JP2022096657A - ワイヤグリッド偏光板、及びその製造方法 - Google Patents

ワイヤグリッド偏光板、及びその製造方法 Download PDF

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Masaru Sugiyama
政洋 久能
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Abstract

Figure 2022096657000001
【課題】偏光軸方向を認識できる、あるいは厚みを認識できるワイヤグリッド偏光板、及びその製造方法の提供を目的すること。
【解決手段】 基材と、前記基材の第一主面上で所定方向に延在し整列した金属細線と、を備え、前記基材の平均膜厚は、0.3μm以上3.0μm以下であり、前記基材は、第二主面において直交する2方向で膜厚分布の波長周期が異なっており、前記2方向のうち一方の膜厚分布の波長周期が1mm以上3mm以下であり、前記2方向のうち一方と金属細線の延在方向とが所定の角度関係である、ワイヤグリッド偏光板。
【選択図】図1

Description

本発明は、ワイヤグリッド偏光板とその製造方法に関する。
プリズム間に偏光分離層を有した偏光ビームスプリッタや、所望する波長領域の光を透過するフィルム等光学部材を重畳し偏光分離層を組み合わせて作製された、偏光分離特性を有した光学パーツがある(例えば、特許文献1参照。)。前記偏光ビームスプリッタは入射した光を偏光分離し、透過した一方の偏光に対し、他方の偏光を反射して異なる方向へ出光することができる。同様に前記光学パーツも透過した偏光と反射した偏光を異なる方向に出光することができるが、当該パーツの外形に対して偏光分離層を波状のような起伏のある配置とすることで、様々な方向へ偏光反射できるものも検討されている。
近年、この偏光分離層にワイヤグリッド構造を用いた製品が開発されている。作製方法としては、ガラスプリズムや光学部材間にワイヤグリッド構造を有した偏光子を挿入して貼着する方法がある。ワイヤグリッド構造を有した偏光子は、所定方向に延在したグリッド構造により偏光を分離できる。したがって、固有の透過ないし反射の偏光軸方向を有することになるが、当該偏光軸方向は、一般的な環境では、一見して判別することはできない。
特開2012-48225号公報
上述のように偏光軸方向は一見して判別できない。したがって、当該偏光ビームスプリッタや光学パーツ等作製時は、事前に偏光軸方向のマークを使用領域外に記載しておく等工夫が必要になる。また、偏光分離層を波状のような起伏のある配置とするために、それ自体の厚みを部分的に変化させて光学パーツを作製する場合、事前に、厚みの分布に係る情報が必要になる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、偏光軸方向を認識できる、あるいは厚みを認識できるワイヤグリッド偏光板、及びその製造方法の提供を目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、所定の干渉縞模様を生じさせる基材を用いることにより、上記課題を解決しうることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
基材と、前記基材の第一主面上で所定方向に延在し整列した金属細線と、を備え、
前記基材の平均膜厚は、0.3μm以上3.0μm以下であり、
前記基材は、第二主面において直交する2方向で膜厚分布の波長周期が異なっており、
前記2方向のうち一方の膜厚分布の波長周期が1mm以上3mm以下であり、
前記2方向のうち一方と金属細線の延在方向とが所定の角度関係である、
ワイヤグリッド偏光板。
〔2〕
前記直交する2方向のうち他方の膜厚分布の波長周期が、一方の膜厚分布の波長周期より長い、
〔1〕に記載のワイヤグリッド偏光板。
〔3〕
前記直交する2方向のうち一方の膜厚分布の波長周期が10nm以上である、
〔1〕又は〔2〕に記載のワイヤグリッド偏光板。
〔4〕
干渉縞を有し、前記干渉縞の延びる方向が、前記ワイヤグリッド偏光板の偏光軸方向を示す、
〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のワイヤグリッド偏光板。
〔5〕
前記金属細線上に被覆材を有する、
〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載のワイヤグリッド偏光板。
〔6〕
前記基材と前記被覆材は、前記金属細線間に陥入する凸形状を有する、
〔5〕に記載のワイヤグリッド偏光板。
〔7〕
前記基材と前記被覆材の少なくとも一方が粘着体である、
〔5〕又は〔6〕に記載のワイヤグリッド偏光板。
〔8〕
〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載のワイヤグリッド偏光板に偏光を入射させ、反射した反射光の干渉から前記ワイヤグリッド偏光板の基材面を視認する、
ワイヤグリッド偏光板の視認方法。
〔9〕
前記反射光の干渉縞の方向から前記ワイヤグリッド偏光板の偏光軸方向を視認する、
〔8〕に記載のワイヤグリッド偏光板の視認方法。
〔10〕
所定方向に延在する格子状凹凸構造を表面に有する基材を形成する基材形成工程と、
前記格子状凹凸構造上に金属細線を形成する金属細線形成工程と、を有し、
前記基材の平均膜厚は、0.3μm以上3.0μm以下であり、
前記基材は、第二主面において直交する2方向の膜厚分布の波長周期が異なっていて、
前記2方向のうち一方の膜厚分布の波長周期が1mm以上3mm以下であり、
前記2方向のうち一方と前記格子上凹凸構造の延在方向とが所定の角度関係である、
ワイヤグリッド偏光板の製造方法。
〔11〕
ベースフィルム上に前記基材を形成する前記基材形成工程と、
前記金属細線形成工程と、
前記金属細線を被覆材で被覆する被覆工程と、
前記基材から前記ベースフィルムを剥離して、ワイヤグリッド偏光板を得る剥離工程と、を有する、
〔10〕に記載のワイヤグリッド偏光板の製造方法。
〔12〕
前記剥離工程において、前記基材及び/又は前記ベースフィルムを加熱又は冷却することにより、膨張収縮差を生じさせる、
〔11〕に記載のワイヤグリッド偏光板の製造方法。
本発明によれば、偏光軸方向を認識できる、あるいは厚みを認識できるワイヤグリッド偏光板、及びその製造方法を提供することができる。
本実施形態のワイヤグリッド偏光板の一例を表す斜視図である。 図1の断面Sの拡大図である。 本実施形態のワイヤグリッド偏光板の他の態様を表す断面図である。 ワイヤグリッド偏光板A2の断面視のSEM写真である。 ワイヤグリッド偏光板A2の基材面側からの反射スペクトルである。 ワイヤグリッド偏光板A2の被覆材面側からの反射スペクトルである。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
また、本発明において「偏光」は直線偏光を意味し、完全な直線偏光のみならず、わずかに楕円化した偏光も含むものである。本実施の形態においては、楕円の長軸の長さに対する短軸の長さが0.3以下の楕円偏光は、該長軸方向を振動方向とする直線偏光であるとみなす。楕円の長軸の長さに対する短軸の長さが0.1以下の楕円偏光であることがより好ましい。同様に、複数の直線偏光が含まれる場合には、最も高強度の直線偏光を本実施の形態の直線偏光とする。
