JP2022068939A - テトラカルボン酸二無水物の製造方法 - Google Patents

テトラカルボン酸二無水物の製造方法 Download PDF

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Masahiko Nishihara
啓太 小嶋
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Abstract

【課題】エステル基を含有するテトラカルボン酸二無水物の反応選択率が向上した、高純度、高収率かつ工業的に有利な製造方法の提供。【解決手段】上記一般式(2)で表されるジオール化合物と無水トリメリット酸ハライドを、比誘電率25以上のラクトン類の存在下において反応させることを特徴とする、上記一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステルイミド樹脂等の耐熱樹脂の原料、エポキシ樹脂等の耐熱性硬化剤、或いは樹脂改質剤として有用な、テトラカルボン酸二無水物の製造方法に関する。
ポリイミドは優れた耐熱性のみならず、耐薬品性、耐放射線性、電気絶縁性、優れた機械的性質などの特性を併せ持つことから、FPC用基板、TAB用基材、半導体素子の保護膜、集積回路の層間絶縁膜等、様々な電子デバイスに広く利用されている。ポリイミドはこれらの特性以外にも、製造方法の簡便さ、極めて高い膜純度、入手可能な種々のモノマーを用いた物性改良のしやすさといったことから、近年益々その重要性が高まっている。
中でも、高いガラス転移温度、高透明性、極めて低い吸水率、低誘電性、高い有機溶媒溶解性、及び高エッチング特性等の特性を有するポリエステルイミドの原料として、エステル基を有するテトラカルボン酸二無水物が用いられている。
エステル基を有するテトラカルボン酸二無水物の製造方法としては種々知られているが、その中でも、原料である無水トリメリット酸のハライド類が容易に入手可能なことから、ジオール化合物と無水トリメリット酸ハライドとを反応させる方法が種々検討されてきた。例えば、反応溶媒に、誘電率4以上のエーテル系溶媒を使用する方法(特許文献1)や、アセトニトリルを使用する方法(特許文献2)、ニトリル類と芳香族炭化水素を使用する方法(特許文献3)が知られている。
特開平04-029986号公報 特開2011-006330号公報 特開2017-203005号公報
ポリイミドの上記用途においてはますます高い特性が求められており、ポリイミドの原料モノマーにも、より高い品質が求められているところ、上述したこれら公知のエステル基を有するテトラカルボン酸二無水物の製造方法は、より経済的に効率よく、高純度に製造できると記されているが、後段の比較例において具体的に示すように、目的化合物であるテトラカルボン酸二無水物の純度は十分には高くなく、他に、不純物オリゴマーが多量に副生する問題が判明した。
本発明は、このような事情を背景としてなされたものであって、エステル基を有するテトラカルボン酸二無水物の反応選択率が向上した、高純度、高収率かつ工業的に有利な製造方法の提供を課題とする。
本発明者は、上述の課題解決のために鋭意検討した結果、特定の溶媒の存在下において、ジオール化合物と無水トリメリット酸ハライドを反応させることにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
本発明は以下の通りである。
1.下記一般式(2)で表されるジオール化合物と無水トリメリット酸ハライドを、比誘電率25以上のラクトン類の存在下において反応させることを特徴とする、下記一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物の製造方法。
Figure 2022068939000001
(式中、Rは各々独立して炭素原子数1~6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素原子数5~6の環状アルキル基またはフェニル基を示し、Yは酸素原子、硫黄原子、スルホニル基、カルボニル基、炭素原子数1~15のアルキリデン基、炭素原子数2~15のフッ素含有アルキリデン基、炭素原子数5~15のシクロアルキリデン基、フェニルメチリデン基、フェニルエチリデン基またはフルオレニリデン基を示し、Zは、酸素原子、硫黄原子または無架橋であることを示し、Arは炭素原子数6~8のアリール基を示し、nは各々独立して0~4の整数を示す。)
Figure 2022068939000002
(式中、R、Y、Z、Ar、nは一般式(2)の定義と同じ意味を示す。)
