JP2022096532A - 熱放射フィルム、熱放射フィルムの製造方法及び電子機器 - Google Patents

熱放射フィルム、熱放射フィルムの製造方法及び電子機器 Download PDF

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由高 竹澤
Yoshitaka Takezawa
隆伸 小林
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直樹 丸山
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【課題】汎用性に優れる放熱材として有用な熱放射フィルム及びその製造方法、並びにこの熱放射フィルムを用いる電子機器の提供。【解決手段】第1樹脂層、第2樹脂層、金属粒子配列層及び第3樹脂層をこの順に有する熱放射フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、熱放射フィルム、熱放射フィルムの製造方法及び電子機器に関する。
近年、電子機器の小型化及び多機能化に伴い、単位面積当たりの発熱量が増加する傾向にある。その結果、電子機器内で局所的に熱が集中するヒートスポットが発生し、電子機器の故障、短寿命化、動作安定性の低下、信頼性の低下等の問題が生じている。このため、発熱体で生じた熱を外部に放散させてヒートスポットの発生を緩和することの重要性が増している。
電子機器の放熱対策として、金属板、ヒートシンク等の放熱器を電子機器の発熱体近傍に取り付けて、発熱体で生じた熱を放熱器に伝導し、外部に放散させることが行われている。しかしながら、電子機器の小型化に伴い、電子機器に放熱器を取り付けるのが困難な場合が生じている。そこで、電子機器の小型化に適応しうる放熱手段として、放熱性を有する塗料を電子機器の表面に塗布する方法が検討されている。
例えば、特許文献1には、赤外線吸収性バインダー樹脂と赤外線吸収性無機粒子とを含有する放熱性粉体塗料組成物が記載されている。
特開2014-169372号公報
放熱性を有する塗料を用いて発熱体の表面に塗膜を形成する場合、塗膜に含まれる粒子の分布の偏り、塗膜の厚みの不均一等が生じると、所望の放熱性が得られないおそれがある。この問題は特に工業的な手法によらずに塗膜を形成する場合に顕著であり、製品としての適用範囲に制約がある。
本開示は上記事情に鑑み、汎用性に優れる放熱材として有用な熱放射フィルム及びその製造方法を提供することを目的とする。本開示はまた、この熱放射フィルムを用いる電子機器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1>第1樹脂層、第2樹脂層、金属粒子配列層及び第3樹脂層をこの順に有する熱放射フィルム。
<2>第1樹脂層は第2樹脂層から剥離可能である、<1>に記載の熱放射フィルム。
<3>第2樹脂層は粘着性を有する、<1>又は<2>に記載の熱放射フィルム。
<4>第3樹脂層は光架橋性アクリル樹脂の架橋物を含む、<1>~<3>のいずれか1項に記載の熱放射フィルム。
<5>第3樹脂層の厚みは50μm以上である、<1>~<4>のいずれか1項に記載の熱放射フィルム。
<6>前記金属粒子配列層に含まれる金属粒子は銅及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種を含む、<1>~<5>のいずれか1項に記載の熱放射フィルム。
<7>前記金属粒子配列層に含まれる金属粒子の体積平均粒子径は1.0μm~6.0μmである、<1>~<6>のいずれか1項に記載の熱放射フィルム。
<8>前記金属粒子配列層に含まれる金属粒子の平均アスペクト比は1~1.2である、<1>~<7>のいずれか1項に記載の熱放射フィルム。
<9>前記金属粒子配列層から放射される電磁波の波長スペクトルのピークは1μm~6μmの範囲にある、<1>~<8>のいずれか1項に記載の熱放射フィルム。
<10><1>~<9>のいずれか1項に記載の熱放射フィルムの製造方法であって、
第2樹脂層の上に金属粒子を配置する工程と、
前記金属粒子の上に第3樹脂層を配置する工程と、をこの順に有する、熱放射フィルムの製造方法。
<11>第1樹脂層を除いた状態の<1>~<9>のいずれか1項に記載の熱放射フィルムを備える電子機器。
