JP2022076839A - カム駆動装置、及びそれを備えた車両用駆動伝達装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】円筒状の回転体を回転駆動する回転駆動装置を備えたカム駆動装置において、回転駆動装置の小型化を図ることができる技術を提供する。【解決手段】カム駆動装置CDは、回転体1の周面1aに設けられたキャンセル経路7と、キャンセル経路7に案内されるキャンセル従動部材8と、当該キャンセル従動部材8を付勢する付勢機構9と、を備え、キャンセル経路7は、軸方向Lの位置が周方向の位置に応じて変化するように形成されたキャンセル傾斜部を有し、キャンセル経路7は、付勢機構9によりキャンセル従動部材8を介して回転体1に作用する付勢力F2の方向が、回転体1の周面1aに設けられた第1カム経路31の傾斜部が第1従動部材41を押すことによって回転体1に生じる反力F1の方向とは反対方向となるように形成されている。【選択図】図4
Description
本発明は、カム駆動装置、及びそれを備えた車両用駆動伝達装置に関する。
このような技術の一例が、下記の特許文献1に開示されている。以下、「背景技術」及び「発明が解決しようとする課題」の説明では、特許文献1における符号を括弧内に引用する。
特許文献1のカム駆動装置では、回転体(10)の外周面に形成された溝部により構成されたカム経路(11)が、回転体(10)の回転方向に沿って形成されている。カム経路(11)を構成する溝部内には、ピン状の従動部材(12)の先端部が配置されている。そして、回転体(10)の回転に応じて、従動部材(12)がカム経路(11)に案内され、回転体の軸心に沿う軸方向に移動する。従動部材(12)の軸方向への移動に伴い、当該従動部材(12)に連結された伝達部材(14)も軸方向に移動することで、被駆動装置としての係合装置の係合の状態が切り替えられる。
特許文献1のカム駆動装置では、カム経路(11)は、回転体(10)の回転方向の位置に応じて軸方向の位置が変化するように形成された傾斜部と、回転体(10)の回転方向の位置に応じて軸方向の位置が変化しない直線部とを有している。従動部材(12)は、回転体(10)の回転に応じて、カム経路(11)の傾斜部に押されて軸方向に移動する。
このとき、カム経路(11)の傾斜部が従動部材(12)を押すことにより、回転体に反力が生じる。そのため、回転体(10)を回転駆動する回転駆動装置(9)に負荷が掛かり、回転体(10)の回転駆動に要するトルクが増加する。一方、カム経路(11)の直線部では、回転体(10)の回転駆動に要するトルクは傾斜部に比べて小さい。このように、カム経路(11)の傾斜部と直線部とで回転駆動に要するトルクが変動する場合に、回転体(10)を適切に回転駆動できるようにするためには、回転体(10)の回転駆動に要するトルクが大きい傾斜部に合わせて、回転駆動装置(9)の出力トルクを設定する必要があった。そのため、回転駆動装置(9)が大きい出力トルクを確保するために大型化し易いという問題があった。
そこで、円筒状の回転体を回転駆動する回転駆動装置を備えたカム駆動装置において、回転駆動装置の小型化を図ることができる技術の実現が望まれる。
上記に鑑みた、カム駆動装置の特徴構成は、
円筒状に形成され、軸心を中心として回転可能に支持された回転体と、
前記回転体を回転駆動する回転駆動装置と、
前記回転体の回転方向に沿って、前記回転体の周面に設けられた第1カム経路と、
前記回転体の回転に応じて、前記第1カム経路に案内されて移動する第1従動部材と、
前記第1従動部材に連動して移動するように、前記第1従動部材に連結された第1伝達部材と、
前記第1伝達部材の移動によって駆動される第1被駆動装置と、を備え、
前記第1カム経路は、前記回転体の軸心に沿う軸方向の位置が前記周面の周方向の位置に応じて変化するように形成された傾斜部を有し、
前記第1従動部材は、前記回転体の回転に応じて、前記傾斜部に押されて前記軸方向に移動する、カム駆動装置であって、
前記回転体の回転方向に沿って、前記回転体の前記周面に設けられたキャンセル経路と、
前記回転体の回転に応じて、前記キャンセル経路に案内されて移動するキャンセル従動部材と、
前記キャンセル従動部材を付勢する付勢機構と、を更に備え、
前記キャンセル経路は、前記軸方向の位置が前記周方向の位置に応じて変化するように形成されたキャンセル傾斜部を有し、
前記付勢機構は、前記回転体の回転に応じて、前記キャンセル従動部材が前記キャンセル傾斜部に押されて規定の中立位置から前記軸方向に移動した場合に、当該移動方向とは反対方向の付勢力を前記キャンセル従動部材に作用させ、
前記キャンセル経路は、前記付勢機構により前記キャンセル従動部材を介して前記回転体に作用する前記付勢力の方向が、前記傾斜部が前記第1従動部材を押すことによって前記回転体に生じる反力の方向とは反対方向となるように形成されている点にある。
円筒状に形成され、軸心を中心として回転可能に支持された回転体と、
前記回転体を回転駆動する回転駆動装置と、
前記回転体の回転方向に沿って、前記回転体の周面に設けられた第1カム経路と、
前記回転体の回転に応じて、前記第1カム経路に案内されて移動する第1従動部材と、
前記第1従動部材に連動して移動するように、前記第1従動部材に連結された第1伝達部材と、
前記第1伝達部材の移動によって駆動される第1被駆動装置と、を備え、
前記第1カム経路は、前記回転体の軸心に沿う軸方向の位置が前記周面の周方向の位置に応じて変化するように形成された傾斜部を有し、
前記第1従動部材は、前記回転体の回転に応じて、前記傾斜部に押されて前記軸方向に移動する、カム駆動装置であって、
前記回転体の回転方向に沿って、前記回転体の前記周面に設けられたキャンセル経路と、
前記回転体の回転に応じて、前記キャンセル経路に案内されて移動するキャンセル従動部材と、
前記キャンセル従動部材を付勢する付勢機構と、を更に備え、
前記キャンセル経路は、前記軸方向の位置が前記周方向の位置に応じて変化するように形成されたキャンセル傾斜部を有し、
前記付勢機構は、前記回転体の回転に応じて、前記キャンセル従動部材が前記キャンセル傾斜部に押されて規定の中立位置から前記軸方向に移動した場合に、当該移動方向とは反対方向の付勢力を前記キャンセル従動部材に作用させ、
前記キャンセル経路は、前記付勢機構により前記キャンセル従動部材を介して前記回転体に作用する前記付勢力の方向が、前記傾斜部が前記第1従動部材を押すことによって前記回転体に生じる反力の方向とは反対方向となるように形成されている点にある。
この特徴構成によれば、第1カム経路の傾斜部が第1従動部材を押すことによって回転体に生じる反力の少なくとも一部を、付勢機構によりキャンセル従動部材を介して回転体に作用する付勢力によって打ち消すことができる。これにより、第1カム経路の傾斜部が第1従動部材を押す場合に回転体に作用する軸方向の荷重を低減することができる。よって、第1カム経路の傾斜部とそれ以外の部分との回転駆動に要するトルクの変動を少なく抑えることができ、延いては回転体を回転駆動する回転駆動装置の最大負荷を軽減することができる。その結果、回転体の回転駆動に要するトルクを小さく抑えることができるため、回転駆動装置の小型化を図り易い。
以下では、実施形態に係る車両用駆動伝達装置100について、図面を参照して説明する。図1に示すように、車両用駆動伝達装置100は、入力部材Iと、出力部材Oと、変速機TMと、カム駆動装置CDと、を備えている。本実施形態では、車両用駆動伝達装置100は、差動歯車機構DFを更に備えている。
入力部材Iは、車輪(図示を省略)の駆動力源に駆動連結されている。本実施形態では、回転電機MGが「駆動力源」に相当する。なお、本願において「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
回転電機MGは、ステータSTとロータRTとを備えている。ステータSTは、非回転部材(例えば、回転電機MG等を収容するケース)に固定されている。ロータRTは、ステータSTに対して回転自在に支持されている。
以下の説明では、回転電機MG(ロータRT)の回転軸心である第1軸X1に沿う方向を「軸方向L」とする。そして、軸方向Lの一方側を「軸方向第1側L1」とし、他方側を「軸方向第2側L2」とする。また、ロータRT等の回転部材の回転軸心に直交する方向を、各回転軸心を基準とした「径方向R」とする。なお、どの回転軸心を基準とするかを区別する必要がない場合やどの回転軸心を基準とするかが明らかである場合には、単に「径方向R」と記す場合がある。