本発明によれば、上記一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物の反応選択率が向上し、不純物オリゴマーの生成が抑制され、反応が速やかである、高純度、高収率かつ工業的有利な製造方法を提供することが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<出発原料:一般式(2)で表されるジオール化合物について>
本発明の製造方法において使用する出発原料の1つが、下記一般式(2)で表されるジオール化合物である。
Figure 2022068939000003
(式中、Rは各々独立して炭素原子数1~6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素原子数5~6の環状アルキル基またはフェニル基を示し、Yは酸素原子、硫黄原子、スルホニル基、カルボニル基、炭素原子数1~15のアルキリデン基、炭素原子数2~15のフッ素含有アルキリデン基、炭素原子数5~15のシクロアルキリデン基、フェニルメチリデン基、フェニルエチリデン基、またはフルオレニリデン基を示し、Zは、酸素原子、硫黄原子または無架橋であることを示し、Arは炭素原子数6~8のアリール基を示し、nは各々独立して0~4の整数を示す。)
一般式(2)中のRは、各々独立して炭素原子数1~4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基またはフェニル基が好ましく、炭素原子数1~4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1のアルキル基すなわちメチル基が特に好ましい。
一般式(2)中のnは、各々独立して0~2の整数が好ましく、0または1が特に好ましい。
一般式(2)中のYは、炭素原子数1~15のアルキリデン基、炭素原子数2~15のフッ素含有アルキリデン基、炭素原子数5~15のシクロアルキリデン基、フェニルメチリデン基、フェニルエチリデン基またはフルオレニリデン基が好ましく、炭素原子数1~10のアルキリデン基、炭素原子数2~10のフッ素含有アルキリデン基、炭素原子数5~12のシクロアルキリデン基、フェニルメチリデン基、フェニルエチリデン基、またはフルオレニリデン基がより好ましく、炭素原子数3のフッ素含有アルキリデン基すなわちフッ素含有プロピリデン基、炭素原子数6~12のシクロアルキリデン基、フルオレニリデン基が更に好ましく、炭素原子数6~12のシクロアルキリデン基が特に好ましい。
前記、フッ素含有アルキリデン基は、アルキリデン基の水素原子の一部またはすべてがフッ素原子に置換されている基であり、すべてフッ素原子に置換されていることが好ましい。すなわち、特に好ましい態様である、フッ素含有プロピリデン基の中でも、パーフルオロプロピリデン基が好ましく、パーフルオロ-2,2’-プロピリデン基がより好ましい。
前記、炭素原子数5~15のシクロアルキリデン基は、分岐鎖としてのアルキル基を含んでいてもよい。シクロアルキリデン基としては、具体的には、例えば、シクロペンチリデン基(炭素原子数5)、シクロヘキシリデン基(炭素原子数6)、3-メチルシクロヘキシリデン基(炭素原子数7)、4-メチルシクロヘキシリデン基(炭素原子数7)、3,3,5-トリメチルシクロヘキシリデン基(炭素原子数9)、シクロヘプチリデン基(炭素原子数7)、シクロドデカニリデン基(炭素原子数12)等が挙げられる。
一般式(2)中のZは、酸素原子または無架橋であることが好ましく、無架橋であることが特に好ましい。
一般式(2)中のArは、炭素原子数6のアリール基すなわちフェニル基であることが好ましい。
一般式(2)で表されるジオール化合物は、具体的には、例えば、下記式(2-1)から(2-20)で表される化合物が挙げられる。なお、下記(2-1)~(2-19)で表される化合物は、一般式(2)で表されるジオール化合物におけるZが無架橋である具体例であり、下記(2-20)で表される化合物は、一般式(2)で表されるジオール化合物におけるZが酸素原子である具体例である。
Figure 2022068939000004


Figure 2022068939000005
<出発原料:無水トリメリット酸ハライドについて>
本発明の製造方法において使用する出発原料の1つが、無水トリメリット酸ハライドである。
本発明で使用する無水トリメリット酸ハライドとしては、無水トリメリット酸クロライド、無水トリメリット酸ブロマイド、無水トリメリット酸ヨーダイド、無水トリメリット酸フルオライドが挙げられ、これら無水トリメリット酸ハライドの中でも、安価であり、かつ入手性が良いことから、無水トリメリット酸クロライドが好適に用いられる。無水トリメリット酸ハライドの使用量は、一般式(2)で表されるジオール化合物1モルに対して、通常2~3モル使用し、好ましくは2.1~2.5モル使用する。
<反応溶媒について>
