JP2022081383A - 吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】排泄物の透過性を維持しつつ、表面シートの位置ずれを抑制することができる吸収性物品を提供すること。【解決手段】本発明の吸収性物品11は、繊維材料からなり、複数の貫通孔6を有し、該貫通孔6の開口端6eの一部に、繊維が一方向に配向した繊維配向領域20を有する表面シート10を備えており、さらに該表面シート10の非肌対向面側で該表面シート10に隣接して配置された繊維シートを備えている。表面シート10における繊維配向領域20に位置する繊維21と、繊維シートの構成繊維とは係合している。繊維シートは、表面シート10及び吸収体14間に配されたサブレイヤー15、又は吸収体14の表面を形成するコアラップシートであることが好ましい。【選択図】図7

Description

本発明は、吸収性物品に関する。
使い捨ておむつ等の吸収性物品は、一般的に、液保持性の吸収体の肌対向面側に、着用者の肌に当接される表面シートを具備している。また、吸収性物品において、表面シートの非肌対向面側に、繊維からなるシート部材が該表面シートに直接積層されることが多い。例えば、本出願人は先に、第1不織布及び第2不織布を備え、これら2枚の不織布が部分的に熱融着されて接合した融着部に貫通孔が形成された表面シートと、液透過性のサブレイヤーとが積層しており、前記融着部が、前記サブレイヤーに向かって突出する突起部を有している、吸収性物品を開示した(特許文献1)。
特開2018-088997号公報
表面シートに複数の貫通孔を設けることは、尿や軟便等の透過性を高める点で有効である。しかしながら、表面シートに貫通孔を設けると、該表面シートとこれに隣接して配置される繊維シートとの接触面積が小さくなり、表面シートと繊維シートとの接合性が低下する虞がある。そして、これにより表面シートの位置がずれて、着用感等を損なう場合がある。一方、前記接合性の問題を解決するために貫通孔を小さくすると、排泄物の透過性を損なう虞がある。特許文献1に記載の吸収性物品は、排泄物の透過性を維持しつつ、表面シートの位置ずれを抑制する点で改善の余地があった。
したがって本発明は、排泄物の透過性を維持しつつ、表面シートの位置ずれを抑制し得る吸収性物品を提供することに関する。
本発明は、繊維材料からなる表面シートと繊維シートとを備える、吸収性物品に関する。
前記繊維シートは、前記表面シートの非肌対向面側で、該表面シートと隣接して配置されていることが好ましい。
前記表面シートは、複数の貫通孔を有し、該貫通孔の開口端の一部に、繊維が一方向に配向した繊維配向領域を有することが好ましい。
前記表面シートにおける前記繊維配向領域に位置する繊維と、前記繊維シートの構成繊維とが係合していることが好ましい。
本発明の吸収性物品によれば、排泄物の透過性を維持しつつ、表面シートの位置ずれを抑制することができる。
図1は、本発明の吸収性物品の一実施形態である展開型使い捨ておむつの展開且つ伸長状態における肌対向面側(表面シート側)を模式的に示す展開平面図である。 図2は、図1のII-II線断面を模式的に示す横断面図である。 図3は、図2に示す表面シートを模式的に示した平面図である。 図4は、図3に示す表面シートの縦方向に沿う断面図である。 図5は、図3に示す貫通孔の拡大平面図である。 図6は、図4に示す表面シートの凸部及び貫通孔を示す斜視図である。 図7は、図2に示す表面シート及びサブレイヤーの縦方向に沿う断面図である。 図8は、図7に示すサブレイヤーの斜視図である。 図9は、表面シートの製造装置の一実施形態を示す概略図である。 図10は、図9に示す凹凸ロール(第1ロール)の要部を拡大して示す斜視図である。 図11は、図9に示す超音波溶着機の要部を第2シートの搬送方向上流側から視た状態を示す正面図である。 図12は、図9に示す製造装置の要部(超音波ホーンの先端部及びその近傍)を示す図である。 図13は、図12に示す超音波ホーンの先端部の、凹凸ロールの回転軸に直交する方向(MD)に沿う断面を拡大して模式的に示した拡大断面図である。 図14は、図12に示す超音波ホーンの振動印加面(先端面)の平面図である。 図15は、超音波ホーンの他の実施形態を示す図13相当図である。 図16は、超音波ホーンのさらに他の実施形態の図13相当図である。 図17は、超音波ホーンのさらに他の実施形態の図13相当図である。 図18(a)は、超音波ホーンのさらに他の実施形態の図13相当図、図18(b)は、図18(a)に示す凹凸部及びその近傍を拡大して模式的に示した図である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。図面は基本的に模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合がある。
図1及び図2には、本発明の吸収性物品の一実施形態である展開型使い捨ておむつ11が示されている。おむつ11は、上述した実施形態の表面シート10を具備するものである。おむつ11は、着用者の前後方向に対応する縦方向P及びこれに直交する横方向Qを有し、液保持性の吸収体14と、吸収体14よりも着用者の肌から近い側に配された表面シート10とを具備する。
おむつ11は、図1に示すように、着用者の股間部に配される股下部B並びにその前後に延在する腹側部A及び背側部Cを有する。腹側部A、股下部B及び背側部Cは、おむつ11を縦方向Xに三等分した場合の各領域に相当し得る。股下部Bは、おむつ11の着用時に着用者のペニス、肛門等の排泄部に対向配置される排泄部対向部を有しており、該排泄部対向部は通常、おむつ11の縦方向Pの中央部又はその近傍に位置している。縦方向Xは、おむつ1の腹側部Aから股下部Bを介して背側部Cに延びる方向に対応している。
おむつ11においては、図2に示すように、着用者の肌に近い順に、表面シート10と、液透過性のサブレイヤー15と、液保持性の吸収体14とが、この順で積層されている。より具体的には、おむつ11は、その主たる吸液部位である吸収体14と、吸収体14の肌対向面側に配され、吸収体14よりも着用者の肌から近い位置で吸収体14と重なる表面シート10と、吸収体14の非肌対向面側に配され、吸収体14よりも着用者の肌から遠い位置で吸収体14と重なる裏面シート13と、表面シート10と吸収体14との間に介在配置されたサブレイヤー15とを具備する。
本明細書において、「肌対向面」は、使い捨ておむつ等の吸収性物品又はその構成部材(例えば吸収体)における、吸収性物品の着用時に着用者の肌側に向けられる面、すなわち相対的に着用者の肌から近い側であり、「非肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の着用時に肌側とは反対側(着衣側)に向けられる面、すなわち相対的に着用者の肌から遠い側である。なお、ここでいう「着用時」は、通常の適正な着用位置が維持された状態を意味し、吸収性物品が適正な着用位置からずれた状態にある場合は含まない。
表面シート10及び裏面シート13は、それぞれ、両シート10,13間に介在配置されたサブレイヤー15及び吸収体14よりも大きな寸法を有し、図1に示す如き展開且つ伸長状態のおむつ11の外形を形成している。
吸収体14は、縦方向Pに長い形状を有し、腹側部Aから背側部Cにかけて延在している。吸収体14は、液保持性の吸収性コア140と、該吸収性コア140の外面を被覆するコアラップシート141とを含んで構成されている。吸収性コア140は、典型的には、木材パルプ等の親水性繊維を主体とする繊維集合体からなり、さらに、該繊維集合体又はシートに吸水性ポリマー粒子を担持させたものであり得る。コアラップシート141は、典型的には、紙、不織布等からなる。
裏面シート13としては、この種の吸収性物品に従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができ、樹脂製フィルム、樹脂製フィルムと不織布等とのラミネート等を用いることができる。
本実施形態のおむつ11は、表面シート10に隣接して配置された繊維シートとして、サブレイヤー15を備えている。サブレイヤー15は、表面シート10の非肌対向面側に配されており、表面シート10から吸収体14への液の透過性の向上、吸収体14に吸収された液の表面シート10への液戻りの低減などの役割を担うもので、吸収体14の肌対向面の略全域を被覆している。
表面シート10、サブレイヤー15、吸収体14(吸収性コア140、コアラップシート141)及び裏面シート13どうしは、互いに接着剤等の公知の接合手段により接合されている。
おむつ11は、図1及び図2に示すように、吸収体14の横方向Qの両端部に沿って配され、おむつ11の着用時に少なくとも股下部Bにおいて着用者の肌に向かって起立する一対の防漏カフ16,16を具備する。各防漏カフ16は、液抵抗性又は撥水性で且つ通気性の防漏シート160を含み、該防漏シート160は、横方向Qの一端側が他の部材(例えば表面シートや裏面シート)に固定されて固定端部とされ、横方向Qの他端側が他の部材に非固定の自由端部とされている。防漏シート160の前記自由端部には、防漏カフ形成用弾性部材161が、縦方向Pに伸長状態で固定されることで同方向に伸縮可能に配置されている。おむつ11の着用時には、弾性部材161の収縮力により、少なくとも股下部Bにおいて、防漏シート160の前記自由端部側が、前記固定端部を起立基端として着用者側に起立することで一対の防漏カフ16,16が起立し、これにより尿等の排泄物の横方向Q外方への流出が阻止される。防漏シート160としては、この種の吸収性物品において防漏カフの素材として用いられているものを特に制限なく用いることができ、液抵抗性又は撥水性で且つ通気性を有するものが好ましく、例えば、単層又は多層の撥水性不織布、樹脂製フィルムと不織布等とのラミネート材等を用いることができる。
図1に示すように、着用者の脚周りに配される左右のレッグ部における防漏シート160と裏面シート13との間には、糸状の弾性部材17が縦方向Pに沿って伸長状態で固定されており、これにより、おむつ11の着用時におけるレッグ部には、弾性部材17の収縮により一対のレッグギャザーが形成される。表面シート10、サブレイヤー15、裏面シート13、吸収体14、防漏シート160及び弾性部材161は、ホットメルト型接着剤等の公知の接合手段により互いに接合されている。
図1に示すように、おむつ11の背側部Cの縦方向Pに沿う両側縁部には、一対のファスニングテープ18,18が設けられている。ファスニングテープ18には、機械的面ファスナーのオス部材からなる止着部が取り付けられている。また、おむつ11の腹側部Aの非肌対向面には、機械的面ファスナーのメス部材からなる被止着領域19が形成されている。被止着領域19は、腹側部Aの非肌対向面を形成する裏面シート13の非肌対向面に、機械的面ファスナーのメス部材を公知の接合手段、例えば接着剤やヒートシール等で接合固定して形成されており、ファスニングテープ18の前記止着部を着脱自在に止着可能になされている。
図3~図6には、本実施形態の表面シートが示されている。本実施形態の表面シート10は、繊維材料からなる繊維シートであり、該シートを貫通する貫通孔6を複数有している。
表面シート10は、繊維材料からなる第1シート1及び第2シート2が積層した積層構造を有している。これら第1シート1及び第2シート2は、互いに融着した融着部(図示せず)を介して接合されている。
第1シート1及び第2シート2は、繊維材料からなるシートで構成されている。斯かるシートとしては、例えば不織布、織布及び編み地等を用いることができる。肌触り等の観点から、不織布を用いることが好ましい。第1シート1と第2シート2を構成するシートの種類は同じでもよく、あるいは異なっていてもよい。
不織布としては、例えば、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、メルトブローン不織布、レジンボンド不織布、ニードルパンチ不織布などが挙げられる。これらの不織布を2種以上組み合わせた積層体を用いることもできる。
第1シート1及び第2シート2の各坪量は、好ましくは10g/m以上、より好ましくは15g/m以上であり、また好ましくは40g/m以下、より好ましくは35g/m以下であり、また好ましくは10g/m以上40g/m以下、より好ましくは15g/m以上35g/m以下である。
