JP2022073192A - ロボットの制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】組立作業を正確かつ迅速に行うことができるロボットの制御方法を提供すること。【解決手段】ロボットアームを有するロボットの制御方法であって、前記ロボットアームが第1対象物を把持して、前記第1対象物の位置または姿勢を変更しつつ前記第1対象物と第2対象物とを組み立てる作業を行う第1ステップと、前記第1ステップにおける作業中の前記第1対象物の位置または姿勢の情報に基づいて、前記第1対象物の位置または姿勢の変更を開始する、または、前記第1対象物の位置または姿勢の変更を終了する基準となる判定基準を設定する第2ステップと、を有することを特徴とするロボットの制御方法。【選択図】図6
Description
本発明は、ロボットの制御方法に関する。
例えば、特許文献1に示すように、ロボットアームと、ロボットアームに加わる力を検出する力検出部と、を有し、力検出部の検出結果に基づいてロボットアームを駆動する力制御を行うことによって、所定の作業を行うロボットが知られている。このようなロボットでは、作業を行うに際し、把持しているワークの移動方向、速度等が変化する位置または姿勢を予め設定しておくことにより、各種作業を実現している。
しかしながら、実際に作業を繰り返すにあたって、ワークの寸法バラツキ、ワークの初期位置、ワークの設置位置等の各種要素が、作業毎にばらついてしまうことが想定される。特許文献1に記載されている方法では、このようなばらつきの影響で作業に要する時間が比較的長くなってしまったり、ワークに過剰に負荷がかかるおそれがある。
本発明のロボットの制御方法は、ロボットアームを有するロボットの制御方法であって、
前記ロボットアームが第1対象物を把持して、前記第1対象物の位置または姿勢を変更しつつ前記第1対象物と第2対象物とを組み立てる作業を行う第1ステップと、
前記第1ステップにおける作業中の前記第1対象物の位置または姿勢の情報に基づいて、前記第1対象物の位置または姿勢の変更を開始する、または、前記第1対象物の位置または姿勢の変更を終了する基準となる判定基準を設定する第2ステップと、を有することを特徴とする。
前記ロボットアームが第1対象物を把持して、前記第1対象物の位置または姿勢を変更しつつ前記第1対象物と第2対象物とを組み立てる作業を行う第1ステップと、
前記第1ステップにおける作業中の前記第1対象物の位置または姿勢の情報に基づいて、前記第1対象物の位置または姿勢の変更を開始する、または、前記第1対象物の位置または姿勢の変更を終了する基準となる判定基準を設定する第2ステップと、を有することを特徴とする。
<実施形態>
図1は、本発明のロボットの制御方法を実行するロボットシステムの全体構成を示す図である。図2は、図1に示すロボットシステムのブロック図である。図3~図8は、図1に示すロボットシステムが実行する作業の一例を順に説明するための断面図である。図9は、図1に示すロボットシステムが実行する制御動作を説明するためのフローチャートである。図10は、作業回数ごとの作業結果を表示したグラフである。
図1は、本発明のロボットの制御方法を実行するロボットシステムの全体構成を示す図である。図2は、図1に示すロボットシステムのブロック図である。図3~図8は、図1に示すロボットシステムが実行する作業の一例を順に説明するための断面図である。図9は、図1に示すロボットシステムが実行する制御動作を説明するためのフローチャートである。図10は、作業回数ごとの作業結果を表示したグラフである。
以下、ロボットの制御方法を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、以下では、説明の便宜上、図1中の+Z軸方向、すなわち、上側を「上」、-Z軸方向、すなわち、下側を「下」とも言う。また、ロボットアームについては、図1中の基台11側を「基端」、その反対側、すなわち、エンドエフェクター側を「先端」とも言う。また、図1中のZ軸方向、すなわち、上下方向を「鉛直方向」とし、X軸方向およびY軸方向、すなわち、左右方向を「水平方向」とする。
図1に示すように、ロボットシステム100は、ロボット1と、ロボット1を制御する制御装置3と、教示装置4と、を備え、本発明のロボットの制御方法を実行する。
まず、ロボット1について説明する。
図1に示すロボット1は、本実施形態では単腕の6軸垂直多関節ロボットであり、基台11と、ロボットアーム10と、を有する。また、ロボットアーム10の先端部にエンドエフェクター20を装着することができる。エンドエフェクター20は、ロボット1の構成要件であってもよく、ロボット1の構成要件でなくてもよい。
図1に示すロボット1は、本実施形態では単腕の6軸垂直多関節ロボットであり、基台11と、ロボットアーム10と、を有する。また、ロボットアーム10の先端部にエンドエフェクター20を装着することができる。エンドエフェクター20は、ロボット1の構成要件であってもよく、ロボット1の構成要件でなくてもよい。
なお、ロボット1は、図示の構成に限定されず、例えば、双腕型の多関節ロボットであってもよい。また、ロボット1は、水平多関節ロボットであってもよい。
基台11は、ロボットアーム10を下側から駆動可能に支持する支持体であり、例えば工場内の床に固定されている。ロボット1は、基台11が中継ケーブル18を介して制御装置3と電気的に接続されている。なお、ロボット1と制御装置3との接続は、図1に示す構成のように有線による接続に限定されず、例えば、無線による接続であってもよく、さらには、インターネットのようなネットワークを介して接続されていてもよい。
本実施形態では、ロボットアーム10は、第1アーム12と、第2アーム13と、第3アーム14と、第4アーム15と、第5アーム16と、第6アーム17とを有し、これらのアームが基台11側からこの順に連結されている。なお、ロボットアーム10が有するアームの数は、6つに限定されず、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは7つ以上であってもよい。また、各アームの全長等の大きさは、それぞれ、特に限定されず、適宜設定可能である。
基台11と第1アーム12とは、関節171を介して連結されている。そして、第1アーム12は、基台11に対し、鉛直方向と平行な第1回動軸を回動中心とし、その第1回動軸回りに回動可能となっている。第1回動軸は、基台11が固定される床の法線と一致している。
