JP2022072839A - 圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧縮機筐体にステータを固定する際にステータに生じる歪みを低減する。【解決手段】圧縮機筐体と、圧縮機筐体の内部に配置されて冷媒を圧縮する圧縮部と、圧縮機筐体の内部に配置されて圧縮部を駆動するモータと、を備える。モータは、圧縮部の回転軸と同軸に設けられるロータと、ロータの外周側に配置されるステータと、を有する。ステータは、ステータの周方向において、圧縮機筐体の内周面と接触する複数の大径部と、モータの回転中心から外周面までの距離が大径部よりも小さい複数の小径部とが形成される。ステータには、圧縮機筐体の内周面とステータの外周面とが接合された複数の溶接部が設けられ、溶接部がステータの小径部に設けられている。【選択図】図4

Description

本発明は、圧縮機に関する。
例えば、ロータリ圧縮機は、圧縮機筐体の内部内に配置されたモータを備えており、モータのステータの外周面が圧縮機筐体の内周面に溶接されて固定されたものがある。この種のロータリ圧縮機の製造工程では、圧縮機筐体をステータに焼き嵌め(熱による膨張と収縮を利用し、2つの部品を結合する方法。[1]外側に位置する穴の空いた部品を加熱膨張させて穴の内径を拡げる。[2]内径が広がった外側の部品の穴に、内側に位置する部品を嵌め込む。[3]外側の部品を冷却することで穴の内径が狭まり、外側の部品が内側の部品を締め付けるようにして2つの部品が相互に固定される。)することによりステータを圧縮機筐体に仮止めした後、ステータが嵌め込まれた圧縮機筐体を溶接工程に搬送して溶接を行うことが知られている。
特開2006-191702号公報 特開2011-55576号公報
圧縮機筐体内に配置されるモータは、ステータに歪みが生じると、ステータの磁化特性が劣化して鉄損が増加し、モータ効率が低下する。このため、圧縮機筐体の焼き嵌めによってステータの仮止めを行う場合、一般に、嵌め合い公差が締まり嵌め(公差の範囲内でステータの外径が圧縮機筐体の内径よりも常に大きい状態)と隙間嵌め(公差の範囲内でステータの外径が圧縮機筐体の内径よりも常に小さい状態)の中間となる中間嵌め(公差の範囲内でのばらつきによって、ステータの外径が圧縮機筐体の内径より大きくもなり小さくもなる状態)になるように、圧縮機筐体の内径が、ステータの外径に対して形成される。これにより、焼き嵌めされた圧縮機筐体から加わる外力によってステータに歪みが生じることが抑制されている。そして、ステータは、焼き嵌めによって圧縮機筐体に対して仮止めされた後、溶接によって圧縮機筐体に対して固定される。つまり、圧縮機筐体内に配置されたステータの仮止め状態を中間嵌めによって維持しながら、溶接によってステータを圧縮機筐体内に固定することで、ステータの歪みを低減しつつステータを圧縮機筐体に強固に固定している。
しかし、中間嵌めとなるように圧縮機筐体の内径を形成する場合であっても、寸法ばらつきで寸法公差の下限値付近になったときには、締まり嵌めと同様に締め代(ステータの外径が圧縮機筐体の内径よりも大きい場合の、ステータの外径と圧縮機筐体の内径との差)が大きくなるおそれがある。締め代が大きくなった場合には、圧縮機筐体に締め付けられたステータに生じる歪みよってモータ効率が低下し、溶接によってステータを圧縮機筐体に固定することの利点も無くなる。
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、圧縮機筐体にステータを固定する際にステータに生じる歪みを低減することができる圧縮機を提供することを目的とする。
本願の開示する圧縮機の一態様は、圧縮機筐体と、圧縮機筐体の内部に配置されて冷媒を圧縮する圧縮部と、圧縮機筐体の内部に配置されて圧縮部を駆動するモータと、を備え、モータは、圧縮部の回転軸と同軸に設けられるロータと、ロータの外周側に配置されるステータと、を有し、ステータは、ステータの周方向において、圧縮機筐体の内周面と接触する複数の大径部と、モータの回転中心から外周面までの距離が大径部よりも小さい複数の小径部とが形成され、ステータには、圧縮機筐体の内周面とステータの外周面とが接合された複数の溶接部が設けられ、溶接部がステータの小径部に設けられている。
本願の開示する圧縮機の一態様によれば、圧縮機筐体にステータを固定する際にステータに生じる歪みを低減し、モータ効率の低下を抑えることができる。
図1は、実施例の圧縮機を示す縦断面図である。 図2は、実施例の圧縮機の3相モータを示す横断面図である。 図3は、実施例における3相モータのステータを示す平面図である。 図4は、実施例におけるステータコアを示す平面図である。 図5は、実施例におけるステータコアの要部を示す平面図である。 図6は、実施例におけるステータコアの小径部を拡大して示す平面図である。 図7は、実施例におけるステータコアの貫通孔を拡大して示す平面図である。 図8は、実施例の圧縮機の製造工程においてステータコアに作用する外力および応力を説明するための平面図である。 図9は、実施例におけるステータコアに生じる変形を示す図である。 図10は、実施例におけるステータコアの変形の矯正を示す図である。 図11は、実施例におけるステータコアの変形が、溶接によって矯正されることを示すグラフである。 図12は、実施例におけるステータコアの締め代とモータ効率の減少率との関係を示すグラフである。 図13は、実施例におけるAPF効率を説明するためのグラフである。