不織布を構成する繊維としては、各種の熱可塑性樹脂からなる繊維を用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブデン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸アルキルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等が挙げられる。これらの樹脂は1種を単独で又は2種以上のブレンド物として用いることができる。また、芯鞘型やサイド・バイ・サイド型などの複合繊維の形態で用いることができる。
本実施形態の表面シート10は、図3に示すように、貫通孔6に隣接した部位に、表面シート10の一方の面側に突出する凸部5を複数有している。具体的には、図4に示すように、第1シート1における貫通孔6以外の部分の少なくとも一部が、第2シート2側とは反対側に突出した凸部5を複数形成している。
凸部5及び貫通孔6それぞれは、縦方向Pに、交互に且つ一列をなすように配置されており、そのような列が、表面シート10の面と平行で且つ縦方向Pに直交する方向である横方向Qに、多列に形成されている。互いに隣接する列における凸部5及び貫通孔6は、それぞれ、縦方向Pにずれて配置されており、より具体的には、半ピッチずれて配置されている。
本実施形態において、縦方向Pは、表面シート10の製造時における流れ方向(機械方向、以下「MD」ともいう。)と平行な方向であり、横方向Qは、表面シート10の製造時におけるMDに直交する方向(以下、「CD」ともいう。)と平行な方向である。また、後述する凹凸ロール31(第1ロール)及び凹凸ロール32(第2ロール)それぞれの回転軸は、CDに平行で、MDに直交している。
本実施形態の表面シート10は、第1シート1側の面に、X方向及びY方向の両方向において凸部5に挟まれた多数の凹部3を有しており、個々の凹部3の底部に、貫通孔6が形成されている。
表面シート10は、全体として見ると、第1シート1側の面に、前記の凹部3と前記の凸部5とからなる起伏の大きな凹凸を有し、第2シート2側の面は、平坦であるか、第1シート1側の面に対して相対的に起伏が小さい略平坦面となっている。
本実施形態の表面シート10は、平面視において凸部5及び貫通孔6それぞれが、縦方向Pに長い平面視形状を有している(図3参照)。
個々の貫通孔6は、縦方向Pに長い形状、より具体的には略長方形形状の平面視形状を有している。表面シート10は、貫通孔6の開口端6eの一部に、第1シート1及び第2シート2が互いに融着した融着部を有している(図示せず)。斯かる融着部では、第1シート1及び第2シート2の少なくとも一方における構成繊維の熱融着性樹脂が溶融固化しており、これによって第1シート1と第2シート2とが接合されている。
表面シート10は、平面視において貫通孔6の開口端6eの一部に、繊維が一方向に配向した繊維配向領域20を備えている。本実施形態の貫通孔6は、図5に示すように、貫通孔6の長手方向(縦方向P)に沿う両側部それぞれに位置する一対の繊維配向領域20,20を有している。これに代えて、表面シート10は、貫通孔6の長手方向に沿う両側部のうち、何れか一方のみに繊維配向領域20を有していてもよく、貫通孔6の短手方向に沿う一対の両端部の一方又は双方に繊維配向領域20を有していてもよい。
繊維配向領域20は、貫通孔6の開口端6eの一部に沿った領域であり、該領域では第1シート1及び第2シート2の構成繊維がフィルム化しておらず、繊維形態を維持している。繊維配向領域20において、該領域20に位置する繊維21は、貫通孔6内に位置している。以下、「繊維配向領域20において貫通孔6内に位置する繊維21」を「領域内繊維21」ともいう。
繊維配向領域20では、図5及び図6に示すように、表面シート10の構成繊維が一方向に配向している。具体的には、繊維配向領域20において、各領域内繊維21の延在方向が概ね一致している。本実施形態の領域内繊維21は、平面視において貫通孔6の長手方向(縦方向P)に対して角度を有するように配向している(図5参照)。また、表面シート10をその厚み方向に沿って視たとき、領域内繊維21の内、該表面シート10の主面(平面方向)に対して、一定の角度で傾斜している繊維も存在する。より具体的には、領域内繊維21の内、表面シート10の厚み方向において、先端が非肌対向面側に向いた状態で配向している繊維が存在する。
繊維配向領域20における領域内繊維21の配向方向は特に制限されない。例えば、貫通孔6の平面視において、領域内繊維21は、縦方向Pに沿って腹側部A側に配向していてもよく、縦方向Pに沿って背側部C側に配向してもよく、横方向Qに沿って配向していてもよい。また、領域内繊維21は、表面シート10の主面(平面方向)において二次元的に配向していてもよく、表面シート10の厚み方向において三次元的に配向していてもよい。
説明の便宜上、図3及び図4では領域内繊維21の配向状態を図示しておらず、繊維配向領域20の位置を図示している。
前述したように、表面シート10は、その非肌対向面側に配されたサブレイヤー15と隣接している。この表面シート10とサブレイヤー15との積層状態において、表面シート10の繊維配向領域20における領域内繊維21が、サブレイヤー15の構成繊維と係合している。本実施形態では、表面シート10の貫通孔6と、サブレイヤー15の凸部152とが重なっており、繊維配向領域20に位置する繊維21が、該凸部152に位置する繊維153と係合している(図7参照)。
このように、繊維配向領域20に位置する繊維21が、サブレイヤー15等の表面シート10に隣接して配置された繊維シートの構成繊維と係合することによって、表面シート10と該繊維シートとが強固に接合されて、表面シート10の位置ずれを効果的に抑制できる。すなわち、表面シート10に貫通孔6を形成したことで該表面シート10と前記繊維シートとの接触面積が小さくなったとしても、前記係合によって表面シート10と前記繊維シートとの接合強度を担保できるので、貫通孔6による排泄物の透過性を維持しつつ、表面シート10の位置ずれを抑制できる。
繊維配向領域20は、表面シート10の構成繊維であって、貫通孔6内に位置する繊維21を観察したとき、これら各繊維の配向方向が略同じになっている領域であり、以下の方法により特定される。
〔繊維配向領域の観察方法〕
表面シート10について、鋭利な剃刀(例えばフェザー安全剃刃株式会社製片刃)を用いて、平面視50mm×50mmの領域を切り出し、これをサンプルとする。次いで、電子顕微鏡(例えば、日本電子株式会社製、型番:JCM-6000Plus)又はマイクロスコープ(例えば、株式会社キーエンス製、型番:VHX-1000)を用いて、サンプルの肌対向面及び非肌対向面の何れか一方の面側から貫通孔6を観察する。表面シート10がどちらか一方の面側に突出する凸部5を有している場合、該凸部5が突出した側とは反対側から貫通孔6を観察する。例えば表面シート10の肌対向面側に凸部5が形成されている場合は、非肌対向面側から貫通孔6を観察する。この平面視における貫通孔6の観察時の倍率は100倍とする。そして、観察視野において3mm×3mmの領域を撮影する。得られた画像を二値化処理する。具体的には、前記画像をImage-Pro Plus(株式会社日本ローパー社製)に取り込み、コントラストの強調で、黒白コントラストを100に設定し、フィルタ処理(メディアン、5×5を5回)によりノイズを除去する。この二値化処理した画像において、貫通孔6内に位置する繊維を観察対象とする。この観察対象の各繊維に関し、該繊維の基端が位置する開口端6eとのなす角度を配向角とし、該配向角を測定する。そして、繊維の先端が概ね同じ方向に向いており且つ繊維の配向角の平均値が0~60度以内である領域を特定し、これを繊維配向領域20とする。繊維配向領域20が位置する部分において、貫通孔6の開口端6eは、繊維が一方向に配向した領域(繊維配向領域20)と、繊維がランダムに配向した領域との境界とする。「繊維がランダムに配向した領域」は、後述する表面シート10の製造方法において貫通孔6を形成する前の不織布と同程度の配向状態を有する領域である。また、「繊維がランダムに配向した領域」には、繊維がフィルム化等して繊維の配向状態が特定できない領域が含まれる。斯かる領域は、前述の二値化処理した画像において繊維の配向状態が把握できない程、白くなった部分として観察される領域である。
あるいは、貫通孔6の短手方向全長を二等分するように、該貫通孔6の長手方向に沿って該貫通孔6ごと表面シート10を切断し、その断面について上記と同様の方法で二値化処理した画像を取得する。斯かる画像において、先端(自由端)が非肌対向面側に向いた繊維が存在する領域を特定し、これを繊維配向領域20とする。斯かる繊維配向領域20では、繊維が、表面シート10の主面(平面方向)に対して、一定の角度で傾斜している。具体的には、当該繊維は、該繊維と貫通孔6の長手方向(本実施形態では縦方向P)とのなす角度の平均値が0度超~90度以内となる。
繊維配向領域20及び領域内繊維21の寸法等(長さや角度、後述する存在本数等)を測定する場合は、特に断らない限り、以上の観察方法が適用される。
前述の〔繊維配向領域の観察方法〕は、本発明の表面シート10の構成を具備する不織布全般に適用できる。より具体的には、表面シート10がエアスルー不織布である場合、繊維配向領域20は以下の方法により特定できる。
平面視における表面シート10について、前述の〔繊維配向領域の観察方法〕と同様の方法により、二値化処理した画像を取得する。この画像中の貫通孔6とその近傍を観察すると、該貫通孔6内に存在するフィルム部分と、繊維形態を維持した構成繊維が存在するエアスルー部分とが確認できる。フィルム部分は、繊維形態を維持した構成繊維が観察されず、該構成繊維が溶融した部分であり、エアスルー部分に比して極端に厚みが小さくなっている。フィルム部分は、厚みが50μm以下の膜状部分である。表面シート10がエアスルー不織布により形成される場合、後述する製造方法において貫通孔6を形成する際、前記フィルム部分が貫通孔6の開口端6eから該貫通孔6の内方に向かって延出するように形成される。表面シート10では、貫通孔6内においてフィルム部分からさらに該貫通孔6の内方側に突出し且つ該内方側に自由端を有する繊維が存在しており、該繊維が領域内繊維21となって、繊維配向領域20を構成している。斯かる表面シート10の前記画像において、フィルム部分とエアスルー部分との境界を、貫通孔6の開口端6eとする。また、前記表面シート10における繊維配向領域20を構成する繊維(領域内繊維21)の配向は、該繊維21の基端側に位置する開口端e1(貫通孔6の端縁)と、該繊維21の基端と自由端とを結ぶ仮想線とがなす角度で表される。当該角度は、0~90度の鋭角である。この繊維配向領域20における領域内繊維21は、該繊維21の基端側に位置する開口端e1(貫通孔6の端縁)と、前記仮想線とがなす角度の平均値が0度超~90度以内となる。領域内繊維21の基端は、フィルム部分から突出する該繊維21におけるフィルム部分との連結部である。エアスルー不織布からなる表面シート10において、繊維配向領域20は、領域内繊維21を1本以上、好ましくは2本以上有する。
表面シート10がエアスルー不織布により形成される場合、貫通孔6の長手方向(本実施形態ではP方向)におけるフィルム部分の長さは、フィルム部分の厚みに対して、好ましくは5倍以上450倍未満である。斯かる構成により、領域内繊維21と、前記繊維シートの構成繊維とをより強固に係合できる。
上記と同様の観点から、貫通孔6の短手方向(本実施形態ではQ方向)におけるフィルム部分の長さは、フィルム部分の厚みに対して、好ましくは5倍以上250倍未満である。
以下、繊維配向領域20や表面シート10の構成について詳述するが、以下の説明は、本発明の表面シート10の構成を具備する不織布全般に適用できる。
繊維配向領域20に位置する繊維21と、サブレイヤー15等の表面シート10に隣接して配置された繊維シートの構成繊維とが係合しているか否かは、以下の方法により確認することができる。
おむつ11から、表面シート10及びこれと隣接して配置された繊維シートを、これらシートが積層した状態で、且つ貫通孔6における繊維配向領域20の厚み方向全体が含まれるように、平面視50mm×50mmのサンプルを切り出す。次いで、サンプルの断面を、電子顕微鏡(例えば、日本電子株式会社製、型番:JCM-6000Plus)又はマイクロスコープ(例えば、株式会社キーエンス製、型番:VHX-1000)を用いて、倍率100倍で観察する。観察視野において、繊維配向領域20に位置する1本以上の領域内繊維21が、繊維シートの構成繊維どうしの間に入り込んでいる、又は該構成繊維と交絡している場合、繊維配向領域20に位置する繊維21と、繊維シートの構成繊維とが係合していると判断する。領域内繊維21が係合する前記構成繊維の繊維シートにおける位置は特に限定されない。
