JP2022097870A - ハーフブリッジコンバータ - Google Patents

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直久 岡本
Naohisa Okamoto
義雄 小田
Yoshio Oda
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Abstract

【課題】ハーフブリッジコンバータにつき、逆流防止用のダイオードを不要化して電力効率を向上するとともに、コストダウンを図る。【解決手段】ハイサイドおよびローサイドの転流用スイッチング素子Qt1,Qt2を有する転流レグ4を追加する。ハイサイド、ローサイドの転流用スイッチング素子Qt1,Qt2はそれぞれ同じサイドのメインスイッチング素子Qm1,Qm2がターンオンされる直前にターンオンされ、同じサイドのメインスイッチング素子Qm1,Qm2がターンオフされる直前にターンオフされる。補助共振トランスT3の主巻線N3を転流レグ4の中性点とメインレグ1の中性点との間に接続する。補助共振トランスT3の二次巻線である補助巻線N3H,N3Lは回生用整流回路12に接続する。【選択図】図1

Description

本発明は、蓄電システムなどに用いられるARCP(Auxiliary Resonant Commutated Pole:補助共振転流ポール)回路を備えたハーフブリッジコンバータに関する。
図11は一般的なハーフブリッジコンバータの回路構成を示す。第1の平滑コンデンサC1の両端に直流電圧が入力され、FET(電界効果トランジスタ)で構成されるハイサイドおよびローサイドのメインスイッチング素子Qm1,Qm2を直列接続してなるメインレグの中性点に対して絶縁トランスT1の一次巻線N1の一端が接続され、一次巻線N1の他端がハイサイドおよびローサイドのコンデンサC2,C3からなるコンデンサレグの中性点(直列接続点)に接続されている(C2,C3は同一容量)。
ハイサイドおよびローサイドのメインスイッチング素子Qm1,Qm2は、適切な休止期間を設けてPWM制御を行いながら交互にオン/オフを繰り返す。絶縁トランスT1に印加される電圧は、入力直流電圧をハイサイドおよびローサイドのコンデンサC2,C3により半分に分圧される。絶縁トランスT1の二次側は全波整流回路を構成し、二次巻線(N1H ,N1L )に誘起した電圧は、ハイサイドとローサイドの整流ダイオードD1,D2により全波整流され、チョークコイルL1と第2の平滑コンデンサC4によって、必要とする安定化された直流電圧に変換される。
図11のハーフブリッジコンバータの場合は、ハイサイドおよびローサイドのメインスイッチング素子Qm1,Qm2のドレイン・ソース間の電圧波形が矩形波であるのに対し、ドレイン電流波形が台形波となるハードスイッチングで駆動されるため、スイッチングロスが発生するとともに、ドレイン・ソース間電圧の急激な上昇によりノイズが発生するという問題があった。
そこで、効率改善とノイズ低減を図るべく、ソフトスイッチング方式としてトランスを利用したARCP回路を適用する双方向チョッパ回路が開発されている。これは、PWM制御でハードスイッチングを行う双方向DC/DCコンバータにARCP回路を追加することにより、効率改善とノイズ低減を図るものである(非特許文献1参照)。
図12に従来例のARCP回路を示す。Qm1,Qm2、D3,D4、C1、C4は図11と同様または対応する構成要素を指し、また、11は補助共振トランスT2、ハイサイドおよびローサイドの転流用スイッチング素子Qt1,Qt2とハイサイドおよびローサイドの逆流防止用のダイオードDG1,DG2、共振用のリアクトルLrで構成された転流制御回路、12′はブリッジ構成の整流ダイオードD7,D8,D9,D10で構成された回生用整流回路であり、ARCP回路10は転流制御回路11と回生用整流回路12′とから構成される。Cr1はハイサイドの共振用のコンデンサ、Cr2はローサイドの共振用のコンデンサ、LoutはDCリアクトルである。転流制御回路11は、主巻線である2巻き線部分の一次巻線N2H ,N2L のハイサイドに対して直列に接続された逆流防止用のダイオードDG1と転流用スイッチング素子Qt1の直列回路と、主巻線である2巻き線部分の一次巻線N2H ,N2L のローサイドに対して直列に接続された逆流防止用のダイオードDG2と転流用スイッチング素子Qt2の直列回路を有している。回生用整流回路12′はフルブリッジ型に構成された4つの整流ダイオードD7,D8,D9,D10を有し、補助共振トランスT2における1巻き線方式の二次巻線N2が整流ダイオードD7,D8の中性点と整流ダイオードD9,D10の中性点との間に接続されている。
ハイサイドおよびローサイドの逆流防止用のダイオードDG1,DG2は、この方式のARCP回路には欠かせないものとなっている。それは、ローサイドにおける2巻き線部分の一次巻線N2L と転流用スイッチング素子Qt2を含む下アームに電流が流れているとき、2巻き線部分の一次巻線N2L から磁気結合を介して二次巻線N2に電流が誘起され、さらにこの二次巻線N2に流れる電流が磁気結合による電磁誘導によってハイサイドの2巻き線部分の一次巻線N2H に上向きの逆起電力を発生させ、それに起因して転流制御回路11に逆流が生じることになるが、この逆流を回避するために、転流制御回路11のハイサイド部分に逆流防止用のダイオードDG1を挿入している。また、ハイサイドにおける2巻き線部分の一次巻線N2H と転流用スイッチング素子Qt1を含む上アームに電流が流れているとき、2巻き線部分の一次巻線N2H から磁気結合を介して二次巻線N2に電流が誘起され、さらにこの二次巻線N2に流れる電流が磁気結合による電磁誘導によってローサイドの2巻き線部分の一次巻線N2L に上向きの逆起電力を発生させ、それに起因して転流制御回路11に逆流が生じることになるが、この逆流を回避するために、転流制御回路11のローサイド部分に逆流防止用のダイオードDG2を挿入している。
なお、非特許文献1の論文では転流用スイッチング素子Qt1,Qt2には直列に逆流防止用のダイオードDG1,DG2が接続された様子が記載されていない。しかし、実際は補助共振トランスT2から発生する逆電圧による逆流を防止するために、転流用スイッチング素子Qt1,Qt2を含む転流制御回路11において、これらの逆流防止用のダイオードDG1,DG2は欠かせないものとなっている。すなわち、それ自身の主回路ライン中にハイサイドの2巻き線部分の一次巻線N2H とローサイドの2巻き線部分の一次巻線N2L とからなる2巻き線方式のトランス主巻線を構成要素とするARCP回路10を採用する限りにおいては、逆流防止用のダイオードDG1,DG2は不可欠である。
図11に示したハーフブリッジコンバータに図12に示した非特許文献1のARCP回路を追加した場合のハーフブリッジコンバータの回路図を図13に示す。以下、図13の構成をもつ従来例のハーフブリッジコンバータの動作を図14~図22を用いて説明する。
(A1)図14の動作モードにおいては、ハイサイドのメインスイッチング素子Qm1がオン状態にあり、かつローサイドのメインスイッチング素子Qm2、ハイサイドおよびローサイドの転流用スイッチング素子Qt1,Qt2がオフ状態であるので、入力部とハイサイドのコンデンサC2からハイサイドのメインスイッチング素子Qm1を介して絶縁トランスT1の一次巻線N1に電流が流れる。すなわち、ハイサイドの入力端子Tp1→ハイサイドのメインスイッチング素子Qm1→絶縁トランスT1の一次巻線N1→ローサイドのコンデンサC3→ローサイドの入力端子Tn1の経路で電流が流れる。この場合、絶縁トランスT1において一次巻線N1に電流が流れることによってハイサイドの二次巻線N1H に上向きの電圧が誘起され、ハイサイドの整流ダイオードD1→チョークコイルL1→第2の平滑コンデンサC4→ハイサイドの二次巻線N1H の経路で電流が流れ、第2の平滑コンデンサC4に対する充電が行われる。
同時に、ARCP回路10において、補助共振トランスT2の二次巻線N2に下向きの電圧が誘起されるため、二次巻線N2→ハイサイドの整流ダイオードD7→第1の平滑コンデンサC1→ローサイドの整流ダイオードD10→二次巻線N2の経路で電流が流れ、入力側に対する回生(第1の平滑コンデンサC1に対する充電)が行われる。
