JP2022086934A - ホットスタンプ成形装置およびホットスタンプ成形方法 - Google Patents
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Abstract
Description
スプレー塗装は、有機溶剤による人体や環境上の懸念があるほか、塗装をしない部分にはマスキングを要するなど、工程上の手間があった。また、メッキ塗装の場合は、十分な膜厚を得るために、さらに塗装が必要な場合もあった。
また、特に耐傷性が求められるラジエータグリルの加飾に塗料による塗装を用いた場合、必要な膜厚を確保するために複数回の塗装を施す必要があった。
また、車両のラジエータグリルのような、特殊な形状を有する被加飾体に対する加飾方法も開示されている(特許文献2)。
さらに、被加飾体が加飾を要する面積に関わらず、一定量の加飾シートを必要とするという問題もあった。
(1)請求項1の発明は、上部チャンバーと下部チャンバーとを備えるチャンバーと、前記下部チャンバー内部に配設され、加飾シート片を固定した被加飾体を載置する載置台と、前記加飾シート片を加熱するヒータと、前記上部チャンバーまたは前記下部チャンバーのいずれかの開口部を覆うように固定され、前記加飾シート片の上方に配設される分画シートと、前記チャンバー内を減圧する真空ポンプと、を備えるホットスタンプ成形装置を提供する。
この場合、加飾シート片と被加飾体の密着性を向上させることができる。
この場合、加飾シート片と被加飾体の密着性を向上させることができる。
この場合、加飾シート片に対し、真上から適切な圧力を掛けることができるため、加飾位置のずれが抑制される。
さらに、加飾シート片が加飾部分の大きさに合わせて裁断されるため、加飾シートが局所的な熱変形を起こすことがなく、エアー溜りやしわが生じにくくなるという効果を有する。
本実施形態に係るホットスタンプ成形装置1は、上部チャンバー102と下部チャンバー104の間を分画シート18や押圧体38で分画することにより、大面積の加飾シートの替わりに、加飾シート片36を用いることができる。加飾シート片36を用いることにより、局所的な熱変形を抑制することが可能となる。そして、加飾シート片36を用いることで、加飾シートの使用量を抑制することができ、加飾が必要な部分に、必要なだけの3次元加飾を実現することができる。
以下、図を用いて本実施形態の詳細について説明する。
図1に示すように、第一の実施形態に係るホットスタンプ成形装置1は、上部チャンバー102、吊持部12、下部チャンバー104、支持部14、載置台16、加圧タンク24、および真空ポンプ22を備える。また、ホットスタンプ成形装置1は不図示のヒータ20を備える。
上部チャンバー102は、次項の下部チャンバー104とともに、チャンバー10を構成する。チャンバー10は、内部に載置した被加飾体を加工するための筐体である。上部チャンバー102は吊持部12により吊持される。上部チャンバー102は不図示の駆動装置により、上昇および下降することができる。上部チャンバー102が下降して下部チャンバー104と密接することで、チャンバー10内に密閉空間を形成することができる。
下部チャンバー104はチャンバー10を構成する。下部チャンバー104は内部に支持部14、載置台16を備える。本実施形態において、支持部14は固定されている。しかしながら、支持部14の構造はこれに限られるものではなく、支持部14が駆動装置によって上昇または下降し、載置台16が応動するものであっても良い。
載置台16は下部チャンバー104内に設置される台である。載置台16は支持部14に支持される。載置台16は後述する下治具30や被加飾体32、枠体34を載置する。載置台16は、上下方向に貫通する小さな穴を多数備える。後述する真空ポンプ22がこの小さな穴を通じて載置台16上の空気を除去し、減圧する。
真空ポンプ22はチャンバー10内を減圧するためのポンプである。真空ポンプ22は下部チャンバー104側から空気を除去する。図1は真空ポンプ22が通気管を通じて下部チャンバー104と接続されている様子を示す。真空ポンプ22としては、例えば市販の気体輸送式真空ポンプが用いられる。本実施形態の真空ポンプ22は、チャンバー10内を0.06MPa以下に減圧することができる。
なお、真空ポンプ22を通気管により上部チャンバー102と接続し、上部チャンバー102側も減圧できるようにしてもよい。この場合、上部チャンバー102と下部チャンバー104の圧力差を制御することが出来る。