以下に、本願の開示する圧縮機の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示する圧縮機が限定されるものではない。
図1は、実施例の圧縮機を示す縦断面図である。図1に示すように、圧縮機1は、いわゆるロータリ圧縮機であり、圧縮機筐体としての容器2と、回転軸としてのシャフト3と、圧縮部5と、3相モータ6と、を備える。容器2は、金属材料によって形成されており、密閉された内部空間7を形成している。内部空間7は、概ね円柱状に形成されている。容器2は、水平面上に縦置きされたときに、内部空間7をなす円柱の中心軸が鉛直方向に平行になるように形成されている。容器2には、内部空間7の下部に油溜め8が形成されている。油溜め8には、圧縮部5を潤滑させる潤滑油である冷凍機油8aが貯留される。容器2には、冷媒を吸入する吸入部としての吸入管11と、圧縮された冷媒を吐出する吐出部としての吐出管12と、が接続されている。回転軸としてのシャフト3は、棒状に形成されており、一端が油溜め8に配置されるように、容器2の内部空間7に配置されている。シャフト3は、内部空間7をなす円柱の中心軸を中心に回転可能に容器2に支持されている。シャフト3は、回転することにより、油溜め8に貯留された冷凍機油8aを圧縮部5に供給する。
圧縮部5は、内部空間7の下部に配置され、油溜め8の上方に配置されている。圧縮機1は、さらに、上マフラーカバー14と、下マフラーカバー15と、を備える。上マフラーカバー14は、内部空間7における圧縮部5の上部に配置されている。上マフラーカバー14は、内部に上マフラー室16を形成している。下マフラーカバー15は、内部空間7における圧縮部5の下部に設けられており、油溜め8の上部に配置されている。下マフラーカバー15は、内部に下マフラー室17を形成している。下マフラー室17は、圧縮部5に形成されている連通路(図示せず)を介して上マフラー室16に連通している。上マフラーカバー14とシャフト3との間には、圧縮冷媒吐出孔18が形成され、上マフラー室16は、圧縮冷媒吐出孔18を介して内部空間7に連通している。
圧縮部5は、シャフト3が回転することにより、吸入管11から供給される冷媒を圧縮し、その圧縮された冷媒を上マフラー室16と下マフラー室17とに供給する。その冷媒は、冷凍機油8aと相溶性を有する。3相モータ6は、内部空間7のうちの圧縮部5の上方に配置されている。
図2は、実施例の圧縮機1の3相モータ6を示す横断面図である。図1及び図2に示すように、3相モータ6は、ロータ21と、ステータ22と、を備える。ロータ21は、複数の金属板を積層して円柱状に形成されており、後述のカシメ部28や、複数のリベット9により一体化されている。ロータ21の中心にはシャフト3が挿通され、ロータ21がシャフト3に対して固定されている。ロータ21には、6個のスリット状の磁石埋め込み孔10aが、シャフト3を中心として6角形の各辺をなすように形成されている。各磁石埋め込み孔10aは、ロータ21の周方向に所定間隔をあけて形成されている。磁石埋め込み孔10aには、板状の永久磁石10bが埋め込まれている。
ステータ22は、概ね円筒形に形成されており、ロータ21の外周側を囲むように配置されている。ステータ22は、環状のステータコア23と、上インシュレータ24及び下インシュレータ25と、複数の巻き線46と、を備える(図1参照)。ステータ22と容器2とは、ステータ22の周方向に形成された複数の溶接部20で溶接されている。すなわち、ステータコア23の外周面は、容器2の内周面に対して、溶接部20においてスポット溶接されている。各溶接部20は、ステータ22の周方向(シャフト3の軸まわり)に間隔をあけて設けられている。また、各溶接部20は、ステータ22の軸方向(シャフト3の軸方向)にも複数設けられている。
上インシュレータ24は、ステータコア23の上端部に固定されている。下インシュレータ25は、ステータコア23の下端部に固定されている。また、図1及び図2に示すように、ステータコア23には、絶縁フィルム26が、後述する各ステータコアティース部32-1~32-9の間のスロットの内周面に沿って挿入されており、絶縁フィルム26によってステータコア23と巻き線46とが絶縁されている。絶縁フィルム26は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の樹脂材料によって形成されている。また、上インシュレータ24及び下インシュレータ25は、樹脂材料によって形成されており、ステータコア23と巻き線46とを絶縁する絶縁部材である。
(ステータの構造)
図3は、実施例における3相モータ6のステータ22を示す平面図である。ステータコア23における後述の複数のステータコアティース部32-1~32-9には、図3に示すように、電線である巻き線46がそれぞれ巻回されている。各ステータコアティース部32-1~32-9には、各巻き線46によって巻回部45がそれぞれ形成されている。実施形態における3相モータ6は、6極9スロットの集中巻型のモータである(図2参照)。複数の巻き線46は、複数のU相巻き線46-U1~46-U3と、複数のV相巻き線46-V1~46-V3と、複数のW相巻き線46-W1~46-W3と、を備える。また、ステータ22において、各巻回部45から引き出されて一束にまとめられた中性線は、絶縁チューブで覆われて、ステータ22の周方向(ロータ21の回転方向)に隣り合う巻回部45の隙間に挿入されている(図2参照)。