上記において二次巻線N2に下向きの電圧が誘起されるのは、次の理由による。図22は図14の直前の状態を示すが、図21に示す直前の状態において二次巻線N2に上向きの電圧が生じていたところ、ハイサイドの転流用スイッチング素子Qt1のターンオフによりハイサイドの2巻き線部分の一次巻線N2H に流れていた下向きの電流が消失し、図22に示すように二次巻線N2の誘起電圧が反転して下向きとなった結果である。
(A2)次いで図15の動作モードに進み、ローサイドのメインスイッチング素子Qm2、ハイサイドおよびローサイドの転流用スイッチング素子Qt1,Qt2は引き続きオフ状態を継続するが、ハイサイドのメインスイッチング素子Qm1がターンオフして電流経路がハイサイドの共振用のコンデンサCr1を通る状態に切り替わり(太線矢印部分参照)、この共振用のコンデンサCr1に対する充電が開始される。ハイサイドのメインスイッチング素子Qm1のターンオフはゼロ電圧スイッチング(ZVS)で行われる。このZVSは高周波共振現象を利用して、スイッチング素子に対する印加電圧が0Vになってからそのターンオフ(またはターンオン)を行うスイッチング方式であり、スイッチングロスが軽減される。
この場合、第2の平滑コンデンサC4に対する充電は継続される。そして、電流経路が変化する。すなわち、チョークコイルL1に流れていた電流が継続する一方、一次巻線N1からハイサイドの二次巻線N1H への電圧誘起が消失し、第2の平滑コンデンサC4を出た電流は、ローサイドの二次巻線N1L から、ハイサイドの整流ダイオードD1に代わってローサイドの整流ダイオードD2を通ってチョークコイルL1に還流する。
同時に、ARCP回路10においては、補助共振トランスT2の1巻き線方式の二次巻線N2に誘起されていた電圧が時間経過に伴って減衰消失し、入力側に対する回生(第1の平滑コンデンサC1に対する充電)も消失する。
この図15での動作のポイントは、ハイサイドのメインスイッチング素子Qm1のターンオフがゼロ電圧スイッチング(ZVS)というソフトスイッチング方式で行われるため、スイッチングロスが軽減される、ということである。
(A3)次いで図16の動作モードに進み、ハイサイドおよびローサイドのメインスイッチング素子Qm1,Qm2およびハイサイドの転流用スイッチング素子Qt1は引き続きオフ状態を継続するが、ローサイドの転流用スイッチング素子Qt2がターンオンし、ローサイドの共振用のコンデンサCr2にそれまでに充電されていた電荷が放出され、共振用のリアクトルLr→補助共振トランスT2におけるローサイドの2巻き線部分の一次巻線N2L →ローサイドの逆流防止用のダイオードDG2→ローサイドの転流用スイッチング素子Qt2→共振用のコンデンサCr2の経路で共振電流が流れる。ローサイドの転流用スイッチング素子Qt2は共振電流のために、そのターンオンはゼロ電流スイッチング(ZCS)で行われ、スイッチングロスが軽減される。
この場合、ローサイドの2巻き線部分の一次巻線N2L に流れる電流によって二次巻線N2に電圧が誘起され、ハイサイドの整流ダイオードD9→第1の平滑コンデンサC1→ローサイドの整流ダイオードD8→二次巻線N2の経路に電流が流れ、入力側に対する回生が行われる。
この動作モードにおいては、ハイサイドの逆流防止用のダイオードDG1が有効に機能する。すなわち、補助共振トランスT2におけるローサイドの2巻き線部分の一次巻線N2L に電流が流れることにより、磁気結合を介して二次巻線N2に電流が誘起され、さらにこの二次巻線N2に流れる電流が磁気結合による電磁誘導によってハイサイドの2巻き線部分の一次巻線N2H に上向きの逆起電力を発生させる。しかし、転流制御回路11のハイサイド部分に逆流防止用のダイオードDG1を挿入しているので、転流制御回路11に逆流が生じることを回避できる。
絶縁トランスT1の二次側においては、チョークコイルL1に流れていた電流が継続し、図15の状態と同様の電流経路で第2の平滑コンデンサC4に対する充電が継続される。
(A4)次いで図17の動作モードに進み、ハイサイドのメインスイッチング素子Qm1および転流用スイッチング素子Qt1は引き続きオフ状態を継続し、一方、ローサイドの転流用スイッチング素子Qt2はオン状態を継続し、ローサイドのメインスイッチング素子Qm2がターンオンする。ローサイドの共振用のコンデンサCr2からの放電によって流れている共振電流がゼロになると、ローサイドのメインスイッチング素子Qm2がゼロ電流ゼロ電圧スイッチング(ZCZVS)でターンオンし、このソフトスイッチングによりスイッチングロスがなくなる。
ローサイドの2巻き線部分の一次巻線N2L からの電圧誘起によって1巻き線方式の二次巻線N2→ハイサイドの整流ダイオードD9→第1の平滑コンデンサC1→ローサイドの整流ダイオードD8→二次巻線N2の経路に電流が流れ、入力側に回生する。この状態は図16と同じである。このとき、ハイサイドの逆流防止用のダイオードDG1によって転流制御回路11に逆流が生じることを回避するのも図16と同じである。また、絶縁トランスT1の二次側における第2の平滑コンデンサC4に対する充電の電流経路も図15、図16と同じである。
この動作モードにおいては、さらに、ローサイドのメインスイッチング素子Qm2がターンオンしたことから、ターンオンしたメインスイッチング素子Qm2に対して入力部からの電流が流れ込むようになり、ハイサイドのコンデンサC2に対する充電が行われる。この場合の電流経路は、ハイサイドの入力端子Tp1→ハイサイドのコンデンサC2→絶縁トランスT1の一次巻線N1→ローサイドのメインスイッチング素子Qm2→ローサイドの入力端子Tn1となる。
(A5)次いで図18の動作モードに進み、ハイサイドのメインスイッチング素子Qm1および転流用スイッチング素子Qt1は引き続きオフ状態を継続し、一方、ローサイドのメインスイッチング素子Qm2はオン状態を継続する。したがって、絶縁トランスT1の一次巻線N1、ローサイドのメインスイッチング素子Qm2およびローサイドのコンデンサC3を流れる電流の経路は図17と同じである。
図18ではローサイドの転流用スイッチング素子Qt2がターンオフし、それまで補助共振トランスT2におけるローサイドの2巻き線部分の一次巻線N2L に流れていた電流が遮断される。ローサイドの転流用スイッチング素子Qt2のターンオフ動作はゼロ電流ゼロ電圧スイッチング(ZCZVS)を利用するものであり、スイッチングロスがなくなる。
上記の電流の遮断の結果として、補助共振トランスT2の二次巻線N2での誘起電圧が図17の上向き状態から下向き状態へと反転する。すなわち、二次巻線N2→ハイサイドの整流ダイオードD7→第1の平滑コンデンサC1→ローサイドの整流ダイオードD10→二次巻線N2の経路で電流が流れ、引き続き入力側に対する回生が行われる。
(A6)次いで図19の動作モードに進み、ハイサイドのメインスイッチング素子Qm1とハイサイドおよびローサイドの転流用スイッチング素子Qt1,Qt2は引き続きオフ状態を継続するが、ローサイドのメインスイッチング素子Qm2がターンオフし、ローサイドのコンデンサC3と絶縁トランスT1の一次巻線N1を結ぶ電流経路が変化する。すなわち、それまでオン状態にあったローサイドのメインスイッチング素子Qm2を通る経路からローサイドの共振用のコンデンサCr2を通る経路へと切り替わる。この場合、ローサイドのコンデンサC3からの電荷放出による電流によってローサイドの共振用のコンデンサCr2に対する充電が行われる。
ローサイドのメインスイッチング素子Qm2のターンオフはゼロ電圧スイッチング(ZVS)で行われ、スイッチングロスが軽減される。
チョークコイルL1に流れていた電流が継続し、第2の平滑コンデンサC4を出た電流は、ハイサイドの二次巻線N1H から、ローサイドの整流ダイオードD2に代わってハイサイドの整流ダイオードD1を通ってチョークコイルL1に還流する。
(A7)次いで図20の動作モードに進み、ハイサイドおよびローサイドのメインスイッチング素子Qm1,Qm2とローサイドの転流用スイッチング素子Qt2は引き続きオフ状態を継続するが、ハイサイドの転流用スイッチング素子Qt1がターンオンし、それまでハイサイドの共振用のコンデンサCr1に充電されていた電荷が放出され、ハイサイドの逆流防止用のダイオードDG1→ハイサイドの転流用スイッチング素子Qt1→補助共振トランスT2のハイサイドの2巻き線部分の一次巻線N2H →共振用のリアクトルLr→ハイサイドの共振用のコンデンサCr1の経路で共振電流が流れる。この場合、ハイサイドの転流用スイッチング素子Qt1は共振電流のために、そのターンオンはゼロ電流スイッチング(ZCS)で行われ、スイッチングロスが軽減される。
