JP2022080184A - ベーカリー食品用の乾熱処理小麦粉 - Google Patents

ベーカリー食品用の乾熱処理小麦粉 Download PDF

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Takashi Yamada
誠二 志賀
Seiji Shiga
重徳 鈴木
Shigenori Suzuki
久美子 増田
Kumiko Masuda
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Abstract

【課題】軽い食感で、口溶けが良く、かつ焼成後時間が経ってもそれらの性質を維持できるベーカリー食品の提供。焼成後時間が経っても「泣き」が生じにくく、ザクザクとした食感と良好な口溶けを維持することができるベーカリー用上掛け生地の提供。【解決手段】ベーカリー食品用の乾熱処理小麦粉であって、該小麦粉は、普通小麦由来の小麦粉であり、かつ該乾熱処理前の平均粒径が180μm以上である、乾熱処理小麦粉。【選択図】なし

Description

本発明は、ベーカリー食品用の乾熱処理小麦粉、それを含有するベーカリー食品用ミックス、及びそれらを用いたベーカリー食品の製造方法に関する。
クッキー、ビスケット、クラッカーなどの焼き菓子は、サクサクとした軽い食感を有する口溶けが良いものが好まれる。また、メロンパンのような中生地を上掛け生地(外皮生地)で包んで焼成することで得られるベーカリー食品は、外皮がサクサクとした食感を有するものが好まれるが、製造後に経時的に吸湿することによって、外皮のサクサクとした食感が失われたり、又は外皮の表面が水を含んでべたついてしまう現象(いわゆる「泣き」)が起こったりするという問題があった。
特許文献1には、ロースト小麦粉を使用してグルテンバイタリティを75~90%に調整した原料小麦粉を用いることにより、フラワーバッター法での機械適性とサクサクした食感を両立するビスケット類を製造できることが記載されている。特許文献2には、粒径350μm以上のデュラムセモリナを特定量含有する菓子用穀類粉砕物により、歯ごたえが良く風味にも優れた菓子を製造できることが記載されている。一方、特許文献3には、セモリナより小粒径のデュラム小麦粉と、薄力粉とをそれぞれ特定量で含む原料穀粉から製造されたベーカリー用上掛け生地が、良好な食感を維持できることが記載されている。
特開2017-169467号公報 特開平9-187216号公報 特開2015-084692号公報
本発明は、外皮の表面が水を含んでべたついてしまう現象(いわゆる、「泣き」)が生じにくく、焼成後時間が経っても外皮がザクザクとした食感と良好な口溶けを有するベーカリー食品を製造することができる、ベーカリー用上掛け生地を提供することに関する。また本発明は、軽い食感で、口溶けが良く、かつ時間が経っても良好な食感と口溶けを維持することができるクッキー、ビスケットなどの焼き菓子を提供することに関する。
本発明者は、通常の小麦粉よりも粒径の大きい普通小麦由来の小麦粉を乾熱処理して得られる乾熱処理小麦粉が、ベーカリー食品用生地の原料粉として有用であることを見出した。本発明者は、該乾熱処理小麦粉を含むベーカリー食品用生地から製造したベーカリー食品が、軽い食感で、口溶けが良く、かつ焼成後時間が経ってもそれらの性質を維持できることを見出した。また本発明者は、該ベーカリー食品用生地を上掛け生地として用いたベーカリー食品において、「泣き」が生じにくく、焼成後時間が経っても外皮がザクザクとした食感と良好な口溶けを維持できることを見出した。
したがって、本発明は、ベーカリー食品用の乾熱処理小麦粉であって、該小麦粉は、普通小麦由来の小麦粉であり、かつ該乾熱処理前の平均粒径が180μm以上である、乾熱処理小麦粉を提供する。
