JP2022085228A - 見積支援方法、見積支援プログラム、および見積支援システム - Google Patents

見積支援方法、見積支援プログラム、および見積支援システム Download PDF

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Abstract

【課題】プラン作成段階から精度の高い見積りを作成することが可能な、見積支援方法、見積支援プログラム、および見積支援システムを提供する。【解決手段】見積支援方法は、コンピュータが、建築物の区切られた空間の種別、数、広さ、および配置を示す設計データを入力する処理を支援するステップS1と、コンピュータが、設計データから読み出した空間の前記数および広さに応じた材料費および工事費と、設計データから読み出した種別または配置によって異なる空間に対する材料費および工事費とが反映された見積金額を算出するステップS2と、コンピュータが、見積金額を提示するステップS3とを備える。【選択図】図2

Description

本発明は、見積支援方法、見積支援プログラム、および見積支援システムに関する。
特開2005-301358号公報(特許文献1)には、間取り図を撮影し、データ化し、これに基づいて、任意の視点からのパース図およびその見積りを一般消費者が容易に得られるシステムを開示する。
特開2005-301358号公報
上記特開2005-301358号公報(特許文献1)では、間取りから想定される各部材の単価、数量、必要となる工事費をデータベースから受信し見積りを作成している。
しかし、建築物を完成するために必要な工事費は、工事対象の配置によって異なるため、精度の良い見積りを作成することは困難であり、建築物のプラン作成段階から詳細な見積りを出すことはできなかった。
本発明は、上記の課題を解決するものであって、その目的は、プラン作成段階から精度の高い見積りを作成することが可能な、見積支援方法、見積支援プログラム、および見積支援システムを提供することである。
本開示の見積支援方法は、コンピュータが、建築物の区切られた空間の種別、数、広さ、および配置を示す設計データを入力する処理を支援するステップと、コンピュータが、設計データから読み出した空間の数および広さに応じた材料費および工事費と、設計データから読み出した種別または配置によって異なる空間に対する材料費および工事費とが反映された見積金額を算出するステップと、コンピュータが、見積金額を提示するステップとを備える。
本開示は、他の局面では、上記の見積支援方法をコンピュータに実行させるための見積支援プログラムに関する。
本開示は、さらに他の局面では、見積支援システムに関する。見積支援システムは、上記の見積支援方法を実行する演算処理部と、空間に対する材料費および工事費の単位面積あたりの単価情報を記憶する記憶装置とを備える。記憶装置は、空間1つに対して、種別または配置によって異なる2種類以上の単価情報を記憶する。
本発明によれば、建築物のプラン作成段階から、精度の高い見積りを得ることができる。このため、建築予算に対して適切な建築物のプランを作成することができる。
本実施の形態の見積支援システムの構成を示すブロック図である。 見積支援システム1が実行する見積支援方法を説明するためのフローチャートである。 プラン作成を支援するステップS11の詳細について説明するためのフローチャートである。 プランの一例を示す表示例である。 種別の登録および変更について説明するためのフローチャートである。 プランの配置例の1階部分の各空間に入力された種別を示した図である。 プランの配置例の2階部分の各空間に入力された種別を示した図である。 図2の数量拾い出し処理(S13)の詳細を説明するためのフローチャートである。 見積出力処理のための基本的設定の入力画面例を示す図である。 種別が「その他」である場合の住宅設備の入力画面例を示す図である。 種別が「その他」である場合の電気設備の入力画面例を示す図である。 標準的な屋根形状を示す側面図である。 屋根の形状の入力画面例を示す図である。 屋根の形状の入力に従って変更された屋根形状を示す側面図である。 屋根の勾配と面積の関係を説明するための図である。 屋根の水平投影面積について説明するための図である。 1階にキッチンを設置するプランの一例である。 2階にキッチンを設置するプランの一例である。 吹抜を設置するプランの1階の配置を示す図である。 吹抜を設置するプランの2階の配置を示す図である。 吹抜の階層について説明するための部分断面図である。 本実施の形態で表示される見積りの一例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
