JP2022067041A - 熱交換システム及び熱交換システムを備える応用機器 - Google Patents

熱交換システム及び熱交換システムを備える応用機器 Download PDF

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【課題】熱交換システムにおいて、駆動中に熱交換器のフィンに水分が付着した場合でも、駆動初期から長期間にわたり優れた熱交換効率が得られるようにする。【解決手段】熱交換システムは、水分を含有する空気と接触する複数のフィンを有し、内部を流通する冷媒と、空気との間で、フィンを介して熱交換することで空気を冷却する熱交換器と、前記冷却によりフィンに付着した水分に、フィンに対する接触角を減少させる添加剤を供給する供給部材と、を備える。【選択図】図1

Description

本開示は、熱交換システム及び熱交換システムを備える応用機器に関し、特に熱交換システムの熱交換効率を向上させる技術に関する。
空調装置等に搭載される熱交換システムは、例えば、複数のフィンを有する熱交換器を備え、複数のフィンを介して、空気と、内部を流通する熱媒体との間で熱交換する。熱交換システムの駆動時において、フィンが熱交換により冷却されると、空気がフィンと接触することで空気中の水分が凝集し、フィンに水分が付着することがある。フィンに水分が付着すると、水分の比熱、熱伝導率、潜熱、又は顕熱等の影響により、熱交換器の熱交換効率が低下する。また、複数のフィンに水分が付着すると、フィン同士の間隙が水分により閉塞される。これにより、熱交換器内の空気の流通が阻害されて熱交換効率が低下する。
そこで、例えば特許文献1には、熱交換器のフィンの表面に、親水性樹脂と、シリコーン樹脂とを含有する親水性膜を形成し、フィンに付着した水分を速やかに排出すると共に、フィンに防汚性を付与する方法が開示されている。
特開2014-29248号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、親水性膜の親水性がシリコーン樹脂の撥油性により低下し易い。また当該方法では、防汚性を十分に得ることが難しく、フィンに汚れが付着し、親水性膜の親水性が低下する。これにより、熱交換器の熱交換効率が低下する。
そこで本開示は、熱交換システムにおいて、駆動中に熱交換器のフィンに水分が付着した場合でも、駆動初期から長期間にわたり優れた熱交換効率が得られるようにすることを目的とする。
本開示の一態様に係る熱交換システムは、水分を含有する空気と接触する複数のフィンを有し、内部を流通する冷媒と、前記空気との間で、前記フィンを介して熱交換することで前記空気を冷却する熱交換器と、前記冷却により前記フィンに付着した水分に、前記フィンに対する接触角を減少させる添加剤を供給する供給部材と、を備える。
上記構成によれば、空気を冷媒との間で熱交換して冷却する際に熱交換器のフィンに水分が付着すると、供給部材から供給される添加剤より、水分のフィンに対する接触角が減少する。これにより、フィンの表面の濡れ性が向上し、フィンの表面に形成される水膜を薄くできる。また、水分の表面張力が低下するため、フィンの表面から水分を排出し易くできる。その結果、フィンに付着した水分により熱交換効率が低下したり、フィンの表面に付着した水分により熱交換器内の空気の流通が阻害されて熱交換システムの熱交換効率が低下するのが防止される。また、フィンの表面に薄い水膜が形成されることで、フィンに空気中の不純物が付着した場合でも、不純物が水膜と共に速やかに排出され、フィンを清浄な状態に維持できる。
また、これらの効果は、フィンに付着した水分に対し、添加剤が供給部材により供給されることで持続する。またフィンに付着した水分に対し、添加剤を供給部材により供給できるため、添加剤を供給する手間を省略できる。従って、熱交換システムにおいて、駆動中に熱交換器のフィンに水分や汚れが付着した場合でも、長期間にわたり優れた熱交換効率が得られる。
前記供給部材から、前記フィンに付着した水分に、前記添加剤が自由落下により供給されてもよい。これにより、重力を利用して供給部材からフィンに添加剤を自動的に効率よく添加できると共に、熱交換システムの構造を簡素化できる。
前記供給部材が、前記フィンと接触するように配置されていてもよい。これにより、フィンに付着した水分に、供給部材から添加剤を供給し易くできる。
前記複数のフィンが、鉛直方向に延びると共に、前記鉛直方向に交差する交差方向に並ぶように配置され、前記供給部材は、前記交差方向に長尺状であり、前記複数のフィンの端面と接触するように配置されていてもよい。これにより、複数のフィンに付着した水分に対し、供給部材から添加剤を各フィンの鉛直方向に延びる表面に沿って拡散させて供給し易くできる。
前記供給部材が、前記熱交換器に対して着脱自在に配置されていてもよい。これにより、熱交換システムのメンテナンス性を向上でき、必要に応じて供給部材を容易に交換できる。よって、長期にわたり安定した熱交換効率を維持できる。
前記供給部材は、前記添加剤を担持する複数の担持体と、前記複数の担持体を分散させた状態で、前記添加剤を前記担持体から前記供給部材の外部へ放出可能に支持する支持体とを含んでいてもよい。
上記構成によれば、分散された複数の担持体により添加剤を担持することで、各担持体からフィンに付着した水分に対して広範囲に添加剤を供給し易くできる。また支持体により、添加剤を複数の担持体から供給部材の外部へ放出可能に複数の担持体を支持することで、担持体を支持しながら、供給部材からフィンに対して添加剤を安定して供給できる。
