JP2022066723A - 蓄電セル - Google Patents

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Abstract

【課題】電解液の注液に要する時間を短縮できる蓄電セルを提供する。【解決手段】蓄電セル2では、当該蓄電セル2の外部と収容空間Sとを連通する電解液の注液口Pを備え、正極活物質層22は、凹部63によって形成されると共に注液口Pの延長線L方向に延びる空隙部分Gを有し、セパレータ13は、空隙部分G内で延長線L方向に延在する溝部64を有し、注液口Pは、集電体21の面内方向から見た場合に、凹部63内において溝部64の内面64bと負極活物質層23との間に位置している。【選択図】図2

Description

本開示は、蓄電セルに関する。
従来の蓄電セルとして、例えば特許文献1に記載の薄型電池に用いられるセルがある。この従来の薄型電池のセルは、シール部により形成された内部空間に、正極及び負極がセパレータを含む電解質層を介して積層された発電要素と、正極及び負極のそれぞれに接続された集電体とを備えている。また、この従来の薄型電池のセルは、シール部を貫通するチューブを備えている。チューブの一端は、シール部により形成された内部空間を臨んでおり、チューブの他端は、シール部の外部空間を臨んでいる。
特開2010-287451号公報
蓄電セルの製造工程には、注液口を介して電極間に形成された内部空間に電解液を注液する注液工程が含まれる。例えば上述した特許文献1の薄型電池では、シール部を貫通するチューブを用いてセルの内部空間に電解液の注液を実施する。しかしながら、この従来の薄型電池では、チューブの一端がシール部の奥に僅かに入り込んでいるに過ぎないため、正極及び負極の活物質層全体の電解液の含浸に時間を要するという課題があった。特に、複数の蓄電セルを積層して構成される蓄電装置の高出力化及び低背化の両立を目的として蓄電セルを大面積化した場合には、上記の課題が顕著になり易い。そのため、活物質層において注液口から遠い部分に電解液が行き渡りにくく、活物質層全体の電解液の含浸に要する時間が増大化するという問題があった。
本開示は、上記課題の解決のためになされたものであり、活物質層全体の電解液の含浸に要する時間を短縮できる蓄電セルを提供することを目的とする。
本開示の一側面に係る蓄電セルは、集電体の一方面に矩形状の活物質層を有し、積層方向に活物質層同士が互いに対向するように配置された一対の電極と、一対の電極間に配置され、活物質層間に介在するセパレータと、一対の電極間に配置されると共に、積層方向から見て活物質層を囲むように配置されたスペーサと、を備える蓄電セルであって、一対の電極と、一対の電極に接合されたスペーサとによって電解液の収容空間が形成され、蓄電セルの外部と収容空間とを連通する電解液の注液口を備え、一対の電極の一方における活物質層は、凹部によって形成されると共に注液口の延長線方向に延びる空隙部分を有し、セパレータは、空隙部分内で延長線方向に延在する溝部を有し、注液口は、集電体の面内方向から見た場合に、凹部内において溝部の内面と一対の電極の他方における活物質層との間に位置している。
この蓄電セルでは、一対の電極の一方における活物質層が、凹部によって形成されると共に注液口の延長線方向に延びる空隙部分を有している。また、セパレータが空隙部分内で延長線方向に延在する溝部を有している。そして、注液口は、集電体の面内方向から見た場合に、凹部内において溝部の内面と一対の電極の他方における活物質層との間に位置している。この蓄電セルでは、注液口から蓄電セル内の収容空間に注液された電解液は、セパレータの溝部によって収容空間内で注液口の延長線方向にガイドされる。したがって、活物質層において注液口から遠い部分にも電解液を速やかに行き渡らせることが可能となり、活物質層全体の電解液の含浸に要する時間を短縮できる。
セパレータの縁部は、スペーサによって保持されており、溝部は、セパレータが空隙部分に沿って凹むことによって形成されていてもよい。この場合、セパレータの縁部がスペーサで保持されることで、セパレータの位置ずれを防止できる。また、セパレータの溝部が空隙部分に沿ったセパレータの凹みによって形成されることで、上述した電解液のガイド機能を奏することに加え、スペーサの膨張収縮や集電体及び活物質層の膨張に起因するセパレータの破損を防止できる。
セパレータは、溝部の内面にセラミック層を有していてもよい。この場合、セラミック層により溝部の内面の空隙率が低くなり、溝部における電解液のガイド機能を向上できる。したがって、活物質層において注液口から遠い部分に電解液を一層速やかに行き渡らせることが可能となり、活物質層全体の電解液の含浸に要する時間を更に短縮できる。
