JP2022088249A - 画像処理装置、制御方法及びプログラム - Google Patents

画像処理装置、制御方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】入力された画像を、適切な階調数により出力することが可能な画像処理装置を提供する。【解決手段】画像形成装置1は画像を読み取る画像読取部と、画像を2値化した場合に文字潰れが生じるかの判定をする文字潰れ判定部212と、画像のうち写真領域が含まれる割合を判定する写真領域サイズ判定部216とを有する画像処理装置20と、文字潰れ判定部及び写真領域サイズ判定部の判定結果に基づいてモノクロのN階調の画像データを出力するように制御する制御部60と、を備える。【選択図】図1

Description

本開示は、画像処理装置等に関する。
近年、デジタル複合機(MFP)やインターネットの普及により、紙面の画像をスキャナで読み取りを行うことにより電子データ形式の画像データに変換し、電子メール等により電子データ形式の画像データを添付して伝送することが日常的に行われている。
また、読み取った画像データに対して適切な処理を実行するための技術も提案されている。例えば、入力された画像を、画像の種類に応じて、文字領域、網点領域、線領域、イメージ領域の4つの画像領域に分離し、分離された画像領域ごとにACS(Auto Color Selection)処理を行い、画像領域別のACS処理の結果に基づいて、入力された画像(原稿)全体のACS結果を決定する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、原稿から画像を読み取ることで生成された画像データに対して、原稿が文字原稿であれば二値画像のための圧縮形式に圧縮し、原稿が文字原稿でなければ多値画像のための圧縮形式に圧縮する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2011-142409号公報 特開2009-100285号公報
しかし、特許文献1や特許文献2には、原稿が文字原稿であるか否かといった単一の判定結果のみを用いて画像データの処理方法を決定することしか記載されていない。そのため、例えば、文字潰れが生じるか否かといった判定結果と、画像データ全体の特徴に基づく判定結果とに応じて、適切な処理を実行して画像データを出力することについては考慮されていない。
本願は上述した課題に鑑み、本開示は、入力された画像を、適切な階調数により出力することが可能な画像処理装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、本開示の第1の実施態様は、
画像を読み取る画像読取部と、
前記画像を2値化した場合に文字潰れが生じるかの判定をする第1判定部と、
前記画像のうち写真領域が含まれる割合を判定する第2判定部と、
前記第1判定部及び前記第2判定部の判定結果に基づいてモノクロのN階調の画像データに変換する制御部と、
を備える画像処理装置である。
本開示の第2の実施態様は、
画像を読み取る画像読取ステップと、
前記画像を2値化した場合に文字潰れが生じるかの判定をする第1判定ステップと、
前記画像のうち写真領域が含まれる割合を判定する第2判定ステップと、
前記第1判定ステップ及び前記第2判定ステップの判定結果に基づいてモノクロのN階調の画像データに変換する制御ステップと、
を含むことを特徴とする制御方法である。
本開示の第3の実施態様は、
コンピュータに、
画像を読み取る画像読取機能と、
前記画像を2値化した場合に文字潰れが生じるかの判定をする第1判定機能と、
前記画像のうち写真領域が含まれる割合を判定する第2判定機能と、
前記第1判定機能及び前記第2判定機能の判定結果に基づいてモノクロのN階調の画像データに変換する制御機能と、
を実現させることを特徴とするプログラムである。
本開示によれば、入力された画像を、適切な階調数により出力することが可能となる。
第1実施形態における画像形成装置の機能構成を説明するための図である。 第1実施形態における処理の概要を説明するための図である。 第1実施形態における動作例を示す図である。 第1実施形態における動作例を示す図である。 第1実施形態における動作例を示す図である。 第1実施形態における動作例を示す図である。 第1実施形態における処理の流れを示すフロー図である。 第1実施形態における疑似輪郭評価処理の流れを示すフロー図である。 第2実施形態における処理の概要を説明するための図である。 第2実施形態における処理の流れを示すフロー図である。 第3実施形態における処理の概要を説明するための図である。 第3実施形態における処理の流れを示すフロー図である。 第4実施形態における処理の概要を説明するための図である。 第4実施形態における処理の流れを示すフロー図である。 第5実施形態における処理の概要を説明するための図である。 第5実施形態における処理の流れを示すフロー図である。 第6実施形態における処理の流れを示すフロー図である。 第6実施形態における動作例を示す図である。 第7実施形態における動作例を示す図である。 第7実施形態における動作例を示す図である。 第8実施形態における動作例を示す図である。
以下、図面を参照して、本開示を実施するための一実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本開示を説明するための一例であり、特許請求の範囲に記載した発明の技術的範囲が、以下の記載に限定されるものではない。
[1.第1実施形態]
[1.1 機能構成]
図1は、第1実施形態に係る画像形成装置1の機能的構成を示すブロック図である。画像形成装置1は、コピー機能、印刷機能、及びスキャナ機能等を有するデジタル複合機である。画像形成装置1は、画像読取装置10、画像処理装置20、画像印刷装置30、画像送受信装置40、操作パネル50、制御部60を備えて構成される。
画像読取装置10は、原稿から画像を光学的に読み取る装置である。画像読取装置10は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)を有するカラースキャナにより構成される。画像読取装置10は、原稿からの反射光像を、CCDを用いてRGB(R:赤,G:緑,B:青)のアナログ信号として読み取り、当該アナログ信号を、画像処理装置20に入力する。
画像処理装置20は、画像読取装置10によって読み取られたアナログ信号を入力し、入力したアナログ信号に基づく画像データを生成し、当該生成した画像データに所々の処理を実行して出力する装置である。
本実施形態では、画像処理装置20は、画像読取装置10から入力されたアナログ信号に基づく画像データから色の有無を判定するオートカラーセレクション(ACS:Auto Color Selection)判定を行う。さらに、画像処理装置20は、ACS判定により画像データが無彩色のみで構成されたモノクロ画像の画像データであると判定された場合、当該画像データをグレースケール画像の画像データに変換する。さらに、画像処理装置20は、グレースケール画像の画像データを所定の階調数の画像を表現する画像データに変換して出力する。
ここで、グレースケール画像の画像データとは、画像データの各画素の標本値(画素値)に光度(輝度)以外の情報が含まれていない画像データをいう。画素値は、0から画素値として取り得ることが可能な最大の値(以下、最大画素値という)までの何れかの整数値を取るものとする。最大画素値は、画素毎の画素値の量子化のレベル(画素値を表現するデータのサイズ)に基づいて決められる。例えば、画素値を8ビットの情報量で表現する場合、最大画素値は255となる。この場合、画素値が0である画素は最も輝度が低い黒い画素(光が全く無い画素)であり、画素値が255である画素は最も輝度が高い白い画素(光が最大限出力される画素)である。
また、本実施形態では、画像処理装置20が出力する画像データに用いられる画素値の種類の数を階調数という。本実施形態では、階調数に基づき、画像を以下のように分類する。
(1)白黒二値画像(モノクロ2階調)
階調数が2であり、画素値が0と最大画素値との何れかとなる画像をいう。なお、本実施形態では、画像データを白黒二値画像(モノクロ2階調)の画像データに変換することを、白黒二値化処理という。白黒二値化処理は、所定の画素値(輝度)を閾値として固定しておき、画素毎に、当該画素値が閾値未満であれば黒い画素にし、当該画素値が閾値以上である場合であれば白い画素に変化する処理をいう。
(2)グレースケール画像
階調数が2よりも大きく、最大画素値+1である画像をいう。例えば、最大画素値が255であれば、画素値は0から255までの何れかの整数となるため、階調数は256となる。
(3)白黒多値画像
階調数が2よりも大きく、最大画素値以下である画像をいう。例えば、最大画素値が255であれば、階調数が4、8、16といった画像をいう。すなわち、白黒多値画像は、量子化のレベルを限定的にした画像である。なお、本実施形態では、画像データを白黒多値画像の画像データに変換することを白黒多値化処理という。白黒多値化処理において、例えば、階調数が4であれば、画像データに含まれる画素は、黒い画素(画素値が0)、濃い灰色の画素(画素値が96)、薄い灰色の画素(画素値が160)、白い画素(画素値が255)の4種類のうちの何れかの画素となる。
上述のように、本実施形態では、白黒二値画像の階調数は2である。本実施形態では、グレースケール画像の階調数は、画素の画素値を表現する場合における量子化ビット数をkとしたとき、2のk乗である。例えば、グレースケール画像の各画素の画素値を表現する場合における量子化ビット数が8ビットであるとき、当該グレースケール画像の階調数は256である(2の8乗)。白黒多値画像の階調数は、白黒二値画像階調数とグレースケール画像の階調数の間の値となる。つまり、グレースケール画像の階調数をNとすると、白黒多値画像の階調数はMである(ただし、2<M<N)。例えば、グレースケール画像の各画素の画素値を8ビットの情報量で表す場合、白黒多値画像の各画素の画素値は、2ビット以上7ビット以下で表現可能な階調数とする。例えば、各画素の画素値を2ビットの情報量で表す場合、その白黒多値画像の階調数は4であり、各画素の画素値を3ビットの情報量で表す場合、その白黒多値画像の階調数は8であり、各画素の画素値を7ビットの情報量で表す場合、その白黒多値画像の階調数は128である。
