JP2022091179A - 複合成形材料および複合成形材料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】病院内で使用される器具、公共の場所で使用される器具、あるいは各種のレンタル用品を、炭素繊維強化プラスチックで製造するときに好ましく用い得る複合成形材料を提供する。【解決手段】複合成形材料は、熱硬化性樹脂組成物で含浸された炭素繊維強化材からなる複合成形材料であって、前記熱硬化性樹脂組成物には、ポリイソシアネート化合物と、銀イオンを含有する抗菌剤とが配合されており、かつ、前記熱硬化性樹脂組成物における酸化亜鉛の含有量が樹脂成分100重量部に対し0.1重量部以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、主として、複合成形材料および複合成形材料の製造方法に関する。
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は炭素繊維強化材と樹脂とからなる複合材料であり、航空機、自動車、船舶その他各種の輸送機器の部品、スポーツ用品、レジャー用品などに幅広く使用されている。
アンモニウムイオンまたは抗菌性金属イオンで置換したゼオライトを添加した不飽和ポリエステル樹脂でガラス繊維強化材を含浸させてなるシートモールディングコンパウンドを作製し、該シートモールディングコンパウンドから作製した成形品の抗菌力を評価した例が知られている(特許文献1)。
抗菌剤としてリン酸亜鉛カルシウムを添加したラジカル硬化型ポリエステル樹脂でガラス繊維強化材を含浸させてなるシートモールディングコンパウンドを作製し、該シートモールディングコンパウンドから成形した壁パネルの抗菌効果を試験した例が知られている(特許文献2)。
上記2つの例のいずれにおいても、ポリエステル樹脂に配合された増粘剤は酸化マグネシウムであった。
特開平1-306463号公報 特開平11-192636号公報
本発明の目的には、病院内で使用される器具、公共の場所で使用される器具、あるいは各種のレンタル用品を炭素繊維強化プラスチックで製造するときに好ましく用い得る複合成形材料、および、かかる複合成形材料の製造方法を提供することが含まれる。
本発明の実施形態には以下が含まれる。
[1]熱硬化性樹脂組成物で含浸された炭素繊維強化材からなる複合成形材料であって、前記熱硬化性樹脂組成物には、ポリイソシアネート化合物と、銀イオンを含有する抗菌剤とが配合されており、かつ、前記熱硬化性樹脂組成物における酸化亜鉛の含有量が樹脂成分100重量部に対し0.1重量部以下である、複合成形材料。
[2]前記銀イオンが無機担体に担持されている、[1]に記載の複合成形材料。
[3]前記抗菌剤が前記無機担体としてゼオライトを含有する、[2]に記載の複合成形材料。
[4]前記抗菌剤が前記無機担体として多成分ガラスを含有する、[2]または[3]に記載の複合成形材料。
[5]前記熱硬化性樹脂組成物にはビニルエステル樹脂および不飽和ポリエステル樹脂の少なくとも一方が配合されている、[1]~[4]のいずれかに記載の複合成形材料。
[6]前記熱硬化性樹脂組成物には、反応性希釈剤としてエチレン性不飽和モノマーが配合されている、[5]に記載の複合成形材料。
[7]シートモールディングコンパウンドである、[1]~[5]のいずれかに記載の複合成形材料。
[8]互いに反対方向を向いた第一主面および第二主面を有し、銀イオンの濃度が前記第一主面に隣接する領域において前記第二主面に隣接する領域よりも高い、[7]に記載の複合成形材料。
[9]銀イオンの濃度が前記第一主面に隣接する領域において前記第二主面に隣接する領域の2倍以上である、[8]に記載の複合成形材料。
[10]前記第一主面と前記第二主面がそれぞれ第一保護フィルムと第二保護フィルムで覆われており、前記第一保護フィルムと前記第二保護フィルムが視覚的に識別可能である、[8]または[9]に記載の複合成形材料。
[11]前記第一保護フィルムと前記第二保護フィルムの一方が透明で他方が不透明である、[10]に記載の複合成形材料。
[12]前記第一保護フィルムと前記第二保護フィルムが互いに異なる色に着色されている、[10]または[11]に記載の複合成形材料。
[13][1]~[12]のいずれかに記載の複合成形材料を用いる炭素繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
