JP2022088259A - 活物質粒子、正極、二次電池、及び、活物質粒子の製造方法 - Google Patents

活物質粒子、正極、二次電池、及び、活物質粒子の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2022088259A
JP2022088259A JP2020200601A JP2020200601A JP2022088259A JP 2022088259 A JP2022088259 A JP 2022088259A JP 2020200601 A JP2020200601 A JP 2020200601A JP 2020200601 A JP2020200601 A JP 2020200601A JP 2022088259 A JP2022088259 A JP 2022088259A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
active material
material particles
positive electrode
heating
heating step
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020200601A
Other languages
English (en)
Inventor
博一 宇佐美
Hiroichi Usami
健太 久保
Kenta Kubo
洋 谷内
Hiroshi Yanai
貴治 青谷
Takaharu Aotani
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2020200601A priority Critical patent/JP2022088259A/ja
Priority to PCT/JP2021/043088 priority patent/WO2022118721A1/ja
Publication of JP2022088259A publication Critical patent/JP2022088259A/ja
Priority to US18/325,557 priority patent/US20230307636A1/en
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)

Abstract

【課題】電池製造プロセスの低温化にも対応しかつ、高いイオン電導性を有する正極に適用される活物質粒子を提供する。【解決手段】コバルト酸リチウムを含む正極に適用され、2θ法によるX線回折角が19.2度以上19.7度以下において回折角ピークを呈する。【選択図】図1

