図1に示すように、本実施形態による便器装置1は、便器本体2と、便座(不図示)と、機能部3と、機能部カバー(不図示)と、を有している。以下の説明では、便座に着座した使用者の前方を前側とし、その反対側の後方を後側とし、これらを結ぶ水平方向を前後方向(図面の矢印Aの方向)とする。前後方向に直交する水平方向を幅方向(図面の矢印Bの方向)とする。
図2では、便器本体2の便鉢21を示し、便鉢21の周囲に設けられる便器本体2の周壁部26(図1参照)を省略している。便鉢21は、便器本体2の前側部分に位置している。便鉢21は、下部に位置し洗浄水を溜める溜水部22と、上部の周縁部に位置するリム23と、を有している。便鉢21には、洗浄時に溜水部22の水中に洗浄水を吐出するジェット吐水口24と、洗浄時にリム23に洗浄水を溜水部22の上方から便鉢21に吐出するリム吐水口25と、が形成されている。
図2から図4に示すように、機能部3は、給水、貯水、洗浄などの各種機能を有している。機能部3は、便鉢21の下側および便鉢21の後側に配置されている。機能部3は、下部側31が便器本体2の周壁部の内側に配置され、上部側32が便器本体2よりも上方に突出している。機能部3の上部側32で便器本体2よりも上方に突出している部分は、便鉢21の後側に配置されている。機能部カバーは、便器本体2の上に配置され、機能部3の上部側32で便器本体2よりも上方に突出している部分を覆う。
機能部3は、洗浄水タンク34(タンク)と、ポンプ(給水部)35(図3および図4参照)と、洗浄機構36と、を有している。機能部3は、上記以外の機能も有している。洗浄水タンク34は、前側部分341が便鉢21の下方(便鉢21と床との間)に配置され、後側部分342が便鉢21の後方に配置されている。前側部分341と後側部分342とは一体である。後側部分342は、前側部分341よりも高さがあり、便鉢21よりも上側に突出している。洗浄水タンク34には、給水管(不図示)から給水される。ポンプ35は、洗浄水タンク34の洗浄水を洗浄機構36へ圧送する。
図5に示すように、洗浄水タンク34の後側部分342には、洗浄水タンク34のオーバーフロー水が流れるリム側オーバーフロー流路343およびジェット側オーバーフロー流路344が接続されている。リム側オーバーフロー流路343は、リム吐水口25(図2参照)に連通される。リム側オーバーフロー流路343を流れるオーバーフロー水は、リム吐水口25から便鉢21の内部に吐出される。ジェット側オーバーフロー流路344は、ジェット吐水口24(図2参照)に連通される。ジェット側オーバーフロー流路344を流れるオーバーフロー水は、ジェット吐水口24から便鉢21の溜水部22の水中に吐出される。洗浄水タンク34のオーバーフロー水は、ポンプ、洗浄水タンク34への給水または洗浄機構の不具合などによりポンプを通過できずに洗浄水タンク34から溢れた洗浄水を示している。
リム側オーバーフロー流路343とジェット側オーバーフロー流路344とは、離れた位置に配置されている。本実施形態では、リム側オーバーフロー流路343とジェット側オーバーフロー流路344とは、幅方向に離れた位置に配置されている。リム側オーバーフロー流路343は、洗浄水タンク34の後側部分342の幅方向の一方側の上部に接続され、ジェット側オーバーフロー流路344は、洗浄水タンク34の後側部分342の幅方向の他方側の上部に接続されている。リム側オーバーフロー流路343は、洗浄水タンク34から上方に延び、そこから幅方向の他方側に延びてから下方に延びてリム吐水口25につながる洗浄機構のリム洗浄流路43に接続されている。ジェット側オーバーフロー流路344は、洗浄水タンク34から上方に延び、そこから幅方向の一方側に延びてから下方に延びてジェット吐水口24につながる洗浄機構のジェット洗浄流路42に接続されている。ジェット側オーバーフロー流路344は、上部側がバキュームブレーカのケース6の内部に配置されている。
