JP2022094292A - 記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】媒体を搬送するための力を低下させることなく媒体の斜行搬送を補正する。【解決手段】媒体Pを搬送する搬送ローラー対30と、搬送ローラー対30よりも媒体Pの搬送経路において下流側に設けられ、搬送ローラー対30でニップ中の媒体Pの先端を通過させる第1状態と、搬送ローラー対30でニップ中の媒体Pの先端を通過させない第2状態とを、切り替え可能な回転体31と、回転体31よりも搬送経路の下流側に設けられ、液体を吐出することにより媒体Pに記録を行う記録部12と、を備え、搬送ローラー対30は、媒体Pに対して点接触可能な複数の凸部67を外周部66に有し複数の凸部67により媒体Pをニップする第1歯付きローラー61を含み、搬送経路を第1歯付きローラー61の回転軸方向に対応する幅方向において3分割した場合の中央の領域S1にのみ配置される記録装置1。【選択図】図3
Description
本発明は、記録装置に関する。
従来から様々な構成の記録装置が使用されている。このうち、搬送経路を搬送する媒体が斜行搬送された場合に、媒体の斜行搬送を補正することが可能な記録装置がある。例えば、特許文献1には、補正ローラー対を備え、供給経路を搬送させる媒体を補正ローラー対に突き当てることで媒体の斜行搬送を補正することが可能な記録装置が開示されている。
しかしながら、媒体の斜行搬送を補正することが可能な従来の記録装置においては、使用する媒体の種類や媒体を搬送する搬送部の構成などによっては、媒体の斜行搬送を補正する機構を備えていても媒体の斜行搬送を十分に補正することができない場合があった。例えば、補正ローラー対と、補正ローラー対に媒体を突き当てることが可能な搬送部と、を備える記録装置において斜行搬送を補正する場合、補正ローラー対に媒体の先端を突き当てた状態で搬送部により媒体を撓ませて搬送させることで斜行搬送を補正する。このような記録装置において、例えば厚紙を搬送させると、媒体を撓ませることが困難となり、斜行搬送を補正することが困難となる。さらに、例えば搬送部としてニップ幅が長い搬送ローラー対などを使用する場合は、幅方向に長く媒体がニップされるため媒体が幅方向にシフトしづらく、斜行搬送を補正することが困難となる。一方で、単純に搬送ローラー対のニップ幅を短くすると、媒体を搬送するための力が低下してしまう。
上記課題を解決する為の、本発明の記録装置は、媒体を搬送する搬送ローラー対と、前記搬送ローラー対よりも前記媒体の搬送経路において下流側に設けられ、前記搬送ローラー対でニップ中の前記媒体の先端を通過させる第1状態と、前記搬送ローラー対でニップ中の前記媒体の先端を通過させない第2状態とを、切り替え可能な回転体と、前記回転体よりも前記搬送経路の下流側に設けられ、液体を吐出することにより前記媒体に記録を行う記録部と、を備え、前記搬送ローラー対は、前記媒体に対して点接触可能な複数の凸部を外周部に有し複数の前記凸部により前記媒体をニップする第1歯付きローラーを含み、前記搬送経路を前記第1歯付きローラーの回転軸方向に対応する幅方向において3分割した場合の中央の領域にのみ配置されることを特徴とする。
以下、本発明を概略的に説明する。
第1の態様に係る記録装置は、媒体を搬送する搬送ローラー対と、前記搬送ローラー対よりも前記媒体の搬送経路において下流側に設けられ、前記搬送ローラー対でニップ中の前記媒体の先端を通過させる第1状態と、前記搬送ローラー対でニップ中の前記媒体の先端を通過させない第2状態とを、切り替え可能な回転体と、前記回転体よりも前記搬送経路の下流側に設けられ、液体を吐出することにより前記媒体に記録を行う記録部と、を備え、前記搬送ローラー対は、前記媒体に対して点接触可能な複数の凸部を外周部に有し複数の前記凸部により前記媒体をニップする第1歯付きローラーを含み、前記搬送経路を前記第1歯付きローラーの回転軸方向に対応する幅方向において3分割した場合の中央の領域にのみ配置されることを特徴とする。
第1の態様に係る記録装置は、媒体を搬送する搬送ローラー対と、前記搬送ローラー対よりも前記媒体の搬送経路において下流側に設けられ、前記搬送ローラー対でニップ中の前記媒体の先端を通過させる第1状態と、前記搬送ローラー対でニップ中の前記媒体の先端を通過させない第2状態とを、切り替え可能な回転体と、前記回転体よりも前記搬送経路の下流側に設けられ、液体を吐出することにより前記媒体に記録を行う記録部と、を備え、前記搬送ローラー対は、前記媒体に対して点接触可能な複数の凸部を外周部に有し複数の前記凸部により前記媒体をニップする第1歯付きローラーを含み、前記搬送経路を前記第1歯付きローラーの回転軸方向に対応する幅方向において3分割した場合の中央の領域にのみ配置されることを特徴とする。
本態様によれば、搬送ローラー対は搬送経路を幅方向に3分割した場合の中央の領域にのみ配置される。このため、該中央の領域における幅方向に狭いニップ位置を回転軸の中心として媒体を回転させることができ、媒体の斜行搬送を効果的に補正することができる。また、搬送ローラー対は複数の凸部により媒体をニップする第1歯付きローラーを含むので、媒体を第1歯付きローラーの複数の凸部に噛ませて搬送することができ、媒体を搬送するための力の低下を抑制することができる。すなわち、本態様によれば、媒体を搬送するための力を低下させることなく媒体の斜行搬送を補正することができる。
第2の態様は、第1の態様において、前記第1歯付きローラーは、前記凸部を前記外周部に沿って複数有する歯部材を前記幅方向に複数備えることを特徴とする。
本態様によれば、第1歯付きローラーは凸部を外周部に沿って複数有する歯部材を幅方向に複数備える。このため、1つ当たりの歯部材の凸部を少なくしても、第1歯付きローラー全体の凸部を多くできる。1つ当たりの歯部材の凸部を少なくすることで歯部材の製造の容易化及びコストダウンが可能になる。また、複数の歯部材を備えることにより第1歯付きローラー全体の凸部を多くできるので、媒体を搬送するための力の低下を効果的に抑制することができる。
第3の態様は、第1または第2の態様において、前記回転体は、前記媒体に対して点接触可能な複数の凸部を外周部に有する第2歯付きローラーを含み、前記第1歯付きローラーの外径は、前記第2歯付きローラーの外径以上であることを特徴とする。