[14]第一樹脂ペースト層が表面に形成された第一キャリアフィルムと、第二樹脂ペースト層が表面に形成された第二キャリアフィルムとを、第一樹脂ペースト層上に堆積した炭素繊維マットが第一樹脂ペースト層及び第二樹脂ペースト層とともに第一キャリアフィルムと第二キャリアフィルムの間に挟まれるように貼り合わせて積層体を形成することを含むシートモールディングコンパウンドの製造方法であって、第一樹脂ペースト層と第二樹脂ペースト層のそれぞれにポリイソシアネート化合物が添加され、第一樹脂ペースト層と第二樹脂ペースト層の少なくとも一方に銀イオンを含有する抗菌剤が添加され、かつ、第一樹脂ペースト層と第二樹脂ペースト層のいずれにおいても酸化亜鉛の含有量が樹脂成分100重量部に対し0.1重量部以下である、製造方法。
[15]前記銀イオンが無機担体に担持されている、[14]に記載の製造方法。
[16]前記抗菌剤が前記無機担体としてゼオライトを含有する、[15]に記載の製造方法。
[17]前記抗菌剤が前記無機担体として多成分ガラスを含有する、[15]または[16]に記載の製造方法。
[18]前記抗菌剤の含有量が第一樹脂ペースト層と第二樹脂ペースト層とで異なる、[14]~[17]のいずれかに記載の製造方法。
[19]第一樹脂ペースト層と第二樹脂ペースト層のいずれか一方にのみ前記抗菌剤が添加される、[18]に記載の製造方法。
[20]前記第一キャリアフィルムと前記第二キャリアフィルムが視覚的に識別可能である、[18]または[19]に記載の製造方法。
[21]前記第一キャリアフィルムと前記第二キャリアフィルムの一方が透明で他方が不透明である、[20]に記載の製造方法。
[22]前記第一キャリアフィルムと前記第二キャリアフィルムが互いに異なる色に着色されている、[20]または[21]に記載の製造方法。
[23][14]~[22]のいずれかに記載の製造方法で製造されたシートモールディングコンパウンド。
[24][23]に記載のシートモールディングコンパウンドを用いる炭素繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
病院内で使用される器具、公共の場所で使用される器具、あるいは各種のレンタル用品を炭素繊維強化プラスチックで製造するときに好ましく用い得る複合成形材料、および、かかる複合成形材料の製造方法が提供される。
図1は、シートモールディングコンパウンドの製造方法を説明するための図面である。 図2は、シートモールディングコンパウンドの断面図である。 図3(a)および図3(b)は、それぞれ、炭素繊維強化プラスチック成形品の断面図である。
1.複合成形材料
本発明の一態様は、熱硬化性樹脂組成物で含浸された炭素繊維強化材からなる複合成形材料であって、ポリイソシアネート化合物と銀イオンを含有する抗菌剤とが該熱硬化性樹脂組成物に配合された、複合成形材料である。
この複合成形材料からは、抗菌力に優れた表面を有する炭素繊維強化プラスチック成形品を製造することができる。
実施形態に係る複合成形材料において、抗菌剤が含有する銀イオンは無機担体に担持されていることが好ましい。
無機担体の好適例は、ゼオライト、リン酸ジルコニウム、チタン酸カリウムなどの、陽イオン交換機能を持つイオン交換体である。
無機担体の他の好適例は、ケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、リンケイ酸塩ガラスなどの多成分ガラスである。多成分ガラスが担体として用いられる場合、銀イオンはガラス成分のひとつとして多成分ガラス中に含有される。
銀イオンをゼオライトに担持させた抗菌剤の市販品として、株式会社シナネンゼオミックのゼオミック(登録商標)が例示される。
銀イオンを多成分ガラスに担持させた抗菌剤の市販品として、石塚硝子株式会社のイオンピュア(登録商標)が例示される。
本発明者等が見出したところでは、多成分ガラスを担体とした抗菌剤を樹脂組成物に含有させたとき、複合成形材料から得られる炭素繊維強化プラスチックの力学的特性が改善され得る。
実施形態に係る複合成形材料は、いわゆるプリプレグであり、その好適例はシートモールディングコンパウンドである。シートモールディングコンパウンドでは、チョップド炭素繊維束からなる炭素繊維マットが繊維強化材として用いられる。実施形態に係る複合成形材料は、炭素繊維を用いて形成された織物、不織布またはノンクリンプファブリックを繊維強化材に用いたプリプレグであってもよい。
