JP7389972B1 - ホットスタンプ成形品のリサイクル方法およびリサイクルシステム - Google Patents

ホットスタンプ成形品のリサイクル方法およびリサイクルシステム Download PDF

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Abstract

Figure 0007389972000001
【課題】高い耐候性を有する加飾済み被加飾体から、加飾体を除去し、被加飾体をリサイクルすることを可能とする。
【解決手段】リサイクルシステム1は、再生したい被加飾体から加飾体を除去するための表層変性処理装置20(例えばプラズマ処理装置21)を備える。また、リサイクルシステム1のサーバ40は、最適処理条件予測プログラムP10備え、機械学習により最適な表層変性(プラズマ)処理条件を導出する。得られた表層変性処理条件により表層変性処理を行うことにより、加飾体の除去漏れ(処理不足)や、リサイクルする被加飾体に焦げが生じること(過剰処理)を防ぐことができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ホットスタンプ成形品のリサイクル方法およびリサイクルシステムに関するものである。
自動車や二輪車、船舶の内外装を装飾(加飾)する有力な方法の一つとして、ホットスタンプ成形が挙げられる。ホットスタンプ成形は、有機溶剤を使用する必要がないことや、選択的に加飾を施すに際し、マスキングを必要としないこと、成形工程において乾燥工程を必要としないことなどの利点がある。
特許文献1は、大判の加飾シートの替わりに加飾部分の大きさに合わせてあらかじめ裁断されている加飾シート片を用いる、ホットスタンプ成形装置やホットスタンプ成形方法について開示している。
ところで近年において、環境への負荷を低減する技術が特に求められている。
加飾済みのホットスタンプ成形品についても、加飾部分を除去し、被加飾体をリサイクルする技術が求められている。
しかしながら、被加飾体、特に、自動車部品などのように、高耐候性を求められる被加飾体から、加飾体を除去することは困難である。加飾体と被加飾体は接着剤などにより十分に密着し、また、加飾体を多層膜にすることなどにより、高耐候性を付与しているためである。
また、加飾から相当の時間が経過し、さらに日光照射下などの過酷な環境に置かれることにより、加飾体や接着剤などが変質し、より除去しにくくなっている場合も考えられる。
加飾部分を除去する方法として有機溶剤等による洗浄が挙げられるが、有機溶剤の使用による環境負荷が大きいため、採用ができない。
また、ブラシやカッターなどで加飾体を削ぐことも考えられるが、加飾シート部分の膜厚(全体)は通常500μm以下であるため、加飾部分のみをきれいに除去することは難しい。
よって、環境負荷が大きくなく、被加飾体を損傷しない他の手段が求められる。
特許文献2には、塗装された合成樹脂成形品を、該合成樹脂成形品が変形しない状態で加熱処理してから冷却処理し、次いで粉砕分別することを特徴とする塗装された合成樹脂成形品の再利用方法が開示されている。
しかしながら、ここで挙げられているのは塗装されている合成樹脂品であり、塗装部分に接着剤が含まれる場合や、接着剤層を含む多層膜である場合については言及されていない。
さらに、加熱処理で被加飾体に焦げなどが着いた場合、被加飾体がリサイクルに適さなくなる。
つまり、加熱処理を用いる場合、処理が不十分であれば加飾体が除去できず、処理が過剰であれば被加飾体に損傷を与えてしまうという問題がある。
特許第6843363号公報 特開平11-188730号公報
解決しようとする問題点は、加飾されている被加飾体から加飾体を除去してリサイクルするにあたり、接着層を含む多層構造の加飾体を除去することが困難である点、また、そのための適切な処理条件の発見が困難である点である。
本発明は、熱可塑性接着剤を含む接着剤層を含む加飾体(加飾シート片など)で被加飾体を加飾すること、またその加飾体を除去するにあたり、表層変性処理を行うことを最も主要な特徴とする。
プラズマ処理などの表層変性処理は、通常表面改質に用いられることが多いが、本発明はこの表層変性処理を加飾体の除去に用いている点が特徴である。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、例えば以下の手段を採用している。
すなわち、ホットスタンプ成形により被加飾体を加飾シートで加飾する工程、および被加飾体から加飾体を除去して被加飾体をリサイクルする工程を備え、
前記加飾シートは、熱可塑性接着剤を含む接着層を備え、
前記被加飾体から加飾体を除去して被加飾体をリサイクルする工程は、
コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、または高温熱風処理を含む表層変性処理により加飾体を変性させる表層変性処理工程を含むことを特徴とする、ホットスタンプ成形品のリサイクル方法を提供する。
本発明に係るホットスタンプ成形品のリサイクル方法は、例えば高い耐候性を有する加飾済み被加飾体からであっても、加飾体を除去し、被加飾体をリサイクルできるという利点がある。
また、加飾体の除去に際し、表層変性処理を行うことにより、加飾体に含まれる熱可塑性接着剤が溶融し、除去しやすくなる。
最適処理条件予測システムの概要を示す図(ネットワーク構成図)である。 本実施形態のホットスタンプ成形装置10を示す図である。 本実施形態における端末30のハードウェア構成図である。 本実施形態におけるサーバ40のハードウェア構成図である。 本実施形態の下治具を載置する工程を示す図である。 本実施形態の被加飾体を固定する工程を示す図である。 本実施形態の枠体を載置する工程を示す図である。 本実施形態の加飾シート片を固定する工程を示す図である。 本実施形態の押圧体を配設する工程を示す図である。 本実施形態の分画シートを配設する工程を示す図である。 本実施形態のチャンバーを密閉する工程を示す図である。 本実施形態の加飾シート片を加熱する工程を示す図である。 本実施形態のチャンバー内を減圧する工程を示す図である。 本実施形態の取り出し工程を示す図である。 ホットスタンプ成形方法における第二の実施形態を示す図である。 ホットスタンプ成形方法における第三の実施形態を示す図である。 ホットスタンプ成形方法における第四の実施形態を示す図である。 データ取得処理を示すフローチャートである。 処理条件学習処理を示すフローチャートである。 処理条件推論処理を示すフローチャートである。
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の各実施形態では、同一又は対応する部分については同一の符号を付して説明を適宜省略する場合がある。
また、以下に用いる図面は本実施形態を説明するために用いるものであり、実際の装置の構成などとは異なる場合がある。
(実施形態の概要)
本実施形態の概要について、図1を用いて説明する。
図1は、リサイクルシステム1の概要を示す図(ネットワーク図)である。
リサイクルシステム1は、ホットスタンプ成形により被加飾体に加飾するためのホットスタンプ成形装置10と、再生したい被加飾体から加飾体を除去するための表層変性処理装置20とを備える。表層変性処理装置20は、例えばプラズマ処理装置21であり、被加飾体の表層に密着している加飾体を変性させて除去することができる。
ホットスタンプ成形装置10はホットスタンプ成形方法を提供し、表層変性処理装置20はリサイクル方法を提供する。
また、リサイクルシステム1は、端末30とサーバ40を備える。端末30とサーバ40は、前述のリサイクル方法において、少なくとも表層変性処理装置20のデータを取得し、機械学習を用いて最適な表層変性処理条件を導出する。
サーバ40は、この機械学習を実行するための最適処理条件予測プログラムP10を備える。
(実施形態の詳細)
以下、本実施形態に係るリサイクルシステム1について、詳細を説明する。
リサイクルシステム1は、リサイクル方法を提供する表層変性処理装置20のほか、最適な表層変性処理条件を予測する最適処理条件予測プログラムP10を備えるサーバ40を含み、ユーザに対し、最適な表層変性処理条件をオンラインで提供する。
すなわちリサイクルシステムシステム1において、最適処理条件予測プログラムP10による情報処理が、ハードウェア資源を用いて具体的に実現される。
以下、リサイクルシステム1を構成する、1.装置、2.製造・リサイクル方法、3.プログラム処理、および4.データについて順に説明する。
(用語の定義)
ここで、いくつか言葉の定義を行う。
「表層変性」は、被加飾体の少なくとも一部分(表層)を加飾している加飾体における性質の変化である。この性質の変化により、加飾体が被加飾体から除去しやすくなる。
例えば、加飾シートの熱可塑性接着剤層を加熱することで、接着剤を溶融し、除去しやすくすることなどが挙げられる。
このほか、加飾体にダメージを与え、劣化させることも変性に含まれる。
「処理対象物品に係るデータ」は、被加飾体などの処理対象物に関するデータである。装置の設定に係るデータや、処理(ホットスタンプ成形、表層変性処理)に係るデータと区別するための用語である。
便宜上、機械学習の学習段階における処理対象物品に係るデータを、「学習用処理対象物品データ」、推論段階における処理対象物品に係るデータを「推論用処理対象物品データ」と称する場合がある。
ただし、「学習用処理対象物品データ」から正解データを除いて機械学習モデルのテストに用いる場合や、「推論用処理対象物品データ」に正解データを紐づけて「学習用処理対象物品データ」とする場合があるため、「学習用処理対象物品データ」と「推論用処理対象物品データ」は由来がまったく別のデータとは限らない。
処理対象物品に係るデータは例えば、加飾前の被加飾体(成形前サンプル)や加飾済み被加飾体(成形サンプル)に係るデータである。
例えば、「学習用処理対象物品データ」は、ホットスタンプ成形に関わる加飾前の被加飾体(成形前サンプル)に関するデータと、表層変性処理に関わる加飾済み被加飾体(成形サンプル)に関するデータの双方を含み得る。
「加飾シート部分の膜厚」は、(接着層、装飾層、および保護層を備える)加飾シート全体の膜厚を意味するほか、接着層、装飾層、または保護層いずれか単独の膜厚であってもよい。また、接着層、装飾層、または保護層のうち、任意の複数の層の合計の膜厚であってもよい。
「表層変性処理に係るデータ」は、表層変性処理工程に係るデータである。例えば、表層変性処理装置20などの装置の設定に係るデータや、実際の処理により得られるデータである。このほか、表層変性処理装置20の環境条件に係るデータも含み得る。
「表層変性処理の結果に係るデータ」は、加飾体除去度などの表層変性処理の程度や、表層変性処理が成功したか失敗したかなどの結果を示すデータである。
「最適」の語は、コンピュータが算出する範囲での最適を意味する。例えば、最適な処理条件という場合は、機械学習モデル等が予測する限りでの最適な処理条件であり、他に最良となる処理条件はあり得る。
「3Dデータ」は、3Dスキャナにより得られる、三次元構造を表すためのデータである。3Dデータには、3Dスキャナで取得したデータを変換したデータも含む。例えば点群データをメッシュデータに変換するような場合である。データ形式として、点群データ、メッシュ(ポリゴン)データ、CADデータが挙げられる。
「ユーザ」は、リサイクルシステム1や、リサイクルシステム1が備える各装置を使用するユーザである。
1.装置
図1に示すように、本実施形態のリサイクルシステム1は、ホットスタンプ成形装置10、表層変性処理装置20、端末30、およびサーバ40を備える。また、少なくとも端末30とサーバ40は、ネットワークNを介して接続されている。ネットワークNは例えばインターネットなどである。