また本発明は、前記乾熱処理小麦粉を全穀粉量中に10~90質量%含有する、ベーカリー食品用ミックスを提供する。
また本発明は、原料穀粉全量中に前記乾熱処理小麦粉を10~90質量%含有する、ベーカリー食品用生地を提供する。
また本発明は、前記ベーカリー食品用生地を焼成することを含む、ベーカリー食品の製造方法を提供する。
本発明のベーカリー食品用の乾熱処理小麦粉を用いて製造したベーカリー食品は、軽い食感で、口溶けが良く、かつ焼成後時間が経っても軽い食感と口溶けを維持することができる。また、本発明のベーカリー食品用の乾熱処理小麦粉は、メロンパン等のベーカリー食品の外皮を製造するための生地、すなわちベーカリー用上掛け生地の原料として好適である。本発明により製造されたベーカリー用上掛け生地を用いて製造されたベーカリー食品は、「泣き」を軽減することができ、焼成後時間が経っても外皮がザクザクとした食感と良好な口溶けを維持することができる。
本発明は、ベーカリー食品用の乾熱処理小麦粉を提供する。本発明で提供される該ベーカリー食品用の乾熱処理小麦粉(本発明の乾熱処理小麦粉ともいう)は、通常の普通小麦由来の小麦粉よりも粒径の大きい、普通小麦由来の小麦粉を乾熱処理することで得られるものである。本発明の乾熱処理小麦粉は、乾熱処理前の平均粒径が180μm以上である。言い換えると、平均粒径が180μm以上の普通小麦由来の小麦粉を調製し、これを乾熱処理することで、本発明の乾熱処理小麦粉が製造される。
一般に食用とされる小麦は、主に普通小麦(6倍体小麦)とデュラム小麦(2倍体小麦)に分けられる。本発明の乾熱処理小麦粉は、普通小麦由来の小麦粉である。
普通小麦は、その蛋白質含有量から硬質小麦、中間質小麦、及び軟質小麦に分けられる。このうち、硬質小麦は蛋白質含有量が比較的多く、主にパンや中華麺の製造に使用されており、軟質小麦は蛋白質含有量が比較的少なく、主に菓子類や天ぷら衣の製造に使用されている。中間質小麦はそれらの中間の蛋白質含有量を有し、主にうどんの製造に使用されている。硬質小麦の例としては、DNS(Dark Northern Spring)、HRW(Hard Red Winter)、1CW(No.1 Canada Western)、PH(Australian Prime Hard)、春よ恋、ゆめちから、などの小麦品種又は銘柄が挙げられる。中間質小麦の例としては、ASW(Australian Standard White)、きたほなみなどの小麦品種又は銘柄が挙げられる。軟質小麦の例としては、WW(Western White)、SRW(Soft Red Winter)などが挙げられる。硬質小麦のなかでも、強力粉の製造に適した小麦は強力系小麦とよばれる。強力系小麦の例としては、1CW(No.1 Canada Western)、DNS(Dark Northern Spring)などが挙げられる。
好ましくは、本発明の乾熱処理小麦粉の原料となる普通小麦は、中間質小麦又は硬質小麦であり、より好ましくは硬質小麦であり、さらに好ましくは強力系小麦である。あるいは、本発明の乾熱処理小麦粉の原料小麦粉は、蛋白質含有量が好ましくは9%以上、より好ましくは12~14%である。蛋白質含有量の高い小麦粉を原料小麦粉に使用することで、製造されたベーカリー食品がよりサクサクした食感を有するものになる。本明細書において、本発明の乾熱処理小麦粉の原料小麦粉とは、乾熱処理前の小麦粉、すなわち、それを乾熱処理することで本発明の乾熱処理小麦粉が得られる小麦粉をいう。また本明細書における小麦粉の蛋白質含有量は、燃焼法により測定された値である。