〔ワイヤグリッド偏光板〕
本実施形態のワイヤグリッド偏光板は、基材と、前記基材の第一主面上で所定方向に延在し整列した金属細線と、を備え、前記基材の平均膜厚は、0.3μm以上3.0μm以下であり、前記基材は、第二主面において直交する2方向で膜厚分布の波長周期が異なっており、前記2方向のうち一方の膜厚分布の波長周期が1mm以上3mm以下であり、前記2方向のうち一方と金属細線の延在方向とが所定の角度関係になる。
(基材)
図1に、本実施形態のワイヤグリッド偏光板の一例を表す斜視図を示す。図1のように、本実施形態のワイヤグリッド偏光板1は、基材10の第一主面上に所定方向に整列した金属細線20を有する。基材10の少なくとも10mm四方における平均膜厚が0.3μm以上3.0μm以下であって、図1に示すように、膜厚が不均一なものであり、この膜厚分布により、固有の干渉縞模様を発現する。この縞模様は、基材10に入射する光の波長、光の入射角度や方向等によって明暗の変化は発生するものの、縞模様自体は膜厚の分布に対応し、基材10に固有のものとなる。
膜厚分布には、比較的広い範囲で起伏するうねりのような厚薄と、比較的狭い範囲での厚薄とがある。前記厚薄を波形と見立てた場合に、前者の厚薄は波長が長くなり、後者は波長が短くなる。実際には、波長の長い厚薄と、波長の短い厚薄とが混在している。このうち、干渉を縞模様として視認できるようにするためには、前記厚薄の周期が1mmから3mmのものを含むことが好ましい。具体的には、計測長10mmにおける基材の膜厚の空間周波数において0.33から1.0mm-1が比較的高強度になる、あるいは、長さ10mmの膜厚プロファイルにおいて厚薄を波形と見立てた際に波長1mm以上3mm以下のものを3から10含むことを意味する。前記厚薄の周期が短周期だと干渉が平均化されて視認が難しくなり、また、長周期の場合も同様である。
また、干渉を縞模様とするためには、面内の直交する2方向で膜厚の厚薄の周期(膜厚分布の波長周期)を異ならせることが好ましい。つまり、前記2方向のうち一方の膜厚分布の波長周期を1mm以上3mm以下としつつ他方はこれと異ならせ、前記厚薄に係る2方向のうち一方と、金属細線の延在方向とを所定の角度関係にすることで、厚薄による干渉縞模様が偏光透過軸方向、あるいは、偏光反射軸方向を示すことになり、偏光軸方向が視認可能となる。
例えば、金属細線20の延在方向と平行の方向F1の膜厚の厚薄の程度を小さくする、あるいは、膜厚分布の波長周期を1mm未満、または、3mmより大きなものとし、金属細線20の延在方向と直交の方向F2の膜厚分布の波長周期を1mmから3mmとした場合を考える。
このような膜厚分布を作製すると、基材10には、平行方向F1と平行に延びる干渉の縞模様が発現する。この場合、金属細線20の延在方向と干渉の縞模様が延びる方向とは平行となる。また、金属細線20の延在方向は偏光反射軸方向と平行となるから、干渉の縞模様が延びる方向と偏光反射軸方向が一致する。このように、基材10に生じる干渉縞模様と紐付けることで、ワイヤグリッド偏光板1の偏光反射軸方向を判別できるようになり、また、基材10の厚みの分布も視認することが可能となる。
また、別の例として、金属細線20が延在する面において、前記金属細線20の延在方向に対し角度45度の方向F3には膜厚の厚薄の程度を小さくする、あるいは、膜厚分布の波長周期を1mm未満、または、3mmより大きなものとし、前記F3と直交する方向F4には膜厚分布の波長周期を1mmから3mmとした場合を考える。この場合には、基材10にはF3と平行に延びる干渉の縞模様が発現するが、F3と金属細線の延在方向とが45度の傾きを有することになり、干渉縞模様からワイヤグリッド偏光板1の偏光透過軸方向、あるいは、偏光反射軸方向の45度方向が判別できるようになり、また、基材10の厚みの分布も視認することが可能となる。
上記のように、ワイヤグリッド偏光板1は、金属細線20の延在方向に対して所定の方向に干渉縞模様を延ばすことができ、これにより、偏光透過軸、あるいは、偏光反射軸といった偏光軸の判別が可能となる。なお、偏光軸方向には、互いに直交する偏光透過軸方向と偏光反射軸方向があり、いずれか一方の方向が特定できればもう一方の方向も特定することができる。また、上述のように、干渉縞模様の延びる方向と偏光軸方向とが所定の角度を有するように実施することも可能だが、誤認を避けるために、互いが平行、ないしは、直交となるようにすることが好ましい。すなわち、干渉縞の延びる方向が、ワイヤグリッド偏光板の偏光軸方向を示すことが好ましい。
なお、基材10は、光の干渉縞模様を確認できる部分を、面内の全体に有していても一部に有していてもよい。
基材10の膜厚の最小値Tminは、好ましくは0.3~1.5μmであり、より好ましくは0.3~1.0μmであり、さらに好ましくは0.3~0.8μmである。
また、基材10の膜厚分布範囲は、好ましくは0.3~3.0μmであり、より好ましくは0.3~2.5μmであり、さらに好ましくは0.3~2.0μmである。
さらに、基材10の平均膜厚は、好ましくは0.3~3.0μmであり、より好ましくは0.3~2.5μmであり、さらに好ましくは0.3~2.0μmである。なお、平均膜厚は、少なくとも10mm四方の領域における膜厚の平均値である。
基材10の膜厚の最小値Tmin、膜厚分布範囲、又は平均膜厚が上記範囲内であることにより、可視光領域の光の干渉縞模様を良好に発現することができる。そのため、干渉縞模様の視認性がより向上し、ワイヤグリッド偏光板1の偏光軸方向や、基材10の厚みの分布をより容易に判別できるようになる。特に、膜厚膜厚の最小値Tminや膜厚分布範囲、又は平均膜厚が0.3μm以上であることにより、後述する製造方法においてベースフィルムから基材10の剥離性がより向上する傾向にある。また、膜厚分布範囲又は平均膜厚が3.0μm以下であることにより、干渉縞模様の視認性がより向上する傾向にある。
ここで、「膜厚分布範囲」とは、基材10の干渉縞模様を確認できる部分における厚みTの最大値と最小値が収まる範囲をいい、基材10が第一主面13側に格子状凹凸構造11を有している場合には、格子状凹凸構造11の凸部11aの頂点から、基材10の第二主面12までの厚みをいう。例えば、「膜厚分布範囲」とは、基材10が基材面側の第二主面12に波形状を有している場合には、その山10aから格子状凹凸構造11の凸部11aの頂点までの厚み(最大値Tmax)と谷10bから格子状凹凸構造11の凸部11aの頂点までの厚み(最小値Tmin)が収まる範囲をいう(図2参照)。
なお、図2に示すように、第二主面12に形成された波形状の山10aや谷10bの反対側に凸部11aが存在しない場合には、厚みT、最小値Tmin、最大値Tmaxは、凸部11aの高さH1は含まれない。
また、局所的に3.0μmを超える厚みの領域も有するような場合には、3.0μmを超える厚みの領域は干渉の発生が抑制される。この場合、基材10の厚みが3.0μm以下の領域において、干渉縞模様が発生し、その縞模様の形状から、厚みの分布を視認できる。