上述した通り、サーバ40は最適処理条件予測プログラムP10を備える。
また、端末30は、最適処理条件予測プログラムP10とデータを送受信し、最適処理条件予測プログラムP10を操作するためのソフトウェア(アプリケーションソフトウェアS20。以下「アプリS20」とする。)をインストールしている。
以下、各装置について説明する。
<ホットスタンプ成形装置10>
ホットスタンプ成形装置10は、被加飾体に加飾フィルム(本実施形態では加飾シート片17)を密着させるための装置である。
ホットスタンプとは、加熱した箔(加飾シート)を被加飾体に押圧し、転写する技術を指す。ホットスタンプは箔押しとも呼ばれる。塗装と異なり、ホットスタンプは直接塗工(直接印刷)を必要としない。またホットスタンプは、乾燥工程を必要としないという利点がある。
本発明に適したホットスタンプ成形装置10は、特許第6843363号明細書、米国特許出願第17/520306号明細書、または欧州特許出願第21815091号明細書に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
またこれは、後述する製造方法(ホットスタンプ成形方法)でも同様である。
図2は本実施形態のホットスタンプ成形装置10を示す図である。
図2に示すように、第一の実施形態に係るホットスタンプ成形装置10は、上部チャンバー111、吊持部121、下部チャンバー112、支持部122、載置台123、真空ポンプ141、および加圧タンク142を備える。また、ホットスタンプ成形装置10は不図示のヒータ143を備える。
<上部チャンバー111>
図2に示すように、上部チャンバー111は、次項の下部チャンバー112とともに、チャンバー110を構成する。チャンバー110は、内部に載置した被加飾体を加工するための筐体である。上部チャンバー111は吊持部121により吊持される。上部チャンバー111は不図示の駆動装置により、上昇および下降することができる。上部チャンバー111が下降して下部チャンバー112と密接することで、チャンバー110内に密閉空間を形成することができる。
<下部チャンバー112>
下部チャンバー112はチャンバー110を構成する。下部チャンバー112は内部に支持部122、載置台123を備える。本実施形態において、支持部122は固定されている。しかしながら、支持部122の構造はこれに限られるものではなく、支持部122が駆動装置によって上昇または下降し、載置台123が応動するものであっても良い。
<載置台123>
載置台123は下部チャンバー112内に設置される台である。図2に示すように、載置台123は支持部122に支持される。載置台123は後述する下治具151や被加飾体16、枠体152を載置する。載置台123は、上下方向に貫通する小さな穴を多数備える。後述する真空ポンプ141がこの小さな穴を通じて載置台123上の空気を除去し、減圧する。
<分画シート130>
分画シート130は上部チャンバー111と下部チャンバー112を分画するシートである。図2に示すように、分画シート130は上部チャンバー111の開口部を覆うように配設される。本実施形態において、分画シート130は上部チャンバー111端部に固定される。
分画シート130は気密性を保つため、空気を通さない素材が用いられる。分画シート130を構成する素材として例えば、アクリル(メタクリル)樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂などの樹脂、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコンゴム、ウレタンゴムなどのゴム素材が好適に用いられる。
なお、後述する変形例のように(図17)、押圧体153と分画シート130は一体化させても良い。
分画シート130は、後述するチャンバー110内の圧変化工程において、上部チャンバー111と下部チャンバー112との間の圧力差を維持する。
加飾シートにより上部チャンバー111と下部チャンバー112を分画する場合と比較すると、加飾機能を有しない分画シート130を別途用いることで、加飾シートを節約できる利点がある。
<真空ポンプ141>
真空ポンプ141はチャンバー110内を減圧するためのポンプである。真空ポンプ141は下部チャンバー112側から空気を除去する。
図2は真空ポンプ141が通気管を通じて下部チャンバー112と接続されている様子を示す。真空ポンプ141としては、例えば市販の気体輸送式真空ポンプが用いられる。本実施形態の真空ポンプ141は、チャンバー110内を0.06MPa以下に減圧することができる。
なお、真空ポンプ141を通気管により上部チャンバー111と接続し、上部チャンバー111側も減圧できるようにしてもよい。この場合、ホットスタンプ成形装置10は上部チャンバー111と下部チャンバー112の圧力差を制御することが出来る。
<加圧タンク142>
加圧タンク142は、チャンバー110内を加圧するための装置である。本実施形態において、加圧タンク142は上部チャンバー111側から加圧する。
図2は加圧タンク142が通気管を通じて上部チャンバー111と接続されている様子を示す。上部チャンバー111側を加圧することで、後述する分画シート130や押圧体153に圧が掛かり、加飾シート片17を被加飾体16に密着させる。加圧タンク142としては市販の加圧ポンプが好適に用いられる。本実施形態の加圧タンク142はチャンバー110内を0.1MPa以上に加圧するものであり、好ましくは0.5MPa以上に加圧するものである。
<ヒータ143>
ヒータ143は後述する加飾シート片17を加熱するための加熱装置である(不図示)。例えば、ヒータ143は上部チャンバー111の内側上部に配設され、チャンバー110内部全体を加熱する。ただし、これに限られるものではなく、他の部位に備え付けられていてもよい。
例えば、ヒータ143は下部チャンバー112に配設されていても良い。またその他の例として、ヒータ143が電熱線を備えており、この電熱線を上記枠体152に巻き付けることで枠体152周辺を加熱するようにしても良い。この場合、枠体152内部に配設される加飾シート片17を選択的かつ効率的に加熱できるという利点がある。
<下治具151>
下治具151は後述する被加飾体16を載置台123上に固定するための治具である。下治具151は、図2に示す被加飾体16の内側に配設されている(図5参照)。被加飾体16の形状に合わせ、下治具151の形状は適宜変更することができる。
<枠体152>
枠体152は上下方向が開放された、上面視で四角形の枠である。
図2に示すように、枠体152は載置台123上に載置され、また、枠体152は被加飾体16を囲うように配設される。枠体152の高さは、加飾フィルムが固定された被加飾体16よりも高くなるよう設計される。
なお、枠体152の上面視形状は四角形に限られるものではなく、例えば円形や、四角以外の多角形などであってもよい。
被加飾体16の周囲に枠体152を配設することにより、後述する押圧体153が加飾シート片17を真上から押圧することができ、均一な加飾が可能になるという利点がある。また、被加飾体16周辺に押圧体153、枠体152、載置台123で囲われた閉鎖空間が形成されることにより、被加飾体16周辺の減圧が効率的に行われる。さらに、被加飾体16の物理的な強度が高くない場合に、被加飾体16に過大な圧力が掛かることを抑制し、被加飾体16を保護するという利点もある。
<押圧体153>
押圧体153は後述する加飾シート片17を被加飾体16に押圧するための弾性体である。押圧体153は枠体152の上側を覆うように配設される。
図2は押圧体153が枠体152上に架設された状態を示す。下治具151、被加飾体16、および被加飾体16上の加飾シート片17は、載置台123、枠体152および押圧体153に囲われた空間内に包含される。
後述するチャンバー内の圧変化工程において、押圧体153は加飾シート片17を物理的に押圧し、加飾シート片17と被加飾体16を密着させる。
押圧体153を構成する素材として例えば、アクリル(メタクリル)樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂などの樹脂、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコンゴム、ウレタンゴムなどのゴム、またはアルミニウムなどの金属薄膜、が好適に用いられる。このような素材を用いることにより、押圧体153はチャンバー内の圧変化工程において変形することができる。
<被加飾体16>
被加飾体16は加飾の対象となる部材である。被加飾体16は立体形状を有しており、一部または全体に凸形状や凹形状を有してもよい。
図2に示すように、被加飾体16は載置台123上に載置され、加飾シート片17により加飾される。詳細はホットスタンプ成形方法の箇所で説明する。
被加飾体16として例えば、車両部品や船舶部品が挙げられる。車両部品とは例えば、自動車のラジエータグリルやエアコンの吹出口、センターパネルなどである。図2に示すように、被加飾体16は下治具151に固定される。
<加飾シート片17>
加飾シート片17は、被加飾体16の加飾部分の大きさに合わせてあらかじめ裁断されている加飾シートである。
加飾シートは被加飾体に意匠性を与える加飾体である。
図2に示すように、加飾シート片17は被加飾体16に当接するように固定される。
本実施形態における加飾シート片17は、複数の層を備える多層構造である。つまり加飾シート片17は、当接している被加飾体16から近い順に、少なくとも接着層、装飾層、および保護層を備える。ただし層構成はこれに限られない。
接着層はホットスタンプ成形時に被加飾体16に当接し、加熱条件下において被加飾体16に接着する層である。
接着層として例えば、接着剤や粘着剤が挙げられる。本実施形態において、接着層は熱可塑性接着剤を含む。接着剤として熱可塑性接着剤を用いることにより、後述するリサイクル方法の表層変性処理工程において、加飾シート片17が被加飾体16から分離し易くなり、被加飾体16のリサイクルが容易になる。
装飾層は加飾後の被加飾体の意匠性に寄与する層である。
装飾層には例えば、木目調や石目調、光沢調の意匠が印刷され、蒸着される。
保護層は加飾シート片17の表面を保護する層である。当該保護層により、被加飾体は耐傷性や耐候性を得ることができる。
加飾シート(加飾シート片17)の膜厚は製品により異なるが、本実施形態の加飾シート片17の膜厚は300μmである。また、そのうち接着層の膜厚は製品により異なるが、5μm以上50μm以下ある。ただし、加飾シートの膜厚や接着層の膜厚はこれに限られない。
図2に示すように、加飾シート片17は被加飾体16上に固定される。即ち、被加飾部分に少なくとも一つの加飾シート片17が固定される。被加飾体16上に加飾シート片17を固定する方法は任意の方法が用いられる。例えば、クリップやピンのような固定器具により固定する方法や、粘着テープのような粘着体で固定する方法が用いられる。
また、上述した枠体152を用いる場合、加飾シート片17の大きさは、枠体152と同等か、枠体152よりも小さい。
加飾シート片17を用いることで加飾シートの使用量を節約できる。例えばある被加飾体16と別の被加飾体16の間など、加飾を要しない部分に加飾シート片17を用いる必要がないためである。
また、2以上の加飾部位が近接する場合において、当該2箇所の加飾部位を1枚の加飾シートで加飾すると、それぞれの加飾部に掛かる応力により、加飾のずれが生じる可能性がある。これに対し、それぞれの加飾部位に別個独立した加飾シート片17を用いることで、加飾シート同士が相互作用せず、加飾のずれを抑制できる。
