JP2022072289A - シリンダライナおよび舶用内燃機関 - Google Patents

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Abstract

【課題】掃気ポートからの潤滑油の流出を抑制する。【解決手段】シリンダライナ14は、複数の掃気ポート14aと、複数の掃気ポート14aに対して上方の内壁部14bに設けられ、各掃気ポート14aと対応するように、周方向に沿って並んだ状態で配置される複数の保油溝14cと、を備える。複数の掃気ポート14aは、それぞれ、シリンダジャケット13から吸い込んだ空気を、周方向におけるいずれか一方向である所定の回転方向D1に渦を巻くように流動させ、複数の保油溝14cは、隣合う保油溝14c同士が互いに分断された状態で設けられるとともに、それぞれ、渦の流動に沿って直線状に延びるよう、中心軸Cに沿って上方に向かうにつれて回転方向D1に延びる。【選択図】図4

Description

本開示は、シリンダライナ、および該シリンダライナを備える舶用内燃機関に関する。
例えば特許文献1には、保油用の溝が刻設されたシリンダライナが開示されている。具体的に、この特許文献1に開示されているシリンダライナは、該シリンダライナ内面の注油孔下方でかつ掃気ポート(掃気孔)の上方に、保油用の波状溝を備えている。
前記特許文献1によれば、注油孔からシリンダライナ内面に供給された潤滑油は、ピストンの往復移動によって下方へと掻き落とされる。この潤滑油は、掃気ポートを通じて外部に漏れ出すことなく、溝内に貯えられる。溝内に貯えられた潤滑油は、その後、ピストンにより上方に掻き上げられるとともに、溝に沿って円周方向へも拡散される。これにより、掃気ポートを通じて外部に流出する潤滑油の量を減らすことが可能となる。
実開昭61-5346号公報
しかしながら、前記特許文献1のように、保油用の溝(保油溝)内に潤滑油を充填するように構成した場合、溝内の潤滑油が、例えばサイクル毎に掻き出されて入れ替わらなくては、潤滑油の流出を抑制する上で不都合である。
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、掃気ポートからの潤滑油の流出を抑制することにある。
本願発明者らは、保油溝の形態を工夫する上で、シリンダライナ内を流動する横渦状の空気の流れ(スワール流)に着目し、本開示を想到するに至った。
具体的に、本開示の第1の態様は、ピストンの往復移動に伴ってシリンダジャケットから空気を吸い込むように構成された円筒状のシリンダライナに係る。このシリンダライナは、周方向に沿って並んだ状態で配置される複数の掃気ポートと、前記複数の掃気ポートに対して上方の内壁部に設けられ、前記複数の掃気ポートの各々と対応するように、周方向に沿って並んだ状態で配置される複数の保油溝と、を備える。
そして、前記第1の態様によると、前記複数の掃気ポートは、それぞれ、前記ピストンの中心軸に垂直な横断面で見た場合に、前記シリンダジャケットから吸い込んだ空気を、周方向におけるいずれか一方向である所定の回転方向に渦を巻くように流動させ、前記複数の保油溝は、隣合う保油溝同士が互いに分断された状態で設けられるとともに、それぞれ、前記渦の流動に沿って直線状に延びるよう、前記中心軸に沿って上方に向かうにつれて前記回転方向に延びる。
前記第1の態様によれば、各保油溝は、渦の流動に沿って延びるように、上方向と回転方向とを合成してなる斜め方向に延びるように形成される。このように形成することで、保油溝から潤滑油の掻き出しを、スワール流によって促進することが可能となる。スワール流はサイクル毎に発生するため、サイクルの推移と連動して潤滑油を入れ替えることが可能となる。
また、保油溝同士を連結することなく、意図的に分断させることで、一方の保油溝から、それに隣接する他方の保油溝へと潤滑油を導くことなく、上方に向かって潤滑油を効果的に掻き出すことができるようになる。
保油溝からの潤滑油の掻き出しを促進することで、シリンダライナの内壁部から潤滑油が下方へと掻き落とされるタイミングなど、保油溝を機能させるべきタイミングに際し、該保油溝内を空にしておくことが可能となる。これにより、潤滑油の流出を抑制することができる。
本開示の第2の態様は、ピストンの往復移動に伴ってシリンダジャケットから空気を吸い込むように構成された円筒状のシリンダライナに係る。このシリンダライナは、周方向に沿って並んだ状態で配置される複数の掃気ポートと、前記複数の掃気ポートに対して上方に設けられ、前記複数の掃気ポートの各々と対応するように、周方向に沿って並んだ状態で配置される複数の保油溝と、を備える。
そして、前記第2の態様によると、前記複数の掃気ポートは、それぞれ、前記ピストンの中心軸に垂直な横断面で見た場合に、前記シリンダジャケットから吸い込んだ空気を、周方向におけるいずれか一方向である所定の回転方向に渦を巻くように流動させ、前記複数の保油溝は、それぞれ、前記渦の流動に沿って直線状に延びるよう、前記中心軸に沿って上方に向かうにつれて前記回転方向に延び、前記複数の保油溝のうち隣合う保油溝同士を接続するように、前記中心軸に沿って上方に向かうにつれて前記回転方向または該回転方向の反対方向に延びる複数の第2の保油溝をさらに備え、前記中心軸に対して前記第2の保油溝が成す傾斜は、前記保油溝が成す傾斜に比して急峻である。
