JP2022095265A - 電池セルの製造方法 - Google Patents

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英明 堀江
Hideaki Horie
祐一郎 横山
Yuichiro Yokoyama
茉優 内藤
Mayu Naito
祐貴 猫橋
Yuki Nekohashi
勇輔 中嶋
Yusuke Nakajima
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Abstract

【課題】工程間の搬送を円滑に行うことができる電池セルの製造方法を提供する。【解決手段】それぞれ搬送治具上に配置される電池用電極を、2つ用意する予備工程と、2つの電池用電極を、セパレータを介して互いに向かい合わせに積層して積層体を形成する積層工程と、積層体の内部の空気を抜く脱気工程と、積層体において2つの電極を一体化する溶着工程と、を有し、積層工程、脱気工程、および溶着工程は、2つの搬送治具のうち少なくとも一方を残したまま行われる、電池セルの製造方法。【選択図】図5

Description

本発明は、電池セルの製造方法に関するものである。
近年、電気自動車のモータ駆動用の電源として、二次電池の開発が盛んに行われている。特許文献1には、バッテリー素子を袋状のシート部材を内包し、シート部材の開口部から空気を吸引することで真空パックをする工程を含むバッテリーの製造方法が開示されている。
特開2020-129448号公報
二次電池は、様々な処理行う複数の工程を経て製造される。このため、工程間で仕掛品を搬送させる必要があり、搬送時の損傷や搬送後の位置合わせの複雑さが問題となる虞があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、工程間の搬送を円滑に行うことができる電池セルの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様の電池セルの製造方法は、それぞれ搬送治具上に配置される電池用電極を、2つ用意する予備工程と、2つの前記電池用電極を、セパレータを介して互いに向かい合わせに積層して積層体を形成する積層工程と、前記積層体の内部の空気を抜く脱気工程と、前記積層体において2つの前記電極を一体化する溶着工程と、を有し、前記積層工程、前記脱気工程、および前記溶着工程は、2つの搬送治具のうち少なくとも一方を残したまま行われる。
本発明の一つの態様によれば、工程間の搬送を円滑に行うことができる電池セルの製造方法を提供できる。
図1は、一実施形態の製造方法に用いる搬送治具および電極の斜視図である。 図2は、第1実施形態の積層工程を示す模式図である。 図3は、第1実施形態の脱気工程を示す模式図である。 図4は、第1実施形態の脱気工程を示す模式図である。 図5は、第1実施形態の溶着工程を示す模式図である。 図6は、第1実施形態に採用可能な変形例の溶着工程を示す模式図である。 図7は、第1実施形態の離脱工程を示す模式図である。 図8は、第2実施形態の予備工程および積層工程を経た後の単セル(電池セル)の仕掛品を示す模式図である。 図9は、第2実施形態の後乗せ工程の模式図である。 図10は、第2実施形態の脱気工程を示す模式図である。 図11は、第2実施形態の溶着工程を示す模式図である。 図12は、一実施形態の単セルの断面模式図である。
以下、図面を参照して本発明を適用した一実施形態について詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴部分を強調する目的で、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、同様の目的で、特徴とならない部分を省略して図示している場合がある。
<第1実施形態の単セル(電池セル)の製造方法>
第1実施形態の単セル20の製造方法について説明する。
図1は、本実施形態の製造方法に用いる電極30および電極30が搭載される搬送治具50の斜視図である。
(搬送治具)
搬送治具50は、枠状の治具枠部51と、治具枠部51に架け渡される支持シート55と、を有する。
治具枠部51は、平面視で矩形状である。治具枠部51は、矩形状の短辺に対応する2つの短辺部52と、矩形状の長辺に対応する2つの長辺部53と、を有する。短辺部52および長辺部53は、それぞれ直線的に延びる。短辺部52の両端部は、それぞれ異なる長辺部53の両端部に接続される。
治具枠部51の2つの短辺部52の長さ方向中央には、それぞれ凹溝54が設けられる。凹溝54は、短辺部52を横断する方向に一様な断面形状で延びる。凹溝54の断面形状は、半円状である。後述するように、凹溝54には、脱気管80(図3参照)が配置される。
支持シート55は、可撓性を有する。搬送治具50は、支持シート55において搬送対象(電極30)を搭載する。このため、支持シート55は、搬送対象の形状に沿って撓む。支持シート55は、平面視で帯状であり、治具枠部51の長辺部53に沿って延びる。
支持シート55の長さ方向の両端部は、短辺部52に固定される。すなわち、支持シート55は、治具枠部51の4辺のうち2つの短辺に架け渡される。また、支持シート55の幅方向の両縁と長辺部53との間には、隙間が設けられる。
支持シート55は、治具枠部51の上面側に架け渡される。また、治具枠部51の高さ寸法は、搬送対象物の厚さより大きい。支持シート55の下側であって、治具枠部51の枠内には、空間が広がる。本実施形態の搬送治具50によれば、支持シート55に搬送対象物を搭載した状態で、搬送治具50を積層することができる。この場合、搬送対象物は、直上に積層される搬送治具50の治具枠部51の枠内に配置される。
本実施形態において、支持シート55の上面(表面)には、接着層56が設けられる。支持シート55に接着層56を設けることで、搬送治具50に搭載される搬送対象を支持シート55によって保持することができる。すなわち、本実施形態によれば、搬送対象(電極30)は、搬送治具50上で支持シート55に保持される。
