JP2022097806A - 粘着剤、粘着シートおよび光学粘着シート - Google Patents

粘着剤、粘着シートおよび光学粘着シート Download PDF

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Abstract

【課題】飛散防止フィルムに必要な要求品質である、高い接着性と、耐熱性とを、薄膜であっても満足することができ、かつ筐体ガラスフィルムに必要な、耐打痕性にも優れる粘着シートを作製できる粘着剤の提供。【解決手段】アクリル系共重合体(A)、エポキシ樹脂(B)及び、硬化剤(C)を含み、アクリル系共重合体(A)は、モノマー(a-1)~(a-3)を含むモノマー混合物の共重合体であり、前記モノマー混合物100質量%中にモノマー(a-1)を10~50質量%、モノマー(a-2)を40~80質量%、モノマー(a-3)を5~10質量%含有し、エポキシ樹脂(B)は、重量平均分子量(Mw)が200~1000のビスフェノール型エポキシ樹脂である、粘着剤組成物により解決される。【選択図】 なし

Description

本発明は、アクリル系共重合体を含む粘着剤、粘着シートおよび光学粘着シートに関する。
近年、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の画像表示装置とタッチパネルを組み合わせて用いるスマートデバイス、カーナビゲーション等の表示デバイスが普及してきている。これらタッチパネル一体型の表示デバイスには、モジュールを保護するために、最前面にカバーパネルが設けられる。さらには、カバーガラスが破損した際の、ガラスの飛散を防止するため、粘着層を備えた飛散防止フィルム(以下、「カバーガラス用フィルム」ともいう)が用いられている。
スマートフォンやタブレットは、カバーガラス/モジュール/支持体となる筐体、から構成される。従来は、筐体素材にアルミが用いられ、カバーガラス/モジュール/アルミ筐体で構成されていたが、近年、通信速度の改善や、意匠性向上の目的で、筐体素材にガラスが用いられるようになってきている。ガラス筐体の表示デバイスにおいては、カバーガラスのみならず、ガラス筐体の内側表面(モジュールとガラス筐体の層間)にも粘着層を備えた飛散防止フィルム(以下、「筐体ガラス用フィルム」という)が用いられる。
飛散防止フィルムには、ガラスを外部衝撃から保護する性能が必要となる。飛散防止フィルムに用いられる粘着剤には、例えばスマートフォンやタブレットの落下等による衝撃が加わった際に、カバーガラスおよび筐体ガラスから剥離しない高い接着性および耐衝撃性(例えば、ガラスへの粘着力として20N以上)が求められる。
一方で、近年、表示デバイスのさらなる軽量化により、内部に使用される材料の薄膜化が進んでいる。使用される粘着層においては、従来25μm程度で使用されていたが、薄膜(例えば5μm)で使用されることが主流となっており、薄膜で高い接着性を発現する必要がある。これに伴い、飛散防止フィルムのカバーガラスおよび筐体ガラスへの接着性を向上させる方法として、熱処理による貼付方式が採用され始めている。これまでの貼付方式は、飛散防止フィルムをカバーガラスおよび筐体ガラスに熱処理無しで貼付していたが、熱処理(例えば、150℃雰囲気下で30分)により貼付し、カバーガラスおよび筐体ガラスへの密着性を向上させる方式が用いられる。熱処理による貼付方式の場合、粘着剤の耐熱性が不十分な場合、フィルム端部からの粘着剤のはみ出しが問題になることがある。飛散防止フィルムに用いられる粘着剤には、耐熱性が求められ、また、熱処理後には、従来よりも高い接着性が必要となる。
また、近年の5G対応により、スマートフォンやタブレットの内部に設置される、コンデンサーやコイル等の電子部品の容積が増大している。これにより、電子部品の押し付けによって筐体ガラス用フィルムに圧痕が残ることによる、外観不良が問題になることがある。筐体ガラス用フィルムに用いられる粘着剤には、電子部品による圧痕を防止するための、耐打痕性が必要となる。
飛散防止フィルムとして、特許文献1には、重合体とカルボジイミドを含有し、ゲル分率が10%以上かつ、酸価が50mgKOH/g以下の粘着剤が開示されている。
また、特許文献2には、炭素数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位と、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位からなる、ガラス転移温度が-35℃以上-10℃以下であり、かつ、重量平均分子量が45万以上90万以下である(メタ)アクリル系共重合体と、架橋剤を含有する粘着剤が開示されている。
特開2020-70313号公報 特開2020-132788号公報
これらの粘着剤は、従来のカバーガラス用フィルムとして用いるには、実用上問題の無い水準の接着性を有していたが、より薄膜での高い接着性、または熱処理による貼付方式に耐えうる耐熱性は十分ではない。加えて、筐体ガラス用フィルムとして用いる場合には、電子部品による圧痕を防止するための、耐打痕性を満たすことができていない。
すなわち本発明は、飛散防止フィルムに必要な要求品質である、高い接着性と、耐熱性とを、薄膜であっても満足することができ、かつ筐体ガラス用フィルムに必要な、耐打痕性にも優れる粘着シートを作製できる粘着剤の提供を目的とする。
本発明者が鋭意検討を行ったところ、以下の態様において、本発明の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明に係る粘着剤組成物は、アクリル系共重合体(A)、エポキシ樹脂(B)、及び硬化剤(C)を含み、アクリル系共重合体(A)は、下記モノマー(a-1)~(a-3)を含むモノマー混合物の共重合体であり、前記モノマー混合物100質量%中にモノマー(a-1)を10~50質量%、モノマー(a-2)を40~80質量%、モノマー(a-3)を5~10質量%含有し、エポキシ樹脂(B)は、重量平均分子量(Mw)が200~1000のビスフェノール型エポキシ樹脂である、ことを特徴とする。
(a-1)炭素数8~12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー
(a-2)ホモポリマーのガラス転移温度が0~100℃の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(ただし、モノマー(a-1)および(a-3)を除く)
(a-3)カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー
本発明により、飛散防止フィルムに必要な要求品質である、高い接着性と、耐熱性とを、薄膜であっても満足することができ、かつ筐体ガラス用フィルムに必要な、耐打痕性にも優れる粘着シートを提供できる。
また、透明性に優れているため、光学部材に用いられる飛散防止フィルムとして好適に用いることができる。
