JP2022085523A - 全固体電池用負極 - Google Patents
全固体電池用負極 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2022085523A JP2022085523A JP2020197258A JP2020197258A JP2022085523A JP 2022085523 A JP2022085523 A JP 2022085523A JP 2020197258 A JP2020197258 A JP 2020197258A JP 2020197258 A JP2020197258 A JP 2020197258A JP 2022085523 A JP2022085523 A JP 2022085523A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- negative electrode
- active material
- electrode active
- current collector
- layer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/10—Energy storage using batteries
Landscapes
- Cell Electrode Carriers And Collectors (AREA)
- Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
Abstract
【課題】全固体電池用負極において負極集電体層と負極活物質層との密着性を改善する。【解決手段】全固体電池用負極であって、負極集電体層と負極活物質層とを備え、前記負極集電体層が、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔であり、前記負極集電体層の破断伸び率が、前記負極活物質層の破断伸び率以上であり、前記負極活物質層に含まれる負極活物質の平均一次粒子径Dが、前記負極集電体層の十点平均粗さRz以下であり、前記負極活物質層の空隙率が、25%以下であり、前記負極集電体層の算術平均粗さRaと前記負極活物質の前記平均一次粒子径Dとの比Ra/Dが、0.10以上3.00以下であり、前記負極集電体層の引張強さTSが、140N/mm2以上である、負極。【選択図】なし
Description
本願は全固体電池用負極を開示する。
特許文献1には、負極集電体の少なくとも一方の主面上の外周部の平均表面粗さと中心部の平均表面粗さとの比((外周部の平均表面粗さa)/(中心部の平均表面粗さb))が1未満であるリチウム電池が開示されている。また、特許文献2には、両面の十点平均粗さRzが3.5μm以下であり、両面の十点平均粗さRzの差が1.5μm以内である全固体電池用負極集電体が開示されている。
従来技術に係る全固体電池用負極においては、負極集電体層と負極活物質層との密着性に関して改善の余地がある。
本願は上記課題を解決するための手段の一つとして、
全固体電池用負極であって、負極集電体層と負極活物質層とを備え、
前記負極集電体層が、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔であり、
前記負極集電体層の破断伸び率が、前記負極活物質層の破断伸び率以上であり、
前記負極活物質層に含まれる負極活物質の平均一次粒子径Dが、前記負極集電体層の十点平均粗さRz以下であり、
前記負極活物質層の空隙率が、25%以下であり、
前記負極集電体層の算術平均粗さRaと前記負極活物質の前記平均一次粒子径Dとの比Ra/Dが、0.10以上3.00以下であり、
前記負極集電体層の引張強さTSが、140N/mm2以上である、
負極
を開示する。
全固体電池用負極であって、負極集電体層と負極活物質層とを備え、
前記負極集電体層が、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔であり、
前記負極集電体層の破断伸び率が、前記負極活物質層の破断伸び率以上であり、
前記負極活物質層に含まれる負極活物質の平均一次粒子径Dが、前記負極集電体層の十点平均粗さRz以下であり、
前記負極活物質層の空隙率が、25%以下であり、
前記負極集電体層の算術平均粗さRaと前記負極活物質の前記平均一次粒子径Dとの比Ra/Dが、0.10以上3.00以下であり、
前記負極集電体層の引張強さTSが、140N/mm2以上である、
負極
を開示する。
本開示の全固体電池用負極は、負極集電体層と負極活物質層との密着性に優れる。これにより、例えば、全固体電池の抵抗を小さくすることができる。
1.全固体電池用負極
本開示の全固体電池用負極は、負極集電体層と負極活物質層とを備える。前記負極集電体層は、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔である。前記負極集電体層の破断伸び率は、前記負極活物質層の破断伸び率以上である。前記負極活物質層に含まれる負極活物質の平均一次粒子径Dは、前記負極集電体層の十点平均粗さRz以下である。前記負極活物質層の空隙率は、25%以下である。前記負極集電体層の算術平均粗さRaと前記負極活物質の前記平均一次粒子径Dとの比Ra/Dは、0.10以上3.00以下である。前記負極集電体層の引張強さTSは、140N/mm2以上である。
本開示の全固体電池用負極は、負極集電体層と負極活物質層とを備える。前記負極集電体層は、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔である。前記負極集電体層の破断伸び率は、前記負極活物質層の破断伸び率以上である。前記負極活物質層に含まれる負極活物質の平均一次粒子径Dは、前記負極集電体層の十点平均粗さRz以下である。前記負極活物質層の空隙率は、25%以下である。前記負極集電体層の算術平均粗さRaと前記負極活物質の前記平均一次粒子径Dとの比Ra/Dは、0.10以上3.00以下である。前記負極集電体層の引張強さTSは、140N/mm2以上である。
本開示の全固体電池用負極は、負極集電体層と負極活物質層とを備える。負極集電体層及び負極活物質層は、それぞれ、負極に一層以上含まれていればよい。例えば、負極は、負極活物質層及び負極集電体層がこの順に積層されてなる構成を有していてもよく、負極活物質層、負極集電体層、及び負極活物質層がこの順に積層されてなる構成を有していてもよい。
1.1 負極集電体層
負極集電体層はアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔である。アルミニウム合金箔における合金成分の種類や含有量は特に限定されるものではない。アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔に含まれるアルミニウム原子の含有量は、例えば、50at%以上であってもよく、75at%以上であってもよく、100at%であってもよい。アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔は、市販品をそのまま用いてもよいし、市販品を前処理(アニール処理等)してから用いてもよい。
