JP2022090700A - 薬剤揮散器 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022090700000001
【課題】薬剤容器内の薬液の残量が減少した場合に吸液芯材により良好に薬液を吸収することできる薬剤揮散器を提供する。
【解決手段】薬剤揮散器1は、液状の薬剤を収容する薬剤容器2と、下端が薬剤容器2の内底面に到達しかつ上端側の一部分が薬剤容器2から上方に突き出るように薬剤容器2内に挿入される吸液芯材3であって、液状の薬剤を吸い上げる吸液芯材3と、を備え、薬剤容器2の内底面には吸液芯材3の下端が到達する位置に凹状にへこむ液溜まり部65が設けられる。
【選択図】図5

Description

本発明は、芳香液や消臭液などの液状の薬剤を収容した薬剤容器内に吸液芯材を挿入し、吸液芯材により液状の薬剤を吸い上げて薬剤容器の外部の空間(本開示では「外部空間」という。)に揮散させる薬剤揮散器に関する。
室内や車内などの空間の臭気による不快感をなくし、快適な空間を生み出すために、芳香剤、消臭剤などの薬剤を自然に揮散させる薬剤揮散器が広く使用されている。この薬剤揮散器には、ゲル状、固形状、液状など、種々の薬剤が用いられており、その中で液状の薬剤(本開示では「薬液」ともいう。)を用いた薬剤揮散器として、例えば特許文献1に記載の薬剤揮散器が知られている。
薬液を用いた薬剤揮散器は、薬液を収容する薬剤容器と、薬剤容器内に挿入される棒状の吸液芯材とを備える。吸液芯材は、下端が薬剤容器の内底面に達しかつ上端側の一部分が薬剤容器から上方に突き出るように薬剤容器の口部に保持され、薬液を毛細管現象により吸い上げて外部空間に揮散する。
特開2017-095122号公報
上述した吸液芯材を用いて薬液を吸い上げる薬剤揮散器においては、薬剤容器内の薬液の残量が減少した場合(薬剤容器内の薬液の液面の高さが薬剤容器の底部の上面(本開示では「内底面」という。)に近くなった場合)に、吸液芯材の仕様(例えば外周面の強度を向上させる処理を行うことで外周面からは薬液を吸収しにくい仕様)によっては吸液芯材により薬剤容器内の薬液を全て吸い上げることが難しいケースがあり、その場合、薬液を最後まで使い切れないという課題がある。
本発明は、上記課題に着目してなされたものであり、薬剤容器内の薬液の残量が減少した場合に吸液芯材により良好に薬液を吸い上げることできる薬剤揮散器を提供することを目的とする。
本発明は、液状の薬剤を収容した薬剤容器内に吸液芯材を挿入し、吸液芯材により液状の薬剤を吸い上げて外部空間に揮散させる薬剤揮散器に関する。本発明の薬剤揮散器は、液状の薬剤を収容する薬剤容器と、下端が薬剤容器の内底面に到達しかつ上端側の一部分が前記薬剤容器から上方に突き出るように前記薬剤容器内に挿入される吸液芯材であって、前記液状の薬剤を吸い上げる吸液芯材と、を備え、前記薬剤容器の内底面には前記吸液芯材の下端が到達する位置に凹状にへこむ液溜まり部が設けられる、ことを特徴とする。
本発明の薬剤揮散器において好ましくは、前記液溜まり部は、前記吸液芯材により上方から覆われる大きさをなす、ことを特徴とするように構成することができる。
また、本発明の薬剤揮散器において好ましくは、前記吸液芯材の横断面視形状が円形状であり、前記液溜まり部の平面視形状が円形状であり、前記液溜まり部の外径が前記吸液芯材の下端における内径よりも小さい、ことを特徴とするように構成することができる。
また、本発明の薬剤揮散器において好ましくは、前記液溜まり部が前記薬剤容器の内底面の中央に位置する、ことを特徴とするように構成することができる。
本発明の薬剤揮散器によれば、薬剤容器内の薬液の残量が減少した場合に吸液芯材により良好に薬液を吸い上げることできる。
