JP2022066853A - ポリアスパラティック塗料組成物、塗膜、及び塗装物品 - Google Patents

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聡志 竹野
Satoshi Takeno
陽子 田中
Yoko Tanaka
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Abstract

【課題】無溶剤条件下における粘度及びポットライフが良好であり、且つ、塗膜としたときの外観、耐薬品性、耐衝撃性、及び耐擦り傷性に優れるポリアスパラティック塗料組成物を提供する。【解決手段】ポリアスパラティック塗料組成物は、一般式(I)で表されるアスパラギン酸エステル化合物(A)と、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートからなる群より選ばれる1種以上のジイソシアネートモノマーから誘導されるポリイソシアネート組成物(B)と、を含み、前記ポリイソシアネート組成物(B)の総質量に対して、式(II)で表されるイソシアヌレート3量体を50質量%以上80質量%以下含み、前記ポリアスパラティック塗料組成物は、無溶剤条件下で調整直後の25℃における粘度が100mPa・s以上1500mPa・s以下である。[化1]TIFF2022066853000015.tif31170【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアスパラティック塗料組成物、塗膜、及び塗装物品に関する。
ポリウレア塗料組成物のうち脂肪族系であるポリアスパラティック塗料組成物は、アミノ基を含有するアスパラギン酸エステル化合物並びにイソシアネート基を含有する脂肪族及び/又は脂環族ポリイソシアネート組成物から形成される。芳香族系ポリウレア塗料組成物の欠点である紫外線暴露で塗膜黄変することが大きく低減されて、従来から各種塗料、床材、防水材等の広範囲な用途で利用されている。
アスパラギン酸エステル化合物は、ポリウレタン塗料組成物の主剤ポリオールと比較して粘度が低く、ポリアスパラティック塗料組成物中の希釈溶剤を大幅に低減させられるために、ハイソリッド処方や無溶剤処方とすることが可能である。また、アスパラギン酸エステル化合物のアミノ基と脂肪族及び/又は脂環族ポリイソシアネートのイソシアネート基との反応性が速いために、ポリアスパラティック塗料組成物はポリウレタン塗料組成物と比較して室温下でも硬化速度が速く、機械強度に優れているという特長を有している。
例えば、特許文献1には、ポリアスパラギン酸エステル化合物と、イソシアヌレート基、イミノオキサジアジンジオン基、ウレトジオン基、アロファネート基、及びビウレット基の含有量(モル%)が所定の関係にあるポリイソシアネート組成物と、を含有するポリアスパラティック塗料組成物が開示されている。当該ポリアスパラティック塗料組成物において、前記ポリイソシアネート組成物はハイソリッド処方や無溶剤処方に適した低粘度で、硬化性や乾燥性を維持しつつ、当該ポリアスパラティック塗料組成物を使用した塗膜が耐薬品性や硬度及び耐候性にも優れるという特長を有している。
国際公開第2018/163953号
しかしながら、特許文献1に提案されるようなポリアスパラティック塗料組成物については、ポリイソシアネート組成物の粘度は記載されているが、ポリアスパラティック塗料組成物の粘度については何ら言及されていない。また、ハイソリッド化は達成しているものの、塗料に希釈溶剤を加える必要があるため、無溶剤処方とすることに関して更なる改善の余地を有している。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、無溶剤条件下における粘度及びポットライフが良好であり、且つ、塗膜としたときの外観、耐薬品性、耐衝撃性、及び耐擦り傷性に優れるポリアスパラティック塗料組成物を提供する。また、前記ポリアスパラティック塗料組成物を用いた塗膜及び塗装物品を提供する。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
(1) 下記一般式(I)で表されるアスパラギン酸エステル化合物(A)と、
脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートからなる群より選ばれる1種以上のジイソシアネートモノマーから誘導されるポリイソシアネート組成物(B)と、
を含む、ポリアスパラティック塗料組成物であって、
前記ポリイソシアネート組成物(B)の総質量に対して、下記式(II)で表されるイソシアヌレート3量体を50質量%以上80質量%以下含み、
前記ポリアスパラティック塗料組成物は、無溶剤条件下で調整直後の25℃における粘度が100mPa・s以上1500mPa・s以下である、ポリアスパラティック塗料組成物。
Figure 2022066853000001
(一般式(I)中、X11は、n11価のポリアミンの第一級アミノ基を除去することによって得られたn価の有機基である。R11及びR12は反応条件下でイソシアネート基に対して不活性である同じ又は異なった有機基である。n11は2以上の整数である。)
Figure 2022066853000002
(2) 前記ポリイソシアネート組成物(B)の総質量に対して、下記式(III)で表されるウレトジオン2量体を1質量%以上20質量%以下更に含む、(1)に記載のポリアスパラティック塗料組成物。
Figure 2022066853000003
(3) 前記ポリイソシアネート組成物(B)は、25℃における粘度が10mPa・s以上1000mPa・s以下である、(1)又は(2)に記載のポリアスパラティック塗料組成物。
(4) 反応性が互いに異なる2種類の前記アスパラギン酸エステル化合物(A)を含む、(1)~(3)のいずれか一つに記載のポリアスパラティック塗料組成物。
(5) 前記ポリイソシアネート組成物(B)のイソシアネート基に対する前記アスパラギン酸エステル化合物(A)のアミノ基のモル比が1/10以上10/1以下である、(1)~(4)のいずれか一つに記載のポリアスパラティック塗料組成物。
(6) 前記ジイソシアネートモノマーが、ヘキサメチレンジイソシアネートを含む、(1)~(5)のいずれか一つに記載のポリアスパラティック塗料組成物。
(7) (1)~(6)のいずれか一つに記載のポリアスパラティック塗料組成物を硬化させてなる、塗膜。
(8) (7)に記載の塗膜を備える、塗装物品。
上記態様のポリアスパラティック塗料組成物によれば、無溶剤条件下における粘度及びポットライフが良好であり、且つ、塗膜としたときの外観、耐薬品性、耐衝撃性、及び耐擦り傷性に優れるポリアスパラティック塗料組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
なお、本明細書において、「ポリオール」とは、2つ以上のヒドロキシ基(-OH)を有する化合物を意味する。
本明細書において、「ポリイソシアネート」とは、1つ以上のイソシアネート基(-NCO)を有する単量体化合物(以下、「イソシアネートモノマー」と略記する)が複数結合した反応物を意味する。
≪ポリアスパラティック塗料組成物≫
本実施形態のポリアスパラティック塗料組成物は、下記一般式(I)で表されるアスパラギン酸エステル化合物(A)と、
脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートからなる群より選ばれる1種以上のジイソシアネートモノマーから誘導されるポリイソシアネート組成物(B)と、
を含む。
Figure 2022066853000004
(一般式(I)中、X11は、n11価のポリアミンの第一級アミノ基を除去することによって得られたn価の有機基である。R11及びR12は反応条件下でイソシアネート基に対して不活性である同じ又は異なった有機基である。n11は2以上の整数である。)
ポリイソシアネート組成物(B)は、該ポリイソシアネート組成物の総質量に対して、下記式(II)で表されるイソシアヌレート3量体を50質量%以上80質量%以下含み、55質量%以上75質量%以下含むことが好ましく、60質量%以上70質量%以下含むことがより好ましく、62質量%以上68質量%以下含むことがさらに好ましい。
イソシアヌレート3量体の含有量が上記下限値以上であることで、耐薬品性が発現できる。一方で、上記上限値以下であることで、良好な塗膜外観とすることができる。
Figure 2022066853000005
イソシアヌレート3量体の含有量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)測定を行い、クロマトグラムの総面積に対する数平均分子量504相当の面積の割合を算出することで得られる。具体的なGPC測定条件は、後述する実施例に記載のとおりである。
イソシアヌレート3量体の含有量を上記範囲内とする方法としては、例えば、後述する「ポリイソシアネート組成物の製造方法」に記載の方法を適宜使用して調整する方法等が挙げられる。
本実施形態のポリアスパラティック塗料組成物は、無溶剤条件下で調整直後での25℃における粘度が100mPa・s以上1500mPa・s以下であり、200mPa・s以上1400mPa・s以下であることが好ましく、300mPa・s以上1300mPa・s以下であることがより好ましく、400mPa・s以上1200mPa・s以下であることがさらに好ましい。
粘度が上記下限値以上であることで、作業時の塗料のダレを抑え、作業性が良好なものとなる。一方で、粘度が上記上限値以下であることで、ポットライフを良好にし、且つ、塗膜としたときの外観が向上する。
ポリアスパラティック塗料組成物の粘度は、無溶剤条件下で調整直後に25℃環境下で、例えば、E型粘度計(商品名:RE-85R、東機産業社製)及び標準ロータ(1°34’×R24)を用いて、測定することができる。