図4は、実施例におけるステータコア23を示す平面図である。ステータコア23は、図4に示すように、環状のヨーク部31と、巻胴部としての複数のステータコアティース部32-1~32-9と、を備えており、複数の金属板が積層されて形成されている。金属板は、例えば、ケイ素鋼板等の軟磁性体によって形成されている。
ヨーク部31は、概ね円筒形に形成されている。複数のステータコアティース部32-1~32-9のうちの第1ステータコアティース部32-1は、概ね柱体状に形成されている。第1ステータコアティース部32-1は、一端がヨーク部31の内周側に連続して形成され、すなわち、ヨーク部31の内周面からステータコア23の中心軸に向かって突出するように形成されている。複数のステータコアティース部32-1~32-9のうちの第1ステータコアティース部32-1以外のステータコアティース部32-2~32-9も、第1ステータコアティース部32-1と同様に、概ね柱体状に形成されており、ヨーク部31の内周面からステータコア23の中心軸に向かって突出している。また、複数のステータコアティース部32-1~32-9は、ヨーク部31の内周面に、ヨーク部31の周方向において40度ごとの等間隔に配置されて形成されている。以下、ステータコア23の複数のステータコアティース部32-1~32-9を、ステータコアティース部32と称する。
また、図4に示すように、ステータコア23の外周面には、ステータコア23の周方向における各ステータコアティース部32に対応する位置に、冷凍機油8a及び冷媒が通過する6つの第1凹部35及び3つの第2凹部36がステータコア23の軸方向にわたってそれぞれ設けられている。ステータコア23の周方向において、隣り合う第2凹部36同士の間に、2つの第1凹部35が挟まれるように配置されている。また、3つの第2凹部36には、上インシュレータ24及び下インシュレータ25をステータコア23に対して位置決めして取り付けるための切欠き溝36aが形成されている。ステータコア23の要部については後述する。
(圧縮機の特徴的な構成)
次に、実施例の圧縮機1の特徴的な構成について説明する。実施例の特徴には、3相モータ6におけるステータコア23が含まれる。本実施例の圧縮機1の製造工程では、容器2をステータ22に焼き嵌めすることにより、ステータ22は容器2に仮止めされる。ステータ22は、容器2内に仮止めされた後、容器2にスポット溶接されることで固定される。実施例におけるステータ22のステータコア23は、その外径が容器2の内径に対して中間嵌めになる寸法に形成され、容器2をステータコア23に焼き嵌めした際に、容器2からの外力を受ける部分を減らすと共に容器2から加わる外力を緩和するために、外径が異なる部分を有する。これにより、ステータコア23は、容器2から加わる外力に伴って生じる圧縮歪みが低減される。
図5は、実施例におけるステータコア23の要部を示す平面図である。図6は、実施例におけるステータコア23の小径部を拡大して示す平面図である。図4、図5及び図6に示すように、ステータ22のステータコア23には、ステータコア23の周方向において、容器2の内周面に中間嵌めにより嵌め合わされる複数の大径部37と、容器2の内周面に隙間嵌めされる複数の小径部38とが、冷凍機油8aが通過する第1凹部35または第2凹部36を挟んで形成されている。つまり、ステータコア23の周方向において、各大径部37と各小径部38が所定の間隔をあけて配置されている。大径部37及び小径部38は、ステータコア23の環状のヨーク部31の外周面の一部を指している。
したがって、3相モータ6の回転中心であるステータコア23の中心Oから大径部37の外周面までの距離(大径部外径)をR1、中心Oから小径部38の外周面までの距離(小径部外径)をR2としたとき、R1>R2の関係を満たす。また、中心Oから容器2の内周面までの距離(筐体内径)をR3とすると、R3>R2の関係を満たす。また、容器2の内周面に隙間嵌めされる各小径部38は、小径部38の外周面と容器2の内周面との隙間G(=R3-R2)(図6)が、0よりも大きく、250[μm]以下に形成されている。隙間Gは、例えば、50[μm]≦G≦250[μm]に設定されている。
言い換えると、容器2をステータコア23に焼き嵌めしたときにステータコア23が容器2の内周面に接する接触部が大径部37であり、ステータコア23が容器2の内周面に接しない隙間嵌めとなる非接触部が小径部38である。容器2内に各大径部37が焼き嵌めにより嵌め合わされたステータコア23は、容器2が各小径部38のみでスポット溶接される。したがって、容器2には、容器2の内周面とステータコア23の外周面とが接合された複数の溶接部20が設けられており、溶接部20が小径部38のみに設けられている。なお、大径部37は、ステータコア23を容器2内に仮止めするための接触部であり、仮止めするために少なくとも2つの大径部37がステータコア23に設けられていればよい。
