JP2022093705A - 半導体デバイスの製造方法、熱伝導シート、及び熱伝導シートの製造方法 - Google Patents

半導体デバイスの製造方法、熱伝導シート、及び熱伝導シートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】放熱性に優れる半導体デバイスの製造方法、放熱性に優れる半導体デバイスを製造可能な熱伝導シート、及び当該熱伝導シートの製造方法を提供する。【解決手段】半導体デバイスの製造方法は、150℃における圧縮応力が0.10MPaのときの圧縮弾性率が1.40MPa以下であり、25℃におけるタック力が5.0N・mm以上である熱伝導シートが間に配置された発熱体及び放熱体に対して、前記熱伝導シートの厚み方向に圧力をかけて、前記発熱体と前記放熱体とを前記熱伝導シートを介して接着させる工程を含む。【選択図】図1

Description

本開示は、半導体デバイスの製造方法、熱伝導シート、及び熱伝導シートの製造方法に関する。
近年、多層配線板の配線の高密度化、半導体パッケージに対する配線の高密度化、電子部品の搭載密度の増大、半導体素子自身の高集積化による単位面積あたりの発熱量の増大等に伴い、半導体パッケージの放熱性を高めることが望まれている。
なかでもCPU(中央処理装置、Central Processing Unit)、パワーデバイス等の発熱量の大きな半導体デバイスでは、優れた放熱性が要求される。これらの半導体デバイスは、発熱体と、アルミニウム、銅等の放熱体との間に、グリース、熱伝導シート等の熱伝導材料を挟んで密着させることによって放熱させる仕組みを有している(例えば、特許文献1~4参照)。
特開平05-247268号公報 特開平10-298433号公報 特許第4743344号 特許第5316254号
近年、半導体パッケージの高性能化に伴い、半導体チップ及び半導体パッケージの大型化が進んでいる。この大型化により、熱伝導材料としてグリースを用いる場合には、熱サイクル時のポンプアウトが発生しやすくなり、十分な放熱性を担保することが困難になってきた。一方、熱伝導材料として熱伝導シートを用いる場合、発熱体の大型化により半導体チップ又は半導体パッケージの反り量が増大するため、熱伝導シートが発熱体及び放熱体から剥離しやすくなり、放熱性が確保しにくいという問題がある。
かかる状況に鑑み、本開示は、放熱性に優れる半導体デバイスの製造方法、放熱性に優れる半導体デバイスを製造可能な熱伝導シート、及び当該熱伝導シートの製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段は、以下の態様を含む。
<1> 150℃における圧縮応力が0.10MPaのときの圧縮弾性率が1.40MPa以下であり、25℃におけるタック力が5.0N・mm以上である熱伝導シートが間に配置された発熱体及び放熱体に対して、前記熱伝導シートの厚み方向に圧力をかけて、前記発熱体と前記放熱体とを前記熱伝導シートを介して接着させる工程を含む、半導体デバイスの製造方法。
<2> 定常法により測定される熱抵抗から求められる前記熱伝導シートの熱伝導率が7W/(m・K)以上である、<1>に記載の半導体デバイスの製造方法。
<3> 前記圧力が0.05MPa~10.00MPaである、<1>又は<2>に記載の半導体デバイスの製造方法。
<4> 前記圧力が0.10MPa~0.50MPaである、<3>に記載の半導体デバイスの製造方法。
<5> 前記発熱体が半導体チップであり、前記放熱体がヒートスプレッダである、<1>~<4>のいずれか1項に記載の半導体デバイスの製造方法。
<6> 前記発熱体の前記熱伝導シートと対向する面の面積が25mm以上である、<1>~<5>のいずれか1項に記載の半導体デバイスの製造方法。
<7> 前記発熱体がヒートスプレッダを備える半導体パッケージであり、前記放熱体がヒートシンクである、<1>~<4>のいずれか1項に記載の半導体デバイスの製造方法。
<8> 前記発熱体が半導体モジュールである、<1>~<4>のいずれか1項に記載の半導体デバイスの製造方法。
<9> 前記発熱体の前記熱伝導シートと対向する面の面積が100mm以上である、<1>~<8>のいずれか1項に記載の半導体デバイスの製造方法。
<10> 150℃における圧縮応力が0.10MPaのときの圧縮弾性率が1.40MPa以下であり、25℃におけるタック力が5.0N・mm以上であり、半導体デバイスの発熱体と放熱体との間に配置して前記発熱体と前記放熱体の接着に用いるための、熱伝導シート。
<11> 定常法により測定される熱抵抗から求められる熱伝導率が7W/(m・K)以上である、<10>に記載の熱伝導シート。
<12> 前記発熱体が半導体チップであり、前記放熱体がヒートスプレッダである、<10>又は<11>に記載の熱伝導シート。
<13> 前記発熱体がヒートスプレッダを備える半導体パッケージであり、前記放熱体がヒートシンクである、<10>又は<11>に記載の熱伝導シート。
<14> 前記発熱体が半導体モジュールである、<10>又は<11>に記載の熱伝導シート。
<15> 熱伝導シートが間に配置された発熱体及び放熱体に対して、前記熱伝導シートの厚み方向に加熱しながら圧力をかけて、前記発熱体と前記放熱体とを前記熱伝導シートを介して接着させるための熱伝導シートにおいて、前記熱伝導シートの圧縮量が下記式を満たすように、前記熱伝導シートの圧縮率及び厚みを選択することを含む、熱伝導シートの製造方法。
式:C>L-L
:加熱加圧時の前記発熱体の予測される反り量(μm)
:加熱加圧を終了した後、25℃まで冷却された際の前記発熱体の予測される反り量(μm)
C:加熱加圧条件下における前記熱伝導シートの予測される圧縮量(μm)
C=加圧前の熱伝導シートの厚み(μm)×加熱加圧条件下での圧縮率(%)
本開示によれば、放熱性に優れる半導体デバイスの製造方法、放熱性に優れる半導体デバイスを製造可能な熱伝導シート、及び当該熱伝導シートの製造方法が提供される。
