JP2022067622A - オレフィン系樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】化石燃料由来のものと同等の性能を有し、かつ、特定量バイオマス化された環境負荷の低いオレフィン系樹脂組成物及びその成形品を提供すること【解決手段】少なくとも1種以上のバイオマス由来のエチレンを含むモノマーを重合してなるバイオマス由来のエチレン系重合体を含むエチレン系重合体混合物(a)と、プロピレン系重合体(b)と、を含む、オレフィン系樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、少なくとも1種類以上のバイオマス由来のエチレンを含むモノマーを重合してなるバイオマス由来のエチレン系重合体を含むエチレン系重合体混合物と、プロピレン系重合体と、を含むオレフィン系樹脂組成物に関する。
近年、循環型社会構築の要望の高まりと共に従来の石油化学分野においてもバイオマス由来の樹脂の開発のニーズは高まりつつある。
一般にバイオマス由来の樹脂原料に使われる植物などの再生可能資源は、化石燃料とは異なり、大気中の二酸化炭素を光合成により吸収、蓄積したものであるため、使用後にサーマルリサイクルを目的として燃焼しても地球温暖化の原因である二酸化炭素濃度の著しい上昇には起因しないことが知られている。また、再生可能資源として植物を荒廃した牧草地で栽培した場合、土壌の回復に寄与することも知られており、サトウキビなどの非可食部である残差部分をエネルギー利用することで、製造プロセスで消費されるエネルギーの多くは再生可能なエネルギーとなっている。このようにバイオマス由来の樹脂は人間の快適な生活に必要な自然環境を維持しながら、有用な素材を市場に供給できることから、今後より一層の普及が期待されている。
ここで、汎用プラスチックとして代表されるポリプロピレン、ポリエチレンを含むポリオレフィンは、国内での消費量が合成樹脂全体のうち、約50%にも相当し、環境に与える影響が大きい樹脂といえる。そのため、化石燃料由来のポリオレフィンを如何にバイオマス由来のポリオレフィンに切替えるかが循環型社会の構築に対して強い影響を持っていると言える。
これまでに、植物性資源等から製造されるバイオマス由来のポリオレフィンを用いた樹脂製品開発が行われてきた(例えば、特許文献1、2を参照)。
特開2016-27171号公報 特開2018-70174号公報
上記事情に鑑み、本発明は、化石燃料由来のものと同等の性能を有し、かつ、特定量バイオマス化された環境負荷の低いオレフィン系樹脂組成物及びその成形品を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、少なくとも1種類以上のバイオマス由来のエチレンを含むモノマーを重合してなるバイオマス由来のエチレン系重合体を含む特定のエチレン系重合体混合物(a)と、特定のプロピレン系重合体(b)と、を含む特定のオレフィン系樹脂組成物が、従来の全てが化石燃料由来のエチレン系重合体混合物とプロピレン系重合体からなるオレフィン系樹脂組成物と比較しても同等以上の剛性、衝撃強度、透明性を発現しつつ、特定量バイオマス化された環境負荷の低いオレフィン系樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
少なくとも1種以上のバイオマス由来のエチレンを含むモノマーを重合してなるバイオマス由来のエチレン系重合体を含むエチレン系重合体混合物(a)と、プロピレン系重合体(b)と、を含む、オレフィン系樹脂組成物。
[2]
前記バイオマス由来のエチレンを含むモノマーを重合してなるバイオマス由来のエチレン系重合体が以下の要件(i)~(iii)を満たす、上記[1]記載のオレフィン系樹脂組成物。
(i)下記(1)で示されるバイオマス度が50%以上
Bio(%)=(AC14/100.5)×100 (1)
(式中、Bio(%)はバイオマス度を示し、AC14は測定サンプルのpMCを示す。)
(ii)温度230℃、荷重2.16kgでJIS K7210に準拠して測定したメルトフローレート(MFR)が0.1~100g/10分
(iii)JIS K7112に準拠して測定した密度が0.870~0.960g/cm3
[3]
前記エチレン系混合物(a)が以下の要件(iv)~(v)を満たすエチレン-α-オレフィンランダム共重合体を1種以上含む、上記[1]又は[2]記載のオレフィン系樹脂組成物。
(iv)α-オレフィンが炭素数3~20のα-オレフィン
(v)エチレン-α-オレフィンランダム共重合体中のエチレン由来の構成単位の含有量が50質量%以上
[4]
前記プロピレン系重合体(b)が以下の要件(vi)を満たす、上記[1]~[3]のいずれか記載のオレフィン系樹脂組成物。
(vi)温度230℃、荷重2.16kgでJIS K7210に準拠して測定したメルトフローレート(MFR)が、0.1~100g/10分
[5]
前記プロピレン系重合体(b)がホモポリプロピレンである、上記[1]~[4]のいずれか記載のオレフィン系樹脂組成物。
[6]
前記プロピレン系重合体(b)が下記要件(vii)~(viii)を満たすプロピレン-α-オレフィンランダム共重合体である、上記[1]~[5]のいずれか記載のオレフィン系樹脂組成物。
(vii)α-オレフィンがプロピレンを除く炭素数2~20のα-オレフィン
(viii)プロピレン-α-オレフィンランダム共重合体中に占めるα-オレフィン由来の構成単位の含有量が10質量%以下
[7]
前記エチレン系重合体混合物(a)と前記プロピレン系重合体(b)が以下の要件(ix)を満たす、上記[1]~[6]のいずれか記載のオレフィン系樹脂組成物。
(ix)エチレン系重合体混合物(a)とプロピレン系重合体(b)の配合比率が、エチレン系重合体(a)が1~99質量%、プロピレン系重合体(b)が99~1質量%(ここで、エチレン系重合体混合物(a)とプロピレン系重合体(b)の合計を100質量%とする。)
[8]
前記エチレン系混合物(a)が下記の要件(x)を満たす、上記[1]~[7]のいずれか記載のオレフィン系樹脂組成物。
(x)下記式(2)で示されるエチレン系重合体混合物(a)の平均密度が0.87~0.96g/cm3である。
Figure 2022067622000001
(式中、ρPEはエチレン系重合体混合物(a)の平均密度を示し、ρiはエチレン系重合体混合物(a)を構成している各エチレン系重合体の密度を、Miはオレフィン系樹脂組成物中に占める各エチレン系重合体の含有量を示す。なお、密度は、JIS K7112に準拠して測定した密度(g/cm3)であり、含有量は質量%で示され、各エチレン系重合体とプロピレン系重合体(b)の合計を100質量%とする。)
[9]
前記エチレン系混合物(a)が下記の要件(xi)を満たす、上記[1]~[8]のいずれか記載のオレフィン系樹脂組成物。
(xi)下記式(3)で示されるエチレン系重合体混合物(a)の平均MFRが0.1~100(g/10分)である。
Figure 2022067622000002
(式中、MFRPEはエチレン系重合体混合物(a)の平均MFRを示し、MFRiはエチレン系重合体混合物(a)を構成している各エチレン系重合体のMFRを、Miはオレフィン系樹脂組成物中に占める各エチレン系重合体の含有量を示す。なお、MFRは温度230℃、荷重2.16kgでJIS K7210に準拠して測定したMFR(g/10分)であり、含有量は質量%で示され、各エチレン系重合体とプロピレン系重合体(b)の合計を100質量%とする。)
[10]
前記エチレン系重合体混合物(a)と前記プロピレン系重合体(b)が以下の要件(xii)を満たす、上記[1]~[8]のいずれか記載のオレフィン系樹脂組成物。
(xii)下記式(4)で示されるエチレン系重合体混合物(a)とプロピレン系重合体(b)の密度比が0.95~1.07以下
Figure 2022067622000003
(式中、Δρはエチレン系重合体混合物(a)とプロピレン系重合体(b)の密度比を示す。ρPEは下記式(2)で求められる値であり、ρPPはプロピレン系重合体(b)のJIS K7112に準拠して測定した密度(g/cm3)を示す。)
Figure 2022067622000004