本発明の製造方法は、比誘電率25以上のラクトン類の存在下において反応を行うことを特徴とするものである。比誘電率が30以上のラクトン類が好ましく、比誘電率が35以上のラクトン類がより好ましい。また、その上限値は55以下が好ましく、50以下がより好ましい。
比誘電率25以上のラクトン類として具体的には、例えば、γ-ブチロラクトン(比誘電率:42)、γ-バレロラクトン(比誘電率:34)などが挙げられる。
本発明における反応溶媒は、本発明の効果を損なわない限り、比誘電率25以上のラクトン類以外の有機溶媒を併用してもよい。そのような有機溶媒として例えば、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、アセトン、クロロホルム、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、ジメチルスルホキシド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,2-ジメトキシエタン-ビス(2-メトキシエチル)エーテル、アセトニトリル等が挙げられる。
本発明における反応溶媒の使用量は、上記一般式(2)で表されるジオール化合物の重量に対して4~30倍の範囲であり、4~12倍がより好ましい。反応溶媒は、反応途中で追加しても良い。
<塩基について>
本発明の製造方法は、上記一般式(2)で表されるジオール化合物と無水トリメリット酸ハライドの反応により、塩化水素が発生するため、これを捕捉する塩基を使用する。このような塩基としては、特に限定されないが、ピリジン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルアニリン等の有機3級アミン類、プロピレンオキサイド等のエポキシ類、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基等を使用することが可能である。中でも、反応後の分離操作、コスト、有害性等の観点からピリジンが好適に用いられる。
<目的化合物:一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物について>
本発明の製造方法において目的化合物は、下記一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物である。
Figure 2022068939000006
(式中、Rは各々独立して炭素原子数1~6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素原子数5~6の環状アルキル基またはフェニル基を示し、Yは酸素原子、硫黄原子、スルホニル基、カルボニル基、炭素原子数1~15のアルキリデン基、炭素原子数2~15のフッ素含有アルキリデン基、炭素原子数5~15のシクロアルキリデン基、フェニルメチリデン基、フェニルエチリデン基またはフルオレニリデン基を示し、Zは、酸素原子、硫黄原子または無架橋であることを示し、Arは炭素原子数6~8のアリール基を示し、nは各々独立して0~4の整数を示す。)
一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物としては、具体的には、例えば、下記式(1-1)から(1-20)で表される化合物が挙げられる。なお、下記(1-1)~(1-19)で表される化合物は、一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物におけるZが無架橋である具体例であり、下記(1-20)で表される化合物は、一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物におけるZが酸素原子である具体例である。
Figure 2022068939000007
<不純物オリゴマーについて>
本発明の製造方法における反応で副生する不純物として、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)の分析結果において、目的化合物である一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物より分子量が大きい不純物があるが、これは原料や生成物が多量化したオリゴマーであると推察している。
<反応条件について>
比誘電率25以上のラクトン類に溶解した無水トリメリット酸クロリドに、一般式(2)で表されるジオール化合物の比誘電率25以上のラクトン類溶液を混合することで反応を開始させる。このとき、ピリジンなどの塩基は、混合する溶液である一般式(2)で表されるジオール化合物側の溶液に含有させる。なお、上記の混合方法とは反対に、一般式(2)で表されるジオール化合物の溶液中に、無水トリメリット酸クロリド溶液を混合すると、上記混合方法よりも副生成物が生成しやすい。したがって、前者の混合方法が好ましい。