一対の電極の一方における活物質層は、集電体側の第1層と、第1層上の第2層とを有し、空隙部分を形成する凹部は、第2層が面内方向に分割されていることによって形成されていてもよい。活物質層を2層構成とすることにより、蓄電セルを大面積化した場合であっても、活物質層の割れや集電体からの剥離を抑制できる。また、第1層上の第2層を面内方向に分割することで、空隙部分を形成する凹部を好適に形成できる。
本開示によれば、活物質層全体の電解液の含浸に要する時間を短縮できる。
本開示の一側面に係る蓄電セルを用いて構成した蓄電装置の構成を示す概略的な断面図である。 図1に示した蓄電装置を構成する単セルを示す概略的な断面図である。 正極活物質層の第1層及び第2層の形成領域を示す平面図である。 別の変形例に係る蓄電セルの構成を示す概略的な断面図である。
以下、図面を参照しながら、本開示の一側面に係る蓄電セルの好適な実施形態について詳細に説明する。
図1は、本開示の一側面に係る蓄電セルを用いて構成した蓄電装置の構成を示す概略的な断面図である。図1に示す蓄電装置1は、例えば、フォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリに用いられる装置である。蓄電装置1は、例えばニッケル水素二次電池又はリチウムイオン二次電池等の二次電池である。本実施形態では、蓄電装置1がリチウムイオン二次電池である場合を例示する。
蓄電装置1は、複数の蓄電セル2が積層方向に積層されてなるセルスタック5を含んで構成されている。蓄電装置1は、車両の床下などへの配置を考慮し、全体として扁平な直方体形状をなしている。蓄電装置1は、高容量化及び低背化の両立のため、積層方向から見た場合に、蓄電セル2の一辺の長さが1mを超えるような大面積の装置となっている。
各蓄電セル2は、正極11と、負極12と、セパレータ13と、スペーサ14とを備えている。正極11は、集電体21と、集電体21の一方面21aに設けられた正極活物質層22とを有している。負極12は、集電体21と、集電体21の一方面21aに設けられた負極活物質層23とを有している。正極11及び負極12を構成する集電体21は、いずれも蓄電セル2の積層方向から見て矩形状をなしている。
同一の蓄電セル2では、正極11及び負極12は、正極活物質層22と負極活物質層23とが互いに対向するように配置されている。本実施形態では、正極活物質層22及び負極活物質層23は、いずれも矩形状に形成されている。負極活物質層23は、積層方向から見て正極活物質層22よりも一回り大きく形成されている。積層方向から見た場合に、正極活物質層22の形成領域の全体は、負極活物質層23の形成領域内に位置している。
集電体21は、一方面21aとは反対側の他方面21bを有している。正極11及び負極12のいずれにおいても、集電体21の他方面21bは、活物質層が形成されない面となっている。セルスタック5では、一の蓄電セル2の正極11における集電体21の他方面21bと、一の蓄電セル2と積層方向に隣り合う蓄電セル2の負極12における集電体21の他方面21bとが互いに接するように蓄電セル2が積層されている。これにより、複数の蓄電セル2が電気的に直列に接続されている。セルスタック5では、積層方向に隣り合う蓄電セル2,2により、互いに接する正極11の集電体21及び負極12の集電体21を一つの電極体とする疑似的なバイポーラ電極10が形成されている。
バイポーラ電極10は、互いに隣接する2つの集電体21,21、正極活物質層22、及び負極活物質層23を含んで構成されている。セルスタック5において、積層方向の一端には、終端電極としての正極11の集電体21が配置されている。積層方向の他端には、終端電極としての負極12の集電体21が配置されている。
集電体21は、蓄電装置1の放電又は充電の間、正極活物質層22及び負極活物質層23に電流を供給するための化学的に不活性な電気伝導体である。集電体21を構成する材料としては、例えば金属材料、導電性樹脂材料、導電性無機材料等が挙げられる。導電性樹脂材料としては、例えば導電性高分子材料、或いは非導電性高分子材料に必要に応じて導電性フィラーが添加された樹脂等が挙げられる。
集電体21は、前述した金属材料又は導電性樹脂材料を含む1以上の層を含む複数層を備えていてもよい。集電体21の表面には、メッキ処理又はスプレーコート等の公知の方法により被覆層が形成されていてもよい。集電体21は、例えば板状、箔状、シート状、フィルム状、メッシュ状等の形態であってもよい。集電体21を金属箔とする場合、例えばアルミニウム箔、銅箔、ニッケル箔、チタン箔、ステンレス鋼箔等を用いることができる。
