JP2022078384A - 光学部材及びその製造方法 - Google Patents

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Tomohiro Watanabe
貴則 加本
Takanori Kamoto
貴文 嶋谷
Takafumi Shimatani
小百合 中川
Sayuri Nakagawa
朋 田所
Tomo Tadokoro
紗友里 若村
Sayuri Wakamura
明典 山本
Akinori Yamamoto
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Abstract

【課題】優れた耐摩耗性及び光触媒活性を有する機能膜を備える光学部材を提供する。【解決手段】光学部材1は、透光性部材2と、前記透光性部材2を被覆する機能膜3とを備える。前記機能膜3は、紫外線により活性化される光触媒粒子と、リン酸チタニア又はペルオキソチタンである特定チタン酸化物とを含有する。前記光触媒粒子のうち少なくとも一部は、光触媒二次粒子4を構成する。光学部材1の製造方法は、紫外線により活性化される光触媒粒子と、特定チタン酸化物とを含有する機能膜3を透光性部材2上に形成する膜形成工程を備える。前記特定チタン酸化物は、リン酸チタニア又はペルオキソチタンである。前記光触媒粒子のうち少なくとも一部は、光触媒二次粒子4を構成する。【選択図】図1

Description

本発明は、光学部材及びその製造方法に関する。
特許文献1に記載の光触媒機能を有する部材は、基材上に主として光触媒活性を有する粒子からなる層が形成され、粒子層には平均粒径0.01μm未満の微粒子が分散配合されている。
特開平9-939号公報
しかしながら、特許文献1に記載の部材は、光学部材として使用する場合に粒子層の耐摩耗性が十分でない。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、優れた光触媒活性及び耐摩耗性を有する機能膜を備える光学部材を提供することにある。
本発明の例示的な光学部材は、透光性部材と、前記透光性部材を被覆する機能膜とを備える。前記機能膜は、紫外線により活性化される光触媒粒子と、リン酸チタニア又はペルオキソチタンである特定チタン酸化物とを含有する。前記光触媒粒子のうち少なくとも一部は、光触媒二次粒子を構成する。
本発明の例示的な光学部材の製造方法は、機能膜を透光性部材上に形成する膜形成工程を備える。前記機能膜は、紫外線により活性化される光触媒粒子と、リン酸チタニア又はペルオキソチタンである特定チタン酸化物とを含有する。前記光触媒粒子のうち少なくとも一部は、光触媒二次粒子を構成する。
例示的な本発明は、優れた光触媒活性及び耐摩耗性を有する機能膜を備える光学部材を提供できる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る光学部材の一例の模式図である。 図2は、図1の光学部材の変形例1の模式図である。 図3は、図1の光学部材の変形例2の模式図である。 図4は、図1の光学部材の製造時の一工程を示す模式図である。 図5は、実施例1、実施例2及び比較例1の光学部材の接触角を示すグラフである。 図6は、実施例1及び比較例1の光学部材の接触角を示すグラフである。
以下、図面を適宜参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお、図中、同一又は相当部分には同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
本明細書において、粒子又は凝集体の「平均粒径」は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察することによって求められる。具体的には、SEM画像により観察される測定対象(粒子又は凝集体)から、その全体像を確認できる任意の50個の測定対象を選択する。各測定対象について、最大径及び最小径をそれぞれ測定してその平均値を各測定対象の粒径とする。そして、50個のそれぞれの測定対象の粒径の平均値を「平均粒径」とする。なお、最大径は、測定対象の幾何中心を通り、かつ両端がそれぞれ測定対象の外縁に位置する線分の中で最長の線分の長さである。最小径は、測定対象の幾何中心を通り、かつ両端がそれぞれ測定対象の外縁に位置する線分の中で最短の線分の長さである。
本明細書において、「厚さ」は、平均厚さを意味する。「厚さ」は、接触式膜厚測定器(例えば、Bruker社製「DekTakXT-S」)により測定される。
<第1実施形態:光学部材>