[見積支援システムの全体構成]
図1は、本実施の形態の見積支援システムの構成を示すブロック図である。図1に示す見積支援システム1は、見積支援装置2と、ネットワーク4を介して見積支援装置2に接続された外部データベース3とを備える。
見積支援装置2は、演算処理部(CPU(Central Processing Unit))21と、記憶装置(メモリ)22と、入力装置23と、表示装置24と、通信部25とを含む。
入力装置23は、たとえば、キーボードおよびマウス等を含む。表示装置24は、液晶ディスプレイ等を含む。記憶装置22は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリ、ハードディスク装置等を含む。演算処理部21は、ROMに格納されているプログラムをRAM等に展開して実行する。ROMに格納されるプログラムは、見積支援装置2の処理手順が記されたプログラムである。記憶装置22は、入力装置23から入力されたデータを設計データファイルとして記憶する。なお、記憶装置22は、不揮発性メモリに代えてまたはこれに加えてハードディスク装置を含んでいても良い。見積支援装置2は、処理手順が記されたプログラムに従って、表示用データを生成し、表示装置24に表示させる。
見積支援装置2は、たとえば、見積支援ソフトウェアがインストールされたパーソナルコンピュータである。ネットワーク4は、たとえばインターネットである。見積支援ソフトウェアは、たとえばUSB(Universal Serial Bus)メモリに記憶され、ユーザに配布される。見積支援ソフトウェアは、限定されたパーソナルコンピュータで運用することが好ましいので、パーソナルコンピュータにUSBメモリが接続されているときのみ実行されるように構成されることが好ましい。
図2は、見積支援システム1が実行する見積支援方法を説明するためのフローチャートである。
本実施の形態で説明する見積支援方法は、設計データの入力支援をするステップS1と、設計データに基づいて見積金額を算出するステップS2と、見積金額を提示するステップS3とを備える。
設計データの入力支援をするステップS1では、建築物の区切られた空間の種別、数、広さ、および配置を示す設計データをユーザが入力する処理をコンピュータが支援する。
見積金額を算出するステップS2では、設計データから読み出した空間の数および広さに応じた材料費および工事費と、設計データから読み出した種別または配置によって異なる空間に対する材料費および工事費とが反映された見積金額をコンピュータが算出する。
見積金額を提示するステップS3では、ステップS2で算出された見積金額をコンピュータが表示装置24に表示させたり、通信部25に接続された図示しない印刷装置に印刷させたりする。
ステップS1は、プラン作成を支援するステップS11と、部屋・区画の登録または変更をするステップS12と、見積りに必要な数量を拾い出すステップS13とを含む。
図3は、プラン作成を支援するステップS11の詳細について説明するためのフローチャートである。まず最初に、部屋割の入力を支援するステップS111が実行される。
図4は、プランの一例を示す表示例である。表示装置24に、図4に示す画面が表示される。右側画面は、住宅のプランの入力領域であり、左側画面は、入力したい対象空間を選択するためのアイコンが表示されている選択領域である。
ユーザは、左側画面のアイコンのいずれか1つをマウスなどで選択し、その後、空間の形状を右側画面の入力領域に入力する。空間の形状は、矩形の対角線の2点をマウスなどで入力する矩形入力、または、多角形の各頂点を順番にマウスで入力する多角形入力などで、入力することができる。
右側画面のアイコンの各々には、対象空間の名称と、対象空間の種別とが表示されている。たとえば、「Y-洋室」は、対象空間の名称を示し、そのアイコンに重ねるように表示されている「部屋」は、対象空間の種別を示す。対象空間の種別には、「部屋」、「区画」、「その他」があるが、アイコン上に重ねて表示されるのは「部屋」および「区画」であり、「その他」の場合は、特に表示はされない。