本実施形態では、入力部材Iは、軸方向Lに沿って延在する第1軸部材10である。第1軸部材10は、第1軸X1に配置されている。つまり、第1軸部材10は、回転電機MGのロータRTと同軸に配置されている。第1軸部材10は、ロータRTと一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、第1軸部材10は、ロータRTに対して軸方向第2側L2に配置されている。
変速機TMは、第1変速段、及び当該第1変速段よりも変速比が小さい第2変速段を含む複数の変速段を形成可能に構成されている。そして、変速機TMは、入力部材Iの側から伝達される回転を、複数の変速段のうちの形成された変速段に応じた変速比で変速して出力部材Oの側へ伝達する。本実施形態では、変速機TMは、第1変速段及び第2変速段の2つの変速段を形成可能に構成されている。
変速機TMは、噛み合い式の第1係合装置CL1と、摩擦式の第2係合装置CL2と、第1係合装置CL1及び第2係合装置CL2を駆動する係合駆動装置DRと、を備えている。本実施形態では、変速機TMは、噛み合い式の第3係合装置CL3と、第1ギヤG1と、第2ギヤG2と、第3ギヤG3と、第4ギヤG4と、変速出力ギヤGtと、を更に備えている。
変速機TMでは、第1係合装置CL1が係合状態、かつ、第2係合装置CL2が解放状態で、第1変速段が形成される。また、第1係合装置CL1が解放状態、かつ、第2係合装置CL2が係合状態で、第2変速段が形成される。本実施形態では、第1係合装置CL1が係合状態、かつ、第2係合装置CL2及び第3係合装置CL3の双方が解放状態で、第1変速段が形成される。また、第1係合装置CL1が解放状態、かつ、第2係合装置CL2が直結係合状態及び第3係合装置CL3が係合状態の少なくとも一方で、第2変速段が形成される。なお、摩擦式の第2係合装置CL2の「直結係合状態」とは、第2係合装置CL2の入力要素と出力要素との間に回転速度差(滑り)がない係合状態である。また、第2係合装置CL2の「係合状態」には、直結係合状態の他に、滑り係合状態が含まれる。ここで、「滑り係合状態」とは、第2係合装置CL2の入力要素と出力要素との間に回転速度差(滑り)がある係合状態である。
第1ギヤG1及び第2ギヤG2は、第1軸X1に配置されている。つまり、第1ギヤG1及び第2ギヤG2は、第1軸X1を回転軸心として回転するように配置されている。本実施形態では、第1ギヤG1及び第2ギヤG2は、第1軸部材10と一体的に回転するように連結されている。また、本実施形態では、第1ギヤG1が、第2ギヤG2よりも軸方向第1側L1に配置されている。
第3ギヤG3、第4ギヤG4、及び変速出力ギヤGtは、第1軸X1とは異なる第2軸X2に配置されている。つまり、第3ギヤG3、第4ギヤG4、及び変速出力ギヤGtは、第2軸X2を回転軸心として回転するように配置されている。なお、本実施形態では、第2軸X2は、第1軸X1と平行に配置されている。つまり、本実施形態では、第2軸X2は、軸方向Lに沿って配置されている。
本実施形態では、第3ギヤG3及び第4ギヤG4は、第2軸X2に配置された第2軸部材20に対して相対回転可能に支持されている。また、変速出力ギヤGtは、第2軸部材20と一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、第3ギヤG3が、第4ギヤG4よりも軸方向第1側L1に配置されている。そして、変速出力ギヤGtが、第3ギヤG3よりも軸方向第1側L1に配置されている。つまり、本実施形態では、軸方向第2側L2から軸方向第1側L1に向けて、第4ギヤG4、第3ギヤG3、変速出力ギヤGtの順で配置されている。
第1ギヤG1と第3ギヤG3とは、互いに噛み合うように配置されている。そして、第2ギヤG2と第4ギヤG4とは、互いに噛み合うように配置されている。本実施形態では、第1ギヤG1は、第2ギヤG2よりも小径に形成されている。また、第3ギヤG3は、第4ギヤG4よりも大径に形成されている。ここで、上述したように、第1ギヤG1と第2ギヤG2とが同軸に配置されていると共に、第3ギヤG3と第4ギヤG4とが同軸に配置されている。そのため、本実施形態では、第1ギヤG1に対する第3ギヤG3の歯数比は、第2ギヤG2に対する第4ギヤG4の歯数比よりも大きい。
本実施形態では、第1係合装置CL1が係合状態となると、第3ギヤG3が第2軸部材20と一体的に回転するように連結される。一方、第1係合装置CL1が解放状態となると、第3ギヤG3が第2軸部材20に対して相対的に回転するように、それらの連結が解除される。また、本実施形態では、第2係合装置CL2の係合の状態に関わらず、第3係合装置CL3が係合状態となると、第4ギヤG4が第2軸部材20と一体的に回転するように連結される。そして、第2係合装置CL2及び第3係合装置CL3の双方が解放状態となると、第4ギヤG4が第2軸部材20に対して相対的に回転するように、それらの連結が解除される。また、第3係合装置CL3が解放状態で、第2係合装置CL2が係合状態となると、第2係合装置CL2の係合力が増加するに従って、第4ギヤG4と第2軸部材20との回転速度差が小さくなる。第4ギヤG4と第2軸部材20との間に回転速度差がある状態は、第2係合装置CL2は滑り係合状態である。そして、第2係合装置CL2の係合力が一定以上となると、第2係合装置CL2は直結係合状態となり、第4ギヤG4が第2軸部材20と一体的に回転する。
上述したように、本実施形態では、第1ギヤG1に対する第3ギヤG3の歯数比は、第2ギヤG2に対する第4ギヤG4の歯数比よりも大きい。そのため、第4ギヤG4が第2軸部材20に連結されていない状態で、第1係合装置CL1が第3ギヤG3を第2軸部材20に連結させた場合には、比較的変速比が大きい低速段としての第1変速段が形成される。一方、第3ギヤG3が第2軸部材20に連結されていない状態で、第2係合装置CL2及び第3係合装置CL3の少なくとも一方が第4ギヤG4を第2軸部材20に連結させた場合には、比較的変速比が小さい高速段としての第2変速段が形成される。
差動歯車機構DFは、当該差動歯車機構DFの入力要素である差動入力ギヤ30を備えている。差動歯車機構DFは、差動入力ギヤ30の回転を、それぞれが車輪(図示を省略)に駆動連結された一対のドライブシャフトDSに分配する。
差動入力ギヤ30は、変速機TMの変速出力ギヤGtに噛み合っている。本実施形態では、差動入力ギヤ30が、車輪に駆動連結される出力部材Oとして機能する。差動入力ギヤ30は、第1軸X1及び第2軸X2とは異なる第3軸X3に配置されている。つまり、差動入力ギヤ30は、第3軸X3を回転軸心として回転するように配置されている。なお、本実施形態では、第3軸X3は、第1軸X1及び第2軸X2と平行に配置されている。つまり、本実施形態では、第3軸X3は、軸方向Lに沿って配置されている。
図2に示すように、本実施形態では、第1係合装置CL1は、切替部材SLにより係合状態と解放状態とを切り替え可能に構成された噛み合い式の係合装置(ドグクラッチ)である。なお、図2は、変速機TMの構成を示す図である。図2では、説明の便宜上、一部の要素(変速出力ギヤGt等)の図示を省略している(図4についても同様)。
切替部材SLは、係合駆動装置DRにより軸方向Lに移動するように構成されている。本実施形態では、切替部材SLは、第2軸部材20の径方向Rの外側を覆う筒状に形成されている。そして、切替部材SLは、係合駆動装置DRにより、第2軸部材20に対して軸方向Lに相対的に移動される。
本実施形態では、切替部材SLの内周面には、第3ギヤG3と一体的に回転するように連結された複数の第1係合歯T1に係合する複数の第1溝部(図示を省略)が形成されている。複数の第1係合歯T1は、第3ギヤG3から軸方向第2側L2に突出するように形成されている。そして、複数の第1係合歯T1は、複数の第1溝部に対して、軸方向Lに相対移動可能、かつ、周方向に相対回転不能に係合するように形成されている。そのため、切替部材SLが第2軸部材20に対して軸方向Lに相対移動して、切替部材SLにおける複数の第1溝部に複数の第1係合歯T1が係合することで第1係合装置CL1が係合状態となり、複数の第1溝部から複数の第1係合歯T1が離間することで第1係合装置CL1が解放状態となる。
また、本実施形態では、第3係合装置CL3も、切替部材SLによって係合状態と解放状態とを切り替え可能に構成された噛み合い式の係合装置(ドグクラッチ)である。つまり、本実施形態では、第3係合装置CL3は、第1係合装置CL1に対して軸方向Lに隣接して配置されている。そして、第3係合装置CL3は、係合駆動装置DRにより駆動される。
