JP2022077525A - バガスを利用した脱臭方法およびバガスを含む脱臭洗浄用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】より優れた脱臭手段および洗浄用組成物を提供する。【解決手段】バガスを含む組成物を用意するステップと、脱臭対象の臭気成分が含まれている区域に、前記組成物を設置し、前記組成物により前記臭気成分を吸着するステップと、前記臭気成分を吸着した前記組成物を除去するステップとを実行する。【選択図】図1

Description

本発明は、サトウキビの搾汁後の残渣であるバガスを利用した脱臭方法に関する。
生活環境における臭気は、通常、交通機関、工業施設、家庭からの廃棄物や汚染物、および動物や人間の分泌物における揮発性物質から発生し、このような物質は臭気成分と呼ばれる。台湾では、大気汚染防止法が制定されており、その施行規則において、嫌悪感などの感情的な悪影響を与える臭気を有する汚染物質を臭気物質と定義し、大気汚染物質に分類している。日本では、悪臭防止法において、不快なにおいの原因となり、生活環境を損なうおそれのある物質を臭気物質と定義し、アルデヒド類を含む22種の物質を臭気物質として指定している。
生活環境における一般的な臭気成分の主な種類として以下に挙げるものがある。
(イ)アンモニア、トリメチルアミン、メチルアミン、エチルアミンなどの有機窒素化合物。生ごみ、排泄物、下水道のようなにおいがする。
(ロ)硫化水素、メチルメルカプタンなどの有機硫黄化合物。腐敗した野菜、排泄物、下水道のようなにおいがする。
(ハ)イソ吉草酸、吉草酸、酪酸などの短鎖脂肪酸。汗、靴下、洗濯物のようなにおいがする。
(ニ)アセトアルデヒド、2-ノネナールなどのアルデヒド類。喫煙や飲酒後の口臭や、いわゆる加齢臭のようなにおいがする。
(ホ)スチレン、キシレン、トルエンなどの芳香族炭化水素。ガスやガソリンのようなにおいがする。
このような臭気成分を除去するための従来の脱臭方法としては、(1)物理的吸着による臭気成分の除去、(2)オゾンによる臭気成分の分解、(3)微生物による臭気成分の分解、(4)紫外線による臭気成分の光触媒分解、などが挙げられる。しかし、人間が分泌する汗や皮脂の酸化や細菌による分解で発生する頭皮臭、汗臭、腋臭、加齢臭などに対しては、消臭剤や芳香剤や抗菌剤などの個人用のデオドラント製品でにおいをカバーやブロックするか、細菌の繁殖を抑えることでにおいの発生を防ぐかしかできないため、通常、脱臭効果は非常に限定的である。
現在では、例えば、皮脂に由来する頭皮臭を抑える手段として、余分な皮脂を吸収するための、主にデンプン、アルミノケイ酸塩、タルクなどを成分としたパウダー状のドライシャンプー製品や、香料を含むエアゾール状のドライシャンプー製品などが販売されているが、通常これらのドライシャンプーは、脱臭効果に優れているとは言い難く、また成分が頭皮に残留しやすいため、肌荒れや皮脂腺のつまり、さらには毛嚢炎の原因にもなる。
一方、2010年には三井製糖が、サトウキビポリフェノールを多く含むサトウキビ抽出物を利用した脱臭方法と製品を発表した。このサトウキビ抽出物には、有機窒素化合物、有機硫化物、芳香族炭化水素などの臭気成分を吸着する効果があることを示す実験結果が示されており、肉や魚の生臭さ、たばこのにおい、寝具のにおいなどの除去に適しているとされている。
このように各種の脱臭製品が既にあるものの、本願発明者らは更なる脱臭効果の向上を目指して研究を重ねている。本願発明者らはこれまでの研究で、サトウキビの搾汁後の残渣を乾燥したバガスに、臭気成分と油脂との両方に対して優れた吸着能力があることを発見した。またバガスは、脱臭のために人体に使用しても、残留の心配がない。
三井製糖,"さとうきび抽出物",[online],[2021年10月29日検索],インターネット <URL:https://www.mitsui-sugar.co.jp/products/sugarcane.html>
そこで、本発明の目的は、上記知見に鑑みて開発した脱臭手段および脱臭洗浄用組成物を提供することにある。