前記第2の態様によれば、各保油溝は、渦の流動に沿って延びるように、上方向と回転方向またはその反対方向とを合成してなる斜め方向に延びるように形成される。このように形成することで、保油溝から潤滑油の掻き出しを、スワール流によって促進することが可能となる。スワール流はサイクル毎に発生するため、サイクルの推移と連動して潤滑油を入れ替えることが可能となる。
また、保油溝同士を接続する際に、該保油溝に比して急峻な第2の保油溝を介して接続することで、周方向における保油溝の寸法、ひいては、前記斜め方向における保油溝の寸法を相対的に長くすることができる。保油溝と第2の保油溝のうち、スワール流によって潤滑油を掻き出すための保油溝の寸法を相対的に長くすることで、潤滑油の掻き出しを促進する上で有利になる。
そして、保油溝からの潤滑油の掻き出しを促進することで、シリンダライナの内壁部から潤滑油が下方へと掻き落とされるタイミングなど、保油溝を機能させるべきタイミングに際し、該保油溝内を空にしておくことが可能となる。これにより、潤滑油の流出を抑制することができる。
また、本開示の第3の態様によると、前記複数の保油溝の各下端部は、周方向において、前記複数の掃気ポートのうち、隣合う掃気ポートの間に配置される、としてもよい。
前記第3の態様によれば、各保油溝の下端部から潤滑油が流れ落ちたときに、その潤滑油を掃気ポートの間に導くことができる。これにより、掃気ポートからの潤滑油の流出を抑制する上で有利になる。
また、本開示の第4の態様によると、前記複数の保油溝の各下端部は、周方向において、前記隣合う掃気ポートの中間位置に配置される、としてもよい。
前記第4の態様によれば、掃気ポートからの潤滑油の流出を抑制する上で有利になる。
また、本開示の第5の態様によると、前記複数の保油溝の各上端部は、周方向において、前記隣合う掃気ポートの間に配置される、としてもよい。
前記第5の態様によれば、各保油溝の上端部から掻き出された潤滑油が下方に向かって流れ落ちたときに、その潤滑油を掃気ポートの間に導くことができる。これにより、掃気ポートからの潤滑油の流出を抑制する上で有利になる。
また、本開示の第6の態様によると、前記隣合う保油溝のうち前記回転方向における上流側に位置する保油溝の上端部と、前記回転方向における下流側に位置する保油溝の下端部とは、軸方向に沿って並ぶように配置される。
前記第6の態様によれば、上流側に位置する保油溝から掻き出された潤滑油が下方に向かって流れ落ちたときに、その潤滑油を下流側に位置する保油溝によって受け止めることができる。これにより、掃気ポートからの潤滑油の流出を抑制する上で有利になる。
また、本開示の第7の態様によれば、前記複数の保油溝それぞれの軸方向における寸法は、該保油溝の周方向における寸法に比して長い、としてもよい。
前記第7の態様によると、スワール流と各保油溝とを可能な限り平行に構成する上で有利になる。
また、本開示の第8の態様によれば、前記複数の保油溝は、それぞれ、前記中心軸に対する傾斜方向に沿った縦断面で見た場合、少なくとも前記傾斜方向における上半部の深さが、上方に向かうに従って徐々に浅くなる、としてもよい。
前記第8の態様によると、スワール流によって保油溝から潤滑油を掻き出す上で有利になる。
また、本開示の第9の態様は、前記シリンダライナを備える舶用内燃機関に係る。
以上説明したように、本開示によれば、掃気ポートからの潤滑油の流出を抑制することができる。
図1は、舶用内燃機関の構成を例示する模式図である。 図2は、シリンダライナの構造を例示する縦断面図である。 図3は、シリンダライナの構造を例示する横断面図である。 図4は、第1実施形態における保油溝を例示する模式図である。 図5は、保油溝の構造を例示する縦断面図である。 図6は、第2実施形態を例示する図4対応図である。 図7は、第2実施形態の変形例を示す図4対応図である。
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明は例示である。図1は、舶用内燃機関(以下、単に「エンジン1」ともいう)の構成を例示する模式図である。
本明細書では、エンジン1の実施形態として、特別な技術的特徴を有するシリンダライナ14を備えてなる第1実施形態と、これに対応する特別な技術的特徴を有するシリンダライナ114,214を備えてなる第2実施形態と、について順番に説明する。
〈第1実施形態〉
第1実施形態に係るエンジン1は、複数のシリンダ16を備えた直列多気筒式のディーゼルエンジンである。このエンジン1は、ユニフロー掃気方式の2ストローク1サイクル機関として構成されており、タンカー、コンテナ船、自動車運搬船等、大型の船舶に搭載される。
船舶に搭載されたエンジン1は、その船舶を推進させるための主機関として用いられる。そのために、エンジン1の出力軸は、プロペラ軸(不図示)を介して船舶のプロペラ(不図示)に連結されている。エンジン1が運転することにより、その出力がプロペラに伝達されて、船舶が推進するように構成されている。
特に、本開示に係るエンジン1は、そのロングストローク化を実現するべく、いわゆるクロスヘッド式の内燃機関として構成されている。すなわち、このエンジン1においては、下方からピストン21を支持するピストン棒22と、クランクシャフト23に連接される連接棒24と、がクロスヘッド25により連結されている。