本実施形態によれば、搬送治具50上で搬送対象が位置ずれすることを抑制することができる。結果的に、各工程を行う装置に対して搬送治具50を位置決めすることで、装置に対して支持シート55を位置決めすることができる。これにより、搬送対象に位置決めのための構成を設ける必要がない。
また、本実施形態によれば、支持シート55の上面に接着層56が設けられることで搬送対象が搬送治具50に保持されるため、搬送経路において搬送治具50を反転させる場合であっても、搬送対象が落下することを抑制できる。
接着層56としては、剥離が容易なものであることが好ましい。接着層56として剥離容易なものを用いることで、搬送対象を接着層56から容易に離脱させることができる。さらに、本実施形態の支持シート55は可撓性が高いため、接着層56の剥離の際に支持シート55を撓ませることで搬送対象を容易に離脱させることができる。
電極30の製造方法は、予備工程と、搭載工程と、電極組成物供給工程と、プレス工程と、を有する。本実施形態において、予備工程、搭載工程、電極組成物供給工程、およびプレス工程は、この順で行われる。
単セル20の製造方法は、予備工程と、積層工程と、脱気工程と、溶着工程と、離脱工程と、を有する。本実施形態において、積層工程、脱気工程、溶着工程、および離脱工程は、この順で行われる。
(予備工程)
単セル20の製造方法は、電極30を用意する予備工程を有する。単セル20には、2つの電極30(すなわち、正極30aおよび負極30b)が用いられる。したがって、予備工程は、それぞれ搬送治具50上に配置される電極30を、2つ用意する工程である。電極30は、枠体45と、枠体45の内側に充填された電極活物質層(電極組成物)32と、を有する。電極30は、搬送治具50に各部を積層することで製造され、搬送治具50に搭載された状態で完成する。
(積層工程)
図2は、積層工程を示す模式図である。積層工程は、2つの電極30を、セパレータ40を介して互いに向かい合わせに積層して積層体9を形成する。積層体9では、2つの電極30の電極活物質層32が互いに向かい合わせに配置される。また、セパレータ40は、2つの電極30の電極活物質層32同士の間に配置される。
積層工程において、2つの電極30が搬送治具50に保持された状態で行われる。積層工程は、2つの電極30のうち一方の電極30(例えば、正極30a)の上に、セパレータ40および他の電極30(例えば、負極30b)を順次積層することで行われる。ここでは、正極30aを土台として、セパレータ40および負極30bを積層する場合について説明する。しかしながら、負極30bを土台として、セパレータ40および正極30aを積層してもよい。
本実施形態の積層工程では、まず、正極30aの電極活物質層32の上に、セパレータ40を搭載する。セパレータ40は、正極30aに対して位置決めされる。セパレータ40の外縁は、正極30aの枠体45に搭載される。したがって、正極活物質層32aは、セパレータ40によって覆われる。
次いで、正極30aおよびセパレータ40の上に、負極30bを搭載する。負極30bの枠体45は、正極30aの枠体45に重ねられる。これにより、正極30aの外縁と負極30bの外縁とが、積層方向から見て、互いに一致する。以上の手順を経て、積層工程が完了し、積層体9が形成される。
本実施形態の積層工程によれば、2つの電極30は、搬送治具50に保持された状態で、互いに積層される。すなわち、本実施形態によれば、搬送治具50を介して電極30を操作することができる。このため、積層工程において、電極30に損傷を生じさせることを抑制できる。また、2つの搬送治具50同士を位置合わせすることで、容易に電極30同士を位置合わせすることができる。すなわち、搬送治具50に位置合わせのための構成を用意すれば、電極30に位置合わせのための構成を用意する必要がない。結果的に各電極30の構成を簡素化することができる。
(脱気工程)
図3および図4は、脱気工程を示す模式図である。脱気工程は、積層工程の後に行われる。脱気工程は、積層体9の内部の空気を抜く工程である。積層工程において、2つの搬送治具50の間には、2つの脱気管80が配置される。脱気管80は、真空ポンプ(図示略)に接続される。
図3に示すように、脱気工程において、2つの搬送治具50の治具枠部51同士は、互いに連結される。2つの搬送治具50の治具枠部51には、積層方向から見て互いに重なり同方向に延びる凹溝54がそれぞれ設けられる。脱気工程は、対向する2つの凹溝54に脱気管80を配置して行う。脱気管80の吸気口81は、2つの搬送治具50の支持シート55同士の間に配置される。
図4に示すように、吸気口81から脱気を行うことで、2つの搬送治具50の支持シート55同士の間の空気が抜かれる。結果的に、積層体9の内部の空気が抜かれる。また、2つの支持シート55の接着層56同士が対向し接触することで、2つの支持シート55同士が接合される。これにより、2つの支持シート55の間に空気が侵入することが抑制される。
本実施形態の脱気工程によれば、治具枠部51の凹溝54に脱気管80を配置して行う。これにより、脱気管80が搬送治具50に対して位置ずれすることがなく、脱気工程中の脱気不良の発生を抑制できる。
なお、脱気工程では、支持シート55の外縁から2つの支持シート55の間に空気が侵入することを抑制するため、積層体9の周囲で2つの支持シート55を挟み込んで2つの支持シート55同士を密着させてもよい。
本実施形態によれば、図1に示すように、治具枠部51は、矩形状であり、4辺のうち2つの短辺に支持シート55が架け渡される。図4に示すように、脱気管80によって、2つの支持シート55の間から空気を抜くと、支持シート55同士が互いに近づいて密着する。支持シート55において、治具枠部51に掛け渡される部分(長手方向)は、縁部が治具枠部51によって拘束されている。このため、2つの支持シート55は、十分な長さがなければ、互いに密着する程度の撓むことができない。このため、治具枠部51は、長辺が十分に長くなっている必要がある。