本発明によれば、(a)バガスを含む組成物を用意するステップと、(b)脱臭対象の臭気成分が含まれている区域に、前記組成物を設置し、前記組成物により前記臭気成分を吸着するステップと、(c)前記臭気成分を吸着した前記組成物を除去するステップと、を含む脱臭方法を提供する。
また、本発明は、他の態様として、バガスを、洗浄用組成物における臭気成分吸着材として使用する、脱臭方法を提供する。
また、本発明は、他の態様として、バガスと、多孔質繊維材料、デンプン、アルミノケイ酸塩鉱物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される吸着材と、を含む脱臭洗浄用組成物を提供する。
本発明によれば、バガスを含む組成物を用いることで、脱臭を行うと共に油脂も吸着することができ、このような組成物を脱臭洗浄用組成物として用いると、臭気成分と油脂の両方を除去することができ洗浄効果に優れる上に、人体に使用しても容易に除去できるので残留の心配がない脱臭洗浄用組成物を提供できる。
バガス粉末、カオリン粉末、竹炭粉末、コーンスターチ、タピオカスターチがそれぞれ油滴と接触した瞬間の状態を示したもので、図中、Aはバガス粉末、Bはカオリン粉末、Cは竹炭粉末、Dはコーンスターチ、Eはタピオカスターチである。
以下、本発明を実施例を挙げて詳しく説明する。なお、本明細書においては刊行物を引用する場合もあるが、それらの引用はその引用内容が本願発明の技術分野における一般常識であることを表すものではないことを理解されたい。また、本願明細書における「含む」、「含有する」、「有する」などの用語は、他の成分の含有を排除する意味を有しないことも予め断っておく。
本願発明者らは、脱臭用素材の開発において、バガスが臭気成分だけでなく油脂に対しても優れた吸着能力を発揮し、なお且つ除去が容易で残留しにくいという特性があることを思いがけず発見し、そこでバガスを利用した脱臭手段の開発に注力した。
<脱臭方法>
本発明の一実施形態として、以下のステップを含む脱臭方法を提供する。
(a)バガスを含む組成物を用意するステップ、
(b)脱臭対象の臭気成分が含まれている区域に、上記組成物を設置し、上記組成物により上記臭気成分を吸着するステップ、
(c)上記臭気成分を吸着した上記組成物を除去するステップ。
なお、本明細書における「脱臭」という用語は、ある区域から臭気成分(すなわち、臭気の原因となる物質)を減らす、または消去する、または除去することで、具体的にはその区域における空気中に漂う臭気成分や、その区域にある物体(例えば人体)の表面にある臭気成分を減らす、または消去する、または除去することで、臭気、悪臭、または香りといった各種のにおいを軽減するまたは消去することを意味する。
本実施形態において、上記臭気成分は、有機窒素化合物(例:アンモニア、トリメチルアミン、メチルアミン、エチルアミン)、有機硫黄化合物(例:硫化水素、メチルメルカプタン)、短鎖脂肪酸(例:イソ吉草酸、吉草酸、酪酸)、アルデヒド類(例:アセトアルデヒド、2-ノネナール)およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるものであり得る。本実施形態が効果を発揮する脱臭対象としては特にアルデヒドが挙げられ、より特には2-ノネナールが挙げられる。
本発明において用いるバガスとしては、当業者が一般に慣用している通常の技術を用いて、サトウキビ属(Saccharum)の植物の茎を加工処理することによって得られたものを使用することができる。
本発明で使用するのに適したサトウキビ属の植物としては、白サトウキビ(茎の外観が白っぽい種類)、赤サトウキビ(茎の外観が赤茶色っぽい種類)、ホソサトウキビ(Saccharum barberi)、およびそれらの雑種が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本実施形態では、白サトウキビの雑種を用いた。
上記加工処理は、乾燥工程と粉砕工程を少なくとも含むことが好ましく、即ち本実施形態においてはバガスを粉末状にして用いる。本実施形態において、上記加工処理は、複数回の圧搾工程、水煮脱糖工程、乾燥工程、および粉砕工程を含む。