本発明の第1実施形態に係る光学部材は、透光性部材と、透光性部材を被覆する機能膜とを備える。機能膜は、紫外線により活性化される光触媒粒子と、リン酸チタニア又はペルオキソチタンである特定チタン酸化物とを含有する。光触媒粒子のうち少なくとも一部は、光触媒二次粒子を構成する。以下、紫外線により活性される光触媒粒子を、単に「光触媒粒子」と記載することがある。
機能膜は、光触媒粒子を含有するため優れた光触媒活性を有する。具体的には、機能膜は、高い親水性を有する。即ち、機能膜は、水に対して高い濡れ性を有する。そのため、機能膜に水滴が付着すると、機能膜の表面に、ほぼ均一な厚さの水の膜が形成される。また、機能膜は、使用に伴って親水性が低下した場合においても、紫外線が照射されることで親水性を回復する。
第1実施形態に係る光学部材は、機能膜を有するため、水の付着する環境下で用いる光学部材として好適である。第1実施形態に係る光学部材は、例えば、屋外で使用される光学部材として好適である。具体的には、第1実施形態に係る光学部材は、車両の周囲をモニタするための車載カメラのレンズとして好適である。
第1実施形態に係る光学部材は、優れた耐摩耗性及び光触媒活性を有する機能膜を備える。機能膜が耐摩耗性及び光触媒活性に優れる理由は以下のように推察される。リン酸チタニア及びペルオキソチタンは、機能膜において、光触媒粒子の脱離を抑制するバインダのような役割を果たす。そのため、機能膜は、耐摩耗性に優れる。また、リン酸チタニアは、多孔質層を形成するため、紫外線を透過させ易い。更に、ペルオキソチタンは、機能膜において、ペルオキソチタン粒子が網目状に繋がることで構成されるキセロゲルとして存在するため、紫外線を透過させ易い。そのため、リン酸チタニア又はペルオキソチタンは、光触媒粒子を被覆した場合においても光触媒粒子の光触媒活性を低下させ難い。これらの結果、機能膜は、光触媒活性及び耐摩耗性に優れる。
機能膜は、バインダを更に含有することが好ましい。このように、機能膜がバインダを更に含有することで、機能膜の耐摩耗性がより向上する。なお、バインダは、特定チタン酸化物とは別の成分である。
以下、図1を参照して、第1実施形態に係る光学部材1を説明する。図1は、第1実施形態に係る光学部材1の模式図である。光学部材1は、透光性部材2と、透光性部材2を被覆する機能膜3とを備える。
[透光性部材]
図1に示すように、透光性部材2は、単一部材から構成されている。但し、後述する変形例1に示す通り、第1実施形態に係る光学部材の透光性部材は、複数の部材から構成されていてもよい。透光性部材2は透光性を有する。即ち、透光性部材2は光を透過させる。透光性部材2は、透明であってもよく、半透明であってもよい。透光性部材2は、例えば、ガラス又は樹脂を含有する。
透光性部材2の形状は、例えば、レンズ状である。透光性部材2の形状がレンズ状である場合、透光性部材2のレンズ面の曲率半径としては、10mm以上15mm以下が好ましい。透光性部材2の曲率半径が10mm未満である場合、透光性部材2の中心部と、透光性部材2の外縁部とで機能膜3の厚さのバラつきが大きくなる傾向がある。透光性部材2の曲率半径が15mm超である場合、光学部材1に所望の画角を付与し難くなる傾向がある。
[機能膜]
機能膜3は、光触媒活性を有する。具体的には、機能膜3は、親水性を有する。機能膜3の表面の純水に対する静的接触角としては、30.0度以下が好ましく、20.0度以下がより好ましく、10.0度以下が更に好ましい。以下、純水に対する静的接触角を、単に「接触角」と記載することがある。ここで、機能膜3の接触角は、機能膜3に紫外線を十分に照射した後に温度23℃±3℃、相対湿度50%±3%の環境で測定した値である。紫外線の照射条件は、例えば、波長352nm、照射時間96時間、放射照度1mW/cm2である。
機能膜3は、透光性部材2の表面のうち少なくとも一部を被覆する。機能膜3は、透光性部材2の表面のうち他の部材によって被覆されていない部分の全面を被覆していることが好ましい。
機能膜3は、光触媒粒子と、特定チタン酸化物と、バインダとを含有する。機能膜3において、特定チタン酸化物は特定チタン酸化物層5を形成する。機能膜3において、バインダはバインダ層6を形成する。
(光触媒粒子)
光触媒粒子は、光触媒を含有する一次粒子である。光触媒粒子のうち少なくとも一部は、光触媒二次粒子4を構成する。光触媒粒子のうち少なくとも一部は、一次粒子の状態で機能膜3に含有されていてもよい。光触媒粒子は、光触媒を含有する限り、光触媒以外の成分を更に含有していてもよい。光触媒以外の成分としては、例えば、電子補足効果を有する成分が挙げられる。電子補足効果を有する物質としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、鉄、ニッケル、コバルト、亜鉛及び酸化銅が挙げられる。光触媒粒子における光触媒の含有割合としては、90質量%以上が好ましく、99質量%以上がより好ましく、100質量%が更に好ましい。