一方で、支持シート55において、治具枠部51に掛け渡されない部分(幅方向)は、外縁が拘束されず自由に移動できる。このため、2つの支持シート55は、短い距離であっても十分に密着できる程度に撓む。結果的に、治具枠部51の短辺を短くすることができる。結果的に、搬送治具50を小型化することができ、搬送治具50を格納する倉庫内の容量を圧迫することがない。また、搬送治具50の小型化は、搬送経路の小型化にもつながり、製造ラインのコンパクト化を図ることができる。
積層体9内の空気を抜いた状態で、脱気管80の弁82を閉塞する。これにより、積層体9の内部から空気が濡れた状態が保持される。次工程の溶着工程は、脱気管80の弁82を閉塞し、負圧を保持した状態で行われる。溶着工程を脱気した後に密閉することで圧力を保持して行うことで、脱気管80と真空ポンプとの接続を解除することができ、工程間の搬送が容易となる。
本実施形態の脱気工程によれば、2つの支持シート55によって積層体9を挟み込み、支持シート55の間で脱気を行う。このため、真空チャンバーなどの大掛かりな装置を用いることなく脱気工程を行うことができ、設備コストを抑制できる。
また、本実施形態によれば、積層体9を2つの搬送治具50の間で保持したまま脱気工程を行うことができる。このため、積層体9の電極30同士が、互いに位置ずれすることを抑制できる。
(溶着工程)
図5は、溶着工程を示す模式図である。溶着工程は、脱気工程の後に行われる。溶着工程は、積層体9において2つの電極30(正極30aおよび負極30b)の枠体45同士を溶着し2つの電極30を一体化する工程である。
溶着工程は、溶着装置85を用いて行われる。溶着装置85は、一対の溶着治具86を有する。溶着治具86は、それぞれ枠状の発熱体87を有する。発熱体87は、積層方向から見て枠体45と略同形状である。
溶着工程において、発熱体87は、それぞれの電極30を保持する搬送治具の支持シート55を介して枠体45を加熱する。これにより、発熱体87は、枠体45を溶融させる。溶着工程では、さらに、発熱体87を支持シート55から離間させ枠体45を冷却し硬化させる。これにより、2つの電極30の枠体45同士を溶着し一体化させる。
以上説明した溶着工程における溶着装置85は、枠状の一対の発熱体87を有しているが、これに限定されない。例えば、枠状の発熱体を用いずに、1辺ずつ熱溶着するための線状(棒状)の発熱体を複数用いて順次熱溶着する構成としても良いし、2つのコ字形状の部材に分割された発熱体を用いて熱溶着する構成としても良く、リチウムイオン電池の外縁部を熱溶着可能な構成であれば、他の様々な構成を適用可能である。
以上の工程を経ることで、積層体9において2つの電極30同士が一体化され、単セル20が形成される。溶着工程を経て形成された単セル20は、2つの搬送治具50の支持シート55の間に挟み込まれている。
(溶着工程の変形例)
ここで、本実施形態に採用可能な溶着工程の変形例について説明する。
図6は、本変形例の溶着工程を示す模式図である。なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
上述の実施形態の溶着工程と比較して、本変形例の溶着工程は、脱気管80から積層体9の脱気を行いながら行う。このため、本変形例の溶着工程では、脱気管80が真空ポンプに接続され、脱気管80の弁が開放されている。本変形例によれば、溶着工程を脱気しながら行うことで、積層体9の内部の圧力を確実に下げた状態で電極30同士を一体化できる。このため、単セル20の内部の密度を高め易く、単セル20のエネルギ密度を高めることができる。
(離脱工程)
図7は、離脱工程を示す模式図である。離脱工程は、溶着工程の後に行われる。離脱工程は、2つの搬送治具50を離脱して単セル20を取り出す工程である。
本実施形態の電池セルの製造方法によれば、積層工程、脱気工程、および溶着工程が、搬送治具50上で行われる。このため、工程間の仕掛品の搬送が容易となるとともに、仕掛品の損傷を抑制できる。また、各工程を行う処理装置に対して、搬送治具50を位置合わせすることで、仕掛品を処理装置に対して位置合わせすることができる。このため、各処理の精度を高めることができる。
なお本実施形態では、2つの搬送治具50を残したまま積層工程、脱気工程、および溶着工程を行う場合について説明した。しかしながら上述の効果は、2つの搬送治具50のうち少なくとも一方を残したまま行われていれば、得ることができる効果である。
<第2実施形態の単セル(電池セル)の製造方法>
次に第2実施形態の単セル20の製造方法について説明する。なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
上述の実施形態と同様に、本実施形態の単セル20の製造方法は、予備工程と、積層工程と、後乗せ工程、脱気工程と、溶着工程と、離脱工程と、を有する。
(予備工程、積層工程)
図8は、予備工程および積層工程を経た後の単セル20の仕掛品を示す模式図である。
予備工程は、それぞれ搬送治具50上に配置される電極30を、2つ用意する工程である。本実施形態の予備工程は、上述の実施形態と同様の構成を有する。
積層工程は、2つの電極30を、セパレータ40を介して互いに向かい合わせに積層して積層体9を形成する。図8に示すように、本実施形態の積層工程では、正極30a(一方の電極30)を搬送治具50に保持された状態として土台とする。さらに、セパレータ40を介して、負極30b(他方の電極30)を搬送治具50から離脱させた状態で正極30aに積層させる。なお、負極30bは、搬送治具50に保持された状態で正極30aに保持させた後に、搬送治具50を離脱させてもよい。