反応に使用する出発原料と塩基のモル比は、一般式(2)で表されるジオール化合物/無水トリメリット酸クロリド/塩基が、1.0/2.1~2.5/3.0~5.0の範囲内であることが好ましい。
上記各溶液の混合は、低温下で行う。反応系内の温度は、-10~10℃の範囲が好ましく、-5~7℃の範囲がより好ましく、0~5℃の範囲が特に好ましい。混合にかける時間に制約はないが、2~4時間が好ましい。
混合終了直後からの撹拌(以後、「後撹拌1」ということがある。)は、引き続き低温下で行い、反応系内の温度が-10~10℃の範囲で行うことが好ましく、-5~7℃の範囲で行うことがより好ましく、0~5℃の範囲で行うことが特に好ましい。「後撹拌1」は、このような温度範囲において、概ね5時間以内行うことが好ましく、中でも2~3時間がより好ましい。
「後撹拌1」の後、反応を促進するために、さらに「後撹拌1」より高い温度において撹拌(以後、「後撹拌2」ということがある。)を継続して、反応を完結させることができる。「後撹拌2」は、反応系内の温度が20~75℃の範囲で行うことが好ましく、20~70℃の範囲で行うことがより好ましく、25~65℃の範囲で行うことが特に好ましい。「後撹拌2」は、このような温度範囲において、概ね5時間以内行うことが好ましく、中でも2~3時間がより好ましい。
反応終了後、目的化合物を単離する方法として、従来公知の方法を用いることができ、例えば、反応終了後、液中に存在する、冷却後析出する若しくは目的化合物の溶解度が小さい溶媒を反応液に添加することにより析出する沈殿を濾別し、水や有機溶媒等を用いて沈殿物を洗浄する方法が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、以下の例における反応選択率は、次の方法により分析した。
<分析方法>
1.ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
装置 :東ソー社製 高速GPC装置 HLC-8320GPC
カラム :TSKgel guardcolum HXL-L 1本、
TSKgel G2000HXL 2本、
TSKgel G3000HXL 1本、
TSKgel G4000HXL 1本
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流速 :ポンプ Sam.1.0ml/min、Ref.Sam.の1/3
カラム温度:40℃一定
検出器 :示差屈折計(RI)
分析試料濃度:30mg/50mL(テトラヒドロフラン)
注入量 :100μL
<反応選択率>
(1)目的化合物の反応選択率
反応選択率=目的化合物(一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物)の面積%/(100-(一般式(2)で表されるジオール化合物の面積%+(無水)トリメリット酸ハライドの面積%+(無水)トリメリット酸の面積%))×100
(2)不純物オリゴマーの反応選択率
反応選択率=不純物オリゴマーの面積%/(100-(一般式(2)で表されるジオール化合物の面積%+(無水)トリメリット酸ハライドの面積%+(無水)トリメリット酸の面積%))×100
<実施例1>
Figure 2022068939000008
温度計、撹拌機、冷却管を備えた4つ口フラスコに、無水トリメリット酸クロライド48.4g(0.23mol)、γ-ブチロラクトン(比誘電率:42)143.0gを仕込み、撹拌溶解しながら容器を窒素置換し、5℃以下に冷却した。その後、上記反応式中のジオール化合物(2-11)31.0g(0.10mol)、γ-ブチロラクトン182.2g、ピリジン39.6g(0.50mol)を溶解した調製液を、フラスコ内にフラスコ内の温度5℃以下を保持しながら2時間かけて一定の速度で滴下した。滴下終了後、5℃以下で2時間撹拌を行った(後撹拌1)。この時の反応液をGPCで分析した結果、上記反応式中の目的化合物(1-11)は98.3%(GPC RI 面積%反応選択率:以下同様)、不純物オリゴマーは1.7%であった。
その後、65℃に昇温し3時間撹拌した(後撹拌2)。昇温後1時間経過時及び3時間経過時の反応液をGPCで分析した結果、共に、上記反応式中の目的化合物(1-11)は98.3%、不純物オリゴマーは1.7%であった。
<実施例2>
溶媒を、γ-ブチロラクトン(比誘電率:42)とアセトニトリル(比誘電率:37.5)重量比1対1の混合溶媒に変更した以外は、実施例1と同様の操作で反応を行った。
後撹拌1終了時の反応液をGPCで分析した結果、上記反応式中の目的化合物(1-11)は92.5%、不純物オリゴマーは4.2%であった。
その後、65℃に昇温し2時間撹拌し(後攪拌2)、反応終了液をGPCで分析した結果、上記反応式中の目的化合物(1-11)は、98.0%、不純物オリゴマーは、2.0%であった。