サブレイヤー15等の繊維シートとの係合性をより向上させる観点から、領域内繊維21の平均長さは、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上であり、また好ましくは4mm以下、より好ましくは1.5mm以下であり、また好ましくは0.3mm以上4mm以下、より好ましくは0.5mm以上1.5mm以下である。
領域内繊維21の平均長さの測定は、平面視における貫通孔6の観察視野において、貫通孔6の開口端6eからの長さ、すなわち該繊維21の基端から自由端までの長さが0.2mm以上の繊維を測定対象とする。例えば、表面シート10がエアスルー不織布により形成されている場合、領域内繊維21の平均長さは、フィルム部分から突出する基端から自由端までの長さが測定対象となる。測定は、表面シート10における任意の10箇所の貫通孔6について行い、これらの平均を領域内繊維21の平均長さとする。
上記と同様の観点から、平面視における貫通孔6の観察視野において、1個の貫通孔6における領域内繊維21の本数は1本以上、好ましくは2本以上、より好ましくは5本以上、さらに好ましくは20本以上であり、また好ましくは100本以下、より好ましくは50本以下であり、また好ましくは2本以上100本以下、より好ましくは5本以上100本以下、さらに好ましくは20本以上50本以下である。
また、上記と同様の観点から、平面視における貫通孔6の観察視野において、繊維配向領域20の一定視野面積(9mm)当たりの領域内繊維21の存在本数は、好ましくは1本以上、より好ましくは5本以上、さらに好ましくは10本以上であり、また好ましくは50本以下、より好ましくは30本以下であり、また好ましくは1本以上50本以下、より好ましくは5本以上50本以下、さらに好ましくは10本以上30本以下である。
上記と同様の観点から、1個の貫通孔6における領域内繊維21の内、表面シート10の厚み方向において先端が非肌対向面側に向いている繊維の本数は、好ましくは1本以上、より好ましくは20本以上であり、また好ましくは100本以下、より好ましくは50本以下であり、また好ましくは1本以上100本以下、より好ましく20本以上100本以下である。
また、上記と同様の観点から、繊維配向領域20の一定視野面積(9mm)当たりの領域内繊維21の内、非肌対向面側に向いている繊維の存在本数は、好ましくは1本以上、より好ましくは10本以上であり、また好ましくは50本以下、より好ましくは30本以下であり、また好ましくは1本以上50本以下、より好ましくは10本以上30本以下である。
上記の領域内繊維21の本数又は存在本数の測定は、表面シート10における任意の10箇所の繊維配向領域20を含む貫通孔6について行い、これらの平均を、1個の貫通孔6における領域内繊維21の本数、又は繊維配向領域20の一定視野面積(9mm)当たりの領域内繊維21の存在本数とする。「繊維配向領域20の一定視野面積(9mm)」は、貫通孔6の観察視野における繊維配向領域20の任意の位置に設定した3mm×3mmの領域であり、該領域内に存在する領域内繊維21の存在本数をカウントして、前記「繊維配向領域20の一定視野面積(9mm)当たりの領域内繊維21の存在本数」の測定を行う。
また、「非肌対向面側に向いている繊維」は、前述の〔繊維配向領域の観察方法〕おける、貫通孔6ごと表面シート10を切断した断面を観察することにより特定できる。
表面シート10は、貫通孔6の開口端6eの一部に繊維配向領域20を有している。上述した表面シート10の位置ずれをより抑制する観点から、平面視において貫通孔6の開口端6eに沿う繊維配向領域20の長さは、貫通孔6の開口端6eの全周に対し、好ましくは10%以上、より好ましくは25%以上であり、また好ましくは60%以下、より好ましくは50%以下であり、また好ましくは10%以上60%以下、より好ましくは25%以上50%以下である。貫通孔6の開口端6eに沿う繊維配向領域20の長さ、及び貫通孔6の開口端6eの全周は、貫通孔6の電子顕微鏡画像に対し、画像処理を行うことで測定される。斯かる画像処理には、ソフト名「キーエンスVHX-1000」にデフォルトで実装された多点間距離の測長メニューが用いられる。例えば、電子顕微鏡画像(倍率:100倍)において、開口端6eをなぞる操作を行うことにより、該開口端6eの全周を測定できる。
表面シート10は縦方向Pの腹側部A側にずれると、便が股下部Bに溜まって漏れる虞がある。このような漏れをより抑制する観点から、繊維配向領域20に位置する繊維21は、縦方向Pに沿うように配向していることが好ましい(図5参照)。これにより、腹側部A側に表面シート10がよりずれ難くなり、股下部Bに便が溜まることをより抑制できる。「領域内繊維21が縦方向Pに配向する」とは、繊維配向領域20に位置する繊維21のうち、領域内繊維21の50%以上が、貫通孔6の平面視において縦方向Pと±45度以内の角度をなしていることを意味する。本実施形態の貫通孔6の長手方向は、縦方向Pと一致しているので、該貫通孔6の長手方向に沿う側部と領域内繊維21とのなす角度が±45度以内になるか否かで、「領域内繊維21が縦方向Pに配向する」か否かを判断してもよい。
表面シート10が腹側部A側へのずれることをより抑制する観点から、領域内繊維21は、その先端を腹側部A側に向けた状態で、縦方向Pに沿うように配向していることが好ましい。図5に示す実施形態を例にとると、A側が腹側部A側であり、且つB側が背側部C側であることが好ましい。また、図6に示す実施形態を例にとると、A側(図6の左側)が腹側部A側であり、且つB側(図6の右側)が背側部C側であることが好ましい。
本実施形態の表面シート10は、貫通孔6の長手方向(縦方向P)に沿う両側部に繊維配向領域20を有している。縦方向Pにおける表面シート10のずれをより抑制する観点から、斯かる繊維配向領域20に位置する繊維、すなわち領域内繊維21は、貫通孔6の短手方向に沿う基準線Laに対する角度θ(図5参照)が、好ましくは0度超、より好ましくは30度以上、さらに好ましくは45度以上であり、また好ましくは90度未満、より好ましくは80度以下であり、また好ましくは0度超90度未満、より好ましくは30度以上90度未満、より好ましくは45度以上80度以下である。基準線Laは、貫通孔6の短辺部に沿った平行な直線である。貫通孔6の側部が、該貫通孔6の開口端6e(輪郭)のうち、該貫通孔6の長手方向に沿う部分であるのに対し、短辺部は、領域内繊維21と連結する貫通孔6の側部と隣り合い、矩形状の貫通孔6の輪郭において短辺をなす部分である。
領域内繊維21の基準線Laに対する角度θは、領域内繊維21の両端部を結ぶ直線(自由端と基端とを結ぶ直線)と基準線Laとがなす角度を意味する。測定対象の繊維において、貫通孔6内に位置する端部(自由端)とは反対側の端部(基端)が観察されない場合、該繊維と貫通孔6の開口端6eとの交点を、該反対側の端部とする。
領域内繊維21は、その先端(自由端)が貫通孔6の内方側を向いていることが好ましい。斯かる構成により、表面シート10と隣接する繊維シートとより強固に係合できる。上述した構成において、例えば、領域内繊維21の先端が貫通孔6の内方側に向かっており、且つ該繊維21が直線状に延びていることが好ましい。
貫通孔6による透過性をより向上させるとともに、表面シート10の位置ずれをより抑制する観点から、貫通孔6の寸法は以下の範囲内であることが好ましい。
表面シート10における貫通孔6の面積率(貫通孔6の面積/表面シート10の面積)は、好ましくは4%以上、より好ましくは8%以上であり、また好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下であり、また好ましくは4%以上30%以下、より好ましくは8%以上20%以下である。
1個当たりの貫通孔6の面積は、好ましくは1mm以上、より好ましくは3mm以上であり、また好ましくは30mm以下、より好ましくは20mm以下であり、また好ましくは1mm以上30mm以下、より好ましくは3mm以上20mm以下である。
本実施形態の貫通孔6は縦方向Pに長い形状を有しているが、横方向Qに長い形状を有していてもよい。上記と同様の観点から、貫通孔6の寸法は以下の範囲内であることが好ましい。
貫通孔6は、縦方向Pの長さL6が、横方向Qの長さW6に対して好ましくは0.1倍以上、より好ましくは1倍以上であり、また好ましくは5倍以下、より好ましくは1.5倍以下であり、また好ましくは0.1倍以上5倍以下、より好ましくは1倍以上1.5倍以下である。
貫通孔6は縦方向Pの長さL6が、好ましくは1mm以上、より好ましくは1.5mm以上であり、また好ましくは5mm以下、より好ましくは4.5mm以下であり、また好ましくは1mm以上5mm以下、より好ましくは1.5mm以上4.5mm以下である。
貫通孔6は横方向Qの長さW6が、好ましくは1mm以上、より好ましくは1.5mm以上であり、また好ましくは9mm以下、より好ましく3mm以下であり、また好ましくは1mm以上9mm以下、より好ましくは1.5mm以上3mm以下である。
貫通孔6の寸法は、表面シート10の任意の箇所から切り出した測定片(10cm四方)における、任意に選択された10個の貫通孔6の寸法(面積等)の平均値として求められる。
表面シート10の位置ずれをより抑制する観点から、表面シート10は、繊維配向領域20に位置する繊維(領域内繊維21)として、外側部分が溶融して他の繊維よりも繊維径が小さくなった繊維を有していることが好ましい。斯かる領域内繊維21は、表面シート10における他の構成繊維よりも繊維径が小さい上、外側部分が溶融して不定形状となっているので、該領域内繊維21と接触した繊維シートの構成繊維と絡まり易くなり、該領域内繊維と該構成繊維との係合性をより向上させることができる。
領域内繊維21のうち、「外側部分が溶融して他の繊維よりも繊維径が小さくなった繊維」を、以下、「領域内細繊維22」ともいう。
領域内細繊維22は、以下の方法により確認することができる。
〔領域内細繊維22の確認方法〕
繊維配向領域20を含むように、貫通孔6をその周辺部分ごと切り出し、これをサンプルとする。次いで、紙両面テープ(ニチバン株式会社製ナイスタックNW-15)を用いて、サンプルを試料台に貼り付ける。次いでサンプルを白金コーティングする。コーティングには日立那珂精器株式会社製イオンスパッタ装置E-1030型(商品名)を用い、スパッタ時間は30秒とする。次いで、サンプルにおける繊維配向領域20を、日立製作所株式会社製S-4000型電界放射型走査電子顕微鏡を用いて倍率1000倍で観察し、貫通孔6の周辺部分に位置する繊維との繊維径の違いから、領域内細繊維22を判別する。斯かる観察において、領域内細繊維22の表面に溶融部分を確認することができる。特に、表面シート10がその構成繊維として、芯鞘型複合繊維を含んでいる場合、該芯鞘型複合繊維が領域内細繊維22になり易い。斯かる領域内細繊維22は、鞘成分が溶融して、芯成分が剥き出しの状態となるので、他の構成繊維よりも繊維径が小さくなる。
繊維シートの構成繊維とより絡まり易くする観点から、表面シート10における領域内細繊維22の繊維径は、該表面シート10における繊維配向領域20以外の部分に位置する繊維の繊維径に対して、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上であり、また好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下であり、また好ましくは40%以上80%以下、より好ましくは50%以上70%以下である。
上記と同様の観点から、表面シート10における領域内細繊維22の繊維径は、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上であり、また好ましくは7μm以下、より好ましくは6μm以下であり、また好ましくは3μm以上7μm以下、より好ましくは4μm以上6μm以下である。