本開示によれば、汎用性に優れる放熱材として有用な熱放射フィルム及びその製造方法が提供される。本開示によれば、この熱放射フィルムを用いる電子機器が提供される。
熱放射フィルムの構造の一例を示す断面模式図である。
以下、本開示を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本開示を制限するものではない。
本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本開示において「層」との語には、当該層が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本開示において実施形態を図面を参照して説明する場合、当該実施形態の構成は図面に示された構成に限定されない。また、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。
<熱放射フィルム>
本開示の熱放射フィルムは、第1樹脂層、第2樹脂層、金属粒子配列層及び第3樹脂層をこの順に有する熱放射フィルムである。
本開示の熱放射フィルムによれば、発熱体が発する熱を効率的に放散させることができる。
本開示の熱放射フィルムは、電子機器が備える発熱体又は筐体に貼り付けて使用されるため、熱放射性の塗料を用いて発熱体の表面に塗膜を形成する方法のように粒子の分布の偏り、厚みの不均一等が生じるおそれがない。このため、一般消費者による電子機器の放熱対策を含む多様な使用形態への適応性が高い。
本開示の熱放射フィルムが放熱効果を発揮する理由は必ずしも明らかではないが、下記のように考えられる。
熱放射フィルムに含まれる金属粒子配列層は、金属粒子に起因する微細かつ周期的な凹凸構造を有している。このため、金属粒子配列層に発熱体からの熱が伝わると表面プラズモン共鳴が生じて、放射される電磁波の波長域が変化すると考えられる。その結果、例えば、樹脂が吸収しにくい波長域の電磁波の放射率が相対的に増大し、樹脂による蓄熱が抑制されて、放熱性が向上すると考えられる。
ここでいう「樹脂」には、熱放射フィルムに含まれる樹脂と、発熱体の周囲に配置される樹脂(樹脂ケース等)の両方が含まれうる。
熱放射フィルムの構造の一例を図1に示す。
図1に示す熱放射フィルム10は、第1樹脂層1と、第2樹脂層2と、金属粒子配列層4と、樹脂層3と、を備えている。
図1に示す熱放射フィルム10では、第2樹脂層2が粘着剤層2aと、基材層2bと、粘着剤層2cとからなるが、本開示はこの構成に制限されない。
図1に示す熱放射フィルム10では、金属粒子配列層4に含まれる金属粒子の間に第3樹脂層3の一部が入り込んだ状態であるが、本開示はこの構成に制限されない。
熱放射フィルムを構成する第1樹脂層、第2樹脂層及び第3樹脂層に含まれる樹脂の種類は特に制限されず、公知の熱可塑性樹脂、光架橋性樹脂、熱硬化性樹脂等から選択できる。具体的には、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、ユリア樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ゴム系樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。必要に応じ、粘着剤を樹脂として用いてもよい。
熱放射フィルムに含まれる樹脂は、1種のみであっても2種以上であってもよい。
(第1樹脂層)
第1樹脂層は、熱放射フィルムを電子機器に貼り付ける際には除去される。第1樹脂層の除去しやすさの観点からは、第1樹脂層は、第2樹脂層から剥離可能であることが好ましい。第1樹脂層の第2樹脂層からの剥離を容易にするために、第1樹脂層の第2樹脂層と接する面には離型剤が付与されていてもよい。
第1樹脂層の厚みは、特に制限されない。例えば、0.1μm~5μmの間から選択してもよい。
(第2樹脂層)
第2樹脂層は、粘着性を有することが好ましい。第2樹脂層は、金属粒子配列層側の面が粘着性を有していても、第1樹脂層側の面が粘着性を有していても、両面が粘着性を有していてもよい。
第2樹脂層の金属粒子配列層側の面が粘着性を有していると、熱放射フィルムの製造工程において、第2樹脂層の表面に金属粒子を均等に付着させやすい。
第2樹脂層の第1樹脂層側の面が粘着性を有していると、第1樹脂層を除去した状態で、第2樹脂層の粘着性を利用して熱放射フィルムを電子機器に貼り付けることができる。