当然、加工処理の種類と処理条件は、使用するサトウキビの種類、処理の順序、使用するサトウキビの量によって異なり、バガスを得るための加工処理の種類および処理条件の選択は、当業者が通常行い得ることである。
本発明において、バガスは、粒径が100nmから1100μmの範囲の粉末状のものを使用することができ、特には粒径が270μmから550μmの範囲のものを用いることができる。なお、ここでいう粒径とは、ふるい分け法により得られる粒径を指す。
本発明の脱臭方法が適用される上記区域としては、人や動物の体表、公共の場や工業施設・家庭・医療環境において臭気があり得る区域などが挙げられるが、これらに限定されない。なお、後述する本発明を適用することができる脱臭用商品としては、主に人や動物の体表を対象にした商品が挙げられる。
また、本発明に係るバガスを含む組成物を、臭気成分に加えて更に油脂がある区域に使用することは、該区域における臭気成分と油脂の両方を吸着することができるので、より好ましい。本発明に係る組成物により吸着するのに適した油脂としては、人間の皮脂、動物の皮脂、植物油、鉱物油などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明に係るバガスを含む組成物は、例えば、人間の皮脂を吸着するのに適している。
本発明によれば、バガスを含む組成物は、所望の吸着効果を得るために、噴霧、散布、塗布、静置、または被覆といった設置方式によって、適当な期間にわたって、その区域に適用することができる。
<バガスを臭気成分を吸着するための成分として用いた脱臭洗浄用組成物>
本発明はまた、バガスを、臭気成分を吸着するための材料として用いた脱臭洗浄用組成物(以下、「本発明に係る脱臭洗浄用組成物」、あるいは単に「脱臭洗浄用組成物」とも呼ぶ)を提供するものである。
本発明において、脱臭洗浄用組成物は、バガスに加えて、多孔質繊維材料、デンプン、アルミノケイ酸塩鉱物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される吸着材を更に含んでもよい。
なお、本明細書では、「吸着材料」、「吸着材」、「吸着剤」といった用語を使用することがあるが、これらは互換可能な用語である。特定の分子や物質に対する吸着能力を高めたい場合に、対応する吸着材を選択して用いることができる。
上記多孔質繊維材料は、多孔質構造を有する無機または有機の材料を意味し、多孔質構造がもたらす大きな比表面積により、液体や気体に対する吸着能力が備わる。本発明で使用するのに適した多孔質繊維素材としては、植物繊維、活性炭、竹炭、多孔質シリカなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記デンプンとしては、例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、タピオカスターチを用いることができる。
上記アルミノケイ酸塩鉱物としては、例えば、カオリン、ゼオライト、モンモリロナイトを用いることができる。
上記吸着材に適した例としては、ユーカリ属植物、メラレウカ属植物、チャノキ(Camellia sinensis)由来の植物繊維、カオリン粉末、竹炭粉末、ユチャ(Camellia Oleifera)の種子の圧搾採油後の残滓を粉末にしたものであるユチャ粉末、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
バガスを臭気成分を吸着するための脱臭洗浄用組成物に使用すれば、上述したような臭気成分と、油脂類を同時に吸着して除去することができる効果が得られる。
<脱臭洗浄用組成物>
本発明はまた、バガスと上述の吸着材とを含む脱臭洗浄用組成物(以下単に「脱臭洗浄用組成物」とも)を提供する。
脱臭洗浄用組成物は、吸着材を、10~50wt%の範囲の含有量で有する。この範囲は20~30wt%とすることが好ましい。また、一つの実施例として吸着材は、カオリン粉末、竹炭粉末、ユチャ粉末の組み合わせであり、含有量は、カオリン粉末が0.5~20wt%、竹炭粉末が4.5~10wt%、ユチャ粉末が5~20wt%である。
