JP2022065956A - ファン - Google Patents
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Abstract
【課題】ステータの磁極部に巻回される巻線の線径を大きくすることができ、高速回転が可能なインナーロータ型モータを用いたファンを提供すること。【解決手段】実施形態のファンは、インナーロータ型モータを備えたファンである。インペラに結合したシャフトを回転可能に支持する一対の転がり玉軸受が、非磁性金属材から形成された軸受ホルダの内側に配置される。前記軸受ホルダの外周面に、コイルが巻回されたステータコアが配置される。前記ステータコアは、環状のコアバック部と、該コアバック部から径方向内方に延在する複数の磁極部とを備える。前記磁極部の内周面に前記軸受ホルダが嵌着されている。【選択図】図2
Description
本発明は、ファンに関する。
電子機器装置の内部に実装された電子部品からの発熱に対して、ファンを用いて電子機器装置内部の熱を外部に排出し、機器装置内部を冷却することが行われている。
電子機器装置内の空間に制約がある場合、ファンの風量特性を低下させることなく、小型化することが求められている。一般的に、ファンの風量を増大するためには、モータの回転数を上げる、またはファンの羽根形状を大きくすることが必要となる。しかし、羽根形状を大きくすることはファンの形状が大きくなり、空間の制約から難しい。そのため、モータの回転数を上げて高速回転にて風量を増加させる対応が行われている。
ファンとしては、大型のマグネットを採用できることでトルクを大きくできる点や、ステータコアへの巻線作業が容易である等の理由から、ステータの外側にロータマグネットを配置したアウターロータ型モータによるファンが多く用いられている。他方、このアウターロータ型モータと異なる、ステータの内側にロータマグネットを配置したインナーロータ型モータは、シャフト径を大きくすることができ、かつ回転時の慣性モーメントが小さいため、より高速回転することが可能である。そのため、空間の制約からモータの回転数を上げて高速回転にて風量を増加させる場合に適している。このようなインナーロータ型モータを用いたファンが知られている(例えば、特許文献1等を参照)。
しかしながら、従来におけるインナーロータ型モータを用いたファンでは、シャフトに固定されたロータマグネットにギャップを介して対向するステータが、一対の軸受部を支持する略円筒状のホルダ部の内周面に固定される構造であった。そのため、ステータのコイルが巻回される磁極部(環状のコアバック部から径方向内側に突出)の間に形成されるスロットの断面積を大きくすることができず、巻線の線径を大きくできないために巻線抵抗を下げることができないという問題があった。巻線抵抗を下げることができないことで、出力や効率の向上が困難になり、高速回転に適したものとすることができない。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ステータの磁極部に巻回される巻線の線径を大きくすることができ、高速回転が可能なインナーロータ型モータを用いたファンを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係るファンは、インナーロータ型モータを備えたファンである。インペラに結合したシャフトを回転可能に支持する一対の転がり玉軸受が、非磁性金属材から形成された軸受ホルダの内側に配置される。前記軸受ホルダの外周面に、コイルが巻回されたステータコアが配置される。前記ステータコアは、環状のコアバック部と、該コアバック部から径方向内方に延在する複数の磁極部とを備える。前記磁極部の内周面に前記軸受ホルダが嵌着されている。
本発明の一態様に係るファンは、ステータの磁極部に巻回される巻線の線径を大きくすることができ、高速回転が可能なインナーロータ型モータを用いたファンを提供することができる。
以下、実施形態に係るファンについて図面を参照して説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、1つの実施形態や変形例に記載された内容は、原則として他の実施形態や変形例にも同様に適用される。
一実施形態にかかるファン1の構造について、図1~図4を参照しながら説明する。図1は、一実施形態にかかるファン1の平面図である。図2は、図1におけるファン1のA-A断面図である。図3は、ステータコア61を軸受ホルダ7に嵌着した状態を示す模式図である。図4は、軸受ホルダ7およびステータコア61の斜視図である。
図1~図4において、ファン1は、ハウジング2と、複数の羽根32を備えたインペラ3と、インペラ3を回転するためのモータ4と、を備えている。インペラ3とモータ4は、ハウジング2の中に収容されている。モータ4は、ステータ6の内側にロータマグネット58が配置されたインナーロータ型モータである。
