JP2022092577A - インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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睦月 草田
Mutsuki Kusada
正幸 池上
Masayuki Ikegami
浩志 柿川
Koji Kakikawa
和也 主代
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Abstract

【課題】小型で耐久性の高いインクジェット記録装置を使用した場合であっても、固着回復性に優れているとともに、ムラが抑制された高品位な画像を記録することが可能なインクジェット記録方法を提供する。【解決手段】複数の水性インクと、第1インク収容部と、第2インク収容部と、水性インクを供給する複数のチューブと、水性インクを吐出する複数の吐出口列が配列された吐出口面を有する記録ヘッドと、複数の吐出口列を纏めて覆い、水性インクを吸引する吸引手段を有する回復機構と、を備えるインクジェット記録装置を使用して画像を記録するインクジェット記録方法である。第1インクの粘度η1(mPa・s)に対する、第2インクの粘度η2(mPa・s)の比(η2/η1)が、0.7以上1.5以下であり、第1インクが、比誘電率40.0以上の第1水溶性有機溶剤を含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録方法、及びそれに用いるインクジェット記録装置に関する。
近年、インクジェット記録装置は、オフィスや商業印刷分野で利用される機会が増加している。これらの分野では大量の画像を記録するため、高い生産性が要求される。例えば、生産性を向上させるべく、インク収容部を大容量化してインクカートリッジの交換の手間を不要したインクジェット記録装置が提案されている(特許文献1)。
また、インク収容部を大容量化して記録可能枚数が増加したことにより、インクジェット記録装置の使用年数が長期化している。このため、装置を構成する部材の耐久性やインクの信頼性を確保することが強く求められる傾向にある。例えば、柔軟性及び耐屈曲性を備えるインクジェット記録装置用のインク供給チューブが提供されている(特許文献2)。
さらに、装置の小型化への要望に応えるべく、同一の吸引キャップを通じて複数の吐出口列から複数のインクを纏めて吸引する回復機構を備えたインクジェット記録装置が知られている。このような簡素な回復機構を備えたインクジェット記録装置を使用する場合であっても高い信頼性を維持すべく、インクセットの蒸発粘度の差を規定して回復性を高めたインクジェット記録装置が提案されている(特許文献3)。
ところで、近年、例えば、店舗や写真スタジオにおいて、インクジェット記録装置を使用して印刷した成果物を商品として顧客に販売する機会が増加している。このような用途で用いるインクジェット記録装置には、写真や画像を高画質で記録しうる性能が要求される。このような要求に対し、画像の記録によって生ずるムラを低減するインクジェット記録方法が提案されている(特許文献4)。
また、同一の吸引キャップを通じて複数の吐出口列から複数のインクを纏めて吸引する機構を備える、インクに含有させる低比誘電率溶剤と高比誘電率溶剤の割合と、ノズルの流路体積の関係を規定したインクジェット記録装置が提案されている(特許文献5)。このインクジェット記録装置によれば、固着回復性を維持することができるとしている。
特開2017-081150号公報 特開2003-080724号公報 特開2005-171070号公報 特開2019-130898号公報 特開2017-081056号公報
本発明者らは、小型化されているとともに、耐久性に優れたインクジェット記録装置を提供するための構成について検討した。その結果、以下に示す(1)~(3)の3つの構成を採用することが好適であることがわかった。
(1)インク供給チューブの長さがインク間で必ずしも同等ではない(インク毎に異なる)。
(2)複数の吐出口列から同一の吸引キャップを通じて複数のインクを纏めて吸引する回復動作を実施する。
(3)柔軟性を有するインク供給チューブを用いる。
コンパクトなスペース内に装置の各部材を配置する場合、サブタンクとメインタンクを連結する複数のチューブの長さはインク間で必ずしも同等とはならず、インク毎に異なる場合がある(構成(1))。また、複数の吐出口列から同一の吸引キャップを通じて複数のインクを纏めて吸引する方式の場合、回復機構をコンパクトにすることができる(構成(2))。これは、複数のノズルを個別の吸引キャップを通じて吸引する方式と比較して、複数の吐出口列間の距離を狭めることができるためである。さらに、サブタンクは、通常、キャリッジに搭載された記録ヘッド上部に配置されているか、又は記録ヘッドと一体化されている。このため、その一端がメインタンクに接続され、その他端がサブタンクに接続されたインク供給チューブは、画像を記録する際にキャリッジの走査に伴って装置内を引き回されることになる。したがって、耐久性を確保するには、キャリッジの往復走査に耐えうる柔軟性を有するインク供給チューブを用いることが好ましい(構成(3))。但し、特許文献1~5には、上記(1)~(3)の構成をすべて備えるインクジェット記録装置は開示されていない。
本発明者らは、特許文献3で提案されたインクジェット記録装置及びインクセットを用いて画像を記録した。その結果、インクを充填して長期間放置した後であっても、回復機構を作動させることで吐出口に生じた目詰まりが解消され、インクが正常に吐出される状態へと回復させることが可能であること、すなわち固着回復性が良好であることが判明した。しかし、上記の(1)~(3)の構成を採用したインクジェット記録装置の場合、画像を正常に記録するには吸引を何度も繰り返す必要があり、固着回復性は不十分となる場合があることがわかった。さらに、記録開始直後に得られる画像にムラが生じやすくなることが新たに判明した。
したがって、本発明の目的は、以下の(1)~(3)の構成を備えるインクジェット記録装置を使用する場合に生ずる課題を解決することにある。すなわち、上記のインクジェット記録装置を使用した場合であっても、固着回復性に優れているとともに、ムラが抑制された高品位な画像を記録することが可能なインクジェット記録方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、このインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置を提供することにある。
(1)インク供給チューブの長さがインク間で必ずしも同等ではない(インク毎に異なる)。
(2)複数の吐出口列から同一の吸引キャップを通じて複数のインクを纏めて吸引する回復動作を実施する。
(3)柔軟性を有するインク供給チューブを用いる。
すなわち、本発明によれば、色材を含有する複数の水性インクと、複数の前記水性インクをそれぞれ収容する第1インク収容部と、第2インク収容部と、前記第1インク収容部から前記第2インク収容部へと前記水性インクを供給する複数のチューブと、前記第2インク収容部と接続し、前記第2インク収容部から供給される複数の前記水性インクがそれぞれ流通する複数のノズル、複数の前記ノズルに連通して複数の前記水性インクをそれぞれ吐出する複数の吐出口、及び前記複数の吐出口で構成されるとともに、複数の前記水性インクに対応して配置される複数の吐出口列が配列された吐出口面を有する記録ヘッドと、前記記録ヘッドの前記吐出口面を含む領域に当接して複数の前記吐出口列を纏めて覆う吸引キャップ、並びに、前記吸引キャップを通じて複数の前記ノズル内の前記水性インクを纏めて吸引する吸引手段を有する回復機構と、を備え、複数の前記水性インクが、第1インク及び第2インクを含むとともに、複数の前記チューブが、前記第1インクを前記第2インク収容部へと供給する第1チューブ及び前記第2インクを前記第2インク収容部へと供給する第2チューブを含み、前記第1チューブの長さL(mm)が、前記第2チューブの長さL(mm)に対する比(L/L)で、1.15倍以上であり、前記第1チューブ及び前記第2チューブの40℃における水蒸気透過量W(mg/day)が、2mg/day以上であるインクジェット記録装置を使用し、前記吐出口から吐出した前記水性インクを記録媒体に付与して画像を記録する工程を有するインクジェット記録方法であって、前記第2インクの粘度η(mPa・s)が、前記第1インクの粘度η(mPa・s)に対する比(η/η)で、0.7倍以上1.5倍以下であり、前記第1インクが、比誘電率40.0以上の第1水溶性有機溶剤を含有することを特徴とするインクジェット記録方法が提供される。