本発明の乾熱処理小麦粉は、その原料小麦粉の粒径(乾熱処理前の粒径)が、平均粒径で180μm以上であればよいが、好ましくは200μm以上、より好ましくは180~700μm、さらに好ましくは200~600μm、さらに好ましくは200μm~500μmである。好ましくは、本発明の乾熱処理小麦粉の原料小麦粉は、粒径200μm以上の小麦粉を、体積基準で、好ましくは10%以上、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以上含む。該原料小麦粉は、通常の普通小麦由来の小麦粉よりも粒径が大きい。通常の普通小麦由来の小麦粉の平均粒径は、約40~100μmである。
本明細書における小麦粉又はセモリナの粒径は、マイクロトラック粒度分析計を用いて測定された値である。測定された粒径分布から、平均粒径及び粒径の検出頻度を算出することができる。粒径測定、及び平均粒径と粒径検出頻度の算出は、市販の分析計(例えば、日機装株式会社製「マイクロトラック粒径分布測定装置9200FRA」)を用いて、機器のマニュアルに従って行うことができる。
本発明の乾熱処理小麦粉の原料小麦粉は、普通小麦の小麦粒を一般的な製粉工程に従って、上述した粒径の粉になるように粉砕したものであればよい。一般的に、小麦粒は、粉砕、篩い分け、及び純化(それぞれブレーキング工程、グレーディング工程、及びピュリフィケーション工程という)により粗挽き粉(いわゆるセモリナ)へと調製され、さらに複数の滑面ロールによる粉砕工程(リダクション工程)、篩い分けを経て、より細かい粉となる。上記工程の中で製造される所望の粒径の粉を回収することで、原料小麦粉を得ることができる。
原料小麦粉の乾熱処理の手法としては、例えば、オーブン加熱(ロースト)、焙焼窯での加熱(焙焼等)、乾燥器を用いる加熱、熱風乾燥、高温低湿度環境での放置、などが挙げられ、このうちロースト又は焙焼が好ましい。好ましい乾熱処理の手法としては、例えば、バンドオーブンにて庫内温度を180℃から300℃まで段階的に上昇させながら20~30分間原料小麦粉を加熱する方法、パドルドライヤー等の加熱装置付きミキサーにて温度180~300℃で20~30分間原料小麦粉を焙焼する方法、などが挙げられる。該乾熱処理で得られる本発明の乾熱処理小麦粉は、好ましくは水分含有量が10質量%以下である。
本発明の乾熱処理小麦粉は、ベーカリー食品の原料として使用される。本発明の乾熱処理小麦粉を用いて製造したベーカリー食品は、軽い食感で、口溶けが良く、かつ焼成後時間が経っても軽い食感と口溶けを維持することができる。したがって、本発明の乾熱処理小麦粉を用いて製造されるベーカリー食品の好ましい例としては、焼き菓子が挙げられ、特にサクサクとした軽い食感が好まれる焼き菓子、例えば、クッキー、ビスケット、クラッカー、スコーンなどが挙げられる。また、本発明の乾熱処理小麦粉は、メロンパン等のベーカリー食品の外皮を製造するための生地、すなわちベーカリー用上掛け生地の原料として好適である。本発明により製造されたベーカリー用上掛け生地を用いて製造されたベーカリー食品は、「泣き」を軽減することができ、焼成後時間が経っても外皮がザクザクとした食感と良好な口溶けを維持することができる。
したがって、本発明はまた、上記本発明の乾熱処理小麦粉を含有するベーカリー食品用ミックスを提供する。また本発明は、上記本発明の乾熱処理小麦粉を含有するベーカリー食品用生地、及び該生地を用いたベーカリー食品の製造方法を提供する。好ましくは、本発明のベーカリー食品用ミックスは、ベーカリー用上掛け生地用のミックス、又は焼き菓子用ミックスである。