前記担持体は、多孔質の粒状物であってもよい。これにより、担持体の孔内に豊富な添加剤を保持させて、供給部材からフィンに対して添加剤を徐放させ、フィンに付着した水分に添加剤を熱交換システムの駆動初期から長期間にわたり供給できる。
前記添加剤は、界面活性剤であってもよい。これにより、フィンに付着した水分の接触角を良好に減少させ易くできる。また、添加剤として例えば既存の界面活性剤を利用することで、熱交換システムの設計自由度を向上できる。
前記添加剤は、前記フィンに付着した水分に対して、溶解、分散、又は拡散してもよい。これにより、フィンに付着した水分に対して、供給部材から添加剤を迅速に行き渡らせることができる。
本開示の一態様に係る応用機器は、上記したいずれかの熱交換システムを備える。この応用機器は、室内機を備える空調装置であり、前記熱交換システムが、前記室内機に搭載されていてもよい。また、この応用機器は、室外機を備える空調装置であり、前記熱交換器に付着した霜を除去する除霜機構を備え、前記熱交換システムが、前記室外機に搭載されていてもよい。また、この応用機器は、前記熱交換器に付着した霜を除去する除霜機構を備え、対象物を冷蔵又は冷凍する冷凍装置であってもよい。
本開示の各態様によれば、熱交換システムにおいて、駆動中に熱交換器のフィンに水分が付着した場合でも、駆動初期から長期間にわたり優れた熱交換効率が得られる。
図1は、第1実施形態に係る応用機器の室内機の斜視図である。 図2は、図1の供給部材からフィンに付着した水分に添加剤が供給される様子を示す拡大模式図である。 図3は、図1の供給部材の内部構造を示す拡大図である。 図4は、第2実施形態に係る応用機器の模式図である。 図5は、従来の除霜前後における熱交換器のフィンとその周辺の様子を模式的に示す図である。図5(a)は、フィンに水分が付着した様子を示す図である。図5(b)は、フィンに付着した水が溶解する様子と、フィンに水分が残留する様子を示す図である。図5(c)は、フィンに霜が堆積する様子を示す図である。 図6は、第2実施形態の除霜前後における熱交換器のフィンとその周辺の様子を模式的に示す図である。図6(a)は、フィンに水分が付着した様子を示す図である。図6(b)は、フィンから水が滑落する様子を示す図である。図6(c)は、除霜されたフィンを示す図である。 図7は、試験5の試験結果における応用機器の動作サイクル時間と暖房能力との関係を示すグラフである。 図8は、試験6の試験結果における除霜回数と除霜時間との関係を示すグラフである。 図9は、試験6の試験結果における除霜回数と冷却時間との関係を示すグラフである。 図10は、除霜前の実施例5の熱交換器の様子を示す写真である。 図11は、除霜後の実施例5の熱交換器の様子を示す写真である。 図12は、除霜前の比較例6の熱交換器の様子を示す写真である。 図13は、除霜後の比較例6の熱交換器の様子を示す写真である。 図14は、除霜前の比較例7の熱交換器の様子を示す写真である。 図15は、除霜後の比較例7の熱交換器の様子を示す写真である。 図16は、試験6の試験結果における運転時間と冷凍室温度との関係を示すグラフである。 図17は、試験6の試験結果における除霜回数と冷凍室温度との関係を示すグラフである。
以下、図面を参照して各実施形態を説明する。
(第1実施形態)
[熱交換システム及び応用機器]
図1は、第1実施形態に係る応用機器1の室内機の斜視図である。図2は、図1の供給部材4からフィン5に付着した水分に添加剤が供給される様子を示す拡大模式図である。図1に示される応用機器1は、一例として、室内機10と、不図示の室外機を備える空調装置である。この空調装置は、本実施形態では冷房装置として機能する。応用機器1は、熱交換システム2を備える。この熱交換システム2は、室内機10に搭載されている。
応用機器1では、室内機10と室外機との間を冷媒が循環する。熱交換システム2は、室内の空気と冷媒との間で熱交換する。熱交換システム2は、水分を含有する空気と接触する複数のフィン5を有し、内部を冷媒が流通する熱交換器(エバポレータ)3と、フィン5に付着した水分に、フィン5に対する接触角を減少させる添加剤を供給する複数の供給部材4とを備える。
空調装置が冷房装置として駆動される際、熱交換器3は、内部を流通する冷媒と室内の空気との間でフィン5を介して熱交換することで、室内の空気を冷却する。複数のフィン5は、一例として鉛直方向に延びると共に、鉛直方向に交差する交差方向(ここでは水平方向)に間隔をあけて並ぶように配置されている。フィン5は、一例として熱伝導性に優れる金属材料(アルミニウム等)を含有するが、フィン5の材質はこれに限定されない。複数のフィン5は、熱交換器3の冷媒が流通する流通管6と接触している。
供給部材4は、室内の空気が冷却される際にフィン5に付着した水分に、フィン5に対する接触角を減少させる添加剤を供給する。これにより後述するように、供給部材4は、フィン5の表面に形成される水膜を薄くできる。本実施形態では、供給部材4からフィン5に付着した水分に対し、供給部材4の添加剤が自由落下により供給される。供給部材4は、フィン5に付着した水分に、所定期間(例えば数年程度)にわたり添加剤を供給し続けるように添加剤を徐放する。供給部材4は、水分と接触することにより、水中に添加剤を分散させながら添加剤を外部に放出する。
図1及び2に示すように、一例として、供給部材4は前記交差方向に長尺状であり、複数のフィン5の端面と接触するように配置されている。供給部材4は、短冊状に形成され、複数のフィン5の配列方向に長手方向が沿うようにして配置されている。供給部材4は、熱交換器3に対して着脱自在に配置されている。即ち供給部材4は、所定のタイミングで熱交換器3に対して交換可能である。
