JP2022089131A - 駆動装置 - Google Patents

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秀明 松尾
Hideaki Matsuo
修平 中松
Shuhei Nakamatsu
啓介 麻生
Keisuke Aso
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Abstract

【課題】パーキング機構を駆動装置の内部で効率的に配置することで全体として小型化した駆動装置を提供する。【解決手段】第1軸線を中心として回転する動力部と、動力部の動力を伝達する伝達機構と、伝達機構に設けられるパーキング機構と、を備え、伝達機構は、第1軸線周りを回転する第1ギヤと、第1ギヤと噛み合い第2軸線周りを回転する第2ギヤと、第2ギヤとともに第2軸線周りを回転する第3ギヤと、第3ギヤと噛み合い第3軸線周りを回転する第4ギヤと、を有し、パーキング機構は、第1ギヤとともに第1軸線周りを回転するパーキングギヤと、噛合部を有し第4軸線周りに回転可能なパーキングポールと、を有する。パーキングギヤは、径方向から見て第3ギヤに重なり、軸方向から見て第2ギヤに重なるように配置した。【選択図】図2

Description

本発明は、駆動装置に関する。
車両を駆動する駆動装置には、パーキング機構が搭載される。特許文献1には、パーキングロッドでカムを移動させることにより、パーキングポールをパーキングギヤ側に押し出し、パーキングギヤとパーキングポールとをロックさせるパーキング機構が開示されている。
特開2019-158078号公報
近年、駆動装置のさらなる小型化が進んでいる。そこで、パーキング機構の配置を工夫することで、駆動装置を小型化することが考えられる。
本発明は、上記事情に鑑みて、パーキング機構を駆動装置の内部で効率的に配置することで全体として小型化できる駆動装置の提供を目的の一つとする。
本発明の駆動装置の一つの態様は、第1軸線を中心として回転する動力部と、前記動力部の動力を伝達する伝達機構と、前記伝達機構に設けられるパーキング機構と、を備える。前記伝達機構は、前記第1軸線周りを回転する第1ギヤと、前記第1ギヤと噛み合い前記第1軸線と平行な第2軸線周りを回転する第2ギヤと、前記第2ギヤとともに前記第2軸線周りを回転する第3ギヤと、前記第3ギヤと噛み合い前記第1軸線と平行な第3軸線周りを回転する第4ギヤと、を有する。前記パーキング機構は、前記第1ギヤとともに前記第1軸線周りを回転するパーキングギヤと、噛合部を有し前記第1軸線と平行な第4軸線周りに回転可能なパーキングポールと、前記パーキングポールを前記第4軸線周りに回転移動させ、前記噛合部を前記パーキングギヤに噛み合わせるロック状態と、前記噛合部を前記パーキングギヤから離間させるアンロック状態と、の間で動作させる駆動部と、を有する。前記パーキングギヤは、径方向から見て前記第3ギヤに重なり、軸方向から見て前記第2ギヤに重なる。
本発明の一つの態様によれば、パーキング機構を駆動装置の内部で効率的に配置することで全体として小型化できる駆動装置を提供できる。
図1は、一実施形態の駆動装置を模式的に示す概念図である。 図2は、一実施形態のギヤ部およびパーキング機構の正面図である。 図3は、一実施形態のパーキング機構の斜視図であり、アンロック状態を示す。 図4は、一実施形態のパーキング機構の斜視図であり、ロック状態を示す。 図5は、一実施形態の駆動部のカムロッドの長さ方向に沿う断面図であり、アンロック状態を示す。 図6は、一実施形態の駆動部のカムロッドの長さ方向に沿う断面図であり、ロック状態を示す。
以下の説明では、本実施形態の駆動装置1が水平な路面上に位置する図示しない車両に搭載された場合の位置関係を基に、鉛直方向を規定して説明する。また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。
各図において、Z軸方向は、鉛直方向である。+Z側は、鉛直方向上側であり、-Z側は、鉛直方向下側である。本実施形態では、鉛直方向上側を単に「上側」と呼び、鉛直方向下側を単に「下側」と呼ぶ。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であって、駆動装置1が搭載される車両前後方向である。本実施形態において、+X側は、車両の前側であり、-X側は、車両の後側である。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向であって、車両の左右方向、すなわち車幅方向である。本実施形態において、+Y側は、車両の左側であり、-Y側は、車両の右側である。Y軸方向は、後述する第1軸線J1の軸方向に相当する。車両前後方向および左右方向は、鉛直方向と直交する水平方向である。本実施形態において、+Y側は、軸方向一方側に相当し、-Y側は、軸方向他方側に相当する。各図に適宜示す第1軸線J1は、Y軸方向、すなわち車両の左右方向に延びる。