また、ホットスタンプ成形方法に加飾シート片17を用いることにより、被加飾体16のサイズに合わせてムラなく加飾できる。
つまり、加飾シート片17で加飾する部分のうち、加飾シート17が被加飾体16に最初に当接している部分(押圧中心)から離れた場所であっても、押圧体153が等しく圧をかけることができるため、加飾シート片17を等しく十分に密着させることができる。
<表層変性処理装置20>
表層変性処理装置20は、被加飾体の少なくとも一部を被覆している加飾体の性質を変化させて除去する、あるいは除去しやすくするための装置である。
例えば、表層変性処理装置20は、熱などにより加飾体が含む熱可塑性接着剤を変性させ、被加飾体から加飾体を除去しやすくする。
本実施形態において、表層変性処理装置20はプラズマ処理装置21、コロナ処理装置22、フレーム処理装置23、または高温熱風処理装置24である。
通常これらの装置は、表面活性化処理や親水化処理と呼ばれる表面処理に用いられるが、本実施形態において、表層変性処理装置20は接着剤の熱可塑性樹脂を溶融し、または加飾体を劣化させるために使用される。
本実施形態において、プラズマ処理装置21、コロナ処理装置22、フレーム処理装置23、および高温熱風処理装置24のいずれも、パラメータとして処理日、処理時間(処理開始時間、処理終了時間など)を変化させることができ、またこれらのデータを取得することができる。よって、以下重複する説明は省略する。なお、処理開始時間と処理終了時間は処理時間でもよい。
本実施形態において表層変性処理装置20はプラズマ処理装置21であるが、これに限られるものではなく、コロナ処理装置22、フレーム処理装置23、または高温熱風処理装置24などを好適に用い得る。
以下各装置について説明する。ただし、各装置に係るパラメータの好ましい範囲は例示であり、記載した範囲に限定されるものではない。
プラズマ処理装置21は、プラズマにより加飾体を変性させ、除去しやすくする装置である。
プラズマは熱電離、光電離、圧力電離、放電などにより発生するが、本実施形態においては放電によりプラズマを発生させる装置を用いている。また、プラズマ処理は大気圧プラズマ処理、真空プラズマ処理などが挙げられる。プラズマ処理装置21は、市販のものを適宜用いることができる。
プラズマ処理装置21は例えば、上述したパラメータ(処理日、処理開始時間、処理終了時間)のほか、放電出力、電流(量)、およびプラズマ処理対象の移動速度をパラメータとして変化させることができる。
また、本実施形態のプラズマ処理装置21は減圧を行わないが、チャンバーなどを用いて圧力を変化させる場合は圧力などもパラメータになり得る。
プラズマ処理の放電出力は400W以上800W以下が好ましく、本実施形態の放電出力は400W(電流4A)である。
プラズマ放電ノズルとプラズマ処理対象との距離は5mm以上50mm以下の範囲が好適に用いられる。また、プラズマ処理対象を移動させる速度は20mm/秒以上400mm/秒以下の範囲が好適に用いられる。
なお、プラズマ処理時間と結果については後述する。
コロナ処理装置22は、コロナ放電により加飾体を変性させ、除去しやすくする装置である。コロナ処理装置22は、市販のものを適宜用いることができる。
コロナ処理装置22は例えば、上述したパラメータのほか、放電量、コロナ処理対象と放電管との距離、およびコロナ処理対象の移動速度をパラメータとして変化させることができる。
本実施形態において例えば、コロナ処理の放電量は50W・分/m以上400W・分/m以下が好ましい。また、放電管とフレーム処理対象との距離は5mm以上10mm以下が好ましい。さらに、コロナ処理対象を移動させる速度は30mm/秒以上300mm/秒以下が好ましい。
フレーム処理装置23は、フレーム(炎)により加飾体を変性させ、除去しやすくする装置である。フレーム処理装置23はバーナーを備える。フレーム処理装置23は、市販のものを適宜用いることができる。
フレーム処理装置23は例えば、上述したパラメータのほか、燃料ガスを含む空気の空気量(出力)やガス圧、燃料ガスと空気の混合比率、バーナーとフレーム処理対象との距離、および、バーナーまたはフレーム処理対象を移動させる速度をパラメータとして変化させることができる。
本実施形態において、フレーム処理のガス圧は0.01MPa以上1.50MPa以下が好ましい。また、バーナーとフレーム処理対象との距離は50mm以上100mm以下が好ましい。さらに、フレーム処理対象を移動させる速度は50mm/秒以上500mm/秒以下が好ましい。
高温熱風処理装置24は、高温の熱風により加飾体を変性させ、除去しやすくする装置である。本実施形態では、高温熱風処理装置24としてヒートガンを使用している。
高温熱風処理装置24、例えばヒートガンは、市販のものを適宜用いることができる。ヒートガンはヒーティングガンまたは工業用ドライヤなどと呼ばれる。
高温熱風装置は例えば、上述したパラメータのほか、加熱温度、風量、熱風噴射口と高温熱風処理対象との距離、および、熱風噴射口または高温熱風処理対象を移動させる速度をパラメータとして変化させることができる。風量は風速であってもよく、風速は市販の風速計で測定してもよい。
本実施形態において、高温熱風処理の加熱温度は例えば400℃である。熱風噴射口と高温熱風処理対象との距離は50mm以上100mm以下が好ましい。また、使用しているヒートガンの消費電力1KWである。
図1に示すように、本実施形態において表層変性処理装置20は、ホットスタンプ成形装置10と同様に、端末30とデータ交換可能な態様で接続されており、次項の端末30は、表層変性処理装置20の設定や動作などに係る各種データを取得することができる。
<端末30>
端末30は、後述するホットスタンプ成形(真空成形)方法やリサイクル方法で得たデータを取得し、取得したデータをサーバ40に送信する。また、端末30は、サーバ40による機械学習の結果を受信することができる。
図3は、本実施形態における端末30のハードウェア構成図である。
図3に示すように、端末30は、制御部31、記憶部32、通信制御部33、入力部34および出力部35を備える。
また制御部31は、プロセッサ311、ROM312、RAM313、計時部314を備える。
なお、本実施形態において、機器間の接続態様(ネットワークトポロジ)は特に限定されない。例えばバス型であってもよいし、スター型、メッシュ型などであってもよい(以下のコンピュータにおいて同じ)。
プロセッサ311は、ROM312や記憶部32などに記憶されたプログラムに従って、情報処理や各種装置の制御を行う。本実施形態において、プロセッサ311はCPU(Central Processing Unit)である。
なお、プロセッサ311はCPUに限られるものではない。CPU、DSP(Degital Signal Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、またはGPGPU(General Purpose computing on GPU)など、各種プロセッサを単独で、あるいは組み合わせて用いてもよい。
例えば、CPUとGPUを統合したプロセッサはAPU(Accelerated Proessing Unit)などと呼ばれるが、このようなプロセッサを用いてもよい。
図3に戻り、ROM312は、プロセッサ311が各種制御や演算を行うための各種プログラムやデータがあらかじめ格納された、リードオンリーメモリである。
RAM313は、プロセッサ311にワーキングメモリとして使用されるランダムアクセスメモリである。このRAM313には、本実施形態の各種処理を行うための各種エリアが確保可能になっている。
計時部314は、計時処理を行う。本実施形態において、計時部314は例えば、時刻の同期などに用いられる。
記憶部32は、プログラムやデータなどの情報を記憶するための装置である。記憶部はストレージとも称する。本実施形態において、記憶部32はサーバ40に内蔵されるが、これに限られるものではなく、専用HDD(ハードディスクドライブ)等の外部記憶を備えていてもよい。
記憶部32は、データの読み書きが可能な記憶媒体と、当該記憶媒体に読み書きするドライブとを含む。
当該記憶媒体は、特に制限されないが、例えば、内蔵型でも外付型でもよく、HD(ハードディスク)、CD-ROMなどが挙げられる。
当該ドライブは、特に制限されないが、例えばHDD(ハードディスクドライブ)、SSD(ソリッドステートドライブ)等が挙げられる。
図3に示すように、記憶部32は、プログラム格納部32aとデータ格納部32bを備え、各種処理に必要なプログラムやデータを備える。
例えば、プログラム格納部32aは、サーバ40と通信して最適処理条件予測プログラムP10を操作するためのアプリS20をインストールしている。
このほか、プログラム格納部32aは、端末30に接続されている機器を制御するための制御プログラム、例えば通信制御部33を制御する通信制御プログラムなどを格納している。
なお、アプリS20は、プログラムにより後述する機械学習に必要な処理を行うほか、機械学習用サーバとの通信の確立や、ユーザ認証など、その他必要な各種プログラムを備える。
ユーザがアプリS20を起動すると、端末30のプロセッサ311は、ブラウザに最適処理条件予測プログラムP10に係るユーザーインターフェースなどを表示させ、次項の通信制御部33の機能によりサーバ40と通信を行う。
図3に戻り、通信制御部33は、端末30と、外部にある端末等との間で通信を行うための装置である。外部にある端末とは例えば、後述するサーバ40などである。通信制御部33は、図1に示すように、端末30をネットワークNに接続する。
本実施形態における通信制御部33の通信方式は有線LANによる方式であるが、通信方式は公知のものを適宜用いることができる。
本実施形態における通信制御部33の通信方式は、有線でも無線でもよい。端末30がデスクトップPCであれば有線、無線の両方の場合が考えられる。また、端末30がタブレットやスマートフォンであれば、無線による通信方式が考えられる。
有線であれば、例えばIEEE802.3(例えばバス型やスター型の有線LAN)で規定される通信方式を好適に用いることができるが、それ以外にも、IEEE802.5(例えばリング型の有線LAN)で規定される通信方式などを用いてもよい。
無線であれば、例えばIEEE802.11(例えばWi-Fi)で規定される通信方式を好適に用いることができるが、それ以外にも、IEEE802.15(例えばブルートゥース(登録商標)、BLE(ブルートゥース(登録商標)ローエナジー)など)、IEEE802.16(例えばWiMAX)、または赤外線通信などの光通信で規定される通信方式などを用いてもよい。
図3に示すように、入力部34は、ユーザからの入力を受け付ける装置である。
入力部34として例えば、キーボード、ポインティングデバイスとしてのマウス、トラックパッド、タブレット、またはタッチパネルなどが挙げられる。
出力部35は、情報を出力する装置である。出力部35は例えば、情報を画像や音声、帳票などの形で出力する。
出力部35として例えば、ディスプレイ(液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ)などの表示装置や、スピーカなどの音声出力装置、プリンタなどの帳票出力装置が挙げられる。
表示装置がタッチパネルやタッチスクリーンの場合、入力部34は、画像などを表示する表示部の表面に配置される。この場合、入力部34は、当該表示部に表示される各種操作キーに対応した、ユーザのタッチ位置を特定し、当該操作キーの入力を受け付ける。
<サーバ40>