本実施形態では、切替部材SLの内周面には、上記の第1溝部に加えて、第4ギヤG4と一体的に回転するように連結された複数の第2係合歯T2に係合する複数の第2溝部(図示を省略)も形成されている。複数の第2係合歯T2は、第4ギヤG4から軸方向第1側L1に突出するように形成されている。そして、複数の第2係合歯T2は、複数の第2溝部に対して、軸方向Lに相対移動可能、かつ、周方向に相対回転不能に係合するように形成されている。そのため、切替部材SLが第2軸部材20に対して軸方向Lに相対移動して、切替部材SLにおける複数の第2溝部に複数の第2係合歯T2が係合することで第3係合装置CL3が係合状態となり、複数の第2溝部から複数の第2係合歯T2が離間することで第3係合装置CL3が解放状態となる。
このように、本実施形態では、第1係合装置CL1と第3係合装置CL3とで、切替部材SLが共用されている。そのため、本実施形態では、第1係合装置CL1と第3係合装置CL3とが、切替部材SLを備えた噛み合い式係合装置DCを構成している。噛み合い式係合装置DCでは、切替部材SLにおける複数の第1溝部に複数の第1係合歯T1が係合して第1係合装置CL1が係合状態となると、切替部材SLにおける複数の第2溝部から複数の第2係合歯T2が離間して第3係合装置CL3が解放状態となる。一方、切替部材SLにおける複数の第2溝部に複数の第2係合歯T2が係合して第3係合装置CL3が係合状態となると、切替部材SLにおける複数の第1溝部から複数の第1係合歯T1が離間して第1係合装置CL1が解放状態となる。また、噛み合い式係合装置DCは、第1係合装置CL1及び第3係合装置CL3の双方が解放状態となるニュートラル状態に切り替え可能に構成されている。噛み合い式係合装置DCがニュートラル状態の場合、第2係合装置CL2が係合状態とならない限り、変速機TMにいずれの変速段も形成されず、回転電機MGと車輪との間での駆動力の伝達が行われない状態となる。
本実施形態では、第2係合装置CL2は、摩擦部材21と、当該摩擦部材21を押圧するピストン22と、を備えている。
摩擦部材21は、内側摩擦材211及び外側摩擦材212を含んでいる。内側摩擦材211及び外側摩擦材212は、いずれも円環板状に形成されており、互いに同軸に配置されている。また、内側摩擦材211及び外側摩擦材212は複数枚ずつ設けられており、これらが軸方向Lに沿って交互に配置されている。内側摩擦材211及び外側摩擦材212は、いずれか一方をフリクションプレートとし、他方をセパレートプレートとすることができる。
内側摩擦材211は、内側支持部材23によって径方向Rの内側から支持されている。内側支持部材23は、軸方向Lに沿う軸心を有する筒状に形成されている。内側支持部材23は、第4ギヤG4と一体的に回転するように連結されている。図示の例では、内側支持部材23は、第2軸部材20の径方向Rの外側を覆うように、第4ギヤG4から軸方向第2側L2に延在し、そこから径方向Rの外側に延在し、更に軸方向第2側L2に延在するように形成されている。
本例では、内側摩擦材211の内周部には、軸方向Lに延在する複数のスプライン溝が周方向に分散して形成されている。一方、内側支持部材23の外周部にも、同様のスプライン溝が周方向に分散して形成されている。そして、それらのスプライン溝同士を係合させることで、内側摩擦材211が内側支持部材23により径方向Rの内側から支持される。こうして、内側摩擦材211は、内側支持部材23に対して相対回転が規制された状態で、軸方向Lに摺動可能に支持されている。
外側摩擦材212は、外側支持部24によって径方向Rの外側から支持されている。外側支持部24は、軸方向Lに沿う軸心を有する筒状に形成されている。外側支持部24は、第2軸部材20と一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、外側支持部24は、軸方向Lに沿う軸心を有する筒状に形成された筒状部材25を介して、第2軸部材20と一体的に回転するように連結されている。筒状部材25は、第2軸部材20の外周面を覆うように形成され、第2軸部材20と一体的に回転するように連結されている。図示の例では、外側支持部24は、筒状部材25から径方向Rの外側に延在し、そこから軸方向第1側L1に延在するように形成されている。
本実施形態では、ピストン22は、バネ等の付勢部材22aによって軸方向第2側L2に向けて付勢されている。ピストン22は、付勢部材22aの付勢力に抗するように軸方向第2側L2から押圧されると、軸方向第1側L1に摺動して摩擦部材21を押圧する。
図1に示すように、カム駆動装置CDは、回転体1と、回転駆動装置2と、第1カム経路31と、第1従動部材41と、第1伝達部材51と、第1被駆動装置61と、キャンセル経路7と、キャンセル従動部材8と、付勢機構9と、を備えている。本実施形態では、カム駆動装置CDは、第2カム経路32と、第2従動部材42と、第2伝達部材52と、第2被駆動装置62と、第3被駆動装置63と、を更に備えている。
回転体1は、円筒状に形成され、軸心を中心として回転可能に支持されている。回転体1は、第1軸X1~第3軸X3とは異なる第4軸X4に配置されている。つまり、回転体1は、第4軸X4を回転軸心として回転するように配置されている。なお、本実施形態では、第4軸X4は、第1軸X1~第3軸X3と平行に配置されている。つまり、本実施形態では、第4軸X4は、軸方向Lに沿って配置されている。
本実施形態では、回転体1は、小径部11と、大径部12と、を備えている。小径部11及び大径部12のそれぞれは、第4軸X4を回転軸心とする円筒状に形成されている。小径部11及び大径部12は、一体的に回転するように互いに連結されている。大径部12は、小径部11よりも大きい外径を有している。本実施形態では、大径部12は、小径部11に対して軸方向第1側L1に隣接して配置されている。
回転駆動装置2は、回転体1を回転駆動する装置である。本実施形態では、回転駆動装置2は、回転体1の大径部12を回転駆動するように、当該大径部12に対して軸方向第1側L1に隣接して配置されている。なお、回転駆動装置2としては、例えば、複数相の交流電力で駆動される交流回転電機等のモータを備えた駆動装置を採用することができる。なお、回転駆動装置2は、モータに加えて、当該モータの回転を減速すると共にトルクを増幅して回転体1に伝達する減速機を更に備えていても良い。
第1カム経路31及び第2カム経路32は、回転体1の回転方向に沿って、回転体1の周面1aに設けられている。本実施形態では、回転体1の周面1aは、第1の直径を有する第1周面11aと、当該第1の直径よりも大きい第2の直径を有する第2周面12aと、を含む。そして、第1カム経路31は、第1周面11aに設けられている。また、キャンセル経路7は、第2周面12aに設けられている。ここで、回転体1の周面1aは、円筒状に形成された回転体1の外周面及び内周面を含む。そして、第1周面11aは小径部11の外周面及び内周面を含み、第2周面12aは大径部12の外周面及び内周面を含む。本実施形態では、回転体1の周面1aは、回転体1の外周面である。そして、第1周面11aは小径部11の外周面であり、第2周面12aは大径部12の外周面である。
本実施形態では、第1カム経路31は、小径部11の外周面としての第1周面11aにおいて周方向に沿って連続的に形成された溝部を構成する一対の第1側面31aを備えている。一対の第1側面31aは、互いに軸方向Lに対向するように形成されている。また、第2カム経路32は、大径部12の外周面としての第2周面12aにおいて周方向に沿って連続的に形成された溝部を構成する一対の第2側面32aを備えている。一対の第2側面32aは、互いに軸方向Lに対向するように形成されている。
図3に示すように、第1カム経路31は、軸方向Lの位置が回転体1における周面1a(ここでは、第1周面11a)の周方向の位置に応じて変化するように形成された第1傾斜部31Tを有している。本実施形態では、第1カム経路31は、軸方向Lの位置が回転体1における周面1a(ここでは、第1周面11a)の周方向の位置に応じて変化しないように形成された第1直線部31Sを更に有している。また、本実施形態では、第2カム経路32は、軸方向Lの位置が回転体1における周面1a(ここでは、第2周面12a)の周方向の位置に応じて変化するように形成された第2傾斜部32Tと、軸方向Lの位置が回転体1における周面1a(ここでは、第2周面12a)の周方向の位置に応じて変化しないように形成された第2直線部32Sと、を有している。なお、第1カム経路31及び第2カム経路32の詳細な構成については後述する。
図2に示すように、第1従動部材41は、回転体1の回転に応じて、第1カム経路31に案内されて移動する部材である。第1従動部材41は、回転体1の回転に応じて、第1カム経路31の第1傾斜部31Tに押されて軸方向Lに移動する。本実施形態では、第1従動部材41は、第1カム経路31に案内される第1被案内部411と、当該第1被案内部411と一体的に移動するように連結された第1摺動部412と、を備えている。