したがって、ステップS11の部屋割りの入力支援時には、ユーザがアイコンを選択して形状を入力することによって、各対象空間の名称と種別と形状とが設計データに入力される。図4の例では、Y-洋室、W-和室(洋仕上)、K-子供室、S-寝室を入力すると、種別が「部屋」であることも同時に入力される。また、H-ホール、R-廊下、S-洗面所、W-ウオークインクローゼット、S-シューズクローク、N-納戸を入力すると、種別が「区画」であることも同時に入力される。他の空間については、種別は「その他」であることが同時に入力される。これらの種別を設定することによって、後に詳細に説明するが、各空間に配置される設備の入力を省略することができ、見積り作成の手間を減らすことができる。
図3のステップS111の部屋割りの入力が終了すると、以下順にステップS112で建具の入力支援処理、ステップS113で階段の入力支援処理、ステップS114で壁・柱の入力支援処理(自動処理を含む)、ステップS115で屋根の入力支援処理(自動処理を含む)、ステップS116で部品の入力支援処理、ステップS117で外装の変更支援処理が実行される。
[対象空間の種別の登録および変更]
本実施の形態では、見積りに対して建築物の区切られた空間の種別を予め「部屋」、「空間」、「その他」の3種類に分類し、この種別を見積金額の算出に使用する。
通常は、プラン作成時に、ユーザが空間の形状を入力する際に、各対象空間の名称と種別と形状とが設計データに入力される。しかし、見積り段階になって対象空間の用途を変更する場合がある。その場合には、対象空間の種別を後から変更することも可能である。また、CAD(Computer-Aided Design)などを用いて別に作成されたデータを見積支援システムに読み込むことによって形状を入力し、各々の対象空間に対して各対象空間の名称と種別とを上書きするか後から登録しても良い。
図5は、種別の登録および変更について説明するためのフローチャートである。
まずステップS121において、ユーザが作成したプラン、またはCADなどを用いて別に作成されたデータを読み込むことにより作成されたプランが表示装置24に表示される。
続いて、ステップS122において、演算処理部21がユーザに対して空間を選択するように要求する。そして、ステップS123において、演算処理部21がユーザに対して空間の種別を選択するように要求する。
なお、ステップS122、S123を実行する順番は、逆でも良く、1つのステップで同時に実行されても良い。たとえば、ユーザが作成したプランのある空間の種別を変更したい場合は、図4の左側画面に示されたアイコンのうち、変更後の種別に対応するアイコンを右側画面の空間にドラッグして重ねることによって、既に入力済みの種別を変更することができる。
形状のみがCADデータから入力されたプランに対しても、同様に種別を設定したい右側画面の空間に、左側画面のアイコンのいずれかをドラッグして重ねることによって、種別を設定することができる。
ステップS124では、演算処理部21は、設定された種別に問題ないかをユーザに問い合わせ、ユーザがまだ種別の変更を希望すれば(S124でNO)、再びステップS122,S123の処理が繰返される。ユーザが種別の変更を希望しない場合(S124でYES)、空間の種別変更の処理は終了し、制御はメインルーチンに戻る。
図6は、プランの配置例の1階部分の各空間に入力された種別を示した図である。図7は、プランの配置例の2階部分の各空間に入力された種別を示した図である。図6,図7において、種別として、部屋は「部屋」、区画は「区画」、その他は「他」と表示されている。
各空間の種別が登録された後には、図6、図7に示すようなプランが図4の右側画面に表示され、各空間には種別を示す文字が表示される。
[空間の種別による見積金額の変更]
空間の種別は、見積金額を算出する際に参照され、種別に対応する標準的な備品の数が空間に対して設定される。これにより、ユーザが備品の数を空間ごとに入力する手間を省くことができる。
図8は、図2の数量拾い出し処理(S13)の詳細を説明するためのフローチャートである。演算処理部21は、プランの各空間について、設備等の数量の拾い出しを行なう。まずステップS131において、演算処理部21は、対象空間の種別が「部屋」であるか否かを判断する。「部屋」は、居室として使用する空間を示す種別である。ただし、LDKは、特殊な設備を有する台所でもあるので、種別は「その他」となる。
種別が「部屋」である場合(S131でYES)、演算処理部21は、ステップS132において、見積りに使用する数量として、出入口=1、電灯・配線=1、スイッチ=1、コンセント=2、火災報知器=1を対象空間に対して自動的に設定する。これにより、出入口の建具(ドアなど)、電灯、スイッチ、コンセント、火災報知器の材料費と、これらの設置に必要な工事費が見積金額に反映されることになる。