画像処理装置20は、画像入力部202、記憶部204、領域判定処理部206、画像処理部208、文字潰れ判定部212、中間画素判定部214、写真領域サイズ判定部216、疑似輪郭判定部218、階調再現処理部220、画像出力部222を備えて構成される。
画像入力部202は、画像読取装置10から入力されたRGBのアナログ信号を受け付け、RGBのアナログ信号をRGBのデジタル信号(即ちRGB信号)へ変換する。これにより、画像入力部202は、RGB信号からなる画像データを生成する。
また、画像入力部202は、画像データに対してACS判定を行う。ACS判定の結果、画像データがモノクロ画像の画像データである場合、当該画像データをグレースケール画像(グレー画像)の画像データに変換する。
記憶部204は、画像データ等の各種データや各種プログラムを記憶する機能部であり、例えば、半導体メモリであるSSD(Solid State Drive)や、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置によって構成される。
領域判定処理部206は、画像データに基づく画像から、文字、図や写真、表、その他といった文書の構成要素を含む領域を判定し、それぞれの構成要素を領域に分離したりする。例えば、領域判定処理部206は、写真を含む領域(写真領域)を検出する場合、画像データにおける各画素に対して、写真を構成する画素であるか否かを判定し、写真を構成する画素によって構成される領域を写真領域として判定する。
写真領域を構成する画素か否かを判定する方法としては、以下の方法を用いることができる。
(1)領域判定処理部206は、注目画素と当該注目画素の周辺画素との画素値の差分を算出し、その大きさを集計し、注目画素を変更させながら、各画素の特徴(周辺画素との画素値の差分の特徴)の判定を行う。このとき、領域判定処理部206は、画素の特徴(例えば、画素値の差分の平均値が所定の閾値以内であるといった特徴)の連続性等から、写真領域を構成する画素であるか否かを判定し、当該写真領域を構成する画素を含む領域を写真領域として判定する。
(2)領域判定処理部206は、画像データに基づく画像を所定の範囲内の画素ブロック(例えば、縦8画素×横8画素)に分割する。次に、領域判定処理部206は、各画素ブロックにおいて、画素ブロックの範囲内における画素の画素値の平均値を算出する。次に、領域判定処理部206は、算出した平均値と、画素ブロックの範囲内における画素の画素値との差分を算出し、集計する。領域判定処理部206は、集計した値を評価値(特徴量)として、画素ブロックごとに、写真の特性を示す画素ブロックであるか否かを判定する。領域判定処理部206は、写真の特性を示す画素ブロックによって構成される領域を写真領域として判定する。
なお、他の領域(文字領域、図の領域、表の領域等)を検出する方法は、上述した写真領域の検出方法のように、注目画素と周辺画素との比較を行う方法や、画素ブロックごとの特徴に基づく方法を用いればよい。
なお、別の方法として、領域判定処理部206は、画像データの各画素を、文字領域、網点領域、下地領域又は写真領域(印画紙領域)の何れかの領域に含まれるか判定し、判定に基づき、画像データを含まれる画素の特徴毎に分離する方法を用いてもよい。
それぞれの画素に分離するアルゴリズムは、既存の領域分離方法を用いることができる。例えば、以下に示すような、特開2002-232708号公報に記載の方法などを用いることができる。
(1)注目画素を含むn×m(たとえば、7画素×15画素)の画素ブロックにおける最小濃度値および、最大濃度値を算出する。なお、濃度値は、画像データにおけるRGB(R:赤、G:緑、B:青)のそれぞれの色信号における濃度値信号(R,G,B)に対して、MIN(R,G,B)の値としてもよいし、濃度値信号に基づいて算出される輝度であってもよい。
(2)算出された最小濃度値及び最大濃度値を用いて最大濃度差を算出する。
(3)注目画素に隣接する画素の濃度差の絶対値の総和である総和濃度繁雑度(たとえば、主走査方向と副走査方向について算出した値の和)を算出する。
(4)算出された最大濃度差と最大濃度差閾値との比較及び算出された総和濃度繁雑度と総和濃度繁雑度閾値との比較を行う。
(5)最大濃度差<最大濃度差閾値および総和濃度繁雑度<総和濃度繁雑度閾値のとき、注目画素は下地・印画紙領域に属すると判定する。
(6)上記条件を満たさないときは、注目画素は文字・網点領域に属すると判定する。
(7)下地・印画紙領域に属すると判定された画素について、注目画素が、最大濃度差<下地・印画紙判定閾値を充たすとき、下地候補画素であると判定し、この条件を充たさないときは、印画紙画素であると判定する。
(8)文字・網点領域に属すると判定された画素について、注目画素が、総和濃度繁雑度<(最大濃度差に文字・網点判定閾値を掛けた値)の条件を充たすとき、文字画素であると判定し、この条件を充たさないときは、網点画素であると判定する。
このように、領域判定処理部206は、画像データを複数の種類の領域に分離する。この場合、領域判定処理部206は、一の領域を判定するとき、他の領域の判定結果を排他的に利用することで、当該一の領域の検出精度を高めることができる。
画像処理部208は、画像データに対して、一般的な画像処理を実行する。画像処理部208は、例えば、画像データに対してエッジ検出を行うためのフィルタ処理や、鮮鋭化処理、階調変換処理等の処理を実行する。
文字潰れ判定部212は、画像データを白黒二値画像に変換した場合、文字潰れを生じるか否かを判定する。文字潰れとは、画像データに用いられる階調数を減じたとき(例えば、グレースケール画像を白黒二値画像に変換したとき)に、文字の画素と下地の画素とが同じ色となり、ユーザによって文字が視認されにくくなることをいう。
文字潰れ判定部212は、文字潰れが生じるか否かを、例えば、以下の処理により判定する。まず、文字潰れ判定部212は、グレースケール画像の画像データから、エッジを検出する。例えば、文字潰れ判定部212は、グレースケール画像にエッジ検出オペレーターを適用したエッジ画像を生成することにより、エッジを検出する。なお、エッジ検出オペレーターとしては、例えば、Prewitt、あるいはSobelと呼ばれる水平方向(x)と垂直方向(y)のオペレーターを用いることができる。同様にして、文字潰れ判定部212は、グレースケール画像に対して白黒二値化処理を実行した画像(白黒二値画像)からエッジを検出する。
つづいて、文字潰れ判定部212は、グレースケール画像から生成したエッジ画像と、白黒二値画像から生成したエッジ画像とを参照して、画素毎に、同一の位置に存在する画素値の差分値を求める。さらに、文字潰れ判定部212は、画像データを所定の大きさのブロックに分割する。そして、文字潰れ判定部212は、ブロック単位に、ブロックに含まれる画素毎の画素値の差分値に基づくヒストグラムの統計値を算出する。
ブロックとは、グレー画像全体を、複数の画素を含む領域に分割した場合における1つの領域であり、例えば、所定の大きさの矩形領域である。ブロックは、円形領域であってもひし形の領域であってもよく、1つの画素が、複数の画素ブロックに属していてもよい。また、統計値は、ヒストグラム(画素値の差分値)のばらつきの大きさを表す値であり、例えば、ヒストグラムのエントロピー値、分散値、標準偏差値、平均値等である。
つづいて、文字潰れ判定部212は、統計値が所定の条件を満たし、文字が含まれるブロックを抽出する。例えば、文字潰れ判定部212は、領域判定処理部206によって文字領域として判定された領域が含まれ、かつ、エントロピー値が所定の値よりも大きいブロックを抽出する。そして、文字潰れ判定部212は、抽出したブロックであって、ブロックが隣接して連続するブロック群を、文字潰れが生じる領域として判定する。
さらに、文字潰れ判定部212は、文字潰れが生じる領域の大きさや数が、所定の閾値以上である場合に、画像データを白黒二値画像に変換したときに文字潰れを生じると判定する。
なお、文字潰れを生じるか否かを判定する方法については、上述した方法の他、公知の方法を用いることができる。例えば、特開2020-010163号公報に基づく方法を用いてもよい。
中間画素判定部214は、画像データに含まれる中間画素が、所定の画素数以上存在するか否かを判定する。中間画素とは、画素値が0から最大画素値の間における所定の区間に含まれる何れかの画素値となる画素をいう。中間画素判定部214は、図2に示すように、累積度数分布計数部2142と、中間画素評価部2144とを含んで構成される。
累積度数分布計数部2142は、グレースケール画像の画像データから、画素値が予め定められた第1の画素値と予め定められた第2の画素値の間に含まれる画素の累積ヒストグラム(頻度の積算値)を算出する。
中間画素評価部2144は、累積ヒストグラムのうち、予め定めた中間画素が多く含まれるか否かの判定に用いられる画素数(判定用画素数)が、予め定めた第1の画素値と予め定めた第2の画素値の間の何れかの頻度の積算値に含まれるか否かを判定する。中間画素評価部2144は、判定用画素数が、第1の画素値と第2の画素値との間の何れかの頻度の積算値に含まれる場合、画像データは中間画素が多く含まれることを判定する。すなわち、中間画素評価部2144は、画像データに含まれる中間画素の数が判定用画素数以上である場合、画像データに中間画素が多く含まれることを判定する。ここで、第1の画素値及び第2の画素値の値を、輝度が低い画素値とすることで、輝度が低い画素(濃い灰色の画素)が多く含まれるか否かを判定することができる。