本明細書で使用する用語を定義する。(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルを含む。モノマーとは、エチレン性不飽和基含有単量体である。被着体とは、粘着シートを貼り付ける相手方をいう。本発明でシート、フィルムおよびテープは同義語である。
尚、本明細書では、アクリル系共重合体(A)、(a-1)炭素数8~12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー、(a-2)ホモポリマーのガラス転移温度が0~100℃の(メタ)アクリル酸エステルモノマー、(a-3)カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー、および重量平均分子量(Mw)が300~1000のビスフェノール型エポキシ樹脂(B)を、それぞれ共重合体(A)、モノマー(a-1)、モノマー(a-2)、モノマー(a-3)、およびエポキシ樹脂(B)と略記することがある。
本明細書中に出てくる各種成分は特に注釈しない限り、それぞれ独立に1種単独で、あるいは2種以上を混合して用いてもよい。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
本発明の粘着剤組成物は、アクリル系共重合体(A)、エポキシ樹脂(B)及び、硬化剤(C)を含み、
アクリル系共重合体(A)は、下記モノマー(a-1)~(a-3)を含むモノマー混合物の共重合体であり、
前記モノマー混合物100質量%中にモノマー(a-1)を10~50質量%、モノマー(a-2)を40~80質量%、モノマー(a-3)を5~10質量%含有し、
エポキシ樹脂(B)は、重量平均分子量(Mw)が200~1000のビスフェノール型エポキシ樹脂である。
(a-1)炭素数8~12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー
(a-2)ホモポリマーのガラス転移温度が0~100℃の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(ただし、モノマー(a-1)および(a-3)を除く)
(a-3)カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー
本発明の粘着剤組成物は、塗工により粘着層を形成し、基材を備えた粘着シートとして使用することが好ましい。前記粘着シートは、例えば、光学部材に使用する光学粘着シートとして使用することが好ましい。
《粘着剤組成》
本発明の粘着剤組成物は、アクリル系共重合体(A)を構成するモノマーとして、炭素数8~12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a-1)、ホモポリマーのガラス転移温度が0~100℃の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a-2)、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a-3)を、それぞれ特定量使用することで、粘着層に硬さと柔らかさの両立というトレードオフの性質が得られるため、粘着層が薄膜であっても、高い接着性と、耐熱性が両立でき、さらに耐打痕性にも優れたものとすることができる。
本発明の粘着剤組成物は、粘着シートとして好適であるほか、各種プラスチックシート、一般ラベル・シール、粘着性付与剤、積層構造体用粘着剤、シーリング剤の原料として、又、各種樹脂添加剤およびその原料等としても非常に有用に使用できる。
<アクリル系共重合体(A)>
本明細書におけるアクリル系共重合体(A)は、炭素数8~12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a-1)、ホモポリマーのガラス転移温度が0~100℃の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a-2)、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a-3)を含むモノマー混合物の共重合である。
また、前記モノマー混合物100質量%中にモノマー(a-1)を10~50質量%、モノマー(a-2)を40~80質量%、モノマー(a-3)を5~10質量%含有する。
本発明の効果を妨げない範囲でその他モノマーを併用してもよい。
[モノマー(a-1)]
モノマー(a-1)は、炭素数8~12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーである。ただし、モノマー(a-3)を除く。
モノマー(a-1)を含有することで、粘着層に十分なぬれ性と凝集性を付与することができ、基材への密着性を向上することができる。炭素数が8未満であると粘着層の柔軟性が低下し、基材密着性が低下する。また、炭素数が12を超えると、粘着層の剛直性が低下し、耐久性が低下する。
モノマー(a-1)は、例えば、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等が挙げられる。
モノマー(a-1)の中でも柔軟性と凝集性を両立できる面で(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシルが好ましい。
モノマー(a-1)の含有率は、モノマー混合物100質量%中、10~50質量%であり、20~40質量%であることがより好ましい。含有率が10質量%以上であることで、十分な接着性が得られ、また、含有量が50質量%以下であることで、接着力と耐熱性および、耐打痕性を高い水準で両立できる。
[モノマー(a-2)]
モノマー(a-2)は、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が0~100℃の(メタ)アクリル酸エステルモノマーである。ただし、モノマー(a-1)および(a-3)を除く。
モノマー(a-2)を含有することで、粘着層に十分な凝集性を付与することができ、基材への密着性を向上することができる。ホモポリマーのガラス転移温度が0℃未満であると粘着層の剛直性が低下し、耐熱性が低下する。また、ホモポリマーのガラス転移温度が100℃を超えると、粘着層の柔軟性が低下し、接着性が低下する。
より好ましくは、Tgが5~100℃の(メタ)アクリル酸エステルモノマーであり、さらに好ましくは、10~95℃の(メタ)アクリル酸エステルモノマーである。
ここで、ホモポリマーのガラス転移温度が0~100℃であるモノマーとは、重合によりホモポリマーを形成したときのTgが0~100℃であるモノマーを意味する。なお、ホモポリマーのTgは文献値やカタログ値などの公表値を使用することができる。