本発明によれば、以下の(1)~(3)の構成を備えるインクジェット記録装置を使用した場合であっても、固着回復性に優れているとともに、ムラが抑制された高品位な画像を記録することが可能なインクジェット記録方法を提供することができる。また、本発明によれば、このインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置を提供することができる。
(1)インク供給チューブの長さがインク間で必ずしも同等ではない(インク毎に異なる)。
(2)複数の吐出口列から同一の吸引キャップを通じて複数のインクを纏めて吸引する回復動作を実施する。
(3)柔軟性を有するインク供給チューブを用いる。
本発明のインクジェット記録装置の一実施形態を模式的に示す斜視図である。 インク供給系の一例を示す模式図である。 サブタンクの一例を示す模式図である。 吸引キャップの当接状態を示す模式図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値である。
前述のとおり、特許文献3で提案されたインクジェット記録装置に上記の(1)~(3)の構成を採用し、インクを充填して長期間放置した場合には、固着回復性が不十分となる場合があった。特許文献3では、回復動作のインク吸引量のばらつきを解消して固着回復性を維持すべく、蒸発速度の異なるインク間の蒸発粘度の差を所定の範囲内に収めるとされている。
しかし、小型で耐久性に優れたインクジェット記録装置を提供するための(1)~(3)の構成を採用した場合、インク間の粘度差とは異なる要因で回復動作の吸引量にばらつきが生じてしまい、固着回復性が不十分となることがわかった。装置を小型化すべくチューブの長さがインク間で必ずしも同等にならない場合、チューブの表面積、すなわち空気との接触面積が異なるため、インクの蒸発量に差が生ずる。チューブの柔軟性はチューブのバリア性と相関関係を有する。具体的には、柔軟性の高いチューブは、水蒸気透過量が大きくなる傾向にある。このため、耐久性を向上させるべく柔軟性を有するチューブを採用すると、水蒸気透過量が多くなるため、インク間の蒸発量の差がより顕著に大きくなる。その結果、蒸発量の多い長いチューブ内のインクは、蒸発量の少ない短いチューブ内のインクに比して、より濃縮された状態であると考えられる。
また、インクはチューブの壁面から蒸発するため、チューブの内壁近傍に存在するインクは、チューブの断面方向における中心部に存在するインクに比して濃縮されている。したがって、長いチューブの内壁近傍では、液体成分の蒸発及び色材の濃度上昇によりインクが局所的に高粘度となりやすく、このインクが記録ヘッドまで流動すると、圧力損失が増加してインクが吸引されにくくなると考えられる。一方、短いチューブの場合、壁面の表面積が相対的に小さいために蒸発量が少なく、チューブの内壁近傍に存在するインクの局所的な高粘度化は起こりにくいと考えられる。
本発明者らは、さらに、前述の(1)~(3)の構成を備えるインクジェット記録装置であっても、固着回復性の低下を抑制するインクについて検討した。具体的には、相対的に長いチューブ(第1チューブ)で供給されるインクを「第1インク」とし、相対的に短いチューブ(第2チューブ)で供給されるインクを「第2インク」とする。そして、第1インクは第2インクよりも蒸発量が多くなるので、第1インクの粘度を第2インクの粘度よりも低くなるように調整した。第1インク及び第2インクの粘度の関係をこのように調整したところ、固着回復性はある程度改善したが、記録開始直後に得られる画像にムラが生じやすくなるといった新たな課題が生ずることが判明した。第1インクと第2インクの粘度を異ならせたことで、インク間の水のモル分率の差が拡大したため、記録開始直後に得られる画像にムラが生じやすくなったと考えられる。
インクにおける水のモル分率とは、インクに含まれる分子量300以下の水溶性化合物(水を含む)に占める水のモル分率を指し、理論上、0%を超えて100%以下の値を取る。「分子量が300以下」の化合物を水のモル分率を算出する対象の化合物とするのは、水と比較して分子量が十分に大きい化合物は、インクジェット用の水性インク中の通常の含有量では、水のモル分率に実質的に影響を与えないためである。
一般的に、同一の温度で比較した場合、不揮発性の溶質を含有する水溶液は、純粋な水に比して蒸気圧が低下しているため、液体成分が蒸発しにくい。蒸気圧の低下の度合いは、十分に希薄な溶液や理想気体の場合、溶質の種類に関わらず、溶質のモル分率に比例する(ラウールの法則)。ラウールの法則は、インクにも当てはめることができる。インクジェット用の水性インクは通常、常温(25℃)では不揮発性の溶質として扱われる色材や樹脂、水よりも蒸気圧が低い水溶性有機溶剤などで構成されるため、下記式(1)にしたがってインク中の水の蒸気圧を算出することができる。
「インク中の水の蒸気圧」=「純粋な水の蒸気圧」×「インク中の水のモル分率」
…(1)
次に、複数の水性インクに対応して配置される複数の吐出口列が配列された吐出口面が吸引キャップで覆われ、吸引キャップ内が密閉空間となっている場合の水の平衡状態を考える。インク中の水のモル分率が、吸引キャップ内の密閉空間の相対湿度よりも高い場合は、ノズル内のインク中の水が蒸発する。これに対して、インク中の水のモル分率が、吸引キャップ内の密閉空間の相対湿度よりも低い場合は、吸引キャップ内の水がノズル内のインク中に溶解する。下記式(2)で表される状態となるまで蒸発と溶解が生じ、最終的には平衡状態となる。
「吸引キャップ内の密閉空間の相対湿度」=「ノズル内のインク中の水のモル分率」
…(2)
複数の水性インクに対応して配置される複数の吐出口列が配列された吐出口面が1つの吸引キャップで覆われている場合、「吸引キャップ内の密閉空間の相対湿度」=「各インク中の水のモル分率」という平衡状態に達する。インク間で水のモル分率が異なる場合、水のモル分率の高いインクから水が蒸発し、水のモル分率の低いインクに水が溶解する。最終的にすべてのインクの水のモル分率が、吸引キャップ内の密閉空間の相対湿度と同一になって平衡状態に達する。すなわち、水のモル分率の低いインクは吸湿して希釈され、水のモル分率の高いインクでは蒸発により濃縮される。
インクの粘度を低下させるには、水の含有量を増加するとともに、水溶性有機溶剤の含有量を低減すればよい。一方、インクの粘度を上昇させるには、水の含有量を低減するとともに、水溶性有機溶剤の含有量を増加すればよい。しかし、水の含有量を単に増減するだけでは、インク間の水のモル分率の差が拡大するので、上述のようなインクの濃縮と希釈が繰り返される。記録ヘッドのノズル内のうち、吐出口近傍に存在するインクは当初の状態から濃縮又は希釈された状態となるため、記録開始直後は濃縮又は希釈されたインクにより画像が記録される。これらのインクが消費された後は、希釈も濃縮もされていないインクにより画像が記録されるので、得られる画像にムラが生ずると考えられる。
上記を踏まえ、第2インクの粘度η(mPa・s)は、第1インクの粘度η(mPa・s)に対する比(η/η)で、0.7倍以上1.5倍以下とする。η/η比が上記の範囲外であると、第1インクと第2インクの粘度の差が大きくなり、第1インクと第2インクの水のモル分率の差も大きくなりやすい。このため、複数の吐出口列が同一の吸引キャップで覆われて密閉空間が形成された際に、水のモル分率の低いインクが希釈され、水のモル分率の高いインクが濃縮されることになるので、記録開始直後の画像にムラが生じやすい。
