JP2022095446A - センサ劣化診断装置、熱処理装置、センサ劣化診断方法、および、プログラム - Google Patents

センサ劣化診断装置、熱処理装置、センサ劣化診断方法、および、プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】より正確にセンサの劣化を判定可能なセンサ劣化診断装置、熱処理装置、センサ劣化診断方法、および、プログラムを提供する。【解決手段】劣化診断装置20は、熱処理炉2と、処理炉2内のカーボンポテンシャル(CP)に作用を及ぼすための制御弁9と、CPに関連する値としてのO2濃度を測定するO2センサ5と、CPが目標CPに近づくよう制御弁9を動作させるための制御部10であって、O2センサ5の測定結果を用いて弁開度指示信号MVを設定する制御部10と、を有する熱処理装置1に用いられる。劣化診断装置20の劣化診断部11は、1バッチ処理内での弁開度指示信号MVの積算値∫MVdtについて、基準時点での積算値∫MVdtと、基準時点でのバッチ処理より後のバッチ処理での診断対象時点での積算値∫MVdtと、に基づいて、O2センサ5の劣化度合いを診断する。【選択図】 図1

Description

本発明は、センサ劣化診断装置、熱処理装置、センサ劣化診断方法、および、プログラムに関する。
熱処理装置等の種々の装置には、センサが備えられている。このようなセンサとして、Oセンサ(酸素センサ)を例示できる(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、炉内雰囲気ガス中のO濃度(酸素濃度)を、ジルコニア式のOセンサ(3)により測定することが記載されており、さらに、O濃度を基にカーボンポテンシャル(以下、CPともいう。)を算出し、算出されたCPが実際に得ようとするCPであるCPrに近づくようエンリッチガス導入弁(60)の開度を調節することが記載されている。
センサは、長期間使用していると劣化してくる。その結果、実際のO濃度と比べてOセンサが検出するO濃度にズレが生じる。例えば、Oセンサで検出したO濃度を基にCPを算出する浸炭炉において、Oセンサが劣化すると、Oセンサは、実際のO濃度よりも高いO濃度を検出する。その結果、制御器におけるCPの演算結果が実際のCPよりも大きくなってしまう。このため、制御器は、実際に目標とするCPよりも低いCPとなるような制御出力をしてしまう。
このようなOセンサの劣化に対して、熟練したオペレータによる経験に基づいて、CPの演算値を補正することがあった。
ここで、Oセンサの劣化を検出するための構成として、例えば、特許文献2に記載の構成が知られている。特許文献2には、ジルコニア式のOセンサ(11)の検出値から炉内雰囲気のCPを算出するCP演算装置(1)が記載されている。さらに、2つのOセンサ(11a,11b)で検出したO濃度またはO濃度に基づき算出したCP値を比較して得られる偏位差をあらかじめ設定した異常判定用閾値と比較し、偏位差が異常判定用閾値を超えたか否かによりOセンサ(11)の劣化を判断することが記載されている。
特開2003-073798号公報 特開2016-151517号公報
特許文献2に記載の構成は、Oセンサのみを対象としている。一方で、Oセンサ以外の他のセンサの劣化も診断できるような、正確で且つより汎用性の高いセンサ劣化診断方法が存在することが、より好ましい。
本発明は、上記事情に鑑みることにより、より正確にセンサの劣化を判定可能なセンサ劣化診断装置、熱処理装置、センサ劣化診断方法、および、プログラムを提供することを目的とする。
また、本発明の別の目的の一つは、より汎用性の高いセンサ劣化診断装置、熱処理装置、センサ劣化診断方法、および、プログラムを提供することにある。
本願発明者は、鋭意研究の結果、劣化診断の対象となるセンサ自体の検出値を用いるのではなく、センサからの出力を受けて制御を行う制御器の出力履歴を用いてセンサの劣化診断を行うとの着想を得て、本発明を想到するに至った。
(1)上記の知見に基づいてなされた、この発明のある局面に係わるセンサ劣化診断装置は、熱処理炉と、前記熱処理炉内の物理量に作用を及ぼすための作用部と、前記熱処理炉内の前記物理量または前記物理量に関連する値としての関連物理量を測定する物理量センサと、前記物理量の目標値としての目標物理量に前記物理量が近づくよう前記作用部を動作させるために前記作用部へ指示信号を出力する制御部であって、前記物理量センサの測定結果を用いて前記指示信号を設定する制御部と、を備える熱処理装置に用いられるセンサ劣化診断装置であって、劣化診断部を備え、前記劣化診断部は、所定の熱処理サイクル内での前記指示信号の出力履歴について、基準時点での前記出力履歴と、前記基準時点での前記熱処理サイクルより後の前記熱処理サイクルでの診断対象時点での前記出力履歴と、に基づいて、前記物理量センサの劣化度合いを診断する。
この構成によると、物理量センサが劣化してくると、物理量センサの測定結果は、熱処理炉内の物理量または関連物理量の真の値から乖離する。これにより、物理量センサの測定結果を用いて制御部で設定された指示信号は、本来設定されるべき値から乖離する。その結果、基準時点での出力履歴と、診断対象時点での出力履歴とにずれが生じる。このずれを参照することで、物理量センサの劣化度合いをより正確に診断することができる。しかも、物理量センサの測定結果に基づいて物理量センサの劣化度合いを診断するのではなく、制御部で設定された指示信号の出力履歴を用いて物理量センサの劣化度合いを診断する。このような構成である結果、物理量センサの種類を問わずに物理量センサの劣化度合いを診断することができる。よって、物理量センサ劣化診断の汎用性をより高くできる。
(2)前記熱処理炉は、1回の前記熱処理サイクル毎に前記熱処理炉内の被処理物を入れ替えるバッチ炉である場合がある。
この構成のように、バッチ炉の熱処理装置に適用される構成であれば、熱処理サイクルの区切りが明確であるので、出力履歴がより明確となる。よって、基準時点での出力履歴と診断対象時点での出力履歴との対比を行いやすい。その結果、センサ劣化診断をより正確に行うことができる。
(3)前記センサ劣化診断部は、前記基準時点での前記出力履歴と、前記診断対象時点での前記出力履歴との乖離が所定値以上の場合に、前記物理量センサに劣化が生じていると診断する場合がある。
この構成によると、簡易な演算処理で、物理量センサの劣化を診断できる。
(4)前記所定の熱処理サイクルは、1回のバッチ処理であり、前記熱処理炉は、複数の熱処理条件でそれぞれバッチ処理を行うように構成されており、前記劣化診断部は、連続した複数の前記バッチ処理での前記指示信号の出力履歴を記憶する出力履歴記憶部と、所定の前記熱処理条件毎に前記基準時点での前記出力履歴を抽出する抽出部と、所定の前記熱処理条件毎に抽出された、前記基準時点での前記出力履歴としての複数のバッチ処理での前記出力履歴から当該出力履歴と前記物理量または前記関連物理量との関係を回帰処理を用いて回帰処理結果として算出する回帰処理部と、前記回帰処理結果および前記診断対象時点での前記出力履歴を参照することで前記物理量センサの劣化の有無を判定する判定部と、を含む場合がある。
この構成によると、回帰処理部は、基準時点での出力履歴における、出力履歴と物理量または関連物理量との関係を回帰処理を用いて算出する。そして、判定部は、回帰処理結果と、診断対象時点での出力履歴と、を参照することで物理量センサの劣化の度合いを判定する。このような構成であれば、判定部は、基準時点での出力履歴と、診断対象時点での出力履歴とを参照することで、診断対象時点での物理量センサの出力と基準時点での物理量センサの出力とを比較することができる。よって、判定部は、より正確に物理量センサの劣化の度合いを判定できる。
(5)前記出力履歴は、前記所定の熱処理サイクル内の所定期間での前記指示信号の積算値またはこの積算値に基づく値を含む場合がある。
この構成によると、指示信号の瞬間的な値ではなく、ある程度の期間をモニタリングした結果を出力履歴として用いることができる。これにより、物理量センサの劣化に起因する出力履歴の変化を把握し易い。すなわち、基準時点での出力履歴と診断対象時点での出力履歴との相関を取りやすくできる。よって、物理量センサの劣化をより確実に検出できる。
(6)前記熱処理炉は、浸炭炉を含み、前記作用部は、エンリッチガスを前記浸炭炉へ供給するための制御弁を含み、前記物理量は、カーボンポテンシャルを含み、前記関連物理量は、O濃度を含み、前記物理量センサは、前記O濃度に応じた起電力を生じるOセンサを含み、前記指示信号は、前記制御弁の開度を指示する信号であり、前記所定の熱処理サイクルは、1回の浸炭バッチ処理を示す場合がある。
この構成によると、バッチ式の浸炭炉において、Oセンサの劣化をより正確に診断できる。
(7)前記出力履歴は、1回の前記浸炭バッチ処理のうち、前記制御弁からの前記エンリッチガス供給開始時点を含む前記所定期間での前記指示信号の積算値またはこの積算値に基づく値を含む場合がある。
