JP2022094314A - 高分子化合物の製造方法 - Google Patents

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貴也 永田
Takaya Nagata
宏樹 寺井
Hiroki Terai
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Abstract

【課題】本発明は、水酸基含有不純物の含有量を低減させた高分子化合物の製造方法を提供する。【解決手段】触媒、塩基、溶媒、並びに、-2~+4価の硫黄原子を含む無機化合物及び低原子価金属化合物からなる群から選択される還元剤の存在下、1以上のモノマーを鈴木カップリング反応により重合反応させて高分子化合物を製造する工程、を含む高分子化合物の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、高分子化合物の製造方法に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」ともいう。)は、発光効率が高く、駆動電圧が低いことから、ディスプレイの用途に好適に使用することが可能であり、近年注目されている。この発光素子は、発光層、電荷輸送層等の有機層を備える。有機層の材料として高分子化合物を用いることで、インクジェット印刷法に代表される塗布法により有機層を形成することができる。発光素子の製造に用いる高分子化合物及びその製造方法が検討されており、このような高分子化合物は、所定のモノマー化合物を鈴木カップリング反応等により重合させて製造することができる(特許文献1)。
有機EL素子の課題としては、駆動に伴って経時的に発光輝度が低下する現象が挙げられる。発光輝度が低下する原因の一つとして、有機EL材料に含まれる水酸基含有不純物の存在が知られている(特許文献2)。当該水酸基含有不純物は、例えば鈴木カップリング反応の副生成物として生成することが報告されている(非特許文献1)。
特開2020-26505号公報 国際公開第2008/126802号
Journal of American Chemical Society, 2006年, 128巻, 6829頁
発光素子の発光輝度を改善するために、高分子化合物に含まれる水酸基含有不純物を低減させることが必要である。本発明は、水酸基含有不純物の含有量が低減された高分子化合物の製造方法を提供することを目的とする。特に、水酸基含有不純物の生成を抑制できる、鈴木カップリング反応を用いた高分子化合物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、還元剤を添加して鈴木カップリングを用いた重合反応を行うことで、高分子化合物に含まれる水酸基含有不純物の含有量を十分に低減できることを見出した。かかる知見に基づいて、更に検討を加えることにより、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の[1]~[8]を提供する。
[1] 触媒、塩基、溶媒、並びに、-2~+4価の硫黄原子を含む無機化合物及び低原子価金属化合物からなる群から選択される還元剤の存在下、1以上のモノマーを鈴木カップリング反応を利用して重合反応させて高分子化合物を製造する工程、を含む高分子化合物の製造方法。
[2] 式(M-1)で表される化合物及び式(M-2)で表される化合物を含むモノマーを鈴木カップリング反応を利用して重合反応させて、式(U-1)で表される構成単位及び式(U-2)で表される構成単位を含む高分子化合物を製造する工程、を含む[1]に記載の高分子化合物の製造方法。
Figure 2022094314000001
[式中、
Ara1、Ara2、Ara3、Arb1、Arb2及びArb3は、それぞれ独立に、2価の芳香族炭化水素基、2価の複素環基、又は、2価の芳香族炭化水素基及び2価の複素環基のうち2個以上の基が直接若しくは連結基を介して連結した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよく、Ara2、Ara3、Arb2及びArb3がそれぞれ複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
a1、Ra2、Rb1及びRb2は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよく、Ra1、Ra2、Rb1及びRb2がそれぞれ複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
a1及びb1は、それぞれ独立に、0、1又は2を表す。
a2及びb2は、それぞれ独立に、0又は1を表し、a2及びb2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
1、Z2、Z3及びZ4は、それぞれ独立に、置換基A群及び置換基B群から選ばれる基又は原子を表す。但し、Z1、Z2、Z3及びZ4のうち、少なくとも一種は置換基A群から選ばれる基又は原子であり、少なくとも一種は置換基B群から選ばれる基である。]
<置換基A群>
塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、及び、-O-S(=O)2C1(式中、RC1は、アルキル基又はアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。)で表される基。
<置換基B群>
-B(ORC2)2(式中、RC2は、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRC2は、同一でも異なっていてもよく、互いに連結して、それぞれが結合する酸素原子と共に環を形成していてもよい。)で表される基。
Figure 2022094314000002
[式中、Ara1、Ara2、Ara3、Arb1、Arb2、Ra1、Ra2、Rb1、Rb2、a1、a2、b1及びb2は、前記と同じ意味を表す。]
[3] 前記-2~+4価の硫黄原子を含む無機化合物が、Mxyz(式中、Mは1価若しくは2価の金属原子、アンモニウム塩又は水素原子を表す。x及びyは、それぞれ独立に、1又は2を表し、yが1のときzは3を表し、yが2のときzは3、4又は5を表す。)で表される化合物である、[1]又は[2]に記載の高分子化合物の製造方法。
[4] 前記低原子価金属化合物が+2価のマンガン原子又は+2価の鉄原子を含む無機化合物である、[1]又は[2]に記載の高分子化合物の製造方法。
[5] 前記触媒がパラジウム触媒である、[1]~[4]のいずれか一項に記載の高分子化合物の製造方法。
[6] 前記還元剤の使用量が、前記式(M-1)で表される化合物に対して0.01モル当量以上1000モル当量以下である、[1]~[5]のいずれか一項に記載の高分子化合物の製造方法。
[7] さらに、得られた高分子化合物及び溶媒を含む溶液と、シリカ/アルミナ比が1以上10以下のゼオライトとを接触させる工程を含む、[1]~[6]のいずれか一項に記載の高分子化合物の製造方法。
[8] 陽極、有機層及び陰極を有する発光素子の製造方法であって、[1]~[7]のいずれか一項に記載の製造方法により高分子化合物を製造する工程、並びに当該高分子化合物を用いて前記有機層を形成する工程を含む、発光素子の製造方法。
本発明の製造方法によれば、鈴木カップリング反応を用いた重合反応において水酸基含有不純物の生成を抑制できるため、水酸基含有不純物の含有量が十分に少ない高分子化合物を製造することができる。得られた高分子化合物を発光素子の材料として用いることにより、発光素子の輝度寿命を向上させることができる。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。
1.共通する用語の説明
本明細書で共通して用いられる用語は、特記しない限り、以下の意味である。
「水素原子」は、軽水素原子であっても重水素原子であってもよい。
「アルキル基」とは、直鎖、分岐及び環状のアルキル基を意味する。直鎖のアルキル基の炭素原子数は、通常1~50であり、好ましくは3~30であり、より好ましくは4~20である。分岐及び環状のアルキル基の炭素原子数は、通常3~50であり、好ましくは3~30であり、より好ましくは4~20である。当該「アルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソアミル基、2-エチルブチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-n-プロピルヘプチル基、n-デシル基、3,7-ジメチルオクチル基、2-エチルオクチル基、2-n-ヘキシル-デシル基、n-ドデシル基等が挙げられる。
「アルキル基」は1~20個の置換基を有していてもよい。