<比較例1>
溶媒をテトラヒドロフラン(比誘電率:7.6)に変更した以外は、実施例1と同様の操作で反応を行った。
後撹拌1終了時の反応液をGPCで分析した結果、上記反応式中の目的化合物(1-11)は90.0%、不純物オリゴマーは4.7%であった。
その後、65℃に昇温し2時間撹拌し(後攪拌2)、反応終了液をGPCで分析した結果、上記反応式中の目的化合物(1-11)は、94.3%、不純物オリゴマーは、5.7%であった。
<比較例2>
溶媒をアセトニトリル(比誘電率:37.5)に変更した以外は、実施例1と同様の操作で反応を行った。
後撹拌1終了時の反応液をGPCで分析した結果、上記反応式中の目的化合物(1-11)は85.1%、不純物オリゴマーは9.9%であった。
さらに、後撹拌2を行った後の反応終了液をGPCで分析した結果、上記反応式中の目的化合物(1-11)は、93.3%、不純物オリゴマーは、5.9%であった。
<比較例3>
溶媒をアセトニトリル(比誘電率:37.5)とトルエン(比誘電率:2.4)重量比1対1の混合溶媒に変更した以外は、実施例1と同様の操作で反応を行った。
後撹拌1終了時の反応液をGPCで分析した結果、上記反応式中の目的化合物(1-11)は90.8%、不純物オリゴマーは6.0%であった。
その後、65℃に昇温し2時間撹拌し(後撹拌2)、反応終了液をGPCで分析した結果、上記反応式中の目的化合物(1-11)は、95.2%、不純物オリゴマーは、4.8%であった。
<反応選択性に関する考察>
上記実施例1~2、比較例1~3の結果より、比誘電率25以上のラクトン類の存在下において反応を行う本発明の製造方法は、一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物の反応選択率が高く、不純物オリゴマーの生成が抑制されるなど、工業的に有利な製造方法であることが確認された。
これに対して、比誘電率25以上のラクトン類の不存在下に反応を行うと、反応速度が遅く、しかも不純物オリゴマーの生成が抑制されず、反応選択率が低いため、工業的な製造方法としては劣ることが明らかとなった。
<実施例3>
Figure 2022068939000009
温度計、撹拌機、冷却管を備えた4つ口フラスコに、無水トリメリット酸クロライド48.4g(0.23mol)、γ-ブチロラクトン(比誘電率:42)とアセトニトリル(比誘電率:37.5)重量比1対1の混合溶媒174.6gを仕込み、撹拌溶解しながら容器を窒素置換し、5℃以下に冷却した。その後、上記反応式中のジオール化合物(2-18)37.8g(0.10mol)、γ-ブチロラクトンとアセトニトリル重量比1対1の混合溶媒222.3g、ピリジン39.6g(0.50mol)を溶解した調製液を、フラスコ内にフラスコ内の温度5℃以下を保持しながら2時間かけて一定の速度で滴下した。滴下終了後、5℃以下で2時間撹拌を行った(後撹拌1)。この時の反応液をGPCで分析した結果、上記反応式中の目的化合物(1-18)は96.7%、不純物オリゴマーは3.0%であった。
その後、65℃に昇温し2時間撹拌した(後撹拌2)。反応終了液をGPCで分析した結果、上記反応式中の目的化合物(1-18)は96.8%、不純物オリゴマーは3.2%であった。
<比較例4>
溶媒をアセトニトリル(比誘電率:37.5)とトルエン(比誘電率:2.4)重量比1対1の混合溶媒に変更した以外は、実施例3と同じ様に反応を行った。
後撹拌1終了時の反応液をGPCで分析した結果、上記反応式中の目的化合物(1-18)は94.5%、不純物オリゴマーは3.9%であった。
さらに、後撹拌2を行った後の反応終了液をGPCで分析した結果、上記反応式中の目的化合物(1-18)は95.5%、不純物オリゴマーは3.7%であった。
<反応選択性に関する考察>
上記実施例3、比較例4の結果より、比誘電率25以上のラクトン類存在下において反応を行う、本発明の製造方法は、一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物の反応選択率は1.3%程度高く、不純物オリゴマーの生成は0.5%程度抑制されることが確認された。
ここで、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応において、不純物であるカルボン酸が混入したテトラカルボン酸二無水物では、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸の重合度が低く、耐熱性や機械強度に優れたポリイミドフィルムが得られないことから、原料である酸二無水物の化学純度が大きく影響する。特に、低純度の酸二無水物が含有する不純物は、重合にバラつきを与える原因となるため、化学純度の高いテトラカルボン酸二無水物を得ることは、安定的に良質かつ高品質なポリマーを得るためには重要事項であることは公知(例えば、特開2008-163087号公報、特開2013-028578号公報等)である。