熱伝導シートをTIM1として用いる場合の半導体デバイスの概略断面図を示す。 熱伝導シートをTIM1として用いる場合の半導体デバイスにおいて、反り量を説明する図を示す。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本開示において「層」との語には、当該層が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本開示において「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。
本開示において実施形態を図面を参照して説明する場合、当該実施形態の構成は図面に示された構成に限定されない。また、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。
≪半導体デバイスの製造方法≫
本開示の半導体デバイスの製造方法は、150℃における圧縮応力が0.10MPaのときの圧縮弾性率が1.40MPa以下であり、25℃におけるタック力が5.0N・mm以上である熱伝導シートが間に配置された発熱体及び放熱体に対して、前記熱伝導シートの厚み方向に圧力をかけて、前記発熱体と前記放熱体とを前記熱伝導シートを介して接着させる工程を含む。本開示の半導体デバイスの製造方法によれば、熱伝導シートの剥離が抑制され、放熱性に優れる半導体デバイスを製造することができる。
〔発熱体〕
本開示における発熱体は、熱伝導シートを介して放熱体を接着して放熱させる対象物である。発熱体としては、半導体チップ、半導体パッケージ、自動車用パワーモジュール、産業用パワーモジュール等が挙げられる。なお、発熱体は必ずしも熱伝導シートが接する部材自体が発熱可能であるものを意味するものではない。例えば、熱伝導シートを後述のTIM2用途に用いる場合は、半導体パッケージに備えられるヒートスプレッダと熱伝導シートとが接するが、この場合、当該ヒートスプレッダを備える半導体パッケージを「発熱体」と表現する。
発熱体の大きさは特に制限されない。例えば、熱伝導シートを後述のTIM1用途に用いる場合には、発熱体の熱伝導シートと対向する面の面積は25mm以上であってもよく、100mm以上であってもよく、200mm以上であってもよく、400mm以上であってもよい。発熱体の熱伝導シートと対向する面の面積は例えば15000mm以下であってもよく、5000mm以下であってもよく、2000mm以下であってもよい。
熱伝導シートを後述のTIM2用途に用いる場合には、発熱体の熱伝導シートと対向する面の面積は100mm以上であってもよく、400mm以上であってもよく、1000mm以上であってもよい。発熱体の熱伝導シートと対向する面の面積は例えば40000mm以下であってもよく、20000mm以下であってもよく、5000mm以下であってもよい。
熱伝導シートを後述のパワーデバイス用途に用いる場合には、発熱体の熱伝導シートと対向する面の面積は100mm以上であってもよく、400mm以上であってもよく、1000mm以上であってもよい。発熱体の熱伝導シートと対向する面の面積は例えば40000mm以下であってもよく、20000mm以下であってもよく、5000mm以下であってもよい。
〔放熱体〕
本開示における放熱体は、熱伝導シートを介して発熱体を放熱させる部材である。放熱体としては、ヒートスプレッダ、ヒートシンク、水冷パイプ等が挙げられる。
〔熱伝導シート〕
本開示の熱伝導シートは、半導体デバイスの発熱体と放熱体との間に配置して発熱体と放熱体の接着に用いるシートである。本開示においてシートとは液状ではないシート状の製品を表し、液状のグリース等とは区別される。ここで液状とは25℃における粘度が1000Pa・s以下である物質を意味する。粘度は、25℃でレオメーターを用いて5.0s-1のせん断速度で測定したときの値と定義する。粘度は、せん断粘度として、コーンプレート(直径40mm、コーン角0°)を装着した回転式のせん断粘度計を用いて、温度25℃で測定される。
発熱体と放熱体との間の熱伝導材料としてグリースを用いる場合、熱サイクル時のポンプアウトに伴い熱抵抗が増大する可能性があるが、本開示の製造方法では熱伝導シートを用いるため、ポンプアウトが生じることがない。
また、熱伝導材料としてシートを用いる場合には、発熱体の反り量の増大に伴い、シートの剥離が生じて所望の放熱性が得られない場合があった。しかしながら、本開示で用いられる熱伝導シートは、反り量の増大した半導体パッケージにおいても、反りに追従して発熱体と放熱体との十分な接着面積を維持することができる。これにより、優れた放熱特性を担保することができる。この理由は必ずしも明らかではないが、発熱体と放熱体の間に、上記特定の圧縮弾性率及びタック力を有する熱伝導シートを配置してプレスを行うと、熱伝導シートが十分に潰れるとともに、発熱体及び放熱体に熱伝導シートが十分に接着すると考えられる。このため、プレス後に反り量が変化しても、反りに追従して接着面積を維持できると考えられる。
熱伝導シートが発熱体及び放熱体から剥離せず、接着面積を維持できると、接触熱抵抗が増大することを抑制することができ、半導体デバイスの放熱特性が低下することを抑制することができる。したがって、発熱体に反りが発生しても、熱伝導シートと発熱体及び放熱体との接着面積が維持されていることが望ましい。
本開示で用いられる熱伝導シートは、半導体の発熱体と放熱体との間に配置して発熱体と放熱体の接着に用いるものであればよく、その用途は特に制限されない。熱伝導シートは、例えば、発熱体である半導体チップと放熱体であるヒートスプレッダとの間に配置される熱伝導材料(TIM1;Thermal Interface Material 1)であってもよい。また、発熱体である、ヒートスプレッダを備える半導体パッケージと、放熱体であるヒートシンクとの間に配置される熱伝導材料(TIM2;Thermal Interface Material 2)であってもよい。さらに、発熱体である半導体モジュールと放熱体との間に配置される熱伝導材料(パワーデバイス用熱伝導材料等)であってもよい。