(後乗せ工程)
図9は、後乗せ工程の模式図である。後乗せ工程は、予備工程および積層工程の後であり、脱気工程の前に行われる。後乗せ工程は、積層体9の積層方向の一方側(本実施形態で下側)から積層体9を搬送治具50に支持させた状態で、積層方向の他方側(上側)に後乗せシート155を配置する工程である。
後乗せシート155は、可撓性のシートである。後乗せシート155の可撓性は、支持シート55と同程度であればよい。また、後乗せシート155は、耐熱性のシートである。後乗せシート155の連続使用温度は、150℃以上250℃以下であることが好ましい。なお、「連続使用温度」とはは長時間(40,000時間)処理した後に50%以上の強度を保持する上限温度を意味する。後述する溶着工程において、後乗せシート155は発熱体187が接触するため、後乗せシート155として耐熱性のシートを用いることで、後乗せシート155を繰り返し使用することができる。
後乗せシート155は、例えば矩形状のシートである。後乗せシート155は、支持シート55と略同形状である。また、後乗せシート155は、支持シート55より大きくてもよい。
後乗せ工程において、積層体9は、下側の電極30(正極30a)を搬送した搬送治具50に搭載されている。一方で、上側の電極30(負極30b)を搬送した搬送治具50は離脱されているため、上側の電極の集電体31が上側に露出する。後乗せ工程において、後乗せシート155は、積層体9の上側から積層体9に乗せられる。
(脱気工程)
図10は、脱気工程を示す模式図である。脱気工程は、積層工程の後に行われる。脱気工程は、積層体9の内部の空気を抜く工程である。脱気工程において、積層体9、搬送治具50および後乗せシート155は、真空チャンバー180内に配置される。
真空チャンバー180は、下側に開口する上側ケース180aと、上側に開口する下側ケース180bと、を有する。下側ケース180bには、図示略の真空ポンプに繋がる脱気路180pが設けられる。なお、脱気路180pは、上側ケース180aに設けられていてもよい。
上側ケース180aの開口部と、下側ケース180bの開口部とは、積層体9の周囲において後乗せシート155および支持シート55を挟み込んで、互いに重なる。これによって、後乗せシート155と支持シート55との間、上側ケース180aと後乗せシート155との間、下側ケース180bと支持シート55との間が封止される。真空チャンバー180の内部には、密閉された減圧室180cが形成される。
脱気工程において、減圧室180c内は、内部に積層体9を配置した状態で、減圧される。これにより、後乗せシート155と支持シート55との間から空気が抜かれ、積層体9が脱気される。
後乗せシート155と支持シート55の接着層56とが対向し接触することで、後乗せシート155と支持シート55とが接合される。これにより、後乗せシート155と支持シート55との間に空気が侵入することが抑制される。
本実施形態によれば、脱気工程において、積層体9を後乗せシート155と搬送治具50の支持シート55との間に挟み、後乗せシート155と支持シート55との間から空気を抜く。また、後乗せシート155として、脱気工程に適したシートを用いることで、脱気工程を円滑に行うことができる。例えば、後乗せシート155として、接着層が設けられたものを用いる場合、支持シート55に接着層56が設けられていなくても、後乗せシート155と支持シート55とを接合することができる。
(溶着工程)
図11は、溶着工程を示す模式図である。溶着工程は、脱気工程の後に行われる。溶着工程は、積層体9において2つの電極30(正極30aおよび負極30b)の枠体45同士を溶着し2つの電極30を一体化する工程である。
溶着工程は、溶着装置185を用いて行われる。本実施形態の溶着装置185は、上述の実施形態と比較して、積層体9の上側に位置する1つの溶着治具186のみを有する点が異なる。溶着治具186は、枠状の発熱体187を有する。発熱体187は、積層方向から見て枠体45と略同形状である。
また、溶着工程において、積層体9は、支持シート55を介して架台184に搭載される。したがって、支持シート55と後乗せシート155とに挟まれる積層体9は、溶着治具186と架台184との間に配置される。
溶着工程において、発熱体187は、後乗せシート155を介して積層体9に押し付けられる。積層体9は、発熱体187によって上側から押し付けられる一方で、架台184によって下側から支持される。発熱体187が後乗せシート155に接触し、後乗せシート155を介して上側の電極30の枠体45を加熱する。これにより、発熱体187は、枠体45を溶融させ、2つの電極30の枠体45同士を溶着し一体化させる。
本実施形態の溶着工程は、後乗せシート155を介して電極30の枠体45に熱を付与して枠体45同士を熱溶着する工程である。上述したように、後乗せシート155は、耐熱性を有する。このため、後乗せシート155の損傷に配慮することなく発熱体187の温度を高めることができ、枠体45を短時間で溶融させることが可能となり、溶着工程のタクトタイムを短縮できる。
以上の工程を経ることで、積層体9において2つの電極30同士が一体化され、単セル20が形成される。溶着工程を経て形成された単セル20は、後乗せシート155と支持シート55との間に挟み込まれている。溶着工程の後には、後乗せシート155と支持シート55とを離脱して単セル20を取り出す離脱工程が行われる。
<単セル(電池セル)>
図12は、上述の製造方法を経て製造される単セル20の断面模式図である。
単セル20は、2つの電極(電池用電極)としての正極30aおよび負極30bと、セパレータ40と、を有する。
セパレータ40は、正極30aと負極30bとの間に配置される。複数の単セル20は、正極30aと負極30bとを同方向に向けて積層されて使用される。積層方向の正極側の端部に配置される単セル20の正極30aには、正極端子が接触し、積層方向の負極側の端部に配置される単セル20の負極30bには、負極端子が接触する。
