JP2022081382A - 吸収性物品用表面シート及びこれを備えた吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022081382000001
【課題】排泄物の透過性を維持しつつ、肌への接触を抑制することができる吸収性物品用表面シート及びこれを備えた吸収性物品を提供すること。
【解決手段】本発明の吸収性物品用表面シート10は、繊維材料からなり、複数の貫通孔6を有し、該貫通孔6の開口端の一部に、繊維材料がフィルム化してなる弁膜体20を備えている。弁膜体20は、貫通孔6の開口端の一部を軸に回動可能である。前記表面シート10は、貫通孔6に隣接した部位に、該表面シート10の一方の面側に突出する凸部5を有しており、弁膜体20が、凸部5の底部から貫通孔6の内方側に向かって延出していることが好ましい。
【選択図】図2

Description

本発明は、吸収性物品用表面シート及びこれを備えた吸収性物品に関する。
使い捨ておむつ等の吸収性物品は、一般的に、液保持性の吸収体の肌対向面側に、着用者の肌に当接される表面シートを具備している。本出願人は先に、前記表面シートとして、第1不織布及び第2不織布を備え、これら2枚の不織布が部分的に熱融着されて接合した融着部に貫通孔が形成された、シートを開示した(特許文献1及び2)。
特開2015-142721号公報 特開2018-088997号公報
表面シートに複数の貫通孔を設けることは、尿や軟便等の透過性を高める点で有効である。しかしながら、貫通孔を介して、尿や軟便等の排泄物が表面シートの非肌対向面側に移行したとしても、該貫通孔直下に残った排泄物や、貫通孔を介して表面シートの肌対向面側に戻った排泄物が、吸収性物品の着用者の肌に接触することがあり、該排泄物で肌が汚染されることがあった。一方、斯かる問題を解決するために貫通孔を小さくすると、排泄物の透過性を損なう虞がある。特許文献1及び2に記載の表面シートは、排泄物の透過性を維持しつつ、排泄物の肌への接触を抑制する点で改善の余地があった。
したがって本発明は、排泄物の透過性を維持しつつ、肌への接触を抑制し得る吸収性物品用表面シート及びこれを備えた吸収性物品を提供することに関する。
本発明は、繊維材料からなり、複数の貫通孔を有する吸収性物品用表面シートに関する。
前記吸収性物品用表面シートは、前記貫通孔の開口端の一部に、繊維材料がフィルム化してなる弁膜体を備えており、
前記弁膜体は、前記貫通孔の開口端の一部を軸に回動可能であることが好ましい。
また本発明は、吸収性物品用表面シートを備えた吸収性物品に関する。
前記吸収性物品は、前記吸収性物品用表面シートの非肌対向面側に配され、複数の凹部及び凸部を有する繊維シートを備えていることが好ましい。
前記吸収性物品は、前記吸収性物品用表面シートの前記貫通孔及び前記弁膜体が、前記繊維シートにおける前記凹部と少なくとも部分的に重なっていることが好ましい。
本発明の吸収性物品用表面シート及びこれを備えた吸収性物品によれば、排泄物の透過性を維持しつつ、肌への接触を抑制することができる。
図1は、本発明の吸収性物品用表面シートの一実施形態を示す図であって、該シートを第1シート側から視た拡大平面図である。 図2は、図1に示す表面シートのY方向に沿う端面図である。 図3は、図1に示す貫通孔の拡大平面図である。 図4は、図1に示す弁膜体の作用効果を説明するための斜視図である。 図5は、図2に示す凸部及び弁膜体の拡大端面図である。 図6は、本発明に係る貫通孔のバリエーションを示す、該貫通孔の拡大平面図である。 図7は、本発明の吸収性物品の一実施形態である展開型使い捨ておむつの展開且つ伸長状態における肌対向面側(表面シート側)を模式的に示す展開平面図である。 図8は、図7のII-II線断面を模式的に示す横断面図である。 図9は、図8に示す表面シート及びサブレイヤーの拡大端面図である。 図10は、表面シートの製造装置の一実施形態を示す概略図である。 図11は、図10に示す凹凸ロール(第1ロール)の要部を拡大して示す斜視図である。 図12は、図10に示す超音波融着機の要部を第2シートの搬送方向上流側から視た状態を示す正面図である。 図13は、図10に示す製造装置の要部(超音波ホーンの先端部及びその近傍)を示す図である。 図14は、図13に示す超音波ホーンの先端部の、凹凸ロールの回転軸に直交する方向(MD)に沿う断面を拡大して模式的に示した拡大断面図である。 図15は、図13に示す超音波ホーンの振動印加面(先端面)の平面図である。 図16は、本発明に係る超音波ホーンの他の実施形態を示す図14相当図である。 図17は、本発明に係る超音波ホーンのさらに他の実施形態の図14相当図である。 図18は、本発明に係る超音波ホーンのさらに他の実施形態の図14相当図である。 図19(a)は、本発明に係る超音波ホーンのさらに他の実施形態の図14相当図、図19(b)は、図19(a)に示す凹凸部及びその近傍を拡大して模式的に示した図である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。図面は基本的に模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合がある。
図1及び図2には、本実施形態の吸収性物品用表面シート(以下、単に「表面シート10」という)が示されている。本実施形態の表面シート10は、繊維材料からなる繊維シートであり、該シートを貫通する貫通孔6を有している。
表面シート10は、繊維材料からなる第1シート1及び第2シート2が積層した積層構造を有している。これら第1シート1及び第2シート2は、互いに融着した融着部(図示せず)を介して接合されている。
第1シート1及び第2シート2は、繊維材料からなる繊維シートで構成されている。繊維シートとしては、例えば不織布、織布及び編み地等を用いることができる。肌触り等の観点から、不織布を用いることが好ましい。第1シート1と第2シート2を構成する繊維シートの種類は同じでもよく、あるいは異なっていてもよい。
不織布としては、例えば、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、メルトブローン不織布、レジンボンド不織布、ニードルパンチ不織布などが挙げられる。これらの不織布を2種以上組み合わせた積層体を用いることもできる。
第1シート1及び第2シート2の各坪量は、好ましくは10g/m以上、より好ましくは15g/m以上であり、また好ましくは40g/m以下、より好ましくは35g/m以下であり、また好ましくは10g/m以上40g/m以下、より好ましくは15g/m以上35g/m以下である。
不織布を構成する繊維としては、各種の熱可塑性樹脂からなる繊維を用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブデン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸アルキルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等が挙げられる。これらの樹脂は1種を単独で又は2種以上のブレンド物として用いることができる。また、芯鞘型やサイド・バイ・サイド型などの複合繊維の形態で用いることができる。
本実施形態の表面シート10は、図1に示すように、貫通孔6に隣接した部位に、表面シート10の一方の面側に突出する凸部5を複数有している。具体的には、第1シート1における貫通孔6以外の部分の少なくとも一部が、第2シート2側とは反対側に突出した凸部5を複数形成している。
凸部5及び貫通孔6それぞれは、表面シート10の面と平行な一方向であるX方向に、交互に且つ一列をなすように配置されており、そのような列が、表面シート10の面と平行で且つ前記一方向に直交する方向であるY方向に、多列に形成されている。互いに隣接する列における凸部5及び貫通孔6は、それぞれ、X方向にずれて配置されており、より具体的には、半ピッチずれて配置されている。
本実施形態の表面シート10において、Y方向は、製造時における流れ方向(機械方向、以下「MD」ともいう。)と平行な方向であり、後述する吸収性物品における横方向Q方向は、製造時におけるMDに直交する方向(以下、「CD」ともいう。)と平行な方向である。また、後述する凹凸ロール31(第1ロール)及び凹凸ロール32(第2ロール)それぞれの回転軸は、CDに平行で、MDに直交している。
本実施形態の表面シート10は、第1シート1側の面に、X方向及びY方向の両方向において凸部5に挟まれた多数の凹部3を有しており、個々の凹部3の底部に、貫通孔6が形成されている。
表面シート10は、全体として見ると、第1シート1側の面に、前記の凹部3と前記の凸部5とからなる起伏の大きな凹凸を有し、第2シート2側の面は、平坦であるか、又は第1シート1側の面に対して相対的に起伏が小さい略平坦面となっている。
本実施形態の表面シート10は、平面視において凸部5及び貫通孔6それぞれが、Y方向に長い平面視形状を有している(図1参照)。
個々の貫通孔6は、Y方向に長い、略長方形形状の平面視形状を有している。表面シート10は、貫通孔6の開口端の一部で沿って、該開口端の外側に第1シート1及び第2シート2が互いに融着した融着部を有している(図示せず)。斯かる融着部では、第1シート1及び第2シート2の少なくとも一方における構成繊維の熱融着性樹脂が溶融固化しており、これによって第1シート1と第2シート2とが接合されている。
表面シート10は、平面視において貫通孔6の開口端の一部に弁膜体20を備えている。弁膜体20は、貫通孔6の開口端全周に連続して形成されたものではなく、貫通孔6の開口端の一部に形成されている。本実施形態の貫通孔6では、図3に示すように、貫通孔6の長手方向(Y方向)の両側それぞれに位置する一対の弁膜体20a,20bを有している。
弁膜体20は、貫通孔6の開口端の一部において第1シート1及び第2シート2と連結しており、その連結した部分(貫通孔6の開口端の一部)を基端に、平面視において貫通孔6の内方側に向かって延出している(図3参照)。
弁膜体20は、第1シート1及び第2シート2を構成する熱融着性樹脂が溶融固化したフィルム状の部分となっている。すなわち、弁膜体20においては、第1シート1及び第2シート2を構成する繊維材料が目視において繊維形態を維持しておらず、外観上フィルム化している。
弁膜体20は、蝶番動作(ヒンジ動作)が可能である。具体的には、弁膜体20は、表面シート10において貫通孔6の開口端の一部を軸に表面シート10の厚み方向Zに回動可能である。弁膜体20は、前述したように第1シート1及び第2シート2の構成繊維が溶融固化したフィルム化した部分であるので、フィルム化した部分と非フィルム化した部分(繊維形態が維持された構成繊維が存在する部分)との境界が、弁膜体20が位置する「開口端の一部」である。弁膜体20は、その基端側端縁が、貫通孔6の開口端の一部を形成しており、該開口端の一部において第1シート1及び第2シート2と連結している。斯かる基端側端縁を以下、単に「基端縁部21」ともいう。基端縁部21は、貫通孔6の開口端の一部に位置している。