光触媒粒子が含有する光触媒としては、例えば、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素、リン酸ガリウム、硫化カドミウム、セレン化カドミウム及び三硫化モリブデンが挙げられる。光触媒粒子は、酸化チタンを含有することが好ましい。光触媒粒子が酸化チタンを含有することで、機能膜3の光触媒活性がより向上する。
酸化チタンとしては、例えば、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン及びブルッカイト型酸化チタンが挙げられる。酸化チタンとしては、光触媒活性の観点から、アナターゼ型酸化チタンが好ましい。
光触媒粒子の平均粒径としては、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上18nm以下がより好ましい。光触媒粒子の平均粒径が1nm以上20nm以下であることにより、光学部材1の透光性が向上する。
機能膜3の光触媒活性を向上させる観点から、光触媒二次粒子4のうち一部は、機能膜3の表面に部分的又は完全に露出していることが好ましい。具体的には、全ての光触媒二次粒子4のうち機能膜3の表面に部分的又は完全に露出している粒子(以下、露出粒子と記載することがある)の割合としては、1%以上90%以下が好ましく、5%以上80%以下がより好ましく、10%以上70%以下が更に好ましい。露出粒子の割合は、電子顕微鏡により機能膜3の断面を観察し、任意の100個の光触媒二次粒子4のうちの露出粒子の個数の割合から算出される。
光触媒二次粒子4の平均粒径としては、10nm以上90nm以下が好ましく、10nm以上50nm以下がより好ましい。光触媒二次粒子4の平均粒径が10nm以上であることにより、光触媒二次粒子4がバインダ層6から露出し易くなる。その結果、機能膜3の光触媒活性がより向上する。光触媒二次粒子4の平均粒径が50nm以下であることにより、機能膜3の透光性が向上する。
光触媒二次粒子4のうち少なくとも一部は、凝集体4aを構成している。凝集体4aは、複数の光触媒二次粒子4により構成される。このように、光触媒二次粒子4が凝集体4aを構成していることで、光触媒二次粒子4が機能膜3の表面に露出し易くなる。その結果、機能膜3の光触媒活性がより向上する。また、光触媒二次粒子4が凝集体4aを構成していることで、機能膜3の透光性が向上する。凝集体4aの平均粒径としては、20nm以上200nm以下が好ましく、60nm以上150nm以下がより好ましい。凝集体4aの平均粒径が20nm以上であることにより、光触媒二次粒子4が機能膜3の表面に更に露出し易くなる。凝集体4aの平均粒径が200nm以下であることにより、機能膜3の透光性がより向上する。なお、複数の凝集体4aは、バインダ層6中で接触していてもよい。このように、複数の凝集体4aがバインダ層6中で接触していることで、電池構造が形成され、機能膜3の光触媒活性が向上する。
(特定チタン酸化物層)
機能膜3は、特定チタン酸化物を含有する特定チタン酸化物層5を備える。光触媒二次粒子4のうち少なくとも一部は、特定チタン酸化物層5により部分的又は完全に被覆されている。機能膜3がこのような層構造を有することで、特定チタン酸化物層5が光触媒二次粒子4の脱離を効果的に抑制する。その結果、機能膜3の耐摩耗性がより向上する。
特定チタン酸化物としては、リン酸チタニアが好ましい。リン酸チタニアは、自身も可視光により活性化される光触媒である。そのため、特定チタン酸化物としてリン酸チタニアを用いた光学部材1は、可視光によっても機能膜3が光触媒活性を発揮するため、直射日光に晒されない空間(例えば、室内及び車内)での使用に好適である。
リン酸チタニアは、分子内にTi-O-P結合を有する化合物である。リン酸チタニアは、水系溶剤中でハロゲン化チタン(例えば、四塩化チタン)と、リン源(例えば、リン酸)とを反応させることで得られる。水系溶剤としては、例えば、水及びアルコール化合物を含有する混合溶剤が挙げられる。
ペルオキソチタンは、分子内にTi-O-O-Ti結合を有する化合物である。ペルオキソチタンは、例えば、以下の方法で得られる。まず、チタン塩化物(例えば、四塩化チタン)と、アルカリ化合物(例えば、アンモニア又は水酸化ナトリウム)とを水溶液中で反応させる。これにより、水酸化チタンTi(OH)4が得られる。この水酸化チタンを過酸化水素水で処理することで、ペルオキソチタンが得られる。
特定チタン酸化物は、非晶質であることが好ましい。このように、特定チタン酸化物が非晶質であることで、光触媒二次粒子4及びバインダ層6に対する特定チタン酸化物層5の密着性が向上する。その結果、機能膜3の耐摩耗性がより向上する。
(バインダ層)
