JP2022090138A - 波長変換部材の検査方法、波長変換部材の検査装置及び波長変換部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】蛍光体を有する波長変換部材の内部欠陥の検査精度を向上させる。【解決手段】波長変換部材としての蛍光体含有ガラス板Gの内部欠陥を検査する方法であって、照射部1から蛍光体含有ガラス板Gに対して、495nm超の波長の検査光Lを照射しながら、撮像部2で蛍光体含有ガラス板Gを撮像する。【選択図】図1
Description
本発明は、波長変換部材の検査方法及びその検査装置に関する。
蛍光体含有ガラス部材は、例えば、ガラス粉末と無機蛍光体粉末との混合物を加圧或いは成型し、焼成することで得られることが知られており、例えば、青色光源から発せられる青色光を白色光に変換するための波長変換部材(発光色変換部材)として用いられる。ここで、例えば、蛍光体含有ガラス部材は、青色光源から発せられた青色光の一部を蛍光体で吸収して黄色光に変換する機能を有する場合、白色光は、蛍光体で変換された黄色光と、青色光源から発せられた残りの青色光との合成により得られる。
この種の蛍光体含有ガラス部材には、泡、異物等の内部欠陥が含まれる場合がある。また、蛍光体含有ガラス部材には、光の拡散性を向上させる等の目的で、蛍光体とは別に拡散材を含有させる場合、この拡散材が適正に分散せずに凝集体を形成して内部欠陥となることもある。これら泡、異物、拡散材の凝集体等の内部欠陥が存在すると、発光効率の低下や発光色のバラツキ、蛍光体含有ガラス部材の強度低下を招くおそれがある。
そこで、特許文献1には、照射部から検査光を蛍光体含有ガラス部材に照射すると共に、この検査光によって蛍光体含有ガラス部材中の蛍光体を発光させながら撮像部で撮像することで、蛍光体含有ガラス部材の欠陥を検査することが開示されている。ここで、特許文献1では、蛍光体を発光させるために、検査光として、蛍光体の励起(吸収)波長域に含まれる300~495nmの波長の光を用いることが開示されている。
特許文献1に開示のように、蛍光体含有ガラス部材中の蛍光体を励起させると、蛍光体は、例えば光源から発せられる青色光の吸収を伴いながら黄色光を発光する。この青色光の吸収により、蛍光体に対応する部分が暗くなり、撮像画像を二値化処理等した場合に黒色像として観測される。一方、泡、異物、拡散材の凝集体等の内部欠陥も、像の形状は異なる場合はあるものの、撮像画像を二値化処理等した場合に黒色像として観測される。従って、蛍光体を励起発光させると、蛍光体と内部欠陥とが共に黒色像として観測されるため、欠陥ではない蛍光体と、内部欠陥とを区別することが難しくなり、内部欠陥の検査精度が低下するという問題がある。
このような問題は、蛍光体を有する波長変換部材であれば、蛍光体含有ガラス部材以外の波長変換部材でも同様に生じ得る。
本発明は、蛍光体を有する波長変換部材の内部欠陥の検査精度を向上させることを技術的課題とする。
(1) 上記の課題を解決するために創案された本発明は、蛍光体を有する波長変換部材の内部欠陥を検査する波長変換部材の検査方法であって、照射部と撮像部とを波長変換部材を介して対向配置すると共に、照射部と波長変換部材との間に照射部から照射される検査光の一部を遮断する絞り部材を配置した状態で、照射部から絞り部材を介して波長変換部材に対して、蛍光体における励起が実質的に生じない波長の検査光を照射しながら、撮像部で波長変換部材を撮像することを特徴とする。
(2) 上記(1)の構成において、絞り部材が、スリット状の絞り開口部を有することが好ましい。
(3) 上記(1)又は(2)の構成において、絞り部材と波長変換部材との間の間隔が、1mm以下であることが好ましい。
(4) 上記(1)~(3)のいずれかの構成において、検査光が透過可能な支持部材の上面に波長変換部材を載置すると共に、支持部材の下面に絞り部材を接触させた状態で、照射部、撮像部および絞り部材を含む第一系を、支持部材および波長変換部材を含む第二系に対して相対移動させてもよい。