なかでも、従来グリースが用いられていたTIM1の分野では、発熱体の大型化に伴いグリースにより十分な放熱性を担保することが困難となっており、本開示で用いられる熱伝導シートは特に有用である。
図1を用いて、TIM1として用いる場合の熱伝導シートの使用形態の具体例を説明する。熱伝導シート1を、半導体チップ2(発熱体)に対しその一方の面を密着させ、他方の面をヒートスプレッダ3(放熱体)に密着させて使用する。図1では、半導体チップ2(発熱体)は基板4にアンダーフィル材5を用いて固定されており、ヒートスプレッダ3(放熱体)はシール材6により基板4に固着され、熱伝導シート1と半導体チップ2及びヒートスプレッダ3との密着性を、押しつけることで向上させている。熱伝導シートを介して発熱体と放熱体とが積層されていることで、発熱体からの熱を放熱体に効率よく伝導することができる。効率よく熱を伝導することができると、半導体デバイスの使用において寿命が向上し、長期使用においても安定して機能する半導体デバイスが提供できる。
本開示で用いられる熱伝導シートは150℃における圧縮応力が0.10MPaのときの圧縮弾性率が1.40MPa以下であり、かつ、25℃におけるタック力が5.0N・mm以上である。圧縮弾性率及びタック力が上記範囲を満たしていることで、発熱体の反り量が増加した半導体デバイスにおいても、発熱体及び放熱体に対して熱伝導シートが密着を維持でき、接着面積を維持することができると考えられる。これにより、放熱性を担保できると考えられる。
150℃における圧縮応力が0.10MPaのときの圧縮弾性率が1.40MPa以下であると、柔軟性に優れ、圧力(プレス)をかけたときに熱伝導シートが潰れやすくなり、発熱体と放熱体により密着しやすくなると考えられる。さらに、プレス後に発熱体の反りが増大しても、熱伝導シートが発熱体及び放熱体に安定して密着し、接着面積の低下を抑制できると考えられる。
熱伝導シートは、150℃における圧縮応力が0.10MPaのときの圧縮弾性率が1.40MPa以下であり、1.30MPa以下であることが好ましく、1.20MPa以下であることがより好ましい。上記圧縮弾性率が1.20MPa以下であると密着性がより向上し、反りに追従しやすくなる。150℃における圧縮応力が0.10MPaのときの圧縮弾性率の下限は特に制限されない。上記圧縮弾性率は0.50MPa以上であってもよく、0.70MPa以上であってもよい。
熱伝導シートの圧縮弾性率は、圧縮試験装置(例えば、INSTRON 5948 Micro Tester(INSTRON社))を用いて測定することができる。熱伝導シートに厚み方向に対して0.1mm/minの変位速度で荷重を加え、変位(mm)と荷重(N)を測定する。変位(mm)/厚み(mm)で求められる歪み(無次元)を横軸に、荷重(N)/面積(mm)で求められる応力(MPa)を縦軸に示し、所定の応力のときの傾きを圧縮弾性率(MPa)とする。具体的には、例えば実施例に記載の方法で測定することができる。
熱伝導シートの25℃におけるタック力は5.0N・mm以上であり、6.0N・mm以上であることが好ましく、7.0N・mm以上であることがより好ましい。タック力が5.0N・mm以上であると、反りが発生して発熱体と放熱体の間隔が増大した際に、熱伝導シートが発熱体及び放熱体から剥がれることを抑制できる。タック力の上限値は特に制限されない。上記タック力は20.0N・mm以下であってもよく、15.0N・mm以下であってもよい。
熱伝導シートの25℃におけるタック力は、万能物性試験機(例えば、テクスチャーアナライザー(英弘精機株式会社))を用いて測定することができる。25℃(常温)において、直径7mmのプローブを荷重40Nで熱伝導シートに押し当て10秒間保持した後、プローブを引き上げた際の荷重と変位曲線を積分して得られる面積を、25℃におけるタック力(N・mm)とする。具体的には、例えば実施例に記載の方法で測定することができる。
150℃における圧縮応力が0.10MPaのときの圧縮弾性率が1.40MPa以下であり、25℃におけるタック力が5.0N・mm以上である熱伝導シートを得る方法は特に制限されず、例えば熱伝導シートに用いられる熱伝導性フィラー、樹脂等の各成分の種類及び配合割合を調整することによって得ることができる。
熱伝導シートの熱伝導率は特に制限されず、高いほど好ましい。定常法により測定される熱抵抗から求められる熱伝導シートの熱伝導率は7W/(m・K)以上であることが好ましく、10W/(m・K)以上であることがより好ましく、15W/(m・K)以上であることがさらに好ましい。熱伝導率が7W/(m・K)以上であると、発熱体への反り追従性を向上させるために熱伝導シートの厚みを厚くしても、熱抵抗の上昇を抑制しやすい傾向にある。
本開示において、熱伝導シートの熱伝導率は、具体的には以下のように求める。
熱伝導シートを10mm角に切り抜き、発熱体であるトランジスタ(2SC2233)と放熱体である銅ブロックとの間に挟み、トランジスタを80℃、0.14MPaの圧力で押し付けながら電流を通じた際のトランジスタの温度T1(℃)及び銅ブロックの温度T2(℃)を測定する。測定値と印加電力W1(W)に基づいて、単位面積(1cm)当たりの熱抵抗値X(K・cm/W)を以下のように算出する。
X=(T1-T2)×1/W1
さらに厚みt(μm)を用いて熱伝導率λ(W/(m・K))を以下のように算出する。
λ=(t×10-6)/(X×10-4