補助共振トランスT2のハイサイドの2巻き線部分の一次巻線N2H に流れる電流によって二次巻線N2に上向きの電流が流れ、ハイサイドの整流ダイオードD9→第1の平滑コンデンサC1→ローサイドの整流ダイオードD8→二次巻線N2の経路で電流が流れ、入力側に対する回生が行われる。
この動作モードにおいては、ローサイドの逆流防止用のダイオードDG2が有効に機能する。すなわち、補助共振トランスT2におけるハイサイドの2巻き線部分の一次巻線N2H に電流が流れることにより、磁気結合を介して二次巻線N2に電流が誘起され、さらにこの二次巻線N2に流れる電流が磁気結合による電磁誘導によってローサイドの2巻き線部分の一次巻線N2L に上向きの逆起電力を発生させる。しかし、転流制御回路11のローサイド部分に逆流防止用のダイオードDG2を挿入しているので、転流制御回路11に逆流が生じることを回避できる。
絶縁トランスT1の二次側では図19の場合と同じ経路で電流が流れ、第2の平滑コンデンサC4に対する充電が継続される。
(A8)次いで図21の動作モードに進み、ローサイドのメインスイッチング素子Qm2および転流用スイッチング素子Qt2は引き続きオフ状態を継続し、一方、ハイサイドの転流用スイッチング素子Qt1はオン状態を継続し、ハイサイドのメインスイッチング素子Qm1がターンオンする。ハイサイドの共振用のコンデンサCr1からの放電によって流れている共振電流がゼロになると、ハイサイドのメインスイッチング素子Qm1がゼロ電流ゼロ電圧スイッチング(ZCZVS)でターンオンし、このソフトスイッチングによりスイッチングロスがなくなる。
ハイサイドの2巻き線部分の一次巻線N2H からの電圧誘起によって1巻き線方式の二次巻線N2→ハイサイドの整流ダイオードD9→第1の平滑コンデンサC1→ローサイドの整流ダイオードD8→二次巻線N2の経路に電流が流れ、入力側に回生する。この状態は図20と同じである。このとき、ローサイドの逆流防止用のダイオードDG2によって転流制御回路11に逆流が生じることを回避するのも図20と同じである。また、絶縁トランスT1の二次側における第2の平滑コンデンサC4に対する充電の電流経路も図19、図20と同じである。
この動作モードにおいては、さらに、ハイサイドのメインスイッチング素子Qm1がターンオンしたことから、ターンオンしたメインスイッチング素子Qm1に対して入力部とハイサイドのコンデンサC2からの電流が流れ込むようになり、ローサイドの共振用のコンデンサCr2に対する充電が行われる。この場合の電流経路は、ハイサイドの入力端子Tp1およびハイサイドのコンデンサC2→ハイサイドのメインスイッチング素子Qm1→絶縁トランスT1の一次巻線N1→ローサイドのコンデンサC3→ローサイドの入力端子Tn1となる。
(A9)次いで図22の動作モードに進み、ローサイドのメインスイッチング素子Qm2および転流用スイッチング素子Qt2は引き続きオフ状態を継続し、一方、ハイサイドのメインスイッチング素子Qm1はオン状態を継続する。したがって、絶縁トランスT1の一次巻線N1、ハイサイドのメインスイッチング素子Qm1およびローサイドのコンデンサC3を流れる電流の経路は図21と同じである。
図22ではハイサイドの転流用スイッチング素子Qt1がターンオフし、それまで補助共振トランスT2におけるハイサイドの2巻き線部分の一次巻線N2H に流れていた電流が遮断される。ハイサイドの転流用スイッチング素子Qt1のターンオフ動作はゼロ電流ゼロ電圧スイッチング(ZCZVS)を利用するものであり、スイッチングロスがなくなる。
上記の電流の遮断の結果として、補助共振トランスT2の二次巻線N2での誘起電圧が図21の上向き状態から下向き状態へと反転する。すなわち、二次巻線N2→ハイサイドの整流ダイオードD7→第1の平滑コンデンサC1→ローサイドの整流ダイオードD10→二次巻線N2の経路で電流が流れ、引き続き入力側に対する回生が行われる。
"高効率・双方向絶縁型DCDCコンバータ"、[online]、2014年、ポニー電機株式会社、[令和2年12月11日検索]、インターネット<URL :http://pony-e.jp/High_efficiency_bi-directional_insulated_DCDCconverter.pdf>
図13(図14~図22)に示した従来のハーフブリッジコンバータにあっては、ARCP回路10における転流制御回路11と回生用整流回路12′とを磁気結合する補助共振トランスT2の一次巻線を、ハイサイドの2巻き線部分の一次巻線N2H とローサイドの2巻き線部分の一次巻線N2L とを直結したセンタータップ方式の巻線としている。二次巻線N2はセンタータップ方式の一対の2巻き線部分の一次巻線N2H ,N2L に共通の巻線となっている。鉄心がハイサイドの2巻き線部分の一次巻線N2H 、ローサイドの2巻き線部分の一次巻線N2L および二次巻線N2の3つの巻線で共有されているため、上記したように、ローサイドの2巻き線部分の一次巻線N2L に電流が流れることに起因してハイサイドの2巻き線部分の一次巻線N2H に上向きの逆起電力Eが発生し、また、ハイサイドの2巻き線部分の一次巻線N2H に電流が流れることに起因してローサイドの2巻き線部分の一次巻線N2L に上向きの逆起電力Eが発生することになる。そこで、転流制御回路11に逆流が生じることを回避するために、逆流防止用のダイオードDG1,DG2を挿入している。
上記したARCP回路を備えたハーフブリッジコンバータは、ARCP回路を備えないものに比べて変換効率が優れている。しかし、2つの逆流防止用のダイオードDG1,DG2に電流が流れる期間は全期間の約半分ほどもあり、大きな電力損失を招いており、さらなる改良の余地が残されている。
本発明はこのような事情に鑑みて創作したものであり、逆流防止用のダイオードに起因する電力損失を抑えながら、コストの低減を図ることを目的としている。
本発明は、次の手段を講じることにより上記の課題を解決する。
本発明によるハーフブリッジコンバータは、
直流の入力端子に接続されたハイサイドラインとローサイドラインとの間に繰り返し交互にオン/オフされるハイサイドのメインスイッチング素子とローサイドのメインスイッチング素子との直列回路からなるメインレグが接続され、
前記ハイサイドラインと前記ローサイドラインとの間にハイサイドのコンデンサとローサイドのコンデンサとの直列回路からなるコンデンサレグが接続され、
前記メインレグの中性点と前記コンデンサレグの中性点との間に絶縁トランスの一次巻線が接続され、
前記絶縁トランスの二次側に全波整流回路を介して出力端子が接続され、
前記ハイサイドラインと前記ローサイドラインとの間に接続されたARCP回路を備え、
前記ARCP回路は転流制御回路と回生用整流回路からなり、
前記転流制御回路は、
前記ハイサイドラインと前記ローサイドラインとの間に接続されたハイサイドの転流用スイッチング素子とローサイドの転流用スイッチング素子との直列回路からなる転流レグと、
前記転流レグの中性点と前記メインレグの中性点との間に一次巻線である主巻線が接続されるとともに、前記入力端子に二次巻線である補助巻線が接続された補助共振トランスとを有し、
前記ハイサイドの転流用スイッチング素子は、前記ハイサイドのメインスイッチング素子がターンオンされる直前にターンオンされ、前記ハイサイドのメインスイッチング素子がターンオフされる直前にターンオフされ、
前記ローサイドの転流用スイッチング素子は、前記ローサイドのメインスイッチング素子がターンオンされる直前にターンオンされ、前記ローサイドのメインスイッチング素子がターンオフされる直前にターンオフされるように構成され、
前記回生用整流回路は、前記補助共振トランスにおける前記補助巻線で得られる電流を整流して前記入力端子の側に回生するように構成されていることを特徴とする。
本発明の上記の構成によれば、次のような作用が発揮される。
ハイサイドおよびローサイドの転流用スイッチング素子の直列回路からなる転流制御回路における主回路としての転流レグ、およびハイサイドおよびローサイドのメインスイッチング素子の直列回路からなるメインレグに対して、それぞれの中性点どうし間を結ぶライン中に補助共振トランスの一次巻線(1巻き線方式)が挿入され、補助共振トランスの二次巻線(2巻き線方式)は回生用整流回路を介して入力端子に接続されている。