負極集電体層はアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔である。アルミニウム合金箔における合金成分の種類や含有量は特に限定されるものではない。アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔に含まれるアルミニウム原子の含有量は、例えば、50at%以上であってもよく、75at%以上であってもよく、100at%であってもよい。アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔は、市販品をそのまま用いてもよいし、市販品を前処理(アニール処理等)してから用いてもよい。
負極集電体層は、その面方向において、突出部を有していてもよい。突出部は、例えば、集電タブとして機能するものであってもよい。
負極集電体層の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、5μm以上、8μm以上、10μm以上、15μm以上、20μm以上、25μm以上、30μm以上又は35μm以上であってもよく、2mm以下、1mm以下、500μm以下、100μm以下、80μm以下、60μm以下、50μm以下又は40μm以下であってもよい。
1.2 負極活物質層
負極活物質層は、少なくとも負極活物質を含む。負極活物質層は、負極活物質に加えて、固体電解質、導電助剤及びバインダーを含んでいてもよい。負極活物質層における負極活物質、固体電解質、導電助剤及びバインダーの含有量は特に限定されるものではなく、目的とする電池の性能等に応じて適宜決定されればよい。一例として、負極活物質とバインダーとの質量比(負極活物質:バインダー)は、例えば、99:1~35:1、80:1~40:1、又は、55:1~40:1であってもよい。また、負極活物質及びバインダーの合計に対する質量比(固体電解質:(負極活物質及びバインダーの合計))は、40:60~60:40、又は、43:57~59:41であってもよい。
負極活物質層は、少なくとも負極活物質を含む。負極活物質層は、負極活物質に加えて、固体電解質、導電助剤及びバインダーを含んでいてもよい。負極活物質層における負極活物質、固体電解質、導電助剤及びバインダーの含有量は特に限定されるものではなく、目的とする電池の性能等に応じて適宜決定されればよい。一例として、負極活物質とバインダーとの質量比(負極活物質:バインダー)は、例えば、99:1~35:1、80:1~40:1、又は、55:1~40:1であってもよい。また、負極活物質及びバインダーの合計に対する質量比(固体電解質:(負極活物質及びバインダーの合計))は、40:60~60:40、又は、43:57~59:41であってもよい。
負極活物質は、全固体電池の負極活物質として機能し得るものであればよい。例えば、負極活物質は、酸化物系負極活物質、Si系負極活物質、Sn系負極活物質又は炭素材料等であってもよい。酸化物系負極活物質は、例えば、チタン酸リチウム(LTO)等であってもよい。より具体的には、例えば、スピネル構造を有するチタン酸リチウム(Li4+xTi5O12(0≦x≦3))であってもよく、ラムスデライト構造を有するチタン酸リチウム(Li2+xTi3O7(0≦x≦3))であってもよい。特に、スピネル構造を有するチタン酸リチウムの性能が高い。Si系負極活物質は、例えば、ケイ素、ケイ素酸化物、ケイ素炭化物、ケイ素窒化物又はこれらの固溶体等であってもよい。また、Si系負極活物質は、ケイ素以外の元素、例えば、Fe、Co、Sb、Bi、Pb、Ni、Cu、Zn、Ge、In、Sn、Ti等を含んでいてもよい。Sn系負極活物質は、例えば、スズ、スズ酸化物、スズ窒化物、又はこれらの固溶体等であってもよい。また、Sn系負極活物質は、スズ以外の元素、例えば、Fe、Co、Sb、Bi、Pb、Ni、Cu、Zn、Ge、In、Ti、Si等を含んでいてもよい。炭素材料は、例えば、ハードカーボン、ソフトカーボン、又はグラファイト等であってもよい。
負極活物質の平均一次粒子径Dは、特に限定されるものではないが、例えば、1nm以上、10nm以上、50nm以上、0.1μm以上、0.2μm以上、0.3μm以上、0.4μm以上、0.5μm以上又は0.6μm以上であってもよく、5.0μm以下、4.0μm以下、3.0μm以下、2.0μm以下又は1.0μm以下であってもよい。
負極活物質の平均一次粒子径Dは、負極活物質層のみの側面、負極活物質層を有する負極の側面、又は、全固体電池の側面を、Arイオンで加工するCP処理を実施し、FE-SEM等で撮影された反射電子像に基づいて算出することができる。具体的には、当該反射電子像に含まれる負極活物質と固体電解質の比率を参考に二値化閾値を決定し二値化画像を作成する。当該二値化画像中の負極活物質について、ランダムに50個の一次粒子を選択し、定方向最大径(クラムバイン径)の平均値を算出することによって、負極活物質の平均一次粒子径を特定する。
固体電解質は、例えば、Li2S-P2S5系(Li7P3S11、Li3PS4、Li8P2S9等)、Li2S-SiS2、LiI-Li2S-SiS2、LiI-Li2S-P2S5、LiI-LiBr-Li2S-P2S5、Li2S-P2S5-GeS2(Li13GeP3S16、Li10GeP2S12等)、LiI-Li2S-P2O5、LiI-Li3PO4-P2S5、及びLi7-xPS6-xClx等の硫化物固体電解質、Li7La3Zr2O12、Li7-xLa3Zr1-xNbxO12、Li7-3xLa3Zr2AlxO12、Li3xLa2/3-xTiO3、Li1+xAlxTi2-x(PO4)3、Li1+xAlxGe2-x(PO4)3、Li3PO4、又はLi3+xPO4-xNx(LiPON)等の酸化物固体電解質、並びにポリエチレンオキシド(PEO)、及びポリプロピレンオキシド(PPO)等のポリマー電解質から選ばれるものであってもよい。特に、無機固体電解質、特に硫化物固体電解質、中でもLi2S-P2S5を含む硫化物固体電解質の性能が高い。固体電解質は、非晶質であってもよく、結晶であってもよい。固体電解質は例えば粒子状であってもよい。固体電解質は1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が混合されて用いられてもよい。
導電助剤は、例えば、VGCF(気相成長法炭素繊維、Vapor Grown Carbon Fiber)及びカーボンナノ繊維等の炭素材料、又は、金属材料等であってもよい。導電助剤は1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が混合されて用いられてもよい。