(式中、ρPEはエチレン系重合体混合物(a)の平均密度を示し、ρiはエチレン系重合体混合物(a)を構成している各エチレン系重合体の密度を、Miはオレフィン系樹脂組成物中に占める各エチレン系重合体の含有量を示す。なお、密度は、JIS K7112に準拠して測定した密度(g/cm3)であり、含有量は質量%で示され、各エチレン系重合体とプロピレン系重合体(b)の合計を100質量%とする。)
[11]
前記エチレン系重合体混合物(a)と前記プロピレン系重合体(b)が以下の要件(xi)を満たす、上記[1]~[10]のいずれか記載のオレフィン系樹脂組成物。
(xiii)下記式(5)で示されるエチレン系重合体混合物(a)とプロピレン系重合体(b)のMFR比が0.01~30
Figure 2022067622000005
(式中、ΔMFRはエチレン系重合体混合物(a)とプロピレン系重合体(b)のMFR比を示す。MFRPEはエチレン系重合体混合物(a)の温度230℃、荷重2.16kgでJIS K7210に準拠して測定したMFR(g/10分)、MFRPPはプロピレン系重合体(b)の温度230℃、荷重2.16kgでJIS K7210に準拠して測定したMFR(g/10分)を示す。)
[12]
上記[1]~[11]のいずれか記載のオレフィン系樹脂組成物を成形することにより得られる成形品。
[13]
射出成形、押出成形、真空成形、圧縮成形、カレンダー成形、積層成形、流動浸漬成形、吹込み成形、スラッシュ成形、回転成形、熱成形、CCM成形、キャストフィルム成形、二軸延伸フィルム成形、インフレーション成形、押出発泡成形、バッチ発泡成形、シート成形、及び繊維成形からなる群から選択される1種以上の成形方法を用いて得られる、上記[12]記載の成形品。
[14]
物品を保管するために用いられる、上記[12]又は[13]記載の成形品。
[15]
物品を保管するための容器、及び/又は、前記容器の蓋である、上記[12]~[14]のいずれか記載の成形品。
[16]
物品を保管するためのバッグである、上記[12]~[14]のいずれか記載の成形品。
本発明により、化石燃料由来のものと同等の性能を有し、かつ、特定量バイオマス化された環境負荷の低いオレフィン系樹脂組成物及びその成形品を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と略記する。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態におけるオレフィン系樹脂組成物は、少なくとも1種以上のバイオマス由来のエチレンを含むモノマーを重合してなるバイオマス由来のエチレン系重合体を含むエチレン系重合体混合物(a)と、プロピレン系重合体(b)と、を含む。
[エチレン系重合体混合物(a)]
本実施形態におけるエチレン系重合体混合物(a)は、少なくとも1種以上のバイオマス由来のエチレンを含むモノマーを重合してなるバイオマス由来のエチレン系重合体を含む。本実施形態におけるエチレン系重合体混合物(a)に含まれるバイオマス由来のエチレンを含むモノマーを重合してなるバイオマス由来のエチレン系重合体は、公知の方法で得ることのできるバイオマス由来のエチレンから重合される。以下、バイオマス由来のエチレン系重合体の製造方法の例を示す。
(1)バイオマス由来のエタノールの製造方法
バイオマス由来のエチレンは、公知技術を用いてバイオマス由来のエタノールを原料として製造することができる。バイオマス由来のエタノールは、植物性の原料から製造され、植物性の原料としては、トウモロコシやサツマイモ、ムギ、タピオカ、キャッサバなどのデンプン質原料、サトウキビやテンサイなどの糖質原料があり、これら原料中に含まれる糖分などを微生物によって発酵させて得ることのできる発酵エタノールを蒸留精製して製造される。
(2)バイオマス由来のエチレンの製造方法
バイオマス由来のエチレンは、上述のバイオマス由来のエタノールの脱水反応により得ることができる。バイオマス由来のエタノールの脱水反応は、公知技術を用いて行うことができ、例えば、アルミナやシリカアルミナなどの固体酸触媒を用い、350~400℃の高温で反応させる方法などが挙げられる。
なお、発酵によって得られたバイオマス由来のエタノール中には、発酵過程で生じたアセトアルデヒド、酢酸メチル、アセタール、1-プロパノール、2-メチル-1-プロパノール、1-ブタノールなどの含酸素化合物、硫化ジメチル、ジメチルスルホキシドなどの含硫黄化合物などの不純物が含まれていることがあり、バイオマス由来のエチレン系重合体の重合や、物性、臭気などに影響する可能性があるため、バイオマス由来のエチレン系重合体の重合前に必要に応じて公知の方法で除去してもよい。具体的には、モレキュラーシーブなどの高表面積の吸着材により精製することなどが挙げられる。
(3)バイオマス由来のエチレン系重合体の製造
バイオマス由来のエチレン系重合体はバイオマス由来のエチレンを含むモノマーを重合することで得ることができる。なお、バイオマス由来のエチレン系重合体は、バイオマス由来のエチレン以外に、石油由来のエチレン、石油由来若しくはバイオ由来のα-オレフィンを含んでもよい。
本実施形態におけるバイオマス由来のエチレン系重合体は、特に限定されないが、エチレン単独重合体、エチレンとα-オレフィンとの共重合体が挙げられる。α-オレフィンとしては、特に限定されないが、例えば、炭素数3~20のα-オレフィンを用いることができる。
α-オレフィンは、H2C=CHRで表すことができ、式中Rは、炭素数1~18の直鎖状若しくは分岐状脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、又は芳香族炭化水素基を示す。
α-オレフィンの具体例としては、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、及び1-テトラデセンが挙げられる。また、α-オレフィンの更なる具体例としては、例えば、ビニルシクロヘキサン、スチレン及びその誘導体が挙げられる。α-オレフィンは、非共役の不飽和結合を有していてもよく、例えば、1,5-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン等の非共役ポリエンを使用することもできる。
本実施形態におけるバイオマス由来のエチレン系重合体の製造方法は、特に限定されないが、触媒を用いる場合は、メタロセン触媒、チーグラー・ナッタ触媒、フィリップス触媒等の各種シングルサイト触媒やマルチサイト触媒を1種類もしくは複数組み合わせて用い、少なくともエチレン、又は、エチレンとα-オレフィンを重合することで、バイオマス由来のエチレン系重合体を得ることができる。
重合方法としては、特に限定されるものではないが、気相重合、スラリー重合、溶液重合、高圧重合などが挙げられる。重合反応は一段で行ってもよく、多段で行ってもよい。具体的には、高密度ポリエチレンを製造する方法としてはLyondellBasell社のHostalenテクノロジー(低圧スラリー法)、低密度ポリエチレンを製造する方法としてはLyondellBasell社のLupotechテクノロジー(気相法)、直鎖状低密度ポリエチレンを製造する方法としては、LyondellBasell社のSpherileneテクノロジー(チューブラー&オートクレーブ法)などが挙げられる。なお、各種プロセスにおける予備重合を化石燃料由来のエチレンで行い、本重合をバイオマス由来のエチレンで実施してもよい。
以下にバイオマス由来のエチレン系重合体についての詳細を記す。
(1)バイオマス度
バイオマス由来のエチレン系重合体のバイオマス度(%)は、ASTM D6866-06に準拠して測定して求めた値である。以下にバイオマス度の一般的な求め方について示す。
天然の放射性炭素C14は宇宙線起源であり、二酸化炭素の大気循環を通じて植物中に取り込まれる。植物性の原料を出発点とするバイオマス由来のエチレン系重合体の場合、植物性原料由来のC14を一定量含んでおり、その割合は空気中の割合と略同等なっている。放射性炭素C14の分析結果は、パーセントモダンカーボン(pMC)という数値で示され、空気中及び植物中には2018年においては測定に使用する標準試料中には100.5pMCのC14が含まれていることが分かっている。一方で、宇宙線の影響から隔絶された化石燃料では半減期5730年のC14が壊変し尽くして含有量はほぼゼロである。そのため、化石燃料由来のポリエチレンは0pMCとなる。従って、下記式(1)をもとに、サンプルのpMCを測定することで、バイオマス度を測定することができる。