モノマー(a-2)は、例えば、ホモポリマーのガラス転移温度が0~100℃の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー、ホモポリマーのガラス転移温度が0~100℃の脂環族(メタ)アクリル酸エステルモノマー、ホモポリマーのガラス転移温度が0~100℃の芳香族(メタ)アクリル酸エステルモノマー、ホモポリマーのガラス転移温度が0~100℃のアミノ基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー等が挙げられる。
ホモポリマーのガラス転移温度が0~100℃の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t-ブチル等が挙げられる。
ホモポリマーのガラス転移温度が0~100℃の脂環族(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル等が挙げられる。
ホモポリマーのガラス転移温度が0~100℃の芳香族(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル等が挙げられる。
ホモポリマーのガラス転移温度が0~100℃のアミノ基含有モノマーとしては、例えば、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
ホモポリマーのガラス転移温度が0~100℃の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a-2)の中でも柔軟性と凝集性を両立できる面で(メタ)アクリル酸メチル、アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、ジメチルアミノエチルメタクリレートが好ましく、耐熱性および、耐打痕性の観点で(メタ)アクリル酸メチル、アクリル酸イソボルニルがより好ましい。
モノマー(a-2)の含有率は、モノマー混合物100質量%中、40~80質量%であり、30~70質量%であることがより好ましい。含有率が40質量%以上であることで十分な凝集力が得られるため耐熱性が向上し、また、含有率が80質量%以下であることで、透明性および、耐熱性と密着性を高い水準で両立できる。
[モノマー(a-3)]
モノマー(a-3)は、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーである。なお、炭素数8~12のアルキル基を有する場合、またはホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が0~100℃の(メタ)アクリル酸エステルモノマーであっても、カルボキシル基を有する場合は、モノマー(a-3)に該当する。
モノマー(a-3)を含有することで、粘着層に十分な剛直性を付与することができ、耐熱性が向上する。また、粘着層の極性を高めるため、高極性被着体への密着性が向上する。
モノマー(a-3)は、例えば、(メタ)アクリル酸、アクリル酸p-カルボキシベンジル、アクリル酸β-カルボキシエチル、マレイン酸、モノエチルマレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸等が挙げられる。
これらの中でも、十分な接着性を担保できる面で(メタ)アクリル酸が好ましい。
モノマー(a-3)の含有率は、モノマー混合物100質量%中、5~15質量%であり、5~10質量%であることがより好ましい。含有率が5質量%以上であることで、十分な凝集力が得られ、耐熱性が向上し、また、含有率が15質量%以下であることで、十分な密着性を担保することができ、接着性が向上する。
[その他モノマー]
共重合体(A)は、モノマー(a-1)、モノマー(a-2)、及びモノマー(a-3)以外に、その他モノマーを使用できる。
その他モノマーは、炭素数8~12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a-1)以外のホモポリマーのガラス転移温度が0℃未満の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー、水酸基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー、アミド結合を有するモノマー、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸モノマー、ビニルモノマー等が挙げられる。
炭素数8~12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a-1)以外のホモポリマーのガラス転移温度が0℃未満の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーは、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t-ブチル等が挙げられる。
水酸基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーは、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等が挙げられる。
アミド結合を有するモノマーは、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N、N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N-(ブトキシメチル)アクリルアミド、などの(メタ)アクリルアミド系の化合物;
N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン、などの複素環を有する化合物等が挙げられる。
エポキシ基を有するモノマーは、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸3,4-エポキシシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルメチル等が挙げられる。
ビニルモノマーは、例えば酢酸ビニル、クロトン酸ビニル、スチレン、アクリロニトリルな等が挙げられる。
その他モノマーの含有率は、モノマー混合物100質量%中に、5~30重量%であることが好ましい。含有率が5重量%以上になると密着性がより向上する。また、含有率が30重量%以下になると凝集力と密着性を両立し易い。
[共重合体(A)の製造方法]
共重合体(A)は、モノマー混合物を重合することで合成できる。重合は、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合など公知の重合方法が可能であるが、溶液重合が好ましい。溶液重合で使用する溶媒は、例えば、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、トルエン、キシレン、アニソール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどが好ましい。