この構成において、Oセンサが劣化すると、Oセンサの起電力は、真のOの値を示す値よりも大きくなり、Oセンサは、真のO濃度よりも高いO濃度として検出することとなる。このため、制御部は、実際よりも浸炭処理が進行しているものとして、制御弁からのエンリッチガスの供給量を本来要求される値よりも小さな値となるような指示信号を出力してしまう。このため、指示信号の出力履歴は、本来必要な出力履歴とは異なってしまう。よって、基準時点での出力履歴と診断対象時点での出力履歴とが異なってしまう。特に、エンリッチガス供給開始時点付近での指示信号の履歴が、Oセンサの劣化の程度によって大きく異なる。よって、エンリッチガス供給開始時点を含む所定期間での出力履歴を利用することで、Oセンサの劣化の程度をより正確に診断できる。
(8)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる熱処理装置は、前記劣化診断装置を含んでいる。
この構成によると、物理量センサの劣化をより正確に診断できる構成を有する熱処理装置を実現できる。
(9)前記熱処理装置は、前記劣化診断部での劣化診断結果に応じて前記物理センサの計測値、または、前記指示信号を補正する補正部をさらに有する場合がある。
この構成によると、補正部は、物理量センサが経年劣化等によって劣化した場合に、劣化度合いに応じた補正を行うことができる。これにより、熱処理装置は、物理量センサが劣化した場合でも、物理量センサが劣化していないときと同様の品質の熱処理を行うことができる。
(10)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わるセンサ劣化診断方法は、熱処理炉と、前記熱処理炉内の物理量に作用を及ぼすための作用部と、前記熱処理炉内の前記物理量または前記物理量に関連する値としての関連物理量を測定する物理量センサと、前記物理量の目標値としての目標物理量に前記物理量が近づくよう前記作用部を動作させるために前記作用部へ指示信号を出力する制御部であって、前記物理量センサの測定結果を用いて前記指示信号を設定する制御部と、を備える熱処理装置に用いられるセンサ劣化診断方法であって、所定の熱処理サイクル内での前記指示信号の出力履歴について、基準時点での前記出力履歴と、前記基準時点での前記熱処理サイクルより後の前記熱処理サイクルでの診断対象時点での前記出力履歴と、に基づいて、前記物理量センサの劣化度合いを診断するステップを含む。
(11)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わるプログラムは、熱処理炉と、前記熱処理炉内の物理量に作用を及ぼすための作用部と、前記熱処理炉内の前記物理量または前記物理量に関連する値としての関連物理量を測定する物理量センサと、前記物理量の目標値としての目標物理量に前記物理量が近づくよう前記作用部を動作させるために前記作用部へ指示信号を出力する制御部であって、前記物理量センサの測定結果を用いて前記指示信号を設定する制御部と、を備える熱処理装置の前記物理量センサの劣化を診断するプログラムであって、コンピュータに、所定の熱処理サイクル内での前記指示信号の出力履歴について、基準時点での前記出力履歴と、前記基準時点での前記熱処理サイクルより後の前記熱処理サイクルでの診断対象時点での前記出力履歴と、に基づいて、前記物理量センサの劣化度合いを診断するステップを実行させる。
上記(10),(11)のそれぞれの構成によると、より正確にセンサの劣化を判定可能である。また、高い汎用性にてセンサの劣化を判定可能である。
本発明によると、より正確にセンサの劣化を判定可能である。また、高い汎用性にてセンサの劣化を判定可能である。
図1は、本発明の一実施形態に係る熱処理装置の模式図である。 図2は、1回の浸炭バッチ処理における、弁開度指示信号の経時変化、および、熱処理炉の筐体内でのCPの経時変化を示すグラフであり、図2(A)は、Oセンサに劣化が生じたときのグラフであり、図2(B)は、Oセンサが劣化していないときのグラフである。 図3は、積算値の一例を示す模式的なグラフを含む図である。 図4(A)は、処理温度=900℃のときにおける、積算値の単位時間当たりの平均値と目標CPとの関係を示している。図4(B)は、処理温度=930℃のときにおける、積算値の単位時間当たりの平均値と目標CPとの関係を示している。 図5は、抽出部での抽出結果の一例を示す模式図である。 図6は、積算値と起電力との関係の一例を示す模式的なグラフである。 図7は、本発明の一実施形態における劣化診断部の動作の一例を示すフロー図である。 図8は、本発明の一実施形態における劣化診断部の動作の一例の続きを示すフロー図である。 図9は、本発明の変形例に係る熱処理装置の模式図である。 図10は、本発明の一実施形態または変形例における劣化診断装置を実現するコンピュータの一例を示すブロック図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る熱処理装置1の模式図である。図1を参照して、熱処理装置1は、エンリッチガスを含む熱処理用ガスを熱処理炉2内に導入することで、熱処理炉2内に配置された被処理物100に浸炭処理を行うように構成されている。エンリッチガスとして、メタン(CH)、プロパン(C)、ブタン(C10)等を例示できる。被処理物100の材質は、表面に浸炭処理を施されることが可能な材質であればよい。被処理物100の一例として、鋼材部品などの金属部品を例示することができる。浸炭処理は、鋼の表面に炭素を拡散浸透させる熱処理方法であり、浸炭処理の後に鋼を焼き入れ焼戻しすることにより、高い表面硬さを得る処理である。
熱処理装置1は、熱処理炉2と、ファン3と、ヒータ4と、Oセンサ5および温度センサ6を含むセンサユニット7と、エンリッチガス供給源8に接続された制御弁9と、劣化診断部11を含む制御部10と、を有している。
本実施形態では、熱処理炉2は、本発明の「浸炭炉」の一例であり、被処理物100に浸炭処理を施すために設けられている。なお、熱処理炉2は、浸炭炉に限らず、焼入炉等の他の熱処理用炉であってもよい。本実施形態では、熱処理炉2は、1回の熱処理サイクル(浸炭処理)毎に熱処理炉2内の被処理物100を入れ替えるバッチ炉である。熱処理炉2は、筐体2aを有しており、この筐体2aに設けられた出入口(図示せず)を通して被処理物100が出し入れされる。被処理物100の浸炭処理時に、熱処理炉2の筐体2a内に被処理物100が収容されている。
ファン3は、筐体2a内の気体(熱処理ガス)を撹拌するために設けられている。ファン3は、被処理物100の熱処理時に図示しないモータによって回転されることで回転する。これにより、筐体2a内のガスの分布がより均等となる。
ヒータ4は、筐体2a内の気体および被処理物100を加熱するために設けられている。ヒータ4として、ガスバーナ、抵抗加熱ヒータ等を例示できる。本実施形態では、ヒータ4は、浸炭処理のために筐体2a内のガスを例えば900℃~950℃程度に加熱可能である。ヒータ4は、制御部10に接続されている。ヒータ4の出力は、例えば制御部10に記憶されたプログラムに従って設定される。本実施形態では、浸炭処理時において、ヒータ4が筐体2a内のガスを加熱する処理温度Tは、900℃、920℃等複数種類が、択一的に設定される。本実施形態では、処理温度Tは、例えば900℃、920℃、930℃、950℃の4種類設定される。
センサユニット7は、筐体2a内のガスのカーボンポテンシャル(Carbon Potential、CP)を測定するために設けられている。なお、以下では、カーボンポテンシャルを単にCPともいう。CPは、本発明の「熱処理炉内の物理量」の一例である。
センサ5は、本発明の「物理量センサ」の一例である。Oセンサ5は、熱処理炉2の筐体2aのO濃度を測定するために設けられている。O濃度は、本発明の「関連物理量」の一例である。すなわち、Oセンサ5は、熱処理炉2内の物理量としてのCPに関連する関連物理量を測定するために設けられている。Oセンサ5は、例えば筐体2aに設置されている。Oセンサ5は、ジルコニア固体電解質のOイオン電導性を利用した構成であり、ガス濃度検出時の応答性に優れている。より具体的にはOセンサ5は、500℃以上で安定化ジルコニアが固体電解質となり、酸素イオンO2-を選択的に透過させる構成を有している。Oセンサ5は、O濃度に応じた起電力Eを生じる。起電力Eは、O濃度と一義的に関連しており、本発明の「関連物理量」の一例である。この起電力Eを示すデータが、O濃度測定値として制御部10の後述するCP演算部12へ出力される。
温度センサ6は、熱処理炉2の筐体2a内の気体(熱処理ガス)の温度を測定するために設けられている。温度センサ6は、例えば筐体2aに設置されている。温度センサ6は、例えば、熱電対を含んでおり、筐体2a内のガスの温度に応じた熱起電力を発生する。この熱起電力を示すデータが、測定温度Tとして制御部10のCP演算部12へ出力される。
制御弁9は、本発明の「作用部」の一例である。制御弁9は、熱処理炉2内のCPに作用を及ぼすために設けられている。制御弁9は、エンリッチガス供給源8と筐体2aとに接続されている。エンリッチガス供給源8は、例えば、エンリッチガスを貯蔵するタンクである。被処理物100の熱処理時、制御弁9は、エンリッチガス供給源8のエンリッチガスを熱処理炉2の筐体2a内に供給する。制御弁9は、本実施形態では、電磁弁である。制御弁9は、エンリッチガス供給源8から筐体2aへ供給されるエンリッチガスの流量を調整するように構成されている。