弁膜体20は、例えば、肌対向面側から弁膜体20に荷重がかかった場合に、貫通孔6の開口端の一部を軸として弁膜体20が非肌対向面側に回動する。また、弁膜体20にかかる荷重が解除された場合、非肌対向面側に回動した弁膜体20が、貫通孔6の開口端の一部を軸として肌対向面側に回動し、元の位置に戻る。
表面シート10は、使い捨ておむつ等の吸収性物品において、主たる吸液部位である吸収体の肌対向面側に配される。表面シート10は、吸収性物品の着用状態において着用者の肌と当接される。
本明細書において、「肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材(例えば吸収体)における、吸収性物品の着用時に着用者の肌側に向けられる面、すなわち相対的に着用者の肌から近い側であり、「非肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の着用時に肌側とは反対側(着衣側)に向けられる面、すなわち相対的に着用者の肌から遠い側である。なお、ここでいう「着用時」は、通常の適正な着用位置が維持された状態を意味し、吸収性物品が適正な着用位置からずれた状態にある場合は含まない。
本実施形態の表面シート10を具備する吸収性物品では、尿や軟便が排泄された場合、これら排泄物が表面シート10における貫通孔6を介して、該表面シート10の非肌対向面側に移行する。この表面シート10において、蝶番動作の可能な弁膜体20に排泄物eが到達すると、弁膜体20に排泄物eの重みが加わる。また、着用者の姿勢が変わったときは体圧によって排泄物eの重み以上の外力が弁膜体20に加わる。この排泄物eの重みや体圧(外力)によって、弁膜体20が表面シート10の非肌対向面側に回動して、排泄物eを表面シート10の非肌対向面側に円滑に移行させる(図4参照)。また、排泄物eが表面シート10の非肌対向面側に移行すると、弁膜体20が元の位置に回動して、非肌対向面側の排泄物eと肌との間に介在した状態となり、該排泄物eの肌への接触を抑制できる(図4参照)。さらに、着用者の体圧等によって表面シート10が厚み方向Zに圧縮されても、弁膜体20が介在することで、排泄物eが表面シート10の肌対向面側に戻ることを抑制できる。このように、弁膜体20は、肌対向面側から非肌対向面側へ排泄物eを移行させる逆止弁として機能するので、表面シート10は、排泄物の透過性を維持しつつ、排泄物の肌への接触を抑制できる。
表面シート10における弁膜体20は、電子顕微鏡(例えば、日本電子株式会社製、型番:JCM-6000Plus)又はマイクロスコープ(例えば、株式会社キーエンス製、型番:VHX-1000)を用いて、表面シート10の何れか一方の面側から貫通孔6を観察することによって確認できる。表面シート10がどちらか一方の面側に突出する凸部5を有している場合、該凸部5が突出した側とは反対側から貫通孔6を観察する。観察は倍率60倍で行う。弁膜体20は、貫通孔6の開口端の一部に形成されたフィルム状の蝶番動作が可能な領域であって、面積が1mm以上である領域である。
弁膜体20の回動をより容易にし、排泄物eの非肌対向面側への移行をより円滑化する観点から、肌対向面側から弁膜体20に部分的に荷重がかかった場合、貫通孔6の開口端の一部を軸として、該弁膜体20全体が回動可能であることが好ましい。弁膜体20が斯かる構成を具備する場合、例えば、基端縁部21の全長を二等分し且つ弁膜体20の延出方向(Y方向)に延びる仮想線を仮定したとき、該仮想線上のいずれの位置で荷重をかけても、前記開口端の一部を軸として弁膜体20全体が回動する。このように、弁膜体20にかかる荷重が部分的であっても、弁膜体20全体が回動可能であることが好ましい。
本実施形態の表面シート10は、貫通孔6に隣接した部位に凸部5を有しており、弁膜体20が凸部5の底部から貫通孔6の内方側に向かって延出している(図4及び図5参照)。斯かる構成により、排泄物が、凸部5を伝って弁膜体20に到達し易くなるので、排泄物の肌への接触をより効果的に抑制できる。本実施形態において凸部5の底部は、第2シート2が形成しており、該第2シート2の非肌対向面と弁膜体20の非肌対向面とが平面方向に連続している。
弁膜体20は、図3に示すように、基端縁部21の反対側に位置する自由端縁部22、及び該基端縁部21と該自由端縁部22との間に位置する一対の側縁部23,23を有している。弁膜体20が蝶番動作をする際は、自由端縁部22が肌対向面側又は非肌対向面側を向くように、貫通孔6の開口端の一部を軸として回動する。
弁膜体20の蝶番動作をより円滑化する観点から、一対の側縁部23,23それぞれと、貫通孔6の開口端とが連結していないことが好ましい。換言すると、一対の側縁部23,23それぞれと、貫通孔6の開口端とが連続していないことが好ましい。本実施形態における一対の側縁部23,23それぞれは、貫通孔6の開口端であって該側縁部23と対向した部分と連結されていない(図3参照)。斯かる構成により、側縁部23,23において弁膜体20の動きが拘束されないので、肌対向面側又は非肌対向面側に荷重がかかった場合に、該弁膜体20は、貫通孔6の開口端の一部を軸とした回動がより容易になる。
側縁部23,23は、弁膜体20の平面視において、基端縁部21の両端と連結した端縁であり、該基端縁部21に対して60度以上の角度を有する端縁である。自由端縁部22は、その蝶番動作において、弁膜体20の先端を形成する端縁であり、基端縁部21に対する角度が60度未満の角度を有する端縁である。
排泄物の透過性及び弁膜体20による逆止弁の機能をより両立させる観点から、弁膜体20の寸法は以下の範囲内であることが好ましい。
弁膜体20の面積は、貫通孔6の面積に対して好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上であり、また好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下であり、また好ましくは5%以上50%以下、より好ましくは10%以上40%以下である。
貫通孔6の面積は、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上であり、また好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下であり、また好ましくは1mm以上10mm以下、より好ましくは2mm以上8mm以下である。
弁膜体20の面積は、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上であり、また好ましくは5mm以下、より好ましくは2.5mm以下であり、また好ましくは0.5mm以上5mm以下、より好ましくは1mm以上2.5mm以下である。
貫通孔6の面積は、貫通孔6から弁膜体20を除去して、貫通孔6のみとした場合の開口面積である。弁膜体20の面積は、1個当たりの弁膜体20の面積である。これら面積は、表面シート10の任意の箇所から切り出した測定片(100mm四方)における、任意に選択された10個の貫通孔6の面積の平均値、又は任意に選択された10個の弁膜体20の面積の平均値として求められる。
弁膜体20の延出方向(Y方向)における最大長さL(図3参照)は、基端縁部21の長さに対して(L/W1)、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上であり、また好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下であり、また好ましくは10%以上50%以下、より好ましくは20%以上40%以下である。
弁膜体20の延出方向(Y方向)における最大長さL(図3参照)は、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上であり、また好ましくは5mm以下、より好ましくは4mm以下であり、また好ましくは1mm以上5mm以下、より好ましくは2mm以上4mm以下である。
基端縁部21の長さW1(図3参照)は、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上であり、また好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下であり、また好ましくは1mm以上10mm以下、より好ましくは2mm以上5mm以下である。
貫通孔6の長手方向の長さL6は、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上であり、また好ましくは15mm以下、より好ましくは10mm以下であり、また好ましくは1mm以上15mm以下、より好ましくは2mm以上10mm以下である。
貫通孔6の長手方向と直交する方向の長さW6は、好ましくは1.5mm以上、より好ましくは2.5mm以上であり、また好ましくは11mm以下、より好ましくは6mm以下であり、また好ましくは1.5mm以上11mm以下、より好ましくは2.5mm以上6mm以下である。
本実施形態の表面シート10は、図3に示すように、貫通孔6の長手方向(Y方向)の両側に対向配置された一対の弁膜体20a,20bを有している。これら一対の弁膜体20a,20bは、互いに形状が異なっている。具体的には、一方の弁膜体20aは、自由端縁部22が貫通孔6の内方側に向かって凸状に湾曲した曲線状であるのに対し、他方の弁膜体20bは、自由端縁部22がジグザグ状の波形状となっている。
蝶番動作をより円滑化して、弁膜体20による逆止弁の機能をより向上させる観点から、平面視において自由端縁部22は波形状を有していることが好ましい。斯かる形態は、自由端縁部22を形成する輪郭線の位置が、基端縁部21に近づく側と基端縁部21から遠ざかる側とに交互に変化する凹凸形状をなしている。
上記と同様の観点から、自由端縁部22の蛇行長さL2(図示せず)及び基端縁部21の長さW1は、以下の範囲内であることが好ましい。
基端縁部21の長さW1に対する自由端縁部22の蛇行長さL2の比率(L2/W1)は、好ましくは1超、より好ましくは2以上であり、また好ましくは10未満、より好ましくは5以下であり、また好ましくは1超10未満、より好ましくは2以上5以下である。
自由端縁部22の蛇行長さL2は、例えば、平面視における弁膜体20の電子顕微鏡画像に対し、画像処理を行うことで測定される。斯かる画像処理には、ソフト名「キーエンスVHX-1000」にデフォルトで実装された多点間距離の測長メニューが用いられる。例えば、電子顕微鏡画像(倍率:60倍)において、自由端縁部22をなぞる操作を行うことにより、該自由端縁部22の蛇行長さL2を測定できる。