洗浄用組成物におけるバガスの含有量は1wt%より大きく100wt%未満の範囲である。この範囲は50~80wt%とすることが好ましい。
本発明の一つの実施例では、脱臭洗浄用組成物は、バガス粉末を50wt%、ユチャ粉末を48wt%、竹炭粉末を2wt%含む。
また、本発明の他の実施例では、脱臭洗浄用組成物は、バガス粉末を72.5wt%、カオリン粉末を0.5wt%、竹炭粉末を2wt%、ユチャ粉末を10wt%含む。
本発明によれば、脱臭洗浄用組成物を商品に配合して脱臭効果を発揮させることができる。このような商品の例としては、洗濯用洗剤、台所用洗剤、浴室用洗剤などの洗浄剤、石鹸、洗顔料、ボディーソープ、ハンドソープ、ローション、デオドラント、制汗剤、シャンプー、ドライシャンプーパウダー、ドライシャンプースプレーなどの化粧品やパーソナルクレンジング用品(動物用も含む)、ヘアカラー剤、ワックス、ヘアスプレー、スタイリングムースなどの毛髪用品、おむつ、パッド、生理用ナプキン、シーツ、タオル、ティッシュなどの衛生用品、戸棚用脱臭剤、部屋用脱臭剤、浴室用脱臭剤、靴用脱臭剤、車用脱臭剤、冷蔵庫用脱臭剤、衣類用脱臭剤、繊維用脱臭剤、ゴミ用脱臭剤、空気清浄剤、ファンや排気装置のフィルターよう洗浄剤などの家庭用クリーニング用品、脱臭機能付与繊維、工場や産業廃棄物用の脱臭剤、その他様々な形態の脱臭剤や洗浄剤が挙げられる。
<具体的な実施例>
以下、具体的な実施例を挙げて本発明をより詳しく説明する。なお、これら実施例は単に例示を目的としたものであり、本発明の特許請求の範囲を限定する目的で用いられるべきではないことを理解されたい。
A.一般的試験材料
1.サトウキビバガス粉末の作製
圧搾を経たサトウキビバガス5kg(台湾糖業公司(Taiwan Sugar Corporation)の善化製糖工場(台湾台南市善化区)および虎尾製糖工場(台湾雲林県虎尾鎮)から入手)を加熱槽に入れ、水60Lを加えて水温80℃で10分間撹拌しながら水煮した後、静置沈殿後に水を排出し、またこの排水のブリックス(Brix)値 (排水に溶けているショ糖の量)を測定した。このように、注水、水煮、排水という一連の作業を、測定したブリックス値がゼロになるまで数回繰り返すことで、脱糖を行った。その後、水煮をもう一度行ってから、1時間静置した後、水を排出した。その後、脱糖したバガスを脱水槽に入れ、1000rpm以上の回転速度で5分以上遠心脱水した後、温度50℃に設定されたオーブンで8時間乾燥させた。最後に、乾燥したバガスを粉砕機で粉砕し、目開きが550μmと270μmのふるいを用いてふるい分けを行た。このようにして、以下の実施例で使用する3種類の異なる粒径(270μm未満、270~550μm、550μmより大)のバガス粉末を得た。
2.吸着材
吸着材として、竹炭粉末、コーンスターチ、タピオカスターチ、ユチャ粉末(これらは一般の食材店で購入。なお、ユチャ粉末は台湾において「苦茶粉」の名称で一般に市販されている)、重曹(メルク社から購入)、サポニン粉末(シグマアルドリッチ社から購入)、カオリン粉末(台湾糖業公司バイオテクノロジー事業部から入手)を、以下の実施例でそれぞれ使用した。
B.一般的試験方法
1.ヘッドスペース固相マイクロ抽出-ガスクロマトグラフィー(HS-SPME-GC)分析
まず、固相マイクロ抽出用ファイバー(50/30μm、DVB/CAR/PDMS)を用いて、37℃で5分間のヘッドスペース固相マイクロ抽出を行うことで、測定対象の揮発性物質を固相マイクロ抽出用ファイバーに吸着させた。この試験で使用したガスクロマトグラフィー分析装置は、サーモフィッシャーサイエンティフィック社のTRACE(登録商標)GC Ultraシステムで、ガスクロマトグラフィー(GC)分析装置の操作条件は以下の表1に示す。
Figure 2022077525000002
実施例1.バガス粉末の脱臭効果の評価
本実施例においては、人の体臭の主な成分である2-ノネナールを代表として選び、バガス粉末の2-ノネナールに対する吸着能力を測定することにより、バガス粉末の脱臭効果を評価した。また、市販のパーソナルクレンジング用品に一般的に含まれる脱臭剤としての吸着材を比較対象とした。