Description

本発明は、活物質粒子、正極、二次電池、及び、活物質粒子の製造方法に関する。
一般に、二次電池は、電極(正極や負極)及び電解質で構成され、電極間で電解質を介したイオンの移動が生じることで、充電や放電を行う。このような二次電池は、携帯電話などの小型機器から電気自動車などの大型機器まで、幅広い用途で使用されている。そのため、二次電池の性能のさらなる向上が求められている。二次電池の充放電特性を高めるためには、一般的に電極中の活物質と電解質との界面を大きくすることが重要である。ここで、活物質とは、電気を生じさせる反応に関与する物質のことである。
充放電特性を高めるために、具体策として細かい突出部を有した活物質を固体二次電池の正極に採用する手法が知られている。特許文献1は、コバルトを含むメッキ層とリチウムを含む活物質原料とを接触させて加熱するフラックス法により、比表面積が1.1~2に増大したコバルト酸リチウムのパターンを集電体上に設ける技術を開示している。特許文献1は、突出部により形成された活物質同士の隙間により、正極内に活物質が侵入する活物質イオンの輸送経路を確保することが可能であると開示している。
特開2015-220080号公報
フラックス法を利用する特許文献1に記載の比表面積が増大した活物質層を得る方法は、集電体側の金属層に支持された単層構造をとため構造的な制約があり、二次電池のデザインと特性の向上が制約を受けていた。また、フラックス法を利用する特許文献1に記載の比表面積が増大した活物質層を得る方法は、メッキ層内の金属とLiを含む活物質との接触部を500~1000℃の温度範囲で加熱することが必要となる。
このため、二次電池を製造する工程において、二次電池を構成する含む他の要素の耐熱性が要求されたり、製造工程の高速化、低消費エネルギー化の観点で、フラックス法に代わる方法が期待されたりしていた。
本発明は、電池製造プロセスの低温化にも対応しかつ、高いイオン電導性を有する正極に適用される活物質粒子を提供することを目的とする。また、高い耐熱性を過度に要求しない活物質粒子を用いることで充放電特性の優れた二次電池を低温の製造プロセスで提供することを目的とする。
本発明の実施形態に係る活物質粒子は、コバルト酸リチウムを含む正極に適用される活物質粒子であって、2θ法によるX線回折角が19.2度以上19.7度以下において回折角ピークを呈することを特徴とする。
また、本発明の実施形態に係る活物質粒子は、コバルト酸リチウムを含む正極に適用される活物質粒子であって、結晶子のサイズが1nm以上50nm以下の領域を有することを特徴とする。
また、本発明の実施形態に係る活物質粒子の製造方法は、前記活物質粒子に含まれるコバルトの少なくとも一部を還元させる第1の加熱工程と、前記還元されたコバルトを酸化させる第2の加熱工程と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、電池製造プロセスの低温化にも対応しかつ、高いイオン電導性を有する正極に適用される活物質粒子を提供することが可能となる。また、本発明によれば、高い耐熱性を過度に要求しない活物質粒子を用いることで充放電特性の優れた二次電池を低温の製造プロセスで提供することが可能となる。
第1の実施形態に係る活物質粒子の概略断面図(a)と活物質粒子のX線回折プロファイル(b)、参考形態に係る活物質粒子の概略断面図(c)とX線回折プロファイル(d)である。 第1の実施形態に係る活物質粒子の外観を示すSEM像(a)と断面TEM像(b)と参考形態の活物質粒子の断面TEM像(c)である。 第1の実施形態に係る二次電池の概略断面図(a)、正極の概略断面図(b)、である。 第1の実施形態に係る二次電池の製造方法を示すフローチャートである。 第1の実施形態に係る活物質粒子の製造工程を示すフローチャート(a)、温度プロファイル(b)の例を示すものである。 第1の実施形態に係る活物質粒子の製造工程に対応する、推定される微粒子断面の構造の変化を示すものである。 第1の実施形態に係る樹脂(a)と積層体(b)の熱重量示差熱分析の結果と、熱重量分析に基づく熱分解温度を説明する図(c)である。 活物質粒子と樹脂の大気雰囲気下での加熱雰囲気の依存性(a)~(e)を調べた結果を示すSEM像である。 第1の実施形態に係る準備工程(a)、配置工程(b)と準備工程の変形例(c)、(d)を示す図である。 第2の実施形態に係る正極の製造方法を示すフローチャート(a)と概略断面図(b)と変形例のフローチャート(c)概略断面図(d)である。
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を用いて詳細に説明する。これらの実施形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対配置などは、この発明の範囲を限定する趣旨のものではない。
(第1の実施形態)
<活物質粒子の微視的な構造>
本発明者らの検討の結果、活物質粒子と電解質との間の活物質イオンの授受に係る障壁が高いことにより制限されていた二次電池の充放電と特性について、所定の電解質粒子を準安定系のコバルト酸リチウムとすることで改善する知見を得た。すわなち、本発明者等は、活物質イオンの伝導性を高めるためには、活物質粒子の結晶構造が安定系のコバルト酸リチウムと異なる準安定系のコバルト酸リチウムとすることが好ましいという知見を得た。
次に、本実施形態の準安定系のコバルト酸リチウムを含む第1の実施形態に係る活物質粒子22について、図1(a)を用いて説明する。また、活物質粒子22と対比するため、参考形態の安定系のコバルト酸リチウムを含む活物質粒子21について、図1(c)を用いて説明する。図1は、第1の実施形態に係る活物質粒子22の概略断面図(a)とX線回折プロファイル(b)、および、参考形態に係る活物質粒子21の概略断面図(c)とX線回折プロファイル(d)を示すものである。
活物質粒子22は、図1(a)に示すように、粒子部22bと、粒子部22bの外表面において複数方向に放射状に突出する突出部22pと、を有している。また、活物質粒子22は、図1(a)に示すように、粒子部22bの内部が、コア部22cと、複数の層状間隙20g、複数のシェル部22s、放射状間隙20r、を有するコアシェルライクな、不連続なテクスチャを呈している。粒子部22bは、粒子の内部と外部の双方において比表面積が増大し多孔質化されている点で、安定系のコバルト酸リチウムを含む活物質粒子21が図1(c)に示すようにプレーンな断面構造を呈する点において相違する。安定系のコバルト酸リチウムを含む活物質粒子21は、後述する第1と第2の加熱工程を経ておらず、粒子断面は、均質で連続なテクスチャを呈していると換言される。
<活物質粒子の結晶構造>
図1(b)は、図1(a)に示す複数の活物質粒子22を採集して作成した粉体試料をX線回折法(以降、XRD法と称する場合がある)で測定した2θ法の回折角プロファイルである。かかる粉体状試料は、後述する図3(b)に示す正極30を分解して作成することができる。得られたX線回折角プロファイルからは、図1(b)に示すように、X線回折角が18度から20度において、18.9度以上19.1度以下と19.2度以上19.7度以下に回折角ピークを少なくとも2つ呈する双峰型のXRDプロファイルを呈している。一方で、安定系のコバルト酸リチウムは、18.9度から19.1度に回折角ピークを1つ有する単峰型のXRDプロファイルを呈することが知られている。
回折角18.9度以上19.1度以下に認められる活物質粒子22の低角側の回折角ピークは、詳細には18.99度と19.03度の回折角ピークが重なったものだが、簡単のために最も強度の高い19.03度を低角側の回折角ピークとして代表させている。活物質粒子22の19.03度の回折角ピークに対応する半値幅は、0.28度であった。また、回折角19.2度以上19.7度以下に認められる活物質粒子22の高角側の回折角ピークは、複数の回折角ピークが重なったものであるが、簡単のために最も強度の高い19.25度を高角側の回折角ピークとして代表させている。活物質粒子22の高角側の回折角ピークは、詳細には19.17度、19.21度、19.25度、19.29度の複数の回折角ピークが重なったものである。活物質粒子22の19.25度の回折角ピークに対応する半値幅は、0.26度であった。活物質粒子22の回折角ピーク19.03度と19.25度に対応する結晶構造の結晶子サイズφgcは、一般式(1)のシュラーの式より、それぞれ、28.8nmと31.0nmであった。
シェラーの式:τ=Kλ/(βcosθ) 式(1)
なお、式(1)における各パラメータは、τ:結晶子のサイズ、K:形状因子(0.9)、λ:X線波長、β:回折角ピークの半値幅、θ:ブラッグ角である。
参考形態として、商材として販売されているコバルト酸リチウムの回折角2θが18-20度付近を含むXRDプロファイルを図1(d)に示す。参考形態に係る安定系のLCOを含む活物質粒子21は、後述する第1の加熱工程、第2の加熱工程を経ていないバージンの商材(日本化学工業株式会社製、登録商標セルシード CELLSEED)である。安定系のLCOを含む活物質粒子21は、シングルのピークが19度よりやや低角側の18.95度にピークを有していることが読み取れる。活物質粒子21の回折角ピーク18.95度度に対応する結晶構造の結晶子サイズφgcは、以下の式(1)のシュラーの式より、89.6nmであった。なお、X線回折角が18度から20度における回折角2θ=19°付近に認められる回折角ピークは、コバルト酸リチウムの結晶の(003)面に対応する。
本実施形態の活物質粒子22は、安定系のコバルト酸リチウムを含む活物質粒子21には認められない、19.2度以上19.7度以下において、固有のブロードな高角側回折角ピークを有している。本実施形態の活物質粒子22は、2θ法によるX線回折角が19.2度以上19.7度以下において複数の回折角ピークを呈すると換言される。また、本実施形態の活物質粒子22は、2θ法によるX線回折角が19.2度以上19.7度以下の高角側の回折角ピークと、18.9度以上19.1度以下の低角側の回折角ピークと、を有していると換言される。
本実施形態の活物質粒子22は、安定系のコバルト酸リチウムに比べて高角側にスプリットした複数の固有のピーク(19.17度、19.21度、19.25度、19.29度)を有する。かかる複数の回折角ピークからは、活物質粒子22は、格子間隔、結晶子サイズに分布を有する複数の結晶構造を有していると読み取られる。また、かかる複数の回折角ピークからは、活物質粒子22は、安定系の活物質粒子21に比べて、格子間隔、結晶子サイズがともに小さい複数の結晶構造を有していることが読み取られる。活物質粒子22において、安定系の活物質粒子21に比べて、格子間隔、結晶子サイズがともに小さい複数の結晶構造が、活物質粒子22に混在していると換言される。
従って、本実施形態の正極30に含まれる活物質粒子22の結晶子サイズは、安定系の活物質粒子21に比べて微細化されていることが判る。活物質粒子22は、回折角19.2度以上19.7度以下の回折角ピークの分布を考慮すると、結晶子サイズが10nm以上50nm以下と異なる複数の結晶子を有していると考えられる。