さらなる検討の結果、本発明者らは、第1チューブで供給される第1インクに比誘電率40.0以上の水溶性有機溶剤(第1水溶性有機溶剤)を含有させることで、高いレベルの固着回復性と画像品位を両立しうることを見出し、本発明に至った。比誘電率40.0以上の第1水溶性有機溶剤を第1インクに含有させることによって上記の効果が得られる理由について、本発明者らは以下のように推測している。
前述の通り、チューブ内のインクはチューブの壁面から蒸発する。通常、インクジェット用の水性インクは、水を主成分とし、それ以外の成分は水よりも蒸気圧が低い。インクの成分のうち、蒸気圧の高い水は蒸発が速いので、チューブの内壁近傍ではチューブの断面の中心部と比較して、水溶性有機溶剤の占める割合が高くなると考えられる。また、水溶性有機溶剤は、その比誘電率が高いほど極性が高い。分極の大きい高比誘電率の水溶性有機溶剤は、インク中でイオン解離した色材の存在状態を安定化しやすい。このため、濃縮された色材に対して溶媒和し、強固な会合体や凝集体が形成されるのを抑制することができると考えられる。
ここで、第1インクに第1水溶性有機溶剤を含有させた場合を想定する。この場合、水の蒸発に伴い、チューブの内壁近傍には局所的に高粘度化したインクが存在することになるが、第1水溶性有機溶剤の占める割合も高まることになる。すると、第1水溶性有機溶剤の色材を溶媒和する作用によって、チューブの内壁近傍で濃縮されて高粘度化した色材がほぐされ、チューブ内の第1インクの流れにより拡散する。その結果、回復動作の際の吸引量低下の原因となっていたチューブの内壁近傍に存在していた第1インクの粘度が低下し、固着回復性が向上したと考えられる。
複数の吐出口列から同一の吸引キャップを通じて複数のインクを纏めて吸引することで、回復機構をコンパクトにする場合、インクの吸引量をインク毎に設定することは困難である。このような制約のあるインクジェット記録装置において、固着回復性を改善するための従来の考え方は、インク間の粘度を揃え、吸引量のばらつきをなくすというものである。しかし、長さが異なるとともに、柔軟で水蒸気透過量の多い複数のチューブを備えるインクジェット記録装置の場合、チューブ間のインクの蒸発の程度の差が、従来のインクジェット記録装置から想定するよりも大きい。このため、水が蒸発したインク間の粘度を揃えようとすると、水が蒸発していないインク間の粘度差が大きくなり、画像の品位が低下しやすい。すなわち、インクの粘度を単に調整するといった従来の考え方では、固着回復性と画像品位を両立することができなかった。これに対して、本発明者らは、水蒸気透過量の多いチューブを用いる場合の、固着回復性が低下する要因がチューブの内壁近傍で高粘度化したインクであることを見出した。そして、所定の物性の水溶性有機溶剤をインクに含有させることで、単なるインクの粘度調整によらず、画像の品位を低下させずに固着回復性を向上させうることを見出した。
<インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置>
本発明のインクジェット記録方法は、複数の水性インクと、複数の水性インクをそれぞれ収容する第1インク収容部と、第2インク収容部と、複数のチューブと、記録ヘッドと、回復機構とを備えたインクジェット記録装置を使用する。複数の水性インクは、それぞれ色材を含有する。チューブは、第1インク収容部から第2インク収容部へと水性インクを供給する部材(インク供給チューブ)である。記録ヘッドは、第2インク収容部と接続し、第2インク収容部から供給される複数の水性インクがそれぞれ流通する複数のノズルを有する。さらに、この記録ヘッドは、複数のノズルに連通して複数の水性インクをそれぞれ吐出する複数の吐出口、及び、複数の吐出口で形成されるとともに、複数の水性インクに対応して配置される複数の吐出口列が配列された吐出口面を有する。回復機構は、記録ヘッドの吐出口面を含む領域に当接して複数の吐出口列を纏めて覆う吸引キャップ、及び吸引キャップを通じて複数のノズル内の水性インクを纏めて吸引する吸引手段を有する。複数の水性インクは、第1インク及び第2インクを含む。複数のチューブは、第1インクを第2インク収容部へと供給する第1チューブ及び第2インクを第2インク収容部へと供給する第2チューブを含む。そして、本発明のインクジェット記録方法は、記録ヘッドの吐出口から吐出した水性インクを記録媒体に付与して画像を記録する工程を有する。
また、本発明のインクジェット記録装置は、複数の水性インクと、複数の水性インクをそれぞれ収容する第1インク収容部と、第2インク収容部と、複数のチューブと、記録ヘッドと、回復機構とを備える。複数の水性インクは、それぞれ色材を含有する。チューブは、第1インク収容部から第2インク収容部へと水性インクを供給する部材(インク供給チューブ)である。記録ヘッドは、第2インク収容部と接続し、第2インク収容部から供給される複数の水性インクがそれぞれ流通する複数のノズルを有する。さらに、この記録ヘッドは、複数のノズルに連通して複数の水性インクをそれぞれ吐出する複数の吐出口、及び、複数の吐出口で形成されるとともに、複数の水性インクに対応して配置される複数の吐出口列が配列された吐出口面を有する。回復機構は、記録ヘッドの吐出口面を含む領域に当接して複数の吐出口列を纏めて覆う吸引キャップ、及び吸引キャップを通じて複数のノズル内の水性インクを纏めて吸引する吸引手段を有する。複数の水性インクは、第1インク及び第2インクを含む。複数のチューブは、第1インクを第2インク収容部へと供給する第1チューブ及び第2インクを第2インク収容部へと供給する第2チューブを含む。
(インクジェット記録装置)
図1は、本発明のインクジェット記録装置の一実施形態を模式的に示す斜視図である。本実施形態のインクジェット記録装置は、X方向(主走査方向)に記録ヘッドを往復走査させて記録動作を行う、いわゆるシリアル方式のインクジェット記録装置である。記録媒体101は、搬送ローラ107によってY方向(副走査方向)へと間欠的に搬送される。キャリッジ103に搭載された記録ユニット102は、記録媒体101の搬送方向であるY方向と直交する方向であるX方向(主走査方向)に往復走査される。記録媒体101のY方向への搬送と、記録ユニット102のX方向への往復走査と、により記録動作が行われる。記録ユニット102は、供給されるインクを複数の吐出口から吐出するインクジェット方式の記録ヘッド203(図2)と、第2インク収容部としてのサブタンク202(図2)とで構成され、キャリッジ103に搭載される。キャリッジ103は、X方向に沿って配置されたガイドレール105に沿って移動可能に支持されており、ガイドレール105と並行に移動する無端ベルト106に固定されている。無端ベルト106はモータの駆動力によって往復運動し、それによってキャリッジ103がX方向に往復走査される。
メインタンク収容部108及び109の内部には、第1インク収容部としてのメインタンク201(図2)が収納される。メインタンク収容部108及び109のメインタンク201と、記録ユニット102のサブタンク202とは、チューブ111及びチューブ112を含むインク供給チューブ104を介して接続される。インクは、メインタンク201からインク供給チューブ104を介してサブタンク202に供給された後、記録ヘッド203の吐出口から吐出される。メインタンク201、インク供給チューブ104、及びサブタンク202は、いずれもインクの種類に対応した数で設けることができる。