サーバ40は、最適処理条件予測プログラムP10による処理を実行するためのコンピュータである。最適処理条件予測プログラムP10は、機械学習により、表層変性処理装置20の最適な表層変性処理条件を予測するための処理を実行する。
サーバ40のプロセッサ411は、機械学習モデルの学習や推論などを含む各種処理を実行する。
図1においてサーバ40は1台のみ図示しているが、数は1台に限られるものではなく、複数のサーバにより実現してもよい。
例えば、機械学習を実行するためのサーバは、他の機能を発揮するためのサーバとは別のサーバであってもよい。また、負荷分散や可用性の観点から、複数のサーバを用いることも考えられる。
図4は本実施形態のサーバ40のハードウェア構成図である。
図4に示すように、サーバ40は、制御部41、記憶部42、および通信制御部43を備える。
また制御部41は、プロセッサ411、ROM412、RAM413、計時部414を備える。
なお、端末30の箇所ですでに説明したコンピュータの機能などについては、説明を省略する。また、サーバ40は入力部や出力部を備え得るが、説明は省略する。
プロセッサ411は、サーバ40において最適処理条件予測部415としても機能する(不図示)。最適処理条件予測部415は、最適処理条件予測プログラムP10を実行して最適処理条件予測処理を行う。
また、一のプログラムは、別のプログラムを含んでいてもよい。例えば本実施形態において、最適処理条件予測プログラムP10は、データ取得プログラムP11や処理条件学習プログラムP12、および処理条件推論プログラムP13を含む。
図4に戻り、RAM413は、プロセッサ411にワーキングメモリとして使用されるランダムアクセスメモリである。
記憶部42に格納された最適処理条件予測プログラムP10などの各種プログラムや、最適処理条件予測データベースD1などの各種データがプロセッサ411により読み出され、RAM413に記録(格納)される。
図4に示すように、記憶部42は、プログラム格納部42aとデータ格納部42bを備え、各種処理に必要なプログラムやデータを備える。
例えば、プログラム格納部42aは、本実施形態に係る最適処理条件予測プログラムP10のほか、サーバ40に接続されている機器を制御するための制御プログラム、例えば通信制御部43を制御する通信制御プログラムなどを格納している。
図4に示すように、通信制御部43は、サーバ40と、外部にある端末等との間で通信を行うための装置である。外部にある端末とは端末30などである。通信制御部43は、図1に示すように、サーバ40をネットワークNに接続する。
2.製造・リサイクル方法
<真空成形方法>
本実施形態のホットスタンプ成形方法は、上述のホットスタンプ成形装置10を使用して被加飾体16の表面に加飾シート片17を密着させて成形する真空成形方法であって、以下の工程を備える。以下、図を参照しつつ説明する。
(1)上部チャンバー111と下部チャンバー112を備えるチャンバー110内に、加飾シート片17を固定した被加飾体16を載置する工程、
(2)前記上部チャンバー111と下部チャンバー112を密接させ、チャンバー110を密閉する工程、
(3)前記加飾シート片17を加熱した状態で前記チャンバー110内を減圧し、前記加飾シート片17を前記被加飾体16に密着させる工程、
(4)チャンバー110内の上部チャンバー111側を加圧する工程、
(5)加圧・減圧状態を解除し、チャンバー110を開放して加工後の被加飾体16を取り出す工程
(1)上部チャンバー111と下部チャンバー112を備えるチャンバー110内に、加飾シート片17を固定した被加飾体16を載置する工程
図5はチャンバー110内部の載置台123上に、下治具151を載置した状態を示す。下治具151を用いることにより、後述する被加飾体16が加飾中に移動し、加飾部分にずれが生じることを防ぐ。図に示すように、下治具151は載置台123上に複数載置することができる。
なお、本実施形態では下治具151を用いる方法を説明するが、被加飾体16が加工中に移動等せず、安定するのであれば、下治具151は用いなくてもよい。
図6は下治具151に被加飾体16を固定した状態を示す。被加飾体16を下治具151に固定する方法は任意の方法が用いられる。例えば、被加飾体16と下治具151が嵌合して固定する方法であっても良いし、クリップやピンのような固定器具や粘着テープのような粘着体を用いて固定する方法でも良い。
図7は固定した被加飾体16の周辺に枠体152を載置した状態を示す。枠体152は被加飾体16を囲うように配設される。なお、枠体152を用いない例については後述する。1つの被加飾体16に対して1つの枠体152を用いるが、これに限られるものではなく、複数の被加飾体16に対して1つの枠体152を用いても良い。1つの被加飾体16に対して1つの枠体152を用いると、押圧体153による圧を真上から掛けることができる。これにより、加飾シート片17に意図しない方向からの圧が掛かって加飾位置がずれることが抑制される。
図8は被加飾体16上に加飾シート片17を固定した状態を示す。加飾シート片17は被加飾体16に接するように固定される。つまり、加飾シート片17は被加飾体16に当接している。
被加飾体16上に加飾シート片17を固定する方法は任意の方法が用いられる。例えば、クリップやピンのような固定器具により固定する方法や、粘着テープのような粘着体で固定する方法が用いられる。
なお本実施形態において、下治具151に被加飾体16を固定した後に加飾シート片17を固定しているが、加飾シート片17を被加飾体16に固定した後に下治具151に固定しても良い。
図9は加飾シート片17の上側に押圧体153を配設した状態を示す。本実施形態では、枠体152上に押圧体153を架設している。なお、図中の加飾シート片17と押圧体153の間に隙間があるが、これに限られるものではなく、押圧体153は加飾シート片17に接触していても良い。
図10は上部チャンバー111端部に分画シート130を固定した状態を示す図である。上述の通り、分画シートは上部チャンバー111と下部チャンバー112の圧力差を維持する。
なお、分画シートはこの段階で取り付けるのではなく、あらかじめ上部チャンバー111に固定していても良い。
(2)前記上部チャンバー111と下部チャンバー112を密接させ、チャンバー110を密閉する工程
図11はチャンバー110を密閉した状態を示す。図11中の白抜き矢印は、上部チャンバー111が下降していることを示す。本実施形態では、上部チャンバー111を下降させ、下部チャンバー112と密接させる。このとき、上部チャンバー111と下部チャンバー112で形成された内部空間は密閉された状態であり、気密性を有する。また、分画シート130は上部チャンバー111と下部チャンバー112を分画し、上部チャンバー111と下部チャンバー112間で空気の移動は生じない。なおこの状態において、分画シート130は押圧体153と接触し、緊張状態にあることが好ましい。押圧体153を固定するためである。
(3)前記加飾シート片17を加熱した状態で前記チャンバー110内を減圧し、前記加飾シート片17を前記被加飾体16に密着させる工程
図12は加飾シート片17を加熱した状態を示す。不図示のヒータ143によってチャンバー110内部を加熱する。熱可塑性を有する加飾シート片17が加熱により柔らかくなり、被加飾体16に密着しやすくなる。
加飾シート片17が加工しやすくなる温度は素材によって異なるが、通常この工程におけるチャンバー110内部の温度は90度から200度になるよう設定され、特に100度から140度の間の温度が好適に用いられる。
図13はチャンバー110内を減圧した状態を示す図である。本工程では、真空ポンプ141が下部チャンバー112内を減圧する。載置台123に複数の穴が開いているため、押圧体153、枠体152、載置台123で囲われる被加飾体16周辺の空間(以後「被加飾体周辺空間」と呼称する)が減圧される。
なお本実施形態において減圧とは、下部チャンバー112内部が0.06MPa以下になることを意味する。
減圧により、被加飾体16と加飾シート片17の間から空気が抜けるため、被加飾体16と加飾シート片17が密着する。
また、被加飾体周辺空間が減圧されることにより、弾性を有する押圧体153は、被加飾体周辺空間の体積が小さくなるよう変形する。この結果、押圧体153が加飾シート片17を押圧するため、被加飾体16と加飾シート片17がさらに密着する。
本実施形態において加飾シート片17を加熱した後にチャンバー110内を減圧しているが、これに限られたものではなく、加飾シート片17の加熱とチャンバー110内の減圧は同時に行っても良いし、チャンバー110内を減圧してから加飾シート片17を加熱しても良い。ただし、加飾シート片17を加熱した後にチャンバー110内を減圧した方が、作業効率的に好ましい。
(4)チャンバー110内の上部チャンバー111側を加圧する工程
図13に示すように、チャンバー110は加圧タンク142に接続されている。本実施形態におけるホットスタンプ成形装置10は分画シート130を備えているため、分画シート130より上側と下側で圧の状態を変えることができる。
本実施形態において、まず上部チャンバー111側の減圧状態を解除することにより、押圧体153が加飾シートを強く押圧する。その後、加圧タンク142を用いて上部チャンバー111側を加圧状態にする。この加圧により、押圧体153が加飾シート片17をさらに強く押圧するため、加飾シート片17と被加飾体16はより強力に密着する。
なお、本項の加圧工程が無くても加飾シート片17と被加飾体16は密着するが、加圧工程を加えることにより加飾シート片17と被加飾体16は強力に密着する。
なお本実施形態において、上部チャンバー111内は0.1MPa以上0.8MPa以下に設定される。加飾シート片17を被加飾体16に密着させる観点から、0.5MPa以上0.8MPa以下であることが好ましい。
本実施形態において、所望の圧力になるまでチャンバー内を減圧し、または加圧する。例えば一つの実施形態において、減圧時間は1分間であり、加圧時間は1分間である。これより長くしても密着の程度は変化しない。
(5)加圧・減圧状態を解除し、チャンバー110を開放して加工後の被加飾体16を取り出す工程
図14は減圧・加圧状態を解除し、チャンバー110内を常温に戻して開放した状態を示す。図14中の白抜き矢印は、上部チャンバー111が上昇したことを示す。上記所定の減圧・加圧時間経過後は、減圧・加圧状態を解除し、被加飾体周辺空間を常圧に戻す。また、チャンバー110を開放することで、被加飾体16を冷却(放冷)する。
なおここで、加飾シート片17の余剰部分を除去する工程を加えても良い。例えば、抜型やレーザーカットを用いて余剰部分を除去することができる。
(ホットスタンプ成形方法におけるそのほかの実施形態)
以上、ホットスタンプ成形方法の一例を挙げて説明したが、これに限られるものではない。ここでは、ホットスタンプ成形方法におけるそのほかの実施形態を例示する。
図15は、ホットスタンプ成形方法における第二の実施形態を示す図である。
図15は、加飾を要する部分を複数箇所備える被加飾体16の加飾箇所ごとに、複数の独立した加飾シート片17を固定し、加飾する例である。
図15は、2組の枠体152と押圧体153が載置された状態を示す。1つの枠体152内部には、2箇所の加飾部分を備える被加飾体16が1つ載置されている。また、2箇所の加飾部分のそれぞれに、独立した加飾シート片17が固定される。なお、2箇所の加飾部分のそれぞれに異なる意匠の加飾シート片17を用いることもできるため、デザイン設計の自由度が向上する。
ここで、図15はチャンバー10を密閉する前の状態を示している。上述した実施形態の説明における図10に対応する。ホットスタンプ成形方法は上述した方法と同様であるため省略する。