次に、本実施形態の活物質粒子22の結晶構造の格子定数について説明する。回折角ピークの角度2θと、以下の式(2)のブラッグの式とを用いて、活物質粒子22の19.03度と19.25度の回折角ピークにおける格子定数cを取得した。活物質粒子22の19.03度と19.25度の回折角ピークにおける格子定数cは、それぞれ、1.40nm、1.38nmであった。
一方、安定系のコバルト酸リチウムを含む活物質粒子21の18.95度の回折角ピークに対応する格子定数cは、1.40nmであった。従って、本実施形態の活物質粒子22の格子面の面間隔は、安定系の活物質粒子21の格子面の面間隔より僅かに狭い部分を有していることが見て取れる。
ブラッグの式:c=λ(h+k+l)/(4sinθ) 式(2)
なお、式(2)において、θ:ブラッグ角、λ:X線波長、h、k、l(整数)は、ミラー指数である。
次に、図2(a)(b)に示す顕微鏡像を用いて、本実施形態の正極30に含まれる活物質粒子22の微視的な構造について説明する。
図2(a)、(b)、(c)は、それぞれ、第1の実施形態に係る活物質粒子の外観を示すSEM像(a)と断面TEM像(b)と参考形態の活物質粒子の断面TEM像(c)である。
図2(a)(b)の活物質粒子22は、図1(a)(b)の活物質粒子22に対応している。本実施形態に係る活物質粒子22は、図2(a)(b)に示すように、粒子部22bと、粒子部22bの外表面において複数方向に放射状に突出する突出部22pと、を有している。図2(a)における下側に見える活物質粒子22は、後述する方法で生成した活物質粒子22の焼結体からSEM用の試料を作製する課程で、図中の活物質粒子22の右側の一部の突起部22pが脱落し、粒子部22bの表面が露出したものと考えられる。
また、活物質粒子22は、図2(b)に示すように、粒子部22bの内部において、コア部22cと、複数の層状間隙20g、複数のシェル部22s、放射状間隙20r、を有するコアシェルライクな、不連続なテクスチャを呈している。活物質粒子22、粒子の内部と外部の双方において比表面積が増大し多孔質化されている点で、図2(c)に示すプレーンな断面構造を有する安定系のコバルト酸リチウムを含む活物質粒子21と相違する。
なお、図2(a)のSEM像は、加速電圧6kV、倍率12k倍で取得した反射電子像であり、図2(b)の断面TEM像は、100~150μmの範囲のスライス厚の試料を、加速電圧300kVで取得した。
本実施形態に係る活物質粒子22は、比表面積が増大した表面を有し複数方向に突出した突出部22pを有するため、活物質粒子22と電解質との接触確率が増大し、活物質粒子22と電解質との間の活物質イオンの授受がなされやすくなると考えられる。
また、本実施形態の活物質粒子22の断面TEM像を格子像(不図示)として取得した。かかる断面TEMによる格子像は、100~150μmの範囲のスライス厚の試料を、加速電圧200kVまたは300kVで撮影して取得した。スライス試料は、FIB加工が可能な、イオンミリング装置(ライカ製)を用いて作製した。取得した断面TEM像からは、図2(a)のSEM像のように、粒子部から複数の突出部が突出している態様が見て取れた。さらに、突出部の結晶構造のc軸配向に対応する縞模様が観察された。観察された縞模様は、突出部が突出する軸方向に対してc軸がそれぞれ所定の角度だけ傾いている複数の結晶子が分布していることが読み取れた。かかる複数の結晶子のサイズは、1nm以上20nm以下の範囲で分散していた。結晶子のサイズは、突出部の固有の方向に配列する縞模様のパターンの領域を特定し、境界域を円形にフィッティングしたときの直径として同定した。結晶子は、単結晶ドメインと換言する場合がある。
一方、後述する第1の加熱工程、第2の加熱工程を経ていないバージンの商材である活物質粒子21の断面TEMの格子像から得られた結晶子のサイズは、90nmと、活物質粒子22と比較し大きかった。以上のように、本実施形態の活物質粒子22と参考形態の安定系の活物質粒子21との結晶性に関して、X線回折法の結果と断面TEM法の格子像の結果は整合する結果が得られた。X線回折法の結果と断面TEM法の格子像の結果は、いずれも、活物資粒子22が活物質粒子21より結晶子サイズが微細化されていることを示していた。また、X線回折法の結果と断面TEM法の格子像の結果は、いずれも、活物資粒子22が活物質粒子21より結晶子サイズにばらつきがあることを示していた。本実施形態の活物質粒子22は、準安定の状態にある準安定系のコバルト酸リチウムであると推定される。
活物質粒子中のLiイオンの拡散係数は、コバルト酸リチウムの結晶子の小ささ、結晶子の配向の分布、活物質粒子の有効反応面積に対応する比表面積、に依存すると考えられる。
図1(a)、図2(b)(c)のように、放射状の突出部22pを有し多孔質化された活物質粒子22は、活物質粒子22の周囲の要素と間でLiイオンを授受する有効反応面積が大きく効率的に授受する効果が得られると考えられる。一方、安定系の活物質粒子21は、図8(a)のように滑らかな表面を有しており、活物質粒子22と比べると、周囲の要素と間でLiイオンを授受する有効反応面積が大きくなく、効率的に授受する効果が得られないと推定される。本実施形態の活物質粒子22は、このような固有のモフォロジー的な特徴を有することで、活物質粒子の高い輸送性(易動度)を発現するものと考えられる。
また、図1(b)のX線回折プロファイルが示すように、活物質粒子22は、安定系の活物質粒子21に比べて、高角側にシフトしたブロードな回折角ピークを呈し、結晶子サイズが微細化され、分散した配向を有する。活物質粒子の内部において、Liイオンは、結晶子に沿って輸送されると考えられる、また、活物質粒子の内部において、Liイオンの拡散長は、結晶子サイズが小さいほど大きくなることが知られている。従って。本実施形態の活物質粒子22は、周辺の要素との間で授受するLiイオンを、活物質粒子内部で効率的に中心部に輸送する効果が、安定系の活物質粒子21に比べて高いものと考えられる。すなわち、本実施形態の活物質粒子22は、正極30、正極活物質層20を構成する前の原料の段階において、イオン伝導性が担保された正極活物質であると換言される。
従って、本実施形態の活物質粒子22を、図3(a)に示す正極30に適用することにより、充放電特性が改善された二次電池100(図3(b))が提供されものと考えられる。
<二次電池、正極の構造>
第1の実施形態に係る活物質粒子22を有する正極30ならびに二次電池100について図3(a)(b)の各図を用いて説明する。
図3(a)は、本実施形態の活物質粒子22が適用される正極30を備える二次電池100の概略断面図である。二次電池100は、正極活物質層20と接する正極集電体層10の側とは反対側の面において、電解質層40を備えている。二次電池100は、電解質層40が正極活物質層20と接している側とは反対側において、負極70を備えている。負極70は、電解質層40の正極活物質層20と接している面とは反対面において負極活物質層50を備えている。負極70は、負極活物質層50が電解質層40と接している面とは反対面において、負極集電体層60を備えている。二次電池100は、積層方向200において、負極70、電解質層40、正極30を備えていると換言される。
本実施形態の活物質粒子22が適用される正極30は、図3(b)に示す通り、正極集電体層10と、活物質粒子22と正極内電解質24を含む正極活物質層20と、を有している。本願明細書においては、電解質層40と活物質イオンの授受が行われる構造を正極と称するため、図1(a)の正極30から正極集電体層10を除いた正極活物質層20を、正極20と称する場合がある。また、本実施形態の正極活物質層20は、正極内電解質24を含むため、複合正極活物質層20と換言される場合がある。
集電体層10は、不図示の外部回路、活物質層との間で電子伝導を行う導体である。集電体層10は、SUS、アルミ二ウム等の金属の自立膜、金属箔、樹脂ベースとの積層形態が採用される。
正極活物質層20は、サブレイヤーとして正極活物質層20a、20b、20cを備えている。正極活物質層20a、20b、20cは、活物質粒子22、正極内電解質24が焼結される前の層厚方向200における積層する単位で区別されている。正極活物質層20a、20b、20cは、活物質粒子22と正極内電解質24の体積分率、不図示の導電助剤、空隙率(ポロシティ)等において、層厚方向の分布を有する場合がある。層厚方向200は、各層を積層する積層方向と平行か、逆平行であるため、積層方向200と換言する場合がある。
(負極)
負極の製造方法は、公知の手法が適用可能である。本願の第4の実施形態の変形例のように、負極の作成に第1の実施形態の正極30の製造方法を準用してもよい。正極30と同様に負極活物質を含む粒子で成形されてもよいし、金属LiやIn-Li等の金属を膜として成形してもよい。
[電解質]
電解質層40に適応可能な電解質としては、固体電解質、液体電解質などが挙げられる。固体電解質を用いる固体電池の場合は、電解質を正極と同様の製造方法で作製されても構わないし、既知の方法で作製されてもよい。既知の方法としては、負極と同様に塗工プロセス、粉体加圧プロセスや真空プロセス等が挙げられるが、特に限定されない。また、電解質は単独で作製されても構わないし、正極や負極との二者の積層体、または正極と負極との三者の積層体として一括で作製されても構わない。なお、電極とは異なる製造方法で作製される液体電解質やポリマー電解質を用いる場合は、その製造方法は特に限定されない。
[固体電解質]
電解質層40に適応可能な固体電解質としては、例えば、酸化物系固体電解質、硫化物系固体電解質、錯体水素化物系固体電解質などが挙げられる。酸化物系固体電解質は、Li1.5Al0.5Ge1.5(POやLi1.3Al0.3Ti1.7(POなどのナシコン型化合物、Li6.25LaZrAl0.2512などのガーネット型化合物が挙げられる。また、酸化物系固体電解質は、Li0.33Li0.55TiOなどのペロブスカイト型化合物、が挙げられる。また、酸化物系固体電解質は、Li14Zn(GeOなどのリシコン型化合物、LiPOやLiSiO、LiBOなどの酸化合物が挙げられる。硫化物系固体電解質の具体例としては、LiS-SiS、LiI-LiS-SiS、LiI-LiS-P、LiI-LiS-P、LiI-LiPO-P、LiS-P等が挙げられる。また、固体電解質は、結晶質であっても非晶質であってもよく、ガラスセラミックスであっても構わない。なお、LiS-Pなどの記載は、LiS及びPを含む原料を用いて成る硫化物系固体電解質を意味する。
[液体電解質]
電解質層40に適応可能な液体電解質としては、例えば、非水系電解液が挙げられる。非水系電解液は、非水溶媒にリチウム塩を1モル程度溶解させた液体である。非水溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどが挙げられる。リチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiClOなどが挙げられる。また、水溶媒を用いた水系電解液でもよい。
[負極活物質]