図1は、駆動装置1を模式的に示す概念図である。本実施形態の駆動装置1は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)等、モータを動力源とする車両に搭載され、その動力源として使用される。
駆動装置1は、モータ(動力部)2と、減速装置4および差動装置5を含むギヤ部(伝達機構)3と、パーキング機構8と、ハウジング6と、オイルOと、を備える。モータ2は、車両を駆動する。ギヤ部3は、モータ2に接続される。パーキング機構8は、ギヤ部3に取り付けられる。
ハウジング6は、モータ2を収容するモータ収容部61と、ギヤ部3およびパーキング機構8を収容するギヤ収容部62と、モータ収容部61とギヤ収容部62との間に設けられる隔壁61cと、を有する。
ギヤ収容部62内には、オイルOが貯留される。オイルOは、ギヤ部3によってかき上げられてギヤ部3の歯面の潤滑性を高める。また、オイルOは、モータ2に供給されてもよい。この場合、オイルOは、モータを冷却する。
ギヤ収容部62の内壁部には、ギヤ部3によってかき上げられたオイルを受け止めるキャッチタンク(図示略)が設けられていてもよい。この場合、キャッチタンクには、受け止めたオイルをハウジング6内の各部に案内するための流路が繋がる。キャッチタンクは、重力方向の上側に向かって開口する。このため、キャッチタンクの開口方向によって、駆動装置1の使用時の重力方向に対する姿勢が確認できる。
モータ収容部61には、ブリーザ装置69が設けられる。すなわち、ハウジング6は、ブリーザ装置69を有する。ブリーザ装置69は、ハウジング6の内外を連通させる。ブリーザ装置69は、重力方向の上側に設けられる。これにより、オイルOが、ブリーザ装置69から漏出することを抑制できる。ブリーザ装置69の配置によって、駆動装置1の使用時の重力方向に対する姿勢が確認できる。
モータ2は、水平面に沿って延びる第1軸線J1を中心として回転する。モータ2は、ロータ2aと、ステータ2cと、を備える。本実施形態においてモータ2は、インナーロータ型のモータである。したがって、ステータ2cは、ロータ2aの径方向外側を囲む。ロータ2aは、水平方向に延びる第1軸線J1を中心として回転する。ロータ2aは、第1軸線J1を中心として軸方向に沿って延びるモータシャフト2bを有する。
モータシャフト2bは、第1軸線J1を中心として回転する。モータシャフト2bは、ハウジング6のモータ収容部61とギヤ収容部62とに跨って延びる。モータシャフト2bの左側の端部は、ギヤ収容部62の内部に突出する。モータシャフト2bの左側の端部には、ギヤ部3の第1ギヤ41が固定される。
ギヤ部3は、ハウジング6のギヤ収容部62に収容される。ギヤ部3は、モータ2に接続される。より詳細には、ギヤ部3は、モータシャフト2bの軸方向一方側で接続される。ギヤ部3は、モータ2の動力を伝達する。ギヤ部3は、減速装置4と、差動装置5と、を有する。
減速装置4は、モータ2に接続される。減速装置4は、モータ2の回転速度を減じて、モータ2から出力されるトルクを減速比に応じて増大させる。減速装置4は、モータ2から出力されるトルクを差動装置5へ伝達する。減速装置4は、第1ギヤ41と、第2ギヤ42と、第3ギヤ43と、中間シャフト45と、を有する。すなわち、ギヤ部3は、第1ギヤ41、第2ギヤ42、第3ギヤ43、および中間シャフト45を有する。
第1ギヤ41は、モータシャフト2bの左側の端部に固定される。第1ギヤ41は、モータシャフト2bとともに、第1軸線J1周りを回転する。中間シャフト45は、第1軸線J1と平行な第2軸線J2に沿って延びる。中間シャフト45は、第2軸線J2を中心として回転する。第2ギヤ42および第3ギヤ43は、中間シャフト45の外周面に、軸方向に互いに間隔をあけて固定される。第2ギヤ42と第3ギヤ43とは、中間シャフト45を介して互いに接続される。第2ギヤ42は、第1ギヤ41に噛み合う。第2ギヤ42は、第2軸線J2周りを回転する。第3ギヤ43は、第2ギヤ42とともに第2軸線J2周りを回転する。第3ギヤ43は、差動装置5のリングギヤ(第4ギヤ)51と噛み合う。