第1アーム12と第2アーム13とは、関節172を介して連結されている。そして、第2アーム13は、第1アーム12に対し、水平方向と平行な第2回動軸を回動中心として回動可能となっている。第2回動軸は、第1回動軸に直交する軸と平行である。
第2アーム13と第3アーム14とは、関節173を介して連結されている。そして、第3アーム14は、第2アーム13に対し、水平方向と平行な第3回動軸を回動中心として回動可能となっている。第3回動軸は、第2回動軸と平行である。
第3アーム14と第4アーム15とは、関節174を介して連結されている。そして、第4アーム15は、第3アーム14に対し、第3アーム14の中心軸方向と平行な第4回動軸を回動中心として回動可能となっている。第4回動軸は、第3回動軸と直交している。
第4アーム15と第5アーム16とは、関節175を介して連結されている。そして、第5アーム16は、第4アーム15に対し、第5回動軸を回動中心として回動可能となっている。第5回動軸は、第4回動軸と直交している。
第5アーム16と第6アーム17とは、関節176を介して連結されている。そして、第6アーム17は、第5アーム16に対し、第6回動軸を回動中心として回動可能となっている。第6回動軸は、第5回動軸と直交している。
また、第6アーム17は、ロボットアーム10の中で最も先端側に位置するロボット先端部となっている。この第6アーム17は、ロボットアーム10の駆動により、エンドエフェクター20ごと回動することができる。
ロボット1は、駆動部としてのモーターM1、モーターM2、モーターM3、モーターM4、モーターM5およびモーターM6と、エンコーダーE1、エンコーダーE2、エンコーダーE3、エンコーダーE4、エンコーダーE5およびエンコーダーE6とを備える。モーターM1は、関節171に内蔵され、基台11と第1アーム12とを相対的に回転させる。モーターM2は、関節172に内蔵され、第1アーム12と第2アーム13とを相対的に回転させる。モーターM3は、関節173に内蔵され、第2アーム13と第3アーム14とを相対的に回転させる。モーターM4は、関節174に内蔵され、第3アーム14と第4アーム15とを相対的に回転させる。モーターM5は、関節175に内蔵され、第4アーム15と第5アーム16とを相対的に回転させる。モーターM6は、関節176に内蔵され、第5アーム16と第6アーム17とを相対的に回転させる。
また、エンコーダーE1は、関節171に内蔵され、モーターM1の位置を検出する。エンコーダーE2は、関節172に内蔵され、モーターM2の位置を検出する。エンコーダーE3は、関節173に内蔵され、モーターM3の位置を検出する。エンコーダーE4は、関節174に内蔵され、モーターM4の位置を検出する。エンコーダーE5は、関節175に内蔵され、モーターM5の位置を検出する。エンコーダーE6は、関節176に内蔵され、モーターM6の位置を検出する。
エンコーダーE1~エンコーダーE6は、制御装置3と電気的に接続されており、モーターM1~モーターM6の位置情報、すなわち、回転量が制御装置3に電気信号として送信される。そして、この情報に基づいて、制御装置3は、モーターM1~モーターM6を、図示しないモータードライバーを介して駆動させる。すなわち、ロボットアーム10を制御するということは、モーターM1~モーターM6を制御することである。
また、ロボットアーム10の先端には、制御点CPが設定されている。制御点CPは、ロボットアーム10の制御を行う際の基準となる点のことである。ロボットシステム100では、ロボット座標系で制御点CPの位置を把握し、制御点CPが所望の位置に移動するようにロボットアーム10を駆動する。
また、ロボット1では、ロボットアーム10に、力を検出する力検出部19が着脱自在に設置される。そして、ロボットアーム10は、力検出部19が設置された状態で駆動することができる。力検出部19は、本実施形態では、6軸力覚センサーである。力検出部19は、互いに直交する3つの検出軸上の力の大きさと、当該3つの検出軸まわりのトルクの大きさとを検出する。すなわち、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸の各軸方向の力成分と、X軸回りとなるTx方向の力成分と、Y軸回りとなるTy方向の力成分と、Z軸回りとなるTz方向の力成分とを検出する。なお、本実施形態では、Z軸方向が鉛直方向となっている。また、各軸方向の力成分を「並進力成分」と言い、各軸回りの力成分を「回転力成分」と言うこともできる。また、力検出部19は、6軸力覚センサーに限定されず、他の構成のものであってもよい。
本実施形態では、力検出部19は、第6アーム17に設置されている。なお、力検出部19の設置箇所としては、第6アーム17、すなわち、最も先端側に位置するアームに限定されず、例えば、他のアームや、隣り合うアーム同士の間や、基台11の下方であってもよく、全関節にそれぞれ設置されていてもよい。
力検出部19には、エンドエフェクター20を着脱可能に装着することができる。エンドエフェクター20は、一対の爪が接近離間することにより物品を把持するハンドで構成されているが、本発明ではこれに限定されず、2本以上の爪を有していてもよい。また、吸着により物品を把持するハンドであってもよい。
また、ロボット座標系において、エンドエフェクター20の先端の任意の位置、好ましくは各爪が接近した状態における先端にツールセンターポイントTCPが設定されている。前述したように、ロボットシステム100では、ロボット座標系で制御点CPの位置を把握し、制御点CPが所望の位置に移動するようにロボットアーム10を駆動する。また、エンドエフェクター20の種類、特に、長さを把握しておくことにより、ツールセンターポイントTCPと制御点CPとのオフセット量を把握することができる。このため、ツールセンターポイントTCPの位置をロボット座標系で把握することができる。したがって、ツールセンターポイントTCPを制御の基準とすることができる。
ワークW1は、横断面形状が円形をなす棒状体である。なお、ワークW1は、横断面形状が三角形、四角形またはそれ以上の多角形であってもよく、電子機器のコネクターや、プラスチック外装品等のものであってもよい。本実施形態では、ワークW2は、ワークW1が挿入される挿入孔200が設けられているブロック状をなしている。