「アリール基」とは、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた1価の基を意味する。芳香族炭化水素の炭素原子数は、通常6~60であり、好ましくは6~20であり、より好ましくは6~10である。当該「アリール基」としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントラセニル基、2-アントラセニル基、9-アントラセニル基、1-ピレニル基、2-ピレニル基、4-ピレニル基、2-フルオレニル基、3-フルオレニル基、4-フルオレニル基等が挙げられる。
「アリール基」は1~10個の置換基を有していてもよい。
「アルコキシ基」とは、直鎖、分岐及び環状のアルコキシ基を意味する。直鎖のアルコキシ基の炭素原子数は、通常1~40であり、好ましくは4~10である。分岐及び環状のアルコキシ基の炭素原子数は、通常3~40であり、好ましくは4~10である。当該「アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、3,7-ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基等が挙げられる。
「アルコキシ基」は1~10個の置換基を有していてもよい。
「アリールオキシ基」とは、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を酸素原子に置き換えた1価の基を意味する。「アリールオキシ基」の炭素原子数は、通常6~60であり、好ましくは7~48である。当該「アリールオキシ基」としては、例えば、フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、1-アントラセニルオキシ基、9-アントラセニルオキシ基、1-ピレニルオキシ基等が挙げられる。
「アリールオキシ基」は1~10個の置換基を有していてもよい。
「置換アミノ基」は、2つの置換基を有するアミノ基を意味する。当該置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基(該アリール基はアルキル基を有していてもよい)、1価の複素環基等が挙げられる。当該置換基は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。当該「置換アミノ基」としては、例えば、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、ジ(モノ又はジアルキルアリール)アミノ基が挙げられ、具体的には、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、N-カルバゾリル基、N-ピペリジル基、N-モルホリル基等が挙げられる。
「エステル化されたカルボキシル基」とは、式:-COOR'(R'は、アルキル基、アリール基、1価の複素環基等を表す。)で表される基を意味する。当該「エステル化されたカルボキシル基」としては、例えば、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基が挙げられ、具体的には、例えば、-CO2CH3で表される基、-CO225で表される基、-CO265で表される基等が挙げられる。
「アルケニル基」は、直鎖、分岐及び環状のいずれでもよい。直鎖のアルケニル基の炭素原子数は、通常2~30であり、好ましくは2~20である。分岐及び環状のアルケニル基の炭素原子数は、通常3~30であり、好ましくは4~20である。当該「アルケニル基」としては、例えば、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、2-ブテン-1-イル基、3-ブテン-1-イル基、1-シクロヘキセニル基、1-ノルボルニル基、2-ノルボルニル基等が挙げられる。
「アルケニル基」は1~20個の置換基を有していてもよい。
「アルキニル基」は、直鎖、分岐及び環状のいずれでもよい。直鎖のアルキニル基の炭素原子数は、通常2~30であり、好ましくは2~20である。分岐及び環状のアルキニル基の炭素原子数は、通常4~30であり、好ましくは4~20である。当該「アルキニル基」としては、例えば、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、2-ブチン-1-イル基、3-ブチン-1-イル基等が挙げられる。
「アルキニル基」は1~20個の置換基を有していてもよい。
「金属錯体含有基」は、金属原子とそれに配位する配位子とから形成される錯体を含む基を意味する。例えば、式(C-1)~式(C-4)のいずれかで表される基が挙げられる。
Figure 2022094314000003
[式中、MはIr又はPtである。MがIrのとき、m=2であり、MがPtのとき、m=1である。環Aは置換基を有していてもよい窒素原子を含む環状構造を表す。環Bは置換基を有していてもよい炭素原子を含む環状構造を表す。Rは、水素原子、フッ素原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル化されたカルボキシル基、アルケニル基、アルキニル基、架橋基、金属錯体含有基を表す。Rは、置換可能な基である場合、置換基を有していてもよい。Rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。隣接するR同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
環Aとしては、例えば、含窒素芳香環(ピリジン等)が挙げられる。環Bとしては、例えば、芳香環(ベンゼン等)又は複素芳香環(ジベンゾチオフェン等)が挙げられる。環A及び環Bは置換基を有していてもよい。環A及び環Bはそれぞれ、例えば、フッ素原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル化されたカルボキシル基、アルケニル基、アルキニル基、架橋基等から選択される1~4個の置換基を有していてもよい。
「2価の芳香族炭化水素基」とは、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた2価の基、及び当該2価の基からなる群から選ばれる複数個(例えば、2~5個)が結合した2価の基を意味する。2価の芳香族炭化水素基の炭素原子数は、通常、6~60であり、好ましくは6~30であり、より好ましくは6~18である。当該「2価の芳香族炭化水素基」としては、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、ナフタセンジイル基、フルオレンジイル基、ピレンジイル基、ペリレンジイル基、クリセンジイル基等が挙げられる。
「2価の芳香族炭化水素基」は1~10個の置換基を有していてもよい。当該「置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基」としては、例えば、式(A-1)~式(A-21)で表される基が挙げられる。
Figure 2022094314000004
Figure 2022094314000005
[式中、Rは、前記と同じ意味を表す。]
「1価の複素環基」とは、複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち1個の水素原子を除いた1価の基を意味する。1価の複素環基の中でも、芳香族複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち1個の水素原子を除いた1価の基である「1価の芳香族複素環基」が好ましい。「1価の複素環基」としては、例えば、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピリミジニル基、トリアジニル基等が挙げられる。
「芳香族複素環式化合物」とは、例えば、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、オキサゾール、チオフェン、ピロール、ホスホール、フラン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、ジベンゾシロール、ジベンゾホスホール等の複素環自体が芳香族性を示す化合物;フェノキサジン、フェノチアジン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、ベンゾピラン等の複素環自体は芳香族性を示さなくとも、複素環に芳香環が縮環されている化合物;並びにそれらの化合物が複数結合した化合物のいずれをも意味する。
「1価の複素環基」は1~5個の置換基を有していてもよい。
「2価の複素環基」とは、複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち2個の水素原子を除いた2価の基を意味する。2価の複素環基の中でも、芳香族複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち2個の水素原子を除いた2価の基である「2価の芳香族複素環基」が好ましい。「2価の複素環基」としては、例えば、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾシロール、フェノキサジン、フェノチアジン、アクリジン、ジヒドロアクリジン、フラン、チオフェン、アゾール、ジアゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、チアジアゾール等の芳香族複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち2個の水素原子を除いた2価の基、及び当該2価の基からなる群から選ばれる複数(例えば、2~4個)が結合した2価の基が挙げられる。