加圧タンク24は、チャンバー10内を加圧するための装置である。本実施形態において、加圧タンク24は上部チャンバー102側から加圧する。図1は加圧タンク24が通気管を通じてチャンバー10と接続されている様子を示す。上部チャンバー102側を加圧することで、後述する分画シート18や押圧体38に圧が掛かり、加飾シート片36を被加飾体32に密着させる。加圧タンク24としては市販の加圧ポンプが好適に用いられる。本実施形態の加圧タンク24はチャンバー10内を0.1MPa以上に加圧するものであり、好ましくは0.5MPa以上に加圧するものである。
下治具30は被加飾体32を固定するための治具である。図1に示すように、下治具30は載置台16上に載置される。被加飾体32の形状に合わせ、下治具30の形状は適宜変更することができる。
被加飾体32は加飾の対象となる部材である。被加飾体32は立体形状を有しており、一部または全体に凸形状や凹形状を有してもよい。被加飾体32として例えば、自動車のラジエータグリルやエアコンの吹出口、センターパネルなどが挙げられる。図2に示すように、被加飾体32は下治具30に固定される。
枠体34は上下方向が開放された、上面視で四角形の枠である。図3に示すように、枠体34は載置台16上に載置され、また、枠体34は被加飾体32を囲うように配設される。枠体34の高さは、加飾フィルムが固定された被加飾体32よりも高くなるよう設計される。
なお、枠体34の上面視形状は四角形に限られるものではなく、例えば円形や、四角以外の多角形であってもよい。
ヒータ20は加飾シート片36を加熱するための加熱装置である。例えば、ヒータ20は上部チャンバー102の内側上部に配設され、チャンバー10内部全体を加熱する。ただし、これに限られるものではなく、他の部位に備え付けられていても良い。例えば、ヒータ20は下部チャンバー104に配設されていても良い。またその他の例として、ヒータ20が電熱線を備えており、この電熱線を上記枠体34に巻き付けることで枠体34周辺を加熱するようにしても良い。この場合、枠体34内部に配設される加飾シート片36を選択的かつ効率的に加熱できるという利点がある。
加飾シート片36は、被加飾体32の加飾部分の大きさに合わせてあらかじめ裁断された加飾シートである。加飾シート片36は意匠性のある表面部を具備する。また加飾シート片36は、複数の層を備える。本実施形態における加飾シート片36は、少なくとも接着層、装飾層、および保護層を備える。接着層は加熱条件下において被加飾体に接着する層である。接着層として例えば、熱可塑性接着剤や、粘着剤が挙げられる。装飾層は加飾後の被加飾体の意匠性に寄与する層である。装飾層には例えば、木目調や石目調、光沢調の意匠が印刷、及び蒸着される。保護層は加飾シート片の表面を保護する層である。当該保護層により、被加飾体は耐傷性や耐候性を得ることができる。
押圧体38は加飾シート片36を被加飾体32に押圧するための弾性体である。押圧体38は枠体34の上側を覆うように配設される。
図5は押圧体38が枠体34上に架設された状態を示す。下治具30、被加飾体32、および被加飾体32上の加飾シート片36は、載置台16、枠体34および押圧体38に囲われた空間内に包含される。
後述するチャンバー内の圧変化工程において、押圧体38は加飾シート片36を物理的に押圧し、加飾シート片36と被加飾体32を密着させる。
分画シート18は上部チャンバー102と下部チャンバー104を分画するシートである。図6に示すように、分画シート18は上部チャンバー102の開口部を覆うように配設される。本実施形態において、分画シート18は上部チャンバー102端部に固定される。
分画シート18は気密性を保つため、空気を通さない素材が用いられる。分画シート18を構成する素材として例えば、アクリル(メタクリル)樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂などの樹脂、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコンゴム、ウレタンゴムなどのゴム素材が好適に用いられる。
なお、後述する変形例のように(図13、図14)、押圧体38と分画シート18は一体化させても良い。
本実施形態のホットスタンプ成形方法は、上述のホットスタンプ成形装置1を使用して被加飾体32の表面に加飾シート片36を密着させて成形する真空成形方法であって、以下の工程を備える。以下、図を参照しつつ説明する。
(2)前記上部チャンバー102と下部チャンバー104を密接させ、チャンバー10を密閉する工程、