第2樹脂層に粘着性を付与する方法としては、第2樹脂層に粘着剤を含有させる方法が挙げられる。粘着剤の種類は特に制限されず、粘着性、離型性、耐熱性等を考慮して選択できる。具体的にはアクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等が挙げられる。粘着性の観点からは、アクリル系粘着剤が好ましい。
第2樹脂層は、1層のみからなっても2層以上からなってもよい。
第2樹脂層が2層以上からなる場合の構成としては、基材層と、基材層の片面又は両面に位置する粘着剤層と、を有する構成が挙げられる。
第2樹脂層が基材層を有することで、熱放射フィルムに充分な強度を付与することができる。入手性及び特性のバランスの観点からは、基材層に含まれる樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂が好ましい。
第2樹脂層の厚みは、特に制限されない。例えば、1μm~10μmの間から選択してもよい。
(第3樹脂層)
第3樹脂層は、光架橋性アクリル樹脂の架橋物であることが好ましい。第3樹脂層が光架橋性アクリル樹脂の架橋物であると、熱放射フィルムの製造工程において、架橋前の第3樹脂層の表面と金属粒子配列層とを密着させた後に、第3樹脂層に紫外線等の光を照射して架橋させることができる。これにより、金属粒子配列層との密着性に優れ、かつ充分な耐熱性を有する第3樹脂層を得ることができる。
第3樹脂層の膜厚を均等にする観点からは、第3樹脂層は光架橋性アクリル樹脂フィルムの架橋物であることが好ましい。
ある実施態様では、第3樹脂層は、熱放射フィルムの電子機器と対向する側と逆の側に位置する。
第3樹脂層の厚みは、特に制限されない。例えば、20μm~500μmの間から選択してもよい。
後述する実施例に示すように、第3樹脂層の厚みが厚いほど熱放射フィルムの放熱効果が増大することが本発明者らの検討により明らかとなった。したがって、第3樹脂層の厚みは50μm以上であることが好ましく、75μm以上であることがより好ましく、100μm以上であることがさらに好ましい。
熱放射フィルムの可とう性を確保する観点からは、第3樹脂層の厚みは300μm以下であることが好ましく、250μm以下であることがより好ましく、200μm以下であることがさらに好ましい。
熱放射フィルムの可とう性を確保しながら充分な放熱効果を得る観点からは、第3樹脂層の厚みを相対的に厚くし、第2樹脂層の厚みを相対的に薄くすることが好ましい。例えば、第3樹脂層の厚みは第2樹脂層の厚みの5倍以上であることが好ましく、10倍以上であることがより好ましく、20倍以上であることがさらに好ましい。
第3樹脂層の一部が金属粒子配列層に含まれる金属粒子の間に入り込んでいる場合、第3樹脂層の厚みは金属粒子配列層の厚みを含んだ厚みとする。
(金属粒子配列層)
熱放射フィルムに含まれる金属粒子配列層は、上述したように、熱放射フィルムが放射する電磁波の波長スペクトルを、熱放射フィルムに入射する電磁波の波長スペクトルから変化させる機能を有する。樹脂は一般に、比較的低波長の赤外域(例えば、2μm~10μm)の電磁波を吸収しにくい(透過しやすい)傾向にある。したがってある実施態様では、熱放射フィルムに含まれる金属粒子配列層は、熱放射フィルムが放射する電磁波の波長域を、上記赤外域における電磁波の放射率が増大するように変化させる機能を有する。
金属粒子配列層から放射される電磁波の波長スペクトルのピークは、1μm~6μmの範囲にあることが好ましい。
熱放射フィルムに含まれる金属粒子配列層が電磁波の波長スペクトルを変化させる機能を有するか否かは、フーリエ変換赤外分光光度計を用いて測定した吸収波長スペクトルが変化するか否かにより判断することができる。具体的には、金属粒子配列層を含まないこと以外は本開示の熱放射フィルムと同じ条件で作製したサンプルの吸収波長スペクトルと、本開示の熱放射フィルムの吸収波長スペクトルとを比較して確認することができる。
金属粒子配列層の状態は、表面プラズモン共鳴を生じうる状態であれば特に制限されない。たとえば、金属粒子配列層と隣接する樹脂層との間に明確な境界が形成されていてもよく、形成されていなくてもよい。例えば、金属粒子配列層は、金属粒子の間に隣接する樹脂層の一部が入り込んだ状態であってもよい。
金属粒子配列層に含まれる金属粒子は、隣り合う金属粒子と接触していても、接触していなくてもよい。また、熱放射フィルムの厚み方向において複数の金属粒子が重なり合っていても、重なり合っていなくてもよい。