負極活物質としては、例えば、金属、金属繊維、炭素材料、酸化物、窒化物、珪素、珪素化合物、錫、錫化合物、各種合金材料などが挙げられる。なかでも、容量密度の観点から、金属、酸化物、炭素材料、珪素、珪素化合物、錫、錫化合物などが好ましい。金属としては、例えば、金属LiやIn-Li、酸化物としては、例えば、LiTi12(LTO:チタン酸リチウム)などが挙げられる。炭素材料としては、例えば、各種天然黒鉛(グラファイト)、コークス、黒鉛化途上炭素、炭素繊維、球状炭素、各種人造黒鉛、非晶質炭素などが挙げられる。珪素化合物としては、例えば、珪素含有合金、珪素含有無機化合物、珪素含有有機化合物、固溶体などが挙げられる。錫化合物としては、例えば、SnO(0<b<2)、SnO、SnSiO、NiSn、MgSnなどが挙げられる。また、上記負極材料は、導電助剤を含んでいてもよい。導電助剤としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛などのグラファイト、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラックが挙げられる。導電助剤は、炭素繊維、カーボンナノチューブ、金属繊維などの導電性繊維、フッ化カーボン、アルミニウムなどの金属粉末、酸化亜鉛などの導電性ウィスカー、酸化チタンなどの導電性金属酸化物、フェニレン誘電体などの有機導電性材料などが挙げられる。
<二次電池の製造方法>
二次電池の製造は、ラミネートセル型、コインセル型、加圧セル型等の既知のセル化手法を採用することができる。代表的なラミネートセル型を例に説明する。
・ラミネートセルの組立
全固体電池やポリマー電池を例に、ラミネートセルの組立について説明する。前記製造方法により作製された正極、および電解質、負極を積層し、正極集電体と負極集電体間に配置する。前記集電体は、引き出し用の電極タブが端部で溶接されている。前記集電体、正極、電解質、負極が積層された積層体をAlラミネートフィルムにセットし、前記積層体を前記Alラミネートフィルムで包み、真空包装機で真空引きしながら密封する。このとき、前記電極タブがラミネートフィルム外に引き出されるが、タブとAlラミネートフィルムが熱圧着により接着されるため、密封が維持される。密封後に、必要であれば、等方圧加圧装置等による加圧をしても構わない。電解質は、固体電解質やポリマー電解質が挙げられるが、両者を用いて積層しても構わない。Alラミネートフィルム内には前記積層体以外にも、強度や成形等の目的で弾性材料や樹脂材料を積層しても構わない。また、前記積層体が複数積層されたバイポーラ-型(直列/並列)でも構わない。なお、液体電解質を用いる従来リチウムイオン電池の場合は、前記電解質の代わりにポリエチレン製のセパレータを積層する。真空包装機による密封の前に液体電解質を注入し、密封する。
次に、本実施形態の活物質粒子22を適用可能な、一般的な二次電池の製造方法S4000について、図4を参照しつつ説明する。図4は、固体電解質層40を備えた全固体電池としての二次電池100の製造方法の一例を示すフローチャートである。
全固体電池(二次電池100)を製造する際には、まず、正極30、負極30及び電解質層40を構成する各原料を準備する。本実施形態の二次電池100の製造方法は、正極集電体層10を準備する工程S400、正極活物質層20の製造方法S5000を含む正極30を製造するための工程を有している。正極活物質層20の製造方法S5000は後述する。同様にして、本実施形態の二次電池100の製造方法は、負極集電体層60を準備する工程S420、負極活物質層50を配置する工程S460を含む負極70を製造するための工程と、電解質層40を準備する工程S440と、を備えている。図4に示す本実施形態の二次電池の製造方法S4000では、正極30、電解質40、負極70を製造する各製造工程を並列に行うようにしているが、直列に行っても良いし、正極極集電体層10と正極活物質層20の工程の順序を変えても良い。
次に、正極集電体層10、正極活物質層、固体電解質層40、負極活物質層50、負極集電体10がこの順で積層されるように、正極30、電解質40、負極70を、アセンブリ工程S470でアセンブリする。アセンブリ工程S470では、不図示の封止フィルム、熱融着シール材、感圧シール材等、の封止部材と、正極30、電解質40、負極70と、をアセンブリする場合がある。
次に、アセンブリされた二次電池の前駆体となる積層体を、脱気する脱気工程S480と、積層方向に圧縮する圧縮工程S490を、行う。脱気工程S480と圧縮工程S490は、同時に行っても、互いの工程の開始時刻、終了時刻の順序を変えても良い。脱気工程S480と圧縮工程S490は、前述の封止部材を封止する工程を含む場合がある。減圧雰囲気下、乾燥雰囲気下、不活性ガス雰囲気下で、圧縮工程S490を行う場合等において、脱気工程S480が省略される場合がある。脱気工程S480は、乾燥工程S480、排気工程S480と換言される場合がある。アセンブリ工程S470、脱気工程S480、圧縮工程S490は、セル化工程と換言する場合がある。
二次電池100の構成要素(またはその前駆体)は、層方向200に隣接する他の構成要素(またはその前駆体)と、セル化工程において接触した状態にある。また、正極活物質層20は、図2(b)のように、活物質粒子22と正極内電解質24とが層内で互いに接する形態が採用される場合がある。
本実施形態の活物質粒子22は、既にイオン伝導性が担保されている粒子状の活物質であるため、層内電解質24、導電助剤等との接触機会を得るようにするための配置に関する自由度が高い。また、本実施形態の活物質粒子22は、既にイオン伝導性が担保されているため、二次電池の製造方法S4000の各製造工程のいずれかにおいて、従来技術のように正極前駆体のパターンを500~1000℃に加熱する必要が無くなる。
従って、活物質粒子22が配置された正極活物質層20、正極30は、これ以降、活物質イオンの輸送性を向上するための加熱処理を必要とせず、二次電池の製造方法S4000のプロセス温度を低温化することが可能である。
また、脱気工程S480、圧縮工程S490において、二次電池100の積層体は、高温下、高圧下におかれることとなる。また、脱気工程S480、圧縮工程S490は、積層体の温度上昇を伴うが、外部から加熱することで、脱気または圧縮の作用を促進させる場合がある。
従って、従来、導電性、加工性の観点から採用が望まれていたものの、セル化工程における耐熱性の制限から集電体層10の材料として採用が見送られる場合があったアルミニウム(融点660℃)が、本実施形態の活物質粒子22の採用により、採用可能となる。
同様に、材料コスト、耐硫化性の等の理由から採用が望まれるものの、セル化工程における耐熱性の観点から導電助剤としての採用が見送られる場合があったカーボンブラック粉末(自然発火温度500℃)が、活物質粒子22の採用により、採用可能となる。
同様に、イオン輸送性等の理由から採用が望まれているものの、セル化工程において耐熱性の観点から正極内電解質としての採用が見送られる場合があったナシコン系固体電解質が、本実施形態の活物質粒子22の採用により、採用可能となる。かかるナシコン系固体電解質は、LAGP/LATP/LICGC等が含まれ、600℃付近で活物質粒子22と反応層を形成し溶出する恐れがあった。ナシコン系固体電解質と活物質粒子22とが反応層を形成した場合は、正極30と固体電解質層40の界面構造が破損しイオン伝導性の低下が懸念された。LAGP/LATP/LICGCの構造式表記は、それぞれ、Li1+xAlGe2-x(PO、Li1+xAlTi2-x(PO、Li1+x+yAlTi2-xSi3-y12である。
同様に、酸化物系の固体電解質LBO、LATP等に比べて耐熱性が一般に低い硫化物系の固体電解質を含む二次電池の製造プロセスにおいて、本実施形態の活物質粒子22の採用により、セル化工程の温度を低温化することが可能となる。硫化物系の固体電解質は、LiS-SiS、LiI-LiS-SiS、LiI-LiS-P、LiI-LiS-P、LiI-LiPO-P、LiS-P等が挙げられる。
同様にして、固体電解質LBO、LATP等に比べて耐熱性が一般に低い液体電解質(電解液)を含む二次電池の製造プロセスにおいて、本実施形態の活物質粒子22の採用により、セル化工程の温度を低温化することが可能となる。かかる液体電解質は、非水系電解液が挙げられる。非水系電解液は、非水溶媒にリチウム塩を1モル程度溶解させた液体である。非水溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどが挙げられる。リチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiClOなどが挙げられる。また、かかる液体電解質は、水溶媒を用いた水系電解液でもよい。
<製造工程における活物質粒子の変性メカニズム>
次に、本実施形態の活物質粒子22の製造方法と、活物質粒子22が変性するメカニズムについて、図5~図9の各図を用いて説明する。
図5は、第1の実施形態に係る活物質粒子22の製造方法S5000を示すフローチャート(a)、各工程の温度プロファイル(b)の例を示すものである。図6は、第1の実施形態に係る活物質粒子22の変性の推定メカニズムを示すものである。図9(a)は、製造方法S5000における加熱準備工程S520の炉内のセッティングを示す概略図である。
本実施形態に係る活物質粒子22の製造方法S5000を、図5(a)(b)、図6、図9(a)を用いて説明する。活物質粒子22の製造方法S5000は、安定系の活物質粒子21を用意する工程S500、加熱炉の炉内に樹脂と活物質粒子21を配置する加熱準備工程S520、第1の加熱工程S540、第2の加熱工程S560、および、降温工程S580、を有する。
(安定系の活物質粒子21を用意する工程S500)
本工程は、図1(c)(d)に示すような、安定系のコバルト酸リチウムを含む活物質粒子21を用意する工程である。安定系のコバルト酸リチウムを含む活物質粒子21は、商材として入手が可能である。本実施形態の活物質粒子22の製造方法の収率、反応速度の観点点からは、活物質粒子22の原料となる出発物質の活物質も粒子状であることが好ましい。出発物質の活物質の粒度は、分級により調整される。
準備した安定系の活物質粒子21は、S5000の第1の加熱工程S540、第2の加熱工程S560で、互いに焼結する場合がある。このため、配置の自由度が担保された自立した活物質粒子22を製造する点から、本工程S500において、活物質粒子21は互いに離間してセラミックプレート等に配置される。本工程S500において、活物質粒子21を離間せずに粉体の集合として準備することも可能であるが、得られた活物質粒子22を焼結体から分離する、すなわち、焼結体を分割する、後工程が必要となる。かかる後工程において、粒内の層状間隙22g、放射状の突起部22p等の微細構造が、脱落、欠損する場合があるため、本工程S500において活物質粒子21を離間することが好ましい。
因みに、本工程S500において、活物質粒子21を離間して配置することは、第1の加熱工程S540、第2の加熱工程S560において、後述する気相反応を促進する作用、気相反応を一様に進行させる効果、が期待される。