本実施形態の熱交換システム2は、互いに離隔して配置された複数の供給部材4を備える。1つの供給部材4は、熱交換器3の複数のフィン5の厚み方向に延びながら各フィン5の端面と接触している。図1に示すように、熱交換器3は、一例として、室内機10が有する円柱状のファン11の周方向に互いに折れ曲がって配置された複数のブロック3a~3cを有する。複数の供給部材4は、各ブロック3a~3cと重なるように配置されている。これにより各供給部材4は、各ブロック3a~3cの複数のフィン5に付着した水分に対して添加剤を供給する。本実施形態では、室内機10が有するフィルター7と熱交換器3との間に、少なくとも1つの供給部材4が配置されている。
図3は、図1の供給部材4の内部構造を示す拡大図である。図3に示すように、供給部材4は、添加剤を担持する複数の担持体40と、複数の担持体40を分散させた状態で、添加剤を担持体40から供給部材4の外部へ放出可能に支持する支持体41とを含有する。
本実施形態の担持体40は、多孔質の粒状物である。この粒状物の外径は、適宜設定可能であり、例えば数μmの値に設定できる。また一例として、この粒状物は、細孔容積を数mL/gの値、細孔径を十数nmの値、比表面積を数百m/gの値にそれぞれ設定できる。粒状物の粒径、比表面積、細孔径は、例えば供給部材4に要求される添加剤の徐放性に適した値に設定される。多孔質の粒状物により担持体40を構成することで、例えば担持体40の内部に豊富な添加剤を担持させることができる。本実施形態の担持体40は、無機成分を含有する。一例として、担持体40は、アモルファスシリカ等のガラスを含有する多孔質ガラスで構成されている。担持体40の材質としては、多孔質ガラス、活性炭、ゼオライト、ポーラスコンクリートのうちの少なくともいずれかを例示できる。
本実施形態の支持体41は、水不溶性成分を含有する。この水不溶性成分は、一例として水不溶性樹脂である。この水不溶性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及び、アクリル変性ポリエチレン(例えば住友化学(株)製「アクリフト」)のうちの少なくともいずれかを例示できる。
供給部材4では、複数の担持体40の間隙に支持体41が充填されている。これにより、複数の担持体40は、互いに接触し又は離間した状態で、支持体41に支持されている。供給部材4が水と接触すると、例えば、供給部材4の表層に位置する担持体40から添加剤が供給されて水に溶出する。これにより、表層の担持体40の添加剤の濃度が低下する。その後、供給部材4の内部に位置する担持体40から供給部材4の表層に位置する担持体40に向けて添加剤が移動し、表層の担持体40の添加剤の濃度が上昇する。この表層の担持体40の添加剤が、水に溶出する。この繰り返しにより、供給部材4から外部の水へ添加剤が供給される。
この添加剤としては、フィン5に付着した水分に対し、フィン5に対する接触角を減少させるものであれば、適宜選択可能である。添加剤としては、例えば界面活性剤を例示できる。ここで言う界面活性剤とは、親水基と疎水基とを分子構造に有する化合物を指す。界面活性剤としては、例えばアニオン系界面活性剤であれば、脂肪酸塩、N-アシルサルコシン塩、N-アシルグルタミン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、リンゴ酸アミド、アルカンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、αオレフィンスルホン酸塩、N-アシル-N-メチルタウリン酸塩、N-スルホ脂肪酸エステル、アルキルリン酸等が例示できる。また、カチオン系界面活性剤であれば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化アルキルベンザルコニウム、脂肪酸アミドプロピルカチオン、脂肪酸アミドブチルグアニジン、ジアルキルジメチルアンモニウム塩等が例示できる。また、両性界面活性剤であれば、アルキルジメチル酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、アルキルジメチルヒドロキシスルホベタイン、アミドアミノ酸塩、アルキルアミンオキシド、アルキルイミダゾリニウムベタイン等が例示できる。また、非イオン性界面活性剤であれば、脂肪酸グリセリンエステル、脂肪酸ソルビタンエステル、脂肪酸ショ糖エステル、アルキルポリグルコシド、ポリオキシエチレンプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等のオキシアルキレンアルキルエーテル系界面活性剤を例示できる。界面活性剤はこれに限定されず、使用対象や環境に応じて好適に選択することができる。
供給部材4は、一例として、20重量%以上50重量%以下の支持体41と、10重量%以上30重量%以下の担持体40と、残部から形成される組成物とを含有する。添加剤は、この残部が含有している。供給部材4の組成比率は、これに限定されない。
図2に示すように、添加剤として界面活性剤を用いることで、複数のフィン5に付着した水分に対して添加剤を供給した場合、前記接触角を良好に低減させ、各フィン5の広範囲な面積にわたって添加剤を拡散させることができる。添加剤としては、界面活性剤の他、水溶性の有機溶剤等も例示できる。有機溶剤としてはアルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類等が挙げられる。このうち例えば、低級アルコールが好適である。低級アルコールとしては、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等が例示できる。