ポリアスパラティック塗料組成物の粘度を上記範囲内とする方法としては、例えば、粘度が適当な範囲内であるアスパラギン酸エステル化合物(A)及び/又はポリイソシアネート組成物(B)を選択する方法等が挙げられる。
本実施形態のポリアスパラティック塗料組成物は、上記構成を有することで、無溶剤条件下における粘度及びポットライフが良好であり、且つ、外観、耐薬品性、耐衝撃性、及び耐擦り傷性に優れる塗膜が得られる。
以下、本実施形態のポリアスパラティック塗料組成物の各構成成分について詳細を説明する。
<アスパラギン酸エステル化合物(A)>
本実施形態のポリアスパラティック塗料組成物は、主剤成分としてアスパラギン酸エステル化合物(A)を含む。アスパラギン酸エステル化合物(A)は、下記式(I)で表される化合物である。
Figure 2022066853000006
前記一般式(I)中、X11は、n11価のポリアミンの第一級アミノ基を除去することによって得られたn価の有機基である。R11及びR12は反応条件下でイソシアネート基に対して不活性である同じ又は異なった有機基である。n11は2以上の整数である。
式(I)中のX11は、特に限定されないが、耐黄変性の観点から、芳香族基を有さない脂肪族及び/又は脂環族ポリアミンに基づく有機基であることが好ましく、例えば、下記群から選ばれるn11価のポリアミン:エチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、2,5-ジアミノ-2,5-ジメチルヘキサン、2,2,4-及び/又は2,4,4-トリメチル-1,6-ジアミノヘキサン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、1-アミノ-3,3,5-トリメチル-5-アミノメチルシクロヘキサン、2,4-及び/又は2,6-ヘキサヒドロトリレンジアミン、2,4’-及び/又は4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,4,4’-トリアミノ-5-メチルジシクロヘキシルメタン、並びに148以上6000以下の数平均分子量を有し、第一級アミノ基が脂肪族的に結合したポリエーテルポリアミン等に基づく有機基である。
中でも、X11としては、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、2,2,4-及び/又は2,4,4-トリメチル-1,6-ジアミノヘキサン、1-アミノ-3,3,5-トリメチル-5-アミノメチルシクロヘキサン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、又は3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンに基づく有機基であることが好ましい。また、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、又は3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンに基づく有機基であることより好ましい。
式(I)中のR11及びR12に規定した、「反応条件下でイソシアネート基に対して不活性」とは、これらの基が、水酸基、アミノ基、又はチオール基のようなツェレビチノフ活性水素含有基(CH酸性化合物)を有さないことを意味する。
11及びR12は相互に独立に、炭素数1以上10以下のアルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、又はブチル基であることがより好ましい。
式(I)中のn11は、2以上6以下の整数であることが好ましく、2以上4以下の整数であることがより好ましく、2であることがさらに好ましい。
好ましいアスパラギン酸エステル化合物(A)としては、例えば、二級アミノ基を有するアスパラギン酸2分子と4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン1分子から誘導されるアスパラギン酸エステル化合物等が挙げられる。
アスパラギン酸エステル化合物(A)は市販品を用いてもよい。アスパラギン酸エステル化合物(A)の市販品としては、例えば、Evonik社製の商品名「Amicure IC-221」(アミン価188mgKOH/樹脂g、粘度450mPa.s(25℃測定代表値))、「Amicure IC-321」(アミン価190mgKOH/樹脂g、粘度450mPa.s(25℃測定代表値))、「Amicure IC-322」(アミン価189mgKOH/樹脂g、粘度150mPa.s(25℃測定代表値));Feiyang社製の商品名「Feispartic F420」(アミン価192mgKOH/樹脂g、粘度1450mPa.s(25℃測定代表値))、「Feispartic F520」」(アミン価189mgKOH/樹脂g、粘度1400mPa.s(25℃測定代表値))等が挙げられる。
上述したアスパラギン酸エステル化合物(A)は1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
中でも、本実施形態のポリアスパラティック塗料組成物は、反応性が互いに異なる2種類のアスパラギン酸エステル化合物(A)を組み合わせて配合することが好ましい。これにより、ポットライフをより良好なものとし、且つ、得られる塗膜の外観がより良好なものとなる。
なお、ここでいう反応性とは、硬化剤成分(例えば、ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基)との反応性を意味する。アスパラギン酸エステル化合物(A)の硬化剤成分との反応性はアスパラギン酸エステル化合物のアミン価を指標として評価することができる。
アスパラギン酸エステル化合物(A)の製造方法は特に限定されないが、例えば、下記式(IV)で表される第一級ポリアミンと、下記式(V)で表されるマレイン酸エステル又はフマル酸エステルとの反応によって製造される。
11-[NHn11 (IV)
11OOC-CH=CH-COOR12 (V)
(上記式中、X11、R11、R12、n11は、式(I)で表されるものと同義である。)
適当なポリアミンとしては、特に限定されないが、例えば、X11の基礎として上記したジアミンである。
また、適当なマレイン酸エステル又はフマル酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、式(I)中のR11及びR12に規定した基をR11及びR12として有するマレイン酸エステル又はフマル酸エステルである。中でも、R11及びR12が炭素数1以上10以下のアルキル基であるマレイン酸エステル又はフマル酸エステルが好ましく、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、又はフマル酸ジブチルがより好ましい。
記載された出発物質からのアスパラギン酸エステル化合物の調製は、0℃以上100℃以下の温度範囲で行なうことが好ましい。当該出発物質は、第一級アミノ基の各々において、少なくとも1つ、好ましくは1つだけオレフィン二重結合が存在するような比率で使用される。所望によって、反応後は蒸留することで、過剰に使用した出発原料を除去することができる。反応はバルクで、又は適当な溶剤(特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール又はジオキサン、或いはこのような溶剤の混合物)の存在下で行なうことができる。
<ポリイソシアネート組成物(B)>
本実施形態のポリアスパラティック塗料組成物は、硬化剤成分として、ポリイソシアネート組成物(B)を含む。ポリイソシアネート組成物(B)は、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートからなる群より選ばれる1種以上のジイソシアネートモノマーから誘導されたもの、すなわち、2分子以上のジイソシアネートモノマーの反応物である。
ポリイソシアネート組成物(B)は、該ポリイソシアネート組成物(B)の総質量に対して、下記式(III)で表されるウレトジオン2量体を1質量%以上20質量%以下更に含むことが好ましく、3質量%以上18質量%以下更に含むことがより好ましく、5質量%以上16質量%以下更に含むことがさらに好ましく、7質量%以上14質量%以下更に含むことが特に好ましい。
ウレトジオン2量体の含有量が上記下限値以上であることで、ポットライフをより良好なものとすることができる。また、塗膜としたときの外観をより向上させることができる。一方、上記上限値以下であることで、塗膜としたときの耐薬品性及び耐衝撃性をより良好なものとすることができる。
Figure 2022066853000007
ウレトジオン2量体の含有量は、例えば、GPC測定を行い、クロマトグラムの総面積に対する数平均分子量336相当の面積の割合を算出することで得られる。具体的なGPC測定条件は、後述する実施例に記載のとおりである。
ウレトジオン2量体の含有量を上記範囲内とする方法としては、例えば、後述する「ポリイソシアネート組成物の製造方法」に記載の方法を適宜使用して調整する方法等が挙げられる。
[ジイソシアネートモノマー]
ジイソシアネートモノマーは、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートからなる群より選ばれる1種以上である。
脂肪族ジイソシアネートとしては、特に限定されないが、炭素数4以上30以下の脂肪族ジイソシアネートであることが好ましく、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「HDI」と略す)、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。その中でも、工業的入手の容易さからHDIがより好ましい。上記に示した脂肪族ジイソシアネートは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