一方、種別が「部屋」でない場合(S131でNO)、ステップS133において、演算処理部21は、対象空間の種別が「区画」であるか否かを判断する。「区画」は、居室として使用しない空間、たとえば納戸、ウオークインクローゼットなどを示す種別である。
種別が「区画」である場合(S133でYES)、演算処理部21は、ステップS134において、見積りに使用する数量として、出入口=1、電灯・配線=1、スイッチ=1を対象空間に対して自動的に設定する。これにより、出入口の建具(ドアなど)、電灯、スイッチの材料費と、これらの設置に必要な工事費が見積金額に反映されることになる。種別が「区画」である場合には、コンセントおよび火災報知器は設置されないため、見積りには含まれない。
一方、種別が「区画」でない場合(S133でNO)、ステップS135において、演算処理部21は、対象空間の種別が「その他」であると判断する。「その他」は、台所、LDK、トイレなど特殊な設備が配置される空間、または、玄関、物入れなど標準的な設備が配置されない空間を示す種別である。そして、ステップS136において、演算処理部21は、設備の数量を入力する画面を表示して、ユーザからの設備の数量の入力を受け付ける。
図9は、見積出力処理のための基本的設定の入力画面例を示す図である。演算処理部21は、図9のような画面によって、建築物の基本的な設備の有無をユーザに問い合わせる。図9には、パック工事のチェックボックスとして、オール電化パックか、またはガス仕様パックかを選択できるようになっている。また、住宅設備・電気設備のチェックボックスとして、食器洗い乾燥機、浴室乾燥機の有無を選択できるようになっている。部屋の数は5、区画の数は4であることが、プランの設計データから自動的に抽出され、図9の画面に入力されている。
図10は、種別が「その他」である場合の住宅設備の入力画面例を示す図である。対象空間の種別が「その他」であった場合、図8のステップS136において、演算処理部21は、設備機器等の詳細を選択する図10の詳細見積ウィンドウを表示する。図10では、左側領域において、「住宅設備」のボタンを選択することによって右側領域に住宅設備を指定する画面が表示されている。「キッチン」、「浴室」、「洗面」、「トイレ」、「電気給湯器」、「ガス給湯器」のタブを選択することによって、選択したタブに対応する設備の入力画面が表示される。図10の例では、「トイレ」のタブが選択されており、便器と手洗器の設置階数、仕上(設備型番など)、などを入力可能となっている。
図10の左側領域において、「電気設備」のボタンを選択すると、右側領域に電気設備を指定する画面が表示される。
図11は、種別が「その他」である場合の電気設備の入力画面例を示す図である。対象空間の種別が「その他」であった場合、図8のステップS136において、演算処理部21は、図11の画面を表示する。
図11の例では、電気設備として、電灯配線増設、2口コンセント増設、3口コンセント増設、4口コンセント増設、アース付2口コンセント増設、住宅用火災警報器(熱式)設置工事、住宅用火災警報器(煙式)設置工事などの数量が入力可能となっている。なお、スイッチ、エアコン用スリーブ、ドアホンなどの数量を入力可能としても良い。
なお、種別が「部屋」の場合には、このような画面でデフォルト値として2口コンセント=2、住宅用火災警報器(煙式)設置工事=1が入力されており、あとから変更可能とするようにしても良い。このようにしても、デフォルト設定でよければ、ユーザの入力の手間が軽減される。
このようにして、図2のステップS13の数量の拾い出し処理が終了すると、図2のステップS21において、演算処理部21は、積算項目および数量の確認をユーザに求める。
ユーザが修正必要と判断した場合(S22でYES)、演算処理部21は、ステップS23において、ユーザからの数量変更および数量追加の入力を受け付ける。特に限定されないが、対応する空間について、図10、図11に示すような画面を表示し、数量変更および数量追加の入力を受け付けるようにすれば良い。
ユーザが修正不要と判断した場合(S22でNO)、演算処理部21は、ステップS24において、拾い出し処理で得られた数量を集計し、材料費および工事費が登録されたデータベースに照会して、材料費および工事費の金額を取得する。このようにして見積金額を算出するステップS2が終了すると、演算処理部21は、ステップS3において表示装置24に見積金額を表示したり、必要に応じて通信部25に接続されたプリンタ(図示せず)から見積書を印刷したりする。