本実施形態の添加剤は、フィン5に付着した水分に対して、溶解、分散、又は拡散する。これにより、例えば鉛直方向と交差する方向においても、フィン5に付着した水分に対して、供給部材4から添加剤を迅速に行き渡らせることができる。
次に、供給部材4の製造方法を例示する。一例として、担持体40、支持体41、及び添加剤を加熱混錬してストランドを形成する。このストランドを所定寸法に切断した後、切片を射出成形することで、所望形状の供給部材4が得られる。供給部材4を射出成形により製造すれば、例えば熱交換器3の形状等に合わせて供給部材4の形状を容易に設定できる。このように、材料を加熱混錬し且つ射出成形して供給部材4を製造する場合、担持体40の材質としては、混錬に耐えうる強度を有し、且つ、射出成形時の温度域での耐熱性を有するものが好適である。また支持体41及び添加剤の材質としては、前記射出成形時の温度域での耐熱性を有するものが好適である。
供給部材4の形状は、長尺状に限定されず、例えば楕円球等の球状や直方体等でもよい。単一又は少量の供給部材4を室内機10に配置する場合、例えば、円柱状の供給部材4を、複数のフィン5の配列方向に長手方向が沿うように、熱交換器3の頂部に配置することで、各フィン5の広範囲な面積にわたって添加剤を効率よく拡散させることができる。
供給部材4は、その他の成分を含んでいてもよい。当該成分としては、例えば、前記添加剤とは別の界面活性剤、エステル、塩類、消泡剤、粘度調整剤、香料、着色料、pH調整剤、酸化防止剤、タルクやシリカ等の無機物のうちの少なくとも1つを例示できるが、これに限定されない。また、熱交換システム2が備える供給部材4の数は限定されない。
応用機器1が冷房装置として駆動される際、例えば、室外機が有するコンプレッサーより供給される低温の冷媒が、室内機10の熱交換器3内を流通する。室内の空気は、熱交換器3の複数のフィン5と接触する。これにより室内の空気は、複数のフィン5を介して、熱交換器3の内部を流通する冷媒との間で熱交換されて冷却される。この冷却された空気は、室内機10から室内に排出される。室内の空気は水分を含有しているため、冷媒により冷却されたフィン5が室内の空気に触れることで、フィン5に水分が付着する。熱交換に用いられた冷媒は、室内機10から室外機に送られる。この冷媒は、室外機が有するコンデンサにより、外気との間で熱交換されて凝縮された後、コンプレッサーにより圧縮され、再び室内機10に供給される。
ここで従来、フィンに付着した水分は、例えば凝集して水滴となる。フィンに水滴が付着すると、水の比熱、熱伝導率、潜熱、又は顕熱等の影響により、熱交換器の熱交換効率が低下する。また、複数のフィンに水滴が付着すると、フィン同士の間隙が水滴により閉塞され、熱交換器内の空気の流通が阻害されて熱交換効率が低下する。また、フィンに空気中の不純物が付着してフィンが汚れることによっても熱交換効率が低下する。
これに対して本実施形態では、空気を冷媒との間で熱交換して冷却する際に熱交換器3のフィン5に水分が付着すると、供給部材4から供給される添加剤より、水分のフィン5に対する接触角が減少する。これにより、フィン5の表面の濡れ性が向上し、フィン5の表面に形成される水膜を薄くできる。また、水分の表面張力が低下する(言い換えると水分の表面エネルギーが低下する)ため、フィン5の表面から水分を排出し易くできる。その結果、フィン5に付着した水分により熱交換システム2の熱交換効率が低下したり、フィン5に付着した水分により熱交換器3内の空気の流通が阻害されて熱交換効率が低下するのが防止される。また、フィン5に薄い水膜が形成されることで、フィン5に空気中の不純物が付着した場合でも、不純物が水膜と共に速やかに排出され、フィン5を清浄な状態に維持できる。
また、これらの効果は、フィン5に付着した水分に対し、添加剤が供給部材4により供給されることで持続する。またフィン5に付着した水分に対し、添加剤を供給部材4により供給できる。このため、添加剤を供給する手間を省略できる。従って、熱交換システム2において、駆動中に熱交換器3のフィン5に水分や汚れが付着した場合でも、熱交換システム2の駆動初期から長期間にわたり優れた熱交換効率が得られる。
また本実施形態では、供給部材4から、フィン5に付着した水分に、添加剤が自由落下により供給される。これにより、重力を利用して供給部材4からフィンに添加剤を自動的に効率よく添加できると共に、熱交換システム2の構造を簡素化できる。
また供給部材4が、フィン5と接触するように配置されている。これにより、フィン5に付着した水分に、供給部材4から添加剤を供給し易くできる。
また複数のフィン5が、鉛直方向に延びると共に、鉛直方向に交差する交差方向に並ぶように配置され、供給部材4は、前記交差方向に長尺状であり、複数のフィン5の端面と接触するように配置されている。これにより、複数のフィン5に付着した水分に対し、供給部材4から添加剤を各フィン5の鉛直方向に延びる表面に沿って拡散させて供給し易くできる。
また供給部材4が、熱交換器3に対して着脱自在に配置されている。これにより、熱交換システム2のメンテナンス性を向上でき、必要に応じて供給部材4を容易に交換できる。よって、長期にわたり安定した熱交換効率を維持できる。
また供給部材4は、一例として、添加剤を担持する複数の担持体40と、複数の担持体40を分散させた状態で、添加剤を担持体40から供給部材4の外部へ放出可能に支持する支持体41とを含んでいる。