一般的に、濃い灰色の画素が多い場合、当該画像データには写真の画像が含まれており、当該画像データに対して白黒二値化処理を実行することで、写真の画像が黒潰れを起こす可能性が高いと考えられる。黒潰れとは、白黒二値化処理の閾値となる画素値以下の画素値により構成される画素が連続的に広がっているために、白黒二値化処理により、黒い画素が連続した領域が生じる状態をいう。黒潰れが生じることにより、ユーザは、白黒二値化処理が実行される前に画像データに表されていた画像を識別できなくなる。
また、判定用画素数は、例えば、全画素数に対する所定の割合の画素数に基づいて決定される。所定の割合は、例えば、10%、25%、50%といった値である。なお、判定用画素数は、固定値(例えば、200万画素)であってもよい。所定の割合や固定値は、予め定められていてもよいし、ユーザによって設定可能であってもよい。
具体的な例を図3及び図4を参照して説明する。図3は入力された画像データのグレースケール画像(図3(a))及び当該グレースケール画像に対して白黒二値化処理を実行した後の画像(図3(b))を示す。図4は、図3(a)に示したグレースケール画像の画像データにおける画素値の累積ヒストグラムを示す。
ここで、画像データは、A4サイズの原稿を300dpiの解像度で表現したグレースケール画像の画像データとする。この場合、画像データに含まれる画素の数は、約830万である。また、画像データの最大画素値255とし、第1の画素値を35とし、第2の画素値を120とする。この場合、中間画素は濃い灰色の画素となる。また、判定用画素数を200万(全画素数の約25%)とする。
この場合、累積度数分布計数部2142は、画像データに含まれる画素の画素値を参照して、以下の処理を行う。
(1)画素値が第1の画素値未満又は第2の画素値を超える場合は無視する
累積度数分布計数部2142は、参照した画素の画素値が、第1の画素値である35未満である場合又は第2の画素値である120を超える場合は、当該画素の画素値を無視する。
(2)画素値が第1の画素値から第2の画素値に含まれる場合は画素値毎に計数する
累積度数分布計数部2142は、参照した画素の画素値が、第1の画素値である35以上第2の画素値である120以下の場合、当該画素値のビンに1を加算する。これにより、画素値毎に、その画素値を取る画素の数が数え上げられる。
(3)累積ヒストグラムを生成する
累積度数分布計数部2142は、(2)によって計数した数に基づき、画素値が小さい方から、画素値毎に、累積ヒストグラムを生成する。
このような処理により、累積度数分布計数部2142は、図4に示すような累積ヒストグラムを生成する。図4において、判定用画素数である200万という数値が、第1の画素値である35と第2の画素値である120との間のうちの、画素数が120であるビンに存在する。したがって、中間画素判定部214は、グレースケール画像に中間画素が多く含まれることを判定する。一般的に、濃い灰色の画素が多く含まれるグレースケール画像に対して白黒二値化処理を実行すると、黒潰れが生じる可能性が高い。
写真領域サイズ判定部216は、グレースケール画像に、写真領域が所定以上あるか否かを判定する。写真領域サイズ判定部216は、図2に示すように、写真領域検出部2162と、写真領域比率評価部2164とを含んで構成される。
写真領域検出部2162は、画像データから写真領域を検出する写真領域検出処理を実行する。なお、写真領域検出部2162は領域判定処理部206とは異なり、写真領域のみを判定する。ここで、写真領域検出部2162は、例えば、以下の処理により写真領域を検出する。
まず、写真領域検出部2162は、画像データから、文字を構成する画素を検出し、当該画素をマスクする。これにより、画像データのうち、文字領域を処理の対象から除外する。
つづいて、写真領域検出部2162は、ハーフトーン領域を1又は複数検出し、当該領域に平滑化処理を適用する。つづいて、写真領域検出部2162は、ハーフトーン領域毎に、当該ハーフトーン領域に含まれる画素の画素値のヒストグラム(マスクされたヒストグラム)を作成する。そして、写真領域検出部2162は、ヒストグラムのエントロピー値が所定の値以上あるものを写真画素が含まれる領域(エリア)として判定する。このようにして、写真領域検出部2162は、写真画素によって構成される領域を、写真領域として検出する。
写真領域比率評価部2164は、写真領域検出部2162によって検出された写真領域に含まれる画素数を、画像データの全画素数で割った値を写真領域比率として算出することで、画像データに占める写真領域の割合(比率)を算出する。また、写真領域比率評価部2164は、写真領域比率が予め定められた比率以上であるか否かを判定する。
具体的な例を図5を参照して説明する。図5(a)及び図5(d)は入力された画像データを示した図である。図5(b)及び図5(e)は、図5(a)及び図5(d)に対する、ハーフトーン領域に絞ったヒストグラムに基づくエントロピー(ヒストグラムエントロピー)を示す図である。図5(b)及び図5(e)においては、黒い部分ほどエントロピーが低く、白い部分ほどエントロピーが高いことを示す。図5(c)及び図5(f)は、図5(b)及び図5(e)に示したヒストグラムエントロピーに基づき検出した写真領域の検出結果を示す図である。白い部分が写真領域として検出された領域を示す。
図5(c)に示した写真領域の写真領域比率は約39%である。図5(f)に示した写真領域の写真領域比率は約56%である。ここで、予め定められた比率を50%とした場合、写真領域比率評価部2164は、図5(a)に示した画像データに含まれる写真領域は小さいと評価し、図5(a)に示した画像データに含まれる写真領域は大きいと評価する。
なお、写真領域比率評価部2164は、写真領域検出部2162によって検出された写真領域に基づいて写真領域比率を算出する代わりに、領域判定処理部206によって判定された写真領域に基づいて写真領域比率を算出してもよい。この場合、写真領域サイズ判定部216は写真領域検出部2162を備える必要がなくなり、画像形成装置1の回路規模を減らすことが可能となる。
一方、写真領域比率評価部2164が実行する処理において、領域判定処理部206によって判定された写真領域の情報がハードウェアやソフトウェアの制約等により利用できない場合は、改めて写真領域の判定を実施するために、写真領域検出部2162が必要となる。この場合、写真領域検出部2162は、上述した方法により写真領域を検出してもよいし、領域判定処理部206が実行する処理と同様の処理を実行することで、写真領域を検出してもよいし、例えば、特開2007-234007号公報に基づく方法を用いてもよい。
写真領域検出部2162が、領域判定処理部206において実行される処理と同様の処理を実行した場合、それぞれの機能部において検出される写真領域は、同一となる場合と異なる場合とが生じ得る。具体的には、写真領域検出部2162と領域判定処理部206とにおいて、画像データから写真の特徴を検出するための特徴量の取得方法や処理手順が同一であれば、同一の判定結果が得られる。一方で、特徴量の取得方法や処理手順が異なれば判定結果が異なる。単純な構成にする場合は、写真領域検出部2162と領域判定処理部206とにおいて、特徴量の取得方法や処理手順を共通化させればよい。
このように、写真領域を判定したり取得したりする方法は様々考えられるが、必要とされる写真領域の検出の精度、回路規模、処理量と処理能力、メモリ使用量等を勘案して、画像形成装置1の設計者等が適宜最適な方法を選択することができる。
疑似輪郭判定部218は、グレースケール画像に対して白黒多値化処理を実行した場合に、疑似輪郭が生じるか否かを判定する。疑似輪郭とは、なだらかな階調変化部分を白黒多値化した場合に生じる輪郭のような線(エッジ)をいう。疑似輪郭は、グレースケール画像といった、十分に量子化がされている画像には生じないが、白黒多値画像のような、量子化のレベルが限定的な画像には生じる場合がある。
具体例として図6を参照して説明する。図6(a)は、入力された画像データを示した図である。特に、図6(a)は、本を見開いた状態で本を読み取った場合(ブックスキャン時)におけるグレースケール画像の画像データを示す。図6(b)は、図6(a)に示した画像に対して、白黒多値化処理を実行した場合の画像データを示す。
ここで、本の中央部に影が生じている場合に白黒多値化処理を実行すると、図6(b)の領域E100に示すように、本中央部に疑似輪郭が生じる。この場合、グレースケール画像を白黒多値画像に変換することで、ユーザによって、階段状の輝度の変化が視認されることとなる。
疑似輪郭判定部218は、図2に示すように、疑似輪郭検出部2182と疑似輪郭評価部2184とを含んで構成される。疑似輪郭検出部2182は、疑似輪郭を構成すると見なせる画素(エッジ)を検出する。疑似輪郭評価部2184は、疑似輪郭検出部2182の検出結果に基づき、入力されたグレースケール画像に対して白黒多値化処理を実行した場合に疑似輪郭が生じるか否かを判定する。疑似輪郭判定部218が実行する処理については、後述する。
階調再現処理部220は、グレースケール画像の画像データに対して白黒二値化処理又は白黒多値化処理を実行することで、階調再現処理(中間調生成処理)を行う。階調再現処理部220は、図2に示すように、階調再現処理選択部2202と、白黒多値化処理部2204と、白黒二値化処理部2206とを備えて構成される。
階調再現処理選択部2202は、グレースケール画像データに対して、白黒二値化処理又は白黒多値化処理の何れの階調再現処理を実行するかを選択する。具体的には、階調再現処理選択部2202は、中間画素評価部2144、写真領域比率評価部2164、疑似輪郭評価部2184から出力される判定結果を示す信号(判定信号)に基づき、階調再現処理を選択(判定)する。
例えば、階調再現処理選択部2202は、グレースケール画像に対し白黒二値化処理を実行することを選択した場合、白黒二値化処理部2206に、入力されたグレースケール画像に対して白黒二値化処理することを示す信号(白黒二値化信号)を出力する。一方、階調再現処理選択部2202は、画像データに対して白黒多値化処理を実行することを選択した場合、白黒多値化処理部2204に、入力されたグレースケール画像に対して白黒多値化処理することを示す信号(白黒多値化信号)を出力する。