領域内細繊維22の繊維径は、前記〔領域内細繊維22の確認方法〕と同様の方法により、領域内細繊維22を観察し、該繊維22の長手方向に直交する幅方向の長さを10本測定したときの平均値とする。また、繊維配向領域20以外の部分に位置する繊維の繊維径は、前記〔領域内細繊維22の確認方法〕で観察した、貫通孔6の周辺部分に位置する繊維を10本選択し、その選択した繊維の長手方向に対する幅方向の長さの平均値とする。
1つの繊維配向領域20に、領域内細繊維22と、該領域内細繊維22よりも繊維径が大きい領域内繊維21とが併存していてもよく、繊維配向領域20内の全ての繊維が領域内細繊維22であってもよい。
繊維シートの構成繊維とより絡まり易くする観点から、平面視における貫通孔6の観察視野において、1個の貫通孔6における領域内細繊維22の本数は1本以上、好ましくは2本以上、より好ましくは5本以上であり、また好ましくは30本以下、より好ましくは20本以下であり、また好ましくは2本以上30本以下、より好ましくは5本以上20本以下である。
繊維配向領域20は、表面シート10における全ての貫通孔6に形成されていてもよく、一部の貫通孔6に形成されていてもよい。
表面シート10における排泄物の透過性をより向上させ、且つ排泄物の肌への接触をより抑制する観点から、表面シート10において開口端6eの一部に繊維配向領域20が形成された貫通孔6の単位面積(平面視で10mm四方の領域の面積)当たりの数は、該単位面積当たりの貫通孔6の全個数のうち、好ましくは10%以上、より好ましくは40%以上であり、全貫通孔6に繊維配向領域20が形成されていることがさらに好ましい。
上記と同様の観点から、表面シート10において開口端6eの一部に繊維配向領域20が形成された貫通孔6の単位面積(平面視で10mm四方の領域の面積)当たりの数は、好ましくは2個以上、より好ましくは4個以上、そして、好ましくは20個以下、より好ましくは15個以下である。
肌触りやクッション性の観点から、本実施形態の表面シート10は、以下の構成を有することが好ましい。
凸部5の高さH(図4参照)は、好ましくは1mm以上、より好ましくは3mm以上であり、また好ましくは10mm以下、より好ましくは6mm以下であり、また好ましくは1mm以上10mm以下、より好ましくは3mm以上6mm以下である。
表面シート10における単位面積(1cm)当たりの凸部5の数は、好ましくは1個以上、より好ましくは6個以上であり、また好ましくは20個以下、より好ましくは15個以下であり、また好ましくは1個以上20個以下、より好ましくは6個以上15個以下である。
凸部5の底部面積は、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは2mm以上であり、また好ましくは50mm以下、より好ましくは20mm以下であり、また好ましくは0.5mm以上50mm以下、より好ましくは2mm以上20mm以下である。
次に、本発明に係る繊維シートについて詳述する。
本実施形態のおむつ11において、表面シート10に隣接して配置される繊維シートは、表面シート10及び吸収体14間に配されたサブレイヤー15であるが、これに限定されない。例えば、繊維シートは、吸収体の表面を形成するコアラップシート141であってもよい。この場合、おむつ11は、サブレイヤー15を具備せず、表面シート10に、繊維シートであるコアラップシート141が隣接して配置される。
表面シート10と隣接して配置される繊維シートが、複数の凹部及び凸部を有していることは、繊維シートの構成繊維と領域内繊維21とをより絡まり易くして、繊維配向領域20における係合性をより向上させる点で好ましい。本実施形態のサブレイヤー15は、複数の凹部151及び凸部152を有している。具体的には、サブレイヤー15は、肌対向面側に突出し且つ内部が中空である複数の凸部152と、該複数の凸物152間に位置する凹部151とを有している。これら複数の凹部151及び凸部152は、縦方向P及び横方向Qに沿って交互に連続して配されている。サブレイヤー15は、肌対向面側に突出し内部空間S1を有する複数の凸部152と、複数の該凸部152の間に位置する凹部151とを有し、さらに非肌対向面側に突出し内部空間S2を有する複数の非肌側凸部155と、複数の該非肌側凸部155の間に位置する非肌側凹部154とを有している(図8参照)。サブレイヤー15における凸部152及び凹部151によって形成される肌対向面側の凹凸形状は、該サブレイヤー15における非肌側凸部155及び非肌側凹部154によって形成される非肌対向面側の凹凸形状に対応している。すなわち、サブレイヤー15の非肌対向面において、複数の非肌側凹部154及び非肌側凸部155は、縦方向P及び横方向Qに沿って交互に連続して配されている。斯かる構成を具備するサブレイヤー15としては、特開2019-97678号公報に記載の中間シートを用いることができる。
繊維シートの構成繊維と領域内繊維21とをより絡まり易くする観点から、複数の凹部及び凸部を有する繊維シートは、凸部に位置する繊維が、縦方向Pに配向していることが好ましい。斯かる構成において凸部に位置する繊維は、縦方向Pと±30度以内の角度をなしている。また、表面シート10と接触し得る凸部の表面を形成する繊維が、縦方向Pに配向していることが好ましい。すなわち、凸部の表面であって、該凸部の頂部、底部、並びに該頂部及び該底部間の中間部の一又は二以上の箇所で、該凸部の繊維が縦方向Pに配向していることが好ましい。
繊維シートの凸部における繊維の配向、すなわち該繊維と縦方向Pとのなす角度は、以下の方法により確認できる。先ず、繊維シートから縦方向の長さ10cm、横方向の長さ10cmの測定片を切り出す。この測定片は、複数の凸部が含まれるように切り出す。次いで、顕微鏡(例えばキーエンス社製、デジタルマイクロスコープVHX-1000)を用いて、測定片における凸部を倍率60~200倍で観察する。斯かる観察は、表面シート10との対向面に形成された凸部に対して行う。次いで、一定の観察領域内(例えば5cm四方)において観察される任意の繊維それぞれについて、該領域内において繊維の長さが最大となるような二点を定める。次いで、この両端間を結ぶ直線と、縦方向Pとのなす角度を測定する。この測定を少なくとも3つの観察領域について行い、計30本以上の繊維について測定した角度の算術平均値から、繊維配向方向を求める。繊維配向の測定においては、観察領域内において10本以上の繊維を確認できる倍率で観察することが好ましい。
凸部の繊維と領域内繊維21とを接触し易くして、表面シート10の位置ずれをより抑制する観点から、繊維シートにおける1個以上の凸部が、表面シート10の貫通孔6と重なっていることが好ましい。この場合、凸部と貫通孔6は少なくとも部分的に重なっていればよい。本実施形態のサブレイヤー15は、2個以上の複数の凸部152が、表面シート10の貫通孔6と重なっている(図7参照)。
上記の効果をより向上させる観点から、サブレイヤー15(繊維シート)における凸部152の寸法は以下の範囲内であることが好ましい。凸部152の寸法は、サブレイヤー15の厚み方向の断面を顕微鏡観察し、無荷重下にて測定する。
縦方向Pにおける凸部152の長さL7(図7参照)は、縦方向Pにおける貫通孔6の長さL6(図5参照)に対して、好ましくは50%以上、より好ましくは100%以上であり、また好ましくは400%以下、より好ましくは200%以下であり、また好ましくは50%以上400%以下、より好ましくは100%以上200%以下である。
縦方向Pにおける凸部152の長さL7(図7参照)は、好ましくは2mm以上、より好ましくは4mm以上であり、また好ましくは10mm以下、より好ましくは8mm以下であり、また好ましくは2mm以上10mm以下、より好ましくは4mm以上8mm以下である。
凸部152の高さH1(図7参照)は、好ましくは1mm以上、より好ましくは3mm以上であり、また好ましくは10mm以下、より好ましくは6mm以下であり、また好ましくは1mm以上10mm以下、より好ましくは3mm以上6mm以下である。
本実施形態のおむつ11は、サブレイヤー15の肌対向面において、凸部152の頂部が表面シート10に接触している(図7参照)。また、前記サブレイヤー15の肌対向面において、凹部151が表面シート10と接触していない。このように、サブレイヤー15は、その肌対向面において、表面シート10と接触する肌側接触部と、該表面シート10と接触しない肌側非接触部とを有している。前述したように、サブレイヤー15の肌対向面において、複数の凹部151及び凸部152は、縦方向P及び横方向Qに沿って交互に連続して配されているので、肌側接触部は縦方向P及び横方向Qの二方向に離間して配置されている(図8参照)。
本実施形態のおむつ11は、サブレイヤー15の非肌対向面において、非肌側凸部155の頂部が吸収体14に接触している(図7参照)。また、前記サブレイヤー15の非肌対向面において、非肌側凹部154が吸収体14と接触していない。このように、サブレイヤー15は、その非肌対向面において、吸収体14と接触する非肌側接触部と、該吸収体14と接触しない非肌側非接触部とを有している。前述したように、サブレイヤー15の非肌対向面において、複数の非肌側凹部154及び非肌側凸部155は、縦方向P及び横方向Qに沿って交互に連続して配されているので、非肌側接触部は縦方向P及び横方向Qの二方向に離間して配置されている。
サブレイヤー15において、各肌側接触部は、肌側非接触部に囲まれて配されていることが好ましい(図8参照)。斯かる構成により、肌側非接触部である凹部151の空間S2どうしが繋がった連続空間が平面方向に形成される。この連続空間は、軟便の拡散性の向上に有効である。凹部151の空間S2は、非肌側凸部155の内部空間S2でもある。
サブレイヤー15において、各非肌側接触部は、非肌側非接触部に囲まれて配されていることが好ましい(図8参照)。斯かる構成により、非肌側非接触部である非肌側凹部154の空間S1どうしが繋がった連続空間が平面方向に形成される。この連続空間も、軟便の拡散性の向上に有効である。非肌側凹部154の空間S1は、凸部152の内部空間S1でもある。
サブレイヤー15と表面シート10との間の空間S2、及びサブレイヤー15と吸収体14との間の空間S1それぞれには、サブレイヤー15を構成する構成繊維間の隙間は含まれない。具体的には繊維間距離が0.01mm~0.2mm程度の微細な隙間は含まれない。
軟便の拡散性をより向上させる観点から、サブレイヤー15を非肌対向面側である吸収体14側から平面視したときに、最も近い位置にある隣り合う非肌側接触部どうしの距離は、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上であり、また好ましくは10mm以下、より好ましくは8mm以下であり、また好ましくは0.5mm以上10mm以下、より好ましくは1mm以上8mm以下である。
上記と同様の観点から、サブレイヤー15を肌対向面側である表面シート10側から平面視したときに、最も近い位置にある隣り合う肌側接触部どうしの距離は、前記の最も近い位置にある隣り合う非肌側接触部どうしの距離と同じ範囲とすることが好ましい。隣り合う肌側接触部どうしの距離、及び隣り合う非肌側接触部どうしの距離は、以下の方法により測定する。
先ず、サブレイヤー15から、50mm(横方向Q)×50mm(縦方向P)の大きさを切り出し、これを測定サンプルとする。そして、無加圧の状態で、該測定サンプルの非肌対向面を上にした状態で置き、該測定サプルの上に透明の重さ50gのアクリル板を置き、さらにアクリル板上に700gの錘を載置する。そして、30gf/cmの荷重を掛けた状態で、測定サンプルの表面形状をKeyence社製、高精度形状計測システムKS-1100を用いて測定する。測定条件は、測定ピッチ50μm、移動速度10cm/sとし、40mm(CD方向)×40mm(MD方向)の範囲を測定して、画像を取得する。次に、前記画像をKeyence社製、形状解析アプリケーションKS-Analyzerを用いて解析し、最大厚みとなる位置、及び該最大厚みとの厚み差が500μm以下となる位置を抽出する。これにより抽出された領域を、非肌側接触部とする。また、前記抽出された領域以外の領域(最大厚みとの厚み差が500μm超となる位置)を非肌側非接触部とする。これら非肌側接触部及び非肌側非接触部を二値化処理する。具体的には、前記画像をImage-Pro Plus(株式会社日本ローパー社製)に取り込み、コントラストの強調で、黒白コントラストを100に設定し、フィルタ処理(メディアン、5×5を5回)によりノイズを除去する。次いで二値化処理した画像について、隣り合う非肌側接触部の重心同士を結ぶ線を引く。非肌側接触部の重心は、一つの非肌側接触部のフェレー径長さの中心にフェレー径と垂直となる垂線を引き、垂線と接触部界面が交わる二点の中心とする。そして、最も近接する重心どうしを結ぶ線を引き、当該線の距離を測定して、得られた測定値を隣り合う非肌側接触部どうしの距離とする。