上記構成によれば、分散された複数の担持体40により添加剤を担持することで、各担持体40から、フィン5に付着した水分に対して広範囲に添加剤を供給し易くできる。また支持体41により、添加剤を複数の担持体40から供給部材4の外部へ放出可能に複数の担持体40を支持することで、担持体40を支持しながら、供給部材4からフィン5に対して添加剤を安定して供給できる。
また担持体40は、多孔質の粒状物である。これにより、担持体40の孔内に豊富な添加剤を保持させて、供給部材4からフィン5に対して添加剤を徐放させ、フィン5に付着した水分に添加剤を熱交換システム2の駆動初期から長期間にわたり供給できる。
また添加剤は、界面活性剤である。これにより、フィン5に付着した水分の接触角を良好に減少させ易くできる。また、添加剤として例えば既存の界面活性剤を利用することで、熱交換システム2の設計自由度を向上できる。
また図1に示すように、本実施形態では、フィン5の表面を流通した添加剤は、室内機10が備えるドレンパン8、9に受け止められる。これにより、例えば添加剤が応用機器1の不要な箇所に付着するのが良好に防止される。
なお、熱交換システム2を備える応用機器1が空調装置である場合、空調装置は、暖房装置を兼ねていてもよい。空調装置が暖房装置として駆動される場合、熱交換システム2は、室外機に搭載されていてもよい。また空調装置は、室内機10及び室外機を備える構成に限定されず、例えば、スポットエアコンやカーエアコンでもよい。また応用機器1は、空調装置に限定されず、例えば冷蔵装置、冷凍装置、乾燥装置等であってもよい。熱交換システム2の用途は、熱交換器3の内部を流通する冷媒と空気とを熱交換器3のフィン5を介して熱交換させて、空気を冷却する用途であればよい。以下、第2実施形態について、第1実施形態との差異を中心に説明する。
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態に係る応用機器101の模式図である。図5は、従来の除霜(デフロスト)前後における熱交換器のフィンとその周辺の様子を模式的に示す図である。図6は、第2実施形態の除霜前後における熱交換器3のフィン5とその周辺の様子を模式的に示す図である。図4に示す応用機器101は、対象物を冷蔵又は冷凍する冷凍装置である。応用機器101は、冷蔵室102、冷凍室103、野菜室104、熱交換器3、及び、熱交換器3に付着した霜を除去する除霜機構105を備える。除霜機構105の除霜方法は、一例として、ヒータ方式である。除霜機構105の除霜方法は、これに限定されず、ホットガス方式、散水方式、オフサイクル方式等、その他の公知の方法のいずれかでもよい。
図5に示すように、従来の冷凍装置では、熱交換器のフィンが氷点下まで冷却されて過冷却状態を経過し、過冷却状態が開放されると、フィンに付着した水分(結露水)が凍結する。これにより、フィンに霜が付着する(図5(a))。このフィンへの霜の付着が繰り返されると、霜が堆積することになる。霜が堆積することで、熱交換効率が低下する。そのため、この状態で除霜機構を作動させることで、フィンに付着した霜が融解して除去される。しかしながら、除霜機構の通常の除霜運転により完全に除霜することは難しく、フィンには若干の水分(霜や水滴)が残留する(図5(b))。フィンに水分が残留した状態で、除霜運転後に冷凍装置が庫内を設定温度まで再冷却する再冷却運転を行うと、水分が再凍結されて、フィンの表面に氷として残留する。この残留分をベースに更なる霜の付着が起こるため、累積的に霜が堆積する。(図5(c))。これにより、熱交換器の正常な熱交換が妨げられ、冷凍装置の熱交換率が低下する。
図6に示すように、これに対して応用機器101では、除霜機構105の除霜運転により、霜が融解して複数の水滴が生じる(図6(a))。水滴の水分は、供給部材4により供給される添加剤により改質される。複数の隣接する水滴は、互いの親水性により結合し、自重によりフィン5の表面を滑落する。これにより、フィン5から霜が除去される(図6(b))。その結果、フィン5からほとんどの水分が排出される。これにより、除霜運転と再冷却運転とを繰り返し行っても、フィン5の表面に累積的に霜が堆積するのが防止される(図6(c))。よって、長期間にわたって応用機器101の優れた熱交換率が得られる。このため、応用機器1の全体での省電力性を向上できる。また、フィン5の表面に対する累積的な霜の堆積が防止されることにより、1回の除霜運転で除霜すべき除霜量を低減できる。これにより、除霜時間が短縮される。また、除霜のために必要な熱量が抑制されることで、除霜運転中における庫内温度の上昇も比較的抑制される。このため、冷蔵又は冷凍される庫内の対象物の温度上昇も抑制できる。また、除霜運転の頻度を低減することもできるため、前述の効果をさらに高めることができる。
次に、本実施形態の変形例を説明する。本変形例に係る応用機器は、室外機を備える空調装置である。この応用機器は、暖房装置として駆動される。この暖房装置として駆動される応用機器としては、ヒートポンプ式の給湯器、ヒートポンプ式の温水暖房装置、給湯による温水暖房装置、及び、電気自動車(EV)専用のヒートポンプ式暖房装置を例示できるが、これに限定されない。この応用機器は、例えば、熱交換器3に付着した霜を除去する除霜機構105を備える。熱交換器3を有する熱交換システム2は、室外機に搭載されている。このような構成を有する本変形例の応用機器でも、応用機器101と同様の効果が得られる。なお、室外機において熱交換器に付着する霜は、雪に由来するものであってもよい。
(確認試験)
[試験1]