本実施形態の薬剤揮散器の斜視図である。 本実施形態の薬剤揮散器の分解斜視図である。 キャップ及びカバーを取り外した状態の本実施形態の薬剤揮散器の平面図である。 キャップ及びカバーを取り外した状態の本実施形態の薬剤揮散器の縦断面図である。 図4の薬剤容器の底部側を拡大して示す(A)縦断面図、(B)横断面図である。 本実施形態の薬剤揮散器において薬剤容器にキャップを装着した状態の平面図である。 本実施形態の薬剤揮散器において薬剤容器にカバーを装着した状態の平面図である。 変形例の薬剤揮散器において吸液芯材と薬剤容器の口部の挟持部との関係を示す説明図である。 変形例の薬剤揮散器において吸液芯材と薬剤容器の口部の挟持部との関係を示す説明図である。
本発明の薬剤揮散器は、揮散性を有する液状の薬剤(薬液)を収容した薬剤容器内に吸液芯材を挿入し、吸液芯材の毛細管現象により薬液を吸い上げて薬液の薬剤成分を外部空間に揮散させるものである。本発明の薬剤揮散器は、例えば室内や車内などの空間の臭気による不快感をなくして快適な空間を生み出すために、芳香液や消臭液などを薬液とし、芳香剤成分や消臭剤成分などを自然に揮散させて芳香や消臭などの薬効を得る目的で使用される。なお、本発明の薬剤揮散器の上述した使用目的はあくまでも一例である。
以下、本発明の薬剤揮散器の実施形態について、添付図面を参照して説明する。なお、本開示では、自立する薬剤揮散器の高さ方向を上下方向とする。
薬剤揮散器
図1及び図2に示すように、薬剤揮散器1は、薬液を収容する薬剤容器2及び薬剤容器2内に挿入される吸液芯材3を備える。また、薬剤揮散器1は、好ましくは薬剤容器2に対して着脱可能なキャップ4及びカバー5をさらに備える。
図3に示すように、吸液芯材3は、下端が薬剤容器2の底部62の上面(本開示では「内底面」という。)に到達しかつ上端側の一部分が薬剤容器2から上方に突き出るように、薬剤容器2の口部20に保持される。吸液芯材3は、薬液と接触する部分において薬液を毛細管現象により吸い上げることで、薬剤成分を外部空間に揮散させる。
図6に示すように、キャップ4は、吸液芯材3の薬剤容器2から上方に突き出る部分を覆うように薬剤容器2の口部20に装着される。吸液芯材3はキャップ4により概ね密封されて外部空間から遮断されるので、キャップ4を薬剤容器2に装着した状態では、薬液の薬剤成分は吸液芯材3から連続的に揮散せず、外部空間に放出されない。そのため、キャップ4は薬剤揮散器1の非使用時に用いられ、使用時には薬剤容器2の口部20から取り外される。キャップ4を薬剤容器2の口部20から取り外すと、吸液芯材3により吸い上げられた薬液の薬剤成分が揮散して外部空間に放出され、薬剤揮散器1は薬効を発揮する。
図7に示すように、カバー5は、薬剤揮散器1の使用時に主に用いられ、薬剤揮散器1のデザイン的な観点から、吸液芯材3の薬剤容器2から突き出る部分を外部から視認し難くするために薬剤容器2に装着される。カバー5には複数の揮散孔53が形成されており、カバー5を薬剤容器2に装着した状態では、吸液芯材3から揮散した薬液の薬剤成分はカバー5のそれぞれの揮散孔53を通過して外部空間に放出される。
以下、薬液について説明した後、薬剤揮散器1の各構成部材について詳細に説明する。
薬液(液状の薬剤)
薬液は、揮散性(薬効徐放性)を有し、空気との接触により空気中に徐々に薬剤成分を揮散することで薬効を奏する。薬液は薬剤成分を含む。薬剤成分としては、例えば芳香剤成分、消臭剤成分、殺虫剤成分、防虫剤成分、忌避剤成分、抗菌剤成分などを挙げることができる。薬液は、これらの薬剤成分のうちの1つを単独で含むこともできるし、複数を組み合わせて含むこともできる。薬剤成分は揮散可能である限り、油性又は水性のいずれであってもよい。
薬液の粘度は、特に限定されないが、25℃環境下で、0.1mPa・s以上30mPa・s以下であることが好ましく、0.1mPa・s以上20mPa・s以下であることがより好ましく、0.1mPa・s以上10mPa・s以下であることがさらに好ましい。薬液の粘度は、振動式粘度計(VM-3OO-L セコニック社製)を用いて、25℃環境下で測定することができる。
薬剤容器
図2~図4に示すように、薬剤容器2は上下両端が開口した口部20を有し、吸液芯材3は口部20から薬剤容器2内に挿し込まれる。また、吸液芯材3は口部20に保持されることで、薬剤容器2から抜け出にくくされている。薬剤容器2は、好ましくは容器本体6と、容器本体6に着脱可能である上下両端が開口した筒状の中栓7とにより構成される。