本実施例におけるステータコア23は、3つの大径部37と、6つの小径部38と、を有する。3つの大径部37は、ステータコア23の周方向に等間隔に配置されている。6つの小径部38は、ステータコア23の周方向において、各大径部37を挟んで2つずつ配置されている。なお、大径部37及び小径部38の各個数は、上述の個数に限定されず、3相モータ6のスロット数に応じて、例えば、小径部38の個数が大径部37の個数の2倍以上であればよい。
ステータコア23の周方向において、ステータコア23の外周面に沿う大径部37の円周方向長さW1と小径部38の円周方向長さW2が同等になるように形成されている。各大径部37及び各小径部38は、ステータコア23の中心Oまわりの中心角が20度程度に設定されている(図4参照)。
ステータコア23の周方向において、ステータコア23の外周面に沿う複数の小径部38の各円周方向長さW2を合計した小径範囲は、複数の大径部37の各円周方向長さW1を合計した大径範囲よりも大きい。すなわち、6つの小径部38の各円周方向長さW2の合計である6W2は、3つの大径部37の各円周方向長さW1の合計である3W1よりも大きい。これにより、ステータコア23の周方向において、ステータコア23の外周面が容器2の内周面に接する大径範囲を減らし、焼き嵌め時に容器2からステータコア23へ加わる外力を適切に低減できる。
図4及び図5に示すように、複数の大径部37の各々には、積層された複数の金属板が一体化されて固定されるカシメ部28が設けられている。カシメ部28は、金属板の一部を金属板の厚み方向に突出するようにかしめることで、金属板同士を互いに接合している。小径部38には、カシメ部28が設けられていない。
図7は、実施例におけるステータコア23の貫通孔を拡大して示す平面図である。図5及び図7に示すように、複数の小径部38の各々には、シャフト3の軸方向に沿ってステータコア23を貫通する貫通孔29が設けられている。貫通孔29は、ステータコア23の周方向に延びる幅狭な長孔状の開口に形成されている。貫通孔29は、ステータコア23の周方向に延びる円弧状の長辺29aと、ステータコア23の周方向における長辺29aの両端に形成された頂点29bと、を有する。
貫通孔29は、小径部38と容器2との溶接時にステータコア23に加わる熱を遮断する断熱空間として作用する。また、溶接部20から貫通孔29に到達した熱の一部は、円弧状の長辺29aに沿うように周方向に逃がされるので、溶接部20からの熱が貫通孔29を回り込みにくくなっている。このため、溶接時の熱によって、ステータコアティース部32の間に形成される絶縁フィルム26(図1、2)が溶けてしまうことを抑えられる。なお、溶接部20からステータコア23に伝わる熱を遮断する観点では、ステータコア23の径方向に対する貫通孔29の位置が、小径部38の外周側の近くに配置されることが好ましい。また、各貫通孔29は、ステータコア23の周方向における中心側(長辺29aの中点付近)が最も太くなるよう形成されていることで、溶接部20に近い部分からの熱が内径側に伝わりにくくなっている。加えて、貫通孔29は円弧状の長辺29aを備えることで、ステータコア23を通る磁束の流れが妨げられにくくなっている。
(圧縮機の製造工程においてステータコアに作用する外力および応力)
以上のように構成されたステータコア23に外力および応力について説明する。図8は、実施例の圧縮機1の製造工程においてステータコア23に作用する外力および応力を説明するための平面図である。図9は、実施例の圧縮機1の製造工程において、容器2をステータコア23へ焼き嵌め(仮止め)したことでステータコア23に生じる変形を、数値解析の解析結果で示す図である。図10は、実施例の圧縮機1の製造工程において、焼き嵌め(仮止め)によって生じたステータコア23の変形が、仮止め後の溶接によって矯正(相殺)されることを、数値解析の解析結果から示した図である。図10では、6つの小径部38のうち、3つの小径部38が容器2に溶接された状態を想定して解析されている。
図8は、実施例の圧縮機1の製造工程において、各工程でステータコア23に加わる外力および応力を模式的に示したものである。図8は、矢印の順番に、焼き嵌め前のステータコア23、焼き嵌めによって3か所の大径部37が容器2に対して仮止めされたステータコア23、焼き嵌めでの仮止め後に6か所の小径部38が容器2に対して溶接されたステータコア23を、それぞれ示している。
図9は、実施例の圧縮機1の製造工程において、図8の1番目の図と2番目の図で示した、焼き嵌めによって3か所の大径部37が容器2に対して焼き嵌めされる前後での、ステータコア23の変形量の解析結果である。図9では、3か所の大径部37の各々に加わる焼き嵌めによる外力を、約6MPaと仮定して解析している。図9において、輪郭のみの線は、焼き嵌め前のステータコア23の輪郭を示しており、内側が塗りつぶされている線は、焼き嵌め後のステータコア23の輪郭を示している。なお、変形の仕方を分かりやすく示すため、図9ではステータコア23の変形が誇張して描かれている。また、塗りつぶしの色が濃い箇所は、焼き嵌め前後での変形量が大きい箇所を示しており、塗りつぶしの色が薄い箇所は、焼き嵌め前後での変形量が小さい箇所を示している。