膜厚分布の波長周期は、上述のように、2方向のうち一方を1mm以上3mm以下とすることが好ましく、また他方は、前記一方の膜厚分布の波長周期より長くすることが好ましい。ワイヤグリッド偏光板は偏光反射性を有するが、鏡面として使用する場合の設計自由度を高めるために、他方の波長周期を3mmより長くすることは、さらに好ましい。また、干渉の縞模様の視認性を高めるためには、膜厚の厚薄に差を設けることが好ましく、具体的な厚薄差としては、膜厚分布が10nm以上であることが好ましい。
干渉縞模様を観察する際は、分光分布において可視光領域の全波長域の光を万遍なく発する光源、演色性の良い光源の利用が好ましい。これにより、干渉による発色を確認できる。なお、光源光が単色の場合は干渉による縞模様が明暗の模様となる場合もあるが、基材の厚みが所定の範囲にあっても干渉縞模様が観察にし難くなってしまう。この場合は、基材を出光した光の分光分布を計測するものとし、波状の干渉スペクトルとなる前記分光分布の周期(ピークの波長間隔)が20nmを超えた場合、干渉が発生しているものとする。観察においては、基材に対し傾斜して光源光を入射させ、あるいは、傾斜して出光した光を確認することが好ましい。傾斜角度を15度から45度程度とすることで観察が容易となるが、これに制限されるものではない。また、目的にあわせ、入射光を自然光、あるいは偏光とするといった選択も可能である。
次に、基材10の有する格子状凹凸構造11について説明する。基材10は表面に、所定方向に延在し整列する複数の凸部から構成される格子状凹凸構造11を有していてもよい(図1参照)。なお、本実施形態において「格子状」とは、等間隔の平行線群の状態であることを意味し、複数の平行線群が交差した状態は含まないものとする。
格子状凹凸構造11は金属細線20を形成するための下地となる部分であり、後述するように、斜め蒸着法によって格子状凹凸構造11の各凸部の頂部から側面に金属細線20を容易に形成することができる。この際、格子状凹凸構造11の凸部の一方側面に偏在するように金属細線20を設ける。
このような、格子状凹凸構造11を用いることにより、離隔しつつも鉛直方向に連続した形状の金属細線20を容易に形成することができる。そのため、格子状凹凸構造11の凸部の延在方向と金属細線20の延在方向(平行方向F1)は実質的に平行となる。また、格子状凹凸構造11と金属細線20は実質的に所定の方向に延在していればよく、格子状凹凸構造11の凹部、凸部、金属細線20の各々が厳密に平行に延在している必要はない。
図2に、図1における断面Sの拡大図を示す。図2に示すように、基材10の表面に形成された格子状凹凸構造11の凸部の形状は、格子状凹凸構造11の延在方向に対して垂直な断面(以下、「断面視」とする。)において、矩形形状であることが好ましい。矩形形状とは、凹部と凸部の繰り返しからなり、それは、台形形状、矩形形状、方形形状を含む。また、凸部の断面形状は、断面視における格子状凹凸構造の輪郭を関数と見なした場合の変曲点前後が、放物線のようになだらかに曲率が変化する曲線部を有することもでき、凸部にくびれがある形状も含むことができる。
格子状凹凸構造11の周期(凸部間のピッチ)は、特に限定されないが、金属細線20が偏光分離特性を発揮できる周期にすることが好ましく、等間隔であることが好ましい。一般に、ワイヤグリッド偏光板1は、金属細線20の周期P2が小さくなるほど、広帯域で良好な偏光分離特性を示すことができる。例えば、金属細線20が空気(屈折率1.0)と接する場合には、金属細線20の周期P2を、対象とする光の波長λの1/3以上1/4以下とすることで、実用的に十分な偏光分離特性を示すことになる。このため、可視光領域の光の利用を考慮する場合、格子状凹凸構造11の周期P1は、好ましくは150nm以下であり、より好ましくは130nm以下であり、さらに好ましくは100nm以下である。
また、ワイヤグリッド偏光板1が後述する被覆材30を備える場合には、被覆材30の屈折率は空気と異なるため、格子状凹凸構造11の周期は、好ましくは100nm以下である。
さらに、格子状凹凸構造11の凸部の高さH1は、好ましくは30以上200nm以下であり、より好ましくは40以上170nm以下であり、さらに好ましくは50以上130nm以下である。凸部の高さH1が上記範囲内であることにより、凸部に形成される金属細線20の高さを後述する好ましい範囲に調整しやすくなる傾向にある。
格子状凹凸構造11の凸部の周期P1に対する高さH1の比(H1/P1)は、好ましくは1.3倍以下であり、より好ましくは0.5倍以上1.0倍以下である。比(H1/P1)はが1.3倍以下であることにより、ワイヤグリッド偏光板1の面内の偏光透過軸方向に平行な偏光成分の透過率、偏光分離特性のばらつきがより抑制される傾向にある。また、比(H1/P1)が上記範囲内であることにより、偏光反射軸方向に直交する偏光成分(偏光透過軸方向に平行な偏光成分)の反射率に対する偏光反射軸方向に平行な偏光成分の反射率から算出される反射消光比がより向上する傾向にある。
基材10は、ワイヤグリッド偏光板1に透過偏光性能を発揮させる波長領域において実質的に透明であればよく、例えば、ガラスなどの無機材料や樹脂材料を用いることもできる。このなかでも、基材10としては樹脂材料を用いることが好ましい。樹脂材料を用いることにより、基材10をフィルムの様に巻き取って連続的に生産できるため、ワイヤグリッド偏光板1の製造コストをより安価にすることができ、また、ワイヤグリッド偏光板1にフレキシブル性を付与することができる。
基材10に用いることができる樹脂材料としては、特に制限されないが、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン樹脂(COP)、架橋ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂などの非晶性熱可塑性樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂などの結晶性熱可塑性樹脂;アクリル系、エポキシ系、ウレタン系などの紫外線(UV)硬化性樹脂;熱硬化性樹脂などが挙げられる。樹脂材料は、一種単独で用いても、二種以上を併用してもよい。例えば、UV硬化性樹脂や熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂やトリアセテート樹脂等を組み合わせて用いてもよい。
なお、UV硬化性樹脂を硬化させるために、UV光や、添加された紫外線吸収剤での吸収を考慮した405nm程度の可視光を発する光源を使用したり、電子線を発する光源を利用したりすることも可能である。
また、基材10を構成する樹脂材料のTg(ガラス転移点)は、好ましくは-30度未満である。このような樹脂材料を用いることにより、基材10の柔軟性が向上し応力を緩和できる。
(金属細線)
本実施形態のワイヤグリッド偏光板1は、所定方向F1に延在し整列する金属細線20を基材10上に有する。金属細線20は偏光分離層を構成する。なお、本実施形態のワイヤグリッド偏光板1は、所定方向F1と交差する方向に延在する他の金属細線20を有しない。