そして、メインスイッチング素子と転流用スイッチング素子のオン/オフ切り替えの順序につき、ハイサイドにおいてもローサイドにおいても、転流用スイッチング素子は、メインスイッチング素子がターンオンされる直前にターンオンされ、メインスイッチング素子がターンオフされる直前にターンオフされるように構成されている。
以上のように構成してあるので、転流用スイッチング素子のターンオン直後のメインスイッチング素子のターンオン動作、およびメインスイッチング素子のターンオフ直前の転流用スイッチング素子のターンオフ動作のそれぞれをゼロ電流ゼロ電圧スイッチング(ZCZVS)として、スイッチングロスをなくすことが可能となる。
さらに、補助共振トランス(その一次巻線および二次巻線)は転流レグの中性点からの分岐ライン中に挿入されていて、転流レグ自身のライン中にはなく、そのラインから外されている。したがって、転流レグのラインに対して、補助共振トランスに流れる電流による磁気結合作用が影響することはなく、従来例のように転流レグ中に逆流防止用のダイオードを挿入する必要がなくなり、その逆流防止用のダイオードで消費される電力を節約すること、ひいては電力効率を向上することが可能となる。また、逆流防止用のダイオードを削減することで、コストの低減を図ることができる。
ここで、補助共振トランスの一次巻線である主巻線は1巻き線方式に構成され、その二次巻線である補助巻線は2巻き線方式に構成されていることが好ましい。この構成によれば、一次巻線は補助共振トランスの主巻線であるが、その主巻線が従来例の2巻き線方式から1巻き線方式に切り替わっているので、補助共振トランスひいてはハーフブリッジコンバータのコストを低減することが可能となる。
本発明によれば、転流レグ中に逆流防止用のダイオードを挿入する必要がなく、その逆流防止用のダイオードで消費される電力を節約して、電力効率を向上することができる。
本発明の実施例におけるハーフブリッジコンバータの構成を示す回路図 実施例のハーフブリッジコンバータの動作説明図(その1) 実施例のハーフブリッジコンバータの動作説明図(その2) 実施例のハーフブリッジコンバータの動作説明図(その3) 実施例のハーフブリッジコンバータの動作説明図(その4) 実施例のハーフブリッジコンバータの動作説明図(その5) 実施例のハーフブリッジコンバータの動作説明図(その6) 実施例のハーフブリッジコンバータの動作説明図(その7) 実施例のハーフブリッジコンバータの動作説明図(その8) 実施例のハーフブリッジコンバータの動作説明図(その9) 従来例のハーフブリッジコンバータの構成を示す回路図(その1) 従来例のハーフブリッジコンバータの構成を示す回路図(その2) 従来例のハーフブリッジコンバータの構成を示す回路図(その3) 従来例(その3)のハーフブリッジコンバータの動作説明図(その1) 従来例(その3)のハーフブリッジコンバータの動作説明図(その2) 従来例(その3)のハーフブリッジコンバータの動作説明図(その3) 従来例(その3)のハーフブリッジコンバータの動作説明図(その4) 従来例(その3)のハーフブリッジコンバータの動作説明図(その5) 従来例(その3)のハーフブリッジコンバータの動作説明図(その6) 従来例(その3)のハーフブリッジコンバータの動作説明図(その7) 従来例(その3)のハーフブリッジコンバータの動作説明図(その8) 従来例(その3)のハーフブリッジコンバータの動作説明図(その9)
以下、上記構成の本発明のハーフブリッジコンバータにつき、その実施の形態を具体的な実施例のレベルで詳しく説明する。
図1は本発明の実施例におけるハーフブリッジコンバータの構成を示す回路図、図2~図10は実施例のハーフブリッジコンバータの動作説明図である。
図1において、Tp1は直流入力部におけるハイサイドの入力端子、Tn1はローサイドの入力端子、Tp2は直流出力部におけるハイサイドの出力端子、Tn2はローサイドの出力端子、LHはハイサイドの入力端子Tp1から延出されたハイサイドライン、LLはローサイドの入力端子Tn1から延出されたローサイドライン、C1はハイサイドの入力端子Tp1とローサイドの入力端子Tn1との間に接続された第1の平滑コンデンサ、C2はハイサイドのコンデンサ、C3はローサイドのコンデンサである(C2,C3は同一容量)。ハイサイドのコンデンサC2とローサイドのコンデンサC3とは直列回路のコンデンサレグ2を構成し、ハイサイドラインLHとローサイドラインLLとの間に掛け渡し接続されている。
m1はハイサイドのメインスイッチング素子(NMOSトランジスタ)、Qm2はローサイドのメインスイッチング素子(NMOSトランジスタ)であり、これらハイサイドおよびローサイドのメインスイッチング素子Qm1,Qm2は直列回路のメインレグ1を構成して、ハイサイドラインLHとローサイドラインLLとの間に掛け渡し接続されている。D3はハイサイドのメインスイッチング素子Qm1の両端子間(ドレイン・ソース間)の逆並列接続のダイオード(寄生ダイオードで代用可)、Cr1は同じ両端子間に接続されたハイサイドの共振用のコンデンサ、D4はローサイドのメインスイッチング素子Qm2の両端子間(ドレイン・ソース間)の逆並列接続のダイオード(寄生ダイオードで代用可)、Cr2は同じ両端子間に接続されたローサイドの共振用のコンデンサである。メインレグ1において、ハイサイドのメインスイッチング素子Qm1とローサイドのメインスイッチング素子Qm2とは、図示しないPWM制御回路によって繰り返し交互にオン/オフされるように構成されている。
T1は絶縁トランスであり、メインレグ1の中性点とコンデンサレグ2の中性点との間に絶縁トランスT1の一次巻線N1が接続されている。絶縁トランスT1の二次側にはセンタータップ型の全波整流回路3を介してハイサイドおよびローサイドの出力端子Tp2,Tn2が接続されている。全波整流回路3は、絶縁トランスT1のセンタータップ型に構成されたハイサイドの二次巻線N1H とローサイドの二次巻線N1L と、ハイサイドの整流ダイオードD1と、ローサイドの整流ダイオードD2とを有している。両整流ダイオードD1,D2のカソードどうしが接続され、その接続点とハイサイドの出力端子Tp2との間にチョークコイルL1が接続され、ローサイドの出力端子Tn2がハイサイドの二次巻線N1H とローサイドの二次巻線N1L との接続点であるセンタータップに接続されている。ハイサイドの出力端子Tp2とローサイドの出力端子Tn2との間には第2の平滑コンデンサC4が掛け渡し接続されている。
10はハイサイドラインLHとローサイドラインLLとの間に接続されたARCP(補助共振転流ポール)回路であり、転流制御回路11と回生用整流回路12を備えている。
転流制御回路11の構成要素として、Qt1はハイサイドの転流用スイッチング素子(NMOSトランジスタ)、Qt2はローサイドの転流用スイッチング素子(NMOSトランジスタ)、N3は補助共振トランスT3の一次巻線である1巻き線方式の主巻線、Lrは共振用のリアクトルである。ハイサイドの転流用スイッチング素子Qt1とローサイドの転流用スイッチング素子Qt2とが直列に接続されて転流レグ4を構成し、その転流レグ4がハイサイドラインLHとローサイドラインLLとの間に掛け渡し接続されている。補助共振トランスT3の主巻線N3は共振用のリアクトルLrと直列に接続され、この主巻線N3と共振用のリアクトルLrとの直列回路が、転流レグ4の中性点とメインレグ1の中性点との間に接続されている。
回生用整流回路12の構成要素として、N3H は第1の補助巻線、N3L は第2の補助巻線、D11は第1の整流ダイオード、D12は第2の整流ダイオードである。回生用整流回路12は、補助共振トランスT3の主巻線N3に対して磁気結合する状態に設けられている。すなわち、第1の補助巻線N3H と第2の補助巻線N3L とが直接に接続されてセンタータップ型に構成された二次巻線が主巻線N3に対応して設けられ、第1の補助巻線N3H の一端が第1の整流ダイオードD11を介してハイサイドラインLHに接続され、第2の補助巻線N3L の一端が第2の整流ダイオードD12を介してハイサイドラインLHに接続されている。
補助共振トランスT3における主巻線N3は1巻き線方式に構成され、二次巻線は第1の補助巻線N3H と第2の補助巻線N3L との2巻き線方式に構成されており、この点にひとつの特徴がある。