隣り合う肌側接触部どうしの距離は、測定サンプルの肌対向面を上にした状態で置き、以降は、隣り合う非肌側接触部どうしの距離と同様の操作で測定する。30gf/cmの荷重は、低月齢児におむつ1を着用させたときに、低月齢児がおむつ着用中の低月齢児が仰向けに寝ている場合に、そのおむつの背側部にかかる圧力(耐圧)を想定したものである。
サブレイヤー15等の繊維シートとしては、親水性且つ液透過性のシートを用いることができ、具体的には例えば、紙、織布、不織布を例示できるが、強度が比較的強く柔軟性にも優れる点で不織布が特に好ましい。不織布としては、前述したものを特に制限なく用いることができる。領域内繊維21とより絡まり易くする観点から、繊維シートは、エアスルー不織布を含むことが好ましい。この場合、繊維シートは、エアスルー不織布からなるものであってもよく、エアスルー不織布と他の不織布とが積層した積層不織布であってもよい。
本実施形態のサブレイヤー15(繊維シート)は、単層構造であるが、これに代えて複数の層が積層されてなる多層構造であってもよい。また、サブレイヤー15における凹凸形状は、例えば、円錐、円錐台、角錐、角錐台、斜円錐等の錐体形状等を採用することができる。斯かるサブレイヤー15の製造方法としては、特開2013-133574号公報、特開2012-149370号公報、特開2012-149371号公報等に記載の方法が挙げられる。
次に、本発明の表面シートの製造方法について、上述した実施形態の表面シート10の製造方法を例に説明する。図9には、本発明に係る表面シートの製造装置の一実施形態である製造装置100が示されている。製造装置100は、凹凸賦形部30と超音波処理部40とを具備する。
凹凸賦形部30は、周面部に凹凸を有する凹凸ロール31を備える。凹凸賦形部30では、回転中の凹凸ロール31の周面部に第1シート1を追従させることで、第1シート1を該周面部の凹凸の形状に沿った凹凸形状に変形させる。
凹凸賦形部30は、凹凸ロール31に加えてさらに、該凹凸ロール31の凹凸と噛み合う凹凸を周面部に有する、他の凹凸ロール32を備える。
以下、凹凸ロール31を「第1ロール」、凹凸ロール32を「第2ロール」ともいう。
図9に示す凹凸賦形部30では、これら両ロール31,32を用い、両ロール31,32の凹凸どうしの噛み合い部33が形成されるように両ロール31,32を回転させ、噛み合い部33に第1シート1を導入することで、第1シート1を、凹凸ロール31の周面部の凹凸に沿った凹凸形状に変形させる。
図10には、凹凸ロール31(第1ロール)の周面部の一部が示されている。
凹凸ロール31は、所定の歯幅を有する平歯車31a,31b,・・を複数枚組み合わせてロール状に形成したものである。各歯車の歯が、凹凸ロール31の周面部における凹凸形状の凸部35を形成しており、該凸部35の先端面35cが、後述する超音波融着機41の超音波ホーン42の先端面である振動印加面42tとの間で、融着対象である第1及び第2シート1,2を加圧する加圧面となっている。
凹凸ロール31を構成する各歯車の歯幅(歯車の軸方向の長さ)は、表面シート10の凸部5におけるX方向の寸法を決定し、各歯車の歯の長さ(歯車の回転方向の長さ)は、表面シート10の凸部5におけるY方向の寸法を決定する。
隣り合う歯車は、その歯のピッチが半ピッチずつずれるように組み合わされている。その結果、凹凸ロール31は、その周面部が凹凸形状となっている。
図示の形態では、各凸部35の先端面35cは、凹凸ロール31の回転方向が長辺で、軸方向が短辺の矩形状となっている。
先端面35cは回転方向の方が長い形状であると、凹凸ロール31の凸部35一つにおける超音波ホーン42の先端部の振動印加面42tとの接触時間を長くして温度を上げやすくすることができるので好ましい。
凹凸ロール31における各歯車の窪みは、凹凸ロール31の周面部における凹凸の凹部を形成している。
各歯車の歯底部(窪みの底部)には、吸引孔34が形成されている。吸引孔34は、ブロワや真空ポンプなどの吸引源(図示せず)に通じ、凹凸ロール31と凹凸ロール32との噛み合い部33から、第1シート1と第2シート2との合流部までの間で吸引が行われる様に制御されている。
したがって、凹凸ロール31と凹凸ロール32との噛み合いによって凹凸形状に変形された第1シート1は、吸引孔34による吸引力によって、凹凸ロール31の周面部の凹凸に沿った形状に変形した状態に維持された状態で、第1シート1と第2シート2との合流部及び超音波融着機41による超音波振動の印加部36に搬送される。
図10に示す凹凸ロール31では、隣り合う歯車間に所定の空隙Gが設けられていることにより、第1シート1に無理な伸長力を加えたり、両ロール31,32の噛み合い部33で第1シート1を切断したりする不都合が抑制されるため、第1シート1が凹凸ロール31の周面部の形状に沿った凹凸形状に変形しやすい。
凹凸ロール32(第2ロール)は、その周面部に、凹凸ロール31の周面部の凹凸と互いに噛み合う凹凸形状を有している。凹凸ロール32は、吸引孔34を有しない以外は、凹凸ロール31と同様の構成を有している。
なお、両ロール31、32の凹凸部が互いに噛み合うことを前提として、凹凸ロール31の径と凹凸ロール32の径とは異なっていてもよい。そして、互いに噛み合う凹凸を有する両ロール31,32を回転させながら、両ロール31,32の噛み合い部33に、第1シート1を導入することにより、第1シート1を凹凸形状に変形させることができる。
噛み合い部33においては、第1シート1の複数個所が、凹凸ロール32の凸部によって凹凸ロール31の周面部の凹部に押し込まれ、その押し込まれた部分が、製造される表面シート10の凸部5となる。
凹凸ロール32の周面部には、凹凸ロール31の凹部に挿入される複数の凸部が形成されているが、凹凸ロール32に、凹凸ロール31の凹部の全てに対応する凸部が形成されていることは必須ではない。
なお、図9に示す凹凸賦形部30は、前述したとおり、周面部に凹凸を有する凹凸ロールを2個備え、その2個の凹凸ロール31,32の凹凸どうしの噛み合い部33が形成されるように両ロール31,32を回転させ、該噛み合い部33に第1シート1を導入することで、該第1シート1を凹凸形状に変形させるようになされているが、凹凸賦形部30が備える凹凸ロールは、周面部に導入された第1シート1を吸引可能な凹凸ロール31のみでもよく、つまり、凹凸ロール32は無くてもよい。その場合、凹凸ロール31の周面部に第1シート1を導入するだけで、該周面部に配された吸引孔34(図10参照)による吸引力によって、第1シート1が該周面部の凹凸の形状に追従するように変形する。このような、凹凸ロール31の周面部での吸引による第1シート1の追従・変形は、吸引力や吸引孔34の配置などを適宜調整することで実現可能である。
超音波処理部40は、超音波ホーン42を備えた超音波融着機41を備えており、凹凸形状に変形させた状態の第1シート1上に第2シート2を重ね合わせ、それら両シート1,2を、凹凸ロール31の凸部35と超音波ホーン42の先端部の振動印加面42tとの間に挟んで超音波振動を印加することで、貫通孔6を形成するとともに、第1シート1と第2シート2とを融着させる。また、貫通孔6の開口端6eの一部に繊維配向領域20を形成する。
超音波融着機41は、図9及び図11に示すように、超音波発振器(図示せず)、コンバーター43、ブースター44及び超音波ホーン42を備えている。
超音波発振器(図示せず)は、コンバーター43と電気的に接続されており、超音波発振器により発生された周波数15~50kHz程度の波長の高電圧の電気信号が、コンバーター43に入力される。
超音波発振器(図示せず)は、可動台45上又は可動台45外に設置されている。
コンバーター43は、ピエゾ圧電素子等の圧電素子を内蔵し、超音波発振器から入力された電気信号を、圧電素子により機械的振動に変換する。ブースター44は、コンバーター43から発せられた機械的振動の振幅を調整、好ましくは増幅して超音波ホーン42に伝達する。
超音波ホーン42は、アルミ合金やチタン合金などの金属の塊でできており、使用する周波数で正しく共振するように設計されている。
ブースター44から超音波ホーン42に伝達された超音波振動は、超音波ホーン42の内部においても増幅、又は減衰されて、融着対象である第1及び第2シート1,2に印加される。斯かる超音波融着機41としては、市販の超音波ホーン、コンバーター、ブースター、超音波発振器を組み合わせて用いることができる。
超音波融着機41は、可動台45上に固定されており、可動台45の位置を、凹凸ロール31の周面部に近づく方向に沿って進退させることで、超音波ホーン42の先端面である振動印加面42tと、第1ロール31の凸部35の先端面35cとの間のクリアランス、及び積層された第1及び第2シート1,2に対する加圧力を調節可能となっている。
そして、融着対象である第1及び第2シート1,2を、凹凸ロール31の凸部35の先端面35cと超音波融着機41における超音波ホーン42の先端部の振動印加面42tとの間に挟んで加圧しつつ、両シート1,2に超音波振動を印加することにより、両シート1,2における、凸部35の先端面35c上に位置する部分が発熱し、第1シート1及び/又は第2シート2が溶融、再度固化する。これにより、両シート1,2を貫通する貫通孔6と、両シート1,2を接合する融着部が形成される。融着部は、貫通孔6の開口端6eに沿って形成される。
超音波ホーン42の先端部の振動印加面42tは、アルミ合金やチタン合金等の金属からなる超音波ホーン42の本体部420(図11参照)の先端面からなり、融着対象物より具体的には第2シート2に当接する。
製造装置100は、超音波振動を印加する前の第1シート1及び第2シート2の少なくとも一方を予熱する予熱手段51を備えている。
予熱手段51は、凹凸ロール31(第1ロール)の内部に配置され、凹凸ロール31の回転軸(CD)に平行に延びている。
また予熱手段51は、凹凸ロール31の回転軸の周囲における外周部の近傍に、周方向に間隔を設けて複数配置されている。
予熱手段51としては、加熱対象物(第1シート1、第2シート2)に外部から熱エネルギーを加えて加熱し得るものを用いることができ、例えば、電熱線を用いたカートリッジヒーターが挙げられるが、これに限られず、各種公知の加熱手段を特に制限なく用いることができる。
予熱手段51は、予熱機構50の一部である。
予熱機構50は、予熱手段51の他に、超音波振動を印加する前の融着対象物の温度を計測可能な測温手段(図示せず)と、該測温手段の測定値に基づき予熱手段51の温度を制御する温度制御部(図示せず)とを備える。
予熱手段51による凹凸ロール31の周面部の加熱温度は、前記温度制御部によって制御される。予熱機構50によって、製造装置100の運転中、超音波振動の印加部36に導入される第1シート1の温度を所定範囲に維持することができる。
製造装置100は、図12に示すように、振動印加面42tを含め超音波ホーン42を加熱するホーン加熱手段61を備えている。
ホーン加熱手段61は、振動印加面42tには配されておらず、振動印加面42tの近傍、具体的には、超音波ホーン42の先端部の側面に固定されている。
ホーン加熱手段61としては、ヒーター等の各種公知の加熱手段を特に制限なく用いることができる。
ホーン加熱手段61は、ホーン加熱機構60の一部である。
ホーン加熱機構60は、ホーン加熱手段61の他に、振動印加面42tの温度を計測可能な測温手段(図示せず)と、該測温手段の測定値に基づきホーン加熱手段61の温度を制御する温度制御部(図示せず)とを備える。
ホーン加熱手段61による振動印加面42tの加熱温度は、前記温度制御部によって制御される。ホーン加熱機構60によって、製造装置100の運転中、振動印加面42tの温度を所定範囲に維持することができる。
なお、超音波融着機41は、融着対象物に超音波振動を印加し、それにより融着対象物を発熱及び溶融させて融着させるものであり、前述した予熱手段51及びホーン加熱手段61とは明確に区別される。