平面視において自由端縁部22が波形状を有している場合、弁膜体20bは、自由端縁部22を形成する輪郭線が凹凸形状をなしている。斯かる自由端縁部22を有する弁膜体20bを基端縁部21の長さ方向(X方向)に沿って視たとき、凹部及び凸部が交互に並んで波形状を形成している。この弁膜体20bにおける凸部の頂点は、好ましくは2個以上20個以下、より好ましくは5個以上10個以下である。凸部の頂点の個数がこのような範囲内であると、個々の凸部が1つの弁として機能するので、弁膜体20bの逆止弁の機能をより向上できる。一方、凸部の頂点の個数が多過ぎると、自由端縁部22の凹凸が細か過ぎてしまうので、弁膜体20における個々の凸部が1つの弁として機能し難くなる。
波形状の自由端縁部22を有する弁膜体20bにおける凸部の頂点の個数は、以下の方法により求める。先ず、弁膜体20bにおける個々の凸部について、該凸部の突出の程度Laを下記式より求める。
La={(L10-L11)+(L10-L12)}/2
L10:凸部の頂点と基端縁部21との離間距離
L11:凸部に隣り合う一方の凹部の底部と基端縁部21との離間距離
L12:凸部に隣り合う他方の凹部の底部と基端縁部21との離間距離
次いで、凸部の突出の程度Laが、貫通孔6の長手方向の長さL6に対して5%超である凸部の個数をカウントする。また、基端縁部21の長さ方向に沿って視たとき、当該方向の両端に位置する凸部の個数も含めてカウントする。このようにカウントした凸部の個数の総和を「凸部の頂点の個数」とする。
前記の離間距離L10,L11,L12(図3参照)は、例えば、平面視における弁膜体20の電子顕微鏡画像に対し、前述した画像処理(多点間距離の測長メニュー)を行うことで測定される。例えば、電子顕微鏡画像(倍率:60倍)において、自由端縁部22の凹凸形状をなす凸部の頂点と基端縁部21とを選択する操作を行うことにより、凸部の頂点と基端縁部21との離間距離を測定できる。
弁膜体20は、厚みが一定であってもよく、位置によって厚みが変化していてもよい。
弁膜体20の強度をより確実に得る観点から、弁膜体20の最小厚みt1(図5参照)は、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上であり、また好ましくは1mm以下、より好ましくは500μm以下であり、また好ましくは10μm以上1mm以下、より好ましくは20μm以上500μm以下である。
非肌対向面側への蝶番動作をより円滑化させて、排泄物の透過性をより向上させるとともに、排泄物の肌への接触をより抑制する観点から、弁膜体20は、基端縁部21側に他の部分よりも厚みの大きい肉厚部25を有していることが好ましい(図5参照)。「基端縁部21側」は、弁膜体20の延出方向の全長を二等分して二領域に区分したときの基端縁部21側の領域であり、好ましくは弁膜体20の延出方向の全長を三等分して三領域に区分したとき、最も基端縁部21に近い領域である。弁膜体20は、基端縁部21と隣接した位置に肉厚部25を有していることがさらに好ましい。
基端縁部21側に肉厚部25を有する形態としては、弁膜体20の延出方向における断面において、自由端縁部22から基端縁部21に向かって厚みが漸次増加する形態や、基端縁部21側の一端部に局所的に厚みが大きくなった部分を有する形態等が挙げられる。
上記と同様の観点から、肉厚部25の最大厚みt2(図5参照)は以下の範囲内であることが好ましい。肉厚部25の最大厚みは、弁膜体20の最大厚みに相当する。
弁膜体20の最小厚みt1(図5参照)は、肉厚部25の最大厚みt2(図5参照)に対して(t1/t2)、好ましくは0.5%以上、より好ましくは1%以上であり、また好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下であり、また好ましくは0.5%以上10%以下、より好ましくは1%以上5%以下である。
肉厚部25の最大厚みt2(図5参照)は、好ましくは20μm以上、より好ましくは200μm以上であり、また好ましくは1.1mm以下、より好ましくは600μm以下であり、また好ましくは20μm以上1.1mm以下、より好ましくは200μm以上600μm以下である。
弁膜体20の最小厚みt1及び肉厚部25の厚みt2は、以下の方法により測定する。まず、弁膜体20の延出方向に沿って、すなわち基端縁部21から自由端縁部22に向かう方向に沿って、剃刀刃等を用いて貫通孔6及び弁膜体20ごと表面シート10を切断する。表面シート10を切断する際には、その切断によって生じた切断線が、凸部5の頂点を通って一方向(例えばY方向)に延びるようにする。切断の際に剃刀刃の圧によって凹凸構造等が著しく変形する場合は、表面シート10を液体窒素に浸漬させたのち速やかに切断する。次いで、切断面を電子顕微鏡(倍率200倍)で観察して、弁膜体20の最小厚み及び肉厚部25の厚みを測定する。斯かる測定を10個の弁膜体20について行い、その平均値を弁膜体20の最小厚み及び肉厚部25の厚みとする。
本実施形態の表面シート10は、前述したように、Y方向に長い貫通孔6に、互いに形状が異なる弁膜体20a,20bを有している。貫通孔6及び弁膜体20の形態はこれに限られない。図6(a)~(j)には、貫通孔6及び弁膜体20のバリエーションが示されている。
図6(a)~(e)に示す貫通孔6は、Y方向に長い長方形状を有している。図6(f)~(h)に示す貫通孔6は、X方向又はY方向に長い楕円形状を有している。図6(i)及び(j)に示す貫通孔6は、菱形形状を有している。
図6(a)、(c)、(f)、及び(i)に示す形態では、1個の貫通孔6に単数の弁膜体20を有している。図6(b)、(d)、(e)、(g)、(h)及び(j)に示す形態では、1個の貫通孔6に2個以上の複数の弁膜体20を有している。
図6(b)、(d)、(e)、(g)及び(h)に示す形態において、複数の弁膜体20は同形状である。一方、図6(j)に示す形態において、複数の弁膜体20は異なる形状を有している。
図6(b)、(g)、(h)及び(j)に示す形態では、貫通孔6の長手方向(Y方向又はX方向)の両側に一対の弁膜体20が対向配置されている。図6(d)及び(e)に示す形態では、貫通孔6の長手方向に直交する方向(X方向)の両側に一対の弁膜体20が対向配置されている。
図6(a)及び(e)に示す形態では、弁膜体20における自由端縁部22が波線形状を有している。一方、図6(b)、(c)、(f)、(g)及び(h)に示す形態では、弁膜体20における自由端縁部22が、基端縁部21に沿った直線形状又は基端縁部21から離れる方向に突出するように湾曲した曲線形状を有している。
弁膜体20は、表面シート10における全ての貫通孔6に形成されていてもよく、一部の貫通孔6に形成されていてもよい。
表面シート10における排泄物の透過性をより向上させ、且つ排泄物の肌への接触をより抑制する観点から、表面シート10において弁膜体20が形成された貫通孔6の単位面積(平面視で10mm四方の正方形領域の面積)当たりの数は、該単位面積当たりの貫通孔6の全個数のうち、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上であり、全貫通孔6に弁膜体20が形成されていることがさらに好ましい。
上記と同様の観点から、表面シート10において、弁膜体20が形成された貫通孔6の単位面積(平面視で10mm四方の正方形領域の面積)当たりの数は、好ましくは1個以上、より好ましくは4個以上、そして、好ましくは20個以下、より好ましくは15個以下である。
肌触りやクッション性の観点から、本実施形態の表面シート10は、以下の構成を有することが好ましい。
凸部5の高さH(図5参照)は、好ましくは1mm以上、より好ましくは3mm以上であり、また好ましくは10mm以下、より好ましくは6mm以下であり、また好ましくは1mm以上10mm以下、より好ましくは3mm以上6mm以下である。
表面シート10の単位面積(1cm)当たりの凸部5の数は、好ましくは1個以上、より好ましくは6個以上であり、また好ましくは20個以下、より好ましくは15個以下であり、また好ましくは1個以上20個以下、より好ましくは6個以上15個以下である。
凸部5の底部面積は、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは2mm以上であり、また好ましくは50mm以下、より好ましくは20mm以下であり、また好ましくは0.5mm以上50mm以下、より好ましくは2mm以上20mm以下である。
本実施形態の表面シート10は、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド等の吸収性物品が具備する表面シートとして好ましく用いられる。特に、表面シート10は、第1シート1が、着用者の肌側に向けられる面(肌対向面)を形成し、第2シート2が、着用時に吸収体側に向けられる面(非肌対向面)を形成することが好ましい。
以下、本発明の吸収性物品用表面シートを具備する吸収性物品について、その好ましい実施形態に基づき説明する。図7及び図8には、本発明の吸収性物品の一実施形態である展開型使い捨ておむつ11が示されている。おむつ11は、上述した実施形態の表面シート10を具備するものである。おむつ11は、着用者の前後方向に対応する縦方向P及びこれに直交する横方向Qを有し、液保持性の吸収体14と、吸収体14よりも着用者の肌から近い側に配された表面シート10とを具備する。
おむつ11は、図7に示すように、着用者の股間部に配される股下部B並びにその前後に延在する腹側部A及び背側部Cを有する。腹側部A、股下部B及び背側部Cは、おむつ11を縦方向Pに三等分した場合の各領域に相当し得る。股下部Bは、おむつ11の着用時に着用者のペニス、肛門等の排泄部に対向配置される排泄部対向部を有しており、該排泄部対向部は通常、おむつ11の縦方向Pの中央部又はその近傍に位置している。
おむつ11においては、図8に示すように、着用者の肌に近い順に、表面シート10と、液透過性のサブレイヤー15と、液保持性の吸収体14とが、この順で積層されている。より具体的には、おむつ11は、吸収体14と、吸収体14の肌対向面側に配され、吸収体14よりも着用者の肌から近い位置で吸収体14と重なる表面シート10と、吸収体14の非肌対向面側に配され、吸収体14よりも着用者の肌から遠い位置で吸収体14と重なる裏面シート13と、表面シート10と吸収体14との間に介在配置されたサブレイヤー15とを具備する。
表面シート10及び裏面シート13は、それぞれ、両シート10,13間に介在配置されたサブレイヤー15及び吸収体14よりも大きな寸法を有し、図7に示す如き展開且つ伸長状態のおむつ11の外形を形成している。
吸収体14は、縦方向Pに長い形状を有し、腹側部Aから背側部Cにかけて延在している。吸収体14は、液保持性の吸収性コア140と、該吸収性コア140の外面を被覆するコアラップシート141とを含んで構成されている。吸収性コア140は、典型的には、木材パルプ等の親水性繊維を主体とする繊維集合体からなり、さらに、該繊維集合体に吸水性ポリマー粒子を担持させたものであり得る。コアラップシート141は、典型的には、紙、不織布等からなる。