リム側オーバーフロー流路343の上端部343aは、ジェット側オーバーフロー流路344の上端部344aよりも下側に位置している。リム洗浄流路43およびジェット洗浄流路42は、いずれもから圧送された洗浄水が流れる。リム洗浄流路43は、リム吐水口25から吐水するリム洗浄を行う際に洗浄水が流れる。ジェット洗浄流路42は、ジェット吐水口24から吐水するジェット洗浄を行う際に洗浄水が流れる。
洗浄水の吐水流量は、ポンプ35の回転数を調整することで調整する。ポンプ35の回転数を上昇させると、洗浄水の吐水流量も上昇する。ポンプ35の回転数を減少させると、洗浄水の吐水流量も減少する。ポンプ35の回転数が上昇して洗浄水の吐水流量が上昇するに従って、ポンプ35から圧送される洗浄水の水圧も上昇する。ポンプ35の回転数が減少して吐水流量が減少するに従って、ポンプ35から圧送される洗浄水の水圧も減少する。
洗浄機構36は、ポンプ接続流路41と、ジェット洗浄流路42(図3参照)と、リム洗浄流路43(図4参照)と、切替機構部5と、を有している。ポンプ接続流路41は、ポンプ35に接続されポンプ35が圧送する洗浄水が流入する。切替機構部5は、ポンプ接続流路41の下流に接続される切替弁51と、制御部56(図3参照)とを有している。制御部56は、ポンプ35の回転数(ポンプ回転数)を調整してポンプ35から切替弁51に供給される洗浄水の水量を調整する。図3では、制御部56を破線で示している。制御部56は、所望の位置に設けられていてよい。切替弁51の下流には、ジェット洗浄流路42およびリム洗浄流路43が接続される。切替弁51は、ポンプ35から供給される洗浄水の水量に応じて、ポンプ接続流路41からの洗浄水が流れる流路をジェット洗浄流路42およびリム洗浄流路43の一方、他方、両方のいずれかに切り替えて、ジェット洗浄とリム洗浄とを切り替え可能に構成されている。ジェット洗浄流路42を流れる洗浄水は、図2に示すジェット吐水口24から溜水部22に吐水される。リム洗浄流路43を流れる洗浄水は、図2に示すリム吐水口25からリム23に吐水される。以下では、ジェット吐水口24からの洗浄水の吐水をジェット洗浄と称し、リム吐水口25からの洗浄水の吐水をリム洗浄と称することがある。
図6に示すように、切替弁51は、ポンプ接続流路41(図3および図4参照)から洗浄水が流入する流入部52と、流入部52の下流に接続され洗浄水をジェット洗浄流路42(図3参照)へ流すジェット通水部53と、流入部52の下流に接続され洗浄水をリム洗浄流路43(図4参照)へ流すリム通水部54と、を有している。ジェット通水部53およびリム通水部54は、それぞれ流入部52に直接接続されている。ジェット通水部53およびリム通水部54には、流入部52から洗浄水が直接流入する。
図7に示すように、ジェット通水部53は、ジェット吐水流量調整弁531と、オーバーフロー流入部55と、を有している。ジェット吐水流量調整弁531は、ジェット通水部53を開閉し、ジェット通水部53を通る洗浄水の量を調整してジェット洗浄の吐水流量を調整可能に構成されている。ジェット吐水流量調整弁531は、ジェット通水部53の上流側の端部に設けられている。オーバーフロー流入部55は、ジェット側オーバーフロー流路344が接続され、ジェット側オーバーフロー流路344を流れたオーバーフロー水が流入するように構成されている。オーバーフロー流入部55は、ジェット吐水流量調整弁531の下流側に設けられている。オーバーフロー流入部55には、逆止弁551が設けられ、ジェット洗浄時にはジェット吐水流量調整弁531を通過した洗浄水が流入しないように構成されている。