Bio(%)=(AC14/100.5)×100 (1)
(式中、Bio(%)はバイオマス度であり、AC14は測定サンプルのpMCである。)
理論上、全てバイオマス由来のエチレンを用いた場合、バイオマス由来のエチレンが100%となり、測定値は100.5pMCとなり、バイオマス度は100%となる。一方で、全て化石燃料由来のエチレンを用いた場合、バイオマス由来のエチレンが0%となり、測定値は0pMCとなり、バイオマス度は0%となる。
本実施形態におけるバイオマス由来のエチレン系重合体のバイオマス度は、50%以上が好ましく、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上、さらにより好ましくは75%以上、よりさらに好ましくは80%以上、特に好ましくは84%以上である。バイオマス度が高いほど、環境への負荷が低くなり、本発明における効果がより顕著となる。
(2)MFR
本実施形態におけるバイオマス由来のエチレン系重合体は、特に限定されるものではないが、温度230℃、荷重2.16kgでJIS K7210に準拠して測定したメルトフローレート(MFR)が、0.1~100g/10分であることが好ましく、より好ましくは0.2~60g/10分であり、さらに好ましくは0.3~50g/10分であり、さらにより好ましくは0.4~40g/10分であり、特に好ましくは0.5~35g/10分である。MFRが上記範囲にあると、プロピレン系重合体(b)との相溶性や、樹脂組成物の剛性、衝撃強度、透明性が良好となり、かつ、成形温度に由来する高生産速度に適した樹脂組成物が得られる傾向にある。一方で、MFRが0.1g/10分未満であると、樹脂組成物の成形が困難になる傾向にあり、100g/10分を超えると、樹脂組成物として良好な衝撃強度が得られなくなる傾向にある。
(3)密度
本実施形態におけるバイオマス由来のエチレン系重合体は、特に限定されるものではないが、JIS K7112に準拠して測定した密度が0.870~0.960g/cm3であることが好ましく、より好ましくは0.875~0.950g/cm3であり、さらに好ましくは0.880~0.940であり、さらにより好ましくは0.885~0.930であり、よりさらに好ましくは0.888~0.925であり、特に好ましくは0.890~0.920である。密度が0.870g/cm3以上であると、容器としての剛性を保持することが可能となる傾向にあり、密度が0.960g/cm3以下であると、容器としての透明性を保持することが可能となる傾向にある。
(4)エチレン-α-オレフィンランダム共重合体中のエチレン由来の構成単位の含有量
バイオマス由来のエチレン系重合体として、エチレン-α-オレフィンランダム共重合体を用いる場合、エチレン-α-オレフィンランダム共重合体中のエチレン由来の構成単位の含有量は、特に限定されるものではないが、好ましくは50質量%以上、より好ましくは65~99質量%、さらに好ましくは68~98質量%、さらにより好ましくは70~97質量%、よりさらに好ましくは73~96質量%、特に好ましくは75~95質量%である。エチレン-α-オレフィンランダム共重合体中のエチレン由来の構成単位の含有量が上記範囲であると、衝撃強度が良好となり、さらに、プロピレン系重合体(b)とブレンドした際の透明性が良好となる傾向にある。
α-オレフィンの具体例としては、特に限定されないが、例えば、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、及び1-テトラデセンが挙げられる。ここで、エチレン由来の構成単位の含有量は、13C-NMR(核磁気共鳴法)を用いて測定される値である。具体的には、オルトジクロロベンゼンを溶媒として用い、日本電子社製FT-NMRの400MHzの装置により測定される値である。
本実施形態におけるエチレン系重合体混合物(a)は、少なくとも1種以上のバイオマス由来のエチレンを含むモノマーを重合してなるバイオマス由来のエチレン系重合体を含むが、化石燃料由来のエチレンを含むモノマーを重合してなる化石燃料由来のエチレン系重合体を含んでもよい。エチレン系重合体混合物(a)は、エチレン系重合体2種以上からなるエチレン系重合体の混合物である。
化石燃料由来のエチレン系重合体は、特に限定されないが、エチレン単独重合体、エチレンとα-オレフィンとの共重合体が挙げられる。α-オレフィンとしては、特に限定されないが、例えば、炭素数3~20のα-オレフィンを用いることができる。
α-オレフィンは、H2C=CHRで表すことができ、式中Rは、炭素数1~18の直鎖状若しくは分岐状脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、又は芳香族炭化水素基を示す。
α-オレフィンの具体例としては、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、及び1-テトラデセンが挙げられる。また、α-オレフィンの更なる具体例としては、例えば、ビニルシクロヘキサン、スチレン及びその誘導体が挙げられる。α-オレフィンは、非共役の不飽和結合を有していてもよく、例えば、1,5-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン等の非共役ポリエンを使用することもできる。
化石燃料由来のエチレン系重合体の製造方法は、特に限定されないが、触媒を用いる場合は、メタロセン触媒、チーグラー・ナッタ触媒、フィリップス触媒等の各種シングルサイト触媒やマルチサイト触媒を1種類もしくは複数組み合わせて用い、少なくともエチレン、又は、エチレンとα-オレフィンを重合することで、化石燃料由来のエチレン系重合体を得ることができる。
エチレン系重合体の重合方法としては、特に限定されるものではないが、気相重合、スラリー重合、溶液重合、高圧重合などが挙げられる。重合反応は一段で行ってもよく、多段で行ってもよい。
以下に化石燃料由来のエチレン系重合体についての詳細を記す。
(1)MFR
本実施形態における化石燃料由来エチレン系重合体は、特に限定されるものではないが、温度230℃、荷重2.16kgでJIS K7210に準拠して測定したメルトフローレート(MFR)が、0.1~100g/10分であることが好ましく、より好ましくは0.2~60g/10分であり、さらに好ましくは0.3~50g/10分であり、さらにより好ましくは0.4~40g/10分であり、特に好ましくは0.5~35g/10分である。MFRが上記範囲にあると、プロピレン系重合体(b)との相溶性や、樹脂組成物の剛性、衝撃強度、透明性が良好となり、かつ、成形温度に由来する高生産速度に適した樹脂組成物が得られる傾向にある。一方で、MFRが0.1g/10分未満であると、樹脂組成物の成形が困難になる傾向にあり、100g/10分を超えると、樹脂組成物として良好な衝撃強度が得られなくなる傾向にある。
(2)密度
本実施形態における化石燃料由来のエチレン系重合体は、特に限定されるものではないが、JIS K7112に準拠して測定した密度が0.870~0.960g/cm3であることが好ましく、より好ましくは0.872~0.950g/cm3であり、さらに好ましくは0.874~0.940であり、さらにより好ましくは0.876~0.930であり、よりさらに好ましくは0.878~0.925であり、特に好ましくは0.880~0.920である。密度が0.870g/cm3以上であると、容器としての剛性を保持することが可能となる傾向にあり、密度が0.960g/cm3以下であると、容器としての透明性を保持することが可能となる傾向にある。
(3)エチレン-α-オレフィンランダム共重合体中のエチレン由来の構成単位の含有量