熱伝導シートの厚みは特に制限されず、使用される半導体パッケージ等の仕様により適宜選択することができる。厚みが小さいほど熱抵抗が低下する傾向にあり、厚みが大きいほど反り追従性が向上する傾向にある。熱伝導シートの平均厚みは、50μm~3000μmであってもよく、熱伝導性及び密着性の観点から、100μm~500μmであることが好ましく、150μm~300μmであることがより好ましい。熱伝導シートの平均厚みは、マイクロメータを用いて3箇所の厚みを測定し、その算術平均値として与えられる。熱伝導シートの厚みは、後述のように、発熱体の反り量に基づいて選択されたものであってもよい。
熱伝導シートの圧縮量は特に制限されない。例えば、150℃における圧縮応力が0.10MPaのときの圧縮量は20μm~1000μmであってもよく、30μm~200μmであってもよく、40μm~100μmであってもよい。150℃における圧縮応力が0.15MPaのときの圧縮量が上記値であってもよい。
熱伝導シートの「圧縮量」とは、熱伝導シートの厚み方向に圧力をかけたときの熱伝導シートの圧縮量であり、圧力をかける前の熱伝導シートの厚みから圧力をかけているときの熱伝導シートの厚みを減じた値である。
熱伝導シートの圧縮率は特に制限されない。例えば、150℃における圧縮応力が0.10MPaのときの圧縮率は、10%~60%であってもよく、15%~50%であってもよく、15%~40%であってもよい。150℃における圧縮応力が0.15MPaのときの圧縮率が上記値であってもよい。
熱伝導シートの「圧縮率」とは、圧力をかける前の熱伝導シートの厚み(μm)に対する上記圧縮量(μm)の割合(%)である。
熱伝導シートは、粘着面の保護のため、少なくとも一方の面に保護フィルムを有しているものを準備して用いてもよい。この場合、保護フィルムを剥離した熱伝導シートを発熱体と放熱体との接着に用いる。保護フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルナフタレート、メチルペンテン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー、パーフルオロアルコキシアルカン等の樹脂フィルム、コート紙、コート布、及びアルミニウム等の金属箔が使用できる。これらの保護フィルムは、1種単独で使用しても、2種以上組み合わせて多層フィルムとしてもよい。保護フィルムは、シリコーン系、シリカ系等の離型剤などで表面処理されていることが好ましい。
熱伝導シートが上記特定の圧縮弾性率及びタック力を満たす限り、熱伝導シートの組成は特に限定されない。例えば、樹脂及び熱伝導性フィラーを含有する熱伝導シートが挙げられる。
熱伝導性フィラーとしては、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化チタン、酸化亜鉛、炭化ケイ素、ケイ素、酸化ケイ素、シリカ、ガラス、金属粒子、炭素繊維、黒鉛、グラフェン、カーボンナノチューブ等が挙げられる。熱伝導性フィラーは、表面処理が施されていてもよい。熱伝導性フィラーは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
熱伝導性フィラーの形状は特に限定されず、球状、楕円体状、鱗片状、顆粒状、棒状、針状、繊維状等が挙げられる。
熱伝導性フィラーの平均粒径は特に制限されず、熱伝導性フィラーの材質等に応じて設定することが好ましい。
熱伝導性フィラーのアスペクト比(長径/短径)は特に制限されず、1~100の範囲であってもよく、5~50の範囲であってもよく、10~40の範囲であってもよい。熱伝導性フィラーのアスペクト比は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、20個の代表的な粒子についてそれぞれ短径に対する長径の長さの比(長径/短径)を測定し、得られた測定値の算術平均値とする。
熱伝導性フィラーは、熱伝導性の観点から、熱伝導シートの厚み方向に配向していることが好ましい。本開示において、「厚み方向に配向している」とは、長軸と短軸を有する(すなわち、アスペクト比が1を超える)熱伝導性フィラーにおいて、熱伝導性フィラーの長軸方向と、熱伝導シートの表面(主面)とのなす角度(「配向角度」ともいう)が、60°以上であることをいう。配向角度は、80°以上であることが好ましく、85°以上であることがより好ましく、88°以上であることがさらに好ましい。
熱伝導シート中の熱伝導性フィラーの含有量は、熱伝導性フィラーの材質等に応じて、熱伝導性と密着性のバランス等の観点から適宜選択することが好ましい。例えば、熱伝導性フィラーの含有率は、熱伝導シートの全体積に対して25体積%~75体積%であってもよく、30体積%~60体積%であってもよく、35体積%~50体積%であってもよい。
熱伝導シート中に含有される樹脂としては、特に制限されず、例えば硬化性樹脂であっても、非硬化性樹脂であってもよい。樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコーン、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル、ジアリルフタレート樹脂、ポリウレタン、ポリイミドシリコーン、熱硬化型ポリフェニレンエーテル、熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル、ポリブテン、ポリイソプレン、ポリサルファイド、アクリロニトリルゴム、シリコーンゴム、炭化水素樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水添テルペンフェノールが挙げられる。樹脂は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
熱伝導シート中の樹脂の含有量は、樹脂の種類及び所望の柔軟性、粘着力、密着性、シート強度、耐加水分解性等に応じて選択することが好ましい。例えば、樹脂の含有率は熱伝導シートの全体積に対して、25体積%~75体積%であることが好ましく、40体積%~70体積%であることがより好ましく、50体積%~65体積%であることがさらに好ましい。
