JP2022081144A - 炭素系材料絶縁物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シラン化合物及びシロキサン化合物のうちの少なくとも1種のカチオン性電解質を含む水溶液と炭素系材料とを混合し、前記炭素系材料上に前記カチオン性電解質由来の有機成分を含むケイ素酸化物層を形成する工程と、
前記有機成分を含むケイ素酸化物層を備える炭素系材料と、アルカリ金属ケイ酸塩及びケイ酸アンモニウム塩のうちの少なくとも1種のケイ酸塩を含む水溶液とを混合し、前記有機成分を含むケイ素酸化物層上に前記ケイ酸塩由来のケイ素酸化物層を形成する工程と、
を含むことを特徴とする炭素系材料絶縁物の製造方法。
【選択図】なし
Description
先ず、本発明のシラン化合物及びシロキサン化合物のうちの少なくとも1種のカチオン性電解質を含む水溶液と炭素系材料とを混合し、前記炭素系材料上に前記カチオン性電解質由来の有機成分を含むケイ素酸化物層を形成する工程(カチオン処理工程)と、前記有機成分を含むケイ素酸化物層を備える炭素系材料と、アルカリ金属ケイ酸塩及びケイ酸アンモニウム塩のうちの少なくとも1種のケイ酸塩を含む水溶液とを混合し、前記有機成分を含むケイ素酸化物層上に前記ケイ酸塩由来のケイ素酸化物層を形成する工程(ケイ酸塩処理工程)と、を含む方法である。
本発明にかかるカチオン処理工程は、炭素系材料又はその絶縁物と、シラン化合物及びシロキサン化合物のうちの少なくとも1種のカチオン性電解質を含む水溶液とを混合し、前記炭素系材料又はその絶縁物上(炭素系材料絶縁物の場合には、後述するケイ酸塩由来のケイ素酸化物層上)に前記カチオン性電解質を付着(吸着)させて前記カチオン性電解質由来の有機成分を含むケイ素酸化物層を形成する工程である。
本発明に用いられる炭素系材料としては、例えば、カーボンファイバー(CF)、カーボンナノファイバー(CNF)、カーボンナノチューブ(CNT)等の繊維状炭素系材料;グラフェン等のシート状炭素系材料;黒鉛等の層状炭素系材料が挙げられる。これらの炭素系材料は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。また、これらの炭素系材料うち、熱伝導性、力学特性、外観品質が向上するという観点から、カーボンナノチューブが好ましい。また、前記カーボンナノファイバーや前記カーボンナノチューブとしては、コスト面から、多層カーボンナノファイバーや多層カーボンナノチューブが好ましい。
本発明に用いられるカチオン性電解質は、シラン化合物及びシロキサン化合物のうちの少なくとも1種のカチオン性電解質であり、容易にカチオンを生成することが可能であり、かつ、前記炭素系材料及びその絶縁物に吸着可能なシラン化合物及び/又はシロキサン化合物或は配位可能な官能基を有するシラン化合物及び/又はシロキサン化合物である。
本発明にかかるカチオン処理においては、前記炭素系材料又はその絶縁物と前記カチオン性電解質を含む水溶液とを混合して分散液を調製する。これにより、前記炭素系材料上に前記カチオン性電解質由来の有機成分を含むケイ素酸化物層が形成され、耐熱性に優れた絶縁被膜が得られ、高温下でも優れた絶縁性を有する炭素系材料絶縁物を得ることができる。また、本発明にかかるカチオン処理においては、前記カチオン性電解質を含む水溶液を用いているため、平滑な炭素系材料表面だけでなく、曲率が大きい繊維状炭素系材料の表面や炭素系材料が重なり合った箇所、形状が複雑な炭素系材料の表面等にも、均一な絶縁被膜を形成することが可能となる。なお、本発明の炭素系材料絶縁物の製造方法においては、炭素系材料として前記炭素系材料を前記ケイ酸塩を含む水溶液で処理したものを用いてもよい。