(5) 上記(4)の構成において、照射部、撮像部および絞り部材を定位置に配置した状態で、支持部材の上面に波長変換部材を載置し、支持部材の下面に絞り部材を接触させながら、支持部材と共に波長変換部材を移動させてもよい。
(6) 上記(1)~(5)のいずれかの構成において、波長変換部材が、ガラス中に蛍光体を含む蛍光体含有ガラス部材であることが好ましい。
(7) 上記の課題を解決するために創案された本発明は、蛍光体を有する波長変換部材の内部欠陥を検査する波長変換部材の検査装置であって、波長変換部材に対して、蛍光体における励起が実質的に生じない波長の検査光を照射する照射部と、波長変換部材を介して照射部と対向配置され、検査光が照射された波長変換部材を撮像する撮像部と、照射部と波長変換部材との間に配置され、検査光の一部を遮断する絞り部材とを備えていることを特徴とする。
(8) 上記(7)の構成において、波長変換部材が載置される上面および絞り部材が接触する下面を有し、検査光が透過可能な支持部材と、照射部、撮像部および絞り部材を含む第一系を、支持部材および波長変換部材を含む第二系に対して相対移動させる相対移動機構とをさらに備えていてもよい。
(9) 上記の課題を解決するために創案された本発明は、蛍光体を有する波長変換部材を製造する波長変換部材の製造方法であって、上記(1)~(6)のいずれかの構成に記載の波長変換部材の検査方法により、波長変換部材の内部欠陥の検査を行う工程を含むことを特徴とする。
以上のような本発明によれば、蛍光体を有する波長変換部材の内部欠陥の検査精度を向上させることができる。
本実施形態に係る波長変換部材の検査方法及びその検査装置について図面を参照しながら説明する。なお、以下では、波長変換部材として、ガラス中に蛍光体を含むガラス層からなる蛍光体含有ガラス板を例示する。
図1に示すように、本検査装置は、横姿勢の蛍光体含有ガラス板Gに対して検査光Lを照射する照射部1と、検査光Lが照射された蛍光体含有ガラス板Gを撮像する撮像部2と、撮像部2で撮像された蛍光体含有ガラス板Gの撮像画像を画像処理する画像処理部3とを備えている。
蛍光体含有ガラス板Gは、例えば、ガラス粉末と無機蛍光体粉末とを含む混合物を加圧或いは成型し、焼成することで得られたものであり、入射光の波長の一部を別の波長に変換する機能を有する。
ガラス粉末としては、例えば、ZnO-B2O3-SiO2系ガラス粉末、SiO2-B2O3-RO系ガラス粉末(Rは、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも一種)、SiO2-TiO2-Nb2O5-R’2O系ガラス粉末(R’は、Li、Na及びKからなる群から選択される少なくとも一種)およびSnO-P2O5系ガラス粉末からなる群から選択される一種のガラス粉末が用いられる。
無機蛍光体粉末としては、酸化物(YAG粉末等のガーネット系粉末を含む)、窒化物、酸窒化物、硫化物、酸硫化物、ハロゲン化物(ハロリン酸塩化物粉末等)およびアルミン酸塩からなる群から選択される少なくとも一種の無機蛍光体粉末が用いられる。具体的には、青色の励起光を照射すると黄色の蛍光を発する無機蛍光体粉末としては、(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ce、La3Si6N11:Ce、Ca-α-サイアロン:Eu、Li2SrSiO4:Eu等が挙げられる。無機蛍光体粉末は、紫外~495nmに励起帯または励起ピークを有するものが一般的である。