(3)前記加飾シート片36を加熱した状態で前記チャンバー10内を減圧し、前記加飾シート片36を前記被加飾体32に密着させる工程、
(4)チャンバー10内の上部チャンバー102側を加圧する工程、
(5)加圧・減圧状態を解除し、チャンバー10を開放して加工後の被加飾体32を取り出す工程
図1はチャンバー10内部の載置台16上に、下治具30を載置した状態を示す。下治具30を用いることにより、後述する被加飾体32が加飾中に移動し、加飾部分にずれが生じることを防ぐ。図に示すように、下治具30は載置台16上に複数載置することができる。
なお、本実施形態では下治具30を用いる方法を説明するが、被加飾体32が加工中に移動等せず、安定するのであれば、下治具30は用いなくてもよい。
なお、分画シートはこの段階で取り付けるのではなく、あらかじめ上部チャンバー102に固定していても良い。
図7はチャンバー10を密閉した状態を示す。図7中の白抜き矢印は、上部チャンバー102が下降したことを示す。本実施形態では、上部チャンバー102を下降させ、下部チャンバー104と密接させる。このとき、上部チャンバー102と下部チャンバー104で形成された内部空間は密閉された状態であり、気密性を有する。また、分画シート18は上部チャンバー102と下部チャンバー104を分画し、上部チャンバー102と下部チャンバー104間で空気の移動は生じない。なおこの状態において、分画シート18は押圧体38と接触し、緊張状態にあることが好ましい。押圧体38を固定するためである。
図8は加飾シート片36を加熱した状態を示す。不図示のヒータ20によってチャンバー10内部を加熱する。熱可塑性を有する加飾シート片36が加熱により柔らかくなり、被加飾体32に密着しやすくなる。
加飾シート片36が加工しやすくなる温度は素材によって異なるが、通常この工程におけるチャンバー10内部の温度は90度から200度になるよう設定され、特に100度から140度の間が好適に用いられる。
なお本実施形態において減圧とは、下部チャンバー104内部が0.06MPa以下になることを意味する。
また、被加飾体周辺空間が減圧されることにより、弾性を有する押圧体38は、被加飾体周辺空間の体積が小さくなるよう変形する。この結果、押圧体38が加飾シート片36を押圧するため、被加飾体32と加飾シート片36がさらに密着する。
図9に示すように、チャンバー10には加圧タンク24に接続されている。本実施形態におけるホットスタンプ成形装置1は分画シート18を備えているため、分画シート18より上側と下側で圧の状態を変えることができる。
本実施形態において、まず上部チャンバー102側の減圧状態を解除することにより、押圧体38が加飾シートを強く押圧する。その後、加圧タンク24を用いて上部チャンバー102側を加圧状態にする。この加圧により、押圧体38が加飾シート片36をさらに強く押圧するため、加飾シート片36と被加飾体32はより強力に密着する。
なお、本項の加圧工程が無くても加飾シート片36と被加飾体32は密着するが、加圧工程を加えることにより加飾シート片36と被加飾体32は強力に密着する。
図10は減圧・加圧状態を解除し、チャンバー10内を常温に戻して開放した状態を示す。図10中の白抜き矢印は、上部チャンバー102が上昇したことを示す。上記所定の減圧・加圧時間経過後は、減圧・加圧状態を解除し、被加飾体周辺空間を常圧に戻す。また、チャンバー10を開放することで、被加飾体32を冷却(放冷)する。
なおここで、加飾シート片36の余剰部分を除去する工程を加えても良い。例えば、抜型やレーザーカットを用いて余剰部分を除去することができる。
第二の実施形態は、複数の被加飾部分を備える被加飾体32に、複数の独立した加飾シート片36を固定し、加飾するものである。
ここで、図11はチャンバー10を密閉する前の状態を示している。第一の実施形態の説明における図6に対応する。ホットスタンプ成形方法は上述した方法と同様であるため省略する。
第三の実施形態も第二の実施形態と同様、複数の加飾部分を備える被加飾体32に、複数の独立した加飾シート片36を固定し、加飾するものである。
ここで、図12はチャンバー10を密閉する前の状態を示している。第一の実施形態の説明における図6の状態に対応する。ホットスタンプ成形方法は上述した方法と同様であるため省略する。