本態様によれば、第1歯付きローラーの外径を大きくすることができる。第1歯付きローラーの外径を大きくすることで、1の凸部が媒体を噛んでから次に媒体を噛むまでの時間を長くすることができる。例えば、媒体の両面に記録を行う場合であって、液体が付着した媒体に対して第1歯付きローラーが接触する場合、1の凸部が媒体と接触してから次に媒体と接触するまでの時間を長くすることができる。該時間を長くすることで、該時間を十分な液体の乾燥時間とすることができ、凸部に付着した液体が媒体に再付着することを抑制することができる。
第4の態様は、第1から第3の態様のいずれか1つにおいて、前記搬送経路は、載置部に載置された前記媒体を前記記録部へ供給する供給経路と、前記記録部により記録された前記媒体の表裏を反転させ表裏が反転された前記媒体を前記供給経路へ供給する反転経路と、を含み、前記搬送ローラー対及び前記回転体は、前記供給経路に配置され、前記供給経路は、前記搬送ローラー対と前記回転体との間に、鉛直上向きに前記媒体を搬送する鉛直上向き経路を含むことを特徴とする。
本態様によれば、供給経路は鉛直上向き経路を含む。このため、水平方向において供給経路を小さくすることが可能になり、記録装置の設置面積を小さくすることができる。
第5の態様は、第4の態様において、前記供給経路は、前記搬送ローラー対と前記回転体との間に湾曲経路を含み、前記湾曲経路は、前記湾曲経路を搬送中の前記媒体の撓みを許容するために外側に向かって広がる撓み空間が設けられることを特徴とする。
本態様によれば、湾曲経路は、湾曲経路を搬送中の媒体の撓みを許容するために外側に向かって広がる撓み空間が設けられる。このため、斜行補正時に撓み空間を利用することができ、媒体の撓みに伴う復元力を利用して効果的に媒体の斜行搬送を補正することができる。
第6の態様は、第5の態様において、前記供給経路は、前記撓み空間よりも上流側に固定端が設けられ前記固定端よりも下流側に自由端が設けられることで前記固定端を揺動軸として揺動可能な揺動部材を備え、前記撓み空間は前記揺動部材よりも前記外側に広がっていることを特徴とする。
媒体の搬送時において媒体が外側に撓みすぎると搬送不良を生じる虞があるが、本態様によれば、揺動部材を揺動させることにより、媒体の搬送時において媒体が外側に撓みすぎることを抑制できる。また、揺動部材を揺動させることにより、斜行補正時には、媒体を十分に撓ませることができる。また、揺動部材を備えることで撓み空間を大きくとっても搬送不良を生じる虞を低減できるため、厚紙など斜行補正が一般的に困難な媒体を使用した場合でも効果的に媒体の斜行搬送を補正することができる。
第7の態様は、第5または第6の態様において、前記記録部は、前記搬送経路に対して、前記外側と同じ側に位置し、前記第1歯付きローラーは、前記搬送経路に対して、前記湾曲経路の内側と同じ側に位置することを特徴とする。
本態様によれば、記録部は搬送経路に対して湾曲経路の外側と同じ側に位置する。供給経路と反転経路とで囲まれた領域に記録部を備える必要性がなくなるため、供給経路と反転経路とで囲まれた領域を広くとる必要がなく、記録装置を小型化することができる。
第8の態様は、第1から第7のいずれか1つにおいて、前記回転体は、前記幅方向に回転軸を有するローラー対で構成され、前記搬送ローラー対の前記幅方向におけるニップ幅は、前記回転体の前記幅方向におけるニップ幅の0.25倍以下であることを特徴とする。
本態様によれば、搬送ローラー対の幅方向におけるニップ幅は回転体の幅方向におけるニップ幅の0.25倍以下である。このような構成とすることで、斜行補正の効果を特に向上させることができる。
第9の態様は、第1から第8のいずれか1つにおいて、前記第1歯付きローラーの前記媒体に対するニップ力は、3.0N以上6.0N以下であることを特徴とする。
本態様によれば、第1歯付きローラーの媒体に対するニップ力は、3.0N以上6.0N以下である。このような構成とすることで、媒体の搬送性の低下を抑制しつつ、例えば、媒体の両面に記録した場合における液体の第1歯付きローラーへの付着を抑制することができる。
第10の態様は、第1から第9のいずれか1つにおいて、前記第1歯付きローラーは、前記幅方向に沿って見た前記凸部の先端部のなす角度は、60°以上70℃以下であることを特徴とする。
凸部の数が多くなると歯部材に液体などの異物が付着しやすくなるが、本態様によれば、凸部の先端部のなす角度は60°以上なので、凸部の数が多くなりすぎることを抑制でき、歯部材に液体などの異物が付着することを抑制できる。また、第1歯付きローラー1つ当たりの凸部の数が少なくなりすぎると媒体の搬送力が低下しやすくなるが、本態様によれば、凸部の先端部のなす角度は70°以下なので、各歯部材において周方向に隣り合う凸部の間隔を短くでき、歯部材1つ当たりの凸部の数が少なくなりすぎることを抑制でき、媒体の搬送力の低下を抑制できる。
第10の態様は、第1から第9のいずれか1つにおいて、前記凸部の前記幅方向の厚さは0.05mm以上0.10mm以下であることを特徴とする。
凸部の幅方向の厚さを簡単に薄く構成することは困難であり、コストアップの原因となるが、本態様によれば、凸部の幅方向の厚さは0.05mm以上なので、プレス加工などで凸部を簡単に構成でき、歯部材を簡単に低コストで構成することができる。また、凸部の幅方向の厚さを厚くしすぎると凸部に液体などの異物が付着しやすくなり、凸部に付着した異物が媒体に転写される虞があるが、本態様によれば、凸部の幅方向の厚さは0.10mm以下なので、凸部の幅方向の厚さを厚くしすぎることを抑制でき、凸部に付着した異物が媒体に転写される虞を低減することができる。