脂環族ジイソシアネートとしては、特に限定されないが、炭素数8以上30以下の脂環族ジイソシアネートであることが好ましく、例えば、イソホロンジイソシアネート(以下、「IPDI」と略す)、1,3-ビス(イソシアナトメチル)-シクロヘキサン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。その中でも、耐候性及び工業的入手の容易さから、IPDIがより好ましい。上記に示した脂環族ジイソシアネートは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ジイソシアネートモノマーとしては、1種以上の脂肪族ジイソシアネートと、1種以上の脂環族ジイソシアネートとを組み合わせて用いることもできる。
[ポリイソシアネート組成物(B)の製造方法]
ポリイソシアネート(B)の製造方法を以下に説明する。
ポリイソシアネート組成物(B)は、イソシアヌレート基を形成するイソシアヌレート化反応、ウレトジオン基を形成するウレトジオン化反応を、過剰のジイソシアネートモノマー存在下で一度に製造して、反応終了後に、未反応のジイソシアネートモノマーを除去して得ることができる。
また、上記の反応を別々に行ない、それぞれ得たポリイソシアネートを特定比率で混合してもよい。ここで、製造の簡便さからは、上記反応を一度に行ないポリイソシアネートを得ることが好ましく、各官能基の含有量を自由に調整する観点からは、別々に製造した後に混合することが好ましい。
ジイソシアネートモノマーからイソシアヌレート基を含有するポリイソシアネートを誘導するための触媒としては、一般的に使用されるイソシアヌレート化反応触媒が挙げられる。イソシアヌレート化反応触媒としては、特に限定されないが、好ましくは一般に塩基性を有するもので、例えば、(1)テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイド;その酢酸塩、オクチル酸塩、ミリスチン酸塩、安息香酸塩等の有機弱酸塩、(2)トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム等のヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイド;その酢酸塩、オクチル酸塩、ミリスチン酸塩、安息香酸塩等の有機弱酸塩、(3)酢酸、カプロン酸、オクチル酸、ミリスチン酸等のアルキルカルボン酸の錫、亜鉛、鉛等の金属塩、(4)ナトリウム、カリウム等の金属アルコラート、(5)ヘキサメチレンジシラザン等のアミノシリル基含有化合物、(6)マンニッヒ塩基類、(7)第3級アミン類とエポキシ化合物との併用、(8)トリブチルホスフィン等の燐系化合物が挙げられる。
この中で、不要な副生成物を生じさせにくい観点から、4級アンモニウムの有機弱酸塩であることが好ましく、テトラアルキルアンモニウムの有機弱酸塩であることがより好ましい。
上述したイソシアヌレート化反応触媒の使用量の上限値は、仕込んだイソシアネートモノマーの質量に対して、1000質量ppmであることが好ましく、500質量ppmであることがより好ましく、100質量ppmであることがさらに好ましい。
一方、上述したイソシアヌレート化反応触媒の使用量の下限値は、特別な限定はないが、例えば、10質量ppmであってもよい。
イソシアヌレート化反応温度としては、50℃以上120℃以下であることが好ましく、60℃以上90℃以下であることがより好ましい。イソシアヌレート化反応温度が上記上限値以下であることによって、ポリイソシアネートの着色等をより効果的に抑制できる傾向にある。
所望の転化率(仕込んだイソシアネートモノマーの質量に対する、イソシアヌレート化反応で生成したポリイソシアネートの質量の割合)になった時点で、イソシアヌレート化反応を、酸性化合物(例えば、リン酸、酸性リン酸エステル等)の添加によって停止する。
なお、ポリイソシアネートを得るためには、反応の進行を初期で停止する必要がある。しかしながら、イソシアヌレート化反応は、初期の反応速度が非常に速いため、反応の進行を初期で停止することに困難が伴い、反応条件、特に触媒の添加量及び添加方法は慎重に選択する必要がある。例えば、触媒の一定時間毎の分割添加方法等が好適なものとして推奨される。
したがって、ポリイソシアネートを得るためのイソシアヌレート化反応の転化率は、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。
イソシアヌレート化反応の転化率が上記上限値以下であることによって、ポリイソシアネート組成物(B)をハイソリッド処方や無溶剤処方により適した低粘度とすることができる。
また、イソシアヌレート基を含有するポリイソシアネートを誘導する際に、上記イソシアネートモノマー以外に1価以上6価以下のアルコールを用いることができる。
使用することのできる1価以上6価以下のアルコールとしては、例えば、非重合性アルコール、重合性アルコールが挙げられる。
非重合性アルコールとしては、例えば、モノアルコール類、ジオール類、トリオール類、テトラオール類等の多価アルコールが挙げられる。
モノアルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、n-ペンタノール、n-ヘキサノール、n-オクタノール、n-ノナノール、2-エチルブタノール、2,2-ジメチルヘキサノール、2-エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、エチルシクロヘキサノール等が挙げられる。
ジオール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2-メチル-1,2-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール、2-エチル-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、2,2,4-トリメチルペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。
トリオール類としては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
テトラオール類としては、例えば、ペンタエリトリトール等が挙げられる。
重合性アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、重合性アルコールの水酸基平均数は、3以上8以下が好ましく、3以上6以下がより好ましく、3以上5以下がさらに好ましく、3又は4が特に好ましい。
重合性アルコールとして具体的には、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等、アクリルポリオール類、ポリオレフィンポリオール類等が挙げられる。
イソシアネートモノマーからウレトジオン基を有するポリイソシアネート含有ポリイソシアネートを誘導する場合は、例えば、イソシアネートモノマーを、ウレトジオン化反応触媒を用いて、又は、熱により、多量化することによって製造することができる。
ウレトジオン化反応触媒としては、特に限定されないが、例えば、例えば、トリアルキルホスフィン、トリス(ジアルキルアミノ)ホスフィン、シクロアルキルホスフィン等の第3ホスフィン、ルイス酸等が挙げられる。
トリアルキルホスフィンとしては、例えば、トリ-n-ブチルホスフィン、トリ-n-オクチルホスフィン等が挙げられる。
トリス(ジアルキルアミノ)ホスフィンとしては、例えば、トリス-(ジメチルアミノ)ホスフィン等が挙げられる。
シクロアルキルホスフィンとしては、例えば、シクロヘキシル-ジ-n-ヘキシルホスフィン等が挙げられる。
ルイス酸としては、例えば、三フッ化ホウ素、酸塩化亜鉛等が挙げられる。
ウレトジオン化反応触媒の多くは、同時にイソシアヌレート化反応も促進しうる。
ウレトジオン化反応触媒を用いる場合には、所望の転化率(仕込んだジイソシアネートモノマーに対するウレトジオン化反応で生成したポリイソシアネートの質量割合)となった時点で、リン酸、パラトルエンスルホン酸メチル等のウレトジオン化反応触媒の失活剤を添加してウレトジオン化反応を停止する。反応停止後、必要があれば、濾過する。
また、ウレトジオン化反応触媒を用いることなく、上記脂肪族ジイソシアネート及び上記脂環族ジイソシアネートからなる群より選ばれる1種以上のジイソシアネートを加熱してウレトジオン基を有するポリイソシアネートを得る場合、その加熱温度は、120℃以上が好ましく、130℃以上170℃以下がより好ましく、140℃以上160℃以下がさらに好ましい。また、加熱時間は30分間以上4時間以下が好ましく、1時間以上3時間以下がより好ましく、1時間以上2時間以下がさらに好ましい。
上述したイソシアヌレート化反応、及びウレトジオン化反応は、それぞれ逐次行なうこともでき、或いは、そのいくつかを並行して行なうこともできる。中でも、イソシアヌレート化反応を先行させて、その後、ウレトジオン化反応を行なうことが好ましい。また、製造工程をより簡略化できることから、イソシアヌレート化反応を先行させて、その後、熱によるウレトジオン化反応を行なうことがより好ましい。
反応終了後の反応液から、未反応ジイソシアネートモノマーを薄膜蒸留、抽出等により除去し、本実施形態で用いられるポリイソシアネートを得ることができる。
得られたポリイソシアネートに対して、例えば、貯蔵時の着色を抑制する目的で、酸化防止剤や紫外線吸収剤を添加してもよい。酸化防止剤としては、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-p―クレゾール等のヒンダードフェノール等が挙げられる。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、或いは、2種以上を併用してもよい。これらの添加量は、ポリイソシアネート組成物(B)の総質量に対して、10質量ppm以上500質量ppm以下であることが好ましい。
[ポリイソシアネート組成物(B)の物性]