集電体21として、銅箔、アルミ箔、ステンレス鋼箔(例えばJIS G 4305:2015にて規定されるSUS304、SUS316、SUS301、SUS304等)を用いた場合、集電体21の機械的強度を容易に確保できる。集電体21は、上記金属の合金箔又はクラッド箔であってもよい。本実施形態では、正極11の集電体21は、アルミニウム箔であり、負極12の集電体21は、銅箔である。箔状の集電体21を用いる場合、集電体21の厚みは、例えば1μm~100μmとすることができる。
正極活物質層22は、電荷担体を吸蔵及び放出可能である正極活物質を含んで構成されている。正極活物質としては、例えば層状岩塩構造を有するリチウム複合金属酸化物、スピネル構造の金属酸化物、ポリアニオン系化合物などが挙げられる。2種以上の正極活物質を併用してもよい。本実施形態では、正極活物質層22は、複合酸化物としてのオリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO)を含んで構成されている。
負極活物質層23は、電荷担体を吸蔵及び放出可能である負極活物質を含んで構成されている。負極活物質は、単体、合金、化合物のいずれであってもよい。負極活物質としては、例えば炭素、金属化合物、リチウムと合金化可能な元素、若しくはその化合物などが挙げられる。炭素としては、天然黒鉛、人造黒鉛が挙げられる。人造黒鉛としては、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ等が挙げられる。リチウムと合金化可能な元素の例としては、シリコン(ケイ素)及びスズが挙げられる。本実施形態では、負極活物質層23は、炭素系材料としての黒鉛を含んで構成されている。
正極活物質層22及び負極活物質層23のそれぞれには、必要に応じて電気伝導性を高めるための導電助剤、結着剤、電解質(ポリマーマトリクス、イオン伝導性ポリマー、電解液等)、イオン伝導性を高めるための電解質支持塩(リチウム塩)等が含まれていてもよい。活物質層に含まれる成分、当該成分の配合比、及び活物質層の厚さに特に限定はなく、リチウムイオン二次電池についての従来公知の知見が適宜参照され得る。
正極活物質層22及び負極活物質層23の厚さは、例えば2μm~150μmである。集電体21の表面に活物質層を形成させるには、ロールコート法等の従来から公知の方法を用いることができる。正極11又は負極12の熱安定性を向上させるために、集電体21の片面又は両面、或いは活物質層の表面に耐熱層を設けてもよい。耐熱層は、例えば無機粒子と結着剤とを含んで構成され、その他に増粘剤等の添加剤を含んでいてもよい。
導電助剤は、正極11又は負極12の導電性を高めるために添加され得る。導電助剤は、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト等である。結着剤としては、例えばポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸等のアクリル系樹脂、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム等のアルギン酸塩、水溶性セルロースエステル架橋体、デンプン-アクリル酸グラフト重合体などが挙げられる。これらの結着剤は、単独で又は複数で用いられ得る。溶媒には、例えば、水、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)等が用いられる。
セパレータ13は、正極11と負極12とを隔離することで、両極の接触による短絡を防止しつつ、リチウムイオン等の電荷担体を通過させる部材である。セパレータ13は、正極11の正極活物質層22と負極12の負極活物質層23との間に配置されている。これにより、セパレータ13は、蓄電セル2をスタックした際に隣り合うバイポーラ電極10,10間の短絡を防止する。
セパレータ13の基材層は、例えば電解質を吸収保持するポリマーを含む多孔性シート又は不織布によって構成されている。基材層を構成する材料としては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリオレフィン、ポリエステルなどが挙げられる。基材層は、単層構造或いは多層構造のいずれであってもよい。基材層が多層構造をなす場合、例えば接着層、耐熱層としてのセラミック層等を有してもよい。本実施形態では、このセパレータ13の基材層に電解質が含浸されている。
電解質としては、例えば非水溶媒と非水溶媒に溶解した電解質塩とを含む液体電解質(電解液)などが挙げられる。電解塩としては、例えばLiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(FSO、LiN(CFSO等の公知のリチウム塩を使用できる。また、非水溶媒として、環状カーボネート類、環状エステル類、鎖状カーボネート類、鎖状エステル類、エーテル類等の公知の溶媒を使用できる。なお、これら公知の溶媒材料を二種以上組み合わせて用いてもよい。