裏面シート13としては、この種の吸収性物品に従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができ、樹脂製フィルム、樹脂製フィルムと不織布等とのラミネート等を用いることができる。
本実施形態のおむつ11は、表面シート10の非肌対向面側に配された繊維シートとして、サブレイヤー15を備えている。サブレイヤー15は、表面シート10から吸収体14への液の透過性の向上、吸収体14に吸収された液の表面シート10への液戻りの低減などの役割を担うもので、吸収体14の肌対向面の略全域を被覆している。
表面シート10、サブレイヤー15、吸収体14(吸収性コア140、コアラップシート141)及び裏面シート13どうしは、互いに接着剤等の公知の接合手段により接合されている。
本実施形態のサブレイヤー15は、複数の凹部151及び凸部152を有している。具体的には、サブレイヤー15は、肌対向面側に突出し且つ内部が中空である複数の凸部152と、該複数の凸物152間に位置する凹部151とを有している。このサブレイヤー15の非肌対向面は、肌対向面の凹凸形状に対応する凹凸形状となっている。
サブレイヤー15における複数の凹部151及び凸部152は、縦方向P及び横方向Qに沿って交互に連続して配されている。サブレイヤー15は、肌対向面側に突出し内部空間を有する複数の凸部152と、複数の該凸部152の間に位置する凹部151とを有し、さらに非肌対向面側に突出し内部空間を有する複数の非肌側凸部153と、複数の該非肌側凸部153の間に位置する非肌側凹部154とを有している。サブレイヤー15における凸部152及び凹部151によって形成される肌対向面側の凹凸形状は、該サブレイヤー15における非肌側凸部153及び非肌側凹部154によって形成される非肌対向面側の凹凸形状に対応している。斯かる構成を具備するサブレイヤー15として、例えば特開2019-97678号公報に記載の中間シート等を用いることができる。
排泄物の吸収体14への移行性をより向上させる観点から、表面シート10の貫通孔6及び弁膜体20が、サブレイヤー15における凹部151と少なくとも部分的に重なっていることが好ましい(図9参照)。これにより、貫通孔6を通過した排泄物は、サブレイヤー15における凹部151に入り込み易くなる。
上記の効果をより向上させる観点から、サブレイヤー15における凹部151の深さは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上であり、また好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下であり、また好ましくは0.5mm以上5mm以下、より好ましくは1mm以上3mm以下である。凹部151の深さは、サブレイヤー15の厚み方向の断面を顕微鏡観察し、無荷重下にて測定する。
サブレイヤー15としては、親水性且つ液透過性のシートを用いることができ、具体的には、紙、織布、不織布を例示できるが、強度が比較的強く柔軟性にも優れる点で不織布が特に好ましい。また、本実施形態のサブレイヤー15は、単層構造であるが、これに代えてサブレイヤー15は、複数の層が積層されてなる多層構造であってもよい。また、サブレイヤー15における凹凸形状は、例えば、円錐、円錐台、角錐、角錐台、斜円錐等の錐体形状等を採用することができる。凹凸形状を有するサブレイヤー15は、例えば、原料不織布(例えば、エアスルー不織布)を多数の突起を有する支持体上に配置した後、その支持体上の原料不織布等に温風を吹きつけて凹凸賦形することにより製造することができる。斯かるサブレイヤー15の製造方法としては、特開2013-133574号公報、特開2012-149370号公報、特開2012-149371号公報等に記載の方法が挙げられる。
おむつ11は、図7及び図8に示すように、吸収体14の横方向Qの両端部に沿って配され、おむつ11の着用時に少なくとも股下部Bにおいて着用者の肌に向かって起立する一対の防漏カフ16,16を具備する。各防漏カフ16は、液抵抗性又は撥水性で且つ通気性の防漏シート160を含み、該防漏シート160は、横方向Qの一端側が他の部材(例えば表面シートや裏面シート)に固定されて固定端部とされ、横方向Qの他端側が他の部材に非固定の自由端部とされている。防漏シート160の前記自由端部には、防漏カフ形成用弾性部材161が、縦方向Pに伸長状態で固定されることで同方向に伸縮可能に配置されている。おむつ11の着用時には、弾性部材161の収縮力により、少なくとも股下部Bにおいて、防漏シート160の前記自由端部側が、前記固定端部を起立基端として着用者側に起立することで一対の防漏カフ16,16が起立し、これにより尿等の排泄物の横方向Q外方への流出が阻止される。防漏シート160としては、この種の吸収性物品において防漏カフの素材として用いられているものを特に制限なく用いることができ、液抵抗性又は撥水性で且つ通気性を有するものが好ましく、例えば、単層又は多層の撥水性不織布、樹脂製フィルムと不織布等とのラミネート材等を用いることができる。
図7に示すように、着用者の脚周りに配される左右のレッグ部における防漏シート160と裏面シート13との間には、糸状の弾性部材17が縦方向Pに沿って伸長状態で固定されており、これにより、おむつ11の着用時におけるレッグ部には、弾性部材17の収縮により一対のレッグギャザーが形成される。表面シート10、サブレイヤー15、裏面シート13、吸収体14、防漏シート160及び弾性部材161は、ホットメルト型接着剤等の公知の接合手段により互いに接合されている。
図7に示すように、おむつ11の背側部Cの縦方向Pに沿う両側縁部には、一対のファスニングテープ18,18が設けられている。ファスニングテープ18には、機械的面ファスナーのオス部材からなる止着部が取り付けられている。また、おむつ11の腹側部Aの非肌対向面には、機械的面ファスナーのメス部材からなる被止着領域19が形成されている。被止着領域19は、腹側部Aの非肌対向面を形成する裏面シート13の非肌対向面に、機械的面ファスナーのメス部材を公知の接合手段、例えば接着剤やヒートシール等で接合固定して形成されており、ファスニングテープ18の前記止着部を着脱自在に止着可能になされている。
次に、本発明の吸収性物品用表面シートの製造方法について、上述した実施形態の表面シート10の製造方法を例に説明する。図10には、本発明の吸収性物品用表面シートの製造装置の一実施形態である製造装置100が示されている。製造装置100は、凹凸賦形部30と超音波処理部40とを具備する。
凹凸賦形部30は、周面部に凹凸を有する凹凸ロール31を備える。凹凸賦形部30では、回転中の凹凸ロール31の周面部に第1シート1を追従させることで、第1シート1を該周面部の凹凸の形状に沿った凹凸形状に変形させる。
凹凸賦形部30は、凹凸ロール31に加えてさらに、該凹凸ロール31の凹凸と噛み合う凹凸を周面部に有する、他の凹凸ロール32を備える。
以下、凹凸ロール31を「第1ロール」、凹凸ロール32を「第2ロール」ともいう。
図10に示す凹凸賦形部30では、これら両ロール31,32を用い、両ロール31,32の凹凸どうしの噛み合い部33が形成されるように両ロール31,32を回転させ、噛み合い部33に第1シート1を導入することで、第1シート1を、凹凸ロール31の周面部の凹凸の形状に沿った凹凸形状に変形させる。
図11には、凹凸ロール31(第1ロール)の周面部の一部が示されている。
凹凸ロール31は、所定の歯幅を有する平歯車31a,31b,・・を複数枚組み合わせてロール状に形成したものである。各歯車の歯が、凹凸ロール31の周面部における凹凸形状の凸部35を形成しており、該凸部35の先端面35cが、後述する超音波融着機41の超音波ホーン42の先端面である振動印加面42tとの間で、融着対象である第1及び第2シート1,2を加圧する加圧面となっている。
凹凸ロール31を構成する各歯車の歯幅(歯車の軸方向の長さ)は、表面シート10の凸部5におけるX方向の寸法を決定し、各歯車の歯の長さ(歯車の回転方向の長さ)は、表面シート10の凸部5におけるY方向の寸法を決定する。
隣り合う歯車は、その歯のピッチが半ピッチずつずれるように組み合わされている。その結果、凹凸ロール31は、その周面部が凹凸形状となっている。
図示の形態では、各凸部35の先端面35cは、凹凸ロール31の回転方向が長辺で、軸方向が短辺の矩形状となっている。
先端面35cは回転方向の方が長い形状であると、凹凸ロール31の凸部35一つにおける超音波ホーン42の先端部の振動印加面42tとの接触時間を長くして温度を上げやすくすることができるので好ましい。
凹凸ロール31における各歯車の窪みは、凹凸ロール31の周面部における凹凸の凹部を形成している。
各歯車の歯底部(窪みの底部)には、吸引孔34が形成されている。吸引孔34は、ブロワや真空ポンプなどの吸引源(図示せず)に通じ、凹凸ロール31と凹凸ロール32との噛み合い部33から、第1シート1と第2シート2との合流部までの間で吸引が行われる様に制御されている。
したがって、凹凸ロール31と凹凸ロール32との噛み合いによって凹凸形状に変形された第1シート1は、吸引孔34による吸引力によって、凹凸ロール31の周面部の凹凸に沿った形状に変形した状態に維持された状態で、第1シート1と第2シート2との合流部及び超音波融着機41による超音波振動の印加部36に搬送される。
図11に示す凹凸ロール31では、隣り合う歯車間に所定の空隙Gが設けられていることにより、第1シート1に無理な伸長力を加えたり、両ロール31,32の噛み合い部33で第1シート1を切断したりする不都合が抑制されるため、第1シート1が凹凸ロール31の周面部の形状に沿った凹凸形状に変形しやすい。
凹凸ロール32(第2ロール)は、その周面部に、凹凸ロール31の周面部の凹凸と互いに噛み合う凹凸形状を有している。凹凸ロール32は、吸引孔34を有しない以外は、凹凸ロール31と同様の構成を有している。
なお、両ロール31、32の凹凸部が互いに噛み合うことを前提として、凹凸ロール31の径と凹凸ロール32の径とは異なっていてもよい。そして、互いに噛み合う凹凸を有する両ロール31,32を回転させながら、両ロール31,32の噛み合い部33に、第1シート1を導入することにより、第1シート1を凹凸形状に変形させることができる。
噛み合い部33においては、第1シート1の複数個所が、凹凸ロール32の凸部によって凹凸ロール31の周面部の凹部に押し込まれ、その押し込まれた部分が、製造される表面シート10の凸部5となる。
凹凸ロール32の周面部には、凹凸ロール31の凹部に挿入される複数の凸部が形成されているが、凹凸ロール32に、凹凸ロール31の凹部のすべてに対応する凸部が形成されていることは必須ではない。