本発明のベーカリー食品用ミックスは、含有する穀粉の全量(全穀粉量)中に、本発明の乾熱処理小麦粉を、好ましくは10~90質量%、より好ましくは30~70質量%含有する。該ミックスの全穀粉量中における本発明の乾熱処理小麦粉の含有量が多過ぎても少な過ぎても、製造されたベーカリー食品の食感と口溶けが充分に向上しなくなるか、あるいは、上掛け生地を有するベーカリー食品の「泣き」の抑制効果が低減し、上掛け生地の食感と口溶けが充分に向上しなくなる。
本発明のベーカリー食品用ミックスは、本発明の乾熱処理小麦粉以外の他の穀粉を含んでいてもよい。当該他の穀粉としては、本発明の乾熱処理小麦粉以外の小麦粉(一般的な粒径の普通小麦由来の小麦粉、例えば強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、全粒粉、及びデュラム粉(デュラムセモリナを含む)など)、ライ麦粉、米粉、トウモロコシ粉などのベーカリー製品の原料粉として一般的に使用される穀粉、及びそれらの混合物が挙げられ、特に限定されない。好ましくは、当該他の穀粉は、本発明の乾熱処理小麦粉以外の小麦粉であり、より好ましくは薄力粉である。当該他の穀粉に用いられる小麦粉は、熱処理粉であってもよいが、その必要はない。本発明のベーカリー食品用ミックスにおける当該他の穀粉の含有量は、該ミックスの全穀粉量中、好ましくは10~90質量%、より好ましくは30~70質量%である。
本発明のベーカリー食品用ミックスは、上記本発明の乾熱処理小麦粉、及び他の穀粉に加えて、ベーカリー食品の製造に通常使用される副原料を含有していてもよい。副原料の例としては、糖類、澱粉、食塩、粉末油脂、卵粉、粉乳、グルテン、その他蛋白質、膨張剤、イースト、調味料、呈味材、着色料、香料、保存料などが挙げられるが、これらに限定されない。これらの副原料は、適宜組み合わせて含有することができる。糖類としては、上白糖、グラニュー糖、粉糖、ブドウ糖、果糖、蔗糖、麦芽糖などが挙げられ、これらを単独又は組み合わせて使用することができる。澱粉としては、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、米澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉等、及びそれらの加工澱粉が挙げられ、これらを単独又は組み合わせて用いることができる。卵粉としては、全卵粉、卵黄粉、卵白粉などが挙げられ、これらを単独又は組み合わせて使用することができる。粉乳としては、全粉乳、脱脂粉乳、ホエイパウダー、バターミルクパウダー、豆乳粉などが挙げられ、これらを単独又は組み合わせて使用することができる。好ましくは、本発明のベーカリー食品用ミックスは粉状である。本発明のベーカリー食品用ミックスにおける副原料の含有量は、本発明の乾熱処理小麦粉及び他の穀粉の残分であればよく、例えばミックス全量中0~90質量%である。該ミックスにおける副原料の種類及び含有量は、製造するベーカリー食品の種類や所望する品質に合わせて適宜決定することができる。
本発明の乾熱処理小麦粉、又はそれを含有する本発明のベーカリー食品用ミックスを用いてベーカリー食品用生地を製造することができる。本発明により製造されるベーカリー食品用生地は、好ましくはベーカリー用上掛け生地、又は焼き菓子生地である。
該ベーカリー食品用生地は、原料穀粉に本発明の乾熱処理小麦粉を使用する限り、従来公知の製法により製造することができる。例えば、該ベーカリー食品用生地は、本発明の乾熱処理小麦粉と該乾熱処理小麦粉以外の他の穀粉とを含む原料穀粉と、必要に応じて糖類、澱粉、食塩、油脂、卵粉、紛乳、グルテン、その他蛋白質、膨張剤、イースト、調味料、呈味材、着色料、香料などから選択される1種以上の副原料、及び必要に応じて水、液乳(牛乳、豆乳等)、卵(全卵、卵白又は卵黄等)などの水分とを混合することで製造することができる。当該他の穀粉、糖類、澱粉、卵粉、紛乳の例は上述したとおりである。あるいは、該ベーカリー食品用生地は、本発明のベーカリー食品用ミックスと、水、液乳、卵などの水分、及び必要に応じて副原料とを混合することで製造することができる。