容器本体6は、中空かつ有底の胴体60と、胴体60に一体形成された上下両端が開口した筒状の筒体61とを含む。容器本体60は、好ましくは一部又は全体が透明又は半透明であり、これにより外部から薬液の残量を確認することができる。容器本体60の素材としては、特に限定されないが、例えば合成樹脂やガラスなどを挙げることができる。
胴体60は、底部62、底部62の外周縁から立ち上がる周壁部63、及び底部62と対向するよう周壁部63の上端に連なる肩部64を含む。胴体60の内部空間が薬液の収容空間21である。肩部64は平面視矩形状であり、肩部64の中央には筒体61が上方に延びるように連なる。
底部62は、特に限定されないが、平面視矩形状を呈する。底部62は、好ましくは中央部が外周縁部よりも隆起しており、これにより、水平な台上に薬剤容器2を安定して載置可能である。
図5に示すように、底部62の内底面には、液溜まり部65が設けられている。液溜まり部65は、底部62の内底面の一部を凹状にへこませることで形成される。液溜まり部65は、特に限定されないが、平面視円形状を呈しており、好ましくは底部62の中央に位置している。
底部62の内底面に液溜まり部65が設けられることで、薬剤容器2内の薬液の残量が減少して液面が底部62の内底面付近となった場合に、薬液は表面張力により液溜まり部65の方に向かって引っ張られて液溜まり部65に集まる。液溜まり部65の直上には吸液芯材3の下端部が位置するので、液溜まり部65に集まった薬液を吸液芯材3の下端部により吸い上げることができる。このように、液溜まり部65の存在により、薬剤容器2内の薬液の残量が減少しても、吸液芯材3により良好に薬液を吸い上げて外部空間に薬剤成分を揮散させることできる。
液溜まり部65は、好ましくは外径mが吸液芯材3の少なくとも下端の外径Lよりも小さく、吸液芯材3により上方から覆われる大きさをなす。なお、液溜まり部65の外径mは、液溜まり部65の底部62の内底面において開口する開口縁の外径(液溜まり部65の内底面の高さにおける外径)を言う。これにより、液溜まり部65上には全体的に吸液芯材3の下端面が面する。後述するように、例えば吸液芯材3について外周面の強度を向上させる処理を施すなど、吸液芯材3の仕様によっては吸液芯材3の外周面から薬液を吸い上げ難くなるケースがあり、この場合には吸液芯材3の下端面からより多くの薬液を吸い上げる必要がある。液溜まり部65が吸液芯材3により上方から覆われることにより、液溜まり部65に集まった薬液を吸液芯材3の下端面から効率よく吸い上げることができる。よって、吸液芯材3が上述した仕様であっても、吸液芯材3により薬剤容器2内の薬液を可能な限り全て吸い上げて薬液を最後まで使い切ることができる。
図2~図4に示すように、肩部64は、特に限定されないが、周壁部63よりも一回り小さく、周壁部63との間に段差部66を有する。段差部66には、後述するカバー5の複数(本実施形態では4つ)の係合突起52(図7に示す)を引っ掛けてとめることが可能な複数(本実施形態では4つ)の凹部67が周方向に等間隔に形成される。段差部66の複数の凹部67にカバー5の複数の係合突起52が係合することにより、カバー5を薬剤容器2に取り付けてカバー5が薬剤容器2から容易に外れないよう両者を連結可能である。
筒体61は、特に限定されないが、円筒状を呈し、内壁面及び外壁面の横断面視形状は円形状である。なお、本開示において横断面視形状とは、水平方向に沿った断面の形状である。筒体61は、好ましくは底部61の中央の液溜まり部65の真上に位置し、筒体61の中心と底部62の中心とは同一直線状にある。筒体61の外周面には雄ねじ68が設けられる。雄ねじ68は後述するキャップ4の雌ねじ42(図6に示す)と螺合し、これにより、キャップ4を薬剤容器2の口部20に取り付けてキャップ4が口部20から容易に外れないよう両者を連結可能である。なお、薬剤容器2の口部20にキャップ4を取り付けて両者を連結する手段は特に限定されず、その他の種々の公知の手段を用いることができる。