金属粒子配列層の厚み(厚みが一定でない場合は、厚みが最大となる部分の厚さ)は、特に制限されない。例えば、1μm~10μmの範囲内であってもよい。金属粒子配列層の厚みは、例えば、金属粒子配列層に含まれる金属粒子の量、金属粒子の大きさ等によって調節することができる。
金属粒子配列層における金属粒子の密度は、表面プラズモン共鳴を生じうる状態であれば特に制限されない。例えば、金属粒子配列層を正面から観察したときに、観察面に占める金属粒子の割合が面積基準で50%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、90%であることがさらに好ましい。
本開示において「金属粒子配列層の正面から観察したときの観察面」とは、金属粒子の配列方向(熱放射フィルムの面方向)に対して垂直な方向(熱放射フィルムの厚み方向)から観察される面を意味する。
上記割合は、例えば、電子顕微鏡画像から画像処理ソフトウェアを用いて計算することができる。
本開示において「金属粒子」とは、表面の少なくとも一部が金属である粒子を意味し、粒子の内部は金属であっても、金属でなくてもよい。熱伝導による放熱性を向上させる観点からは、粒子の内部は金属であることが好ましい。
金属粒子の表面の少なくとも一部が金属である場合、外部からの電磁波が金属粒子の表面に到達することが可能であれば、樹脂、金属酸化物等の金属以外の物質が金属粒子の周囲に存在していてもよい。
金属粒子に含まれる金属として具体的には、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、銀、金、錫、チタン、クロム、パラジウム等が挙げられる。金属粒子に含まれる金属は、1種のみであっても2種以上であってもよい。金属粒子に含まれる金属は、単体であっても合金の状態であってもよい。熱伝導性の観点からは、金属粒子は銅及びアルミニウムの少なくとも一方を含むことが好ましい。
金属粒子の体積平均粒子径は、1.0μm~6.0μmの範囲内であることが好ましい。金属粒子の体積平均粒子径が6.0μm以下であると、放熱性の向上に寄与する電磁波(特に、比較的低波長の赤外光)が充分に放射される傾向にある。金属粒子の体積平均粒子径が1.0μm以上であると、金属粒子の凝集力が抑制され、金属粒子を均等に配列しやすくなる。
金属粒子の体積平均粒子径は、熱放射フィルムに使用される金属粒子以外の材料の種類を考慮して設定してもよい。例えば、金属粒子の体積平均粒子径が小さいほど、金属粒子配列層の表面に形成される凹凸構造の周期が小さくなり、金属粒子配列層で生じる表面プラズモン共鳴が最大となる波長が短くなる。金属粒子配列層による電磁波の吸収率は、表面プラズモン共鳴が最大となる波長において最大となる。したがって、金属粒子配列層で生じる表面プラズモン共鳴が最大となる波長が短くなると、金属粒子配列層による電磁波の吸収率が最大となる波長が短くなり、キルヒホッフの法則に従い、当該波長における電磁波の放射率が増大する傾向にある。このため、金属粒子の体積平均粒子径を適切に選択することで、金属粒子配列層の放射波長を熱放射フィルムに含まれる樹脂が吸収しにくい波長域に変換でき、放熱性がより向上する傾向にある。
本開示において金属粒子の体積平均粒子径は、レーザー回折・散乱法により得られる体積基準の粒度分布曲線において小径側からの積算が50%になるときの粒子径(D50)である。
金属粒子配列層による電磁波の吸収又は放射波長を効果的に制御する観点からは、金属粒子配列層に含まれる金属粒子の粒子径のばらつきは小さいことが好ましい。金属粒子の粒子径のばらつきを抑えることで、金属粒子配列層の表面に周期性を有する凹凸構造を形成しやすくなり、表面プラズモン共鳴が生じやすくなる傾向にある。
金属粒子の粒子径のばらつきは、例えば、体積基準の粒度分布曲線において小径側からの積算が10%になるときの粒子径(D10)をA(μm)、小径側からの積算が90%になるときの粒子径(D90)をB(μm)としたとき、A/Bの値が0.3以上となる程度であることが好ましく、0.4以上となる程度であることがより好ましく、0.6以上となる程度であることがさらに好ましい。
金属粒子の形状として具体的には、球状、フレーク状、針状、直方体、立方体、四面体、六面体、多面体、筒状、中空体、核部から異なる4軸方向に伸びた三次元針状構造等が挙げられる。これらの中でも、球状又は球状に近い形状が好ましい。