本発明にかかるケイ酸塩処理工程は、前記有機成分を含むケイ素酸化物層を備える炭素系材料と、アルカリ金属ケイ酸塩及びケイ酸アンモニウム塩のうちの少なくとも1種のケイ酸塩を含む水溶液とを混合し、前記有機成分を含むケイ素酸化物層上に前記ケイ酸塩を付着(吸着)させて前記ケイ酸塩由来のケイ素酸化物層を形成する工程である。
本発明に用いられるケイ酸塩は、アルカリ金属ケイ酸塩及びケイ酸アンモニウム塩のうちの少なくとも1種であり、容易にアニオンを生成することが可能であり、かつ、前記有機成分を含むケイ素酸化物層に吸着可能なアルカリ金属ケイ酸塩及び/又はケイ酸アンモニウム塩である。
本発明にかかるケイ酸塩処理においては、前記有機成分を含むケイ素酸化物層を備える炭素系材料と前記ケイ酸塩を含む水溶液とを混合して分散液を調製する。これにより、前記有機成分を含むケイ素酸化物層上に前記ケイ酸塩由来のケイ素酸化物層を形成され、耐熱性に優れた絶縁被膜が得られ、高温下でも優れた絶縁性を有する炭素系材料絶縁物を得ることができる。また、本発明にかかるケイ酸塩処理においては、前記ケイ酸塩を含む水溶液を用いているため、平滑な炭素系材料表面だけでなく、曲率が大きい繊維状炭素系材料の表面や炭素系材料が重なり合った箇所、形状が複雑な炭素系材料の表面等にも、均一な絶縁被膜を形成することが可能となる。
次に、本発明の炭素系材料絶縁物について説明する。本発明の炭素系材料絶縁物は、炭素系材料と前記炭素系材料上に形成された絶縁被膜とを備える炭素系材料絶縁物であり、前記絶縁被膜は、シラン化合物及びシロキサン化合物のうちの少なくとも1種のカチオン性電解質由来の有機成分を含むケイ素酸化物層と、前記有機成分を含むケイ素酸化物層上に形成された、アルカリ金属ケイ酸塩及びケイ酸アンモニウム塩のうちの少なくとも1種のケイ酸塩由来のケイ素酸化物層とを備えるものである。このような前記カチオン性電解質由来の有機成分を含むケイ素酸化物層と前記ケイ酸塩由来のケイ素酸化物層とを備える絶縁被膜は耐熱性に優れており、このような絶縁被膜を備えている炭素系材料絶縁物は高温下でも優れた絶縁性を示す。
本発明の炭素系材料絶縁物の用途としては、例えば、この炭素系材料絶縁物と樹脂とを含む樹脂組成物や、それを成形加工することによって得られる樹脂複合材料が挙げられる。
NT-7k:多層カーボンナノチューブ(保土谷化学工業株式会社製、商品名「NT-7
k」、平均直径80nm、アスペクト比100以上、G/D値8)。
NC7000:多層カーボンナノチューブ(ナノシル社製、商品名「NC7000」、平
均直径9.5nm、平均長さ1.5μm、アスペクト比150以上、G/D
値0.8、純度90%)。
AY43-021:3-(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニ
ウムクロリド(東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名「AY43-02
1」、50質量%メタノール溶液)。
DMOAP:塩化ジメチルオクタデシル[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アンモ
ニウム(関東化学株式会社製、60質量%メタノール溶液)。
水ガラス3号:ケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2:28~30%、Na2O:9~10
%)。
PSS水溶液:ポリ(4-スチレンスルフォン酸ナトリウム)の水溶液(アルドリッチ社
製、固形分濃度30質量%、分子量20万)。
PDADMAC水溶液:ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)の水溶液(ア
ルドリッチ社製、固形分濃度20質量%、中分子量)。
