JP2022075283A - 蓄電装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】活物質の膨張収縮及び拘束部材から付与される拘束荷重に起因して正極集電体が変形することを抑制する。【解決手段】シール部材50は、積層方向Zにおいて正極集電体22と負極集電体32との間に配置されている。拘束部材60は、積層方向Zにおいて、セルスタック11の一端に位置する正極21と、セルスタック11の他端に位置する負極31と、に拘束荷重を付与する。接着層24は、正極集電体22の正極集電体前面22aに配置されている。正極活物質層23は、積層方向Zにおいて正極集電体22に並ぶように接着層24に固定する。負極活物質層33は、積層方向Zにおける負極集電体32の負極集電体前面32aに配置されるとともに、積層方向Zにおける平面視において正極活物質層23よりも大きい。接着層24は、積層方向Zからみた平面視において、負極活物質層33よりも大きく、且つ正極活物質層23の全体と重なっている。【選択図】図1
Description
本発明は、蓄電装置に関する。
特許文献1に記載の蓄電装置は、セルスタック及びシール部材を備えている。セルスタックは、複数のバイポーラ電極が積層方向において重なり合って構成されている。バイポーラ電極は、積層方向における集電体の一方の面に正極活物質層を備えるとともに、積層方向における集電体の他方の面に負極活物質層を備えている。シール部材は、積層方向において2つの集電体の間に配置されている。
また、蓄電装置の電池特性の確保等のために、拘束部材からセルスタックに拘束荷重を付与することが知られている。
ところで、集電体のうち、一面に正極活物質層を備えない部分は、その他の部分よりも強度が低くなる。同様に、集電体のうち、一面に負極活物質層を備えない部分は、その他の部分よりも強度が低くなる。そのため、活物質の膨張収縮及び拘束部材からセルスタックへの拘束荷重の作用に伴って、集電体の一面に正極活物質層を備えない部分は、集電体のその他の部分よりも変形しやすい。同様に、集電体の一面に負極活物質層を備えない部分は、集電体のその他の部分よりも変形しやすい。集電体の変形が繰り返されるため、集電体の耐久性が懸念される。
上記課題を解決する蓄電装置は、金属製の正極集電体を有する正極と、金属製の負極集電体を有する負極と、が積層方向において重なり合うセルスタックと、前記積層方向において前記正極集電体と前記負極集電体との間に配置されるシール部材と、前記積層方向において、前記セルスタックの一端に位置する前記正極と、前記セルスタックの他端に位置する前記負極と、に拘束荷重を付与する拘束部材と、を備える蓄電装置であって、前記正極は、前記積層方向における前記正極集電体の一面である正極集電体前面に配置されるとともに、結着剤を含む導電性の接着層と、前記積層方向において前記正極集電体に並ぶように前記接着層に固定するとともに、正極活物質を含む正極活物質層と、を備え、前記負極は、負極活物質を含む負極活物質層を備え、前記負極活物質層は、前記積層方向における前記負極集電体の一面である負極集電体前面に配置されるとともに、前記積層方向における平面視において前記正極活物質層よりも大きく、前記接着層は、前記正極活物質を含まないとともに、前記積層方向からみた平面視において、前記負極活物質層よりも大きく、且つ前記正極活物質層の全体と重なっていることを特徴とする。
活物質の膨張収縮及び拘束部材から正極に付与される拘束荷重に起因して、正極集電体のなかで、とくに正極活物質層の周縁部と積層方向において並ぶ部分に応力が集中しやすい。上記構成によれば、接着層は、積層方向からみた平面視において、正極活物質層よりも大きく、且つ正極活物質層の全体と重なっている。そのため、上記の応力が集中しやすい正極集電体の部分を含んで、正極集電体前面を接着層によって覆うことができる。正極集電体前面を接着層によって覆うことにより、正極集電体前面が覆われずに露出する場合と比較して、正極集電体の強度を向上できる。正極活物質層の周縁部と積層方向において並ぶ正極集電体の部分が、接着層で覆われるため変形しにくくなる。したがって、活物質の膨張収縮及び拘束部材から付与される拘束荷重に起因して正極集電体が変形することを抑制できる。
また、活物質の膨張収縮及び拘束部材から負極に付与される拘束荷重に起因して、負極集電体のなかで、とくに負極活物質層の周縁部と積層方向において並ぶ部分に応力が集中しやすい。そのため、正極集電体のうち、負極集電体における上記の応力が集中しやすい部分と積層方向において並ぶ部分においても同様に応力が集中しやすい。
上記構成によれば、接着層は、積層方向から見た平面視において負極活物質層よりも大きい。そのため、負極活物質層の周縁部と積層方向において並ぶ正極集電体の部分を含んで、正極集電体前面を接着層によって覆うことができる。したがって、活物質の膨張収縮及び拘束部材から付与される拘束荷重に起因して正極集電体が変形することをさらに抑制できる。
蓄電装置において、前記シール部材は、前記正極集電体前面に固定し、前記接着層は、前記正極集電体前面のうち、前記シール部材が固定する領域を除く部分に配置されてもよい。
上記構成によれば、積層方向におけるシール部材と正極集電体前面との間に接着層が位置しないため、正極集電体前面に対するシール部材のシール性を向上できる。
蓄電装置において、前記積層方向において前記正極集電体前面の反対に位置する前記正極集電体の一面を正極集電体裏面とするとともに、前記積層方向において前記負極集電体前面の反対に位置する前記負極集電体の一面を負極集電体裏面とするとき、前記正極集電体裏面と前記負極集電体裏面とは前記積層方向において隣接しており、前記シール部材は、前記負極集電体前面に固定し、前記接着層は、前記積層方向において、前記負極集電体前面における前記シール部材が固定する領域と並んでいてもよい。