なお、図10に示す凹凸賦形部30は、前述したとおり、周面部に凹凸を有する凹凸ロールを2個備え、その2個の凹凸ロール31,32の凹凸どうしの噛み合い部33が形成されるように両ロール31,32を回転させ、該噛み合い部33に第1シート1を導入することで、該第1シート1を凹凸形状に変形させるようになされているが、凹凸賦形部30が備える凹凸ロールは、周面部に導入された第1シート1を吸引可能な凹凸ロール31のみでもよく、つまり、凹凸ロール32は無くてもよい。その場合、凹凸ロール31の周面部に第1シート1を導入するだけで、該周面部に配された吸引孔34(図11参照)による吸引力によって、第1シート1が該周面部の凹凸の形状に追従するように変形する。このような、凹凸ロール31の周面部での吸引による第1シート1の追従・変形は、吸引力や吸引孔34の配置などを適宜調整することで実現可能である。
超音波処理部40は、超音波ホーン42を備えた超音波融着機41を備えており、凹凸形状に変形させた状態の第1シート1上に第2シート2を重ね合わせ、それら両シート1,2を、凹凸ロール31の凸部35と超音波ホーン42の先端部の振動印加面42tとの間に挟んで超音波振動を印加することで、貫通孔6を形成するとともに、第1シート1と第2シート2とを融着させる。この際、貫通孔6の周縁部(開口部)に、第1シート1と第2シート2とが融着した融着部と、弁膜体20とを形成する。
超音波融着機41は、図10及び図12に示すように、超音波発振器(図示せず)、コンバーター43、ブースター44及び超音波ホーン42を備えている。
超音波発振器(図示せず)は、コンバーター43と電気的に接続されており、超音波発振器により発生された周波数15~50kHz程度の波長の高電圧の電気信号が、コンバーター43に入力される。
超音波発振器(図示せず)は、可動台45上又は可動台45外に設置されている。
コンバーター43は、ピエゾ圧電素子等の圧電素子を内蔵し、超音波発振器から入力された電気信号を、圧電素子により機械的振動に変換する。ブースター44は、コンバーター43から発せられた機械的振動の振幅を調整、好ましくは増幅して超音波ホーン42に伝達する。
超音波ホーン42は、アルミ合金やチタン合金などの金属の塊でできており、使用する周波数で正しく共振するように設計されている。
ブースター44から超音波ホーン42に伝達された超音波振動は、超音波ホーン42の内部においても増幅、又は減衰されて、融着対象である第1及び第2シート1,2に印加される。斯かる超音波融着機41としては、市販の超音波ホーン、コンバーター、ブースター、超音波発振器を組み合わせて用いることができる。
超音波融着機41は、可動台45上に固定されており、可動台45の位置を、凹凸ロール31の周面部に近づく方向に沿って進退させることで、超音波ホーン42の先端面である振動印加面42tと、第1ロール31の凸部35の先端面35cとの間のクリアランス、及び積層された第1及び第2シート1,2に対する加圧力を調節可能となっている。
そして、融着対象である第1及び第2シート1,2を、凹凸ロール31の凸部35の先端面35cと超音波融着機41の超音波ホーン42の先端部の振動印加面42tとの間に挟んで加圧しつつ、両シート1,2に超音波振動を印加することにより、両シート1,2における、凸部35の先端面35c上に位置する部分が発熱する。これにより、第1シート1及び/又は第2シート2が溶融、再度固化して、溶融部分が形成されるとともに、両シート1,2を貫通する貫通孔6が該溶融部分に囲まれた状態に形成される。斯かる溶融部分は、貫通孔6の開口端の一部に沿う融着部となる。また、該溶融部分の一部から、後述するせん断力によって弁膜体20が形成されると考えられる。
超音波ホーン42の先端部の振動印加面42tは、アルミ合金やチタン合金等の金属からなる超音波ホーン42の本体部420(図12参照)の先端面からなり、融着対象物より具体的には第2シート2に当接する。
製造装置100は、超音波振動を印加する前の第1シート1及び第2シート2の少なくとも一方を予熱する予熱手段51を備えている。
予熱手段51は、凹凸ロール31(第1ロール)の内部に配置され、凹凸ロール31の回転軸(CD)に平行に延びている。
また予熱手段51は、凹凸ロール31の回転軸の周囲における外周部の近傍に、周方向に間隔を設けて複数配置されている。
予熱手段51としては、加熱対象物(第1シート1、第2シート2)に外部から熱エネルギーを加えて加熱し得るものを用いることができ、例えば、電熱線を用いたカートリッジヒーターが挙げられるが、これに限られず、各種公知の加熱手段を特に制限なく用いることができる。
予熱手段51は、予熱機構50の一部である。
予熱機構50は、予熱手段51の他に、超音波振動を印加する前の融着対象物の温度を計測可能な測温手段(図示せず)と、該測温手段の測定値に基づき予熱手段51の温度を制御する温度制御部(図示せず)とを備える。
予熱手段51による凹凸ロール31の周面部の加熱温度は、前記温度制御部によって制御される。予熱機構50によって、製造装置100の運転中、超音波振動の印加部36に導入される第1シート1の温度を所定範囲に維持することができる。
製造装置100は、図13に示すように、振動印加面42tを含め超音波ホーン42を加熱するホーン加熱手段61を備えている。
ホーン加熱手段61は、振動印加面42tには配されておらず、振動印加面42tの近傍、具体的には、超音波ホーン42の先端部の側面に固定されている。
ホーン加熱手段61としては、ヒーター等の各種公知の加熱手段を特に制限なく用いることができる。
ホーン加熱手段61は、ホーン加熱機構60の一部である。
ホーン加熱機構60は、ホーン加熱手段61の他に、振動印加面42tの温度を計測可能な測温手段(図示せず)と、該測温手段の測定値に基づきホーン加熱手段61の温度を制御する温度制御部(図示せず)とを備える。
ホーン加熱手段61による振動印加面42tの加熱温度は、前記温度制御部によって制御される。ホーン加熱機構60によって、製造装置100の運転中、振動印加面42tの温度を所定範囲に維持することができる。
なお、超音波融着機41は、融着対象物に超音波振動を印加し、それにより融着対象物を発熱及び溶融させて融着させるものであり、前述した予熱手段51及びホーン加熱手段61とは明確に区別される。
製造装置100においては、超音波ホーン42の振動印加面42tに溝状凹部46が形成されている。図14には、超音波ホーン42の先端部のMDに沿う模式的な断面図、図15には、該超音波ホーン42の振動印加面42tの模式的な平面図が示されている。図14は、図13に示す超音波ホーン42の先端部の拡大断面図である。
溝状凹部46は、凹凸ロール31(第1ロール)の回転軸(CD)に沿って延びている。ここでいう「回転軸(CD)に沿って延びる」とは、溝状凹部46と凹凸ロール31の回転軸(CD)とのなす角度が45度未満である場合を意味する。図15に示す溝状凹部46は、回転軸(CD)に平行に延びており、回転軸(CD)とのなす角度はゼロである。
製造装置100においては、振動印加面42tに溝状凹部46が1本形成されている。この1本の溝状凹部46は、図15に示すように、振動印加面42tのMDに沿う長さの中央に位置し、CDに沿う長さの全長にわたって延在している。
溝状凹部46は、図14に示す如き凹凸ロール31の回転軸に直交する方向(すなわちMD)に沿う断面視において、一対の凹部側面46a,46aと凹部底面46bとから画成されている。
一対の凹部側面46a,46aは、振動印加面42tと交差しており、より具体的には、振動印加面42tに連接され且つ振動印加面42tから離れる方向に延びている。
凹部底面46bは、一対の凹部側面46a,46aそれぞれの長手方向端に連接され、溝状凹部46の開口部46dと相対向している。
図13(図14)に示す超音波ホーン42では、凹部側面46aと振動印加面42tとが交差する角部46cが先鋭であり、且つ凹部底面46bがMDに沿う断面視において、開口部46dから離れる方向に向かって凹んだ円弧状をなしている。
図13(図14)に示す形態では、凹部側面46aと振動印加面42tとのなす角度は90度である。すなわち、角部46cのなす角度は90度である。
前述の如く構成された製造装置100を用いた表面シート10の製造方法は、周面部に凹凸を有する凹凸ロール31(第1ロール)を回転させながら、該周面部に第1シート1を追従させて凹凸形状に変形させる賦形工程を有する。
また、製造装置100を用いた表面シート10の製造方法は、凹凸形状に変形させた第1シート1を、凹凸ロール31上に保持しつつ搬送し、搬送中の第1シート1に第2シート2を重ね合わせる重ね合わせ工程を有する。
また、製造装置100を用いた表面シート10の製造方法は、重ね合わせた両シート1,2を、凹凸ロール31の凸部35と超音波融着機41が備える超音波ホーン42の先端部の振動印加面42tとの間に挟んで超音波振動を印加する超音波処理工程を有する。
前記賦形工程では、2個の凹凸ロール31,32の凹凸どうしの噛み合い部33に第1シート1を導入して、第1シート1を凹凸形状に変形させる。
弁膜体20及び貫通孔6の形成をより容易にする観点から、凹凸ロール31(第1ロール)の回転軸に直交する方向に沿う断面視(MDに沿う断面視)における、凸部35の先端部の角部の角度θ35(図13参照)は、好ましくは90度以上、より好ましくは105度以上であり、また好ましくは135度未満、より好ましくは120度未満である。
そして、前記超音波処理工程では、超音波ホーンとして、前述した特定の超音波ホーン、すなわち、振動印加面42tに凹凸ロール31(第1ロール)の回転軸(CD)に沿って延びる溝状凹部46が形成されている超音波ホーン42を用いて、超音波振動を印加することにより、重ね合わされた第1シート1と第2シート2との積層物(融着対象物)に貫通孔6を形成するとともに、第1シート1と第2シート2とが融着された融着部、及び該貫通孔6に弁膜体20を形成する。
前記超音波処理工程では、図13に示すように、融着対象物(第1シート1と第2シート2との積層物)をMDに搬送しつつ、凹凸ロール31の凸部35の先端面35cと超音波ホーン42の溝状凹部46が形成された振動印加面42tとの間に挟んで超音波振動を印加する。
ここで、融着対象物を凸部35側に押圧する振動印加面42tには、図14に示すように、溝状凹部46の開口部46dを挟んでMDの前後に位置する一対の角部46c,46cが存在するため、融着対象物を押圧する際に生じる応力が角部46cに集中し、角部46cを介して融着対象物にかかるせん断力が、角部46c(溝状凹部46)が形成されていない場合に比して向上する。したがって前記超音波処理工程では、融着対象物に対して、超音波振動による融着対象物の発熱に加えてさらに、この溝状凹部46に起因する強力なせん断力が作用し、その結果、融着対象物における凸部35の先端面35cと超音波ホーン42の振動印加面42tとに挟まれた部分に、融着部、貫通孔6及び弁膜体20を同時に形成することができる。