本実施形態では、第1被案内部411は、特定の径方向R(図2における上下方向)に沿って延在するように形成されている。そして、第1被案内部411の先端部(図2における上端部)が、第1カム経路31を構成する溝部内に配置されている。つまり、第1被案内部411の先端部が、第1カム経路31における一対の第1側面31aの軸方向Lの間に配置されている。また、本実施形態では、第1摺動部412は、表面が軸方向Lを向く板状に形成されている。本例では、第1摺動部412は、第1被案内部411と一体的に形成されている。
このように構成された本実施形態の第1従動部材41においては、回転体1の回転に応じて、第1カム経路31の第1傾斜部31Tにおける一対の第1側面31aのいずれかによって第1被案内部411の先端部が押されることで、第1被案内部411と共に第1摺動部412が軸方向Lに移動する。こうして、回転体1の回転に応じて、第1従動部材41が軸方向Lに直線運動を行う。
第1伝達部材51は、第1従動部材41に連動して移動するように、第1従動部材41に連結されている。第1被駆動装置61は、第1伝達部材51の移動によって駆動される装置である。本実施形態では、第1被駆動装置61は、第2係合装置CL2である。
本実施形態では、第1伝達部材51は、第1伝達軸511と、ピストン駆動体512と、第1弾性体513と、第1支持部514と、軸受515と、押圧体516と、を備えている。
第1伝達軸511は、軸方向Lに沿って延在する軸部材である。本実施形態では、第1伝達軸511は、第1摺動部412を軸方向Lに貫通するように配置されている。そして、第1伝達軸511は、第1摺動部412に対して、軸方向Lに相対移動可能に支持されている。
第1弾性体513は、軸方向Lに弾性を有する部材である。本実施形態では、第1弾性体513は、第1伝達軸511の径方向Rの外側を覆うように配置されている。本例では、第1弾性体513は、圧縮コイルばねであり、第1伝達軸511が挿通されている。
第1支持部514は、第1従動部材41の第1摺動部412と共に第1弾性体513を支持する部材である。本実施形態では、第1支持部514は、軸方向第2側L2から第1弾性体513に当接するように配置されている。一方、第1摺動部412は、軸方向第1側L1から第1弾性体513に当接するように配置されている。
本実施形態では、第1支持部514は、第1伝達軸511の外周面を覆う筒状に形成されている。そして、第1支持部514は、軸方向Lに、第1伝達軸511に対して相対的に摺動可能に支持されている。また、第1支持部514は、第1伝達軸511に設けられた規制部51aにより、第1伝達軸511に対する軸方向第2側L2への相対移動が規制されている。本例では、規制部51aは、第1伝達軸511の外周面に形成された溝部に嵌合するスナップリングである。
軸受515は、軸方向Lにおける第2係合装置CL2のピストン22とピストン駆動体512との間に配置されたスラスト軸受である。本実施形態では、軸受515は、押圧体516とピストン駆動体512とによって軸方向Lの両側から支持されている。押圧体516は、ピストン22を軸方向第2側L2から押圧する部材である。押圧体516は、軸方向Lに沿う軸心を有する筒状に形成されている。本実施形態では、軸受515及び押圧体516は、筒状部材25の外周面上を軸方向Lに摺動するように、筒状部材25に挿通されている。なお、本例では、軸受515は、スラストころ軸受である。
ピストン駆動体512は、ピストン22を駆動する部材である。ピストン駆動体512は、特定の径方向R(図2における上下方向)に沿って延在するように形成されている。そして、ピストン駆動体512の延在方向における一方の端部(図2における上端部)には、第2伝達軸46により回動自在に保持される被保持部512aが設けられている。一方、ピストン駆動体512の延在方向における被保持部512aとは反対側の部分には、軸受515に当接する当接部512bが設けられている。本実施形態では、当接部512bは、軸方向第2側L2から軸受515に当接している。
また、本実施形態では、ピストン駆動体512は、非回転部材(例えば、変速機TM等を収容するケース)に固定された揺動支持部Pに当接する部分を支点として揺動自在に支持されている。本実施形態では、ピストン駆動体512の延在方向における中間部分よりも当接部512bに近い部分に対して、軸方向第2側L2から揺動支持部Pが当接されている。これにより、てこの原理を利用して、第1伝達軸511から被保持部512aに作用する力よりも大きい力を当接部512bから軸受515及び押圧体516に作用させることができる。
図4に示すように、本実施形態では、ピストン駆動体512が径方向Rに沿った姿勢で、第1伝達軸511が軸方向第2側L2に移動すると、第1伝達軸511に保持された被保持部512aが軸方向第2側L2に移動するのに対し、当接部512bが軸方向第1側L1に移動する。こうして、ピストン駆動体512が径方向Rに対して傾斜し、当接部512bが軸受515を軸方向第2側L2から押圧する。これに伴い、軸受515と共に押圧体516も、筒状部材25上を軸方向第1側L1に摺動し、付勢部材22aの付勢力に抗してピストン22を軸方向第1側L1に押圧する。その結果、ピストン22によって摩擦部材21が押圧され、第2係合装置CL2が係合状態となる。このとき、上述したように、軸受515は、スラスト軸受であるため、軸受515を軸方向Lの両側から支持する押圧体516とピストン駆動体512とが相対的に回転するように、それらを軸方向Lに支持する。
一方、当接部512bが軸受515を押圧した状態から、第1伝達軸511が軸方向第1側L1に移動すると、第1伝達軸511に保持された被保持部512aが軸方向第1側L1に移動する。これに対し、当接部512bは、付勢部材22aにより軸方向第2側L2に付勢されたピストン22により、押圧体516及び軸受515を介して押圧され、軸方向第2側L2に移動する。その結果、図2に示すように、ピストン駆動体512が径方向Rに沿った姿勢となり、第2係合装置CL2が解放状態となる。
このように、本実施形態では、第1従動部材41が、第1弾性体513を介して第1伝達軸511と連結されている。そして、第1伝達軸511が、第2係合装置CL2のピストン22を駆動するピストン駆動体512を、揺動支持部Pに当接する部分を支点として揺動するように連結されている。つまり、本実施形態では、第1伝達部材51は、第1従動部材41からの駆動力を、第1弾性体513を介して第2係合装置CL2に伝達する。
第2従動部材42は、回転体1の回転に応じて、第2カム経路32に案内されて移動する部材である。第2従動部材42は、回転体1の回転に応じて、第2カム経路32の第2傾斜部32Tに押されて軸方向Lに移動する。本実施形態では、第2従動部材42は、第2カム経路32に案内される第2被案内部421と、当該第2被案内部421と一体的に移動するように連結された一対の第2摺動部422と、を備えている。
本実施形態では、第2被案内部421は、特定の径方向R(図2における上下方向)に沿って延在するように形成されている。そして、第2被案内部421の先端部(図2における上端部)が、第2カム経路32を構成する溝部内に配置されている。つまり、第2被案内部421の先端部が、第2カム経路32における一対の第2側面32aの軸方向Lの間に配置されている。
また、本実施形態では、一対の第2摺動部422のそれぞれは、表面が軸方向Lを向く板状に形成されている。そして、一対の第2摺動部422は、互いに軸方向Lに一定の間隔を維持するように、第2被案内部421に連結されている。
このように構成された本実施形態の第2従動部材42においては、回転体1の回転に応じて、第2カム経路32の第2傾斜部32Tにおける一対の第2側面32aのいずれかによって第2被案内部421の先端部が押されることで、第2被案内部421と共に一対の第2摺動部422が軸方向Lに移動する。こうして、回転体1の回転に応じて、第2従動部材42が軸方向Lに直線運動を行う。
第2伝達部材52は、第2従動部材42に連動して移動するように、第2従動部材42に連結されている。第2被駆動装置62は、第2伝達部材52の移動によって駆動される装置である。第3被駆動装置63も、第2伝達部材52の移動によって駆動される装置である。本実施形態では、第2被駆動装置62は、第1係合装置CL1である。また、第3被駆動装置63は、第3係合装置CL3である。
本実施形態では、第2伝達部材52は、第2伝達軸521と、シフトフォーク522と、第2弾性体523と、第2支持部524と、を備えている。