サポナイト:クレイナノシート(クニミネ工業株式会社製合成サポナイト、商品名「スメ
クトンSA」)。
シリカ:コロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製、商品名「スノーテックスXS」、
固形分濃度20質量%)。
TEOS:テトラエトキシシラン(関東化学株式会社製)。
イオン交換水(1000g)にAY43-021(カチオン性電解質濃度50質量%)(5g)と塩化ナトリウム(29.2g)とを添加し、2.5mg/g(約0.25質量%)のAY43-021水溶液を作製した。
イオン交換水(1000g)にDMOAP(カチオン性電解質濃度60質量%)(6.25g)と塩化ナトリウム(29.2g)とを添加し、2.5mg/g(約0.25質量%)のDMOAP水溶液を作製した。
イオン交換水(1000g)に水ガラス3号(SiO2:28~30%、Na2O:9~10%)(20g)と塩化ナトリウム(29.2g)とを添加し、8mg/g(約0.8質量%)のケイ酸ナトリウム水溶液を作製した。
イオン交換水(1000g)にPSS水溶液(固形分濃度30質量%)(7g)を添加し、2.1mg/g(約0.21質量%)のPSS水溶液を作製した。
イオン交換水(1000g)にPDADMAC水溶液(固形分濃度20質量%)(5g)と塩化ナトリウム(29.2g)とを添加し、1mg/g(約0.1質量%)のPDADMAC水溶液を作製した。
イオン交換水(1000g)に前記サポナイト(4g)を添加し、4mg/g(約0.4質量%)のサポナイト水分散液を作製した。
イオン交換水(1000g)に前記コロイダルシリカ(固形分濃度20質量%)(50g)を添加し、10mg/g(約1質量%)のシリカ水分散液を作製した。
図1A~図1Cに示すフローチャートに従って表1に示す絶縁処理条件でNT-7kに5回の絶縁処理を施し、カチオン性電解質由来の有機成分を含むケイ素酸化物層とケイ酸塩由来のケイ素酸化物層とを繰返し5層ずつ備えるNT-7k絶縁物を製造した。以下に具体的な製造方法を示す。
(カチオン処理工程)
先ず、図1Bに示すように、水(800g)にNT-7k(1.0g)を添加し、ホモジナイザーで5分間分散処理した。この水分散液に調製例1で得たAY43-021水溶液(200g)を添加し、ホモジナイザーで10分間分散処理してAY43-021が付着したNT-7kの水分散液を得た。その後、この水分散液を減圧濾過(Whatman濾紙#40)した。
次に、図1Cに示すように、このAY43-021に由来するケイ素酸化物層を有するNT-7kを水(800g)に添加し、ホモジナイザーで5分間分散処理した。この水分散液に調製例3で得たケイ酸ナトリウム水溶液(200g)を添加し、ホモジナイザーで10分間分散処理してAY43-021に由来するケイ素酸化物層とケイ酸ナトリウムに由来するケイ素酸化物層とを備えるNT-7k絶縁物の水分散液を得た。その後、この水分散液を減圧濾過(Whatman濾紙#40)した。
次に、前記濾紙上のNT-7k絶縁物を回収し、前記NT-7kの代わりにこのNT-7k絶縁物を用いた以外は上記と同様にして、前記NT-7k絶縁物上にAY43-021に由来するケイ素酸化物層とケイ酸ナトリウムに由来するケイ素酸化物層とを順次形成した(2回目の絶縁処理)。この2回目の絶縁処理を施したNT-7k絶縁物の表面抵抗を上記と同様にして測定した。その結果を表1に示す。
その後、この絶縁処理を繰り返し、合計5回の絶縁処理を施したNT-7k絶縁物を得た。このNT-7k絶縁物についても上記と同様にして各回ごとに表面抵抗を測定した。その結果を表1に示す。
前記合計5回の絶縁処理を施したNT-7k絶縁物中のケイ素酸化物の含有率を、空気中、昇温速度:20℃/分、測定温度範囲:室温~1000℃の条件で熱重量分析により測定した。その結果を表1に示す。