図1及び図2に示すように、本実施形態において、検査対象となる蛍光体含有ガラス板Gは複数の矩形状セグメントG1に分割されており、各セグメントG1の間には所定の隙間Sが形成されている。蛍光体含有ガラス板Gは、支持部材4に載置されている。支持部材4は、金属製の枠部材5と、枠部材5に張設された粘着性の透明フィルム(ここでは、検査光が透過可能なフィルムを意味する)、例えば透明UVフィルム6とを備えている。蛍光体含有ガラス板Gの各セグメントG1は、透明フィルムに貼着されている。各セグメントG1の間の隙間Sは、各セグメントG1の間に隙間が無い状態から透明UVフィルム6を引き伸ばすことによって形成される。透明UVフィルム6が引き伸ばされた状態は、枠部材5によって透明UVフィルムの周縁部を保持することで維持されるようになっている。なお、蛍光体含有ガラス板Gは、各セグメントG1の間に隙間Sを有さないものであっても良いし、セグメントG1に分割されていない一枚のガラス板であっても良いし、一枚のガラス板をダイシング等の切削加工によって分割されたものであっても良い。また、支持部材4は適宜省略しても良い。
図1に示すように、蛍光体含有ガラス板Gは、X軸方向に可動する可動機構、例えばベルトコンベア7に搭載されている。ベルトコンベア7は、支持部材4の枠部材5の周縁部、例えばY軸方向(紙面直交方向)の両端部を支持しており、支持部材4と共に蛍光体含有ガラス板GがX軸方向に移動可能となっている。
照射部1及び撮像部2は、蛍光体含有ガラス板Gを挟んで同軸(例えば、Z軸方向に延びる軸)上で対向配置されている。本実施形態では、照射部1は蛍光体含有ガラス板Gの下方側の定位置に配置され、撮像部2は蛍光体含有ガラス板Gの上方側の定位置に配置されている。
照射部1としては、例えばハロゲンランプや半導体レーザー(LD)等の光源を使用可能であるが、本実施形態では、発光ダイオード(LED)をY軸方向に配列したライン光源を使用している。照射部1から発せられた検査光Lは、蛍光体含有ガラス板Gの下面側から蛍光体含有ガラス板Gに照射される。
照射部1から発せられる検査光Lの波長は、495nm超であり、520nm以上、550nm以上、600nm以上であることが好ましく、900nm以下、850nm以下、800nm以下、750nm以下、700nm以下であることが好ましい。このような波長とする理由は、蛍光体含有ガラス板G中の蛍光体における励起(吸収)が極めて少ない又は無い状態にするためである。なお、検査光Lは、赤外光であっても良いが、照射部1の光量や撮像部2の感度を高め、露光時間(検査時間)を短くするという観点からは可視光であることが好ましい。
撮像部2は、例えばCCDカメラで構成されており、蛍光体含有ガラス板Gを鉛直方向上方から撮像できる位置に配置されている。撮像部2としては、蛍光体含有ガラス板GのY軸方向の全幅W1を撮像領域に含むエリアカメラやラインカメラを用いることが好ましい。本実施形態では、撮像部2の撮像領域は、蛍光体含有ガラス板GのY軸方向の全幅W1に亘って形成されている。また、照射部1から発せられる検査光Lも撮像領域に対応する領域(蛍光体含有ガラス板Gの全幅W1)に照射されるようになっている。このようにすれば、ベルトコンベア7で支持部材4と共に蛍光体含有ガラス板GをX軸方向に移動させるだけで、蛍光体含有ガラス板Gに含まれる全てのセグメントG1の検査を行うことができる。
撮像部2で撮像された蛍光体含有ガラス板Gの画像データは画像処理部3に入力され、画像処理部3で二値化等の適宜の画像処理が施される。本実施形態では、ガンマ補正によって輝度値を調整する。画像処理部3で画像処理された蛍光体含有ガラス板Gの処理画像は、ディスプレイ(図示省略)に表示され、表示された処理画像から泡(空隙)、異物(有機物の燃殻等)、拡散材の凝集体といった蛍光体含有ガラス板Gの内部欠陥の有無、大きさ、種類を判別することができる。あるいは、処理画像から各種欠陥の情報(大きさ等)を抽出する演算処理と、各種欠陥の大きさ等の許容基準値を記憶する記憶機能と、演算によって抽出した各種欠陥の情報(大きさ等)と許容基準値とを比較して欠陥に関する良否を判定する良否判定機能とを画像処理部3に設け、蛍光体含有ガラス板Gの欠陥に関する良否判定を画像処理部3で自動的に行う構成としても良い。