次に、制御装置3および教示装置4について説明する。
制御装置3は、ロボット1から離間して配置されており、プロセッサーの1例であるCPU(Central Processing Unit)が内蔵されたコンピューター等で構成することができる。この制御装置3は、ロボット1の基台11に内蔵されていてもよい。
制御装置3は、ロボット1から離間して配置されており、プロセッサーの1例であるCPU(Central Processing Unit)が内蔵されたコンピューター等で構成することができる。この制御装置3は、ロボット1の基台11に内蔵されていてもよい。
制御装置3は、中継ケーブル18によりロボット1と通信可能に接続される。また、制御装置3は、教示装置4とケーブルで、または無線通信可能に接続される。教示装置4は、専用のコンピューターであってもよく、ロボット1を教示するためのプログラムがインストールされた汎用のコンピューターであってもよい。例えばロボット1を教示するための専用装置であるティーチングペンダント等を教示装置4の代わりに用いても良い。さらに、制御装置3と教示装置4とは、別々の筐体を備えていてもよく、一体に構成されていてもよい。
また、教示装置4には、制御装置3に後述する目標位置姿勢Stと目標力fStとを引数とする実行プログラムを生成して制御装置3にロードするためのプログラムがインストールされていてもよい。教示装置4は、ディスプレイ、プロセッサー、RAMやROMを備え、これらのハードウェア資源が教示プログラムと協働して実行プログラムを生成する。
図2に示すように、制御装置3は、ロボット1の制御を行うための制御プログラムがインストールされたコンピューターである。制御装置3は、プロセッサーや図示しないRAMやROMを備え、これらのハードウェア資源がプログラムと協働することによりロボット1を制御する。
また、図2に示すように、制御装置3は、目標位置設定部3Aと、駆動制御部3Bと、記憶部3Cと、判定基準設定部3Dと、を有する。記憶部3Cは、例えば、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリー、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリー、着脱式の外部記憶装置等で構成される。記憶部3Cには、本発明のロボットの制御方法を実行するためのプログラム等、ロボット1を作動させるための動作プログラムが記憶されている。
目標位置設定部3Aは、ワークW1に対して所定の作業を実行するための目標位置姿勢Stおよび動作経路を設定する。目標位置設定部3Aは、教示装置4から入力された教示情報等に基づいて、目標位置姿勢Stおよび動作経路を設定する。
駆動制御部3Bは、ロボットアーム10の駆動を制御するものであり、位置制御部30と、座標変換部31と、座標変換部32と、補正部33と、力制御部34と、指令統合部35と、を有する。
位置制御部30は、予め作成されたコマンドで指定される目標位置に従って、ロボット1のツールセンターポイントTCPの位置を制御する位置指令信号、すなわち、位置指令値を生成する。
ここで、制御装置3は、ロボット1の動作を力制御等で制御することが可能である。「力制御」とは、力検出部19の検出結果に基づいて、エンドエフェクター20の位置、すなわち、ツールセンターポイントTCPの位置や、第1アーム12~第6アーム17の姿勢を変更したりするロボット1の動作の制御のことである。
力制御には、例えば、フォーストリガー制御と、インピーダンス制御とが含まれている。フォーストリガー制御では、力検出部19により力検出を行い、その力検出部19により所定の力を検出するまで、ロボットアーム10に移動や姿勢の変更の動作をさせる。
インピーダンス制御は、倣い制御を含む。インピーダンス制御では、ロボットアーム10の先端部に加わる力を可能な限り所定の力に維持、すなわち、力検出部19により検出される所定方向の力を可能な限り目標力fStに維持するようにロボットアーム10の動作を制御する。これにより、例えば、ロボットアーム10に対してインピーダンス制御を行うと、ロボットアーム10は、対象物や、オペレーターから加わった外力に対し、前記所定方向について倣う動作を行う。なお、目標力fStには、0も含まれる。例えば、倣い動作の場合の設定の1つとしては、目標値を「0」とすることができる。なお、目標力fStを0以外の数値とすることもできる。この目標力fStは、作業者が適宜設定可能である。
記憶部3Cは、モーターM1~モーターM6の回転角度の組み合わせと、ロボット座標系におけるツールセンターポイントTCPの位置との対応関係を記憶している。また、制御装置3は、ロボット1が行う作業の工程ごとに目標位置姿勢Stと目標力fStとの少なくとも一方をコマンドに基づいて記憶部3Cに記憶する。目標位置姿勢Stおよび目標力fStを引数、すなわち、パラメーターとするコマンドは、ロボット1が行う作業の工程ごとに設定される。
駆動制御部3Bは、設定された目標位置姿勢Stと目標力fStとがツールセンターポイントTCPにて一致するように、第1アーム12~第6アーム17を制御する。目標力fStとは、第1アーム12~第6アーム17の動作によって達成されるべき力検出部19の検出力およびトルクである。ここで、「S」の文字は、ロボット座標系を規定する軸の方向(X,Y,Z)のいずれか1つの方向を表すこととする。また、Sは、S方向の位置も表すこととする。例えば、S=Xの場合、ロボット座標系で設定された目標位置のX方向成分がSt=Xtとなり、目標力のX方向成分がfSt=fXtとなる。
また、駆動制御部3Bでは、モーターM1~モーターM6の回転角度を取得すると、図2に示す座標変換部31が、対応関係に基づいて、当該回転角度をロボット座標系におけるツールセンターポイントTCPの位置姿勢Sに変換する。そして、座標変換部32が、ツールセンターポイントTCPの位置姿勢Sと、力検出部19の検出値とに基づいて、力検出部19に現実に作用している作用力fSをロボット座標系において特定する。