ポリイソシアネート組成物(B)のイソシアネート含有量(以下、「NCO含有量」ともいう)の下限値は、当該ポリイソシアネート組成物(B)の総質量(100質量%)に対して、10質量%であることが好ましく、13質量%であることがより好ましく、15質量%であることがさらに好ましい。一方で、ポリイソシアネート組成物(B)のNCO含有量の上限値は、30質量%であることが好ましく、27質量%であることがより好ましく、25質量%であることがさらに好ましい。
すなわち、ポリイソシアネート組成物(B)のNCO含有量は、10質量%以上30質量%以下であることが好ましく、13質量%以上27質量%以下であることがより好ましく、15質量%以上25質量%以下であることがさらに好ましい。
NCO含有量が上記下限値以上であることによって、耐薬品性をより維持することができる傾向にある。一方、NCO含有量が上記上限値以下であることによって、ジイソシアネートモノマー質量濃度をより好適な範囲に調整することができる傾向にある。
NCO含有量は、例えば、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
ポリイソシアネート組成物(B)の25℃における粘度の下限値は、10mPa・sであることが好ましく、100mPa・sであることがより好ましく、200mPa・sであることがさらに好ましく、300mPa・sであることが特に好ましい。一方、粘度の上限値は、1000mPa・sであることが好ましく、800mPa・sであることがより好ましく、600mPa・sであることがさらに好ましく、500mPa・sであることが特に好ましい。
すなわち、ポリイソシアネート組成物(B)の25℃における粘度は、10mPa・s以上1000mPa・s以下であることが好ましく、100mPa・s以上800mPa・s以下であることがより好ましく、200mPa・s以上600mPa・s以下であることがさらに好ましく、300mPa・s以上500mPa・s以下であることが特に好ましい。
粘度が上記下限値以上であることにで、塗料配合時の作業性をより維持することができる傾向にある。一方で、粘度が上記上限値以下であることで、本実施形態のポリアスパラティック塗料組成物の無溶剤条件下での調整直後の25℃における粘度が無溶剤処方により適した粘度であり、本実施形態のポリアスパラティック塗料組成物のポットライフをより延長させることができる傾向にある。
粘度は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
ポリイソシアネート組成物(B)の数平均分子量の下限値は、350が好ましく、400がより好ましく、450がさらに好ましく、500が特に好ましい。一方で、数平均分子量の上限値は、900が好ましく、800がより好ましく、700がさらに好ましく、600が特に好ましい。
すなわち、ポリイソシアネート組成物(B)の数平均分子量は、350以上900以下が好ましく、400以上800以下がより好ましく、450以上700以下がさらに好ましく、500以上600以下が特に好ましい。
数平均分子量が上記下限値以上であることによって、耐薬品性をより維持することができる傾向にある。一方で、数平均分子量が上記上限値以下であることによって、本実施形態のポリアスパラティック塗料組成物の無溶剤条件下での調整直後の25℃における粘度が無溶剤処方により適した粘度であり、本実施形態のポリアスパラティック塗料組成物のポットライフをより延長させることができる傾向にある。
数平均分子量は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
ポリイソシアネート組成物(B)のイソシアネート基平均数の下限値は2.0が好ましく、2.2がより好ましく、2.4がさらに好ましく、2.6が特に好ましく、2.8が最も好ましい。一方で、イソシアネート基平均数の上限値は6.0が好ましく、5.0がより好ましく、4.0がさらに好ましく、3.5が特に好ましく、3.0が最も好ましい。
すなわち、ポリイソシアネート組成物(B)のイソシアネート基平均数は、2.0以上6.0以下が好ましく、2.2以上5.0以下がより好ましく、2.4以上4.0以下がさらに好ましく、2.6以上3.5以下が特に好ましく、2.8以上3.0以下が最も好ましい。
イソシアネート基平均数が上記下限値以上であることによって、耐薬品性をより維持することができる傾向にある。一方で、イソシアネート基平均数が上記上限値以下であることによって、本実施形態のポリアスパラティック塗料組成物の無溶剤条件下での調整直後の25℃における粘度が無溶剤処方により適した粘度であり、本実施形態のポリアスパラティック塗料組成物のポットライフをより延長し、且つ、塗膜としたときの外観をより向上させることができる傾向にある。
イソシアネート基平均数は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
ポリイソシアネート組成物(B)のジイソシアネートモノマー質量濃度は、ポリイソシアネート組成物(B)の総質量(100質量%)に対して、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.3質量%以下であることがさらに好ましい。
ジイソシアネートモノマー質量濃度が上記上限値以下であることによって、耐薬品性をより維持することができる傾向にある。
ジイソシアネートモノマー質量濃度は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
<アミノ基/イソシアネート基>
ポリイソシアネート組成物(B)のイソシアネート基に対するアスパラギン酸エステル化合物(A)のアミノ基のモル比(アミノ基/イソシアネート基)は、1/10以上10/1以下であることが好ましく、1/5以上5/1以下であることがより好ましく、1/2以上2/1以下であることがさらに好ましい。
アミノ基/イソシアネート基が上記下限値以上であることで、塗膜としたときの外観及び耐薬品性をより向上させることができる傾向にある。一方で、アミノ基/イソシアネート基が上記上限値以下であることで、塗料のポットライフをより良好とすることができる傾向にある。
<その他の樹脂成分>
本実施形態のポリアスパラティック塗料組成物は、アスパラティック塗料組成物(A)及びポリイソシアネート組成物(B)に加えて、その他の樹脂成分(その他の主剤成分)として、多価活性水素化合物を更に含むことができる。
[多価活性水素化合物]
多価活性水素化合物としては、特に限定されないが、例えば、ポリオール、ポリアミン、アルカノールアミン等が挙げられる。これらの多価活性水素化合物を、1種単独で含んでいてもよく、2種以上組み合わせて含んでいてもよい。中でも、多価活性水素化合物としては、ポリオールであることが好ましい。
(ポリオール)
ポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール、フッ素ポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール等が挙げられる。これらポリオールを、1種を単独で含んでいてもよく、2種以上組み合わせて含んでいてもよい。
中でも、ポリオールとしては、ポリエステルポリオール又はアクリルポリオールが好ましい。
1.ポリエステルポリオール
ポリエステルポリオールは、例えば、二塩基酸の単独又は2種類以上の混合物と、多価アルコールの単独又は2種類以上の混合物とを、縮合反応させることによって得ることができる。
前記二塩基酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等のカルボン酸等が挙げられる。
前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチルペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、2-メチロールプロパンジオール、エトキシ化トリメチロールプロパン等が挙げられる。
又は、例えば、ε-カプロラクトン等のラクトン類を、多価アルコールを用いて開環重合して得られるようなポリカプロラクトン類等もポリエステルポリオールとして用いることができる。
2.ポリエーテルポリオール
ポリエーテルポリオール類としては、特に限定されないが、例えば、以下(1)~(3)に示すもの等が挙げられる。
(1)触媒を使用して、アルキレンオキシドの単独又は混合物を、多価ヒドロキシ化合物の単独又は混合物に、ランダム又はブロック付加して、得られるポリエーテルポリオール類。
前記触媒としては、例えば、水酸化物(リチウム、ナトリウム、カリウム等)、強塩基性触媒(アルコラート、アルキルアミン等)、複合金属シアン化合物錯体(金属ポルフィリン、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛錯体等)等が挙げられる。
前記アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド等が挙げられる。
(2)ポリアミン化合物にアルキレンオキシドを反応させて、得られるポリエーテルポリオール類。
前記ポリアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン類等が挙げられる。
前記アルキレンオキシドとしては、(1)で例示されたものと同様のものが挙げられる。
(3)(1)又は(2)で得られたポリエーテルポリオール類を媒体として、アクリルアミド等を重合して得られる、いわゆるポリマーポリオール類。
前記多価ヒドロキシ化合物としては、例えば、以下の(i)~(vi)に示すものが挙げられる。
(i)ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等。
(ii)エリトリトール、D-トレイトール、L-アラビニトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール、ラムニトール等の糖アルコール系化合物。