中栓7は容器本体6の筒体61に着脱可能である。筒体61及び中栓7により薬剤容器2の口部20が構成され、中栓7内に吸液芯材3が挿入される。中栓7は、特に限定されないが、円筒状を呈し、内壁面及び外壁面の横断面視形状は円形状である。中栓7は筒体60の内側に嵌め込むことが可能な外径に形成され、中栓7は筒体60内で保持される。
中栓7は、特に限定されないが、外壁面が筒体61の内壁面に当接して筒体61内に嵌め込まれる高さ方向上側の嵌合部70と、嵌合部70よりも一回り内径及び外径の小さい高さ方向下側の挟持部71と、嵌合部70及び挟持部71をつなぐテーパー部72とを含む。
嵌合部70は、内径が吸液芯材3の外径Lよりも大きく、内壁面が中栓7内に挿入される吸液芯材3の外周面と当接せずに吸液芯材3との間に空隙を形成する。嵌合部70の上端には外側に向けてフランジ部73が水平に突き出る。中栓7を容器本体6の筒体61に取り付ける際には、フランジ部73が筒体61の上端に当接するまで中栓7を筒体61内に挿入する。
挟持部71は、内径lが吸液芯材3の外径Lよりも小さく、つまりは、内壁面の横断面視形状が吸液芯材3の横断面視形状よりも小さい。そのため、挟持部71の内壁面は中栓7内に挿入される吸液芯材3の外周面を押圧する。吸液芯材3を押し込みながら挟持部71内に挿入すると、図4に示すように、吸液芯材3は縮径する(外周面が括れる)ように変形し、長さ方向の一部分(挟持部71に挟持される部分)においては外周面が挟持部71の内壁面と当接して挟持部71により挟持される。これにより、吸液芯材3は薬剤容器2の口部20に装着され、口部20から容易に抜け出ることなく薬剤容器2に保持される。
テーパー部72は、下方に向かうに内径及び外径が次第に小さくなる。吸液芯材3を中栓7内に挿入する際、テーパー部72により吸液芯材3は次第に縮径するよう変形して挟持部71に到達するので、吸液芯材3を挟持部71内にスムーズに挿入可能である。
中栓7の素材としては、特に限定されないが、例えば合成樹脂より具体的にはポリエチレンテレフタレートなどを挙げることができる。
吸液芯材
吸液芯材3は、薬剤容器2への挿入前は直線状に延びる棒状の部材であり、特に限定されないが、横断面視形状が円形状の円柱状を呈する。また、吸液芯材3は、特に限定されないが、全長にわたって太さがほぼ変わらず、全長にわたって横断面視が略同一外径Lの円形状を呈する。吸液芯材3は、薬剤容器2内に口部20から挿入されて使用される。吸液芯材3の長さは、下端が薬剤容器2の内底面に到達するとともに上端側の一部分が薬剤容器2の口部20から上方に突出可能な長さとされる。吸液芯材3の下端が薬剤容器2の内底面に到達することにより、薬剤容器2内の薬液の残量が少なくなっても吸液芯材3による薬液の吸い上げが可能である。
吸液芯材3は、毛細管現象により薬剤容器2内の薬液を吸い上げることができ、かつ、吸い上げた薬液を外部空間に揮散させることができる限り、その素材は特に限定されない。例えばナイロン、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリオキシメチレン、イソパラフィン、セルロース、ラタン、パルプなど、種々の材料を吸液芯材3の素材として挙げることができ、これらの材料は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、特に限定されないが、例えば高温下での吸液芯材3の変形を抑制して吸液芯材3の形状を安定に維持するなどを目的として、その他の好適な材料を吸液芯材3の素材としてさらに用いてもよい。
吸液芯材3は、好ましくは薬液を良好に吸い上げるために、例えば繊維状材料を溶着又は接着させて棒状に成形したもの、繊維状材料を編んで棒状にしたもの、繊維状材料を用いた不織布を棒状にしたもの、スポンジを棒状に成形したものを使用することができる。
吸液芯材3は、特に限定されないが、例えば外周面の強度を向上させるなどの処理が施されていてもよい。これにより、薬剤容器2内に挿入するなどの際にユーザが吸液芯材3を手で持って外周面が幾度となく擦られたとしても、吸液芯材3に毛羽立ちができるなど、吸液芯材3がダメージを受けることを抑制できる。