モータ2から出力されるトルクは、モータシャフト2b、第1ギヤ41、第2ギヤ42、中間シャフト45および第3ギヤ43をこの順に介して差動装置5のリングギヤ51へ伝達される。減速装置4の各ギヤのギヤ比およびギヤの個数等は、必要とされる減速比に応じて適宜変更可能である。本実施形態において減速装置4は、各ギヤの軸芯が平行に配置される平行軸歯車タイプの減速機である。
差動装置5は、減速装置4を介してモータ2に接続される。差動装置5は、モータ2から出力されるトルクを車両の車輪に伝達するための装置である。差動装置5は、車両の旋回時に、左右の車輪の速度差を吸収しつつ、左右両輪の車軸55に同トルクを伝える。差動装置5は、リングギヤ51と、図示しないギヤハウジングと、図示しない一対のピニオンギヤと、図示しないピニオンシャフトと、図示しない一対のサイドギヤと、を有する。すなわち、ギヤ部3は、リングギヤ51を有する。リングギヤ51は、第3ギヤ43と噛み合い第1軸線J1と平行な第3軸線J3周りを回転する。
なお、車軸55は、車両の進行方向に対して直交する方向(すなわち、車両の幅方向)に沿って延びる。したがって、車軸55の延びる方向によって、駆動装置1が搭載された状態における車両の進行方向が推定される。
パーキング機構8は、ギヤ部3に設けられ、ギヤ部3の駆動を制限する。パーキング機構8は、電動アクチュエータ9によって駆動される。パーキング機構8の状態は、動力源である電動アクチュエータ9によって、モータシャフト2bの回転が阻止されるロック状態と、モータシャフト2bの回転が許容されるアンロック状態と、の間で切り替えられる。パーキング機構8は、車両のギヤがパーキングである場合に、ロック状態となり、車両のギヤがパーキング以外である場合に、アンロック状態となる。車両のギヤがパーキング以外である場合とは、例えば、車両のギヤがドライブ、ニュートラル、リバースなどである場合を含む。
図2は、ギヤ部3およびパーキング機構8の正面図である。図3および図4は、パーキング機構8の斜視図であり、図3はアンロック状態を示し、図4はロック状態を示す。
図3および図4に示すように、パーキング機構8は、パーキングギヤ10と、ポールシャフト29と、パーキングポール20と、駆動部8aと、を有する。また、駆動部8aは、カムロッド30と、カム35と、コイルバネ39と、スリーブ80と、マニュアルシャフト90と、フランジ部91と、弾性部材95と、電動アクチュエータ9と、を有する。
図1に示すように、パーキングギヤ10は、モータシャフト2bの外周面に固定される。パーキングギヤ10は、軸方向において、第1ギヤ41と隔壁61cとの間に配置される。
図3および図4に示すように、本実施形態のパーキングギヤ10は、第1軸線J1を中心とする円環状であり、モータシャフト2bの外周面に嵌合される。パーキングギヤ10は、モータシャフト2bとともに回転する。すなわち、パーキングギヤ10は、車両の車輪と連動して第1ギヤ41とともに第1軸線J1周りを回転する。パーキングギヤ10の外周には、周方向に沿って並ぶ複数の歯部11が設けられる。歯部11は、第1軸線J1の径方向外側に突出する。
ポールシャフト29は、第1軸線J1と平行な第4軸線J4に沿って延びる。すなわち、ポールシャフト29は、モータシャフト2bと平行なシャフトである。ポールシャフト29は、パーキングポール20を回転可能に支持する。
ポールシャフト29には巻きバネ29aが装着される。巻きバネ29aは、コイル状のバネ本体とバネ本体の両端部から延び出るバネ端部とを有する。巻きバネ29aのバネ端部には、ポールシャフト29が挿入される。巻きバネ29aの一方のバネ端部は、ハウジング6の内側面に設けられるバネ掛け部(図示略)に掛けられる。また、巻きバネ29aの他方のバネ端部は、パーキングポール20に設けられるバネ掛け孔20hに掛けられる。巻きバネ29aは、パーキングポール20に対して、先端をスリーブ80側に退避させる方向の弾性力を加える。
図2に示すように、パーキングポール20は、パーキングギヤ10の側部に配置される。パーキングポール20は、第1軸線J1の軸方向を厚さ方向とする板状である。パーキングポール20は、基端部22と、基端部22から斜め下側に延びるパーキングポール本体部21と、カム接触部(作用部)23と、噛合部25と、を有する。