以下、本発明を具体的に説明する。以下では記録用紙に代表される媒体Pに対し、液体の一例であるインクを吐出することで記録を行うインクジェットプリンター1を、記録装置の一例として説明する。以下においてインクジェットプリンター1は、プリンター1と略称する。なお、各図において示すX-Y-Z座標系は直交座標系であって、Y軸方向が媒体Pの搬送方向と交差する幅方向であり、装置奥行き方向に対応するとともに下記の各搬送ローラー対の回転軸方向に対応する。X軸方向は装置幅方向であり、プリンター1の操作者から見て+X方向が左側、-X方向が右側となる。Z軸方向は鉛直方向即ち装置高さ方向であり、+Z方向が上方向、-Z方向が下方向となる。以下では、媒体Pが送られていく方向を「下流」と言い、またその反対方向を「上流」と言う場合がある。また図1においては、媒体Pの搬送経路を破線で示している。プリンター1において媒体Pは、破線で示す搬送経路を通って搬送される。
最初に、図1を参照して、プリンター1の全体的な概要について説明する。図1で表されるように、プリンター1は、装置本体2の下部に、鉛直方向に沿って複数の媒体カセットを備えている。本実施形態では、最も上の第1媒体カセット3から下方向に向かって順に、第2媒体カセット4、第3媒体カセット5、第4媒体カセット6、のこれら媒体カセットを備えている。各媒体カセットは、媒体Pを載置して収容可能な載置部の一例である。
各媒体カセットに対しては、収容された媒体Pを-X方向に送り出すピックローラーが設けられている。第1媒体カセット3に対してはピックローラー21が設けられ、第2媒体カセット4に対してはピックローラー22が設けられ、第3媒体カセット5に対してはピックローラー23が設けられ、第4媒体カセット6に対してはピックローラー24が設けられている。
また、各媒体カセットに対しては、-X方向に送り出された媒体Pを、-X方向成分と+Z方向成分を含む斜め上方向に給送する給送ローラー対が設けられている。第1媒体カセット3に対しては給送ローラー対25が設けられ、第2媒体カセット4に対しては給送ローラー対26が設けられ、第3媒体カセット5に対しては給送ローラー対27が設けられ、第4媒体カセット6に対しては給送ローラー対28が設けられる。なお、以下では「ローラー対」とは、特に説明しない限り不図示のモーターによって駆動される駆動ローラーと、この駆動ローラーに接して従動回転する従動ローラーとで構成されるものとする。
第1媒体カセット3から送り出され、給送ローラー対25によって斜め上方向に送られた媒体Pは、搬送ローラー対29から送り力を受けて、+X方向成分と+Z方向成分を含む斜め上方向に送られる。第2媒体カセット4から送り出され、給送ローラー対26によって斜め上方向に送られた媒体Pは、搬送ローラー対130から送り力を受けて上方向に送られ、搬送ローラー対29に達する。第3媒体カセット5から送り出され、給送ローラー対27によって斜め上方向に送られた媒体Pは、搬送ローラー対131及び搬送ローラー対130によって上方向に送られ、搬送ローラー対29に達する。第4媒体カセット6から送り出され、給送ローラー対28によって斜め上方向に送られた媒体Pは、搬送ローラー対132、搬送ローラー対131及び搬送ローラー対130によって上方向に送られ、搬送ローラー対29に達する。搬送ローラー対29は、上述したように媒体Pを+X方向成分と+Z方向成分を含む斜め上方向に送る。
搬送ローラー対29から下流の搬送経路は、上に凸となる様に湾曲しており、媒体Pはこの湾曲経路部分を通って搬送ローラー対30に到達する。また、搬送ローラー対30の下流側には搬送ローラー対31が設けられている。以下では、各媒体カセットから送り出された媒体Pが搬送ローラー対31に到達するまでの搬送経路を「供給経路T1」と称する。また供給経路T1のうち、搬送ローラー対29と搬送ローラー対30との間における、上に凸となる様に湾曲した経路部分を「第1湾曲経路R1」と称する。供給経路T1は、各媒体カセットから送り出された媒体Pを、各媒体カセットからの媒体送り出し方向即ち-X方向とは反対方向である+X方向の成分を含む搬送方向に反転させる経路となる。そしてこの供給経路T1は、搬送ローラー対30の上流側の位置で、後述する反転経路T4に合流する。
なお、搬送ローラー対29の近傍であって装置本体2の外側に示された外部搬送ローラー対18は、不図示の増設ユニットに設けられるローラー対である。この増設ユニットには媒体Pが収容可能に構成され、不図示の送り出しローラーから送り出された媒体Pが、外部搬送ローラー対18によってプリンター1内に供給できる様に構成されている。
また、第1湾曲経路R1の近傍には、装置本体2の側面から装置外部に突出する供給トレイ7が設けられている。供給トレイ7は、媒体Pを手差しで給送する為のトレイであり、媒体Pは供給トレイ7から、供給ローラー19及び分離ローラー20によってプリンター1内に供給される。なお、供給トレイ7を介して装置内部に送り込まれる媒体Pは、供給経路T1に入ることとなる。
搬送ローラー対29から送り力を受ける媒体Pは、下に凸となる様に湾曲した湾曲経路を通って搬送ローラー対31に達する。なお、以下では後述する搬送ローラー対34と搬送ローラー対31との間の下に凸となる様に湾曲した湾曲経路のうちの搬送ローラー対30から搬送ローラー対31までの領域を「第2湾曲経路R2」と称する。
搬送ローラー対31から送り力を受ける媒体Pは、記録部の一例であるラインヘッド12と搬送ベルト13との間、つまり、ラインヘッド12と対向する記録位置に送られる。なお、以下では搬送ローラー対31から搬送ローラー対32までの搬送経路を「記録時搬送経路T2」と称する。ラインヘッド12は、媒体Pの面に液体の一例であるインクを吐出して記録を実行する。ラインヘッド12は、インクを吐出するノズルが媒体幅方向の全域をカバーする様に構成されたインク吐出ヘッドであり、媒体幅方向への移動を伴わないで媒体幅全域に記録が可能なインク吐出ヘッドとして構成されている。但し、インク吐出ヘッドはこれに限られず、キャリッジに搭載されて媒体幅方向に移動しながらインクを吐出するタイプであってもよい。
ラインヘッド12から吐出されるインクは、インク収容部10から不図示のチューブを介してラインヘッド12へと供給される。インク収容部10は、X軸方向に沿って配置される複数のインクタンクによって構成される。ラインヘッド12から不図示のフラッシングキャップに向けてメンテナンスの為に吐出された廃液としてのインクは、廃液収容部11に貯留される。