図10は、実施例1の圧縮機1の製造工程において、図8の1番目の図と3番目の図で示した、焼き嵌めによる仮止めを行う前と、焼き嵌め後の溶接によって6か所の小径部38が容器2に対して溶接された後での、ステータコア23の変形量の解析結果である。図10では、3か所の大径部37の各々に加わる焼き嵌めによる外力を約6MPaと仮定し、6か所の小径部38の各々に加わる溶接による外力を5~20MPaと仮定して解析している。図10において、輪郭のみの線は、図8の1番目の図で示される、焼き嵌め前のステータコア23の輪郭を示しており、内側が塗りつぶされている線は、図8の3番目の図で示される、焼き嵌めと溶接とを行なった後のステータコア23の輪郭を示している。図9と同様に、変形の仕方を分かりやすく示すため、図10ではステータコア23の変形が誇張して描かれている。また、塗りつぶしの色が濃い箇所は、焼き嵌めと溶接とを行う前後での変形量が大きい箇所を示しており、塗りつぶしの色が薄い箇所は、焼き嵌めと溶接とを行う前後での変形量が小さい箇所を示している。
図8及び図9に示すように、圧縮機1の製造工程では、容器2の内周面にステータコア23の各大径部37の外周面が中間嵌めでの焼き嵌めにより嵌め合わされると共に、容器2の内周面に各小径部38の外周面が隙間嵌めにより嵌め合わされた状態で、容器2がステータコア23に焼き嵌めされる。これにより、容器2とステータコア23とが各大径部37によって仮止めされる。
9スロットの3相モータ6の場合、従来のステータコアを容器2内に仮止めしたときは、ステータコアの周方向の9箇所が容器2内に接する(9面嵌め)。この構造と比較して、実施例では、ステータコア23の周方向の3箇所である3つの大径部37のみが容器2内に接する(3面嵌め)。このため、実施例は、ステータコア23に焼き嵌めされる容器2によってステータコア23が外力を受ける箇所を9箇所から3箇所に減らすことが可能になる。このため、実施例では、容器2からステータコア23に加わる外力が低減されている。
また、容器2に対して中間嵌めとなる大径部37が、ステータコア23の寸法ばらつきによって寸法公差の下限値になることで、容器2に対して締め代が生じる(R1>R3となる)場合であっても、3つの大径部37のみが容器2内に接することにより、ステータコア23が溶接部20からの外力を受ける箇所を減らすことが可能になる。
上述のように容器2がステータコア23に焼き嵌めされたとき、図8及び図9に示すように、ステータコア23は、ステータコア23の中心軸に直交する平面上において、容器2の内周面に接する3つの大径部37が、ステータコア23の中心O側に向かう外力を容器2から受ける(図8の中央の図の実線矢印を参照)。また、3つの大径部37が中心O側に向かう外力を受けることに伴い、ステータコア23の内部には、溶接部20からの外力に対する抵抗力として、ステータコア23の周方向において隣り合う大径部37間の中央部分に、外周側に向かう応力(圧縮応力)が生じる(図8の中央の図の破線矢印を参照)。このため、図9における輪郭のみの線と内側が塗りつぶされた線とのずれから分かるように、焼き嵌めによって、ステータコア23は、3つの各大径部37近傍が内径側に潰れ、6つの各小径部38近傍が外径側に押し出されたような、三角形状に変形する。
続いて、図8および図10に示すように、容器2内にステータコア23が焼き嵌めされた後、ステータコア23の各小径部38が容器2とスポット溶接されることで各溶接部20が形成される。各小径部38と容器2が各溶接部20によって接合されると、図8に示すように、6つの各小径部38は、溶接部20からステータコア23の中心Oへ向かう方向へ外力を受ける。同時に、各小径部38が中心Oへ向かう外力を受けることに伴い、この外力への抵抗力として、各大径部37にステータコア23の外周側に向かう応力(圧縮応力)が生じる。このような外力および応力が各小径部38と各大径部37に作用することで、ステータコア23の中心軸に直交する平面上において、容器2の焼き嵌めに伴ってステータコア23に生じた三角形状の変形が円形状に矯正される。これにより、ステータコア23の内周側の形状を、ロータ21の外周面に沿った円形状に維持でき、ステータコア23とロータ21の間のエアギャップの偏りを小さくできる。よって、ステータコア23の周方向での磁気バランスが均一化され、振動の悪化を防止し騒音を抑制することができる。また、ステータコア23の内周側の形状が円形状に保たれることで、ステータコア23の内周側にロータ21を挿入しやすくなり、寸法のばらつきによる3相モータ6の組み立て性の悪化を防止できる。
ここで、ステータコア23の大径部37と容器2との間に締め代Sが生じる条件は、焼き嵌め前の時点でのステータコア23の大径部37の大径部外径R1と容器2の筐体内径R3とがR1>R3の関係を満たすことであり、このときの締め代SはS=R1-R3で表される。よって、締め代Sが生じるとき、S=R1-R3>0よりR1>R3を満たす。一方、ステータコア23の小径部38と容器2との間に隙間Gが生じる条件は、焼き嵌め前の時点でのステータコア23の小径部38の小径部外径R2と容器2の筐体内径R3とがR3>R2の関係を満たすことであり、このときの隙間GはG=R3-R2で表される。よって、隙間Gが生じるとき、G=R3-R2>0よりR3>R2を満たす。これら2つの条件をまとめると、焼き嵌め前の時点でR2<R3<R1を満たすとき、焼き嵌めで生じた変形を溶接により緩和することが可能になる。