セパレータ40には、電解質が保持される。これにより、セパレータ40は、電解質層として機能する。セパレータ40は、正極30aおよび負極30bの電極活物質層32の間に配置され、これらが互いに接触することを抑制する。これにより、セパレータ40は、正極30aと負極30bとの間の隔壁として機能する。
正極30aおよび負極30bは、それぞれ、集電体31と、電極活物質層32と、枠体45と、を有する。電極活物質層32と集電体31とは、セパレータ40側からこの順に並ぶ。枠体45は、電極活物質層32の周囲を囲む。正極30aの枠体45と負極30bの枠体45とは、互いに溶着され一体化されている。
以下の説明において、正極30aおよび負極30bの電極活物質層32を互いに区別する場合、これらをそれぞれ正極活物質層32a、負極活物質層32bと呼ぶ。
枠体45は、集電体31同士の接触や単セル20の端部における短絡を防止する。枠体45を構成する材料としては、絶縁性、シール性(液密性)、電池動作温度下での耐熱性等を有するものであればよく、樹脂材料が好適に採用される。
電極活物質層32の厚さは特に限定されないが、枠体45の厚さ以上であることが好ましい。枠体45の厚さに対する電極活物質層32の厚さの割合は、100%~200%であることが好ましく、100~150%であることが好ましく、110~130%であることがより好ましい。枠体45が変形しにくい場合に、枠体45の厚さに対する電極活物質層32の厚さの割合が100%未満であると、後述する加圧成形工程において、電極活物質層32を充分に加圧成形できない場合がある。
枠体45の厚さに対する電極活物質層32の割合が100%を超える場合、枠体45から電極活物質層32がはみ出すこととなる。電極活物質層32は真空包装工程において包装材内に固定されるため、枠体45からの電極活物質層32のはみだしは、加圧成形工程において問題とはならない。
枠体45は、融点が75~90℃のポリオレフィンを含むことが好ましい。
融点が75~90℃のポリオレフィンは、分子内に極性基を有するものであってもよく、極性基を有しないものであってもよい。極性基としては、ヒドロキシ基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、ホルミル基(-CHO)、カルボニル基(=CO)、アミノ基(-NH2)、チオール基(-SH)、1,3-ジオキソ-3-オキシプロピレン基等が挙げられる。ポリオレフィンが極性基を有しているかどうかは、ポリオレフィンをフーリエ変換赤外分光法(FT-IR)や核磁気共鳴分光法(NMR)で分析することにより確認することができる。
融点が75~90℃のポリオレフィンとしては、東ソー(株)製 メルセン(登録商標)G(融点:77℃)や三井化学(株)製 アドマーXE070(融点:84℃)等が挙げられる。東ソー(株)製 メルセン(登録商標)Gは極性基を有する樹脂の例であり、三井化学(株)製 アドマーXE070は極性基を有しない樹脂の例である。
枠体45は、融点が75~90℃のポリオレフィンに加えて、非導電性フィラーを含有していてもよい。非導電性フィラーとしては、ガラス繊維等の無機繊維及びシリカ粒子等の無機粒子が挙げられる。
枠体45の一部は、耐熱性環状支持部材で構成されていてもよい。枠体45の一部が耐熱性環状支持部材で構成されていると、枠体45の機械的強度及び耐熱性を向上させることができる。
耐熱性環状支持部材は集電体31及びセパレータ40との接着性が低いため、耐熱性環状支持部材は、枠体45の厚さ方向の中央部に配置されることが好ましい。この場合、平面視形状が互いに同一の、融点が75~90℃のポリオレフィンを含む層、耐熱性環状支持部材、融点が75~90℃のポリオレフィンを含む層が、集電体31側からこの順で配置されることが好ましい。上記構成であると、枠体45に機械的強度及び耐熱性を付与しつつ、集電体31及びセパレータ40との接着性を高めることができる。
耐熱性環状支持部材は、溶融温度が150℃以上である耐熱性樹脂組成物を含んでいることが望ましく、溶融温度が200℃以上である耐熱性樹脂組成物を含んでいることがより望ましい。耐熱性環状支持部材が、溶融温度が150℃以上である耐熱性樹脂組成物を含むことで、枠体45が熱に対してより変形しにくくなる。耐熱性樹脂組成物の溶融温度(単に融点ともいう)は、JIS K7121-1987に準拠して示差走査熱量測定によって測定される。
耐熱性樹脂組成物を構成する樹脂としては、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂及びポリイミド等)、エンジニアリング樹脂[ポリアミド(ナイロン6 溶融温度:約230℃、ナイロン66 溶融温度:約270℃等)、ポリカーボネート(PCともいう 溶融温度:約150℃)及びポリエーテルエーテルケトン(PEEKともいう 溶融温度:約330℃)等]及び高融点熱可塑性樹脂{ポリエチレンテレフタレート(PETともいう 溶融温度:約250℃)、ポリエチレンナフタレート(PENともいう 溶融温度:約260℃)及び高融点ポリプロピレン(溶融温度:約160~170℃)等}等が挙げられる。なお、高融点熱可塑性樹脂とは、JIS K7121-1987に準拠して示差走査熱量測定によって測定される溶融温度が150℃以上の熱可塑性樹脂を指す。
耐熱性樹脂組成物は、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、高融点ポリプロピレン、ポリカーボネート及びポリエーテルエーテルケトンからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含むことが望ましい。