以上説明したように、設計データの入力を支援するステップS1は、建築物の区切られた空間の配置を表示し、各々の空間がどの種別に該当するかの入力を支援する。種別は、第1種別(部屋)、第2種別(空間)の少なくとも2種類を含む。見積金額を算出するステップS2は、各々の空間に対して種別ごとに定められた備品の数量と、空間の広さとに基づいて見積金額を算出する。
種別は、第3種別(その他)をさらに含む。第1種別は、「部屋」であり、第2種別は、「区画」であり、第3種別は、「その他」である。設計データの入力を支援するステップS1は、空間の種別が「部屋」または「区画」である場合、ステップS132,S134に示すように種別ごとに予め定められた数量の予め定められた備品を設定し、空間の種別が「その他」である場合、ステップS136において備品を設定するか否かについて入力をさらに支援する。
このようにして、本実施の形態に示す見積支援方法、見積支援プログラム、および見積支援システムは、見積金額の算出に必要な各空間の設備および工事についての数量の入力の手間を少なくすることができる。
[屋根形状による見積金額の変更]
建築物は、屋根形状によっても見積金額が変動する。しかし、従来は、プラン作成段階で、屋根形状を変更することによる見積金額アップ分を正確に算出することは困難であった。
本実施の形態の見積支援方法、見積支援プログラム、および見積支援システムは、プラン作成段階において、屋根形状の変更による見積金額の変化を容易に示すことが可能である。以下、屋根形状による見積金額の変更について説明する。
図12は、標準的な屋根形状を示す側面図である。図6,図7に示した2階建てのプランの場合、切妻屋根とすると、図12に示すような形状となる。
図13は、屋根の形状の入力画面例を示す図である。この画面は、図3で説明したステップS115の屋根の設計データの入力支援処理において表示される。
図13の左側領域には、いくつかの標準的な屋根形状を示すアイコンが配置されている。ユーザは、アイコンのいずれかを選択することにより、右側領域の数値の入力を自動的に行なうことができる。
たとえば、屋根勾配を10寸に変更する場合、ユーザは、図13に示す外装変更ウィンドウにおいて勾配の数値を変更する。屋根勾配の変更は屋根実面積の増加に伴うので、材料費および工事費が増加する。そのため営業見積金額も増加させる必要がある。外装変更ウィンドウにおいて勾配を変更した場合、数値変更が見積用表計算ソフトのシートに自動的に反映され、後に図23で説明する営業見積において屋根勾配アップ工事の項目が新たに追記される。
図13においては、屋根2F以上のタブが選択され、屋根形状が「寄棟」、勾配が10寸、軒の出が600mm、けらばの出が455mm、水上の出が200mmであることが入力されている。このような設定を入力した後にOKボタンを押下すると、図12に示した標準的な屋根形状が変更される。
図14は、屋根の形状の入力に従って変更された屋根形状を示す側面図である。図14に示されるように,屋根形状が寄棟で、軒の出が600mmに変更された。このように、標準的な屋根形状からの変更を行なうと、見積金額にも変更が生じる。
図15は、屋根の勾配と面積の関係を説明するための図である。本実施の形態では、標準的な屋根の勾配は4寸勾配に設定されている。水平長さ10に対して垂直高さが4となり、斜辺は10.77となる。
勾配を5寸勾配、7寸勾配、10寸勾配に変更した場合、斜辺の長さはそれぞれ11.18、12.20、14.14となる。したがって、4寸勾配の屋根面積を1とすると、屋根面積比は4寸勾配:5寸勾配:7寸勾配:10寸勾配=1:1.04:1.13:1.31となる。
図16は、屋根の水平投影面積について説明するための図である。屋根の面積および高さを算出するためには、屋根の水平投影面積も必要となる。通常、プラン作成段階において建築物の底面積が表示されているが、屋根の水平投影面積は一般にそれよりも広くなる。このために、図12の画面では、軒の出およびけらばの出が入力できるようになっており、演算処理部21は、これらの数値と建築物の底面の形状とに基づいて、屋根の水平投影面積を計算している。
図16の例では、建物の外周面の形状が図中横方向長さX2、縦方向長さY2である場合、軒またはけらばの出を加算し、屋根の水平投影形状は、図中横方向長さは(X1+X2+X3)となり、縦方向長さは(Y1+Y2+Y3)となる。
演算処理部21は、屋根の水平投影形状と屋根の形式(切妻、寄棟など)とに基づいて、屋根面積を算出する。