作用力fSの作用点は、ツールセンターポイントTCPとは別に力検出原点として定義される。力検出原点は、力検出部19が力を検出している点に対応する。なお、制御装置3は、ロボット座標系におけるツールセンターポイントTCPの位置姿勢Sごとに、力検出部19のセンサー座標系における検出軸の方向を規定した対応関係を記憶している。従って、制御装置3は、ロボット座標系におけるツールセンターポイントTCPの位置姿勢Sと対応関係とに基づいて、ロボット座標系における作用力fSを特定できる。また、ロボットに作用するトルクは、作用力fSと、接触点から力検出部19までの距離とから算出することができ、回転力成分として特定される。なお、ワークW1に対してエンドエフェクター20が接触して作業を行う場合、接触点は、ツールセンターポイントTCPとみなすことができる。
補正部33は、作用力fSに対して重力補償を行う。重力補償とは、作用力fSから重力に起因する力やトルクの成分を除去することである。重力補償を行った作用力fSは、ロボットアーム10またはエンドエフェクター20に作用している重力以外の力と見なすことができる。
また、補正部33は、作用力fSに対して慣性補償を行う。慣性補償とは、作用力fSから慣性力に起因する力やトルクの成分を除去することである。慣性補償を行った作用力fSは、ロボットアーム10またはエンドエフェクター20に作用している慣性力以外の力と見なすことができる。
力制御部34は、インピーダンス制御を行う。インピーダンス制御は、仮想の機械的インピーダンスをモーターM1~モーターM6によって実現する能動インピーダンス制御である。制御装置3は、このようなインピーダンス制御を、嵌合作業、螺合作業、研磨作業等、エンドエフェクター20が対象物から力を受ける接触状態の工程や、直接教示を行う際に実行する。なお、このような工程以外であっても、例えば、人がロボット1に接触した際にインピーダンス制御を行うことにより、安全性を高めることができる。
インピーダンス制御では、目標力fStを後述する運動方程式に代入してモーターM1~モーターM6の回転角度を導出する。制御装置3がモーターM1~モーターM6を制御する信号は、PWM(Pulse Width Modulation)変調された信号である。
また、制御装置3は、エンドエフェクター20が外力を受けない非接触状態の工程では、目標位置姿勢Stから線形演算で導出する回転角度でモーターM1~モーターM6を制御する。目標位置姿勢Stから線形演算で導出する回転角度でモーターM1~モーターM6を制御するモードのことを、位置制御モードと言う。
制御装置3は、目標力fStと作用力fSとをインピーダンス制御の運動方程式に代入することにより、力由来補正量ΔSを特定する。力由来補正量ΔSとは、ツールセンターポイントTCPが機械的インピーダンスを受けた場合に、目標力fStとの力偏差ΔfS(t)を解消するために、ツールセンターポイントTCPが移動すべき位置姿勢Sの大きさを意味する。下記の式(1)は、インピーダンス制御の運動方程式である。
式(1)の左辺は、ツールセンターポイントTCPの位置姿勢Sの2階微分値に仮想質量係数m(以下、「質量係数m」と言う)を乗算した第1項と、ツールセンターポイントTCPの位置姿勢Sの微分値に仮想粘性係数d(以下、「粘性係数d」と言う)を乗算した第2項と、ツールセンターポイントTCPの位置姿勢Sに仮想弾性係数k(以下、「弾性係数k」と言う)を乗算した第3項とによって構成される。式(1)の右辺は、目標力fStから現実の力fを減算した力偏差ΔfS(t)によって構成される。式(1)における微分とは、時間による微分を意味する。ロボット1が行う工程において、目標力fStとして一定値が設定される場合や、目標力fStとして時間の関数が設定される場合もある。
質量係数mは、ツールセンターポイントTCPが仮想的に有する質量を意味し、粘性係数dは、ツールセンターポイントTCPが仮想的に受ける粘性抵抗を意味し、弾性係数kは、ツールセンターポイントTCPが仮想的に受ける弾性力のバネ定数を意味する。
質量係数mの値が大きくなるにつれて、動作の加速度が小さくなり、質量係数mの値が小さくなるにつれて動作の加速度が大きくなる。粘性係数dの値が大きくなるにつれて、動作の速度が遅くなり、粘性係数dの値が小さくなるにつれて動作の速度が速くなる。弾性係数kの値が大きくなるにつれて、バネ性が大きくなり、弾性係数kの値が小さくなるにつれて、バネ性が小さくなる。
これら質量係数m、粘性係数dおよび弾性係数kは、方向ごとに異なる値に設定されてもよく、方向に関わらず共通の値に設定されてもよい。また、質量係数m、粘性係数dおよび弾性係数kは、作業者が、作業前に適宜設定可能である。
このような質量係数m、粘性係数dおよび弾性係数kは、力制御パラメーターである。力制御パラメーターには、ロボットアーム10が実際に作業を行うのに先立って設定される値である。力制御パラメーターは、質量係数m、粘性係数dおよび弾性係数k、目標力等が含まれる。
このように、ロボットシステム100では、力制御を実行中、力検出部19の検出値、予め設定された力制御パラメーター、および、予め設定された目標力から補正量を求める。この補正量は、前述した力由来補正量ΔSのことであり、外力を受けたその位置からツールセンターポイントTCPを移動すべき位置との差のことである。
そして、指令統合部35は、位置制御部30が生成した位置指令値Pに、力由来補正量ΔSを合算する。これを随時行うことにより、指令統合部35は、外力を受けた位置に移動させるために用いていた位置指令値Pから、新たな位置指令値P’を求める。
そして、この新たな位置指令値P’を座標変換部31がロボット座標に変換し、実行部351が実行することにより、力由来補正量ΔSを加味した位置にツールセンターポイントTCPを移動させて、外力に対して応答し、ロボット1に接触した対象物に対し、それ以上負荷がかかるのを緩和することができる。
このような駆動制御部3Bによれば、ワークW1を把持した状態で、ツールセンターポイントTCPを目標位置姿勢Stに向かって移動させつつ、かつ、目標力fStが予め設定された値になるまでツールセンターポイントTCPが移動するようにロボットアーム10を駆動することができる。具体的には、ワークW1がワークW2の挿入孔200に挿入され、予め設定された目標力fStを検出するまで挿入作業を行い、挿入作業を完了することができる。また、挿入過程において、上記のような力制御を行うことにより、ワークW1およびワークW2に過剰に負荷がかかるのを防止または抑制することができる。