パーキングポール本体部21は、第1軸線J1の軸方向から見て、パーキングギヤ10とスリーブ80との間に配置される。パーキングポール本体部21は、パーキングギヤ10側を向くギヤ対向面21aと、スリーブ80側を向くスリーブ対向面21bと、を有する。本実施形態において、噛合部25はギヤ対向面21aに位置し、カム接触部23は、スリーブ対向面21bに位置する。カム接触部23は、パーキングポール20の先端部に位置する。噛合部25は、パーキングポール20の長さ方向において、基端部22とカム接触部23との間に位置する。
図3および図4に示すように、パーキングポール20の基端部22には、第4軸線J4を中心とする支持孔22hが設けられる。支持孔22hには、ポールシャフト29が挿入される。これにより、パーキングポール20は、基端部22においてポールシャフト29に支持され、ポールシャフト29により第4軸線J4周りに回転可能となる。すなわち、パーキングポール20は、第4軸線J4周りに回転可能である。
噛合部25は、パーキングポール本体部21のギヤ対向面21aからパーキングギヤ10側に突出する。噛合部25は、パーキングギヤ10の歯部11に対向する。パーキングポール20が、ポールシャフト29回りを回転することで、噛合部25は、パーキングギヤ10に対して近接および離間する方向に移動する。
パーキングポール20は、噛合部25をパーキングギヤ10に噛み合わせるロック状態と、噛合部25をパーキングギヤ10から離間させるアンロック状態と、の間で動作する。図4に示すロック状態のパーキング機構8において、噛合部25は、パーキングギヤ10の歯部11同士の間に嵌る。すなわち、ロック状態で、噛合部25は、パーキングギヤ10の歯部11に噛み合う。図3に示すアンロック状態のパーキング機構8において、噛合部25は、歯部11の間から第1軸線J1の径方向外側に退避する。
図3および図4に示すように、カム接触部23は、パーキングポール本体部21のスリーブ対向面21bに配置される。カム接触部23は、スリーブ80の切欠部83の内側に位置する。カム接触部23は、駆動部8aから力を受ける作用部として機能する。パーキングポール20は、カム接触部23において駆動部8aから力を受けて第4軸線J4周りを回転する。
図5および図6は、ロッド本体30cの長さ方向に沿う駆動部8aおよびカム接触部23の断面図であり、図4はアンロック状態を示し、図5はロック状態を示す。
カム接触部23は、カム35の外周面と対向する。カム接触部23は、図4に示すアンロック状態においてカム35の外周面と離間し、図5に示すロック状態においてカム35の外周面と接触する。カム接触部23は、アンロック状態からロック状態への移行に伴い、カム35の動作に合わせて上側に移動する。パーキングポール20は、カム接触部23の上下方向の移動に伴い第4軸線J4周りを回転する。
本実施形態のパーキングポール20を第1軸線J1の軸方向から見て、噛合部25は、第4軸線J4とカム接触部23との間に位置する。したがって、カム接触部23と第4軸線J4との距離は、噛合部25と第4軸線J4との距離より大きい。本実施形態によれば、カム接触部23においてカム35から付与される力より、噛合部25を歯部11の間に挿入させる力を大きくすることができる。すなわち、本実施形態によれば、てこの原理を利用して、噛合部25をスムーズに歯部11の間に挿入できる。
図2に示すように、マニュアルシャフト90は、第5軸線J5に沿って延びる。第5軸線J5は、車両前後方向(X軸方向)に延びる軸線である。したがって、マニュアルシャフト90は、モータシャフト2bおよびポールシャフト29と直交する方向に延びる。
マニュアルシャフト90は、ハウジング6の内外に延びる。マニュアルシャフト90は、ハウジング6の内部でフランジ部91を介してカムロッド30に接続される。マニュアルシャフト90は、ハウジング6の外部で電動アクチュエータ9に接続される。マニュアルシャフト90は、電動アクチュエータ9の動力によって第5軸線J5周りを回転する。
図3および図4に示すように、フランジ部91は、マニュアルシャフト90の外周面に固定される。フランジ部91は、第5軸線J5の径方向外側に延びる。フランジ部91は、第5軸線J5と直交する板状である。フランジ部91は、マニュアルシャフト90とともに第5軸線J5周りに回転する。
フランジ部91は、第5軸線J5の径方向外側を向く外縁部91cを有する。フランジ部91の外縁部91cには、第1溝部91aおよび第2溝部91bが設けられる。第1溝部91aおよび第2溝部91bは、第5軸線J5の周方向に沿って並ぶ。第1溝部91aおよび第2溝部91bは、第5軸線J5の径方向外側に開口する。