機能膜3は、バインダを含有するバインダ層6を備える。バインダ層6は、透光性部材2を被覆する。光触媒二次粒子4のうち少なくとも一部は、バインダ層6に部分的に埋もれている。機能膜3がこのような層構造を有することで、バインダ層6が光触媒二次粒子4の脱離を効果的に抑制できる。その結果、機能膜3の耐摩耗性がより向上する。
バインダは、無機バインダ及び有機バインダの何れであってもよい。無機バインダとしては、例えば、シリカ及びシリケートが挙げられる。有機バインダとしては、例えば、樹脂が挙げられる。光触媒活性によるバインダの分解を抑制する観点から、バインダとしては、無機バインダが好ましく、シリカ又はシリケートがより好ましい。
バインダ層6の厚さとしては、5nm以上50nm以下が好ましく、10nm以上30nm以下がより好ましい。バインダ層6の厚さが5nm以上であることにより、光触媒二次粒子4の脱離が効果的に抑制される。その結果、機能膜3の耐摩耗性がより向上する。バインダ層6の厚さが50nm以下であることにより、光触媒二次粒子4がバインダ層6から露出し易くなる。その結果、機能膜3の光触媒活性がより向上する。
<変形例1>
次に、図2を参照して、光学部材1の変形例1に係る光学部材11を説明する。光学部材11は、透光性部材12と、透光性部材12を被覆する機能膜13とを備える。透光性部材12は、基材12aと、基材12aを被覆する反射防止膜12bとを備える。機能膜13は、透光性部材12における反射防止膜12bを被覆する。機能膜13は、光触媒二次粒子14、特定チタン酸化物層15及びバインダ層16を備える。
変形例1に係る光学部材11は、図1の光学部材1と比較し、透光性部材12が単一部材ではなく、複数の部材(基材12a及び反射防止膜12b)から構成されるという点のみが相違する。そのため、光学部材1と重複する説明については省略する。透光性部材12は、図1の光学部材1と比較し、反射防止膜12bを備えることにより光学特性に優れる。
(基材)
基材12aは透光性を有する。即ち、基材12aは光を透過させる。基材12aは、透明であってもよく、半透明であってもよい。基材12aは、ガラス又は樹脂を含有する。
(反射防止膜)
反射防止膜12bは、光の反射を抑制する。具体的には、光学部材11は、反射防止膜12bを備えることにより、機能膜13側の表面から透光性部材12に進入しようとする光が機能膜13側の表面で反射することを抑制する。
反射防止膜12bは、一層構造でもよく、多層構造でもよい。反射防止膜12bは、例えば、金属又は金属酸化物を含有する。反射防止膜12bは、例えば、蒸着膜又はスパッタリング膜である。
反射防止膜12bの厚さとしては、200nm以上400nm以下が好ましい。反射防止膜12bの厚さが200nm未満の場合、十分な反射防止効果が得られない傾向がある。反射防止膜12bの厚さが400nm超の場合、光学部材1の生産性が低下する傾向がある。
<変形例2>
次に、図3を参照して光学部材1の変形例2に係る光学部材21を説明する。光学部材21は、透光性部材22と、透光性部材22を被覆する機能膜23とを備える。機能膜23は、特定チタン酸化物と、光触媒二次粒子24とを含有する。機能膜23において、特定チタン酸化物は、特定チタン酸化物層25を形成する。光触媒二次粒子24のうち少なくとも一部は、特定チタン酸化物層25に部分的に埋もれている。
変形例2に係る光学部材21は、図1の光学部材1と比較し、バインダ層を備えず、かつ光触媒二次粒子24が凝集体を構成していないという点が相違する。光学部材21についての説明のうち、光学部材1と重複する説明については省略する。光学部材21は、バインダ層を備えないため、図1の光学部材1よりも生産性に優れる。
[その他の変形例]
以上、第1実施形態に係る光学部材について、図面を参照しつつ説明した。しかし、第1実施形態に係る光学部材は、図1の光学部材1、図2の光学部材11、及び図3の光学部材21に限定されない。
具体的には、機能膜は、光触媒粒子、特定チタン酸化物及びバインダを含有する限り、他の成分を更に含有していてもよい。また、バインダは、バインダ層を形成していなくてもよい。更に、光触媒二次粒子のうち少なくとも一部は、バインダ層に完全に埋もれていてもよい。更に、全ての光触媒二次粒子が特定チタン酸化物層により部分的又は完全に被覆されていてもよい。更に、機能膜は、バインダを含有していなくてもよい。更に、特定チタン酸化物は、特定チタン酸化物層を形成していなくてもよい。
なお、バインダ又は特定チタン酸化物が「層を形成していない」とは、機能膜が含有するバインダ又は特定チタン酸化物の含有量が比較的少量であり、バインダ層又は特定チタン酸化物層の層構造が明確に観察されない状態を示す。
<第2実施形態:光学部材の製造方法>