なお、階調再現処理選択部2202は、グレースケール画像に対して白黒二値化処理及び白黒多値化処理の何れも実行しないことを選択(判定)した場合は、白黒多値化信号及び白黒二値化信号の出力を行わない。この場合は、画像出力部222に入力されたグレースケール画像が、そのまま画像出力部222から出力される。
白黒多値化処理部2204は、画像データに対して白黒多値化処理を実行する。例えば、白黒多値化処理部2204は、画像データの各画素の画素値を参照し、予め定められた規則に基づき、所定の画素値に変換する。例えば、予め定められた規則とは、例えば、画素値が0~63の画素の画素値を0に変換し、画素値が64~127の画素の画素値を96に変換し、画素値が128~191の画素の画素値を160に変換し、画素値が192~255の画素の画素値を255に変換するといったものである。
白黒二値化処理部2206は、画像データに対して白黒二値化処理を実行する。例えば、画素値が0~255であり、閾値として127を用いる場合、白黒二値化処理部2206は、画像データに含まれる画素値が0~127(閾値以下)の画素を画素値が0の画素(黒い画素)に変換し、画像データに含まれる画素値が128~255の画素を画素値が255の画素(白い画素)に変換する。
なお、白黒多値化処理における画素値の変換に関する規則や、白黒二値化処理における閾値は、予め定められていてもよいし、ユーザによって選択されてもよい。また、入力される画像データや画像処理装置20の仕様や能力に基づいて白黒多値化処理部2204や白黒二値化処理部2206が自動的に決定してもよい。
画像出力部222は、画像データを画像印刷装置30や画像送受信装置40に出力する。本実施形態では、画像入力部202によって入力された画像データがモノクロ画像の画像データである場合、画像出力部222は、グレースケール画像の画像データ、白黒二値画像の画像データ、白黒多値画像の画像データの何れかの画像データを出力する。
具体的には、画像出力部222は、画像入力部202からグレースケール画像の入力を受け付ける。この他に、画像出力部222は、白黒二値化処理部2206から出力される白黒二値画像と、白黒多値化処理部2204から出力される白黒多値画像の入力を受け付ける。
画像出力部222は、白黒多値画像が入力された場合、当該白黒多値画像の画像データを出力する。画像出力部222は、白黒二値画像が入力された場合、当該白黒二値画像の画像データを出力する。白黒多値画像及び白黒二値画像の何れも入力されなかった場合は、画像出力部222は、グレースケール画像の画像データを出力する。
なお、画像処理装置20に含まれる中間画素判定部214、写真領域サイズ判定部216、疑似輪郭判定部218は、グレースケール画像において、階調数を減じて出力した場合に、文字潰れ以外の所定の不備を生じさせる特徴を有するか否かを判定する。
中間画素判定部214は、グレースケール画像を白黒二値画像に変換した場合に黒潰れという不備を生じさせる特徴を当該グレースケール画像が有するか否かを判定するための機能部である。制御部60は、中間画素判定部214によって画像データに中間画素が所定の画素数以上含まれると判定された場合、当該画像は黒潰れを生じさせる特徴を有するとして、グレースケール画像を出力するように制御する。
写真領域サイズ判定部216は、グレースケール画像を白黒多値画像に変換した場合にファイルサイズが増大してしまうという不備を生じさせる特徴を当該グレースケール画像が有するか否かを判定するための機能部である。ここで、ある程度の大きさの写真領域を含む画像データを出力する場合において、グレースケール画像のJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式のファイルのファイルサイズよりも、白黒多値化した(ポスタリゼーション)TIFF(Tagged Image File Format)形式のファイルのファイルサイズが大きくなるという逆転現象が生じる場合がある。これは、TIFF形式は、JPEG形式と比べて画素値を表現するために必要となるビット数は少ないが、特に写真領域では画素値が不連続となる部分が多くなり、deflate圧縮を行った場合、データ量が大きくなる傾向があるためである。そのため、ある程度の大きさの写真領域を含む画像データを非可逆圧縮であるJPEG形式で出力する場合に比べて、TIFF形式で出力した場合に、ファイルサイズが大きくなってしまう。そのため、制御部60は、写真領域サイズ判定部216によって写真領域が所定の比率以上含まれると判定された画像データは、白黒多値化処理によりファイルサイズが増大する特徴を有するとして、グレースケール画像を出力するように制御する。
疑似輪郭判定部218は、グレースケール画像を白黒多値画像に変換した場合に疑似輪郭という不備を生じさせる特徴を当該グレースケール画像が有するか否かを判定するための機能部である。制御部60は、疑似輪郭判定部218によって、グレースケール画像に疑似輪郭を生じさせる特徴を有すると判定された場合は、グレースケール画像を出力するように制御する。
画像印刷装置30は、画像処理装置20によって出力された画像データに基づいて、熱転写、電子写真、又はインクジェット等の方式により、記録シート(たとえば記録用紙等)上にカラー画像を形成して出力する出力装置(印刷装置)である。画像印刷装置30は、本開示における画像形成手段として機能する。
画像送受信装置40は、他の装置と通信を行う装置である。画像送受信装置40は、ネットワークカード、モデム等、通信を行うことが可能な装置により構成される。画像送受信装置40は、図示しない公衆回線網、LAN(Local Area Network)又はインターネット等の通信ネットワークに接続可能である。画像送受信装置40は、画像処理装置20によって出力された画像データを、ファクシミリや電子メール等の通信方法により、通信ネットワークを介して、外部の装置へ送信する。
なお、画像送受信装置40は、ファクシミリ等の通信方法により、他の装置から画像データを受信し、受信した画像データを画像処理装置20に入力してもよい。この場合、画像処理装置20は、受信した画像データに対して回転処理や解像度変換処理等の処理を実行する。また、画像処理装置20は、所定の処理が実行された画像データを、画像印刷装置30や画像送受信装置40に出力する。
操作パネル50は、画像形成装置1とユーザとのインターフェイスとして機能する装置である。操作パネル50は、ユーザの操作を受け付けるための操作部52と、各種情報を表示する表示部54によって構成される。
操作部52は、例えば、物理ボタンや、タッチ入力を検出する入力装置によって構成される。タッチ入力を検出する方式は、例えば、抵抗膜方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式といった、一般的な検出方式であればよい。
表示部54は、例えば、LCD(Liquid crystal display)、有機EL(electro-luminescence)パネル、マイクロLED(Light Emitting Diode)ディスプレイ等の表示装置により構成される。
制御部60は、画像形成装置1の全体を制御するための機能部である。制御部60は、後述する記憶部204に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、1又は複数の演算装置(例えば、CPU(Central Processing Unit))により構成されている。
また、制御部60は、画像読取装置10、画像処理装置20、画像印刷装置30、画像送受信装置40、操作パネル50と接続され、これらの装置を制御して、画像形成装置1において実行される各種処理を実行する。
[1.2 処理の流れ]
[1.2.1 処理の概要]
つづいて、図を参照して、本実施形態において、画像処理装置20が実行する処理の流れについて説明する。はじめに、図2を参照して、本実施形態の処理の流れの概要を説明する。
はじめに、画像入力部202は、画像データの生成及びACS判定を行う。画像データがモノクロ画像の画像データである場合、画像入力部202は、グレースケール画像を中間画素判定部214、写真領域サイズ判定部216、疑似輪郭判定部218、画像出力部222、白黒多値化処理部2204、白黒二値化処理部2206に入力する。
疑似輪郭判定部218は、入力されたグレースケール画像を白黒多値化画像に変換する場合に疑似輪郭が生じるか否かを示す判定信号Aを、階調再現処理選択部2202に入力する。写真領域サイズ判定部216は、写真領域比率が予め定められた比率以上であるか否かを示す判定信号Bを、階調再現処理選択部2202に入力する。中間画素判定部214は、画像データに含まれる中間画素の数が、判定用画素数以上であるか否かを示す判定信号Cを、階調再現処理選択部2202に入力する。
階調再現処理選択部2202は、入力された判定信号に基づき階調再現処理を選択し、白黒二値化信号の出力や、白黒多値化信号の出力を行う。白黒二値化処理部2206は、階調再現処理選択部2202から入力された白黒二値化信号に基づき、グレースケール画像に対して白黒二値化処理を実行し、処理後(白黒二値画像)の画像データを画像出力部222に出力する。白黒多値化処理部2204は、階調再現処理選択部2202から入力された白黒多値化信号に基づき、グレースケール画像に対して白黒多値化処理を実行し、処理後(白黒多値画像)の画像データを画像出力部222に出力する。
画像出力部222は、他の機能部から入力された画像データに基づいて、画像データを出力する。具体的には、白黒多値画像又は白黒二値画像の画像データが入力された場合は、当該入力された画像データを出力する。一方で、白黒多値画像及び白黒二値画像の画像データが入力されなかった場合は、画像出力部222は、グレースケール画像の画像データを出力する。
[1.2.2 メイン処理]