蓄電装置において、前記積層方向において前記正極集電体前面の反対に位置する前記正極集電体の一面を正極集電体裏面とするとともに、前記積層方向において前記負極集電体前面の反対に位置する前記負極集電体の一面を負極集電体裏面とするとき、前記正極集電体裏面と前記負極集電体裏面とは前記積層方向において隣接しており、前記シール部材は、前記負極集電体前面に固定し、前記接着層は、前記積層方向において、前記負極集電体前面における前記シール部材が固定する領域と並んでいてもよい。
上記構成によれば、積層方向において互いに隣接する正極集電体及び負極集電体を、接着層及びシール部材によって積層方向における両側から覆うことができる。したがって、正極集電体に加えて負極集電体の強度を向上できるため、活物質の膨張収縮及び拘束部材から付与される拘束荷重に起因して負極集電体が変形することを抑制できる。
蓄電装置において、前記積層方向における前記セルスタックの一端に位置する前記正極において、前記拘束部材から受ける拘束荷重の領域を荷重領域とするとき、前記接着層は、前記積層方向における前記セルスタックの一端に位置する前記正極において、前記積層方向から見た平面視で前記荷重領域よりも大きく、且つ前記荷重領域の全体と重なっていてもよい。
積層方向におけるセルスタックの一端に位置する正極において、正極集電体の荷重領域に拘束部材から拘束荷重が作用する。このセルスタックの一端に位置する正極における正極集電体のうち、荷重領域と荷重領域以外の領域との境界部分に応力が集中しやすい。
上記構成によれば、接着層は、積層方向におけるセルスタックの一端に位置する正極において、積層方向から見た平面視で荷重領域よりも大きく、且つ荷重領域の全体と重なっている。そのため、セルスタックの一端に位置する正極において、上記の応力が集中しやすい正極集電体の部分を含んで、正極集電体前面を接着層によって覆うことができる。したがって、拘束部材から付与される拘束荷重に起因して、セルスタックの一端に位置する正極における正極集電体が変形することを抑制できる。
この発明によれば、活物質の膨張収縮及び拘束部材から付与される拘束荷重に起因して正極集電体が変形することを抑制できる。
以下、蓄電装置を具体化した実施形態について、図1~図3を用いて説明する。なお、特に断らない限り、本実施形態に記載された数値範囲「x~y」は、下限値x及び上限値yをその範囲に含む。そして、これらの上限値及び下限値、並びに本実施形態中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。さらに数値範囲内から任意に選択した数値を上限値及び下限値とすることができる。蓄電装置は、例えば、フォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリに用いられる蓄電モジュールである。本実施形態の蓄電装置はリチウムイオン二次電池である。
図1に示すように、蓄電装置10は、セルスタック11を備える。また、蓄電装置10は、正極通電板12aと、負極通電板12bと、を備える。正極通電板12a及び負極通電板12bは、セルスタック11を挟んで互いに対向している。正極通電板12a及び負極通電板12bは、良導電性材料で構成されている。セルスタック11、正極通電板12a、及び負極通電板12bは、積層方向Zに積層している。積層方向Zは、正極通電板12a及び負極通電板12bにおける外面のうち、セルスタック11と隣接する外面に垂直をなす方向である。正極通電板12a及び負極通電板12bは、積層方向Zに直交する方向に延びる矩形板状である。セルスタック11は、複数の蓄電セル20が積層方向Zに積層された積層体である。
正極通電板12a及び負極通電板12bは、それぞれセルスタック11と電気的に接続している。図示は省略しているが、正極通電板12a及び負極通電板12bの各々には端子が接続されている。この端子を通じて蓄電装置10の充放電が行われる。
各蓄電セル20は、正極21及び負極31を備える。言い換えると、セルスタック11は、正極21及び負極31を備えるともいえる。
正極21は、金属製の正極集電体22を有する。正極21は、結着剤を含む導電性の接着層24と、正極活物質を含む正極活物質層23と、を備える。接着層24は、積層方向Zにおける正極集電体22の一面である正極集電体前面22aに配置されている。正極活物質層23は、積層方向Zにおいて正極集電体22に並ぶように接着層24に固定している。接着層24は、積層方向Zにおける正極集電体22と正極活物質層23との間に位置している。正極活物質層23及び接着層24のどちらとも、積層方向Zにおける正極集電体前面22aの裏面である正極集電体裏面22bには位置しない。
正極21は、金属製の正極集電体22を有する。正極21は、結着剤を含む導電性の接着層24と、正極活物質を含む正極活物質層23と、を備える。接着層24は、積層方向Zにおける正極集電体22の一面である正極集電体前面22aに配置されている。正極活物質層23は、積層方向Zにおいて正極集電体22に並ぶように接着層24に固定している。接着層24は、積層方向Zにおける正極集電体22と正極活物質層23との間に位置している。正極活物質層23及び接着層24のどちらとも、積層方向Zにおける正極集電体前面22aの裏面である正極集電体裏面22bには位置しない。
負極31は、金属製の負極集電体32を有する。負極31は、負極活物質を含む負極活物質層33を備える。負極活物質層33は、積層方向Zにおける負極集電体32の一面である負極集電体前面32aに配置されている。負極活物質層33は、積層方向Zにおける負極集電体前面32aの裏面である負極集電体裏面32bには位置しない。