金属細線20により構成される偏光分離層は、入射光を偏光分離することができ、偏光反射軸方向は金属細線20の延在方向に平行する方向F1となり、偏光透過軸方向は金属細線20の延在方向に直交する方向F2となる。これにより、本実施形態のワイヤグリッド偏光板は固有の偏光軸方向を有することになる。
さらに、本実施形態のワイヤグリッド偏光板1に光を入射して透過観察をした場合、偏光分離層となる金属細線20を透過した所定の偏光は、基材10の膜厚分布による干渉の縞模様を生じさせる。したがって、ワイヤグリッド偏光板1における基材10側の第二主面12と金属細線側の第一主面13の両面で干渉縞模様を視認することができ、干渉縞模様からワイヤグリッド偏光板1の偏光軸方向を判別できるようになり、また、基材1の厚みの分布も視認することが可能となる。
一方で、本実施形態のワイヤグリッド偏光板1に光を入射して反射観察をした場合、基材10側の第二主面12から入射し偏光分離層となる金属細線20で偏光反射した光は、干渉の縞模様を生じさせるが、金属細線側の第一主面13から入射し偏光分離層となる金属細線20で偏光反射した光は干渉が抑制され、縞模様を生じさせない。これにより、ワイヤグリッド偏光板1の表裏判別が可能となり、基材10側の第二主面12と金属細線側の第一主面13とを目視にて確認することが可能となる。
金属細線20は、概略等間隔に整列することが好ましい。ワイヤグリッド偏光板1を構成する金属細線20の周期P2は、偏光分離を所望する光の波長λを基準として、好ましくは1/3λ以下であり、より好ましくは1/4λ以下である。これにより、偏光分離特性がより向上する傾向にある。また、金属細線20の周期Pの下限は特に制限されないが、構造上の強度、作製の観点では50nm以上が好ましい。
また、金属細線20は、基材10の格子状凹凸構造11の凸部の一方側面に形成されることが好ましい。これにより、凹凸のない平坦な基材10上に金属細線20を形成する場合と比較して、金属細線20と基材10との接触面積を増大することができ、ワイヤグリッド偏光板1の物理的な外力に対する耐久性がより向上する傾向にある。
さらに、金属細線20の高さH2は、偏光分離特性を示す程度にあればよく、好ましくは0.05μm以上とすることが好ましい。金属細線20を高くすることで偏光分離特性の向上が期待できるものの、平行透過率が低下してしまう、隣接する金属細線との離間状態を維持できなくなる等の不具合の発生も懸念されるため、1.0μm以下とすることが好ましい。
金属細線20を構成する金属としては、特に制限されないが、例えば、アルミニウム、銀、銅、白金、金またはこれらの各金属を主成分とする合金などの導電材料が挙げられる。このなかでも、アルミニウムが好ましい。このような金属を用いることにより、可視光領域での吸収損失がより小さくなる傾向にある。
(被覆材)
図3に示すように、ワイヤグリッド偏光板1は、金属細線20上に被覆材30を有していてもよい。被覆材30は、基材10の金属細線20が形成された第一主面13を被覆するように形成することができる。被覆材30を有することにより、ワイヤグリッド偏光板1の物理的な外力に対する耐久性がより向上する傾向にある。
また、図3に示すように、基材10と被覆材30は金属細線20間に陥入する凸形状を有することができる。本実施形態における基材10は、従来のワイヤグリッド偏光板と比較して、膜厚の分布範囲が0.3~3.0μmとなるように薄く形成する。そのため、ワイヤグリッド偏光板1の使用時における物理的な外力のほかに、製造時において、ベースフィルム40から基材10を剥離する際などにおいても、基材10と金属細線20が剥離する可能性がある。これに対して、上記のように基材10と被覆材30が金属細線20間に陥入する凸形状を有することにより、このような剥離がより抑制される傾向にある。
さらに、上述のとおり、本実施形態における基材10は薄膜であり、また、金属細線20も細いものであるため、環境温度の変化による膨張収縮等影響を緩和する観点から、基材10と被覆材30の少なくとも一方を粘着体とすることができる。粘着体は使用環境で柔軟性を有するものが好ましく、Tg(ガラス転移点)が-30度未満のものを好適に使用できる。
(誘電体層)
図2においては、基材10の表面に金属細線20が直接形成された例を示しているが、本実施形態のワイヤグリッド偏光板1は、基材10と金属細線20の界面に誘電体層を有していてもよい。
このように、誘電体層を介して基材10上に金属細線20を形成することにより、基材10と金属細線20の密着性をより向上することができ、ワイヤグリッド偏光板1の使用時及び/又は製造時における物理的な外力に対する耐久性がより向上する傾向にある。また、基材10が格子状凹凸構造11を有する場合には、その凸部の表面の少なくとも一部に誘電体層を介して金属細線20を形成することができる。
〔ワイヤグリッド偏光板の製造方法〕
本実施形態のワイヤグリッド偏光板の製造方法は、所定方向に延在する格子状凹凸構造を表面に有する基材を形成する基材形成工程と、格子状凹凸構造上に金属細線を形成する金属細線形成工程と、を有し、基材の平均膜厚は0.3μm以上3.0μm以下であり、基材は、第二主面において直交する2方向の膜厚分布の波長周期が異なっていて、2方向のうち一方の膜厚分布の波長周期が1mm以上3mm以下であり、2方向のうち一方と格子上凹凸構造の延在方向とが所定の角度関係である。
また、本実施形態のワイヤグリッド偏光板の製造方法は、金属細線を被覆材で被覆する被覆工程と、基材からベースフィルムを剥離して、ワイヤグリッド偏光板を得る剥離工程など、必要に応じて任意の工程を有していてもよい。
以下、格子状凹凸構造を有した場合を例にワイヤグリッド偏光板の製造方法について説明するが、本実施形態のワイヤグリッド偏光板の製造方法は以下に限定されるものではない。
(基材形成工程)
基材形成工程は、所定方向に延在する格子状凹凸構造を表面に有する基材を形成する工程であれば制限されず、例えば、ベースフィルム40上に所定方向に延在する格子状凹凸構造を表面に有する基材10を形成する工程としてもよい。より具体的には、ベースフィルム40上に基材10となる樹脂組成物を塗工し、格子状凹凸構造に対応した凹凸を有する型を当てた状態で樹脂組成物を硬化させて、基材10を形成する。このようにベースフィルム40上に基材10を形成して、その後の剥離工程においてベースフィルム40を剥離することにより、薄い基材10を形成することができる。
ベースフィルム40としては、特に制限されないが、例えば、トリアセテート樹脂(TAC)、シクロオレフィン樹脂(COP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等が挙げられる。より具体的には、富士フィルム社製のTD80ULやZRD60SL、コニカミノルタ社製のKC6UA、日本ゼオン社製のZF14やZF16等をベースフィルムとして好適に用いることができる。
樹脂組成物としては、上述した、基材10に用いることができる樹脂材料を含む組成物を用いることができる。樹脂組成物は熱硬化性又はUV硬化性を有することが好ましく、樹脂材料以外に、硬化剤等を含んでいてもよい。
表面に格子状凹凸構造11を有する基材10の形成方法は、特に限定されないが、型として金属スタンパを用いた製造方法を例示する。ここでは、格子状凹凸構造11の作製に、半導体製造のフォトリソグラフィ技術の応用により作製したシリコン系基板等を用いる。