搬送ベルト13は、プーリー14及びプーリー15に掛け回される無端ベルトであって、プーリー14及びプーリー15のうち少なくとも一方が不図示のモーターにより駆動されることで回転する。媒体Pは、搬送ベルト13のベルト面に吸着されつつラインヘッド12と対向する位置を搬送される。搬送ベルト13に対する媒体Pの吸着は、エアー吸引方式や静電吸着方式などの公知の吸着方式を採用できる。
ここで、ラインヘッド12と対向する位置を通る記録時搬送経路T2は、水平方向及び鉛直方向に対して角度を成し、斜め上向きに媒体Pを搬送する構成である。この斜め上向きの搬送方向は、図1において-X方向成分と+Z方向成分とを含む方向であり、このような構成により、プリンター1の水平方向寸法を抑制できる。なお、本実施形態では、記録時搬送経路T2は水平方向に対して50°~70°の範囲の傾斜角に設定され、より具体的には概ね60°の傾斜角に設定されている。
ラインヘッド12により第1面に記録が行われた媒体Pは、搬送ベルト13の下流に位置する搬送ローラー対32により、更に-X方向成分と+Z方向成分とを含む斜め上方向に送られる。搬送ローラー対32の下流にはフラップ41が設けられており、フラップ41によって媒体Pの搬送方向が切り換えられる。媒体Pをそのまま排出する場合は、媒体Pの搬送経路はフラップ41によって上方の搬送ローラー対37に向かう様に切り換えられる。搬送ローラー対37の下流には更にフラップ42が設けられ、フラップ42によって排出位置A1からの排出、及び更に鉛直上方に位置する搬送ローラー対38への搬送のいずれかに搬送経路が切り換えられる。媒体Pは搬送ローラー対38に向けて送られた場合、排出位置A2から排出される。排出位置A1から排出された媒体Pは、+X方向成分と+Z方向成分とを含む斜め上方向に傾斜する排出トレイ8によって受けられる。排出位置A2から排出された媒体Pは、不図示のオプショントレイによって受けられる。
媒体Pの第1面に加えて更に第2面に記録を行う場合、媒体Pは、フラップ41によって-X方向成分と+Z方向成分とを含む斜め上方向に送られ、分岐位置K1を通り、スイッチバック経路T3に入る。本実施形態においてスイッチバック経路T3は分岐位置K1から上側の搬送経路とする。スイッチバック経路T3には搬送ローラー対39が設けられている。スイッチバック経路T3に入った媒体Pは、搬送ローラー対39によって上方向に搬送され、そして媒体Pの後端が分岐位置K1を通過したら、搬送ローラー対39の回転方向が切り換えられ、これにより媒体Pは下方向に搬送される。
スイッチバック経路T3には、反転経路T4が接続している。本実施形態において反転経路T4は、分岐位置K1から、搬送ローラー対33、搬送ローラー対34、搬送ローラー対30と順に通って搬送ローラー対30に至る搬送経路とする。反転経路T4には、上述した第2湾曲経路R2が含まれる。搬送ローラー対33によって下方向に搬送された媒体Pは搬送ローラー対33及び搬送ローラー対34から送り力を受けて搬送ローラー対30に到達し、搬送ローラー対30によって再びラインヘッド12と対向する位置に送られる。すなわち、反転経路T4は、媒体Pを鉛直下方の成分を含む搬送方向に搬送し、下方に凸となる第2湾曲経路R2を経由して鉛直上方の成分を含む搬送方向に反転させる経路である。
再びラインヘッド12と対向する位置に送られた媒体Pは、既に記録が行われた第1面に対し反対側の第2面がラインヘッド12と対向する。これにより、媒体Pの第2面に対しラインヘッド12による記録が可能となる。第2面に記録が行われた媒体Pは、上述した排出位置A1または排出位置A2から排出される。
以下、図2から図7を参照して、本実施形態のプリンター1の要部である搬送ローラー対30の構成及び搬送ローラー対30から搬送ローラー対31までの搬送経路である第2湾曲経路R2の構成を詳細に説明する。なお、上記のように、本実施形態のプリンター1は、媒体Pを搬送する搬送ローラー対30と、搬送ローラー対30よりも搬送経路において下流側に設けられる搬送ローラー対31と、搬送ローラー対31よりも搬送経路の下流側に設けられインクを吐出することにより媒体Pに記録を行うラインヘッド12とを備えている。ここで、搬送ローラー対31は、搬送ローラー対30でニップ中の媒体Pの先端を通過させる第1状態と、搬送ローラー対30でニップ中の媒体Pの先端を通過させない第2状態とを、切り替え可能な回転体である。そして、搬送ローラー対30で媒体Pを搬送し搬送ローラー対30に突き当てることで媒体Pの斜行搬送を補正することが可能な構成となっている。
図2及び図3で表されるように、搬送ローラー対30は、駆動ローラー60と従動ローラーとしての第1歯付きローラー61とで構成されている。ここで、第1歯付きローラー61は、図5で表されるように媒体Pに対して点接触可能な複数の凸部67を外周部66に有し、複数の凸部67により媒体Pをニップすることが可能な構成となっている。そして、図3で表されるように、搬送ローラー対30は、図中のY軸方向であって第1歯付きローラー61の回転軸方向に対応する幅方向に搬送経路を領域S1、領域S2及び領域S3と3分割した場合において中央の領域S2にのみ配置されている。
上記のように、本実施形態のプリンター1においては、搬送ローラー対30は搬送経路を幅方向に3分割した場合の中央の領域S2にのみ配置されている。このため、図6で表されるように、該中央の領域S2における幅方向に狭いニップ位置を回転軸の中心C1として媒体Pを回転させることができる。このように幅方向に狭いニップ範囲とすることでニップ位置を回転軸の中心C1として容易に回転させることができ、媒体Pの斜行搬送を効果的に補正することができる。
一方、図7で表されるような従来から一般的に使用される幅方向に広いニップ範囲とする搬送ローラー対610を備えるプリンターにおいては、搬送ローラー対610のニップ位置を回転軸の中心として回転させることは困難である。図7で表されるプリンターにおいては、媒体Pの斜行搬送を補正する場合の回転軸の中心C2は搬送ローラー対31との接触位置となる。図7で表されるプリンターにおいては、使用する媒体Pの種類などによっては、媒体Pを幅方向全域に亘ってニップするのでニップ位置を基準に媒体Pを回転させることが困難であるとともに強いニップ力により媒体が幅方向にシフトしづらく、斜行搬送を補正することが困難な場合がある。