第2伝達軸521は、軸方向Lに沿って延在する軸部材である。本実施形態では、第2伝達軸521は、一対の第2摺動部422を軸方向Lに貫通するように配置されている。そして、第2伝達軸521は、一対の第2摺動部422に対して、軸方向Lに相対移動可能に支持されている。
シフトフォーク522は、噛み合い式係合装置DCの係合の状態を切り替える部材である。本実施形態では、シフトフォーク522は、第2伝達軸521と一体的に移動するように連結されている。そして、シフトフォーク522は、噛み合い式係合装置DCの切替部材SLに対する軸方向Lへの相対移動が規制された状態で、切替部材SLを保持している。こうして、シフトフォーク522は、第2伝達軸521と一体的に軸方向Lへ移動し、それに伴って切替部材SLを軸方向Lへ移動させる。
第2弾性体523は、軸方向Lに弾性を有する部材である。本実施形態では、第2弾性体523は、第2伝達軸521の径方向Rの外側を覆うように配置されている。本例では、第2弾性体523は、圧縮コイルばねであり、第2伝達軸521が挿通されている。
第2支持部524は、第2従動部材42が備える支持体423と共に第2弾性体523を支持する部材である。本実施形態では、第2支持部524は、軸方向第2側L2から第2弾性体523に当接するように配置されている。一方、支持体423は、軸方向第1側L1から第2弾性体523に当接するように配置されている。本実施形態では、第2支持部524及び支持体423は、第2従動部材42における一対の第2摺動部422の間に配置されている。そして、第2支持部524が軸方向第2側L2の第2摺動部422に当接すると共に、支持体423が軸方向第1側L1の第2摺動部422に当接するように配置されている。
本実施形態では、第2支持部524は、第2伝達軸521の外周面を覆う筒状に形成されている。そして、第2支持部524は、軸方向Lに、第2伝達軸521に対して相対的に摺動可能に支持されている。また、第2支持部524は、第2伝達軸521に設けられた第1規制部52aにより、第2伝達軸521に対する軸方向第2側L2への相対移動が規制されている。本例では、第1規制部52aは、第2伝達軸521の外周面に形成された溝部に嵌合するスナップリングである。
本実施形態では、支持体423は、第2伝達軸521の外周面を覆う筒状に形成されている。そして、支持体423は、軸方向Lに、第2伝達軸521に対して相対的に摺動可能に支持されている。また、支持体423は、第2伝達軸521に設けられた第2規制部52bにより、第2伝達軸521に対する軸方向第1側L1への相対移動が規制されている。本例では、第2規制部52bは、第2伝達軸521の外周面に形成された溝部に嵌合するスナップリングである。
このように、本実施形態では、第2従動部材42が、第2弾性体523を介して第2伝達軸521と連結されている。そして、第2伝達軸521が、噛み合い式係合装置DCの切替部材SLを移動させるシフトフォーク522と一体的に移動するように連結されている。つまり、本実施形態では、第2伝達部材52は、第2従動部材42からの駆動力を、第2弾性体523を介して噛み合い式係合装置DC(第1係合装置CL1、第3係合装置CL3)に伝達する。
本実施形態では、係合駆動装置DRは、回転体1、回転駆動装置2、第1カム経路31、第1従動部材41、第1伝達部材51、第2カム経路32、第2従動部材42、及び第2伝達部材52を含む。
図2に示すように、キャンセル経路7は、回転体1の回転方向に沿って、回転体1の周面1aに設けられている。本実施形態では、キャンセル経路7は、第2周面12aに設けられている。また、キャンセル経路7は、回転体1の大径部12の外周面としての第2周面12aにおいて周方向に沿って連続的に形成された溝部を構成する一対のキャンセル側面7aを備えている。一対のキャンセル側面7aは、互いに軸方向Lに対向するように形成されている。
図3に示すように、キャンセル経路7は、軸方向Lの位置が回転体1における周面1a(ここでは、第2周面12a)の周方向の位置に応じて変化するように形成されたキャンセル傾斜部7Tを有している。本実施形態では、キャンセル経路7は、軸方向Lの位置が回転体1における周面1a(ここでは、第2周面12a)の周方向の位置に応じて変化しないように形成されたキャンセル直線部7Sを更に有している。なお、キャンセル経路7の詳細な構成については後述する。
図2に示すように、キャンセル従動部材8は、回転体1の回転に応じて、キャンセル経路7に案内されて移動する部材である。キャンセル従動部材8は、回転体1の回転に応じて、キャンセル経路7のキャンセル傾斜部7Tに押されて軸方向Lに移動する。本実施形態では、キャンセル従動部材8は、特定の径方向R(図2における上下方向)に沿って延在するように形成されている。そして、キャンセル従動部材8の先端部(図2における下端部)が、キャンセル経路7を構成する溝部内に配置されている。つまり、キャンセル従動部材8の先端部が、キャンセル経路7における一対のキャンセル側面7aの軸方向Lの間に配置されている。また、本実施形態では、キャンセル従動部材8は、回転体1の回転軸心(第4軸X4)に対して、第1従動部材41とは径方向Rの反対側に配置されている。
付勢機構9は、キャンセル従動部材8を付勢するように構成されている。付勢機構9は、回転体1の回転に応じて、キャンセル従動部材8がキャンセル傾斜部7Tに押されて規定の中立位置から軸方向Lに移動した場合に、当該移動方向とは反対方向の付勢力をキャンセル従動部材8に作用させる。本例では、付勢機構9は、軸方向Lに弾性を有する圧縮コイルばねを含む。そのため、本例では、キャンセル従動部材8の「中立位置」は、軸方向Lに荷重が掛かっていない圧縮コイルばねにより支持されたキャンセル従動部材8の位置である。そして、キャンセル従動部材8がキャンセル傾斜部7Tに押されて圧縮コイルばねが縮んだ場合に、当該圧縮コイルばねの復元力が付勢力としてキャンセル従動部材8に作用する。
以下では、本実施形態に係る第1カム経路31、第2カム経路32、及びキャンセル経路7の構成について、図3を参照して説明する。図3は、第1カム経路31、第2カム経路32、及びキャンセル経路7のそれぞれを回転体1の回転方向に沿って平面上に展開させたものの一例を示す図である。図3では、第1カム経路31と第2カム経路32とキャンセル経路7との位置関係を、第1カム経路31を構成する溝部内に配置された第1従動部材41の第1被案内部411の周方向の位置と、第2カム経路32を構成する溝部内に配置された第2従動部材42の第2被案内部421の周方向の位置と、キャンセル経路7を構成する溝部内に配置されたキャンセル従動部材8の周方向の位置と、を一致させたものとして表している。
図3に示すように、本実施形態では、第1カム経路31、第2カム経路32、及びキャンセル経路7のそれぞれは、回転体1の全周に亘って配置されている。本実施形態では、回転体1は、第1従動部材41、第2従動部材42、及びキャンセル従動部材8のそれぞれが、第1カム経路31、第2カム経路32、及びキャンセル経路7のそれぞれの位置θ0~θ9を記載の順に経由するように、1方向に回転駆動される。
本実施形態では、第1カム経路31は、解放位相Pe0を保持する第1保持部311と、解放位相Pe0から係合位相Pe1に遷移する第1遷移部312と、係合位相Pe1を保持する第2保持部313と、係合位相Pe1から解放位相Pe0に遷移する第2遷移部314と、を備えている。第1保持部311、第1遷移部312、第2保持部313、及び第2遷移部314は、当該記載の順に並ぶように、回転体1の回転方向に沿って連続的に配置されている。本実施形態では、第1保持部311及び第2保持部313のそれぞれが、第1直線部31Sに相当する。また、第1遷移部312及び第2遷移部314のそれぞれが、第1傾斜部31Tに相当する。
解放位相Pe0及び係合位相Pe1は、第2係合装置CL2の係合の状態を切り替えるための位相である。解放位相Pe0では、第1従動部材41に連結された第1伝達部材51が、第2係合装置CL2を解放状態とする。係合位相Pe1では、第1従動部材41に連結された第1伝達部材51が、第2係合装置CL2を係合状態とする。
本実施形態では、第1保持部311は、回転体1の回転方向における、位置θ0から位置θ4まで、及び位置θ8から位置θ0まで形成されている。第1遷移部312は、回転体1の回転方向における位置θ4から位置θ5まで形成されている。第2保持部313は、回転体1の回転方向における位置θ5から位置θ7まで形成されている。第2遷移部314は、回転体1の回転方向における位置θ7から位置θ8まで形成されている。