ジェット吐水流量調整弁531は、第1弁体532と、第1弁座533と、第1ばね部材534と、を有している。第1弁体532は、第1弁座533の下流側に設けられていて、第1ばね部材534によって第1弁座533に近づく方向(上流側に向かう方向)に押されている。ジェット吐水流量調整弁531は、流入部52に洗浄水が流入しない通常時および流入部52流入した洗浄水の水圧が所定の水圧よりも小さい場合には、第1弁体532が第1弁座533と接触し、ジェット通水部53の流路を閉鎖している(閉鎖状態)。すなわち、ジェット吐水流量調整弁531は、流入部52に流入する洗浄水の水量が所定の水量よりも小さい場合には、ジェット通水部53の流路を閉鎖する。
図8に示すように、流入部52に流入した洗浄水の水圧が所定の水圧以上になると、洗浄水の水圧によって第1弁体532が下流側に押される。これにより、第1ばね部材534が弾性変形して、第1弁体532が下流側に移動して弁座と離れる。ジェット吐水流量調整弁531は、第1弁体532と第1弁座533との間に隙間ができ、ジェット通水部53の流路を開放する(開放状態)。すなわち、ジェット吐水流量調整弁531は、流入部52に流入する洗浄水の水量が所定の水量以上の場合には、ジェット通水部53の流路を開放する。
ジェット吐水流量調整弁531が閉鎖されている状態から洗浄水の吐水流量を上昇させて水圧を上昇させた際に、ジェット吐水流量調整弁531の第1弁体532が第1弁座533から離れて開放状態になる洗浄水の水圧を「ジェット開放水圧」とする。洗浄水の水圧がジェット開放水圧になると、ジェット吐水流量調整弁531は、第1弁体532と第1弁座533との間の開口が徐々に大きくなり、開放状態になる。洗浄水の吐水流量を減少させて水圧をジェット開放水圧から減少させると、第1弁体532と第1弁座533との間の開口は徐々に小さくなり、閉鎖状態になる。
ジェット通水部53には、ジェット吐水流量調整弁531の下流に、整流部535を有する。整流部535は、弁座の下流側に接続されている。整流部535は、例えば、洗浄水が流れる方向に延びる板材が十字形を形成するように交差した形状である。整流部535は、開放状態のジェット吐水流量調整弁531の第1弁体532と第1を通過し乱流が生じやすい洗浄水をジェット洗浄流路42に向かって均一に流すために設けられている。
上述しているように、オーバーフロー流入部55は、ジェット吐水流量調整弁531の下流側に設けられるとともに、ジェット洗浄時には逆止弁551によってジェット吐水流量調整弁531を通過した洗浄水が流入しないように構成されている。このため、ジェット側オーバーフロー流路344を流れ、オーバーフロー流入部55からジェット通水部53に流入した洗浄水タンク34のオーバーフロー水は、ジェット吐水流量調整弁531が閉鎖している場合(ジェット洗浄が行われていない場合)に、ジェット洗浄流路42に流入してジェット吐水口24から便鉢の内部に吐水可能となる。リム側オーバーフロー流路343は、切替弁51を介してジェット洗浄流路42に接続されている。
図7に示すように、リム通水部54は、リム吐水流量調整弁541を有している。リム吐水流量調整弁541は、リム通水部54を開閉し、リム通水部54を通る洗浄水の量を調整してリム洗浄の吐水流量を調整可能に構成されている。リム吐水流量調整弁541は、リム通水部54の上流側の端部に設けられている。リム吐水流量調整弁541は、第2弁体542と、第2弁座543と、第2ばね部材544と、を有している。第2弁体542は、第2弁座543の上流側に設けられていて、第2ばね部材544によって第2弁座543と離れる方向(下流側に向かう方向)に押されている。