前記超音波処理工程によれば、第1シート1及び/又は第2シート2を形成する樹脂が融点200℃を超えるような高融点のもの(例えばPET)であっても、融着部、貫通孔6及び弁膜体20を同時に行うことが可能である。
前記超音波処理工程において、振動印加面に凹凸ロールの回転軸に沿って延びる溝状凹部が形成されている超音波ホーン(図13~図15参照)を用いたことにより、貫通孔6の開口端の一部に弁膜体20が容易に形成されると考えられる。この弁膜体20の形成方法について、本発明者の考察を以下に説明する。前記超音波処理工程では、融着対象物(第1シート1と第2シート2との積層物)をMDに搬送しつつ、凹凸ロール31の凸部35の先端面35cと超音波ホーン42の溝状凹部46が形成された振動印加面42tとの間に挟んで超音波振動を印加する。これにより第1シート1及び第2シート2が溶融した溶融部分が形成される。一方、融着対象物を押圧する際に生じる応力は、溝状凹部46の開口部46dを挟んでMDの前後に位置する一対の角部46c,46cのうちMDの前方側(下流側)に位置する角部46cに集中するので、該角部46cを介して融着対象物、特に溶融部分にせん断力が作用する。このせん断力により、融着対象物におけるMDの前方側及び後方側の角部46c,46cとの接触部分が破断して、貫通孔6が形成されるとともに、前記溶融部分がMDに沿って薄く延伸されることで、該貫通孔6の開口端の一部に弁膜体20が形成されると推察される。すなわちMDに沿うせん断力によって、貫通孔6の開口端において、表面シート10の製造時の流れ方向(MD)の前方側(下流側)及び後方側(上流側)の少なくとも一方又は双方に弁膜体20が形成される。
弁膜体20をより容易に形成する観点から、前記超音波処理工程において、凹凸ロール31(第1ロール)の凸部35の先端面35cと超音波ホーン42の振動印加面42tとの間に挟んで第1及び第2シート1,2に加える加圧力は、10N/mm以上が好ましく、15N/mm以上がより好ましい。
また前記加圧力は、30N/mm以下が好ましく、25N/mm以下がより好ましい。
ここでいう「加圧力」は、いわゆる線圧であり、超音波ホーン42の加圧力(N)を超音波ホーン42と触れる凸部35の歯幅(凸部35のCDに沿う長さ)の合計(凹凸ロール31の凹部は含まない)の長さで除した値(単位長さあたりの加圧力)で示す。
上記と同様の観点から、印加する超音波振動の周波数は、15kHz以上が好ましく、20kHz以上がより好ましい。
また前記周波数は、50kHz以下が好ましく、40kHz以下がより好ましい。
また同様の観点から、印加する超音波振動の振幅は、20μm以上が好ましく、25μm以上がより好ましい。
また前記振幅は、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましい。
超音波振動の周波数、振幅の測定に際しては、レーザー変位計等で超音波ホーンの先端の変位を計測し、サンプリングレート200kHz以上、精度1μm以上にすることで、該周波数、振幅を測定する。
上記と同様の観点から、前記超音波処理工程における融着対象物(第1シート1と第2シート2との積層物)の搬送速度は、好ましくは50m/分以上、より好ましくは100m/分以上であり、また好ましくは400m/分以下、より好ましくは300m/分以下である。
本実施形態の超音波ホーン42によれば、図14に示すように、溝状凹部46の開口部46dを画成する角部46cが先鋭であるため、角部46cが先鋭ではなく丸みを帯びている場合に比して、前記超音波処理工程で融着対象物(第1シート1と第2シート2との積層物)にかかるせん断力が向上しており、このため融着部、貫通孔6及び弁膜体20の同時形成をより一層確実に行うことができる。
斯かる角部46cによる作用効果をより一層確実に奏させるようにする観点から、角部46cにおける凹部側面46aと振動印加面42tとのなす角度は、45度以上が好ましく、60度以上がより好ましい。
また前記角度は、135度以下が好ましく、120度以下がより好ましい。
一方、超音波ホーン42の振動印加面42tに溝状凹部46を形成すると、超音波ホーン42(特に本体部420)の耐久性が低下し、超音波振動時に溝状凹部46を起点として本体部420などにクラック(割れ目)が入ることが懸念される。これに対し、超音波ホーン42では、溝状凹部46を画成する凹部底面46bを、図14に示す如き超音波ホーン42のMDに沿う断面視において、開口部46dから離れる方向に向かって凹んだ円弧状とすることで、斯かる懸念が払拭されている。
斯かる凹部底面46bによる作用効果をより一層確実に奏させるようにする観点から、凹部底面46bの曲率は、1以上が好ましく、2以上がより好ましい。
また凹部底面46bの曲率は、10以下が好ましく、5以下がより好ましい。
前述した溝状凹部46による作用効果をより一層確実に奏させるようにする観点から、溝状凹部46の寸法等は以下のように設定することが好ましい。
溝状凹部46の幅W(図14及び図15参照)は、0.2mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましい。
また幅Wは、2mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましい。
振動印加面42tの幅W0(図15参照)は、5mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましい。
また幅W0は、20mm以下が好ましく、15mm以下がより好ましい。
溝状凹部46のCDに沿う長さすなわち凹凸ロール31(第1ロール)の回転軸に沿う長さL(図15参照)と、振動印加面42tの同方向に沿う長さL0(図15参照)との比率は、長さL/長さL0として、0.2以上が好ましく、0.3以上がより好ましい。
また前記比率(長さL/長さL0)は、1以下が好ましい。
図15に示す形態では、溝状凹部46は、振動印加面42tのCDの全長にわたって延びており、長さLと長さL0とが同じで前記比率は1である。
振動印加面42tのCDに沿う長さL0は、30mm以上が好ましく、50mm以上がより好ましい。
また長さL0は、200mm以下が好ましく、150mm以下がより好ましい。
溝状凹部46の深さD(図14参照。振動印加面42tから、凹部底面46bにおける振動印加面42tから最も遠い離れた部位までの長さ。)は、0.3mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましい。
また深さDは、5mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましい。
溝状凹部46は、振動印加面42tのMDの中央部に形成されることが好ましく、特に、振動印加面42tのMDの中央からMDの上流側に好ましくは5mm以内、より好ましくは3mm以内の領域に形成されることが好ましい。
図15に示す形態では、溝状凹部46は振動印加面42tのMDの中央に形成されている。
前述したように、製造装置100は予熱手段51(予熱機構50)を具備し、該製造装置100を用いた表面シート10の製造方法では、前記超音波処理工程に供される前の第1シート1及び第2シート2の少なくとも一方を予熱手段51で予熱するため、溝状凹部46による作用効果と相俟って、融着部、貫通孔6及び弁膜体20の同時形成をより一層確実に行うことができる。
予熱手段51による融着対象物の予熱の条件は特に制限されず、融着対象物の種類等に応じて適宜調整すればよいが、第1シート1及び第2シート2の少なくとも一方を、該シートの融点未満、該融点より50℃低い温度以上に加熱しておくことが好ましい。すなわち、超音波振動の印加に先立ち、以下の(1)及び(2)の何れか一方又は双方を行うことが好ましい。
(1)第1シート1を、該第1シートの融点未満、該融点より50℃低い温度以上に加熱しておく。
(2)第2シート2を、該第2シートの融点未満、該融点より50℃低い温度以上に加熱しておく。
好ましくは、第1シート1を、該第1シートの融点未満、該融点より50℃低い温度以上に加熱しておくとともに、第2シート2を、該第2シートの融点未満、該融点より50℃低い温度以上に加熱しておく。
前記(1)の方法、すなわち第1シート1を、該第1シート1の融点未満、該融点より50℃低い温度以上とする方法としては、例えば、凹凸ロール31(第1ロール)上の第1シート1の温度を、凹凸ロール31,32の噛み合い部33と、超音波融着機41による超音波振動の印加部36との間において測定し、その測定値が、前述した特定の範囲内となるように、予熱手段51の温度を制御する。
第1シート1を、特定の範囲の温度に予熱する方法としては、第1シート1が、特定の範囲の温度となるように、凹凸ロール31の周面部の温度を該凹凸ロール31内に配したヒーターにより制御する方法に代えて、多様な方法を用いることができる。
例えば、凹凸ロール31の周面部の近傍にヒーターや熱風の吹き出し口、遠赤外線の照射装置を設け、それらにより、第1シート1を沿わせる前又は後の凹凸ロール31の周面部の温度を制御する方法、噛み合い部33において第1シート1に接触する凹凸ロール32(第2ロール)を加熱し、その周面部の温度制御により第1シート1の温度を制御する方法が挙げられる。
また、凹凸ロール31に沿わせる前の第1シート1に対して、加熱されたローラーに接触させたり、高温に維持した空間を通過させたり、熱風を吹き付けたりする方法等が挙げられる。
前記(2)の方法、すなわち第2シート2を、該第2シート2の融点未満、該融点より50℃低い温度以上とする方法としては、第1シート1と合流させる前の第2シート2の温度を、第2シート2の搬送路中に配置した測温手段で計測し、その測定値が、前述した特定の範囲内となるように、第2シート2の搬送路中に配した第2シート2の加熱手段(図示せず)の温度を制御することが好ましい。
第2シート2の加熱手段は、加熱されたローラー等を接触させる等の接触方式でもよいし、高温に維持した空間を通過させたり、熱風を吹き付けたり貫通させたり赤外線を照射する等の非接触式でもよい。
第1シート1及び第2シート2の融点は、例えば、Perkin-Elmer社製の示差走査熱量測定装置(DSC)PYRIS Diamond DSCを用いて測定することができる。斯かる測定方法では、測定データのピーク値から測定対象(第1シート1、第2シート2)の融点を割り出す。
第1シート1又は第2シート2が、不織布等の繊維シートであり、その構成繊維が、芯鞘型、サイド・バイ・サイド型等の複数成分からなる複合繊維である場合、そのシートの融点は、DSCにより測定した複数の融点の内、最低温度の融点を複合繊維シートの融点とする。
また前述したように、製造装置100はホーン加熱手段61(ホーン加熱機構60)を具備し、前記超音波処理工程では、ホーン加熱手段61によって加熱された振動印加面42tを融着対象物(第1シート1と第2シート2との積層物)に当接させるため、溝状凹部46による作用効果と相俟って、融着部、貫通孔6及び弁膜体20の同時形成をより一層確実に行うことができる。