(1)主要構成
以下、エンジン1の要部について説明する。
図1に示すように、エンジン1は、下方に位置する台板11と、台板11上に設けられる架構12と、架構12上に設けられるシリンダジャケット13と、を備えている。台板11、架構12およびシリンダジャケット13は、上下方向に延びる複数のタイボルトおよびナットにより締結されている。エンジン1はまた、シリンダジャケット13内に設けられるシリンダ16と、シリンダ16内に設けられるピストン21と、ピストン21の往復移動に連動して回転する出力軸(例えばクランクシャフト23)と、を備えている。
台板11は、エンジン1のクランクケースを構成するものであり、クランクシャフト23と、クランクシャフト23を回転自在に支持する軸受26と、を収容している。クランクシャフト23には、クランク27を介して連接棒24の下端部が連結されている。
架構12は、一対のガイド板28と、連接棒24と、クロスヘッド25と、を収容している。このうち、一対のガイド板28は、ピストン軸方向に沿って設けられた一対の板状部材からなり、エンジン1の幅方向(図1の紙面左右方向)に間隔を空けて配置されている。連接棒24は、その下端部がクランクシャフト23に連結された状態で、一対のガイド板28の間に配置されている。連接棒24の上端部は、クロスヘッド25を介してピストン棒22の下端部に連結されている。
具体的に、クロスヘッド25は、一対のガイド板28の間に配置されており、各ガイド板28に沿って上下方向に摺動する。すなわち、一対のガイド板28は、クロスヘッド25の摺動を案内するように構成されている。クロスヘッド25は、クロスヘッドピン29を介してピストン棒22および連接棒24と接続されている。クロスヘッドピン29は、ピストン棒22に対しては一体的に上下動するよう接続されている一方、連接棒24に対しては、連接棒24の上端部を支点として、連接棒24を回動させるように接続されている。
シリンダジャケット13は、内筒としてのシリンダライナ14を支持する。シリンダライナ14は、円筒状に形成されており、シリンダジャケット13に挿入される。シリンダジャケット13の内部空間は、シリンダライナ14の内部空間と連通する。シリンダライナ14の内部には、前述のピストン21が配置されている。このピストン21は、シリンダライナ14の内壁に沿って上下方向に往復移動する。また、シリンダライナ14の上部にはシリンダカバー15が固定されている。シリンダカバー15は、シリンダライナ14とともにシリンダ16を構成している。
また、シリンダカバー15には、不図示の動弁装置によって作動される排気弁18が設けられている。排気弁18は、シリンダライナ14およびシリンダカバー15から構成されるシリンダ16、並びに、ピストン21の頂面とともに燃焼室17を区画している。排気弁18は、その燃焼室17と排気管19との間を開閉するものである。排気管19は、燃焼室17に通じる排気口を有しており、排気弁18は、その排気口を開閉するように構成されている。
また、シリンダカバー15には、燃焼室17に燃料を供給するための燃料噴射弁31が設けられている。燃料噴射弁31は、燃焼室17の室内にディーゼル燃料を噴射する。
さらに、本実施形態に係るエンジン1は、燃料噴射弁31にディーゼル燃料を圧送する燃料ポンプ32を備えている。図1に示すように、燃料ポンプ32は、シリンダ16の近傍にレイアウトされており、不図示の燃料噴射管を介して燃料噴射弁31と流体的に接続されている。
シリンダ16の近傍には、排気マニホールド41も配置される。この排気マニホールド41は、排気管19を介して燃焼室17と接続される。排気マニホールド41は、燃焼室17から排気管19を通じて排ガスを受け入れ、受け入れた排ガスを一時貯留して、この排ガスの動圧を静圧に変える。
エンジン1は、空気等の燃焼用気体を過給する過給機42と、過給機42によって圧縮された燃焼用気体を一時的に貯留する掃気トランク43と、をさらに備えている。過給機42は、排ガスの圧力を利用してタービン(不図示)とともにコンプレッサ(不図示)を回転させ、このコンプレッサによって燃焼用気体を圧縮する。掃気トランク43は、シリンダジャケット13の内部空間と連通するように設けられる。過給機42によって圧縮された燃焼用気体(以下、「圧縮気体」ともいう)は、掃気トランク43からシリンダジャケット13の内部空間に流入し、その内部空間から掃気ポート14aを通じてシリンダライナ14の内部空間(シリンダライナ14の内壁部14bによって包囲された空間)に送給される。
エンジン1の運転に際しては、燃焼室17の室内に、燃料噴射弁31からディーゼル燃料が供給されるとともに、掃気トランク43からシリンダジャケット13等を通じて圧縮気体が供給される。これにより、燃焼室17内においては、ディーゼル燃料が圧縮気体によって燃焼する。
そして、ディーゼル燃料により生じたエネルギーによって、ピストン21は、シリンダライナ14に沿って上下方向に往復移動する。このとき、排気弁18が作動して燃焼室17が開放されると、燃焼によって生じた排ガスが排気管19に押し出される。また、シリンダライナ14に沿ってピストン21が往復移動することで、シリンダジャケット13からシリンダライナ14内へ圧縮気体(空気)が吸い込まれて、これをピストン21が押し込むことで、燃焼室17内に圧縮気体が新たに導入される。このような行程を繰り返すことで、ディーゼル燃料の燃焼と、シリンダ16内の掃気と、が繰り返し実行される。