図4に示すように、吸液芯材3は、薬剤容器2内に挿入した際に、吸液芯材3の外径Lが口部20の挟持部71の内径lよりも大きいと、長さ方向の一部分が挟持部71に挟持されて、挟持部71に挟持された部分が縮径するよう変形する。このように、薬剤容器2内に挿入された吸液芯材3が口部20の挟持部71により締め付けられることで、吸液芯材3の毛細管が細くなり、毛細管現象による薬液の吸い上げ機能が促進される。これにより、吸液芯材3による薬液の吸い上げ量が増加し、例えば吸液芯材3の外周面の強度を向上させる処理などを行うことにより吸液芯材3が外周面から薬液を吸い上げにくい仕様とされた場合であっても、吸液芯材3は下端面から十分な量の薬液を吸い上げて薬剤成分を外部空間に良好に揮散可能である。
吸液芯材3の外径Lは、特に限定されないが、上述の薬剤容器2の口部20による締め付けによって毛細管現象による薬液の吸い上げ機能を効果的に促進させるとの観点から、挟持部71の内径lの1.05倍以上であることが好ましく、1.1倍以上であることがより好ましい。また、吸液芯材3の変形のしやすさにもよるが、吸液芯材3について挟持部71を無理なく通過させるとの観点から、吸液芯材3の外径Lは、挟持部71の内径lの1.5倍以下であることが好ましく、1.2倍以下であることがより好ましい。
吸液芯材3において挟持部71により挟持される部分の長さ、つまりは挟持部71の高さは、特に限定されないが、上述の薬剤容器2の口部20による締め付けによって毛細管現象による薬液の吸い上げ機能を効果的に促進させるとの観点から、吸液芯材3の全長の1/5以上4/5以下であることが好ましく、2/5以上3/5以下であることがより好ましい。
キャップ
キャップ4は、薬剤揮散器1の非使用時に、薬剤容器2の上方に露出した吸液芯材3の一部分を密封するためのものである。キャップ4は、特に限定されないが、合成樹脂製であり、図2及び図6に示すように、上端が閉鎖されかつ下端が開口した円筒状の覆い部40と、覆い部40よりも外径が大きくかつ中央に覆い部40が上方に延びるように連なる円筒状の取付部41とを含む。
覆い部40は、内部に吸液芯材3の薬剤容器2の上方に露出した部分を収容できる内径及び高さを有する。取付部41は、薬剤容器2の口部20を内側に嵌め込むことができる内径を有する。取付部41の内周面には、薬剤容器2の口部20の外周面、具体的には筒体61の外周面に設けられた雄ねじ68と螺合する雌ねじ42が設けられる。
カバー
カバー5は、薬剤揮散器1の使用時に薬剤揮散器1の美感を向上させるためのものである。カバー5は、特に限定されないが、合成樹脂製であり、図1、図2及び図7に示すように、平面視矩形状の天面部50と、天面部50の外周縁から垂下する周面部51とを含む。
周面部51は、薬剤容器2の肩部64を内側に嵌め込むことが可能であり、肩部64は周面部51内に嵌合する。周面部51の内面の下端には内側に突き出る複数の係合突起52が周方向に間隔をあけて設けられる。複数の係合突起52は、薬剤容器2の段差部66の凹部67に係合する。カバー5の天面部50や周面部51には、吸液芯材3により吸い上げられて揮散する薬液の薬剤成分を外部空間に放出するための複数の揮散孔53が形成される。
薬剤揮散器の使用方法
次に、上述した本実施形態の薬剤揮散器1の使用方法について説明する。まず、使用開始前においては、薬剤容器2の口部20にはキャップ4が装着されており、吸液芯材3は密封されている。そのため、使用開始時には、薬剤容器2の底部62を下にキャップ4を上に向けた状態でキャップ4を薬剤容器2の口部20から取り外す。これにより、吸液芯材3が露出し、薬剤容器2内の薬液は吸液芯材3により吸い上げられ、薬液の薬剤成分が外部空間に連続的に揮散する。その結果、薬剤揮散器1の設置された空間を快適空間にすることができる。薬剤揮散器1の使用中は、必要に応じて薬剤容器2にカバー5を装着することができる。
薬剤揮散器による作用・効果