本実施形態では、第2カム経路32は、中立位相P0を保持する第1保持部321と、中立位相P0から第1位相P1に遷移する第1遷移部322と、第1位相P1を保持する第2保持部323と、第1位相P1から中立位相P0に遷移する第2遷移部324と、中立位相P0を保持する第3保持部325と、中立位相P0から第2位相P2に遷移する第3遷移部326と、第2位相P2を保持する第4保持部327と、第2位相P2から中立位相P0に遷移する第4遷移部328と、を備えている。第1保持部321、第1遷移部322、第2保持部323、第2遷移部324、第3保持部325、第3遷移部326、第4保持部327、及び第4遷移部328は、当該記載の順に並ぶように、回転体1の回転方向に沿って連続的に配置されている。本実施形態では、第1保持部321、第2保持部323、第3保持部325、及び第4保持部327のそれぞれが、第2直線部32Sに相当する。また、第1遷移部322、第2遷移部324、第3遷移部326、及び第4遷移部328のそれぞれが、第2傾斜部32Tに相当する。
中立位相P0、第1位相P1、及び第2位相P2は、第1係合装置CL1及び第3係合装置CL3の係合の状態を切り替えるための位相である。中立位相P0では、第2従動部材42に連結された第2伝達部材52が、第1係合装置CL1及び第3係合装置CL3の双方を解放状態とする。第1位相P1では、第2従動部材42に連結された第2伝達部材52が、第1係合装置CL1を係合状態とすると共に、第3係合装置CL3を解放状態とする。第2位相P2では、第2従動部材42に連結された第2伝達部材52が、第1係合装置CL1を解放状態とすると共に、第3係合装置CL3を係合状態とする。
本実施形態では、第1保持部321は、回転体1の回転方向における位置θ0から位置θ1まで形成されている。第1遷移部322は、回転体1の回転方向における位置θ1から位置θ2まで形成されている。第2保持部323は、回転体1の回転方向における位置θ2から位置θ3まで形成されている。第2遷移部324は、回転体1の回転方向における位置θ3から位置θ4まで形成されている。第3保持部325は、回転体1の回転方向における位置θ4から位置θ5まで形成されている。第3遷移部326は、回転体1の回転方向における位置θ5から位置θ6まで形成されている。第4保持部327は、回転体1の回転方向における位置θ6から位置θ9まで形成されている。第4遷移部328は、回転体1の回転方向における位置θ9から位置θ0まで形成されている。
本実施形態では、キャンセル経路7は、待機位相Pc0を保持する第1保持部71と、待機位相Pc0からキャンセル位相Pc1に遷移する第1遷移部72と、キャンセル位相Pc1を保持する第2保持部73と、キャンセル位相Pc1から待機位相Pc0に遷移する第2遷移部74と、を備えている。第1保持部71、第1遷移部72、第2保持部73、及び第2遷移部74は、当該記載の順に並ぶように、回転体1の回転方向に沿って連続的に配置されている。本実施形態では、第1保持部71及び第2保持部73のそれぞれが、キャンセル直線部7Sに相当する。また、第1遷移部72及び第2遷移部74のそれぞれが、キャンセル傾斜部7Tに相当する。
本実施形態では、第1保持部71は、回転体1の回転方向における、位置θ0から位置θ4まで、及び位置θ8から位置θ0まで形成されている。第1遷移部72は、回転体1の回転方向における位置θ4から位置θ5まで形成されている。第2保持部73は、回転体1の回転方向における位置θ5から位置θ7まで形成されている。第2遷移部74は、回転体1の回転方向における位置θ7から位置θ8まで形成されている。
本実施形態では、回転体1の回転方向(図3における上下方向)におけるキャンセル従動部材8の位置を基準としたキャンセル経路7の形状は、回転体1の回転方向における第1従動部材41の位置を基準とした第1カム経路31の形状に相似である。図3に示す例では、回転体1の回転方向におけるキャンセル従動部材8の位置を基準としたキャンセル経路7の形状と、回転体1の回転方向における第1従動部材41の位置を基準とした第1カム経路31の形状とは、回転体1の回転軸心に沿う方向(図3における左右方向)において対称である。ここで、「2つの形状が相似である」とは、一方の形状に対して拡大又は縮小、移動、回転、及び鏡像反転の少なくとも1つを行った場合に、他方の形状と一致することを指す。
図4に示すように、キャンセル経路7は、付勢機構9によりキャンセル従動部材8を介して回転体1に作用する付勢力F2の方向が、第1カム経路31の第1傾斜部31Tが第1従動部材41を押すことによって回転体1に生じる反力F1の方向とは反対方向となるように形成されている。
本実施形態では、第1従動部材41の第1被案内部411の軸方向Lの位置が係合位相Pe1となった場合、上述したように、ピストン駆動体512が径方向Rに対して傾斜し、当接部512bが軸受515及び押圧体516を介してピストン22を軸方向第1側L1に押圧して、第2係合装置CL2が係合状態となる。このとき、第1カム経路31における軸方向第1側L1の第1傾斜部31Tが第1被案内部411を軸方向第2側L2に押すことによって、軸方向第1側L1に向けた反力F1が回転体1に生じる。
一方、キャンセル従動部材8の軸方向Lの位置がキャンセル位相Pc1となり、付勢機構9によって軸方向第2側L2に付勢されたキャンセル従動部材8が、キャンセル経路7における軸方向第2側L2のキャンセル側面7aを軸方向第2側L2に押すことにより、軸方向第2側L2に向けた付勢力F2がキャンセル従動部材8を介して回転体1に作用する。これにより、第1カム経路31の第1傾斜部31Tが第1従動部材41を押すことによって回転体1に生じる反力F1の少なくとも一部を、付勢機構9によりキャンセル従動部材8を介して回転体1に作用する付勢力F2によって打ち消すことができる。なお、本実施形態では、キャンセル従動部材8の軸方向Lの位置が待機位相Pc0となっている場合、つまり、キャンセル従動部材8がキャンセル経路7の第1保持部71に位置している場合においても、付勢機構9は、回転体1に付勢力F2が作用しない程度に、キャンセル従動部材8をキャンセル経路7のキャンセル側面7aに当接させるように付勢している。
このように、待機位相Pc0及びキャンセル位相Pc1は、回転体1における付勢力F2の有無を切り替えるための位相である。キャンセル位相Pc1では、付勢機構9によりキャンセル従動部材8を介して回転体1に付勢力F2が作用し、待機位相Pc0では、回転体1に付勢力F2が作用しない。
本実施形態では、付勢機構9は、キャンセル従動部材8の中立位置からの軸方向Lの移動量に応じた大きさの付勢力F2を、キャンセル従動部材8を介して回転体1に作用させ、
キャンセル経路7は、回転体1の各回転位相において、回転体1に生じる反力F1の大きさに応じた大きさの付勢力F2が、回転体1に作用するように形成されている。
キャンセル経路7は、回転体1の各回転位相において、回転体1に生じる反力F1の大きさに応じた大きさの付勢力F2が、回転体1に作用するように形成されている。
この構成によれば、回転体1の各回転位相において、第1カム経路31の第1傾斜部31Tが第1従動部材41を押すことによって回転体1に生じる反力F1の大きさと、付勢機構9によりキャンセル従動部材8を介して回転体1に作用する付勢力F2の大きさとの差を小さく抑えることが容易となる。したがって、回転体1に生じる反力F1の少なくとも一部を効果的に打ち消すことができる。
また、上述したように、本実施形態では、回転体1の回転方向における第1従動部材41の位置を基準とした第1カム経路31の形状と、回転体1の回転方向におけるキャンセル従動部材8の位置を基準としたキャンセル経路7の形状とが相似である。
この構成によれば、回転体1の各回転位相において、第1カム経路31の第1傾斜部31Tが第1従動部材41を押すことによって回転体1に生じる反力F1の大きさと、付勢機構9によりキャンセル従動部材8を介して回転体1に作用する付勢力F2の大きさとの差を小さく抑えることが容易となる。したがって、回転体1に生じる反力F1の少なくとも一部を効果的に打ち消すことができる。
また、上述したように、本実施形態では、回転体1の周面1aは、第1の直径を有する第1周面11aと、当該第1の直径よりも大きい第2の直径を有する第2周面12aと、を含み、
第1カム経路31は、第1周面11aに設けられ、
キャンセル経路7は、第2周面12aに設けられている。
第1カム経路31は、第1周面11aに設けられ、
キャンセル経路7は、第2周面12aに設けられている。