実施形態に係る複合成形材料において、熱硬化性樹脂組成物に配合されるベース樹脂は、ビニルエステル樹脂および不飽和ポリエステル樹脂のいずれか一方または両方であり得る。ビニルエステル樹脂および不飽和ポリエステル樹脂は、エチレン性不飽和モノマーで希釈して使用され得る。
実施形態に係る複合成形材料において、熱硬化性樹脂組成物に配合されるベース樹脂はエポキシ樹脂であってもよい。
実施形態に係る複合成形材料において、熱硬化性樹脂組成物に配合されるポリイソシアネート化合物の役割は増粘剤である。
市販の抗菌剤の中には、成分として酸化亜鉛を含有するものがある。本発明者等は、かかる抗菌剤を配合した熱硬化性樹脂組成物に増粘剤としてポリイソシアネート化合物を混合したときに、抗菌剤に含まれる酸化亜鉛の量に応じて増粘が速くなることを見出した。
増粘が速過ぎる熱硬化性樹脂組成物は、時間とともに粘度が大きく上昇するせいで、塗工機を用いて長時間一定の厚さでキャリアフィルム上に塗布することが難しい他、炭素繊維束中への浸透性が使用中に低下することから、複合成形材料の製造には適さない。
このことから、実施形態に係る複合成形材料においては、熱硬化性樹脂組成物における酸化亜鉛の含有量が樹脂成分100重量部に対し0.1重量部を超えないようにすることが特に好ましい。ここで、熱硬化性樹脂組成物に反応性希釈剤が配合される場合、反応性希釈剤は樹脂成分に含めるものとする。
2.シートモールディングコンパウンド
実施形態に係る複合成形材料の好適例のひとつは、チョップド炭素繊維束からなる炭素繊維マットを熱硬化性樹脂組成物で含浸させたプリプレグである、シートモールディングコンパウンドである。
シートモールディングコンパウンドの典型的な製造手順を、以下、図1を参照しつつ説明する。
炭素繊維パッケージPから連続炭素繊維束10が引き出され、ロータリーカッター1に送られる。
連続炭素繊維束は、例えば3000~100000本の炭素繊維フィラメントからなる。10000本以上、とりわけ15000本以上、中でも40000本以上のフィラメントからなる連続炭素繊維束は、断続的にスリットを入れることによって、部分的に複数のサブ束に分割してから使用してもよい。サブ束のフィラメント数は、10000未満、5000未満、3000未満などであり得るとともに、500以上、1000以上などであり得る。
連続炭素繊維束10はロータリーカッター1により切断されてチョップド炭素繊維束20となる。
チョップド炭素繊維束20の繊維長は、例えば5mm~10cmであり、1cm以上2cm未満、2cm以上3cm未満、3cm以上4cm未満、4cm以上6cm未満などであり得る。
ロータリーカッター1の下方を走行する第一キャリアフィルム51の上面には、ドクターブレードを備える第一塗工機2aで第一樹脂ペースト41を塗布することによって、第一樹脂ペースト層41Lが形成されている。
第一キャリアフィルム51は樹脂フィルムであり、例えばポリエチレンフィルムのようなポリオレフィンフィルムであってもよい。
第一樹脂ペースト41は熱硬化性樹脂組成物であり、銀イオンを含有する抗菌剤が配合されている。
第一樹脂ペースト41の25℃における粘度は例えば10Pa・s以下であり、0.1Pa・s以上1Pa・s未満、1Pa・s以上2Pa・s未満、2Pa・s以上5Pa・s未満、5Pa・s以上10Pa・s未満などであり得る。
連続炭素繊維束10の切断により産生したチョップド炭素繊維束20は、第一樹脂ペースト層41Lの上に落下して堆積し、炭素繊維マット30を形成する。
炭素繊維マット30の目付と、第一樹脂ペースト層41Lおよび後述する第二樹脂ペースト層42Lの厚さは、製造すべきシートモールディングコンパウンドの炭素繊維含有量を考慮して設定される。シートモールディングコンパウンドの炭素繊維含有量は例えば40~80重量%であり、40重量%以上45重量%未満、45重量%以上55重量%未満、55重量%以上65重量%未満などであってもよい。
シートモールディングコンパウンドの目付は、例えば500g/m~5000g/mであり、500~1500g/m、1500~2500g/m、2500~3500g/m、3500~5000g/mなどであり得る。