本工程S500において、図6、図9(a)のように、島状に離間して凹部84dを設けたアルミナのプレート84に安定系の活物質粒子21を載置している。これは、本工程S520の後工程である第1の加熱工程S540、第2の加熱工程S540で、活物質粒子21同士が焼結することを防ぐ意図と、2つの加熱工程における気相反応を促進する意図と、から活物質粒子21を離間して載置している。プレート84を構成する材料は、他のセラミック、耐熱ガラス、金属に置換することが可能である。
活物質粒子21は、安定系の商材であるコバルト酸リチウムの粒子材料を採用することができる。活物質粒子21は、本実施形態の活物質粒子22の前駆体、または、出発原料に該当する。
本工程S520において、活物質粒子21は、図9(c)(d)のように、加熱により還元性ガスを放出する樹脂25の上にプレート84を載置する形態、樹脂25の上に直接載置する形態をとることができる。図9(a)に示す形態は、還元性ガスを加熱炉の炉外から供給可能な配置であるのに対して、図9(c)(d)に示す形態は、還元性ガスを友焼きする樹脂25の熱分解により炉内から供給する点で相違する第1の実施形態の変形例である。樹脂25は、図9(b)(c)のように、バルクの形態でも良いし、粉体、チップ状でも良い。樹脂25と活物質粒子21は、本工程S500以降から第2の加熱工程S560までは、活物質粒子22の前駆体に該当する。
なお、図9(b)(c)に示す変形形態において、樹脂25は、第1の加熱工程S540で、固形分が0となるまで熱分解可能な材料から選ばれる。すなわち、第1の加熱工程S540の雰囲気、加熱プロファイルに応じた、熱分解温度、燃焼温度等の変態点温度を有するものが選択される。樹脂25を、ポリエチレンテレフタラート(PET)樹脂とした場合は、後述する図7(a)(b)に示すように、温度域毎に特定の等価原子量を有するガスを放出しながら熱分解される。図7(a)(b)に示されるPET樹脂を樹脂25とした場合は、樹脂25は酸素含有雰囲気下の加熱温度が450℃以上の温度で燃焼し固形分が0とすることができる。
樹脂25は、第1の加熱工程S540において、安定系の活物質粒子21に含まれるコバルトを還元する還元性ガスを供給する供給源であり、第1の加熱工程S540から第2の加熱工程S560に移行する条件を与える雰囲気の調整材料であると換言される。
本工程S500は、室温RT(15~25°C)、大気雰囲気下で行われる。パターニング装置やクリーンベンチを用いる場合は、特定の温度域、不活性ガスでパージされた不活性雰囲気下で行われる場合もある。吸着水の影響を軽減したい場合は、50°C以上の雰囲気としたり、プレート84を加熱としたりする場合がある。
(加熱炉の炉内に安定系の活物質粒子を配置する配置工程S520)
本工程S520は、図9(b)のように、加熱炉の炉内82に活物質粒子22の前駆体である活物質粒子21配置する工程である。
加熱炉は、バッチ式、連続式、枚葉式、等が採用可能であるが、活物質粒子21が加熱される空間を所定の雰囲気とするために、活物質粒子21が載置される被加熱領域をある程度覆うケーシングがなされた形態が採用される。加熱炉は、炉内を所定の雰囲気と所定の温度に設定可能となっている。加熱炉は、少なくとも、活物質粒子21が、加熱される空間の雰囲気を所定の雰囲気とするために、加熱炉の炉内外の間、または、るつぼのような内容器の内外の間のガスコンダクタンスが制限されている形態が採用される。これにより、後述する第1の加熱工程S540、第2の加熱工程S560において、活物質粒子21を反応性のガスと効率良く接触させることが可能となる。雰囲気の主成分または大気の透過原子量29より軽い反応性のガスに対しては、加熱炉の上方を中心にカバーするケーシングが有効である。
加熱炉は、完全に密閉したものではない態様では、第1の加熱工程S540、第2の加熱工程S560における炉内の気圧(全圧)は、周囲と等圧の関係にあるとみなされる。加熱炉は、安全の為、弱陰圧(0.8―0.95気圧)に排気された部屋、ワークベンチ等に載置される場合がある。加熱炉の周辺が大気である場合は、加熱工程において、炉内は、大気圧~大気圧の弱陰圧に維持され、所定の温度域までは安定で不活性な窒素Nが雰囲気を構成していると考えられる。
本工程は、準備工程S500と同様に、室温RT(15~25°C)、大気雰囲気下で行うことができる。パターニング装置やクリーンベンチを用いる場合は、特定の温度域、不活性ガスでパージされた不活性雰囲気下で行われる場合もある。吸着水の影響を軽減したい場合は、50°C以上の雰囲気としたり、樹脂25を載置するステージを加熱したりする場合がある。
第1の実施形態においては、準備工程S500、配置工程S520は、ともに、室温20℃、大気雰囲気下で行われた態様を示す。このため、準備工程S500、配置工程S520において、樹脂25と活物質粒子21は、窒素、酸素、二酸化炭素を含む大気雰囲気で行われている。
(第1の加熱工程S540)
本工程S540は、安定系のコバルト酸リチウムを含む活物質粒子21を、加熱しながら還元性のガスに接触させて、活物質粒子21に含まれるコバルトを熱還元する工程である。本工程S540は、安定系のコバルト酸リチウムを含む活物質粒子21を、加熱しながら還元性のガスに接触させて、還元されたコバルトを含む活物質粒子21rを生成する工程であると換言される。
本工程S540において、加熱炉の炉内82は、還元性ガスを吸気ポート86から供給した還元性ガスを活物質粒子21に接触させる。吸気ポート86から供給する還元性のガスは、不活性ガスで希釈したH(Ar/H)、一酸化炭素CO、窒素Nで希釈した一酸化炭素CO等、が含まれる。また、吸気ポート86から供給する還元性のガスは、不図示のレギュレータ、圧力計、流量計等を用いることで供給量が制御される。また、還元反応に消費され生成されたガス成分二酸化炭素CO、水HO、配置工程S520から炉内82に含まれているガス成分である酸素Oの分圧を調整するために、吸気弁87、排気弁89が、それぞれ、調整される場合がある。排気弁の調整により、不図示の排気装置に接続された排気ポート88から、燃焼により生成されたガス、熱分解されたガス等の少なくとも一部が排気される。第1の加熱工程S540のように、還元性のガスが活性なガス成分のうちで主成分となる雰囲気を、還元性雰囲気と称する場合がある。
図9(c)(d)に示す変形形態においては、樹脂25を熱分解させることで放出された還元性のガスを活物質粒子21と接触させる工程を含んでいる。図9(c)(d)に示す変形形態における加熱工程S540は、加熱炉の炉内82の雰囲気が、樹脂25が含有する樹脂に由来する還元性のガスが減少し、酸素を含む酸化性のガス分圧が還元性のガス分圧を上回る酸化性雰囲気となるまで行われると換言される。本実施形態の第1の加熱工程S540は、酸素Oを含む酸素含有雰囲気の下で開始されている。本実施形態の第1の加熱工程S540における加熱温度は、300°C以上690°C以下で行うことができる。
第1の加熱工程S540おいて、活物質粒子21は、樹脂25由来の一酸化炭素COにより熱還元反応を受け、コバルトCoが還元されるとともに、粒子内の微小組織が多孔質化されると、本願発明者等は推定している。
加熱炉85は、不図示のヒーターにより、炉内82の雰囲気、活物質粒子21、プレート84が加熱可能となっている。加熱温度は、熱電対、赤外センサ等によりモニターされる。
本実施形態において、図9(b)において、窒素Nで希釈した一酸化炭素CO(N/CO)を還元性ガスとして炉内82に供給している。
(第2の加熱工程S560)
また、第2の加熱工程S560において、コバルトの少なくとも一部が還元された活物質粒子21rは、供給が停止された還元性ガス(一酸化炭素CO)に代わり、雰囲気中に残存する酸素Oにより、還元されたコバルトが酸化されてコバルト酸リチウムに戻る。再酸化されて得られたLCOは、安定系のLCOとは異なる微細構造、結晶構造を持つと発明者等は推定している。第2の加熱工程S560における加熱温度は、400°C以上690°C以下で行うことができる。
それらの根拠を、図5(a)、(b)、図6、図7(a)~(c)、図8(a)~(d)を用いて説明する。
図7(a)(b)は示差熱分析の結果である。図7(a)は、樹脂25に採用されるシート状のPET樹脂の示差熱分析DTAプロファイルである。図中、実線が等価原子量28のDTA曲線(左軸)、破線が等価原子量32のDTA曲線(右軸)、点線が等価原子量44のDTA曲線(右軸)である。等価原子量28は、窒素Nと一酸化が含まれるが、室温から520℃まで増加し520℃以上で減少するDTA曲線のプロファイルとPET樹脂の組成、分析環境、からは、窒素ガスは考えられず、実線のプロファイルは、一酸化炭素COと考えられる。破線、点線のプロファイルは、それぞれ、同様の理由で、酸素O、二酸化炭素COと考えられる。
図7(a)からは、PET樹脂は、室温からの加熱により徐々に熱分解され、520℃付近をピークとして一酸化炭素COを放出することが読み取れる。また、酸素と二酸化炭素は定性的には増減が逆の傾向を示すことから、一酸化炭素COの一部、または、PET樹脂を構成する炭素の一部は、雰囲気の酸素を消費して二酸化炭素COとなることが読み取れる。二酸化炭素COは、590℃付近をピークとして、一酸化炭素COより高温側で主に増大し始める。
一方、樹脂25採用されるPET樹脂の熱分解温度は、図6(c)に示す熱重量分析TGプロファイルの固形分50%減少温度で規定され約400℃であった。
従って、第1の加熱工程S540では、炉外または炉内82から供給された還元性ガスを、安定系の活物質粒子21に接触させる工程が含まれているとみなせる。
次に、図6(b)は、図6(a)に対応するシート状のPET樹脂と複数の安定系の活物質粒子21とを友焼きする形態の示差熱分析DTAプロファイルである。
図6(b)からは、520℃以下の温度域では昇温によりPET樹脂単体であれば増加する一酸化炭素COが350℃以上で減少し始めることから、350℃以上でPET樹脂由来の一酸化炭素の一部がLCOの熱還元反応に消費されていると推定される。すなわち、図6(b)からは、350℃以上では安定系のコバルト酸リチウムが一酸化炭素COにより熱分解されていると推定される。また、PET樹脂がLCOを含む活物質粒子21と共に焼成されると、放出された一酸化炭素COの少なくとも一部は、350℃以上では直ちにLCOの熱還元反応に消費され、510℃以上では周辺の酸素により直接酸化され二酸化炭素COになると推定される。すなわち、第1の加熱工程S540において、樹脂25由来の一酸化炭素COの少なくとも一部は、350℃以上では直ちにLCOの熱還元反応に消費され、510℃以上では、二酸化炭素COの生成に消費されるものと推定される。
本発明者等は、図9(c)のようなるつぼ80と蓋81を備え小容器を用いて、活物質粒子21とPETを含む樹脂25の大気雰囲気下での加熱雰囲気の依存性を調べた。
図8(a)は、樹脂25を配置せず活物質粒子21のみをるつぼ80内に配置し蓋81をして大気雰囲気下において加熱温度400℃で1時間行う第1の加熱試験工程、510℃で1時間行う第2の加熱試験工程、を行った活物質粒子の外観を示すSEM像である。図8(a)中の活物質粒子は、還元ガスCOを発生する供給源が無い状態での加熱試験を経たので、酸素Oが活性ガスの影響を受けているが、放射状の突出部の無い安定系のコバルト酸リチウムの外観を呈していた。