ホーン加熱手段61による加熱の条件は特に制限されず、融着対象物の種類等に応じて適宜調整すればよい。
例えば、予熱手段51に代えてホーン加熱手段61を用いることによって、前記(2)の方法を実施してもよい。すなわち、ホーン加熱手段61によって加熱される超音波ホーン42(振動印加面42t)の温度を制御することによって、超音波振動を印加される直前の第2シート2の温度を、該第2シート2の融点未満、該融点より50℃低い温度以上に加熱しておき、その状態で、凹凸ロール31の凸部35と振動印加面42tとの間に挟んだ、第1及び第2シート1,2に超音波振動を印加してもよい。
また、予熱手段51及びホーン加熱手段61は、どちらか一方のみを用いてもよく、両者を併用してもよい。
貫通孔6及び弁膜体20をより容易に形成する観点から、表面シート10の製造方法において、第1シート1及び第2シート2それぞれは、芯鞘型複合繊維を構成繊維として含む、スパンボンド不織布やエアスルー不織布であることが好ましい。前記芯鞘型複合繊維としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)を芯部、ポリエチレン(PE)を鞘部とするものを用いることが好ましい。
図16~図19には、本発明に係る超音波ホーンの他の実施形態の要部(先端部)が示されている。
後述する実施形態については、前述した超音波ホーン42と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、超音波ホーン42についての説明が適宜適用される。
図16に示す超音波ホーン42Aにおいては、同図に示す如き超音波ホーン42のMDに沿う断面視において、溝状凹部46の凹部底面46bが直線であり、溝状凹部46は、同断面視において長方形形状をなしている。つまり、超音波ホーン42Aにおける凹部底面46bは平坦である。
超音波ホーン42Aを用いた場合でも、基本的には前述の超音波ホーン42を用いた場合と同様の効果が奏されるが、溝状凹部46を形成することで懸念される、前述した超音波ホーン42の耐久力の低下やそれに伴うクラックの発生などの不都合をより一層確実に抑制する観点から、凹部底面46bの前記断面視の形状は、図14に示すように、開口部46dから離れる方向に向かって凹んだ円弧状が好ましい。
図17に示す超音波ホーン42Bにおいては、振動印加面42tが、凹凸ロール31(第1ロール)の回転軸に直交する方向(MD)に沿う断面視において、該回転軸から離れる方向に向かって凹んだ円弧状をなしている。
なお、ここでいう振動印加面42tは、溝状凹部46が存在しないと仮定した場合のものであり、より具体的には、図17に示す如きMDに沿う断面視において、溝状凹部46の開口部46dを挟んでMDの一方側の角部46cから他方側の角部46cにわたって振動印加面42tを仮想的に延長した場合のものである。
このように振動印加面42tのMDに沿う断面形状が円弧状であることにより、前記超音波処理工程において融着対象物(第1シート1と第2シート2との積層物)にかかるせん断力が向上するため、溝状凹部46による作用効果と相俟って、融着部、貫通孔6及び弁膜体20の同時形成をより一層確実に行うことができる。
図17に示す如きMDに沿う断面視において、円弧状をなす振動印加面42tは、凹凸ロール31(第1ロール)の凸部35の先端が通る円形の軌道(図示せず)に沿って湾曲していることが好ましい。これにより、凸部35の先端面35cと振動印加面42tとで融着対象物(第1シート1と第2シート2との積層物)を挟む時間が長くなり、融着部、貫通孔6及び弁膜体20の同時形成をより一層確実に行うことができる。
また、このように超音波ホーン42の振動印加面42tがMDに沿う断面視において円弧状をなす場合、これに対応する凹凸ロール31の複数の凸部35それぞれの先端面35cは、同断面視において凹凸ロール31の回転軸から離れる方向に向かって凸状をなし、振動印加面42tと湾曲の向きが一致していることが好ましい。
超音波ホーン42Bの振動印加面42tの曲率半径は、凹凸ロール31の凸部35の先端面35cの曲率半径に対して、100%以上が好ましい。
また振動印加面42tの曲率半径は、500%以下が好ましく、200%以下がより好ましい。
なお、図17に示す超音波ホーン42Bにおいては、振動印加面42tは、凹凸ロール31の回転軸と平行な方向の全域にわたって、MDに沿う断面形状が円弧状をなしているが、該回転軸と平行な方向における凸部35と対向しない部位等に異なる、断面形状の部分を設けても良い。
例えば、図11に示すように、凹凸ロール31を構成する隣り合う歯車間に空隙Gを設けた場合、振動印加面42tにおける該空隙Gと対向する部位に、円弧状の振動印加面42tから突出しない平坦な部分等を設けてもよい。
図18に示す超音波ホーン42Cにおいては、超音波ホーン42の先端部が、該超音波ホーン42Cの金属製の本体部420に固定された蓄熱部421を含んで構成され、振動印加面42tが蓄熱部421から形成されている。
溝状凹部46は、少なくとも蓄熱部421に形成される。
図18では、溝状凹部46は蓄熱部421のみに形成されているが、蓄熱部421を厚み方向に貫通して本体部420に延出してもよい。
また、図18に示す蓄熱部421からなる振動印加面42tは、前述の超音波ホーン42Bの振動印加面42tと同様に、MDに沿う断面視において円弧状をなしているが、円弧状をなさずに平坦でもよい。
蓄熱部421は、本体部420を構成する金属に比べて、熱伝導率が低い材料である蓄熱材からなる。
蓄熱部421を構成する蓄熱材の熱伝導率は、超音波ホーンや大気に放熱しにくくする観点から、2.0W/mK以下が好ましく、1.0W/mK以下がより好ましい。
また前記蓄熱材の熱伝導率は、シートを効率的に加熱する観点から、0.1W/mK以上が好ましく、0.5W/mK以上がより好ましい。
蓄熱材の熱伝導率は、熱伝導率測定装置を用いて常法に従って測定することができる。
振動印加面42tが蓄熱部421から形成されていると、超音波振動により発熱した第1及び第2シート1,2の熱が蓄熱部421に蓄えられる結果、蓄熱部421の温度が上昇して第1シート1及び第2シート2を加熱することができる。そのため、振動印加面42tに形成された溝状凹部46による作用効果と相俟って、融着部、貫通孔6及び弁膜体20の同時形成をより一層確実に行うことができる。
また、振動印加面42tが蓄熱部421から形成されていると、第1及び第2シート1,2の溶融により生じる溶融樹脂の搬送手段への付着、シートの搬送ロールへの巻き付き等の不都合の発生が抑制され、製造装置のメンテナンス負担が軽減されるというメリットがある。
蓄熱部421の厚みTh(図18参照)は、特に制限されないが、蓄熱部421による作用効果をより確実に奏させるようにする観点から、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。
また厚みThは、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。
蓄熱部421を構成する蓄熱材としては、本体部420を構成する金属に比べて熱伝導率が低いことを前提として、耐摩耗性及び耐熱性に優れた合成樹脂を用いることが好ましく、該合成樹脂として、例えば、ポリイミドやポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルエチルケトン、ポリフェニレンサルファイト、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド等の、ロックウエル硬度がR120以上R140以下で、耐熱温度が150℃以上500℃以下の合成樹脂が挙げられる。
前記蓄熱材としては、ポリイミドやポリベンゾイミダゾール等の、ロックウエル硬度がR125以上R140以下で、耐熱温度が280℃以上400℃以下の合成樹脂が特に好ましい。
ここで、ロックウエル硬度は、ASTM D-785に従って測定した値であり、耐熱温度は、ASTM D-648に従って測定した値である。
合成樹脂製の蓄熱部421を金属製の本体部420に固定する手段は特に制限されず、公知の固定手段を採用できる。
合成樹脂製の蓄熱部421は、例えば、金属製の本体部420に溶射により形成して、該本体部420に固定することができる。
ここでいう「溶射」とは、加熱することで溶融又はそれに近い状態とした金属やセラミックスなどの溶射材料の粒子を、加速して基材面に高速で衝突させ、該基材面に被膜を形成する公知の表面処理法である。
溶射材料としては、溶射可能で、合成樹脂製の蓄熱部421の固定強度の向上に寄与し得るものを特に制限なく用いることができるが、チタン合金等の金属からなる本体部420に対する結合力に優れ、耐摩耗性や耐熱性にも優れる観点から、タングステンカーバイド、ジルコニア、クロムカーバイド等のセラミックス、アルミマグネシウム、亜鉛アルミニウム等の合金、アルミニウム、ステンレス、チタン、モリブデン等の金属、金属とセラミックスの複合材であるサーミット等が好ましく用いられる。
図19に示す超音波ホーン42Dにおいては、振動印加面42tにおける溝状凹部非形成部47に凹凸部48が形成されている。
より具体的には図19(a)に示すように、溝状凹部非形成部47の一部が凹凸部48であり、溝状凹部非形成部47の残りの部分は、凹凸が無く平滑な平滑部49である。凹凸部48は、平滑部49に比べて表面粗さが大きく、それ故に強い摩擦力を有する。
前記超音波処理工程において、融着対象物(第1シート1と第2シート2との積層物)における凹凸部48によって押圧された部分にはせん断力が作用するため、溝状凹部46による作用効果と相俟って、融着部、貫通孔6及び弁膜体20の同時形成をより一層確実に行うことができる。
凹凸部48は、図19(b)に示すように、複数の凸部481及び複数の凹部482を有している。凸部481は、同図に示す如きMDに沿う断面視において三角形をなしているが、凸部481の同断面視における形状は特に限定されず、例えば、四角形、台形等でもよい。
また、凹凸部48における複数の凸部481の配列パターンの一例として、凸部481がCD(凹凸ロール31の回転軸に沿う方向)に等間隔で配された凸部列が、MDに等間隔で配された配列パターンが挙げられる。
前記配列パターンの他の一例として、凸部481がCDに等間隔を空けて配された凸部列が、MDに等間隔を空けて配されており、且つMDに隣り合う凸部列どうしが、半ピッチずれた配列パターンが挙げられる。
凹凸部48は、振動印加面42tにおける溝状凹部非形成部47に、ローレット加工や溶射処理を施すことで形成することができる。
図19に示す形態では、溝状凹部46と凹凸部48との間に平滑部49が存在しているが、溝状凹部46と凹凸部48との間に平滑部49が存在せず、溝状凹部46と凹凸部48とMDにおいて隣り合っていてもよい。