図16は、ホットスタンプ成形方法における第三の実施形態を示す図である。
図16は、前項同様、複数の加飾部分を備える被加飾体16に、複数の独立した加飾シート片17を固定し、加飾する例である。
図16は1つの枠体152内に複数の加飾部分を備える1つの被加飾体16を載置した状態を示す。本実施形態において、1つの枠体152内に4か所の加飾部分を備える被加飾体16を載置台123上に載置する。4か所の加飾部分のそれぞれに、独立した別個の加飾シート片17を固定することができる。
ここで、図16はチャンバー10を密閉する前の状態を示している点は前項同様であり、ホットスタンプ成形方法は上述した方法と同様であるため省略する。
図17は、ホットスタンプ成形方法における第四の実施形態を示す図である。
図17は、押圧体153を複数用意するのではなく、押圧体153を分画シート130と一体化させ、1枚にする例である。
この場合、連続して加飾を行う際に、毎回押圧体153を配設しなくてもよいという利点がある。さらに、押圧時に押圧体153と枠体152とのずれが生じにくくなるという利点がある。
上述したもののほか、ホットスタンプ成形方法として加飾シート片17ではなく加飾シートを用いる場合は、公知の方法が適宜用いられる。
例えば、加飾シート片17ではなく加飾シートを用いる場合、上述した分画シート130に相当する部分に加飾シートを配設し、ホットスタンプ成形を行う。この場合、枠体152や押圧体153は不要である。
<リサイクル方法>
リサイクル方法は、加飾済みの被加飾体(ホットスタンプ成形品)から加飾体を除去し、被加飾体の材料(プラスチック等)をリサイクルする方法である。
被加飾体の材料(プラスチック等)をリサイクルすることを「被加飾体をリサイクルする」と称する。
また、このリサイクル方法のことを、ホットスタンプ成形品のリサイクル方法と称する。
本実施形態のリサイクル方法は表層変性処理工程を含み、表層変性処理工程により加飾済みの被加飾体(ホットスタンプ成形品)から加飾体を除去する。
表層変性処理工程では、機械学習により最適な表層変性処理条件を決定する。
また、本実施形態のリサイクル方法は、得られた被加飾体を断片化する断片化処理工程を備える。断片化された被加飾体は、押出機で再度溶融し、ペレット化するなどしてリサイクルされる。
以下では、表層変性処理工程および断片化処理工程のほか、機械学習モデルの作成について、図を参照しつつ説明する。
ここでは、以下の(1)から(3)に沿って説明する。
(1)加飾済み被加飾体の準備
(2)表層変性処理工程
(2-1)機械学習モデルの学習
(2-2)機械学習モデルによる推論
(3)断片化処理工程
(1)加飾済み被加飾体の準備
ここでは、機械学習モデルの学習に必要な加飾済み被加飾体(以下において「成形サンプル」とする。)について説明する。
成形サンプルは、実際に使用された製品に限らず、機械学習用のサンプルを作成してもよい。このような例は変形例の箇所で説明する。
用意した成形サンプルについて、加飾シート部分の膜厚を測定する。加飾シート部分の膜厚は、表層変性処理の処理時間に影響し得る。膜厚は、市販の非接触型膜厚計を適宜用いることができる。
なお、本実施形態において、加飾シート部分の膜厚は、接着層、装飾層、および保護層を備える加飾シートの膜厚であるが、ホットスタンプ時の熱反応や経年劣化等により、加飾シートの膜厚は新品時とは変動し得るため、加飾シート部分の膜厚は成形サンプルごとに測定することが好ましい。
ただし、加飾シート部分の膜厚として(新品の)加飾シートの膜厚を用いてもよい。この場合、測定の手間を省略できる。
さらに、作成したそれぞれの成形サンプルについて、3Dスキャナで撮影して3Dデータを取得する。本実施形態において、取得するデータは点群データである。
3Dスキャナは市販のものを適宜用いることができるが、3Dスキャナの解像度については、最小ポイント間隔1mm以下が好ましく、0.1mm以下がより好ましい。
これらのデータは、表層変性処理の対象となる成形サンプル(加飾済み被加飾体)のデータとして表層変性工程データベースD12に格納される。
ここで、3Dデータを取得する理由について説明する。
多くの場合において、被加飾体は凹凸のある立体的形状を有するため、同一の被加飾体であっても、加飾体が除去しやすい部分と除去しにくい部分が生じることがある。
例えば、ある被加飾体について、凸部では加飾体を除去しやすく、凹部では加飾体を除去しにくい傾向がある。
よって、これら凹凸などの立体的形状に係る情報を学習データとして加えることで、より詳細な推論が可能となる。
例えば、凸部では加飾体を除去しやすく、凹部では除去しにくいという情報を機械学習モデルが記憶することで、新規の形状のものであっても、ホットスタンプ成形品が有する凹凸形状を考慮して処理条件を推論することができる。
なお、被加飾体の立体的形状は無限に存在し得る一方で、製品として取り扱う被加飾体はある程度決まっていることが一般的である。
よって、立体的形状が同一の被加飾体(以下「同一製品」とする。)については、3Dデータを新規に取得せず、同一製品ですでに取得済みの3Dデータを再利用してもよい。この場合、データ取得の手間を省くことができる。
上述した成形サンプルの準備に係る条件などは一例であり、そのほかの態様も適応し得る。
例えば、使用する3Dデータは、点群データに限られるものではなく、メッシュデータ(ポリゴンデータ)、CADデータなどであってもよい。
(2)表層変性処理工程
表層変性処理工程は、被加飾体上の加飾体を変性して除去するための工程である。変性により、加飾体が除去されやすくなる。
機械学習モデルの学習のため、上記で作成した成形サンプルについて、種々の条件のもと表層変性処理を行う。
以下では、特に断りの無い場合、表層変性処理がプラズマ処理である場合について説明する。
また本実施形態の表層変性処理工程において、表層変性処理後に加飾体除去処理を行う。
加飾体除去処理は、表層変性処理により変性して除去し易くなっているが、被加飾体上に残っているような加飾体の残渣を除去する処理である。
本実施形態において、加飾体除去処理として圧縮空気を用いた圧縮空気処理(エアブローなどとも呼ばれる)を用いているが、これに限られない。
例えば、表層変性処理後の被加飾体を回転ドラムの中で回転させて加飾体を除去する方法や、人手により除去する方法であってもよい。
(2-1)機械学習モデルの学習
本実施形態の機械学習モデルは、
(一)加飾前の被加飾体(成形前サンプル)や加飾済み被加飾体(成形サンプル)などの処理対象物品に係るデータ、
(二)ホットスタンプ成形工程や表層変性処理工程などの処理に係るデータ、および、
(三)表層変性処理の結果に係るデータ
を入力データとし、これらの関係などを学習する。
特に、成形サンプルに係るデータ、表層変性処理工程係るデータ、表層変性処理の結果に係るデータが重量である。
以下項目ごとに説明する。
(一)処理対象物品に係るデータは、加飾前の被加飾体(成形前サンプル)や加飾済み被加飾体(成形サンプル)に係るデータである。
なお上述したように、学習段階における処理対象物品に係るデータを、「学習用処理対象物品データ」と称する場合がある。
加飾前の被加飾体(成形前サンプル)に係るデータは、ホットスタンプ成形工程の処理対象物品に係るデータである。例えば、成形前サンプルのロット番号や、サンプル材料名などである。このほか、被加飾体を加飾する加飾シート片のデータも含めてよい。
加飾済み被加飾体(成形サンプル)に係るデータは、表面変性処理工程の処理対象物品に係るデータである。例えば、成形サンプルの情報(ロット番号、サンプル材料名など)、成形サンプルの外観・形状(3Dデータなど)、または成形サンプルの状態(加飾シート部分の膜厚など)のデータである。
成形サンプルの状態に係るデータは、例えば加飾シート部分の膜厚(接着層の膜厚含む)である。
処理対象物品に係るデータは、後述するホットスタンプ成形工程データベースD11または表層変性工程データベースD12に格納されている。
なお、成形サンプルの外観データは、3Dデータに限らず、ラジエータグリル、センターパネルといった、部品名であってもよい。おおよそ同じ形状であると区分できるためである。このほか、お椀型や円柱型など、形状の特長を外観データとしてもよい。
(二)処理に係るデータは、ホットスタンプ成形装置10や表層変性処理装置20などの装置の設定に係るデータや、実際の処理により得られるデータである。ここに表層変性処理装置20の環境条件に係るデータも含めてよい。
装置の設定に係るデータや、実際の処理により得られるデータは、後述するホットスタンプ成形工程データベースD11や表層変性工程データベースD12に格納されている。
また、環境条件に係るデータは、後述する環境データベースD13に格納されている。
ここで、装置の設定に係るデータとは例えば、表層変性処理装置20がプラズマ処理装置21である場合、放電出力や処理時間などである。
また環境条件に係るデータとは、例えば処理時における気温、湿度などである。詳細は後述する。
実際の処理により得られるデータとは例えば、処理開始時間や処理終了時間、装置稼働時の実測パラメータなどである。装置稼働時の実測パラメータとは、稼働時の装置内温度や装置内圧力などである。
(三)表層変性処理の結果に係るデータは、上述したように、例えば加飾体除去度などの表層変性処理による加飾体の除去の程度や、表層変性処理が成功したか失敗したかなどの結果を示すデータである。加飾体除去度については後述する。
本実施形態において、このデータがいわゆる正解データに関わる。加飾体除去度が最も高くなる表層変性処理条件を見つけることが本実施形態の機械学習モデルの目的だからである。
機械学習で用いるアルゴリズムとして、例えばSVM(Support Vector Machine)などを用いることができる。また、機械学習の一態様として、ディープラーニング(Deep Learning(DL))を用いてもよい。ディープラーニングで用いるアルゴリズムとして、例えば畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network(CNN))や再帰型ニューラルネットワーク(Reccurent Neural Network(RNN))など、公知の方法を用いることができる。
機械学習モデルの判断(推論)に影響するパラメータ(例えば重みやバイアス)は、管理者が適宜調整することができる。
表1は、処理時間を変化させて表層変性処理を行い、加飾シートの除去の程度(加飾体除去度)を目視で観察した結果の例を示す。
ただし、この表1はどのような結果が得られるかを示すための例であるため、各表層変性処理装置20のパラメータを調整することにより結果は変動する。
Figure 0007389972000002
表1中において、Nは加飾シートがまったく除去できていない、Cは除去が不十分である、Bは大部分が除去できている、Aは十分除去できていることを意味する。また、NGは被加飾体に焦げが見られ、処理が過剰であったことを示す。
表1に示すように、プラズマ処理の場合、処理時間10秒が最も良い結果を与えるが、処理時間が15秒以上になると被加飾体に焦げが見られた。
コロナ処理の場合、処理時間5秒が最も良い結果を与えるが、処理時間が10秒以上になると被加飾体に焦げが見られた。また、プラズマ処理に比べ、加飾体の除去にムラが見られた。
フレーム処理の場合、処理時間5秒が最も良い結果を与えるが、処理時間が10秒以上になると被加飾体に焦げが見られた。
ヒートガンによる高温熱風処理の場合、処理時間4秒が最も良い結果を与えるが、処理時間が7.5秒以上になると被加飾体に焦げが見られた。