熱交換システム2とコンデンサとが同一筐体内に配置され、熱交換器3(エバポレータ)を通過した空気が更にコンデンサを通過して筐体外に排出される構成の市販品の除湿機(SUGGEST(株)製「AR-30HC」)と、供給部材4とを備える応用機器1を実施例1として準備した。
この実施例1では、鉛直方向に延びると共に鉛直方向に交差する交差方向に並ぶように配置された複数のフィン5の上部に、各フィン5の端面と接触するように、長手が水平方向に延びる短冊状の3つの供給部材4を互いに離隔して配置した。また実施例1では、平面視において、両端部の幅寸法が長手方向中央部の幅寸法よりも大きいダンベル型形状の供給部材4を用いた。
また比較例1として、供給部材4の代わりにダミーの板体を用いたこと以外は実施例1と同様の除湿機を準備した。室温27℃、相対湿度(RH)45%の条件下で実施例1及び比較例1を駆動させ、駆動開始後100分経過前までの実施例1と比較例1の性能差を確認した。
その結果、実施例1は、比較例1に比べて、熱交換器3に空気を導入する導入口付近の空気の温度T1と、熱交換器3を通過した直後の空気の温度T2との温度差が大きく、熱交換器3により、空気が冷媒との間で適切に熱交換されることが確認された。
[試験2]
熱交換システム2とコンデンサとが同一筐体内に配置され、熱交換器(エバポレータ)3を通過した空気と、コンデンサを通過した空気とが個別に排出される構成の市販品のスポットエアコン(ハイアール(株)製「JA-SPH25J」)と、供給部材4とを備える応用機器1を実施例2として準備した。実施例2では、機器側面に配置されて熱交換器3に空気を導入する導入口に、長手が水平方向に延びる円柱状の4つの供給部材4を互いに離隔して配置した。また比較例2として、供給部材4を用いないこと以外は実施例2と同様のスポットエアコンを準備した。実施例2及び比較例2を駆動させ、実施例2と比較例2の性能差を確認した。
その結果、実施例2は、吸い込み風速を1m/Sに設定した条件下で、気温が10℃以上35℃以下の範囲において、高湿度になるほど消費電力が低減されることが確認された。また実施例2は、吸い込み風速4m/s以下の範囲において、吸い込み風速が低風速になるほど消費電力が低減されることが確認された。また実施例2は、環境絶対湿度が30.0g/m以下の範囲において、環境絶対湿度が増加するほど、比較例2に比べて除湿量が増大することが確認された。また、気温27度で湿度70%の環境下において、実施例2は、比較例2に比べて、空気の吹出口の相対湿度値が低く、吹出口から排出される空気の温度も低いことが確認された。これにより実施例2は、本試験範囲において安定した除湿性能及び冷却機能を有することが分かった。
[試験3]
空調装置のドレンパンに対し、供給部材4から供給される添加剤と水とを混合したものを実施例3として準備し、水を比較例3として準備した。実施例3として、添加剤を濃度100ppmで含有する実施例3Aと、添加剤を濃度1000ppmで含有する実施例3Bとを準備した。実施例3A、3Bと比較例3とを、空調装置のドレンパンの表面に展開し、一定時間経過後のドレンパン表面の残水量を確認した。
その結果、実施例3A、3Bのいずれも、比較例3に比べて残水量が半分以下程度に抑制されたことが確認された。また実施例3Bは、実施例3Aよりも残水量が少ないことが確認された。これにより、供給部材4を用いた場合、添加剤を水分と接触させることで薄い水膜を形成し、水分をその付着面から早期に除去できることが分かった。よって、供給部材4を熱交換器3に適用した場合、フィン5に水分が残留するのを防止でき、フィン5の表面にカビ等が発生するのを抑制できると考えられる。
[試験4]
次に、大型空調装置の室内機が備える熱交換システム2を準備した。この熱交換システム2の複数のフィン5を有する熱交換器3から、所定サイズ(縦17.5cm、横9.5cm、厚み9mm)の略直方体状の切片(複数のフィン5と流通管6とを含む)を切り出した。この切片の初期重量を、切片を吊るした状態で秤により測定した。その後、スポイトを用いて、所定濃度の添加剤を水に混合した混合液を、切片に供給した。添加剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含有する非イオン性界面活性剤である花王(株)製「エマルゲンLS-106」を用いた。
切片から混合液が垂れ始め、切片に供給した混合液量が飽和した時点から更に3分間放置した後、切片の重量を測定し、その測定重量と前記初期重量との差により、切片の保水量を測定した。試験結果を表1に示す。表1には、各添加剤濃度の混合液について2度ずつ測定した切片の保水量の測定値、前記2つの測定値の平均値である保水量平均値、並びに、添加剤濃度が0のときの保水量平均値Aに対する添加剤濃度が各濃度のときの保水量平均値Bの保水量比率B/Aを示した。
Figure 2022067041000002
表1に示すように、本試験範囲では、添加剤を供給された水(上記混合液)の添加剤濃度が数十ppmでも、フィン5の保水量をほぼ6割以下まで減少できることが確認された。
[試験5]
第2実施形態の変形例に係る、暖房装置として駆動される応用機器を、実施例4として準備した。この応用機器の室外機は、上下方向と水平方向とに配置された複数の熱交換器3を有する。本試験では、水平方向に配置された複数の熱交換器3のうち、当該室外機の外側に位置する熱交換器3に対し、熱交換器3の側面の一部を囲むように、複数の長尺状の供給部材4を、長手を水平にして配置した。また、供給部材4を備えないこと以外は実施例4と同様の応用機器を比較例4として準備した。