また、燃焼によってピストン21が往復移動をすると、ピストン21とともにピストン棒22が上下方向に往復移動をする。これにより、ピストン棒22に連結されたクロスヘッド25が、上下方向に往復移動をする。このクロスヘッド25は、連接棒24の回動を許容するようになっており、クロスヘッド25との接続部位を支点として、連接棒24を回動させる。そして、連接棒24の下端部に接続されるクランク27がクランク運動し、そのクランク運動に応じてクランクシャフト23が回転する。こうして、クランクシャフト23は、ピストン21の往復移動を回転運動に変換し、プロペラ軸とともに船舶のプロペラを回転させる。これにより、船舶が推進する。
ところで、シリンダライナ14の内壁部14bには、この内壁部14bとピストン21との潤滑を行うべく、1つ以上の注油孔(不図示)から潤滑油が供給されるようになっている。しかしながら、この潤滑油は、ピストン21が下降した際に下方に掻き落とされた結果、後述の掃気ポート14aを通じて外部に流出する可能性がある。
そこで、本実施形態に係るシリンダライナ14の内壁部14bには、潤滑油の流出を抑制し、ピストン21の往復移動に係る潤滑性を確保するための複数の保油溝14cが設けられるようになっている。
以下、シリンダライナ14の構成のうち、各保油溝14cに関連した構成について詳細に説明する。
(2)シリンダライナの構成
図2は、シリンダライナ14の構造を例示する縦断面図である。図3は、シリンダライナ14の構造を例示する横断面図である。図4は、シリンダライナ14の内壁部14bを例示する模式図である。図5は、保油溝14cの構造を例示する縦断面図である。ここで、図3は、図2のIII-III断面に相当し、図5は、図4のV-V断面に相当する。
なお、以下の説明においては、図2に例示されるシリンダライナ14およびピストン21の中心軸Cに沿う方向を「軸方向」と定義し、この中心軸Cから放射状に延びる方向を「径方向」と定義する。また、この中心軸Cを中心とした時計回り方向および反時計回り方向を「周方向」と定義する。
軸方向は、前述したピストン21の移動方向に等しく、「上下方向」と言い換えることもできる。また、軸方向に沿って後述の掃気ポート14aから燃焼室17に向かう方向を「上方向」と呼称し、その反対方向を「下方向」と呼称する場合もある。
径方向は、ピストン21の移動方向に直交する。また、径方向において中心軸Cに近接する一側を「内側」と呼称し、中心軸Cから離間する他側を「外側」と呼称する場合もある。
シリンダライナ14は、ピストン21の往復移動を案内する内筒として機能する。具体的に、シリンダライナ14は、図2に示すように、上下方向に沿って延びる円筒状に形成される。
また、シリンダライナ14は、図2および図3に示すように、該シリンダライナ14の下部に設けられる複数の掃気ポート14aと、シリンダライナ14の内部空間を区画する内壁部14bと、この内壁部14bに設けられる複数の保油溝14cと、を備えている。
このうち、複数の掃気ポート14aは、それぞれ、周方向に沿って並んだ状態で配置されている。各掃気ポート14aは、シリンダライナ14の内壁部14bを貫通する掃気孔として形成されている。
また、各掃気ポート14aは、上下方向においては、シリンダライナ14のうちシリンダジャケット13内に挿入された部分(シリンダライナ14の下部に相当する部分)に配置される。図示は省略するが、各掃気ポート14aは、下死点に位置するピストン21よりも上方に位置するように配置される。
また、図3に示すように、複数の掃気ポート14aは、それぞれ、中心軸Cに垂直な横断面で見た場合に、シリンダジャケット13から吸い込んだ空気を、周方向におけるいずれか一方向である所定の回転方向D1に渦を巻くように流動させる。図例では、回転方向D1は、中心軸Cを中心とした時計回り方向に等しい。このような流動を実現するために、各掃気ポート14aは、径方向において外側から内側に向かうに従って、周方向において時計回り方向に向かうように傾斜している。
なお、回転方向D1は、図例のような時計回り方向には限定されない。中心軸Cを中心とした反時計回り方向を回転方向D1とすることもできる。その場合、各掃気ポート14aの傾斜方向は、径方向において外側から内側に向かうに従って、周方向において反時計回り方向に向かって傾斜することになる(図例とは反対方向に向かって傾斜することになる)。
各掃気ポート14aはまた、ピストン21が下死点付近に位置するときに開状態となり、シリンダジャケット13およびシリンダライナ14を介して掃気トランク43と燃焼室17とを連通させる。
各掃気ポート14aが開状態となったときにシリンダライナ14内に吸い込まれる空気は、図3の矢印A1に示すように、回転方向D1に渦を巻くように流動する。そうして渦を巻いた空気は、図2の矢印Aに示すように、中心軸Cまわりのスワール流となって燃焼室17へ向かって流れることになる。
内壁部14bは、ピストン21の往復移動を案内する。具体的に、本実施形態に係る内壁部14bは、図2に示すように、ピストン21の中心軸Cと同軸の中心軸を有し、かつ上下方向に沿って延びる円筒状に形成される。