リム吐水流量調整弁541は、流入部52に洗浄水が流入しない通常時および流入部52に流入した洗浄水の水圧が所定の水圧よりも小さい場合には、第2弁体542が第2弁座543から離れ、リム通水部54の流路を開放している(開放状態)。すなわち、リム吐水流量調整弁541は、流入部52に流入する洗浄水の水量が所定の水量よりも小さい場合には、リム通水部54の流路を開放する。
図8に示すように、流入部52に流入した洗浄水の水圧が所定の水圧以上になると、洗浄水の水圧によって第2弁体542が下流側に押される。これにより、第2ばね部材544が弾性変形し、第2弁体542が下流側に移動して弁座と接触する。リム吐水流量調整弁541は、第2弁体542と第2弁座543との隙間がなくなり、リム通水部54の流路を閉鎖する(閉鎖状態)。すなわち、リム吐水流量調整弁541は、流入部52に流入する洗浄水の水量が所定の水量以上の場合には、流路を閉鎖する。
リム吐水流量調整弁541が開放されている状態から洗浄水の吐水流量を上昇させて水圧を上昇させた際に、リム吐水流量調整弁541の第2弁体542が第2弁座543側(下流側)に移動し、第2弁体542が第2弁座543側と接触して閉鎖状態になる洗浄水の水圧を「リム閉鎖水圧」とする。洗浄水の水圧がリム閉鎖水圧になると、リム吐水流量調整弁541は第2弁体542と第2弁座543との間の開口は徐々に小さくなり閉鎖状態になる。吐水流量を減少させて洗浄水の水圧がリム閉鎖水圧から減少すると、第2弁体542と第2弁座543との間隔が徐々に大きくなり、開放状態になる。
ジェット開放水圧は、リム閉鎖水圧よりも小さく設定されている。これにより、リム通水部54が開放され、ジェット通水部53が閉鎖している状態から洗浄水の吐水流量を上昇させて水圧を上昇させると、ジェット開放水圧に達しジェット通水部53が開放状態となった後に、リム閉鎖水圧に達してリム吐水流量調整弁541が閉鎖状態になる。すなわち、リム洗浄とジェット洗浄とが切り替わる移行時には、図8に示すように、ジェット通水部53およびリム通水部54の両方の流路が開放される。このため、ジェット洗浄およびリム洗浄の両方の流路が閉鎖されて洗浄水の流路が塞がれたり、洗浄水の流路が急に切り替わったりすることが無く、リム洗浄とジェット洗浄との切り替えをスムーズに行うことができる。
リム洗浄のみを行う場合の洗浄水の水圧をリム洗浄水圧とする。リム洗浄水圧は、ジェット開放水圧よりも小さく設定されている。ジェット洗浄のみを行う場合の洗浄水の水圧をジェット洗浄水圧とする。ジェット洗浄水圧は、リム閉鎖水圧よりも大きく設定されている。洗浄水の水圧がリム洗浄水圧となるポンプ35の回転数をリム洗浄回転数とする。洗浄水の水圧がジェット洗浄水圧となるポンプ35の回転数路ジェット洗浄回転数とする。本実施形態では、リム洗浄水圧、ジェット開放水圧、リム閉鎖水圧、ジェット洗浄水圧の順に水圧が大きくなる。リム洗浄水圧、ジェット開放水圧、リム閉鎖水圧およびジェット洗浄水圧をそれぞれ設定することにより、ジェット吐水流量調整弁531と、リム吐水流量調整弁541と、をそれぞれ独立して制御可能である。
制御部56(図3参照)は、ポンプ35の回転数(ポンプ回転数)を調整してポンプ35から切替弁51に供給される洗浄水の水圧を調整することで、ジェット通水部53およびリム通水部54のいずれに洗浄水を流すかを制御するとともに、リム洗浄の吐水流量およびジェット洗浄の吐水流量を調整する。