(iii)アラビノース、リボース、キシロース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラムノース、フコース、リボデソース等の単糖類。
(iv)トレハロース、ショ糖、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、メリビオース等の二糖類。
(v)ラフィノース、ゲンチアノース、メレチトース等の三糖類。
(vi)スタキオース等の四糖類。
3.アクリルポリオール
アクリルポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、ヒドロキシ基を有するエチレン性不飽和結合含有単量体の単独又は混合物と、これと共重合可能な他のエチレン性不飽和結合含有単量体の単独又は混合物と、を共重合させることにより得られるものが挙げられる。
前記ヒドロキシ基を有するエチレン性不飽和結合含有単量体としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシブチル等が挙げられる。これらを単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、アクリル酸ヒドロキシエチル又はメタクリル酸ヒドロキシエチルであることが好ましい。
上記単量体と共重合可能な他のエチレン性不飽和結合含有単量体としては、例えば、以下の(1)~(6)に示すもの等が挙げられる。これらを単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(1)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸-n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸-n-ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル。
(2)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸-n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-n-ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル等のメタクリル酸エステル。
(3)アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸。
(4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N-メチレンビスアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド等の不飽和アミド。
(5)メタクリル酸グリシジル、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、フマル酸ジブチル等のビニル系単量体。
(6)ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基を有するビニル系単量体。
4.ポリオレフィンポリオール
ポリオレフィンポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、水酸基を2個以上有するポリブタジエン、水素添加ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリイソプレン等が挙げられる。
ポリオールの統計的1分子が持つ水酸基数(以下、「水酸基平均数」と称する場合がある)は2以上であることが好ましい。ポリオールの水酸基平均数が2以上であることによって、本実施形態の一液型コーティング組成物を硬化させて得られる塗膜の架橋密度の低下をより抑制することができる傾向にある。
5.フッ素ポリオール
本明細書において、「フッ素ポリオール」とは、分子内にフッ素を含むポリオールを意味する。フッ素ポリオールとして具体的には、例えば、特開昭57-34107号公報(参考文献1)、特開昭61-275311号公報(参考文献2)等で開示されているフルオロオレフィン、シクロビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、モノカルボン酸ビニルエステル等の共重合体等が挙げられる。
6.ポリカーボネートポリオール
ポリカーボネートポリオール類としては、特に限定されないが、例えば、以下の(1)~(4)に示すもの等が挙げられる。
(1)ジメチルカーボネート等のジアルキルカーボネート;
(2)エチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート;
(3)ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネート;
(4)上記(1)~(3)等の低分子カーボネート化合物を縮重合して得られるもの。
7.ポリウレタンポリオール
ポリウレタンポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、常法によりカルボキシ基を含有しないポリオールとイソシアネート成分とを反応させることにより得ることができる。
前記カルボキシ基を含有しないポリオールとしては、例えば低分子量のものとして、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。また、例えば高分子量のものとして、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。
(ポリオールの水酸基価)
ポリオールの樹脂あたりの水酸基価は、特に限定されないが、10mgKOH/樹脂g以上300mgKOH/樹脂g以下であることが好ましい。
樹脂あたりの水酸基価が上記下限値以上であることによって、架橋密度が減少することを抑制し、目的とする物性をより十分に達成することができる傾向にある。樹脂あたりの水酸基価が上記上限値以下であることによって、架橋密度が過度に増大することを抑制し、本実施形態の一液型コーティング組成物を硬化させて得られる塗膜の機械的物性をより向上させることができる傾向にある。
なお、ポリオールの水酸基価は、JIS K1557に準拠して測定することができる。
(水酸基/イソシアネート基)
本実施形態のポリアスパラティック塗料組成物において、ポリオールを含む場合に、ポリイソシアネート組成物(B)のイソシアネート基に対するポリオールの水酸基のモル比(水酸基/イソシアネート基)は、1/10以上10/1以下であることが好ましい。
(ポリアミン)
ポリアミンとしては、特に限定されないが、一級アミノ基又は二級アミノ基を1分子中に2個以上有するものが好ましく、一級アミノ基又は二級アミノ基を1分子中に3個以上有するものがより好ましい。
ポリアミンとして具体的には、例えば、以下の(1)~(3)に示すもの等が挙げられる。
(1)エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、ピペラジン、2-メチルピペラジン、イソホロンジアミン等のジアミン類;
(2)ビスヘキサメチレントリアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタメチレンヘキサミン、テトラプロピレンペンタミン等の3個以上のアミノ基を有する鎖状ポリアミン類;
(3)1,4,7,10,13,16-ヘキサアザシクロオクタデカン、1,4,7,10-テトラアザシクロデカン、1,4,8,12-テトラアザシクロペンタデカン、1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン等の環状ポリアミン類。
(アルカノールアミン)
本明細書において、「アルカノールアミン」とは、1分子中に、アミノ基と水酸基とを有する化合物を意味する。
アルカノールアミンとして具体的には、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、N-(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、モノ-、ジ-(n-又はイソ-)プロパノールアミン、エチレングリコール-ビス-プロピルアミン、ネオペンタノールアミン、メチルエタノールアミン等が挙げられる。
<その他成分>
本実施形態のポリアスパラティック塗料組成物は、必要に応じて、既存のメラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂をさらに含むことができる。
また、上述したポリオールがカルボキシ基を有する場合には、オキサゾリン基含有化合物、及びカルボジイミド基含有化合物を配合することができる。また、上述したポリオールがカルボニル基を有する場合には、ヒドラジド基含有化合物、セミカルバジド基含有化合物を配合することができる。これらの化合物は1種単独で配合してもよく、2種以上を併用して配合してもよい。
本実施形態のポリアスパラティック塗料組成物は、塗膜としたときの外観により優れることから、添加剤として表面調整剤を更に含むことが好ましい。表面調整剤の種類は、特に限定されず、例えば、シリコン系、アクリル系等が挙げられる。
表面調整剤の含有量は、ポリアスパラティック塗料組成物の樹脂分に対して0.05質量%以上5質量%以下であることが好ましい。表面調整剤の含有量が上記下限値以上であることで、塗膜としたときの外観をより向上させることができる。一方井腕、表面調整剤の含有量が上記上限値以下であることで、塗膜としたときの耐ハジキ性、リコート性、及び耐汚染等がより良好なものとなる。