すなわち、先端的な電子材料としての使用において、これらの樹脂特性の制御が極めて繊細に求められるなか、使用する原料の化学純度により、得られるポリイミド樹脂の耐熱性や機械強度等の樹脂特性が大きく変化することは技術常識である。
そうすると、上記実施例3は、比較例4に比べて目的とするテトラカルボン酸二無水物の生成は1.3%程度向上し、不純物オリゴマーの生成は0.5%程度低減されるものであり、これらの差は、先端的な電子材料として使用するポリエステルイミド樹脂の樹脂特性に大きく寄与するものといえる。
したがって、上記実施例3は、比較例4に比べて、工業的な製造方法として非常に良好な効果を発揮することが確認された。
<実施例4>
Figure 2022068939000010
温度計、撹拌機、冷却管を備えた4つ口フラスコに、無水トリメリット酸クロライド(b)48.4g(0.23mol)、γ-ブチロラクトン(比誘電率:42)155.2gを仕込み、撹拌溶解しながら容器を窒素置換し、5℃以下に冷却した。その後、上記反応式中のジオール化合物(2-2)33.6g(0.10mol)、γ-ブチロラクトン197.6g、ピリジン39.6g(0.50mol)を溶解した調製液を、フラスコ内にフラスコ内の温度5℃以下を保持しながら2時間かけて一定の速度で滴下した。滴下終了後、5℃以下で2時間撹拌を行った(後撹拌1)。この時の反応液をGPCで分析した結果、上記反応式中の目的化合物(1-2)は96.5%、不純物オリゴマーは3.0%であった。
その後、65℃に昇温し2時間撹拌した(後撹拌2)。反応終了液をGPCで分析した結果、上記反応式中の目的化合物(1-2)は96.6%、不純物オリゴマーは3.0%であった。
<比較例5>
溶媒をアセトニトリル(比誘電率:37.5)とトルエン(比誘電率:2.4)重量比1対1の混合溶媒に変更した以外は、実施例4と同じ様に反応を行った。
後撹拌1終了時の反応液をGPCで分析した結果、上記反応式中の目的化合物(1-2)は95.5%、不純物オリゴマーは3.9%であった。
さらに、後撹拌2を行った後の反応終了液をGPCで分析した結果、上記反応式中の目的化合物(1-2)は、96.0%、不純物オリゴマーは、3.5%であった。
<反応選択性に関する考察>
上記実施例4、比較例5の結果より、比誘電率25以上のラクトン類存在下において反応を行う本発明の製造方法は、一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物の反応選択率は0.6%程度高く、不純物オリゴマーの生成は0.5%程度抑制されることが確認された。
上述のとおり、先端的な電子材料としての使用において、これらの樹脂特性の制御が極めて繊細に求められるなか、使用する原料の化学純度より、得られるポリエステルイミド樹脂の耐熱性や機械強度等の樹脂特性が大きく変化することは技術常識である。
そうすると、上記実施例4は、比較例5に比べて目的とするテトラカルボン酸二無水物の生成は0.6%程度向上し、不純物オリゴマーの生成は0.5%程度低減されるものであり、これらの差は、先端的な電子材料として使用するポリエステルイミド樹脂の樹脂特性に大きく寄与するものである。
したがって、上記実施例4は、比較例5に比べて、工業的な製造方法として非常に良好な効果を発揮することが確認された。

Claims (1)

  1. 下記一般式(2)で表されるジオール化合物と無水トリメリット酸ハライドを、比誘電率25以上のラクトン類の存在下において反応させることを特徴とする、下記一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物の製造方法。
    Figure 2022068939000011
    (式中、Rは各々独立して炭素原子数1~6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素原子数5~6の環状アルキル基またはフェニル基を示し、Yは酸素原子、硫黄原子、スルホニル基、カルボニル基、炭素原子数1~15のアルキリデン基、炭素原子数2~15のフッ素含有アルキリデン基、炭素原子数5~15のシクロアルキリデン基、フェニルメチリデン基、フェニルエチリデン基、またはフルオレニリデン基を示し、Zは、酸素原子、硫黄原子または無架橋であることを示し、Arは炭素原子数6~8のアリール基を示し、nは各々独立して0~4の整数を示す。)
    Figure 2022068939000012
    (式中、R、Y、Z、Ar、nは一般式(2)の定義と同じ意味を示す。)

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