初めに、格子状凹凸構造に対応する凹凸を有するシリコン系基板を鋳型として、格子状凹凸構造に対応する凹凸を表面に有する樹脂版を作製する。続いて、得られた樹脂版から、電解メッキ法等を用いて、格子状凹凸構造に対応する凹凸を表面に有する金属スタンパを作製する。このようにして得られた金属スタンパを、ベースフィルム上に塗布したUV硬化性樹脂組成物に対して押し当てつつ、樹脂組成物に対してUV光を照射することにより、ベースフィルム上に格子状凹凸構造11を有する基材10を形成できる。
なお、シリコン系基板等の表面に格子状凹凸構造を作製する手法の一つとしては、隙間をあけることなくレチクルのパターンを隣接させるように順次、転写(露光)する方法を挙げることができる。
上述した金属スタンパは、基材10の表面に格子状凹凸構造11を転写して形成できるものであれば、その外形は特に制限されず、平板状、円筒状、あるいはその他の形状とすることができる。量産性を考慮すると、円筒状が好ましく、これにより、円筒状の金属スタンパを版材として版胴に備え、格子状凹凸構造を連続して形成するロールプロセスが可能となる。
円筒状の金属スタンパを作製する方法としては、例えば、上記のようにして作製した平板状の金属スタンパを円筒状に丸め、端部を接合して円筒を構成する手法を挙げることができる。平板状の金属スタンパを一定の曲率で丸めるためには、特に制限されないが、例えば、3本ロールベンダー等の使用が好ましい。3本ロールベンダーを用い、曲げ加工時の加工条件を調整することで金属スタンパに緩やかな起伏(凸凹)を作製することができ、この起伏(凸凹)が格子状凹凸構造を転写する際に、同時に、基材の膜厚分布も形成する。
また、円筒状にした金属スタンパを容易に着脱するために、版胴(シリンダー、シャフト)に張り出すような機能を付与し、円筒状の金属スタンパを固定することが好ましい。なお、版胴に円筒状にした金属スタンパをセットする際に、版胴と金属スタンパの間に、高真円度の円筒の鋼管を伸びる方向に割り、スペーサーとして用いることが好ましい。
これにより、金属スタンパの円筒状を維持したまま張り出せ、版胴に備えられた金属スタンパの真円度を高くすることができる。版胴と金属スタンパの間に挿入するスペーサーとしては、隙間を埋めたり、円筒状にした金属スタンパの円筒内側の凸状突起の緩衝材とすることができたりできるようなシリコン系フィルムやPETフィルムといった柔軟性を有するフィルム類を用いることも可能である。
一方で、転写され作製される基材の膜厚の厚薄を大きくするために、周方向に厚みの厚薄を有したスペーサーを用いることも有効である。例えば、周方向に基材の膜厚分布の波長周期が1mmから3mmとなる起伏(凸凹)を有したスタンパに、同じく周方向に波長周期が5mmよりも長周期となる基材の厚薄を発現するスペーサーを用いることで、5mmの波長周期の厚薄の中に、1mmから3mmの波長周期の厚薄を混在させた基材を作製することができる。その他、金属スタンパを用いてベースフィルムにUV硬化性樹脂を塗布し格子状凹凸構造を転写するロールプロセスにて基材の厚薄を大きく方法としては、ベースフィルムの張力変動が周期性を有しつつ比較的大きくなるように制御することが有効である。塗布されたベースフィルム上のUV硬化性樹脂が金属スタンパに接する際の線圧が変動することとなり、金属スタンパとの接線に直交する方向へ基材の膜厚の厚薄を発生できる。
なお、上記のように平板状の金属スタンパを円筒状に成形したものは接合部を有するものとなる。そのため、このような円筒状の金属スタンパを用いて、ベースフィルムにUV硬化性樹脂を塗布して格子状凹凸構造を転写するロールプロセスを実施した場合には、基材10上には金属スタンパの接合部も転写される。格子状凹凸構造11が転写された基材10のうち、金属スタンパの接合部が転写された部分の周辺は、基材10の厚みが周囲と異なり、この接合部の転写によっても基材の厚み分布を形成することができる。なお、金属スタンパの半分以上にUV硬化性樹脂を塗布したベースフィルムを巻き付かせ、搬送しながら硬化処理をすることにより、金属スタンパ上の形状を正確に転写することができる。
(誘電体層形成工程)
本実施形態のワイヤグリッド偏光板の製造方法は、必要に応じて、金属細線形成工程前に、金属細線20が形成される基材10の箇所に、誘電体層を形成する誘電体層形成工程を有していてもよい。このような誘電体層を形成することにより、基材10と金属細線20との密着性がより向上し、金属細線20の剥離がより抑制される傾向にある。
誘電体層の材料としては、特に制限されないが、例えば、珪素(Si)の酸化物、窒化物、ハロゲン化物、炭化物の単体又はその複合物(誘電体単体に他の元素、単体又は化合物が混じった誘電体)や、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、イットリウム(Y)、ジルコニア(Zr)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、バリウム(Ba)、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、銅(Cu)などの金属の酸化物、窒化物、ハロゲン化物、炭化物の単体又はそれらの複合物が挙げられる。
誘電体層は、ワイヤグリッド偏光板1に透過偏光性能を発揮させる波長領域において、実質的に透明であることが好ましい。誘電体層の積層方法は、特に制限されないが、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的蒸着法を好適に用いることができる。
(金属細線形成工程)
金属細線形成工程は、上記のようにして得られた基材10の格子状凹凸構造11上に金属細線20を形成する工程である。金属細線の形状としては、格子状凹凸構造の凸部の側面から凹部の底部に連続した形状の金属細線を形成することが好ましく、また、フィルム面内に同様の金属細線を形成することが好ましい。また、金属細線の形成位置は、特に制限されないが、格子状凹凸構造の凸部の一方側面に形成することが好ましい。これにより、所定の方向に連続して延在する金属細線を作製できる。
金属細線の作製方法は、特に制限されないが、例えば、電子線リソグラフィ法、または、干渉露光法によるマスクパターニングとドライエッチングとを用いて形成する方法や、斜め蒸着法によって作製する方法などを挙げることができる。このなかでも、生産性の観点からは、斜め蒸着法が好ましい。
斜め蒸着法とは、断面視において、蒸着源が基材の表面の垂直方向に対して、所定の入射角度を持ちながら金属を蒸着、積層させていく方法である。入射角度は、格子状凹凸構造の凸部と作製する金属細線の断面形状から好ましい範囲が決まり、一般には、5度~45度が好ましく、より好ましくは5度~35度である。さらに、蒸着中に積層した金属の射影効果を考慮しながら、入射角度を徐々に減少又は増加させることは、金属細線の高さなど断面形状を制御する上で好適である。なお、基材の表面が湾曲している場合には、基材の表面の法線方向に対して傾斜した方向から蒸着を行うこととしてもよい。