製造装置100においては、超音波ホーン42の振動印加面42tに溝状凹部46が形成されている。図13には、超音波ホーン42の先端部のMDに沿う模式的な断面図、図14には、該超音波ホーン42の振動印加面42tの模式的な平面図が示されている。図13は、図12に示す超音波ホーン42の先端部の拡大断面図である。
溝状凹部46は、凹凸ロール31(第1ロール)の回転軸(CD)に沿って延びている。ここでいう「回転軸(CD)に沿って延びる」とは、溝状凹部46と凹凸ロール31の回転軸(CD)とのなす角度が45度未満である場合を意味する。図14に示す溝状凹部46は、回転軸(CD)に平行に延びており、回転軸(CD)とのなす角度はゼロである。
製造装置100においては、振動印加面42tに溝状凹部46が1本形成されている。この1本の溝状凹部46は、図14に示すように、振動印加面42tのMDに沿う長さの中央に位置し、CDに沿う長さの全長にわたって延在している。
溝状凹部46は、図13に示す如き凹凸ロール31の回転軸に直交する方向(すなわちMD)に沿う断面視において、一対の凹部側面46a,46aと凹部底面46bとから画成されている。
一対の凹部側面46a,46aは、振動印加面42tと交差しており、より具体的には、振動印加面42tに連接され且つ振動印加面42tから離れる方向に延びている。
凹部底面46bは、一対の凹部側面46a,46aそれぞれの長手方向端に連接され、溝状凹部46の開口部46dと相対向している。
図12(図13)に示す超音波ホーン42では、凹部側面46aと振動印加面42tとが交差する角部46cが先鋭であり、且つ凹部底面46bがMDに沿う断面視において、開口部46dから離れる方向に向かって凹んだ円弧状をなしている。
図12(図13)に示す形態では、凹部側面46aと振動印加面42tとのなす角度は90度である。すなわち、角部46cのなす角度は90度である。
前述の如く構成された製造装置100を用いた表面シート10の製造方法は、周面部に凹凸を有する凹凸ロール31(第1ロール)を回転させながら、該周面部に第1シート1を追従させて凹凸形状に変形させる賦形工程を有する。
また、製造装置100を用いた表面シート10の製造方法は、凹凸形状に変形させた第1シート1を、凹凸ロール31上に保持しつつ搬送し、搬送中の第1シート1に第2シート2を重ね合わせる重ね合わせ工程を有する。
また、製造装置100を用いた表面シート10の製造方法は、重ね合わせた両シート1,2を、凹凸ロール31の凸部35と超音波融着機41が備える超音波ホーン42の先端部の振動印加面42tとの間に挟んで超音波振動を印加する超音波処理工程を有する。
前記賦形工程では、2個の凹凸ロール31,32の凹凸どうしの噛み合い部33に第1シート1を導入して、第1シート1を凹凸形状に変形させる。
繊維配向領域20及び貫通孔6の形成をより容易にする観点から、凹凸ロール31(第1ロール)の回転軸に直交する方向に沿う断面視(MDに沿う断面視)における、凸部35の先端部の角部の角度θ35(図12参照)は、好ましくは90度以上、より好ましくは105度以上であり、また好ましくは135度未満、より好ましくは120度未満である。
そして、前記超音波処理工程では、超音波ホーンとして、前述した特定の超音波ホーン、すなわち、振動印加面42tに凹凸ロール31(第1ロール)の回転軸(CD)に沿って延びる溝状凹部46が形成されている超音波ホーン42を用いて、超音波振動を印加することにより、重ね合わされた第1シート1と第2シート2との積層物(融着対象物)に貫通孔6を形成するとともに、第1シート1と第2シート2とが融着された融着部、及び該貫通孔6の開口端6eの一部に繊維配向領域20を形成する。
前記超音波処理工程では、図12に示すように、融着対象物(第1シート1と第2シート2との積層物)をMDに搬送しつつ、凹凸ロール31の凸部35の先端面35cと超音波ホーン42の溝状凹部46が形成された振動印加面42tとの間に挟んで超音波振動を印加する。
ここで、融着対象物を凸部35側に押圧する振動印加面42tには、図13に示すように、溝状凹部46の開口部46dを挟んでMDの前後に位置する一対の角部46c,46cが存在するため、融着対象物を押圧する際に生じる応力が角部46cに集中し、角部46cを介して融着対象物にかかるせん断力が、角部46c(溝状凹部46)が形成されていない場合に比して向上する。したがって前記超音波処理工程では、融着対象物に対して、超音波振動による融着対象物の発熱に加えてさらに、この溝状凹部46に起因する強力なせん断力が作用し、その結果、融着対象物における凸部35の先端面35cと超音波ホーン42の振動印加面42tとに挟まれた部分に、融着部、貫通孔6及び繊維配向領域20を同時に形成することができる。
前記超音波処理工程によれば、第1シート1及び/又は第2シート2を形成する樹脂が融点200℃を超えるような高融点のもの(例えばPET)であっても、融着部、貫通孔6及び繊維配向領域20を同時に行うことが可能である。
前記超音波処理工程において、振動印加面に凹凸ロールの回転軸に沿って延びる溝状凹部が形成されている超音波ホーン(図12~図14参照)を用いたことにより、貫通孔6の開口端6eの一部に繊維配向領域20が容易に形成されると考えられる。この繊維配向領域20の形成方法について、本発明者の考察を以下に説明する。前記超音波処理工程では、融着対象物(第1シート1と第2シート2との積層物)をMDに搬送しつつ、凹凸ロール31の凸部35の先端面35cと超音波ホーン42の溝状凹部46が形成された振動印加面42tとの間に挟んで超音波振動を印加する。これにより第1シート1及び第2シート2が溶融した溶融部分が形成される。一方、融着対象物を押圧する際に生じる応力は、溝状凹部46の開口部46dを挟んでMDの前後に位置する一対の角部46c,46cのうちMDの前方側(下流側)に位置する角部46cに集中するので、該角部46cを介して融着対象物、特に貫通孔6の形成位置周縁にMDに沿ってせん断力が作用する。このせん断力により、融着対象物におけるMDの前方側及び後方側の角部46c,46cとの接触部分が破断して、貫通孔6が形成されるとともに、MDに沿って貫通孔6の側部が引っ張られることで、該側部に位置する繊維が該MDに沿って配向し、繊維配向領域20が形成されると推察される。また、融着対象物が前記せん断力によって破断する際、融着対象物の厚み方向において、第1シート1から離れる方向に引っ張られることで、同厚み方向において第1シート1から離れる方向に沿って領域内繊維21が配向すると推察される。このようにして、前記MDに沿うせん断力によって、貫通孔6の長手方向に沿う側部に繊維配向領域20が形成される。
繊維配向領域20をより容易に形成する観点から、前記超音波処理工程において、凹凸ロール31(第1ロール)の凸部35の先端面35cと超音波ホーン42の振動印加面42tとの間に挟んで第1及び第2シート1,2に加える加圧力は、20N/mm以上が好ましく、30N/mm以上がより好ましい。
また前記加圧力は、80N/mm以下が好ましく、70N/mm以下がより好ましい。
ここでいう「加圧力」は、いわゆる線圧であり、超音波ホーン42の加圧力(N)を超音波ホーン42と触れる凸部35の歯幅(凸部35のCDに沿う長さ)の合計(凹凸ロール31の凹部は含まない)の長さで除した値(単位長さあたりの加圧力)で示す。
上記と同様の観点から、印加する超音波振動の周波数は、15kHz以上が好ましく、20kHz以上がより好ましい。
また前記周波数は、50kHz以下が好ましく、40kHz以下がより好ましい。
また同様の観点から、印加する超音波振動の振幅は、20μm以上が好ましく、25μm以上がより好ましい。
また前記振幅は、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましい。
超音波振動の周波数、振幅の測定に際しては、レーザー変位計等で超音波ホーンの先端の変位を計測し、サンプリングレート200kHz以上、精度1μm以上にすることで、該周波数、振幅を測定する。
上記と同様の観点から、前記超音波処理工程における融着対象物(第1シート1と第2シート2との積層物)の搬送速度は、好ましくは200m/分以上、より好ましくは250m/分以上であり、また好ましくは400m/分以下、より好ましくは350m/分以下である。
上記と同様の観点から、前記超音波処理工程において、搬送中の融着対象物(第1シート1と第2シート2との積層物)にかかる張力は、好ましくは20N/m以上、より好ましくは30N/m以上であり、また好ましくは90N/m以下、より好ましくは60N/m以下である。本実施形態において前記張力は、前記超音波処理工程までの融着対象物の搬送速度を変更することにより調整することができる。
本実施形態の超音波ホーン42によれば、図13に示すように、溝状凹部46の開口部46dを画成する角部46cが先鋭であるため、角部46cが先鋭ではなく丸みを帯びている場合に比して、前記超音波処理工程で融着対象物(第1シート1と第2シート2との積層物)にかかるせん断力が向上しており、このため融着部、貫通孔6及び繊維配向領域20の同時形成をより一層確実に行うことができる。
斯かる角部46cによる作用効果をより一層確実に奏させるようにする観点から、角部46cにおける凹部側面46aと振動印加面42tとのなす角度は、45度以上が好ましく、60度以上がより好ましい。
また前記角度は、135度以下が好ましく、120度以下がより好ましい。
一方、超音波ホーン42の振動印加面42tに溝状凹部46を形成すると、超音波ホーン42(特に本体部420)の耐久性が低下し、超音波振動時に溝状凹部46を起点として本体部420などにクラック(割れ目)が入ることが懸念される。これに対し、超音波ホーン42では、溝状凹部46を画成する凹部底面46bを、図13に示す如き超音波ホーン42のMDに沿う断面視において、開口部46dから離れる方向に向かって凹んだ円弧状とすることで、斯かる懸念が払拭されている。
斯かる凹部底面46bによる作用効果をより一層確実に奏させるようにする観点から、凹部底面46bの曲率は、1以上が好ましく、2以上がより好ましい。
また凹部底面46bの曲率は、10以下が好ましく、5以下がより好ましい。
前述した溝状凹部46による作用効果をより一層確実に奏させるようにする観点から、溝状凹部46の寸法等は以下のように設定することが好ましい。
溝状凹部46の幅W(図13及び図14参照)は、0.2mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましい。
また幅Wは、2mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましい。
振動印加面42tの幅W0(図14参照)は、5mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましい。
また幅W0は、20mm以下が好ましく、15mm以下がより好ましい。
溝状凹部46のCDに沿う長さすなわち凹凸ロール31(第1ロール)の回転軸に沿う長さL(図14参照)と、振動印加面42tの同方向に沿う長さL0(図14参照)との比率は、長さL/長さL0として、0.2以上が好ましく、0.3以上がより好ましい。
また前記比率(長さL/長さL0)は、1以下が好ましい。
図14に示す形態では、溝状凹部46は、振動印加面42tのCDの全長にわたって延びており、長さLと長さL0とが同じで前記比率は1である。
振動印加面42tのCDに沿う長さL0は、30mm以上が好ましく、50mm以上がより好ましい。
また長さL0は、200mm以下が好ましく、150mm以下がより好ましい。
溝状凹部46の深さD(図13参照。振動印加面42tから、凹部底面46bにおける振動印加面42tから最も遠い離れた部位までの長さ。)は、0.3mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましい。
また深さDは、5mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましい。
溝状凹部46は、振動印加面42tのMDの中央部に形成されることが好ましく、特に、振動印加面42tのMDの中央からMDの上流側に好ましくは5mm以内、より好ましくは3mm以内の領域に形成されることが好ましい。
図14に示す形態では、溝状凹部46は振動印加面42tのMDの中央に形成されている。