シリコン系表面調整剤としては、市販品を用いることができ、例えば、BYK-300、BYK-302、BYK-306、BYK-307、BYK-310、BYK-313、BYK-315N、BYK-320、BYK-322、BYK-323、BYK-325、BYK-326、BYK-330、BYK-331、BYK-333、BYK-342、BYK-370、BYK-375、BYK-377、BYK-378、BYK-3760(BYK社製);ディスパロン1711EF、ディスパロン1761、ディスパロンLS-001、ディスパロンLS-050、ディスパロンLS-280、ディスパロンLS-460、ディスパロンLS-480(楠本化成社製);Tego Flow 425、Tego Glide 100、Tego Glide 110、Tego Glide 130、Tego Glide 406、Tego Glide 420、Tego Glide 432、Tego Glide 435、Tego Glide 440、Tego Glide 450、Tego Glide 482、Tego Glide 485、Tego Glide ZG400、Tego wet KL245、Tego wet 250、Tego wet 260、Tego wet 265、Tego wet 270、Tego wet 280(Evonic Tego Chemie社製)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
アクリル系表面調整剤としては、市販品を用いることができ、例えば、BYK-350、BYK-354、BYK-355、BYK-356、BYK-358N、BYK-361N、BYK-392、BYK-394、BYK-3441(BYK社製);ディスパロンLF-1983、ディスパロンLF-1984、LF-1985、ディスパロンUVX-35、ディスパロンUVX-36(楠本化成社製);Tego Flow 300、Tego Flow 370、Tego Flow ATF2、Tego Flow ZFS460等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記以上のその他の種類の表面調整剤としては、市販品を用いることができ、例えば、BYK-399、BYK-3440、BYK-3550、BYK-3560、BYK-3565、BYK-SILCLEAN 3700、BYK-SILCLEAN 3701、BYKETOL-OK(BYK社製);ディスパロンUVX-272、ディスパロンUVX-2285、ディスパロンLHP-810、ディスパロンNSH-8430HF、ディスパロンLHP-90、ディスパロンLHP-91、ディスパロンLHP-95、ディスパロンLHP-96(楠本化成社製)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本実施形態のポリアスパラティック塗料組成物は、塗膜としたときの外観により優れることから、添加剤として消泡・抑泡・脱泡剤を更に含むことが好ましい。消泡・抑泡・脱泡剤の種類は、特に限定されず、例えば、シリコン系、ポリマー系等が挙げられる。
消泡・抑泡・脱泡剤の含有量は、ポリアスパラティック塗料組成物の樹脂分に対して0.05質量%以上5質量%以下であることが好ましい。消泡・抑泡・脱泡剤の含有量が上記下限値以上であることで、配合及び攪拌時の作業性を向上させ、且つ、塗膜としたときの外観を向上させることができる。一方で、消泡・抑泡・脱泡剤の含有量が上記上限値以下であることで、塗膜としたときの耐ハジキ性、リコート性、及び耐汚染等がより良好なものとなる。
シリコン系消泡・抑泡・脱泡剤としては、市販品を用いることができ、例えば、BYK-063、BYK-065、BYK-066N、BYK-067A、BYK-077、BYK-081、BYK-1799(BYK社製);ディスパロン1930N、ディスパロン1934、ディスパロンSPX-44(楠本化成社製);Tego Airex 900、Tego Airex 916、Tego Airex 931、Tego Airex 935、Tego Airex 962、Tego Airex 980、Tego Foamex N(Evonic Tego Chemie社製)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
ポリマー系消泡・抑泡・脱泡剤としては、市販品を用いることができ、例えば、BYK-051N、BYK-052N、BYK-054、BYK-055、BYK-057、BYK-354、BYK-392、BYK-1752、BYK-1788、BYK-1790、BYK-1791、BYK-1794(BYK社製);ディスパロンOX-60、ディスパロンOX-6140、ディスパロンOX-70、ディスパロンOX-710、ディスパロンOX-750HF、ディスパロンOX-77EF、ディスパロンOX-880EF、ディスパロンOX-881、ディスパロンOX-883HF、ディスパロンLAP-10、ディスパロンLAP-20、ディスパロンLAP-30、ディスパロン1952、ディスパロン1958、ディスパロン1960、ディスパロンP-410EF、ディスパロンPD-7、ディスパロンP-420、ディスパロンP-450、ディスパロンOX-881、ディスパロンOX-883HF、ディスパロンLAP-10、ディスパロンP-425、ディスパロンUVX-188、ディスパロンUVX-189、ディスパロンUVX-190(楠本化成社製);Tego Airex 910、Tego Airex 920、Tego Airex 936、Tego Airex 944、Tego Airex 955(Evonic Tego Chemie社製)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記以上のその他の種類の消泡・抑泡・脱泡剤としては、市販品を用いることができ、例えば、BYK-088、BYK-141(BYK社製);ディスパロンOX-66EF、ディスパロンOX-715(楠本化成社製);Tego Airex 940、Tego Airex 945、Tego Airex 950、Tego Airex 986(Evonic Tego Chemie社製)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
<ポリアスパラティック塗料組成物の製造方法>
本実施形態のポリアスパラティック塗料組成物は、上述のアスパラギン酸エステル化合物(A)に、必要に応じて、多価活性水素化合物、及びその他成分等を混合して混合物を得た後、当該混合物に、硬化剤成分である上述のポリイソシアネート組成物(B)を配合して、公知の方法を用いて混合することで得られる。このとき、溶剤を用いてもよく、或いは溶剤を用いなくてもよい。本実施形態のポリアスパラティック塗料組成物は、粘度が100mPa・s以上1500mPa・s以下と低粘度であることから、無溶剤処方でも作業性を維持しながら製造することができる。
<用途>
本実施形態のポリアスパラティック塗料組成物は、ロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、静電塗装、ベル塗装、浸漬、ローラー塗装、刷毛塗装等によって、鋼板や表面処理鋼板等の金属、プラスチック、無機材料等のセラミック、ガラス、コンクリートに対して、プライマー、中塗り又は上塗りとして好適に使用される。
本実施形態のポリアスパラティック塗料組成物は、防錆鋼板を含むプレコートメタル、自動車塗装部、プラスチック塗装部等に、美粧性、耐候性、耐酸性、防錆性、耐チッピング性、密着性等を付与するために好適に用いられる。
また、本実施形態のポリアスパラティック塗料組成物は、接着剤、粘着剤、エラストマー、フォーム、表面処理剤等としても有用である。
≪塗膜≫
本実施形態の塗膜は、上述したポリアスパラティック塗料組成物を硬化させてなる。本実施形態の塗膜は、外観、耐薬品性、耐衝撃性、及び耐擦り傷性に優れる。本実施形態の塗膜は、上述したコーティング組成物を、ロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、ベル塗装、静電塗装等の公知の方法を用いて塗装し、常温乾燥又は焼付け工程を経て、硬化させることで得られる。
≪塗装物品≫
本実施形態の塗装物品は、上述した塗膜を備える。本実施形態の塗装物品は、上述した塗膜を備えることで、外観、耐薬品性、耐衝撃性、及び耐擦り傷性に優れる。
以下、実施例によって本実施形態を更に詳細に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
各種物性の測定方法及び各種評価の方法について以下に説明する。なお、特に明記しない場合は、「部」及び「%」は、「質量部」及び「質量%」を意味する。
<物性の測定方法>
[物性1]
(NCO含有量(質量%))
ポリイソシアネート組成物(B)のNCO含有量(イソシアネート含有量、質量%)は次のように測定した。三角フラスコに製造例で製造したポリイソシアネート組成物(B)1g以上3g以下を精秤(Wg)後、トルエン20mLを添加し、ポリイソシアネート組成物(B)を完全に溶解した。その後、2規定のジ-n-ブチルアミンのトルエン溶液10mLを添加し、完全に混合後、15分間室温放置した。さらに、この溶液にイソプロピルアルコール70mLを加えて、完全混合した。この溶液を1規定塩酸溶液(ファクターF)で、指示薬を用いて滴定して、滴定値VmLを得た。同様の滴定操作についてポリイソシアネートを用いないで行ない、滴定値VmLを得た。得られた滴定値VmL及び滴定値VmLから、ポリイソシアネートのNCO含有量(質量%)を、下記式に基づいて算出した。
(NCO含有量(質量%))=(V-V)×F×42/(W×1000)×100
[物性2]
(粘度(mPa.s))
ポリイソシアネート組成物(B)及び無溶剤条件下で調整直後のポリアスパラティック塗料組成物の粘度は、E型粘度計(商品名:RE-85R、東機産業社製)を用いて25℃で測定した。測定に際しては、標準ローター(1°34’×R24)を用いた。回転数は、以下のとおりで設定した。
(回転数)
100r.p.m.( 128mPa・s未満の場合)
50r.p.m.( 128mPa・s以上 256mPa・s未満の場合)