本実施形態において、加飾シートが十分除去できているときに最もよいスコアを与え(例えば上記表1でAの場合に10点)、そこから加飾シートの除去の程度が悪くなるごとにスコアを低くしている(例えばBで8点、Cで5点、Nで0点)。また、焦げが発生したときは除去ができていない以上に悪いスコアを付している(例えばNGの場合に-2点)。
上記表1は、プラズマ処理、コロナ処理、フレーム処理、そして高温熱風処理における処理条件における一例であり、処理対象物品や表層変性処理の条件を種々変化させて表層変性処理を行い、それぞれについて加飾体除去度のデータを取得する。
また、環境条件に係るデータも変化するため、これらも含めて機械学習モデルは学習データとする。
なお、加飾体除去度について、表1では処理時間ごとの結果を記載しているが、これに限られるものではなく、加飾体の除去が十分に完了した時間のみをデータとして記録してもよい。この場合、詳細な傾向は見られなくなるものの、データ収集が容易になり、またデータが軽くなる利点がある。
また、本実施形態では加飾体除去度を目視で確認しているが、これに画像処理を用いて自動化してもよい。
例えば、表層変性処理工程前後のそれぞれで被加飾体の画像データを取得し、その画像から被加飾体上から除去できずに残っている加飾体の比率を解析し、加飾体除去率に使用してもよい。
例えば、被加飾体が白色、加飾体が黒色であったとする。表層変性処理工程を経た成形サンプルは、加飾体が除去されて白色部分が露出する。
一例を挙げると、表層変性処理工程前に100%であった加飾体の黒色部分が、表層変性処理工程後において40%となっている場合は、加飾体除去度は60%と言える。
また、焦げの色、例えば茶色、なども記憶させておき、過剰な加熱処理により焦げが生じた場合はその比率を表示するようにしてもよい。
この場合に得られる情報は例えば、白色部分(加飾体が除去できた被加飾体部分)80%、黒色部分(残った加飾体部分)10%、茶色部分(焦げ部分)10%などである。
加飾体除去度の算出に画像処理を用いることにより、人の目で見る場合と比べ、判定のばらつきが少なくなるという利点がある。
(2-2)機械学習モデルによる推論
機械学習モデルが十分に学習したあと、得られた学習モデルにより推論を行う。
本実施形態の機械学習モデルは、処理対象物品に係るデータと環境条件(気温、湿度など))とを入力データとして、加飾体除去度について定量化した値を出力する。
また、本実施形態の機械学習モデルは、この加飾体除去度が最も高くなる最適な表層変性処理条件を推論し、定量化した値として出力する。
この推論する処理を処理条件推論処理、この推論する工程を処理条件推論工程と称する。
ここで、処理対象物品に係るデータとは、加飾済み被加飾体(成形サンプル)に係るデータであり、例えば、成形サンプルの情報(ロット番号、サンプル材料名など)、成形サンプルの外観・形状(3Dデータなど)、または成形サンプルの状態(加飾シート部分の膜厚など)のデータである。
成形サンプルの状態に係るデータは、加飾シート部分の膜厚のほか、接着層の膜厚などであってもよい。
なお上述したように、推論段階における処理対象物品に係るデータを、「推論用処理対象物品データ」と称する場合がある。
また、「加飾体除去度について定量化した値を出力する」とは、定量化した値を算出できればよく、ユーザに対して表示することを必ずしも要しない。
なお、「加飾体除去度が最も高くなる」の語は、上記で定義した「最適」と同様、機械学習モデルが算出する範囲で加飾体除去度が最も高くなることを意味する。
ここで、処理条件推論処理の例を挙げて説明する。
加飾済み被加飾体の形状データや、測定により得られた加飾シート部分の膜厚を学習済み機械学習モデルに入力すると、機械学習モデルは加飾体除去度が最も高くなる表層変性処理条件を定量化した値として出力する。
例えば、表層変性処理がプラズマ処理であれば、プラズマ出力に係る放電出力や処理時間の条件を、定量化した値として出力する。
つまり、表層変性処理条件を定量化した値として出力とは、ユーザが調整可能な表層処理装置の設定パラメータなどを、数値として出力することを意味する。
そして、機械学習モデルが予測(推論)した最適な処理条件を表層変性処理装置20に連携させ、当該処理条件に沿った表層変性処理を行い、加飾体の除去を行う。
なおこの連携は、表層変性処理装置20に処理条件の設定を自動的に反映させてもよいし、端末30の表示部35(ディスプレイなど)に表示された処理条件を手入力で表層変性処理装置20に入力してもよい。
(3)断片化処理工程
断片化処理工程では、加飾体を除去した被加飾体を断片化する。断片化とは例えば、裁断や粉砕である。
上述したように、本実施形態において、断片化された被加飾体は、押出機で再度溶融し、ペレット化するなどしてリサイクルされる。
断片化や溶融、ペレット化の方法は公知の方法が適宜用いられる。
以上のように、機械学習モデルの学習後は、当該機械学習モデルが推論する最適条件を用いて表層変性処理工程を行い、加飾済み被加飾体から加飾体を除去する。その後、断片化処理工程により当該被加飾体を断片化して被加飾体をリサイクルする。
2.プログラム処理
<最適処理条件予測処理>
本実施形態のリサイクルシステム1において実行されるプログラム処理について説明する。
本実施形態において、サーバ40のプロセッサ411は、最適処理条件予測プログラムP10に基づき、最適処理条件予測処理を行う。
最適処理条件とは、表層変性処理における最適な処理条件を意味する。最適の語は上記で定義したとおりである。
最適処理条件予測プログラムP10は、少なくともデータ取得プログラムP11、処理条件学習プログラムP12、および処理条件推論プログラムP13を含み、プロセッサ411はこれらの各プログラムに基づいて、データ取得処理、処理条件学習処理、および処理条件推論処理をそれぞれ実行する。
最適処理条件予測プログラムP10は、最適処理条件予測処理の実行により、コンピュータを最適処理条件予測手段として機能させるプログラムである。またこの際、プロセッサ411を備えるコンピュータの制御部41は、最適処理条件予測部415(または最適処理条件予測装置)として機能する。
本実施形態において、端末30やサーバ40などの各コンピュータはそれぞれプロセッサを備えるが、単にプロセッサという場合は、最適処理条件予測プログラムP10により処理を行うプロセッサ、本実施形態ではサーバ40のプロセッサ411、を指すものとする。
<2-1.データ取得処理>
データ取得処理は、プロセッサ411が機械学習に必要な学習データ、つまり、処理対象物品に係るデータ(学習用処理対象物品データ)、表層変性処理に係るデータ、および、表層変性処理の結果に係るデータを取得し、機械学習に入力可能な形に整える処理である。
プロセッサ411は、データ取得プログラムP11に基づき、データ取得処理を行う。
すなわち、データ取得プログラムP11は、プロセッサ411によるデータ取得処理の実行により、コンピュータをデータ取得手段として機能させる。
図18は、データ取得処理を示すフローチャートである。
データ取得処理において、プロセッサ411は、端末30から送信されている各種データを取得し、機械学習に適した形にデータを加工する。
ここで前提として、端末30は、ホットスタンプ成形装置10や表層変性処理装置20の処理・動作により得たデータを取得し、サーバ40に送信している。それらのデータはサーバ40のデータ格納部42bに格納されている。
以下では、取得するデータが表層変性処理装置20を用いる処理(表層変性処理)に係るデータであり、また表層変性処理装置20がプラズマ処理装置21である例を示す。
プロセッサ411は、ユーザによるデータ取得処理開始の指示を、端末30からアプリS20を通じて受け付けることにより、データ取得処理を開始する。
図18に示すように、プロセッサ411はデータ格納部42bに保存された、学習のために必要なデータを取得する(ステップ11)。
本実施形態において、プロセッサ411は、成形サンプルに係るデータ(学習用処理対象物品データ)、プラズマ処理に係るデータ、および加飾体除去度のデータを取得する。
なお、ここでは取得するデータが、表層変性処理装置20の処理に係るデータである例を挙げたが、ステップ11でさらに、ホットスタンプ成形装置10の処理に係るデータを取得してもよい。
通常ホットスタンプ成形からリサイクルまで相当の期間を有するため、ホットスタンプ成形装置10のデータは加飾体の除去に大きく影響しないと考えられるが、加飾シート片17のロットなどによって表層変性処理の結果に差異が生じる可能性がある。
このような場合を考慮し、ホットスタンプ成形装置10のデータをさらに入力しておくことで、機械学習モデルが新たな傾向を発見し得るという利点がある。
ホットスタンプ成形工程のデータについてはデータベースの項で後述する。
続いてプロセッサ411は、取得したデータについてラベル付けを行う(ステップ12)。ラベル付けは、処理対象物品や表層変性処理条件と、表層変性処理の結果、いわゆる正解データとの紐づけである。
ラベル付けは上述したとおり、プラズマ処理装置21による加飾体除去度に基づいて行われる。
なお、データ格納部42bに保存されているデータがすでにラベル付けされている場合は、このステップは省略してもよい。
プロセッサ411は、データの前処理を行う(ステップ13)。前処理とは、機械学習モデルへの入力に適した形にデータを整える処理である。例えば、ブランクデータがある場合は所定の文字等でそのブランクを埋める処理などである。本実施形態の前処理方法は、公知の方法が適宜用いられる。
プロセッサ411は、適切に前処理が終了したら各種データを保存し(ステップ14)、データ取得処理を終了する。
<2-2.処理条件学習処理>
処理条件学習処理は、処理対象物品に係るデータ、表層変性処理に係るデータ、および、表層変性処理の結果に係るデータを学習データとして、機械学習モデルがこれらの関係を学習するため処理である。
プロセッサ411は、処理条件学習プログラムP12に基づき、処理条件学習処理を行う。
すなわち、処理条件学習プログラムP12は、プロセッサ411による処理条件学習処理の実行により、コンピュータを処理条件学習手段として機能させる。
図19は、処理条件学習処理を示すフローチャートである。
本実施形態の処理条件学習処理において、プロセッサ411は、成形サンプルに係るデータ、プラズマ処理に係るデータ、および加飾体除去度のデータを入力データとし、これらの関係を学習する。
プロセッサ411は、ユーザによる処理条件学習処理開始の指示を、端末30からアプリS20を通じて受け付けることにより、処理条件学習処理を開始する。
図19に示すように、プロセッサ411は前処理済みのデータを取得する(ステップ21)。
つづいてプロセッサ411は、取得している成形サンプルに係るデータ(学習用処理対象物品データ)、プラズマ処理に係るデータ、および加飾体除去度のデータから学習に用いるデータサンプルを抽出し(ステップ22)、機械学習モデルのトレーニングを行う。
データサンプルを抜き出して繰り返し学習(トレーニング)することにより、1回の学習におけるサーバ40の負担を減らし、また学習の処理時間短くできるという利点がある。この機械学習モデルのトレーニングにおいて、プロセッサ411は特徴量を抽出する(ステップ23)。
続いて、プロセッサ411は、機械学習モデルのテストを行い、パラメータの調整等により機械学習モデルの修正を行う(ステップ24)。学習が十分であると判断できる場合(ステップ25Yes)、プロセッサ411は、その機械学習モデルを保存して(ステップ26)学習処理を終了する。
学習が十分でない場合には(ステップ25No)、再度データサンプルの抽出を行い、学習を進める。
学習が十分か否かを判断する条件はユーザが適宜定めることができる。例えばある一定の回数の学習を行ったら、学習を終わりにするようにしてもよい。