「2価の複素環基」は1~5個の置換基を有していてもよい。当該「置換基を有していてもよい2価の複素環基」として好ましくは、式(B-1)~式(B-27)で表される基である。
Figure 2022094314000006
Figure 2022094314000007
Figure 2022094314000008
[式中、Rは前記と同じ意味を表す。]
「2価の芳香族炭化水素基及び2価の複素環基のうち2個以上の基が直接若しくは連結基を介して連結した2価の基」としては、上述した2価の芳香族炭化水素基の1個又は2個以上と、上述した2価の複素環基の1個又は2個以上とが、直接若しくは連結基を介して任意に結合した2価の基を意味する。2価の芳香族炭化水素基及び2価の複素環基としては、上述したものが挙げられる。連結基としては、例えば、アルキレン基(炭素数1~10のアルキレン基等)、-O-、-S-、-(CO)-、又は、これらから選ばれる2個以上の基が結合した2価の基を表す。但し、-O-同士、-S-同士、-O-及び-S-は、互いに直接結合しない。
「2価の芳香族炭化水素基及び2価の複素環基のうち2個以上の基が直接若しくは連結基を介して連結した2価の基」は置換基を有していてもよく、その部分構造である2価の芳香族炭化水素基上には、1~10個の置換基を有していてもよく、他の部分構造である2価の複素環基上には、1~5個の置換基を有していてもよい。
「架橋基」とは、加熱、紫外線照射、近紫外線照射、可視光照射、赤外線照射、又はラジカル反応等に供することにより、新たな結合を生成することが可能な基であり、好ましくは、式(XL-1)~式(XL-21)で表される架橋基が挙げられる。
Figure 2022094314000009
Figure 2022094314000010
「架橋基」は1~5個の置換基を有していてもよい。
「置換基」とは、例えば、フッ素原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル化されたカルボキシル基、アルケニル基、アルキニル基、金属錯体含有基、架橋基を表す。本明細書において、ある基が置換基を有していてもよい、と表現されている場合、その基は前記置換基として列挙されている基を少なくとも一つ有していてもよいことを意味する。
「構成単位」とは、高分子化合物中に1個以上存在する単位を意味する。「構成単位」は、通常、高分子化合物中に2個以上存在し、一般に「繰り返し単位」と呼ばれる。
2.高分子化合物
本発明の高分子化合物は、1以上(又は2以上)のモノマーを鈴木カップリング反応を利用して重合反応させて製造される化合物である。本発明の高分子化合物の一態様は、式(U-1)で表される構成単位及び式(U-2)で表される構成単位を含む高分子化合物である。
前記高分子化合物は、分子量分布を有し、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、1×103~1×108の範囲が好ましく、1×104~1×106の範囲がより好ましく、3×104~5×105の範囲が更に好ましい。
前記高分子化合物は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいし、その他の様態であってもよいが、複数種の原料モノマーを共重合した共重合体であることが好ましい。
前記高分子化合物は、少なくとも一つの架橋基を置換基として有していることが好ましい。
<式(U-1)で表される構成単位及び式(U-2)で表される構成単位>
Ara1、Ara2、Ara3、Arb1、Arb2及びArb3としては、2価の芳香族炭化水素基又は2価の複素環基が好ましく、2価の芳香族炭化水素基がより好ましい。
a1、Ra2、Rb1及びRb2としては、アルキル基又はアリール基が好ましく、アリール基がより好ましい。
a1及びb1としては、0又は1が好ましい。
a2及びb2としては、0が好ましい。
a1又はb1のいずれかが0のとき、他方は1又は2であることが好ましい。
式(U-1)で表される構成単位としては、例えば、式(V-1)~式(V-22)で表される構成単位が挙げられ、式(V-1)~式(V-3)、式(V-5)~式(V-10)、式(V-15)~式(V-22)で表される構成単位が好ましい。
式(U-2)で表される構成単位としては、例えば、式(V-1)~式(V-22)で表される構成単位が挙げられ、式(V-1)~式(V-3)、式(V-5)~式(V-10)、式(V-15)~式(V-22)で表される構成単位が好ましい。
Figure 2022094314000011
Figure 2022094314000012
Figure 2022094314000013
Figure 2022094314000014
[式中、Rは前記と同じ意味を表す。]
前記高分子化合物において、式(U-1)で表される構成単位は、高分子化合物に含まれる構成単位の合計量に対して、通常1モル%以上99モル%以下であり、20モル%以上80モル%以下であることが好ましく、40モル%以上60モル%以下であることがより好ましい。
式(U-1)で表される構成単位は、高分子化合物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
前記高分子化合物において、式(U-2)で表される構成単位は、高分子化合物に含まれる構成単位の合計量に対して、通常1モル%以上99モル%以下であり、20モル%以上80モル%以下であることが好ましく、40モル%以上60モル%以下であることがより好ましい。
式(U-2)で表される構成単位は、高分子化合物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
<その他の構成単位>
前記高分子化合物は、式(U-1)で表される構成単位及び式(U-2)で表される構成単位以外の「その他の構成単位」を含んでいてもよい。
「その他の構成単位」としては、例えば、2種以上の2価の芳香族炭化水素基からなる構成単位、2種以上の2価の複素環基からなる構成単位、又は、2価の芳香族炭化水素基と2価の複素環基とが直接結合した2価の基が、アルキレン基(例えば、-(CR2)-で表される基(式中、Rは前記と同じ意味を表す。))、-O-で表される基、-S-で表される基、-SiR2-で表される基(式中、Rは前記と同じ意味を表す。)及び-(CO)-で表される基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基を介して結合してなる2価の基からなる構成単位が挙げられる。
「その他の構成単位」としては、例えば、式(Y-1)~式(Y-8)で表される構成単位が挙げられ、式(Y-1)~式(Y-3)、式(Y-5)~式(Y-7)で表される構成単位が好ましく、式(Y-1)~式(Y-3)で表される構成単位がより好ましい。
Figure 2022094314000015
Figure 2022094314000016
[式中、Rは前記と同じ意味を表す。]
前記高分子化合物が「その他の構成単位」を含む場合、「その他の構成単位」は、高分子化合物に含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは1モル%~80モル%であり、より好ましくは1モル%~60モル%であり、更に好ましくは1モル%~40モル%である。
「その他の構成単位」は、高分子化合物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
3.高分子化合物の製造方法
次に、本実施形態の高分子化合物の製造方法について説明する。
3-1.重合工程
本発明の高分子化合物の製造方法では、触媒、塩基、溶媒、並びに、-2~+4価の硫黄原子を含む無機化合物及び低原子価金属化合物からなる群から選択される還元剤の存在下、1以上(又は2以上)のモノマーを鈴木カップリング反応を利用して重合反応させて高分子化合物を製造する工程(以下、「重合工程」ともいう)を含むことを特徴とする。当該1以上のモノマーは、それぞれ鈴木カップリング反応に用いられる2個以上(特に2個)の反応性官能基を有している。当該反応性官能基としては、前記置換基A群で表される置換基(ハロゲン原子等)及び前記置換基B群で表される置換基(ボロン酸エステル残基等)が挙げられる。モノマーが1種類の場合、モノマーは1つ以上の前記置換基A群で表される置換基(ハロゲン原子等)及び1つ以上の前記置換基B群で表される置換基(ボロン酸エステル残基等)を有する。モノマーが2種類以上の場合、モノマー全種類中には、2つ以上の前記置換基A群で表される置換基(ハロゲン原子等)及び2つ以上の前記置換基B群で表される置換基(ボロン酸エステル残基等)を有する。