上記のように、本実施形態のプリンター1においては、搬送ローラー対30は凸部67を外周部66に有する第1歯付きローラー61を含む。なお、媒体Pを1つの凸部67により噛ませて搬送する構成の方が媒体Pを回転させやすいが、媒体Pを1つの凸部67により噛ませて搬送する構成とすると搬送力が低下しやすい。しかしながら、本実施形態のプリンター1においては、搬送ローラー対30は複数の凸部67により媒体Pをニップする第1歯付きローラー61を含むので、媒体Pを第1歯付きローラー61の複数の凸部67に噛ませて搬送することができ、媒体Pを搬送するための力の低下を抑制することができる。すなわち、本実施形態のプリンター1は、媒体Pを搬送するための力を低下させることなく媒体Pの斜行搬送を補正することができる。
ここで、本実施形態のプリンター1のように、搬送ローラー対30が反転経路T4と供給経路T1との合流位置よりも下流側にあると、媒体Pの両面に記録を行う場合に、媒体Pに付着したインクが搬送ローラー対30に付着する虞がある。しかしながら、本実施形態のプリンター1においては、凸部67により媒体Pをニップするので、例えば媒体Pの両面に記録を行う場合などにおいて、媒体Pに付着したインクが搬送ローラー対30に付着しづらく搬送ローラー対30がインクで汚れにくい。また、一般的な斜行補正機構では斜行補正に伴って搬送ローラー対30において媒体Pを幅方向に滑らせる場合が多いが、本実施例では、凸部67により媒体Pをニップするので、媒体Pが幅方向に滑ることが抑えられ、媒体Pが幅方向に滑ることで媒体Pに付着したインクが搬送ローラー対30に付着するということを抑制できる。
本実施形態のプリンター1においては、搬送ローラー対30でニップ中の媒体Pの先端を通過させる第1状態と、搬送ローラー対30でニップ中の媒体Pの先端を通過させない第2状態とを、切り替え可能な回転体として搬送ローラー対31を備えている。しかしながら、このような回転体として、本実施形態のような搬送ローラー対31以外の構成のものを備えていてもよい。例えば、回転体の例として、本実施形態の搬送ローラー対31のように、ローラー対を構成する回転体のニップ部分に媒体Pを突き当てる構成のほか、ローラー対と同期して動くゲートに媒体Pを突き当てる構成や、媒体Pを一時的に逆搬送させることが可能なローラー対を備える構成などとすることができる。
なお、本実施形態のプリンター1のように、回転体が幅方向に回転軸を有するローラー対で構成される場合、搬送ローラー対30の幅方向におけるニップ幅は、回転体である搬送ローラー対31の幅方向におけるニップ幅の0.25倍以下であることが好ましい。このような構成とすることで、斜行補正の効果を特に向上させることができるためである。なお、搬送ローラー対30の幅方向におけるニップ幅を回転体である搬送ローラー対31の幅方向におけるニップ幅の0.20倍以下とすることで、斜行補正の効果をさらに向上させることができる。
図3で表されるように、搬送ローラー対30は、駆動ローラー60と第1歯付きローラー61とを2つずつ備えている。2つの駆動ローラー60は各々同様の形状であり、2つの第1歯付きローラー61も各々同様の形状である。また、図5で表されるように、第1歯付きローラー61は、回転軸62と、回転軸62に嵌められる複数の円環状のホルダー64と、回転軸62に嵌められる複数の円環状の歯部材65と、で構成されている。歯部材65は、凸部67を外周部66に沿って複数有している。ホルダー64と歯部材65とは交互に回転軸62に嵌められており、1つの第1歯付きローラー61は4枚の歯部材65を有している。すなわち、第1歯付きローラー61は、凸部67を外周部66に沿って複数有する歯部材65を幅方向に複数備えている。
このように第1歯付きローラー61は凸部67を外周部66に沿って複数有する歯部材65を幅方向に複数備えているため、1つ当たりの歯部材65の凸部67を少なくしても、第1歯付きローラー61全体の凸部67を多くできる。1つ当たりの歯部材65の凸部67を少なくすることで歯部材65の製造の容易化及びコストダウンが可能になる。また、複数の歯部材65を備えることにより第1歯付きローラー61全体の凸部67を多くできるので、媒体Pを搬送するための力の低下を効果的に抑制することができる。なお、本実施形態においては、第1歯付きローラー61を2つ備え、1つの第1歯付きローラー61に4枚の歯部材65を備えている。そして、1つ当たりの歯部材65において1つの凸部67が媒体Pを噛むように凸部67を配置している。
なお、図2で表されるように、本実施形態のプリンター1においては、搬送ローラー対31は、駆動ローラー68と従動ローラーとしての第2歯付きローラー69とで構成されている。第2歯付きローラー69は、第1歯付きローラー61と同様の構成をしている。ここで、第1歯付きローラー61の外径は、第2歯付きローラー69の外径以上であることが好ましい。
第1歯付きローラー61の外径を第2歯付きローラー69の外径以上とすることは、第1歯付きローラー61の外径を大きくすることに対応する。第1歯付きローラー61の外径を大きくすることで、1の凸部67が媒体Pを噛んでから次に媒体Pを噛むまでの時間を長くすることができる。第1歯付きローラー61の外径を大きくすることで、例えば、媒体Pの両面に記録を行う場合であって、インクが付着した媒体Pに対して第1歯付きローラー61が接触する場合、1の凸部67が媒体Pと接触してから次に媒体Pと接触するまでの時間を長くすることができる。該時間を長くすることで、該時間を十分なインクの乾燥時間とすることができ、凸部67に付着したインクが媒体Pに再付着することを抑制することができる。
上記のように、本実施形態のプリンター1においては、搬送経路は、媒体Pの載置部である第1媒体カセット3、第2媒体カセット4、第3媒体カセット5及び第4媒体カセット6に載置された媒体Pをラインヘッド12へ供給する供給経路T1と、ラインヘッド12により記録された媒体Pの表裏を反転させ表裏が反転された媒体Pを供給経路T1へ供給する反転経路T4と、を含む。ここで、搬送ローラー対30及び搬送ローラー対31は供給経路T1に配置されており、図2で表されるように、供給経路T1は、搬送ローラー対30と搬送ローラー対31との間に、鉛直上向きに媒体Pを搬送する鉛直上向き経路T1Aを含む。このため、本実施形態のプリンター1は、水平方向において供給経路T1を小さくすることが可能になり、プリンター1の設置面積を小さくすることができている。なお、鉛直上向き経路T1Aを含むことで搬送ローラー対30は大きな搬送力が必要となるが、上記のように、搬送ローラー対30は第1歯付きローラー61を含むので、媒体Pを第1歯付きローラー61の複数の凸部67に噛ませて搬送することができ、媒体Pを大きな搬送力で搬送することができる。