図8(b)は、樹脂25と活物質粒子21をるつぼ80内に配置し蓋81をせずに大気雰囲気下において加熱温度400℃で1時間行う第1の加熱試験工程、510℃で1時間行う第2の加熱試験工程、を行った活物質粒子の外観を示すSEM像である。図8(b)中の活物質粒子は、樹脂25から発生した還元性のガスである一酸化炭素COがるつぼ80の外に拡散しるつぼ80内に留まらない状態での加熱試験を経たので、酸素Oと一酸化炭素COの双方の活性ガスの影響を受けていると推定される。図8(b)中の活物質粒子は、放射状の突出部の無い放射状の突出部の無い安定系のコバルト酸リチウムの外観を呈していた。本試験の結果は、第2の加熱試験工程のみで蓋81でるつぼ80を蓋81で閉じるか閉じないかに関係なく、放射状の突出部の無い放射状の突出部の無い安定系のコバルト酸リチウムの外観を呈していた。
図8(c)は、樹脂25と活物質粒子21をるつぼ80内に配置し蓋81をして大気雰囲気下で加熱温度400℃で1時間行う第1の加熱試験工程、蓋81をせずに510℃で1時間行う第2の加熱試験工程、を行った活物質粒子の外観を示すSEM像である。図8(c)中の活物質粒子は、樹脂25から発生した還元性のガスである一酸化炭素COが発生しるつぼ80内に滞在する状態での加熱試験を経たので、一酸化炭素COを含む還元性の活性ガスの影響を受けていると推定される。図8(c)中の活物質粒子は、放射状の突出部を有しており、本実施形態の活物質粒子22に類似の外観を呈していた。
図8(d)は、樹脂25と活物質粒子21をるつぼ80内に配置し蓋81をして大気雰囲気下で加熱温度400℃で1時間行う第1の加熱試験工程、続けて、510℃で1時間行う第2の加熱試験工程、を行った活物質粒子の外観を示すSEM像である。図8(d)中の活物質粒子は、樹脂25から発生した還元性のガスである一酸化炭素COが発生しるつぼ80内に滞在する状態での第1の加熱試験工程を経ているので、一酸化炭素COを活性ガスとして含む還元性雰囲気下で焼成された推定される。続いて、図8(d)中の活物質粒子は、樹脂25の熱分解の進行に伴い還元性のガスである一酸化炭素COの供給が停止したあと、第2の加熱試験工程を経ているので、酸素Oを活性ガスとして含む酸化性雰囲気下で焼成されたと推定される。図8(d)中の活物質粒子は、放射状の突出部を有しており、本実施形態の活物質粒子22に類似の外観を呈していた。図8(e)は、図8(d)中の活物質粒子に活物質粒子の断面SEM像である。図8(d)中の活物質粒子の断面は、粒子部の外側に放射状の突起部と、粒子部の粒内に層状間隙等の多孔質な微細構造を認めた。
以上の加熱雰囲気依存性を調べた活物質粒子をX線回折法で測定した、この結果、図8(c)、(d)に対応する第1の加熱試験工程後の活物質粒子のみに、LCOに加え、酸化コバルト(CoO)、炭酸リチウム(LiCO)が検出された。すなわち、図8(c)、(d)に対応する第1の加熱試験工程後の活物質粒子のみに、酸化数がIII価とII価のコバルトが検出された。
対応する上記(d)の工程2の後のLCO粒子断面のSEM画像であるが、図4(a)で示した加熱前の断面にはなかったLCO粒子内部の間隙が確認された。ただしこのときLCO粒子表面には突起部の析出は確認されなかった。工程3後のLCO粒子断面は図4(b)に示した通りであり、工程3後にLCO粒子内部の間隙に加え、LCO粒子表面に突起部の析出が確認された。
一方で、図8(d)に対応する第2の加熱試験工程500℃焼成条件を経た試料を700℃で10分間、再加熱したところ、かかる試料の活物質粒子の粒内は、均質な構造を呈し、粒子表面に突出部のない安定系のLCOのモフォロジーを呈していた(不図示)。700℃の加熱試験により、突起部22p、層状間隙22g等を含む多孔質構造が焼失していたことから、700℃以上では酸化反応、溶融反応が進み過ぎ、微細構造も特有の結晶構造もない安定系のLCOとなったと考えられる。
従って、第1の加熱工程で還元し還元されたコバルトを含む活物質粒子21rを再酸化する第2の加熱工程は、加熱温度を690℃以下とすることで、安定系のLCOにまで酸化と溶融が進行しないようにすることができる。
図7、図8の分析結果に基づいて、本願発明者等が描く工程毎の描像を図5(a)(b)と図6に示す。図5(a)(b)と図6は、各工程S500~S580に対応する推定メカニズムを示すものである。
準備工程S500、配置工程S520の段階では、活物質粒子21(活物質粒子22の前駆体)には有意な構造上の変化がない。
第1の加熱工程S540において、活物質粒子21は500℃に加熱される。第1の加熱工程S540の初期において、供給された還元性正ガスである一酸化炭素COに触れた活物質粒子21中のコバルトは、II価からIII価に還元され、コバルト酸リチウムの少なくとも一部を酸化コバルト(CoO/Co)に変性させる。さらに、第1の加熱工程S540の初期において、供給された還元性ガスである一酸化炭素COに触れた活物質粒子21中のコバルトは、II価からIII価に還元されるとともに、粒内が多孔質化された微細構造を有する還元活物質粒子21rに変性させる。供給された一酸化炭素COは、第1の加熱工程S540の初期において、加熱雰囲気の活性ガスとして支配し、LCOの変性に消費される。第1の加熱工程S540の後期において一酸化炭素COの供給が絶たれた後、雰囲気中の酸素Oにより一酸化炭素COが酸化され不活性な二酸化炭素COに置き換わっていくと、炉内82は、還元性雰囲気から不活性雰囲気にシフトする。
さらに、第2の加熱工程S540において、一酸化炭素COの分圧が実質的に0となると二酸化炭素COと分圧が低下し酸素Oの消費が無くなるため、高温で活性な酸素Oが、コバルトの一部が還元された活物質粒子21rを再酸化する。すなわち、第2の加熱工程S560の雰囲気は、高温下の酸素Oが支配するようになり、不活性から酸化性にシフトする。
第2の加熱工程S560において、活物質粒子中の少なくとも一部のコバルトCoの酸化数は、II価またはII2/3価からIII価へと変化する。第2の加熱工程S560において、酸化反応が粒内において完全には進行しないため、第1の加熱工程で形成される層状間隙22g、第2の加熱工程の前半で形成されたる突起部22pが、降温工程S580を経ても残ると考えられる。完全な酸化反応が進行しないとは、不完全な酸化反応が進行する、や、局所的な酸化反応が進行すると換言される場合がある。
なお、図9(c)のセッティングを行った変形形態において、第1の加熱工程S540の昇温レートの水準だけを変えた昇温レート依存性を調べる試験を行った。かかる昇温レート依存性を調べる試験の結果は、昇温レートが10°C/分以下では、第1の実施形態の活物質粒子22と共通する微細構造と結晶構造を有する活物質粒子が得られた。昇温レートが10°C/分を超えると、得られた活物質粒子に、第1の実施形態の活物質粒子22と共通する微細構造と結晶構造は認められなかった。かかる昇温レートの依存性は、第1の加熱工程において、樹脂25から一酸化炭素COが発生する300℃以上500℃以下の温度域に活物質粒子21が20分以上、滞在していることが必要なものと考える。昇温レートが10°C/分を超え、300℃~500℃の温度域における活物質粒子21の滞在時間が20分未満であると、PET樹脂が急速に完全燃焼し加熱工程の初期から不活性な二酸化炭素COが供給され一酸化炭素COの供給が不足したと推定される。また、第2の加熱工程S560は、400℃以上690℃以下で、10分以上、90分以下で行うことができる。300℃以上500℃以下の温度域における活物質粒子21の滞在時間は、300℃以上500℃以下の温度域における活物質粒子21の加熱時間と換言される場合がある。
(降温工程S580)
本工程では、還元後に再酸化したコバルトを有する活物質粒子22の温度を降下させ、変性した活物質粒子22とする工程である。局所的な酸化反応である第2の加熱工程S560後、図6のように、S540~S560で形成された活物質粒子の粒内の微細な構造は、本工程S560で残留する。
<第2の実施形態>
第2の実施形態に係る正極32を、図10(a)、(b)を用いて説明する。図10(a)、(b)は、第2の実施形態に係る正極32の製造方法S10000を示すフローチャートと、概略断面図を示すものである。本実施形態の正極32は、正極活物質20が正極内電解質を含まずに活物質粒子22で構成されている点において、図3(b)に示す第1の実施形態に係る正極30と相違する。
本実施形態係る正極32は、図10(a)に示すように、第1の実施形態に係る活物質粒子22の製造方法S5000により活物質粒子22を用意するところからスタートする。
次に、正極集電体層10の上に活物質粒子22を、公知の粒子堆積技術を用いて、配置する工程S900を行う。活物質粒子22を正極集電体層10の上に載置する工程S900は、複数の活物質粒子22を所定の面に配置する工程を含むと換言する場合がある。粒子堆積技術としては、インクジェット法、スピンコート法、スクリーン印刷、化学気相堆積法CVD、蒸着、電子写真法、等が適宜、採用される。
次に、堆積した活物質粒子22を、正極集電体10の上に固定する工程S920を行う。本工程S920では、加熱、光照射等のエネルギーの付与を行う。本工程S920は、エネルギー付与により、前工程S900で正極集電体層10の上に付与されたバインダーマトリクス成分を熱分解したり、溶媒成分を気化したり、する工程が含まれる。本工程S920は、エネルギー付与により、互いの決着力が弱い活物質粒子22を決着する工程が含まれる。
工程S920における加熱温度は、活物質粒子22に含まれるコバルトが完全に酸化され安定系のコバルト酸リチウムとなる温度700℃未満、例えば、690℃以下で行うことが好ましい。
次に、第2の実施形態の変形形態である正極34を、図10(c)、(d)を用いて説明する。図10(c)、(d)は、本変形形態に係る正極34の製造方法S10200を示すフローチャートと、概略断面図を示すものである。
正極34は、図10(d)のように、正極活物質20と正極内電解質24が各正極活物質層20a、20b、20cにおいて海島状のパターンを有する点、正極活物質層20が電解質層40の上に堆積されている点において、第1の実施形態の正極30と相違する。さらに、正極34は、海島状のパターンが、各正極活物質層20a、20b、20cの層間で揃っている点においても、第1の実施形態の正極30と相違する。
本実施形態の正極30は、第2の実施形態と同様に、図10(c)に示すように、第1の実施形態に係る活物質粒子22の製造方法S5000により活物質粒子22を用意するところからスタートする。
次に、活物質層40の上に活物質粒子22と正極内電解質24とを、公知の粒子堆積技術を用いて、パターニングする工程S940を行う。
次に、パターニングした活物質粒子22と正極内電解質24のパターンを、活物質層40の上に固定する工程S960を行う。
100 二次電池
30 正極
20 正極活物質層
22 活物質粒子
S520 配置工程
S540 第1の加熱工程
S560 第2の加熱工程