耐熱性樹脂組成物はフィラーを含んでいてもよい。耐熱性樹脂組成物がフィラーを含むことで、溶融温度を向上させることができる。上記フィラーとしては、ガラス繊維等の無機フィラー及び炭素繊維等が挙げられる。フィラーを含む耐熱性樹脂組成物としては、ガラス繊維に硬化前のエポキシ樹脂を含浸させて硬化させたもの(ガラスエポキシともいう)及び炭素繊維強化樹脂などが挙げられる。
枠体45を上面視した際の、外形形状と内形形状との間の距離を枠体45の幅ともいう。
枠体45の幅は特に限定されないが、3~20mmであることが好ましい。枠体45の幅が3mm未満であると、枠体45の機械的強度が不足して、電極活物質層32が枠体45の外へ漏れてしまう場合がある。一方、枠体45の幅が20mmを超えると、電極活物質層32の占める割合が減少してしまい、エネルギ密度が低下してしまう場合がある。
枠体45の厚さは特に限定されないが、0.1~10mmであることが望ましい。
電極活物質粒子は、正極活物質粒子又は負極活物質粒子が挙げられる。電極活物質粒子として正極活物質粒子を用いた電極活物質層32を正極組成物又は正極活物質層32aともいい、電極活物質粒子として負極活物質粒子を用いた電極活物質層32を負極組成物又は負極活物質層32bともいう。また、正極組成物の周囲を環状に囲む枠体45を正極枠体ともいい、負極組成物の周囲を環状に囲む枠体45を負極枠体ともいう。
正極活物質粒子としては、リチウムと遷移金属との複合酸化物{遷移金属が1種である複合酸化物(LiCoO、LiNiO、LiAlMnO、LiMnO及びLiMn等)、遷移金属元素が2種である複合酸化物(例えばLiFeMnO、LiNi1-xCo、LiMn1-yCo、LiNi1/3Co1/3Al1/3及びLiNi0.8Co0.15Al0.05)及び金属元素が3種類以上である複合酸化物[例えばLiMM’M’’(M、M’及びM’’はそれぞれ異なる遷移金属元素であり、a+b+c=1を満たす。例えばLiNi1/3Mn1/3Co1/3O2)等]等}、リチウム含有遷移金属リン酸塩(例えばLiFePO、LiCoPO、LiMnPO及びLiNiPO)、遷移金属酸化物(例えばMnO及びV)、遷移金属硫化物(例えばMoS及びTiS)及び導電性高分子(例えばポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン及びポリ-p-フェニレン及びポリビニルカルバゾール)等の粒子が挙げられ、2種以上を併用してもよい。なお、リチウム含有遷移金属リン酸塩は、遷移金属サイトの一部を他の遷移金属で置換したものであってもよい。
負極活物質粒子としては、炭素系材料[黒鉛、難黒鉛化性炭素、アモルファス炭素、樹脂焼成体(例えばフェノール樹脂及びフラン樹脂等を焼成し炭素化したもの等)、コークス類(例えばピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークス等)及び炭素繊維等]、珪素系材料[珪素、酸化珪素(SiO)、珪素-炭素複合体(炭素粒子の表面を珪素及び/又は炭化珪素で被覆したもの、珪素粒子又は酸化珪素粒子の表面を炭素及び/又は炭化珪素で被覆したもの並びに炭化珪素等)及び珪素合金(珪素-アルミニウム合金、珪素-リチウム合金、珪素-ニッケル合金、珪素-鉄合金、珪素-チタン合金、珪素-マンガン合金、珪素-銅合金及び珪素-スズ合金等)等]、導電性高分子(例えばポリアセチレン及びポリピロール等)、金属(スズ、アルミニウム、ジルコニウム及びチタン等)、金属酸化物(チタン酸化物及びリチウム・チタン酸化物等)及び金属合金(例えばリチウム-スズ合金、リチウム-アルミニウム合金及びリチウム-アルミニウム-マンガン合金等)等及びこれらと炭素系材料との混合物等の粒子が挙げられる。上記負極活物質粒子のうち、内部にリチウム又はリチウムイオンを含まないものについては、予め負極活物質粒子の一部又は全部にリチウム又はリチウムイオンを含ませるプレドープ処理を施してもよい。
これらの中でも、電池容量等の観点から、炭素系材料、珪素系材料及びこれらの混合物が好ましく、炭素系材料としては、黒鉛、難黒鉛化性炭素及びアモルファス炭素がさらに好ましく、珪素系材料としては、酸化珪素及び珪素-炭素複合体がさらに好ましい。
電極活物質粒子の平均粒子径は、5~200μmであることが好ましい。
電極活物質粒子の平均粒子径は、マイクロトラック法(レーザー回折・散乱法)によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径(Dv50)を意味する。マイクロトラック法とは、レーザー光を粒子に照射することによって得られる散乱光を利用して粒度分布を求める方法である。なお、体積平均粒子径の測定には、レーザー回折・散乱式の粒子径分布測定装置[マイクロトラック・ベル(株)製のマイクロトラック等]を用いることができる。
電極活物質粒子は、その表面の少なくとも一部が高分子化合物を含む被覆層により被覆された被覆活物質粒子であってもよい。電極活物質粒子の周囲が被覆層で被覆されていると、電極の体積変化が緩和され、電極の膨張を抑制することができる。なお、電極活物質粒子として正極活物質粒子を使用した場合の被覆活物質粒子を被覆正極活物質粒子といい、電極活物質粒子として負極活物質粒子を使用した場合の被覆活物質粒子を被覆負極活物質粒子という。
被覆層を構成する高分子化合物(被覆用高分子化合物ともいう)としては、特開2017-054703号公報に非水系二次電池活物質被覆用樹脂として記載されたものを好適に用いることができる。
被覆層は、必要に応じて、後述する導電助剤を含んでいてもよい。
電極活物質層32に含まれる被覆用高分子化合物の重量割合は、電極活物質層32の重量を基準として、0.1~10重量%であることが好ましい。電極活物質層32に含まれる被覆用高分子化合物の含有量が、電極活物質層32の重量を基準として0.1重量%未満であると、電極活物質層32に含まれる被覆用高分子化合物の含有量が少なすぎて、電極割れが生じたり、成形性が低下してしまうことがある。一方、電極活物質層32に含まれる被覆用高分子化合物の含有量が、電極活物質層32の重量を基準として10重量%を超える場合には、電極活物質層32に含まれる被覆用高分子化合物の含有量が多すぎて、電気抵抗を増加させてしまうことがある。