本実施形態では、さらに蛍光体含有ガラス板Gの下面側の定位置に、照射部1から発せられた検査光Lの一部を遮断する絞り部材8が配置されている。図1及び図3に示すように、絞り部材8は、板状を呈し、中央部にY軸方向に細長いスリット状の絞り開口部8aを有している。絞り部材8は、支持部材4の透明UVフィルム6と接触しており、ベルトコンベア7によって支持部材4と共に蛍光体含有ガラス板GをX軸方向に移動させると、絞り部材8の上面を透明UVフィルム6が摺動するようになっている。なお、透明UVフィルム6と絞り部材8との間に僅かに隙間が形成されていても良い。また、絞り部材8は、配置しなくても良い。
絞り部材8は、例えば、樹脂板や金属板等から形成される。絞り部材8は、絞り開口部8a以外で検査光Lを遮断するために有色(例えば、黒色)であることが好ましい。
絞り部材8の大きさは、X軸方向の寸法が、蛍光体含有ガラス板GのX軸方向の寸法の1/4以上であることが好ましく、1/3以上であることがより好ましく、1/2以上であることがさらに好ましい。より具体的には、絞り部材8のX軸方向の寸法は、2mm以上であることが好ましく、4mm以上であることがより好ましい。絞り部材8のY軸方向の寸法は、蛍光体含有ガラス板Gの全幅W1よりも大きいことが好ましい。スリット状の絞り開口部8aは蛍光体含有ガラス板Gの全幅W1よりも長いことが好ましい。照射部1から発せられる検査光Lは、絞り部材8の範囲内にのみ照射されることが好ましい。すなわち、検査光Lが、絞り部材8のX軸方向の先端よりも前方側や後端よりも後方側から、蛍光体含有ガラス板Gに照射されないようにすることが好ましい。
絞り開口部8aの幅(X軸方向の寸法)W2は、10μm以上、30μm以上、50μm以上であることが好ましく、300μm以下、200μm以下、150μm以下、100μm以下であることが好ましい。絞り開口部8aの幅W2が小さくなるほど、絞り開口部8aを透過する検査光Lの光量は減少するが、蛍光体含有ガラス板G中の欠陥とその他の部分とのコントラストが良好になる傾向にある。
絞り部材8の厚みは、0.1mm以上、0.2mm以上、0.5mm以上、1mm以上であることが好ましく、2mm以下、1.5mm以下であることが好ましい。絞り部材8の厚みは、検査光Lを適切に遮断できる範囲で薄い方が好ましい。
絞り部材8と蛍光体含有ガラス板Gとの間の間隔S2は、1mm以下、0.8mm以下、0.5mm以下、0.3mm以下、0.15mm以下、0.1mm以下であることが好ましい。絞り部材8は、蛍光体含有ガラス板Gにできるだけ近接させると良い。なお、透明UVフィルム6の下面に絞り部材8を接触させる場合には、間隔S2は透明UVフィルム6の厚みに相当する。支持部材4を省略する場合、間隔S2は零が最近接となる。その場合は例えば蛍光体含有ガラス板Gの端部を把持するなどして支持する。
次に、以上の構成を備えた検査装置を用いた本検査方法の一例を説明する。
まず、図1に示すように、蛍光体含有ガラス板Gが透明UVフィルム6の上面に貼着された支持部材4を、ベルトコンベア7の上に作業者或いはロボットにより載置する。本実施形態では、この載置状態で透明UVフィルム6の上面側に枠部材5が位置する。
その後、ベルトコンベア7によって支持部材4と共に蛍光体含有ガラス板GをX軸方向に移動させる。これにより、蛍光体含有ガラス板Gの全てのセグメントG1に対して、照射部1から発せられて絞り部材8の絞り開口部(スリット)8aを通過した検査光Lが順に照射される。この際、透明UVフィルム6の下面が、定位置に配置された絞り部材8の上面を接触しながら滑動するが、枠部材5は透明UVフィルム6の上面側に位置しているので、枠部材5と絞り部材8とが互いに干渉することはない。
このようなX軸方向の蛍光体含有ガラス板Gの移動により、検査光Lの照射範囲および撮像部2の撮像範囲が順に移動し、最終的には蛍光体含有ガラス板Gの全てのセグメントG1の撮像画像が画像処理部3に送られる。画像処理部3では、各撮像画像を画像処理し、各処理画像に基づいて、各セグメントG1の泡、異物、拡散材の凝集体等の内部欠陥を検査する。