バインダーは、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム(ABR)系バインダー、ブタジエンゴム(BR)系バインダー、ブチレンゴム(IIR)系バインダー、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)系バインダー、スチレンブタジエンゴム(SBR)系バインダー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系バインダー等であってもよい。バインダーは1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が混合されて用いられてもよい。
負極活物質層の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、0.1μm以上、1μm以上、5μm以上、10μm以上、15μm以上又は20μm以上であってもよく、2mm以下、1mm以下、500μm以下、150μm以下、120μm以下、100μm以下又は50μm以下であってもよい。
1.3 破断伸び率の関係
本開示の全固体電池用負極において、負極集電体層の破断伸び率は、負極活物質層の破断伸び率以上である。
本開示の全固体電池用負極において、負極集電体層の破断伸び率は、負極活物質層の破断伸び率以上である。
負極集電体層の破断伸び率が、負極活物質層の破断伸び率と同じ又はそれより大きい場合、ロールプレス等の高圧プレスの際に負極集電体が比較的変形しやすくなるので、プレスによる負極活物質層の変形に、負極集電体層が追従し易くなる。それによって、負極活物質層と負極集電体層との間の割れ又は剥がれを抑制できるものと考えられる。
負極集電体層及び負極活物質層の破断伸び率は、例えばJIS Z 2241:2011に定められた方法に従って測定することができる。より具体的には、JIS Z 2241:2011に基づき、負極集電体層又は負極活物質層からなる試験片を作製し、この試験片を引っ張りながら高速度カメラ(株式会社キーエンス製、VW-9000)で撮影し、試験片に亀裂が入った時間から負極集電体層又は負極活物質層の破断伸び率を算出することができる。
負極集電体層及び負極活物質層の破断伸び率の測定のためには、負極集電体層及び負極活物質層を有する負極に対して製造工程で加えられる最大プレス圧に相当するプレス圧でのプレスを行った負極集電体層及び負極活物質層を、試験片として用いることができる。すなわち例えば、負極集電体層及び負極活物質層を有する負極に対して製造工程で加えられる最大プレス圧が2.0ton/cmの線圧である場合、予め2.0ton/cmの線圧でのプレスを行った負極集電体層及び負極活物質層を、試験片として用いることができる。なお、負極活物質層の試験サンプルの作成のためには、基材として、比較的軟質な金属箔、例えば銅箔を用いることができる。
負極集電体層の破断伸び率の具体値は、特に限定されるものではないが、例えば、1.0%以上、1.5%以上、2.0%以上、2.5%以上、3.0%以上、3.5%以上、4.0%以上、4.5%以上、5.0%以上、5.5%以上、6.0%以上、6.5%以上、7.0%以上、7.5%以上、8.0%以上、8.5%以上、9.0%以上、9.5%以上、10.0%以上、10.5%以上又は11.0%以上であってもよく、20.0%以下、19.0%以下、18.0%以下、17.0%以下、16.0%以下、15.0%以下、14.0%以下、13.0%以下、12.0%以下、11.0%以下、10.0%以下、9.5%以下、9.0%以下、8.5%以下、8.0%以下、7.5%以下、7.0%以下、6.5%以下、6.0%以下、5.5%以下又は5.0%以下であってもよい。
負極集電体層の破断伸び率は、例えば、負極集電体層の厚さを変えることによって調整可能である。また、負極集電体層をアニール処理することによって、所望の破断伸び率を有する負極集電体層を得てもよい。
1.4 負極活物質の平均一次粒子径Dと負極集電体層の十点平均粗さRzとの関係
本開示の全固体電池用負極において、負極活物質層に含まれる負極活物質の平均一次粒子径Dは、負極集電体層の十点平均粗さRz以下である。
本開示の全固体電池用負極において、負極活物質層に含まれる負極活物質の平均一次粒子径Dは、負極集電体層の十点平均粗さRz以下である。
「負極集電体層の十点平均粗さ」とは、負極集電体層の表面のうち、少なくとも負極活物質層と接触する表面における十点平均粗さをいう。負極活物質の平均一次粒子径Dが、負極集電体層の十点平均粗さRzと同じ又はそれよりも小さい場合、ロールプレス等の高圧プレスの際に負極活物質層と負極集電体層との間で滑りが生じにくく、負極活物質層と負極集電体層とが密着し易くなり、また、負極活物質層と負極集電体層との間の割れ又は剥がれを抑制できるものと考えられる。
負極集電体層の十点平均粗さRzは、JIS B 0601:1994に準拠して、株式会社小坂研究所製SE-600を用いて、10mm×10mmサイズに箔を切り出し、測定長さ8mm、カットオフ値0.5mmの測定条件にて求める。
負極集電体層の十点平均粗さRzの具体値は、特に限定されるものではないが、例えば、0.5μm以上、0.6μm以上、0.7μm以上、0.8μm以上、0.9μm以上、1.0μm以上、1.5μm以上、2.0μm以上、2.5μm以上、3.0μm以上、3.5μm以上、4.0μm以上、4.5μm以上、5.0μm以上、5.5μm以上、6.0μm以上、6.5μm以上、7.0μm以上、7.5μm以上、8.0μm以上、8.5μm以上、9.0μm以上又は10.0μm以上であってもよく、25.0μm以下、23.0μm以下、20.0μm以下、19.0μm以下、18.0μm以下、17.0μm以下、16.0μm以下、15.0μm以下、14.0μm以下、13.0μm以下、12.0μm以下、11.0μm以下、10.0μm以下、9.0μm以下、8.0μm以下、7.0μm以下、6.0μm以下、5.0μm以下、4.0μm以下又は3.0μm以下であってもよい。
1.5 負極活物質層の空隙率
本開示の全固体電池用負極において、負極活物質層の空隙率は、25%以下である。
本開示の全固体電池用負極において、負極活物質層の空隙率は、25%以下である。
負極活物質層の空隙率が25%以下である場合、負極活物質層が密に形成されていることを意味する。これによって、負極活物質層における電子伝導性及びイオン伝導性が向上し、全固体電池の抵抗を低下させることができるものと考えられる。