製造したベーカリー食品の食感と口溶け向上の点、ならびに上掛け生地を有するベーカリー食品の「泣き」の抑制と上掛け生地の食感と口溶けの向上の点から、該ベーカリー食品用生地は、原料穀粉の全量中に、本発明の乾熱処理小麦粉を、好ましくは10~90質量%、より好ましくは30~70質量%含有する。また、該ベーカリー食品用生地の原料穀粉の全量中における、本発明の乾熱処理小麦粉以外の他の穀粉の含有量は、好ましくは10~90質量%、より好ましくは30~70質量%である。
該ベーカリー食品用生地における原料穀粉の組成及び含有量、ならびに副原料の種類及び含有量は、製造するベーカリー食品の種類や所望する品質に合わせて適宜決定することができる。例えば、焼成前の生地における、本発明の乾熱処理小麦粉及び他の穀粉を含む原料穀粉の含有量は、ベーカリー用上掛け生地の場合、好ましくは35~75質量%、より好ましくは45~55質量%であり、クッキー、ビスケット又はクラッカー生地の場合、好ましくは8~80質量%、より好ましくは20~60質量%である。
また例えば、焼成前のベーカリー用上掛け生地が糖類を含む場合、その含有量は、原料穀粉100質量部に対して30~100質量部が好ましい。焼成前のベーカリー用上掛け生地が澱粉を含む場合、その含有量は、原料穀粉100質量部に対して2~6質量部が好ましい。焼成前のベーカリー用上掛け生地が油脂を含む場合、その含有量は、原料穀粉100質量部に対して10~40質量部が好ましい。焼成前のベーカリー用上掛け生地が液卵(全卵、卵白又は卵黄)を含む場合、その含有量は、原料穀粉100質量部に対して10~40質量部が好ましい。ベーカリー用上掛け生地に水や液乳を添加する場合、焼成前の該生地におけるその量は、原料穀粉100質量部に対して5~15質量部が好ましい。ベーカリー用上掛け生地に膨張剤、イースト、調味料、呈味材、食塩、着色料、香料、又はその他の副原料を添加する場合、焼成前の該生地におけるその量は、原料穀粉100質量部に対して0.1~5質量部が好ましい。
該ベーカリー食品用生地には、さらにドライフルーツ、チョコチップなどのフィリングが含まれていてもよい。あるいは、該生地の表面に、焼成前に、グラニュー糖、チョコチップ、ドライフルーツ、ナッツなどをトッピングしたり、焼成後に、粉糖、チョコレート、フォンダンなどのアイシングを加えたりすることもできる。
本発明のベーカリー食品用生地の製法の代表的な例としては、油脂と糖類を均一に混合した後、卵、原料穀粉を順に混合する方法(シュガーバッター法)、又は、原料穀粉と油脂を充分に攪拌し、その後、糖類、卵を加えて混合する方法(フラワーバッター法)などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、本発明のベーカリー食品用生地はシュガーバッター法で製造される。好ましくは、本発明のベーカリー食品用生地は、イースト発酵を経ずに製造される。生地の製造の具体的な手順は、製造するベーカリー食品の種類に応じた当該分野で一般的な製法に従うことができる。
次いで、得られた該生地をオーブンなどで焼成すれば、ベーカリー食品を製造することができる。焼成の温度や時間は、ベーカリー食品の種類などに応じて適宜設定することができる。