重合温度は、60~120℃の沸点反応が好ましい。重合時間は、5~12時間程度が好ましい。
重合に使用する重合開始剤は、ラジカル重合開始剤が好ましい。ラジカル重合開始剤は、過酸化物およびアゾ化合物が一般的である。
過酸化物は、例えば、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、α,α’-ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン、2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3などのジアルキルパーオキサイド;
t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシアセテート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサンなどのパーオキシエステル;シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド;
2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレート、などのパーオキシケタール;
クメンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチルシクロヘキサン-2,5-ジハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド;
ベンゾイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド;
ビス(t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート等が挙げられる。
アゾ化合物は、例えば2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(略称:AIBN)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)などの2,2’-アゾビスブチロニトリル;
2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)などの2,2’-アゾビスバレロニトリル;
2,2’-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)などの2,2’-アゾビスプロピオニトリル;
1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)などの1,1’-アゾビス-1-アルカンニトリル等が挙げられる。
重合開始剤は、モノマー混合物100質量部に対して、0.01~10質量部を使用することが好ましく、0.1~2質量部がより好ましい。
共重合体(A)の重量平均分子量は、30万~180万が好ましく、50万~120万がより好ましい。30万~180万の範囲にあると凝集力がより向上し、耐湿熱性、耐熱性がより向上する。なお、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定するポリスチレン換算の値である。GPCの測定法の詳細は、実施例に記載する。
<エポキシ樹脂(B)>
エポキシ樹脂(B)は、重量平均分子量(Mw)が200~1000のビスフェノール型エポキシ樹脂である。エポキシ樹脂(B)を含むことで、被着体への高い接着性を発現する。特に、筐体ガラス用フィルムの粘着層と使用した際、熱処理後の粘着剤硬度を向上させることができ、高い耐熱性と耐打痕性を発現する。
エポキシ樹脂(B)は、-O-Ph-CR-Ph-O-で示されるようなビスフェノール骨格を分子内に有し、官能基としてエポキシ基を有する化合物である。Phは芳香族炭化水素基であり、R、Rは、それぞれ独立に水素原子、又はメチル基である。このようなビスフェノール型エポキシ樹脂(B)としては、JER825(Mw=350)、JER828(Mw=370)、JER806(Mw=330),JER1001(Mw=900)(いずれも三菱ケミカル社製)等が挙げられる。
エポキシ樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)は、200~1000であり、300~900がより好ましい。重量平均分子量(Mw)が200以上であることで、十分な凝集力となり、耐熱性および、耐打痕性が向上する。また、重量平均分子量(Mw)が1000以下であることで、透明性および、十分な密着性を担保することができ、接着性が向上するとともに、耐熱性および耐打痕性が向上する。
エポキシ樹脂(B)は、アクリル系共重合体(A)100質量部に対し、5~45重量部含むことが好ましく、10~40質量部含むことがより好ましい。含有量が5質量部以上であると十分な凝集力が得やすく、また、含有量が45質量部以下であると十分な密着性を担保することができ、接着性が向上する。
<硬化剤(C)>
硬化剤(C)は、共重合体(A)のカルボキシル基と反応することで、粘着層の凝集力が向上し、接着性、耐熱性、耐打痕性がより向上する。
硬化剤(C)としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、または金属キレート等が挙げられる。ただし、エポキシ樹脂(B)は除く。
これらのうち、イソシアネート化合物が高い凝集力と密着性を両立できる観点から好ましい。イソシアネート化合物を使用することで、耐熱接着性が向上できる。
イソシアネート化合物は、2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネートである。イソシアネート化合物は、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等のイソシアネートモノマー、ならびにこれらのビュレット体、ヌレート体、およびアダクト体が好ましい。
芳香族ポリイソシアネートは、例えば、1,3-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-トルイジンジイソシアネート、2,4,6-トリイソシアネートトルエン、1,3,5-トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”-トリフェニルメタントリイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートは、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(別名:HMDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートは、例えば、ω,ω’-ジイソシアネート-1,3-ジメチルベンゼン、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジメチルベンゼン、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートは、例えば、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(別名:IPDI、イソホロンジイソシアネート)、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