実施例4及び比較例4の各応用機器について、JIS C 9612:2013に準拠する低温暖房能力(kW)と、室内の目標温度(20℃)までの温度上昇に要する時間(暖房時間)と除霜に要する時間(除霜時間)との組み合わせである動作サイクル時間との関係を調べた。試験時において、室外の乾球温度は2℃、湿外の湿球温度は1℃、室内の乾球温度は20℃、室内の湿球温度は14.5℃であった。実施例4及び比較例4の各応用機器は、熱交換器の配管温度が基準温度以下となった場合に除霜機構が作動するように設定した。
図7は、試験5の試験結果における応用機器の動作サイクル時間と暖房能力との関係を示すグラフである。図7に示すように、実施例4は、比較例4に比べて、暖房能力の若干(約1%)の向上がみられた。また実施例4は、比較例4に比べて、暖房運転開始後に熱交換器3のフィン5に霜が付着するまでの時間が短く、且つ、暖房能力のピーク後の能力低下勾配が大きい結果となった。しかしながら実施例4は、比較例4に比べて、除霜時間が短縮化された。これにより、動作サイクル時間全体での運転率は、実施例4が比較例4よりも高いことが確認された。具体的に本試験では、実施例4が、比較例4に比べて、当該運転効率が約3%以上向上することが確認された。また実施例4は、比較例4に比べて、除霜中の暖房運転の停止時間が25%低減されることが確認された。これにより実施例4では、除霜運転中に暖房が停止し寒く感じる時間を低減できることが分かった。
[試験6]
第2実施形態に係る冷凍装置である応用機器101を実施例5として準備した。実施例5では、長手が水平方向に延びる円柱状の複数の供給部材4を配置した。また、供給部材を備えないこと以外は実施例5と同様の応用機器を比較例6として準備した。また、熱交換器のフィンに親水性膜を配置したこと以外は比較例6と同様の比較例7を準備した。実施例5及び比較例6、7の各応用機器の元となる構成として、パナソニック(株)製冷蔵庫「NRーF606WPX」を用いた。そして実施例5及び比較例6、7の各応用機器を、空調温度25設定、湿度制御なし(約20RH%)の試験室内に載置した。
金属製のトレー内に、紙製ウエス(日本製紙クレシア(株)製「キムタオル」)1枚と、純水200mLとを入れた試験用物品を複数セット準備した。この試験用物品を用い、金属トレー内の純水により熱交換器に霜が付着するように、実施例5及び比較例6、7の各応用機器に水分負荷を掛けた。また、13時間おきに除霜運転を開始し、除霜運転中に熱交換器の所定位置の周辺温度が10℃に達したときに除霜運転を終了するように各応用機器を設定した。
また各応用機器に対し、異なる負荷レベル(「低程度」、「中程度その1」、「高程度」、及び「中程度その2」)の負荷を、各一定期間、同順に掛けて駆動させた。各負荷レベルの設定内容を以下の表2に示す。「低程度」では、合計3セットの試験用物品を用い、冷蔵室に2セットの試験用物品を配置し、野菜室に1セットの試験用物品を配置した。「中程度その1」、「高程度」、及び「中程度その2」では、合計5セットの試験用物品を用い、冷蔵室にセットの試験用物品を配置し、野菜室にセットの試験用物品を配置した。表2に示すように、「中程度その2」は、試験用物品数が「低程度」よりも多い点で「低程度」よりも負荷が大きく、且つ、扉の開閉負荷がない点で「中程度その1」よりも負荷が小さい。
Figure 2022067041000003
図8は、試験6の試験結果における除霜回数と除霜時間との関係を示すグラフである。図9は、試験6の試験結果における除霜回数と冷却時間との関係を示すグラフである。図中の「中その1」は「中程度その1」、「中その2」は「中程度その2」を示す。図8に示すように、実施例5は、比較例6及び7に比べて、全ての負荷レベルにおいて、除霜時間が短縮されることが確認された。また除霜時間は、実施例5、比較例7、及び比較例6の順に長くなることが確認された。また図9に示すように、実施例5は、負荷レベルが「低程度」、「中程度その1」、及び、「中程度その2」のいずれである場合も、除霜後の再冷却時間をほぼ初期値のままで維持できることが分かった。図8及び9に示すように、比較例6及び7は、除霜回数の増加(応用機器の運転時間の経過)に伴い、熱交換器に付着して残留する霜の堆積量が増加したため、実施例5に比べて、除霜時間及び除霜後の再冷却時間の両方が増大する結果となった。
また別の試験によれば、負荷レベルが「低程度」の場合、実施例5は、比較例6に比べて、除霜時間中の消費電力量を38.1%低減できることが確認された。またこの場合、実施例5は、比較例6に比べて、運転全体の消費電力量(起動時、安定時、除霜運転直前、除霜運転中、及び、除霜後の再冷却期間の合計の消費電力量)を12%低減できることが確認された。
ここで図10は、除霜前の実施例5の熱交換器3の様子を示す写真である。図11は、除霜後の実施例5の熱交換器3の様子を示す写真である。図12は、除霜前の比較例6の熱交換器の様子を示す写真である。図13は、除霜後の比較例6の熱交換器の様子を示す写真である。図14は、除霜前の比較例7の熱交換器の様子を示す写真である。図15は、除霜後の比較例7の熱交換器の様子を示す写真である。図11、13、15は、応用機器の運転開始後、17回目の除霜運転を行う直前の熱交換器の様子を示す。
図10及び11に示すように、実施例5では、負荷レベルが「低程度」、「中程度その1」、及び、「中程度その2」のいずれの場合でも、除霜運転によって熱交換器3に付着したほぼ全ての霜が除霜されることが確認された。また実施例5では、負荷レベルが上記いずれの場合でも、隣接するフィン5同士を接続するように形成される霜のブリッジは確認されなかった。図12及び13に示すように、これに対して比較例6では、除霜運転後もフィンに相当量の水滴状の霜が残留し、霜が累積的に堆積することが分かった。また比較例6では、熱交換器の下側に前記ブリッジが形成されることが確認された。また図14及び15に示すように、比較例7では、除霜運転によりある程度の量の霜が除霜されるものの、親水性膜が配置されていない熱交換器のフィンの端部や端面、及び、流通管の表面に、水滴状の霜の塊が局所的に残留することが確認された。