つづいて、図7を参照して、画像入力部202においてモノクロ画像の画像データが入力されたと判定され、画像入力部202からグレースケール画像の画像データが出力された場合において、制御部60が実行する処理(メイン処理)の流れについて説明する。
はじめに、制御部60は、文字潰れ判定部212を介して、グレースケール画像を白黒二値画像に変換した場合、文字潰れを生じるか否かを判定する(ステップS102)。
白黒二値画像に変換した場合において文字潰れが生じないと判定した場合、制御部60は、中間画素判定部214を介して、中間画素が多いか否かを判定する(ステップS102;No→ステップS104)。中間画素が少ない場合は、制御部60は、画像データに対して白黒二値化処理を実行する(ステップS104;No→ステップS118)。
具体的には、制御部60は、階調再現処理選択部2202に、中間画素が少ないことを示す判定信号Cを入力する。階調再現処理選択処理部2022は、入力された判定信号Cに基づき、白黒二値化処理を実行することを選択し、白黒二値化処理部2206に対して白黒二値化信号を出力する。白黒二値化処理部2206は、白黒二値化信号に基づき、グレースケール画像に対して白黒二値化処理を実行する。これにより、画像出力部222には、白黒二値画像の画像データが入力される。画像出力部222は、白黒二値画像の画像データを出力する。これにより、画像処理装置20は、グレースケール画像に対して白黒二値化処理を実行した画像の画像データを出力する。
一方、ステップS102において、白黒二値画像に変換した場合において文字潰れが生ると判定した場合(ステップS102;Yes)、又は、ステップS104において中間画素が多いと判定した場合(ステップS104;Yes)、制御部60は、写真領域検出部2162を介して、グレースケール画像に対する写真領域検出処理を実行する(ステップS106)。つづいて、制御部60は、写真領域比率評価部2164を介して、ステップS106において検出された写真領域に基づく写真領域比率が、予め定められた比率である閾値Th以上であるか否かを判定する(ステップS108)。
ここで、ステップS108において、画像データに写真領域がある程度含まれている(写真領域比率が閾値Th以上である)と判定した場合、疑似輪郭の発生の有無を調べるまでもなく、一意にJPEG化してしまう。このようにすることで、特別な判定を必要とすることなく、高速に画像データを出力することができる。また、画像データに含まれる写真領域が小さく、疑似輪郭が発生していない場合は、白黒多値画像を出力することが可能となる。これにより、制御部60は、ファイルサイズ的にも、画質的にも最良となる処理方法によって、画像データを出力することが可能となる。
そこで、ステップS108において、写真領域比率が閾値Th以上である場合、制御部60は、画像データに対してグレースケール化処理を実行する(ステップS108;Yes→ステップS114)。
具体的には、制御部60は、階調再現処理選択部2202に、写真領域比率が予め定められた比率以上であることを示す判定信号Bを入力する。階調再現処理選択処理部2022は、入力された判定信号Bに基づき、白黒二値化処理及び白黒多値化処理の何れの処理も実行しないことを選択する。これにより、画像出力部222には、グレースケール画像データのみが入力される。画像出力部222は、グレースケール画像の画像データを出力する。これにより、画像処理装置20は、グレースケール画像した画像データを出力する。
一方、ステップS108において、写真領域比率が閾値Th未満である場合、制御部60は、疑似輪郭判定部218を介して、疑似輪郭評価処理を実行する(ステップS108;No→ステップS110)。疑似輪郭評価処理については、図8を参照して説明する。
はじめに、疑似輪郭検出部2182は、比較画像を生成する(ステップS152)。比較画像とは、疑似輪郭が生じるか否かを判定するために、グレースケール画像と対比する画像であって、具体的には、グレースケール画像に対して白黒多値処理を実行した画像(白黒多値画像)である。
つづいて、疑似輪郭検出部2182は、グレースケール画像とステップS152において生成した比較画像との差分に基づく差分画像を生成する(ステップS154)。例えば、疑似輪郭検出部2182は、グレースケール画像の画素毎に、当該画素の画素値と、比較画像において対応する位置の画素の画素値との差分を算出する。そして疑似輪郭検出部2182は、当該差分を画素値とした画像(差分画像)を生成する。
差分画像について、例えば、もともとのグレースケール画像において文字が表されていた箇所の画素については、画素値が小さくなる。これは、文字を構成する画素はエッジがはっきりしており、なだらかな階調変化が起きづらいためであり、グレースケール画像における画素と比較画像における画素とで画素の差分値は大きくならない。
一方、なだらかな階調変化が起きている領域では、比較画像において連続した画素が予め定められた種類の画素値の何れかに変換される。そのため、グレースケール画像における画素と比較画像における画素とでは画素の差分値が大きくなる。ここで、なだらかな階調変化が連続的に起きている領域に含まれる画素であって、比較画像において異なる種類の画素値に変換された箇所は、差分画像においては、線(エッジ)として現れる。
つづいて、疑似輪郭検出部2182は、ステップS154において生成した差分画像を最適化する(ステップS156)。例えば、疑似輪郭検出部2182は、差分画像に対して膨張・収縮処理を行うことで、差分画像に現れた線であって、所々繋がらずに切れている複数の線を1つの線に繋げることができる。なお、疑似輪郭検出部2182は、差分画像に現れたノイズを減らしたり、差分画像を先鋭化させたりしてもよい。このように、本実施形態では、差分画像を疑似輪郭の検出に適した画像に修正する処理を最適化という。
つづいて、疑似輪郭検出部2182は、差分画像において画素値が大きい画素を繋げた線分に対して、ラベリングを行う(ステップS158)。ラベリングとは、疑似輪郭の有無を判定するために用いる線分を抽出する処理をいう。
例えば、領域判定処理部206による領域の判定結果に基づき、差分画像のうち文字領域に含まれる線分であって、所定の長さ以上の線分に対してラベリングを行う。これにより、疑似輪郭検出部2182は、差分画像のうち写真領域に生じた線分や、短い線分を無視することができる。
また、疑似輪郭検出部2182は、ラベリングしたそれぞれの線分に対して、線分の位置や長さを算出し、線分と当該線分の位置や長さの情報と対応付ける。
このようにして、疑似輪郭検出部2182は、ラベリングした線分を、疑似輪郭候補として検出(抽出)する(ステップS160)。
つづいて、疑似輪郭評価部2184は、疑似輪郭検出部2182によって検出された疑似輪郭候補に基づき、グレースケール画像に対して白黒多値処理を実行した場合に疑似輪郭が生じるか否かを判定する(ステップS162)。
例えば、疑似輪郭検出部2182は、疑似輪郭候補として検出された線分の長さ、数、向き等に基づき、所定の条件を満たす場合に疑似輪郭が生じると判定する。所定の条件とは、例えば、疑似輪郭候補として検出された線分のうち、所定の方向(例えば、画像データの縦方向)の線分であって、線分の長さが所定の長さ(例えば、画像データの高さの50%以上)である線分が所定の数(例えば、3つ以上)含まれる場合とする。所定の条件は、例えば、予め定められていてもよいし、ユーザによって設定可能であってもよい。なお、線分の方向は、線分の開始位置と終了位置とを結んだ線分を対角線とした矩形の縦横比(アスペクト比)に基づいて判定すればよい。
図7に戻り、疑似輪郭が発生する場合、すなわち、ステップS162において、疑似輪郭が生じると判定した場合、制御部60はグレースケール化処理を実行する(ステップS112;Yes→ステップS114)。具体的には、制御部60は、階調再現処理選択部2202に、疑似輪郭を生じることを示す判定信号Aを入力する。階調再現処理選択部2202は、入力された判定信号Aに基づき、白黒二値化処理及び白黒多値化処理の何れの処理も実行しないことを選択する。これにより、画像出力部222には、グレースケール画像データのみが入力される。画像出力部222は、グレースケール画像の画像データを出力する。これにより、画像処理装置20は、グレースケール画像した画像データを出力する。
一方、疑似輪郭が発生しない場合、すなわち、ステップS162において、疑似輪郭が生じないと判定した場合、制御部60は、白黒多値化処理を実行する(ステップS112;No→ステップS116)。具体的には、制御部60は、階調再現処理選択部2202に、疑似輪郭を生じることを示す判定信号Aを入力する。階調再現処理選択部2202は、入力された判定信号Aに基づき、白黒多値化処理を実行することを選択する。白黒多値化処理部2204は、白黒多値化信号に基づき、グレースケール画像に対して白黒多値化処理を実行する。これにより、画像出力部222には、白黒多値画像の画像データが入力される。画像出力部222は、白黒多値画像の画像データを出力する。これにより、画像処理装置20は、白黒多値化した画像データを出力する。
なお、上述した説明以外であっても、矛盾のない範囲において、ステップの順番を変更したり、一部のステップを省略したりしても構わない。例えば、上述した処理の流れにおいて、文字潰れ判定部212、中間画素判定部214、写真領域サイズ判定部216、疑似輪郭判定部218の各判定部の判定結果が出力される度に対応する処理方法により画像データを出力することとして説明した。しかし、例えば、制御部60は、文字潰れ判定部212の判定結果及び、中間画素判定部214と写真領域サイズ判定部216と疑似輪郭判定部218との判定結果(判定信号A、判定信号B、判定信号C)を取得し、判定結果の組み合わせに基づいて、画像データの処理方法を選択してもよい。
本実施形態によれば、画像処理装置は、画像データに対して白黒二値化処理を実行した場合に文字潰れが生じることを回避し、さらに、写真領域において黒潰れが生じることによる画質の劣化を防止することが可能となる。