負極活物質層の空隙率は、例えば、以下の方法によって求めることができる。すなわち、負極集電体層及び負極活物質層が一体となった負極を、直径11.28mm(面積1cm2)で打ち抜いて、得られた負極の重量を測定する。この負極の上下をSUS板で挟み、2N・mトルクで拘束した状態で、この負極の厚みを算出する。得られた負極の重量及び厚みから、負極集電体層の重量及び厚みを引き、負極活物質層の体積重量密度を算出する。そして、負極活物質層に含まれる各材料の真密度及び体積分率から負極活物質層の真密度を算出する。最後に、算出された負極活物質層の体積重量密度を親密度で割り、得られた値を1から引くことによって、負極活物質層の空隙率を求めることができる。
負極活物質層の空隙率は、25%以下、24%以下、23%以下、22%以下、21%以下又は20%以下であってもよく、1%以上、3%以上、5%以上又は10%以上であってもよい。
1.6 負極集電体層の算術平均粗さRaと負極活物質の平均一次粒子径Dとの関係
本開示の全固体電池用負極において、負極集電体層の算術平均粗さRaと負極活物質の平均一次粒子径Dとの比Ra/Dは、0.10以上3.00以下である。
本開示の全固体電池用負極において、負極集電体層の算術平均粗さRaと負極活物質の平均一次粒子径Dとの比Ra/Dは、0.10以上3.00以下である。
「負極集電体層の算術平均粗さ」とは、負極集電体層の表面のうち、少なくとも負極活物質層と接触する表面における算術平均粗さをいう。負極集電体層の十点平均粗さRzと算術平均粗さRaと負極活物質の平均一次粒子径Dとが上記の関係を満たす場合、負極集電体層の表面の凹凸間に負極活物質の一次粒子が入り込みやすくなり、且つ、負極集電体層と負極活物質との接触面積が増加するものと考えられる。結果として、負極集電体層と負極活物質層との密着性が向上し、負極の抵抗を低下させることができるものと考えられる。
負極集電体層の算術平均粗さRaは、JIS B 0601:1994に準拠して、株式会社小坂研究所製SE-600を用いて、10mm×10mmサイズに箔を切り出し、測定長さ8mm、カットオフ値0.5mmの測定条件にて求める。
負極集電体層の算術平均粗さの具体値は、特に限定されるものではないが、例えば、0.01μm以上、0.02μm以上、0.03μm以上、0.04μm以上又は0.05μm以上であってもよく、6.0μm以下、5.0μm以下、4.0μm以下又は3.0μm以下であってもよい。
1.7 負極集電体層の引張強さ
本開示の全固体電池用負極において、負極集電体層の引張強さTSは、140N/mm2以上である。負極集電体層の引張強さTSが140N/mm2以上である場合、ロールプレス等の高圧プレスの際に負極集電体層が破断し難くなる。本開示の全固体電池用負極においては、負極集電体層の引張強さTSが140N/mm2以上である場合において、負極集電体層と負極活物質層とが上記の関係を満たすことで、負極活物質層と負極集電体層との間の密着性を向上させることができる。
本開示の全固体電池用負極において、負極集電体層の引張強さTSは、140N/mm2以上である。負極集電体層の引張強さTSが140N/mm2以上である場合、ロールプレス等の高圧プレスの際に負極集電体層が破断し難くなる。本開示の全固体電池用負極においては、負極集電体層の引張強さTSが140N/mm2以上である場合において、負極集電体層と負極活物質層とが上記の関係を満たすことで、負極活物質層と負極集電体層との間の密着性を向上させることができる。
負極集電体層の引張強さTSは、例えばJIS Z 2241:2011に定められた方法に従って測定することができる。
1.8 補足
従来の全固体電池の製造においては、負極集電体層及び負極活物質層を有する負極、又はこの負極を含む積層体をプレス等によって圧密化すると、負極集電体層と負極活物質層との間の割れ又は剥がれが発生してしまうことがあった。すなわち、負極集電体層と負極活物質層との密着性に改善の余地があった。これは、負極集電体層と負極活物質層とでは、圧力に対するヤング率(柔らかさの指標)が異なる場合が多いため、負極に圧力をかけると、負極活物質層と負極集電体層との変形の程度が異なり、それによって負極活物質層と負極集電体層との間で割れ又は剥がれが発生してしまうことによると考えられる。これに対し、本開示の全固体電池用負極によれば、負極集電体層として140N/mm2の引張強さを有するアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔を用いた場合においても、負極活物質層及び負極集電体層が上記の関係を満たすことによって、負極活物質層と負極集電体層との間の密着性が向上し、圧密化時等においても割れ又は剥がれを抑制でき、さらには全固体電池の抵抗を小さくすることができる。
従来の全固体電池の製造においては、負極集電体層及び負極活物質層を有する負極、又はこの負極を含む積層体をプレス等によって圧密化すると、負極集電体層と負極活物質層との間の割れ又は剥がれが発生してしまうことがあった。すなわち、負極集電体層と負極活物質層との密着性に改善の余地があった。これは、負極集電体層と負極活物質層とでは、圧力に対するヤング率(柔らかさの指標)が異なる場合が多いため、負極に圧力をかけると、負極活物質層と負極集電体層との変形の程度が異なり、それによって負極活物質層と負極集電体層との間で割れ又は剥がれが発生してしまうことによると考えられる。これに対し、本開示の全固体電池用負極によれば、負極集電体層として140N/mm2の引張強さを有するアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔を用いた場合においても、負極活物質層及び負極集電体層が上記の関係を満たすことによって、負極活物質層と負極集電体層との間の密着性が向上し、圧密化時等においても割れ又は剥がれを抑制でき、さらには全固体電池の抵抗を小さくすることができる。
2.全固体電池
本開示の技術は全固体電池としての側面も有する。例えば、本開示の全固体電池は、上記本開示の負極と、正極と、固体電解質層とを備え得る。
本開示の技術は全固体電池としての側面も有する。例えば、本開示の全固体電池は、上記本開示の負極と、正極と、固体電解質層とを備え得る。
2.1 正極
正極は、例えば、正極活物質層と正極集電体層とを有していてよい。
正極は、例えば、正極活物質層と正極集電体層とを有していてよい。