なお、ここでは第1の補助巻線N3H と第2の補助巻線N3L とがそれぞれ第1の整流ダイオードD11、第2の整流ダイオードD12を介してともにハイサイドラインLHに(ハイサイドの入力端子Tp1に)接続されているが、これに代えて、補助巻線N3H ,N3L の双方をローサイドラインLLに(ローサイドの入力端子Tn1に)接続してもよい。だだし、この場合、その接続のライン中に挿入される整流ダイオードD11,D12の向きは、ローサイドラインLLから補助巻線N3H ,N3L に向かう方向にし、補助巻線N3H ,N3L のセンタータップをハイサイドラインLHに直結するものとする。
D5はハイサイドの転流用スイッチング素子Qt1の両端子間(ドレイン・ソース間)の逆並列接続のダイオード(寄生ダイオードで代用可)、D6はローサイドの転流用スイッチング素子Qt2の両端子間に接続された逆並列接続のダイオード(寄生ダイオードで代用可)である。
上記の各スイッチング素子Qm1,Qm2,Qt1,Qt2は、図示しないPWM制御回路によって次のように制御される。すなわち、大局的には、ハイサイドのメインスイッチング素子Qm1とローサイドのメインスイッチング素子Qm2とは繰り返し交互にオン/オフされる。そして、より詳細には、ハイサイドの転流用スイッチング素子Qt1はハイサイドのメインスイッチング素子Qm1がターンオンされる直前にターンオンされ、ハイサイドのメインスイッチング素子Qm1がターンオフされる直前にターンオフされる。加えて、ローサイドの転流用スイッチング素子Qt2はローサイドのメインスイッチング素子Qm2がターンオンされる直前にターンオンされ、ローサイドのメインスイッチング素子Qm2がターンオフされる直前にターンオフされる。
ハイサイドの転流用スイッチング素子Qt1のターンオフはハイサイドのメインスイッチング素子Qm1がオン状態を維持している間に行われ、ローサイドの転流用スイッチング素子Qt2のターンオフはローサイドのメインスイッチング素子Qm2がオン状態を維持している間に行われる。
さらに、回生用整流回路12は、補助共振トランスT3における二次巻線(ハイサイドの二次巻線N1H およびローサイドの二次巻線N1L )で得られる電流を整流して入力端子(ハイサイドの入力端子Tp1またはローサイドの入力端子Tn1)の側に回生するように構成されている。
次に、上記のように構成された実施例のハーフブリッジコンバータの動作を説明する。
動作モードの遷移を大局的に捉えると、ハイサイドのメインスイッチング素子Qm1のターンオン(図9)→ハイサイドのメインスイッチング素子Qm1のターンオフ(図3)→ローサイドの転流用スイッチング素子Qt2のターンオン(図4)→ローサイドのメインスイッチング素子Qm2のターンオン(図5)→ローサイドのメインスイッチング素子Qm2のターンオフ(図7)→ハイサイドの転流用スイッチング素子Qt1のターンオン(図8)のサイクルを繰り返すものとなる。
これをより詳しく見ると、ハイサイドでは、メインスイッチング素子Qm1のターンオン(図9)の直前に転流用スイッチング素子Qt1のターンオン(図8)を行い、メインスイッチング素子Qm1のターンオフ(図3)の直前に転流用スイッチング素子Qt1のターンオフ(図10)を行う。すなわち、ハイサイドの動作順は図8→図9→図10→(図2)→図3となる。また、ローサイドでは、メインスイッチング素子Qm2のターンオン(図5)の直前に転流用スイッチング素子Qt2のターンオン(図4)を行い、メインスイッチング素子Qm2のターンオフ(図7)の直前に転流用スイッチング素子Qt2のターンオフ(図6)を行う。すなわち、ローサイドの動作順は図4→図5→図6→図7となる。
以下、具体的に動作を説明する。図10と図3の間には図2の状態が挿入される。図2、図3、図4……図9,図2のサイクルは、どこを起点にしても結果的には同じ遷移であるので、ここでは便宜上図2(動作モード1)を起点にする。
4つスイッチング素子Qm1,Qt1,Qm2,Qt2がすべてオフ状態にある動作モード2(図3)、動作モード6(図7)を起点に定めてハイサイドの動作とローサイドの動作の対応関係を見ると、動作モード2(図3)は動作モード6(図7)に対応し、動作モード3(図4)は動作モード7(図8)に対応し、動作モード8(図9)は動作モード4(図5)に対応し、動作モード9/1(図10/図2)は動作モード5(図6)に対応している。
(a)動作モード1(ハイサイドでメインスイッチング素子Qm1をターンオフする直前に転流用スイッチング素子Qt1をターンオフ)
図2の動作モード1は図10の動作モード9の直後に相当する。図10、図2とも、ハイサイドの転流用スイッチング素子Qt1、ローサイドのメインスイッチング素子Qm2および転流用スイッチング素子Qt2がオフ状態にあり、ハイサイドのメインスイッチング素子Qm1がオン状態となっている。ハイサイドのメインスイッチング素子Qm1のオン状態は、さらに遡って図9の動作モード8でのターンオンが起点となっていて、ハイサイドの転流用スイッチング素子Qt1およびメインスイッチング素子Qm1はともにオン状態にある(図9参照)。図10は、図9のハイサイドの転流用スイッチング素子Qt1およびメインスイッチング素子Qm1はともにオン状態にあるときから、転流用スイッチング素子Qt1をターンオフした遷移後の状態を示している。そして、説明の都合上、一連の動作説明の開始の図としての図2は、実は図10と同じ状態を表している(ただし、図2においては、ハイサイドのコンデンサC2からの放電の矢印が記載されている点で図10と相違する)。
ここでは、図2の状態を簡単に説明しておく。入力部(ハイサイドの入力端子Tp1)とハイサイドのコンデンサC2から電流が流れ込み、オン状態のハイサイドのメインスイッチング素子Qm1を経て、絶縁トランスT1の一次巻線N1→ローサイドのコンデンサC3→ローサイドの入力端子Tn1の経路で電流が流れ、ローサイドのコンデンサC3に対して充電が行われる。この電流経路は図10と同じである。ハイサイドのコンデンサC2からの放電は遡って図5での充電を起点にしている。
図2において、絶縁トランスT1では一次巻線N1に流れる電流(下向き)によって2巻き線方式の二次巻線に電圧(上向き)が誘起され、ハイサイドの二次巻線N1H →ハイサイドの整流ダイオードD1→チョークコイルL1→第2の平滑コンデンサC4→ハイサイドの二次巻線N1H の経路で電流が流れ、第2の平滑コンデンサC4に対する充電が引き続き行われる。
図2の動作モード1においては、補助共振トランスT3、共振用のリアクトルLrは不動作であり、共振電流は流れず、第1の平滑コンデンサC1への回生もない。
(b)動作モード2(ハイサイドで転流用スイッチング素子Qt1のターンオフに引き続いてメインスイッチング素子Qm1をターンオフ)
以下、4つのスイッチング素子Qm1,Qt1,Qm2,Qt2のすべてがオフ状態となる動作モード2から動作モード6(図7)にかけてローサイドのメインスイッチング素子Qm2と転流用スイッチング素子Qt2の順次的な動作を説明する。
図3の動作モード2において、それまでオン状態にあったハイサイドのメインスイッチング素子Qm1がターンオフし、4つのスイッチング素子Qm1,Qt1,Qm2,Qt2のすべてがオフ状態となる。ハイサイドのメインスイッチング素子Qm1のターンオフにより、それまでこのメインスイッチング素子Qm1を流れていた電流が消失し、代わりにハイサイドの共振用のコンデンサCr1を通る経路に切り替わる。これによって、ハイサイドの共振用のコンデンサCr1に対する充電が行われる。このときのハイサイドのメインスイッチング素子Qm1のターンオフはスイッチング素子のドレイン・ソース間電圧がゼロの状態でのゼロ電圧スイッチング(ZVS)になり、スイッチングロスが軽減される。ローサイドのコンデンサC3に対する充電も続行される。
絶縁トランスT1の二次側において、それまでチョークコイルL1に流れていた電流が継続し、チョークコイルL1→第2の平滑コンデンサC4→ローサイドの二次巻線N1L →ローサイドの整流ダイオードD2→チョークコイルL1の経路で電流が流れ、第2の平滑コンデンサC4に対する充電が続行される。
図2の状態でハイサイドのコンデンサC2に流れた電流は、図3において消失する。
この図3の動作モード2においては、ターンオフしたハイサイドのメインスイッチング素子Qm1の両端子間(ドレイン・ソース間)に接続されたハイサイドの共振用のコンデンサCr1の静電容量によりドレイン・ソース間電圧が徐々に上昇するが、さらに共振用のコンデンサの静電容量を増やすと、ドレイン・ソース間電圧の上昇曲線がなだらかになり、ハイサイドのメインスイッチング素子Qm1のターンオフ時のスイッチングロスを低減し、スイッチングノイズも低減することが可能となる。