上述した本実施形態の薬剤揮散器1は、底部62の内底面に液溜まり部65が設けられている。そのため、薬剤容器2内の薬液の残量が減少して液面が底部62の内底面付近となった場合に、薬液は表面張力により液溜まり部65の方に向かって引っ張られて液溜まり部65に集まる。液溜まり部65の直上には吸液芯材3の下端部が位置するので、液溜まり部65に集まった薬液を吸液芯材3の下端部により吸い上げることができる。このように、本実施形態の薬剤揮散器1は、液溜まり部65の存在により、薬剤容器2内の薬液の残量が減少しても、吸液芯材3により良好に薬液を吸い上げて外部空間に薬剤成分を揮散させることできる。
また、本実施形態の薬剤揮散器1によれば、液溜まり部65は、外径が吸液芯材3の少なくとも下端の外径よりも小さく、吸液芯材3により上方から覆われる。そのため、液溜まり部65上には全体的に吸液芯材3の下端面が面する。例えば吸液芯材3について外周面の強度を向上させる処理を施すなど、吸液芯材3の仕様によっては吸液芯材3の外周面から薬液を吸い上げ難くなるケースがあるが、液溜まり部65が吸液芯材3により上方から覆われることにより、液溜まり部65に集まった薬液を吸液芯材3の下端面から効率よく吸い上げることができる。よって、吸液芯材3が外周面から薬液を吸い上げにくい仕様であっても、吸液芯材3により薬剤容器2内の薬液を可能な限り全て吸い上げて薬液を最後まで使い切ることができる。
薬剤揮散器の変形例
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
上述した実施形態では、吸液芯材3の横断面視形状が円形状であるとともに、薬剤容器2の口部20の挟持部71における内壁面の横断面視形状が円形状であり、かつ、吸液芯材3の外径が挟持部71の内径よりも大きいため、吸液芯材3は挟持部71において外周面の全周にわたって挟持部71の内壁面に当接する。ただし、吸液芯材3の外周面の全周を挟持部71の内壁面に当接させる必要はなく、一変形例として、吸液芯材3の外周面に長さ方向に延びる溝状のスリットを形成し、吸液芯材3を当該スリットがある部分において挟持部71の内壁面に当接させずに、薬剤容器2の収容空間21と外部空間を連通させて薬剤容器2の内外を空気が流通可能としてもよい。
また、上述した実施形態では、吸液芯材3の横断面視形状が円形状であるが、他の変形例として、吸液芯材3の横断面視形状を例えば三角形状や四角形状などの多角形状としてもよいし、楕円形状などのその他の様々な形状としてもよい。この変形例では、図8に示すように、吸液芯材3の横断面視形状が内接する円S1の直径を挟持部71の内径よりも大きくすることで、吸液芯材3の横断面視形状を挟持部71の内壁面の横断面視形状に重ね合わせた際に吸液芯材3の横断面視形状の一部分が挟持部71の内壁面の横断面視形状の外側にはみ出る。よって、挟持部71の内壁面の横断面視形状を吸液芯材3の挟持部71に挟持される部分の横断面視形状よりも小さくすることができ、これにより、吸液芯材3は、挟持部71に挟持される部分において、その外周面の一部分が挟持部71の内壁面により押圧される。その結果、薬剤容器2内に挿入された吸液芯材3は口部20の挟持部71により締め付けられるため、吸液芯材3の毛細管現象による薬液の吸い上げ機能を促進することができる。
また、上述した実施形態では、薬剤容器2の口部20の挟持部71における内壁面の横断面視形状が円形状であるが、他の変形例として、挟持部71の内壁面の横断面視形状を例えば三角形状や四角形状などの多角形状としてもよいし、楕円形状などのその他の様々な形状としてもよい。この変形例では、図9に示すように、挟持部71の内壁面の横断面視形状に内接する円S2の直径よりも吸液芯材3の外径を大きくすることで、吸液芯材3の横断面視形状を挟持部71の内壁面の横断面視形状に重ね合わせた際に吸液芯材3の横断面視形状の一部分が挟持部71の内壁面の横断面視形状の外側にはみ出る。よって、挟持部71の内壁面の横断面視形状を吸液芯材3の挟持部71に挟持される部分の横断面視形状よりも小さくすることができ、これにより、吸液芯材3は、挟持部71に挟持される部分において、その外周面の一部分が挟持部71の内壁面により押圧される。その結果、薬剤容器2内に挿入された吸液芯材3は口部20の挟持部71により締め付けられるため、吸液芯材3の毛細管現象による薬液の吸い上げ機能を促進することができる。