フランジ部91には、厚さ方向に貫通する連結孔91hが設けられる。連結孔91hには、カムロッド30の連結端部30aが通される。カムロッド30の連結端部30aは、連結孔91hを中心として回転可能である。
弾性部材95は、板バネ部96と、ローラ97と、を有する。板バネ部96は、板面が第1軸線J1の軸方向を向く板状である。板バネ部96は、上下方向に延びている。板バネ部96の下端部は、ネジ98によってハウジング6の内側面に固定されている。板バネ部96の上端部は、マニュアルシャフト90の側部に位置する。板バネ部96の上端部は、ネジ98で固定された板バネ部96の下端部を支点として、第1軸線J1の軸方向に弾性変位可能である。
板バネ部96は、基部96aと、一対の腕部96bと、を有する。基部96aは、例えば、板バネ部96の下側部分である。基部96aには、板バネ部96をハウジング6に固定するネジ98が挿入される貫通孔が設けられる。一対の腕部96bは、基部96aの上側の端部から上側に延びている。一対の腕部96bは、第5軸線J5の軸方向に間隔を空けて並んで配置されている。
ローラ97は、第5軸線J5の軸方向に延びる回転軸回りに回転可能である。ローラ97は、板バネ部96の上端部に取り付けられている。ローラ97は、一対の腕部96bの上端部同士を繋ぐ軸部と、軸部が通される回転部と、を有する。ローラ97は、回転部において板バネ部96に対して回転する。ローラ97は、フランジ部91の外縁部91cに接触する。ローラ97は、フランジ部91の第5軸線J5周りの回転に伴い、外縁部91cのうち第1溝部91aと第2溝部91bとの間を転がりながら移動する。
ローラ97は、第1溝部91aおよび第2溝部91bに嵌ることが可能である。これにより、弾性部材95は、第1溝部91a又は第2溝部91bに対して引っ掛かり、フランジ部91を第5軸線J5周りに位置決めする。
図3に示すように、ローラ97は、アンロック状態のパーキング機構8において第2溝部91bに嵌る。図4に示すように、ローラ97は、ロック状態のパーキング機構8において第1溝部91aに嵌る。また、ロック状態とアンロック状態との間でパーキング機構8の状態が切り替わる際に、板バネ部96が弾性変形しながら、ローラ97が第1溝部91aと第2溝部91bとの間で移動する。
カムロッド30は、連結端部30aと、中継部30bと、ロッド本体30cと、を有する。カムロッド30において、連結端部30aと中継部30bとの間には第1折曲部31が設けられ、中継部30bとロッド本体30cとの間には第2折曲部32が設けられる。カムロッド30は、第1折曲部31および第2折曲部32において折り曲げられた断面円形の棒状である。
連結端部30aは、第5軸線J5の軸方向に沿って延びる。連結端部30aは、フランジ部91の連結孔91hに挿入される。連結端部30aの外周には、連結端部30aの連結孔91hからの離脱を抑制する突起が設けられる。カムロッド30は、連結端部30aにおいて、フランジ部91を介し、マニュアルシャフト90に連結される。上述したように、マニュアルシャフト90は、電動アクチュエータ9に接続されて第5軸線J5周りに回転する。カムロッド30は、マニュアルシャフト90によって第1軸線J1の軸方向に沿って駆動する。
ロッド本体30cは、第1軸線J1の軸方向に沿って延びる。ロッド本体30cは、連結端部30aと直交する方向に延びる。また、ロッド本体30cは、マニュアルシャフト90の軸方向(第5軸線J5の軸方向)と直交する方向に延びる。ロッド本体30cは、スリーブ80の内部を通過する。ロッド本体30cは、スリーブ80によってガイドされる。また、カムロッド30は、フランジ部91の第5軸線J5に沿う回転に伴い第1軸線J1の軸方向に沿って動作する。
中継部30bは、上下方向に沿って延びる。中継部30bの上端は連結端部30aに接続される。また、中継部30bの下端はロッド本体30cに接続される。中継部30bは、連結端部30aとロッド本体30cとを繋ぐ。
図2に示すように、中継部30bは、第1軸線J1の軸方向から見て第1軸線J1側に向かって延びる。中継部30bは、連結端部30aとロッド本体30cの上下方向の相対的な位置をずらすために設けられる。中継部30bを第1軸線J1側に向かって延びるように配置することで、連結端部30aをロッド本体30cに対し第1軸線J1側に近づけて配置できる。このため、ロッド本体30cに支持されるカム35を最適な位置に配置しつつ、連結端部30aに接続されるフランジ部91、マニュアルシャフト90および電動アクチュエータなどを第1軸線J1側に近づけて配置できる。これにより、パーキング機構8の各部を第1軸線J1の周りに密集して配置することができ、駆動装置1内におけるパーキング機構8の配置スペースを小さくすることができる。