前記ビュレット体は、イソシアネートモノマーが自己縮合したビュレット結合を有する自己縮合物である。ビュレット体は、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット体が挙げられる。
前記ヌレート体は、イソシアネートモノマーの3量体である。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体、イソホロンジイソシアネートの3量体、トリレンジイソシアネートの3量体などが挙げられる。
前記アダクト体は、イソシアネートモノマーと2官能以上の低分子活性水素含有化合物が反応した2官能以上のイソシアネート化合物である。アダクト体は、例えば、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとを反応させた化合物、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとを反応させた化合物、トリメチロールプロパンとキシリレンジイソシアネートとを反応させた化合物、トリメチロールプロパンとイソホロンジイソシアネートとを反応させた化合物、1,6-ヘキサンジオールとヘキサメチレンジイソシアネートとを反応させた化合物等が挙げられる。
イソシアネート化合物は、十分な架橋構造を形成する観点から、3官能のイソシアネート化合物が好ましい。イソシアネート化合物は、イソシアネートモノマーと3官能の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体、及びヌレート体がより好ましい。イソシアネート化合物は、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート体、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのヌレート体、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソホロンジイソシアネートのヌレート体が好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体がより好ましい。
エポキシ化合物は、例えばグリセリンジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、1、3-ビス(N、N’-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N',N'-テトラグリシジルアミノフェニルメタン等が挙げられる。
アジリジン化合物は、例えばN,N’-ジフェニルメタン-4,4'-ビス(1-アジリジンカルボキサイト)、トリス-2,4,6-(1-アジリジニル)-1、3、5-トリアジン、4,4’-ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等が挙げられる。
カルボジイミド化合物は、カルボジイミド化触媒の存在下でジイソシアネート化合物を脱炭酸縮合反応させることによって生成した高分子量ポリカルボジイミドが好ましい。前記高分子量ポリカルボジイミドの市販品は、日清紡績社のカルボジライトシリーズが好ましい。その中でもカルボジライトV-03、07、09は有機溶剤との相溶性に優れており好ましい。
金属キレートは、例えば、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロムおよびジルコニウムなどの多価金属と、アセチルアセトンまたはアセト酢酸エチルとの配位化合物が好ましい。金属キレートは、例えば、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート、アルミニウムアルキルアセトアセテート・ジイソプロピレートが挙げられる。
硬化剤(B)は、共重合体(A)100質量部に対して0.01~5質量部含むことが好ましく、0.01~2質量部含むことがより好ましい。含有量が0.01質量部以上になると凝集力がより向上し、5質量部以下になると凝集力と柔軟性を両立しやすくなるために好ましい。
<シランカップリング剤(D)>
本発明の粘着剤組成物は、課題を解決できる範囲であれば、シランカップリング剤(D)を含有できる。シランカップリング剤(D)を含有することで、ガラスへの密着性が向上し、特に、熱処理後の耐熱接着性が飛躍的に向上する。
シランカップリング剤(D)は、例えば、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリブトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシランなどの(メタ)アクリロキシ基を有するアルコキシシラン化合物;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシランなどのビニル基を有するアルコキシシラン化合物;
3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリプロポキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基を有するアルコキシシラン化合物;
3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリプロポキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジエトキシシランなどのメルカプト基を有するアルコキシシラン化合物;
3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基を有するアルコキシシラン化合物;
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどのテトラアルコキシシラン化合物;
3-クロロプロピルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリエトキシシラン、n-デシルトリメトキシシラン、n-デシルトリエトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン、1,3,5-トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、分子内にアルコキシシリル基を有するシリコーンレジンなどが挙げられる。