炭素繊維マット30の形成に続いて、第一キャリアフィルム51の上面側に第二キャリアフィルム52が貼り合わされることにより積層体60が形成される。貼り合わせの前に、第二キャリアフィルム52の一方の面には、ドクターブレードを備える第二塗工機2bで第二樹脂ペースト42を塗布することによって、第二樹脂ペースト層42Lが形成される。
第二キャリアフィルム52は樹脂フィルムであり、例えばポリエチレンフィルムのようなポリオレフィンフィルムであってもよい。
第二樹脂ペースト42は、第一樹脂ペースト41と同一の組成を有する熱硬化性樹脂組成物である。
積層体60を形成する際、第一キャリアフィルム51と第二キャリアフィルム52は、これらの間に炭素繊維マット30が、第一樹脂ペースト層41Lおよび第二樹脂ペースト層42Lと共に挟まれるように貼り合わされる。
炭素繊維マット30を第一樹脂ペースト41および第二樹脂ペースト42で含浸させるために、積層体60は含浸機3で加圧される。
含浸機3を出た積層体60はボビンに巻き取られる。
ボビン上の積層体60を所定温度で一定時間保持し、炭素繊維マット30に浸透した樹脂ペーストを増粘させることにより、シートモールディングコンパウンドが完成する。
増粘後の樹脂ペーストの25℃における粘度は、例えば1000Pa・s以上100000Pa・s以下であり、1000Pa・s以上2000Pa・s未満、2000Pa・s以上5000Pa・s未満、5000Pa・s以上10000Pa・s未満、10000Pa・s以上20000Pa・s未満、20000Pa・s以上50000Pa・s未満、50000Pa・s以上100000Pa・s未満などであり得る。
図2は、完成時点における、シートモールディングコンパウンドのMD(Machine Direction)に垂直な切断面を示す断面図である。MDとは、シートモールディングコンパウンド31が製造されるときの、第一キャリアフィルム51および第二キャリアフィルム52の走行方向である。
図2に示すように、完成時点において、シートモールディングコンパウンド31の一方の主面である第一主面311と他方の主面である第二主面312は、それぞれ、第一キャリアフィルム51と第二キャリアフィルム52で覆われている。
シートモールディングコンパウンド31が成形に使用されるときまで、第一キャリアフィルム51と第二キャリアフィルム52は除去されることなく、シートモールディングコンパウンド31の表面に異物が付着するのを防ぐための保護フィルムとして利用される。
上記の製造手順で用いられる樹脂ペーストの好適例について説明すると次の通りである。
樹脂ペーストは熱硬化性樹脂組成物であり、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エチレン性不飽和モノマー、増粘剤、重合開始剤、重合禁止剤、および、抗菌剤が配合されるとともに、必要に応じて低収縮剤、充填剤、着色剤などが更に配合される。ビニルエステル樹脂と不飽和ポリエステル樹脂の重量比は、1:9~9:1、1:7~7:1、1:4~4:1、1:2~2:1などであり得る。ビニルエステル樹脂は、ビスフェノールAエポキシ系ビニルエステル樹脂とノボラックビニルエステル樹脂のいずれか一方であってもよいし、これら両方を含んでもよい。
エチレン性不飽和モノマーの役割は反応性希釈剤である。
エチレン性不飽和モノマーの好適例はスチレンと単官能(メタ)アクリレートである。単官能(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルへキシル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メチルベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、メチルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、フェニルフェノキシエチルアクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、フェニルメタクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート等が例示される。
エチレン性不飽和モノマーは1種のみを使用してもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