検査光Lの波長は、495nm超(例えば、赤色光)であるため、セグメントG1中の蛍光体において励起(吸収)が極めて少ない又は無い状態となる。このような蛍光体における励起が実質的に生じない状態では、検査光Lは蛍光体に実質的に吸収されることなく透過し、蛍光体に対応する部分が暗く撮像されにくくなる。従って、蛍光体が検査の邪魔になることがなく、泡、異物、拡散材の凝集体等の内部欠陥を正確に検出することが可能となる。
具体的には、セグメントG1中に泡が含まれている場合には、泡は球体であるため、泡の界面における検査光Lの屈折や散乱により、図4に示すように、処理画像において、泡の界面に対応する部分が黒色を呈するリング像P1として観察される。また、処理画像の例示は省略するが、セグメントG1中に光を透過しない炭化物等の黒色異物が含まれている場合には、黒色異物で光の吸収が生じて黒色異物に対応する部分に黒色像が観察され、セグメントG1中に拡散材の凝集物が含まれる場合には、凝集体で強い散乱が生じて検査光Lが減衰して凝集体に対応する部分に黒色像が観察される。なお、図5に示すように、検査光Lの波長が495nm未満(例えば、青色光)であると、セグメントG1中の蛍光体において励起(吸収)が生じ、蛍光体に対応する部分に黒色像P2が観察され、例えば、泡に対応するリング像P1等の内部欠陥の検査の邪魔になる。
また、本実施形態では、絞り部材8の絞り開口部8aを通して検査光LをセグメントG1に照射しているため、検査位置に対応する狭い範囲にのみ検査光Lが照射される。従って、欠陥より離れた位置に存在する蛍光体粒子や拡散材へ検査光Lが当たらなくなり、セグメントG1中において検査の邪魔になるような不要な不特定方向からの散乱光が生じにくくなる。その結果、図6に示すように、絞り部材8を配置した場合には、処理画像において例えば泡に対応するリング像P1が鮮明に観察されるが、図7に示すように、絞り部材8を配置しない場合には、処理画像において泡に対応するリング像P1が不鮮明に観察される場合が生じ得る。従って、絞り部材8を配置すれば、内部欠陥の検出精度がより向上する。
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、上記した作用効果に限定されるものでもない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
上記の実施形態では、蛍光体含有ガラス板Gを横姿勢(好ましくは水平姿勢)で送りながら欠陥の検査を行う場合を説明したが、蛍光体含有ガラス板Gの姿勢は特に限定されない。例えば、蛍光体含有ガラス板Gを縦姿勢(好ましくは鉛直姿勢)で送りながら欠陥を検査するようにしても良い。
上記の実施形態では、照射部1、撮像部2及び絞り部材8を定位置に配置した状態で、蛍光体含有ガラス板GをX軸方向に移動させながら欠陥の検査位置を変更する場合を説明したが、このような移動態様に限定されない。例えば、蛍光体含有ガラス板GをXY軸方向(又はXYZ軸方向)に可動な可動テーブル等に載置し、蛍光体含有ガラス板GをX軸方向とY軸方向に移動させることで欠陥の検査位置を変更するようにしても良い。この場合、絞り部材8の絞り開口部8aは、例えばホール状(例えば、真円や楕円等)であっても良い。また、照射部1、撮像部2及び絞り部材8からなる検査光学系と、蛍光体含有ガラス板Gとの間に相対的な移動があれば良い。すなわち、蛍光体含有ガラス板Gを定位置に配置した状態で、検査光学系を移動させても良いし、蛍光体含有ガラス板Gと検査光学系の両方を移動させても良い。
上記の実施形態では、蛍光体含有ガラス板Gを検査対象とした検査装置および検査方法を説明したが、本検査装置及び本検査方法は、蛍光体含有ガラス板G以外の透光性を有する波長変換部材にも適用することができる。ここで、蛍光体含有ガラス板G以外の波長変換部材としては、例えば、多結晶YAGセラミックス、蛍光体含有セラミックス、蛍光体含有樹脂、ガラス板と蛍光体含有層(例えば、蛍光体含有樹脂層)との複合部材などが挙げられる。