<試験方法>
まず、96ppmの2-ノネナール溶液(台湾 UNI-ONWARD Corp.より購入)を密閉容器に入れ、37℃のウォーターバスに5分間放置した。 次に、上記「一般的試験方法」の項目1に記載した方法でHS-SPME-GC分析を行い、バガス粉末による吸着を行わない状況で抽出された2-ノネナールの揮発量を測定した。
次に、上記「一般的試験材料」の項目1に記載した粒径270μm未満、および粒径270~550μmの2種類のバガス粉末を、96ppmの2-ノネナール溶液が入った密閉容器に入れ、37℃のウォーターバスで5分間、バガス粉末による2-ノネナールの吸着を行った。次に、上記「一般的試験方法」の項目1に記載した方法でHS-SPME-GC分析を行い、バガス粉末による吸着を行った後での抽出された2-ノネナールの揮発量を測定した。
バガス粉末の2-ノネナールに対する吸着率は、吸着あり/吸着なしの各状況で測定した2-ノネナールの揮発量を下記の式(I)に代入して算出した。
式(I):A=(B-C)/B×100
式中、
Aは、吸着率(%)であり、
Bは、吸着なしの状況で抽出された2-ノネナールの揮発量であり、
Cは、吸着ありの状況で抽出された2-ノネナールの揮発量である。
試験はそれぞれ3回繰り返し、試験データは「平均±平均の標準誤差(SEM)」で表した。
比較のため、バガス粉末に替えて吸着材として竹炭粉末とコーンスターチを使用して同じ試験を1回行った。
<結果>
粒径が異なる2種類のバガス粉末及び他の2種類の吸着材(竹炭粉末、コーンスターチ)の2-ノネナールに対する吸着率を以下の表2に示す。
Figure 2022077525000003
表2に示されるように、バガス粉末の2-ノネナールに対する吸着率は、竹炭粉末と比べてわずかに低いが、コーンスターチと比べて顕著に優れている。
実施例2.バガス粉末の油脂吸着効果の評価
本実施例においては、ココナッツオイルと、一般に人間の皮脂の代わりに用いられる油脂混合物(いわゆる人工皮脂。参考文献としてDeeksha et al. “Advancement in shampoo (a dermal care product): preparation methods, patents and commercial utility”Recent Pat Inflamm Allergy Drug Discov., 2014 Jan; 8(1): 48-58.を参照)で、バガス粉末のココナッツオイルおよび人工皮脂に対する吸着能力を観察して、油脂吸着効果を評価した。また、比較のため、市販のクレンジング製品でよく用いられている油脂吸着用の吸着材を用いて同様の評価を行った。
A.油滴に対する吸着能力の測定
<試験方法>
バガス粉末(粒径270μm未満)を1g取り、ココナッツオイル50μLをスポイトで1滴ずつバガス粉末の上に滴下し、油滴の吸着状態を観察した。また、比較のために、タピオカスターチ、コーンスターチ、カオリン粉末、竹炭粉末を用いて同じ試験を行った。
<結果>
バガス粉末には油滴がすぐに吸着され、急速な吸着速度を示したのに対し、タピオカスターチ、コーンスターチ、カオリン粉末、竹炭粉末においては油滴がすぐには吸着されず、滴下後しばらくは完全な液滴の形状を維持し(図1参照)、完全に吸着されるまで約10秒かかた。また、油滴が完全に吸着された後のバガス粉末は部分的に固まり、簡単に除去できることが確認された。
B.人工皮脂に対する吸着能力の測定
<試験材料>
1.人工皮脂の調製
以下の表3に示す式に従って成分を十分に混合した後、すべての成分が完全に溶解するまで70℃のウォーターバスで加熱することにより、人工皮脂の透明な溶液を調製した。そして、得られた人工皮脂を以下の吸着試験に供した。
Figure 2022077525000004
<試験方法>
上記の3種類の粒径のバガス粉末を用いて、上記参考文献(Deeksha et al.)に記載されている方法を参考にして、若干の修正を加えて、人工皮脂に対する吸着能力を測定した。