この構成によれば、キャンセル経路7の直径を、第1カム経路31の直径よりも大きくすることができる。これにより、キャンセル経路7のキャンセル傾斜部7Tがキャンセル従動部材8を押す位置を、第1カム経路31の第1傾斜部31Tが第1従動部材41を押す位置よりも径方向Rの外側に配置することができる。その結果、第1従動部材41から回転体1への力の伝達比に比べて、キャンセル従動部材8から回転体1への力の伝達比を大きくすることができるため、第1カム経路31の第1傾斜部31Tが第1従動部材41を押すことによって回転体1に生じる反力F1に比べて、キャンセル従動部材8を介して回転体1に作用する付勢力F2を大きく確保することが容易となる。したがって、回転体1に生じる反力F1の少なくとも一部を効果的に打ち消すことができる。
図5に示すように、本実施形態では、第1従動部材41は、第1被案内部411の先端部(図5における上端部)が、第1カム経路31の径方向Rの内側に寄せて配置されている。図5に示す例では、第1被案内部411の先端部は、径方向Rにおいて、小径部11の外周面としての第1周面11aよりも、第1カム経路31を構成する溝部の底面31bに寄せて配置されている。これにより、第1従動部材41から回転体1への力の伝達比を比較的小さくすることができ、延いては回転体1に生じる反力F1を小さく抑えることができる。
また、図6に示すように、本実施形態では、キャンセル従動部材8は、その先端部(図6における下端部)が、キャンセル経路7の径方向Rの外側に寄せて配置されている。図6に示す例では、キャンセル従動部材8の先端部は、径方向Rにおいて、キャンセル経路7を構成する溝部の底面7bよりも、大径部12の外周面としての第2周面12aに寄せて配置されている。これにより、キャンセル従動部材8から回転体1への力の伝達比を比較的大きくすることができ、延いては回転体1に生じる付勢力F2を大きく確保することができる。
本実施形態では、車両用駆動伝達装置100は、以上のように構成されたカム駆動装置CDと、
車輪の駆動力源に駆動連結される入力部材Iと、
車輪に駆動連結される出力部材Oと、
第1変速段、及び当該第1変速段よりも変速比が小さい第2変速段を含む複数の変速段を形成可能に構成され、入力部材Iの側から伝達される回転を、複数の変速段のうちの形成された変速段に応じた変速比で変速して出力部材Oの側へ伝達する変速機TMと、を備え、
カム駆動装置CDは、回転体1の回転方向に沿って回転体1の周面1aに設けられた第2カム経路32と、回転体1の回転に応じて第2カム経路32に案内されて移動する第2従動部材42と、当該第2従動部材42に連動して移動するように第2従動部材42に連結された第2伝達部材52と、当該第2伝達部材52の移動によって駆動される第2被駆動装置62と、を更に備え、
変速機TMは、噛み合い式の第1係合装置CL1と、摩擦式の第2係合装置CL2と、第1係合装置CL1及び第2係合装置CL2を駆動する係合駆動装置DRと、を備え、
第1係合装置CL1が係合状態、かつ、第2係合装置CL2が解放状態で、第1変速段が形成され、第1係合装置CL1が解放状態、かつ、第2係合装置CL2が係合状態で、第2変速段が形成され、
第1被駆動装置61が第2係合装置CL2であり、第2被駆動装置62が第1係合装置CL1であり、
係合駆動装置DRは、回転体1、回転駆動装置2、第1カム経路31、第1従動部材41、第1伝達部材51、第2カム経路32、第2従動部材42、及び第2伝達部材52を含む。
車輪の駆動力源に駆動連結される入力部材Iと、
車輪に駆動連結される出力部材Oと、
第1変速段、及び当該第1変速段よりも変速比が小さい第2変速段を含む複数の変速段を形成可能に構成され、入力部材Iの側から伝達される回転を、複数の変速段のうちの形成された変速段に応じた変速比で変速して出力部材Oの側へ伝達する変速機TMと、を備え、
カム駆動装置CDは、回転体1の回転方向に沿って回転体1の周面1aに設けられた第2カム経路32と、回転体1の回転に応じて第2カム経路32に案内されて移動する第2従動部材42と、当該第2従動部材42に連動して移動するように第2従動部材42に連結された第2伝達部材52と、当該第2伝達部材52の移動によって駆動される第2被駆動装置62と、を更に備え、
変速機TMは、噛み合い式の第1係合装置CL1と、摩擦式の第2係合装置CL2と、第1係合装置CL1及び第2係合装置CL2を駆動する係合駆動装置DRと、を備え、
第1係合装置CL1が係合状態、かつ、第2係合装置CL2が解放状態で、第1変速段が形成され、第1係合装置CL1が解放状態、かつ、第2係合装置CL2が係合状態で、第2変速段が形成され、
第1被駆動装置61が第2係合装置CL2であり、第2被駆動装置62が第1係合装置CL1であり、
係合駆動装置DRは、回転体1、回転駆動装置2、第1カム経路31、第1従動部材41、第1伝達部材51、第2カム経路32、第2従動部材42、及び第2伝達部材52を含む。
この構成によれば、第1被駆動装置61としての第2係合装置CL2の係合の状態を切り替える際に、係合駆動装置DRを構成する回転体1に生じる反力F1の少なくとも一部を打ち消すことができるため、回転体1の回転駆動に要するトルクを小さく抑えることができる。したがって、カム駆動装置CDにおける回転駆動装置2の小型化を図り易く、延いては車両用駆動伝達装置100の小型化を図ることができる。
また、本構成によれば、変速機TMの変速段を第1変速段から第2変速段に切り替える際に、摩擦式の第2係合装置CL2を係合状態とすることにより、噛み合い式の第1係合装置CL1が係合状態から解放状態となることに伴って入力部材Iと出力部材Oとの間で動力伝達が遮断されることを回避できる。したがって、変速機TMの変速段を第1変速段から第2変速段に切り替える際に生じる車輪駆動力の変動を少なく抑えることができる。
また、本構成によれば、変速機TMの変速段を第1変速段から第2変速段に切り替える際に、摩擦式の第2係合装置CL2を係合状態とすることにより、噛み合い式の第1係合装置CL1が係合状態から解放状態となることに伴って入力部材Iと出力部材Oとの間で動力伝達が遮断されることを回避できる。したがって、変速機TMの変速段を第1変速段から第2変速段に切り替える際に生じる車輪駆動力の変動を少なく抑えることができる。
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、キャンセル経路7が、互いに軸方向Lに対向する一対のキャンセル側面7aを有する溝部により構成されたものを例として説明したが、そのような構成に限定されない。例えば、図7に示すように、キャンセル経路7が、軸方向Lの一方側(ここでは、軸方向第1側L1)を向くキャンセル側面7aを有する板状に形成されていても良い。図7に示す例では、キャンセル経路7に案内されるキャンセル従動部材8は、付勢機構9により軸方向第2側L2に付勢されて、キャンセル側面7aに軸方向第1側L1から当接するように、球面状に形成されている。このような構成によれば、キャンセル経路7の直径を大きくすることが容易であるため、キャンセル従動部材8を介して回転体1に作用する付勢力F2を大きく確保することが容易となる。
(1)上記の実施形態では、キャンセル経路7が、互いに軸方向Lに対向する一対のキャンセル側面7aを有する溝部により構成されたものを例として説明したが、そのような構成に限定されない。例えば、図7に示すように、キャンセル経路7が、軸方向Lの一方側(ここでは、軸方向第1側L1)を向くキャンセル側面7aを有する板状に形成されていても良い。図7に示す例では、キャンセル経路7に案内されるキャンセル従動部材8は、付勢機構9により軸方向第2側L2に付勢されて、キャンセル側面7aに軸方向第1側L1から当接するように、球面状に形成されている。このような構成によれば、キャンセル経路7の直径を大きくすることが容易であるため、キャンセル従動部材8を介して回転体1に作用する付勢力F2を大きく確保することが容易となる。
(2)上記の実施形態では、1つのキャンセル経路7が、回転体1の周面1aに設けられた構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、2つ以上のキャンセル経路7が、回転体1の周面1aに設けられていても良い。
(3)上記の実施形態では、付勢機構9が、軸方向Lに弾性を有する圧縮コイルばねを含む構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、付勢機構9を、例えば油圧又は空気圧のシリンダを含んだ構成としても良い。
(4)上記の実施形態では、キャンセル経路7が、回転体1の各回転位相において、回転体1に生じる反力F1の大きさに応じた大きさの付勢力F2が、回転体1に作用するように形成された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、キャンセル経路7が、回転体1の各回転位相において、一定の大きさの付勢力F2が、回転体1に作用するように形成されていても良い。