化石燃料由来のエチレン系重合体として、エチレン-α-オレフィンランダム共重合体を用いる場合、エチレン-α-オレフィンランダム共重合体中のエチレン由来の構成単位の含有量は、特に限定されるものではないが、好ましくは50質量%以上、より好ましくは65~99質量%、さらに好ましくは68~98質量%、さらにより好ましくは70~97質量%、よりさらに好ましくは73~96質量%、特に好ましくは75~95質量%である。エチレン-α-オレフィンランダム共重合体中のエチレン由来の構成単位の含有量が上記範囲であると、衝撃強度が良好となり、さらに、プロピレン系重合体(b)とブレンドした際の透明性が良好となる傾向にある。
α-オレフィンの具体例としては、特に限定されないが、例えば、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、及び1-テトラデセンが挙げられる。ここで、エチレン由来の構成単位の含有量は、13C-NMR(核磁気共鳴法)を用いて測定される。具体的には、オルトジクロロベンゼンを溶媒として用い、日本電子社製FT-NMRの400MHzの装置により測定される値である。
以下、エチレン系重合体混合物(a)についての詳細を記す。
(1)平均密度
エチレン系重合体混合物(a)の平均密度は、特に限定されるものではないが、プロピレン系重合体(b)と構成した場合、屈折率と透明性の観点から、特定の範囲であることが好ましい。具体的には下記式(2)で示されるエチレン系重合体混合物(a)の平均密度(ρPE)が0.870~0.960g/cm3であることが好ましく、より好ましくは0.875~0.95g/cm3であり、さらに好ましくは0.880~0.940g/cm3であり、さらにより好ましくは0.882~0.93g/cm3であり、よりさらに好ましくは0.885~0.92g/cm3であり、よりさらに好ましくは0.887~0.914g/cm3であり、特に好ましくは0.893~0.908g/cm3である。平均密度がこの範囲にあると、エチレン系重合体混合物(a)とプロピレン系重合体(b)の屈折率が近くなり、オレフィン系樹脂組成物として良好な透明性を発現することができる傾向にある。
Figure 2022067622000006
ここで式中、ρPEはエチレン系重合体混合物(a)の平均密度を示し、ρiはエチレン系重合体混合物(a)を構成している各エチレン系重合体の密度を示し、Miはオレフィン系樹脂組成物中に占める各エチレン系重合体の含有量を示す。なお、密度は、JIS K7112に準拠して測定した密度(g/cm3)であり、含有量は質量%で示され、各エチレン系重合体とプロピレン系重合体(b)の合計を100質量%とする。
(2)平均MFR
エチレン系重合体混合物(a)の平均MFRは、特に限定されるものではないが、プロピレン系重合体(b)と構成した場合、分散性と物性バランの観点から、特定の範囲であることが好ましい。具体的には下記式(3)で示されるエチレン系重合体混合物(a)の平均MFR(MFRPE)が0.1~100g/10分であり、好ましくは0.2~90g/10分、より好ましくは0.3~80g/10分、さらに好ましくは0.4~70g/10分、さらにより好ましくは0.5~60g/10分、特に好ましくは0.6~50g/10分である。MFRが上記範囲にあると、プロピレン系重合体(b)との相溶性や、樹脂組成物の剛性、衝撃強度、透明性が良好となり、かつ、成形温度に由来する高生産速度に適した樹脂組成物が得られる傾向にある。一方で、MFRが0.1g/10分未満であると、樹脂組成物の成形が困難になる傾向にあり、100g/10分を超えると、樹脂組成物として良好な衝撃強度が得られなくなる傾向にある。
Figure 2022067622000007
ここで式中、MFRPEはエチレン系重合体混合物(a)の平均MFRを示し、MFRiはエチレン系重合体混合物(a)を構成している各エチレン系重合体のMFRを示し、Miはオレフィン系樹脂組成物中に占める各エチレン系重合体の含有量を示す。なお、MFRは温度230℃、荷重2.16kgでJIS K7210に準拠して測定したMFR(g/10分)であり、含有量は質量%で示され、各エチレン系重合体とプロピレン系重合体(b)の合計を100質量%とする。
(3)バイオマス度
本実施形態におけるエチレン系重合体混合物(a)のバイオマス度は、特に限定されるものではないが、1%以上が好ましく、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは6%以上、よりさらに好ましくは12%以上、特に好ましくは15%以上である。バイオマス度が高いほど、オレフィン系樹脂組成物として環境への負荷が低くなり、本発明における効果がより顕著となる。
(4)エチレン系重合体混合物(a)を構成する各エチレン系重合体のMFR比
エチレン系重合体混合物(a)を構成する各エチレン系重合体のMFRは相溶性の観点から近いほど好ましく、具体的にはMFRの最も低いエチレン系重合体のMFR(min)とMFRの最も高いエチレン系重合体のMFR(max)の比(MFR(max)/MFR(min))は、10以下であることが好ましく、より好ましくは8以下、さらに好ましくは6以下、より好ましくは5以下、さらにより好ましくは4以下、よりさらに好ましくは3以下、特に好ましくは2以下である。ここで、MFRは温度230℃、荷重2.16kgでJIS K7210に準拠して測定したメルトフローレートである。
(5)エチレン系重合体混合物(a)調製方法
エチレン系重合体混合物(a)は、公知の方法で調製することができ、特に限定されるものではないが、例えば、各エチレン系重合体をドライブレンド、もしくは溶融混錬することで得ることができる。
[プロピレン系重合体(b)]
本実施形態におけるプロピレン系重合体(b)の製造方法は、特に限定されるものではないが、化石燃料由来のプロピレンを重合することや、バイオマス由来のプロピレンを重合することにより製造することができる。触媒を用いる場合は、メタロセン触媒やチーグラー・ナッタ触媒等のシングルサイト触媒やマルチサイト触媒を1種もしくは複数組み合わせて用い、プロピレン、又は、プロピレンとα-オレフィンとを重合することで、プロピレン系重合体(b)を得ることができる。重合方法としては、特に限定されるものではないが、気相重合、スラリー重合、バルク重合、ループ重合などが挙げられ、1段または2段以上の多段重合で行うことができる。
本実施形態におけるプロピレン系重合体(b)は、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)であっても、プロピレン系共重合体であっても、あるいはこれらの混合物であってもよい。
プロピレン系共重合体は、プロピレンとα-オレフィンとの共重合体であり、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよいが、透明性の観点から、ランダム共重合体であることが好ましい。共重合に用いられるα-オレフィンとしては、プロピレンを除く炭素数2~20のα-オレフィンが挙げられ、例えば、エチレン、ブテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1等が挙げられる。プロピレンと共重合されるα-オレフィンは1種でもよく、2種以上用いてもよい。このうち、生産性の観点から、エチレン、ブテン-1が好ましく、より好ましくはエチレンである。
プロピレンとα-オレフィンとの共重合体の具体例としては、例えば、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-エチレン-ジエン共重合体、プロピレン-エチレン-ブテン-1共重合体、プロピレン-ブテン-1共重合体、プロピレン-ヘキセン-1共重合体、プロピレン-オクテン-1共重合体等が挙げられる。このうち、生産性の観点から、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-ブテン-1共重合体、プロピレン-エチレン-ブテン-1共重合体が特に好ましい。また、重合段階で、EPRのようなゴム成分をソフトセグメントとして、ポリプロピレン主体の結晶相からなるハードセグメントへ導入した、いわゆるポリプロピレン系重合体アロイも使用することができる。
プロピレン系重合体(b)のガラス転移温度は、特に限定されないが、-100~20℃のものが挙げられる。また、プロピレン系重合体(b)は、2種以上を混合して使用してもよい。
以下にプロピレン系重合体(b)についての詳細を記す。