変形したステータコア23の小径部38を容器2に溶接したとき、上述のように各小径部38にステータコア23の中心O側に向かう外力が作用するので、ステータコア23の溶接部20に荷重(溶接荷重と称する。)が加わる。溶接部20に加わる溶接荷重に応じて、ステータコア23のティース部32における中心Oからの内径が変化する。
(小径部の溶接によるステータコアの変形の矯正)
図11は、上述のように容器2の焼き嵌めに伴ってステータコア23に生じた変形が、小径部38を容器2に溶接することによって矯正されたことを示すグラフである。図11は、中間嵌めにおいてステータコア23の締め代S(ステータコア23の大径部37の大径部外径R1と容器2の筐体内径R3との差:R1-R3)が0以上の場合に、焼き嵌めや溶接によってステータコア23のティース部32が最も変形した箇所の変形量を示している。図11において、横軸がステータコア23の締め代S[μm]を示し、縦軸がステータコア23のティース部32の内径における最大の変位量[μm]を示している。
図11のQ1は、実施例の圧縮機1の製造工程において、容器2がステータコア23の3か所の大径部37で焼き嵌めされた際にステータコア23のティース部32に生じる最大の変形量を示している。図11のQ1が示すように、ステータコア23の3つの大径部37での焼き嵌めのみの場合(6つの小径部38の溶接前の時点)では、ステータコア23の締め代Sが大きいほど、ステータコア23のティース部32が大きく変形していることが分かる。
図11のQ2~Q5は、実施例の圧縮機1の製造工程において、3か所の大径部37で焼き嵌めされた後のステータコア23が、さらにステータコア23の6か所の小径部38で溶接された際に、ステータコア23のティース部32に生じる最大の変形量を示している。Q2~Q5では、それぞれ、溶接時に6か所の溶接部20の各々からステータコア23に対して加わると想定される外力を、5MPa刻みの5~20MPaであると仮定して解析した。ここでステータコア23の内径とは、ティース部32(図4、5参照)の内径R4を指す。
まず、図11のQ2(溶接荷重:5MPa)に着目すると、ステータコア23の締め代が0μmのとき、ステータコア23の内径R4の変位量は約6μmであり、Q1の焼き嵌めのみ(溶接無し)の場合の0μmよりも変位量が大きくなっている。すなわち、締め代が0μmのときは溶接によって溶接前よりもステータコア23が大きく変形してしまう。一方、Q2においてステータコア23の締め代が20μmのときのステータコア23の変位量は約5μmであり、Q1において締め代が20μmのときのステータコア23の変位量8μmよりも変位量が小さい。すなわち、溶接荷重が5MPaかつ締め代が20μmのときは、溶接によって溶接前よりもステータコア23の変形を緩和することができる。同様に、ステータコア23の締め代が40μm以上の範囲では、同じ締め代の場合で比較すると、溶接前よりも溶接後の方がステータコア23の内径R4の変位量(ステータコア23の変形量)が緩和されている。以上のことから、溶接荷重が5MPaの場合は、締め代が20μm以上の(10μmよりも大きい)範囲では、溶接前よりも溶接後の方がステータコア23の変形が緩和されていると言える。
同様に、図11のQ3(溶接荷重:10MPa)に着目すると、ステータコア23の締め代が0μmのときは、ステータコア23の内径R4の変位量は約13μmであり、Q1の焼き嵌めのみ(溶接無し)の場合の0μmよりも変位量が大きくなっている。すなわち、Q3においても締め代が0μmのときは溶接によって溶接前よりもステータコア23が大きく変形してしまう。これに対し、ステータコア23の締め代が20μmのときは、Q3におけるステータコア23の内径R4の変位量は約8μmであり、溶接前のQ1の場合と比べてもステータコア23の変形量は変わらない。一方、ステータコア23の締め代が40μmのときは、Q3におけるステータコア23の変位量が約9μmであり、Q1において締め代が40μmのときのステータコア23の変位量16μmよりも変位量が小さい。すなわち、溶接荷重が10MPaかつ締め代が40μmのときは、溶接によって溶接前よりもステータコア23の変形を緩和することができる。同様に、ステータコア23の締め代が60μm以上の範囲では、同じ締め代の場合で比較すると、溶接前よりも溶接後の方がステータコア23の内径R4の変位量(ステータコア23の変形量)が緩和されている。以上のことから、溶接荷重が10MPaの場合は、締め代が20μmよりも大きい範囲で、溶接前よりも溶接後の方がステータコア23の変形が緩和されていると言える。
同様に、図11のQ4(溶接荷重:15MPa)から、溶接荷重が15MPaの場合は、締め代が40μm以上の(30μmよりも大きい)範囲で、溶接前よりも溶接後の方がステータコア23の変形が緩和されていると言える。また、図11のQ5(溶接荷重:20MPa)から、溶接荷重が20MPaの場合は、締め代が40μmよりも大きい範囲で、溶接前よりも溶接後の方がステータコア23の変形が緩和されていると言える。