ラジエータグリルの様に、被加飾体の基体部分が占める面積が大きい一方で、加飾部分の面積が小さい被加飾体の場合、スプレー塗装では加飾不要な部位にも加飾されてしまう可能性がある。また、被加飾部分よりも加飾部分の面積が小さいラジエータグリルの形状を鑑みると、不要な塗装を防ぐマスキング自体が大掛かりになる。さらに、加飾シートを用いた加飾であっても、ラジエータグリルのように作業面積が大きく、かつ加飾部分が全体として曲面を備える被加飾体の場合、大判の加飾シートを用いて加飾すると、被加飾体の中心部分と周辺部分で加飾態様に差異が生じてしまうという問題があった。
また、被加飾体の形状に合わせて加飾シート片を用意できるため、被加飾体の中心部分と周辺部分の加飾に差異が生じにくいという利点もある。
本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
以下の変形例で参照する図面は、いずれもチャンバー10を密閉する前の状態を示している。第一の実施形態の説明における図6の状態に対応する。
図13は本実施形態の変形例を示したものである。上述の実施形態では、押圧体38と分画シート18が別々に用意されていた。しかし、これに限られるものではなく、図13に示すように、押圧体38と分画シート18が一体になっていても良い。これは、分画シート18の所定の位置に押圧体38を埋め込んだものである。この場合、同一の枠体34を用いて連続して加飾を行う際に、毎回押圧体38を配設しなくても良いという利点がある。
図14に示すように、押圧体38を複数用意するのではなく、押圧体38を分画シート18と一体化させ、1枚にしても良い。この場合、連続して加飾を行う際に、毎回押圧体38を配設しなくても良いという利点がある。さらに、押圧時に押圧体38と枠体34とのずれが生じにくくなるという利点がある。
図15に示すように、枠体34を用いずに加飾することもできる。この場合、枠体34を載置する工程を省くことができるという利点がある。本変形例において、載置台16の縁部分に載置する被加飾体32と、載置台16の中央部分に載置する被加飾体32では、押圧体38に掛かる圧力に差が生じるため、そのような差異が大きく影響しない被加飾体32の加飾に有効に用いられる。例えば、被加飾体32が少数の場合の加飾である。
図16に示すように、分画シート18を上部チャンバー102ではなく、下部チャンバー104に固定しても良い。この場合、上部チャンバー102の下降時に押圧体38がずれることを防ぐことができるという利点がある。
10 チャンバー
102 上部チャンバー
104 下部チャンバー
12 吊持部
14 支持部
16 載置台
18 分画シート
22 真空ポンプ
24 加圧タンク
30 下治具
32 被加飾体
34 枠体
36 加飾シート片
38 押圧体
(1)請求項1の発明は、上部チャンバーと下部チャンバーとを備えるチャンバーと、前記下部チャンバー内部に配設され、別個独立した複数の加飾シート片を直接接するように固定した被加飾体を載置する載置台と、前記加飾シート片を加熱するヒータと、前記上部チャンバーまたは前記下部チャンバーのいずれかの開口部を覆うように固定され、前記加飾シート片の上方に配設される分画シートと、前記チャンバー内を減圧する真空ポンプと、を備えるホットスタンプ成形装置を提供する。
Claims (5)
- 上部チャンバーと下部チャンバーとを備えるチャンバーと、
前記下部チャンバー内部に配設され、加飾シート片を固定した被加飾体を載置する載置台と、
前記加飾シート片を加熱するヒータと、
前記上部チャンバーまたは前記下部チャンバーのいずれかの開口部を覆うように固定され、前記加飾シート片の上方に配設される分画シートと、
前記チャンバー内を減圧する真空ポンプと、
を備えるホットスタンプ成形装置。 - さらに前記チャンバー内を加圧する加圧タンクを備えることを特徴とする、請求項1に記載のホットスタンプ成形装置。
- 上部チャンバーと下部チャンバーとを備えるチャンバー内に、加飾シート片を固定した被加飾体を載置する工程、
前記上部チャンバーと下部チャンバーを密接させ、チャンバーを密閉する工程、
前記加飾シート片を加熱した状態で前記チャンバー内を減圧し、前記加飾シート片を前記被加飾体に密着させる工程、
を備えることを特徴とする、ホットスタンプ成形方法。 - 前記加飾シート片を前記被加飾体に密着させる工程が、さらに前記チャンバー内の上部チャンバー側を加圧する工程を含むことを特徴とする、請求項3に記載のホットスタンプ成形方法。
- 前記加飾シート片を固定した被加飾体を載置する工程が、さらに当該被加飾体の周囲に枠体を載置する工程を含むことを特徴とする、請求項3または4に記載のホットスタンプ成形方法。
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