20r.p.m.( 256mPa・s以上 640mPa・s未満の場合)
10r.p.m.( 640mPa・s以上 1280mPa・s未満の場合)
5r.p.m.( 1280mPa・s以上 2560mPa・s未満の場合)
2.5r.p.m.( 2560mPa・s以上 5120mPa・s未満の場合)
1.0r.p.m.( 5120mPa・s以上10240mPa・s未満の場合)
0.5r.p.m.(10240mPa・s以上20480mPa・s未満の場合)
[物性3]
(数平均分子量)
ポリイソシアネート組成物(B)の数平均分子量は、下記の装置を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下、「GPC」と略す。)測定によるポリスチレン基準の数平均分子量で求めた。測定条件は以下に示すとおりである。
(測定条件)
装置:東ソー社製「HLC-8120GPC」(商品名)
カラム:東ソー社製「TSKgel SuperH1000」(商品名)×1本
「TSKgel SuperH2000」(商品名)×1本
「TSKgel SuperH3000」(商品名)×1本
キャリア:テトラハイドロフラン
検出器:示差屈折計
[物性4]
(イソシアネート基平均数)
ポリイソシアネート組成物(B)のイソシアネート基平均数は、物性1で得られたNCO含有量及び物性3で得られた数平均分子量を用いて下記式に基づいて算出した。
(イソシアネート基平均数)=(数平均分子量)×(NCO含有量)/100/42
[物性5]
(ジイソシアネートモノマー質量濃度(質量%))
ポリイソシアネート組成物(B)のジイソシアネート質量濃度は、次のように求めた。最初に、20mLサンプル瓶をデジタル天秤に乗せ、試料を約1g精秤した。次に、ニトロベンゼン(内部標準液)0.03g以上0.04g以下を加え精秤した。最後に、酢酸エチル約9mLを加えた後、蓋をしっかりして十分に混合し、サンプルを調製した。調製したサンプルを以下の条件で、ガスクロマトグラフィー分析し、定量した。
(測定条件)
装置:SHIMADZU社製「GC-8A」
カラム:信和化工社製「Silicone OV-17」
カラムオーブン温度:120℃
インジェクション/ディテクター温度:160℃
[物性6]
(イソシアヌレート3量体の含有量及びウレトジオン2量体の含有量(質量%))
ポリイソシアネート組成物(B)について、物性3と同様の測定条件にてGPC測定を行い、クロマトグラムの総面積に対する数平均分子量504相当の面積の割合をイソシアヌレート3量体の含有量とし、クロマトグラムの総面積に対する数平均分子量336相当の面積の割合をウレトジオン2量体の含有量として、算出した。
<評価方法>
[評価1]
(ポットライフ)
調整から5分後の各ポリアスパラティック塗料組成物の粘度を上記物性2に記載の方法と同様の方法で測定し、下記の基準でポットライフを評価した。
(評価基準)
◎:800mPa・s未満
○:800mPa・s以上1300mPa・s未満
△:1300mPa・s以上1500mPa・s未満
×:1500mPa・s以上
[評価2]
(塗膜外観)
調整から5分後の各ポリアスパラティック塗料組成物をガラス板にアプリケーターで乾燥膜厚が80μm以上100μm以下になるように塗布した。次いで、23℃で1日間乾燥後、目視により下記の基準で塗膜外観を評価した。
(評価基準)
◎:膜が透明であり、蛍光灯の移りが鮮明
○:膜が透明であり、蛍光灯の移りに少し波がある
△:膜に多少曇りがあり、蛍光灯の移りに少し波がある
×:膜に曇りがあり、蛍光灯の移りに波がある
[評価3]
(耐薬品性)
調整から5分後の各ポリアスパラティック塗料組成物をガラス板にアプリケーターで乾燥膜厚が80μm以上100μm以下になるように塗布した。次いで、23℃で7日間乾燥させることで硬化塗膜を得た。その後、イソプロピルアルコールを染込ませたコットンボールを塗膜に1分間乗せた後の塗膜の外観変化を目視で確認し、下記の基準で耐薬品性を評価した。
(評価基準)
○:塗膜の外観変化なし
△:塗膜の外観変化僅かにあり
×:塗膜の外観変化あり
[評価4]
(耐衝撃性)
各ポリアスパラティック塗料組成物を鋼版にアプリケーターで乾燥膜厚が80μm以上100μm以下になるように塗布した。次いで、23℃で7日間乾燥させることで硬化塗膜を得た。その後、JIS-K-5600-5-3(デュポン式)に準じて耐衝撃性を測定した。パンチ12.7mm、重さ1kg、落下後の塗膜の状態を観察し、割れ、剥がれが観察されない落下高さを測定し、以下の基準で耐衝撃性を評価した。
(評価基準)
○:50cm以上
△:20cm以上50cm未満
×:20cm未満
(評価5)耐擦り傷性
アルミニウム板に予め市販の溶剤系2液アクリルウレタン白エナメル塗料をスプレー塗装してセッティング後に80℃で2時間焼付けを行ない、室温で2週間以上養生させた後、60度光沢値が10%以下になるまで表面を#1000のサンドペーパーで研磨した白板を基材として準備した。その基材上に各ポリアスパラティック塗料組成物をアプリケーターで乾燥膜厚80μm以上100μm以下になるように塗装した。その後、23℃で7日間乾燥させることで硬化塗膜を得た。得られた塗膜に対して、スクラブ摩耗テスター(TQC社製)を用いてISO 11998に準じて20°光沢を測定した。具体的には以下に示す方法により、20°光沢を測定し、評価した。
予め塗面の20°光沢を測定した。次いで、試験板の塗膜にブラシを往復200回こすりつけた。塗面を流水で洗浄して、自然乾燥後、その塗面の20°光沢を測定した。次式によって20°光沢保持率を計算し、下記の基準で耐擦り傷性を評価した。
(20°光沢保持率)={(試験後の20°光沢)/(試験前の20°光沢)}×100
○:光沢保持率が40%以上
△:光沢保持率が20%以上40%未満
×:光沢保持率が20%未満
<ポリイソシアネート組成物(B)の製造>
[製造例1]
(ポリイソシアネート組成物B-1の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI 100質量部を仕込み、撹拌下反応器内温度を60℃に保持した。そこに、イソシアヌレート化反応触媒テトラブチルアンモニウムアセテートを2-エチル-1-ヘキサノールで10質量%に希釈した溶液0.15質量部を添加し、イソシアヌレート化反応を行ない、反応液のNCO含有量が43.8質量%になった時点で燐酸を添加し反応を停止した。その後、反応液を90℃で1時間保持した。冷却した反応液を濾過後、薄膜蒸発缶を用いて未反応HDIを除去した。NCO含有量23.1質量%、25℃における粘度が1350mPa・s、数平均分子量590、イソシアネート基平均数3.2、HDIモノマー質量濃度0.1質量%のポリイソシアネート組成物B-1を得た。
[製造例2]
(ポリイソシアネート組成物B-2の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI 100質量部、及びイソブタノール0.12質量部を仕込み、撹拌下反応器内温度を80℃で2時間保持した。そこに、イソシアヌレート化反応触媒トリメチル-2-メチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシドをイソブタノールで5質量%に希釈した溶液0.08質量部を添加し、イソシアヌレート化反応を行ない、転化率が20質量%になった時点で燐酸を添加し反応を停止した。その後、反応液を160℃で1時間保持した。冷却した反応液を濾過後、薄膜蒸発缶を用いて未反応HDIを除去した。NCO含有量23.2質量%、25℃における粘度が470mPa・s、数平均分子量540、イソシアネート基平均数3.0、HDIモノマー質量濃度0.1質量%のポリイソシアネート組成物B-2を得た。
[製造例3]
(ポリイソシアネート組成物B-3の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI 100質量部、及びイソブタノール0.42質量部を仕込み、撹拌下反応器内温度を80℃で2時間保持した。そこに、イソシアヌレート化反応触媒トリメチル-2-メチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシドをイソブタノールで5質量%に希釈した溶液0.08質量部を添加し、イソシアヌレート化反応を行ない、転化率が18質量%になった時点で燐酸を添加し反応を停止した。その後、反応液を160℃で1時間保持した。冷却した反応液を濾過後、薄膜蒸発缶を用いて未反応HDIを除去した。NCO含有量23.1質量%、25℃における粘度が310mPa・s、数平均分子量520、イソシアネート基平均数2.9、HDIモノマー質量濃度0.2質量%のポリイソシアネート組成物B-3を得た。
[製造例4]
(ポリイソシアネート組成物B-4の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI 100質量部を仕込み、撹拌下反応器内温度を60℃に保持した。そこに、イミノオキサジアジンジオン化反応触媒テトラブチルホスホニウム水素ジフルオリドをイソプロパノールで70質量%に希釈した溶液0.05質量部を添加し、内温を70℃以下で保持してイミノオキサジアジンジオン化反応を行ない、反応液のNCO含有量が43.3質量%になった時点でp-トルエンスルホン酸をイソプロパノールで40質量%に希釈した溶液0.0575質量部を添加し反応を停止した。冷却した反応液を濾過後、薄膜蒸発缶を用いて未反応HDIを除去した。NCO含有量23.4質量%、25℃における粘度が640mPa・s、数平均分子量570、イソシアネート基平均数3.2、HDIモノマー質量濃度0.2質量%のポリイソシアネート組成物B-4を得た。
[製造例5]