また、画像処理装置は、画像データに含まれる写真領域の比率に応じて、白黒多値化処理又はグレースケール化処理を切り替えることができる。ここで、階調再現性を優先するため白黒二値化処理を行わずに、白黒多値画像又はグレースケール画像を出力するモードである写真重視(画質優先)モードにおいて、画像読取装置において複数枚の原稿が読み取られ出力する場合を考える。この場合、グレースケール画像のファイルサイズを低減させるために白黒多値化画像にした場合に却ってファイルサイズが大きくなるという逆転現象が生じる場合がある。このような現象に対して、画像データに含まれる写真領域の比率に基づき、白黒多値化処理又はグレースケール化処理を切り替えるという簡便な方法により対応することが可能となる。これにより、写真重視モードにおいて画像データを出力する場合に、ファイルサイズが最小となる処理方法により、画像データを出力することが可能となる。
また、本実施形態によれば、画像処理装置は、出力される画像データのファイルサイズを削減させるために、ユーザによって白黒多値画像の画像データの出力が所望されている場合において、疑似輪郭がユーザによって視認されることを回避できる。すなわち、本実施形態の画像処理装置は、白黒多値化により疑似輪郭が発生してしまう画像データに対しては、無理に白黒多値化をせず、グレースケール化処理に切り替える。これにより、ユーザは、ブックスキャン時に中央部の浮きに表れる影領域において生じる疑似輪郭を視認したり、目障りと感じてしまったりする現象を回避することができる。
[2.第2実施形態]
つづいて第2実施形態について説明する。第2実施形態は第1実施形態と異なり、写真領域の比率及び疑似輪郭の有無によって、出力する画像データの階調数を決定する実施形態である。第2実施形態は、第1実施形態の図2を図9に、第1実施形態の図7を図10にそれぞれ置き換えたものであり、同一の機能部及び処理には同一の符号を付し、説明については省略する。
なお、本実施形態における画像処理装置20は、第1実施形態の図1に示した機能構成から、文字潰れ判定部212及び中間画素判定部214を省いた構成であってもよい。
図9を参照して、本実施形態の処理の流れの概要を説明する。本実施形態では、画像入力部202によって生成された画像データは、写真領域サイズ判定部216、疑似輪郭判定部218、画像出力部222、白黒多値化処理部2204、白黒二値化処理部2206に入力される。
疑似輪郭判定部218は、入力されたグレースケール画像を白黒多値画像に変換した場合に疑似輪郭が生じるか否かを示す判定信号Aを階調再現処理選択部2202に入力する。写真領域サイズ判定部216は、写真領域比率が予め定められた比率以上であるか否かを示す判定信号Bを階調再現処理選択部2202に入力する。階調再現処理選択部2202は、入力された判定信号に基づき階調再現処理を選択する。選択された階調再現処理に基づき白黒多値化処理部2204又は白黒二値化処理部2206は、入力されたグレースケール画像に対して白黒多値化処理又は白黒二値化処理を実行し、処理後の画像データを画像出力部222に出力する。画像出力部222は、他の機能部から入力された画像データに基づいて、画像データを出力する。
図10を参照して、画像入力部202においてモノクロ画像の画像データが入力されたと判定され、画像入力部202からグレースケール画像の画像データが出力された場合において、制御部60が実行する処理(メイン処理)の流れについて説明する。
はじめに、制御部60は、文字潰れ判定部212を介して、グレースケール画像を白黒二値画像に変換した場合、文字潰れを生じるか否かを判定する(ステップS102)。白黒二値画像において文字潰れが生じない場合、制御部60は、画像データに対して白黒二値化処理を実行する(ステップS102;No→ステップS118)。
一方で、白黒二値画像において文字潰れが生じる場合、制御部60は、写真領域検出部2162を介して、グレースケール画像に対する写真領域検出処理を実行する(ステップS102;Yes→ステップS106)。さらに、制御部60は、写真領域比率評価部2164を介して、ステップS106において検出された写真領域の写真領域比率が、予め定められた閾値Th以上であるか否かを判定する(ステップS108)。
ステップS108において、写真領域比率が閾値Th以上である場合、制御部60は、画像データに対してグレースケール化処理を実行する(ステップS108;Yes→ステップS114)。
ステップS108において、写真領域比率が閾値Th未満である場合、制御部60は、疑似輪郭判定部218を介して、疑似輪郭評価処理を実行する(ステップS108;No→ステップS110)。
疑似輪郭が発生する場合、制御部60はグレースケール化処理を実行する(ステップS112;Yes→ステップS114)。一方で、疑似輪郭が発生しない場合、制御部60は、白黒多値化処理を実行する(ステップS112;No→ステップS116)。
本実施形態によれば、画像処理装置は、出力される画像データのファイルサイズを削減させるために、ユーザによって白黒多値画像の画像データの出力が所望されている場合において、疑似輪郭がユーザによって視認されることを回避できる。
[3.第3実施形態]
つづいて第3実施形態について説明する。第3実施形態は第1実施形態と異なり、文字潰れの有無及び中間画素の数に基づいて出力する画像データの階調数を決定する実施形態である。第3実施形態は、第1実施形態の図2を図11に、第1実施形態の図7を図12にそれぞれ置き換えたものであり、同一の機能部及び処理には同一の符号を付し、説明については省略する。
なお、本実施形態における画像処理装置20は、第1実施形態の図1に示した機能構成から、写真領域サイズ判定部216及び疑似輪郭判定部218を省いた構成であってもよい。
図11を参照して、本実施形態の処理の流れの概要を説明する。本実施形態では、画像入力部202によって生成された画像データは、中間画素判定部214、画像出力部222、白黒二値化処理部2206に入力される。
中間画素判定部214は、入力されたグレースケール画像に含まれる中間画素の数が多いか否かを判定し、判定結果を示す判定信号を階調再現処理選択部2202に入力する。階調再現処理選択部2202は、中間画素が少ないことを示す判定信号が入力された場合は、白黒二値化処理部2206に、白黒二値化信号を出力する。白黒二値化処理部2206は、階調再現処理選択部2202から入力された白黒二値化信号に基づき、白黒二値画像の画像データを画像出力部222に出力する。画像出力部222は、他の機能部から入力された画像データに基づいて、画像データを出力する。
図12を参照して、画像入力部202においてモノクロ画像の画像データが入力されたと判定され、画像入力部202からグレースケール画像の画像データが出力された場合において、制御部60が実行する処理(メイン処理)の流れについて説明する。
はじめに、制御部60は、文字潰れ判定部212を介して、グレースケール画像を白黒二値化処理により白黒二値画像に変換した場合、文字潰れを生じるか否かを判定する(ステップS102)。白黒二値画像において文字潰れが生じる場合、制御部60は、画像データに対してグレースケール化処理を実行する(ステップS102;Yes→ステップS114)。
一方で、白黒二値画像において文字潰れが生じない場合、制御部60は、中間画素判定部214を介して、中間画素が多いか否かを判定する(ステップS102;No→ステップS104)。中間画素が多い場合は、制御部60は、画像データに対してグレースケール化処理を実行する(ステップS104;Yes→ステップS114)。一方、中間画素が少ない場合は、制御部60は、画像データに対して白黒二値化処理を実行する(ステップS104;No→ステップS118)。
本実施形態によれば、画像データに中間画素が多く含まれる領域(例えば、暗い写真領域)が含まれる場合において、画像データを白黒二値画像に変換したときに、中間画素が多く含まれる領域が黒潰れして画質が劣化してしまう現象を回避することが可能となる。
[4.第4実施形態]
つづいて第4実施形態について説明する。第4実施形態は第1実施形態と異なり、写真領域の比率に基づいて出力する画像データの階調数を決定する実施形態である。第4実施形態は、第1実施形態の図2を図13に、第1実施形態の図7を図14にそれぞれ置き換えたものであり、同一の機能部及び処理には同一の符号を付し、説明については省略する。
なお、本実施形態における画像処理装置20は、第1実施形態の図1に示した機能構成から、文字潰れ判定部212、中間画素判定部214及び疑似輪郭判定部218を省いた構成であってもよい。
図13を参照して、本実施形態の処理の流れの概要を説明する。本実施形態では、画像入力部202によって生成された画像データは、写真領域サイズ判定部216、画像出力部222、白黒多値化処理部2204に入力される。
写真領域サイズ判定部216は、入力されたグレースケール画像に対して、写真領域比率が予め定められた比率以上であるか否かを示す判定信号を階調再現処理選択部2202に出力する。白黒多値化処理部2204は、写真領域比率が予め定められた比率未満であることを示す判定信号が入力された場合は、白黒多値化処理部2204に、白黒多値化信号を出力する。白黒多値化処理部2204は、階調再現処理選択部2202から入力された白黒多値化信号に基づき、白黒多値画像の画像データを画像出力部222に出力する。画像出力部222は、他の機能部から入力された画像データに基づいて、画像データを出力する。
図14を参照して、画像入力部202においてモノクロ画像の画像データが入力されたと判定され、画像入力部202からグレースケール画像の画像データが出力された場合において、制御部60が実行する処理(メイン処理)の流れについて説明する。
はじめに、制御部60は、写真領域検出部2162を介して、グレースケール画像に対する写真領域検出処理を実行する(ステップS106)。さらに、制御部60は、写真領域比率評価部2164を介して、ステップS106において検出された写真領域の写真領域比率が、予め定められた閾値Th以上であるか否かを判定する(ステップS108)。