ここで、上下方向に延びる内壁部14bのうち、複数の掃気ポート14aに対して上方に位置する内壁部14bには、各掃気ポート14aと対応するように、周方向に沿って並んだ状態で複数の保油溝14cが配置される。
具体的に、複数の保油溝14cは、複数の掃気ポート14aと同数になるように形成される。各保油溝14cは、対応する掃気ポート14aの上方に配置される。
そして、第1実施形態に係る複数の保油溝14cは、隣合う保油溝14c同士が互いに分断された状態で設けられるとともに、それぞれ、渦の流動に沿って延びるよう、中心軸Cに沿って上方に向かうにつれて回転方向D1に延びる。
具体的に、複数の保油溝14cは、図4に示すように、隣り合う保油溝14c同士が繋がらないように形成されている。そして、各保油溝14cは、スワール流に沿って延びるよう、上下方向において上側に向かうに従って、周方向においては前述した回転方向D1に延びている(換言すれば、上方向と、回転方向D1とを合成した斜め方向)に向かって延びている。各保油溝14cは、この斜め方向に沿ってストレートに延びる。
また、複数の保油溝14cの各下端部142は、周方向において、複数の掃気ポート14aのうち、隣合う掃気ポート14aの間(具体的には、隣合う掃気ポート14aの中間位置)に配置される。すなわち、図4において紙面上下方向に延びる一点鎖線に示すように、各下端部142から軸方向に沿って延ばした直線は、各掃気ポート14aの開口とは交わらないようになっている。
同様に、複数の保油溝14cの各上端部141は、周方向において、複数の掃気ポート14aのうち、隣合う掃気ポート14aの間(具体的には、隣合う掃気ポート14aの中間位置)に配置される。すなわち、図4において紙面上下方向に延びる一点鎖線に示すように、各上端部141から軸方向に沿って延ばした直線は、各掃気ポート14aの開口とは交わらないようになっている。
各保油溝14cの下端部142と上端部141とを双方とも、隣合う掃気ポート14aの間に配置したことで、周方向における各保油溝14cの寸法W1は、同方向における各掃気ポート14aの寸法W2よりも長くなる。
また、図4に示すように、隣合う保油溝14cのうち回転方向D1における上流側(図4の紙面右側)に位置する保油溝14cの上端部141と、回転方向D1における下流側(図4の紙面左側)に位置する保油溝14cの下端部142とは、軸方向に沿って並ぶように配置される。
また、図4に示すように、複数の保油溝14cそれぞれの軸方向における寸法H1は、該保油溝14cの周方向における寸法W1に比して長い。このように構成した結果、各保油溝14cの傾斜角θは鋭角となる。さらに、各保油溝14cの軸方向における寸法H1は、軸方向における保油溝14cと掃気ポート14aとの間隔H2よりも長い。具体的に、傾斜角θは、10°~45°の範囲内となることが好ましい。
また、図5に示すように、複数の保油溝14cは、それぞれ、中心軸Cに対する傾斜方向(具体的には、上方向と回転方向D1とを合成した斜め方向)に沿った縦断面(図5に示す縦断面)で見た場合、傾斜方向における上半部の深さは、上方に向かうに従って、徐々に浅くなる。具体的には、各保油溝14cの深さは、下端部142と上端部141との中間位置よりも下側に位置する部位(下端部142から寸法H4だけ上方に位置するb部位)において最大となった後、その部位から上端部141に向かうに従って、徐々に浅くなる。そのようにして徐々に浅くなる部位の寸法H3は、前述の寸法H4よりも長くなるように構成されている。
(3)エンジンの潤滑性能について
以上説明したように、前記第1実施形態によれば、各保油溝14cは、渦の流動(スワール流の流れ方向)に沿って直線状に延びるように、上方向と回転方向D1とを合成してなる斜め方向に延びるように形成される。このように形成することで、スワール流によって保油溝14cから潤滑油を掻き出すことが可能となる。スワール流はサイクル毎に発生するため、サイクルの推移と連動して潤滑油を入れ替えることが可能となる。
また、図4に示すように、保油溝14c同士を連結することなく、意図的に分断させることで、一方の保油溝14cから、それに隣接する他方の保油溝14cへと潤滑油を導くことなく、上方に向かって潤滑油を効果的に掻き出すことができるようになる。
保油溝14cからの潤滑油の掻き出しを促進することで、シリンダライナ14の内壁部14bから潤滑油が下方へと掻き落とされるタイミングなど、保油溝14cを機能させるべきタイミングに際し、該保油溝14c内を空にしておくことが可能となる。これにより、潤滑油の流出を抑制することができる。
また、図4に示すように、各保油溝14cの下端部142を、周方向において隣合う掃気ポート14aの間(特に、掃気ポート14aの中間位置)に配置することで、各下端部142から潤滑油が流れ落ちたときに、その潤滑油を掃気ポート14aの間に導くことができる。これにより、掃気ポート14aからの潤滑油の流出を抑制する上で有利になる。
また、図4に示すように、各保油溝14cの各上端部141を、周方向において隣合う掃気ポート14aの間(特に、掃気ポート14aのい中間位置)に配置することで、各上端部141から掻き出された潤滑油が下方に向かって流れ落ちたときに、その潤滑油を掃気ポート14aの間に導くことができる。これにより、掃気ポート14aからの潤滑油の流出を抑制する上で有利になる。