具体的には、上記のようにして作製した基材10の表面の被蒸着領域の中心における垂直方向に対して、所定の入射角度となるように蒸着源の中心を設け、蒸着を行うことで、格子状凹凸構造上に金属細線を形成することができる。これにより、金属細線20を、基材10の表面の格子状凹凸構造11の凸部のいずれか一方の側面に、選択的に設けることが可能となる。なお、基材10を搬送しながら蒸着する場合には、ある瞬間における被蒸着領域の中心と蒸着源の中心が上述した条件となるように蒸着を行ってもよく、また、搬送時の張力が不均一となってシワが生じないように低張力、または、瞬間的な張力の変動を防止することが効果的である。
上述の斜め蒸着法を用いた場合、格子状凹凸構造11の凸部と金属細線20の延在方向は等しくなる。また、ワイヤグリッド偏光板1の断面視における金属細線20の形状は、射影効果を与える格子状凹凸構造11の凸部の高さと幅、また、金属蒸着量の影響を受ける。
ここで、金属蒸着量(平均厚み)は50nmから300nm程度が好ましい。なお、ここでいう平均厚みとは、平滑ガラス基板上にガラス面に垂直方向から物質を蒸着させたと仮定した時の蒸着物の厚みのことを指し、金属蒸着量の目安として使用する。
また、光学特性の観点から、上記のようにして構成した金属細線20の不要な部分をエッチングにより除去してもよい。エッチング方法は、基材10や誘電体層に悪影響を及ぼさず、金属細線が選択的に除去できる方法であれば、特に制限はされない。このなかでも、生産性の観点から、アルカリ性の水溶液に浸漬させる方法が好ましい。なお、本実施形態において金属細線20は非常に薄く作製されるため、上述のエッチングは必須ではない。
(被膜層形成工程)
本実施形態のワイヤグリッド偏光板の製造方法は、必要に応じて、金属細線形成工程後に、金属細線20の表面に被膜層を形成する被膜層形成工程を有していてもよい。このような被膜層を有することにより、耐湿熱性や防汚性がより向上し、また後述する被覆材30と金属細線20との密着性もより向上する傾向にある。
被膜層は、被膜材により形成した被膜層の他、金属細線表面の酸化による不働態被膜であってもよい。被膜層を形成する被膜材としては、特に制限されないが、ケイ素、窒化ケイ素、酸化ケイ素、炭化ケイ素及びダイヤモンドライクカーボンなどの無機材料や酸化チタンやインジウムスズ酸化物(ITO)等の金属酸化物、パーフルオロエーテル基やパーフルオロアルキル基等を含有したフッ素系有機分子等のフッ素含有組成物などが挙げられる。また、被膜層の積層前後での透過率の低下を防ぐため、ワイヤグリッド偏光板1に透過偏光性能を発揮させる波長領域において実質的に吸収のない材料であることが好ましい。
被膜層の形成方法は特に限定されないが、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の乾式法、蒸気拡散法や液滴下法や液浸漬法等の湿式法などを好適に用いることができる。
乾式法のなかでも、薄くて均一であり、物質衝突によって物理的な密着性を高め易く、且つ、格子状凹凸構造の凸形状に追従し易い被膜層を形成可能な真空蒸着法およびスパッタリング法が好ましい。反応性の材料を用いた場合、金属細線への積層後、反応を促進させる所定の温度および湿度においてエイジングしてもよい。被膜層は、金属細線頂部だけではなく、金属細線表面全体と格子状凹凸構造を有する基材表面までを同時に被覆することが好ましい。被膜層の層構成は、単一組成からなる単層構成や、複数層からなる多層構成、または、複数組成が混合された層から構成されていてもよい。
(被覆工程)
被覆工程は、金属細線20を被覆材30で被覆する工程である。これにより、ワイヤグリッド偏光板1の物理的な外力に対する耐久性がより向上する傾向にある。
被覆材30としては、特に制限されないが、例えば、基材10に用いることが可能な上述した材料や、基材10と同様の材料、粘着体を用いることができる。このなかでも、ワイヤグリッド偏光板1に透過偏光性能を発揮させる波長領域において実質的に吸収のない材料であることが好ましい。また、外力による金属細線20の損傷を防止するため、粘着体がより好ましい。粘着体は、使用環境で柔軟性を有するものが好ましく、Tg(ガラス転移点)が-30度未満のものは好適に使用できる。
粘着体としては、その両面を剥離紙で覆った両面テープを用いることができる。例えば、日東電工製CS9861US、CS9862UA、HJ-9150Wやリンテック製MO-T015、MO-3005、MO-3006、MO-3014、積水化学社製5405X-75等を好適に使用できる。上述のようなアクリル系樹脂からなるものや、シリコン系樹脂からなる粘着両面テープで金属細線20間に空隙ができるように金属細線20上に貼合したり、金属細線20を包埋したりすることで、環境温度の変化による膨張収縮等影響を緩和でき、ワイヤグリッド偏光板1の損傷を防止できる。
被覆材の厚みは、好ましくは25μm以下であり、より好ましくは15μm以下であり、さらに好ましくは5~15μmである。被覆材の厚みが上記範囲内であることにより、剥離性がより向上する傾向にある。
(剥離工程)
剥離工程は、上記のようにして金属細線20を形成した基材10からベースフィルム40を剥離して、ワイヤグリッド偏光板1を得る工程である。これにより、薄い基材10を形成することができる。
ベースフィルム40から基材10を剥離する方法としては、特に制限されないが、例えば、ベースフィルム40と基材10の膨張収縮差を用いることができる。例えば、上記のようにして得られた基材10及び/又はベースフィルム40を、加熱又は冷却することにより、基材10とベースフィルム40の間で膨張収縮差を生じさせて、基材10とベースフィルム40の界面の剥離を促進させる方法が挙げられる。
また、本実施形態においては、基材10の膜厚が所定の分布となるよう厚薄を有することにより、ベースフィルム40と基材10との膨張収縮差が面内で不均一に発生し、ベースフィルム40から基材10をより容易に剥離することができる。
また、ベースフィルム40から基材10を剥離する際に発生する外力によって、基材が損傷等しないように、基材10と被覆材30は金属細線20間に陥入する凸形状を有することが好ましい。これにより、剥離時の外力による金属細線や基材の剥離や損傷を防止できる。
〔ワイヤグリッド偏光板の視認方法〕
本実施形態のワイヤグリッド偏光板の視認方法は、ワイヤグリッド偏光板1に入射し、反射した反射光の干渉からワイヤグリッド偏光板の基材面を視認する工程を有する。反射観察をした場合、基材10側の第二主面12から入射し偏光分離層となる金属細線20で偏光反射した光は、干渉の縞模様を生じさせるが、金属細線側の第一主面13から入射し偏光分離層となる金属細線20で偏光反射した光は干渉が抑制され、縞模様を生じさせない。これにより、ワイヤグリッド偏光板1の表裏判別が可能となり、基材10側の第二主面12と金属細線側の第一主面13とを目視にて確認することが可能となる。
また、本実施形態のワイヤグリッド偏光板の視認方法では、反射光の干渉縞の方向からワイヤグリッド偏光板の偏光軸方向を視認してもよい。反射観察をした場合、基材10側の第二主面12から入射し偏光分離層となる金属細線20で偏光反射した光は、干渉の縞模様を生じさせる。したがって、干渉縞模様からワイヤグリッド偏光板1の偏光軸方向を判別できるようになり、また、基材10の厚みの分布も視認することが可能となる。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。まず、実施例中の測定値の測定方法について説明する。