ステップS108において、写真領域比率が閾値Th以上である場合、制御部60は、画像データに対してグレースケール化処理を実行する(ステップS108;Yes→ステップS114)。一方、ステップS108において、写真領域比率が閾値Th未満である場合、制御部60は、白黒多値化処理を実行する(ステップS108;No→ステップS116)。
本実施形態によれば、グレースケール画像のファイルサイズの低減を目的とした白黒多値化処理によって、却ってファイルサイズが大きくなるという現象を、画像データに含まれる写真領域の比率に基づいて適切な処理を実行することで回避することが可能となる。
[5.第5実施形態]
つづいて第5実施形態について説明する。第5実施形態は第1実施形態と異なり、グレースケール画像に対して白黒多値化処理を実行した場合に、疑似輪郭が生じるか否かを判定し、その判定に基づいて、出力する画像データの階調数を決定する実施形態である。第5実施形態は、第1実施形態の図2を図15に、第1実施形態の図7を図16にそれぞれ置き換えたものであり、同一の機能部及び処理には同一の符号を付し、説明については省略する。
なお、本実施形態における画像処理装置20は、第1実施形態の図1に示した機能構成から、文字潰れ判定部212、中間画素判定部214及び写真領域サイズ判定部216を省いた構成であってもよい。
図15を参照して、本実施形態の処理の流れの概要を説明する。本実施形態では、画像入力部202によって生成された画像データは、疑似輪郭判定部218、画像出力部222、白黒多値化処理部2204に入力される。
疑似輪郭判定部218は、グレースケール画像を白黒多値画像に変換した場合に、疑似輪郭が生じるか否かを示す判定信号を階調再現処理選択部2202に出力する。白黒多値化処理部2204は、疑似輪郭が生じないことを示す判定信号が入力された場合は、白黒多値化処理部2204に、白黒多値化信号を出力する。白黒多値化処理部2204は、階調再現処理選択部2202から入力された白黒多値化信号に基づき、白黒多値画像の画像データを画像出力部222に出力する。画像出力部222は、他の機能部から入力された画像データに基づいて、画像データを出力する。
図16を参照して、画像入力部202においてモノクロ画像の画像データが入力されたと判定され、画像入力部202からグレースケール画像の画像データが出力された場合において、制御部60が実行する処理(メイン処理)の流れについて説明する。
はじめに、制御部60は、疑似輪郭判定部218を介して、疑似輪郭評価処理を実行する(ステップS110)。疑似輪郭が発生する場合、制御部60はグレースケール化処理を実行する(ステップS112;Yes→ステップS114)。一方で、疑似輪郭が発生しない場合、制御部60は、白黒多値化処理を実行する(ステップS112;No→ステップS116)。
本実施形態によれば、画像処理装置は、出力される画像データのファイルサイズを削減させるために、ユーザによって白黒多値画像の画像データの出力が所望されている場合において、疑似輪郭がユーザによって視認されることを回避できる。
[6.第6実施形態]
つづいて第6実施形態について説明する。第6実施形態は第4実施形態及び第5実施形態において、入力された画像データに対して白黒二値処理を行ったときに文字潰れが生じない場合は、白黒二値化処理を実行する実施形態である。
図17は、第4実施形態に本実施形態を適用した場合において、制御部60が実行する処理(メイン処理)の流れを示したフロー図である。図17に示すように、はじめに、制御部60は、文字潰れ判定部212を介して、グレースケール画像を白黒二値画像に変換した場合、文字潰れを生じるか否かを判定する(ステップS102)。白黒二値画像において文字潰れが生じない場合、制御部60は、画像データに対して白黒二値化処理を実行する(ステップS102;No→ステップS118)。
ステップS102において、文字潰れを生じる場合は、制御部60は、第4実施形態の図14に示した処理である、ステップS106からステップS116までの処理を実行すればよい。
なお、制御部60は、文字潰れの有無の判定及び写真領域の比率の判定に基づき、画像データに対する処理として、以下の処理を実行してもよい。
(1)文字潰れが生じず、写真領域が閾値Th未満(写真領域が無い場合も含む)であれば、画像データに対して白黒二値化処理を実行する。
(2)文字潰れが生じ、写真領域が閾値Th未満(写真領域が無い場合も含む)であれば、画像データに対して誤差拡散処理を実行する。
(3)文字潰れが生じ、写真領域が閾値Th以上であれば、画像データに対して誤差拡散処理又は白黒多値化処理を実行する。
図18は、本実施形態の動作例を示す図である。図18(a)は、画像入力部202によって入力された画像データを示す。図18(b)は、画像データに対して白黒多値化処理を実行した場合における画像データを示す。図18(c)は、画像データに対して白黒二値化処理を実行した場合における画像データを示す。
図18(b)に示すように、画像データに対して白黒多値化処理を実行した場合は、写真領域に含まれる画素において黒潰れは生じておらず、文字も潰れていない。一方、図18(c)に示すように、画像データに対して白黒二値化処理を実行した場合は、写真領域の一部の領域は黒潰れが生じているが、大半の文字は潰れていない。画像データに対して白黒二値化処理を実行した場合は、画像データに対して白黒多値化処理を実行した場合に比べて、画像データに含まれる階調数が少ないため、一般的にファイルサイズが小さくなる。したがって、出力される画像データについて、画質を優先するかファイルサイズを優先するかを示す設定に応じて、画像データに対する処理を切り替えてもよい。画質を優先するかファイルサイズを優先するかを示す設定は、例えば、ユーザによって切り替えられてもよい。
なお、本実施形態を第5実施形態に本実施形態を適用した場合においても、制御部60は、グレースケール画像を白黒二値画像に変換したときに文字潰れが生じないときは白黒二値化処理を実行すればよい。一方で、制御部60は、グレースケール画像を白黒二値画像に変換したときに文字潰れが生じるときは、制御部60は、第4実施形態の図16に示した処理である、ステップS110からステップS116までの処理を実行すればよい。
本実施形態によれば、文字潰れの判定と写真領域の比率の判定とを組み合わせることによって、画像のファイルサイズを最小限に抑えつつ、文字潰れを生じることのない最適な画像データを出力することができる。また、本実施形態に示した処理を複数枚の原稿を読み取ったときに実行することで、画像処理装置は、原稿の画像データ毎に、最適なスキャンデータに変換した上で所定の処理を実行したり、最適なスキャンデータを出力したりすることができる。
[7.第7実施形態]
つづいて、第7実施形態について説明する。第7実施形態は、第1実施形態から第6実施形態に示したメイン処理において実行される判定や処理に対して、判定の基準(判定値)の調整や処理の内容の切り替えを手動で設定する機能を提供する実施形態である。
例えば、制御部60は、メイン処理を実行する前に、図19に示すような設定画面W700を表示部54に表示する。設定画面W700には、判定の基準を選択するためのリストE700が表示され、選択された基準を適用するためのOKボタンB700や、選択をキャンセルするためのキャンセルボタンB702が併設される。
リストE700には、出力される画像データのサイズを小さくすることを優先するか、出力される画像データに基づく画像の画質を優先するか、画像サイズも画質も偏りのない判定とするといったことを選択可能な項目が表示される。例えば、リストE700には、図19に示すように、画像サイズも画質も偏りのない判定を行うためのレベルを中央のレベルとして5段階のレベルが表示される。ユーザは、リストE700から、所望するレベルを選択する。
なお、制御部60は、初期設定として、画像サイズも画質も偏りのない判定とするためのレベル(図19の例ではレベル3)が選択されるようにする。なお、画像サイズも画質も偏りのない判定を行うための判定値(例えば、判定に用いる閾値)は、画像処理装置20の設計者等により適切な値が設定されている。
図20は、選択されたレベルに対応して制御部60が使用する判定基準や判定値(パラメータセット)、実行する処理の内容を示した表である。
例えば、図20(a)に示すように、制御部60は、選択されたレベルに対応して、判定に用いる基準を示す判定値(パラメータセット)を切り替えてもよい。例えば、制御部60は、レベル1(サイズ優先)が選択された場合はパラメータセットAを使用し、レベル5(画質優先)が選択された場合はパラメータセットEを使用する。
ファイルサイズを優先すべき場合は、制御部60は、白黒多値化や白黒二値化などのよりファイルサイズの小さい処理への判定がされ易いよう各判定処理のパラメータを切り替える。一方、画質を優先すべき場合は、制御部60は、グレースケール化や白黒多値化等の、より画質劣化を抑えられる処理への判定がされ易いよう各判定処理のパラメータを切り替える。
例えば、パラメータセットには、図20(b)に示すように、写真領域サイズ判定部が用いる閾値Thの具体的な値を示す写真領域サイズ閾値(THps)の値が含まれてもよい。この場合、パラメータセットAには写真領域サイズ閾値としてTHps1が含まれ、同様にして、パラメータセットBにはTHps2が、パラメータセットCにはTHps3が、パラメータセットDにはTHps4が、パラメータセットEにはTHps5が含まれる。
ここで、写真領域サイズ閾値を、THps1>THps2>THps3>THps4>THps5とする。これにより、写真領域サイズ閾値としてTHps5が選択された場合は画像データに含まれる写真領域が小さくてもグレースケール化処理が優先的に実行され、画質が優先された画像データが出力される。一方で、写真領域サイズ閾値としてTHps1が選択された場合は、画像データに含まれる写真領域がある程度大きくない限り、白黒多値化処理が優先的に実行され、ファイルサイズが小さい画像データが優先して出力される。