図3および図4に示すように、ロッド本体30cには、コイルバネ39とカム35とが通される。すなわち、ロッド本体30cは、コイルバネ39およびカム35を支持する。ロッド本体30cにおいて、中継部30bに接続される端部を基端とし、基端の反対側の端部を先端とする。コイルバネ39は、カム35に対してロッド本体30cの基端側に配置される。ロッド本体30cの基端の外周には、コイルバネの39の内径より大きい突起が設けられる。コイルバネ39は、自然長に対し圧縮された状態で突起とカム35の間に配置される。コイルバネ39は、カム35に対しロッド本体30cの先端側に向かう力を付与する。
図3に示すように、カム35は、ロッド本体30cを中心とする環状である。カム35の中央の貫通孔には、ロッド本体30cが挿通される。カム35の貫通孔の内径は、ロッド本体30cの外径より大きい。ロッド本体30cの先端には、抜け止めキャップ(図示略)が取り付けられる。抜け止めキャップは、カム35がロッド本体30cの先端から抜け落ちることを抑制する。カム35は、ロッド本体30cの基端側で、コイルバネ39と接触する。コイルバネ39は、カム35の基端側への移動に伴い圧縮される。カム35は、コイルバネ39の反発力より強い基端側に向かう力を受けた場合に、ロッド本体30cに対して基端側に移動する。
カム35は、外周面において、パーキングポール20のカム接触部23に接触する。カム35の外周面には、第1円錐面35aと第2円錐面35bとが設けられる。第1円錐面35aおよび第2円錐面35bは、同軸上に配置される。第1円錐面35aおよび第2円錐面35bは、それぞれ、ロッド本体30cの基端側から先端側に向かうに従い徐々に外径を小さくする円錐状のテーパ面である。第2円錐面35bは、第1円錐面35aに対して先端側に位置する。第1円錐面35aのテーパ角は、第2円錐面35bのテーパ角と比較して十分に小さい。第2円錐面35bのテーパ角は、ロック状態からアンロック状態への移行時に、スリーブ80とカム接触部23との間からカム35が円滑に離脱できる十分な角度とされる。なお、第1円錐面35aは、円錐状ではなく円柱状の円柱面であってもよい。
図5および図6に示すように、カム35は、カムロッド30に取り付けられ、カムロッド30とともにロッド本体30cの長さ方向に沿って移動する。また、カム35は、外周面においてパーキングポール20のカム接触部23に接触する。カム35は、カムロッド30の動作に伴い移動することでパーキングポール20を動作させる。
図5に示すように、アンロック状態のパーキング機構8において、カム35の第2円錐面35bは、パーキングポール20のカム接触部23と、隙間を介して対向する。また、図6に示すように、ロック状態のパーキング機構8において、カム35は、第1円錐面35aにおいてカム接触部23に接触する。ロック状態とアンロック状態との間でパーキング機構8の状態が切り替わる際に、カム35は、第2円錐面35bにおいてカム接触部23と接触しさらに摺動する。これにより、カム35は、カム接触部23を上側に移動させパーキングポール20を第4軸線J4周りに回転させる。
スリーブ80は、ロッド本体30cを囲む筒状である。スリーブ80には、内側面81の一部を径方向外側に開口させる切欠部83が設けられる。スリーブ80は、ハウジング6の内側面に固定される。スリーブ80は、ロッド本体30cおよびカム35の動作をガイドする。
図3に示すように、アンロック状態のパーキングポール20は、スリーブ対向面21bにおいてスリーブ80の切欠部83の縁部に接触する。パーキングポール20は、アンロック状態で、スリーブ80に接触してスリーブ80によって下側から支持される。スリーブ80は、アンロック状態のパーキング機構8において、パーキングポール20に接触し、パーキングポール20の回転移動の範囲を制限する。
次に本実施形態の駆動装置1の作用効果について説明する。
図1に示すように、本実施形態のパーキングギヤ10は、径方向から見て第3ギヤ43に重なる。パーキングギヤ10を径方向から見て第3ギヤ43に重ねて配置することで、パーキング機構8とギヤ部3とを、軸方向に重ねて配置できる。すなわち、パーキング機構8をギヤ部3の隙間に配置することができ、駆動装置1の内部空間を有効利用して駆動装置1の小型化を図ることができる。