そのほか、テストで機械学習モデルが出力した加飾体除去度と、実際の加飾体除去度を比較するようにしてもよい。
<2-3.処理条件推論処理>
処理条件推論処理は、処理対象物品に係るデータや環境データなどを入力データとして、機械学習モデルが加飾体除去度について定量化した値を出力し、また、最適な表層変性処理条件を定量化して出力するための処理である。
つまり、処理条件推論処理において、プロセッサ411は、加飾済みの被加飾体(成形サンプル)から加飾体を除去するための最適な処理条件を予測する。
プロセッサ411は、処理条件推論プログラムP13に基づき、処理条件推論処理を行う。
すなわち、処理条件推論プログラムP13は、プロセッサ411による処理条件推論処理の実行により、コンピュータを処理条件推論手段として機能させる。
図20は、処理条件推論処理を示すフローチャートである。
プロセッサ411は、ユーザによる処理条件推論処理開始の指示を端末30からアプリS20を通じて受け付けることにより、処理条件推論処理を開始する。
まずプロセッサ411は、機械学習モデルに入力する入力データを取得する(ステップ31)。入力データとは、処理対象物品に係るデータ(推論用処理対象物品データ)や、環境データである。
推論用処理対象物品データは例えば、成形サンプルの情報(ロット番号、サンプル材料名など)、成形サンプルの外観・形状(3Dデータなど)、または成形サンプルの状態(加飾シート部分の膜厚など)のデータなどのうち、機械学習モデルに入力可能なものである。
環境データは、気温や湿度である。
なおこのとき、ホットスタンプ成形工程におけるデータなどを入力データに含めてもよいが、学習時にホットスタンプ成形工程におけるデータを学習データに含めていない場合は、推論時にもホットスタンプ成形工程におけるデータを入力する必要はない。
続いて、プロセッサ411は、取得したデータを学習済み機械学習モデルに入力する(ステップ32)。
機械学習モデルは、加飾体除去度が大きくなるような表層変性処理条件を演算し、最適な表層変性処理条件について、定量化した値として出力する(ステップ33)。
このとき、加飾体除去度の値も表示するようにしてもよい。
プロセッサ411は、推論結果などのデータを保存し(ステップ34)、処理条件推論処理を終了する。
ここで、プロセッサ411が得た推論結果は、端末30を通じて表層変性処理装置20にフィードバックし、表層変性処理工程を開始するようにしてもよい。
以上のような構成により、サーバ40のプロセッサ411は、成形サンプルに係るデータ、ホットスタンプ成形工程やリサイクル工程における処理条件に係るデータ、または表層変性処理の結果である加飾体除去度のデータから、機械学習により最適な表面変性処理条件について学習し、また、入力されたデータをもとに推論を行う。
3.データ
以下、本実施形態のリサイクルシステム1が扱うデータについて、図を用いて説明する。
本実施形態において、サーバ40の記憶部42(データ格納部42b)は、最適処理条件予測データベースD1を備える。
最適処理条件予測データベースD1は、ホットスタンプ成形工程データベースD11、表層変性工程データベースD12、および環境データベースD13を備える。
<ホットスタンプ成形工程データベースD11>
ホットスタンプ成形工程データベースD11は、ホットスタンプ成形に関するデータを備えるデータベースである。
ホットスタンプ成形に関するデータは、ホットスタンプ成形の対象となるサンプルのデータや、ホットスタンプ成形処理に関するデータを含む。例えば、ホットスタンプ成形の対象となる成形前サンプル(加飾前の被加飾体)のデータ、加飾体(加飾シート)のデータ、ホットスタンプ成形装置10の設定に関するデータ、またはホットスタンプ成形によりホットスタンプ成形装置10から得られるデータである。
ホットスタンプ成形の対象となる成形前サンプル(加飾前の被加飾体)のデータは例えば、被加飾体名、被加飾ロット番号などである。
表2は、ホットスタンプ成形工程データベースD11が備えるデータを例示するものである。
Figure 0007389972000003
表2に示すように、本実施形態において、ホットスタンプ成形工程データベースD11は、一意のホットスタンプ処理No.(番号)のほか、被加飾体名、被加飾体ロット番号、加飾シート名称、加飾シートロット番号、ヒータ温度、処理日、処理時間、加圧開始時間、加圧度、減圧開始時間、減圧度、スタンプ開始時間、スタンプ終了時間のデータを含む。
ここで、処理開始時間と処理終了時間は、処理時間に関わる。
また、データはこれに限るものではなく、処理対象物品の3Dデータや、加飾シートメーカー名、加飾シート製品番号、加飾シート部分の膜厚、または裁断した加飾シート(加飾シート片)の大きさなどのデータを備えていてもよい。
なお、表2は説明のためのものであり、ホットスタンプ成形工程データベースD11は複数のデータベースに分かれていてもよい。
例えば、一意の加飾シートIDのほか、加飾シート名称、加飾シートロット番号、加飾シートメーカー名、および加飾シート製品番号をデータとして含む加飾シートデータベースを別途用意し、ホットスタンプ成形工程データベースD11には加飾シートIDのみ含めるようにしてもよい。
<表層変性工程データベースD12>
表層変性工程データベースD12は、表層変性処理に関するデータを備えるデータベースである。
表層変性処理に関するデータは、表層変性処理の対象となる成形サンプル(加飾済み被加飾体)のデータと、表層変性処理に関するデータを含む。
表層変性処理の対象となる成形サンプルのデータは例えば、処理対象サンプル名、サンプルロット番号、またはサンプル材料名である。
サンプル材料名は、処理を行うサンプルの被加飾体部分の材料名である。本実施形態において、被加飾体部分の材料名は例えば、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-ポリスチレン)樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル(メタクリル)樹脂、AES(アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-ジエン-スチレン)樹脂、ガラス繊維を含む樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂などであるが、これに限られない。
また、データは上記に限るものではなく、例えば成形サンプルの3Dデータを備えていてもよい。表層変性工程データベースD12がこの3Dデータを備えることにより、プロセッサ411は、被加飾体の形状と、最適な表層変性処理条件との関連を学習することができる。
表層変性処理に関するデータは例えば、表層変性処理装置20の設定に関するデータや、表層変性処理により表層変性処理装置20から得られるデータである。
表3は、表層変性処理装置20がプラズマ処理装置21である場合において、表層変性工程データベースD12が備えるデータを例示するものである。
Figure 0007389972000004
表3に示すように、本実施形態において、表層変性工程データベースD12は、一意のプラズマ処理番号のほか、処理対象サンプル名、サンプルロット番号、サンプル材料名、加飾シート部分の膜厚、処理日、処理開始時間、処理終了時間、放電出力、電流(量)、および、プラズマ処理対象となる被加飾体の移動速度、のデータを含む。
ここで、処理開始時間と処理終了時間、または処理対象の移動速度は、処理時間に関わる。
表4は、表層変性処理装置20が高温熱風処理装置24である場合において、表層変性工程データベースD12が備えるデータを例示するものである。
表4において、処理対象サンプル名、サンプルロット番号、サンプル材料名、加飾シート部分の膜厚、処理日、処理開始時間、および処理終了時間は省略している。
Figure 0007389972000005
表4に示すように、本実施形態において、表層変性工程データベースD12は、一意の高温熱風処理番号のほか、加熱温度、風量、熱風噴射口と処理対象との距離、および、高温熱風処理対象となる被加飾体の移動速度、のデータを含む。
<環境データベースD13>
環境データベースD13は、各種装置(ホットスタンプ成形装置10や表層変性処理装置20など)が稼働しているときの環境データを備えるデータベースである。
環境データは、各種装置(ホットスタンプ成形装置10や表層変性処理装置20など)が取得しているものであってもよいし、環境を測定するための測定装置から取得するものであってもよい。環境を測定するための測定装置とは、例えば温湿度計、気圧計などである。
また本実施形態において、環境データは表層変性処理装置20が接地してある場所の環境データを取得している。
表5は、環境データベースD13が備えるデータを例示するものである。
Figure 0007389972000006
表5に示すように、本実施形態において、環境データベースD13は、日付、時間、気温、および湿度のデータを備える。
ただし、これに限られるものではなく、気圧のデータや、表層変性処理装置20の位置を示すGPS(Global Positioning System)のデータを備えていてもよい。
これは、表層変性処理条件が、表層変性処理装置20を設置する地域によっても変わり得るためである。例えば、日本で表層変性処理を行った場合と、米国で表層変性処理を行った場合で処理条件は変わり得るため、地域条件のデータを取得しておくことで、より正確な予測が可能となり得る。
なお、GPSのデータは例えば、DEG(度10進)表記で保存されるが、これに限られるものではなく、DMS(度分秒)表記など、そのほかの公知の表記方法で保持してもよい。
また、本実施形態では環境データベースD13を独立したデータベースとしているが、環境データはホットスタンプ成形工程データベースD11や表層変性工程データベースD12に含めてもよい。
以上のような構成により、ホットスタンプ成形時のデータ、表層変性処理時のデータ、およびその時の環境データと、幅広い多くのデータを備えることで、表層変性処理条件に関連するパラメータは何か、最適な表層変性処理条件は何かについて、機械学習が発見することをサポートすることができる。
なお、これらのデータベース構成は一例であり、これ以外のデータベース構成を取り得る。例えば、ホットスタンプ成形工程データベースD11や表層変性工程データベースD12から処理対象物品(被加飾体など)に関するデータを独立させ、データベースを作成してもよい。
(変形例)
本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、本実施形態において機械学習に関する処理はサーバ40が行うが、端末30で行うようにしてもよい。この場合、ホットスタンプ成形(真空成形)方法やリサイクル方法で得たデータを取得する端末30と、機械学習に関する処理を行う端末30は分けてもよい。
(加飾済み被加飾体の準備における変形例)
ここでは、機械学習モデルの学習に必要な加飾済み被加飾体(成形サンプル)は、実際に使用された被加飾体に限らず、種々の形状のものを用意してもよい。
これにより、機械学習に必要な多くのデータを用意することができる。
例えば、本実施形態に係る成形サンプルは、例えば、平面形状の樹脂板、立体形状を有する樹脂などであってもよい。
平面形状の樹脂板とは、例えば5cm×5cmの樹脂の板である。
また、成形サンプルについて加速試験を行ってもよい。経時劣化した成形サンプルは、実際にリサイクル処理対象となるホットスタンプ成形品に近い挙動を示すことが期待できるためである。
この場合、加速試験の条件は、JIS規格に定める促進耐候性試験(JIS D 0205)の条件を用いるが、これに限られない。