正極集電体22及び負極集電体32は、積層方向Zから見た平面視で同じ面積を有する長方形状をなす。正極集電体22と負極集電体32とは、積層方向Zにおいて重なり合っている。すなわち、セルスタック11において、正極21と負極31とが積層方向Zにおいて重なり合うといえる。正極集電体裏面22bと負極集電体裏面32bとは積層方向Zにおいて隣接している。正極集電体22及び負極集電体32は、積層方向Zから見た平面視で、互いの縁部が重なっている。
図2に示すように、正極活物質層23及び接着層24は、積層方向Zから見た平面視で、正極集電体22よりも小さい長方形状をなす。正極集電体22を積層方向Zから見た平面視で、正極集電体22の長辺が延びる方向を第1方向Xといい、正極集電体22の短辺が延びる方向を第2方向Yという。なお、第1方向X及び第2方向Yは、積層方向Zに直交する直交方向である。以下では、第1方向X及び第2方向Yを直交方向ともいう。第1方向Xと第2方向Yとは互いに直交する。
図3に示すように、負極活物質層33は、積層方向Zから見た平面視で、負極集電体32よりも小さく、且つ正極活物質層23よりも大きい長方形状をなす。負極集電体32を積層方向Zから見た平面視で、負極集電体32の長辺は第1方向Xに延びており、負極集電体32の短辺は第2方向Yに延びている。
図1に示すように、各蓄電セル20は、セパレータ40を備える。セパレータ40は、積層方向Zにおける正極活物質層23と負極活物質層33との間に位置する。積層方向Zにおいて、セパレータ40を介して、正極活物質層23と負極活物質層33とは対向している。セパレータ40は、積層方向Zから見た平面視で、正極活物質層23の全体及び負極活物質層33の全体を覆っている。
セパレータ40は、正極21と負極31とを隔離する。セパレータ40は、正極21及び負極31の接触による短絡を防止しつつ、リチウムイオン等の電荷担体を通過させる部材である。セパレータ40は、接着剤などによって正極活物質層23及び負極活物質層33に接着していてもよい。ホットプレス等の公知の手法により蓄電セル20に加圧することで、セパレータ40を正極活物質層23及び負極活物質層33に接着してもよい。
蓄電装置10はシール部材50を備える。シール部材50は、樹脂製である。シール部材50は、積層方向Zにおいて正極集電体22と負極集電体32との間に配置されている。シール部材50は、絶縁材料を含み、正極集電体22と負極集電体32との間を絶縁することによって、それら両集電体間の短絡を防止する。
シール部材50を積層方向Zから見た平面視において、シール部材50は4つの縁部を有する四角枠状をなしている。シール部材50は、直交方向において正極活物質層23及び負極活物質層33を囲んでいる。詳細には、図1に図示するように、シール部材50の2つの縁部は、第1方向Xにおいて正極活物質層23及び負極活物質層33を囲んでいる。図1において図示は省略しているが、シール部材50の2つの縁部は、第2方向Yにおいて正極活物質層23及び負極活物質層33を囲んでいる。
シール部材50は、積層方向Zにおける正極集電体22と負極集電体32との間に位置するシール本体部56と、正極集電体22と負極集電体32との間の領域外にシール本体部56から延びるシール延設部57と、を備える。またシール本体部56は、四角枠から負極活物質層33に向けて伸びており、かつ負極集電体32に沿う凸部56aを備える。シール延設部57は、積層方向Zに並ぶ全ての正極集電体22の周縁部と、積層方向Zに並ぶ全ての負極集電体32の周縁部と、を覆っている封止体57aを備える。セパレータ40の端部は、積層方向Zにおけるシール本体部56と正極集電体22の間あるいはシール本体部56と負極集電体32との間に位置してもよい。
セルスタック11として積層する前の蓄電セル20において、シール部材50の前駆体は、図1に一点鎖線で示すように、互いに積層方向Zにおいて重なり合う第1シール前駆体58及び第2シール前駆体59を備える。第1シール前駆体58は、積層方向Zにおいて正極集電体22寄りに位置する。第2シール前駆体59は、積層方向Zにおいて負極集電体32寄りに位置する。第1シール前駆体58及び第2シール前駆体59は、それぞれ積層方向Zにおける正極集電体22と負極集電体32との間に位置する本体部と、正極集電体22と負極集電体32との間の領域外に本体部から延びる延設部と、を備える。
セルスタック11として複数の蓄電セル20を積層した状態で、シール部材50の前駆体を加熱することで、積層方向Zに隣り合う第1シール前駆体58と第2シール前駆体59が接合され、シール部材50が形成される。積層方向Zに隣り合う蓄電セル20は、シール延設部57によって一体化している。積層方向Zにおいて積層する全ての蓄電セル20のシール延設部57が一体化している。なお、接合方法としては、例えば、熱溶着、超音波溶着、及び赤外線溶着等が挙げられる。図1では、1つの蓄電セル20における第1シール前駆体58及び第2シール前駆体59を一点鎖線で示し、その他の蓄電セル20におけるシール部材50の一点鎖線での図示を省略している。
シール部材50は、正極集電体前面22a及び負極集電体前面32aに固定している。正極集電体22及び負極集電体32へのシール部材50の固定手段としては、例えば熱溶着や、接着剤による接着等を採用可能である。
正極集電体前面22aにおけるシール部材50を固定する領域を第1固定領域R1という。負極集電体前面32aにおけるシール部材50を固定する領域を第2固定領域R2という。第1固定領域R1の直交方向における寸法を第1寸法L1、第2固定領域R2の直交方向における寸法を第2寸法L2とすると、図1に図示するように、第1方向Xにおいて、第2寸法L2は第1寸法L1よりも大きい。第2方向Yにおいても同様に、第2寸法L2は第1寸法L1よりも大きい。第2寸法L2が第1寸法L1よりも大きいため、第2固定領域R2は第1固定領域R1よりも大きい。