制御部56は、図10に示すように、洗浄開始の信号を受信すると、ポンプ回転数を0からリム洗浄回転数まで上昇させる。ポンプ回転数の上昇に従って、洗浄水の吐水流量も上昇する。ポンプ回転数がリム洗浄回転数に達すると、洗浄水の水圧がリム洗浄水圧となり、リム洗浄(第1リム洗浄)が行われる。ポンプ回転数が0より大きくリム洗浄回転数に達する間も、図7に示すように、リム吐水流量調整弁541が開放されているため、リム洗浄が行われる。ポンプ回転数を0からリム洗浄回転数の間で調整することにより、洗浄水の吐水流量を調整することができる。
制御部56は、図10に示すように、上記の第1リム洗浄が所定時間経過すると、ポンプ回転数をジェット洗浄回転数まで更に上昇させる。ポンプ回転数が上昇して洗浄水の水圧がジェット開放水圧に達すると、図9に示すようにリム吐水流量調整弁541が開放されたまま、ジェット吐水流量調整弁531が開放されてリム洗浄およびジェット洗浄の両方が行われる。このリム洗浄およびジェット洗浄の両方が行われる範囲は、図10の符号Cの範囲である。図10に示すように、ポンプ回転数が上昇して洗浄水の水圧がリム閉鎖水圧に達すると、リム吐水流量調整弁541が閉鎖され、ジェット洗浄のみが行われる。ポンプ回転数がジェット洗浄回転数となり洗浄水の水圧がジェット洗浄水圧に達すると、引き続きジェット洗浄のみが行われる。ポンプ回転数がジェット洗浄回転数となると、リム吐水流量調整弁541は完全に閉鎖されている。ポンプ回転数をリム洗浄回転数からジェット洗浄回転数の間で調整することにより、洗浄水の吐水流量を調整することができる。
制御部56は、上記のジェット洗浄が所定時間経過すると、ポンプ回転数をリム洗浄回転数まで減少させる。ポンプ回転数の減少に従って、洗浄水の吐水流量も減少する。ポンプ回転数を減少させて水圧がリム閉鎖水圧より小さくなると、図9に示すようにジェット吐水流量調整弁531が開放されたまま、リム吐水流量調整弁541が開放され、ジェット洗浄およびリム洗浄の両方が行われる。この、リム洗浄およびジェット洗浄の両方が行われる範囲は、図9の符号Dの範囲である。図9に示すように、ポンプ回転数を減少させて水圧がジェット開放水圧より小さくなると、ジェット吐水流量調整弁531が閉鎖され、リム洗浄のみとなる。ポンプ回転数がリム洗浄回転数となると、引き続きリム洗浄(第2リム洗浄)が行われる。ポンプ回転数がリム洗浄回転数となると、ジェット吐水流量調整弁531は完全に閉鎖されている。ポンプ回転数をジェット洗浄回転数からリム洗浄回転数の間で調整することにより、洗浄水の吐水流量を調整することができる。制御部56は、上記の第2リム洗浄が所定時間経過すると、ポンプ回転数を0まで減少させる。ポンプ回転数が減少するとポンプ35から圧送される洗浄水の量が減少するとともに、洗浄水の水圧も小さくなる。ポンプ回転数が0となるとリム洗浄が停止する。
リム側オーバーフロー流路343の上端部343aは、ジェット側オーバーフロー流路344の上端部344aよりも下側に位置している。リム側オーバーフロー流路343の上端部343aと、ジェット側オーバーフロー流路344の上端部344aとの高低差により、洗浄水タンク34のオーバーフロー水は、ジェット側オーバーフロー流路344の上端部344aよりもリム側オーバーフロー流路343の上端部343aを早く通過する。このため、洗浄水タンク34のオーバーフロー水を、ジェット吐水口24よりも先にリム吐水口25から吐水させることができ、ジェット吐水口24から吐水される際には、リム吐水口25からも吐水することになる。
オーバーフロー水は、リム吐水口25から吐水される場合はリムに沿って流れ、ジェット吐水口24から吐水される場合は、溜水部22にたまった洗浄水の中に吐水される。このため、オーバーフロー水は、リム吐水口25から吐水される場合の方が、ジェット吐水口24から吐水される場合よりも使用者に認識されやすい。上述しているように、便器装置1は、洗浄水タンク34のオーバーフロー水をジェット吐水口24よりも先にリム吐水口25から吐水させることができ、ジェット吐水口24から吐水される際には、リム吐水口25からも吐水することになる。これにより、洗浄水タンク34のオーバーフローが生じた際には、オーバーフロー水の量に関わらず低流量の場合もリム吐水口25から吐水されるため、洗浄水タンク34のオーバーフローを使用者が容易に認識することができる。