制御弁9は、たとえば、ソレノイドなどのアクチュエータを有しており、このアクチュエータの動作によって、当該制御弁9の開度が設定される。制御弁9の開度(例えば、0%~100%の範囲での弁の開度)は、弁開度指示信号MVに応じて設定される。すなわち、弁開度指示信号MVは、制御弁9の開度を指示する信号である。弁開度が0%のときは、エンリッチガスは制御弁9からは流れない。一方、弁開度が100%のときは、制御弁9の弁体(図示せず)がエンリッチガスの流路を塞ぐ度合いが最も小さくされている。弁開度指示信号MVは、制御部10で生成される。すなわち、制御弁9は、制御部10によって制御される。
制御部10は、CP(物理量)の目標値としての目標CP(目標物理量)にCPが近づくように制御弁9を動作させるために制御弁9へ弁開度指示信号MVを出力するように構成されている。この制御部10は、Oセンサ5の測定結果(O測定値としての起電力E)を用いて弁開度指示信号MVを設定する。特に、本実施形態では、制御部10は、Oセンサ5の起電力Eに加えて、温度センサ6の温度測定値としての測定温度Tを用いて弁開度指示信号MVを生成し、この弁開度指示信号MVを制御弁9へ出力する。また、本実施形態では、制御部10は、劣化診断装置20でもある。
制御部10は、PLC(Programmable Logic Controller)等を用いて形成されている。なお、制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含むコンピュータを用いて形成されていてもよいし、FPGA(Field Programmable Gate Array)を含む構成であってもよいし、シーケンス回路等を用いて形成されていてもよい。
制御部10は、複数の接続対象に接続されている。具体的には、制御部10は、センサユニット7のOセンサ5および温度センサ6に接続されており、Oセンサ5からの起電力E(O濃度測定値)を特定するデータ、および、温度センサ6からの測定温度Tを特定するデータを与えられる。また、制御部10は、制御弁9のアクチュエータに接続されており、弁開度指示信号MVをこのアクチュエータへ出力する。さらに、制御部10は、ヒータ4に接続されており、ヒータ4の温度を制御する。
制御部10は、CP演算部12と、目標CP設定部13と、MV設定部14と、劣化診断部11と、を有している。
CP演算部12は、起電力E(O濃度測定値)、および、測定温度Tを用いて、筐体2a内のCPの測定値であるCP測定値を演算する。CP演算部12は、例えば、下記式(1)を用いてCP測定値を演算する。
CP測定値={E-(b×T+b)}/(a×T+a)…(1)
なお、E:起電力(O濃度測定値)、T:測定温度、a:11.88、b:807.79、a:0.0435、b:0.310。ここで挙げた係数a、b、a、bは、CO濃度が23.5%、O基準濃度が20.6%の場合の値であり、一例である。
CP演算部12は、CP測定値を特定するデータを、MV設定部14へ出力する。
目標CP設定部13は、オペレータ等によって予め設定され制御部10に記憶されたプログラムに基づいて、熱処理開始から熱処理終了までの間のCPの目標値である目標CPを設定する。目標CPは、例えば、1.0%、1.05%等、複数種類が目標CP設定部13において択一的に設定される。本実施形態では、目標CPは、1.00%、1.05%、1.10%、1.15%、1.20%の5種類から択一的に設定される。目標CP設定部13は、目標CPを特定するデータを、MV設定部14へ出力する。
MV設定部14は、弁開度指示信号MVを設定する。具体的には、MV設定部14は、目標CPとCP測定値とを参照する。そして、目標CPとCP測定値との偏差が小さくなる弁開度となるように弁開度指示信号MVを設定する。MV設定部14は、弁開度指示信号MVを制御弁9のアクチュエータへ出力する。制御弁9は、弁開度指示信号MVに応じた弁開度を設定する。これにより、制御弁9は、エンリッチガス供給源8から弁開度に応じた流量のエンリッチガスを熱処理炉2の筐体2aに供給する。これにより、被処理物100において、時間の経過に伴い浸炭が進行し、被処理物100の表面の炭素濃度が目標CP値に収束する。
劣化診断部11は、Oセンサ5の劣化の有無および劣化の度合いを診断するために設けられている。熱処理炉2内において被処理物100への浸炭バッチ処理が長期間繰り返し使用されることに伴い、Oセンサ5は、劣化していく。Oセンサ5が一定のO濃度のガスを測定した場合、起電力E(O濃度測定値)は、Oセンサ5が劣化していないときの値と比べて、Oセンサ5が長期間繰り返し使用されて劣化しているときの値がより大きくなる。すなわち、Oセンサ5は、見かけ上、より濃いO濃度であることを示す起電力Eを出力する。その結果、CP演算部12は、真のO濃度よりも高いO濃度に基づいてCP測定値を算出することになる。このため、MV設定部14は、目標CPとCP演算値との偏差が実際よりも小さい認識で弁開度指示信号MVを生成してしまう。よって、制御弁9の開度は、本来必要な開度よりも小さい開度となり、エンリッチガス供給源8から筐体2aへのエンリッチガスの供給量は、本来必要な量よりも少なくなってしまう。その結果、被処理物100の表面の炭素濃度が目標CPよりも小さくなってしまう。このような不具合が生じているか否かを、劣化診断部11によって測定可能である。
図2は、1回の浸炭バッチ処理における、弁開度指示信号MVの経時変化、および、熱処理炉2の筐体2a内でのCP測定値の経時変化を示すグラフであり、図2(A)は、Oセンサ5に劣化が生じたときのグラフであり、図2(B)は、Oセンサ5が劣化していないときのグラフである。図1、および、図2(B)を参照して、目標CP設定部13が目標CPをMV設定部14に出力すると、MV設定部14は、目標CPとCP測定値との偏差を小さくするように、弁開度指示信号MVを設定し、この弁開度指示信号MVを制御弁9へ出力する。
そして、Oセンサ5が劣化していない状態では、弁開度指示信号MVは、Time1の間(例えば30分程度の間)、制御弁9の開度を100%とする信号となっている。弁開度指示信号MVが100%の開度を指示している間、CPは目標CPに向けて急峻に大きくなっている。そして、CPが目標CPに到達した後で、弁開度指示信号MVは、時間の経過とともに次第に弁開度が100%から小さくなるように変化している。このように、CPが目標CPに到達した後は、被処理物100の表面への炭素の進入度合いに応じて、制御弁9の弁開度が小さくなっている。そして、規定の処理時間が経過すると、被処理物100への浸炭処理が完了する。
一方で、図1および図2(A)を参照して、Oセンサ5が劣化している状態では、起電力Eは、Oセンサ5が劣化していないときの起電力Eと比べて大きくなってしまう。すなわち、見かけ上、CP測定値は、真のCPより大きくなってしまう。このため、弁開度指示信号MVは、Time1より短いTime2の間(例えば5分程度の間)のみ、制御弁9の開度を100%とする信号となっている。そして、弁開度指示信号MVが100%の開度を指示している間、CPは目標CPに向けて急峻に大きくなっている。そして、CPが目標CPに到達した後で、弁開度指示信号MVは、時間の経過とともに次第に弁開度が100%から小さくなるように変化している。このときの弁開度を下げる減少速度は、Oセンサ5が劣化しているときに、より大きい。
このように、Oセンサ5が劣化していないときと劣化しているときでは、1回のバッチ処理中における弁開度指示信号MVの出力履歴が異なる。このような傾向を利用して、劣化診断部11は、Oセンサ5の劣化診断を行う。
劣化診断部11は、1回の浸炭バッチ処理(所定の熱処理サイクル)内でのMV設定部14からの弁開度指示信号MVの出力履歴について、所定の基準時点での出力履歴と、上記基準時点でのバッチ処理より後のバッチ処理での診断対象時点での出力履歴と、に基づいて、Oセンサ5の劣化度合いを診断する。
所定の基準時点は、Oセンサ5が熱処理炉2で初めて使用される新品時点を含んでいることが好ましい。所定の基準時点は、Oセンサ5が実質的に劣化を生じていない時点、例えば、Oセンサ5が熱処理炉2で使用され始めてから1~2ヶ月程度の時点であってもよい。以下では、所定の基準時点での出力履歴を、基準出力履歴ともいう。
診断対象時点は、劣化診断部11がOセンサ5の劣化診断を実際に行う時点をいう。以下では、診断対象時点での出力履歴を診断対象出力履歴ともいう。
出力履歴は、1回のバッチ処理内の所定期間ΔBでの弁開度指示信号MVの時間積算値∫MVdt(以下、単に積算値∫MVdtともいう)、または、この積算値∫MVdtに基づく値を含むことが好ましい。積算値∫MVdtは、例えば以下の式で表される。
Figure 2022095446000002
より具体的には、出力履歴は、1回の浸炭バッチ処理のうち、制御弁9からのエンリッチガス供給開始時点(図2(A)、図2(B)でのゼロ時点)を含む所定期間ΔBでの弁開度指示信号MVの積算値∫MVdtまたはこの積算値∫MVdtに基づく値を含むことが好ましい。
より具体的には、所定期間ΔBは、例えば、1回のバッチ処理において弁開度指示信号MVが最大である時点から、弁開度指示信号MVが最大のときの半分の弁開度を指示する時点までの期間を例示できる。なお、所定期間ΔBは、1回のバッチ処理内での期間であればよく、特に限定されない。