本発明の製造方法の一態様として、例えば、触媒、塩基、溶媒、並びに、-2~+4価の硫黄原子を含む無機化合物及び低原子価金属化合物からなる群から選択される還元剤の存在下、式(M-1)で表される化合物と、式(M-2)で表される化合物とを鈴木カップリング反応を利用して重合反応させることにより、水酸基含有不純物の含有量が低減された式(U-1)で表される構成単位及び式(U-2)で表される構成単位を有する高分子化合物を得る方法が挙げられる。
式(M-1)で表される化合物及び式(M-2)で表される化合物における、Ara1、Ara2、Ara3、Arb1、Arb2、Ra1、Ra2、Rb1、Rb2、a1、a2、b1及びb2は、前記と同じ意味を表す。
1、Z2、Z3及びZ4のうち、2つの基が置換基A群から選ばれる基又は原子であり、且つ、他の2つの基が置換基B群から選ばれる基又は原子であることが好ましい。
そのうち、Z1及びZ2が置換基A群から選ばれる基又は原子であり、且つ、Z3及びZ4が置換基B群から選ばれる基又は原子であることがより好ましい。また、Z1及びZ2が置換基B群から選ばれる基又は原子であり、且つ、Z3及びZ4が置換基A群から選ばれる基又は原子であることがより好ましい。
上記所定の還元剤の存在下で重合反応させることにより、水酸基含有不純物の生成が抑制され水酸基含有不純物の含有量が低減された高分子化合物を製造することができる。そのメカニズムは必ずしも明らかではないが、一般に鈴木カップリング反応を用いた重合反応では、反応系中に存在する微量の酸素がパラジウム等の金属錯体と反応してペルオキソ錯体が生成する。このペルオキソ錯体がホウ素化合物と反応して過酸化水素等価体が生成し、過酸化水素等価体がホウ素化合物と反応してホウ素が水酸基に変換されて水酸基含有化合物を与えていると考えられる。本発明の重合工程では、反応系中に存在する還元剤が、生成する過酸化物を速やかに除去する働きを有するため、水酸基含有化合物の生成が抑制されていると想定される。そのため、重合反応は還元剤の存在下で実施することが望ましく、重合反応後に還元剤を添加しても上記の水酸基含有化合物の生成が抑制される効果は期待できないと考えられる。
前記重合反応において、不活性ガス置換により反応容器内の酸素濃度を低減させることが好ましい。酸素濃度は0.2%未満であることが好ましく、0.05%未満であることがより好ましい。
前記重合反応において、反応温度は、通常-100℃以上200℃以下であり、0℃以上150℃以下が好ましく、60℃以上120℃以下が更に好ましい。
前記重合反応において、反応時間は、通常0.1時間以上であり、0.5時間以上が好ましく、1時間以上がより好ましい。
式(M-1)で表される化合物及び式(M-2)で表される化合物は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。
触媒としては遷移金属触媒が挙げられ、例えば、ニッケルホスフィン錯体、ニッケル化合物とホスフィン化合物との組み合わせ、パラジウムホスフィン錯体、及び、パラジウム化合物とホスフィン化合物との組み合わせ等が挙げられる。
ニッケルホスフィン錯体としては、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ニッケル(II)等が挙げられる。
ニッケル化合物とホスフィン化合物との組み合わせとしては、ビス(シクロオクタジエン)ニッケル(0)、塩化ニッケル(II)等のニッケル化合物と、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン等のホスフィン化合物との組み合わせが挙げられる。
パラジウムホスフィン錯体としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリ-o-トリルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリ-o-メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロ[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)等のトリアリールホスフィンパラジウム錯体、ジクロロビス(メチルジフェニルホスフィン)パラジウム(II)等のアルキルジアリールホスフィンパラジウム錯体、ジクロロビス(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル)パラジウム(II)、ジクロロ[ジ-tert-ブチル(p-ジメチルアミノフェニル)]パラジウム(II)、(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)[2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)パラジウム(II)メタンスルフォネート、ジクロロビス(ジシクロペンチル-o-メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(II)等のジアルキルアリールホスフィンパラジウム錯体、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム(0)、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム(II)等のトリアルキルホスフィンパラジウム錯体等が挙げられる。
パラジウム化合物とホスフィン化合物の組み合わせとしては、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)等のパラジウム化合物と、トリ-o-トリルホスフィン、トリ-o-メトキシフェニルホスフィン、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン等のトリアリールホスフィン化合物、メチルジフェニルホスフィン等のアルキルジアリールホスフィン化合物、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-1-フェニルインドール、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-1-フェニル-1H-ピロール等のジアルキルアリールホスフィン化合物、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート、トリシクロヘキシルホスフィン、ジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン等のトリアルキルホスフィン化合物との組み合わせ等が挙げられる。
遷移金属触媒は、パラジウム錯体又はパラジウム化合物とホスフィン化合物との組み合わせが好ましく、2価のパラジウム錯体又は2価のパラジウム化合物とホスフィン化合物との組み合わせがより好ましい。
パラジウム錯体の中では、トリアリールホスフィンパラジウム錯体、アルキルジアリールホスフィンパラジウム錯体、ジアルキルアリールホスフィンパラジウム錯体又はトリアルキルホスフィンパラジウム錯体が好ましく、トリアリールホスフィンパラジウム錯体又はジアルキルアリールホスフィンパラジウム錯体がより好ましく、ジアルキルアリールホスフィンパラジウム錯体が更に好ましい。
ホスフィン化合物の中では、トリアリールホスフィン化合物、アルキルジアリールホスフィン化合物、ジアルキルアリールホスフィン化合物又はトリアルキルホスフィン化合物が好ましく、トリアリールホスフィン化合物又はジアルキルアリールホスフィン化合物がより好ましく、ジアルキルアリールホスフィン化合物が更に好ましい。
遷移金属触媒は、均一系錯体触媒であっても不均一系錯体触媒であってもよく、好ましくは、均一系錯体触媒である。
遷移金属触媒の使用量は、原料モノマーのモル数の合計に対する金属の量として、通常、0.00001モル当量以上1モル当量以下である。
塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、リン酸三カリウム等の無機塩基;フッ化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等の有機塩基が挙げられる。塩基は、それぞれ、1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
塩基の使用量は、原料モノマーの合計モル数に対して、通常4モル当量以上100モル当量以下である。