蓄電セル20の各々の内部には、積層方向Zにおいて隣り合う正極集電体22及び負極集電体32と、シール部材50と、によって空間Sが区画形成されている。空間Sには、正極活物質層23、負極活物質層33、セパレータ40、及び電解液が収容されている。
シール部材50は、正極21と負極31との間の空間Sを封止する封止部としても機能する。シール部材50は、空間Sに収容された電解液が蓄電装置10の外部に漏れることを防止し得る。シール部材50は、蓄電装置10の外部から空間Sへと水分が侵入することを防止し得る。さらに、シール部材50は、例えば充放電反応等により正極21又は負極31から発生したガスが蓄電装置10の外部に漏れることを防止し得る。
セルスタック11を構成する複数の正極21のなかで、積層方向Zにおける一端に位置する正極21は、積層方向Zにおいてセルスタック11の一端に位置する。セルスタック11を構成する複数の負極31のなかで、積層方向Zにおける他端に位置する負極31は、積層方向Zにおいてセルスタック11の他端に位置する。なお、以下では、積層方向Zにおいて、セルスタック11の一端に位置する正極21を最外正極121という。積層方向Zにおいて、セルスタック11の他端に位置する負極31を最外負極131という。
セルスタック11の積層方向Zにおける外郭は、最外正極121の正極集電体22及び最外負極131の負極集電体32によって構成される。なお、シール部材50は、第1方向X及び第2方向Yにおいて、複数の正極集電体22及び複数の負極集電体32を囲んでいる。そのため、シール部材50は、最外正極121の正極集電体22及び最外負極131の負極集電体32と共に、セルスタック11の外郭を構成している。
正極通電板12aは、最外正極121の正極集電体22に電気的に接続する。正極通電板12aは、最外正極121における、正極集電体22の正極集電体裏面22bに接している。負極通電板12bは、最外負極131の負極集電体32に電気的に接続する。負極通電板12bは、最外負極131における、負極集電体32の負極集電体裏面32bに接している。
蓄電装置10は拘束部材60を備えている。拘束部材60は、積層方向Zにおいて対をなして位置している。一方の拘束部材60は、積層方向Zにおいて正極通電板12aに隣接する。他方の拘束部材60は、積層方向Zにおいて負極通電板12bに隣接する。拘束部材60は、積層方向Zにおける両側から、セルスタック11、正極通電板12a、及び負極通電板12bを拘束している。
最外正極121の正極集電体22は、正極通電板12aを介して拘束部材60からの拘束荷重を受ける。最外負極131の負極集電体32は、負極通電板12bを介して拘束部材60からの拘束荷重を受ける。これにより、拘束部材60は、最外正極121と最外負極131とに拘束荷重を付与する。拘束部材60は、セルスタック11、正極通電板12a、及び負極通電板12bに積層方向Zにおける拘束荷重を付与する。
なお、最外正極121において拘束部材60から受ける拘束荷重の領域は、最外正極121の正極集電体22のうち、正極通電板12aと積層方向Zにおいて重なる領域に相当する。こうした最外正極121において、拘束部材60から受ける拘束荷重の領域を荷重領域R3とする。
正極通電板12a及び負極通電板12bは、積層方向Zにおける平面視において、正極活物質層23及び負極活物質層33よりも大きく、且つ正極活物質層23及び負極活物質層33の各々の全体を覆っている。そのため、拘束部材60からセルスタック11に付与される拘束荷重は、正極通電板12a及び負極通電板12bを介して、セルスタック11に位置する全ての正極活物質層23及び負極活物質層33に付与される。これにより、セパレータ40を介して積層方向Zに隣り合う正極活物質層23及び負極活物質層33は、セパレータ40を介して互いに密接している。積層方向Zに隣り合う正極集電体22及び負極集電体32は、互いに密接している。
次に、蓄電装置10を構成する各種部材について、材料及び構成の詳細を説明する。
セパレータ40は、例えば、電解質を吸収保持するポリマーを含む多孔性シート又は不織布であってもよい。セパレータ40を構成する材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリオレフィン、及びポリエステルなどが挙げられる。セパレータ40は、単層構造又は多層構造を有してもよい。多層構造は、例えば、耐熱層としてのセラミック層等を有してもよい。セパレータ40は、電解質が含浸されてもよく、セパレータ40自体を高分子電解質又は無機型電解質等の電解質で構成してもよい。
セパレータ40は、例えば、電解質を吸収保持するポリマーを含む多孔性シート又は不織布であってもよい。セパレータ40を構成する材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリオレフィン、及びポリエステルなどが挙げられる。セパレータ40は、単層構造又は多層構造を有してもよい。多層構造は、例えば、耐熱層としてのセラミック層等を有してもよい。セパレータ40は、電解質が含浸されてもよく、セパレータ40自体を高分子電解質又は無機型電解質等の電解質で構成してもよい。
セパレータ40に含浸される電解質としては、例えば、非水溶媒と非水溶媒に溶解した電解質塩とを含む液体電解質である電解液、又はポリマーマトリックス中に保持された電解質を含む高分子ゲル電解質等が挙げられる。