金属粒子は、平均アスペクト比が1~1.2であることが好ましい。金属粒子の平均アスペクト比が1.2以下であると、金属粒子の配列の均一性が向上し、所望の表面プラズモン共鳴が生じやすくなる傾向にある。
金属粒子の平均アスペクト比は、30個の金属粒子について測定したアスペクト比の算術平均値である。金属粒子のアスペクト比は、金属粒子の長軸の長さを短軸の長さで除した値(長軸/短軸)であり、1以上の数である。
熱放射フィルムは、金属粒子及び樹脂以外の材料を含んでもよい。例えば、熱放射フィルムはセラミックス粒子、添加剤等を含んでもよい。
熱放射フィルムがセラミックス粒子を含むことで、例えば、熱放射フィルムの放熱効果をより高めることができる。セラミックス粒子として具体的には、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、ジルコニア、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化リチウム、二酸化ケイ素等の粒子が挙げられる。熱放射フィルムに含まれるセラミックス粒子は、1種のみであっても2種以上であってもよい。また、表面が樹脂、酸化物等で構成される皮膜で覆われていてもよい。
セラミックス粒子の大きさ及び形状は、特に制限されない。例えば、上述した金属粒子の大きさ及び形状の好ましい態様として記載したものと同様であってもよい。
熱放射フィルムが添加剤を含むことで、熱放射フィルムに所望の機能を付与することができる。添加剤として具体的には、分散剤、造膜助剤、可塑剤、顔料、シランカップリング剤、粘度調整剤等が挙げられる。
熱放射フィルムの形状は特に制限されず、用途等に応じて選択できる。例えば、電子機器の熱放射フィルムを貼り付ける領域の形状にあわせてカットされた状態であっても、カットされていない状態であってもよい。あるいは、帯状にカットされたテープの形状であってもよい。
熱放射フィルム全体の厚みは、特に制限されない。例えば、20μm~500μmであってもよく、50μm~300μmであってもよく、100μm~200μmであってもよい。熱放射フィルム全体の厚みが500μm以下であると、熱放射フィルムの可とう性が充分に確保される。熱放射フィルム全体の厚みが20μm以上であると、熱放射フィルムの放熱機能が充分に得られる。
熱放射フィルムが吸収又は放射する電磁波の波長領域は特に制限されないが、熱放射性の観点からは、室温(25℃)下、3μm~30μmにおける各波長に対する吸収率又は放射率が1.0に近いほど好ましい。具体的には0.8以上であることが好ましく、0.9以上であることがより好ましい。
電磁波の吸収率又は放射率は、放射率測定器(例えば、京都電子工業株式会社製、D and S AERD)、フーリエ変換赤外分光光度計等により測定することができる。キルヒホッフの法則により、電磁波の吸収率と放射率とは等しいと考えることができる。
熱放射フィルムが吸収又は放射する電磁波の波長領域は、フーリエ変換赤外分光光度計で測定することができる。具体的には、熱放射フィルムが吸収又は放射する電磁波の波長の透過率及び反射率を測定し、下記式にて計算することができる。
吸収率(放射率)=1-透過率-反射率
熱放射フィルムの用途は、特に制限されない。例えば、電子機器の発熱体又は筐体に相当する箇所に取り付けて、発熱体で生じた熱を放散させるために用いてもよい。また、発熱体で生じた熱を金属板、ヒートシンク等の放熱器に伝えるために用いてもよい。
<熱放射フィルムの製造方法>
本開示の熱放射フィルムの製造方法は、上述した熱放射フィルムの製造方法であって、第2樹脂層の上に金属粒子を配置する工程と、前記金属粒子の上に第3樹脂層を配置する工程と、をこの順に有する、熱放射フィルムの製造方法である。
上記方法において第2樹脂層の上に金属粒子を配置する工程(金属粒子配置工程)を実施する方法は、特に制限されない。例えば、金属粒子又は金属粒子を含む組成物を刷毛、ふるい、噴霧機、エレクトロスプレー、コーター、インクジェット装置、スクリーン印刷装置等を用いて配置する方法が挙げられる。金属粒子が凝集物を形成している場合、配置前に凝集物を解砕する処理を行うことが好ましい。
上記方法において、金属粒子を配置する際の第2樹脂層及び金属粒子の上に配置する際の第3樹脂層の向きは特に制限されず、水平に配置しても斜め又は垂直に配置してもよい。