また、本実施形態のパーキングギヤ10は、軸方向において、モータ2と第1ギヤ41との間に配置される。すなわち、パーキングギヤ10は、第1ギヤ41に対し隔壁61c側に配置される。このため、径方向から見てパーキングギヤ10に重なる第3ギヤ43およびリングギヤ51も、軸方向においてモータ2に近づけて配置される。ギヤ部3において最も直径が大きいギヤは、リングギヤ51である。リングギヤ51をモータ2に近づけて配置することで、ギヤ部3の収容空間であって軸方向から見てリングギヤ51と重なる領域を軸方向に小型化することができ、駆動装置1の小型化を図ることができる。
図2に示すように、本実施形態のパーキングギヤ10は、第1軸線J1の軸方向から見て第2ギヤ42に重なる。これにより、パーキング機構8の一部とギヤ部3の一部とを軸方向に重ねて配置することができる。本実施形態によれば、パーキングギヤ10の直径を大きくして、パーキング機構8によるギヤ部3の回転を制動する力を十分に確保しつつ、駆動装置1の軸方向への投影面積を小さくできる。
本実施形態において、ロック状態のパーキングポール20は、第1軸線J1の軸方向から見て、第2ギヤ42に重なる。このように、パーキングポール20を第2軸線J2に近づけて配置することで、パーキング機構8とギヤ部3の一部との軸方向の重なりを大きくすることができ、駆動装置1のさらなる小型化を図ることができる。なお、パーキングポール20が、アンロック状態においても、第2ギヤ42に重なる構成としてもよい。この場合には、駆動装置1のより一層の小型化を実現できる。
図2に示すように、第1軸線J1は、第2軸線J2より上側に配置される。また、第2軸線J2と第3軸線J3とは、同程度の高さに配置される。したがって、本実施形態の駆動装置1は、モータ2の回転中心(すなわち、第1軸線J1)は、他のギヤの回転中心より上側に配置される。本実施形態によれば、第2ギヤ42は、モータ2よりも下側に配置される。このため、第2ギヤ42は、リングギヤ51とともにハウジング6の内部の下部領域に溜まったオイルOをかき上げやすい。
パーキングポール20は、パーキングギヤ10の下側に配置される。パーキングポール20の噛合部25は、パーキングギヤ10に対して下側から噛み合う。本実施形態によれば、パーキングポール20をロック状態からアンロック状態に移行させる動作に、パーキングポール20の自重を利用できる。このため、パーキングポール20をアンロック側(スリーブ80側)に寄せる巻きバネ29aのバネ力を小さくすることができ、パーキング機構8の組み立て性を高めることができる。
本実施形態において、リングギヤ51にかき上げられたオイルOは、リングギヤ51の車両後方側(-X側)、第1ギヤ41、第2ギヤ42、および第3ギヤ43の上側を通過しギヤ部3の各部に供給される。本実施形態によれば、パーキングポール20が、パーキングギヤ10の下側に配置されため、上側に配置される場合と比較して、オイルOの飛散経路をパーキングポール20が阻害し難い。このため、リングギヤ51によってかき上げられたオイルOを、ギヤ部3の全体に行き渡らせることができる。
パーキングポール20は、第1軸線J1の軸方向から見て、斜め上方に傾いて配置される。図2に示すように軸方向から見て、パーキングポール20の回転中心である第4軸線J4とカム接触部23とを繋ぐ直線を第1仮想線VL1とする。また、軸方向から見て第1軸線J1と第2軸線J2とを繋ぐ直線を第2仮想線VL2とする。第1仮想線VL1および第2仮想線VL2は、上側に向かうに従い車両前方(+X側)に向かって傾斜する。第1仮想線VL1は、水平面に対して約55°で傾斜する。また、第2仮想線VL2は、水平面に対して約50°で傾斜する。
本実施形態によれば、第1軸線J1の軸方向から見て、第1仮想線VL1は、第2仮想線VL2に沿って延びる。したがって、パーキングポール20は、第3ギヤ43との干渉を避けつつ、パーキングギヤ10および第3ギヤ43に沿って配置される。本実施形態によれば、パーキングポール20がギヤ部3に沿って配置されることで、駆動装置1の軸方向への投影面積を小さくすることができ、駆動装置1の小型化を図ることができる。
本実施形態において、第1仮想線VL1の水平面(X-Y平面)に対する傾斜角度αは、45°以上であることが好ましい。傾斜角度αを45°以上とすることで、パーキングポール20を十分に長くしつつ、パーキング機構8の収容空間が車両前後方向(X軸方向)に大型化することを抑制できる。