前記合計5回の絶縁処理を施したNT-7k絶縁物の表面を走査型電子顕微鏡(SEM、株式会社日立ハイテクノロジーズ製「S-3600N」)を用いて観察した。その結果を図2に示す。また、未処理のNT-7kの表面を走査型電子顕微鏡(SEM、株式会社日立ハイテクノロジーズ製「S-3600N」)を用いて観察した。その結果を図3に示す。
先ず、図3に示したSEM像において、無作為に5本の未処理のNT-7kを抽出し、各NT-7kの直径(5箇所/本)を測定して5本の未処理のNT-7kの平均直径を求めたところ、76.4nmであった。
前記合計5回の絶縁処理を施したNT-7k絶縁物を、高角度環状暗視野走査透過型電子顕微鏡(HAADF-STEM)を用いて観察した。その結果を図4に示す。図4に示したように、前記NT-7k絶縁物においては、カーボンナノチューブの表面に絶縁被膜が形成されていることが確認された。
NT-7kの代わりにNC7000(1.0g)を用い、AY43-021水溶液の代わりに調製例2で得たDMOAP水溶液(200g)を用い、絶縁処理の回数を6回に変更した以外は実施例A1と同様にして、NC7000絶縁物を製造した。また、実施例A1と同様にして、1~6回目の絶縁処理後のNC7000絶縁物の表面抵抗を測定した。その結果を表1に示す。さらに、実施例A1と同様にして、合計6回の絶縁処理を施したNC7000絶縁物中のケイ素酸化物の含有率を測定した。その結果を表1に示す。
ケイ酸ナトリウム水溶液を用いたケイ酸塩処理の代わりに調製例4で得たPSS水溶液(200g)を用いてアニオン処理を行った以外は実施例A1と同様にして、NT-7k絶縁物を製造した。また、実施例A1と同様にして、1~6回目の絶縁処理後のNT-7k絶縁物の表面抵抗、及び合計6回の絶縁処理を施したNT-7k絶縁物中のケイ素酸化物の含有率を測定した。それらの結果を表2に示す。さらに、実施例A1と同様にして観察した、合計6回の絶縁処理を施したNT-7k絶縁物表面のSEM像を図9に示す。
特開2009-235650号公報の実施例A3に記載の方法に従って、表2に示す絶縁処理条件でNT-7kに6回の絶縁処理を施し、PSS層とPDADMAC層とサポナイト層とを繰返し6層ずつ備えるNT-7k絶縁物を製造した。以下に具体的な製造方法を示す。
(アニオン処理工程)
先ず、水(200g)にNT-7k(1.0g)を添加し、超音波処理(BRANSON社製卓上型超音波洗浄機「BRANSONIC B-220」を使用、発振周波数45kHz)を20分間施した。この水分散液に調製例4で得たPSS水溶液(200g)を添加し、超音波処理(BRANSON社製卓上型超音波洗浄機「BRANSONIC B-220」を使用、発振周波数45kHz)を20分間施してPSSが付着したNT-7kの水分散液を得た。その後、この水分散液を減圧濾過(Whatman濾紙#40)した。
次に、このPSSが付着したNT-7kを水(200g)に添加し、超音波処理(BRANSON社製卓上型超音波洗浄機「BRANSONIC B-220」を使用、発振周波数45kHz)を20分間施した。この水分散液に調製例5で得たPDADMAC水溶液(200g)を添加し、超音波処理(BRANSON社製卓上型超音波洗浄機「BRANSONIC B-220」を使用、発振周波数45kHz)を20分間施してPDADMAC層を備えるNT-7kの水分散液を得た。その後、この水分散液を減圧濾過(Whatman濾紙#40)した。