図2に示す判定基準設定部3Dは、後述するように、作業中におけるワークW1の位置または姿勢の変更を開始する、または、ワークW1の位置または姿勢の変更を終了する基準となる判定基準を設定する。以下、このことについて説明するが、まず、作業の一例について説明する。以下では、この作業を、ワークW1をワークW2の挿入孔200に挿入する挿入作業を例に挙げて説明する。ただし、挿入作業に限定されず、本発明のロボットの制御方法は、その他の組立作業、例えば、ネジ締め等の作業等にも適用可能である。
なお、以下の作業では、ワークW1の位置を、図3~図8に示すように、ワークW1の先端面、すなわち、下端面の中点に設定された制御点CP’のロボット座標系における位置として把握し、ワークW1の姿勢を、制御点CP’を通過する中心軸O1の傾斜角度として把握する場合について説明する。ワークW1のどの位置を把持するかは、既知であるため、ツールセンターポイントTCPからのオフセット量を把握することにより、制御点CP’のロボット座標系における位置を把握することができる。また、ロボットアーム10の各関節角度から、中心軸O1の角度を求めることができる。
ロボット1は、ワークW1を把持して、ワークW2に挿入し、嵌合する作業を行う。ここで、「嵌合」とは、狭義の嵌合のみならず、嵌入、係合等を含む広い概念で用いられる。したがって、ワークW1およびワークW2の構成によっては、「嵌合」を「嵌入」、「係合」等と読み換えることができる。なお、ワークW2を把持してワークW1をワークW2に挿入する作業であってもよい。
また、挿入作業は、図3および図4に示すような第1動作と、図5に示すような第2動作と、図6に示すような第3動作と、図7に示すような第4動作と、図8に示すような第5動作と、を有し、これらの動作を順次行う。また、これらの動作を行うに先立って、ワークW1の予め定められた位置をエンドエフェクター20が把持し、ワークW2を水平面の予め定められた位置に配置した状態とする。ワークW2の挿入孔200の中心軸O2は、鉛直方向に沿った状態である。そして、図3に示すように、ワークW1が作業開始位置P1に位置した状態とする。
第1動作は、図3に示す作業開始位置P1から図4に示すように、ワークW1がワークW2に接触するまでワークW1を下降させる動作である。第1動作は、力制御により行われる。作業開始位置P1におけるワークW1の姿勢は、中心軸O1が鉛直方向に対して所定角度傾斜した状態とする。また、ワークW1が作業開始位置P1に位置した状態では、制御点CP’がワークW2から所定距離離間している。また、制御点CP’は、中心軸O2から一方側、図示の構成では、左側に位置した状態である。
そして、この状態から図4中矢印で示すように、鉛直下方にワークW1を移動させると、ワークW2の挿入孔200の縁部のうち、中心軸O2よりも左側の部分にワークW1の下端面が接触する。
第2動作は、図5に示すように、傾斜状態を維持しつつ挿入孔200の中心軸O2側にワークW1を移動させる動作である。第2動作の開始位置姿勢は、第1動作の終了位置姿勢である。第2動作は、力制御により行われる。具体的には、第2動作は、ワークW1がワークW2の挿入孔200の縁部のうち、中心軸O2よりも右側の部分に接触するまで行われる。
第3動作は、図6に示すように、ワークW1の傾斜角度を変更して、ワークW1の傾斜を解消する動作である。具体的には、ワークW1の中心軸O1が、挿入孔200の中心軸O2と一致するようワークW1を回転させる動作である。第3動作の開始位置姿勢は、第2動作の終了位置姿勢である。第3動作は、力制御で行われてもよく、位置制御により行われてもよいし、力制御および位置制御により行われてもよい。このような第3動作を行うと、ワークW1を挿入開始位置姿勢にすることができる。
第4動作および第5動作は、図7および図8に示すように、ワークW1が挿入完了となるまで挿入孔200に挿入する動作である。
第4動作は、力制御または位置制御により、挿入完了直前までワークW1を挿入する動作である。第4動作の開始位置姿勢は、第3動作の終了位置姿勢である。
第5動作は、力制御により、挿入完了まで、すなわち、ワークW1が挿入孔200の底部と接触するまでワークW1を挿入する動作である。第5動作の開始位置姿勢は、第4動作の終了位置姿勢である。
このような作業を、複数のワークW1およびワークW2で繰り返すことにより、ワークW1がワークW2に挿入されて組み立てられた組立体を複数生産することができる。
ここで、上記のような作業を繰り返すにあたって、ワークW1およびワークW2の寸法バラツキ、ワークW1およびワークW2の初期位置姿勢、ワークW1およびワークW2等の各種要素が、作業毎にばらついてしまうことが想定される。したがって、1回目に行った作業において、各動作を切り替える際のワークW1の位置姿勢が、次回以降の作業において、必ずしも適切であるとは限らない。このため、上記ばらつきの影響で作業に要する時間が比較的長くなってしまったり、ワークに過剰に負荷がかかるおそれがある。
そこで、本発明では、以下のような制御を行うことにより、上記問題を解決した。以下、このことについて、図9に示すフローチャートに基づいて説明する。
まず、1回目の作業を開始する。なお、1回目の作業は、試験的作業であってもよく、通常の生産作業であってもよい。具体的には、ステップS101において、ワークW1を把持して作業開始位置P1に移動させて(図3参照)、ステップS102において、第1動作を開始する、すなわち、ワークW1を図4中矢印方向に移動させる。次いで、ステップS103において、第1動作が完了したか否かを判断する。この判断は、ロボットアーム10が受けた力の値が所定値に達したか否かに基づいて行われる。第1動作は、ステップS103において完了したと判断するまで行われる。
次いで、ステップS104において、第2動作を開始する。すなわち、第1動作から第2動作に切り替える。具体的には、図5中矢印方向にワークW1を移動させる。次いで、ステップS105において、第2動作が完了したか否かを判断する。この判断は、ロボットアーム10が受けた所定の方向の力の値が所定値に達したか否かに基づいて行われる。第2動作は、ステップS105において完了したと判断するまで行われる。
次いで、ステップS106において、第3動作を開始する。すなわち、第2動作から第3動作に切り替える。具体的には、図6中矢印方向にワークW1を移動させる、すなわち、姿勢を変更する。次いで、ステップS107において、第3動作が完了したか否かを判断する。この判断は、ロボットアーム10の姿勢が予め設定された姿勢になったか否かに基づいて行われる。この第3動作は、ステップS107において完了したと判断するまで行われる。