溶媒としては、例えば、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等の塩素炭化水素溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール、ジメトキシベンゼン、4-メチルアニソール等のエーテル溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、n-ヘキシルベンゼン、デシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-へプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン、n-ドデカン、ビシクロヘキシル等の脂肪族炭化水素溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート、安息香酸メチル、酢酸フェニル等のエステル溶媒;エチレングリコール、グリセリン、1,2-ヘキサンジオール等の多価アルコール溶媒;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド溶媒;N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド溶媒、水が挙げられる。溶媒は、1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
溶媒は、有機溶媒1種以上と水を併用することが好ましい。
有機溶媒1種以上の合計体積の水の体積に対する比率は、1/2以上が好ましく、1以上がより好ましく、2以上が更に好ましく、4以上が特に好ましい。
少なくとも一種の溶媒は疎水性の有機溶媒であることが好ましく、塩素化炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒又は脂肪族炭化水素溶媒であることがより好ましく、芳香族炭化水素溶媒であることが更に好ましい。
溶媒の使用量は、通常、原料モノマーの合計100質量部に対して、10質量部以上100000質量部以下であり、30質量部以上30000質量部以下が好ましく、100質量部以上10000質量部以下がより好ましい。
前記重合反応では、更に相間移動触媒を使用してもよい。相関移動触媒としては、例えば、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。相間移動触媒は、それぞれ、1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
相間移動触媒の使用量は、原料モノマーの合計モル数に対して、通常0.001モル当量以上100モル当量以下である。
還元剤としては、-2~+4価の硫黄原子を含む無機化合物が挙げられる。-2~+4価の硫黄原子を含む無機化合物としては、Mxyz(式中、Mは1価若しくは2価の金属原子、アンモニウム塩又は水素原子を表す。x及びyは、それぞれ独立に、1又は2を表し、yが1のときzは3を表し、yが2のときzは3、4又は5を表す。)で表される化合物が好ましく、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、チオ硫酸塩、亜ジチオン酸塩がより好ましく、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウムが更に好ましく、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムが特に好ましい。還元剤は、それぞれ、1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
還元剤としては、低原子価金属化合物が挙げられる。本明細書において低原子価金属化合物とは、金属原子の酸化状態が最大ではない金属化合物である。低原子価金属化合物としては、3族から8族、11族及び12族の低原子価金属化合物が好ましく、7族及び8族の低原子価金属化合物がより好ましい。低原子価金属化合物としては、第4周期から第5周期の低原子価金属化合物が好ましく、第4周期の低原子価金属化合物がより好ましい。低原子価金属化合物としては、2価のマンガン化合物及び2価の鉄化合物が好ましく、塩化マンガン(II)、硫酸マンガン(II)、炭酸マンガン(II)、硝酸マンガン(II)、酸化マンガン(II)酢酸マンガン(II)、塩化鉄(II)、硫酸鉄(II)、炭酸鉄(II)、硝酸鉄(II)、酸化鉄(II)及び酢酸鉄(II)がより好ましく、硫酸マンガン(II)、塩化マンガン(II)、炭酸マンガン(II)及び塩化鉄(II)が更に好ましく、硫酸マンガン(II)及び塩化鉄(II)が特に好ましい。また、低原子価金属化合物は溶媒和物(特に水和物)であってもよい。水和物としては、例えば、硫酸マンガン(II)一水和物(MnSO・HO)、硫酸マンガン(II)四水和物(MnSO・4HO)、硫酸マンガン(II)五水和物(MnSO・5HO)、硫酸マンガン(II)七水和物(MnSO・7HO)、塩化マンガン(II)二水和物(MnCl・2HO)、塩化マンガン(II)四水和物(MnCl・4HO)、炭酸マンガン(II)n水和物(MnCO・nHO)、塩化鉄(II)四水和物等が挙げられる。
還元剤の使用量は、通常、原料モノマーの合計モル数に対して、0.01モル当量以上1000モル当量以下であり、0.01モル当量以上100モル当量以下が好ましく、0.1モル当量以上10モル当量以下がより好ましい。
還元剤を添加するタイミングとしては、分子量の伸長が停止するまでに添加すればよく、分子量が伸長する前、即ち重合開始前に添加することがより好ましい。
式(M-1)で表される化合物及び式(M-2)で表される化合物における、Ara1、Ara2、Ara3、Arb1、Arb2、Arb3、Ra1、Ra2、Rb1、Rb2、a1、a2、b1及びb2の説明及び好ましい例は、式(U-1)で表される化合物及び式(U-2)で表される化合物における説明及び好ましい例と同じである。
置換基A群としては、塩素原子及び臭素原子が好ましく、臭素原子がより好ましい。
置換基B群としては、ボロン酸エステル残基が好ましく、式(G-1)~式(G-10)で表されるボロン酸エステル残基がより好ましく、式(G-4)、式(G-6)~式(G-10)で表されるボロン酸エステル残基が更に好ましい。
1及びZ2は置換基A群から、Z3及びZ4は置換基B群から選択することが好ましい。
Figure 2022094314000017
式(M-1)で表される構成単位としては、例えば、式(J-1)~式(J-22)で表される構成単位が挙げられ、式(J-1)~式(J-3)、式(J-5)~式(J-10)、式(J-15)~式(J-22)で表される構成単位が好ましい。
Figure 2022094314000018
Figure 2022094314000019
Figure 2022094314000020
Figure 2022094314000021
[式中、Rは前記と同じ意味を表す。]
式(M-2)で表される構成単位としては、例えば、式(K-1)~式(K-13)で表される構成単位が挙げられ、式(K-1)~式(K-3)、式(K-5)~式(K-9)、式(K-13)で表される構成単位が好ましい。
Figure 2022094314000022
Figure 2022094314000023

Figure 2022094314000024
[式中、Rは前記と同じ意味を表す。]
前記重合反応では、更に式(M-1)で表される化合物及び式(M-2)で表される化合物以外の「その他の化合物」を重合反応させてもよい。
「その他の化合物」としては、例えば、式(L-1)~式(L-8)で表される化合物が挙げられ、式(L-1)~式(L-3)、式(L-5)~式(L-7)で表される化合物が好ましく、式(L-1)~式(L-3)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2022094314000025
[式中、Rは前記と同じ意味を表す。]
3-2.ゼオライト接触工程
本発明では、上記で得られた高分子化合物をさらにゼオライトで処理することにより、より一層水酸基含有不純物の含有量を低減することができる。具体的には、上記で得られた高分子化合物と溶媒とを含む溶液と、シリカ/アルミナ比(SiO2/Al23のモル比)が1以上10以下のゼオライトを接触させる工程(以下、「ゼオライト接触工程」ともいう。)である。以下、ゼオライト接触工程について説明する。
<高分子化合物と溶媒を含む溶液>
高分子化合物と溶媒を含む溶液は重合反応液をそのまま使用してもよいし、重合反応液を後処理精製した溶液を使用してもよいし、固体の高分子化合物を有機溶媒で溶解させてから使用してもよい。