(c)動作モード3(ローサイドでメインスイッチング素子Qm2をターンオンする直前に転流用スイッチング素子Qt2をターンオン)
次いで図4の動作モード3において、その直前まではすべてのスイッチング素子Qm1,Qm2,Qt1,Qt2がオフ状態であったところ(図3参照)、PWM制御回路(図示省略)からの駆動信号によりローサイドの転流用スイッチング素子Qt2がターンオンされる(ゼロ電流スイッチング(ZCS))。これにより、ローサイドの共振用のコンデンサCr2から共振用のリアクトルLr、補助共振トランスT3のリーケージインダクタンスとしての1巻き線方式の主巻線N3および転流用スイッチング素子Qt2を経てコンデンサCr2に戻る経路で共振電流が流れる。この場合、ローサイドの共振用のコンデンサCr2にそれまでに充電されていた電荷が放出されて共振電流となる。なお、ローサイドの共振用のコンデンサCr2に対する充電は、遡って図7、図9、図10の動作時に行われていたものである。ローサイドの転流用スイッチング素子Qt2のターンオンは共振電流のもとで行われてゼロ電流スイッチング(ZCS)となり、スイッチングロスが軽減される。
補助共振トランスT3の1巻き線方式の主巻線N3に流れる電流(左向き)によって第2の補助巻線N3L に電圧(右向き)が誘起され、第2の補助巻線N3L →第2の整流ダイオードD12→第1の平滑コンデンサC1→第2の補助巻線N3L の経路に電流が流れ、入力側に対する回生が行われる。
絶縁トランスT1の一次巻線N1では電流の流れがなく、その結果として、絶縁トランスT1の二次側においては、それまでチョークコイルL1に流れていた電流が継続し、チョークコイルL1→第2の平滑コンデンサC4→ローサイドの二次巻線N1L →ローサイドの整流ダイオードD2→チョークコイルL1の経路で電流が流れ、第2の平滑コンデンサC4に対する充電が続行される。
補助共振トランスT3における一次巻線である1巻き線方式の主巻線N3は、ハイサイドの転流用スイッチング素子Qt1とローサイドの転流用スイッチング素子Qt2との直列回路を主回路とする転流制御回路11との関係において、従来例のようにその主回路のライン中に挿入されているのではない。1巻き線方式の主巻線N3は、その主回路における両転流用スイッチング素子Qt1,Qt2の中性点から分岐されてハイサイドのメインスイッチング素子Qm1とローサイドのメインスイッチング素子Qm2との直列回路の中性点につながるライン中に挿入されているものである。したがって、1巻き線方式の主巻線N3に共振電流が流れても、転流制御回路11の主回路(ハイサイドおよびローサイドの転流用スイッチング素子Qt1,Qt2の直列回路)に対しては従来例の場合のような逆起電力を及ぼすことはない(従来例の場合の逆流防止用のダイオードDG1は不要化できる)。
(d)動作モード4(ローサイドで転流用スイッチング素子Qt2をターンオンした直後にメインスイッチング素子Qm2をターンオン)
次いで図5の動作モード4において、ローサイドの転流用スイッチング素子Qt2はオン状態にあり、ハイサイドのメインスイッチング素子Qm1および転流用スイッチング素子Qt1はオフ状態にあり、ローサイドのメインスイッチング素子Qm2がターンオンする。すなわち、直前の図4でローサイドの共振用のコンデンサCr2→共振用のリアクトルLr→1巻き線方式の主巻線N3→転流用スイッチング素子Qt2→コンデンサCr2の経路で流れていた共振電流がゼロになり、その結果、ローサイドのメインスイッチング素子Qm2のドレイン・ソース間電圧が次第に低下し、電圧ゼロとなるタイミングでメインスイッチング素子Qm2をターンオンすると、そのメインスイッチング素子Qm2のターンオンはゼロ電流ゼロ電圧スイッチング(ZCZVS)動作となり、スイッチングロスをなくすことができる。
ローサイドのメインスイッチング素子Qm2がターンオンしたことに伴い、ローサイドのコンデンサC3に充電されていた電荷が放出され、絶縁トランスT1の一次巻線N1→ローサイドのメインスイッチング素子Qm2→ローサイドのコンデンサC3の経路に電流が流れ、一次巻線N1では上向きの電流となる。この過程で、ハイサイドのコンデンサC2に対して充電が行われる。なお、ローサイドのコンデンサC3に対する充電は、遡って図9、図10、図2、図3の過程で行われていたものである。
また、ハイサイドの入力端子Tp1→ハイサイドのコンデンサC2→絶縁トランスT1の一次巻線N1→ローサイドのメインスイッチング素子Qm2→ローサイドの入力端子Tn1の経路に電流が流れる。絶縁トランスT1の一次巻線N1からローサイドの第2の巻線N1L に下向きの電圧が誘起され、ローサイドの整流ダイオードD2→チョークコイルL1→第2の平滑コンデンサC4→ローサイドの第2の巻線N1L の経路で電流が流れ、第2の平滑コンデンサC4に対する充電が続行される。
図4の場合と同様に、上記の共振電流により補助共振トランスT3において1巻き線方式の主巻線N3から第2の補助巻線N3L に電圧(右向き)が誘起され、第2の補助巻線N3L →第2の整流ダイオードD12→第1の平滑コンデンサC1→第2の補助巻線N3L の経路に電流が流れ、入力側に対する回生が行われる。
この動作モード4(図5)についても、動作モード3(図4)と同様に、1巻き線方式の主巻線N3に共振電流が流れても、転流制御回路11の主回路には逆起電力を及ぼすことはない(従来例の場合の逆流防止用のダイオードDG2は不要化できる)。
この動作モードでは、メインスイッチング素子のターンオンに先行して転流用スイッチング素子をターンオンさせておき、その転流用スイッチング素子をオン状態に保った条件下でメインスイッチング素子をターンオンさせることによりZCZVS動作を実現している(図5)。
(e)動作モード5(ローサイドでメインスイッチング素子Qm2をターンオフする直前に転流用スイッチング素子Qt2をターンオフ)
次いで図6の動作モード5において、共振用のリアクトルLr、補助共振トランスT3の1巻き線方式の主巻線N3を通る共振電流が流れなくなって以降のタイミングでローサイドの転流用スイッチング素子Qt2をターンオフすると、ローサイドのメインスイッチング素子Qm2はオン状態のままであるので、ローサイドの転流用スイッチング素子Qt2のドレイン・ソース間電圧がゼロとなり、その結果、この転流用スイッチング素子Qt2のターンオフ動作はゼロ電流ゼロ電圧スイッチング(ZCZVS)となり、スイッチングロスをなくすことができる。
この場合、ローサイドのメインスイッチング素子Qm2のオン状態は継続し、ローサイドのコンデンサC3からの電荷の放出は続行され、絶縁トランスT1の一次巻線N1→ローサイドのメインスイッチング素子Qm2→ローサイドのコンデンサC3→一次巻線N1の経路に電流が流れ続る。一次巻線N1では上向きの電流となる。この過程では、絶縁トランスT1の二次側に流れる電流の経路は直前の図5の場合と同様である。
ローサイドの転流用スイッチング素子Qt2がターンオフしたので、補助共振トランスT3の1巻き線方式の主巻線N3には電流が流れなくなり、結果として、第1の平滑コンデンサC1への回生もなくなる。
この動作モードでは、メインスイッチング素子をオン状態に保った条件下で転流用スイッチング素子をターンオフさせることによりZCZVS動作を実現している(図6)。
(f)動作モード6(ローサイドで転流用スイッチング素子Qt2をターンオフした直後にメインスイッチング素子Qm2をターンオフ)
以下、4つのスイッチング素子Qm1,Qt1,Qm2,Qt2のすべてがオフ状態となる動作モード6(図7)から動作モード2(図3)にかけてハイサイドのメインスイッチング素子Qm1と転流用スイッチング素子Qt1の順次的な動作説明となる。
図7の動作モード6において、それまでオン状態にあったローサイドのメインスイッチング素子Qm2がターンオフし、4つのスイッチング素子Qm1,Qt1,Qm2,Qt2のすべてがオフ状態となる。ローサイドのメインスイッチング素子Qm2のターンオフにより、それまでこのメインスイッチング素子Qm2を流れていた電流が消失し、代わりにローサイドの共振用のコンデンサCr2を通る経路に切り替わる。これによって、ローサイドの共振用のコンデンサCr2に対する充電が行われる。このときのローサイドのメインスイッチング素子Qm2のターンオフはスイッチング素子のドレイン・ソース間電圧がゼロの状態でのゼロ電圧スイッチング(ZVS)になり、スイッチングロスが軽減される。ローサイドのコンデンサC3からの放電も続行される。