まず、人の毛髪を模した0.5gのウール毛糸を用意し、そしてマイクロピペットを用いて50μLの上記人工皮脂を毛糸に滴下して添加した。人工皮脂が毛糸に完全に吸着された後、0.1gのバガス粉末を加えて揉み込むようにして、バガス粉末を毛糸に接触させて人工皮脂を吸着させた。1分後、毛糸を軽くはたいてバガス粉末を取り除き、その後、毛糸に残った人工皮脂を市販のあぶらとり紙で吸着させ、あぶらとり紙の重量増加分により、バガス粉末による吸着後に毛糸に残った人工皮脂残存量を算出した。
バガス粉末の人工皮脂吸着率は、算出した人工皮脂残存量を下記式(II)に代入して算出した。
式(II):E=[(F-G)/F]×100
式中、
Eは、人工皮脂吸着率(%)であり、
Fは、人工皮脂の元の量であり、
Gは、人工皮脂の残存量(g)である。
試験はそれぞれ3回行い、試験データは「平均±平均の標準誤差(SEM)」で表した。
比較のため、サポニン粉末は同じ試験を3回行い、ユチャ粉末、タピオカスターチ、コーンスターチ、カオリン粉末、竹炭粉末は同じ試験を1回行った。
<結果>
粒径の異なる3種類のバガス粉末と他の6種類の吸着材の人工皮脂に対する吸着率を以下の表4に示す。
Figure 2022077525000005
表4に示されるように、バガス粉末の人工皮脂に対する吸着率は、ユチャ粉末、タピオカスターチ、コーンスターチ、カオリン粉末、サポニン粉末と同程度であるが、竹炭粉末と比べて顕著に優れている。
本願発明者らによる以上の試験結果から、バガス粉末は、脱臭効果を有するだけでなく、油脂、特に人間の皮脂を吸着するための製品の開発に利用できることがわかった。
実施例3.バガス粉末の使用後の残留状況の評価
本実施例においては、同様に人の毛髪を模した毛糸を用いて、バガス粉末を毛髪に用いた場合の毛髪における残留状況を評価した。また、比較のため、市販のクレンジング製品でよく用いられている脱臭・油脂吸着用の吸着材を用いて同様の評価を行った。
<試験方法>
この試験は、上記実施例2の項目Bに記載の方法で概ね実施したが、バガス粉末の油脂吸着後の総重量と、バガス粉末による油脂吸着後の毛髪における油脂残存量を代わりに測定し、使用後のバガス粉末の毛髪における残留率を以下の式(III)に代入して算出した点で異なる。
式(III):H=[(I-J-K)/L]×100
式中、
Hは、バガス粉末の残留率(%)であり、
Iは、バガス粉末の油脂吸着後の総重量(g)
Jは、油脂の残存量(g)
Kは、毛糸の重量(0.5g)
Lは、バガス粉末の元の量(0.1g)
試験はそれぞれ3回繰り返し、試験データは「平均±平均の標準誤差(SEM)」で表した。
比較のために、ユチャ粉末、タピオカスターチ、コーンスターチ、カオリン粉末、サポニン、竹炭粉末を用いてもそれぞれ同じ試験を1回行った。
<結果>
粒径の異なる3種類のバガス粉末と他の6種類の吸着材の毛髪における残留率を以下の表5に示す。
Figure 2022077525000006
表5に示されるように、バガス粉末の使用後の残留率は、他の吸着材に比べて著しく低かった。
実施例2、3の結果を総合すると、バガス粉末は、優れた脱臭効果(臭気成分を吸着する能力)と優れた油脂吸い取り効果(油脂を吸着する能力)を兼ね備え、使用後の除去も容易で、毛髪に残留しにくいことがわかる。一方、他の吸着材は、これら3つの利点を同時に備えていない。例えば、竹炭粉末は消臭効果に優れるが、油脂に対する吸着性は低く、また使用後に残渣が残りやすいという欠点がある。ユチャ粉末、タピオカスターチ、コーンスターチは油脂に対する吸着性に優れるが、使用後に最も残留しやすい。
実施例4.脱臭洗浄用組成物の調製と効果の評価
本実施例においては、バガス粉末(粒径:270~550μm)を更に公知の吸着材と組み合わせて、バガス粉末を含む脱臭洗浄用組成物を調製し、その効果を市販のドライシャンプー製品と比較した。
<試験方法>
まず、下記の表6に示す配合に従って、バガス粉末を含む3つの洗浄用組成物(すなわち、組成物1~3)を調製した。
Figure 2022077525000007