(1)MFR
本実施形態におけるプロピレン系重合体(b)は、特に限定されるものではないが、温度230℃、荷重2.16kgでJIS K7210に準拠して測定したメルトフローレート(MFR)が、0.1~100g/10分であることが好ましく、より好ましくは0.2~80g/10分であり、さらに好ましくは0.3~70g/10分であり、さらにより好ましくは0.5~50g/10分であり、特に好ましくは1.0~40g/10分である。MFRが上記範囲にあると、樹脂組成物の剛性と衝撃強度、透明性に優れ、かつ、成形温度に由来する高生産速度に適した樹脂組成物が得られる傾向にある。一方で、MFRが0.1g/10分未満であると、樹脂組成物の成形が困難となる傾向にあり、100g/10分を超えると樹脂組成物として良好な衝撃強度が得られなくなる傾向にある。
(2)アイソタクチックペンタッド分率
プロピレン系重合体(b)として、プロピレン単独重合体を用いる場合のアイソタクチックペンタッド分率(mmmm)は、特に限定されるものではないが、90%以上が好ましく、より好ましくは94%以上、さらに好ましくは97%以上である。アイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が90%未満であると、剛性の低下に起因し、樹脂組成物を使用した成形品が変形しやすくなる傾向にあり、逆に立体規則性が向上するほど、剛性が向上し、樹脂組成物を使用した成形品の変形を防ぐことができる傾向にある。
ここで、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm)は、13C-NMR(核磁気共鳴法)を用いて測定される値である。具体的には、オルトジクロロベンゼンを溶媒として用い、日本電子社製FT-NMRの400MHzの装置により測定される値である。
(3)ランダム共重合体中に占めるα-オレフィン量
プロピレン系重合体(b)として、プロピレン-α-オレフィンランダム共重合体(以下、単に「ランダム共重合体」ともいう。)を用いる場合の、ランダム共重合体中に占めるα-オレフィン由来の構成単位の含有量は、特に限定されるものではないが、10質量%以下が好ましく、より好ましくは8質量%以下であり、さらに好ましくは7.0質量%以下であり、さらにより好ましくは6質量%以下であり、特に好ましくは5質量%以下である。α-オレフィン由来の構成単位の含有量が上記範囲にあると、成形性と物性、及び透明性のバランスが良好となる傾向にある。一方で、10質量%を超えると成形性が悪くなるとともに、剛性、耐熱変形温度が低下し、成形品として十分な性能を発現することができなくなる傾向にある。
ここで、α-オレフィン由来の構成単位の含有量は、13C-NMR(核磁気共鳴法)を用いて測定される値である。具体的には、オルトジクロロベンゼンを溶媒として用い、日本電子社製FT-NMRの400MHzの装置により測定される値である。
(4)ブロック共重合体中に占めるポリプロピレンセグメントの割合
プロピレン系重合体(b)として、ポリプロピレンセグメントとプロピレン共重合体セグメントとからなるプロピレン系ブロック共重合体(以下、単に「ブロック共重合体」ともいう。)を用いる場合、ブロック共重合体中に占めるポリプロピレンセグメントは、60~99質量%であり、プロピレン共重合体セグメントが1~40質量%であることが好ましく、より好ましくはポリプロピレンセグメントが65~98質量%、プロピレン共重合体セグメントが2~35質量%、さらに好ましくはポリプロピレンセグメントが70~97質量%、プロピレン共重合体セグメントが3~30質量%である。上記範囲にあると機械物性、衝撃強度により優れた樹脂組成物が得られる傾向にある。
(5)ブロック共重合体中のポリプロピレンセグメントのアイソタクチックペンタッド分率
ポリプロピレンセグメントのアイソタクチックペンタッド分率(mmmm)は、特に限定されないが、90%以上が好ましく、より好ましくは94%以上、さらに好ましくは97%以上である。アイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が90%未満であると、樹脂組成物を成形した際に成形品が変形しやすくなる傾向にある。
ここで、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm)は、13C-NMR(核磁気共鳴法)を用いて測定される値である。具体的には、オルトジクロロベンゼンを溶媒として用い、日本電子社製FT-NMRの400MHzの装置により測定される値である。
(6)ブロック共重合体に含まれる全α-オレフィン含有量
プロピレン系重合体(b)としては、α-オレフィン-プロピレン共重合体を1段目に重合した後、α-オレフィン含有量の異なるα-オレフィン-プロピレン共重合体を2段目に重合したプロピレン系ブロック共重合体(以下、これも含めて単に「ブロック共重合体」ともいう。)であってもよい。
ブロック共重合体に含まれる全α-オレフィン含有量は、特に限定されるものではないが、0.5~12質量%が好ましく、2~9質量%がより好ましい。また、α-オレフィンとしては、エチレンが好ましい。α-オレフィン含有量が上記範囲内にあると、得られる樹脂組成物の衝撃強度が良好となる傾向にある。全α-オレフィン含有量が0.5質量%未満であると、樹脂組成物の衝撃強度が不十分となる傾向にある、12質量%を超えると、剛性が不十分となる傾向にある。
ここで、α-オレフィン含有量は、13C-NMR(核磁気共鳴法)を用いて測定される値である。具体的には、オルトジクロロベンゼンを溶媒として用い、日本電子社製FT-NMRの400MHzの装置により測定される値である。
(7)プロピレン系重合体(b)の製造
プロピレン系重合体(b)の製造方法としては、特に限定されるものではないが、立体規則性触媒を使用する重合法が好ましい。立体規則性触媒としては、チーグラー・ナッタ触媒やメタロセン触媒などが挙げられる。
プロピレン系重合体(b)の製造方法としては、特に限定されるものではないが、上記触媒の存在下、不活性溶媒を用いたスラリー重合法、溶液法、実質的に溶媒を用いない気相法や、重合モノマーを溶媒とするバルク重合法等が挙げられる。例えば、スラリー重合法の場合には、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素又は液状モノマー中で重合を行うことができる。重合は連続式又はバッチ式の反応で行い、その条件は通常採用されている条件でよい。さらに重合反応は一段で行ってもよく、多段で行ってもよい。
[オレフィン系樹脂組成物]
本実施形態におけるオレフィン系樹脂組成物は、上記で説明したエチレン系重合体混合物(a)と、プロピレン系重合体(b)と、を含む。以下にオレフィン系樹脂組成物についての詳細を記す。
(1)エチレン系重合体混合物(a)とプロピレン系重合体(b)の配合割合
本実施形態のオレフィン系樹脂組成物に含まれるエチレン系重合体混合物(a)とプロピレン系重合体(b)の配合割合は、特に限定されるものではないが、エチレン系重合体混合物(a)が1~99質量%、プロピレン系重合体(b)が99~1質量%が好ましい(ここで、エチレン系重合体混合物(a)とプロピレン系重合体(b)の合計を100質量%とする)。また、より好ましくはエチレン系重合体混合物(a)が2~49質量%、プロピレン系重合体(b)が98~51質量%であり、さらに好ましくはエチレン系重合体混合物(a)が3~45質量%、プロピレン系重合体(b)が97~57質量%であり、さらにより好ましくはエチレン系重合体混合物(a)が4~40質量%、プロピレン系重合体(b)が96~60質量%であり、よりさらに好ましくはエチレン系重合体混合物(a)が5~35質量%、プロピレン系重合体(b)が95~65質量%であり、特に好ましくはエチレン系重合体混合物(a)が6~30質量%、プロピレン系重合体(b)が94~70質量%である。両者の割合が上記範囲にあると、本願発明の環境負荷低減の効果がより顕著となる傾向にある。
(2)エチレン系重合体混合物(a)とプロピレン系重合体(b)の密度比