あるいは、本発明のベーカリー食品用生地がベーカリー用上掛け生地である場合、該上掛け生地は、中生地と、それを覆う上掛け生地(外皮生地)からなるベーカリー食品を製造するために使用される。該上掛け生地に覆われる中生地としては、パン、菓子パン、ペイストリー、ケーキなどの通常のベーカリー食品の生地が挙げられ、その種類、配合、製法等は特に限定されない。これらの中生地は、それぞれの種類の生地について当該分野で一般的な製法に従って製造すればよい。パン生地の製法について例を挙げると、ストレート法、中種法、ノータイム法、液種法、サワー種法、再捏法、冷凍生地製法、冷蔵生地製法、湯種法などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
該中生地に本発明の上掛け生地を載せて、好ましくは該中生地の上面から該上掛け生地を覆い被せるか、又は該中生地全体を該上掛け生地で包み込んで、複合生地を形成する。この複合生地を必要に応じて2次発酵した後、焼成すれば、中生地が上掛け生地(外皮生地)で覆われたベーカリー食品(例えば、メロンパン)を製造することができる。
例えば、一般的なメロンパンの中生地の製造手順は、以下のとおりである。小麦粉、イースト、イーストフード、糖類、食塩、油脂類、乳製品、卵、水を主な材料として所定量で混合して、常法により捏ね上げる。その際、必要に応じてさらに油脂類、乳製品、卵などを加える。その後、フロアタイムを所定時間とり、次いで生地を適当な量に分割してから、ベンチタイムを所定時間とり、その後丸め直しの成型をすれば、メロンパン用の中生地を得ることができる。該中生地に、本発明のベーカリー用上掛け生地を覆い被せるか、又は該中生地全体を該上掛け生地で包み、その後、所定時間の2次発酵を行い、次いでオーブンにて所定の温度及び時間で焼成すれば、本発明の上掛け生地を有するメロンパンを得ることができる。
以下に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(乾熱処理小麦粉の調製)
薄力粉(平均粒径55μm)、普通小麦由来セモリナ(1CW、PH、内麦、ASW又はWW由来;平均粒径230~270μm、粒径200μm以上の画分を体積基準で50%以上含有)、及び普通小麦由来粗セモリナ(1CW由来;平均粒径375又は500μm、粒径200μm以上の画分を体積基準で70%以上含有)を、それぞれトンネル型オーブンで庫内温度180~300℃(段階的に変化)で約23分処理することにより、ロースト薄力粉、ローストセモリナ、ロースト粗セモリナ(いずれも水分含有量10質量%以下)を得た。
(試験例1)メロンパン
(1)上掛け生地の作製
下記表1記載の配合でベーカリー用上掛け生地を作製した。バターとグラニュー糖を最初に低速で4分間、次いで中速で1分間よく混ぜ合わせた後、全卵を徐々に加えて混ぜ、さらに原料粉を加えて低速1分間混ぜ合わせて生地を調製した。得られた生地を一晩冷蔵した後、生地を揉み直し、40gごとに分割した。
Figure 2022080184000001
(2)メロンパンの製造
下記表2記載の配合及び手順で、中生地を作製し、次いで得られた中生地と(1)の上掛け生地からメロンパンを製造した。
Figure 2022080184000002
(3)評価
(2)で製造したメロンパンを、焼成後ビニール袋に包装した状態で、24時間又は48時間まで室温(27℃)にて保管した。保管後のメロンパンの外皮生地の食感、外観、及び口溶けを、訓練された10人のパネラーにより下記評価基準にて評価し、その平均点を求めた。評価における対照には比較例1-2(24時間又は48時間保存後)を用いた。結果を表3に示す。
〔評価基準〕
(食感・外観)
5点:対照よりも表面のべたつきが少ない
4点:対照よりも表面のべたつきがやや少ない
3点:対照と同等のべたつきである
2点:対照よりも、外皮生地の表面にべたつきがややあり、「泣き」がみられる
1点:対照よりも、外皮生地の表面にべたつきが多く「泣き」が顕著である
(口溶け)
5点:対照よりも口溶けが優れる
4点:対照よりも口溶けがやや優れる