正極活物質層は、正極活物質を含み、さらに任意に、固体電解質、導電助剤及びバインダー等を含んでいてもよい。正極活物質は公知の活物質を用いればよい。公知の活物質のうち、所定のイオンを吸蔵放出する電位(充放電電位)が上記の負極活物質の充放電電位よりも貴である物質を正極活物質として用いることができる。例えば、正極活物質としてコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2、マンガン酸リチウム、スピネル系リチウム化合物等の各種のリチウム含有複合酸化物を用いてもよい。正極活物質と固体電解質との接触による反応を抑制するために、正極活物質の表面にニオブ酸リチウム層やチタン酸リチウム層やリン酸リチウム層等の被覆層が設けられていてもよい。正極活物質は例えば粒子状であってよい。正極活物質層に含まれ得る固体電解質としては、上述の酸化物固体電解質や硫化物固体電解質等が挙げられる。特に、硫化物固体電解質、中でもLi2S-P2S5を含む硫化物固体電解質の性能が高い。正極活物質層に含まれ得る導電助剤としてはアセチレンブラックやケッチェンブラック等の炭素材料やニッケル、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料が挙げられる。正極活物質層に含まれ得るバインダーとしては、例えば、ブタジエンゴム(BR)系バインダー、ブチレンゴム(IIR)系バインダー、アクリレートブタジエンゴム(ABR)系バインダー、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)系バインダー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系バインダー等が挙げられる。正極活物質層における各成分の含有量は従来と同様とすればよい。正極活物質層の形状も従来と同様とすればよく、例えば、シート状の正極活物質層であってもよい。正極活物質層の厚みは、特に限定されるものではなく、例えば、0.1μm又は1μm以上であってもよく、2mm以下又は1mm以下であってもよい。
正極集電体層は、電池の集電体として一般的なものをいずれも採用可能である。正極において正極集電体層及び負極集電体層を兼ねるバイポーラ集電体層が設けられていてもよい。正極集電体層は、金属箔や金属メッシュ等により構成すればよい。取扱い性等に優れる観点からは、正極集電体層を金属箔としてもよい。正極集電体層は複数枚の金属箔からなっていてもよい。正極集電体層を構成する金属としては、Cu、Ni、Cr、Au、Pt、Ag、Al、Fe、Ti、Zn、Co、ステンレス鋼等が挙げられる。正極集電体層は、その表面に、抵抗を調整すること等を目的として、何らかのコート層を有していてもよい。また、正極集電体層が複数枚の金属箔からなる場合、当該複数枚の金属箔間に何らかの層を有していてもよい。正極集電体層の厚みは特に限定されるものではない。例えば、0.1μm以上であってもよいし、1μm以上であってもよく、1mm以下であってもよいし、100μm以下であってもよい。
2.2 固体電解質層
全固体電池は上記の負極と正極との間に固体電解質層を備え得る。固体電解質層は、固体電解質を含み、さらに任意に、バインダー等を含んでいてもよい。固体電解質は上述した酸化物固体電解質や硫化物固体電解質であってよい。特に、硫化物固体電解質、中でもLi2S-P2S5を含む硫化物固体電解質の性能が高い。バインダーは活物質層に用いられるバインダーと同様のものを適宜選択して用いることができる。固体電解質層における各成分の含有量は従来と同様とすればよい。固体電解質層の形状も従来と同様とすればよく、シート状の固体電解質層であってもよい。固体電解質層の厚みは、例えば、0.1μm以上2mm以下であってもよい。下限は1μm以上であってもよく、上限は1mm以下であってもよい。
全固体電池は上記の負極と正極との間に固体電解質層を備え得る。固体電解質層は、固体電解質を含み、さらに任意に、バインダー等を含んでいてもよい。固体電解質は上述した酸化物固体電解質や硫化物固体電解質であってよい。特に、硫化物固体電解質、中でもLi2S-P2S5を含む硫化物固体電解質の性能が高い。バインダーは活物質層に用いられるバインダーと同様のものを適宜選択して用いることができる。固体電解質層における各成分の含有量は従来と同様とすればよい。固体電解質層の形状も従来と同様とすればよく、シート状の固体電解質層であってもよい。固体電解質層の厚みは、例えば、0.1μm以上2mm以下であってもよい。下限は1μm以上であってもよく、上限は1mm以下であってもよい。
2.3 その他の構成
全固体電池は、上記した構成に加えて、何らかの部材を備えていてもよい。例えば、全固体電池は拘束部材によって拘束されていてもよい。拘束部材による拘束圧の方向は、正極、固体電解質及び負極の積層方向と一致させてもよい。これにより、各層における界面抵抗を低減することができ、より性能の高い電池が得られる。また、全固体電池は、必要な端子や電池ケース等を備えていてよい。
全固体電池は、上記した構成に加えて、何らかの部材を備えていてもよい。例えば、全固体電池は拘束部材によって拘束されていてもよい。拘束部材による拘束圧の方向は、正極、固体電解質及び負極の積層方向と一致させてもよい。これにより、各層における界面抵抗を低減することができ、より性能の高い電池が得られる。また、全固体電池は、必要な端子や電池ケース等を備えていてよい。
3.全固体電池用負極の製造方法
本開示の全固体電池用負極は、例えば、以下のようにして製造することができる。すなわち、本開示の全固体電池用負極の製造方法は、
負極集電体層の表面に負極活物質層を形成することを含み、
前記負極集電体層が、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔であり、
前記負極集電体層の破断伸び率が、前記負極活物質層の破断伸び率以上であり、
前記負極活物質層に含まれる負極活物質の平均一次粒子径Dが、前記負極集電体層の十点平均粗さRz以下であり、
前記負極活物質層の空隙率が、25%以下であり、
前記負極集電体層の算術平均粗さRaと前記負極活物質の前記平均一次粒子径Dとの比Ra/Dが、0.10以上3.00以下であり、
前記負極集電体層の引張強さTSが、140N/mm2以上である。
本開示の全固体電池用負極は、例えば、以下のようにして製造することができる。すなわち、本開示の全固体電池用負極の製造方法は、
負極集電体層の表面に負極活物質層を形成することを含み、
前記負極集電体層が、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔であり、
前記負極集電体層の破断伸び率が、前記負極活物質層の破断伸び率以上であり、
前記負極活物質層に含まれる負極活物質の平均一次粒子径Dが、前記負極集電体層の十点平均粗さRz以下であり、
前記負極活物質層の空隙率が、25%以下であり、
前記負極集電体層の算術平均粗さRaと前記負極活物質の前記平均一次粒子径Dとの比Ra/Dが、0.10以上3.00以下であり、
前記負極集電体層の引張強さTSが、140N/mm2以上である。
本開示の全固体電池用負極の製造方法は、前記負極集電体層と前記負極活物質層とをプレスして一体化すること、を含んでいてもよい。プレス時の圧力は、特に限定されるものではなく、目標とする電池の性能に応じて適宜決定されればよい。
本開示の全固体電池用負極の製造方法において、負極集電体層や負極活物質層の詳細については上述した通りである。負極集電体層の表面に負極活物質層を形成する方法は特に限定されない。例えば、湿式法によって負極集電体層の表面に負極合材を塗工・乾燥し、任意にプレスして負極集電体層の表面に負極活物質層を形成してもよいし、或いは、負極集電体層の表面において負極合材を圧粉成形して一体化して負極集電体層の表面に負極活物質層を形成してもよい。本開示の製造方法によれば、負極をプレスによって圧密化した場合等でも、負極活物質層と負極集電体層との間の割れ又は剥がれを抑制でき、負極活物質層と負極集電体層との密着性を向上させ易い。