図2は、インク供給系の一例を概略的に示す模式図であり、図3は、サブタンクの一例を示す模式図である。メインタンク201に収容されたインク(ハッチングで示す)は、インク供給チューブ104を介してサブタンク202に供給された後、記録ヘッド203へと供給される。記録ヘッド203は、第2インク収容部であるサブタンク202と接続し、サブタンク202から供給されるインクが流通する複数のノズル(図示せず)を有する。図3に示すように、記録ヘッド203は、さらに、複数のノズルに連通してインクを吐出する複数の吐出口で形成される吐出口列212が複数配列された吐出口面215を有する。
メインタンク201には大気連通部としての気体導入チューブ204が接続される。記録が行われ、インクが消費されると、サブタンク202にメインタンク201からインクが供給され、メインタンク201内のインクが減少する。すると、その一端が大気に開放されている気体導入チューブ204からメインタンク201内に空気が導入されることによって、インク供給系において、インクを保持するための内部負圧が略一定に保たれる。
メインタンク201及びサブタンク202の筺体は、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、及びこれらの混合物や改質物などの熱可塑性樹脂で形成されている。筺体の内部には、インクを保持するための負圧を発生しうるインク吸収体を配設してもよい。インク吸収体としては、ポリプロピレンやポリウレタンなどの繊維を圧縮したものが好ましい。また、インク吸収体を配設せず、筺体内部にインクを直接貯留する形態としてもよい。タンク交換の頻度を低減したり、記録可能枚数を多くすることで高い生産性を実現したりするには、メインタンク201の最大収容量V(mL)を多くすることが好ましい。
メインタンク201の最大収容量V(mL)は、30mL以上200mL以下であることが好ましく、50mL以上150mL以下であることがさらに好ましい。メインタンク201の初期のインク充填量は、インク最大収容量を基準として、95%程度までとすることが好ましい。インク供給チューブ104の容量V(mL)は、1mL以上30mL以下であることが好ましく、2mL以上20mL以下であることがさらに好ましい。
記録ユニット102は、記録ヘッド203と、サブタンク202とで構成される。記録ヘッド203が組み込まれたヘッドカートリッジである記録ユニット102にサブタンク202を装着するとともに、サブタンク202を装着した記録ユニット102をキャリッジ103に装着する形態としてもよい。さらに、サブタンク202と記録ヘッド203とで一体的に構成された記録ユニット102を、キャリッジ103に装着する形態としてもよい。なかでも、サブタンク202を装着した記録ユニット102を、キャリッジ103にセットする形態の、シリアル方式を採用することが好ましい。
記録ヘッド203のインク吐出方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式を挙げることができる。なかでも、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが好ましい。
図4は、吸引キャップの当接状態を示す模式図であり、(a)はサブタンクの底面、(b)は吸引キャップを示す。非記録時には、吐出口からのインクの蒸発を抑制するために、吸引キャップ205が支持基材213における記録ヘッド203の吐出口面215を含む領域の当接位置214に当接し、複数の吐出口列212を纏めて覆う。吸引キャップ205には、図2に示すように、大気連通弁206が設けられた大気連通部としてのチューブ207と、吸引キャップ205内に溜まった、記録に用いられない廃インクを排出するための廃インクチューブ208と、が接続される。図2に示すように、記録ヘッド203に設けられた複数のノズルに連通する複数の吐出口から排出された廃インクは、廃インク収容部209に貯められる。廃インクチューブ208には吸引弁210が設けられており、吸引手段であるポンプ211を利用してノズル内のインクが吸引されることで、記録ヘッド213の吐出状態を正常な状態に回復させることができる。目的に応じて、インクを吸引する箇所や、吸引するインクの量などを適宜設定することができる。いずれの場合も、大気連通弁206を閉塞した状態でポンプ211を作動させて吸引する。
[チューブ]
複数のチューブ(インク供給チューブ)は、第1インクを第2インク収容部へと供給する第1チューブ及び第2インクを第2インク収容部へと供給する第2チューブを含む。チューブは、キャリッジの往復駆動とともに、インクジェット記録装置内を引き回されるため、曲げ剛性が大きくなる。このため、記録ヘッドの往復走査に耐えうる柔軟性を発揮すべく、チューブは樹脂材料によって形成されていることが好ましい。チューブを構成する樹脂材料は、単一の樹脂材料であっても、2種以上の樹脂材料の組み合わせであってもよい。また、各種の添加剤を配合した樹脂材料であってもよい。チューブの構造は、単層構造であっても積層構造であってもよい。樹脂材料としては、成形性、ゴム弾性、及び柔軟性に優れることから熱可塑性エラストマーが好ましい。熱可塑性エラストマーとしては、オレフィン系、ウレタン系、エステル系、スチレン系、塩化ビニル系などの樹脂を挙げることができる。なかでも、柔軟性及びゴム弾性に特に優れているため、スチレン系熱可塑性エラストマーが好ましい。樹脂材料に配合される添加剤としては、例えば、軟化剤、滑剤、界面活性剤、酸化防止剤、老化防止剤、接着付与剤、顔料などを挙げることができる。第1チューブと第2チューブの特性は、同一であってもよく、異なっていてもよい。第1チューブと第2チューブが互いに同じ材質のチューブであることが特に好ましい。
チューブの内径や肉厚は、成形などの生産性、記録装置内で引き回される際の曲げ剛性、インク供給性、ガスバリア性などの観点から、適宜設定される。チューブの内径は、1mm以上5mm以下であることが好ましく、1mm以上3mm以下であることがさらに好ましい。また、チューブの肉厚は、0.5mm以上5mm以下であることが好ましく、0.5mm以上3mm以下であることがさらに好ましく、1mm以上3mm以下であることが特に好ましい。
チューブの柔軟性は、チューブの水蒸気透過量と相関関係を有する。すなわち、水蒸気透過量が多いチューブは、柔軟性に優れる傾向にある。第1チューブ及び第2チューブの、40℃における水蒸気透過量W(mg/day)は、2mg/day以上であり、好ましくは3mg/day以上である。水蒸気透過量Wが2mg/day未満であると、チューブの柔軟性が不足し、キャリッジの走査に追従することが困難になり、耐久性が不十分になる。チューブの水蒸気透過量Wの上限については特に限定されず、10mg/day以下であればよい。水蒸気透過量が高すぎると水の蒸発が顕著に進行しやすく、インクが過度に濃縮されやすい。但し、水蒸気透過量Wが10mg/day以下であれば、比誘電率40.0以上の水溶性有機溶剤が効率よく色材に溶媒和して、会合体や凝集体の形成を抑制することができる。
チューブの水蒸気透過量Wは、以下の方法にしたがって測定することができる。まず、200mmの長さに切断したチューブ内に純水を入れ、チューブの両側をピンチコックで封止した状態とする。この状態としたチューブを、温度40℃、相対湿度20%の環境下で放置し、一定期間毎にチューブの質量変化を記録し、チューブを透過した水蒸気量を測定して、水蒸気透過量W(mg/day)を算出することができる。水蒸気透過量Wは、チューブの長さL=200mm当たりの水蒸気透過量(mg/day)である。チューブが、材質の異なる2種以上のチューブを連結することによって構成されている場合、上記のようにして算出した各チューブの水蒸気透過量から、長さで按分した値を採用する。例えば、水蒸気透過量Wa(mg/day)、長さLa(mm)のチューブ、及び、水蒸気透過量Wb(mg/day)、長さLb(mm)のチューブを連結して構成されるチューブの水蒸気透過量Wは、以下のように算出する。W=(La×Wa+Lb×Wb)/(La+Lb)。