Claims (31)

  1. コバルト酸リチウムを含む正極に適用され、2θ法によるX線回折角が19.2度以上19.7度以下において回折角ピークを呈することを特徴とする活物質粒子。
  2. 前記X線回折角が19.2度以上19.7度以下において、複数の回折角ピークが認められる請求項1に記載の活物質粒子。
  3. 前記X線回折角が18.9度以上19.1度以下において、さらに、回折角ピークが認められる請求項1または2に記載の活物質粒子。
  4. コバルト酸リチウムを含む正極に適用され、結晶子のサイズが10nm以上50nm以下の領域を有することを特徴とする活物質粒子。
  5. 前記活物質粒子は、粒子部と、前記粒子部から複数方向に突出する突出部と、を有する請求項1から4のいずれか1項に記載の活物質粒子。
  6. 前記突出部は、結晶子のサイズが1nm以上20nm以下の領域を有することを特徴とする請求項5に記載の活物質粒子。
  7. 前記粒子部は、断面において、不連続なテクスチャを有していることを特徴とする請求項5または6に記載の活物質。
  8. 前記粒子部は、コア部とシェル部と、を有する請求項5から7のいずれか1項に記載の活物質粒子。
  9. 前記活物質粒子が並べられた面を有する請求項1から8のいずれか1項に記載の正極。
  10. 請求項9に記載の正極と、
    前記面に接するように配置され、前記活物質粒子とリチウムイオンの授受を行う電解質層と、
    前記電解質層の前記面と接する側の反対面と接する負極と、を含む二次電池。
  11. コバルト酸リチウムを含む活物質粒子に含まれるコバルトの少なくとも一部を還元させる第1の加熱工程と、
    前記還元されたコバルトを酸化させる第2の加熱工程と、を有する活物質粒子の製造方法。
  12. 前記活物質粒子を、炉内を所定の雰囲気と所定の温度に設定可能な加熱炉の炉内に配置する工程を、さらに含む請求項11に記載に活物質粒子の製造方法。
  13. 前記第1の加熱工程は、還元性のガスを含む還元性雰囲気の下で前記活物質粒子を加熱する工程を含む請求項11または12に記載の活物質粒子の製造方法。
  14. 前記第1の加熱工程は、前記還元性のガスの前記炉内への供給が終了するまで行われる請求項13に記載の活物質粒子の製造方法。
  15. 前記第1の加熱工程は、酸素を含有する雰囲気下で開始されること請求項11から14のいずれか1項に記載の活物質粒子の製造方法。
  16. 前記第1の加熱工程は、前記炉の内部の雰囲気において、前記還元性のガスが減少し、酸素を含む酸化性のガスの分圧が前記還元性のガスの分圧を上回る酸化性雰囲気となるまで行われる請求項13または14に記載の活物質粒子の製造方法。
  17. 前記第2の加熱工程は、前記酸化性雰囲気の下で前記活物質粒子を加熱する請求項16に記載の活物質粒子の製造方法。
  18. 前記第1の加熱工程は、前記コバルトの酸化数をIII価からII価に還元する工程を含む請求項11から17のいずれか1項に記載の活物質粒子の製造方法。
  19. 前記第2の加熱工程は、前記コバルトの酸化数をII価からIII価に酸化する工程を含む請求項11から18のいずれか1項に記載の活物質粒子の製造方法。
  20. 熱分解により前記還元性のガスを放出する樹脂を前記炉内に配置する工程を、さらに含む請求項13に記載の活物質粒子の製造方法。
  21. 前記第1の加熱工程における前記還元性のガスは、前記樹脂の熱分解により前記炉内に供給される請求項20に記載の活物質粒子の製造方法。
  22. 前記第2の加熱工程の後に、前記活物質粒子の温度を降下させる降温工程をさらに有する請求項11から21のいずれか1項に記載の活物質粒子の製造方法。
  23. 前記第1の加熱工程における加熱温度は、300°C以上690°C以下である請求項11から22のいずれか1項に記載の活物質粒子の製造方法。
  24. 前記第2の加熱工程における加熱温度は、400°C以上690°C以下であるである請求項11から23のいずれか1項に記載の活物質粒子の製造方法。
  25. 前記第1の加熱工程において、300℃以上500℃以下の加熱時間が20分以上かけて行なわれることを特徴とする請求項11から24のいずれか1項に記載の活物質粒子の製造方法。
  26. 前記第2の加熱工程が10分以上かけて行なわれることを特徴とする請求項11から25のいずれか1項に記載の活物質粒子の製造方法。
  27. 前記第1の加熱工程と前記第2の加熱工程は、前記活物質粒子の2θ法によるX線回折角が、高角側にシフトするように行われる請求項11から26のいずれか1項に記載の活物質粒子の製造方法。
  28. 前記第1の加熱工程と前記第2の加熱工程は、前記活物質粒子の結晶子のサイズが減少するように行われる請求項11から27のいずれか1項に記載の活物質粒子の製造方法。
  29. 請求項11から28のいずれか1項に記載の方法により製造された複数の活物質粒子を所定の面に配置する工程を含む、正極の製造方法。
  30. 前記所定の面は、前記正極と電子の授受を行う活物質と、前記正極と活物質イオンの授受を行う電解質層と、のいずれか一方が備える請求項29に記載の正極の製造方法。
  31. 請求項29または30に記載の製造方法により製造された正極と、
    前記活物質粒子との間で前記活物質イオンの授受がなされるように前記電解質層を配置する工程と、
    前記電解質層が配置された側の反対側において前記活物質粒子と電子の授受がなされるように前記集電体層を配置する工程と、を含む二次電池の製造方法。