すなわち、図11に示すように、Q1で示される溶接前の時点では、焼き嵌めしたときのステータコア23の締め代が大きくなる程(容器2からステータコア23が受ける外力が大きくなる程)、ステータコア23の内径R4の変位量は大きくなっている。一方、Q2~Q5で示される溶接後の時点では、溶接前であるQ1の線を基準として、Q1よりも下側に位置するような締め代と溶接荷重の組合せでは、ステータコア23の内径R4の変位量が増大している(すなわち、溶接することによって溶接前よりもステータコア23が大きく変形してしまう)。しかし、Q2~Q5において溶接前であるQ1の線よりも上側に位置するような締め代と溶接荷重の組合せでは、溶接前の時点よりも溶接後の方がステータコア23の内径R4の変位量が小さく抑えられている(すなわち、溶接することによって溶接前よりもステータコア23の変形が抑えられる)。このとき、溶接荷重をQ(MPa)とし、焼き嵌めにおける締め代をS(μm)とすると、図11から、S/Q>20/10=2[μm/MPa]を満たす範囲で、溶接後に変形が緩和されていることがわかる。
以上のように、小径部38が容器2に接合された溶接部20によって、焼き嵌めによってステータコア23に生じた変形が矯正される。また、ステータコア23の締め代が増えた場合にも、溶接部20によって、ステータコア23の変位量が増えることが抑えられる。したがって、小径部38が容器2に接合された溶接部20は、ステータコア23の変形を抑えて、ステータコア23とロータ21間エアギャップの歪みを緩和できる。
(実施例と比較例との比較)
図12は、実施例におけるステータコア23の締め代とモータ効率(3相モータ6に入力された電気的エネルギーに対する、3相モータ6から出力される機械的エネルギーの比)の減少率との関係を示すグラフである。図12において、縦軸がモータ効率の減少率[%]を示し、横軸がステータコア23の締め代[μm]を示している。比較例は、ステータコア23の外周面の9箇所が容器2の内周面に接する9面嵌め構造であり、比較例のモータ効率の減少率を図12において実線L1及び破線L2で示している。実施例は、ステータコア23の3つの大径部37の外周面が容器2の内周面に接する3面嵌め構造であり、実施例のモータ効率の減少率を図12において実線L3及び破線L4で示している。図12において、実線L1、L3が解析値であり、破線L2、L4が実測値である。また、破線Mは、嵌め合い交差の下限値となる最大締め代であり、例えば、60~80[μm]程度に設定されている。
図12に示すように、実施例と比較例では共に、ステータコアの締め代の増加に従ってモータ効率が低下するが、実線L3及び破線L4で示す実施例におけるモータ効率の減少率は、実線L1及び破線L2で示す比較例におけるモータ効率の減少率よりも小さい。すなわち、実施例の3面嵌め構造によれば、比較例の9面嵌め構造よりもモータ効率の低下を抑えられる。
図13は、実施例におけるAPF効率(通年エネルギー消費効率)を説明するためのグラフである。図13では、実施例と比較例について、ステータコアに対する容器2の焼き嵌め前と焼き嵌め後のAPF効率の変化を示している。上述と同様に、比較例は、9面嵌め構造である。実施例は3面嵌め構造である。
図13に示すように、比較例では、容器2の焼き嵌め前にAPF効率が91.58%だったのが、容器2の焼き嵌め後にはAPF効率が91.19[%]まで低下する。これに対して、実施例では、容器2の焼き嵌め前にAPF効率が91.58%だったのが、容器2の焼き嵌め後はAPF効率が91.44[%]となっている。すなわち、実施例では、焼き嵌め前後におけるAPF効率の低下が比較例よりも抑えられている。これは、9面の大径部を備えた比較例では、外力が大径部全てにかかっていたのに対し、3面の大径部37と6面の小径部38とを備えた実施例では、小径部38には外力がかからなくなり、ステータコア23の歪みが抑えられたためと推定される。
(実施例の効果)
上述したように実施例の圧縮機1の3相モータ6において、ステータ22のステータコア23は、ステータコア23の周方向において、焼き嵌めにより嵌め合わされることで容器2の内周面に接触する複数の大径部37と、中心Oから外周面までの距離が大径部37よりも小さい複数の小径部38とが、第1凹部35または第2凹部36を挟んで形成されている。容器2およびステータコア23には、容器2の内周面とステータコア23の外周面とが接合された複数の溶接部20が設けられており、溶接部20はステータコア23における小径部38のみに設けられている。そして、小径部38は、容器2の内周面に隙間嵌めされることで、溶接部20を除き容器2の内周面には接触しない。これにより、各大径部37が容器2の内周面に焼き嵌めにより嵌め合わされることで、容器2の内周面にステータコア23を仮止めできるので、圧縮機1の組み立て性を確保できる。また、各小径部38が容器2の内周面に隙間嵌めされることで、ステータコア23の周方向においてステータコア23の外周面が容器2の内周面に接する領域を減らせるので、ステータコア23に生じる圧縮歪みを低減できる。また、小径部38が容器2と接合された溶接部20が設けられることで、ステータコア23を容器2に対して強固に固定しつつ、焼き嵌め時にステータコア23に生じた変形を矯正し、ステータコア23とロータ21間のエアギャップを周方向で均整化できる。したがって、実施例によれば、圧縮機1の組み立て性を確保しながら、ステータコア23の歪みを低減して3相モータ6の効率の低下を抑えることができる。また、図11に示されるように、小径部38が溶接されることで、ステータコア23の内径R4の変位(ステータコア23の変形)を、焼き嵌め後の溶接する前の時点よりも緩和できる。さらに、図12に示されるように、焼き嵌めにおける締め代の大きさに伴うモータ効率の減少を抑制できる。その上、図13に示されるように、容器2に対して3面の大径部37で仮止めされることで、容器2に対して9面全てで仮止めされる場合よりも、焼き嵌め前後のAPF効率の低下を抑制できる。