本発明の第2実施形態に係る光学部材の製造方法について説明する。光学部材の製造方法は、機能膜を透光性部材上に形成する膜形成工程を備える。機能膜は、紫外線により活性化される光触媒粒子と、リン酸チタニア又はペルオキソチタンである特定チタン酸化物とを含有する。光触媒粒子のうち少なくとも一部は、光触媒二次粒子を構成する。光学部材の製造方法は、第1実施形態に係る光学部材を容易に製造できる。
膜形成工程は、光触媒粒子を含有する第1塗布液を透光性部材の表面に塗布する第1塗布工程と、第1塗布工程後、リン酸チタニア粒子又はペルオキソチタン粒子を含有する第2塗布液を透光性部材の表面に更に塗布する第2塗布工程とを備えることが好ましい。塗布されたリン酸チタニア粒子又はペルオキソチタン粒子は、特定チタン酸化物層を形成する。このように、膜形成工程が第1塗布工程及び第2塗布工程を備えることで、光触媒二次粒子のうち少なくとも一部が特定チタン酸化物層により部分的又は完全に被覆される。その結果、形成される光学部材の機能膜の耐摩耗性がより向上する。
第1塗布液及び第2塗布液の塗布方法としては、ウェットプロセスが好ましい。ウェットプロセスとしては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、バーコート法、ディップコート法、スプレーコート法及びこれらのうち2以上を組み合わせた方法(例えば、ディップスピンコート法)が挙げられる。ウェットプロセスとしては、スピンコート法、ディップコート法又はディップスピンコート法が好ましい。
第1塗布液は、バインダ原料を更に含有することが好ましい。塗布液が含有するバインダ原料としては、例えば、シラン化合物及びシリカ粒子が挙げられる。シラン化合物としては、例えば、アルコキシシラン、シラザン、及びこれらを原料とするオリゴマー(以下、シリケートオリゴマーと記載することがある)が挙げられる。アルコキシシランは、一般式「Si(R14-X(OR2X」で表される化合物である。一般式中、R1は、水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基又は炭素原子数1以上10以下のアリール基を表す。R2は、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表す。R2は、メチル基又はエチル基を表すことが好ましい。一般式中、Xは、1以上4以下の整数を表し、4を表すことが好ましい。アルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランが挙げられる。バインダ原料としては、シラン化合物が好ましく、シリケートオリゴマーがより好ましく、アルコキシシランを原料とするシリケートオリゴマーが更に好ましい。
第1塗布液における光触媒粒子の含有割合としては0.01質量%以上50質量%以下が好ましい。第1塗布液をスピンコート法又はディップスピンコート法で塗布する場合、回転速度としては、500rpm以上10000rpm以下が好ましい。第1塗布液の固形分濃度としては、1.0質量%以上10質量%以下が好ましい。
第1塗布液及び第2塗布液は、各々、溶剤を更に含有することが好ましい。溶剤としては、水系溶剤が好ましい。水系溶剤は、水及び添加物を含有する。添加物としては、例えば、有機酸、アルコール化合物及びアンモニアが挙げられる。水系溶剤における添加物の含有割合としては、0質量%超20質量%以下が好ましい。有機酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、クエン酸及びリンゴ酸が挙げられる。アルコール化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール及びブタノールが挙げられる。
第1塗布工程では、塗布後に第1塗布液を加熱処理することが好ましい。加熱処理により、第1塗布液中の揮発性成分の除去が促進される。また、第1塗布液がバインダ原料としてシラン化合物を含有する場合、加熱処理によりシラン化合物の化学反応(例えば、加水分解縮合反応)が促進される。加熱条件としては、例えば、処理温度60℃以上200℃以下、処理時間10分以上10時間以下とすることができる。
第2塗布液をスピンコート法又はディップスピンコート法で塗布する場合、回転速度としては、500rpm以上10000rpm以下が好ましい。
なお、光学部材の製造方法は、膜形成工程前、透光性部材の表面を処理する表面処理工程を更に備えることが好ましい。表面処理は、例えば、プラズマ処理、電子ビーム処理、コロナ処理及びフレーム処理が挙げられる。プラズマ処理としては、例えば、高周波放電プラズマ処理又は大気圧グロー放電プラズマ処理が挙げられる。これらの表面処理は、複数を組み合わせて用いることもできる。