シランカップリング剤(D)は、共重合体(A)100質量部に対して、0.01~2質量部を使用することが好ましく、0.05~1質量部がより好ましい。
<任意成分>
本発明の粘着剤組成物には、課題を解決できる範囲であれば、任意成分として各種樹脂、オイル、軟化剤、染料、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、可塑剤、充填剤、老化防止剤及び帯電防止剤等を含有できる。
《粘着シート》
本発明の粘着シートは、粘着剤組成物の硬化物である粘着層を備える。なかでも、基材、および粘着剤組成物の硬化物である粘着層を備えることが好ましい。
粘着シートは、例えば、基材上に粘着剤組成物を塗工、乾燥することで粘着層を形成して作製する。また、剥離性シートに粘着剤組成物を塗工、乾燥することで粘着層を形成し、基材を貼り合わせて作製することもできる。また、粘着層の基材と接していない面は、通常、異物の付着防止のため使用する直前まで剥離性シートを貼り合せて用いられる。乾燥温度は、通常60~150℃程度である。
粘着層の厚みは、通常0.1~200μm程度である。
本発明の粘着剤組成物は、通常用いられる範囲である厚みで用いることができることはもちろん、0.1~30μm、さらには0.1~10μmといった薄膜であっても、接着性と耐熱性を充分に達成することが可能であるという優れた効果を有している。
塗工方法は、例えばロールコーター法、コンマコーター法、ダイコーター法、リバースコーター法、シルクスクリーン法、およびグラビアコーター法等公知の方法が挙げられる。
粘着剤組成物を塗工する際、溶媒で粘度を調整できる。溶媒は、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶剤;ジエチルエーテル、メトキシトルエン、ジオキサン等のエーテル系溶剤が挙げられる。
基材は、柔軟なシートおよび板材が制限なく使用できる。基材は、プラスチック、紙、および金属箔、ならびにこれらの積層体等が挙げられる。
基材の粘着層と接する面には密着性向上のため、例えば、コロナ放電処理等の乾式処理やアンカーコート剤塗布等の湿式処理といった易接着処理を予め行うことができる。
基材は、単独または複数の光学フィルムを積層した積層体を使用できる。
基材の厚みは、通常10~250μm程度である。
剥離シートは、プラスチックまたは紙等の表面にシリコーン系剥離剤等の公知の剥離処理が施された公知の剥離シートを使用できる。
剥離性シートの厚みは、通常10~250μm程度である。
被着体に関しては、特に制限なく使用できる。被着体は、汎用ガラス、建材、ポリオレフィン、ABS、ポリスチレン、アクリル等のプラスチック、ダンボール、木材、合板、ステンテス、アルミ等の金属や、例えば、光学ガラスである無アルカリガラス、偏光板、楕円偏光フィルム、透明導電フィルム、位相差フィルム、反射防止フィルム、輝度向上フィルム、超撥水ガラスなどの光学部材等が挙げられる。
本発明の粘着シートは、被着体として光学部材に用いられる光学粘着シートとして好適に用いることができる。
<光学粘着シート>
本発明の粘着剤組成物の硬化物である粘着層は、透明性に優れるため、光学粘着シートとして好適に用いることができる。
光学粘着シートは、光学部材に貼り付けて用いられる粘着シートであって、表示デバイス等の表面保護シートとして好適である。また、薄膜での高い接着性、および耐熱性に優れ、飛散防止性も良好であり、かつ電子部品による圧痕を防止するための、耐打痕性にも優れているため、カバーガラス用フィルムとしてだけでなく、筐体ガラス用フィルムとしても、好適に用いることができる。
光学粘着シートが、基材を有する場合、基材として光学フィルムと、粘着剤組成物の硬化物である粘着層を備えていることが好ましい。
光学粘着シートは、例えば、光学フィルムに粘着剤組成物を塗工、乾燥することで粘着層を形成して作製する。また、剥離性シートに粘着剤組成物を塗工、乾燥することで粘着層を形成し、光学フィルムを貼り合わせて作製することもできる。また、粘着層の光学フィルムと接していない面は、通常、異物の付着防止のため使用する直前まで剥離性シートを貼り合せて用いられる。乾燥温度は、通常60~150℃程度である。粘着層の厚みは、通常0.1~200μm程度である。
光学フィルムは、透明で光透過可能なフィルムであり、例えば、ポリビニルアルコール、トリアセチルセルロース、ポリオレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリシクロオレフィン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレートなどのポリアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリノルボルネン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂などが挙げられる。
本発明の光学粘着シートは、光学部材の飛散防止フィルムとして好適に用いることができる。光学部材は、例えば、光学ガラス、撥水処理ガラス、加飾印刷ガラス、偏光板、楕円偏光フィルム、透明導電フィルム、位相差フィルム、反射防止フィルム、輝度向上フィルム、等が挙げられる。
ここで、超撥水ガラスとは、ガラス表面にフッ素やケイ素等の疎水物質をコーティングまたは蒸着したのち、表面に10~500nmの微細な凹凸を形成した表面処理ガラスであり、撥油性および撥水性両者を兼ね備えた材料である。これにより、水分や汗、皮脂による表面汚染を高度に防止することができる。
また、本発明の光学粘着シートの用途は、特に限定されないが、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、タッチスクリーンパネル、カーナビゲーション、車載内装表示デバイス、電極周辺部材等各種エレクトロニクス関連の部材の飛散防止用フィルムとしても適応できる。
また、近年のスマートフォンやタブレット等の表示デバイス用飛散防止フィルムにおいては、従来必要とされなかった、熱処理工程における耐熱性、内部に設置される、コンデンサーやコイル等の電子部品の押し付け対する耐打痕性が必要となる。
前記した通り、共重合体(A)、エポキシ樹脂(B)及び、硬化剤(C)から構成される、本発明の粘着剤組成物は、共重合体(A)が、長鎖(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー由来の構成単位、高Tg(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の構成単位両者を特定の含有量含むことで、ガラスへの密着性が飛躍的に向上し、接着性と耐熱性を両立することができる。また、エポキシ樹脂(B)を含有することで、接着性を損なうことなく、高い耐打痕性を発現することができ、飛散防止用フィルムとして適応することができる。さらには、硬化剤(C)を含有することで、粘着層の凝集力が向上し、接着性、耐熱性、耐打痕性に優れている。