本実施形態において、第1仮想線VL1の水平面(X-Y平面)に対する傾斜角度αは、60°以下であることが好ましい。傾斜角度αを60°以下とすることで、パーキングポール20の自重を利用して、パーキングポール20をスリーブ80側に回転移動させやすい。
以上に、本発明の様々な実施形態を説明したが、各実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
例えば、本実施形態の駆動装置1の動力部は、モータであったが、エンジンであってもよい。また、ギヤ部(伝達機構)の構造は、本実施形態での説明に限定されることがない。
1…駆動装置、2…モータ(動力部)、3…ギヤ部(伝達機構)、8…パーキング機構、8a…駆動部、10…パーキングギヤ、20…パーキングポール、23…カム接触部(作用部)、25…噛合部、30…カムロッド、30a…連結端部、30b…中継部、30c…ロッド本体、35…カム、41…第1ギヤ、42…第2ギヤ、43…第3ギヤ、51…リングギヤ(第4ギヤ)、90…マニュアルシャフト、J1…第1軸線、J2…第2軸線、J3…第3軸線、J4…第4軸線、J5…第5軸線、VL1…第1仮想線、VL2…第2仮想線、α…傾斜角度

Claims (8)

  1. 第1軸線を中心として回転する動力部と、
    前記動力部の動力を伝達する伝達機構と、
    前記伝達機構に設けられるパーキング機構と、を備え、
    前記伝達機構は、
    前記第1軸線周りを回転する第1ギヤと、
    前記第1ギヤと噛み合い前記第1軸線と平行な第2軸線周りを回転する第2ギヤと、
    前記第2ギヤとともに前記第2軸線周りを回転する第3ギヤと、
    前記第3ギヤと噛み合い前記第1軸線と平行な第3軸線周りを回転する第4ギヤと、を有し、
    前記パーキング機構は、
    前記第1ギヤとともに前記第1軸線周りを回転するパーキングギヤと、
    噛合部を有し前記第1軸線と平行な第4軸線周りに回転可能なパーキングポールと、
    前記パーキングポールを前記第4軸線周りに回転移動させ、前記噛合部を前記パーキングギヤに噛み合わせるロック状態と、前記噛合部を前記パーキングギヤから離間させるアンロック状態と、の間で動作させる駆動部と、を有し、
    前記パーキングギヤは、径方向から見て前記第3ギヤに重なり、軸方向から見て前記第2ギヤに重なる、
    駆動装置。
  2. 前記ロック状態の前記パーキングポールは、軸方向から見て、前記第2ギヤに重なる、
    請求項1に記載の駆動装置。
  3. 前記パーキングギヤは、軸方向において、前記動力部と前記第1ギヤとの間に配置される、
    請求項1又は2に記載の駆動装置。
  4. 前記第1軸線は、前記第2軸線より上側で水平面に沿って延び、
    前記パーキングポールは、前記駆動部から力を受ける作用部を有し、
    前記噛合部は、前記パーキングギヤに対して下側から噛み合い、
    軸方向から見て、前記第4軸線と前記作用部を繋ぐ第1仮想線は、前記第1軸線と前記第2軸線とを繋ぐ第2仮想線に沿って延びる、
    請求項1~3の何れか一項に記載の駆動装置。
  5. 前記第1仮想線の水平面に対する傾斜角度は、45°以上である、
    請求項4に記載の駆動装置。
  6. 前記第1仮想線の水平面に対する傾斜角度は、60°以下である、
    請求項4又は5に記載の駆動装置。
  7. 前記パーキングポールは、前記駆動部から力を受ける作用部を有し、
    前記噛合部は、軸方向から見て、前記第4軸線と前記作用部との間に位置する、
    請求項1~6の何れか一項に記載の駆動装置。
  8. 前記駆動部は、
    前記第1軸線と直交する第5軸線に沿って延び前記第5軸線周りに回転するマニュアルシャフトと、
    前記マニュアルシャフトに連結されるカムロッドと、
    前記カムロッドに取り付けられ前記パーキングポールに接触し、前記カムロッドの動作に伴い移動することで前記パーキングポールを動作させるカムと、を有し、
    前記カムロッドは、
    前記カムを支持するロッド本体と、
    前記マニュアルシャフトに連結される連結端部と、
    前記ロッド本体と前記連結端部とを繋ぐ中継部と、を有し、
    前記中継部は、軸方向から見て前記第1軸線側に向かって延びる、
    請求項1~7の何れか一項に記載の駆動装置。
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