本実施形態のオレフィン系樹脂組成物に含まれるエチレン系重合体混合物(a)とプロピレン系重合体(b)の密度比は、特に限定されるものではないが、透明性や物性バランスの観点から特定の範囲であることが好ましい。具体的には下記式(4)で示される密度比(Δρ)が0.95~1.07であることが好ましく、より好ましくは0.95~1.06、さらに好ましくは0.95~1.05、さらにより好ましくは0.96~1.04、さらにより好ましくは0.97~1.03、よりさらに好ましくは0.98~1.02、特に好ましくは0.99~1.01である。密度比がこの範囲にあるとエチレン系重合体混合物(a)とプロピレン系重合体(b)の屈折率が近くなり、透明性がより良好になる傾向にある。
Figure 2022067622000008
(式中、Δρはエチレン系重合体混合物(a)とプロピレン系重合体(b)の密度比を示す。ρPEはエチレン系重合体混合物(a)のJIS K7112に準拠して測定した密度(g/cm3)、ρPPはプロピレン系重合体(b)のJIS K7112に準拠して測定した密度(g/cm3)を示す。)
両者の密度比が上記範囲にあると、より透明性に優れた樹脂組成物が得られる傾向にある。なお、プロピレン系重合体を2種以上混合して使用する場合は、上述した式(2)を参考にして求められるプロピレン系重合体(b)の平均密度を使用する。具体的にはρPEをρPPとし、ρiはプロピレン系重合体(b)を構成している各プロピレン系重合体の密度を、Miはオレフィン系樹脂組成物中に占める各プロピレン系重合体の含有量を用いることで、ρPPを求める。
(3)エチレン系重合体混合物(a)とプロピレン系重合体(b)のMFR比
本実施形態のオレフィン系樹脂組成物に含まれるエチレン系重合体混合物(a)とプロピレン系重合体(b)のMFR比は、特に限定されるものではないが、透明性や物性バランスの観点から特定の範囲であることが好ましい。具体的には下記式(5)で示されるMFR比(ΔMFR)が0.01~30であることが好ましく、より好ましくは0.03~27、さらに好ましくは0.04~25、さらにより好ましくは0.05~23、よりさらに好ましくは0.08~20、よりさらに好ましくは0.1~15、一層好ましくは0.3~10、より一層好ましくは0.5~5、特に好ましくは0.7~3である。MFR比がこの範囲にあるとエチレン系重合体混合物(a)とプロピレン系重合体(b)の分散状態が良好になり、透明性や衝撃強度に優れる傾向にある。
Figure 2022067622000009
(式中、ΔMFRはエチレン系重合体混合物(a)とプロピレン系重合体(b)の密度比を示す。MFRPEはエチレン系重合体混合物(a)の温度230℃、荷重2.16kgでJIS K7210に準拠して測定したMFR(g/10分)、MFRPPはプロピレン系重合体(b)の温度230℃、荷重2.16kgでJIS K7210に準拠して測定したMFR(g/10分)を示す。)
両者のMFR比が上記範囲にあると、成形加工時の分散状態が良好となり優れた透明性や各種物性を発現する傾向にある。なお、プロピレン系重合体を2種以上混合して使用する場合は、式(3)を参考に計算するプロピレン系重合体(b)の平均MFRを使用する。具体的にはMFRPEをMFRPPとし、MFRiはプロピレン系重合体(b)を構成している各プロピレン系重合体の温度230℃、荷重2.16kgで測定したMFRを、Miはオレフィン系樹脂組成物中に占める各プロピレン系重合体の含有量を用いることで、MFRPPを求める。
(4)オレフィン系樹脂組成物のバイオマス度
本実施形態のオレフィン系樹脂組成物は、バイオマス度が1%以上であることが好ましく、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは5%以上、さらにより好ましくは10%以上、さらにより好ましくは15%以上、よりさらに好ましくは20%以上、特に好ましくは25%以上である。バイオマス度が高いほど、環境への負荷が低くなり、本発明の効果がより顕著となる傾向にある。
(5)オレフィン系樹脂組成物の製造方法
本実施形態のオレフィン系樹脂組成物は、少なくとも1種類以上のバイオマス由来のエチレンを含むモノマーを重合してなるバイオマス由来のエチレン系重合体を含むエチレン系重合体混合物(a)と、プロピレン系重合体(b)、および、必要に応じて他の添加剤とを、機械的混合又は溶融混合して製造することができる。
機械的混合又は溶融混練に用いられる混合機又は混練機としては、例えば、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、Vブレンダー、タンブラーミキサー、リボンブレンダー、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー、ブラベンダープラストグラフ、ロール、一軸スクリュー押出造粒機、二軸スクリュー押出造粒機等を挙げることができる。また、溶融混練する場合は、溶融混錬温度は一般に100~300℃であり、好ましくは150~280℃、より好ましくは180~250℃である。本実施形態のオレフィン系樹脂組成物は、上記の機械的混合又は溶融混練を行うことで得ることができる。
本実施形態のオレフィン系樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、添加剤として公知の造核剤、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ヒンダートアミン系光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒドロキシルアミン系酸化防止剤、中和剤、スリップ剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、着色剤、オレフィン系エラストマー、非オレフィン系エラストマー等のその他の添加剤を含むことができる。
(6)成形品
本実施形態の成形品は、上述したオレフィン系樹脂組成物を、公知の押出成形機、射出成形機、ダイレクトブロー成形機、ストレッチブロー成形機、フィルム成形機、繊維成形機等の各種の成形機により成形することにより得られる。本実施形態のオレフィン系樹脂組成物は成形性に優れ、かつ、透明性が良好であることから、外観意匠性に優れた成形品を得ることができる。
成形方法としては、特に限定されるものではないが、射出成形、押出成形、真空成形、圧縮成形、カレンダー成形、積層成形、流動浸漬成形、吹込み成形、スラッシュ成形、回転成形、熱成形、CCM成形、キャストフィルム成形、二軸延伸フィルム成形、インフレーション成形、押出発泡成形、バッチ発泡成形、シート成形、及び繊維成形からなる群から選択される1種以上の成形方法を用いることができる。
本実施形態の成形品は、特に限定されるものではないが、透明性に優れるため、物品を保管するために用いられる成形品等に好適に用いることができる。例えば、物品を保管するための容器、該容器の蓋や、物品を保管するためのバッグが挙げられる。より具体的には、食品容器(ごはん容器、惣菜容器、スープ容器、プリン容器、ゼリー容器、ヨーグルト容器、茶碗蒸し容器、インスタントラーメン容器、レトルト容器、弁当容器、電子レンジ加熱容器、電子レンジ調理容器、ジップロック(登録商標)コンテナ―等)、バッグ(ジッパー付きバッグ、スライダー付きバッグ、ジップロックバッグ、チャック袋、食パン用袋、お菓子袋、レジ袋、買い物用袋、エコバッグ、各種包装バッグ等)、フィルム(たばこ用フィルム、各種包装用フィルム、シーラントフィルム、多層フィルム、単層フィルム、バリアフィルム等)、食品用ラップ、ポリラップ、飲料容器(飲料ボトル、コーヒー容器、ジュース容器、その他の飲料容器等)、キャップ(ペットボトルキャップ、調味料用キャップ、化粧品容器キャップ等)、医薬品容器(輸液バッグ、血液バッグ、プレフィルドシリンジ、キット製剤、目薬容器、薬液容器、薬剤容器、液体の長期保存容器、PTPシート等)、医療用器具(ディスポーザブルシリンジおよびその部品、カテーテル・チューブ、真空採血管、手術用不織布、血液用フィルター、血液回路などのディスポーザブル器具、人工肺、人工肛門などの人工臓器類の部品、ダイアライザー、試験管、遠沈管、縫合糸、湿布基材、歯科用材料の部品、整形外科用材料の部品、コンタクトレンズのケース等)、その他各種容器(インク容器、化粧品容器等)、日用品(衣装ケース、バケツ、洗面器、筆記用具、コンテナ、玩具、調理器具、ジッパー付きバッグ、ジップロックコンテナ―、ジップロックバッグ、その他各種ケース等)、自動車部品(インパネ、バンパー、灯体等)、収納箱(ラップ箱、サランラップ(登録商標)箱、通函、運送用の箱、ビールケース、日本酒ケース等)、充填剤、文具、断熱ボード、断熱材、断熱容器、電気・電子部品(各種電気機器の部材・筐体、半導体搬送容器、光学部品、各種情報メディアケース、太陽電池封止材等)、水浄化用部材、電線被覆材、各種被覆材、フィルム、繊維、シートなどが挙げられる。