「チューブの長さ」とは、チューブの一端から他端までの長さを意味し、メインタンク及びサブタンクと、チューブとの接続部分を含む。第1チューブの長さL(mm)は、第2チューブの長さL(mm)に対する比(L/L)で、1.15倍以上である。L/L比を1.15以上とすることで、インクジェット記録装置を小型化することができる。L/L比の上限については特に限定されず、1.90倍以下であればよい。各チューブの長さL(mm)は、200mm以上1,200mm以下であることが好ましく、300mm以上1,000mm以下であることがさらに好ましい。第1チューブの長さL(mm)は、400mm以上1,000mm以下であることが好ましい。また、第2チューブの長さL(mm)は、300mm以上800mm以下であることが好ましい。
第1インクがブラックインクであり、第2インクがカラーインクであることが好ましい。このとき、ブラックインク用のチューブの長さLa(mm)は、カラーインク用のチューブの長さLb(mm)に対する比(La/Lb)で、1.20倍以上であることが好ましい。La/Lb比を1.20倍以上とすることで、インクの吐出安定性を向上させることができる。La/Lb比が1.20倍未満であると、各インクを長期間にわたって吐出した場合に、吐出安定性がやや低下する場合がある。La/Lb比は、2.00倍以下であることが好ましく、1.90倍以下であることがさらに好ましく、1.50倍以下であることが特に好ましい。複数のカラーインクを用いる場合、ブラックインク用のチューブは、カラーインク用のチューブのいずれよりも長いことが好ましい。
(記録工程)
本発明のインクジェット記録方法は、上記のインクジェット記録装置を使用して画像を記録する工程(記録工程)を有する。記録工程では、具体的には、記録ヘッドの吐出口から吐出したインクを記録媒体に付与して画像を記録する。画像を記録する対象の記録媒体としては、どのようなものを用いてもよい。なかでも、普通紙や非コート紙などのコート層を有しない記録媒体、及び、光沢紙やアート紙などのコート層を有する記録媒体のような、浸透性を有する紙を用いることが好ましい。
記録方式としては、記録媒体の搬送方向(副走査方向)に直交する主走査方向に記録ヘッドを往復走査しながら画像を記録するシリアル方式を挙げることができる。また、記録媒体(用紙)幅相当の長尺の記録ヘッド(ラインヘッド)を用い、記録媒体を搬送しながら画像を記録するライン方式を挙げることができる。
(水性インク)
本発明のインクジェット記録方法は、記録ヘッドの吐出口から吐出したインクを記録媒体に付与して画像を記録する工程を有する。インクは色材を含有する水性インクであり、第1インク及び第2インクを含む。
[色材]
色材としては、顔料や染料を用いることができる。第1インク中の色材の含有量C(質量%)、及び、第2インク中の色材の含有量C(質量%)は、それぞれ、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましい。なかでも、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
色材として顔料を用いる場合、顔料の分散方式は特に限定されない。例えば、樹脂分散剤により分散させた樹脂分散顔料、界面活性剤により分散させた顔料、及び顔料の粒子表面の少なくとも一部を樹脂などで被覆したマイクロカプセル顔料などを用いることができる。また、顔料の粒子表面にアニオン性基などの親水性基を含む官能基を結合させた自己分散顔料や、顔料の粒子表面に高分子を含む有機基を化学的に結合させた顔料(樹脂結合型の自己分散顔料)などを用いることもできる。また、分散方式の異なる顔料を組み合わせて用いてもよい。
顔料としては、カーボンブラックなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、イミダゾロン、ジケトピロロピロール、ジオキサジンなどの有機顔料を挙げることができる。これらの顔料は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
染料としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料、食用染料などを挙げることができる。なかでも、アニオン性基を有する染料を用いることが好ましい。染料骨格の具体例としては、アゾ、トリフェニルメタン、フタロシアニン、アザフタロシアニン、キサンテン、アントラピリドンなどを挙げることができる。C.I.ナンバーが付された染料を用いることも好ましい。例えば、C.I.フードブラック2;C.I.ダイレクトブラック195;C.I.ダイレクトイエロー:86、132、173;C.I.アシッドイエロー:17、23;C.I.アシッドレッド:52、249、289;C.I.アシッドブルー9;C.I.ダイレクトブルー:86、199などを挙げることができる。
色材としては、染料を用いることが好ましい。水性媒体中に分散状態で含有される顔料と比較して、分子レベルで水性媒体に溶解する染料のほうが溶媒和しやすいため、固着回復性をより向上させることができる。
第1インク中の色材(染料)の一分子当たりのイオン性基数の最大値N、及び第2インク中の色材(染料)の一分子当たりのイオン性基数の最大値Nが、N≧Nの関係を満たすことが好ましい。一分子当たりのイオン性基数が多い色材は、極性の高い第1水溶性有機溶剤と相互作用しやすいので、チューブの内壁近傍で濃縮されたとしても溶媒和しやすい。したがって、より濃縮されやすい長いチューブ(第1チューブ)内を流動する第1インク中の色材がより多くのイオン性基を有することで、固着回復性をより向上させることができる。各インク中の色材(染料)の一分子当たりのイオン性基数の最大値Nは、それぞれ、1以上10以下であることが好ましく、2以上8以下であることがさらに好ましい。
[水性媒体]
インクは、水及び水溶性有機溶剤の混合液体である水性媒体を含有する水性のインクである。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。この水溶性有機溶剤の含有量は、第1水溶性有機溶剤及び必要に応じて使用しうる第2水溶性有機溶剤を含む値である。水溶性有機溶剤の含有量が少なすぎると、吐出安定性などの信頼性がやや低下する場合がある。一方、水溶性有機溶剤の含有量が多すぎると、インクの粘度が上昇するので、インクの供給性がやや低下する場合がある。また、インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、40.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。
水溶性有機溶剤としては、アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含室素化合物類、含硫黄化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。