前述したように、製造装置100は予熱手段51(予熱機構50)を具備し、該製造装置100を用いた表面シート10の製造方法では、前記超音波処理工程に供される前の第1シート1及び第2シート2の少なくとも一方を予熱手段51で予熱するため、溝状凹部46による作用効果と相俟って、融着部、貫通孔6及び繊維配向領域20の同時形成をより一層確実に行うことができる。
予熱手段51による融着対象物の予熱の条件は特に制限されず、融着対象物の種類等に応じて適宜調整すればよいが、第1シート1及び第2シート2の少なくとも一方を、該シートの融点未満、該融点より50℃低い温度以上に加熱しておくことが好ましい。すなわち、超音波振動の印加に先立ち、以下の(1)及び(2)の何れか一方又は双方を行うことが好ましい。
(1)第1シート1を、該第1シートの融点未満、該融点より50℃低い温度以上に加熱しておく。
(2)第2シート2を、該第2シートの融点未満、該融点より50℃低い温度以上に加熱しておく。
好ましくは、第1シート1を、該第1シートの融点未満、該融点より50℃低い温度以上に加熱しておくとともに、第2シート2を、該第2シートの融点未満、該融点より50℃低い温度以上に加熱しておく。
前記(1)の方法、すなわち第1シート1を、該第1シート1の融点未満、該融点より50℃低い温度以上とする方法としては、例えば、凹凸ロール31(第1ロール)上の第1シート1の温度を、凹凸ロール31,32の噛み合い部33と、超音波融着機41による超音波振動の印加部36との間において測定し、その測定値が、前述した特定の範囲内となるように、予熱手段51の温度を制御する。
第1シート1を、特定の範囲の温度に予熱する方法としては、第1シート1が、特定の範囲の温度となるように、凹凸ロール31の周面部の温度を該凹凸ロール31内に配したヒーターにより制御する方法に代えて、多様な方法を用いることができる。
例えば、凹凸ロール31の周面部の近傍にヒーターや熱風の吹き出し口、遠赤外線の照射装置を設け、それらにより、第1シート1を沿わせる前又は後の凹凸ロール31の周面部の温度を制御する方法、噛み合い部33において第1シート1に接触する凹凸ロール32(第2ロール)を加熱し、その周面部の温度制御により第1シート1の温度を制御する方法が挙げられる。
また、凹凸ロール31に沿わせる前の第1シート1に対して、加熱されたローラーに接触させたり、高温に維持した空間を通過させたり、熱風を吹き付けたりする方法等が挙げられる。
前記(2)の方法、すなわち第2シート2を、該第2シート2の融点未満、該融点より50℃低い温度以上とする方法としては、第1シート1と合流させる前の第2シート2の温度を、第2シート2の搬送路中に配置した測温手段で計測し、その測定値が、前述した特定の範囲内となるように、第2シート2の搬送路中に配した第2シート2の加熱手段(図示せず)の温度を制御することが好ましい。
第2シート2の加熱手段は、加熱されたローラー等を接触させる等の接触方式でもよいし、高温に維持した空間を通過させたり、熱風を吹き付けたり貫通させたり赤外線を照射する等の非接触式でもよい。
第1シート1及び第2シート2の融点は、例えば、Perkin-Elmer社製の示差走査熱量測定装置(DSC)PYRIS Diamond DSCを用いて測定することができる。斯かる測定方法では、測定データのピーク値から測定対象(第1シート1、第2シート2)の融点を割り出す。
第1シート1又は第2シート2が、不織布等の繊維シートであり、その構成繊維が、芯鞘型、サイド・バイ・サイド型等の複数成分からなる複合繊維である場合、そのシートの融点は、DSCにより測定した複数の融点の内、最低温度の融点を複合繊維シートの融点とする。
また前述したように、製造装置100はホーン加熱手段61(ホーン加熱機構60)を具備し、前記超音波処理工程では、ホーン加熱手段61によって加熱された振動印加面42tを融着対象物(第1シート1と第2シート2との積層物)に当接させるため、溝状凹部46による作用効果と相俟って、融着部、貫通孔6及び繊維配向領域20の同時形成をより一層確実に行うことができる。
ホーン加熱手段61による加熱の条件は特に制限されず、融着対象物の種類等に応じて適宜調整すればよい。
例えば、予熱手段51に代えてホーン加熱手段61を用いることによって、前記(2)の方法を実施してもよい。すなわち、ホーン加熱手段61によって加熱される超音波ホーン42(振動印加面42t)の温度を制御することによって、超音波振動を印加される直前の第2シート2の温度を、該第2シート2の融点未満、該融点より50℃低い温度以上に加熱しておき、その状態で、凹凸ロール331の凸部35と振動印加面42tとの間に挟んだ、第1及び第2シート1,2に超音波振動を印加してもよい。
また、予熱手段51及びホーン加熱手段61は、どちらか一方のみを用いてもよく、両者を併用してもよい。
貫通孔6及び繊維配向領域20をより容易に形成する観点から、表面シート10の製造方法において、第1シート1及び第2シート2それぞれは、芯鞘型複合繊維を構成繊維として含む、スパンボンド不織布であることが好ましい。前記芯鞘型複合繊維としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)を芯部、ポリエチレン(PE)を鞘部とするものを用いることが好ましい。
図15~図18には、超音波ホーンの他の実施形態の要部(先端部)が示されている。
後述する実施形態については、前述した超音波ホーン42と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、超音波ホーン42についての説明が適宜適用される。
図15に示す超音波ホーン42Aにおいては、同図に示す如き超音波ホーン42のMDに沿う断面視において、溝状凹部46の凹部底面46bが直線であり、溝状凹部46は、同断面視において長方形形状をなしている。つまり、超音波ホーン42Aにおける凹部底面46bは平坦である。
超音波ホーン42Aを用いた場合でも、基本的には前述の超音波ホーン42を用いた場合と同様の効果が奏されるが、溝状凹部46を形成することで懸念される、前述した超音波ホーン42の耐久力の低下やそれに伴うクラックの発生などの不都合をより一層確実に抑制する観点から、凹部底面46bの前記断面視の形状は、図13に示すように、開口部46dから離れる方向に向かって凹んだ円弧状が好ましい。
図16に示す超音波ホーン42Bにおいては、振動印加面42tが、凹凸ロール31(第1ロール)の回転軸に直交する方向(MD)に沿う断面視において、該回転軸から離れる方向に向かって凹んだ円弧状をなしている。
なお、ここでいう振動印加面42tは、溝状凹部46が存在しないと仮定した場合のものであり、より具体的には、図16に示す如きMDに沿う断面視において、溝状凹部46の開口部46dを挟んでMDの一方側の角部46cから他方側の角部46cにわたって振動印加面42tを仮想的に延長した場合のものである。
このように振動印加面42tのMDに沿う断面形状が円弧状であることにより、前記超音波処理工程において融着対象物(第1シート1と第2シート2との積層物)にかかるせん断力が向上するため、溝状凹部46による作用効果と相俟って、融着部、貫通孔6及び繊維配向領域20の同時形成をより一層確実に行うことができる。
図16に示す如きMDに沿う断面視において、円弧状をなす振動印加面42tは、凹凸ロール31(第1ロール)の凸部35の先端が通る円形の軌道(図示せず)に沿って湾曲していることが好ましい。これにより、凸部35の先端面35cと振動印加面42tとで融着対象物(第1シート1と第2シート2との積層物)を挟む時間が長くなり、融着部、貫通孔6及び繊維配向領域20の同時形成をより一層確実に行うことができる。
また、このように超音波ホーン42の振動印加面42tがMDに沿う断面視において円弧状をなす場合、これに対応する凹凸ロール31の複数の凸部35それぞれの先端面35cは、同断面視において凹凸ロール31の回転軸から離れる方向に向かって凸状をなし、振動印加面42tと湾曲の向きが一致していることが好ましい。
超音波ホーン42Bの振動印加面42tの曲率半径は、凹凸ロール31の凸部35の先端面35cの曲率半径に対して、100%以上が好ましい。
また振動印加面42tの曲率半径は、500%以下が好ましく、200%以下がより好ましい。
なお、図16に示す超音波ホーン42Bにおいては、振動印加面42tは、凹凸ロール31の回転軸と平行な方向の全域にわたって、MDに沿う断面形状が円弧状をなしているが、該回転軸と平行な方向における凸部35と対向しない部位等に異なる、断面形状の部分を設けても良い。
例えば、図10に示すように、凹凸ロール31を構成する隣り合う歯車間に空隙Gを設けた場合、振動印加面42tにおける該空隙Gと対向する部位に、円弧状の振動印加面42tから突出しない平坦な部分等を設けてもよい。
図17に示す超音波ホーン42Cにおいては、超音波ホーン42の先端部が、該超音波ホーン42Cの金属製の本体部420に固定された蓄熱部421を含んで構成され、振動印加面42tが蓄熱部421から形成されている。
溝状凹部46は、少なくとも蓄熱部421に形成される。
図17では、溝状凹部46は蓄熱部421のみに形成されているが、蓄熱部421を厚み方向に貫通して本体部420に延出してもよい。
また、図17に示す蓄熱部421からなる振動印加面42tは、前述の超音波ホーン42Bの振動印加面42tと同様に、MDに沿う断面視において円弧状をなしているが、円弧状をなさずに平坦でもよい。
蓄熱部421は、本体部420を構成する金属に比べて、熱伝導率が低い材料である蓄熱材からなる。
蓄熱部421を構成する蓄熱材の熱伝導率は、超音波ホーンや大気に放熱しにくくする観点から、2.0W/mK以下が好ましく、1.0W/mK以下がより好ましい。
また前記蓄熱材の熱伝導率は、シートを効率的に加熱する観点から、0.1W/mK以上が好ましく、0.5W/mK以上がより好ましい。
蓄熱材の熱伝導率は、熱伝導率測定装置を用いて常法に従って測定することができる。
振動印加面42tが蓄熱部421から形成されていると、超音波振動により発熱した第1及び第2シート1,2の熱が蓄熱部421に蓄えられる結果、蓄熱部421の温度が上昇して第1シート1及び第2シート2を加熱することができる。そのため、振動印加面42tに形成された溝状凹部46による作用効果と相俟って、融着部、貫通孔6及び繊維配向領域20の同時形成をより一層確実に行うことができる。
また、振動印加面42tが蓄熱部421から形成されていると、第1及び第2シート1,2の溶融により生じる溶融樹脂の搬送手段への付着、シートの搬送ロールへの巻き付き等の不都合の発生が抑制され、製造装置のメンテナンス負担が軽減されるというメリットがある。
蓄熱部421の厚みTh(図17参照)は、特に制限されないが、蓄熱部421による作用効果をより確実に奏させるようにする観点から、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。
また厚みThは、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。
蓄熱部421を構成する蓄熱材としては、本体部420を構成する金属に比べて熱伝導率が低いことを前提として、耐摩耗性及び耐熱性に優れた合成樹脂を用いることが好ましく、該合成樹脂として、例えば、ポリイミドやポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルエチルケトン、ポリフェニレンサルファイト、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド等の、ロックウエル硬度がR120以上R140以下で、耐熱温度が150℃以上500℃以下の合成樹脂が挙げられる。
前記蓄熱材としては、ポリイミドやポリベンゾイミダゾール等の、ロックウエル硬度がR125以上R140以下で、耐熱温度が280℃以上400℃以下の合成樹脂が特に好ましい。
ここで、ロックウエル硬度は、ASTM D-785に従って測定した値であり、耐熱温度は、ASTM D-648に従って測定した値である。
合成樹脂製の蓄熱部421を金属製の本体部420に固定する手段は特に制限されず、公知の固定手段を採用できる。
合成樹脂製の蓄熱部421は、例えば、金属製の本体部420に溶射により形成して、該本体部420に固定することができる。
ここでいう「溶射」とは、加熱することで溶融又はそれに近い状態とした金属やセラミックスなどの溶射材料の粒子を、加速して基材面に高速で衝突させ、該基材面に被膜を形成する公知の表面処理法である。