次に、このPDADMAC層を備えるNT-7kを水(200g)に添加し、超音波処理(BRANSON社製卓上型超音波洗浄機「BRANSONIC B-220」を使用、発振周波数45kHz)を20分間施した(図示なし)。この水分散液に調製例6で得たサポナイト水分散液(200g)を添加し、超音波処理(BRANSON社製卓上型超音波洗浄機「BRANSONIC B-220」を使用、発振周波数45kHz)を20分間施してPDADMAC層とサポナイト層とを備えるNT-7k絶縁物の水分散液を得た。その後、この水分散液を減圧濾過(Whatman濾紙#40)した。
次に、前記濾紙上のNT-7k絶縁物を回収し、前記NT-7kの代わりにこのNT-7k絶縁物を用いた以外は上記と同様にして、前記NT-7k絶縁物上にPSS層とPDADMAC層およびサポナイト層を順次形成した(2回目の絶縁処理)。この2回目の絶縁処理を施したNT-7k絶縁物の表面抵抗を上記と同様にして測定した。その結果を表2に示す。
その後、この絶縁処理を繰り返し、合計6回の絶縁処理を施したNT-7k絶縁物を得た。このNT-7k絶縁物についても上記と同様にして各回ごとに表面抵抗を測定した。その結果を表2に示す。
特開2009-235650号公報の実施例A1に記載の方法に準拠して、表2に示す絶縁処理条件でNT-7kに6回の絶縁処理を施し、PSS層とPDADMAC層とシリカ層とを繰返し6層ずつ備えるNT-7k絶縁物を製造した。以下に具体的な製造方法を示す。
(アニオン処理工程)
先ず、水(900g)にNT-7k(1.0g)を添加し、ホモジナイザーで5分間分散処理した。この水分散液に調製例4で得たPSS水溶液(100g)を添加し、ホモジナイザーで5分間分散処理してPSSが付着したNT-7kの水分散液を得た。その後、この水分散液を減圧濾過(Whatman濾紙#40)した。
次に、このPSSが付着したNT-7kを水(800g)に添加し、ホモジナイザーで5分間分散処理した。この水分散液に調製例5で得たPDADMAC水溶液(200g)を添加し、ホモジナイザーで5分間分散処理してPDADMAC層を備えるNT-7kの水分散液を得た。その後、この水分散液を減圧濾過(Whatman濾紙#40)した。
次に、このPDADMAC層を備えるNT-7kを水(900g)に添加し、ホモジナイザーで5分間分散処理した。この水分散液に調製例7で得たシリカ水分散液(100g)を添加し、ホモジナイザーで5分間分散処理してPDADMAC層とシリカ層とを備えるNT-7k絶縁物の水分散液を得た。その後、この水分散液を減圧濾過(Whatman濾紙#40)した。
次に、前記濾紙上のNT-7k絶縁物を回収し、前記NT-7kの代わりにこのNT-7k絶縁物を用いた以外は上記と同様にして、前記NT-7k絶縁物上にPSS層とPDADMAC層とシリカ層とを順次形成した(2回目の絶縁処理)。この2回目の絶縁処理を施したNT-7k絶縁物の表面抵抗を上記と同様にして測定した。その結果を表2に示す。
その後、この絶縁処理を繰り返し、合計6回の絶縁処理を施したNT-7k絶縁物を得た。このNT-7k絶縁物についても上記と同様にして各回ごとに表面抵抗を測定した。その結果を表2に示す。
ケイ酸ナトリウム水溶液を用いたケイ酸塩処理の代わりに調製例7で得たシリカ水分散液(200g)を用いて酸化物処理を行い、絶縁処理の回数を3回に変更した以外は実施例A1と同様にして、NT-7k絶縁物を製造した。また、実施例A1と同様にして、1~3回目の絶縁処理後のNT-7k絶縁物の表面抵抗を測定した。その結果を表2に示す。さらに、実施例A1と同様にして観察した、合計3回の絶縁処理を施したNT-7k絶縁物表面のSEM像を図12に示す。