また、実施例の圧縮機1は、ステータコア23の周方向において、ステータコア23の外周面に沿う複数の小径部38の各円周方向長さW2を合計した小径範囲が、複数の大径部37の各円周方向長さW1を合計した大径範囲よりも大きい。これにより、ステータコア23の周方向において、ステータコア23の外周面が容器2の内周面に接する大径範囲を減らし、ステータコア23にかかる外力および応力を低減できる。
また、実施例の圧縮機1において、ステータコア23の複数の小径部38の各々には、シャフト3の軸方向に沿ってステータコア23を貫通する貫通孔29が設けられている。これにより、貫通孔29が、小径部38と容器2との溶接時にステータコア23に加わる熱を断熱する断熱空間として作用するので、溶接時の熱によってスロットの絶縁フィルム26が溶けることを防止できる。
また、実施例の圧縮機1において、ステータコア23の小径部38の貫通孔29は、ステータコア23の周方向に延びて形成されて、ステータコア23の周方向における貫通孔29の長さが、ステータコア23の周方向における溶接部20の長さよりも大きくなるように形成されている。これにより、溶接部20から伝わる熱を貫通孔29で遮断しつつ、ステータコア23の周方向に沿って熱が逃がされることで、貫通孔29を回り込んでステータコア23の内径側へ熱が伝達されるのを抑制できる。このため、溶接時の熱による絶縁フィルム26の溶けを更に防止できる。
なお、本実施例の圧縮機1は、ロータリ圧縮機に限定されず、スクロール圧縮機等の他の圧縮機に適用されてもよい。
1 圧縮機
2 容器(圧縮機筐体)
3 シャフト(回転軸)
5 圧縮部
6 3相モータ
8a 冷凍機油(潤滑油)
11 吸入管(吸入部)
12 吐出管(吐出部)
20 溶接部
21 ロータ
22 ステータ
23 ステータコア
29 貫通孔
35 第1凹部(凹部)
36 第2凹部(凹部)
37 大径部
38 小径部
G 隙間
O 回転中心(中心)
R1 大径部外径
R2 小径部外径
R3 筐体内径
R4 ステータコアの内径
S 締め代
W1、W2 円周方向長さ

Claims (7)

  1. 圧縮機筐体と、前記圧縮機筐体の内部に配置されて冷媒を圧縮する圧縮部と、前記圧縮機筐体の内部に配置されて前記圧縮部を駆動するモータと、を備え、
    前記モータは、前記圧縮部の回転軸と同軸に設けられるロータと、前記ロータの外周側に配置されるステータと、を有し、
    前記ステータは、前記ステータの周方向において、前記圧縮機筐体の内周面と接触する複数の大径部と、前記モータの回転中心から外周面までの距離が前記大径部よりも小さい複数の小径部とが形成され、
    前記ステータには、前記圧縮機筐体の内周面と前記ステータの外周面とが接合された複数の溶接部が設けられ、前記溶接部が前記ステータの前記小径部に設けられている、圧縮機。
  2. 前記ステータの外周面には、前記圧縮機筐体内の潤滑油が前記外周面に沿って通過する複数の凹部が、前記ステータの周方向に間隔をあけて形成され、
    前記ステータの周方向において隣り合う前記小径部と前記大径部とが、前記凹部を挟んで形成されている、
    請求項1に記載の圧縮機。
  3. 前記ステータの周方向において、各々の前記大径部の前記ステータの外周面に沿う円周方向長さと、各々の前記小径部の円周方向長さとが等しい、
    請求項1または2に記載の圧縮機。
  4. 前記ステータの周方向において、前記ステータの外周面に沿う前記複数の小径部の各円周方向長さを合計した小径範囲は、前記複数の大径部の各円周方向長さを合計した大径範囲よりも大きい、
    請求項1乃至3のいずれか1項に記載の圧縮機。
  5. 前記ステータは、前記小径部の個数が前記大径部の個数の2倍以上である、
    請求項1乃至4のいずれか1項に記載の圧縮機。
  6. 前記複数の小径部の各々には、前記回転軸の軸方向に沿って前記ステータを貫通する貫通孔が設けられている、
    請求項1乃至5のいずれか1項に記載の圧縮機。
  7. 前記回転中心から前記大径部の外周面までの距離である大径部外径をR1、前記回転中心から前記小径部の外周面までの距離である小径部外径をR2、前記回転中心から前記圧縮機筐体の内周面までの距離である筐体内径をR3としたとき、R2<R3<R1を満たし、
    前記ステータは、前記大径部が前記圧縮機筐体に焼き嵌めされ、前記小径部が前記圧縮機筐体に溶接されている、
    請求項1乃至6のいずれか1項に記載の圧縮機。
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