次いで、ステップS108において、第4動作を開始する。すなわち、第3動作から第4動作に切り替える。具体的には、図7中矢印方向にワークW1を移動させる。次いで、ステップS109において、第4動作が完了したか否かを判断する。この判断は、制御点CP’が予め設定された位置まで移動したか否かに基づいて行われる。この第4動作は、ステップS109において完了したと判断するまで行われる。
次いで、ステップS110において、第5動作を開始する。すなわち、第4動作から第5動作に切り替える。具体的には、図8中矢印方向にワークW1を移動させる。次いで、ステップS111において、第5動作が完了したか否かを判断する。この判断は、ワークW1が挿入孔200の底部に接触したか否か、すなわち、ロボットアーム10に加わる力が所定値に達したか否かに基づいて行われる。この第5動作は、ステップS111において完了したと判断するまで行われる。
以上説明したステップS102~ステップS111が、第1ステップである。
このような第1動作~第5動作の作業結果、すなわち、動作が切り替わった際のワークW1の位置姿勢は、ステップごとに記憶部3Cに記憶される。なお、記憶先は、記憶部3Cに限定されず、教示装置4の記憶部や、ネットワークを介した他の記憶装置であってもよい。
このような第1動作~第5動作の作業結果、すなわち、動作が切り替わった際のワークW1の位置姿勢は、ステップごとに記憶部3Cに記憶される。なお、記憶先は、記憶部3Cに限定されず、教示装置4の記憶部や、ネットワークを介した他の記憶装置であってもよい。
次いで、ステップS112において、ステップS102~ステップS111における作業中のワークW1の位置姿勢の情報に基づいて、ワークW1の位置姿勢の変更を開始する、または、ワークW1の位置姿勢の変更を終了する基準となる判定基準を設定する。この判定基準は、2回目以降のステップS102~ステップS111を実行する際に、動作を切り替える位置姿勢の基準として用いられる。
判定基準は、第1判定基準と、第3判定基準と、第4判定基準と、を含む。
第1判定基準は、2回目以降の作業における第1動作の開始位置に関する基準である。
第1判定基準は、1回目の第1動作の終了時のワークW1の位置P2に基づいて設定される。具体的には、図4に示す制御点CP’の位置を記憶し、1回目の第1動作の開始位置から1回目の第1動作の終了位置までの移動距離よりも移動距離が少なくなるような作業開始位置P1’を設定する。すなわち、1回目の第1動作の作業開始位置P1と、1回目の第1動作の終了位置の間の任意の位置を、第1判定基準に設定する。そして、2回目に第1動作を開始するにあたって、作業開始位置P1’まで制御点CP’を移動させる際、第1判定基準に基づいて移動が完了したか否かを判定する。
第1判定基準は、2回目以降の作業における第1動作の開始位置に関する基準である。
第1判定基準は、1回目の第1動作の終了時のワークW1の位置P2に基づいて設定される。具体的には、図4に示す制御点CP’の位置を記憶し、1回目の第1動作の開始位置から1回目の第1動作の終了位置までの移動距離よりも移動距離が少なくなるような作業開始位置P1’を設定する。すなわち、1回目の第1動作の作業開始位置P1と、1回目の第1動作の終了位置の間の任意の位置を、第1判定基準に設定する。そして、2回目に第1動作を開始するにあたって、作業開始位置P1’まで制御点CP’を移動させる際、第1判定基準に基づいて移動が完了したか否かを判定する。
このような第1判定基準を設定し、その設定に基づいて第1動作を開始することにより、2回目の第1動作の移動距離をより少なくすることができる。よって、作業時間の短縮を図ることができる。
このように、判定基準は、第1動作の開始位置に関する第1判定基準を含む。これにより、次回以降の第1動作において、開始位置をより適正な位置に設定することができる。
また、第1判定基準は、第1ステップである1回目の作業における第1動作の終了時の第1対象物であるワークW1の位置に基づいて設定される。これにより、1回目の作業結果を加味して2回目の作業を行うことができる。また、2回目の第1動作の開始位置を、1回の作業終了位置に近づけることができる。よって、作業時間の短縮を図ることができる。
なお、上記では、作業開始位置P1を、作業開始位置P1’に置き換える場合について説明したが、本発明ではこれに限定されず、2回目の作業において、一旦、高速で作業開始位置P1に移動した後に、低速の位置制御で作業開始位置P1にワークW1を移動させる構成であってもよい。この場合、ワークW1とワークW2とが不本意に衝突してしまうのをより確実に防止しつつ、作業開始までの時間を短縮することができる。
第3判定基準は、2回目以降の作業における第3動作の終了姿勢に関する基準である。第3判定基準は、1回目の第3動作の終了時のワークW1の姿勢、すなわち、挿入完了時のワークW1の姿勢に基づいて設定される。具体的には、図6に示すワークW1の姿勢、すなわち、中心軸O1の角度を記憶し、記憶した中心軸O1を中心として所定角度の幅を設定する。すなわち、図6中ハッチングで示した領域を設定する。そして、2回目の第3動作において、ワークW1の中心軸O1が図8中ハッチングで示した領域に入ると、第3動作が完了したと判定する。
なお、第3判定基準は、1回目の第3動作の終了時のワークW1の姿勢に基づいて設定される構成に限定されず、1回目の第4動作の終了時のワークW1の姿勢に基づいて設定される構成であってもよい。
このように、判定基準は、第3動作の終了姿勢に関する第3判定基準を含む。これにより、次回以降の第3動作において、終了姿勢をより適正な姿勢に設定することができる。
また、第3判定基準は、第1ステップである1回目の作業における挿入完了時の第1対象物であるワークW1の姿勢に基づいて設定される。これにより、1回目の作業結果を加味して2回目の作業を行うことができる。よって、動作を切り替えた後の動作を円滑に行うことができる。その結果、作業の正確性が向上するとともに、作業時間を短縮させることができる。
第4判定基準は、2回目以降の作業における第4動作の終了位置に関する基準である。第4判定基準は、1回目の第4動作の終了時のワークW1の終了位置P4に基づいて設定される。具体的には、図7に示すワークW1の制御点CP’の終了位置P4を記憶し、1回目の第5動作での移動距離よりも2回目の第5動作での移動距離が少なくなるような終了位置P4’を設定する。すなわち、1回目の第4動作の終了位置P4と、1回目の第5動作の終了位置との間の任意の位置を、第4判定基準に設定する。そして、2回目に第4動作を終了するにあたって、終了位置P4’まで制御点CP’が移動したか否か、を判定する。この判定基準が、第3判定基準である。