電極活物質層32に含まれる電極活物質粒子の重量割合は、電極活物質層32の重量を基準として70~95重量%であることが好ましい。なお、電極活物質粒子が被覆活物質粒子である場合、被覆活物質粒子を構成する被覆層は、電極活物質粒子の重量に含めないものとする。
電極活物質層32は、電極活物質粒子以外に、導電助剤、溶液乾燥型の公知の電極用バインダ(結着剤ともいう)及び粘着性樹脂を含有していてもよい。また、リチウムイオン電池の製造に用いられる非水電解液を構成する電解質や溶媒等を含有していてもよい。ただし、電極活物質層32は、公知の電極用バインダを含有していないことが好ましい。
導電助剤は、導電性を有する材料から選択される。具体的には、金属[ニッケル、アルミニウム、ステンレス(SUS)、銀、銅及びチタン等]、カーボン[グラファイト及びカーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック等)等]、及びこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
これらの導電助剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。また、これらの合金又は金属酸化物を用いてもよい。電気的安定性の観点から、好ましくはアルミニウム、ステンレス、カーボン、銀、銅、チタン及びこれらの混合物であり、より好ましくは銀、アルミニウム、ステンレス及びカーボンであり、さらに好ましくはカーボンである。またこれらの導電助剤としては、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電性材料(上記した導電助剤の材料のうち金属のもの)をめっき等でコーティングしたものでもよい。
導電助剤の平均粒子径は、特に限定されるものではないが、電池の電気特性の観点から、0.01~10μmであることが好ましく、0.02~5μmであることがより好ましく、0.03~1μmであることがさらに好ましい。なお、本明細書中において、「粒子径」とは、導電助剤の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離Lを意味する。「平均粒子径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)等の観察手段を用い、数~数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。
導電助剤の形状(形態)は、粒子形態に限られず、粒子形態以外の形態であってもよく、カーボンナノチューブ等、いわゆるフィラー系導電性材料として実用化されている形態であってもよい。
導電助剤は、その形状が繊維状である導電性繊維であってもよい。
導電性繊維としては、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維、合成繊維の中に導電性のよい金属や黒鉛を均一に分散させてなる導電性繊維、ステンレス鋼のような金属を繊維化した金属繊維、有機物繊維の表面を金属で被覆した導電性繊維、有機物繊維の表面を導電性物質を含む樹脂で被覆した導電性繊維等が挙げられる。これらの導電性繊維の中では炭素繊維が好ましい。また、グラフェンを練りこんだポリプロピレン樹脂も好ましい。
導電助剤が導電性繊維である場合、その平均繊維径は0.1~20μmであることが好ましい。
電極活物質層32に含まれる導電助剤の重量割合は、電極活物質層32の重量を基準として0~5重量%であることが好ましい。
溶液乾燥型の公知の電極用バインダとしては、デンプン、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)等が挙げられる。
ただし、公知の電極用バインダの含有量は、電極活物質層32全体の重量を基準として、2.0重量%以下であることが好ましい。
電極活物質層32に含まれる公知の電極用バインダの重量割合は、電極活物質層32の重量を基準として0~2重量%であることが好ましく、0~0.5重量%であることがより好ましい。
電極活物質層32は、公知の電極用バインダではなく、粘着性樹脂を含むことが好ましい。電極活物質層32が上記溶液乾燥型の公知の電極用バインダを含む場合には、圧縮成形体を形成した後に乾燥工程を行うことで一体化する必要があるが、粘着性樹脂を含む場合には、乾燥工程を行うことなく常温において僅かな圧力で電極活物質層32を一体化することができる。乾燥工程を行わない場合、加熱による圧縮成形体の収縮や亀裂の発生がおこらないため好ましい。
なお、溶液乾燥型の電極用バインダは、溶媒成分を揮発させることで乾燥、固体化して電極活物質粒子同士を強固に固定するものを意味する。一方、粘着性樹脂は、粘着性(水、溶媒、熱等を使用せずに僅かな圧力を加えることで接着する性質)を有する樹脂を意味する。
溶液乾燥型の電極用バインダと粘着性樹脂とは異なる材料である。
粘着性樹脂としては、被覆層を構成する高分子化合物(特開2017-054703号公報に記載された非水系二次電池活物質被覆用樹脂等)に少量の有機溶剤を混合してそのガラス転移温度を室温以下に調整したもの、及び、特開平10-255805公報等に粘着剤として記載されたものを好適に用いることができる。
電極活物質層32に含まれる粘着性樹脂の重量割合は、電極活物質層32の重量を基準として0~2重量%であることが好ましい。
電極活物質層32に含まれる樹脂成分(被覆用高分子化合物、電極用バインダ及び粘着性樹脂)の合計重量の割合は、0.1~10重量%であることが好ましい。