また、図4に示すように、回転方向D1における上流側(紙面右側)に位置する保油溝14cの上端部141と、回転方向D1における下流側(紙面左側)に位置する保油溝14cの下端部142とを、軸方向に沿って並ぶように配置することで、上流側に位置する保油溝14cから掻き出された潤滑油が下方に向かって流れ落ちたときに、その潤滑油を下流側に位置する保油溝14cによって受け止めることができる。これにより、掃気ポート14aからの潤滑油の流出を抑制する上で有利になる。
また、図4に示すように、各保油溝14cの軸方向における寸法H1を、該保油溝14cの周方向における寸法にW1に比して長くすることで、傾斜角θを鋭角とし、ひいては、スワール流と各保油溝14cとを可能な限り平行に構成する上で有利になる。
また、図5に示すように、各保油溝14cを、上方に向かうに従って徐々に浅くなるように構成することで、スワール流によって保油溝14cから潤滑油を掻き出す上で有利になる。
〈第2実施形態〉
続いて、エンジン1の第2実施形態について説明する。
(1)第2実施形態に係る保油溝について
図6は、第2実施形態を例示する図4対応図である。第2実施形態に係るエンジン1およびシリンダライナ114は、保油溝を除いて前記第1実施形態と同様に構成される。そこで、以下の説明では、保油溝に関連した構成のみ説明する。
第2実施形態に係る複数の保油溝114cは、第1実施形態と同様に、渦の流動に沿って延びるよう、中心軸Cに沿って上方に向かうにつれて回転方向D1に延びる。
具体的に、複数の保油溝114cは、スワール流に沿って延びるよう、上下方向において上側に向かうに従って、周方向においては前述した回転方向D1に延びている(換言すれば、上方向と、回転方向D1とを合成した斜め方向)に向かって延びている。各保油溝114cは、この斜め方向に沿ってストレートに延びる。
そして、第2実施形態に係るシリンダライナ114は、複数の保油溝114cのうち隣合う保油溝114c同士を接続するように、中心軸Cに沿って上方に向かうにつれて回転方向D1の反対方向に延びる複数の第2の保油溝114dをさらに備える。
すなわち、この第2実施形態では、周方向において隣合う保油溝114cが、第2の保油溝114dを介して繋がるように構成されている。第2の保油溝114dは、回転方向D1において上流側(紙面右側)に位置する保油溝114cの上端部1141と、回転方向D1において下流側(紙面左側)に位置する保油溝114cの下端部1142と、を接続するように直線状に延びている。各第2の保油溝114dは、周方向において斜め方向とは反対側を指向した第2の斜め方向(換言すれば、上方向と、回転方向D1の反対方向とを合成した斜め方向)に沿ってストレートに延びる。
そして、中心軸Cに対して第2の保油溝114dが成す傾斜(第2傾斜角)θ2は、前記保油溝114cが成す傾斜(第1傾斜角)θ1に比して急峻となるように構成されている。具体的に、第1傾斜角θ1は、10°~45°の範囲内となることが好ましい。
なお、ここでいう第1傾斜角度θ1とは、保油溝114cから斜め方向に沿って延ばした延長線と、軸方向(中心軸C)に沿って延びる直線と、がなす角度のうち、鋭角となる一方を指す。
同様に、第2傾斜角度θ2とは、第2の保油溝114dから第2の斜め方向に沿って延ばした延長線と、軸方向(中心軸C)に沿って延びる直線と、がなす角度のうち、鋭角となる一方を指す。
具体的に、第2実施形態では、軸方向における保油溝114cの寸法と、第2の保油溝114dの寸法と、は実質的に一致する。一方、周方向における保油溝114cの寸法は、第2の保油溝114dの寸法に比して長い(第2の保油溝114dの寸法は、保油溝114cの寸法に比して短い)。
また、前記第1実施形態と同様に、複数の保油溝114cの各下端部1142は、周方向において、複数の掃気ポート114aのうち、隣合う掃気ポート114aの間(具体的には、隣合う掃気ポート114aの中間位置)に配置される。すなわち、各下端部1142から軸方向に沿って延ばした直線は、各掃気ポート114aの開口とは交わらないようになっている。
また、前記第1実施形態と同様に、複数の保油溝114cそれぞれの軸方向における寸法は、該保油溝114cの周方向における寸法に比して長い。このように構成した結果、各保油溝114cの第1傾斜角θ1は鋭角となる。さらに、各保油溝114cの軸方向における寸法は、軸方向における保油溝114cと掃気ポート114aとの間隔よりも長くなるように構成されている。
また、図示は省略したが、前記第1実施形態と同様に、複数の保油溝114cは、それぞれ、中心軸Cに対する傾斜方向(具体的には、上方向と回転方向D1とを合成した斜め方向)に沿った縦断面で見た場合、傾斜方向における上半部の深さは、上方に向かうに従って、徐々に浅くなる。具体的には、各保油溝114cの深さは、その下端部1142と上端部1141との中間位置よりも下側に位置する部位において最大となった後、その部位から上端部1141に向かうに従って、徐々に浅くなる。