スペーサ14は、正極11の集電体21と負極12の集電体21との間に配置され、正極11の集電体21及び負極12の集電体21に接合されている。スペーサ14は、絶縁材料を含み、正極11の集電体21と負極12の集電体21との間を絶縁することによって、集電体21間の短絡を防止する。スペーサ14を構成する材料としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリスチレン、ABS樹脂、変性ポリプロピレン(変性PP)、アクリロニトリルスチレン(AS)樹脂といった種々の樹脂材料が挙げられる。
本実施形態において、スペーサ14は、平面視で矩形の枠状に形成され、平面視で矩形状に形成された正極活物質層22又は負極活物質層23の周囲を取り囲むように集電体21の周縁部21eに沿って延在している。上述したセパレータ13の縁部13aは、スペーサ14の内壁部分に埋設されている。これにより、セパレータ13は、スペーサ14によって保持された状態となっている。
本実施形態では、各蓄電セル2に配置されるスペーサ14は、一対の集電体21間に位置する部分と、積層方向から見て集電体21の周縁部21eよりも外側に位置する部分とを有している。セルスタック5の積層方向に隣り合うスペーサ14,14において、積層方向から見て集電体21の周縁部21eよりも外側に位置する部分同士は、互いに接合されて一体化している。これにより、複数のスペーサ14が一体化されて封止体Bが形成されている。封止体Bは、セルスタック5の積層方向の一端に配置された集電体21から積層方向の他端に配置された集電体21まで積層方向に延在する筒状部分を構成している。隣り合うスペーサ14,14同士を接合する方法としては、例えば、熱溶着、超音波溶着又は赤外線溶着など、公知の溶着方法が用いられる。
スペーサ14は、当該スペーサ14、正極11の集電体21、及び負極12の集電体21によって囲まれた収容空間Sを形成する。この収容空間Sには、セパレータ13、正極活物質層22、及び負極活物質層23が、電解液に含浸された状態で収容されている。また、収容空間Sには、後述する注液口P(図2及び図3参照)が配置されている。収容空間Sへの電解液の注液は、注液口Pを用いて行われる。本実施形態において、スペーサ14は、収容空間Sを封止する封止部としても機能し、収容空間Sに収容された電解液が外部に漏出することを防止する。スペーサ14は、蓄電装置1の外部から収容空間S内への水分の侵入を防止し得る。また、スペーサ14は、例えば充放電反応等によって正極11又は負極12から発生したガスが蓄電装置1の外部に漏出することを防止する。電解液の注液後、注液口Pは閉鎖され、蓄電セル2が封止される。
蓄電装置1は、蓄電セル2の積層方向においてセルスタック5を挟むように配置された一対の通電体(正極通電板40及び負極通電板50)を備えている。正極通電板40及び負極通電板50は、良導電性材料によって構成されている。正極通電板40及び負極通電板50の構成材料としては、例えば集電体21の構成材料と同じ材料が用いられる。正極通電板40及び負極通電板50の厚さは、セルスタック5に用いられた集電体21の厚さより大きくてもよい。正極通電板40は、積層方向の一端において最も外側に配置された正極11の集電体21に電気的に接続されている。負極通電板50は、積層方向の他端において最も外側に配置された負極12の集電体21に電気的に接続されている。正極通電板40及び負極通電板50のそれぞれに設けられた端子を通じて蓄電装置1の充放電が行われる。
セルスタック5の積層方向において最も外側に配置された集電体21と正極通電板40又は負極通電板50との間には、両部材間の導電接触を良好にする目的で、導電層30が更に配置されていてもよい。この場合、導電層30は、集電体21の他方面21bに密着していてもよい。導電層30は、例えば集電体21の硬度よりも低い硬度を有している。導電層30は、アセチレンブラック又はグラファイト等のカーボンを含む層であってもよく、Auを含むメッキ層であってもよい。
続いて、上述した蓄電セル2の構成について更に詳細に説明する。
図2は、図1に示した蓄電装置を構成する単セルを示す概略的な断面図である。図2に示すように、蓄電セル2においては、より詳細には、正極11における正極活物質層22が第1層22A及び第2層22Bの2層構成となっている。第1層22Aは、集電体21側の層であり、第2層22Bは、第1層22A上の層である。第2層22Bにおける正極活物質の密度は、第1層22Aにおける正極活物質の密度よりも大きくなっていてもよい。また、第2層22Bの厚さは、第1層22Aの厚さよりも大きくなっていてもよい。