(ポリイソシアネート組成物B-5の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI 100質量部を仕込み、撹拌下反応器内温度を60℃に保持した。そこに、ウレトジオン化反応触媒トリ-n-ブチルホスフィン(Cytop(商標)340、Cytec)1.5質量部を添加し、ウレトジオン化反応を行ない、反応液屈折率測定による転化率が40質量%になった時点でメチル-p-トルエンスルホネート1.33質量部を添加し反応を停止した。冷却した反応液を濾過後、薄膜蒸発缶を用いて未反応HDIを除去した。NCO含有量22.1質量%、25℃における粘度が150mPa・s、数平均分子量440、イソシアネート基平均数2.3、HDIモノマー質量濃度0.3質量%のポリイソシアネート組成物B-5を得た。
[製造例6]
(ポリイソシアネート組成物B-6の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管を取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、ポリイソシアネート組成物B-1 30質量部、及びポリイソシアネート組成物B-2 37質量部を仕込み、均一になるまで撹拌してポリイソシアネート組成物B-6を得た。
製造例で得られた各ポリイソシアネート組成物について、各種物性を表1に示す。
Figure 2022066853000008
<ポリアスパラティック塗料組成物の製造>
[実施例1]
(ポリアスパラティック塗料組成物PA-a1の製造)
アスパラギン酸エステル化合物である商品名「Amicure IC-221」(Evonik社製、アミン価188mgKOH/樹脂g、粘度450mPa.s(25℃測定代表値))及び商品名「Amicure IC-321」(Evonik社製、アミン価190mgKOH/樹脂g、粘度450mPa.s(25℃測定代表値))、シリコン系表面調整剤(商品名「Tego wet 250」、Evonik社製)、アクリル系表面調整剤(商品名「BYK-361N」、BYK社製)、ポリマー系消泡剤(商品名「Tego Airex 944」、Evonik社製)、並びに、脱水剤(商品名「Molecular sieves 4A-Powder」、ユニオン昭和社製)を表2に示す配合量で事前にブレンドして混合物を得た。得られた混合物と、ポリイソシアネート組成物B-2とを、表2に示す配合量で、ポリイソシアネート組成物(B)のイソシアネート基に対するアスパラギン酸エステル化合物(A)のアミノ基のモル比が10/11となるように配合して、ポリアスパラティック塗料組成物PA-a1を得た。
[実施例2~8及び比較例1~5]
(ポリアスパラティック塗料組成物PA-a2~PA-a8及びPA-b1~PA-b5の製造)
表2~表4に示す組成となるように配合した以外は、実施例1と同様の方法を用いて各ポリアスパラティック塗料組成物を製造した。
なお、表2~表4において略称で示された化合物は以下のとおりである。
(アスパラギン酸エステル化合物(A))
A-1:アスパラギン酸エステル化合物、商品名「Amicure IC-221」、Evonik社製、アミン価188mgKOH/樹脂g、粘度450mPa.s(25℃測定代表値)。
A-2:アスパラギン酸エステル化合物、商品名「Amicure IC-321」、Evonik社製、アミン価190mgKOH/樹脂g、粘度450mPa.s(25℃測定代表値)。
A-3:アスパラギン酸エステル化合物、商品名「Amicure IC-322」、Evonik社製、アミン価189mgKOH/樹脂g、粘度150mPa.s(25℃測定代表値)。
A-4:アスパラギン酸エステル化合物、商品名「Feispartic F420」、Feiyang社製、アミン価192mgKOH/樹脂g、粘度1450mPa.s(25℃測定代表値)。
A-5:アスパラギン酸エステル化合物、商品名「Feispartic F520」、Feiyang社製、アミン価189mgKOH/樹脂g、粘度1400mPa.s(25℃測定代表値)。
得られた各ポリアスパラティック塗料組成物について、上記方法を用いて各種評価を行なった。結果を表2~表4に示す。
Figure 2022066853000009
Figure 2022066853000010
Figure 2022066853000011
ポリイソシアネート組成物(B)の総質量に対するイソシアヌレート3量体の含有量が特定の範囲内であり、且つ、無溶剤条件下で調整直後の25℃における粘度が400mPa・s以上1400mPa・s以下であるポリアスパラティック塗料組成物PA-a1~PA-a8(実施例1~8)では、粘度及びポットライフが良好であり、且つ、塗膜としたときの外観、耐薬品性、耐衝撃性、及び耐擦り傷性の全てが優れていた。
無溶剤条件下で調整直後の25℃における粘度が異なるポリアスパラティック塗料組成物PA-a1、PA-a2及びPA-a4(実施例1、2及び4)の比較、並びに、PA-a5、PA-a6及びPA-a8(実施例5、6及び8)の比較において、該粘度が小さくなるほど、具体的には、粘度が630mPa・s以下であると、塗膜としたときの外観、耐薬品性、耐衝撃性、及び耐擦り傷性により優れる傾向がみられ、また、粘度が590mPa・s以下であると、塗膜としたときの外観が特に優れる傾向がみられた。
ポリイソシアネート組成物(B)の種類が異なるPA-a1及びPA-a5(実施例1及び5)、PA-a2及びPA-a6(実施例2及び6)、PA-a3及びPA-a7(実施例3及び7)、並びに、PA-a4及びPA-a8(実施例4及び8)の比較において、粘度がより低いポリイソシアネート組成物B-3を含む塗料組成物のほうが、ポットライフ及び塗膜としたときの外観がより優れる傾向がみられた。
一方で、無溶剤条件下で調整直後の25℃における粘度が1500mPa・s超であるポリアスパラティック塗料組成物PA-b1~PA-b4(比較例1~4)では、ポットライフ、塗膜としたときの外観、耐薬品性、耐衝撃性、及び耐擦り傷性の全てが良好なものは得られなかった。
また、ポリイソシアネート組成物(B)の総質量に対するイソシアヌレート3量体の含有量が50質量%未満であるポリイソシアネート組成物B-5を含むポリアスパラティック塗料組成物PA-b5(比較例5)では、ポットライフ及び塗膜としたときの外観は良好であったが、塗膜としたときの耐薬品性、耐衝撃性、及び耐擦り傷性が不良であった。
本実施形態のポリアスパラティック塗料組成物によれば、無溶剤条件下における粘度及びポットライフが良好であり、且つ、塗膜としたときの外観、耐薬品性、耐衝撃性、及び耐擦り傷性に優れるポリアスパラティック塗料組成物を提供することができる。本実施形態のポリアスパラティック塗料組成物は、金属、プラスチック、無機材料等の素材に、プライマー、中塗り、又は、上塗りとして好適に使用される。本実施形態のポリアスパラティック塗料組成物は、防錆鋼板を含むプレコートメタル、自動車の塗装部、プラスチックの塗装部等に、美粧性、耐候性、耐酸性、防錆性、耐チッピング性、密着性等を付与するために好適に用いられる。本実施形態のポリアスパラティック塗料組成物は、接着剤、粘着剤、エラストマー、フォーム、表面処理剤等のウレタン原料としても有用である。

Claims (8)

  1. 下記一般式(I)で表されるアスパラギン酸エステル化合物(A)と、
    脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートからなる群より選ばれる1種以上のジイソシアネートモノマーから誘導されるポリイソシアネート組成物(B)と、
    を含む、ポリアスパラティック塗料組成物であって、
    前記ポリイソシアネート組成物(B)の総質量に対して、下記式(II)で表されるイソシアヌレート3量体を50質量%以上80質量%以下含み、
    前記ポリアスパラティック塗料組成物は、無溶剤条件下で調整直後の25℃における粘度が100mPa・s以上1500mPa・s以下である、ポリアスパラティック塗料組成物。
    Figure 2022066853000012
    (一般式(I)中、X11は、n11価のポリアミンの第一級アミノ基を除去することによって得られたn価の有機基である。R11及びR12は反応条件下でイソシアネート基に対して不活性である同じ又は異なった有機基である。n11は2以上の整数である。)
    Figure 2022066853000013
  2. 前記ポリイソシアネート組成物(B)の総質量に対して、下記式(III)で表されるウレトジオン2量体を1質量%以上20質量%以下更に含む、請求項1に記載のポリアスパラティック塗料組成物。
    Figure 2022066853000014
  3. 前記ポリイソシアネート組成物(B)は、25℃における粘度が10mPa・s以上1000mPa・s以下である、請求項1又は2に記載のポリアスパラティック塗料組成物。
  4. 反応性が互いに異なる2種類の前記アスパラギン酸エステル化合物(A)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリアスパラティック塗料組成物。
  5. 前記ポリイソシアネート組成物(B)のイソシアネート基に対する前記アスパラギン酸エステル化合物(A)のアミノ基のモル比が1/10以上10/1以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリアスパラティック塗料組成物。
  6. 前記ジイソシアネートモノマーが、ヘキサメチレンジイソシアネートを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリアスパラティック塗料組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載のポリアスパラティック塗料組成物を硬化させてなる、塗膜。
  8. 請求項7に記載の塗膜を備える、塗装物品。
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JP2022087275A (ja) * 2020-05-07 2022-06-09 株式会社三洋物産 遊技機
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