熱伝導シートは、熱伝導性フィラー及び樹脂の他に、難燃剤、酸化防止剤等の各種添加剤を含有してもよい。難燃剤は特に限定されず、通常用いられる難燃剤から適宜選択することができる。例えば、赤りん系難燃剤及びりん酸エステル系難燃剤が挙げられる。中でも、安全性に優れ、可塑化効果により密着性が向上する観点から、りん酸エステル系難燃剤が好ましい。
熱伝導シートの製造方法は、上記特定の圧縮弾性率及びタック力を有する熱伝導シートが得られる方法であれば特に制限されない。例えば、熱伝導シートの各成分を含有する組成物を準備し、圧延、プレス、押出、塗工等によりシートを作製してもよい。
また、熱伝導シートの各成分を含有する組成物を用いて成形体を成形し、当該成形体をスライスすることによってシートを作製してもよい。このとき、熱伝導性フィラーが厚み方向に配向するように成形体をスライスすることが好ましい。
一実施形態において、熱伝導シートは、熱伝導シートの各成分を含有する組成物を準備し、当該組成物をシート化してシートを得た後、前記シートを積層して積層体を作製し、当該積層体の側端面をスライスすることによって製造してもよい。かかる方法で熱伝導シートを製造することで、効率的な熱伝導パスが形成され、熱伝導性と密着性に優れる熱伝導シートが得られる傾向にある。さらに、得られた熱伝導シートを保護フィルムに貼り付けてラミネートしてもよい。
〔発熱体及び放熱体の接着方法〕
本開示における半導体デバイスの製造方法では、熱伝導シートが間に配置された発熱体及び放熱体に対して、前記熱伝導シートの厚み方向に圧力をかけて、前記発熱体と前記放熱体とを前記熱伝導シートを介して接着させる。
本開示において接着とは化学的若しくは物理的な力又はその両者によって複数の面が接している状態をいう。本開示における半導体デバイスの製造方法によれば、発熱体と熱伝導シート、放熱体と熱伝導シート、又はこれらの両者の接着面積を良好に維持できる傾向にある。発熱体と放熱体とを熱伝導シートを介して接着させて半導体デバイスを組み立てたときの接着面積は、発熱体又は放熱体の熱伝導シートに対向する面の面積のうち80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが特に好ましい。
熱伝導シートを発熱体と放熱体の間に配置する方法としては、まず発熱体上に熱伝導シートを配置した後、当該熱伝導シートを介して放熱体を配置してもよく、まず放熱体上に熱伝導シートを配置した後、当該熱伝導シートを介して発熱体を配置してもよい。
1枚の熱伝導シートに対し、発熱体及び放熱体は各々1個であってもよく、発熱体又は放熱体のいずれか一方又は両方が複数であってもよい。
熱伝導シートを間に配置した発熱体及び放熱体に対して、熱伝導シートの厚み方向に圧力をかけて、発熱体と放熱体とを熱伝導シートを介して接着させる。このとき、発熱体側から圧力をかけてもよく、放熱体側から圧力をかけてもよい。
熱伝導シートの厚み方向にかける圧力は、熱伝導シートの密着性及び電子部品への負荷低減の観点から、0.05MPa~10.00MPaであることが好ましく、0.10MPa~5.00MPaであることがより好ましく、0.10MPa~1.00MPaであることがさらに好ましい。電子部品への負荷低減の観点からは、0.10MPa~0.50MPaであることが特に好ましい。熱伝導シートの密着性を担保する観点から、熱伝導シートの厚みに応じて圧力を調整してもよい。例えば、熱伝導シートの厚みが200μm以上のときに圧力を0.20MPa以下とし、熱伝導シートの厚みが200μm未満のときに圧力を0.20MPa超としてもよい。
圧力をかけるときの温度は特に制限されず、熱伝導シートの種類に応じて好適な温度範囲を選択することが好ましい。圧力をかけるときの温度は常温であってもよく、圧縮率を向上させる観点から、加熱された温度であることが好ましい。加熱された温度としては、例えば、80℃~200℃であってもよく、100℃~190℃であってもよく、120℃~180℃であってもよい。
なかでも、120℃~180℃の温度範囲で、0.10MPa~1.00MPaの圧力をかけることが好ましい。圧力を0.10MPa以上又は加熱温度を120℃以上とすることで、優れた密着性が得られる傾向にある。また、圧力が1.00MPa以下又は加熱温度が180℃以下であることで、密着の信頼性がより向上する傾向にある。これは熱伝導シートが過度に圧縮されて厚みが薄くなったり、周辺部材の歪み又は残留応力が大きくなりすぎたりすることを抑制できるためと考えられる。
圧力をかけているとき、例えば150℃において0.10MPaの圧力をかけているときの発熱体の反り量は、例えば10μm以上であってもよく、20μm以上であってもよく、25μm以上であってもよい。また、圧力をかけているとき、例えば150℃において0.10MPaの圧力をかけているときの発熱体の反り量は80μm以下であってもよく、70μm以下であってもよく、60μm以下であってもよい。150℃において0.15MPaの圧力をかけているときの発熱体の反り量が上記範囲であってもよい。
圧力を開放した後の発熱体の反り量は、例えば40μm以上であってもよく、50μm以上であってもよく、60μm以上であってもよい。また、圧力を開放した後の発熱体の反り量は150μm以下であってもよく、140μm以下であってもよく、130μm以下であってもよい。圧力を開放した後に温度変化に伴い反り量が変化する場合には、上記「圧力を開放した後の発熱体の反り量」は、25℃における反り量とする。
発熱体と放熱体を接着する工程において、圧力をかけているときの発熱体の反り量と、圧力を開放した後の発熱体の反り量との差は、30μm以上であってもよく、40μm以上であってもよく、45μm以上であってもよい。また、上記差の上限値は、例えば120μm以下であってもよい。
発熱体の「反り量」とは、発熱体が反って変形したときの、発熱体の厚み方向の最大変形量(μm)を表す。