図3に示すように、第1層22Aの形成領域61Aは、集電体21よりも一回り小さい矩形状となっており、第2層22Bの形成領域61Bは、第1層22A上において集電体21の面内方向に2分割されている。第2層22Bの形成領域61Bは、互いに等しい形状の矩形状となっており、いずれの角部62も集電体21の平面視において丸みを帯びている。
このように、第1層22A上の第2層22Bが集電体21の面内方向に2分割されていることにより、図2に示すように、正極活物質層22には、第1層22Aの表面22aと、2分割された第2層22Bにおいて互いに対向する側面22bとによる凹部63が形成されている。この凹部63は、正極活物質層22と負極活物質層23とがセパレータ13を介して対向配置されることにより、空隙部分Gを形成している。本実施形態では、図3に示すように、注液口Pは、スペーサ14の一方の短辺側の中央部分に設けられている。注液口Pは、スペーサ14の長辺に沿う方向にスペーサ14を貫通するように設けられている。空隙部分Gは、第2層22Bの厚さと、第2層22Bの分割間隔とによって定まる断面矩形をなしている。空隙部分Gは、2分割された第2層22B,22B間で注液口Pの延長線L方向(すなわち、スペーサ14の長辺に沿う方向)に延びており、注液口P側及び注液口Pの反対側で収容空間Sと繋がっている。したがって、空隙部分Gは、収容空間Sの一部を構成している。
正極活物質層22と負極活物質層23との間に配置されるセパレータ13の縁部13aは、上述したように、スペーサ14の内壁部分に埋設されている。これにより、セパレータ13は、スペーサ14によって保持された状態となっている。このセパレータ13の中央部分は、空隙部分Gに沿って正極活物質層22側に緩やかに凹んでいる。この凹みにより、積層方向から見て、セパレータ13の中央部分には、空隙部分Gと重なり、かつ延長線L方向に延在する溝部64が形成されている。
本実施形態では、延長線L方向に延在する溝部64の長さは、注液口Pの延長線L方向に延びる空隙部分Gの長さと等しくなっている。延長線L方向に延在する溝部64の長さは、注液口Pの延長線L方向に延びる空隙部分Gの長さより短くなっていてもよい。溝部64の外面64aは、正極活物質層22の第1層22Aの表面22aに接していてもよく、離間していてもよい。また、セパレータ13は、溝部64の内面64bとなる面にセラミック層65を有している。セラミック層65は、セパレータ13の基材層の表面に例えばアルミナ等のセラミック材料をコーティングすることによって形成されている。本実施形態では、セパレータ13は、正極活物質層22側に弛んでおり、セラミック層65は、セパレータ13において負極活物質層23と対向する面に設けられている。セラミック層65は、セパレータ13の両面に設けられていてもよい。
注液口Pは、集電体21の面内方向から見た場合に、凹部63内において溝部64の内面64bと負極活物質層23との間に位置している。本実施形態では、注液口Pは、集電体21の面内方向から見た場合に、負極活物質層23の表面23aと、セパレータ13の溝部64の内面64bとによって囲まれた領域内において、負極活物質層23及びセパレータ13とは重ならないように位置している。
以上説明したように、蓄電セル2では、正極活物質層22が、凹部63によって形成されると共に注液口Pの延長線L方向に延びる空隙部分Gを有している。また、セパレータ13が空隙部分G内で当該延長線L方向に延在する溝部64を有している。そして、注液口Pは、集電体21の面内方向から見た場合に、凹部63内において溝部64の内面64bと負極活物質層23との間に位置している。この蓄電セル2では、注液口Pから蓄電セル2内の収容空間Sに注液された電解液は、セパレータ13の溝部64によって収容空間S内で注液口Pの延長線L方向にガイドされる。したがって、正極活物質層22及び負極活物質層23において注液口Pから遠い部分にも電解液を速やかに行き渡らせることが可能となり、正極活物質層22及び負極活物質層23全体の電解液の含浸に要する時間を短縮できる。
また、蓄電セル2では、セパレータ13の縁部13aは、スペーサ14によって保持されており、溝部64は、セパレータ13が空隙部分Gに沿って凹むことによって形成されている。このように、セパレータ13の縁部13aがスペーサ14で保持されることで、セパレータ13の位置ずれを防止できる。また、セパレータ13の溝部64が空隙部分Gに沿ったセパレータ13の凹みによって形成されることで、上述した電解液のガイド機能を奏することに加え、スペーサ14の膨張収縮や集電体21及び活物質層(正極活物質層22及び負極活物質層23)の膨張に起因するセパレータ13の破損を防止できる。