図12の例では屋根の勾配が増えれば、屋根実面積が増加し、屋根材料費も面積に比例して増加する。さらに、高さが変わると、建築時に必要な足場の費用も変化する。演算処理部21は、屋根面積に単位面積あたりの材料費を乗算して屋根材料費を算出し、屋根勾配を反映した屋根の高さと屋根周囲長に基づいて、足場の費用を算出する。これらの費用と標準屋根の見積金額との差を計算すれば、屋根形状の変更による見積金額の増減分を算出することができる。
なお、水平投影形状と屋根の形式が異なる種々の屋根の材料費および工事費を予め算出しておいて、データベースに登録しておけば、演算処理部21は、データベースを参照することによって、直ちに屋根部分の見積金額の増加分がいくらになるのかを、容易に計算できる。
以上説明したように、設計データは、建築物の屋根の水平面への投影面積および屋根の勾配を示すデータをさらに含む。このデータは、たとえば、軒の出、けらばの出、屋根勾配などを含む。見積金額を算出するステップS2は、屋根の勾配によって異なる屋根の材料費および工事費を見積金額に反映させる。
また、見積金額を算出するステップS2は、屋根の勾配ごとに予め定められた投影面積の単位面積あたりの単価情報を外部データベース3から読み出し、単価情報に投影面積を乗じた金額を見積金額に反映させる。なお、外部データベース3には、建築物を施工する地域ごとに材料費および工事費を記憶させておいてよい。この場合は、演算処理部21が建築物の住所に対応する地域の材料費および工事費を参照し、見積を実行する。
なお、後に図23に示すように、見積金額を提示するステップS3は、標準勾配の屋根の材料費および工事費を含む標準費用(小計1)と、屋根の勾配によって増減する屋根勾配アップ費用(小計4)とを提示する。
[キッチンの設置階による見積金額の変更]
キッチン、浴室、トイレなどの配管を要する設備を有する空間は、設置する階によって、使用する材料費および工事費が異なる。たとえば2階にキッチンを設置しようとすると、1階にキッチンを設置するよりも、水道および下水の配管長が長くなる。それに伴い、配管を敷設する工事費用も増加する。本実施の形態では、標準的な2階建ての場合には1階にキッチンを設置することとし、2階にキッチンを設置する要望がある場合には、増加分の費用が見積金額に追加される。また、本実施の形態では、標準的な3階建ての場合には2階にキッチンを設置することとし、3階にキッチンを設置する要望がある場合には、増加分の費用が見積金額に追加される。
図17は、1階にキッチンを設置するプランの一例である。図18は、2階にキッチンを設置するプランの一例である。このように、プランの1階部分に流し台が配置されているか、2階部分に流し台が配置されているかは、設計データから演算処理部21が知ることができる。このため、図10に示した住宅設備の入力画面の階数の入力欄には、対象空間の階数が自動で入力されるようになっている。
たとえば、2階にキッチンを配置した場合、演算処理部21は、CADデータの配置階を認識し、見積用表計算ソフトのシートにおいて2階設置工事費用の欄に自動的に数値を入力する。そして、見積算出段階では、演算処理部21は、階数の情報に基づいて、配管材料費および工事費を算出し、見積金額に反映させることができる。
以上説明したように、見積金額を算出するステップS2は、建築物の区切られた空間のうちの第1の空間が給水設備または排水設備を有する場合、第1の空間の配置によって異なる給水設備または排水設備の材料費および工事費を見積金額に反映させる。
[吹抜設置による見積金額の変更]
標準的な2階建ての場合、本実施の形態では天井高は均一に設定されるが、標準外仕様で1階天井高を変更することができる。本実施の形態では、このように1階の天井高の一部を標準天井高よりも高く設定する空間を「吹抜」として設定することができる。
図19は、吹抜を設置するプランの1階の配置を示す図である。図20は、吹抜を設置するプランの2階の配置を示す図である。
図19~図20に示される例では、1階のLDKの一部の天井高が標準よりも高く設定された吹抜であるプランが示されている。吹抜を入力する場合には、図20に示すように、ユーザは吹抜を2階の層に入力する。
図21は、吹抜の階層について説明するための部分断面図である。ユーザは、吹抜を2階の階層に入力する。
吹抜を設置することによって1階天井高を上げると、内装のクロス工事等において、室内に足場を組み施工する必要が生じるなど、工事費に変更が生じる。たとえば、演算処理部21は、吹抜を設置することによって1階天井までの高さが4m以上となると、室内に足場を組んで施工する場合の工事費増額分を見積金額に自動的に加算する。