溶媒としては、高分子化合物が溶解し得る溶媒であればよい。かかる溶媒の具体例としては、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等の塩素炭化水素溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール、ジメトキシベンゼン、4-メチルアニソール等のエーテル溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、n-ヘキシルベンゼン、デシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-へプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン、n-ドデカン、ビシクロヘキシル等の脂肪族炭化水素溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート、安息香酸メチル、酢酸フェニル等のエステル溶媒;エチレングリコール、グリセリン、1,2-ヘキサンジオール等の多価アルコール溶媒;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド溶媒;N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド溶媒が挙げられる。溶媒は、1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
少なくとも一種の溶媒は塩素化炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒又は脂肪族炭化水素溶媒であることが好ましく、芳香族炭化水素溶媒であることがより好ましい。
また、少なくとも一種の溶媒は疎水性の溶媒であることが好ましい。
溶媒の使用量は、高分子化合物に対して、1~200質量倍が好ましく、5~100質量倍がより好ましい。
<ゼオライト>
ゼオライトは、一般式M2/nO・Al23・xSiO2・yH2O(x≧2)で表されるアルミノケイ酸塩である。ここで、Mは陽イオン、nは陽イオンの価数である。ゼオライトの特性を表す指標としてシリカ/アルミナ比(SiO2/Al23のモル比)がある。本発明の高分子化合物の製造方法で使用するゼオライトは、シリカ/アルミナ比が1以上10以下のゼオライトである。高分子化合物中の水酸基含有不純物を効率的に低減できるので、ゼオライトのシリカ/アルミナ比は、1以上7以下が好ましく、1以上6以下がより好ましく、1.2以上3以下が更に好ましい。
前記ゼオライトは、天然ゼオライトであっても合成ゼオライトであってもよい。組成や細孔の均一性の点から、合成ゼオライトが好ましい。
前記ゼオライトは、市販されているものを用いてもよいし、合成ゼオライトであれば、公知の方法に従い製造したものを用いてもよい。
前記ゼオライトは、例えばA型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、L型ゼオライト等が挙げられ、A型ゼオライト、X型ゼオライトが好ましく、X型ゼオライトがより好ましい。
前記ゼオライトのカチオンタイプとしては、例えば、プロトン型、リチウム型、ナトリウム型、カリウム型、カルシウム型、アンモニウム型等が挙げられる。高分子化合物中の水酸基含有不純物を効率的に低減できるので、プロトン型、ナトリウム型、カリウム型、カルシウム型が好ましく、ナトリウム型、カリウム型、カルシウム型がより好ましく、ナトリウム型、カルシウム型が更に好ましい。
前記ゼオライトの細孔径は、0.1nm~1.5nmが好ましく、0.2nm~1.0nmがより好ましく、0.3nm~0.5nmが更に好ましい。細孔径は、ガス吸着法、特に窒素ガス吸着法により測定することができる。
前記ゼオライトは、単独で用いてもよいし、これらを混合して使用してもよい。
前記ゼオライトはモレキュラーシーブスであってもよく、例えば市販されているモレキュラーシーブス3A、モレキュラーシーブス4A、モレキュラーシーブス5A、及びモレキュラーシーブス13Xが挙げられる。
前記ゼオライトの形状は、粉末状、ビーズ状、ペレット状等が挙げられる。高分子化合物中の水酸基含有不純物を効率的に低減できるので、ゼオライトの形状は粉末状のものが好ましい。ゼオライトはそのまま用いてもよいし、乳鉢等ですりつぶしてから用いてもよい。
JIS Z 8801-2:2000で定められた目開き1mm以下のふるいを通る粒子径のゼオライトが好ましく、500μm以下のふるいを通る粒子径のゼオライトがより好ましく、250μm以下のふるいを通る粒子径のゼオライトが更に好ましい。以下、本明細書で粒子径とは、JIS Z 8801-2:2000基準の粒子径を意味する。
前記ゼオライトの使用量は、高分子化合物中の水酸基含有不純物を効率的に低減できるので、本発明に係る溶液中の高分子化合物の質量に対して0.1質量倍以上が好ましく、0.5質量倍以上がより好ましく、2質量倍以上が更に好ましい。また、前記ゼオライトの使用量は、多すぎると除去のための操作性が悪くなり、また経済的にも不利になるため、本発明に係る溶液中の高分子化合物の質量に対して1000質量倍以下が好ましく、300質量倍以下がより好ましく、100質量倍以下が更に好ましい。
<接触条件>
高分子化合物と溶媒を含む溶液と、前記ゼオライトを接触させる方法は、例えば前記ゼオライトと前記溶液を混合し、所定時間接触させた後、前記ゼオライトを、例えば濾過、遠心分離等の通常の分離手段により分離する方法(ボディーフィード法)や、前記ゼオライトが充填された塔内に、前記溶液を通液する方法(カラムクロマトグラフィー法)等が挙げられる。両方法の併用も可能である。操作が容易なため、カラムクロマトグラフィー法が好ましい。
ボディーフィード法の場合、ゼオライトを濾別する際に、例えばセライト等の濾過助剤を用いてもよい。
カラムクロマトグラフィー法の場合、カラムに詰められたゼオライトの厚さは3cm以上が好ましい。なお、ゼオライトが詰まったカラム中には、本発明の効果が損なわれない限り、他の担体を含んでいてもよい。
接触温度は、前記溶液の凝固点~沸点であればよい。接触温度は低すぎると粘度上昇により操作性が悪くなるため、0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましく、20℃以上が更に好ましい。接触温度は高すぎると沸騰して取り扱いが困難になるため、100℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましく、60℃以下が更に好ましく、40℃以下が特に好ましい。
接触時間は、0.05時間~48時間が好ましく、0.1時間~10時間がより好ましく、0.2時間~5時間が更に好ましい。
接触時の雰囲気は、空気雰囲気、又は窒素若しくはアルゴン等の不活性ガス雰囲気のいずれでもよい。
接触時の照明環境は、通常の蛍光灯下で操作を行ってもよいし、蛍光灯無灯下、イエローランプ下、又はレッドランプ下で操作を行ってもよい。
接触時の圧力は、常圧でも、加圧条件下でもよい。
高分子化合物Aを上記ゼオライトと接触させることにより、水酸基含有不純物を吸着させてより効率的に低減することができる。また、上記ゼオライトには高分子化合物が吸着されないためその収率が高いという利点がある。
3-3.その他の工程
本発明の高分子化合物の製造方法において、必要に応じて分液、脱水、再結晶、再沈殿、カラムクロマトグラフィー、ソックスレー洗浄等の通常の方法にて精製してもよい。
ゼオライト接触工程において、高分子化合物中の水酸基を効率よく低減できるので、重合工程とゼオライト接触工程の間に分液工程があることが好ましく、分液工程及び脱水工程があることがより好ましい。
分液工程とは、高分子化合物と溶媒を含む溶液に水を加えて撹拌させたのちに静置して有機溶媒層と水層を分離させ、水層を除去する工程である。水は、塩化水素や酢酸等の酸性の化合物、アンモニアや炭酸ナトリウム等の塩基性の化合物、塩化ナトリウム等の中性の化合物を添加してもよい。添加物の質量は水の質量に対して1%~20%が好ましく、3%~10%がより好ましい。分液工程において、水溶性の不純物を除去することができる。
脱水工程とは、高分子化合物と溶媒を含む溶液中の水を除去する工程である。脱水方法としては、硫酸マグネシウムや硫酸ナトリウム等の乾燥剤を添加して撹拌したのちに乾燥剤を濾別してもよいし、高分子化合物と溶媒を含む溶液を共沸脱水してもよい。製造スケールが大きい場合は共沸脱水による脱水が好ましい。
重合工程後又はゼオライト接触工程後の高分子化合物と溶媒を含む溶液から高分子化合物を取り出すために、再沈殿工程、濾過工程及び乾燥工程があることが好ましい。
再沈殿工程とは、貧溶媒に高分子化合物と溶媒を含む溶液を混合し、高分子化合物を析出させる工程である。
貧溶媒とは、高分子化合物の溶解度が20℃において、1g(高分子化合物)/100g(貧溶媒)未満の溶媒である。
貧溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール等のアルコール溶媒;アセトニトリル等のニトリル溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル溶媒等が挙げられる。中でも、アルコール溶媒が好ましく、メタノール、エタノール、イソプロパノールがより好ましく、メタノールが更に好ましい。
濾過工程とは、固体の高分子化合物と溶媒を含む組成物を多孔質の濾材に通して、穴よりも大きな固体の高分子化合物を溶媒から分離する工程である。
乾燥工程とは、水分や溶媒を含む高分子化合物から水分や溶媒を除去する工程である。
4.発光素子及びその製造方法