上記方法において、第2樹脂層の金属粒子が配置される側の面の向きは特に制限されず、重力方向にみて上向きであっても、それ以外の向き(例えば、下向き)であってもよい。
第2樹脂層の片面に配置される金属粒子の分布ムラを抑制する観点からは、第2樹脂層の金属粒子が配置される側の面が粘着性を有していることが好ましい。第2樹脂層の金属粒子が配置される側の面が粘着性を有していると、第2樹脂層の上に金属粒子を配置する際の金属粒子の移動が適度に制御されて、金属粒子の分布ムラが抑制される傾向にある。
第2樹脂層の片面に配置された金属粒子の上に第3樹脂層を配置する方法は、特に制限されない。例えば、シート状の第3樹脂層を金属粒子の上に配置する方法、液状の樹脂組成物を金属粒子の上に塗布する方法等が挙げられる。
第3樹脂層と金属粒子との密着性を高めるために、第3樹脂層の配置を加圧しながら行ってもよい。
上記方法は、金属粒子の上に第3樹脂層を配置する工程の後に、紫外線等の光を照射する工程を有してもよい。例えば、金属粒子の上に架橋前の樹脂を含む第3樹脂層を配置し、その後に光を照射して第3樹脂層に含まれる樹脂を架橋させてもよい。
<電子機器>
本開示の電子機器は、第1樹脂層を除いた状態の上述した熱放射フィルムを備える電子機器である。熱放射フィルムは、例えば、電子機器が備える発熱体、電子機器の筐体等の表面に貼り付けられた状態である。
電子機器に含まれる発熱体としては、集積回路、半導体素子等の電子部品、ヒートパイプなどが挙げられる。
電子機器に熱放射フィルムを貼り付ける態様は、特に制限されない。例えば、熱放射フィルムをそのまま貼り付けてもよく、接着剤等を用いて貼り付けてもよい。
必要に応じ、電子機器は、放熱器を備えてもよい。この場合、電子機器が備える発熱体と放熱器との間に熱放射フィルムが介在していることが好ましい。発熱体と放熱器との間に熱放射フィルムが介在していることで、優れた放熱性が達成される。放熱器としては、アルミニウム、鉄、銅等の金属からなる板、ヒートシンクなどが挙げられる。
電子機器の熱放射フィルムが貼り付けられる部分は、平面であっても、平面でなくてもよい。電子機器の熱放射フィルムが貼り付けられる部分が平面でない場合は、当該部分の形状にあわせて変形可能な程度に可とう性を有する熱放射フィルムを用いることが好ましい。
以下、実施例を参照して本開示をさらに詳細に説明する。ただし本開示は、以下の実施例に記載された内容に限定されるものではない。
<実施例1>
(熱放射フィルムの作製)
離型セパレータ、アクリル系粘着剤を含む粘着層、PET基材、アクリル系粘着剤を含む粘着層及び離型セパレータがこの順に積層した構造を有する両面テープ(100mm×100mm、厚み:5μm)の一方の離型セパレータを剥がして露出した粘着剤層の上に、刷毛を用いて銅粒子(体積平均粒子径:1.6μm、平均アスペクト比:1.15)を付着させ、金属粒子配列層を形成した。次いで、金属粒子配列層の上に、PET基材上に製膜された光架橋性アクリル樹脂フィルム(厚み:100μm)を90℃に加熱しながらラミネートした。その後PET基材を剥がし、紫外線を照射して光架橋性アクリル樹脂フィルムを架橋させた。以上の工程により、第1樹脂層としての離型セパレータ、第2樹脂層としての粘着層1、PET基材及び粘着層2からなる積層体、金属粒子配列層、及び第3樹脂層としての光架橋性アクリル樹脂フィルムの架橋物がこの順に配置された熱放射フィルムを得た。
(放熱性の評価)
作製した熱放射フィルムを用いて、下記の手法により放熱性の評価を行った。
市販の面状発熱体(ポリイミドヒーター)を一対のアルミニウム板(20mm×20mm、厚さ2mm)で挟む。アルミニウム板の表面に、K熱電対をアルミニウム用はんだで接着する。さらに、熱放射フィルムの離型セパレータを剥離し、一方のアルミニウム板の表面に熱放射フィルムを貼り付けてサンプルを作製する。25℃に設定した恒温槽の中央にサンプルを静置し、アルミニウム板の表面の温度変化を測定する。この際、ヒーターの出力を1.2Wに設定する。ヒーターは一定の熱量を発生しているので、サンプルの放熱効果が高いほど、アルミニウム板表面の温度は低下する。すなわち、サンプルの表面温度が低くなるほど放熱効果が高いといえる。測定したサンプルの表面温度(最高温度)を表1に示す。
<実施例2>
光架橋性アクリル樹脂フィルムの厚みを75μmに変更すること以外は実施例1と同様にして熱放射フィルムを作製し、放熱性を評価した。結果を表1に示す。