熱伝導シートをTIM1用途に使用する場合の反り量の測定方法の一例を、図2を用いて説明する。反り量は、以下のように、発熱体を搭載した基板の変形量に基づいて測定することができる。反り量の解析範囲は、基板側から見て発熱体が搭載されている部分(発熱体部分)aとする。発熱体部分aにおいて、基板の厚み方向の変形量が最も大きい部分と、発熱体の端との変位差を反り量bと定義する。
反り量が大きいほど、反り発生時に熱伝導シートが発熱体及び放熱体から剥離しやすくなる。本開示で用いられる熱伝導シートは、発熱体の反り量が大きくても、発熱体及び放熱体から剥がれることなく、接着面積を良好に維持できる傾向にある。
発熱体と放熱体とを前記熱伝導シートを介して接着させるための具体的な方法は、それぞれを十分に密着させた状態で固定できる方法であれば特に制限されない。例えば、発熱体と放熱体との間に熱伝導シートを配置し、0.05MPa~1.00MPa程度に加圧可能な治具で固定し、この状態で発熱体を発熱させるか、又はオーブン等により80℃~180℃程度に加熱する方法が挙げられる。また、80℃~180℃、0.05MPa~1.00MPaで加熱加圧できるプレス機を用いる方法が挙げられる。
固定は、クリップの他、ネジ、バネ等の治具を用いてもよく、接着剤等の通常用いられる手段でさらに固定されていることが、密着を持続させるうえで好ましい。
半導体デバイスは、上述のように熱伝導シートを介して接着した発熱体と放熱体を用いて製造することができる。半導体デバイスの種類は特に制限されず、例えば、CPU、メモリー等の集積回路(IC)が搭載された電子材料が挙げられる。また、例えば、バイポーラトランジスタ、パワーMOSFET、IGBT等のパワーデバイスが挙げられる。
≪熱伝導シートの製造方法≫
本開示の一実施形態において、熱伝導シートが間に配置された発熱体及び放熱体に対して、前記熱伝導シートの厚み方向に加熱しながら圧力をかけて、前記発熱体と前記放熱体とを前記熱伝導シートを介して接着させるための熱伝導シートにおいて、前記熱伝導シートの圧縮量が下記式を満たすように、前記熱伝導シートの圧縮率及び厚みを選択してもよい。
式:C>L-L
:加熱加圧時の前記発熱体の予測される反り量(μm)
:加熱加圧を終了した後、25℃まで冷却された際の前記発熱体の予測される反り量(μm)
C:加熱加圧条件下における前記熱伝導シートの予測される圧縮量(μm)
C=加圧前の熱伝導シートの厚み(μm)×加熱加圧条件下での圧縮率(%)
加熱加圧時の発熱体の予測される反り量(L)とは、予測される圧力及び温度条件下における発熱体の予測される反り量を表す。例えば、150℃、0.10MPaで圧力をかけて発熱体と放熱体とを熱伝導シートを介して接着することが予測される場合、150℃、0.10MPaで圧力をかける条件における予測される反り量をいう。また、150℃、0.15MPaで圧力をかけて発熱体と放熱体とを熱伝導シートを介して接着することが予測される場合、150℃、0.15MPaで圧力をかける条件における予測される反り量をいう。
加熱加圧時の発熱体の予測される反り量(L)は、例えば10μm以上であってもよく、20μm以上であってもよく、25μm以上であってもよい。また、加熱加圧時の発熱体の予測される反り量(L)は80μm以下であってもよく、70μm以下であってもよく、60μm以下であってもよい。
加熱加圧を終了した後、25℃まで冷却された際の発熱体の予測される反り量(L)は、例えば40μm以上であってもよく、50μm以上であってもよく、60μm以上であってもよい。また、加熱加圧を終了した後、25℃まで冷却された際の発熱体の予測される反り量(L)は150μm以下であってもよく、140μm以下であってもよく、130μm以下であってもよい。
上記LとLの差(L-L)は、30μm以上であってもよく、40μm以上であってもよく、45μm以上であってもよい。また、上記差の上限値は、例えば120μm以下であってもよい。
加熱加圧条件下における熱伝導シートの予測される圧縮量(C)は、予測される圧力及び温度条件下における熱伝導シートの圧縮量をいう。例えば、150℃、0.10MPaで圧力をかけて発熱体と放熱体とを熱伝導シートを介して接着することが予測される場合、150℃、0.10MPaの条件における圧縮量をいう。また、150℃、0.15MPaで圧力をかけて発熱体と放熱体とを熱伝導シートを介して接着することが予測される場合、150℃、0.15MPaの条件における圧縮量をいう。
加熱加圧条件下における熱伝導シートの予測される圧縮量(C)は、例えば、20μm~1000μmであってもよく、30μm~200μmであってもよく、40μm~100μmであってもよい。
加圧前の熱伝導シートの厚みとは、加圧前の熱伝導シートの平均厚みである。熱伝導シートの厚みの好ましい範囲は前述の通りである。
熱伝導シートの圧縮率の好ましい範囲は前述の通りである。
上記のように圧縮率及び厚みを選択して製造された熱伝導シートは、発熱体と放熱体を接着する工程において、発熱体の反り量の変化に追従するために十分な圧縮量を有しているため、熱伝導シートの剥離が好適に抑制されると考えられる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、各実施例において、圧縮弾性率、圧縮量、タック力、熱伝導率、反り量、及び接着面積の評価は以下の方法により行った。
(圧縮弾性率及び圧縮量の測定)
測定には、恒温槽が付属している圧縮試験装置(INSTRON 5948 Micro Tester (INSTRON社))を用いた。熱伝導シートを直径14mmの円型に切り抜いて試験に用いた。熱伝導シートを0.1mm厚の紙(離型紙)に挟み、恒温槽の温度150℃において、熱伝導シートの厚み方向に対して0.1mm/minの変位速度で荷重を加え、変位(mm)と荷重(N)を測定した。変位(mm)/厚み(mm)で求められる歪み(無次元)を横軸に、荷重(N)/面積(mm)で求められる応力(MPa)を縦軸に示し、応力が0.10MPaのときの傾きを圧縮弾性率(MPa)とした。また、任意の圧力まで圧縮した際の最大変位を圧縮量(μm)とした。