本実施の形態では、プランを作成するCAD図面において吹抜を設定すると、営業見積用の表計算ソフトのシートに吹抜工事に必要な数値が自動的に入力され、営業見積に反映される。
以上説明したように、本実施の形態では、見積金額を算出するステップS2は、建築物の区切られた空間のうちの第2の空間が吹抜を示す場合、吹抜の高さによって異なる材料費および工事費を見積金額に反映させる。
[見積例]
図23は、本実施の形態で表示される見積りの一例を示す図である。図23では、本体基本工事の費用が小計1に表示され、電気ガスなどのパック工事の費用が小計2に表示され、区画の設置費用が小計3に表示され、屋根勾配アップ工事の費用が小計4に設置され、キッチン配置の費用が小計5に表示され、吹抜の設置費用が小計6に表示されている。
本体基本工事は、2階建、面積100m、部屋数4部屋を基準とする。この場合の基準本体価格A(円)である。そして基準に対して面積増減費、部屋数増減費が表示される。
面積については、プランの設計データから床面積合計137.87mを演算処理部21が算出し、標準面積100mとの差である37.87(m)を自動的に実数入力欄に入力している。
部屋数の増減については、プランの設計データから、自動的に種別が部屋である空間の数5を演算処理部21が算出し、標準部屋数4からの増加分である1(室)を自動的に実数入力欄に入力している。
図23の例では、基準面積に対して増加する面積が37.87m、基準部屋数に対して増加する部屋数が1である。したがって、各々に単価B,Cを掛けて、面積増減費がB*37.87(円)、部屋数増減費がC*1(円)と表示されている。基準本体価格A(円)とこれら増減費の合計が小計1となる。
パック工事については、図9のオール電化パックにチェックが入っているので、演算処理部21が1(式)をオール電化パックの実数入力欄に自動的に入力している。
図23の例では、オール電化パックが1式、ガス仕様パックがゼロであるので、オール電化パックの単価D1(円)が小計2として表示されている。
標準設計外工事の区画数については、図6,図7に示すように、プランの設計データから空間の種別を読み取って、演算処理部21が4(カ所)をオール電化パックの実数入力欄に入力している。
図23の例では、区画数が4(カ所)であるので、単価Eに数量を掛けたE*4(円)が小計3として表示されている。
標準設計外工事の屋根勾配アップ工事については、プランの設計データから建物の寸法を読み取って、これに対して図13で入力された軒の出の寸法および屋根勾配を考慮して、演算処理部21が屋根投影面積100.11(m)を「勾配4寸→~10寸迄」の実数入力欄に自動的に入力している。
図23の例では、単価F3(円)に100.11(m)を掛けたF3*100.11(円)が小計4として表示されている。
標準的な2階建ての住宅設備工事のシステムキッチン設置工事については、プランの設計データから種別が「その他」である1階の空間にシステムキッチンが配置されていることを読み取って、演算処理部21がシステムキッチン設置工事1階の実数入力欄に1(セット)を自動的に入力している。なお、種別が「その他」である2階の空間にシステムキッチンが配置されていれば、演算処理部21がシステムキッチン設置工事2階の実数入力欄に1(セット)を自動的に入力する。
図23の例では、単価G1(円)に1(セット)を掛けたG1*1(円)が小計5として表示されている。
標準設計外工事の吹抜については、プランの設計データから建物の2階に配置された吹抜の面積を読み取って、演算処理部21が吹抜面積の実数入力欄に13.25(m)を自動的に入力している。
図23の例では、単価H(円)に13.25(m)を掛けたH*13.25(円)が小計6として表示されている。
合計としては、以上算出された小計1~6を合計した金額が表示される。
なお、図23の見積りは、代表的な項目を記載したものであり、実際には、さらに洗面、トイレ、等種別が「その他」である空間に配置された種々の設備が表示され集計されるが、これらの記載は省略している。
本実施の形態は、以上説明した見積支援方法を、コンピュータに実行させるための見積支援プログラムに関する。このようなプログラムは、たとえば、メモリカードまたはUSBメモリに格納され、ユーザに配布されてもよい。