本実施形態の発光素子は、陽極と、陰極と、陽極及び陰極の間に設けられた、前記製造方法によって製造された高分子化合物を用いて形成される有機層と、を有する発光素子である。有機層としては、例えば、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層等が挙げられる。これらの少なくとも1つの層が前記高分子化合物を用いて形成される。
発光素子は、具体的には、前記製造方法によって製造された高分子化合物と、前記高分子化合物とは異なる、発光材料、電荷輸送材料及び電荷注入材料からなる群から選ばれる少なくとも1種と、溶媒とを含む組成物を用いて陽極と陰極の間に有機層を形成することにより製造することができる。
前記高分子化合物は、架橋反応により架橋構造を形成するベンゾシクロブテン、アルケン、エポキシ又はオキセタン等の化学構造を有する基(以下、架橋基と称する)を含んでいてもよく、架橋基を有する高分子化合物を用いて有機層を形成した後、架橋基を架橋させることにより、有機層を不溶化させることができる。このように有機層を不溶化させることによって、発光素子において、有機層に隣接する層の形成時に使用される溶媒に有機層の材料が溶解する場合であっても、該材料が溶解することを回避できる。
本実施形態の発光素子が備える有機層は、架橋による不溶化等の工程を経ずに形成される高分子化合物を含有する有機層であってもよい。
<層構成>
前記高分子化合物を用いて形成される有機層は、通常、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層及び電子注入層からなる群から選ばれる1種以上の層であり、好ましくは、正孔輸送層である。これらの層は、各々、発光材料、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料を含む。これらの層は、各々、発光材料、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料を、溶媒に溶解させた組成物(インク)を調製して用い、湿式法を用いて形成することができる。
発光素子は、陽極と陰極の間に発光層を有する。本実施形態の発光素子は、正孔注入性及び正孔輸送性の観点からは、陽極と発光層との間に、正孔注入層及び正孔輸送層の少なくとも1層を有することが好ましく、電子注入性及び電子輸送性の観点からは、陰極と発光層の間に、電子注入層及び電子輸送層の少なくとも1層を有することが好ましい。
正孔輸送層、電子輸送層、発光層、正孔注入層及び電子注入層の材料としては、前記高分子化合物の他、各々、正孔輸送材料、電子輸送材料、発光材料、正孔注入材料及び電子注入材料等が挙げられる。
正孔輸送層の材料、電子輸送層の材料及び発光層の材料は、発光素子の作製において、各々、正孔輸送層、電子輸送層及び発光層に隣接する層の形成時に使用される溶媒に溶解する場合、該溶媒に該材料が溶解することを回避するために、該材料が架橋基を有することが好ましい。架橋基を有する材料を用いて各層を形成した後、該架橋基を架橋させることにより、該層を不溶化させることができる。
本実施形態の発光素子において、発光層、正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層、電子注入層等の各層の形成方法としては、高分子化合物を用いる場合、例えば、溶液又は溶融状態からの成膜による方法が挙げられ、低分子化合物を用いる場合、例えば、粉末からの真空蒸着法、溶液又は溶融状態からの成膜による方法が挙げられる。積層する層の順番、数及び厚さは、発光効率及び輝度寿命を勘案して調整する。
<基板/電極>
発光素子における基板は、電極を形成することができ、かつ、有機層を形成する際に化学的に変化しない基板であればよく、例えば、ガラス、プラスチック、シリコン等の材料からなる基板である。不透明な基板の場合には、基板から最も遠くにある電極が透明又は半透明であることが好ましい。
陽極の材料としては、例えば、導電性の金属酸化物、半透明の金属が挙げられ、好ましくは、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ;インジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等の導電性化合物;銀とパラジウムと銅との複合体(APC);NESA、金、白金、銀、銅である。
陰極の材料としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム等の金属;それらのうち2種以上の合金;それらのうち1種以上と、銀、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1種以上との合金;並びに、グラファイト及びグラファイト層間化合物が挙げられる。合金としては、例えば、マグネシウム-銀合金、マグネシウム-インジウム合金、マグネシウム-アルミニウム合金、インジウム-銀合金、リチウム-アルミニウム合金、リチウム-マグネシウム合金、リチウム-インジウム合金、カルシウム-アルミニウム合金が挙げられる。
陽極及び陰極は、各々、2層以上の積層構造としてもよい。
[用途]
本実施形態の発光素子は、例えば、コンピュータ、テレビ、携帯端末等のディスプレイ、照明に用いることができる。
以下、本発明を更に詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<分子量分析>
高分子化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により求めた。分析条件は以下の通りである。
測定装置:HLC-8320GPC(東ソー株式会社製)
カラム:PLgel 10μm MIXED-B(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
移動相:テトラヒドロフラン
流量:0.5mL/分
検出波長:228nm
<実施例1>
Figure 2022094314000026
[式中、nは構成単位数を表す。]
反応容器内を窒素ガス雰囲気とした後、化合物M1(2.49g、5.00mmol)、化合物M2(2.51g、3.90mmol)、化合物M3(0.64g、1.00mmol)、(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピル-1,1'-ビフェニル)[2-(2'-アミノ-1,1'-ビフェニル)]パラジウム(II)メタンスルホン酸塩(構造式を下記に示す。以下「XPhosPdG3」と表記する。)(4.23mg)、亜硫酸ナトリウム(0.63g)、トルエン(100g)及び20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(18g、24mmol)を加え、80℃で2時間反応させた。その後、ブロモベンゼン(0.63g)を加え、更に2時間攪拌した。
室温(25℃であり、以下同様。)まで冷却し、得られた反応液をトルエン(230g)で希釈し、イオン交換水(100g)で3回洗浄した。得られたトルエン溶液をメタノール(1L)に滴下し、1時間攪拌した後、得られた固体をろ過し乾燥させることで、高分子化合物P-1を2.81g得た。高分子化合物P-1の重量平均分子量(Mw)は8.6×104であった。
Figure 2022094314000027
<実施例2>
Figure 2022094314000028
[式中、nは構成単位数を表す。]
反応容器内を窒素ガス雰囲気とした後、化合物M4(4.46g、4.90mmol)、化合物M5(0.53g、1.00mmol)、化合物M6(2.97g、4.00mmol)、XPhosPdG3(4.23mg)、チオ硫酸ナトリウム(1.24g)、トルエン(100g)及び20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(18g、24mmol)を加え、80℃で2時間反応させた。その後、フェニルボロン酸(0.49g)を加え、更に2時間攪拌した。
室温まで冷却し、得られた反応液をトルエン(230g)で希釈し、イオン交換水(100g)で3回洗浄した。得られたトルエン溶液をメタノール(1L)に滴下し、1時間攪拌した後、得られた固体をろ過し乾燥させることで、高分子化合物P-2を5.44g得た。高分子化合物P-2の重量平均分子量(Mw)は5.8×104であった。
<実施例3>
チオ硫酸ナトリウム(1.24g)を亜ジチオン酸ナトリウム(0.87g)に変更した以外は、実施例2と同様にして、高分子化合物P-3を5.40g得た。高分子化合物P-3の重量平均分子量(Mw)は6.0×104であった。
<実施例4>
Figure 2022094314000029
[式中、nは構成単位数を表す。]
反応容器内を窒素ガス雰囲気とした後、化合物M1(2.50g、5.00mmol)、化合物M5(0.27g、0.50mmol)、化合物M7(0.23g、0.50mmol)、化合物M8(1.79g、3.90mmol)、XPhosPdG3(4.23mg)、硫酸マンガン(II)五水和物(1.21g)、トルエン(100g)及び20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(18g、24mmol)を加え、80℃で2時間反応させた。その後、ブロモベンゼン(0.63g)を加え、更に2時間攪拌した。