以下、第2実施形態に係る光学部材の製造方法について、図1の光学部材1の製造方法を例に挙げて説明する。光学部材1の製造方法は、機能膜3を透光性部材2上に形成する膜形成工程を備える。機能膜3は、光触媒二次粒子4と、特定チタン酸化物と、バインダとを含有する。膜形成工程は、第1塗布工程と、第2塗布工程とを備える。第1塗布工程では、光触媒粒子及びバインダ原料を含有する第1塗布液を透光性部材2の表面に塗布する。乾燥工程では、塗布された第1塗布液を乾燥させる。第2塗布工程では、第1塗布工程後、リン酸チタニア粒子又はペルオキソチタン粒子を含有する第2塗布液を透光性部材2の表面に更に塗布する。以下、各工程について説明する。
(第1塗布工程)
本工程では、光触媒粒子及びバインダ原料を含有する第1塗布液を透光性部材2の表面に塗布する。本工程により、図4に示すように、第1塗布液が含有するバインダ原料からバインダ層6が形成される。バインダ層6は、透光性部材2を被覆する。光触媒二次粒子4のうち少なくとも一部は、バインダ層6に部分的に埋もれている。光触媒二次粒子4は、凝集体4aを構成する。
(第2塗布工程)
本工程では、リン酸チタニア粒子又はペルオキソチタン粒子を含有する第2塗布液を透光性部材2の表面に更に塗布する。リン酸チタニア粒子又はペルオキソチタン粒子は、第2塗布液中の揮発性成分が除去されることにより、特定チタン酸化物層5を形成する。
光触媒二次粒子4のうち少なくとも一部は、特定チタン酸化物層5により、部分的又は完全に被覆される。これにより、光学部材1が得られる。本工程では、塗布後に第2塗布液を加熱することが好ましい。具体的な加熱方法としては、例えば、第1塗布工程で述べた加熱方法と同様の方法が挙げられる。
[実施例1]
以下の方法により、実施例1の光学部材を製造した。実施例1の光学部材の機能膜は、図2に示す光学部材11の機能膜13と概ね類似する層構造を有していた。
(透光性部材)
基材として、レンズ(HOYA株式会社製「TAFD-5G」、組成:ガラス、レンズ面の曲率半径12mm)を用意した。次に、レンズ上に反射防止膜(組成:SiO2層、TiO2層、及びTa25層)を形成した。反射防止膜の合計厚さは、約300nmであった。これにより、透光性部材を得た。次に、透光性部材の反射防止膜の表面に対して表面処理を行った。表面処理としては、プラズマ表面改質装置を用いたプラズマ処理を行った。
(第1塗布液)
酸化チタン粒子の水分散体(石原産業株式会社製「STS-01」、酸化チタン粒子の平均粒径:7nm、酸化チタン粒子濃度:30質量%)1mLに、イソプロピルアルコール29mLを添加し、混合液Aを得た。酸化チタン粒子及びバインダ原料(シリケートオリゴマー)を含有するコーティング剤(石原産業株式会社製「ST-K211」、溶剤:水及びエタノール、固形分濃度:0.2質量%)と、混合液Aとを、質量比1:1で混合し、これを第1塗布液とした。
(第2塗布液)
イソプロピルアルコール25mLと精製水25mLとの混合液に、四塩化チタン5mLを攪拌しながら添加することで四塩化チタン溶液を得た。この四塩化チタン溶液に体積が100倍となるように精製水を添加(100倍希釈)し、四塩化チタン希釈溶液を得た。この四塩化チタン希釈溶液に、リン酸水溶液(リン酸濃度:85質量%)5mLを添加することで第2塗布液を得た。第2塗布液は、リン酸チタニア粒子を含有していた。
透光性部材の反射防止膜の表面に、第1塗布液を塗布した。第1塗布液の塗布は、スピンコーター(ミカサ株式会社製「MS-B100」)を用い、回転速度5000rpmで行った。塗布後、80℃、30分間の加熱処理を行った。
乾燥処理後、透光性部材の反射防止膜の表面に、第2塗布液を更に塗布した。第2塗布液の塗布は、スピンコーター(ミカサ株式会社製「MS-B100」)を用い、回転速度5000rpmで行った。塗布後、80℃、30分間の加熱処理を行った。これにより、実施例1の光学部材を得た。
実施例1の光学部材の断面を、SEM(日本電子株式会社製「JSM-7900F」)で観察した。実施例1の光学部材は、バインダ層の厚さが20nm、光触媒二次粒子の平均粒径が10nm、光触媒二次粒子の凝集体の平均粒径が50nmであった。また、実施例1の光学部材は、第2塗布液に含まれるリン酸チタニア粒子同士が結合し、多孔質の特定チタン酸化物層が形成されていた。
[実施例2]
以下の点を変更した以外は、実施例1と同様の方法により、実施例2の光学部材を製造した。実施例2の光学部材の製造では、第2塗布液として、以下の方法で調製した塗布液を用いた。
(第2塗布液)