本実施の形態は、以上説明した見積支援方法を実行する演算処理部21と、空間に対する材料費および工事費の単位面積あたりの単価情報を記憶する記憶装置22とを備える見積支援システム1に関する。記憶装置22は、空間1つに対して、配置によって異なる2種類以上の単価情報を記憶する。記憶装置22に代えて、外部データベース3が空間1つに対して、配置によって異なる2種類以上の単価情報を記憶し、必要な配置に対応する単価情報がネットワーク4および通信部25を経由して演算処理部21に転送されても良い。
以上説明したように、本実施の形態の見積支援方法、見積支援プログラムおよび見積支援システムによれば、建築物のプラン作成段階から、精度の高い見積りを得ることができる。このため、建築予算に対して適切な建築物のプランを作成することができる。
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1 見積支援システム、2 見積支援装置、3 外部データベース、4 ネットワーク、21 演算処理部、22 記憶装置、23 入力装置、24 表示装置、25 通信部。

Claims (10)

  1. コンピュータが、建築物の区切られた空間の種別、数、広さ、および配置を示す設計データを入力する処理を支援するステップと、
    前記コンピュータが、前記設計データから読み出した前記空間の前記数および前記広さに応じた材料費および工事費と、前記設計データから読み出した前記種別または前記配置によって異なる前記空間に対する材料費および工事費とが反映された見積金額を算出するステップと、
    前記コンピュータが、前記見積金額を提示するステップとを備える、見積支援方法。
  2. 前記支援するステップは、前記建築物の区切られた空間の配置を表示し、各々の空間がどの種別に該当するかの入力を支援し、
    前記種別は、第1種別、第2種別の少なくとも2種類を含み、
    前記見積金額を算出するステップは、各々の空間に対して前記種別ごとに定められた備品の数量と、前記空間の広さとに基づいて見積金額を算出する、請求項1に記載の見積支援方法。
  3. 前記種別は、第3種別をさらに含み、
    前記第1種別は、部屋であり、
    前記第2種別は、区画であり、
    前記第3種別は、その他であり、
    前記支援するステップは、空間の前記種別が部屋または区画である場合、前記種別ごとに予め定められた数量の予め定められた備品を設定し、空間の前記種別がその他である場合、備品を設定するか否かについて入力をさらに支援する、請求項2に記載の見積支援方法。
  4. 前記設計データは、前記建築物の屋根の水平面への投影面積および前記屋根の勾配を示すデータをさらに含み、
    前記見積金額を算出するステップは、前記屋根の勾配によって異なる屋根の材料費および工事費を前記見積金額に反映させる、請求項1~3のいずれか1項に記載の見積支援方法。
  5. 前記見積金額を算出するステップは、前記屋根の勾配ごとに予め定められた前記投影面積の単位面積あたりの単価情報をデータベースから読み出し、前記単価情報に前記投影面積を乗じた金額を前記見積金額に反映させる、請求項4に記載の見積支援方法。
  6. 前記見積金額を提示するステップは、標準勾配の屋根の材料費および工事費を含む標準費用と、前記屋根の勾配によって増減する屋根勾配アップ費用とを提示する、請求項5に記載の見積支援方法。
  7. 前記見積金額を算出するステップは、前記建築物の区切られた空間のうちの第1の空間が給水設備または排水設備を有する場合、前記第1の空間の配置によって異なる前記給水設備または前記排水設備の材料費および工事費を前記見積金額に反映させる、請求項1~6のいずれか1項に記載の見積支援方法。
  8. 前記見積金額を算出するステップは、前記建築物の区切られた空間のうちの第2の空間が吹抜を示す場合、前記吹抜の高さによって異なる材料費および工事費を前記見積金額に反映させる、請求項1~6のいずれか1項に記載の見積支援方法。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の見積支援方法を、コンピュータに実行させるための見積支援プログラム。
  10. 請求項1~8のいずれか1項に記載の見積支援方法を実行する演算処理部と、
    前記空間に対する材料費および工事費の単位面積あたりの単価情報を記憶する記憶装置とを備え、
    前記記憶装置は、前記空間1つに対して、種別または配置によって異なる2種類以上の単価情報を記憶する、見積支援システム。
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