以下、実施例を示しつつ本開示の技術による効果についてさらに詳細に説明するが、本開示の技術は以下の実施例に示される形態に限定されるものではない。
1.固体電解質の合成
Li2S 0.550g、P2S5 0.887g、LiI 0.285g、及びLiBr 0.277gを秤量し、メノウ乳鉢で5分間混合し、その後脱水ヘプタン4gを入れ、遊星型ボールミルを用いて、40時間メカニカルミリングすることで、固体電解質を得た。
Li2S 0.550g、P2S5 0.887g、LiI 0.285g、及びLiBr 0.277gを秤量し、メノウ乳鉢で5分間混合し、その後脱水ヘプタン4gを入れ、遊星型ボールミルを用いて、40時間メカニカルミリングすることで、固体電解質を得た。
2.負極活物質層用ペーストの調製
負極活物質としての平均一次粒子径0.7μmのLi4Ti5O12粒子1.0g、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)0.018g、導電助剤としての気相成長法炭素繊維(VGCF)0.02g、固体電解質0.763g、及び酪酸ブチル2gを秤量し、超音波ホモジナイザー(SMT社製UH-50)を用いて混合したものを負極活物質層用ペーストとして調製した。
負極活物質としての平均一次粒子径0.7μmのLi4Ti5O12粒子1.0g、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)0.018g、導電助剤としての気相成長法炭素繊維(VGCF)0.02g、固体電解質0.763g、及び酪酸ブチル2gを秤量し、超音波ホモジナイザー(SMT社製UH-50)を用いて混合したものを負極活物質層用ペーストとして調製した。
3.正極活物質層用ペーストの調製
正極活物質としてLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2を使用した。なお、正極活物質には事前にLiNbO3で表面処理を施す(被覆層を形成する)ものとした。この正極活物質2.2g、導電助剤としてのVGCF0.033g、固体電解質又は固体電解質に対し上記添加剤を0.5~33wt%添加し混合したもの0.349g、バインダーとしてのPVdF0.017g、及び酪酸ブチル0.8gを秤量し、超音波ホモジナイザー(SMT社製UH-50)を用いて混合したものを正極活物質層用ペーストとして調製した。
正極活物質としてLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2を使用した。なお、正極活物質には事前にLiNbO3で表面処理を施す(被覆層を形成する)ものとした。この正極活物質2.2g、導電助剤としてのVGCF0.033g、固体電解質又は固体電解質に対し上記添加剤を0.5~33wt%添加し混合したもの0.349g、バインダーとしてのPVdF0.017g、及び酪酸ブチル0.8gを秤量し、超音波ホモジナイザー(SMT社製UH-50)を用いて混合したものを正極活物質層用ペーストとして調製した。
4.固体電解質層用ペーストの調製
ポリプロピレン製容器に、ヘプタンとブタジエンゴム系バインダーを5質量%含んだヘプタン溶液、及び固体電解質としての平均粒子径2.5μmのLiI-LiBr-Li2S-P2S5系ガラスセラミックを加え、超音波分散装置で、30秒間攪拌した。次に、容器を振とう器で3分間振とうさせて、固体電解質層用ペーストを調製した。
ポリプロピレン製容器に、ヘプタンとブタジエンゴム系バインダーを5質量%含んだヘプタン溶液、及び固体電解質としての平均粒子径2.5μmのLiI-LiBr-Li2S-P2S5系ガラスセラミックを加え、超音波分散装置で、30秒間攪拌した。次に、容器を振とう器で3分間振とうさせて、固体電解質層用ペーストを調製した。
5.正極及び負極の作製
アプリケーターを使用してブレード法にて正極集電体層としてのアルミニウム箔上に正極活物質層用ペーストを塗工した。塗工後、100℃のホットプレート上で30分間乾燥させて、アルミニウム箔の表面に正極活物質層を有する正極を得た。
アプリケーターを使用してブレード法にて正極集電体層としてのアルミニウム箔上に正極活物質層用ペーストを塗工した。塗工後、100℃のホットプレート上で30分間乾燥させて、アルミニウム箔の表面に正極活物質層を有する正極を得た。
上記と同様の方法により、アルミニウム箔(負極集電体層)の表面に負極活物質層を有する負極を得た。負極集電体層としてのアルミニウム箔の性状(厚さ、破断伸び率、表面粗さ、引張強さ)については、下記表1に示される通りである。
6.固体電解質層の作製
上記「5」で得た正極をプレスし、プレス後の正極の正極活物質層の表面にダイコーターにより固体電解質層用ペーストを塗工し、100℃のホットプレート上で、30分間乾燥させた。その後、2ton/cmでロールプレスを行って、正極の表面に固体電解質層を備える正極側積層体を得た。
上記「5」で得た正極をプレスし、プレス後の正極の正極活物質層の表面にダイコーターにより固体電解質層用ペーストを塗工し、100℃のホットプレート上で、30分間乾燥させた。その後、2ton/cmでロールプレスを行って、正極の表面に固体電解質層を備える正極側積層体を得た。
一方で、上記「5」で得た負極をプレスし、プレス後の負極の負極活物質層の表面にダイコーターにより固体電解質層用ペーストを塗工し、100℃のホットプレート上で、30分間乾燥させた。その後、2ton/cmでロールプレスを行って、負極の表面に固体電解質層を備える負極側積層体を得た。
7.全固体電池の作製
正極側積層体及び負極側積層体をそれぞれ打ち抜き加工し、固体電解質層同士を張り合わせるようにして重ね合わせた。この際、正極側積層体の固体電解質層と、負極側積層体の固体電解質層との間に、未プレスの固体電解質層(固体電解質層用ペースト)を転写した状態で重ね合わせた。その後、130℃にて、2ton/cmでプレスし、正極、固体電解質層、及び負極をこの順に有する発電要素を得た。得られた発電要素をラミネート封入し、5MPaの圧力で拘束することで、全固体電池を作製した。
正極側積層体及び負極側積層体をそれぞれ打ち抜き加工し、固体電解質層同士を張り合わせるようにして重ね合わせた。この際、正極側積層体の固体電解質層と、負極側積層体の固体電解質層との間に、未プレスの固体電解質層(固体電解質層用ペースト)を転写した状態で重ね合わせた。その後、130℃にて、2ton/cmでプレスし、正極、固体電解質層、及び負極をこの順に有する発電要素を得た。得られた発電要素をラミネート封入し、5MPaの圧力で拘束することで、全固体電池を作製した。
8.評価
8.1 負極活物質層の破断伸び率の測定