なお、本願は以下の発明を含む。
蛍光体を有する波長変換部材の内部欠陥を検査する波長変換部材の検査方法であって、照射部から波長変換部材に対して波長が495nm超の検査光を照射しながら、撮像部で波長変換部材を撮像することを特徴とする。すなわち、波長変換部材に用いられる蛍光体(例えば、無機蛍光体粉末)は、波長495nm以下に励起帯または励起ピークを有することが多い。そこで、上記の構成のように、波長495nm超の検査光を用いれば、蛍光体において励起(吸収)が極めて少ない又は無い状態となる。このような蛍光体における励起が実質的に生じない状態では、検査光は蛍光体に実質的に吸収されることなく透過し、蛍光体に対応する部分が暗く撮像されにくくなる。従って、蛍光体が検査の邪魔になることがなく、波長変換部材の内部欠陥を正確に検査することが可能となる。
ここで、「蛍光体を有する波長変換部材」は、蛍光体を有する層のみからなる単一部材であっても良いし、蛍光体を有する層とその他の層とを積層してなる複合部材であっても良い。なお、「蛍光体を有する層」という用語は、層の一部に蛍光体が含まれている場合(例えば、層の内部に蛍光体が分散している場合など)と、層の全体が蛍光体のみから構成されている場合(例えば、層全体が蛍光体の単結晶体又は多結晶体から構成されている場合など)とを含むものとする。また、「層」という用語は、膜と板の両方の概念を含むものとする。
上記の構成において、照射部と撮像部とを波長変換部材を挟んで対向配置すると共に、照射部と波長変換部材との間に検査光の一部を遮断する絞り部材を配置することが好ましい。このようにすれば、絞り部材によって、波長変換部材中の狭い範囲にのみ検査光が照射される。従って、欠陥より離れた位置に存在する蛍光体や拡散材へ検査光が当たらなくなり、波長変換部材中において検査の邪魔になるような不要な不特定方向からの散乱光が生じにくく、内部欠陥の検査精度がより向上する。
絞り部材を配置する場合、絞り部材はスリット状の絞り開口部を有することが好ましい。このようにすれば、波長変換部材中の不要な散乱光の発生を防止しつつ、一度に検査できる検査対象領域を、絞り開口部が円形等の場合に比べ、広げることができるため、検査効率を上げることができる。
絞り部材を設ける場合、絞り部材と波長変換部材との間の間隔は、1mm以下、0.8mm以下、0.5mm以下、0.3mm以下、0.15mm以下、0.1mm以下であることが好ましい。ここで、絞り部材と波長変換部材との間の間隔は、零を含むものとする。このようにすれば、絞り部材を波長変換部材に近接または接触させることができる。従って、絞り部材を通過した検査光が回折で大きく広がる前に波長変換部材に照射され、絞り部材の効果を高めることができる。
絞り部材を設ける場合、照射部、撮像部および絞り部材を定位置に配置した状態で、検査光を透過可能な支持部材の上面に波長変換部材を載置し、支持部材の下面に絞り部材を接触させながら、支持部材と共に波長変換部材を移動させるようにしても良い。このようにすれば、波長変換部材を支持部材の上面に載置させた状態で移動させることで、波長変換部材中に検査光の照射領域および撮像領域が走査されることになる。従って、波長変換部材が薄い場合や小さい場合等であっても、波長変換部材の取り扱いが容易となる。また、支持部材の下面に絞り部材が接触しているため、絞り部材を通過した検査光が回折で大きく広がる前に波長変換部材に照射され、絞り部材の効果を高めることができる。ここで、支持部材の厚み(支持部材の厚みが平面内で異なる場合は、例えば支持部材のうち波長変換部材と接触する部分の厚み)は、例えば、500μm以下、350μm以下、200μm以下、100μm以下、85μm以下であることが好ましい。