また、図2及び図4で表されるように、供給経路Tは、搬送ローラー対30と搬送ローラー対31との間に湾曲経路である第2湾曲経路R2を含む。そして、第2湾曲経路R2には、第2湾曲経路R2を搬送中の媒体Pの撓みを許容するために外側に向かって広がる撓み空間80が設けられている。このため、本実施形態のプリンター1は、斜行補正時に撓み空間80を利用することができ、媒体Pの撓みに伴う復元力を利用して効果的に媒体Pの斜行搬送を補正することができる。
また、図2及び図4で表されるように、供給経路Tには、撓み空間80よりも上流側に固定端71が設けられ固定端71よりも下流側に自由端72が設けられることで固定端71を揺動軸として揺動可能な揺動部材70が設けられている。ここで、図2及び図4で表されるように、撓み空間80は揺動部材70よりも外側に広がっている。
媒体Pの搬送時において媒体Pが外側に撓みすぎると搬送不良を生じる虞がある。しかしながら、本実施形態のプリンター1は、揺動部材70を揺動させることにより、媒体Pの搬送時において媒体Pが外側に撓みすぎることを抑制できる。また、揺動部材70を揺動させることにより、斜行補正時には、媒体Pを十分に撓ませることができる。また、揺動部材70を備えることで撓み空間80を大きくとっても搬送不良を生じる虞を低減できるため、厚紙など斜行補正が一般的に困難な媒体Pを使用した場合でも効果的に媒体Pの斜行搬送を補正することができる。
また、図1で表されるように、ラインヘッド12は、媒体Pの搬送経路に対して、撓み空間80が設けられる側である第2湾曲経路R2の外側と同じ側に位置する。一方、第1歯付きローラー61は、媒体Pの搬送経路に対して、第2湾曲経路R2の内側と同じ側に位置する。ラインヘッド12が搬送経路に対して第2湾曲経路R2の外側と同じ側に位置することで、供給経路T1と反転経路T4とで囲まれた領域にラインヘッド12を備える必要性がなくなるため、供給経路T1と反転経路T4とで囲まれた領域を広くとる必要がなく、プリンター1を小型化することができる。また、媒体Pの両面に記録を行う場合、反転経路T4を通り供給経路T1に供給される媒体Pは、ラインヘッド12での記録によりインクが付着した面が膨潤して湾曲し搬送不良を生じやすくなるが、本実施形態のプリンター1は、揺動部材70により湾曲しやすい媒体Pの搬送不良を効果的に抑制することができる。なお、「第2湾曲経路R2の外側と同じ側」とは、「第2湾曲経路R2の外側部分」のほか、搬送経路内の第2湾曲経路R2以外の領域における「第2湾曲経路R2の外側部分と同じ側」を含む意味である。同様に、「第2湾曲経路R2の内側と同じ側」とは、「第2湾曲経路R2の内側部分」のほか、搬送経路内の第2湾曲経路R2以外の領域における「第2湾曲経路R2の内側部分と同じ側」を含む意味である。
なお、第1歯付きローラー61の媒体Pに対するニップ力は、3.0N以上6.0N以下であることが好ましい。このような構成とすることで、媒体Pの搬送性の低下を抑制しつつ、例えば、媒体Pの両面に記録した場合におけるインクの第1歯付きローラー61への付着を抑制することができるためである。なお、第1歯付きローラー61の媒体Pに対するニップ力を3.5N以上5.0N以下とすることで、媒体Pの搬送性の低下を抑制しつつ、媒体Pの両面に記録した場合におけるインクの第1歯付きローラー61への付着を抑制する効果をさらに向上させることができる。
次に、図8から図11を参照して、本発明のプリンター1に適用可能な第1歯付きローラー61について特に歯部材65の観点から詳細に説明する。ここで、図8は上記図1から図7で表されるプリンター1の歯部材65を表す図であり、図9及び図10は上記プリンター1とは別の本発明の一実施例の係るプリンターの歯部材65を表す図である。なお、図9及び図10のプリンターは、第1歯付きローラー61以外は上記プリンター1と全く同様の構成である。また、図11は、凸部67を説明するための概略図である。
図5で表されるように、図1から図7で表されるプリンター1は、1つあたり4枚の歯部材65を有する第1歯付きローラー61を備えている。ここで、4枚の歯部材65は、各々同様の構成をしており、また、周方向に各々の凸部67の位相がずれるように配置されている。図8は、図1から図7で表されるプリンター1の歯部材65の凸部67の周辺部分の拡大図である。
ここで、図8で表されるように幅方向に沿って見た場合、歯部材65は凸部67の先端部67aのなす角度xが80°となっている。図8で表される歯部材65は、1枚当たり37個の凸部67を有している。なお、本実施例の凸部67の先端部67aは半径0.03mmの円弧状に丸まっているが、尖っていてもよい。凸部67の先端部67aのなす角度xは、凸部67が全体的に丸まっていた場合などにおいては、後述する食い込み位置yaにおける凸部67の辺同士がなす角度である。言い換えると、凸部67の各辺同士を仮想的に延長した場合に各辺同士によってなされる角度である。
一方、図9及び図10で表されるプリンターの第1歯付きローラー61は、1つあたり5枚の歯部材65を有する第1歯付きローラー61を備えている。ここで、5枚の歯部材65は、各々同様の構成をしており、また、図1から図7で表されるプリンター1の第1歯付きローラー61と同様、周方向に各々の凸部67の位相がずれるように配置されている。図9は、該プリンターの歯部材65の凸部67の周辺部分の拡大図である。
ここで、図9で表されるように幅方向に沿って見た場合、歯部材65は凸部67の先端部67aのなす角度xが60°となっている。図9で表される歯部材65は、1枚当たり57個の凸部67を有しており、図8で表される歯部材65よりも1枚当たりの凸部67の個数が多い。これは、凸部67の先端部67aのなす角度xが小さいため周方向に隣接する凸部67同士の間隔を短くできるためである。なお、本実施例の凸部67の先端部67aは半径0.05mmの円弧状に丸まっている。