このように、判定基準は、第4動作の終了位置に関する第4判定基準を含む。これにより、次回以降の第4動作において、終了姿勢をより適正な姿勢に設定することができる。
また、第4判定基準は、第1ステップにおける前記第4動作の終了時の第1対象物であるワークW1の位置に基づいて設定される。これにより、1回目の作業結果を加味して2回目の作業を行うことができる。よって、動作を切り替えた後の動作を円滑に行うことができる。その結果、作業の正確性が向上するとともに、作業時間を短縮させることができる。また、第5動作での移動距離を少なくすることができ、作業時間の短縮を図ることができる。
このような判定基準を設定する、すなわち、判定基準を求めて記憶部3Cに記憶するステップS112が、第2ステップである。
次いで、ステップS113において、プログラムが完了したか否かを判断する。すなわち、上述した組立作業を所定回数実行したか否かを判断する。ステップS113において、プログラムが完了していないと判断した場合、ステップS101に戻り、以降のステップを繰り返す。
このように、本実施形態では、1回目の作業結果に基づいて、2回目の作業時に用いる判定基準を設定する。以降も、2回目の作業結果に基づいて、3回目の作業時に用いる判定基準を設定するといったように、n回目(nは、正の整数)の作業結果に基づいて、n+1回目の判定基準を設定する。このような構成によれば、作業の回数を重ねるごとに作業環境が変化していったとしても、直前の作業結果に応じて、判定基準を設定しなおすことができる。よって、作業環境の変化に合わせて動作の切替タイミングを適宜調整することができ、正確かつ迅速な作業を実現することができる。
なお、上記では、n回目の作業結果に基づいて、n+1回目の判定基準を設定する構成について説明したが、本発明ではこれに限定されず、1回目からm回目(mは、正の整数)までの作業結果に基づいて、m+1回目の判定基準を設定する構成であってもよい。すなわち、第1ステップで複数回、組立作業を行い、それらの作業結果に基づいて判定基準を設定してもよい。この場合、以下のようなパターン1~パターン3が挙げられる。
パターン1は、例えば、第1動作の開始位置に関する第1判定基準を設定する場合、1回目からm回目までの作業開始位置の平均に、所定のオフセット量を加算した位置を、第1判定基準とする。これにより、これまでの第1動作の開始位置の傾向を考慮した第1判定基準を設定することができる。
パターン2は、例えば、第3動作の終了姿勢に関する第3判定基準を設定する場合、1回目からm回目までの第3動作の終了姿勢の平均の姿勢を、第3判定基準とする。これにより、これまでの第3動作の終了姿勢の傾向を考慮した第3判定基準を設定することができる。
パターン3は、例えば、第4動作の終了位置に関する第4判定基準を設定する場合、1回目からm回目までの第4動作の終了姿勢の平均に、所定のオフセット量を加算した位置を、第4判定基準とする。これにより、これまでの第4動作の終了位置の傾向を考慮した第4判定基準を設定することができる。
なお、パターン1~パターン3において、1回目からm回目までの作業結果のうち、直近の複数回の作業結果に基づいて判定基準を設定してもよい。これにより、mの値が比較的大きくなってきた場合、古すぎる過去データを用いることを避けて、より正確な判定基準を設定することができる。
このように、第1ステップでは、組立作業を複数回行い、第2ステップでは、複数回の組立作業で得られた情報に基づいて判定基準を設定してもよい。これにより、過去の作業内容の傾向を考慮した判定基準を設定することができる。よって、より正確かつ迅速な作業を行うことができる。
また、図10は、第1動作の開始位置に関する第1判定基準を設定するに際し、過去の開始位置を作業回数ごとにプロットしたグラフである。図10では、縦軸が作業開始位置、横軸が作業回数である。図10に示すように、80回目以降から作業開始位置が比較的大きく変化しているため、何らかの不具合があった可能性がある。このような過去のデータを表示したりして、作業者に報知することにより、作業者が原因の解明作業を行うことができる。
このように、複数回の組立作業で得られた情報の平均が、所定の範囲を超えた場合、超えた旨を報知することにより、作業者が原因の解明作業を行うことができる。
なお、図10では、横軸が作業回数であるが、本発明ではこれに限定されず、日付であってもよい。この場合、例えば、その日の作業結果の平均をプロットする。
また、このようなデータを提示しなくても、変化量が所定量を超えていた作業結果に関しては加味せずに判定基準を設定する構成であってもよい。
以上説明したように、本発明のロボットの制御方法は、ロボットアーム10を有するロボット1の制御方法であって、ロボットアーム10が第1対象物であるワークW1を把持して、ワークW1の位置または姿勢を変更しつつワークW1と第2対象物であるワークW2とを組み立てる作業を行う第1ステップと、第1ステップにおける作業中のワークW1の位置または姿勢の情報に基づいて、ワークW1の位置または姿勢の変更を開始する、または、ワークW1の位置または姿勢の変更を終了する基準となる判定基準を設定する第2ステップと、を有する。これにより、作業の回数を重ねるごとに作業環境が変化していったとしても、直前の作業結果に応じて、判定基準を設定しなおすことができる。よって、作業環境の変化に合わせて動作の切替タイミングを適宜調整することができ、正確かつ迅速な作業を実現することができる。
また、組立作業は、第2対象物であるワークW2に設けられる挿入孔200に第1対象物であるワークW1を挿入する作業であり、ワークW1を挿入孔200に対して傾斜させた傾斜状態でワークW2の挿入孔200の縁部に接触させる第1動作と、傾斜状態を維持しつつ挿入孔200の中心軸O2側にワークW1を移動させる第2動作と、ワークW1の傾斜角度を変更する第3動作と、ワークW1を挿入孔200の中心軸O2方向に押し込む第4動作と、を含む。このような複雑な作業を行う場合、各動作の切替タイミングを正確に設定する必要があるため、本発明の制御方法が特に有効となる。
<ロボットシステムの他の構成例>