また、振動印加面42tに平滑部49が存在せず、溝状凹部非形成部47の全体が凹凸部48であってもよい。
凹凸部48による作用効果をより一層確実に奏させるようにする観点から、凹凸部48の表面粗さは、算術平均粗さRaが、3.2μm以上が好ましく、6.3μm以上がより好ましい。
また凹凸部48の表面粗さは、算術平均粗さRaが、12.5μm以下が好ましく、25μm以下がより好ましい。
算術平均粗さRaは、種々の表面粗さ測定機で測定可能であり、例えば、株式会社ミツトヨ製の表面粗さ測定機を用いて測定可能である。
同様の観点から、凹凸部48の寸法等は以下のように設定することが好ましい。
振動印加面42tの溝状凹部非形成部47の面積(47S)に対する凹凸部48の面積(48S)の割合、すなわち(48S/47S)×100によって算出される割合は、15%以上が好ましく、30%以上がより好ましい。
また前記割合は、100%以下が好ましく、80%以下がより好ましい。
凹凸部48を構成する凸部481の単位面積(1cm)当たりの数は、1個以上が好ましく、100個以上がより好ましい。
また凸部481の単位面積(1cm)当たりの数は、1,000,000個以下が好ましく、10,000個以下がより好ましい。
凹凸部48の平面視において、凸部481の1個の面積は、0.0001mm以上が好ましく、0.01mm以上がより好ましい。
また凸部481の1個の面積は、100mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましい。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に何ら制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施形態の表面シート10は、第1シート1及び第2シート2が積層した積層構造を有していたが、表面シート10は単層構造であってもよい。上述した凸部5の強度をより向上して、着用者の体圧に対する耐性をより高める観点から、表面シート10は、前記積層構造を有していることが好ましい。
また、振動印加面42tに溝状凹部46が1本形成されていたが、複数本形成されていてもよい。その場合、例えば、CDに延びる複数の溝状凹部46がMDに間欠配置されていてもよく、あるいはCDに延びる複数の溝状凹部46がCDに間欠配置されていてもよい。
また、前述の一の実施形態が具備する構成は、他の実施形態に適用することが可能である。
例えば、凹凸部48が形成された超音波ホーン42Dの振動印加面42t(図19参照)は、図17に示すように、凹凸ロール31の回転軸に直交する方向に沿う断面視(MDに沿う断面視)において、該回転軸から離れる方向に向かって凹んだ円弧状をなしていてもよい。
また、図18に示すように振動印加面42tが蓄熱部421から形成されている場合に、蓄熱部421からなる振動印加面42tに凹凸部48が形成されていてもよい。
上述した本発明の実施形態に関し、さらに以下の吸収性物品用表面シート及びこれを備えた吸収性物品を開示する。
<1>
繊維材料からなり、複数の貫通孔を有し、該貫通孔の開口端の一部に、繊維材料がフィルム化してなる弁膜体を備えており、
前記弁膜体は、前記貫通孔の開口端の一部を軸に回動可能である、吸収性物品用表面シート。
<2>
肌対向面側から前記弁膜体に部分的に荷重がかかった場合、前記貫通孔の開口端の一部を軸として、該弁膜体全体が回動可能である、前記<1>に記載の吸収性物品用表面シート。
<3>
前記弁膜体の面積は、前記貫通孔の面積に対して5%以上50%以下、好ましくは10%以上40%以下である、前記<1>又は<2>に記載の吸収性物品用表面シート。
<4>
前記貫通孔の面積は、1mm以上10mm以下、好ましくは2mm以上8mm以下である、前記<1>~<3>の何れか1に記載の吸収性物品用表面シート。
<5>
前記弁膜体の面積は、0.5mm以上5mm以下、好ましくは1mm以上2.5mm以下である、前記<1>~<4>の何れか1に記載の吸収性物品用表面シート。
<6>
前記貫通孔に隣接した部位に、前記吸収性物品用表面シートの一方の面側に突出する凸部を有しており、
前記弁膜体は、前記凸部の底部から前記貫通孔の内方側に向かって延出している、前記<1>~<5>の何れか1に記載の吸収性物品用表面シート。
<7>
第1シート及び第2シートが積層した積層構造を有し、第1シートにおける前記貫通孔以外の部分の少なくとも一部が、該第2シート側とは反対側に突出した前記凸部を形成している、前記<6>に記載の吸収性物品用表面シート。
<8>
前記弁膜体は、前記開口端の一部に位置する基端縁部と、該基端縁部の反対側に位置する自由端縁部、及び該基端縁部と該自由端縁部との間に位置する一対の側縁部を有しており、
前記一対の側縁部それぞれと、前記開口端とが連結していない、前記<1>~<7>の何れか1に記載の吸収性物品用表面シート。
<9>
前記基端縁部の長さに対する前記弁膜体の延出方向における最大長さの百分率は、10%以上50%以下、好ましくは20%以上40%以下である、前記<8>に記載の吸収性物品用表面シート。
<10>
前記弁膜体の延出方向における最大長さは、1mm以上5mm以下、好ましくは2mm以上4mm以下である、前記<8>又は<9>に記載の吸収性物品用表面シート。
<11>
前記基端縁部の長さが、1mm以上10mm以下、好ましくは2mm以上5mm以下である、前記<8>~<10>の何れか1に記載の吸収性物品用表面シート。
<12>
平面視において前記自由端縁部が波形状を有している、前記<8>に記載の吸収性物品用表面シート。
<13>
前記基端縁部の長さに対する前記自由端縁部の蛇行長さの比率は、1超10未満、好ましくは2以上5以下である、前記<12>に記載の吸収性物品用表面シート。
<14>
前記弁膜体の最小厚みは、10μm以上1mm以下、好ましくは20μm以上500μm以下である、前記<1>~<13>の何れか1に記載の吸収性物品用表面シート。
<15>
前記弁膜体は、前記開口端の一部に位置する基端縁部側に他の部分よりも厚みの大きい肉厚部を有している、前記<1>~<14>の何れか1に記載の吸収性物品用表面シート。
<16>
前記肉厚部の最大厚みに対する前記弁膜体の最小厚みの比率が、0.5%以上10%以下、より好ましくは1%以上5%以である、前記<15>に記載の吸収性物品用表面シート。
<17>
前記肉厚部25の最大厚みは、20μm以上1.1mm以下、好ましくは200μm以上600μm以下である、前記<15>又は<16>に記載の吸収性物品用表面シート。<18>
前記吸収性物品用表面シートにおいて単位面積(10mm×10mm)当たりの前記貫通孔の全個数のうち、前記弁膜体が形成された前記貫通孔の単位面積当たりの数の割合は、30%以上、好ましくは50%以上であり、より好ましくは全ての前記貫通孔に前記弁膜体が形成されている、前記<1>~<17>の何れか1に記載の吸収性物品用表面シート。
<19>
単位面積(10mm×10mm)当たりの前記弁膜体が形成された前記貫通孔の数は、1個以上20個以下、好ましくは4個以上15個以下である、前記<1>~<18>の何れか1に記載の吸収性物品用表面シート。
<20>
前記<1>~<19>の何れか1に記載の吸収性物品用表面シートを備えた吸収性物品であって、
前記吸収性物品用表面シートの非肌対向面側に配され、複数の凹部及び凸部を有する繊維シートを備えており、
前記吸収性物品用表面シートの前記貫通孔及び前記弁膜体が、前記繊維シートにおける前記凹部と少なくとも部分的に重なっている、吸収性物品。
<21>
前記繊維シートにおける凹部の深さは、0.5mm以上5mm以下、好ましくは1mm以上3mm以下である、前記<20>に記載の吸収性物品。
10 表面シート
1 第1シート
2 第2シート
3 凹部
5 凸部
6 貫通孔
20 弁膜体
21 基端縁部
22 自由端縁部
23 側縁部
25 肉厚部
11 吸収性物品(使い捨ておむつ)
13 裏面シート
14 吸収体
15 サブレイヤー
100 表面シートの製造装置
30 凹凸賦形部
31 凹凸ロール(第1ロール)
32 凹凸ロール(第2ロール)
33 噛み合い部
34 吸引孔
35 凸部
35c 凸部の先端面
36 超音波振動の印加部
40 超音波処理部
41 超音波融着機
42,42A,42B,42C,42D 超音波ホーン
420 超音波ホーンの本体部
421 蓄熱部
42t 振動印加面(超音波ホーンの先端面)
43 コンバーター
44 ブースター
45 可動台
46 溝状凹部
46a 凹部側面
46b 凹部底面
46c 角部
46d 開口部
47 振動印加面の溝状凹部非形成部
48 凹凸部
481 凸部
482 凹部
49 平滑部
50 予熱機構
51 予熱手段
60 ホーン加熱機構
61 ホーン加熱手段

Claims (8)

  1. 繊維材料からなり、複数の貫通孔を有し、該貫通孔の開口端の一部に、繊維材料がフィルム化してなる弁膜体を備えており、
    前記弁膜体は、前記貫通孔の開口端の一部を軸に回動可能である、吸収性物品用表面シート。
  2. 肌対向面側から前記弁膜体に部分的に荷重がかかった場合、前記貫通孔の開口端の一部を軸として、該弁膜体全体が回動可能である、請求項1に記載の吸収性物品用表面シート。
  3. 前記貫通孔に隣接した部位に、前記吸収性物品用表面シートの一方の面側に突出する凸部を有しており、
    前記弁膜体は、前記凸部の底部から前記貫通孔の内方側に向かって延出している、請求項1又は2に記載の吸収性物品用表面シート。
  4. 第1シート及び第2シートが積層した積層構造を有し、第1シートにおける前記貫通孔以外の部分の少なくとも一部が、該第2シート側とは反対側に突出した前記凸部を形成している、請求項3に記載の吸収性物品用表面シート。
  5. 前記弁膜体は、前記開口端の一部に位置する基端縁部と、該基端縁部の反対側に位置する自由端縁部、及び該基端縁部と該自由端縁部との間に位置する一対の側縁部を有しており、
    前記一対の側縁部それぞれと、前記開口端とが連結していない、請求項1~4の何れか1項に記載の吸収性物品用表面シート。
  6. 平面視において前記自由端縁部が波形状を有している、請求項5に記載の吸収性物品用表面シート。
  7. 前記弁膜体は、前記開口端の一部に位置する基端縁部側に他の部分よりも厚みの大きい肉厚部を有している、請求項1~6の何れか1項に記載の吸収性物品用表面シート。
  8. 請求項1~7の何れか1項に記載の吸収性物品用表面シートを備えた吸収性物品であって、
    前記吸収性物品用表面シートの非肌対向面側に配され、複数の凹部及び凸部を有する繊維シートを備えており、
    前記吸収性物品用表面シートの前記貫通孔及び前記弁膜体が、前記繊維シートにおける前記凹部と少なくとも部分的に重なっている、吸収性物品。
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