例えば、加速試験として、耐候性試験の代わりに耐光性試験や温度サイクル試験、温湿度サイクル試験などを用いてもよい。
同一の形状を有する被加飾体のうち、加速試験を行わなかった成形サンプルと加速試験を行った成形サンプルとを用意した。どちらの成形サンプルも、加飾シート部分の膜厚は300μmである。
これらの成形サンプルに対して、大気圧条件下(減圧無し)、400Wの条件でプラズマ処理を行った。このときの気温は25℃、湿度は30%である。
この結果、加速試験を行った成形サンプルは、より加飾体が除去しにくいという結果が得られた。
(リサイクル方法による変形例)
本実施形態のリサイクル方法は断片化工程を備えているが、リサイクルの方法はこれに限られない。例えば、加飾体を除去した被加飾体を、上述した断片化以外の方法で分解し、再生してもよい。
分解は例えば、被加飾体を構成する樹脂を、光反応や熱反応による解重合などにより分解してもよい。ここで解重合は、樹脂の主鎖などを構成する少なくとも一部の結合を切断することを意味する。
本実施形態を含む発明は、換言すると以下の特徴を備える。下記は本願出願時における特許請求の範囲と対応する。ただし、出願後における特許請求の範囲の補正により、当該補正後の特許請求の範囲の記載とは異なる場合がある。
(1)第1の発明は、ホットスタンプ成形により被加飾体を加飾シートで加飾する工程、および被加飾体から加飾体を除去して被加飾体をリサイクルする工程を備え、
前記加飾シートは、熱可塑性接着剤を含む接着層を備え、
前記被加飾体から加飾体を除去して被加飾体をリサイクルする工程は、
コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、または高温熱風処理を含む表層変性処理により加飾体を変性させる表層変性処理工程を含むことを特徴とする、ホットスタンプ成形品のリサイクル方法を提供する。
(2)第2の発明は、前記ホットスタンプ成形により被加飾体を加飾シートで加飾する工程は、前記加飾シートが加飾シート片であり、かつ、
別個独立した複数の加飾シート片が当接している被加飾体を、上部チャンバーと下部チャンバーとを備えるチャンバー内に載置する工程、
前記上部チャンバーと下部チャンバーを密接させ、前記上部チャンバーまたは前記下部チャンバーの開口部を覆うように配設した分画シートにより、前記上部チャンバー内の空間と前記下部チャンバー内の空間を前記分画シートで分画する態様でチャンバーを密閉する工程、
前記加飾シート片を加熱した状態で前記チャンバー内を減圧し、前記加飾シート片を前記被加飾体に密着させる工程、を備えることを特徴とする、第1の発明に記載のリサイクル方法を提供する。
この場合、加飾シート片を用いるホットスタンプ成形方法は、被加飾体のサイズに合わせてムラなく加飾できるため、加飾体除去も容易という利点がある。ムラなく加飾されていることにより、表層変性処理が局所的な処理を可能とするものでなくとも加飾体の除去ができるためである。
このほか、加飾シート片を用いるホットスタンプ成形方法は、大判の加飾シートを用いる場合と比較して加飾シート使用量が少なく、素材を効率的に使用できるため、より環境によいという利点がある。
(3)第3の発明は、前記表層変性処理工程が、さらに、機械学習モデルを用いて表層変性処理の処理条件を推論する処理条件推論工程を備え、
前記機械学習モデルは、
処理対象物品に係るデータ、表層変性処理に係るデータ、および、表層変性処理の結果に係るデータを学習データとして学習を行い、
少なくとも処理対象物品に係るデータを入力データとして、表層変性処理条件について定量化した値を出力する機械学習モデルであることを特徴とする、第1の発明に記載のリサイクル方法を提供する。
この場合、データの入力のみで処理条件を予測できるため、最適な表層変性処理条件を得るために実際の成形サンプルで試行錯誤する必要が無くなり、最適な表層変性処理条件を見出すための検討の効率が向上する。特に、成形サンプルを焦がしてしまい、無駄にする可能性を抑制できる。
(4)第4の発明は、前記学習データおよび前記入力データに係る前記処理対象物品に係るデータが、当該処理対象物品を加飾している加飾シート部分の膜厚を含むことを特徴とする、第3の発明に記載のリサイクル方法を提供する。
この場合、表層変性処理時間に深く関わり得る加飾シート部分の膜厚を学習データとして含めることにより、機械学習モデルがより適切な表層変性処理条件を提示する可能性が高くなる。
(5)第5の発明は、前記処理対象物品に係るデータが、処理対象物品の3Dデータを含むことを特徴とする、第3の発明に記載のリサイクル方法を提供する。
この場合、成形サンプルの立体形状を学習データとして含めることにより、機械学習モデルがより適切な表層変性処理条件を提示する可能性が高くなる。
(6)第6の発明は、前記表層変性処理がプラズマ処理であり、前記表層変性処理に係るデータが少なくともプラズマ処理の処理時間に係るデータを含むことを特徴とする、第3の発明に記載のリサイクル方法を提供する。
この場合、プラズマ処理はより広い面の処理ができるなどの利点があり、コロナ処理、フレーム処理、または高温熱風処理よりも、ホットスタンプ成形品の表層変性処理に適しているため、加飾体除去度が向上する。
(7)第7の発明は、コンピュータを、処理対象物品に係るデータ、表層変性処理に係るデータ、および表層変性処理の結果に係るデータを取得するデータ取得手段、
前記データ取得手段で取得したデータを学習データとして学習する処理条件学習手段、
少なくとも処理対象物品に係るデータを含むデータを入力データとして、表層変性処理条件について定量化した値を出力する処理条件推論手段、として機能させ、
前記データ取得手段および前記処理条件推論手段における前記処理対象物品は、熱可塑性接着剤を含む接着層を備える加飾シートを用いて、ホットスタンプ成形により加飾している被加飾体であり、
前記表層変性処理は、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、または高温熱風処理であり、
前記表層変性処理に係るデータは、少なくとも表層変性処理の処理時間を含むことを特徴とする、表層変性処理条件を予測するための最適処理条件予測プログラムを提供する。
自動車部品に限らず、高耐候性などが不可欠な製品の加飾と、そのリサイクルに適用することができる。
1 リサイクルシステム
10 ホットスタンプ成形装置
110 チャンバー
111 上部チャンバー
112 下部チャンバー
121 吊持部
122 支持部
123 載置台
130 分画シート
141 真空ポンプ
142 加圧タンク
143 ヒータ
151 下治具
152 枠体
153 押圧体
16 被加飾体
17 加飾シート片
20 表層変性処理装置
21 プラズマ処理装置
22 コロナ処理装置
23 フレーム処理装置
24 高温熱風処理装置
30 端末
31 制御部
311 プロセッサ
312 ROM
313 RAM
314 計時部
32 記憶部
32a プログラム格納部
32b データ格納部
33 通信制御部
34 入力部
35 出力部
40 サーバ
41 制御部
411 プロセッサ
412 ROM
413 RAM
414 計時部
415 最適処理条件予測部
42 記憶部
42a プログラム格納部
42b データ格納部
43 通信制御部
N ネットワーク
P10 最適処理条件予測プログラム
P11 データ取得プログラム
P12 処理条件学習プログラム
P13 処理条件推論プログラム
S20 アプリケーションソフトウェア(アプリ)
D1 最適処理条件予測データベース
D11 ホットスタンプ成形工程データベース
D12 表層変性工程データベース
D13 環境データベース

Claims (6)

  1. ホットスタンプ成形により被加飾体を加飾シートで加飾する工程、および
    被加飾体から加飾体を除去して被加飾体をリサイクルする工程を備え、
    前記加飾シートは、熱可塑性接着剤を含む接着層を備え、
    前記被加飾体から加飾体を除去して被加飾体をリサイクルする工程は、
    コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、または高温熱風処理を含む表層変性処理により加飾体を変性させる表層変性処理工程を含み、
    前記表層変性処理工程は、さらに、機械学習モデルを用いて表層変性処理の処理条件を推論する処理条件推論工程を備え、
    前記機械学習モデルは、
    処理対象物品に係るデータ、表層変性処理に係るデータ、および、表層変性処理の結果に係るデータを学習データとして学習を行い、
    少なくとも処理対象物品に係るデータを入力データとして、表層変性処理条件について定量化した値を出力する機械学習モデルであることを特徴とする、
    ホットスタンプ成形品のリサイクル方法。
  2. 前記ホットスタンプ成形により被加飾体を加飾シートで加飾する工程は、
    前記加飾シートが加飾シート片であり、かつ、
    別個独立した複数の加飾シート片が当接している被加飾体を、上部チャンバーと下部チャンバーとを備えるチャンバー内に載置する工程、
    前記上部チャンバーと下部チャンバーを密接させ、前記上部チャンバーまたは前記下部チャンバーの開口部を覆うように配設した分画シートにより、前記上部チャンバー内の空間と前記下部チャンバー内の空間を前記分画シートで分画する態様でチャンバーを密閉する工程、
    前記加飾シート片を加熱した状態で前記チャンバー内を減圧し、前記加飾シート片を前記被加飾体に密着させる工程、
    を備えることを特徴とする、請求項1に記載のリサイクル方法。
  3. 前記学習データおよび前記入力データに係る前記処理対象物品に係るデータが、当該処理対象物品を加飾している加飾シート部分の膜厚を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のリサイクル方法。
  4. 前記学習データおよび前記入力データに係る前記処理対象物品に係るデータが、当該処理対象物品の3Dデータを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のリサイクル方法。
  5. 前記表層変性処理がプラズマ処理であり、
    前記表層変性処理に係るデータが少なくともプラズマ処理の処理時間に係るデータを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のリサイクル方法。
  6. コンピュータを、
    処理対象物品に係るデータ、表層変性処理に係るデータ、および表層変性処理の結果に係るデータを取得するデータ取得手段、
    前記データ取得手段で取得したデータを学習データとして学習する処理条件学習手段、
    少なくとも処理対象物品に係るデータを含むデータを入力データとして、表層変性処理条件について定量化した値を出力する処理条件推論手段、
    として機能させ、
    前記データ取得手段および前記処理条件推論手段における前記処理対象物品は、熱可塑性接着剤を含む接着層を備える加飾シートを用いて、ホットスタンプ成形により加飾している被加飾体であり、
    前記表層変性処理は、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、または高温熱風処理であり、
    前記表層変性処理に係るデータは、少なくとも表層変性処理の処理時間を含むことを特徴とする、
    表層変性処理条件を予測するための最適処理条件予測プログラム。
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