上記の構成において、波長変換部材が、ガラス中に蛍光体を含む蛍光体含有ガラス部材であることが好ましい。
蛍光体を有する波長変換部材の内部欠陥を検査する波長変換部材の検査装置であって、波長変換部材に対して波長が495nm超の検査光を照射する照射部と、検査光が照射された波長変換部材を撮像する撮像部とを備えていることを特徴とする。このような構成によれば、上述の対応する構成と同様の作用効果を奏し得る。
1 照射部
2 撮像部
3 画像処理部
4 支持部材
5 枠部材
6 透明UVフィルム
7 ベルトコンベア
8 絞り部材
8a 絞り開口部
G 蛍光体含有ガラス板(波長変換部材)
G1 セグメント
L 検査光
2 撮像部
3 画像処理部
4 支持部材
5 枠部材
6 透明UVフィルム
7 ベルトコンベア
8 絞り部材
8a 絞り開口部
G 蛍光体含有ガラス板(波長変換部材)
G1 セグメント
L 検査光
Claims (9)
- 蛍光体を有する波長変換部材の内部欠陥を検査する方法であって、
照射部と撮像部とを前記波長変換部材を介して対向配置すると共に、前記照射部と前記波長変換部材との間に前記照射部から照射される検査光の一部を遮断する絞り部材を配置した状態で、
前記照射部から前記絞り部材を介して前記波長変換部材に対して、前記蛍光体における励起が実質的に生じない波長の前記検査光を照射しながら、前記撮像部で前記波長変換部材を撮像することを特徴とする波長変換部材の検査方法。 - 前記絞り部材が、スリット状の絞り開口部を有することを特徴とする請求項1に記載の波長変換部材の検査方法。
- 前記絞り部材と前記波長変換部材との間の間隔が、1mm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の波長変換部材の検査方法。
- 前記検査光が透過可能な支持部材の上面に前記波長変換部材を載置すると共に、前記支持部材の下面に前記絞り部材を接触させた状態で、
前記照射部、前記撮像部および前記絞り部材を含む第一系を、前記支持部材および前記波長変換部材を含む第二系に対して相対移動させることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の波長変換部材の検査方法。 - 前記照射部、前記撮像部および前記絞り部材を定位置に配置した状態で、前記支持部材の上面に前記波長変換部材を載置し、前記支持部材の下面に前記絞り部材を接触させながら、前記支持部材と共に前記波長変換部材を移動させることを特徴とする請求項4に記載の波長変換部材の検査方法。
- 前記波長変換部材が、ガラス中に前記蛍光体を含む蛍光体含有ガラス部材であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の波長変換部材の検査方法。
- 蛍光体を有する波長変換部材の内部欠陥を検査する装置であって、
前記波長変換部材に対して、前記蛍光体における励起が実質的に生じない波長の検査光を照射する照射部と、
前記波長変換部材を介して前記照射部と対向配置され、前記検査光が照射された前記波長変換部材を撮像する撮像部と、
前記照射部と前記波長変換部材との間に配置され、前記検査光の一部を遮断する絞り部材とを備えていることを特徴とする波長変換部材の検査装置。 - 前記波長変換部材が載置される上面および前記絞り部材が接触する下面を有し、前記検査光が透過可能な支持部材と、
前記照射部、前記撮像部および前記絞り部材を含む第一系を、前記支持部材および前記波長変換部材を含む第二系に対して相対移動させる相対移動機構とをさらに備えていることを特徴とする請求項7に記載の波長変換部材の検査装置。 - 蛍光体を有する波長変換部材を製造する方法であって、
請求項1~6のいずれか1項に記載の波長変換部材の検査方法により、前記波長変換部材の内部欠陥の検査を行う工程を含むことを特徴とする波長変換部材の製造方法。
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