(タック力の測定)
万能物性試験機(テクスチャーアナライザー(英弘精機株式会社))を用いて、25℃(常温)において、直径7mmのプローブを荷重40Nで熱伝導シートに押し当て10秒間保持した後、プローブを引き上げた際の荷重と変位曲線を積分して得られる面積をタック力(N・mm)とした。
(熱伝導率の測定)
熱伝導シートを10mm角に切り抜き、発熱体であるトランジスタ(2SC2233)と放熱体である銅ブロックとの間に挟み、トランジスタを80℃、0.14MPaの圧力で押し付けながら電流を通じた際のトランジスタの温度T1(℃)及び銅ブロックの温度T2(℃)を測定し、測定値と印加電力W1(W)から、単位面積(1cm)当たりの熱抵抗値X(K・cm/W)を以下のように算出した。
X=(T1-T2)×1/W1
さらに熱伝導率λ(W/(m・K))を熱抵抗値(K・cm/W)及び厚みt(μm)を用いて以下のように算出した。
λ=(t×10-6)/(X×10-4
(反り量の測定)
反り量は3D加熱表面形状測定装置(サーモレイPS200、AKROMETRIX社)を用いて測定した。チップ面積部(20mm×20mm)に対応する基板の反り量を測定した。
パッケージの組み立て条件である150℃におけるチップ面積部の基板の反り量は29μmであった。また、組み立て後の25℃におけるチップ面積部の基板の反り量は75μmであった。よって上記反り量の差は46μmであった。
(接着面積評価試験)
接着面積は以下のように評価した。超音波画像診断装置(Insight-300、インサイト株式会社)を用いて、反射法、35MHzの条件で貼り付き状態を観察した。さらに、その画像を画像解析ソフト(ImageJ)により2値化し、20mm角のチップ部分のうち、貼り付いている面積の割合を算出し、接着面積(%)とした。
接着面積評価試験には、以下のように作製した簡易のパッケージを用いた。
基板にはMCL-E-700G(R)(厚み0.81mm、日立化成株式会社)、アンダーフィル材にはCEL-C-3730N-2(日立化成株式会社)、シール材にはシリコーン系接着剤(SE4450、東レ・ダウコーニング株式会社)を用いた。また、ヒートスプレッダには厚み1mmの銅板の表面にニッケルでメッキ処理したものを用いた。基板及びヒートスプレッダのサイズを45mm角、半導体チップサイズを20mm角とした。このとき、150℃、0.15MPaの圧力をかけているときの発熱体の反り量は29μmであり、圧力を開放した後、25℃まで冷却された際の発熱体の反り量は75μmであった。
パッケージの組立は以下のように行った。任意の厚みの熱伝導シートを、23mm角に切り抜き、ヒートスプレッダへ貼り付けた。半導体チップを、熱伝導シートを介してヒートスプレッダに配置した。高精度加圧・加熱接合装置(HTB-MM、アルファーデザイン株式会社)を用いて任意の温度及び圧力で3分間熱伝導シートの厚み方向に加圧した。その後、150℃の恒温槽で2時間処理し、シール材を完全に硬化させた。
<実施例1>
150℃における圧縮応力が0.10MPaのときの圧縮弾性率が1.16MPaであり、25℃におけるタック力が7.6N・mm、熱伝導率が21W/(m・K)である日立化成株式会社製の厚み0.3mmの熱伝導シートを選択して、150℃、0.15MPaの条件において上記方法でパッケージを組み立て、熱伝導シートを発熱体である半導体チップと放熱体であるヒートスプレッダに接着させた。このとき、接着面積は99%であった。反り追従性の指標である接着面積が90%以上を示し、優れた反り追従性を示した。150℃、0.15MPa圧縮時の熱伝導シートの圧縮率は19%であり、熱伝導シートの圧縮量は57μmであった。
<実施例2>
150℃における圧縮応力が0.10MPaのときの圧縮弾性率が1.16MPaであり、25℃におけるタック力が7.6N・mm、熱伝導率が18W/(m・K)である日立化成株式会社製の厚み0.2mmの熱伝導シートを選択して、150℃、0.15MPaの条件において上記方法でパッケージを組み立て、熱伝導シートを発熱体である半導体チップと放熱体であるヒートスプレッダに接着させた。このとき、接着面積は95%であった。反り追従性の指標である接着面積が90%以上を示し、優れた反り追従性を示した。150℃、0.15MPa圧縮時の熱伝導シートの圧縮率は21%であり、熱伝導シートの圧縮量は47μmであった。
<実施例3>
150℃における圧縮応力が0.10MPaのときの圧縮弾性率が1.16MPaであり、25℃におけるタック力が7.6N・mm、熱伝導率が16W/(m・K)である日立化成株式会社製の厚み0.15mmの熱伝導シートを選択して、150℃、0.31MPaの条件において上記方法でパッケージを組み立て、熱伝導シートを発熱体である半導体チップと放熱体であるヒートスプレッダに接着させた。このとき、接着面積は90%であった。150℃、0.31MPa圧縮時の熱伝導シートの圧縮率は35%であり、熱伝導シートの圧縮量は52μmであった。
<比較例1>
熱伝導材として、液状の熱伝導率2W/(m・K)のシリコングリース(サンワサプライ製、TK-P3K)を選択して、150℃、0.03MPaの条件において上記方法でパッケージを組み立て、発熱体である半導体チップと放熱体であるヒートスプレッダに接着させた。なお、液状のため、圧縮弾性率及び、タック力は測定できない。組み立て後のシリコングリースの厚みは40μmで、接着面積は63%であった。
<比較例2>