上記「5」で作製した負極と同様の方法により、銅箔の表面に負極活物質層を形成して、2ton/cmでロールプレスを行って、銅箔の表面に負極活物質層を有する、負極活物質層の破断伸び率測定用サンプルを得た。JIS Z 2241:2011に基づき、得られた負極活物質層の破断伸び率測定用サンプルを引っ張りながら高速度カメラ(株式会社キーエンス製、VW-9000)で撮影し、試験片に亀裂が入った時間から負極活物質層の破断伸び率を算出した。
8.1 負極活物質層の破断伸び率の測定
上記「5」で作製した負極と同様の方法により、銅箔の表面に負極活物質層を形成して、2ton/cmでロールプレスを行って、銅箔の表面に負極活物質層を有する、負極活物質層の破断伸び率測定用サンプルを得た。JIS Z 2241:2011に基づき、得られた負極活物質層の破断伸び率測定用サンプルを引っ張りながら高速度カメラ(株式会社キーエンス製、VW-9000)で撮影し、試験片に亀裂が入った時間から負極活物質層の破断伸び率を算出した。
8.2 負極集電体層の破断伸び率及び引張強さの測定
用いる負極集電体層を、上記負極活物質層の破断伸び率の測定方法と同様にして、負極集電体層を引っ張ってから破断までの伸び率を測定した。また、JIS Z 2241:2011に示される方法で、負極集電体層の引張強さを測定した。
用いる負極集電体層を、上記負極活物質層の破断伸び率の測定方法と同様にして、負極集電体層を引っ張ってから破断までの伸び率を測定した。また、JIS Z 2241:2011に示される方法で、負極集電体層の引張強さを測定した。
8.3 負極活物質の平均一次粒子径の測定
負極活物質層のみ、又は、負極活物質層を有する負極、又は、全固体電池について、その側面をArイオンで加工するCP処理を実施し、FE-SEM等で撮影された二次電子像に基づいて、負極活物質の平均一次粒子径を算出した。
負極活物質層のみ、又は、負極活物質層を有する負極、又は、全固体電池について、その側面をArイオンで加工するCP処理を実施し、FE-SEM等で撮影された二次電子像に基づいて、負極活物質の平均一次粒子径を算出した。
8.4 負極集電体層の表面粗さの測定
用いる負極集電体層に対して、JIS B 0601:1994に準拠して、株式会社小坂研究所製SE-600を用いて、10mm×10mmサイズにアルミニウム箔を切り出し、測定長さ8mm、カットオフ値0.5mmの測定条件によって、十点平均粗さ(Rz)および算術平均粗さ(Ra)を求めた。尚、本発明者が確認したところによれば、電池作製前後において負極集電体層のRzやRaは実質的に変化しない。電池作製後に負極集電体層のRzやRaを測定する場合は、負極集電体層上に成形された負極活物質層を除去したうえで測定すればよい。この場合、エタノールやヘプタン等を使用して負極集電体層上の負極活物質層を除去することができる。
用いる負極集電体層に対して、JIS B 0601:1994に準拠して、株式会社小坂研究所製SE-600を用いて、10mm×10mmサイズにアルミニウム箔を切り出し、測定長さ8mm、カットオフ値0.5mmの測定条件によって、十点平均粗さ(Rz)および算術平均粗さ(Ra)を求めた。尚、本発明者が確認したところによれば、電池作製前後において負極集電体層のRzやRaは実質的に変化しない。電池作製後に負極集電体層のRzやRaを測定する場合は、負極集電体層上に成形された負極活物質層を除去したうえで測定すればよい。この場合、エタノールやヘプタン等を使用して負極集電体層上の負極活物質層を除去することができる。
8.5 負極活物質層の空隙率の測定
負極集電体層及び負極活物質層が一体となった負極を、直径11.28mm(面積1cm2)で打ち抜き、打ち抜かれた負極の重量を測定した。当該負極の上下をSUS板で挟み、2N・mトルクで拘束した状態で、当該負極の厚みを算出した。得られた負極の重量及び厚みから負極集電体層の重量及び厚みを引き、負極活物質層の体積重量密度を算出した。そして、負極活物質層に含まれる各材料の真密度及び体積分率から負極活物質層の真密度を算出した。最後に、算出された負極活物質層の体積重量密度を真密度で割り、得られた値を1から引くことによって、負極活物質層の空隙率を得た。
負極集電体層及び負極活物質層が一体となった負極を、直径11.28mm(面積1cm2)で打ち抜き、打ち抜かれた負極の重量を測定した。当該負極の上下をSUS板で挟み、2N・mトルクで拘束した状態で、当該負極の厚みを算出した。得られた負極の重量及び厚みから負極集電体層の重量及び厚みを引き、負極活物質層の体積重量密度を算出した。そして、負極活物質層に含まれる各材料の真密度及び体積分率から負極活物質層の真密度を算出した。最後に、算出された負極活物質層の体積重量密度を真密度で割り、得られた値を1から引くことによって、負極活物質層の空隙率を得た。
8.6 負極活物質層と負極集電体層との間で割れ又は剥がれの確認
全固体電池の側面を、目視にて5mm程度以上の亀裂などが負極活物質層もしくは負極集電体に発生しているものを割れ又は剥がれと判断し、確認した。
全固体電池の側面を、目視にて5mm程度以上の亀裂などが負極活物質層もしくは負極集電体に発生しているものを割れ又は剥がれと判断し、確認した。
8.7 抵抗の測定
各全固体電池サンプルに対して以下のように充放電を行った。
充電:0.1C相当電流で定電流充電し、セル電圧3.0V到達後、定電圧充電し、充電電流が0.01C相当に到達した時点で終了した。
放電:0.1C相当電流で定電流放電し、1.0Vになった時点で終了した。
上記充電の際の充電容量(mAh)の20%相当量を0.1C相当電流で定電流充電後、2.5C相当電流を10秒間充電した前後の電圧差を2.5C電流値で割り、抵抗値を算出した。
各全固体電池サンプルに対して以下のように充放電を行った。
充電:0.1C相当電流で定電流充電し、セル電圧3.0V到達後、定電圧充電し、充電電流が0.01C相当に到達した時点で終了した。
放電:0.1C相当電流で定電流放電し、1.0Vになった時点で終了した。
上記充電の際の充電容量(mAh)の20%相当量を0.1C相当電流で定電流充電後、2.5C相当電流を10秒間充電した前後の電圧差を2.5C電流値で割り、抵抗値を算出した。
9.結果
測定及び評価結果を下記表1に示す。下記表1には、負極が以下の条件(1)~(5)を満たす(「○」)か否(「×」)かについても併記した。
(1)負極集電体層の破断伸び率が負極活物質層の破断伸び率以上である。
(2)負極活物質層に含まれる負極活物質の平均一次粒子径Dが、負極集電体層の十点平均粗さRz以下である。
(3)負極活物質層の空隙率が25%以下である。
(4)負極集電体層の算術平均粗さRaと負極活物質の平均一次粒子径Dとの比Ra/Dが0.10以上3.00以下である。
(5)負極集電体層の引張強さTSが140N/mm2以上である。
測定及び評価結果を下記表1に示す。下記表1には、負極が以下の条件(1)~(5)を満たす(「○」)か否(「×」)かについても併記した。