上記の実施形態による便器装置1は、リム側オーバーフロー流路343は、切替弁51に接続され、切替弁51を介してジェット洗浄流路42に接続されている。これにより、ジェット洗浄とリム洗浄とを切り替える洗浄機構を利用して洗浄水タンク34のオーバーフロー水を便鉢21に吐水することができる。このため、リム側オーバーフロー流路343をリム吐水口25に直接接続する場合と比べて、流路の長さを短くできて簡便な構造となり、小型化やコストダウンを図ることができる。
本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記の実施形態では、洗浄水タンク34のオーバーフロー水が先にリム吐水口25から吐水され、次にジェット吐水口24から吐水される。これに対し、洗浄水タンク34のオーバーフロー水がリム吐水口25のみから吐水されてもよい。
上記の実施形態では、リム側オーバーフロー流路343の上端部343aがジェット側オーバーフロー流路344の上端部344aよりも下側に位置している。これに対し、リム側オーバーフロー流路343の上端部343aとジェット側オーバーフロー流路344の上端部344aとの位置関係は、上記以外であってもよい。水頭圧を利用して洗浄水タンク34のオーバーフロー水が先にリム吐水口25から吐水され、次にジェット吐水口24から吐水されるようにしてもよい。
上記の実施形態では、ジェット側オーバーフロー流路344は、切替弁51に接続されている。これに対し、ジェット側オーバーフロー流路344は、切替弁51に接続されずに直接ジェット吐水口24に連通していてもよい。ジェット側オーバーフロー流路344に代わってリム側オーバーフロー流路343が切替弁51のリム通水部54に接続され、リム側オーバーフロー流路343を流れたオーバーフロー水を切替弁51を介してリム吐水口25に連通していてもよい。
上記の実施形態では、ジェット開放水圧は、リム閉鎖水圧よりも小さく設定されている。これに対し、ジェット開放水圧は、リム閉鎖水圧よりも大きく設定されていてもよい。これにより、リム通水部54が開放され、ジェット通水部53が閉鎖している状態から洗浄水の吐水流量を上昇させて水圧を上昇させると、ジェット開放水圧に達しジェット通水部53が開放状態となる前に、リム閉鎖水圧に達してリム吐水流量調整弁541が閉鎖状態になる。すなわち、リム洗浄とジェット洗浄とが切り替わる移行時には、ジェット通水部53およびリム通水部54の両方の流路が閉鎖される。このため、ジェット洗浄およびリム洗浄を独立して行うことができ、洗浄水の吐水流量を抑えることができる。
ジェット吐水流量調整弁531は、第1弁体532と、第1弁座533と、第1ばね部材534と、を有している。第1弁体532は、第1弁座533の下流側に設けられていて、第1ばね部材534によって第1弁座533に近づく方向(上流側に向かう方向)に押されている。ジェット吐水流量調整弁531は、流入部52に洗浄水が流入しない通常時および流入部52に流入した洗浄水の水圧が所定の水圧よりも小さい場合には、第1弁体532が第1弁座533と接触し、ジェット通水部53の流路を閉鎖している(閉鎖状態)。すなわち、ジェット吐水流量調整弁531は、流入部52に流入する洗浄水の水量が所定の水量よりも小さい場合には、ジェット通水部53の流路を閉鎖する。