このように、前記第2実施形態によれば、各保油溝114cは、渦の流動(スワール流の流れ方向)に沿って直線状に延びるように、上方向と回転方向D1の反対方向とを合成してなる第2の斜め方向に延びるように形成される。このように形成することで、スワール流によって保油溝114cから潤滑油を掻き出すことが可能となる。スワール流はサイクル毎に発生するため、サイクルの推移と連動して潤滑油を入れ替えることが可能となる。
また、保油溝114c同士を接続する際に、該保油溝114cに比して急峻な第2の保油溝114dを介して接続することで、周方向における保油溝114cの寸法、ひいては、斜め方向における保油溝114cの寸法を第2の保油溝114dよりも長くすることができる。保油溝114cと第2の保油溝114dのうち、スワール流によって潤滑油を掻き出すための保油溝114cの寸法を相対的に長くすることで、潤滑油の掻き出しを促進する上で有利になる。
そして、保油溝114cからの潤滑油の掻き出しを促進することで、シリンダライナ114の内壁部114bから潤滑油が下方へと掻き落とされるタイミングなど、保油溝114cを機能させるべきタイミングに際し、該保油溝114c内を空にしておくことが可能となる。これにより、潤滑油の流出を抑制することができる。
また、第2の保油溝114dは、保油溝114cよりも急峻な分、より速やかに潤滑油を流れ落とすことができる。ここで、図6に示すように、第2の保油溝114dの下端部(具体的には、保油溝114cの下端部1142と一致する部位)を隣合う掃気ポート114aの間に配置することで、第2の保油溝114dが流れ落とした潤滑油の、掃気ポート114aからの流出を抑制することができる。
(2)第2実施形態の変形例について
前記第2実施形態では、複数の第2の保油溝114dは、中心軸Cに沿って上方に向かうにつれて、回転方向D1の反対方向に延びるように構成されていたが、第2実施形態は、そうした構成に限定されない。
図7は、第2実施形態の変形例を示す図4対応図である。図7に示すように、この変形例に係るシリンダライナ214は、図6に示す構成例に類似した保油溝214cを備えてなる。
そして、変形例に係るシリンダライナ214は、複数の保油溝214cのうち隣合う保油溝214c同士を接続するように、中心軸Cに沿って上方に向かうにつれて回転方向D1に延びる複数の第2の保油溝214dをさらに備える。
すなわち、この変形例では、周方向において隣合う保油溝214cが、第2の保油溝214dを介して繋がるように構成されている。第2の保油溝214dは、回転方向D1において上流側(紙面右側)に位置する保油溝214cの上端部2141と、回転方向D1において下流側(紙面左側)に位置する保油溝214cの下端部2142と、を接続するように直線状に延びている。各第2の保油溝214dは、周方向において斜め方向(換言すれば、上方向と、回転方向D1とを合成した斜め方向)に沿ってストレートに延びる。
そして、中心軸Cに対して第2の保油溝214dが成す傾斜(第2傾斜角)θ4は、図6に示す例と同様に、前記保油溝114cが成す傾斜(第1傾斜角)θ3に比して急峻となるように構成されている。具体的に、第1傾斜角θ3は、10°~45°の範囲内となることが好ましい。
具体的に、この変形例においては、第2実施形態と同様に、軸方向における保油溝214cの寸法と、第2の保油溝214dの寸法と、は実質的に一致する。一方、周方向における保油溝214cの寸法は、第2の保油溝214dの寸法に比して長い(周方向における第2の保油溝214dの寸法は、保油溝214cの寸法に比して短い)。
また、前記第1実施形態等と同様に、複数の保油溝214cの各下端部2142は、周方向において、複数の掃気ポート214aのうち、隣合う掃気ポート214aの間(具体的には、隣合う掃気ポート214aの中間位置)に配置される。すなわち、各下端部2142から軸方向に沿って延ばした直線は、各掃気ポート214aの開口とは交わらないようになっている。
また、前記第1実施形態と同様に、複数の保油溝214cの各上端部2141は、周方向において、複数の掃気ポート214aのうち、隣合う掃気ポート214aの間(具体的には、隣合う掃気ポート214aの中間位置)に配置される。すなわち、各上端部2141から軸方向に沿って延ばした直線は、各掃気ポート214aの開口とは交わらないようになっている。
このように、この変形例によれば、各保油溝214cは、渦の流動(スワール流の流れ方向)に沿って直線状に延びるように、上方向と回転方向D1とを合成してなる斜め方向に延びるように形成される。このように形成することで、スワール流によって保油溝214cから潤滑油を掻き出すことが可能となる。スワール流はサイクル毎に発生するため、サイクルの推移と連動して潤滑油を入れ替えることが可能となる。
また、保油溝214c同士を接続する際に、該保油溝214cに比して急峻な第2の保油溝214dを介して接続することで、周方向における保油溝214cの寸法、ひいては、斜め方向における保油溝214cの寸法を第2の保油溝214dよりも長くすることができる。保油溝214cと第2の保油溝214dのうち、スワール流によって潤滑油を掻き出すための保油溝214cの寸法を相対的に長くすることで、潤滑油の掻き出しを促進する上で有利になる。
そして、保油溝214cからの潤滑油の掻き出しを促進することで、シリンダライナ214の内壁部214bから潤滑油が下方へと掻き落とされるタイミングなど、保油溝214cを機能させるべきタイミングに際し、該保油溝214c内を空にしておくことが可能となる。これにより、潤滑油の流出を抑制することができる。