(1)負極集電体層の破断伸び率が負極活物質層の破断伸び率以上である。
(2)負極活物質層に含まれる負極活物質の平均一次粒子径Dが、負極集電体層の十点平均粗さRz以下である。
(3)負極活物質層の空隙率が25%以下である。
(4)負極集電体層の算術平均粗さRaと負極活物質の平均一次粒子径Dとの比Ra/Dが0.10以上3.00以下である。
(5)負極集電体層の引張強さTSが140N/mm2以上である。
実施例1~3の結果から明らかなように、全固体電池の負極において負極集電体層としてアルミニウム箔(又はアルミニウム合金箔)を採用する場合、上記の条件(1)~(5)のすべてを満たすように負極活物質層及び負極集電体層を構成することで、負極活物質層と負極集電体層との間の割れ及び剥がれを抑制でき、負極活物質層と負極集電体層との密着性が向上し、電池の抵抗を顕著に低減できることが分かる。
一方で、比較例1~9の結果から明らかなように、全固体電池の負極において負極集電体層としてアルミニウム箔(又はアルミニウム合金箔)を採用する場合に、上記条件(1)~(5)のうちの少なくとも一つが満たされない場合、負極活物質層と負極集電体層との間の割れ及び剥がれが生じ、又は、電池の抵抗が増大することが分かる。
Claims (1)
- 全固体電池用負極であって、負極集電体層と負極活物質層とを備え、
前記負極集電体層が、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔であり、
前記負極集電体層の破断伸び率が、前記負極活物質層の破断伸び率以上であり、
前記負極活物質層に含まれる負極活物質の平均一次粒子径Dが、前記負極集電体層の十点平均粗さRz以下であり、
前記負極活物質層の空隙率が、25%以下であり、
前記負極集電体層の算術平均粗さRaと前記負極活物質の前記平均一次粒子径Dとの比Ra/Dが、0.10以上3.00以下であり、
前記負極集電体層の引張強さTSが、140N/mm2以上である、
負極。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020197258A JP2022085523A (ja) | 2020-11-27 | 2020-11-27 | 全固体電池用負極 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020197258A JP2022085523A (ja) | 2020-11-27 | 2020-11-27 | 全固体電池用負極 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2022085523A true JP2022085523A (ja) | 2022-06-08 |
Family
ID=81892321
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020197258A Pending JP2022085523A (ja) | 2020-11-27 | 2020-11-27 | 全固体電池用負極 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2022085523A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2024090207A1 (ja) * | 2022-10-26 | 2024-05-02 | 株式会社Gsユアサ | 非水電解質蓄電素子用の正極及び非水電解質蓄電素子 |
-
2020
- 2020-11-27 JP JP2020197258A patent/JP2022085523A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2024090207A1 (ja) * | 2022-10-26 | 2024-05-02 | 株式会社Gsユアサ | 非水電解質蓄電素子用の正極及び非水電解質蓄電素子 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US10658704B2 (en) | Method of manufacturing electrode laminate and method of manufacturing all-solid-state battery | |
JP7337984B2 (ja) | 全固体二次電池 | |
JP5626654B2 (ja) | 非水電解質電池、及び非水電解質電池の製造方法 | |
JP6296030B2 (ja) | 電極積層体及び全固体電池の製造方法 | |
JP7243249B2 (ja) | 全固体電池 | |
JP2016066584A (ja) | 電極およびその製造方法、電池、ならびに電子機器 | |
JP6943208B2 (ja) | 全固体電池の製造方法および全固体電池 | |
JP2021077591A (ja) | 全固体電池の製造方法および全固体電池 | |
CN111725475B (zh) | 全固体电池的制造方法和全固体电池 | |
JP2022085523A (ja) | 全固体電池用負極 | |
JP2022044461A (ja) | 全固体二次電池、積層全固体二次電池及びこれらの製造方法 | |
JP7226359B2 (ja) | 全固体電池用負極 | |
US20230016169A1 (en) | All-solid-state battery and manufacturing method for all-solid-state battery | |
US20220115691A1 (en) | Method for producing all solid-state battery, and all solid-state battery | |
JP7180537B2 (ja) | 全固体電池用積層体 | |
JP7314768B2 (ja) | 全固体電池の製造方法及び全固体電池 | |
WO2022131301A1 (ja) | 固体電池、及び、固体電池の製造方法 | |
CN113948709B (zh) | 硫化物全固体电池 | |
US20230253608A1 (en) | All-solid-state battery and method of producing all-solid-state battery | |
JP2022128794A (ja) | 全固体電池 | |
JP2023002176A (ja) | 全固体電池の製造方法 | |
JP2022148439A (ja) | 固体二次電池 | |
JP2022154448A (ja) | 全固体電池用負極電極 | |
JP2019114348A (ja) | 全固体二次電池 | |
JP2024011703A (ja) | 全固体電池 |