このように実施例5の除霜効果が高い理由としては、供給部材4により供給される添加剤により、フィン5に付着した水分が改質されることが考えられる。即ち実施例5では、フィン5に付着した水分が添加剤と接触することで改質され、水分がフィン5から滑落して排水(液切れ)が促進される。これに対して比較例7では、フィンの表面に配置された親水性膜の作用により水分が多少除去し易くなるものの、水分自体は改質されていない。従って、フィンの親水性膜がない部分では、水分はフィンから滑落しにくいものと考えられる。また比較例6は、水分が添加剤により改質されず、フィンの表面に親水性膜も配置されていないため、除霜前後にわたって、フィンの表面に水分が比較的付着し易い状態になっていたものと考えられる。
図16は、試験6の試験結果における運転時間と冷凍室温度との関係を示すグラフである。図16は、負荷レベルが「高程度」における実施例5と比較例6との比較結果を示している。図16に示すように、実施例5は、負荷レベルが「高程度」であっても、比較例6に比べて、庫内温度が安定しており、除霜運転中の冷凍室の温度上昇が最大でも4.4℃であったことが確認された。これに対し、同様の条件下では、比較例6の温度上昇が、最大で11.1℃に達したことが確認された。
図17は、試験6の試験結果における除霜回数と冷凍室温度との関係を示すグラフである。図17に示すように、負荷レベルを「低程度」、「中程度その1」、「高程度」、及び「中程度その2」の間で変化させた場合でも、実施例5は、比較例6及び7に比べて、除霜運転中の冷凍庫内の温度変化を抑制できることが確認された。実施例5によれば、冷蔵庫内の温度を安定に保ち、冷蔵品質及び冷凍品質を向上できると考えられる。
本開示は、上記各実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、その構成及び方法を変更、追加、又は削除できる。供給部材4により供給される添加剤は、複数成分を含有していてもよい。添加剤が複数成分を含有する場合、添加剤は、例えば、水分のフィン5に対する接触角を減少させる機能を有する第1成分と、前記接触角を減少させるように第1成分の機能を活性化させる第2成分とを含んでいてもよい。
また供給部材4は、フィン5に付着した水分に添加剤を供給可能に配置されていればよい。このため、例えば供給部材4とフィン5とは離隔して配置されていてもよい。この場合、フィン5に付着した水分に対し、供給部材4の添加剤が滴下されてもよいし、供給部材4とは別個の部材を通じて添加剤が供給されてもよい。
1、101 応用機器
2 熱交換システム
3 熱交換器
4 供給部材
5 フィン
10 室内機
40 担持体
41 支持体
105 除霜機構

Claims (13)

  1. 水分を含有する空気と接触する複数のフィンを有し、内部を流通する冷媒と、前記空気との間で、前記フィンを介して熱交換することで前記空気を冷却する熱交換器と、
    前記冷却により前記フィンに付着した水分に、前記フィンに対する接触角を減少させる添加剤を供給する供給部材と、を備える、熱交換システム。
  2. 前記供給部材から、前記フィンに付着した水分に、前記添加剤が自由落下により供給される、請求項1に記載の熱交換システム。
  3. 前記供給部材が、前記フィンと接触するように配置されている、請求項1又は2に記載の熱交換システム。
  4. 前記複数のフィンが、鉛直方向に延びると共に、前記鉛直方向に交差する交差方向に並ぶように配置され、
    前記供給部材は、前記交差方向に長尺状であり、前記複数のフィンの端面と接触するように配置されている、請求項3に記載の熱交換システム。
  5. 前記供給部材が、前記熱交換器に対して着脱自在に配置されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の熱交換システム。
  6. 前記供給部材は、前記添加剤を担持する複数の担持体と、前記複数の担持体を分散させた状態で、前記添加剤を前記担持体から前記供給部材の外部へ放出可能に支持する支持体とを含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の熱交換システム。
  7. 前記担持体は、多孔質の粒状物である、請求項6に記載の熱交換システム。
  8. 前記添加剤は、界面活性剤である、請求項1~7のいずれか1項に記載の熱交換システム。
  9. 前記添加剤は、前記フィンに付着した水分に対して、溶解、分散、又は拡散する、請求項1~8のいずれか1項に記載する熱交換システム。
  10. 請求項1~9のいずれかに記載の熱交換システムを備える、応用機器。
  11. 室内機を備える空調装置であり、
    前記熱交換システムが、前記室内機に搭載されている、請求項10に記載の応用機器。
  12. 室外機を備える空調装置であり、
    前記熱交換器に付着した霜を除去する除霜機構を備え、
    前記熱交換システムが、前記室外機に搭載されている、請求項10又は11に記載の応用機器。
  13. 前記熱交換器に付着した霜を除去する除霜機構を備え、対象物を冷蔵又は冷凍する冷凍装置である、請求項10に記載の応用機器。
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