絶縁トランスT1の二次側において、それまでチョークコイルL1に流れていた電流が継続し、チョークコイルL1→第2の平滑コンデンサC4→ハイサイドの二次巻線N1H →ハイサイドの整流ダイオードD1→チョークコイルL1の経路で電流が流れ、第2の平滑コンデンサC4に対する充電が続行される。
この図7の動作モード6においては、ターンオフしたローサイドのメインスイッチング素子Qm2の両端子間(ドレイン・ソース間)に接続されたローサイドの共振用のコンデンサCr2の静電容量によりドレイン・ソース間電圧が徐々に上昇するが、さらに共振用のコンデンサの静電容量を増やすと、ドレイン・ソース間電圧の上昇曲線がなだらかになり、ローサイドのメインスイッチング素子Qm2のターンオフ時のスイッチングロスを低減し、スイッチングノイズも低減することが可能となる。
図4から図5、図6を経て図7への動作の変化の特徴は、ARCP回路10の機能によって、ローサイドのメインスイッチング素子Qm2をターンオンする直前にローサイドの転流用スイッチング素子Qt2を先行してターンオンすることにある。ローサイドの転流用スイッチング素子Qt2のターンオンにより共振電流を生起させ、その共振電流がゼロとなるタイミングでローサイドの転流用スイッチング素子Qt2をターンオンすることで、そのスイッチング動作をゼロ電流スイッチング(ZCS)とするとともに、ローサイドの共振用のコンデンサCr2の静電容量によってローサイドのメインスイッチング素子Qm2のドレイン・ソース間電圧を低下させて電圧ゼロとなるタイミングでターンオンさせてゼロ電流ゼロ電圧スイッチング(ZCZVS)としている(図4、図5参照)。したがって、これによってスイッチングロスをなくすことができる。
また、もう一つの特徴は、ローサイドの転流用スイッチング素子Qt2をターンオフする際には予めその直前でローサイドのメインスイッチング素子Qm2をオン状態に保つという条件下でターンオフすることにある。すなわち、ローサイドの転流用スイッチング素子Qt2のターンオフにより共振電流をゼロにした上で、オン状態にあるローサイドのメインスイッチング素子Qm2を介してローサイドの転流用スイッチング素子Qt2のドレイン・ソース間電圧をゼロとすることにより、そのローサイドの転流用スイッチング素子Qt2のターンオフ動作をゼロ電流ゼロ電圧スイッチング(ZCZVS)となし(図5参照)、これによってスイッチングロスをなくすことができる。
この動作モードでは、メインスイッチング素子のターンオフに先行して転流用スイッチング素子をターンオフさせておき、その転流用スイッチング素子をオフ状態に保った条件下でメインスイッチング素子をターンオフさせることによりZCZVS動作を実現している(図7)。
(g)動作モード7(ハイサイドでメインスイッチング素子Qm1をターンオンする直前に転流用スイッチング素子Qt1をターンオン)
次いで図8の動作モード7において、その直前まではすべてのスイッチング素子Qm1,Qm2,Qt1,Qt2がオフ状態であったところ(図7参照)、PWM制御回路からの駆動信号によりハイサイドの転流用スイッチング素子Qt1がターンオンされる(ゼロ電流スイッチング(ZCS))。これにより、ハイサイドの共振用のコンデンサCr1からハイサイドの転流用スイッチング素子Qt1、補助共振トランスT3のリーケージインダクタンスとしての1巻き線方式の主巻線N3および共振用のリアクトルLrを経てコンデンサCr1に戻る経路で共振電流が流れる。この場合、ハイサイドの共振用のコンデンサCr1にそれまでに充電されていた電荷が放出されて共振電流となる。なお、ハイサイドの共振用のコンデンサCr1に対する充電は、遡って図3の動作時に行われていたものである。ハイサイドの転流用スイッチング素子Qt1のターンオンは共振電流のもとで行われてゼロ電流スイッチング(ZCS)となり、スイッチングロスが軽減される。
補助共振トランスT3の1巻き線方式の主巻線N3に流れる電流(右向き)によって第1の補助巻線N3H に電圧(左向き)が誘起され、第1の補助巻線N3H →第1の整流ダイオードD11→第1の平滑コンデンサC1→第1の補助巻線N3H の経路に電流が流れ、入力側に対する回生が行われる。
絶縁トランスT1の一次巻線N1では電流の流れがなく、その結果として、絶縁トランスT1の二次側においては、それまでチョークコイルL1に流れていた電流が継続し、チョークコイルL1→第2の平滑コンデンサC4→ハイサイドの二次巻線N1H →ハイサイドの整流ダイオードD1→チョークコイルL1の経路で電流が流れ、第2の平滑コンデンサC4に対する充電が続行される。
動作モード3(図4)で説明したのと同様の理由により、補助共振トランスT3における一次巻線である1巻き線方式の主巻線N3は、主回路のライン中に挿入されているのではない。1巻き線方式の主巻線N3は、その主回路における中性点から分岐されたライン中に挿入されているものであり、したがって、1巻き線方式の主巻線N3に共振電流が流れても、転流制御回路11の主回路(ハイサイドおよびローサイドの転流用スイッチング素子Qt1,Qt2の直列回路)に対しては従来例の場合のような逆起電力を及ぼすことはない(従来例の場合の逆流防止用のダイオードDG2は不要化できる)。
(h)動作モード8(ハイサイドで転流用スイッチング素子Qt1をターンオンした直後にメインスイッチング素子Qm1をターンオン)
次いで図9の動作モード8において、ハイサイドの転流用スイッチング素子Qt1はオン状態にあり、ローサイドのメインスイッチング素子Qm2および転流用スイッチング素子Qt2はオフ状態にあり、ハイサイドのメインスイッチング素子Qm1がターンオンする。すなわち、直前の図8でハイサイドの共振用のコンデンサCr1→転流用スイッチング素子Qt1→1巻き線方式の主巻線N3→共振用のリアクトルLr→コンデンサCr1の経路で流れていた共振電流がゼロになり、その結果、ハイサイドのメインスイッチング素子Qm1のドレイン・ソース間電圧が次第に低下し、電圧ゼロとなるタイミングでメインスイッチング素子Qm1をターンオンすると、そのメインスイッチング素子Qm1のターンオンはゼロ電流ゼロ電圧スイッチング(ZCZVS)動作となり、スイッチングロスをなくすことができる。
ハイサイドのメインスイッチング素子Qm1がターンオンしたことに伴い、ハイサイドの入力端子Tp1とローサイドの入力端子Tn1とがこのメインスイッチング素子Qm1を介して接続された状態となり、ハイサイドの入力端子Tp1→ハイサイドのメインスイッチング素子Qm1→ローサイドの共振用のコンデンサCr2→ローサイドの入力端子Tn1の経路で電流が流れるとともに、ハイサイドのメインスイッチング素子Qm1とローサイドの共振用のコンデンサCr2との中間で分岐した電流が絶縁トランスT1の一次巻線N1→ローサイドのコンデンサC3→ローサイドの入力端子Tn1の経路に流れる。
この過程で、ローサイドの共振用のコンデンサCr2に対して充電が行われるとともに、絶縁トランスT1の一次巻線N1からハイサイドの二次巻線N1H に上向きの電圧が誘起され、ハイサイドの整流ダイオードD1→チョークコイルL1→第2の平滑コンデンサC4→ハイサイドの二次巻線N1H の経路で電流が流れ、第2の平滑コンデンサC4に対する充電が続行される。
図8の場合と同様に、補助共振トランスT3において第1の補助巻線N3H に電圧(左向き)が誘起され、第1の補助巻線N3H →第1の整流ダイオードD11→第1の平滑コンデンサC1→第1の補助巻線N3H の経路に電流が流れ、入力側に対する回生が行われる。
この動作モードでは、メインスイッチング素子のターンオンに先行して転流用スイッチング素子をターンオンさせておき、その転流用スイッチング素子をオン状態に保った条件下でメインスイッチング素子をターンオンさせることによりZCZVS動作を実現している(図9)。
(i)動作モード9(ハイサイドでメインスイッチング素子Qm1をターンオフする直前に転流用スイッチング素子Qt1をターンオフ)
次いで図10の動作モード9において、ハイサイドの転流用スイッチング素子Qt1がターンオフする。このとき、ハイサイドのメインスイッチング素子Qm1はオン状態にあるので、ハイサイドの転流用スイッチング素子Qt1のターンオフはゼロ電流ゼロ電圧スイッチング(ZCZVS)で行われる。ローサイドのメインスイッチング素子Qm2および転流用スイッチング素子Qt2はオフ状態である。絶縁トランスT1の一次側の回路では、ハイサイドの入力端子Tp1→ハイサイドのメインスイッチング素子Qm1→ローサイドの共振用のコンデンサCr2→ローサイドの入力端子Tn1の経路に電流が流れるとともに、ハイサイドのメインスイッチング素子Qm1とローサイドの共振用のコンデンサCr2との中間で分岐した電流が絶縁トランスT1の一次巻線N1→ローサイドのコンデンサC3→ローサイドの入力端子Tn1の経路に流れる。