また、図20(c)に示すように、レベルに応じて二値化処理の方法を切り替えてもよい。例えば、制御部60は、パラメータセットA、パラメータセットB及びパラメータセットCを使用する場合は、メイン処理のステップS116において、白黒多値化処理を実行する。一方で、制御部60は、パラメータセットD及びパラメータセットEを使用する場合は、メイン処理のステップS116において、白黒多値化処理の代わりに誤差拡散処理を実行する。
ユーザは、画像形成装置1から出力された画像に基づいて、レベルを調整することができる。例えば、ユーザは、初期状態の設定において出力された画像データのファイルサイズが想定している以上に大きく、メールへの添付が難しくなった場合には、ファイルサイズを少なくする処理を優先的に判定する設定を選択する。具体的には、ユーザは、レベル2(やや画像サイズ優先)や、さらにサイズを抑えるためのレベル1(画像サイズ優先)といった基準を選択する。
一方で、初期状態の設定において出力された画像データの画質が想定している以上に劣化してしまい、送付する相手の心象に影響が出てしまう可能性がある場合、より画質の劣化を抑えられる処理を優先的に判定する設定を選択する。具体的には、ユーザは、レベル4(やや画質優先)や、さらに画質劣化を抑えるためのレベル5(画質優先)といった基準を選択する。
本実施形態によれば、画像形成装置は、メイン処理における判定の判定結果を、ユーザの所望する画像データが出力される判定結果となるように、判定基準等を調整可能な環境を提供することができる。これにより、ユーザは、意図しない階調再現方式での処理や階調数に基づく画像データが出力された場合に、所望するファイルサイズあるいは画質が得られる階調再現処理や階調数に基づく画像データが出力される処理に切り替えることが可能となる。
[8.第8実施形態]
つづいて第8実施形態について説明する。第8実施形態は、第1実施形態から第7実施形態において説明したメイン処理において出力される画像データをプレビュー画面に表示させた上で、ユーザに対して、出力する画像の階調再現方式や階調数を決定させる機能を提供する実施形態である。
本実施形態では、画像データを出力するときにおける階調再現方式を自動的に選択するモード(白黒自動モード)が選択されている場合において、制御部60は、画像データを出力する前に、プレビュー画面を表示する。階調再現方式とは、画像データを出力するときの階調数(例えば、グレースケール、白黒多値、白黒二値)や、実行する階調再現処理(例えば、誤差拡散)や、それらの組み合わせをいう。
例えば、スキャン時のプレビューのように、画像データを出力する前に、スキャン画像の全数をバッファできるモードを備える画像形成装置1において、制御部60は画像データを出力する前に、図21(a)に示す表示画面W800を表示部54に表示する。表示画面W800には、スキャン画像毎に、出力データのプレビュー画像E800及び階調再現方式の名称E802を表示する。プレビュー画像E800や階調再現方式の名称E802は、1つ前又は1つ後のページのスキャン画像のプレビュー画像に切り替えるためのボタンB800及びボタンB802が選択された場合や、スワイプ等のジェスチャ操作がされた場合に切り替える。
制御部60は、プレビュー画像E800がユーザによって選択された場合、当該選択されたプレビュー画像に対応する画像データの階調再現方式を選択する表示画面W810を表示部54に表示する。図21(b)は、表示画面W810の画面例である。
表示画面W810には、現在選択されている階調再現方式によって出力した場合の画像データのプレビュー画像E810と、階調再現方式を選択するためのボタンB810、B812、B814が含まれる。ボタンB810、B812、B814のうち、現在選択されている階調再現方式に対応するボタン(図21(b)においてはボタンB810)が強調表示される。ユーザは階調再現方式を変更したい場合は、所望する階調再現方式に対応するボタンを選択し、OKボタンB816を選択することで、階調再現方式を切り替えることができる。
制御部60は、出力する画像データのそれぞれに対して階調再現方式が決定した場合、当該選択された階調再現方式に応じて、画像データを出力する。
本実施形態によれば、ユーザは所望の階調再現方式に切り替えて、画像データを出力することが可能となる。
[9.変形例]
本開示は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。すなわち、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施の形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
また、上述した実施形態は、説明の都合上、それぞれ別に説明している部分があるが、技術的に可能な範囲で組み合わせて実行してもよいことは勿論である。
また、実施形態において各装置で動作するプログラムは、上述した実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的に一時記憶装置(例えば、RAM)に蓄積され、その後、各種ROM(Read Only Memory)やHDD等の記憶装置に格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。
ここで、プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROMや、不揮発性のメモリカード等)、光記録媒体・光磁気記録媒体(例えば、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto Optical Disc)、MD(Mini Disc)、CD(Compact Disc)、BD (Blu-ray(登録商標) Disk) 等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等の何れであってもよい。また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本開示の機能が実現される場合もある。
また、市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本開示に含まれるのは勿論である。
1 画像形成装置
10 画像読取装置
20 画像処理装置
202 画像入力部
204 記憶部
206 領域判定処理部
208 画像処理部
212 文字潰れ判定部
214 中間画素判定部
216 写真領域サイズ判定部
218 疑似輪郭判定部
220 階調再現処理部
222 画像出力部
30 画像印刷装置
40 画像送受信装置
50 操作パネル
52 操作部
54 表示部
60 制御部

Claims (9)

  1. 画像を読み取る画像読取部と、
    前記画像を2値化した場合に文字潰れが生じるかの判定をする第1判定部と、
    前記画像のうち写真領域が含まれる割合を判定する第2判定部と、
    前記第1判定部及び前記第2判定部の判定結果に基づいてモノクロのN階調の画像データに変換する制御部と、
    を備えたことを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記制御部は、前記第1判定部により、文字潰れが生じないと判定された場合、前記画像データをモノクロ2階調の画像データに変換することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記制御部は、
    前記画像に含まれる写真の領域の割合が判定値以上の場合は、前記画像を、モノクロのN階調の画像データに変換し、
    前記画像に含まれる写真の領域の割合が閾値未満の場合は、前記画像をモノクロのM階調(2<M<N)の画像データに変換する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
  4. 前記制御部は、前記判定値をユーザの操作により切り替えることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
  5. 前記画像に所定の画像処理を実行した場合に、疑似輪郭が発生するかを判定する第3判定部を更に備え、
    前記制御部は、前記画像に所定の画像処理を実行した結果、
    前記疑似輪郭が発生する場合は、前記画像をモノクロのN階調の画像データに変換し、
    前記疑似輪郭が発生しない場合は、前記画像をモノクロのM階調(2<M<N)の画像データに変換する
    ことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の画像処理装置。
  6. 前記制御部は、前記第1判定部にて文字潰れが生じると判定した場合のみ、前記画像をモノクロのN階調の画像データ又はM階調の画像データに変換することを特徴とする請求項3から5の何れか一項に記載の画像処理装置。
  7. 前記N階調は、画像を量子化したときに各画素を8ビットで表現可能であり、
    前記M階調は、画像を量子化したときに各画素を2ビット以上7ビット以下で表現可能であることを特徴とする請求項3から6の何れか一項に記載の画像処理装置。
  8. 画像を読み取る画像読取ステップと、
    前記画像を2値化した場合に文字潰れが生じるかの判定をする第1判定ステップと、
    前記画像のうち写真領域が含まれる割合を判定する第2判定ステップと、
    前記第1判定ステップ及び前記第2判定ステップの判定結果に基づいてモノクロのN階調の画像データに変換する制御ステップと、
    を含むことを特徴とする制御方法。
  9. コンピュータに、
    画像を読み取る画像読取機能と、
    前記画像を2値化した場合に文字潰れが生じるかの判定をする第1判定機能と、
    前記画像のうち写真領域が含まれる割合を判定する第2判定機能と、
    前記第1判定機能及び前記第2判定機能の判定結果に基づいてモノクロのN階調の画像データに変換する制御機能と、
    を実現させることを特徴とするプログラム。
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