組成物1~3の2-ノネナールに対する吸着能力、人工皮脂に対する吸着能力、使用後の残留状況を、それぞれ上記実施例1、実施例2の項目B、および実施例3に記載の方法に従って評価した。また、市販品のドライシャンプー製品である市販品1「La Focus 119 DRY SHAMPOO POWDER (台湾La Focus社)」と市販品2「NATURIA Dry Shampoo Mist (Rene Furterer)」(台湾BEAUJAX PRO-HAIR社)を用いても同様の試験を行った。試験はそれぞれ3回行い、試験データは「平均±平均の標準誤差(SEM)」で表した。
<結果>
バガスを含む洗浄用組成物と市販のドライシャンプー製品の2-ノネナールおよび人工皮脂に対する吸着能力、および使用後の残留率を以下の表7に示す。
Figure 2022077525000008
表7に示されるように、市販のドライシャンプーは、油脂に対する吸着能力に大きな差があり、また脱臭効果は見られなかった。洗浄用組成物1~3は、油脂に対する吸着能力に優れているが、洗浄用組成物2、3のみにおいて2-ノネナールに対する吸着能力が有意に優れており、この吸着能力はバガス粉末の含有量が増えるほど顕著になることがわかる。つまり、バガスは洗浄用組成物の脱臭効果において非常に重要な役割を果たしており、バガスをわずかに(>1wt%)添加するだけで、洗浄用組成物に脱臭能力を与えると同時に、油脂吸着能力を向上することもできる。
以上、本発明の実施形態の例を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、最も広い解釈の精神および範囲内に含まれる様々な構成として、全ての修飾および均等な構成を包含するものとする。

Claims (12)

  1. (a)バガスを含む組成物を用意するステップと、
    (b)脱臭対象の臭気成分が含まれている区域に、前記組成物を設置し、前記組成物により前記臭気成分を吸着するステップと、
    (c)前記臭気成分を吸着した前記組成物を除去するステップと、
    を含む脱臭方法。
  2. 前記区域として、人または動物の体表に使用される、請求項1に記載の脱臭方法。
  3. 油脂も含まれている前記区域に対し、該油脂を該区域における臭気成分と共に吸着して除去する、請求項1または2に記載の脱臭方法。
  4. 有機窒素化合物、有機硫黄化合物、短鎖脂肪酸、アルデヒド類、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される臭気成分を脱臭対象とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の脱臭方法。
  5. 2-ノネナールを脱臭対象とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の脱臭方法。
  6. バガスを、洗浄用組成物における臭気成分吸着材として使用する、脱臭方法。
  7. 前記臭気成分吸着材として使用するバガスにより、少なくとも2-ノネナールを臭気成分として吸収するよう実施する、請求項6に記載の脱臭方法。
  8. 前記臭気成分吸着材として使用するバガスにより、臭気成分と油脂とを共に吸着するよう実施する、請求項6または請求項7に記載の脱臭方法。
  9. バガスと、
    多孔質繊維材料、デンプン、アルミノケイ酸塩鉱物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される吸着材と、を含む脱臭洗浄用組成物。
  10. 前記吸着材が、植物繊維、カオリン粉末、竹炭粉末、ユチャ粉末、およびこれらの組み合わせのいずれかである、請求項9に記載の脱臭洗浄用組成物。
  11. バガスの含有量は1wt%より大きく100wt%未満の範囲である、請求項9または10に記載の脱臭洗浄用組成物。
  12. バガスの含有量は20wt%以上100wt%未満の範囲である、請求項11に記載の脱臭洗浄用組成物。
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