この過程では、図9でハイサイドの共振用のコンデンサCr1→ハイサイドの転流用スイッチング素子Qt1→1巻き線方式の主巻線N3→共振用のリアクトルLrの経路を流れていた共振電流は消失する。また、補助共振トランスT3の補助巻線N3H →第1の整流ダイオードD11→第1の平滑コンデンサC1→第1の補助巻線N3H の経路を流れていた電流も消失する。絶縁トランスT1の二次側に流れる電流の経路は直前の図9の場合と同様である。
この図10の動作モードにおいては、ハイサイドの転流用スイッチング素子Qt1のターンオフのタイミングについて、共振電流がゼロになった時点以降にターンオフさせれば、ハイサイドのメインスイッチング素子Qm1がターンオンしていてハイサイドの転流用スイッチング素子Qt1のドレイン・ソース間電圧がゼロとなっているので、ハイサイドの転流用スイッチング素子Qt1のターンオフ動作はゼロ電流ゼロ電圧スイッチング(ZCZVS)となり、スイッチングロスをなくすことができる。
この動作モードでは、メインスイッチング素子をオン状態に保った条件下で転流用スイッチング素子をターンオフさせることによりZCZVS動作を実現している(図10)。
この次に図2、図3の状態に回帰する。
図8から図9,図10を経て図3への動作の変化の特徴は、ARCP回路10の機能によって、ハイサイドのメインスイッチング素子Qm1をターンオンする直前にハイサイドの転流用スイッチング素子Qt1を先行してターンオンすることにある。ハイサイドの転流用スイッチング素子Qt1のターンオンにより共振電流を生起させ、その共振電流がゼロとなるタイミングでハイサイドの転流用スイッチング素子Qt1をターンオンすることで、そのスイッチング動作をゼロ電流スイッチング(ZCS)とするとともに、ハイサイドの共振用のコンデンサCr1の静電容量によってハイサイドのメインスイッチング素子Qm1のドレイン・ソース間電圧を低下させて電圧ゼロとなるタイミングでターンオンさせてゼロ電流ゼロ電圧スイッチング(ZCZVS)としている。したがって、これによってスイッチングロスをなくすことができる。
また、もう一つの特徴は、ハイサイドの転流用スイッチング素子Qt1をターンオフする際には予めその直前でハイサイドのメインスイッチング素子Qm1をオン状態に保つという条件下でターンオフすることにある。すなわち、ハイサイドの転流用スイッチング素子Qt1のターンオフにより共振電流をゼロにした上で、オン状態にあるハイサイドのメインスイッチング素子Qm1を介してハイサイドの転流用スイッチング素子Qt1のドレイン・ソース間電圧をゼロとすることにより、そのハイサイドの転流用スイッチング素子Qt1のターンオフ動作をゼロ電流ゼロ電圧スイッチング(ZCZVS)となし、これによってスイッチングロスをなくすことができる。
ここで、上記の実施例につき、ソフトスイッチングのポイントをまとめておく。
(1)ハイサイド
(図8)素子Qt1のターンオン:ゼロ電流スイッチング(ZCS)
(図9)素子Qm1のターンオン:ゼロ電流ゼロ電圧スイッチング(ZCZVS)
(図10)素子Qt1のターンオフ:ゼロ電流ゼロ電圧スイッチング(ZCZVS)
(図3)素子Qm1のターンオフ:ゼロ電圧スイッチング(ZVS)
(2)ローサイド
(図4)素子Qt2のターンオン:ゼロ電流スイッチング(ZCS)
(図5)素子Qm2のターンオン:ゼロ電流ゼロ電圧スイッチング(ZCZVS)
(図6)素子Qt2のターンオフ:ゼロ電流ゼロ電圧スイッチング(ZCZVS)
(図7)素子Qm2のターンオフ:ゼロ電圧スイッチング(ZVS)
補助共振トランスT3の二次巻線の接続先について、上記実施例ではこれをハイサイドラインLHに接続したが、これとは別にローサイドラインLLにしてもよいし、一方をハイサイドラインLHに接続し、他方をローサイドラインLLに接続してもよい。
上記の実施例においては、転流用スイッチング素子Qt1,Qt2をターンオンした直後にメインスイッチング素子Qm1,Qm2をターンオンし、次いでメインスイッチング素子Qm1,Qm2をターンオフする直前に転流用スイッチング素子Qt1,Qt2をターンオフすることにより、ハイサイドにおいてもローサイドにおいてもそれぞれの動作をゼロ電流ゼロ電圧スイッチング(ZCZVS)とすることができ、スイッチングロスをなくすことができる。
しかも、補助共振トランスT3は転流レグ4の中性点からの分岐ライン中に挿入されていて、転流レグ4のライン中にはなく、そのラインから外している。その結果、転流レグ4のラインに対して、補助共振トランスT3に流れる電流による磁気結合作用が影響することはない。すなわち、従来例のように転流レグ4中に逆流防止用のダイオードを挿入しなくてもよくなり、逆流防止用のダイオードで消費される電力を節約して電力効率を向上するとともに、コスト低減を図ることができる。
その上、補助共振トランスT3の一次巻線である主巻線N3を1巻き線方式に構成したので、補助共振トランスT3のコストを低減することができる。
本発明は、ハーフブリッジコンバータに関して、転流レグ中に対する逆流防止用のダイオードの挿入を不要化し、電力効率を向上するとともに、コストダウンを図る技術として有用である。
1 メインレグ
2 コンデンサレグ
3 全波整流回路
4 転流レグ
10 ARCP回路
11 転流制御回路
12 回生用整流回路
C2 ハイサイドのコンデンサ
C3 ローサイドのコンデンサ
LH ハイサイドライン
LL ローサイドライン
N1 絶縁トランスの一次巻線
N3 1巻き線方式の主巻線(一次巻線)
N3H ,N3L 2巻き線方式の補助巻線(二次巻線)
m1 ハイサイドのメインスイッチング素子
m2 ローサイドのメインスイッチング素子
t1 ハイサイドの転流用スイッチング素子
t2 ローサイドの転流用スイッチング素子
T1 絶縁トランス
T3 補助共振トランス
p1,Tn1 入力端子
p2,Tn2 出力端子

Claims (2)

  1. 直流の入力端子に接続されたハイサイドラインとローサイドラインとの間に繰り返し交互にオン/オフされるハイサイドのメインスイッチング素子とローサイドのメインスイッチング素子との直列回路からなるメインレグが接続され、
    前記ハイサイドラインと前記ローサイドラインとの間にハイサイドのコンデンサとローサイドのコンデンサとの直列回路からなるコンデンサレグが接続され、
    前記メインレグの中性点と前記コンデンサレグの中性点との間に絶縁トランスの一次巻線が接続され、
    前記絶縁トランスの二次側に全波整流回路を介して出力端子が接続され、
    前記ハイサイドラインと前記ローサイドラインとの間に接続されたARCP回路を備え、
    前記ARCP回路は転流制御回路と回生用整流回路からなり、
    前記転流制御回路は、
    前記ハイサイドラインと前記ローサイドラインとの間に接続されたハイサイドの転流用スイッチング素子とローサイドの転流用スイッチング素子との直列回路からなる転流レグと、
    前記転流レグの中性点と前記メインレグの中性点との間に一次巻線である主巻線が接続されるとともに、前記入力端子に二次巻線である補助巻線が接続された補助共振トランスとを有し、
    前記ハイサイドの転流用スイッチング素子は、前記ハイサイドのメインスイッチング素子がターンオンされる直前にターンオンされ、前記ハイサイドのメインスイッチング素子がターンオフされる直前にターンオフされ、
    前記ローサイドの転流用スイッチング素子は、前記ローサイドのメインスイッチング素子がターンオンされる直前にターンオンされ、前記ローサイドのメインスイッチング素子がターンオフされる直前にターンオフされるように構成され、
    前記回生用整流回路は、前記補助共振トランスにおける前記補助巻線で得られる電流を整流して前記入力端子の側に回生するように構成されていることを特徴とするハーフブリッジコンバータ。
  2. 前記補助共振トランスにおける前記主巻線は1巻き線方式に構成され、前記補助巻線は2巻き線方式に構成されている請求項1に記載のハーフブリッジコンバータ。
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