水溶性有機溶剤の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール(18.3)、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコールなどの炭素数1乃至4の1価アルコール類;1,2-プロパンジオール(28.8)、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール(27.0)、1,2-ヘキサンジオール(14.8)、1,6-ヘキサンジオール(7.1)、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール(23.9)などの2価アルコール類;1,2,6-ヘキサントリオール(28.5)、グリセリン(42.3)、トリメチロールプロパン(33.7)、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類;エチレングリコール(40.4)、ジエチレングリコール(31.7)、トリエチレングリコール(22.7)、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール(16.9)、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、チオジグリコールなどのアルキレングリコール類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(9.8)、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、ペンタエチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル類;数平均分子量1,000のポリエチレングリコール(4.6)、ポリプロピレングリコールなどの数平均分子量200乃至1,000のポリアルキレングリコール類;2-ピロリドン(28.0)、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N-メチルモルホリン、尿素(110.3)、エチレン尿素(49.7)などの含窒素化合物類;ジメチルスルホキシド、ビス(2-ヒドロキシエチルスルホン)などの含硫黄化合物類;などを挙げることができる。各水溶性有機溶剤に付した括弧内の数値は、各水溶性有機溶剤の25℃における比誘電率である。比誘電率3.0以上120.0以下の水溶性有機溶剤を用いることが好ましく、また、水よりも蒸気圧の低い水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。
水溶性有機溶剤の比誘電率は、誘電率計(例えば、商品名「BI-870」、BROOKHAVEN INSTRUMENTS CORPORATION製など)を使用し、周波数10kHzの条件で測定することができる。25℃で固体の水溶性有機溶剤の比誘電率は、50質量%水溶液の比誘電率を測定し、下記式(3)から算出した値とする。通常「水溶性有機溶剤」とは液体を指すものであるが、本発明においては、25℃(常温)で固体であるものも水溶性有機溶剤に含めることとする。
εsol=2ε50%-εwater ・・・(3)
εsol:25℃で固体の水溶性有機溶剤の比誘電率
ε50%:25℃で固体の水溶性有機溶剤の50質量%水溶液の比誘電率
εwater:水の比誘電率
水性インクに汎用であり、25℃で固体である水溶性有機溶剤としては、例えば、1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、エチレン尿素、尿素、数平均分子量1,000のポリエチレングリコールなどを挙げることができる。ここで、25℃で固体の水溶性有機溶剤の比誘電率を、50質量%水溶液の比誘電率から求める理由は次の通りである。25℃で固体の水溶性有機溶剤のうち、水性インクの構成成分となり得るもののなかには、50質量%を超えるような高濃度の水溶液を調製することが困難なものがある。一方、10質量%以下であるような低濃度の水溶液では、水の比誘電率が支配的となり、当該水溶性有機溶剤の確からしい(実効的な)比誘電率の値を得ることができない。そこで、本発明者らが検討を行った結果、25℃で固体の水溶性有機溶剤のうち、インクに用いることが可能なほとんどのもので測定対象の水溶液を調製することができ、かつ、求められる比誘電率も本発明の効果と整合することが判明した。このような理由から、50質量%水溶液を利用することとした。25℃で固体の水溶性有機溶剤であって、水への溶解度が低いために50質量%水溶液を調製できないものについては、飽和濃度の水溶液を利用し、上記εsolを求める場合に準じて算出した比誘電率の値を便宜的に用いることとする。
〔第1水溶性有機溶剤〕
第1インクは、比誘電率40.0以上の第1水溶性有機溶剤を含有する。第1インクに含まれる水溶性有機溶剤の比誘電率が40.0未満であると、極性が低いために色材を溶媒和する作用が弱いので、固着回復性が低下する要因であるチューブの内壁近傍におけるインクの局所的な高粘度化を解消することができない。
さらに、第2インクも比誘電率40.0以上の第1水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。そして、第1インク中の第1水溶性有機溶剤の含有量X(質量%)と、第2インク中の第1水溶性有機溶剤の含有量X(質量%)とが、X>Xの関係を満たすことが好ましい。X>Xの関係を満たすことで、第1チューブに接続するノズルからの第1インクの吸引しやすさと、第2チューブに接続するノズルからの第2インクの吸引しやすさとが揃いやすくなり、固着回復性をより向上させることができる。
第1水溶性有機溶剤としては、エチレン尿素(49.7)、ビス(2-ヒドロキシエチルスルホン)(44.1)、グリセリン(42.3)、エチレングリコール(40.4)などを挙げることができる。各水溶性有機溶剤に付した括弧内の数値は、各水溶性有機溶剤の25℃における比誘電率である。第1水溶性有機溶剤の比誘電率は120.0以下であることが好ましく、また、水よりも蒸気圧の低いものであることが好ましい。第1インクに含有させる第1水溶性有機溶剤、及び第2インクに含有させうる第1水溶性有機溶剤は、同じものであっても、異なるものであってもよい。
インク中の第1水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、それぞれ、インク全質量を基準として、1.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以上30.0質量%以下であることがさらに好ましい。第1インク中の第1水溶性有機溶剤の含有量X(質量%)は、インク全質量を基準として、1.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましい。また、第2インク中の第1水溶性有機溶剤の含有量X(質量%)は、インク全質量を基準として、0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましい。
〔第2水溶性有機溶剤〕
第2インクは、比誘電率25.0以下の第2水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。第2水溶性有機溶剤は、比誘電率が25.0を超える水溶性有機溶剤に比して疎水性が高く、色材に溶媒和しにくい。このため、水の蒸発量が少なく、色材が濃縮しにくい第2チューブ内を流通する第2インクに第2水溶性有機溶剤を含有させることで、以下の作用を得ることができる。すなわち、第1チューブに接続するノズルからの第1インクの吸引しやすさと、第2チューブに接続するノズルからの第2インクの吸引しやすさとが揃いやすくなり、固着回復性をより向上させることができる。
第2水溶性有機溶剤としては、3-メチル-1,5-ペンタンジオール(23.9)、トリエチレングリコール(22.7)、イソプロピルアルコール(18.3)、プロピレングリコール(16.9)、1,2-ヘキサンジオール(14.8)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(9.8)、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル(9.4)、1,6-ヘキサンジオール(7.1)、数平均分子量1,000のポリエチレングリコール(4.6)などを挙げることができる。各水溶性有機溶剤に付した括弧内の数値は、各水溶性有機溶剤の25℃における比誘電率である。第2水溶性有機溶剤の比誘電率は3.0以上であることが好ましく、また、水よりも蒸気圧の低いものであることが好ましい。インク中の第2水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、それぞれ、インク全質量を基準として、1.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以上30.0質量%以下であることがさらに好ましい。第1インク中の第2水溶性有機溶剤の含有量Y(質量%)は、インク全質量を基準として、0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましい。また、第2インク中の第2水溶性有機溶剤の含有量Y(質量%)は、インク全質量を基準として、1.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましい。