歯部材65は、搬送される媒体Pに凸部67を押し当て先端部67aの周辺を媒体Pに食い込ませることで、媒体Pとの搬送力を確保する。図10及び図11における食い込み位置yaは、搬送される媒体Pに凸部67を押し当てた際に媒体Pの表面の位置に対応する。図9及び図10で表されるプリンターの歯部材65は、食い込み位置yaにおける凸部67の厚さtが0.05mmとなっている。一方、図8で表される歯部材65は、食い込み位置yaにおける凸部67の厚さtが0.10mmとなっており、図9で表される歯部材65よりも全体的に厚くなっている。このため、図1から図7で表されるプリンター1の第1歯付きローラー61と、図9及び図10で表されるプリンターの第1歯付きローラー61とでは、幅方向の厚さが略同一であるが、図1から図7で表されるプリンター1の1つあたりの第1歯付きローラー61は歯部材65を4枚備えるのに対し、図9及び図10で表されるプリンターの1つあたりの第1歯付きローラー61は歯部材65を5枚備える。ここで、図9及び図10で表されるプリンターの歯部材65は、図10で表されるように、凸部67の先端部67a周辺以外の領域の厚さtbが0.20mmであり、厚さtaの先端部67aに向かうにつれて薄くなっている。ただし、このような構成には限定されない。なお、本実施例の構成においては、凸部67の厚さtは、先端部67aの厚さtaに対応する。
搬送される媒体Pに凸部67を押し当てる力が強いと、例えば媒体Pの両面に記録する場合における第2面に記録をする際に、凸部67に第1面に吐出されたインクが付着し、該インクが媒体Pに転写されてしまう虞がある。このため、歯部材65は、凸部67を押し当てる力を強くしすぎないで媒体Pとの搬送力を確保する必要がある。そこで、媒体Pと凸部67との接触面積を減らすことが考えられる。媒体Pと凸部67との接触面積を減らすことで、媒体Pに凸部67を押し当てる力を強くしすぎなくても搬送力を確保することが可能である。これによって、媒体Pを適切に搬送できるとともに、媒体Pへのインク転写を低減することができる。
ここで、媒体Pと凸部67との接触面積の算出方法について図11を参照して説明する。接触面積は、先端部67aから食い込み量e食い込ませた食い込み位置yaにおける凸部67の媒体Pと接触する長さyと凸部67の厚さtで算出する。図11において、先端部67aから延長した接線方向の交点pと、先端部67aの円弧の中心と、の距離lは、次式で表される。ここで、xは、上記のように、凸部67の先端部67aのなす角度である。
l=r/sin(x/2)
l=r/sin(x/2)
上記式により、交点pと食い込み位置yaとの距離aは、次式で表される。
a=l-r+e
=r/sin(x/2)-r+e
a=l-r+e
=r/sin(x/2)-r+e
上記式により、食い込み位置yaにおける長さyは、次式で表される。
y=2・a・tan(x/2)
=2・(r/sin(x/2)-r+e)・tan(x/2)
y=2・a・tan(x/2)
=2・(r/sin(x/2)-r+e)・tan(x/2)
ここで、上記のように、凸部67の厚みをtとすると、1枚当たりの凸部67の接触面積dは、次式で表される。
d=t・y
=2・t・(r/sin(x/2)-r+e)・tan(x/2)
d=t・y
=2・t・(r/sin(x/2)-r+e)・tan(x/2)
上記のように、図9及び図10で表されるプリンターの第1歯付きローラー61においては、図9で表されるように幅方向に沿って見た凸部67の先端部67aのなす角度xは、60°である。ここで、該角度xは、60°以上70°以下であることが好ましい。凸部67の数が多くなると歯部材65にインクなどの異物が付着しやすくなるが、凸部67の先端部67aのなす角度を60°以上とすることで、凸部67の数が多くなりすぎることを抑制でき、歯部材65にインクなどの異物が付着することを抑制できる。また、第1歯付きローラー1つ当たりの凸部の数が少なくなりすぎると媒体Pの搬送力が低下するが、凸部67の先端部67aのなす角度を70°以下とすることで、各歯部材65において周方向に隣り合う凸部67の間隔を短くでき、歯部材65の1つ当たりの凸部67の数が少なくなりすぎることを抑制でき、媒体Pの搬送力の低下を抑制できる。なお、角度xが60°である図9で表される歯部材65を有する第1歯付きローラー61は、角度xが80°である図8で表される歯部材65を有する第1歯付きローラー61よりも媒体Pの搬送力が明らかに大きい。
また、凸部67の先端部67aのなす角度を特定角度以下にしようとした場合、先端部67aから不図示の谷部67bまでの距離が大きくなり、インクが堆積しやすくなる。谷部67bにインクが堆積してしまうと媒体Pへのインク転写の要因となる。ここでの特定角度とは、例えば50°である。そのため、凸部67の先端部67aのなす角度を60°以上とすることで、インク転写を低減することができる。なお、角度xが60°である図9で表される歯部材65を有する第1歯付きローラー61は、角度xが50°である不図示の歯部材を有する第1歯付きローラー61よりも媒体Pへのインク転写が明らかに少ない。
なお、本実施例においては、歯部材65をプレス加工で形成しているが、エッチング加工で歯部材65を形成することで角度xを70°を超える角度としても凸部67の数を増やすことはできる。ただし、その場合にはエッチング加工等が必要になり、例えばエッチング加工で歯部材65を形成すると、歯部材65は高コスト化してしまう。また、歯部材65の枚数を増やすことで第1歯付きローラー61の1つ当たりの凸部67の数が少なくなりすぎることは抑制できる。しかしながら、歯部材65の枚数を増やすことで、コストアップを招く虞があるとともに、幅方向における第1歯付きローラー61の厚みが厚くなり、媒体Pの斜行搬送を効果的に補正することができなくなる虞がある。