積算値∫MVdtは、図2(A)および図2(B)における、所定期間ΔB内での弁開度指示信号MVのグラフ線で囲まれた部分の面積に相当する。この面積は、図2(A)、図2(B)においてハッチングで示される箇所の面積である。上述した、積算値∫MVdtに基づく値として、所定期間ΔBにおける積算値∫MVdtの単位時間当たりの平均値(∫MVdt/ΔB。arr.MVともいう。)を例示できる。
次に、積算値∫MVdtについて説明する。図3は、積算値∫MVdtの一例を示す模式的なグラフである。図3のグラフにおいて、縦軸は1回のバッチ処理における積算値∫MVdtを示しており、横軸はバッチ処理の回数を示している。また、図3において、丸印は1回毎のバッチ処理での積算値∫MVdtを示しており、グラフは、1回毎の積算値∫MVdtをつないだグラフである。図1および図3を参照して、熱処理装置1では、多数回のバッチ処理が行われる。そして、劣化診断部11は、1回のバッチ処理毎に積算値∫MVdt(出力履歴)を記憶している。
なお、前述したように各バッチ処理における処理温度T(浸炭処理時の最高温度)および目標CPは、それぞれ、複数種類の中から択一的に選択される。すなわち、熱処理炉2は、複数の熱処理条件でそれぞれバッチ処理を行うように構成されている。そして、処理温度Tおよび目標CPの異なる複数のバッチ処理がまとめて劣化診断部11で記憶され、図3に示すようなグラフで示される内容のデータが作成される。
例えば、1つのOセンサ5の寿命期間Lのうち、Oセンサ5が新品の時点から例えば所定の前半期間L1においては、全般的に積算値∫MVdtが大きい傾向にある。一方、寿命期間Lの後半期間L2では、全般的に積算値∫MVdtが小さい傾向にある。
<劣化診断の例1>
上記の傾向に鑑み、劣化診断部11は、例えば、前半期間L1のうちの特に初期期間L11(劣化が生じていないとみなすことが可能な期間。例えば、寿命期間Lのうちの10%~20%程度の期間。)の積算値∫MVdt(出力履歴)を、基準時点での積算値∫MVdt(出力履歴)として設定する。この場合、劣化診断部11は、例えば、劣化診断時点から所定の直近期間L3(例えば、寿命期間Lのうちの10%~20%程度の期間。)の出力履歴を、診断対象時点での出力履歴として設定する。なお、初期期間L11でのバッチ処理の回数と直近期間L3でのバッチ処理の回数とは、同じである。
そして、劣化診断部11は、基準時点での積算値∫MVdt(出力履歴)に対して、カルマンフィルタ等の平滑化処理を行い、基準時点での積算値∫MVdtのフィルタリング値MVfを算出する。同様に、劣化診断部11は、診断対象時点での出力履歴に対して、カルマンフィルタ等の平滑化処理を行い、診断対象時点での出力履歴のフィルタリング値MVfを算出する。なお、この場合の平滑化処理として、単純移動平均、加重移動平均等、種々の平滑化処理を例示できる。
次いで、劣化診断部11は、フィルタリング値MVfの積算値とフィルタリング値MVfの積算値との乖離ΔMVfが所定値以上である場合に、Oセンサ5が劣化していると判定する。この場合、劣化診断部11は、劣化警告信号を生成し、熱処理装置1に備えられたモニタ(図示せず)等に出力する。これにより、オペレータは、Oセンサ5が劣化していることを確認できる。このように、劣化診断部11は、基準時点での積算値∫MVdtと、診断対象時点での出力履歴∫MVdtとの乖離が所定値以上の場合に、Oセンサ5に劣化が生じていると診断する。
なお、図3に示すグラフを、処理温度Tの種類毎、目標CP毎、または、処理温度Tの種類と目標CPの両方でフィルタリングし、このフィルタリング後のグラフを用いて上記と同様の劣化診断を行ってもよい。この場合、Oセンサ5が劣化したときの積算値∫MVdtの傾向をより明確にすることができる。フィルタリング後のグラフの一例を、図4(A)および図4(B)に示している。図4(A)では、処理温度T=900℃のときにおける、積算値∫MVdtの単位時間当たりの平均値(arr.MV)と目標CPとの関係を示している。図4(B)では、処理温度T=930℃のときにおける、積算値∫MVdtの単位時間当たりの平均値(arr.MV)と目標CPとの関係を示している。図4(A)および図4(B)のそれぞれにおいて、Oセンサ5が2回交換された例が示されている。図4(A)に示すように、処理温度T=900℃のとき、目標CPが動いた箇所に対応してarr.MVも動きがあることが分かる。また、図4(B)に示すように、処理温度T=930℃のとき、目標CPがほぼ一定であるので、Oセンサ5の劣化に伴うarr.MVの動きが明確に分かる。このようなフィルタリングが行われる場合、出力履歴記憶部21は、各浸炭バッチ処理時における、処理温度Tと、CP目標値と、Oセンサ5からの起電力E(O濃度測定値)と、を記憶する。
また、上述した、<劣化診断の例1>は一例であり、基準時点での積算値∫MVdtに対してOセンサ5が劣化している状態での診断対象時点での積算値∫MVdtに乖離が有ることを検出可能な構成であればよい。
<劣化診断の例2>
次に、劣化診断の例2について説明する。この例では、劣化診断部11は、出力履歴記憶部21と、抽出部22と、回帰処理部23と、判定部24と、補正部25と、を有している。
出力履歴記憶部21は、連続した複数の浸炭バッチ処理での弁開度指示信号MVの積算値∫MVdt(出力履歴)を記憶する。出力履歴記憶部21は、Oセンサ5が例えば新品の状態で使用開始されて以降の全ての積算値∫MVdtを記憶する。出力履歴記憶部21で記憶される内容は、上述した、図3におけるグラフに示す内容である。
出力履歴記憶部21は、上記の内容に加えて、さらに、各浸炭バッチ処理時における、処理温度Tと、CP目標値と、Oセンサ5からの起電力E(O濃度測定値)と、を記憶する。
抽出部22は、所定の熱処理条件毎に基準時点での積算値∫MVdtを抽出する。基準時点は、本実施形態では、前述したように、例えば、初期期間L11の積算値∫MVdtである。そして、本実施形態では、熱処理条件として、処理温度Tおよび目標CPの2つの熱処理条件が設定されている。抽出部22は、これらの熱処理条件の何れか一方または両方の条件の種類毎に、他方の条件と積算値∫MVdtとの関係を抽出する。本実施形態では、上記一方の条件として、処理温度Tが用いられ、他方の条件として、目標CPが用いられる。すなわち、本実施形態では、所定の熱処理条件としての処理温度T毎に積算値∫MVdtを抽出する。
図5は、抽出部22での抽出結果の一例を示す模式図である。図1および図5を参照して説明すると、図5において、横軸は、目標CPを示しており、縦軸は、1回のバッチ処理での弁開度指示信号MVの積算値∫MVdtを示している。抽出部22は、設定された処理温度T毎に、目標CPと積算値∫MVdtとの関係を抽出する。より具体的には、抽出部22は、図5で一例として示すように、処理温度Tが900℃のときの目標CPと積算値∫MVdtとの関係を、基準時点での複数のバッチ処理でのそれぞれの積算値∫MVdtから抽出する。図5では、目標CP毎に、この目標CPの下で浸炭処理されたときの積算値∫MVdtがプロットされる。このグラフと同様に、抽出部22は、処理温度Tが他の値(本実施形態では、920℃、930℃、950℃のそれぞれの温度)であるときの、目標CPと積算値∫MVdtとを、基準時点での複数のバッチ処理でのそれぞれから抽出する。このように、抽出部22では、図5に示すグラフの内容を、処理温度Tの数だけ抽出する。抽出部22の抽出結果は、回帰処理部23へ出力される。
回帰処理部23は、上記熱処理条件(処理温度T)毎に抽出された、基準時点での積算値∫MVdt(出力履歴)としての複数のバッチ処理での積算値∫MVdtから、当該積算値∫MVdtと起電力E(O濃度に関連する物理量)との関係を、回帰処理を用いて算出する。
具体的には、回帰処理部23は、まず、図5で例示される、一の処理温度条件(処理温度T=900℃)での目標CPと積算値∫MVdtとの関係を示す回帰式F1を算出する。この回帰式F1によって、基準時点における積算値∫MVdtと目標CPとの関係を一義的に求める。なお、本実施形態では、回帰処理部23が、処理温度T毎に回帰式F1を算出する形態を例に説明しているけれども、この通りでなくてもよい。例えば、回帰処理部23は、目標CP毎に処理温度Tと積算値∫MVdtとの関係を示す回帰式を算出してもよい。すなわち、図5のグラフにおいて横軸が処理温度Tとなるような回帰式を算出してもよい。また、回帰処理部23は、図5のグラフにおいて横軸が起電力Eとなるような回帰式を算出してもよい。次に、回帰処理部23は、図6に示すグラフで示される内容を求める。
図6は、積算値∫MVdtと起電力Eとの関係の一例を示す模式的なグラフを含む図である。図6のグラフにおいて、横軸は、弁開度指示信号MVの積算値∫MVdtであり、縦軸は、Oセンサ5の起電力Eを示している。横軸の値∫MVdt~∫MVdtは、回帰式F1から求まる値である。図1および図6を参照して、回帰処理部23は、基準時点での処理温度Tが上記一の処理温度条件(処理温度T=900℃)のときの、目標CPと起電力Eとの関係を示すデータを読み込む。基準時点での処理温度Tが上記一の処理温度条件のときの各目標CPにおける起電力Eは、既知の計算式から算出でき、劣化診断部11に予め記憶されている。なお、基準時点での処理温度Tが上記一の処理温度条件のときの各目標CPにおける起電力Eは、基準時点での一のバッチ処理が行われたときの処理温度T、目標CP、および、起電力Eから回帰処理部23で算出されてもよい。