3点:対照と同等の口溶けである
2点:対照よりも口溶けがやや劣る
1点:対照よりも口溶けが劣る
Figure 2022080184000003
(試験例2)メロンパン
試験例1と同様の手順で、ただし上掛け生地の原料粉の配合を表4のとおり変更して、メロンパンを製造した。製造したメロンパンを、試験例1と同様の手順で比較例1-2を対照にして評価した。結果を表4に示す。表4には比較例1-1及び製造例1-1の結果を再掲する。
Figure 2022080184000004
(試験例3)クッキー
表5に示す材料を用いて、下記手順によりクッキーを製造した。
1) バターを軟らかくしてから、上白糖、食塩を加え、混ぜ合わせた。
2) 1)に全卵を数回に分けて加えて、混ぜ合わせた。
3) ベーキングパウダーを合わせて篩った原料粉を2)に加え、軽く混ぜ合わせた。
4) 生地を5mm厚に圧延し、抜き型(直径5cm円形)で切り抜いた。
5) 切り抜いた生地を180℃(上火180℃軟火、下火170℃軟火+下天板1枚)で15分焼成した。
製造したクッキーを、焼成40分後にビニール袋で包装し、保存した(湿度75%)。24時間及び7日間保存後のクッキーの食感と口溶けについて、訓練された10人のパネラーにより下記評価基準にて評価し、その平均点を求めた。評価における対照には比較例2-2(24時間保存後)を用いた。結果を表5に示す。
〔評価基準〕
(食感)
5点:対照よりも軽い食感
4点:対照よりもやや軽い食感
3点:対照と同等の食感
2点:対照よりも食感の軽さがやや劣る
1点:対照よりも食感の軽さが劣る
(口溶け)
5点:対照よりも口溶けが優れる
4点:対照よりも口溶けがやや優れる
3点:対照と同等の口溶けである
2点:対照よりも口溶けがやや劣る
1点:対照よりも口溶けが劣る
Figure 2022080184000005
(試験例4)クッキー
試験例3と同様の手順で、ただし原料粉の配合を表6のとおり変更して、クッキーを製造した。製造したクッキーを、試験例3と同様の手順で比較例2-2を対照にして評価した。結果を表6に示す。表6には比較例2-1及び製造例2-1の結果を再掲する。
Figure 2022080184000006

Claims (11)

  1. ベーカリー食品用の乾熱処理小麦粉であって、該小麦粉は、普通小麦由来の小麦粉であり、かつ該乾熱処理前の平均粒径が180μm以上である、乾熱処理小麦粉。
  2. 前記普通小麦が硬質小麦である、請求項1記載の乾熱処理小麦粉。
  3. 前記普通小麦が強力系小麦である、請求項1又は2記載の乾熱処理小麦粉。
  4. 前記ベーカリー食品がベーカリー用上掛け生地又は焼き菓子である、請求項1~3のいずれか1項記載の乾熱処理小麦粉。
  5. 前記焼き菓子がクッキー又はビスケットである、請求項4記載の乾熱処理小麦粉。
  6. 請求項1~5のいずれか1項記載の乾熱処理小麦粉を全穀粉量中に10~90質量%含有する、ベーカリー食品用ミックス。
  7. 前記乾熱処理小麦粉以外の小麦粉を全穀粉量中に10~90質量%含有する、請求項6記載のベーカリー食品用ミックス。
  8. 原料穀粉全量中に請求項1~5のいずれか1項記載の乾熱処理小麦粉を10~90質量%含有する、ベーカリー食品用生地。
  9. 原料穀粉全量中に前記乾熱処理小麦粉以外の小麦粉を10~90質量%含有する、請求項8記載のベーカリー食品用生地。
  10. 請求項8又は9記載のベーカリー食品用生地を焼成することを含む、ベーカリー食品の製造方法。
  11. 前記ベーカリー食品用生地を中生地に載せて焼成することを含む、請求項10記載の方法。
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