<実施例3>
光架橋性アクリル樹脂フィルムの厚みを50μmに変更すること以外は実施例1と同様にして熱放射フィルムを作製し、放熱性を評価した。結果を表1に示す。
<実施例4>
光架橋性アクリル樹脂フィルムの厚みを25μmに変更すること以外は実施例1と同様にして熱放射フィルムを作製し、放熱性を評価した。結果を表1に示す。
<実施例5>
銅粒子を体積平均粒子径が2.0μmで平均アスペクト比が1.05のアルミニウム粒子に変更すること以外は実施例1と同様にして熱放射フィルムを作製し、放熱性を評価した。結果を表1に示す。
<実施例6>
銅粒子を体積平均粒子径が2.0μmで平均アスペクト比が1.05のアルミニウム粒子に変更すること以外は実施例4と同様にして熱放射フィルムを作製し、放熱性を評価した。結果を表1に示す。
<比較例1>
アルミニウム板に熱放射フィルムを貼り付けない状態で、実施例1と同様にして放熱性を評価した。結果を表1に示す。
<比較例2>
粘着層2の上に金属粒子配列層を形成しないこと以外は実施例1と同様にして熱放射フィルムを作製し、放熱性を評価した。結果を表1に示す。
<比較例3>
金属粒子配列層の上に光架橋性アクリル樹脂フィルムをラミネートしないこと以外は実施例1と同様にして熱放射フィルムを作製し、放熱性を評価した。結果を表1に示す。
<比較例4>
金属粒子配列層の上に光架橋性アクリル樹脂フィルムをラミネートしないこと以外は実施例5と同様にして熱放射フィルムを作製し、放熱性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2022096532000002
表1に示すように、金属粒子配列層の上に第3樹脂層を備える実施例1~6の熱放射フィルムを用いて作製したサンプルは、熱放射フィルムを貼り付けていない比較例1のサンプル、熱放射フィルムが金属粒子配列層を備えていない比較例2のサンプル及び熱放射フィルムが第3樹脂層を備えていない比較例3及び比較例4のサンプルに比べて放熱性に優れている。

Claims (11)

  1. 第1樹脂層、第2樹脂層、金属粒子配列層及び第3樹脂層をこの順に有する熱放射フィルム。
  2. 第1樹脂層は第2樹脂層から剥離可能である、請求項1に記載の熱放射フィルム。
  3. 第2樹脂層は粘着性を有する、請求項1又は請求項2に記載の熱放射フィルム。
  4. 第3樹脂層は光架橋性アクリル樹脂の架橋物を含む、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の熱放射フィルム。
  5. 第3樹脂層の厚みは50μm以上である、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の熱放射フィルム。
  6. 前記金属粒子配列層に含まれる金属粒子は銅及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の熱放射フィルム。
  7. 前記金属粒子配列層に含まれる金属粒子の体積平均粒子径は1.0μm~6.0μmである、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の熱放射フィルム。
  8. 前記金属粒子配列層に含まれる金属粒子の平均アスペクト比は1~1.2である、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の熱放射フィルム。
  9. 前記金属粒子配列層から放射される電磁波の波長スペクトルのピークは1μm~6μmの範囲にある、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の熱放射フィルム。
  10. 請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の熱放射フィルムの製造方法であって、
    第2樹脂層の上に金属粒子を配置する工程と、
    前記金属粒子の上に第3樹脂層を配置する工程と、をこの順に有する、熱放射フィルムの製造方法。
  11. 第1樹脂層を除いた状態の請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の熱放射フィルムを備える電子機器。
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