そして、回帰処理部23は、回帰式F1から求められた、目標CP毎の積算値∫MVdt(∫MVdt~∫MVdt)と、対応する目標CPでの上述したOセンサ5の起電力Eの算出値とを対応付ける。例えば、図6に示すグラフにおいて、回帰処理部23は、目標CP毎の積算値∫MVdt(∫MVdt~∫MVdt)を横軸にプロットし、対応する目標CPでの上述したOセンサ5の起電力Eの算出値を縦軸にプロットする処理に相当する処理を行う。これにより、図6に示す関係式F2が求まる。関係式F2は、処理温度T毎に抽出された、基準時点での複数のバッチ処理での積算値∫MVdt(∫MVdt~∫MVdt)から当該積算値∫MVdtと起電力E(関連物理量)との関係を示す式である。関係式F2は、本発明の「回帰処理結果」の一例である。回帰処理部23は、処理温度Tが他の値(本実施形態では、920℃、930℃、950℃のそれぞれの温度)であるときの関係式F2も上記と同様にして算出する。回帰処理部23は、関係式F2を示すデータを、判定部24へ出力する。
判定部24は、診断対象時点での処理温度T、目標CP、および、積算値∫MVdtと、この処理温度Tにおける関係式F2(回帰処理結果)と、を参照することでOセンサ5の劣化の有無を判定する。具体的には、判定部24は、診断対象時点でのバッチ処理(1回のバッチ処理)における処理温度T、目標CP、および、弁開度指示信号MVの積算値∫MVdtを参照する。次に、判定部24は、診断対象時点での処理温度Tにおける関係式F2に、診断対象時点での積算値∫MVdt(∫MVdt’)を代入することで、積算値∫MVdt’のときの起電力を参照用起電力E’として算出する。次に、判定部24は、参照用起電力E’と、診断対象時点での処理温度Tと、上記式(1)と同様の下記式(2)と、を用いて、CPの推定値である推定CPを算出する。
推定CP={E’-(b×T+b)}/(a×T+a)…(2)
なお、a、b、a、bは式(1)と同じ定数である。また、推定CPの算出式は、一例である。
判定部24は、推定CPと目標CPとの乖離度合いに基づいて、Oセンサ5の劣化の有無を判定する。具体的には、判定部24は、例えば、推定CPと目標CPとの誤差ΔCPが所定の第1しきい値Th1未満の場合、Oセンサ5に劣化が生じていないと判定する。また、判定部24は、例えば、誤差ΔCPが第1しきい値Th1以上第2しきい値Th2未満の場合、Oセンサ5に軽微な劣化が生じていると判定して注意信号を生成し、熱処理装置1のモニタ(図示せず)に、Oセンサ5に軽微な劣化が生じていることを示す注意を行う。また、判定部24は、例えば、誤差ΔCPが第2しきい値Th2以上の場合、Oセンサ5に大きな劣化が生じていると判定して警告信号を生成し、熱処理装置1のモニタ(図示せず)に、Oセンサ5が寿命であることを示す警告を行う。
判定部24は、誤差ΔCPを示すデータを補正部25へ出力する。補正部25は、判定部24での劣化診断結果、本実施形態では、推定CPと目標CPとの誤差ΔCPに応じて、Oセンサ5の起電力E(計測値)、または、弁開度指示信号MVを補正する。
具体的には、起電力Eを補正する場合、例えば、推定CPと目標CPとの比率を係数とし、この係数をOセンサ5からの起電力Eに乗じる旨の信号を補正部25からCP演算部12へ出力する。一方、弁開度指示信号MVを補正する場合、推定CPと目標CPとの誤差ΔCPに応じた分だけ弁開度指示信号MVが示す弁開度を補正する旨の信号を補正部25からMV設定部14へ出力する。このように、補正部25は、判定部24での劣化診断結果に応じてOセンサ5の起電力E(計測値)、または、弁開度指示信号MVを補正する。なお、Oセンサ5に劣化が生じていないという判定を判定部24が下した場合、補正部25は、補正を行わない。
次に、<劣化診断の例2>における劣化診断部11での処理動作の流れの一例を説明する。図7は、本発明の一実施形態における劣化診断部11の動作の一例を示すフロー図である。以下の説明においては、適宜図1~図7を参酌する。また、本実施形態では、制御部10(劣化診断装置20)を動作させることによって、劣化診断方法が実施される。よって、本実施形態における劣化診断方法の説明は、以下の制御部10(劣化診断装置20)の動作説明に代える。
劣化診断部11は、まず、事前準備として、基準時点での出力履歴から、関係式F2を算出する(ステップS11~S14)。具体的には、出力履歴記憶部21が、連続した複数の浸炭バッチ処理でのそれぞれにおける、処理温度T、目標CP、および、弁開度指示信号MVの積算値∫MVdt(出力履歴)を記憶する(ステップS11)。
次に、抽出部22は、所定の熱処理条件毎に基準時点(初期期間L11)での積算値∫MVdtを抽出する(ステップS12)。本実施形態では、図5を参照しながら説明したように、例えば、処理温度T毎に、目標CPと積算値∫MVdtとの関係を、基準時点での複数のバッチ処理でのそれぞれの積算値∫MVdtから抽出する。
次に、回帰処理部23は、回帰処理を用いて関係式F2を算出する(ステップS13,S14)。具体的には、回帰処理部23は、まず、抽出部22で抽出された結果を用いて、回帰式F1を算出する(ステップS13)。次に、回帰処理部23は、回帰式F1等を用いて、関係式F2を算出する(ステップS14)。
図8は、本発明の一実施形態における劣化診断部11の動作の一例の続きを示すフロー図である。以下の説明においては、適宜図1~図8を参酌する。
回帰処理部23で関係式F2が算出された後、判定部24は、診断対象時点での処理温度T、目標CP、および、積算値∫MVdtのデータと、この処理温度Tにおける関係式F2のデータと、を読み込む(ステップS21)。
次に、判定部24は、診断対象時点の推定CPを算出する(ステップS22)。
次いで、判定部24は、推定CPと目標CPとの乖離度合いに基づいて、Oセンサ5の劣化の有無を判定する(ステップS23~S26)。すなわち、判定部24は、基準時点での積算値∫MVdtと、診断対象時点での積算値∫MVdtと、に基づいて、Oセンサ5の劣化度合いを診断する。判定部24は、例えば、推定CPと目標CPとの誤差ΔCPが所定の第1しきい値Th1未満の場合(ステップS23でYES)、Oセンサ5に劣化が生じていないと判定する。この場合、判定部24は、報知動作は行わない。また、例えば、誤差ΔCPが第1しきい値Th1以上第2しきい値Th2未満の場合(ステップS24でYES)、判定部24は、Oセンサ5に軽微な劣化が生じていると判定して注意信号を生成し、熱処理装置1のモニタ(図示せず)に、Oセンサ5に軽微な劣化が生じていることを示す注意報知を行う(ステップS25)。また、例えば、誤差ΔCPが第2しきい値Th2以上の場合(ステップS24でNO)、判定部24は、Oセンサ5に大きな劣化が生じていると判定して警告信号を生成し、熱処理装置1のモニタ(図示せず)に、Oセンサ5が寿命であることを示す警告を行う。
誤差ΔCPが第1しきい値以上である場合(ステップS23でNO)、補正部25は、誤差ΔCPに応じて、Oセンサ5の起電力E、または、弁開度指示信号MVを補正する(ステップS27)。
以上説明したように、本実施形態によると、劣化診断部11は、1回のバッチ処理内での弁開度指示信号MVの積算値∫MVdtであって、基準時点での積算値∫MVdtと、基準時点でのバッチ処理より後のバッチ処理での診断対象時点での積算値∫MVdtと、に基づいて、Oセンサ5の劣化度合いを診断する。この構成によると、Oセンサ5が劣化してくると、Oセンサ5の起電力Eが示すO濃度は、熱処理炉2内のO濃度の真の値から乖離する。これにより、Oセンサ5の起電力Eを用いて制御部10で設定された弁開度指示信号MVは、本来設定されるべき値から乖離する。その結果、基準時点での積算値∫MVdtと、診断対象時点での積算値∫MVdtとにずれが生じる。このずれを参照することで、Oセンサ5の劣化度合いをより正確に診断することができる。しかも、Oセンサ5の測定結果に基づいてOセンサ5の劣化度合いを診断するのではなく、制御部10で設定された弁開度指示信号MVの出力履歴(積算値∫MVdt)を用いてOセンサ5の劣化度合いを診断する。このような構成である結果、Oセンサ5以外にも、センサの種類を問わずにセンサの劣化度合いを診断することができる。よって、センサ劣化診断の汎用性をより高くできる。
また、本実施形態によると、熱処理炉2は、1回の浸炭処理サイクル毎に熱処理炉2内の被処理物100を入れ替えるバッチ炉である。この構成のように、バッチ炉の熱処理装置1に適用される構成であれば、浸炭処理の区切りが明確であるので、1回の浸炭処理での積算値∫MVdtがより明確となる。よって、基準時点での積算値∫MVdtと診断対象時点での積算値∫MVdtとの対比を行いやすい。その結果、センサ劣化診断をより正確に行うことができる。
また、本実施形態の<劣化診断の例1>によると、センサ劣化診断部11は、基準時点での積算値∫MVdtと、診断対象時点での積算値∫MVdtとの乖離(乖離ΔMVf)が所定値以上の場合に、Oセンサ5に劣化が生じていると診断する。この構成によると、簡易な演算処理で、Oセンサ5の劣化を診断できる。
また、本実施形態の<劣化診断の例2>によると、回帰処理部23は、基準時点での積算値∫MVdtにおける、積算値∫MVdtと起電力Eとの関係を、回帰処理を用いて算出する。そして、判定部は、回帰処理結果と、診断対象時点での積算値∫MVdtと、を参照することでOセンサ5の劣化の度合いを判定する。このような構成であれば、判定部24は、基準時点での積算値∫MVdtと、診断対象時点での積算値∫MVdtとを参照することで、診断対象時点でのOセンサ5の起電力Eと基準時点でのOセンサ5の起電力Eとを比較することができる。よって、判定部24は、より正確にOセンサ5の劣化の度合いを判定できる。