四塩化チタン水溶液(濃度60質量%)1mLに蒸留水を添加して体積を100mLに調整し、これにより四塩化チタン希釈水溶液を得た。この四塩化チタン希釈水溶液に、過酸化水素水溶液(濃度30質量%)4mLを加えて攪拌し、混合液を得た。この混合液に水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH7に調整することで、ペルオキソチタン水和物を含有するペルオキソチタン水和物溶液を得た。得られたペルオキソチタン水和物溶液を25℃で一昼夜静置し、黄色の析出沈殿物を生成させた。この析出沈殿物をろ過及び洗浄した後、蒸留水を添加して体積を約30mLに調整し、これにより反応溶液を得た。反応溶液に、陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂をそれぞれ5gずつ投入し、その後、30分間静置した。静置後の反応溶液をろ過し、陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂を取り除いた。ろ過後の反応溶液に蒸留水を添加して体積を約36mLに調整し、その後、反応溶液を冷却した。冷却後の反応溶液に、過酸化水素水(濃度0.3g/mL)4mLを加えた後、更に冷却した。これにより、ペルオキソチタン粒子を含有する第2塗布液を作製した。
上述の陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂の準備方法は以下の通りである。オルガノ株式会社製「アンバーライトIR120B(Na+置換型)」を2N塩酸で1時間処理した後に洗浄することでH+置換型に変更した。これを陽イオン交換樹脂として用いた。オルガノ株式会社製「アンバーライトIRA410(Cl-置換型)」を1N水酸化ナトリウムで1時間処理した後に洗浄することでOH-置換型に変更した。これを陰イオン交換樹脂として用いた。
実施例2の光学部材の断面を、上述のSEMで観察した。実施例2の光学部材は、第2塗布液に含まれるペルオキソチタン粒子が適度に分散した状態(キセロゲル状)でバインダ層及び光触媒二次粒子上に堆積することにより、特定チタン酸化物層が形成されていた。それ以外の点は、実施例1の光学部材の観察結果と同様であった。
[比較例1]
以下の点を変更した以外は、実施例1と同様の方法により、比較例1の光学部材を製造した。比較例1の光学部材の製造では、第2塗布液を塗布しなかった。
比較例1の光学部材の断面を、上述のSEMで観察した。比較例1の光学部材の機能膜は、特定チタン酸化物層が存在していないという点以外の点は、実施例1の光学部材の観察結果と同様であった。
<評価>
以下の方法により、各光学部材の機能膜の耐摩耗性と、室内での光触媒活性とを評価した。なお、各測定は、いずれも温度23℃±3℃、相対湿度50%±3%の環境下で行った。
[耐摩耗性]
実施例1、実施例2及び比較例1の各光学部材について、耐摩耗性を測定した。まず、各光学部材の機能膜の表面の接触角を測定した。得られた結果を初期の接触角(A)とした。接触角の測定は、試料として純水を用い、測定機器として自動接触角計(協和界面科学株式会社製「DMo-601」)を用いた。なお、本実施例では、以降の各接触角の測定についても上述の自動接触角計で行った。本実施例では、機能膜の表面の接触角は、30度以下を良好、20度以下をより良好、15度以下を特に良好と判定される。
次に、紙ワイパー(日本製紙クレシア株式会社製「ケイドライ(登録商標)」)を用い、各光学部材の機能膜の表面を10往復軽くこすった。その後、各光学部材の機能膜の表面の接触角を測定した。得られた結果を払拭処理1回目の接触角(B)とした。
次に、各光学部材の機能膜の表面に紫外線を照射した。紫外線の照射条件は、波長352nm、照射時間4時間、放射照度1mW/cm2とした。その後、各光学部材の機能膜の表面の接触角を測定した。得られた結果を紫外線照射1回目の接触角(C)とした。
次に、紙ワイパー(日本製紙クレシア株式会社製「ケイドライ(登録商標)」)を用い、各光学部材の機能膜の表面を20往復軽くこすった。その後、各光学部材の機能膜の表面の接触角を測定した。得られた結果を払拭処理2回目の接触角(D)とした。
次に、各光学部材の機能膜の表面に紫外線を照射した。紫外線の照射条件は、波長352nm、照射時間4時間、放射照度1mW/cm2とした。その後、各光学部材の機能膜の表面の接触角を測定した。得られた結果を紫外線照射2回目の接触角(E)とした。各測定結果を下記表1及び図5に示す。なお、図5では、実施例1を「I」、実施例2を「II」、比較例1を「III」で示す。図6についても同様である。
Figure 2022078384000002
表1及び図5に示すように、各光学部材は、払拭処理を行うことで機能膜の表面の接触角が増大した(親水性が低下した)。これは、払拭処理によって機能膜から一部の光触媒粒子が脱離し、かつ機能膜の表面に有機物が付着したためと判断される。一方、各光学部材は、各々、紫外線照射によって光触媒活性を発揮し、機能膜の表面の接触角が低下した(親水性が回復した)。
実施例1及び2の各光学部材は、比較例1の光学部材と比較し、機能膜の表面の初期の接触角(A)は同程度であった。このことから、機能膜は、優れた光触媒活性を有すると判断される。即ち、特定チタン酸化物は、機能膜の光触媒活性を低下させ難いことが確認された。