溶射材料としては、溶射可能で、合成樹脂製の蓄熱部421の固定強度の向上に寄与し得るものを特に制限なく用いることができるが、チタン合金等の金属からなる本体部420に対する結合力に優れ、耐摩耗性や耐熱性にも優れる観点から、タングステンカーバイド、ジルコニア、クロムカーバイド等のセラミックス、アルミマグネシウム、亜鉛アルミニウム等の合金、アルミニウム、ステンレス、チタン、モリブデン等の金属、金属とセラミックスの複合材であるサーミット等が好ましく用いられる。
図18に示す超音波ホーン42Dにおいては、振動印加面42tにおける溝状凹部非形成部47に凹凸部48が形成されている。
より具体的には図18(a)に示すように、溝状凹部非形成部47の一部が凹凸部48であり、溝状凹部非形成部47の残りの部分は、凹凸が無く平滑な平滑部49である。凹凸部48は、平滑部49に比べて表面粗さが大きく、それ故に強い摩擦力を有する。
前記超音波処理工程において、融着対象物(第1シート1と第2シート2との積層物)における凹凸部48によって押圧された部分にはせん断力が作用するため、溝状凹部46による作用効果と相俟って、融着部、貫通孔6及び繊維配向領域20の同時形成をより一層確実に行うことができる。
凹凸部48は、図18(b)に示すように、複数の凸部481及び複数の凹部482を有している。凸部481は、同図に示す如きMDに沿う断面視において三角形をなしているが、凸部481の同断面視における形状は特に限定されず、例えば、四角形、台形等でもよい。
また、凹凸部48における複数の凸部481の配列パターンの一例として、凸部481がCD(凹凸ロール31の回転軸に沿う方向)に等間隔で配された凸部列が、MDに等間隔で配された配列パターンが挙げられる。
前記配列パターンの他の一例として、凸部481がCDに等間隔を空けて配された凸部列が、MDに等間隔を空けて配されており、且つMDに隣り合う凸部列どうしが、半ピッチずれた配列パターンが挙げられる。
凹凸部48は、振動印加面42tにおける溝状凹部非形成部47に、ローレット加工や溶射処理を施すことで形成することができる。
図18に示す形態では、溝状凹部46と凹凸部48との間に平滑部49が存在しているが、溝状凹部46と凹凸部48との間に平滑部49が存在せず、溝状凹部46と凹凸部48とMDにおいて隣り合っていてもよい。
また、振動印加面42tに平滑部49が存在せず、溝状凹部非形成部47の全体が凹凸部48であってもよい。
凹凸部48による作用効果をより一層確実に奏させるようにする観点から、凹凸部48の表面粗さは、算術平均粗さRaが、3.2μm以上が好ましく、6.3μm以上がより好ましい。
また凹凸部48の表面粗さは、算術平均粗さRaが、12.5μm以下が好ましく、25μm以下がより好ましい。
算術平均粗さRaは、種々の表面粗さ測定機で測定可能であり、例えば、株式会社ミツトヨ製の表面粗さ測定機を用いて測定可能である。
同様の観点から、凹凸部48の寸法等は以下のように設定することが好ましい。
振動印加面42tの溝状凹部非形成部47の面積(47S)に対する凹凸部48の面積(48S)の割合、すなわち(48S/47S)×100によって算出される割合は、15%以上が好ましく、30%以上がより好ましい。
また前記割合は、100%以下が好ましく、80%以下がより好ましい。
凹凸部48を構成する凸部481の単位面積(1cm)当たりの数は、1個以上が好ましく、100個以上がより好ましい。
また凸部481の単位面積(1cm)当たりの数は、1,000,000個以下が好ましく、10,000個以下がより好ましい。
凹凸部48の平面視において、凸部481の1個の面積は、0.0001mm以上が好ましく、0.01mm以上がより好ましい。
また凸部481の1個の面積は、100mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましい。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に何ら制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施形態の表面シート10は、複数の凸部5及び凹部3を有していたが、凸部5及び凹部3を有さない平坦なシートであってもよい。
また、上述した表面シート10は、第1シート1及び第2シート2が積層した積層構造を有していたが、表面シート10は単層構造であってもよい。表面シート10が凸部5を有する場合、該凸部5の強度をより向上して、着用者の体圧に対する耐性をより高める観点から、表面シート10は、前記積層構造を有していることが好ましい。
また、振動印加面42tに溝状凹部46が1本形成されていたが、複数本形成されていてもよい。その場合、例えば、CDに延びる複数の溝状凹部46がMDに間欠配置されていてもよく、あるいはCDに延びる複数の溝状凹部46がCDに間欠配置されていてもよい。
また、前述の一の実施形態が具備する構成は、他の実施形態に適用することが可能である。
例えば、凹凸部48が形成された超音波ホーン42Dの振動印加面42t(図18参照)は、図16に示すように、凹凸ロール31の回転軸に直交する方向に沿う断面視(MDに沿う断面視)において、該回転軸から離れる方向に向かって凹んだ円弧状をなしていてもよい。
また、図17に示すように振動印加面42tが蓄熱部421から形成されている場合に、蓄熱部421からなる振動印加面42tに凹凸部48が形成されていてもよい。
上述した本発明の実施形態に関し、さらに以下の吸収性物品を開示する。
<1>
繊維材料からなり、複数の貫通孔を有し、該貫通孔の開口端の一部に、繊維が一方向に配向した繊維配向領域を有する表面シートと、
前記表面シートの非肌対向面側で、該表面シートに隣接して配置された繊維シートとを備え、
前記表面シートにおける前記繊維配向領域に位置する繊維と、前記繊維シートの構成繊維とが係合している、吸収性物品。
<2>
1個の前記貫通孔における前記繊維配向領域に位置する繊維の本数は、1本以上100本以下、好ましくは5本以上100本以下、より好ましくは20本以上50本以下である、前記<1>に記載の吸収性物品。
<3>
1個の前記貫通孔において、前記繊維配向領域に位置し且つ前記表面シートの厚み方向において先端が非肌対向面側に向いている繊維の本数は、1本以上100本以下、好ましく20本以上100本以下である、前記<1>又は<2>に記載の吸収性物品。
<4>
前記表面シートにおける前記貫通孔の面積率は、4%以上30%以下、好ましくは8%以上20%以下である、前記<1>~<3>の何れか1に記載の吸収性物品。
<5>
1個当たりの前記貫通孔の面積は、1mm以上30mm以下、より好ましくは3mm以上20mm以下である、前記<1>~<4>の何れか1に記載の吸収性物品。
<6>
前記表面シートにおいて前記繊維配向領域が形成された前記貫通孔の単位面積(平面視で10mm四方の領域の面積)当たりの数は、2個以上20個以下、好ましくは4個以上15個以下である、前記<1>~<5>の何れか1に記載の吸収性物品。
<7>
液保持性の吸収体を備えており、
前記繊維シートが、前記表面シート及び前記吸収体間に配されたサブレイヤー、又は前記吸収体の表面を形成するコアラップシートである、前記<1>~<6>の何れか1に記載の吸収性物品。
<8>
前記繊維シートが、複数の凹部及び凸部を有している、前記<1>~<7>の何れか1に記載の吸収性物品。
<9>
着用者の前後方向に対応する縦方向及びこれに直交する横方向を有し、
前記凸部に位置する繊維が、前記縦方向に配向している、前記<8>に記載の吸収性物品。
<10>
前記繊維シートにおける1個以上の前記凸部が、前記貫通孔と重なっている、前記<8>又は<9>に記載の吸収性物品。
<11>
前記繊維シートがエアスルー不織布を含む、前記<1>~<10>の何れか1に記載の吸収性物品。
<12>
着用者の前後方向に対応する縦方向及びこれに直交する横方向を有し、
前記繊維配向領域に位置する繊維が、前記縦方向に沿うように配向している、前記<1>~<11>の何れか1に記載の吸収性物品。
<13>
前記貫通孔は、前記縦方向に長い形状を有しており、
前記表面シートは、前記貫通孔の長手方向に沿う両側部に前記繊維配向領域を有しており、
前記繊維配向領域に位置する繊維は、前記貫通孔の短手方向に沿う基準線に対する角度が0度超90度未満である、前記<12>に記載の吸収性物品。
<14>
前記繊維配向領域に位置する繊維は、その先端が前記貫通孔の内方側を向いている、前記<13>に記載の吸収性物品。
<15>
前記表面シートは、前記繊維配向領域に位置する繊維として、外側部分が溶融して他の繊維よりも繊維径が小さくなった繊維を有している、前記<1>~<14>の何れか1に記載の吸収性物品。
<16>
前記表面シートにおける前記繊維配向領域に位置する繊維の繊維径は、該表面シートにおける該繊維配向領域以外の部分に位置する繊維の繊維径に対して、40%以上80%以下、好ましくは50%以上70%以下である、前記<15>の何れか1に記載の吸収性物品。
10 表面シート
1 第1シート
2 第2シート
3 凹部
5 凸部
6 貫通孔
20 繊維配向領域
21 領域内繊維
11 吸収性物品(使い捨ておむつ)
13 裏面シート
14 吸収体
15 サブレイヤー
100 表面シートの製造装置
30 凹凸賦形部
31 凹凸ロール(第1ロール)
32 凹凸ロール(第2ロール)
33 噛み合い部
34 吸引孔
35 凸部
35c 凸部の先端面
36 超音波振動の印加部
40 超音波処理部
41 超音波融着機
42,42A,42B,42C,42D 超音波ホーン
420 超音波ホーンの本体部
421 蓄熱部
42t 振動印加面(超音波ホーンの先端面)
43 コンバーター
44 ブースター
45 可動台
46 溝状凹部
46a 凹部側面
46b 凹部底面
46c 角部
46d 開口部
47 振動印加面の溝状凹部非形成部
48 凹凸部
481 凸部
482 凹部
49 平滑部
50 予熱機構
51 予熱手段
60 ホーン加熱機構
61 ホーン加熱手段

Claims (10)

  1. 繊維材料からなり、複数の貫通孔を有し、該貫通孔の開口端の一部に、繊維が一方向に配向した繊維配向領域を有する表面シートと、
    前記表面シートの非肌対向面側で、該表面シートに隣接して配置された繊維シートとを備え、
    前記表面シートにおける前記繊維配向領域に位置する繊維と、前記繊維シートの構成繊維とが係合している、吸収性物品。
  2. 液保持性の吸収体を備えており、
    前記繊維シートが、前記表面シート及び前記吸収体間に配されたサブレイヤー、又は前記吸収体の表面を形成するコアラップシートである、請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記繊維シートが、複数の凹部及び凸部を有している、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 着用者の前後方向に対応する縦方向及びこれに直交する横方向を有し、
    前記凸部に位置する繊維が、前記縦方向に配向している、請求項3に記載の吸収性物品。
  5. 前記繊維シートにおける1個以上の前記凸部が、前記貫通孔と重なっている、請求項3又は4に記載の吸収性物品。
  6. 前記繊維シートがエアスルー不織布を含む、請求項1~5の何れか1項に記載の吸収性物品。
  7. 着用者の前後方向に対応する縦方向及びこれに直交する横方向を有し、
    前記繊維配向領域に位置する繊維が、前記縦方向に沿うように配向している、請求項1~6の何れか1項に記載の吸収性物品。
  8. 前記貫通孔は、前記縦方向に長い形状を有しており、
    前記表面シートは、前記貫通孔の長手方向に沿う両側部に前記繊維配向領域を有しており、
    前記繊維配向領域に位置する繊維は、前記貫通孔の短手方向に沿う基準線に対する角度が0度超90度未満である、請求項7に記載の吸収性物品。
  9. 前記繊維配向領域に位置する繊維は、その先端が前記貫通孔の内方側を向いている、請求項8に記載の吸収性物品。
  10. 前記表面シートは、前記繊維配向領域に位置する繊維として、外側部分が溶融して他の繊維よりも繊維径が小さくなった繊維を有している、請求項1~9の何れか1項に記載の吸収性物品。
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