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。実施例および比較例における物性値の測定方法、評価方法、樹脂および添加剤として用いた材料は、以下のとおりである。
1.物性値の測定および評価方法
(1)MFR
エチレン系重合体ペレット、プロピレン系重合体ペレット、及び、オレフィン系樹脂組成物ペレットのメルトフローレイト(MFR)は、JIS K7210:1999(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した。
(2)曲げ弾性率
JIS K6921-2:2018に従い、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製 NEX140)を用い、得られたオレフィン系樹脂組成物ペレットからJIS K7139:2009に規定する多目的試験片(タイプA1)を射出成形した。次いで、タイプA1試験片の中央部から切り出して作製するタイプB2試験片を得るため、タイプA1試験片のつかみ部分を切削加工して幅10mm、厚さ4mm、長さ80mmの試験片(タイプB2)を得た。その後、室温23±2℃、相対湿度50±5%に調節された恒温室に72時間放置した後、JIS K-7171:2006に従ってインストロン製5960デュアルコラム卓上型試験機を用い、温度23±2℃、相対湿度50±5%、支点間距離64mm、試験速度2mm/分の条件で、タイプB2の試験片の曲げ弾性率を測定した。
(3)0℃シャルピー衝撃強度
曲げ弾性率測定で用いた試験片と同一の操作で得たタイプA1試験片を用いて、JISK7111-1:2012に従い、株式会社東洋精機製作所製ノッチングツールA-3を用いて幅10mm、厚さ4mm、長さ80mmに切削加工してから、幅方向に2mmのノッチを入れ、形状Aの試験片を得た。その後、室温23±2℃、相対湿度50±5%に調節された恒温室に72時間放置した後、JISK7111-1:2012に準拠し、株式会社東洋精機製作所製デジタル衝撃試験機DG-UB型を用いて、温度23±2℃、相対湿度50±5%、エッジワイズ打撃、1eA法の条件で測定した。
(4)透明性(ヘイズ)
JIS K6921-2に従い、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製 PNX60)を用い、得られたオレフィン系樹脂組成物ペレットからJIS K7139:2009に規定する1mm厚の平板試験片(タイプD1)を射出成形した。その後、室温23±2℃、相対湿度50±5%に調節された恒温室に72時間放置した後、JIS K-7136:2000に準拠し、日本電色工業株式会社製濁度計NDH2000を用いて、温度23±2℃、相対湿度50±5%の条件で、タイプD1試験片のヘイズを測定した。
(5)密度
エチレン系重合体、プロピレン系重合体の密度はJIS K7112:1999に準拠して、MFR測定時に得られるストランドを100℃×1時間オーブン内で熱処理を施して結晶化を安定させ、その後、温度23±2℃、相対湿度50±5%に調節された恒温室内に24時間放置した後、密度勾配管法を用いて測定した。なお、ストランドは密度勾配管に入れる前に測定に適切なサイズにするため輪切りに切り出しを行った。一例としてストランドサイズが直径5mmφの場合は、幅2mm程度の円柱状に輪切りにして、これの密度を測定した。また、密度が低く、熱処理時にストランドが融着もしくは融解する場合は、熱処理条件を、ストランドが融着もしくは溶融しない最高温度を選択して90℃×2時間、80℃×4時間、70℃×8時間、60℃×16時間、50℃×32時間のいずれかの条件で熱処理を施した。
2.使用材料
(a-1)
バイオマス由来のエチレン-αオレフィン共重合体「Braskem社製;商品名 SLH118」
MFR(230℃、2.16kg荷重)は2.0g/10分、密度は0.916g/cm3、αオレフィンは1-ヘキセンが10質量%、バイオマス度は84%である。
(a-2)
バイオマス由来の低密度ポリエチレン「Braskem社製;商品名 SPB681」
MFR(230℃、2.16kg荷重)は7.6g/10分、密度は0.922g/cm3、バイオマス度は95%である。
(a-3)
バイオマス由来の高密度ポリエチレン「Braskem社製;商品名 B970」
MFR(230℃、2.16kg荷重)は2.7g/10分、密度は0.963g/cm3、バイオマス度は95%である。
(a-4)
バイオマス由来の低密度ポリエチレン「Braskem社製;商品名 SPB208」
MFR(230℃、2.16kg荷重)は44.0g/10分、密度は0.923g/cm3、バイオマス度は95%である。
(a-5)
バイオマス由来の低密度ポリエチレン「Braskem社製;商品名 SBF0323HC」
MFR(230℃、2.16kg荷重)は0.6g/10分、密度は0.923g/cm3、バイオマス度は95%である。
(a-6)
化石燃料由来のエチレン-αオレフィン共重合体低密度ポリエチレン「DOW社製;商品名 ENGAGE8003」
MFR(230℃、2.16kg荷重)は2.0g/10分、密度は0.885g/cm3、バイオマス度は0%である。
(a-7)
化石燃料由来のエチレン-αオレフィン共重合体低密度ポリエチレン「DOW社製;商品名 ENGAGE8842」
MFR(230℃、2.16kg荷重)は2.0g/10分、密度は0.857g/cm3、バイオマス度は0%である。
(a-8)
化石燃料由来のエチレン-αオレフィン共重合体低密度ポリエチレン「日本ポリエチレン株式会社製;商品名 カーネル KF260T」
MFR(230℃、2.16kg荷重)は4.0g/10分、密度は0.901g/cm3、バイオマス度は0%である。
(a-9)
化石燃料由来のエチレン-αオレフィン共重合体低密度ポリエチレン「日本ポリエチレン株式会社製;商品名 カーネル KJ640T」
MFR(230℃、2.16kg荷重)は60.0g/10分、密度は0.880g/cm3、バイオマス度は0%である。
(b-1)
化石燃料由来のホモポリプロピレン「サンアロマー株式会社製;商品名 PL400A」
MFR(230℃、2.16kg荷重)は2.0g/10分、密度は0.900g/cm3、バイオマス度は0%である。
(b-2)
化石燃料由来のホモポリプロピレン「サンアロマー株式会社製;商品名 PM900A」
MFR(230℃、2.16kg荷重)は30.0g/10分、密度は0.900g/cm3、バイオマス度は0%である。
(b-3)
化石燃料由来のプロピレンエチレンランダム共重合体「住友化学株式会社製;商品名 FL6632G」
MFR(230℃、2.16kg荷重)は6.0g/10分、密度は0.900g/cm3、エチレン含有量は2質量%、バイオマス度は0%である。
(実施例1~17、比較例1~3、参考例1)
表1及び表2に記載の含有割合でエチレン系重合体(a)と、プロピレン系重合体(b)とをポリエチレン製の袋に入れ、ポリエチレン製の袋を手でよく振ってハンドブレンドした。その後、下記押出条件にて造粒を実施してオレフィン系樹脂組成物ペレットを得た。そして、このオレフィン系樹脂組成物ペレットを用いて各種物性評価を実施し、結果を表1及び表2に示した。
造粒機:芝浦機械株式会社 TEM-18SS
設定温度(C1~C6,H1):50、80、160、220、220、220、220
造粒機回転数:100rpm
吐出量:3kg/hr
ストランド冷却用の水槽温度:20℃
Figure 2022067622000010
Figure 2022067622000011
表1及び表2の結果から、実施例1~17のオレフィン系樹脂組成物は、衝撃強度、透明性に優れていることが分かる。