電解質としては、公知の非水電解液に用いられているもの等が使用でき、例えば、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF及びLiClO等の無機酸のリチウム塩、LiN(CFSO、LiN(CSO及びLiC(CFSO等の有機酸のリチウム塩等が挙げられる。これらの内、電池出力及び充放電サイクル特性の観点から好ましいのはLiPFである。
溶媒としては、公知の非水電解液に用いられているもの等が使用でき、例えば、ラクトン化合物、環状又は鎖状カーボネート、鎖状カルボン酸エステル、環状又は鎖状エーテル、リン酸エステル、ニトリル化合物、アミド化合物、スルホン、スルホラン等及びこれらの混合物を用いることができる。
集電体31としては、正極集電体又は負極集電体が挙げられる。
正極集電体を構成する材料としては、銅、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、焼成炭素、導電性高分子及び導電性ガラス等が挙げられる。また、正極集電体として、導電剤と樹脂からなる樹脂集電体を用いてもよい。
負極集電体を構成する材料としては、銅、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル及びこれらの合金等の金属材料等が挙げられる。なかでも、軽量化、耐食性、高導電性の観点から、好ましくは銅である。負極集電体としては、焼成炭素、導電性高分子及び導電性ガラス等からなる集電体であってもよく、導電剤と樹脂からなる樹脂集電体であってもよい。
正極集電体、負極集電体とも、樹脂集電体を構成する導電剤としては、電極活物質層32に含まれる導電助剤と同様のものを好適に用いることができる。
樹脂集電体を構成する樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリシクロオレフィン(PCO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂又はこれらの混合物等が挙げられる。
電気的安定性の観点から、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)及びポリシクロオレフィン(PCO)が好ましく、さらに好ましくはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリメチルペンテン(PMP)である。
以上に、本発明の実施形態およびその変形例を説明したが、実施形態および変形例における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
9…積層体、20…単セル(電池セル)、30…電極(電池用電極)、30a…正極(電極、電池用電極)、30b…負極(電極、電池用電極)、40…セパレータ、45…枠体、50…搬送治具、51…治具枠部、54…凹溝、55…支持シート、80…脱気管、155…後乗せシート

Claims (10)

  1. それぞれ搬送治具上に配置される電池用電極を、2つ用意する予備工程と、
    2つの前記電池用電極を、セパレータを介して互いに向かい合わせに積層して積層体を形成する積層工程と、
    前記積層体の内部の空気を抜く脱気工程と、
    前記積層体において2つの前記電池用電極を一体化する溶着工程と、を有し、
    前記積層工程、前記脱気工程、および前記溶着工程は、2つの搬送治具のうち少なくとも一方を残したまま行われる、
    電池セルの製造方法。
  2. 前記搬送治具は、
    治具枠部と、
    前記治具枠部に架け渡され前記電池用電極を保持する可撓性の支持シートと、を有し、
    前記積層工程において、2つの前記電池用電極は、前記搬送治具に保持された状態で積層され、
    前記脱気工程において、前記積層体を2つの前記搬送治具の前記支持シートの間に挟み、2つの前記支持シートの間から空気を抜く、
    請求項1に記載の電池セルの製造方法。
  3. 2つの前記搬送治具の前記治具枠部には、積層方向から見て互いに重なり同方向に延びる凹溝がそれぞれ設けられ、
    前記脱気工程は、対向する2つの前記凹溝に脱気管を配置して行う、
    請求項2に記載の電池セルの製造方法。
  4. 前記溶着工程を脱気した後に密閉することで圧力を保持して行う、
    請求項2又は3に記載の電池セルの製造方法。
  5. 前記溶着工程を脱気しながら行う、
    請求項2又は3に記載の電池セルの製造方法。
  6. 前記搬送治具は、
    治具枠部と、
    前記治具枠部に架け渡され、前記電池用電極を保持する可撓性の支持シートと、を有し、
    前記脱気工程の前に、前記積層体の積層方向の一方側から前記積層体を前記搬送治具に支持させた状態で、前記積層方向の他方側に可撓性の後乗せシートを配置する後乗せ工程を有し、
    前記脱気工程において、前記積層体を前記後乗せシートと前記搬送治具の前記支持シートとの間に挟み、前記後乗せシートと前記支持シートとの間から空気を抜く、
    請求項1に記載の電池セルの製造方法。
  7. 前記後乗せシートは、耐熱性のシートであり、
    前記溶着工程は、前記後乗せシートを介して前記電池用電極の枠体に熱を付与して前記枠体同士を熱溶着する工程である、
    請求項6に記載の電池セルの製造方法。
  8. 前記治具枠部は、矩形状であり、4辺のうち2つの短辺に前記支持シートが架け渡される、
    請求項2~7の何れか一項に記載の電池セルの製造方法。
  9. 前記電池用電極は、前記搬送治具上で前記支持シートに保持される、
    請求項2~8の何れか一項に記載の電池セルの製造方法。
  10. 前記積層工程において、2つの前記電池用電極は、前記搬送治具に保持された状態で、互いに積層される、
    請求項1~9の何れか一項に記載の電池セルの製造方法。
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