JP2020200601A 2020-12-02 2020-12-02 活物質粒子、正極、二次電池、及び、活物質粒子の製造方法 Pending JP2022088259A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020200601A JP2022088259A (ja) 2020-12-02 2020-12-02 活物質粒子、正極、二次電池、及び、活物質粒子の製造方法
PCT/JP2021/043088 WO2022118721A1 (ja) 2020-12-02 2021-11-25 活物質粒子、正極、二次電池、及び、活物質粒子の製造方法
US18/325,557 US20230307636A1 (en) 2020-12-02 2023-05-30 Active material particle, anode, secondary battery, and method for producing active material particle

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020200601A JP2022088259A (ja) 2020-12-02 2020-12-02 活物質粒子、正極、二次電池、及び、活物質粒子の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022088259A true JP2022088259A (ja) 2022-06-14

Family

ID=81982350

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020200601A Pending JP2022088259A (ja) 2020-12-02 2020-12-02 活物質粒子、正極、二次電池、及び、活物質粒子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022088259A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20190280330A1 (en) All-solid state li ion batteries comprising mechanically felxible ceramic electrolytes and manufacturing methods for the same
US9966630B2 (en) Annealed garnet electrolyte separators
KR102478029B1 (ko) Li 이차 전지용 가넷 물질
Delaizir et al. The stone age revisited: Building a monolithic inorganic lithium‐ion battery
US20190006707A1 (en) Method for Suppressing Metal Propagation in Solid Electrolytes
JP6165546B2 (ja) 固体電解質および全固体リチウムイオン二次電池
CN109906531B (zh) 二次电池
US9159989B2 (en) All-solid battery and method of manufacturing the same
JP5360296B2 (ja) 固体電解質材料、リチウム電池および固体電解質材料の製造方法
JP5841014B2 (ja) 固体電解質薄膜の製造方法、固体電解質薄膜、および固体電池
US20140134483A1 (en) All-solid battery and manufacturing method therefor
WO2012176808A1 (ja) 全固体型リチウム二次電池及びその製造方法
JP2016119257A (ja) 固体電解質、それを用いた全固体電池及び固体電解質の製造方法
Yee et al. Hydrogel‐Based Additive Manufacturing of Lithium Cobalt Oxide
US20200259211A1 (en) Mixed ionic and electronic conductor for solid state battery
CN110235295B (zh) 锂离子固体蓄电池及其制造方法
JP2009140911A (ja) 全固体電池
CN111316489A (zh) 二次电池
CN110476290B (zh) 全固体电池
US20220158227A1 (en) Precursor composition for solid electrolyte, and method for producing secondary battery
JP2022088259A (ja) 活物質粒子、正極、二次電池、及び、活物質粒子の製造方法
WO2022118721A1 (ja) 活物質粒子、正極、二次電池、及び、活物質粒子の製造方法
CN116615822A (zh) 用于二次电池的复合固体电解质、包括其的二次电池、和其制备方法
CN115699212A (zh) 固体电解质材料、固体电解质、它们的制造方法和全固体电池
Chen et al. Cathode Interface Construction by Rapid Sintering in Solid‐State Batteries

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20210108

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20231130

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20231213