第1インク及び第2インクは、それぞれ、第1水溶性有機溶剤及び第2水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。そして、第1インク中の第1水溶性有機溶剤の含有量を「X」(質量%)、及び第1インク中の第2水溶性有機溶剤の含有量を「Y」(質量%)とする。さらに、第2インク中の第1水溶性有機溶剤の含有量を「X」(質量%)、及び第2インク中の第2水溶性有機溶剤の含有量を「Y」(質量%)とする。この場合、(X/Y)≧(X/Y)の関係を満たすことが好ましい。(X/Y)及び(X/Y)は、いずれも、色材との親和性が低い水溶性有機溶剤の含有量に対する、色材との親和性が高い水溶性有機溶剤の含有量の比である。この比の値が大きいほど、色材を溶媒和する作用がより強いインクであることを意味する。すなわち、上記の関係を満たすことで、液体成分が蒸発しやすく、色材が濃縮しやすい第1インクのほうが、第2インクに比して色材を溶媒和する作用がより強くなるので、固着回復性をより向上させることができる。第1インクに含有さうせる第1及び第2水溶性有機溶剤、及び第2インクに含有させうる第1及び第2水溶性有機溶剤は、同じものであっても、異なるものであってもよい。
第1インク中の第1水溶性有機溶剤の含有量を「X」(質量%)、及び第1インク中の色材の含有量を「C」(質量%)とする。また、第2インク中の第1水溶性有機溶剤の含有量を「X」(質量%)、及び第2インク中の色材の含有量を「C」(質量%)とする。さらに、第1チューブの長さを「L」(mm)、及び第2チューブの長さを「L」(mm)とする。この場合に、(X/C)/(X/C)≧(L/L)の関係を満たすことが好ましい。第2チューブの長さL(mm)に対する、第1チューブの長さL(mm)の比(L/L)の値が大きいほど、相対的に長い第1チューブ中の第1インクは濃縮しやすく、第1インク中の色材の会合状態や凝集状態がより強固になっていると考えられる。このため、このような色材の強固な会合状態や凝集状態をほぐすために、第1インクにより多くの第1水溶性有機溶剤を含有させることが好ましい。なお、色材の含有量に対する、インク中の第1水溶性有機溶剤の比(X/C及びX/C)の値は、色材を溶媒和する第1水溶性有機溶剤がインク中にどの程度存在するかの指標である。「X」、「C」、「X」、「C」、「L」、及び「L」が上記の関係を満たさないと、第1インク中の第1水溶性有機溶剤の含有量がやや少ないため、固着回復性の向上効果が十分に得られない場合がある。
[その他の成分]
インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、粘度調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。これらの添加剤は比誘電率を算出する対象としての「水溶性有機溶剤」には含めない。
[インクの物性]
第2インクの粘度η(mPa・s)は、第1インクの粘度η(mPa・s)に対する比(η/η)で、0.7倍以上1.5倍以下である。各インクの25℃における粘度は、それぞれ、1.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることが好ましく、1.0mPa・s以上3.5mPa・s以下であることが好ましい。インクの粘度は回転式の粘度計を用いて測定することができる。また、インクの25℃における静的表面張力は、28mN/m以上45mN/m以下であることが好ましい。さらに、インクの25℃におけるpHは、5以上9以下であることが好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<色材の準備>
(化合物1)
特開2015-193792号公報の記載に準じて、遊離酸型として下記式(1)で表される化合物のナトリウム塩(化合物1)を得た。
Figure 2022092577000001
(化合物2)
特開2006-143989号公報の記載に準じて、遊離酸型として下記式(2)で表される化合物のナトリウム塩(化合物2)を得た。
Figure 2022092577000002
(化合物3)
特開2012-149212号公報の記載に準じて、遊離酸型として下記式(3)で表される化合物のカリウム塩(化合物3)を得た。
Figure 2022092577000003
<顔料分散液の準備>
自己分散顔料を含有する顔料分散液(商品名「Cab-o-jet300」、キャボット製)を用意した。顔料分散液中の顔料の含有量は15.0%である。
<インクの調製>
表1-1~1-3、2-1、及び2-2の上段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ0.20μmのフィルターで加圧ろ過して各インクを調製した。また、色材として顔料を用いた場合には、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルターのフィルターで加圧ろ過してインクを調製した。表1-1~1-3、2-1、及び2-2中、染料に付したカッコ内の数値は、各染料のイオン性基数の最大値を表し、各水溶性有機溶剤に付した括弧内の数値は、各水溶性有機溶剤の比誘電率を表す。表1-1~1-3、2-1、及び2-2中、「アセチレノールE100」は、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤の商品名である。インクの粘度は、回転式の粘度計(商品名「E型粘度計」、東機産業製)を用いて25℃で測定した。
Figure 2022092577000004
Figure 2022092577000005
Figure 2022092577000006
Figure 2022092577000007
Figure 2022092577000008
<チューブの作製>
スチレン系の熱可塑性エラストマー、滑剤、及び軟化剤を使用し、内径2mm、外径4mmである樹脂組成物製のチューブ1~13を作製した。作製したチューブの水蒸気透過量(W)を表3に示す。チューブの水蒸気透過量(W)は、チューブの長さL=200mm当たりの値であり、単位はmg/dayである。
Figure 2022092577000009
<評価>
図1に示す主要部の構成を有するとともに、図2に示す構成のインク供給系を組み込んだインクジェット記録装置を用意した。この記録装置は、表4に示す種類の第1インク及び第2インク、並びに第1チューブ及び第2チューブを備える。この記録装置を用いて各評価を行った。
(固着回復性)
各インクをメインタンクからインク供給チューブを通じてサブタンク及び記録ヘッドの吐出口まで充填した後、温度35℃、相対湿度10%の環境に3ヶ月間載置した。そして、回復操作を所定の回数行った後のインクの吐出状態を確認し、以下に示す評価基準にしたがって固着回復性を評価した。この回復操作は、インクジェット記録装置の「プリントヘッドのクリーニング」のことである。具体的には、吸引キャップを記録ヘッドの吐出口面を含む領域に当接させて、第1インクの吐出口列及び第2インクの吐出口列から前記吸引キャップを通じて第1インク及び第2インクを纏めて吸引するものである。以下に示す評価基準で、「AA」、「A」、「A’」、及び「B」を許容できるレベルとし、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表4に示す。参考例1~5は前述の条件(1)~(3)を満たさず、固着回復性が低下するといった課題が生じないため、いずれも「AA」評価とした。