また、本実施形態によると、弁開度指示信号MVの積算値∫MVdtは、1つの浸炭バッチ処理サイクル内の所定期間ΔBでの弁開度指示信号MVの積算値か、または、この積算値∫MVdtの単位時間当たりの平均値(arr.MV)である。この構成によると、弁開度指示信号MVの瞬間的な値ではなく、ある程度の期間をモニタリングした結果を制御弁9の出力履歴として用いることができる。これにより、Oセンサ5の劣化に起因する弁開度指示信号MVの変化を把握し易い。すなわち、基準時点での弁開度指示信号MVの出力履歴と診断対象時点での弁開度指示信号MVの出力履歴との相関を取りやすくできる。よって、Oセンサ5センサの劣化をより確実に検出できる。
特に、本実施形態では、バッチ式の浸炭炉において、Oセンサ5の劣化をより正確に診断できる。
また、本実施形態によると、弁開度指示信号MVの積算値∫MVdtは、1回の浸炭バッチ処理のうち、制御弁9からのエンリッチガス供給開始時点を含む所定期間ΔBでの弁開度指示信号MVの積算値∫MVdtまたはこの積算値∫MVdtの単位時間当たりの平均値である。この構成において、Oセンサ5が劣化すると、Oセンサ5の起電力Eは、真のO濃度を示す値よりも大きくなり、Oセンサ5は、真のO濃度よりも高いO濃度として検出することとなる。このため、制御部10は、実際よりも浸炭処理が進行しているものとして、制御弁9からのエンリッチガスの供給量を本来要求される値よりも小さな値となるような弁開度指示信号MVを出力してしまう。このため、弁開度指示信号MVの積算値∫MVdtは、本来必要な積算値∫MVdtとは異なってしまう。よって、基準時点での弁開度指示信号MVの積算値∫MVdtと診断対象時点での弁開度指示信号MVの積算値∫MVdtとが異なってしまう。特に、エンリッチガス供給開始時点付近での弁開度指示信号MVの積算値∫MVdtが、Oセンサ5の劣化の程度によって大きく異なる。よって、エンリッチガス供給開始時点を含む所定期間ΔBでの弁開度指示信号MVの出力履歴を利用することで、Oセンサ5の劣化の程度をより正確に診断できる。
以上の構成により、Oセンサ5センサの劣化をより正確に診断できる構成を有する熱処理装置1を実現できる。
また、本実施形態によると、補正部25は、判定部24での劣化診断結果に応じてOセンサ5の計測値である起電力E、または、弁開度指示信号MVを補正する。この構成によると、補正部25は、Oセンサ5が経年劣化等によって劣化した場合に、劣化度合いに応じた補正を行うことができる。これにより、熱処理装置1は、Oセンサ5が劣化した場合でも、Oセンサ5劣化していないときと同様の品質の熱処理を行うことができる。
<変形例>
図9は、本発明の変形例に係る熱処理装置1Aの模式図である。なお、以下では、上述の実施形態と異なる構成について主に説明し、上述の実施形態と同様の構成には図に同様の符号を付して詳細な説明を省略する。図9を参照して、熱処理装置1Aは、アンモニアガスを含む熱処理用ガスを熱処理炉2内に導入することで、熱処理炉2内に配置された被処理物100に窒化処理を行うように構成された、窒化処理装置である。
被処理物100の材質は、表面に窒化処理を施されることが可能な金属品材質であればよく、特に限定されない。窒化処理は、たとえば、約550℃~600℃に加熱された熱処理炉6内に、アンモニアガスを含む熱処理用ガス(混合ガス)を供給する処理である。
本変形例で用いられる熱処理用ガスは、アンモニアガス(NH)と、炭酸ガス(CO)と、窒素ガス(N)と、を含んでいる。なお、熱処理用ガスは、アンモニアガスと、吸熱型変成ガス(CO、N、H)と、を含んでいてもよい。
窒化処理装置1は、ガス供給ユニット31と、熱処理ユニット32と、ガスセンサ33と、制御部10Aと、を有している。熱処理ユニット32は、熱処理炉2と、ファン3と、ヒータ4と、を有している。
ガス供給ユニット31は、前述したアンモニアガス、窒素ガス、および、炭酸ガスを含む熱処理用ガスを、熱処理炉2へ向けて供給するために設けられている。
ガス供給ユニット31は、アンモニアガス供給部35と、窒素ガス供給部36と、炭酸ガス供給部37と、を有している。
アンモニアガス供給部35は、供給管35aと、マスフローセンサ35bと、制御弁35cと、を有している。
供給管35aは、アンモニアガスが充填されたタンク(図示せず)などのアンモニアガス供給源および熱処理炉2に接続されており、当該アンモニアガス供給源からのアンモニアガスを熱処理炉2へ供給する。供給管35aに、マスフローセンサ35bと、制御弁35cとが設けられている。
マスフローセンサ35bは、供給管35aにおけるアンモニアガスの流量を検出するために設けられている。マスフローセンサ35bは、アンモニアガスの検出流量を示す信号を、制御部10Aへ出力する。
制御弁35cは、供給管35aにおけるアンモニアガスの流量を調整するために設けられている。制御弁35cは、たとえば、ソレノイドなどのアクチュエータを有しており、このアクチュエータの動作によって、当該制御弁35cの開度が設定される。制御弁35cは、制御部10Aによって制御される。より具体的には、制御弁35cは、マスフローセンサ35bで検出されたアンモニアガスの流量と、制御部10Aで設定されたアンモニアガスの目標流量との差分がゼロとなるように動作する。
窒素ガス供給部36は、供給管36aと、マスフローセンサ36bと、制御弁36cと、を有している。
供給管36aは、窒素ガスが充填されたタンク(図示せず)などの窒素ガス供給源および熱処理炉2に接続されており、当該窒素ガス供給源からの窒素ガスを熱処理炉2へ供給する。供給管36aに、マスフローセンサ36bと、制御弁36cとが設けられている。
マスフローセンサ36bは、供給管36aにおける窒素ガスの流量を検出するために設けられている。マスフローセンサ36bは、窒素ガスの検出流量を示す信号を、制御部10Aへ出力する。
制御弁36cは、供給管36aにおける窒素ガスの流量を調整するために設けられている。制御弁36cは、たとえば、ソレノイドなどのアクチュエータを有しており、このアクチュエータの動作によって、当該制御弁36cの開度が設定される。制御弁36cは、制御部10Aによって制御される。より具体的には、制御弁36cは、マスフローセンサ36bで検出された窒素ガスの流量と、制御部10Aで設定された窒素ガスの目標流量との差分がゼロとなるように動作する。
炭酸ガス供給部37は、供給管37aと、マスフローセンサ37bと、制御弁37cと、を有している。
供給管37aは、炭酸ガスが充填されたタンク(図示せず)などの炭酸ガス供給源および熱処理炉2に接続されており、当該炭酸ガス供給源からの炭酸ガスを熱処理炉2へ供給する。供給管37aに、マスフローセンサ37bと、制御弁37cとが設けられている。
マスフローセンサ37bは、供給管37aにおける炭酸ガスの流量を検出するために設けられている。マスフローセンサ37bは、炭酸ガスの検出流量を示す信号を、制御部10Aへ出力する。制御弁37cは、供給管37aにおける炭酸ガスの流量を調整するために設けられている。制御弁37cは、たとえば、ソレノイドなどのアクチュエータを有しており、このアクチュエータの動作によって、当該制御弁37cの開度が設定される。制御弁37cは、制御部10Aによって制御される。より具体的には、制御弁37cは、マスフローセンサ37bで検出された炭酸ガスの流量と、制御部10Aで設定された炭酸ガスの目標流量との差分がゼロとなるように動作する。
上記の構成により、アンモニアガス、窒素ガスおよび炭酸ガスを含む熱処理用ガスは、制御部10Aによる制御によって、熱処理炉2へ供給される。
被処理物100を収容した状態の熱処理炉2内に、ガス供給ユニット31から熱処理用ガスが供給される。熱処理炉2内の熱処理用ガスおよび被処理物100は、ヒータ4によって加熱される。
ヒータ4は、熱処理炉2内の被処理物100および加熱用ガスを、窒化処理に必要な温度(例えば、約550℃~約600℃)に加熱する。また、熱処理炉2内の雰囲気は、ファン3によって撹拌され、より均一な分布とされる。ファン3は、熱処理炉2の内部の天井部分などに配置され、図示しない電動モータによって回転することで、熱処理炉2内の雰囲気(熱処理用ガス)を撹拌する。熱処理炉2内のガスは、ガスセンサ33によって検出される。
ガスセンサ33は、サンプリング管40と、熱処理炉2内に分解されず且つ他の物質と反応せずに残留しているアンモニアガスとしての残留アンモニアガスの濃度を検出するためのアンモニアセンサ41と、熱処理炉2内の水素の濃度を検出するためのHセンサ(水素センサ)42と、を有している。
なお、残留アンモニア濃度とは、熱処理炉2内において、気体の全成分の合計の濃度(100%)に対するアンモニアガスの濃度の割合をいう。同様に、H濃度(水素濃度)とは、熱処理炉2内において、気体の全成分の合計の濃度(100%)に対する水素ガスの濃度の割合をいう。
サンプリング管40は、熱処理炉2、アンモニアセンサ41、および、Hセンサ42に接続されている。
アンモニアセンサ41は、たとえば、赤外線吸収式ガス分析計などを用いて形成されており、熱処理炉2内のアンモニアガスの濃度に応じた信号を出力するように構成されている。