また、第2の保油溝214dは、保油溝214cよりも急峻な分、より速やかに潤滑油を流れ落とすことができる。ここで、図7に示すように、第2の保油溝214dの下端部(具体的には、保油溝214cの下端部2142と一致する部位)を隣合う掃気ポート214aの間に配置することで、第2の保油溝114dが流れ落とした潤滑油の、掃気ポート214aからの流出を抑制することができる。
1 エンジン(舶用内燃機関)
13 シリンダジャケット
14,114,214 シリンダライナ
14a,114a,214a 掃気ポート
14b,114b,214b 内壁部
14c,114c,214c 保油溝
141,1141,2141 保油溝の上端部
142,1142,2142 保油溝の下端部
14d,214d 第2の保油溝
21 ピストン
D1 回転方向

Claims (9)

  1. ピストンの往復移動に伴ってシリンダジャケットから空気を吸い込むように構成された円筒状のシリンダライナであって、
    周方向に沿って並んだ状態で配置される複数の掃気ポートと、
    前記複数の掃気ポートに対して上方の内壁部に設けられ、前記複数の掃気ポートの各々と対応するように、周方向に沿って並んだ状態で配置される複数の保油溝と、を備え、
    前記複数の掃気ポートは、それぞれ、前記ピストンの中心軸に垂直な横断面で見た場合に、前記シリンダジャケットから吸い込んだ空気を、周方向におけるいずれか一方向である所定の回転方向に渦を巻くように流動させ、
    前記複数の保油溝は、隣合う保油溝同士が互いに分断された状態で設けられるとともに、それぞれ、前記渦の流動に沿って直線状に延びるよう、前記中心軸に沿って上方に向かうにつれて前記回転方向に延びる
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  2. ピストンの往復移動に伴ってシリンダジャケットから空気を吸い込むように構成された円筒状のシリンダライナであって、
    周方向に沿って並んだ状態で配置される複数の掃気ポートと、
    前記複数の掃気ポートに対して上方に設けられ、前記複数の掃気ポートの各々と対応するように、周方向に沿って並んだ状態で配置される複数の保油溝と、を備え、
    前記複数の掃気ポートは、それぞれ、前記ピストンの中心軸に垂直な横断面で見た場合に、前記シリンダジャケットから吸い込んだ空気を、周方向におけるいずれか一方向である所定の回転方向に渦を巻くように流動させ、
    前記複数の保油溝は、それぞれ、前記渦の流動に沿って直線状に延びるよう、前記中心軸に沿って上方に向かうにつれて前記回転方向に延び、
    前記複数の保油溝のうち隣合う保油溝同士を接続するように、前記中心軸に沿って上方に向かうにつれて前記回転方向または該回転方向の反対方向に延びる複数の第2の保油溝をさらに備え、
    前記中心軸に対して前記第2の保油溝が成す傾斜は、前記保油溝が成す傾斜に比して急峻である
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  3. 請求項1または2に記載されたシリンダライナにおいて、
    前記複数の保油溝の各下端部は、周方向において、前記複数の掃気ポートのうち、隣合う掃気ポートの間に配置される
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  4. 請求項3に記載されたシリンダライナにおいて、
    前記複数の保油溝の各下端部は、周方向において、前記隣合う掃気ポートの中間位置に配置される
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載されたシリンダライナにおいて、
    前記複数の保油溝の各上端部は、周方向において、前記隣合う掃気ポートの間に配置される
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載されたシリンダライナにおいて、
    前記隣合う保油溝のうち前記回転方向における上流側に位置する保油溝の上端部と、前記回転方向における下流側に位置する保油溝の下端部とは、軸方向に沿って並ぶように配置される
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載されたシリンダライナにおいて、
    前記複数の保油溝それぞれの軸方向における寸法は、該保油溝の周方向における寸法に比して長い
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載されたシリンダライナにおいて、
    前記複数の保油溝は、それぞれ、前記中心軸に対する傾斜方向に沿った縦断面で見た場合、少なくとも前記傾斜方向における上半部の深さが、上方に向かうに従って徐々に浅くなる
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載されたシリンダライナを備える
    ことを特徴とする舶用内燃機関。
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