<透過率の測定>
透過率の測定には日本分光株式会社製VAP-7070(分光光度計)を用いた。VAP-7070は光源側に測定用偏光子を備えており、測定サンプルに直線偏光の測定光を入射させて分光測定を行うことができる。
<反射率の測定>
反射率の測定には日本分光株式会社製ARMN-920(分光光度計)を用いた。ARMN-920は光源側に測定用偏光子を備えており、測定サンプルを保持する測定サンプル台と受光器が同一の一軸動作回転軸を有していて、測定の目的に応じて、各々を可動できる。
(ワイヤグリッド偏光板の作製方法)
次に、本実施例で用いたワイヤグリッド偏光板の作製方法について以下に説明する。
<金型>
表面に所定方向に延在し整列した格子状凹凸構造を有する平板状の金属スタンパを円筒状に丸め、端部を溶接加工した。丸める際は3本ロールベンダーを用いた。得られた円筒状の金属スタンパは、幅方向に延在した格子状凹凸構造に対応する凹凸を円筒表面に有し、円筒内側の周方向に基材の膜厚分布の波長周期が1mmから3mmとなる起伏(凸凹)を有するものであった。なお、円筒内側の起伏(凸凹)は、周方向には起伏(凸凹)が繰り返すものであり、幅方向には変動が少なく、前記起伏(凸凹)が幅方向に延在するものであった。また、金属スタンパおける溶接部の起伏を小さくするために、溶接部に潰し加工を施した。
上記のようにして作製した円筒状の金属スタンパを版材として、拡径機能を有する版胴に設置し、金属スタンパと版胴の間にスペーサーを挿入した。ここで、高真円度の円筒の鋼管を伸びる方向に割ったものをスペーサーとした金属スタンパを「金型A」といい、周方向に厚みの厚薄を有したスペーサーを用いた金属スタンパを「金型B」という。なお、金型A、また、金型Bの表面に有した格子状凹凸構造は同様であり、格子状凹凸構造の凸部の周期(ピッチ)は100nmとした。
<転写フィルムの作製>
ベースフィルムである厚み185μmのシクロオレフィン樹脂(COP)フィルム上に基材を作製するため、次のような作業を実施し、金型AにCOPフィルムを巻き付けた。まず、滑ることによって金型Aが傷つかないようにCOPフィルムに張力を掛けながら、回転しないように固定した金型AにCOPフィルムを接触させた。次に、接触によって発生した直線上の接線(母線)を別途用意した固定ロールで留め、COPフィルムが滑らないようにした。続いて、金型Aに巻き付かせるようにCOPフィルムのパスラインを変更させ、COPフィルムが金型Aと密着したところで固定ロールを外した。その後、金型Aに巻き付いたCOPフィルムに、基材となるアクリル系UV硬化型樹脂(屈折率1.52)を塗布した。この際に、硬化後の基材の厚みが0.3μm程度、0.6μm程度、2μm程度、3μm程度、又は3.5μm程度となるようにアクリル系UV硬化型樹脂の塗布量を調整した。金型Aに巻き付かせておいたCOPフィルムを搬送し、塗布したアクリル系UV硬化型樹脂が金型Aに重畳したところで、中心波長が365nmであるUVランプを操作して、COPフィルム側から1000mJ/cm2のUV照射を行い、金型の格子状凹凸構造を基材であるUV硬化型樹脂上に転写した。
基材を金型Aから剥離し、表面に格子状凹凸構造が転写された基材とCOPフィルムからなる転写フィルムを作製した。なお、金型Aから剥離する際に転写した格子状凹凸構造が損傷することを防止するため、転写回数の増加とともに低張力化する等、張力を適宜調整した。便宜上、硬化後厚みが0.3μm程度のものを「転写フィルムA1」といい、0.6μm程度のものを「転写フィルムA2」といい、2μm程度のものを「転写フィルムA3」といい、3μm程度のものを「転写フィルムA4」といい、3.5μm程度のものを「転写フィルムA5」という。
また、金型Bを用いて上記と同様の操作によって、UV硬化型樹脂の硬化後厚みを3μm程度とした転写フィルムを作製した。これを、転写フィルムBとする。
いずれの転写フィルムにおいても、基材は、金型A又はBの円筒内側の周方向に生じた波長周期が1mmから3mmとなる起伏(凸凹)による膜厚分布を有するものであった。
<スパッタリング法を用いた誘電体層の形成>
次に、各転写フィルムの格子状凹凸構造を有する基材表面に、誘電体層として二酸化珪素をスパッタリング法により成膜した。スパッタリング装置条件は、Arガス圧力0.2Pa、スパッタリングパワー770W/cm2、被覆速度0.1nm/sとし、転写フィルム上の誘電体厚みが平膜換算で3nmとなるように成膜した。
<斜め蒸着法を用いた金属細線の形成>
次に、各転写フィルムの格子状凹凸構造を有する基材表面に、真空蒸着によりアルミニウム(Al)を成膜した。Alの蒸着条件は、常温下、真空度2.0×10-3Pa、蒸着速度40nm/sとした。転写フィルムはベースフィルムを有していて、ベースフィルムの垂直方向に対する蒸着角は蒸着の進行とともに小さくしつつも18度前後とし、Al平均厚みが110nmとなるようにAlを蒸着した。なお、Al平均厚みとは、表面が平滑なガラス基板を転写フィルムとともに蒸着装置内に挿入し、蒸着された平滑ガラス基板上のAl厚みを測定したものであり、平滑ガラス基板上に垂直方向から物質を蒸着させたと仮定した時の蒸着物の厚みのことを指し、蒸着量の目安として使用している。
<不要Alの除去>
不要Alの除去のため、Alを蒸着した各転写フィルムを0.1重量%水酸化ナトリウム水溶液に室温下で浸漬し、その後すぐに水洗してフィルムを乾燥させ偏光フィルムを作製した。VAP-7070を用い、これらの透過率を確認したところ、550nmにおける平行透過率が約84%であった。便宜上、転写フィルムA1を偏光フィルムA1、また、転写フィルムA2、A3、A4、A5、Bを偏光フィルムA2、A3、A4、A5、Bとする。
(実施例および比較例)
<ワイヤグリッド偏光板の作製>
各偏光フィルムのAl面に厚みが15μmのリンテック製MO-T015の粘着体を貼合し、さらにガラス基板(テンパックス、1.1mm厚みの平板ガラス)を貼合した。オートクレーブにて加温加圧し、また、密着性向上のため室温放置した後に、加熱温度105度としたオーブンに3時間保管した。オーブンから取り出し後、ガラス基板に貼合された各偏光フィルムのベースフィルムを剥離した。ベースフィルムを剥離した各偏光フィルムを、ワイヤグリッド偏光板A1、A2、A3、A4、A5、Bとする。ワイヤグリッド偏光板は干渉による縞模様があり、前記縞模様の間隔は2mm程度であって、縞模様の延びる方向が偏光反射軸方向と平行になっていることを確認した。
上記のようにして得られたワイヤグリッド偏光板A2の基材厚みを測定するため、電子顕微鏡を用い、格子状凹凸構造が延在する方向に垂直な面(断面視)の観察を行った。その写真を図4に示す。格子状凹凸構造を有する基材の一方の面にある凸部の頂部からベースフィルムに貼着していた他方の面までの厚みは0.6μmであり、また、格子状凹凸構造の凸部高さは0.09μm、凸部間の距離(ピッチ)は0.1μmであった。同様の観察をワイヤグリッド偏光板A2の10mm四方内で3か所以上の複数個所で実施し、平均膜厚が0.6μmになることを確認した。