センサ42は、たとえば、熱線型半導体式センサなどを用いて形成されており、熱処理炉2内のHガスの濃度に応じた電力を出力するように構成されている。アンモニアセンサ41のアンモニアガス検出信号、および、Hセンサ42の水素ガス検出信号は、制御部10Aへ出力される。
制御部10Aは、各ガス供給部35,36,37のマスフローセンサ35b,36b,37b、および、ガスセンサ33の少なくとも一方を用いて、熱処理炉2内の残留アンモニア濃度と、窒化ポテンシャルと、を検出するように構成されている。そして、制御部10Aは、窒化ポテンシャルおよび残留アンモニア濃度に基づいて、熱処理炉2内への熱処理用ガス、特にアンモニアガスの供給態様を制御する。本実施形態では、制御部10Aは、窒化ポテンシャルおよび残留アンモニア濃度が所定の値となるように、各ガス供給部35,36,37の動作を制御する。
より具体的には、本実施形態では、制御部10Aは、窒化ポテンシャルに基づいて、熱処理炉2へのアンモニアガスの流量を設定するように構成されている。
制御部10Aは、窒化ポテンシャル演算部12Aと、目標窒化ポテンシャル設定部13Aと、MV設定部14Aと、劣化診断部11Aと、を有している。
窒化ポテンシャル演算部12Aは、各マスフローセンサ35b,36b,37bと、アンモニアセンサ41と、Hセンサ42と、に接続されている。窒化ポテンシャル演算部12Aは、アンモニアガスの流量、窒素ガスの流量、炭酸ガスの流量、熱処理炉2内の残留アンモニア濃度、および、熱処理炉2内のH濃度を用いて演算処理を行う。窒化ポテンシャル演算部12Aは、演算結果をMV設定部14Aへ出力する。
MV設定部14Aは、熱処理炉2への熱処理用ガスの各成分ガスの供給態様を調整するために設けられている。MV設定部14Aは、各制御弁35c,36c,37cに接続されており、これらの制御弁35c,36c,37cの開度を設定するように構成されている。
なお、本実施形態では、マスフローセンサ35b,36b,37bと、アンモニアセンサ41と、Hセンサ42と、が設けられる形態を例に説明する。しかしながら、この通りでなくてもよく、下記(a)または(b)の機構の少なくとも1つが設けられていればよい。
すなわち、(a)熱処理炉2内の残留アンモニア濃度およびH濃度を検出する機構(アンモニアセンサ41およびHセンサ42)、(b)熱処理炉2内のH濃度および熱処理用ガスの各成分ガスの流量を計測する機構(Hセンサ42およびマスフローセンサ35b,36b,37b)の少なくとも1つが設けられていればよい。但し、上記(b)の構成においては、上記のセンサから得られたデータを用いて、窒化ポテンシャル演算部12Aによって、残留アンモニア濃度が算出される。上記(a)または(b)の構成と窒化ポテンシャル演算部12Aとの組み合わせにおいて、窒化ポテンシャル演算部12Aは、窒化ポテンシャルを演算可能である。
窒化ポテンシャル演算部12Aは、熱処理炉2内における残留アンモニア濃度および窒化ポテンシャルを算出する。
本実施形態では、窒化ポテンシャル演算部12Aは、各マスフローセンサ35b,36b,37bと、アンモニアセンサ41と、Hセンサ42のそれぞれから得られたデータを用いて、窒化ポテンシャルを演算(算出)する。窒化ポテンシャルは、以下の式(3)によって演算される。
窒化ポテンシャル=(残留アンモニア濃度×0.01)/{(H濃度×0.01)1.5}…(3)
制御部10Aは、窒化ポテンシャルの予め設定された目標値としての目標窒化ポテンシャルと、残留アンモニア濃度の予め設定された目標値としての目標残留アンモニア濃度と、を数値データとして記憶している。
そして、MV設定部14Aは、検出された窒化ポテンシャルおよび残留アンモニア濃度と、対応する目標窒化ポテンシャルおよび目標残留アンモニア濃度とを一致させるために、各ガス供給部35,36,37からの対応するガスの流量を、個別に設定する。すなわち、MV設定部14Aは、検出された窒化ポテンシャルおよび残留アンモニア濃度と、対応する目標窒化ポテンシャルおよび目標残留アンモニア濃度との差分がゼロとなるように、各ガス供給部35,36,37の制御弁35c,36c,37cの開度を設定する。
本変形例では、熱処理炉2は、窒化炉である。また、熱処理炉2内の窒化ポテンシャル(物理量)に作用を及ぼすための作用部は、制御弁35c,36c,37c、特に、制御弁35cである。また、熱処理炉2内の窒化ポテンシャルに関連する関連物理量としてのH濃度を測定する物理量センサは、Hセンサ42である。また、制御部10A(劣化診断装置20A)は、窒化ポテンシャルの目標値としての目標窒化ポテンシャルに窒化ポテンシャルが近づくよう制御弁35c,36c,37cを動作させるために制御弁35c,36c,37cへ弁開度指示信号MVAを出力する制御部10Aであって、Hセンサ42の測定結果を用いて弁開度指示信号MVAを設定する。劣化診断部11Aは、1回の窒化バッチ処理内での弁開度指示信号MVAの出力履歴(積算値∫MVdtA)について、基準時点での積算値∫MVdtAと、基準時点での窒化バッチ処理より後の窒化バッチ処理での診断対象時点での積算値∫MVdtAと、に基づいて、Hセンサ42の劣化度合いを診断する。
例えば、1つのHセンサ42の寿命期間のうち、Hセンサ42が新品の時点から例えば所定の前半期間と、寿命期間の後半期間では、全般的に積算値∫MVdtAが異なる傾向にあると考えられる。
上記の傾向に鑑み、劣化診断部11Aは、例えば、前半期間のうちの特に初期期間(劣化が生じていないとみなすことが可能な期間。例えば、寿命期間のうちの10%~20%程度の期間。)の積算値∫MVdtAを、基準時点での出力履歴として設定する。この場合、劣化診断部11Aは、例えば、劣化診断時点から所定の直近期間(例えば、寿命期間のうちの10%~20%程度の期間。)の積算値∫MVdtAを、診断対象時点での出力履歴として設定する。
そして、劣化診断部11Aは、基準時点での積算値∫MVdtAに対して、カルマンフィルタ等の平滑化処理を行い、基準時点での積算値∫MVdtAのフィルタリング値MVfAを算出する。同様に、劣化診断部11は、診断対象時点での積算値∫MVdtAに対して、カルマンフィルタ等の平滑化処理を行い、診断対象時点での積算値∫MVdtAのフィルタリング値MVfAを算出する。なお、この場合の平滑化処理は、単純移動平均、加重移動平均等、種々の平滑化処理を例示できる。
次いで、劣化診断部11Aは、フィルタリング値MVfAの積算値とフィルタリング値MVfAとの乖離が所定値以上である場合に、Hセンサ42が劣化していると判定する。この場合、劣化診断部11Aは、劣化警告信号を生成し、熱処理装置1Aに備えられたモニタ(図示せず)等に出力する。これにより、オペレータは、Hセンサ42が劣化していることを確認できる。このように、劣化診断部11Aは、基準時点での出力履歴と、診断対象時点での出力履歴との乖離が所定値以上の場合に、Hセンサ42に劣化が生じていると診断する。
なお、本変形例において、上記フィルタリング値MVfA,MVf12Aの乖離度合いに応じて、Hセンサ42の出力値、または、弁開度指示信号MVAを補正してもよい。また、制御弁35c,36c,37cのうちの制御弁35cのみについて、上記の処理が行われてもよい。
このように、本変形例では、Hセンサ42の劣化診断を行うことができる。
なお、本発明の実施形態および変形例について説明したけれども、本発明は上述の実施の形態および変形例に限られない。本発明は、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。
上述の実施形態および変形例では、劣化診断対象としてOセンサおよびHセンサを例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよく、他のセンサを劣化診断対象として本発明を適用してもよい。また、上述の実施形態および変形例では、物理量としてのCPおよび窒化ポテンシャルに関連するOおよびHが、Oセンサ5およびHセンサ42で測定される形態を例に説明した。しかしながら、物理量そのものを直接測定するセンサに本発明が適用されてもよい。
[プログラム]
本実施形態におけるプログラムは、コンピュータに、図7,図8に示すステップS11~S14、および、ステップS21~S27を実行させるプログラムであればよい。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施形態における制御部10(劣化診断装置20)と劣化診断方法とを実現することができる。この場合、コンピュータのプロセッサは、劣化診断部11、CP演算部12、目標CP設定部13、MV設定部14、出力履歴記憶部21、抽出部22、回帰処理部23、判定部24、および、補正部25として機能し、処理を行なう。
また、本変形例におけるプログラムは、コンピュータに、上述した制御部10Aでの動作を実行させるプログラムであればよい。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本変形例における制御部10A(劣化診断装置20A)と劣化診断方法とを実現することができる。この場合、コンピュータのプロセッサは、劣化診断部11A、窒化ポテンシャル演算部12A、目標窒化ポテンシャル設定部13A、および、MV設定部14Aとして機能し、処理を行なう。