(5)上記の実施形態では、第1カム経路31が比較的直径の小さい第1周面11aに設けられ、キャンセル経路7が比較的直径の大きい第2周面12aに設けられた構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、回転体1の周面1aが一定の直径で形成され、第1カム経路31及びキャンセル経路7が当該周面1aに設けられた構成としても良い。
(6)上記の実施形態では、回転体1の回転方向における第1従動部材41の位置を基準とした第1カム経路31の形状と、回転体1の回転方向におけるキャンセル従動部材8の位置を基準としたキャンセル経路7の形状とが相似である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、回転体1に生じる反力F1の少なくとも一部を打ち消すことができれば、第1カム経路31の形状とキャンセル経路7の形状とが相似でなくても良い。
(7)上記の実施形態では、第1伝達部材51が第1弾性体513を備え、第2伝達部材52が第2弾性体523を備えた構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第1伝達部材51及び第2伝達部材52の少なくとも一方が弾性体を備えていない構成としても良い。
(8)上記の実施形態では、ピストン駆動体512の当接部512bが、軸受515及び押圧体516を介して第2係合装置CL2のピストン22を押圧する構成を例として説明したが、そのような構成に限定されない。例えば、軸受515が設けられておらず、ピストン駆動体512の当接部512bが、押圧体516を介してピストン22を押圧する構成としても良い。或いは、ピストン駆動体512の当接部512bが、ピストン22を直接押圧する構成としても良い。
(9)上記の実施形態において、図3を用いて説明した、第1カム経路31、第2カム経路32、及びキャンセル経路7の構成は、単なる一例に過ぎない。車両用駆動伝達装置100によって実現したい走行モードや、その走行モードの移行順序等に応じて、各カム経路の構成は、適宜変更可能である。
(10)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。したがって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
本開示に係る技術は、カム駆動装置、及びそれを備えた車両用駆動伝達装置に利用することができる。
100:車両用駆動伝達装置、1:回転体、1a:周面、2:回転駆動装置、31:第1カム経路、31T:第1傾斜部(傾斜部)、41:第1従動部材、51:第1伝達部材、61:第1被駆動装置、7:キャンセル経路、7T:キャンセル傾斜部、8:キャンセル従動部材、9:付勢機構、CD:カム駆動装置、F1:反力、F2:付勢力、L:軸方向
Claims (5)
- 円筒状に形成され、軸心を中心として回転可能に支持された回転体と、
前記回転体を回転駆動する回転駆動装置と、
前記回転体の回転方向に沿って、前記回転体の周面に設けられた第1カム経路と、
前記回転体の回転に応じて、前記第1カム経路に案内されて移動する第1従動部材と、
前記第1従動部材に連動して移動するように、前記第1従動部材に連結された第1伝達部材と、
前記第1伝達部材の移動によって駆動される第1被駆動装置と、を備え、
前記第1カム経路は、前記回転体の軸心に沿う軸方向の位置が前記周面の周方向の位置に応じて変化するように形成された傾斜部を有し、
前記第1従動部材は、前記回転体の回転に応じて、前記傾斜部に押されて前記軸方向に移動する、カム駆動装置であって、
前記回転体の回転方向に沿って、前記回転体の前記周面に設けられたキャンセル経路と、
前記回転体の回転に応じて、前記キャンセル経路に案内されて移動するキャンセル従動部材と、
前記キャンセル従動部材を付勢する付勢機構と、を更に備え、
前記キャンセル経路は、前記軸方向の位置が前記周方向の位置に応じて変化するように形成されたキャンセル傾斜部を有し、
前記付勢機構は、前記回転体の回転に応じて、前記キャンセル従動部材が前記キャンセル傾斜部に押されて規定の中立位置から前記軸方向に移動した場合に、当該移動方向とは反対方向の付勢力を前記キャンセル従動部材に作用させ、
前記キャンセル経路は、前記付勢機構により前記キャンセル従動部材を介して前記回転体に作用する前記付勢力の方向が、前記傾斜部が前記第1従動部材を押すことによって前記回転体に生じる反力の方向とは反対方向となるように形成されている、カム駆動装置。 - 前記付勢機構は、前記キャンセル従動部材の前記中立位置からの前記軸方向の移動量に応じた大きさの前記付勢力を、前記キャンセル従動部材を介して前記回転体に作用させ、
前記キャンセル経路は、前記回転体の各回転位相において、前記回転体に生じる前記反力の大きさに応じた大きさの前記付勢力が、前記回転体に作用するように形成されている、請求項1に記載のカム駆動装置。 - 前記回転体の前記周面は、第1の直径を有する第1周面と、前記第1の直径よりも大きい第2の直径を有する第2周面と、を含み、
前記第1カム経路は、前記第1周面に設けられ、
前記キャンセル経路は、前記第2周面に設けられている、請求項1又は2に記載のカム駆動装置。 - 前記回転体の回転方向における前記第1従動部材の位置を基準とした前記第1カム経路の形状と、前記回転体の回転方向における前記キャンセル従動部材の位置を基準とした前記キャンセル経路の形状とが相似である、請求項1から3のいずれか一項に記載のカム駆動装置。
- 請求項1から4のいずれか一項に記載のカム駆動装置と、
車輪の駆動力源に駆動連結される入力部材と、
前記車輪に駆動連結される出力部材と、
第1変速段、及び当該第1変速段よりも変速比が小さい第2変速段を含む複数の変速段を形成可能に構成され、前記入力部材の側から伝達される回転を、複数の前記変速段のうちの形成された変速段に応じた変速比で変速して前記出力部材の側へ伝達する変速機と、を備え、
前記カム駆動装置は、前記回転体の回転方向に沿って前記回転体の前記周面に設けられた第2カム経路と、前記回転体の回転に応じて前記第2カム経路に案内されて移動する第2従動部材と、前記第2従動部材に連動して移動するように前記第2従動部材に連結された第2伝達部材と、前記第2伝達部材の移動によって駆動される第2被駆動装置と、を更に備え、
前記変速機は、噛み合い式の第1係合装置と、摩擦式の第2係合装置と、前記第1係合装置及び前記第2係合装置を駆動する係合駆動装置と、を備え、
前記第1係合装置が係合状態、かつ、前記第2係合装置が解放状態で、前記第1変速段が形成され、前記第1係合装置が解放状態、かつ、前記第2係合装置が係合状態で、前記第2変速段が形成され、
前記第1被駆動装置が前記第2係合装置であり、前記第2被駆動装置が前記第1係合装置であり、
前記係合駆動装置は、前記回転体、前記回転駆動装置、前記第1カム経路、前記第1従動部材、前記第1伝達部材、前記第2カム経路、前記第2従動部材、及び前記第2伝達部材を含む、車両用駆動伝達装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020187452A JP2022076839A (ja) | 2020-11-10 | 2020-11-10 | カム駆動装置、及びそれを備えた車両用駆動伝達装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2020187452A JP2022076839A (ja) | 2020-11-10 | 2020-11-10 | カム駆動装置、及びそれを備えた車両用駆動伝達装置 |
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ID=81618280
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JP2020187452A Pending JP2022076839A (ja) | 2020-11-10 | 2020-11-10 | カム駆動装置、及びそれを備えた車両用駆動伝達装置 |
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- 2020-11-10 JP JP2020187452A patent/JP2022076839A/ja active Pending
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