セパレータ40に電解液が含浸される場合、その電解質塩として、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(FSO2)2、LiN(CF3SO2)2等の公知のリチウム塩を使用できる。また、非水溶媒として、環状カーボネート類、環状エステル類、鎖状カーボネート類、鎖状エステル類、及びエーテル類等の公知の溶媒を使用できる。なお、これら公知の溶媒材料を二種以上組合せて用いてもよい。
シール部材50を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン、ABS樹脂、変性ポリプロピレン(変性PP)、及びアクリロニトリルスチレン(AS樹脂)等、種々の樹脂材料が挙げられる。
正極集電体22及び負極集電体32は、化学的に不活性な電気伝導体である。正極集電体22は、金属材料を含む1以上の層を含む複数層を備えてもよい。
正極集電体前面22a及び負極集電体前面32aの少なくとも一方に、メッキ処理又はスプレーコート等の公知の方法により被覆層を形成してもよい。正極集電体22及び負極集電体32は、例えば、板状、箔状、シート状、フィルム状、及びメッシュ状等の形態に形成されていてもよい。
正極集電体前面22a及び負極集電体前面32aの少なくとも一方に、メッキ処理又はスプレーコート等の公知の方法により被覆層を形成してもよい。正極集電体22及び負極集電体32は、例えば、板状、箔状、シート状、フィルム状、及びメッシュ状等の形態に形成されていてもよい。
正極集電体22及び負極集電体32を構成する金属材料としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン又はステンレス鋼等を用いることができる。ステンレス鋼としては、例えばJISG4305:2015にて規定されるSUS316、SUS301、及びSUS304等が挙げられる。正極集電体22及び負極集電体32の少なくとも一方は、上記金属材料の合金箔又はクラッド箔であってもよい。正極集電体22及び負極集電体32を箔状とする場合、各々の厚みは、例えば、1~100μmであってもよい。
正極通電板12aを構成する材料には、正極集電体22を構成する材料と同じ材料を用いることができる。負極通電板12bを構成する材料には、負極集電体32を構成する材料と同じ材料を用いることができる。正極通電板12a及び負極通電板12bは、正極集電体22及び負極集電体32よりも厚い金属板で構成してもよい。
正極活物質層23は、リチウムイオン等の電荷担体を吸蔵及び放出し得る正極活物質を含む。正極活物質としては、層状岩塩構造を有するリチウム複合金属酸化物、スピネル構造の金属酸化物、及びポリアニオン系化合物等、リチウムイオン二次電池の正極活物質として使用可能なものを採用すればよい。また、2種以上の正極活物質を併用してもよい。
負極活物質層33は、リチウムイオンなどの電荷担体を吸蔵及び放出可能である単体、合金、又は化合物であれば、特に限定はなく使用可能である。例えば、負極活物質としては、リチウム、炭素、金属化合物、及びリチウムと合金化可能な元素もしくはその化合物等が挙げられる。炭素としては、天然黒鉛、人造黒鉛、ハードカーボン(難黒鉛化性炭素)、及びソフトカーボン(易黒鉛化性炭素)を挙げることができる。人造黒鉛としては、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ等が挙げられる。リチウムと合金化可能な元素の例としては、シリコン(ケイ素)及びスズが挙げられる。
正極活物質層23及び負極活物質層33を単に活物質層ともいう。活物質層は、必要に応じて電気伝導性を高めるための導電助剤、結着剤、電解質(ポリマーマトリクス、イオン伝導性ポリマー、電解液等)、及びイオン伝導性を高めるための電解質支持塩(リチウム塩)等をさらに含み得る。活物質層に含まれる成分、当該成分の配合比、及び活物質層の厚さは、リチウムイオン二次電池についての従来公知の知見を適宜参照して設定可能である。活物質層の厚みは、例えば100~800μmである。正極活物質層23の厚みは、例えば200~800μmである。負極活物質層33の厚みは、例えば100~600μmである。負極集電体前面32aに活物質層を形成させるには、ロールコート法等の従来から公知の方法を用いてもよい。
正極21及び負極31の熱安定性を向上させるために、正極集電体前面22a、負極集電体前面32a、又は活物質層の前面に、耐熱層を設けてもよい。耐熱層は、例えば、無機粒子と結着剤とを含み、その他に増粘剤等の添加剤を含んでもよい。
導電助剤は、正極21又は負極31の導電性を高めるために添加される。導電助剤は、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、及びグラファイト等である。
結着剤は、正極集電体22又は負極集電体32に対する活物質の結着性を向上させるために添加される。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸等のアクリル系樹脂、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム等のアルギン酸塩、水溶性セルロースエステル架橋体、デンプン-アクリル酸グラフト重合体を例示することができる。これらの結着剤は、単独で又は複数で用いられ得る。溶媒には、例えば、水、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)等が用いられる。
結着剤は、正極集電体22又は負極集電体32に対する活物質の結着性を向上させるために添加される。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸等のアクリル系樹脂、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム等のアルギン酸塩、水溶性セルロースエステル架橋体、デンプン-アクリル酸グラフト重合体を例示することができる。これらの結着剤は、単独で又は複数で用いられ得る。溶媒には、例えば、水、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)等が用いられる。
