい。バッテリ10のSOCが閾値X1よりも低い状態で給電接続が行なわれた場合、外部給電は、EV給電モードで開始されるが、すぐにHV給電モードに切り替わる。
図2に示した処理においてS14を変更してもよい。たとえば、S14において、車両100が密閉空間とアイドリング禁止地域とのいずれかに存在するか否かを、ECU30が判断してもよい。そして、車両100が密閉空間とアイドリング禁止地域とのいずれにも存在しない場合にS14においてNOと判断されてもよい。
図4に示した処理においてS14Aを変更してもよい。たとえば、S14Aにおいて、車両100が密閉空間とアイドリング禁止地域とのいずれかに存在するか否かを、ECU30が判断してもよい。そして、車両100が密閉空間とアイドリング禁止地域とのいずれにも存在しない場合にS14AにおいてNOと判断されてもよい。
ユーザが入力装置80を通じてHV給電環境(又は、HV給電に適さない環境)を選択できるように、ECU30がユーザからの入力を受け付けるように構成されてもよい。ECU30は、ユーザが密閉空間を選択した場合には給電接続時に図2の処理を実行し、ユーザがアイドリング禁止地域を選択した場合には給電接続時に図4の処理を実行するように構成されてもよい。また、ECU30は、所定の条件に従って、予め登録された複数種のHV給電環境(又は、HV給電に適さない環境)の中から適切なものを採用してもよい。
外部給電を許可する要件は、上述した要件に限られず、適宜変更可能である。たとえば、外部給電前にユーザ認証を行なうことは必須ではない。外部給電は、常に許可されていてもよい。
給電対象は、EVSE及び電気機器に限られず任意である。たとえば、他の車両(車両100以外の車両)が給電対象であってもよい。
ユーザ端末は、ユーザに通知可能な端末であればよく、ユーザが携帯する携帯端末に限られない。たとえば、ユーザ端末として、ユーザが乗車する車両100に搭載された報知装置(たとえば、NAVI60)を採用してもよい。
車両は、EV給電及びHV給電を実行可能な態様で蓄電装置及びエンジンを備えていればよく、車両の構成は図1に示した構成に限られない。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 バッテリ、10a 監視ユニット、11,12 MG、13 PCU、20 エンジン、21 駆動輪、22 駆動軸、23 動力分割装置、30 ECU、41 電力ケーブル、42A コネクタ、51 電力変換器、52 給電リレー、53 給電口、54 接続センサ、60 ナビゲーションシステム、70 環境センサ、80 入力装置、90 通信機、100 車両、200 携帯端末、300A,300B 電気機器、PG 交流電源。
Claims (1)
- 蓄電装置及びエンジンを備える車両から車両外部の給電対象へ電力を供給する外部給電を制御する給電制御装置であって、
当該給電制御装置は、複数種の給電モードの中から選ばれた給電モードで前記外部給電を実行するように構成され、
前記複数種の給電モードは、前記蓄電装置に蓄えられた電力を用いて前記外部給電を行なうEV給電モードと、前記エンジンの出力を利用して発電した電力を用いて前記外部給電を行なうHV給電モードとを含み、
当該給電制御装置は、
外部給電が許可された状態で前記車両が前記給電対象に電気的に接続されると、前記EV給電モードで外部給電を開始し、
前記外部給電の開始後に前記蓄電装置のSOCが所定値を下回ったときに、前記HV給電モードでの外部給電に適した環境下に前記車両が存在する場合には、給電モードを前記EV給電モードから前記HV給電モードに切り替えて前記外部給電を継続する一方、前記環境下に前記車両が存在しない場合には、ユーザ端末に所定の通知を行なう、給電制御装置。
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