図11は、ロボットシステムについてハードウェアを中心として説明するためのブロック図である。
図11は、ロボットシステムについてハードウェアを中心として説明するためのブロック図である。
図11には、ロボット1とコントローラー61とコンピューター62が接続されたロボットシステム100Aの全体構成が示されている。ロボット1の制御は、コントローラー61にあるプロセッサーによりメモリーにある指令を読み出して実行されてもよく、コンピューター62に存在するプロセッサーによりメモリーにある指令を読み出してコントローラー61を介して実行されてもよい。
従って、コントローラー61とコンピューター62とのいずれか一方または両方を「制御装置」として捉えることができる。
<変形例1>
図12は、ロボットシステムのハードウェアを中心とした変形例1を示すブロック図である。
図12は、ロボットシステムのハードウェアを中心とした変形例1を示すブロック図である。
図12には、ロボット1に直接コンピューター63が接続されたロボットシステム100Bの全体構成が示されている。ロボット1の制御は、コンピューター63に存在するプロセッサーによりメモリーにある指令を読み出して直接実行される。
従って、コンピューター63を「制御装置」として捉えることができる。
従って、コンピューター63を「制御装置」として捉えることができる。
<変形例2>
図13は、ロボットシステムのハードウェアを中心とした変形例2を示すブロック図である。
図13は、ロボットシステムのハードウェアを中心とした変形例2を示すブロック図である。
図13には、コントローラー61が内蔵されたロボット1とコンピューター66が接続され、コンピューター66がLAN等のネットワーク65を介してクラウド64に接続されているロボットシステム100Cの全体構成が示されている。ロボット1の制御は、コンピューター66に存在するプロセッサーによりメモリーにある指令を読み出して実行されてもよく、クラウド64上に存在するプロセッサーによりコンピューター66を介してメモリーにある指令を読み出して実行されてもよい。
従って、コントローラー61とコンピューター66とクラウド64とのいずれか1つ、または、いずれか2つ、または、3つを「制御装置」として捉えることができる。
以上、本発明のロボットの制御方法を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。また、ロボットシステムを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
1…ロボット、3…制御装置、3A…目標位置設定部、3B…駆動制御部、3C…記憶部、3D…判定基準設定部、4…教示装置、10…ロボットアーム、11…基台、12…第1アーム、13…第2アーム、14…第3アーム、15…第4アーム、16…第5アーム、17…第6アーム、18…中継ケーブル、19…力検出部、20…エンドエフェクター、30…位置制御部、31…座標変換部、32…座標変換部、33…補正部、34…力制御部、35…指令統合部、61…コントローラー、62…コンピューター、63…コンピューター、64…クラウド、65…ネットワーク、66…コンピューター、100…ロボットシステム、100A…ロボットシステム、100B…ロボットシステム、100C…ロボットシステム、171…関節、172…関節、173…関節、174…関節、175…関節、176…関節、200…挿入孔、351…実行部、O1…中心軸、O2…中心軸、P1…作業開始位置、P1’…作業開始位置、P2…位置、P4…終了位置、P4’…終了位置、CP…制御点、CP’…制御点、E1…エンコーダー、E2…エンコーダー、E3…エンコーダー、E4…エンコーダー、E5…エンコーダー、E6…エンコーダー、M1…モーター、M2…モーター、M3…モーター、M4…モーター、M5…モーター、M6…モーター、TCP…ツールセンターポイント、W1…ワーク、W2…ワーク
Claims (10)
- ロボットアームを有するロボットの制御方法であって、
前記ロボットアームが第1対象物を把持して、前記第1対象物の位置または姿勢を変更しつつ前記第1対象物と第2対象物とを組み立てる作業を行う第1ステップと、
前記第1ステップにおける作業中の前記第1対象物の位置または姿勢の情報に基づいて、前記第1対象物の位置または姿勢の変更を開始する、または、前記第1対象物の位置または姿勢の変更を終了する基準となる判定基準を設定する第2ステップと、を有することを特徴とするロボットの制御方法。 - 前記組立作業は、前記第2対象物に設けられる挿入孔に前記第1対象物を挿入する作業であり、前記第1対象物を前記挿入孔に対して傾斜させた傾斜状態で前記第2対象物の前記挿入孔の縁部に接触させる第1動作と、前記傾斜状態を維持しつつ前記挿入孔の中心軸側に前記第1対象物を移動させる第2動作と、前記第1対象物の傾斜角度を変更する第3動作と、前記第1対象物を前記挿入孔の前記中心軸方向に押し込む第4動作と、を含む請求項1に記載のロボットの制御方法。
- 前記判定基準は、前記第1動作の開始位置に関する第1判定基準を含む請求項2に記載のロボットの制御方法。
- 前記第1判定基準は、前記第1ステップにおける前記第1動作の終了時の前記第1対象物の位置に基づいて設定される請求項3に記載のロボットの制御方法。
- 前記判定基準は、前記第3動作の終了姿勢に関する第3判定基準を含む請求項2ないし4のいずれか1項に記載のロボットの制御方法。
- 前記第3判定基準は、前記第1ステップにおける前記挿入完了時の前記第1対象物の姿勢に基づいて設定される請求項5に記載のロボットの制御方法。
- 前記判定基準は、前記第4動作の終了位置に関する第4判定基準を含む請求項2ないし6のいずれか1項に記載のロボットの制御方法。
- 前記第4判定基準は、前記第1ステップにおける前記第4動作の終了時の前記第1対象物の位置に基づいて設定される請求項7に記載のロボットの制御方法。
- 前記第1ステップでは、前記組立作業を複数回行い、
前記第2ステップでは、複数回の前記組立作業で得られた情報に基づいて前記判定基準を設定する請求項1ないし8のいずれか1項に記載のロボットの制御方法。 - 前記複数回の前記組立作業で得られた情報の平均が、所定の範囲を超えた場合、超えた旨を報知する請求項9に記載のロボットの制御方法。
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