本実施形態の正極集電体22はアルミニウム箔である。このアルミニウム箔は、工業用純アルミニウムからなり、例えば、引張強さ180~230MPa、伸び率4.5~5.0%である。正極活物質層23に含まれる正極活物質は、オリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO4)である。上記アルミニウム箔の厚さは、1μm以上30μm以下であり、1μm以上20μm以下であることが好ましい。薄いアルミニウム箔を用いることにより、蓄電セル20のエネルギー密度を大きくできる。また、蓄電装置10の積層方向Zの高さを低くできる。
本実施形態の負極集電体32は銅箔である。この銅箔は、引張強さ320~360MPa、伸び率3~20%である。負極活物質層33に含まれる負極活物質は、黒鉛である。上記銅箔の厚さは、1μm以上25μm以下であり、1μm以上15μm以下であることが好ましい。薄い銅箔を用いることにより、蓄電セル20のエネルギー密度を大きくできる。また、蓄電装置10の積層方向Zの高さを低くできる。
本実施形態の接着層24は正極活物質を含まない。接着層24は、導電助剤及び結着剤によって構成してもよい。接着層24に含まれる導電助剤は、例えばカーボンブラックである。接着層24に含まれる結着剤は、例えばポリフッ化ビニリデンである。接着層24における導電助剤と結着剤との配合比は、8:2~2:8とすることが好ましい。
接着層24の厚さは、上記アルミニウム箔の厚さに対して、1/10以上1/2以下であることが好ましい。接着層24の厚さは、3μm以上15μm以下であることが好ましい。接着層24の厚さを薄くすることにより、蓄電装置10の積層方向Zの高さを低くできる。
次に、正極21の製造手順の一例について説明する。
正極21の製造に際しては、一方の面に正極活物質層23を有するキャリア箔と、一方の面に接着層24の前駆体を有する金属箔と、を用意する。キャリア箔は、高強度の材料である。例えば、キャリア箔はステンレス箔であってもよい。金属箔は、正極集電体22と同材料からなる箔である。接着層24の前駆体は、半乾状態のペースト状である。接着層24の前駆体は、例えば、乾燥工程を経てはいるが、絶乾状態ではない。接着層24の前駆体は、例えば、金属箔に塗工されることによって金属箔の一方の面に形成される。
正極21の製造に際しては、一方の面に正極活物質層23を有するキャリア箔と、一方の面に接着層24の前駆体を有する金属箔と、を用意する。キャリア箔は、高強度の材料である。例えば、キャリア箔はステンレス箔であってもよい。金属箔は、正極集電体22と同材料からなる箔である。接着層24の前駆体は、半乾状態のペースト状である。接着層24の前駆体は、例えば、乾燥工程を経てはいるが、絶乾状態ではない。接着層24の前駆体は、例えば、金属箔に塗工されることによって金属箔の一方の面に形成される。
正極活物質層23と接着層24の前駆体とが重なるように、キャリア箔と金属箔とを重ね合わせる。この状態で、例えばローラ等によってキャリア箔及び金属箔を押圧することにより、正極活物質層23を接着層24の前駆体に押し付ける。正極活物質層23は、キャリア箔から剥がれるとともに、キャリア箔から金属箔に転写される。その後、例えばヒータ等を用いて接着層24の前駆体を硬化させることにより、接着層24は前駆体から成形体となる。金属箔上に正極活物質層23及び接着層24が形成される。
接着層24の前駆体に正極活物質層23が押し付けられることにより、接着層24のうち、正極活物質層23と重なっている部分の密度が高くなる。接着層24のうち、正極活物質層23と重なっていない部分は、正極活物質層23と重なっている部分よりも積層方向Zにおいて盛り上がった形状となるとともに、密度が低くなる。正極21に成形体においては、こうした積層方向Zに盛り上がった接着層24の部分が、正極活物質層23の周りを囲むように位置する。
蓄電装置10の充放電時に生じる正極活物質層23の膨張が、上記の盛り上がった接着層24の部分によって緩和される。正極活物質層23の膨張が緩和されることで、正極活物質層23の膨張が正極集電体22に伝わりにくくなる。したがって、蓄電装置10の充放電時における正極集電体22の変形を抑制できる。
次に、接着層24についてさらに詳細に説明する。
図2に示すように、接着層24は、正極集電体前面22aのうち、シール部材50が固定する第1固定領域R1を除く部分に配置されている。接着層24は、第1固定領域R1を除く正極集電体前面22aの全体を覆っている。
図2に示すように、接着層24は、正極集電体前面22aのうち、シール部材50が固定する第1固定領域R1を除く部分に配置されている。接着層24は、第1固定領域R1を除く正極集電体前面22aの全体を覆っている。
蓄電セル20の製造時、シール部材50の前駆体の積層後に正極21を積層するか、正極21の積層後にシール部材50の前駆体を積層することで、シール部材50の前駆体と正極集電体22とが積層方向Zに並べられる。このとき、第1シール前駆体58の内周端面と接着層24の周縁部とが接するため、第1シール前駆体58と接着層24とによって、シール部材50の前駆体と正極21との位置決めができる。
また、積層方向Zから見た平面視において、正極活物質層23及び最外正極121における荷重領域R3の大きさは、第1固定領域R1を除いた正極集電体前面22aの領域よりも小さい。そのため、接着層24は、積層方向Zから見た平面視において、正極活物質層23よりも大きく、且つ正極活物質層23の全体と重なっている。接着層24は、最外正極121において、積層方向Zから見た平面視で荷重領域R3よりも大きく、且つ荷重領域R3の全体と重なっている。