一方で、比較例1~3のオレフィン系樹脂組成物は、衝撃強度に劣ることが分かる。
参考例1は、バイオマス由来のエチレン系重合体を含まない、従来の化石燃料由来のエチレン系重合体を化石燃料由来のプロピレン系重合体に配合したものであり、実施例と比較すると、本発明のオレフィン系樹脂組成物は、従来の化石燃料由来のエチレン系重合体を化石燃料由来のプロピレン系重合体に配合した時と同等以上の物性値になっていることが分かる。
本発明のオレフィン系樹脂組成物は、射出成形品、押出成形品、真空成形品、圧縮成形品、カレンダー成形品、積層成形品、流動浸漬成形品、吹込み成形品、スラッシュ成形品、回転成形品、熱成形品、CCM成形品、キャストフィルム成形品、二軸延伸フィルム成形品、インフレーション成形品、押出発泡成形品、バッチ発泡成形品、シート成形品、繊維成形品として有用である。

Claims (16)

  1. 少なくとも1種以上のバイオマス由来のエチレンを含むモノマーを重合してなるバイオマス由来のエチレン系重合体を含むエチレン系重合体混合物(a)と、プロピレン系重合体(b)と、を含む、オレフィン系樹脂組成物。
  2. 前記バイオマス由来のエチレンを含むモノマーを重合してなるバイオマス由来のエチレン系重合体が以下の要件(i)~(iii)を満たす、請求項1記載のオレフィン系樹脂組成物。
    (i)下記(1)で示されるバイオマス度が50%以上
    Bio(%)=(AC14/100.5)×100 (1)
    (式中、Bio(%)はバイオマス度を示し、AC14は測定サンプルのpMCを示す。)
    (ii)温度230℃、荷重2.16kgでJIS K7210に準拠して測定したメルトフローレート(MFR)が0.1~100g/10分
    (iii)JIS K7112に準拠して測定した密度が0.870~0.960g/cm3
  3. 前記エチレン系混合物(a)が以下の要件(iv)~(v)を満たすエチレン-α-オレフィンランダム共重合体を1種以上含む、請求項1~2のいずれか1項記載のオレフィン系樹脂組成物。
    (iv)α-オレフィンが炭素数3~20のα-オレフィン
    (v)エチレン-α-オレフィンランダム共重合体中のエチレン由来の構成単位の含有量が50質量%以上
  4. 前記プロピレン系重合体(b)が以下の要件(vi)を満たす、請求項1~3のいずれか1項記載のオレフィン系樹脂組成物。
    (vi)温度230℃、荷重2.16kgでJIS K7210に準拠して測定したメルトフローレート(MFR)が、0.1~100g/10分
  5. 前記プロピレン系重合体(b)がホモポリプロピレンである、請求項1~4のいずれか1項記載のオレフィン系樹脂組成物。
  6. 前記プロピレン系重合体(b)が下記要件(vii)~(viii)を満たすプロピレン-α-オレフィンランダム共重合体である、請求項1~5のいずれか1項記載のオレフィン系樹脂組成物。
    (vii)α-オレフィンがプロピレンを除く炭素数2~20のα-オレフィン
    (viii)プロピレン-α-オレフィンランダム共重合体中に占めるα-オレフィン由来の構成単位の含有量が10質量%以下
  7. 前記エチレン系重合体混合物(a)と前記プロピレン系重合体(b)が以下の要件(ix)を満たす、請求項1~6のいずれか1項記載のオレフィン系樹脂組成物。
    (ix)エチレン系重合体混合物(a)とプロピレン系重合体(b)の配合比率が、エチレン系重合体(a)が1~99質量%、プロピレン系重合体(b)が99~1質量%(ここで、エチレン系重合体混合物(a)とプロピレン系重合体(b)の合計を100質量%とする。)
  8. 前記エチレン系混合物(a)が下記の要件(x)を満たす、請求項1~7のいずれか1項記載のオレフィン系樹脂組成物。
    (x)下記式(2)で示されるエチレン系重合体混合物(a)の平均密度が0.87~0.96g/cm3である。
    Figure 2022067622000012
    (式中、ρPEはエチレン系重合体混合物(a)の平均密度を示し、ρiはエチレン系重合体混合物(a)を構成している各エチレン系重合体の密度を、Miはオレフィン系樹脂組成物中に占める各エチレン系重合体の含有量を示す。なお、密度は、JIS K7112に準拠して測定した密度(g/cm3)であり、含有量は質量%で示され、各エチレン系重合体とプロピレン系重合体(b)の合計を100質量%とする。)
  9. 前記エチレン系混合物(a)が下記の要件(xi)を満たす、請求項1~8のいずれか1項記載のオレフィン系樹脂組成物。
    (xi)下記式(3)で示されるエチレン系重合体混合物(a)の平均MFRが0.1~100(g/10分)である。
    Figure 2022067622000013
    (式中、MFRPEはエチレン系重合体混合物(a)の平均MFRを示し、MFRiはエチレン系重合体混合物(a)を構成している各エチレン系重合体のMFRを、Miはオレフィン系樹脂組成物中に占める各エチレン系重合体の含有量を示す。なお、MFRは温度230℃、荷重2.16kgでJIS K7210に準拠して測定したMFR(g/10分)であり、含有量は質量%で示され、各エチレン系重合体とプロピレン系重合体(b)の合計を100質量%とする。)
  10. 前記エチレン系重合体混合物(a)と前記プロピレン系重合体(b)が以下の要件(xii)を満たす、請求項1~8のいずれか1項記載のオレフィン系樹脂組成物。
    (xii)下記式(4)で示されるエチレン系重合体混合物(a)とプロピレン系重合体(b)の密度比が0.95~1.07以下
    Figure 2022067622000014
    (式中、Δρはエチレン系重合体混合物(a)とプロピレン系重合体(b)の密度比を示す。ρPEは下記式(2)で求められる値であり、ρPPはプロピレン系重合体(b)のJIS K7112に準拠して測定した密度(g/cm3)を示す。)
    Figure 2022067622000015
    (式中、ρPEはエチレン系重合体混合物(a)の平均密度を示し、ρiはエチレン系重合体混合物(a)を構成している各エチレン系重合体の密度を、Miはオレフィン系樹脂組成物中に占める各エチレン系重合体の含有量を示す。なお、密度は、JIS K7112に準拠して測定した密度(g/cm3)であり、含有量は質量%で示され、各エチレン系重合体とプロピレン系重合体(b)の合計を100質量%とする。)
  11. 前記エチレン系重合体混合物(a)と前記プロピレン系重合体(b)が以下の要件(xi)を満たす、請求項1~10のいずれか1項記載のオレフィン系樹脂組成物。
    (xiii)下記式(5)で示されるエチレン系重合体混合物(a)とプロピレン系重合体(b)のMFR比が0.01~30
    Figure 2022067622000016
    (式中、ΔMFRはエチレン系重合体混合物(a)とプロピレン系重合体(b)のMFR比を示す。MFRPEはエチレン系重合体混合物(a)の温度230℃、荷重2.16kgでJIS K7210に準拠して測定したMFR(g/10分)、MFRPPはプロピレン系重合体(b)の温度230℃、荷重2.16kgでJIS K7210に準拠して測定したMFR(g/10分)を示す。)
  12. 請求項1~11のいずれか1項記載のオレフィン系樹脂組成物を成形することにより得られる成形品。
  13. 射出成形、押出成形、真空成形、圧縮成形、カレンダー成形、積層成形、流動浸漬成形、吹込み成形、スラッシュ成形、回転成形、熱成形、CCM成形、キャストフィルム成形、二軸延伸フィルム成形、インフレーション成形、押出発泡成形、バッチ発泡成形、シート成形、及び繊維成形からなる群から選択される1種以上の成形方法を用いて得られる、請求項12記載の成形品。
  14. 物品を保管するために用いられる、請求項12又は13記載の成形品。
  15. 物品を保管するための容器、及び/又は、前記容器の蓋である、請求項12~14のいずれか1項記載の成形品。
  16. 物品を保管するためのバッグである、請求項12~14のいずれか1項記載の成形品。
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