室温まで冷却し、得られた反応液をトルエン(230g)で希釈し、イオン交換水(100g)で3回洗浄した。得られたトルエン溶液をメタノール(1L)に滴下し、1時間攪拌した後、得られた固体をろ過し乾燥させることで、高分子化合物P-4を2.45g得た。高分子化合物P-4の重量平均分子量(Mw)は5.9×104であった。
<実施例5>
亜硫酸ナトリウム(0.63g)を塩化マンガン(II)四水和物(0.99g)に変更した以外は、実施例1と同様にして、高分子化合物P-5を2.83g得た。高分子化合物P-5の重量平均分子量(Mw)は7.4×104であった。
<実施例6>
チオ硫酸ナトリウム(1.24g)を炭酸マンガン(II)n水和物(0.65g)に変更した以外は、実施例2と同様にして、高分子化合物P-6を5.38g得た。高分子化合物P-6の重量平均分子量(Mw)は6.6×104であった。
<実施例7>
硫酸マンガン(II)五水和物(1.21g)を塩化鉄(II)四水和物(0.99g)に変更した以外は、実施例4と同様にして、高分子化合物P-7を2.40g得た。高分子化合物P-7の重量平均分子量(Mw)は6.0×104であった。
<比較例1>
亜硫酸ナトリウム(0.63g)を加えなかった以外は、実施例1と同様にして、高分子化合物P-8を2.66g得た。高分子化合物P-8の重量平均分子量(Mw)は8.6×104であった。
<比較例2>
チオ硫酸ナトリウム(1.24g)を加えなかった以外は、実施例2と同様にして、高分子化合物P-9を5.26g得た。高分子化合物P-9の重量平均分子量(Mw)は7.7×104であった。
<比較例3>
硫酸マンガン(II)五水和物(1.21g)を加えなかった以外は、実施例4と同様にして、高分子化合物P-10を2.34g得た。高分子化合物P-10の重量平均分子量(Mw)は6.3×104であった。
<高分子化合物中に含まれる水酸基の含有量の測定>
高分子化合物(20mg)を、THF-d8(0.75mL)に溶解させ、プロトンNMRを測定することで、高分子化合物中の水酸基の量を測定した。なお、NMRの測定には、核磁気共鳴装置(BRUKER製、AV-600)を用いた。
高分子化合物P-1、P-4、P-5、P-7、P-8及びP-10では、水酸基のプロトンを直接測定することができなかったため、水酸基を有する構成単位を下記の構成単位と推定するとともに、水酸基が結合している炭素原子に対するオルト位の炭素原子に結合しているプロトンのピークから、水酸基の含有量を定量した。表1に、そのケミカルシフト値を示す。
Figure 2022094314000030
高分子化合物P-2、P-3、P-6及びP-9では、水酸基のプロトンを直接測定することで水酸基の含有量を測定した。具体的には、プロトンNMRのスペクトルと、高分子化合物の合成に用いた原料モノマーの構造から、高分子化合物中の水酸基を有する構成単位を下記の構成単位(M4’)と同定するとともに、その含有量を定量した。表1に、そのケミカルシフト値を示す。
Figure 2022094314000031
Figure 2022094314000032
上記実施例及び比較例で得られた高分子化合物の水酸基の含有量の結果を表2に示す。
Figure 2022094314000033
表2に示すように、本発明の高分子化合物の製造方法を採用する実施例1~7では、高分子化合物の水酸基の含有量が極めて少ないことが明らかとなった(検出限界未満)。一方、比較例1~3では、高分子化合物の水酸基の含有量は少なくなかった。
本発明の高分子化合物の製造方法を採用することにより、鈴木カップリング反応を利用して高分子化合物を製造する際に、水酸基含有不純物の生成を大幅に抑制することができる。即ち、水酸基含有不純物の含有量を低減した高分子化合物を製造することができる。そのため、当該製造方法で製造された高分子化合物は、有機EL素子の構成材料として好適に用いられる。

Claims (8)

  1. 触媒、塩基、溶媒、並びに、-2~+4価の硫黄原子を含む無機化合物及び低原子価金属化合物からなる群から選択される還元剤の存在下、1以上のモノマーを鈴木カップリング反応を利用して重合反応させて高分子化合物を製造する工程、を含む高分子化合物の製造方法。
  2. 式(M-1)で表される化合物及び式(M-2)で表される化合物を含むモノマーを鈴木カップリング反応を利用して重合反応させて、式(U-1)で表される構成単位及び式(U-2)で表される構成単位を含む高分子化合物を製造する工程、を含む請求項1に記載の高分子化合物の製造方法。
    Figure 2022094314000034
    [式中、
    Ara1、Ara2、Ara3、Arb1、Arb2及びArb3は、それぞれ独立に、2価の芳香族炭化水素基、2価の複素環基、又は、2価の芳香族炭化水素基及び2価の複素環基のうち2個以上の基が直接若しくは連結基を介して連結した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよく、Ara2、Ara3、Arb2及びArb3がそれぞれ複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
    a1、Ra2、Rb1及びRb2は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよく、Ra1、Ra2、Rb1及びRb2がそれぞれ複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。Ra1とRa2は互いに連結して、それぞれが結合する窒素原子と共に環を形成していてもよい。Rb1とRb2は互いに連結して、それぞれが結合する窒素原子と共に環を形成していてもよい。
    a1及びb1は、それぞれ独立に、0、1又は2を表す。
    a2及びb2は、それぞれ独立に、0又は1を表し、a2及びb2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
    1、Z2、Z3及びZ4は、それぞれ独立に、置換基A群及び置換基B群から選ばれる基又は原子を表す。但し、Z1、Z2、Z3及びZ4のうち、少なくとも一種は置換基A群から選ばれる基又は原子であり、少なくとも一種は置換基B群から選ばれる基である。]
    <置換基A群>
    塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、及び、-O-S(=O)2C1(式中、RC1は、アルキル基又はアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。)で表される基。
    <置換基B群>
    -B(ORC2)2(式中、RC2は、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRC2は、同一でも異なっていてもよく、互いに連結して、それぞれが結合する酸素原子と共に環を形成していてもよい。)で表される基。
    Figure 2022094314000035
    [式中、Ara1、Ara2、Ara3、Arb1、Arb2、Ra1、Ra2、Rb1、Rb2、a1、a2、b1及びb2は、前記と同じ意味を表す。]
  3. 前記-2~+4価の硫黄原子を含む無機化合物が、Mxyz(式中、Mは1価若しくは2価の金属原子、アンモニウム塩又は水素原子を表す。x及びyは、それぞれ独立に、1又は2を表し、yが1のときzは3を表し、yが2のときzは3、4又は5を表す。)で表される化合物である、請求項1又は2に記載の高分子化合物の製造方法。
  4. 前記低原子価金属化合物が+2価のマンガン原子又は+2価の鉄原子を含む無機化合物である、請求項1又は2に記載の高分子化合物の製造方法。
  5. 前記触媒がパラジウム触媒である、請求項1~4のいずれか一項に記載の高分子化合物の製造方法。
  6. 前記還元剤の使用量が、前記式(M-1)で表される化合物に対して0.01モル当量以上1000モル当量以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の高分子化合物の製造方法。
  7. さらに、得られた高分子化合物及び溶媒を含む溶液と、シリカ/アルミナ比が1以上10以下のゼオライトとを接触させる工程を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の高分子化合物の製造方法。
  8. 陽極、有機層及び陰極を有する発光素子の製造方法であって、請求項1~7のいずれか一項に記載の製造方法により高分子化合物を製造する工程、並びに当該高分子化合物を用いて前記有機層を形成する工程を含む、発光素子の製造方法。
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