次に、レーザー干渉計(Zygo社製)を用い、ワイヤグリッド偏光板A2の基材面から測定光を入光するようにして、計測長10mmにおける基材の膜厚の空間周波数と、長さ10mmの膜厚プロファイルを取得した。周波数0.1~1.0mm-1の範囲で高速フーリエ変換した結果を用いるものとし、干渉の縞模様が延びる方向と、前記干渉の縞模様が延びる方向と直交する方向を確認した。干渉の縞模様が延びる方向には、空間周波数0.33から1.0mm-1が比較的高強度になっていて、また、膜厚プロファイルにおける波長1mm以上3mm以下のものが6あることを確認した。波長2mm程度で、膜厚差が10~50nm(振幅)であることを確認した。前記干渉の縞模様が延びる方向と直交する方向は、空間周波数0.33から1.0mm-1は比較的高強度になっておらず、また、膜厚プロファイルにおける波長1mm以上3mm以下のものが1のみで、多くは波長が4mmより大きいものであった。
ワイヤグリッド偏光板A2の第二主面12から光を入射させ反射した反射光の測定を、ARMN-920を用いて行った。具体的には、ワイヤグリッド偏光板の垂直方向に対する入射角度を30度とし、S波入射時の直交反射率測定を行った。本発明のワイヤグリッド偏光板は干渉が発現するため、反射スペクトルに干渉によるピーク(谷)が観察できる(図5参照)。なお、第二主面12とは逆側の面となる被覆材面(第一主面13側)から光を入射させ反射した反射光のスペクトルには、干渉による顕著なピークが観察されていない(図6参照)。縞模様も視認できず、反射光の干渉の差異から、基材面と被覆材面の判別が可能となることが分かった。
ワイヤグリッド偏光板A2の厚みは、基材面から光を入射させ反射した反射光のスペクトルのピーク波長および波長間隔(波数)、また、基材の屈折率から算出(分光反射率法)でき、その算出結果は0.6μmとなった。電子顕微鏡の結果と同様であり、以降、反射スペクトル測定から基材の厚みを算出した。
Figure 2022096657000002
ワイヤグリッド偏光板A1の基材厚みは0.3μmであった。膜厚が薄いため、反射ないし透過スペクトルのピーク(谷)の波長間隔が長くなり、ワイヤグリッド偏光板A2等に比較し、縞模様の視認性低下が確認できた。また、膜厚が薄さから剥離時の外力で基材に割れが発生し易くなっていて、ベースフィルムからの剥離は難しいものであった。したがって、本発明の基材厚みは0.3μm以上が好ましい。
次に、ワイヤグリッド偏光板A5の干渉の縞模様を観察した。ワイヤグリッド偏光板A5は基材厚みが3.5μmと比較的厚く、反射ないし透過スペクトルのピーク(谷)の波長間隔が短くなる。その結果、干渉を視認し難くなった。このため、本発明の基材厚みは3μm以下が好ましい。
次に、ワイヤグリッド偏光板A4とBの外観を観察した。ワイやグリッド偏光板は概略同様に作製されたが、金型が異なる。金型Bは周方向に厚みの厚薄を有したスペーサーを用いており、そのため、基材の膜厚が異なる。ワイヤグリッド偏光板Bには、A4とは異なり、干渉の縞模様が視認できる領域と視認し難い領域が発生していた。基材の膜厚の差異が大きくなっていて、部分的に厚み3.5μmを超えるような領域が存在し、厚みの差異を干渉の縞模様が示した結果である。なお、ワイヤグリッド偏光板Bに入射した光のうち、透過光の形状(サイズ)に入射前後の大きな変化を確認しなかったが、反射光は方向が変化したり形状が変化したりしていることを確認した。ワイヤグリッド偏光板A4は反射した光に、入射前後の大きな形状の変化を確認できておらず、ワイヤグリッド偏光板Bの偏光分離層に波状のような起伏があることを示している。
本発明は、偏光ビームスプリッタの偏光分離層や、フィルム状の光学部材を重畳して作製した光学部材などに利用可能なワイヤグリッド偏光板として、産業上の利用可能性を有する。
1…ワイヤグリッド偏光板、10…基材、10a…山、10b…谷、11…格子状凹凸構造、11a…凸部、12…第二主面、13…第一主面、20…金属細線、30…被覆材、40…ベースフィルム。

Claims (12)

  1. 基材と、前記基材の第一主面上で所定方向に延在し整列した金属細線と、を備え、
    前記基材の平均膜厚は、0.3μm以上3.0μm以下であり、
    前記基材は、第二主面において直交する2方向で膜厚分布の波長周期が異なっており、
    前記2方向のうち一方の膜厚分布の波長周期が1mm以上3mm以下であり、
    前記2方向のうち一方と金属細線の延在方向とが所定の角度関係である、
    ワイヤグリッド偏光板。
  2. 前記直交する2方向のうち他方の膜厚分布の波長周期が、一方の膜厚分布の波長周期より長い、
    請求項1に記載のワイヤグリッド偏光板。
  3. 前記直交する2方向のうち一方の膜厚分布が10nm以上である、
    請求項1又は2に記載のワイヤグリッド偏光板。
  4. 干渉縞を有し、前記干渉縞の延びる方向が、前記ワイヤグリッド偏光板の偏光軸方向を示す、
    請求項1~3のいずれかに記載のワイヤグリッド偏光板。
  5. 前記金属細線上に被覆材を有する、
    請求項1~4のいずれか一項に記載のワイヤグリッド偏光板。
  6. 前記基材と前記被覆材は、前記金属細線間に陥入する凸形状を有する、
    請求項5に記載のワイヤグリッド偏光板。
  7. 前記基材と前記被覆材の少なくとも一方が粘着体である、
    請求項5又は6に記載のワイヤグリッド偏光板。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載のワイヤグリッド偏光板に偏光を入射させ、反射した反射光の干渉から前記ワイヤグリッド偏光板の基材面を視認する、
    ワイヤグリッド偏光板の視認方法。
  9. 前記反射光の干渉縞の方向から前記ワイヤグリッド偏光板の偏光軸方向を視認する、
    請求項8に記載のワイヤグリッド偏光板の視認方法。
  10. 所定方向に延在する格子状凹凸構造を表面に有する基材を形成する基材形成工程と、
    前記格子状凹凸構造上に金属細線を形成する金属細線形成工程と、を有し、
    前記基材の平均膜厚は、0.3μm以上3.0μm以下であり、
    前記基材は、第二主面において直交する2方向の膜厚分布の波長周期が異なっていて、
    前記2方向のうち一方の膜厚分布の波長周期が1mm以上3mm以下であり、
    前記2方向のうち一方と前記格子上凹凸構造の延在方向とが所定の角度関係である、
    ワイヤグリッド偏光板の製造方法。
  11. ベースフィルム上に前記基材を形成する前記基材形成工程と、
    前記金属細線を被覆材で被覆する被覆工程と、
    前記基材から前記ベースフィルムを剥離して、ワイヤグリッド偏光板を得る剥離工程と、をさらに有する、
    請求項10に記載のワイヤグリッド偏光板の製造方法。
  12. 前記剥離工程において、前記基材及び/又は前記ベースフィルムを加熱又は冷却することにより、膨張収縮差を生じさせる、
    請求項11に記載のワイヤグリッド偏光板の製造方法。
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