ハウジング2は、平面視で、略正方形で、中空円筒状の風洞部23を備える。ファン1は、ハウジング2の軸方向一方端(上端面)に形成された吸気口21から空気を吸気し、ハウジング2の軸方向他方端(下端面)に形成された排気口22から空気を排出するファンであって、いわゆる軸流ファンである。ハウジング2の各コーナ部には、他の機器や筐体に取り付けるためのボルトを挿通する貫通孔25が形成されている。
ハウジング2の軸方向下端の排気口22には、モータ4を配置するためのモータベース部26と、複数の固定翼24とが設けられている。モータベース部26は、円形状のベース部27と、ベース部27から軸方向に延在する円筒状の外周壁29と、からなっている。複数の固定翼24は、モータベース部26の外周壁29の外周面と風洞部23の内周面との間を結合している。このハウジング2と、モータベース部26と、複数の固定翼24は、合成樹脂(例えば、PBT樹脂(含むガラス繊維入))の射出成形にて一体で形成される。
モータベース部26の中央には、軸方向に突出するボス部28が一体に形成されている。ボス部28には、非磁性の金属材(例えば、非磁性のステンレス鋼、真鍮)からなる中空円筒状の軸受ホルダ7が配設されている。この軸受ホルダ7は、ボス部28の開口に圧入されているが、軸受ホルダ7をインサート材として、モータベース部26と一体に形成されるものでもよい。
ハウジング2の風洞部23の内部には、モータ4と、インペラ3とが収容される。モータ4は、ステータ6と、ロータ5と、から構成されている。
ステータ6は、ステータコア61と、ステータコア61に装着されたインシュレータ65と、インシュレータ65を介してステータコア61に巻回されたコイル66と、インシュレータ65の軸方向下方に取り付けられた回路基板9と、から構成されている。
ステータコア61は、電磁鋼板からなるコアが複数枚数、積層して構成されている。ステータコア61は、環状のコアバック部62と、コアバック部62の内周面から径方向内方に放射状に延在する複数の磁極部(ティース、突極)63とを備えている。ステータコア61の軸方向両端からインシュレータ65がそれぞれ装着され、インシュレータ65を介して各磁極部63にはコイル66が巻回されている。
インシュレータ65の下端には回路基板9が配置され、コイル66の端線はインシュレータ65に植設された端子ピン(不図示)に絡げ接続され、端子ピンは、回路基板9の配線パターン(不図示)と電気的に接続されている。ステータコア61は軸受ホルダ7の外周面に嵌着されている。具体的には、ステータコア61の磁極部63の内周面に軸受ホルダ7が嵌着されている。なお、この嵌着には、接着剤が併用されて、固着されてもよい。
ステータコア61の軸受ホルダ7への取り付け手順としては、ステータコア61の軸方向両端にそれぞれインシュレータ65が装着された後、磁極部63に所定の巻数でコイル66が巻回され、コイル66の端線は、インシュレータ65に植設された端子ピン(不図示)の一方端に絡げ接続される。次に端子ピン(不図示)の他方端が回路基板9に形成されたスルーホール(不図示)に挿入され、半田で配線パターン(不図示)と電気的に接続される。ステータコア61に回路基板9が取り付けられた後、ステータコア61の磁極部63の内周面に、モータベース部26の中央に軸受ホルダ7が嵌着され、所定の位置で固定される。
ロータ5は、金属製のシャフト51と、シャフト51の外周面に固着された軟磁性材からなる中空円筒状のロータコア57と、ロータコア57の外周面に固着された中空円筒状のロータマグネット58と、から構成されている。ロータマグネット58の外周面には、周方向に複数の磁極が設けられている。インナーロータ型モータであることから、ロータマグネット58は小径となる。このため、ロータマグネット58は、高い磁気特性を有するネオジム磁石のような希土類磁石であることが好ましい。
軸受ホルダ7の内周面に形成された段差部71、72に、一対の転がり玉軸受52、53がそれぞれ位置決めされて装着され、シャフト51は回転可能に支持されている。転がり玉軸受52は、内輪54と、外輪55と、内輪54および外輪55の端部を塞ぐシール56と、を有している。転がり玉軸受53についても同様である。転がり玉軸受52、53の互いに対向しない側の一端の内輪は、コイルばね81と止め輪(例えば、Eリング)82とで、振動等に対して若干の余裕をもって位置決めされている。
ロータマグネット58と軸受ホルダ7との間には、ロータマグネット58が軸受ホルダ7の内周面に接触しない程度に隙間が形成されている。ステータコア61の磁極部63に内周面とロータマグネット58の外周面との間には、軸受ホルダ7が存在するため、非磁性の金属材からなる軸受ホルダ7の径方向の厚さは、軸受ホルダ7の強度を維持できる範囲で薄くすることが好ましい。