150℃における圧縮応力が0.10MPaのときの圧縮弾性率が1.44MPaであり、25℃におけるタック力が7.2N・mm、熱伝導率が20W/(m・K)である日立化成株式会社製の厚み0.3mmの熱伝導シートを選択して、150℃、0.15MPaの条件において上記方法でパッケージを組み立て、熱伝導シートを発熱体である半導体チップと放熱体であるヒートスプレッダに接着させた。このとき、接着面積は72%であった。150℃、0.15MPa圧縮時の熱伝導シートの圧縮率は13%であり、熱伝導シートの圧縮量は40μmであった。
<比較例3>
150℃における圧縮応力が0.10MPaのときの圧縮弾性率が1.73MPaであり、25℃におけるタック力が1.8N・mm、熱伝導率が23W/(m・K)である日立化成株式会社製の厚み0.3mmの熱伝導シートを選択して、150℃、0.15MPaの条件において上記方法でパッケージを組み立て、熱伝導シートを発熱体である半導体チップと放熱体であるヒートスプレッダに接着させた。このとき、接着面積は74%であった。150℃、0.15MPa圧縮時の熱伝導シートの圧縮率は13%であり、熱伝導シートの圧縮量は44μmであった。
<比較例4>
150℃における圧縮応力が0.10MPaのときの圧縮弾性率が1.35MPaであり、25℃におけるタック力が3.8N・mm、熱伝導率が18W/(m・K)である日立化成株式会社製の厚み0.3mmの熱伝導シートを選択して、150℃、0.15MPaの条件において上記方法でパッケージを組み立て、熱伝導シートを発熱体である半導体チップと放熱体であるヒートスプレッダに接着させた。このとき、接着面積は78%であった。150℃、0.15MPa圧縮時の熱伝導シートの圧縮率は16%であり、熱伝導シートの圧縮量は48μmであった。
以上のように、実施例の方法を用いて発熱体と放熱体を接着させた場合、接着面積を良好に維持することができた。これにより、放熱性に優れる半導体デバイスを得ることができると考えられる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に援用されて取り込まれる。
1 熱伝導シート
2 半導体チップ(発熱体)
3 ヒートスプレッダ(放熱体)
4 基板
5 アンダーフィル材
6 シール材
a 発熱体部分(解析範囲)
b 反り量

Claims (15)

  1. 150℃における圧縮応力が0.10MPaのときの圧縮弾性率が1.40MPa以下であり、25℃におけるタック力が5.0N・mm以上である熱伝導シートが間に配置された発熱体及び放熱体に対して、前記熱伝導シートの厚み方向に圧力をかけて、前記発熱体と前記放熱体とを前記熱伝導シートを介して接着させる工程を含む、半導体デバイスの製造方法。
  2. 定常法により測定される熱抵抗から求められる前記熱伝導シートの熱伝導率が7W/(m・K)以上である、請求項1に記載の半導体デバイスの製造方法。
  3. 前記圧力が0.05MPa~10.00MPaである、請求項1又は請求項2に記載の半導体デバイスの製造方法。
  4. 前記圧力が0.10MPa~0.50MPaである、請求項3に記載の半導体デバイスの製造方法。
  5. 前記発熱体が半導体チップであり、前記放熱体がヒートスプレッダである、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の半導体デバイスの製造方法。
  6. 前記発熱体の前記熱伝導シートと対向する面の面積が25mm以上である、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の半導体デバイスの製造方法。
  7. 前記発熱体がヒートスプレッダを備える半導体パッケージであり、前記放熱体がヒートシンクである、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の半導体デバイスの製造方法。
  8. 前記発熱体が半導体モジュールである、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の半導体デバイスの製造方法。
  9. 前記発熱体の前記熱伝導シートと対向する面の面積が100mm以上である、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の半導体デバイスの製造方法。
  10. 150℃における圧縮応力が0.10MPaのときの圧縮弾性率が1.40MPa以下であり、25℃におけるタック力が5.0N・mm以上であり、半導体デバイスの発熱体と放熱体との間に配置して前記発熱体と前記放熱体の接着に用いるための、熱伝導シート。
  11. 定常法により測定される熱抵抗から求められる熱伝導率が7W/(m・K)以上である、請求項10に記載の熱伝導シート。
  12. 前記発熱体が半導体チップであり、前記放熱体がヒートスプレッダである、請求項10又は請求項11に記載の熱伝導シート。
  13. 前記発熱体がヒートスプレッダを備える半導体パッケージであり、前記放熱体がヒートシンクである、請求項10又は請求項11に記載の熱伝導シート。
  14. 前記発熱体が半導体モジュールである、請求項10又は請求項11に記載の熱伝導シート。
  15. 熱伝導シートが間に配置された発熱体及び放熱体に対して、前記熱伝導シートの厚み方向に加熱しながら圧力をかけて、前記発熱体と前記放熱体とを前記熱伝導シートを介して接着させるための熱伝導シートにおいて、前記熱伝導シートの圧縮量が下記式を満たすように、前記熱伝導シートの圧縮率及び厚みを選択することを含む、熱伝導シートの製造方法。
    式:C>L-L
    :加熱加圧時の前記発熱体の予測される反り量(μm)
    :加熱加圧を終了した後、25℃まで冷却された際の前記発熱体の予測される反り量(μm)
    C:加熱加圧条件下における前記熱伝導シートの予測される圧縮量(μm)
    C=加圧前の熱伝導シートの厚み(μm)×加熱加圧条件下での圧縮率(%)
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