また、実施例1及び2の各光学部材は、比較例1の光学部材と比較し、機能膜の表面の紫外線照射2回目の接触角(E)が低かった(接触角30度以下)。これは、実施例1及び2の各光学部材は、機能膜の耐摩耗性に優れ、2回の払拭処理によっても機能膜の光触媒活性が維持されたためであると判断される。このことから、機能膜が特定チタン酸化物を含有することで、機能膜の耐摩耗性が向上すると判断される。
更に、実施例1の光学部材は、実施例2の光学部材と比較し、機能膜の表面の初期の接触角(A)は同程度であったが、その後は何れの段階においても機能膜の表面の接触角が低かった。このことから、機能膜の耐摩耗性を向上させるためには、実施例1で用いたリン酸チタニアの方が実施例2で用いたペルオキソチタンよりも有効であると判断される。
[室内での光触媒活性]
実施例1及び比較例1の各光学部材について、室内での光触媒活性を測定した。測定は、LED照明下の室内(約300ルクス)で行った。まず、各光学部材の機能膜の表面の接触角を測定した。得られた結果を0日目の接触角とした。
次に、各光学部材をLED照明下の室内で30日間保管した。そして、1日目、5日目、10日目、15日目、20日目、25日目、及び30日目に、各光学部材の機能膜の表面の接触角を測定した。測定結果を下記表2及び図6に示す。
Figure 2022078384000003
表2及び図6に示すように、実施例1の光学部材は、30日目においても機能膜の表面の接触角が15度以下であり、室内においても一定の親水性が維持された。一方、比較例1の光学部材は、30日目には機能膜の表面の接触角が30度以上となり、室内では親水性が維持されなかった。以上から、特定チタン酸化物としてリン酸チタニアを用いることで、機能膜が可視光によっても光触媒活性を発揮することが確認された。
本発明は、センサ又は撮影機器用の光学部材又はその製造方法として好適である。
1、11、21 光学部材
2、12、22 透光性部材
12a 基材
12b 反射防止膜
3、13、23 機能膜
4、14、24 光触媒二次粒子
4a、14a 凝集体
5、15、25 特定チタン酸化物層
6、16、26 バインダ層

Claims (11)

  1. 透光性部材と、
    前記透光性部材を被覆する機能膜と
    を備え、
    前記機能膜は、
    紫外線により活性化される光触媒粒子と、
    リン酸チタニア又はペルオキソチタンである特定チタン酸化物と
    を含有し、
    前記光触媒粒子のうち少なくとも一部は、光触媒二次粒子を構成する、光学部材。
  2. 前記光触媒粒子は、酸化チタンを含有する、請求項1に記載の光学部材。
  3. 前記特定チタン酸化物は、リン酸チタニアである、請求項1又は2に記載の光学部材。
  4. 前記特定チタン酸化物は、非晶質である、請求項1から3のいずれかに記載の光学部材。
  5. 前記光触媒二次粒子のうち少なくとも一部は、凝集体を構成し、
    前記凝集体の平均粒径は、20nm以上200nm以下である、請求項1から4のいずれかに記載の光学部材。
  6. 前記機能膜は、バインダを更に含有する、請求項1から5のいずれかに記載の光学部材。
  7. 前記機能膜は、前記バインダを含有するバインダ層を備え、
    前記バインダ層は、前記透光性部材を被覆し、
    前記光触媒二次粒子のうち少なくとも一部は、前記バインダ層に部分的に埋もれている、請求項6に記載の光学部材。
  8. 前記機能膜は、前記特定チタン酸化物を含有する特定チタン酸化物層を備え、
    前記光触媒二次粒子のうち少なくとも一部は、前記特定チタン酸化物層により部分的又は完全に被覆されている、請求項1から7のいずれかに記載の光学部材。
  9. 前記光触媒二次粒子の平均粒径は、10nm以上50nm以下である、請求項1から8のいずれかに記載の光学部材。
  10. 機能膜を透光性部材上に形成する膜形成工程
    を備え、
    前記機能膜は、紫外線により活性化される光触媒粒子と、リン酸チタニア又はペルオキソチタンである特定チタン酸化物とを含有し、
    前記光触媒粒子のうち少なくとも一部は、光触媒二次粒子を構成する、光学部材の製造方法。
  11. 前記膜形成工程は、
    前記光触媒粒子を含有する第1塗布液を前記透光性部材の表面に塗布する第1塗布工程と、
    前記第1塗布工程後、リン酸チタニア粒子又はペルオキソチタン粒子を含有する第2塗布液を前記透光性部材の表面に更に塗布する第2塗布工程と
    を備える、請求項10に記載の光学部材の製造方法。
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