AA:1回の回復操作ですべての吐出口が正常に吐出できる状態に回復した。
A:2又は3回の回復操作ですべての吐出口が正常に吐出できる状態に回復した。
A’:4又は5回の回復操作ですべての吐出口が正常に吐出できる状態に回復した。
B:6~10回の回復操作ですべての吐出口が正常に吐出できる状態に回復した。
C:11回以上の回復操作を行っても正常に吐出できない吐出口があった。
(画像ムラ)
各インクをメインタンクからインク供給チューブを通じてサブタンク及び記録ヘッドの吐出口まで充填した。そして、回復操作(上記の「固着回復性」の評価で行ったものと同様の操作)を行った後、記録ヘッドをキャッピングした状態で、温度30℃、相対湿度10%の環境に120時間載置した。その後、A4サイズの普通紙(商品名「高品位専用紙HR-101S」、キヤノン製)に記録デューティが50%である2次色のベタ画像を記録した。第1インク及び第2インクの記録デューティはそれぞれ25%ずつとした。本実施例においては、1/600インチ×1/600インチの単位領域に、1滴当たりの質量が5ngであるインク滴を2滴付与する条件で記録したベタ画像の記録デューティを100%と定義する。そして、以下に示す評価基準にしたがって画像ムラを評価した。以下に示す評価基準で、「A」を許容できるレベルとし、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表4に示す。
A:書き出し位置と書き終わり位置の画像を目視で比較したときに、両者に差はなかった。
C:書き出し位置と書き終わり位置の画像を目視で比較したときに、ムラが確認できた。
Figure 2022092577000010

Claims (8)

  1. 色材を含有する複数の水性インクと、
    複数の前記水性インクをそれぞれ収容する第1インク収容部と、
    第2インク収容部と、
    前記第1インク収容部から前記第2インク収容部へと前記水性インクを供給する複数のチューブと、
    前記第2インク収容部と接続し、前記第2インク収容部から供給される複数の前記水性インクがそれぞれ流通する複数のノズル、複数の前記ノズルに連通して複数の前記水性インクをそれぞれ吐出する複数の吐出口、及び前記複数の吐出口で構成されるとともに、複数の前記水性インクに対応して配置される複数の吐出口列が配列された吐出口面を有する記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドの前記吐出口面を含む領域に当接して複数の前記吐出口列を纏めて覆う吸引キャップ、及び前記吸引キャップを通じて複数の前記ノズル内の前記水性インクを纏めて吸引する吸引手段を有する回復機構と、を備え、
    複数の前記水性インクが、第1インク及び第2インクを含むとともに、複数の前記チューブが、前記第1インクを前記第2インク収容部へと供給する第1チューブ及び前記第2インクを前記第2インク収容部へと供給する第2チューブを含み、
    前記第1チューブの長さL(mm)が、前記第2チューブの長さL(mm)に対する比(L/L)で、1.15倍以上であり、前記第1チューブ及び前記第2チューブの40℃における水蒸気透過量W(mg/day)が、2mg/day以上であるインクジェット記録装置を使用し、
    前記吐出口から吐出した前記水性インクを記録媒体に付与して画像を記録する工程を有するインクジェット記録方法であって、
    前記第2インクの粘度η(mPa・s)が、前記第1インクの粘度η(mPa・s)に対する比(η/η)で、0.7倍以上1.5倍以下であり、
    前記第1インクが、比誘電率40.0以上の第1水溶性有機溶剤を含有することを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記第2インクが、比誘電率40.0以上の第1水溶性有機溶剤を含有し、
    前記第1インク中の前記第1水溶性有機溶剤の含有量X(質量%)と、前記第2インク中の前記第1水溶性有機溶剤の含有量X(質量%)とが、X>Xの関係を満たす請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記第1インク中の前記第1水溶性有機溶剤の含有量X(質量%)、前記第1インク中の前記色材の含有量C(質量%)、前記第2インク中の前記第1水溶性有機溶剤の含有量X(質量%)、前記第2インク中の前記色材の含有量C(質量%)、前記第1チューブの長さL(mm)、及び前記第2チューブの長さL(mm)が、(X/C)/(X/C)≧(L/L)の関係を満たす請求項2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記第2インクが、比誘電率25.0以下の第2水溶性有機溶剤を含有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記第1インク及び前記第2インクが、それぞれ、前記第1水溶性有機溶剤及び前記第2水溶性有機溶剤を含有し、
    前記第1インク中の前記第1水溶性有機溶剤の含有量X(質量%)、前記第1インク中の前記第2水溶性有機溶剤の含有量Y(質量%)、前記第2インク中の前記第1水溶性有機溶剤の含有量X(質量%)、及び前記第2インク中の前記第2水溶性有機溶剤の含有量Y(質量%)が、(X/Y)≧(X/Y)の関係を満たす請求項4に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記色材が、染料である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記第1インク中の前記色材の一分子当たりのイオン性基数の最大値N、及び前記第2インク中の前記色材の一分子当たりのイオン性基数の最大値Nが、N≧Nの関係を満たす請求項6に記載のインクジェット記録方法。
  8. 色材を含有する複数の水性インクと、
    複数の前記水性インクをそれぞれ収容する第1インク収容部と、
    第2インク収容部と、
    前記第1インク収容部から前記第2インク収容部へと前記水性インクを供給する複数のチューブと、
    前記第2インク収容部と接続し、前記第2インク収容部から供給される複数の前記水性インクがそれぞれ流通する複数のノズル、複数の前記ノズルに連通して複数の前記水性インクをそれぞれ吐出する複数の吐出口、及び前記複数の吐出口で構成されるとともに、複数の前記水性インクに対応して配置される複数の吐出口列が配列された吐出口面を有する記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドの前記吐出口面を含む領域に当接して複数の前記吐出口列を纏めて覆う吸引キャップ、並びに、
    前記吸引キャップを通じて複数の前記ノズル内の前記水性インクを纏めて吸引する吸引手段を有する回復機構と、を備え、
    複数の前記水性インクが、第1インク及び第2インクを含むとともに、複数の前記チューブが、前記第1インクを前記第2インク収容部へと供給する第1チューブ及び前記第2インクを前記第2インク収容部へと供給する第2チューブを含み、
    前記第1チューブの長さL(mm)が、前記第2チューブの長さL(mm)に対する比(L/L)で、1.15倍以上であり、前記第1チューブ及び前記第2チューブの40℃における水蒸気透過量W(mg/day)が、2mg/day以上であるインクジェット記録装置であって、
    前記第2インクの粘度η(mPa・s)が、前記第1インクの粘度η(mPa・s)に対する比(η/η)で、0.7倍以上1.5倍以下であり、
    前記第1インクが、比誘電率40.0以上の第1水溶性有機溶剤を含有することを特徴とするインクジェット記録装置。

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