加えて、本発明の粘着剤組成物は、通常用いられる範囲である厚みで用いることができることはもちろん、従来より薄膜であっても、接着性と耐熱性を充分に達成することが可能であるという優れた効果を有している。
次に、実施例を示して更に詳細を説明するが、本発明は、これらによって限定されるものではない。例中、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を示し、「%」は「質量%」を示す。また、表中の配合量は、質量部であり、溶剤以外は、不揮発分換算値である。尚、表中の空欄は配合していないことを表す。また、以下の例で使用したモノマーのTgはホモポリマーのTgを示す。ホモポリマーのTgは文献値やカタログ値などの公表値を使用した。
なお、共重合体の重量平均分子量の測定方法は以下の通りである。
<重量平均分子量(Mw)の測定>
重量平均分子量(Mw)の測定は、島津製作所社製GPC「LC-GPCシステム」を用いた。重量平均分子量(Mw)の決定は、分子量既知のポリスチレンを標準物質とした換算で行った。
装置名:島津製作所社製、LC-GPCシステム「Prominence」
カラム:東ソー社製GMHXL 4本、東ソー社製HXL-H 1本を連結した。
移動相溶媒 : テトラヒドロフラン
流量 : 1.0ml/分
カラム温度 : 40℃
<アクリル共重合体の製造>
(合成例1:共重合体(A))
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器(以下、単に「反応容器」と記述する。)に、アクリル酸2-エチルヘキシル(EHA)10部、アクリル酸メチル(MA)80部、アクリル酸10部、酢酸エチル100部、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNという)0.2部を仕込み、この反応容器内の雰囲気を窒素ガスで置換した。その後、窒素雰囲気下で撹拌しながら、65℃まで加熱し反応を開始した。その後、反応溶液を65℃で4時間反応させた。反応終了後、冷却し、酢酸エチルで希釈して不揮発分30%の共重合体(A-1)溶液を得た。得られた共重合体(A-1)の重量平均分子量は180万であった。
(合成例2~18)
表1の質量比率に従って原料および使用量を変更した以外は、合成例1と同様の方法でアクリル系共重合体を製造した。得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)を表1に示す。
Figure 2022097806000001
[モノマー(a-1)]
EHA : アクリル酸2-エチルヘキシル
OTA : アクリル酸n-オクチル
DCA : アクリル酸ドデシル
[モノマー(a-2)]
MA : アクリル酸メチル(Tg:6℃)
IBXA : アクリル酸イソボルニル(Tg:97℃)
BzA : アクリル酸ベンジル(Tg:6℃)
DMAEMA : メタクリル酸ジメチルアミノエチル(Tg:18℃)
[モノマー(a-3)]
AA : アクリル酸
MAA : メタクリル酸
[その他モノマー]
BA : アクリル酸n-ブチル
EA : アクリル酸エチル
(実施例1)
<粘着剤の調製>
得られた共重合体(A-1)溶液中の共重合体(A-1)100重量部に対して、エポキシ樹脂(B)として、エポキシ樹脂(B-1)「JER825」(ビスフェノール型エポキシ樹脂、Mw=350、三菱ケミカル社製)5重量部、硬化剤(C)として、硬化剤(C-1)「ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンのアダクト体」0.01重量部を、不揮発分が20%となるように酢酸エチルを配合し撹拌して粘着剤溶液を得た。
<粘着シートの作製>
得られた粘着剤溶液を、厚み50μmの剥離性シート(ポリエチレンテレフタレート(PET)、「E7004」、シリコーン系剥離層、東洋紡社製)上に、乾燥後の厚さが5μmになるように塗工し、120℃で3分間乾燥することで粘着層を形成した。次いで、この粘着層に、厚み38μmの剥離性シート(ポリエチレンテレフタレート、「SP-PET3811」、シリコーン系剥離層、リンテック社製)の片面を貼り合せ、「剥離性シート/粘着層/剥離性シート」の積層体を作製した。次いで、得られた積層体を温度25℃相対湿度55%の条件で1週間熟成させて、粘着シートを得た。
(実施例2~12、比較例1~8)
表2に示す通り、共重合体、エポキシ樹脂、硬化剤の種類、および配合量を変更した以外は実施例1と同様にして、粘着シートを得た。
(実施例13)
<粘着剤の調製>
上記共重合体(A-2)溶液中の共重合体(A-2)100重量部に対して、エポキシ樹脂(B)として、JER825(ビスフェノール型エポキシ樹脂、Mw=350、三菱ケミカル社製)5重量部、硬化剤(C)として、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンのアダクト体(I-1)1.0重量部、シランカップリング剤(D)として、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン0.1重量部、不揮発分が20%となるように酢酸エチルを配合し撹拌して粘着剤溶液を得た。
<粘着シートの作製>
前記、実施例1の粘着シートの作製手順に従い粘着シートを得た。
(実施例14~18)
表2に示す通り、共重合体、エポキシ樹脂、硬化剤の種類、および配合量を変更した以外は実施例13と同様にして、粘着シートを得た。
Figure 2022097806000002
[エポキシ樹脂(B)]
B-1 :JER825
(ビスフェノール型エポキシ樹脂、Mw=350、三菱ケミカル社製)
B-2 :JER828
(ビスフェノール型エポキシ樹脂、Mw=370、三菱ケミカル社製)
B-3 :JER806
(ビスフェノール型エポキシ樹脂、Mw=330、三菱ケミカル社製)
B-4 :JER1001
(ビスフェノール型エポキシ樹脂、Mw=900、三菱ケミカル社製)
[硬化剤(C)]
C-1 :ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体
C-2 :トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体
C-3 :イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体
C-4 :N、N、N'、N'-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン
[シランカップリング剤(D)]
D-1 : 3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