上記例示したエチレン性不飽和モノマーのうち、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートあるいはイソボルニル(メタ)アクリレートのような、分子量150以上である単官能(メタ)アクリレートには、低臭気であるという利点がある。
増粘剤には、ポリイソシアネート化合物を好ましく用い得る。ポリイソシアネート化合物とは、分子中に2個以上のイソシアネート基(-NCO)を有する有機化合物であり、その一例は分子中に2個のイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物である。
ジイソシアネート化合物の好適例として、限定するものではないが、TDIと略称されることもあるトルエンジイソシアネート(2,4-トルエンジイソシアネートと2,6-トルエンジイソシアネートを含む)、MDIと略称されることもあるジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートが挙げられる。
重合開始剤の好適例は、ビニルエステル樹脂や不飽和ポリエステル樹脂の硬化剤として通常使用されている有機過酸化物であり、例えば、ケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、アルキルパーエステル、パーカーボネートなどである。
重合禁止剤は、一般に重合禁止剤として知られている各種の化合物のなかから適宜選択することができる。好適例としては、カテコール、ハイドロキノン、ベンゾキノンなどが挙げられる。
好適例において、抗菌剤を第一樹脂ペースト41と第二樹脂ペースト42のいずれか一方にのみ配合することにより、抗菌剤の使用量を節約することができる。
例えば、第一樹脂ペースト41にのみ抗菌剤を配合し、第二樹脂ペースト42には抗菌剤を配合しないとき、得られるシートモールディングコンパウンド31では、第一主面311側の銀イオン濃度が第二主面312側よりも高くなる。具体的には、第一主面311に隣接する領域における銀イオンの濃度は、第二主面312に隣接する領域の2倍以上、更には5倍以上、更には10倍以上であり得る。なぜなら、積層体60を加圧して炭素繊維マット30を含浸させるときでさえ、第一樹脂ペースト41または第二樹脂ペースト42が流動して炭素繊維マット30を厚さ方向に横切ることはないからである。
第一樹脂ペースト41にのみ抗菌剤を配合し、第二樹脂ペースト42には抗菌剤を配合しない実施形態において、抗菌剤が無機担体を含有する場合、必要に応じて、該無機担体が第一樹脂ペースト41の物性に及ぼす作用を相殺するために、該無機担体と同種の無機粒子を第二樹脂ペースト42に配合してもよい。
例えば、第一樹脂ペースト41に銀イオンを含有する多成分ガラス粒子を配合する場合に、第二樹脂ペースト41には銀イオンを含有しない多成分ガラス粒子を配合することができる。
抗菌剤を第一樹脂ペースト41と第二樹脂ペースト42のいずれか一方にのみ添加するときは、得られるシートモールディングコンパウンド31において、銀イオンをより高濃度で含有するのが第一主面311側と第二主面312側のいずれであるかを識別できる必要がある。
この要求に応じるために、第一キャリアフィルム51と第二キャリアフィルム52とを視覚的に識別可能とすることができる。
例えば、第一キャリアフィルム51と第二キャリアフィルム52の一方が透明で、他方が不透明であるとき、これらは視覚的に容易に識別できる。
あるいは、第一キャリアフィルム51と第二キャリアフィルム52が互いに異なる色に着色されているとき、これらは視覚的に容易に識別できる。
これらの手段は同時に採用することもできる。
3.炭素繊維強化プラスチック成形品
本発明の一態様は、前述の実施形態に係る複合成形材料を用いて製造される炭素繊維強化プラスチック成形品である。
一例において、実施形態に係る炭素繊維強化プラスチック成形品は、銀イオンを一様な濃度で含有していてもよい。
他の一例において、実施形態に係る炭素繊維強化プラスチック成形品は、銀イオンを含有する部分と銀イオンを含有しない部分とを有していてもよい。この場合、炭素繊維強化プラスチック成形品は、図3(a)および図3(b)に示す例のように、銀イオンを含有する部分を表面近傍にのみ有してもよい。図3(b)に示す例では、銀イオンを含有する部分が、表面の一部の領域の近傍にのみ存在している。