上記のように、図9及び図10で表されるプリンターの第1歯付きローラー61においては、凸部67の幅方向の厚さtは0.05mmである。ここで、該厚さtは、0.05mm以上0.10mm以下であることが好ましい。凸部67の幅方向の厚さtを簡単に薄く構成することは困難であり、薄く構成することとするとコストアップの原因となるが、凸部67の幅方向の厚さtを0.05mm以上とすることで、プレス加工などで簡単に構成でき、歯部材65を簡単に低コストで構成することができる。また、凸部67の幅方向の厚さtを厚くしすぎると凸部67にインクなどの異物が付着しやすくなり、凸部67に付着した異物が媒体Pに転写される虞があるが、凸部67の幅方向の厚さを0.10mm以下とすることで、凸部67の幅方向の厚さtを厚くしすぎることを抑制でき、凸部67に付着した異物が媒体Pに転写される虞を低減することができる。
本発明は上記において説明した実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
1…インクジェットプリンター(プリンター、記録装置)、2…装置本体、3…第1媒体カセット(載置部)、4…第2媒体カセット(載置部)、5…第3媒体カセット(載置部)、6…第4媒体カセット(載置部)、7…供給トレイ、8…排出トレイ、10…インク収容部、11…廃液収容部、12…ラインヘッド(記録部)、13…搬送ベルト、14…プーリー、15…プーリー、18…外部搬送ローラー対、19…供給ローラー、20…分離ローラー、21…ピックローラー、22…ピックローラー、23…ピックローラー、24…ピックローラー、25…給送ローラー対、26…給送ローラー対、27…給送ローラー対、28…給送ローラー対、29…搬送ローラー対、30…搬送ローラー対、31…搬送ローラー対(回転体)、32…搬送ローラー対、33…搬送ローラー対、34…搬送ローラー対、37…搬送ローラー対、38…搬送ローラー対、39…搬送ローラー対、41…フラップ、42…フラップ、60…駆動ローラー、61…第1歯付きローラー、62…回転軸、64…ホルダー、65…歯部材、66…外周部、67…凸部、67a…先端部、67b…谷部、68…駆動ローラー、69…第2歯付きローラー、70…揺動部材、71…固定端、72…自由端、80…撓み空間、130…搬送ローラー対、131…搬送ローラー対、132…搬送ローラー対、P…媒体、R1…第1湾曲経路、R2…第2湾曲経路、S1…領域、S2…領域、S3…領域、T1…供給経路、T1A…鉛直上向き経路、T2…記録時搬送経路、T3…スイッチバック経路、T4…反転経路
Claims (11)
- 媒体を搬送する搬送ローラー対と、
前記搬送ローラー対よりも前記媒体の搬送経路において下流側に設けられ、前記搬送ローラー対でニップ中の前記媒体の先端を通過させる第1状態と、前記搬送ローラー対でニップ中の前記媒体の先端を通過させない第2状態とを、切り替え可能な回転体と、
前記回転体よりも前記搬送経路の下流側に設けられ、液体を吐出することにより前記媒体に記録を行う記録部と、
を備え、
前記搬送ローラー対は、
前記媒体に対して点接触可能な複数の凸部を外周部に有し複数の前記凸部により前記媒体をニップする第1歯付きローラーを含み、
前記搬送経路を前記第1歯付きローラーの回転軸方向に対応する幅方向において3分割した場合の中央の領域にのみ配置されることを特徴とする記録装置。 - 請求項1記載の記録装置において、
前記第1歯付きローラーは、前記凸部を前記外周部に沿って複数有する歯部材を前記幅方向に複数備えることを特徴とする記録装置。 - 請求項1または請求項2に記載の記録装置において、
前記回転体は、前記媒体に対して点接触可能な複数の凸部を外周部に有する第2歯付きローラーを含み、
前記第1歯付きローラーの外径は、前記第2歯付きローラーの外径以上であることを特徴とする記録装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の記録装置において、
前記搬送経路は、載置部に載置された前記媒体を前記記録部へ供給する供給経路と、前記記録部により記録された前記媒体の表裏を反転させ表裏が反転された前記媒体を前記供給経路へ供給する反転経路と、を含み、
前記搬送ローラー対及び前記回転体は、前記供給経路に配置され、
前記供給経路は、前記搬送ローラー対と前記回転体との間に、鉛直上向きに前記媒体を搬送する鉛直上向き経路を含むことを特徴とする記録装置。 - 請求項4に記載の記録装置において、
前記供給経路は、前記搬送ローラー対と前記回転体との間に湾曲経路を含み、
前記湾曲経路は、前記湾曲経路を搬送中の前記媒体の撓みを許容するために外側に向かって広がる撓み空間が設けられることを特徴とする記録装置。 - 請求項5に記載の記録装置において、
前記供給経路は、前記撓み空間よりも上流側に固定端が設けられ前記固定端よりも下流側に自由端が設けられることで前記固定端を揺動軸として揺動可能な揺動部材を備え、
前記撓み空間は前記揺動部材よりも前記外側に広がっていることを特徴とする記録装置。 - 請求項5または請求項6に記載の記録装置において、
前記記録部は、前記搬送経路に対して、前記外側と同じ側に位置し、
前記第1歯付きローラーは、前記搬送経路に対して、前記湾曲経路の内側と同じ側に位置することを特徴とする記録装置。 - 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の記録装置において、
前記回転体は、前記幅方向に回転軸を有するローラー対で構成され、
前記搬送ローラー対の前記幅方向におけるニップ幅は、前記回転体の前記幅方向におけるニップ幅の0.25倍以下であることを特徴とする記録装置。 - 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の記録装置において、
前記第1歯付きローラーの前記媒体に対するニップ力は、3.0N以上6.0N以下であることを特徴とする記録装置。 - 請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の記録装置において、
前記幅方向に沿って見た前記凸部の先端部のなす角度は、60°以上70℃以下であることを特徴とする記録装置。 - 請求項10に記載の記録装置において、
前記凸部の前記幅方向の厚さは0.05mm以上0.10mm以下であることを特徴とする記録装置。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20240612 |