また、蓄電セル2では、セパレータ13において、溝部64の内面64bにセラミック層65が設けられている。このセラミック層65により、溝部64の内面64bの空隙率が低くなり、溝部64における電解液のガイド機能を向上できる。したがって、正極活物質層22及び負極活物質層23において注液口Pから遠い部分に電解液を一層速やかに行き渡らせることが可能となり、正極活物質層22及び負極活物質層23全体の電解液の含浸に要する時間を更に短縮できる。
また、蓄電セル2では、正極活物質層22が集電体21側の第1層22Aと、第1層22A上の第2層22Bとを有し、第2層22Bが集電体21の面内方向に分割されていることによって空隙部分Gを形成する凹部63が設けられている。このように、正極活物質層22を2層構成とすることで、本実施形態のように一辺の長さが1mを超えるような大面積の蓄電セル2において、高容量化のために正極活物質層22の目付量を増加させる場合でも、正極11の製造の際の正極活物質層22の割れや集電体21からの剥離を好適に抑制できる。また、第1層22A上の第2層22Bを面内方向に分割することで、空隙部分Gを形成する凹部63を好適に形成できる。
本開示は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上記実施形態では、正極活物質層22を第1層22A及び第2層22Bによる2層構成としているが、図4に示すように、正極活物質層22を1層構成としてもよい。この場合、1層構成の正極活物質層22を集電体21の面内方向に2分割することで、2分割された正極活物質層22と正極11の集電体21とによって、空隙部分Gを形成する凹部63を形成できる。
また、上記実施形態では、正極活物質層22側に凹部63を設けているが、負極活物質層23側に凹部63を設けてもよく、正極活物質層22側及び負極活物質層23側の双方にそれぞれ凹部63を設けてもよい。負極活物質層23側に凹部63を設ける場合、負極活物質層23を2層構成として第1層上の第2層を集電体21の面内方向に2分割してもよく、1層構成の負極活物質層23を集電体21の面内方向に2分割してもよい。
また、セパレータ13は、片面又は両面に接着層を有する接着セパレータであってもよい。この場合、セパレータ13の位置ずれをより確実に防止することができる。接着層は、熱硬化性接着剤又は熱可塑性接着剤によって構成されていてもよく、電解液の溶媒等と反応して固化する接着剤によって構成されていてもよい。熱硬化性接着剤は、例えばエポキシ樹脂やフェノール樹脂等を含むものであってもよい。熱可塑性接着剤は、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)やポリビニールアルコール等の結着剤を含むものであってもよい。
2…蓄電セル、13…セパレータ、13a…縁部、14…スペーサ、21…集電体、21a…一方面、22…正極活物質層(活物質層)、22A…第1層、22B…第2層、23…負極活物質層(活物質層)、63…凹部、64…溝部、64b…内面、65…セラミック層、G…空隙部分、L…延長線、P…注液口、S…収容空間。

Claims (4)

  1. 集電体の一方面に矩形状の活物質層を有し、積層方向に活物質層同士が互いに対向するように配置された一対の電極と、
    前記一対の電極間に配置され、前記活物質層間に介在するセパレータと、
    前記一対の電極間に配置されると共に、前記積層方向から見て前記活物質層を囲むように配置されたスペーサと、を備える蓄電セルであって、
    前記一対の電極と、前記一対の電極に接合された前記スペーサとによって電解液の収容空間が形成され、
    前記蓄電セルの外部と前記収容空間とを連通する前記電解液の注液口を備え、
    前記一対の電極の一方における前記活物質層は、凹部によって形成されると共に前記注液口の延長線方向に延びる空隙部分を有し、
    前記セパレータは、前記空隙部分内で前記延長線方向に延在する溝部を有し、
    前記注液口は、前記集電体の面内方向から見た場合に、前記凹部内において前記溝部の内面と前記一対の電極の他方における前記活物質層との間に位置している蓄電セル。
  2. 前記セパレータの縁部は、前記スペーサによって保持されており、
    前記溝部は、前記セパレータが前記空隙部分に沿って凹むことによって形成されている請求項1記載の蓄電セル。
  3. 前記セパレータは、前記溝部の内面にセラミック層を有している請求項1又は2記載の蓄電セル。
  4. 前記一対の電極の一方における活物質層は、集電体側の第1層と、前記第1層上の第2層とを有し、
    前記空隙部分を形成する前記凹部は、前記第2層が前記面内方向に分割されていることによって形成されている請求項1~3のいずれか一項記載の蓄電セル。
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