実施形態に係る炭素繊維強化プラスチック成形品は、前述の実施形態に係る複合成形材料のみを用いて成形された成形品に限定されない。
実施形態に係る炭素繊維強化プラスチック成形品は、実施形態に係る複合成形材料を従来の複合成形材料と共に用いて成形することにより製造され得る。そのようにして製造された炭素繊維強化プラスチック成形品は、実施形態に係る複合成形材料に由来する部分と従来の複合成形材料に由来する部分とが一体化した構造を有する。
4.実験結果
4.1.実験1
<熱硬化性樹脂組成物の調製>
下記の表1に配合組成を示す3種類の熱硬化性樹脂組成物C10、C11およびC12を調製した。
Figure 2022091179000002
<抗菌性評価用サンプルの作製>
調製した熱硬化性樹脂組成物C10、C11およびC12のそれぞれで炭素繊維マットを含浸させたシートモールディングコンパウンドSMC10、SMC11およびSMC12を作製した。SMC10、SMC11およびSMC12の炭素繊維含有率はいずれも約45重量%であった。
次いで、SMC10、SMC11およびSMC12から、厚さ1mmの炭素繊維強化プラスチック板CFRP10、CFRP11およびCFRP12をそれぞれ成形した。成形条件は、温度140℃、圧力8MPa、時間2分とした。
<抗菌性評価>
(1)CFRP10およびCFRP11
熱硬化性樹脂組成物C10を用いて作製したSMC10から成形した炭素繊維強化プラスチック板CFRP10、および、熱硬化性樹脂組成物C11を用いて作製したSMC11から成形した炭素繊維強化プラスチック板CFRP11の抗菌性評価試験を、JIS Z2801:2010「抗菌加工製品-抗菌性試験方法・抗菌効果」に準拠して行った。
結果を表2に示す。
Figure 2022091179000003
(2)CFRP12
熱硬化性樹脂組成物C12を用いて作製したSMC12から成形した炭素繊維強化プラスチック板CFRP12の抗菌性評価試験を、JIS Z2801:2010「抗菌加工製品-抗菌性試験方法・抗菌効果」に準拠して行った。
結果を表3に示す。
Figure 2022091179000004
<力学特性評価>
SMC10、SMC11およびSMC12から、厚さ4mmの炭素繊維強化プラスチック板CFRP20、CFRP21およびCFRP22をそれぞれ成形した。成形条件は、温度140℃、圧力8MPa、時間5分とした。
CFRP20、CFRP21およびCFRP22の曲げ強度と曲げ弾性率をJIS K 7017「繊維強化プラスチック-曲げ特性の求め方」に準拠して測定した。
結果を表4に示す。
Figure 2022091179000005
4.2.実験2
下記の表5に配合組成を示す8種類の熱硬化性樹脂組成物C21~C28を調製した。
Figure 2022091179000006
熱硬化性樹脂組成物C21~C28は、いずれも、増粘剤以外の全ての成分を混合した後、その混合物に増粘剤を混合する方法で調製した。
表5には、各熱硬化性樹脂組成物における、増粘剤の混合から18分経過後の粘度の、増粘剤の混合直後の粘度に対する比率を併せて示す。粘度は約25℃で測定した。
以上、本発明を具体的な実施形態に即して説明したが、各実施形態は例として提示されたものであり、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書に記載された各実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、様々に変形することができ、かつ、実施可能な範囲内で、他の実施形態により説明された特徴と組み合わせることができる。
1 ロータリーカッター
2a 第一塗工機
2b 第二塗工機
3 含浸機
10 連続炭素繊維束
20 チョップド炭素繊維束
30 炭素繊維マット
31 シートモールディングコンパウンド
311 第一主面
312 第二主面
41 第一樹脂ペースト
41L 第一樹脂ペースト層
42 第二樹脂ペースト
42L 第二樹脂ペースト層
51 第一キャリアフィルム
52 第二キャリアフィルム
60 積層体

Claims (24)