得られた粘着シートを用いて、カバーガラス用フィルムおよび筐体ガラス用フィルム試験として、透明性、接着性、耐熱接着性、耐熱性、飛散防止性、耐衝撃性を、筐体ガラス用フィルム試験として、耐打痕性を評価した。
《試験用積層体の作製》
[試験用積層体1:PETフィルム/粘着層/ガラス]
得られた粘着シートから幅25mm×長さ100mmのサイズに切り出してPETフィルム/粘着層/剥離性シートからなる試験用粘着シート1を作製した。
この試験用粘着シート1から剥離性シートを剥がし、露出した粘着層を25℃、相対湿度50%雰囲気下で無アルカリガラス板(EN-A1:旭硝子社製)にラミネーターを用いて貼着し、PETフィルム/粘着層/ガラスからなるものを試験用積層体1とした。
[試験用積層体2:PETフィルム/粘着層/ディスプレイ]
得られた粘着シートから幅75mm×長さ150mmのサイズ(6.1インチ相当)に切り出してPETフィルム/粘着層/剥離性シートからなる試験用粘着シート2を作製した。
この試験用粘着シート2から剥離性シートを剥がし、露出した粘着層を25℃、相対湿度50%雰囲気下でスマートフォン(iPhone(登録商標)11:Apple社製)のディスプレイに貼付したものを試験用積層体2とした。
《評価方法》
<透明性>
試験用積層体1を23℃、相対湿度50%で1週間放置した後に、HAZEを測定した。 HAZEは日本電色工業社製Turbidimeter NDH5000Wを用いて測定した。
[評価基準]
○:HAZEが1.0未満(良好)。
×:HAZEが1.0以上(不良)。
<接着性>
試験用積層体1を23℃、相対湿度50%で24時間放置した後に、180度方向に300mm/分の速度で引き剥がす180°ピール試験を実施した。剥離時の剥離強度を測定し、接着性を2段階で評価した。
[評価基準]
○:「剥離強度が20N以上であり、実用上全く問題がない」
△:「剥離強度が10N以上、20N未満であるが、実用可能」
×:「剥離強度が10N未満であり、実用不可」
<耐熱接着性>
試験用積層体1を150℃雰囲気下で30分放置し、次いで、25℃、相対湿度50%RH雰囲気で30分静置した後、180度方向に300mm/分の速度で引き剥がす180°ピール試験を実施した。剥離時の剥離強度を測定し、接着性を3段階で評価した。
[評価基準]
○:「剥離強度が30N以上であり、実用上全く問題がない」
△:「剥離強度が20N以上、30N未満であり実用可能」
×:「剥離強度が20N未満であり、実用不可」
<耐熱性>
試験用積層体1を150℃雰囲気下で30分放置し、次いで、25℃、相対湿度50%雰囲気下で30分静置した後、試験用粘着シートの端部を目視にて観察した。試験用粘着シートからの粘着剤のはみ出し長さを測定し、耐熱性を3段階で評価した。
[評価基準]
○:「はみ出しが無く、実用上全く問題がない」
△:「はみ出し長さが0.2mm以内であり、実用可能」
×:「はみ出し長さが0.2mmよりも大きく、実用不可」
<耐衝撃性>
試験用積層体2を高さ1mの位置からコンクリート面に落下させ、試験用粘着シート2が、ディスプレイの情報表示面から剥がれたか否かを目視で確認し、耐衝撃性を2段階で評価した。
[評価基準]
○:「剥がれが無く、実用上全く問題がない」
×:「剥がれが確認され、実用不可」
<飛散防止性>
試験用積層体2を、試験用粘着シート2が貼付されたディスプレイ面が上になるように載置し、50gのステンレス球を1.5mの高さから、試験用粘着シート2が貼付されたディスプレイ面に落下させた時に、ディスプレイガラスが飛び散るか否かを目視で確認し、飛散防止性を2段階で評価した。
[評価基準]
○:「ガラスは割れたが、その破片の周囲への飛散は無く、実用上全く問題がない」
×:「ガラスは割れ、その破片の周囲への飛散が確認され、実用不可」
<耐打痕性>
試験用積層体2を、150℃雰囲気下で30分放置し、その後、25℃、相対湿度50%雰囲気下で30分静置した。試験用粘着シート1上に、直径1mmのステンレスビーズを20個置き、さらに、ステンレスビーズの上に無アルカリガラス板(EN-A1:旭硝子社製)を設置した。最上面の無アルカリガラス板上に、重さ500gの錘を設置し、25℃、相対湿度50%雰囲気下で、24時間放置した後、錘、無アルカリガラスおよび、ステンレスビーズを取り外し、ステンレスビーズの押し付けによる圧痕の有無を目視で確認し、耐打痕性を3段階で評価した。
[評価基準]
○:「圧痕が無く、実用上全く問題がない」
△:「打痕が5個以内であり、実用可能」
×:「圧痕が5個よりも多くあり、実用不可」
Figure 2022097806000003
表3の結果から本発明の粘着剤組成物は、透明性に優れ、飛散防止性も良好であるため、光学部材に用いられる飛散防止フィルムとして好適に用いることができることが確認できた。
また、従来よりも、薄膜である膜厚5μmであっても、高い接着性と、耐熱性とを有しており、かつ筐体ガラス用フィルムに必要な、耐打痕性にも良好であることが確認できた。
一方、比較例1~8の粘着剤組成物は、前記特性を全て満たすことはできなかった。

Claims (6)

  1. アクリル系共重合体(A)、エポキシ樹脂(B)、及び硬化剤(C)を含み、
    アクリル系共重合体(A)は、下記モノマー(a-1)~(a-3)を含むモノマー混合物の共重合体であり、
    前記モノマー混合物100質量%中に、モノマー(a-1)を10~50質量%、モノマー(a-2)を40~80質量%、モノマー(a-3)を5~10質量%含有し、
    エポキシ樹脂(B)は、重量平均分子量(Mw)が200~1000のビスフェノール型エポキシ樹脂である、粘着剤組成物。

    (a-1)炭素数8~12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー
    (a-2)ホモポリマーのガラス転移温度が0~100℃の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(ただし、モノマー(a-1)および(a-3)を除く)
    (a-3)カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー
  2. エポキシ樹脂(B)の含有量は、アクリル系共重合体(A)100質量部に対し、5~45質量部である、請求項1記載の粘着剤組成物。
  3. 硬化剤(C)は、イソシアネート化合物を含む、請求項1または2記載の粘着剤組成物。
  4. さらにシランカップリング剤(D)を含む、請求項1~3いずれか1項記載の粘着剤組成物。
  5. 請求項1~4いずれか1項記載の粘着剤組成物の硬化物である粘着層を備えた、粘着シート。
  6. 請求項1~4いずれか1項記載の粘着剤組成物の硬化物である粘着層を備えた、光学粘着シート。
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