なお、吸液芯材3の横断面視形状を円形状以外の形状とし、かつ、挟持部71の内壁面の横断面視形状を円形状以外の形状としてもよい。この変形例においても、図示は省略するが、吸液芯材3の横断面視形状を挟持部71の内壁面の横断面視形状に重ね合わせた際に吸液芯材3の横断面視形状の一部分が挟持部71の内壁面の横断面視形状の外側にはみ出るように、両者の横断面視形状を設計することで、挟持部71の内壁面の横断面視形状を吸液芯材3の挟持部71に挟持される部分の横断面視形状よりも小さくすることができる。
また、上述した実施形態では、吸液芯材3は全長にわたって横断面視が略同一外径の円形状を呈するが、他の変形例として、少なくとも挟持部71により挟持される部分について、横断面視形状を挟持部71の内壁面の横断面視形状よりも大きくすればよい。なお、両者の横断面視形状が円形状である場合には、吸液芯材3の挟持部71に挟持される部分の外径を挟持部71の内径よりも大きくし、好ましくは1.05倍以上とし、より好ましくは1.1倍以上とする。
また、上述した実施形態では、薬剤容器2の口部20、具体的には中栓7は、挟持部71と嵌合部70とで横断面視形状の大きさ(内径)が異なるが、他の変形例として、高さ方向の全部において挟持部71の横断面視形状と同じ大きさ(内径)としてもよい。
また、上述した実施形態では、薬剤容器2は容器本体6と中栓7を含み、口部20は容器本体6の筒体61と中栓7で構成されるが、他の変形例として、口部20を容器本体6の筒体61のみで構成してもよい。この変形例では、容器本体6の筒体61が中栓7の挟持部71と同じ構造の挟持部を含むように形成される。
また、上述した実施形態では、薬剤容器2の底部62の内底面の中央に液溜まり部65が位置するが、他の変形例として、吸液芯材3により上方から覆われる範囲内であれば、薬剤容器2の内底面の中央から位置ずれしていてもよい。
また、上述した実施形態では、薬剤容器2の筒体61は、底部62の中央の真上に位置するが、他の変形例として、底部62の中央の真上から位置ずれしていてもよく、それに応じて液溜まり部65は、筒体61から薬剤容器2内に挿入される吸液芯材3により上方から覆われる範囲内であれば、薬剤容器2の底部62の内底面のどこに位置していてもよい。
また、上述した実施形態では、吸液芯材3は薬剤容器2内で真っ直ぐ上下方向に起立するように薬剤容器2内に挿入されるが、他の変形例として、吸液芯材3は薬剤容器2内で斜めを向くように薬剤容器2内に挿入されてもよく、それに応じて液溜まり部65は、筒体61から薬剤容器2内に挿入される吸液芯材3により上方から覆われる範囲内であれば、薬剤容器2の底部62の内底面のどこに位置していてもよい。
1 薬剤揮散器
2 薬剤容器
3 吸液芯材
20 薬剤容器の口部
65 液溜まり部
71 挟持部

Claims (4)

  1. 液状の薬剤を収容する薬剤容器と、
    下端が薬剤容器の内底面に到達しかつ上端側の一部分が前記薬剤容器から上方に突き出るように前記薬剤容器内に挿入される吸液芯材であって、前記液状の薬剤を吸い上げる吸液芯材と、
    を備え、
    前記薬剤容器の内底面には前記吸液芯材の下端が到達する位置に凹状にへこむ液溜まり部が設けられる、ことを特徴とする薬剤揮散器。
  2. 前記液溜まり部は、前記吸液芯材により上方から覆われる大きさをなす、ことを特徴とする請求項1に記載の薬剤揮散器。
  3. 前記吸液芯材の横断面視形状が円形状であり、
    前記液溜まり部の平面視形状が円形状であり、
    前記液溜まり部の外径が前記吸液芯材の下端における内径よりも小さい、ことを特徴とする請求項2に記載の薬剤揮散器。
  4. 前記液溜まり部が前記薬剤容器の内底面の中央に位置する、ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の薬剤揮散器。
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