  1. 熱硬化性樹脂組成物で含浸された炭素繊維強化材からなる複合成形材料であって、前記熱硬化性樹脂組成物には、ポリイソシアネート化合物と、銀イオンを含有する抗菌剤とが配合されており、かつ、前記熱硬化性樹脂組成物における酸化亜鉛の含有量が樹脂成分100重量部に対し0.1重量部以下である、複合成形材料。
  2. 前記銀イオンが無機担体に担持されている、請求項1に記載の複合成形材料。
  3. 前記抗菌剤が前記無機担体としてゼオライトを含有する、請求項2に記載の複合成形材料。
  4. 前記抗菌剤が前記無機担体として多成分ガラスを含有する、請求項2または3に記載の複合成形材料。
  5. 前記熱硬化性樹脂組成物にはビニルエステル樹脂および不飽和ポリエステル樹脂の少なくとも一方が配合されている、請求項1~4のいずれかに記載の複合成形材料。
  6. 前記熱硬化性樹脂組成物には、反応性希釈剤としてエチレン性不飽和モノマーが配合されている、請求項5に記載の複合成形材料。
  7. シートモールディングコンパウンドである、請求項1~5のいずれかに記載の複合成形材料。
  8. 互いに反対方向を向いた第一主面および第二主面を有し、銀イオンの濃度が前記第一主面に隣接する領域において前記第二主面に隣接する領域よりも高い、請求項7に記載の複合成形材料。
  9. 銀イオンの濃度が前記第一主面に隣接する領域において前記第二主面に隣接する領域の2倍以上である、請求項8に記載の複合成形材料。
  10. 前記第一主面と前記第二主面がそれぞれ第一保護フィルムと第二保護フィルムで覆われており、前記第一保護フィルムと前記第二保護フィルムが視覚的に識別可能である、請求項8または9に記載の複合成形材料。
  11. 前記第一保護フィルムと前記第二保護フィルムの一方が透明で他方が不透明である、請求項10に記載の複合成形材料。
  12. 前記第一保護フィルムと前記第二保護フィルムが互いに異なる色に着色されている、請求項10または11に記載の複合成形材料。
  13. 請求項1~12のいずれかに記載の複合成形材料を用いる炭素繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
  14. 第一樹脂ペースト層が表面に形成された第一キャリアフィルムと、第二樹脂ペースト層が表面に形成された第二キャリアフィルムとを、第一樹脂ペースト層上に堆積した炭素繊維マットが第一樹脂ペースト層及び第二樹脂ペースト層とともに第一キャリアフィルムと第二キャリアフィルムの間に挟まれるように貼り合わせて積層体を形成することを含むシートモールディングコンパウンドの製造方法であって、第一樹脂ペースト層と第二樹脂ペースト層のそれぞれにポリイソシアネート化合物が添加され、第一樹脂ペースト層と第二樹脂ペースト層の少なくとも一方に銀イオンを含有する抗菌剤が添加され、かつ、第一樹脂ペースト層と第二樹脂ペースト層のいずれにおいても酸化亜鉛の含有量が樹脂成分100重量部に対し0.1重量部以下、製造方法。
  15. 前記銀イオンが無機担体に担持されている、請求項14に記載の製造方法。
  16. 前記抗菌剤が前記無機担体としてゼオライトを含有する、請求項15に記載の製造方法。
  17. 前記抗菌剤が前記無機担体として多成分ガラスを含有する、請求項15または請求項16に記載の製造方法。
  18. 前記抗菌剤の含有量が第一樹脂ペースト層と第二樹脂ペースト層とで異なる、請求項14~17のいずれかに記載の製造方法。
  19. 第一樹脂ペースト層と第二樹脂ペースト層のいずれか一方にのみ前記抗菌剤が添加される、請求項18に記載の製造方法。
  20. 前記第一キャリアフィルムと前記第二キャリアフィルムが視覚的に識別可能である、請求項18または19に記載の製造方法。
  21. 前記第一キャリアフィルムと前記第二キャリアフィルムの一方が透明で他方が不透明である、請求項20に記載の製造方法。
  22. 前記第一キャリアフィルムと前記第二キャリアフィルムが互いに異なる色に着色されている、請求項20または21に記載の製造方法。
  23. 請求項14~22のいずれかに記載の製造方法で製造されたシートモールディングコンパウンド。
  24. 請求項23に記載のシートモールディングコンパウンドを用いる炭素繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
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