図3に示すように、接着層24は、積層方向Zから見た平面視において負極活物質層33よりも大きい。積層方向Zから見た平面視において、接着層24の周端部は、シール部材50が固定する負極集電体前面32aの第2固定領域R2と重なっている。すなわち、接着層24は、積層方向Zにおいて第2固定領域R2と並んでいる。
次に、本実施形態の作用について説明する。
活物質の膨張収縮及び拘束部材60から正極21に付与される拘束荷重に起因して、正極集電体22のなかで、とくに正極活物質層23の周縁部と積層方向Zにおいて並ぶ部分に応力が集中しやすい。本実施形態の接着層24は、積層方向Zからみた平面視において、正極活物質層23よりも大きく、且つ正極活物質層23の全体と重なっている。そのため、上記の応力が集中しやすい正極集電体22の部分を含んで、正極集電体前面22aを接着層24によって覆うことができる。正極集電体前面22aを接着層24によって覆うことにより、正極集電体前面22aが覆われずに露出する場合と比較して、正極集電体22の強度を向上できる。
活物質の膨張収縮及び拘束部材60から正極21に付与される拘束荷重に起因して、正極集電体22のなかで、とくに正極活物質層23の周縁部と積層方向Zにおいて並ぶ部分に応力が集中しやすい。本実施形態の接着層24は、積層方向Zからみた平面視において、正極活物質層23よりも大きく、且つ正極活物質層23の全体と重なっている。そのため、上記の応力が集中しやすい正極集電体22の部分を含んで、正極集電体前面22aを接着層24によって覆うことができる。正極集電体前面22aを接着層24によって覆うことにより、正極集電体前面22aが覆われずに露出する場合と比較して、正極集電体22の強度を向上できる。
上記実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)接着層24は、積層方向Zからみた平面視において、正極活物質層23よりも大きく、且つ正極活物質層23の全体と重なっている。そのため、正極活物質層23の周縁部と積層方向Zにおいて並ぶ正極集電体22の部分が、接着層24で覆われるため変形しにくくなる。同様に、正極活物質層23の周縁部と積層方向Zにおいて並ぶ負極活物質層33の部分及び負極集電体32の部分も変形し難くなる。したがって、活物質の膨張収縮及び拘束部材60から付与される拘束荷重に起因して正極集電体22、負極活物質層33、及び負極集電体32が変形することを抑制できる。
(1)接着層24は、積層方向Zからみた平面視において、正極活物質層23よりも大きく、且つ正極活物質層23の全体と重なっている。そのため、正極活物質層23の周縁部と積層方向Zにおいて並ぶ正極集電体22の部分が、接着層24で覆われるため変形しにくくなる。同様に、正極活物質層23の周縁部と積層方向Zにおいて並ぶ負極活物質層33の部分及び負極集電体32の部分も変形し難くなる。したがって、活物質の膨張収縮及び拘束部材60から付与される拘束荷重に起因して正極集電体22、負極活物質層33、及び負極集電体32が変形することを抑制できる。
また、活物質の膨張収縮及び拘束部材60から負極31に付与される拘束荷重に起因して、負極集電体32のなかで、とくに負極活物質層33の周縁部と積層方向Zにおいて並ぶ部分に応力が集中しやすい。そのため、正極集電体22のうち、負極集電体32における上記の応力が集中しやすい部分と積層方向Zにおいて並ぶ部分においても同様に応力が集中しやすい。
上記実施形態によれば、接着層24は、積層方向Zから見た平面視において負極活物質層33よりも大きい。そのため、負極活物質層33の周縁部と積層方向Zにおいて並ぶ正極集電体22の部分を含んで、正極集電体前面22aを接着層24によって覆うことができる。したがって、活物質の膨張収縮及び拘束部材60から付与される拘束荷重に起因して正極集電体22が変形することをさらに抑制できる。
(2)接着層24は、正極集電体前面22aのうち、シール部材50が固定する第1固定領域R1を除く部分に配置される。そのため、積層方向Zにおけるシール部材50と正極集電体前面22aとの間に接着層24が位置しないため、正極集電体前面22aに対するシール部材50のシール性を向上できる。
(3)接着層24は、積層方向Zにおいて、負極集電体前面32aにおけるシール部材50が固定する第2固定領域R2と並んでいる。そのため、積層方向Zにおいて互いに隣接する正極集電体22及び負極集電体32を、接着層24及びシール部材50によって積層方向Zにおける両側から覆うことができる。したがって、正極集電体22に加えて負極集電体32の強度を向上できるため、活物質の膨張収縮及び拘束部材60から付与される拘束荷重に起因して負極集電体32が変形することを抑制できる。
(4)積層方向Zにおけるセルスタック11の一端に位置する最外正極121において、正極集電体22の荷重領域R3に拘束部材60から拘束荷重が作用する。この最外正極121における正極集電体22のうち、荷重領域R3と荷重領域R3以外の領域との境界部分に応力が集中しやすい。
上記実施形態によれば、接着層24は、最外正極121において、積層方向Zから見た平面視で荷重領域R3よりも大きく、且つ荷重領域R3の全体と重なっている。そのため、最外正極121において、上記の応力が集中しやすい正極集電体22の部分を含んで、正極集電体前面22aを接着層24によって覆う。したがって、拘束部材60から付与される拘束荷重に起因して、最外正極121における正極集電体22が変形することを抑制できる。