[物理構成]
ここで、実施形態または変形例におけるプログラムを実行することによって、劣化診断装置を実現するコンピュータについて図10を用いて説明する。図10は、本発明の実施形態または変形例における劣化診断装置を実現するコンピュータの一例を示すブロック図である。
図10に示すように、コンピュータ110は、CPU111と、メインメモリ112と、記憶装置113と、入力インターフェイス114と、表示コントローラ115と、データリーダ/ライタ116と、通信インターフェイス117とを備える。これらの各部は、バス121を介して、互いにデータ通信可能に接続される。なお、コンピュータ110は、CPU111に加えて、または、CPU111に代えて、GPU(Graphics Processing Unit)、または、FPGA(Field-Programmable Gate Array)を備えていてもよい。
CPU111は、記憶装置113に格納された、実施形態または変形例におけるプログラム(コード)をメインメモリ112に展開し、これらを所定順序で実行することにより、各種の演算を実施する。メインメモリ112は、典型的には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性の記憶装置である。また、実施形態または変形例におけるプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体120に格納された状態で提供される。なお、上記プログラムは、通信インターフェイス117を介して接続されたインターネット上で流通していてもよい。
また、記憶装置113の具体例としては、ハードディスクドライブの他、フラッシュメモリなどの半導体記憶装置があげられる。入力インターフェイス114は、CPU111と、キーボードおよびマウスといった入力機器118との間のデータ伝送を仲介する。表示コントローラ115は、ディスプレイ装置119と接続され、ディスプレイ装置119での表示を制御する。
データリーダ/ライタ116は、CPU111と記憶媒体120との間のデータ伝送を仲介し、記憶媒体120からのプログラムの読み出し、およびコンピュータ110における処理結果の記憶媒体120への書き込みを実行する。通信インターフェイス117は、CPU111と、他のコンピュータとの間のデータ伝送を仲介する。
また、記憶媒体120の具体例としては、CF(Compact Flash(登録商標))およびSD(Secure Digital)などの汎用的な半導体記憶デバイス、フレキシブルディスク(Flexible Disk)などの磁気記録媒体、またはCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの光学記録媒体があげられる。
本発明は、センサ劣化診断装置、熱処理装置、センサ劣化診断方法、および、プログラムとして適用することができる。
1,1A 熱処理装置
2 熱処理炉
5 Oセンサ(物理量センサ)
9 制御弁(作用部)
10,10A 制御部
11,11A 劣化診断部
20,20A 劣化診断装置
21 出力履歴記憶部
22 抽出部
23 回帰処理部
24 判定部
25 補正部
35c,36c,37c 制御弁(作用部)
42 Hセンサ(物理量センサ)
100 コンピュータ
B1 エンリッチガス供給開始時点
ΔB 所定期間
CP カーボンポテンシャル(物理量)
E 起電力(関連物理量)
F2 関係式 (出力履歴と物理量または関連物理量との関係)
濃度 関連物理量
MV,MVA 弁開度指示信号(指示信号)
NP 窒化ポテンシャル(物理量)
濃度 関連物理量
∫MVdt,∫MVdtA 弁開度指示信号の積算値(出力履歴)

Claims (11)

  1. 熱処理炉と、
    前記熱処理炉内の物理量に作用を及ぼすための作用部と、
    前記熱処理炉内の前記物理量または前記物理量に関連する値としての関連物理量を測定する物理量センサと、
    前記物理量の目標値としての目標物理量に前記物理量が近づくよう前記作用部を動作させるために前記作用部へ指示信号を出力する制御部であって、前記物理量センサの測定結果を用いて前記指示信号を設定する制御部と、
    を備える熱処理装置に用いられるセンサ劣化診断装置であって、
    劣化診断部を備え、
    前記劣化診断部は、所定の熱処理サイクル内での前記指示信号の出力履歴について、基準時点での前記出力履歴と、前記基準時点での前記熱処理サイクルより後の前記熱処理サイクルでの診断対象時点での前記出力履歴と、に基づいて、前記物理量センサの劣化度合いを診断する、センサ劣化診断装置。
  2. 請求項1に記載のセンサ劣化診断装置であって、
    前記熱処理炉は、1回の前記熱処理サイクル毎に前記熱処理炉内の被処理物を入れ替えるバッチ炉である、センサ劣化診断装置。
  3. 請求項2に記載のセンサ劣化診断装置であって、
    前記センサ劣化診断部は、前記基準時点での前記出力履歴と、前記診断対象時点での前記出力履歴との乖離が所定値以上の場合に、前記物理量センサに劣化が生じていると診断する、センサ劣化診断装置。
  4. 請求項2または請求項3に記載のセンサ劣化診断装置であって、
    前記所定の熱処理サイクルは、1回のバッチ処理であり、
    前記熱処理炉は、複数の熱処理条件でそれぞれバッチ処理を行うように構成されており、
    前記劣化診断部は、
    連続した複数の前記バッチ処理での前記指示信号の出力履歴を記憶する出力履歴記憶部と、
    所定の前記熱処理条件毎に前記基準時点での前記出力履歴を抽出する抽出部と、
    所定の前記熱処理条件毎に抽出された、前記基準時点での前記出力履歴としての複数のバッチ処理での前記出力履歴から当該出力履歴と前記物理量または前記関連物理量との関係を回帰処理を用いて回帰処理結果として算出する回帰処理部と、
    前記回帰処理結果および前記診断対象時点での前記出力履歴を参照することで前記物理量センサの劣化の有無を判定する判定部と、を含む、センサ劣化診断装置。
  5. 請求項1~請求項4の何れか1項に記載のセンサ劣化診断装置であって、
    前記出力履歴は、前記所定の熱処理サイクル内の所定期間での前記指示信号の積算値またはこの積算値に基づく値を含む、センサ劣化診断装置。
  6. 請求項1~請求項5の何れか1項に記載のセンサ劣化診断装置であって、
    前記熱処理炉は、浸炭炉を含み、
    前記作用部は、エンリッチガスを前記浸炭炉へ供給するための制御弁を含み、
    前記物理量は、カーボンポテンシャルを含み、
    前記関連物理量は、O濃度を含み、
    前記物理量センサは、前記O濃度に応じた起電力を生じるOセンサを含み、
    前記指示信号は、前記制御弁の開度を指示する信号であり、
    前記所定の熱処理サイクルは、1回の浸炭バッチ処理を示す、センサ劣化診断装置。
  7. 請求項6に記載のセンサ劣化診断装置であって、
    前記出力履歴は、1回の前記浸炭バッチ処理のうち、前記制御弁からの前記エンリッチガス供給開始時点を含む前記所定期間での前記指示信号の積算値またはこの積算値に基づく値を含む、センサ劣化診断装置。
  8. 請求項1~請求項7の何れか1項に記載のセンサ劣化診断装置を含む、熱処理装置。
  9. 請求項8に記載の熱処理装置であって、
    前記劣化診断部での劣化診断結果に応じて前記物理センサの計測値、または、前記指示信号を補正する補正部をさらに有する、熱処理装置。
  10. 熱処理炉と、
    前記熱処理炉内の物理量に作用を及ぼすための作用部と、
    前記熱処理炉内の前記物理量または前記物理量に関連する値としての関連物理量を測定する物理量センサと、
    前記物理量の目標値としての目標物理量に前記物理量が近づくよう前記作用部を動作させるために前記作用部へ指示信号を出力する制御部であって、前記物理量センサの測定結果を用いて前記指示信号を設定する制御部と、
    を備える熱処理装置に用いられるセンサ劣化診断方法であって、
    所定の熱処理サイクル内での前記指示信号の出力履歴について、基準時点での前記出力履歴と、前記基準時点での前記熱処理サイクルより後の前記熱処理サイクルでの診断対象時点での前記出力履歴と、に基づいて、前記物理量センサの劣化度合いを診断するステップを含む、センサ劣化診断方法。
  11. 熱処理炉と、
    前記熱処理炉内の物理量に作用を及ぼすための作用部と、
    前記熱処理炉内の前記物理量または前記物理量に関連する値としての関連物理量を測定する物理量センサと、
    前記物理量の目標値としての目標物理量に前記物理量が近づくよう前記作用部を動作させるために前記作用部へ指示信号を出力する制御部であって、前記物理量センサの測定結果を用いて前記指示信号を設定する制御部と、
    を備える熱処理装置の前記物理量センサの劣化を診断するプログラムであって、
    コンピュータに、
    所定の熱処理サイクル内での前記指示信号の出力履歴について、基準時点での前記出力履歴と、前記基準時点での前記熱処理サイクルより後の前記熱処理サイクルでの診断対象時点での前記出力履歴と、に基づいて、前記物理量センサの劣化度合いを診断するステップを実行させる、プログラム。
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