NT-7k(1g)、水(106ml)、28%アンモニア水(20ml)、エタノール(480ml)を混合して調製した分散液Aに、攪拌しながら、TEOS(105ml)、エタノール(131ml)、水(39.5ml)を混合して調製した溶液Bを1時間かけて滴下し、滴下終了後、得られた分散液をさらに1時間攪拌した。その後、得られた分散液を吸引濾過し、濾滓を回収して水及びエタノールで洗浄した後、80℃の温風で12時間乾燥させ、TEOS由来のシリカ層を備えるNT-7k絶縁物を得た。このNT-7k絶縁物の表面を走査型電子顕微鏡(SEM、株式会社日立ハイテクノロジーズ製「S-3600N」)を用いて観察した。その結果を図13に示す。
実施例A1及びA2、比較例A1~A5で最終的に得られたカーボンナノチューブ絶縁物を、200℃、250℃、300℃、350℃、400℃、500℃の各温度で5時間加熱して耐熱試験を行い、各温度でのカーボンナノチューブ絶縁物の表面抵抗をテスターを用いて電極間隔1cmで5箇所以上測定し、下記基準で評価した。その結果を表3に示す。
A:表面抵抗10MΩ以上。
B:表面抵抗1MΩ以上10MΩ未満。
C:表面抵抗1MΩ未満。
A:被覆率90%以上。
B:被覆率70%以上90%以上未満。
C:被覆率70%以上未満。
Claims (4)
- シラン化合物及びシロキサン化合物のうちの少なくとも1種のカチオン性電解質を含む水溶液と炭素系材料とを混合し、前記炭素系材料上に前記カチオン性電解質由来の有機成分を含むケイ素酸化物層を形成する工程と、
前記有機成分を含むケイ素酸化物層を備える炭素系材料と、アルカリ金属ケイ酸塩及びケイ酸アンモニウム塩のうちの少なくとも1種のケイ酸塩を含む水溶液とを混合し、前記有機成分を含むケイ素酸化物層上に前記ケイ酸塩由来のケイ素酸化物層を形成する工程と、
を含むことを特徴とする炭素系材料絶縁物の製造方法。 - 前記炭素系材料上に前記有機成分を含むケイ素酸化物層を備え、前記有機成分を含むケイ素酸化物層上に前記ケイ酸塩由来のケイ素酸化物層を備える炭素系材料絶縁物と、シラン化合物及びシロキサン化合物のうちの少なくとも1種のカチオン性電解質を含む水溶液とを混合し、前記ケイ酸塩由来のケイ素酸化物層上に前記カチオン性電解質由来の有機成分を含むケイ素酸化物層を形成する工程と、
前記工程で形成した前記有機成分を含むケイ素酸化物層を備える炭素系材料絶縁物と、アルカリ金属ケイ酸塩及びケイ酸アンモニウム塩のうちの少なくとも1種のケイ酸塩を含む水溶液とを混合し、前記有機成分を含むケイ素酸化物層上に前記ケイ酸塩由来のケイ素酸化物層を形成する工程と、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の炭素系材料絶縁物の製造方法。 - 炭素系材料と前記炭素系材料上に形成された絶縁被膜とを備える炭素系材料絶縁物であって、
前記絶縁被膜が、シラン化合物及びシロキサン化合物のうちの少なくとも1種のカチオン性電解質由来の有機成分を含むケイ素酸化物層と、前記有機成分を含むケイ素酸化物層上に形成された、アルカリ金属ケイ酸塩及びケイ酸アンモニウム塩のうちの少なくとも1種のケイ酸塩由来のケイ素酸化物層とを備えるものであり、
前記絶縁被膜の平均膜厚が1~100nmであり、
前記絶縁被膜の最小膜厚の平均値に対する最大膜厚の平均値の比が3倍以下であり、
前記ケイ酸塩由来のケイ素酸化物層におけるアルカリ金属の含有率が7質量%以下である、
ことを特徴とする炭素系材料絶縁物。 - 前記絶縁被膜が、2層以上の前記カチオン性電解質由来の有機成分を含むケイ素酸化物層と2層以上の前記ケイ酸塩由来のケイ素酸化物層とを備えるものであり、前記カチオン性電解質由来の有機成分を含むケイ素酸化物層と前記ケイ酸塩由来のケイ素酸化物層とが交互に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の炭素系材料絶縁物。
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