(5)アルミニウム箔である正極集電体22は、銅箔である負極集電体32よりも引張強さが劣っている。上記実施形態では、接着層24は、引張強度の劣った正極集電体22を覆う一方で、引張強さの優れた負極集電体32を覆っていない。したがって、接着層24の追加に伴う蓄電装置10の積層方向Zにおける寸法の増大を最低限に抑えつつ、変形しやすい正極集電体22の変形を抑制できる。
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記の各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○ 接着層24の前駆体は、絶乾状態であってもよい。
○ 接着層24は、最外正極121において、積層方向Zから見た平面視で荷重領域R3よりも小さくてもよい。この場合、接着層24は、積層方向Zから見た平面視で荷重領域R3の一部と重なる。
○ 接着層24は、最外正極121において、積層方向Zから見た平面視で荷重領域R3よりも小さくてもよい。この場合、接着層24は、積層方向Zから見た平面視で荷重領域R3の一部と重なる。
○ シール本体部56は、四角枠から正極活物質層23に向けて伸びる凸部を備えてもよい。この場合、正極集電体前面22aにおける第1固定領域R1は、負極集電体前面32aにおける第2固定領域R2よりも大きく、第1寸法L1が第2寸法L2よりも大きい。また、シール本体部56は、四角枠から負極活物質層33に向けて伸びる凸部56aを備えなくても良い。この場合、第1固定領域R1と第2固定領域R2とが同じ大きさであって、第1寸法L1と第2寸法L2とは同じである。なお、この変更例では、負極集電体前面32aのうち、積層方向Zにおいて接着層24と並ぶ部分にシール部材50が位置しない。また、シール部材50の前駆体は、1あるいはそれ以上の部材から構成されていても良い。
○ シール延設部57は、封止体57aを備えなくても良い。すなわち、積層方向Zに隣り合う蓄電セル20は、シール延設部57によって一体化していなくてもよい。
○ 正極集電体前面22aに対するシール部材50のシール性を確保できるのであれば、接着層24を正極集電体前面22aとシール部材50との間に配置してもよい。
○ 正極集電体前面22aに対するシール部材50のシール性を確保できるのであれば、接着層24を正極集電体前面22aとシール部材50との間に配置してもよい。
○ 正極集電体22の平面視形状は特に限定されるものではない。正極集電体22の平面視形状は、例えば正方形状等の多角形状であってもよいし、円形状や楕円形状であってもよい。負極集電体32の平面視形状についても同様である。
○ 蓄電装置10は、例えばニッケル水素二次電池等のリチウムイオン二次電池以外の二次電池であってもよい。蓄電装置10は、電気二重層キャパシタであってもよいし、全固体電池であってもよい。
R1…第1固定領域、R2…第2固定領域、R3…荷重領域、Z…積層方向、10…蓄電装置、11…セルスタック、21…正極、22…正極集電体、22a…正極集電体前面、22b…正極集電体裏面、23…正極活物質層、24…接着層、31…負極、32…負極集電体、32a…負極集電体前面、32b…負極集電体裏面、33…負極活物質層、50…シール部材、60…拘束部材。
Claims (4)
- 金属製の正極集電体を有する正極と、金属製の負極集電体を有する負極と、が積層方向において重なり合うセルスタックと、
前記積層方向において前記正極集電体と前記負極集電体との間に配置されるシール部材と、
前記積層方向において、前記セルスタックの一端に位置する前記正極と、前記セルスタックの他端に位置する前記負極と、に拘束荷重を付与する拘束部材と、を備える蓄電装置であって、
前記正極は、
前記積層方向における前記正極集電体の一面である正極集電体前面に配置されるとともに、結着剤を含む導電性の接着層と、
前記積層方向において前記正極集電体に並ぶように前記接着層に固定するとともに、正極活物質を含む正極活物質層と、を備え、
前記負極は、負極活物質を含む負極活物質層を備え、
前記負極活物質層は、前記積層方向における前記負極集電体の一面である負極集電体前面に配置されるとともに、前記積層方向における平面視において前記正極活物質層よりも大きく、
前記接着層は、前記正極活物質を含まないとともに、前記積層方向からみた平面視において、前記負極活物質層よりも大きく、且つ前記正極活物質層の全体と重なっていることを特徴とする蓄電装置。 - 前記シール部材は、前記正極集電体前面に固定し、
前記接着層は、前記正極集電体前面のうち、前記シール部材が固定する領域を除く部分に配置される請求項1に記載の蓄電装置。 - 前記積層方向において前記正極集電体前面の反対に位置する前記正極集電体の一面を正極集電体裏面とするとともに、前記積層方向において前記負極集電体前面の反対に位置する前記負極集電体の一面を負極集電体裏面とするとき、
前記正極集電体裏面と前記負極集電体裏面とは前記積層方向において隣接しており、
前記シール部材は、前記負極集電体前面に固定し、
前記接着層は、前記積層方向において、前記負極集電体前面における前記シール部材が固定する領域と並んでいる請求項1又は請求項2に記載の蓄電装置。 - 前記積層方向における前記セルスタックの一端に位置する前記正極において、前記拘束部材から受ける拘束荷重の領域を荷重領域とするとき、
前記接着層は、前記積層方向における前記セルスタックの一端に位置する前記正極において、前記積層方向から見た平面視で前記荷重領域よりも大きく、且つ前記荷重領域の全体と重なっている請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載の蓄電装置。
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