インペラ3は、有底カップ状のハブ31と、ハブ31の外周面に一体に形成された複数の羽根32と、を備え、ハブ31と複数の羽根32は合成樹脂(例えば、PBT樹脂(含むガラス繊維入))の射出成形にて一体で形成されている。カップ状のハブ31の中央には貫通孔35が形成され、シャフト51が貫通孔35に圧入され、ハブ31と結合されているが、シャフト51をインサート材として、インペラ3と一体に形成された構成であってもよい。
ハブ31の下面に形成された凹部33の中には、軸受ホルダ7の軸方向一端側(上端側)の一部と、ステータコア61の軸方向一端側の一部が収容されることで、軸方向の薄型化が図られている。そして、ステータコア61の外周面(環状のコアバック部62の外周面)とハブ31の凹部33の内周面との間は、ステータコア61が凹部33の内周面に接触しない程度に隙間が形成されている。
また、ハブ31の下面には周方向に複数の凹部34が形成されている。この凹部34は、バランス調整用の錘を挿入するポケットとして用いられる。
回路基板9とステータコア61の軸方向他端側の一部は、モータベース部26の外周壁29の内側に収容されており、回路基板9はモータベース部26のボス部28上に載置されている。回路基板9には、配線パターン(不図示)およびモータ4を駆動するための回路(不図示)や、電子部品(不図示)が実装されている。
上述の一実施形態のファン1は、インナーロータ型モータを用いたファンのため、シャフト51の径を大きくすることができ、シャフト51の剛性を高くして振動を抑制できる。また、回転時の慣性モーメントが小さいため、高速回転することができる。
また、一実施形態におけるファン1は、ステータコア61の磁極部63の内周面は円弧状の曲面に形成され、軸受ホルダ7の外周面と略一致している。このため、ステータコア61の磁極部63の内周面に軸受ホルダ7が嵌着され、ステータコア61の中心がロータマグネット58の磁気中心と略一致する位置に固定されている。このように、ステータコア61の内周面に軸受ホルダ7が嵌着される構成のため、隣接する磁極部63の間に形成されるスロット64の断面積を大きくすることができ、磁極部63に巻回されるコイル66の線径を大きくすることができる。その結果、コイル66の巻線抵抗を低減することができる。
図5は、比較例としての送風ファン100’の断面図である。図5において、送風ファン100’は、回転体であるロータマグネット20’が一対の軸受部50a’、50b’間に配置されるとともに、ロータマグネット20’の径方向外方に非回転体であるステータ30’が配置されている。そして、一対の軸受部50a’、50b’およびステータ30’が、略円筒状のホルダ部40’の内周面で保持されている。
なお、ロータマグネット20’はシャフト10’(回転軸J’)に固定されており、シャフト10’にはインペラ60’が固定されている。インペラ60’は、インペラカップ61’と羽根62’とを有している。また、ホルダ部40’は、ハウジング70’に連結部材80’を介して接続されたブッシュ41’の内周面に固定されている。ホルダ部40’のインペラ60’と反対側の開口部には回路基板90’が設けられている。
送風ファン100’におけるステータ30’は、一般に、環状のコアバック部と、環状のコアバック部の内周面から径方向内方に延在する複数の磁極部とを備え、各磁極部にはコイルが巻回されている。そして、環状のコアバック部の外周面は略円筒状のホルダ部40’の内周面で保持され、磁極部の内周面は所定のギャップを隔ててロータマグネット20’の外周面に対向配置されている。
このように、ステータ30’が略円筒状のホルダ部40’の内周面で保持された構成のため、隣接する磁極部の間に形成されるスロットの断面積を大きくできず、巻線の線径を大きくできない。この結果、巻線抵抗を下げることができない。
これに対して、図1~図4の実施形態では、前述のように、ステータコア61の内周面に軸受ホルダ7が嵌着される構成のため、隣接する磁極部63の間に形成されるスロット64の断面積を大きくすることができ、磁極部63に巻回されるコイル66の線径を大きくすることができる。その結果、コイル66の巻線抵抗を低減することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
以上のように、実施形態に係るファンは、インナーロータ型モータを備えたファンであって、インペラに結合したシャフトを回転可能に支持する一対の軸受が、非磁性金属材から形成された軸受ホルダの内側に配置され、軸受ホルダの外周面に、コイルが巻回されたステータコアが配置され、ステータコアは、環状のコアバック部と、コアバック部から径方向内方に延在する複数の磁極部とを備え、磁極部の内周面に軸受ホルダが嵌着されている。これにより、ステータの磁極部に巻回される巻線の線径を大きくすることができ、高速回転が可能なインナーロータ型モータを用いたファンを提供することができる。
また、軸受ホルダは中空円筒状であり、磁極部の内周面は、軸受ホルダの外周面に一致する円弧状の曲面に形成されている。これにより、軸受ホルダの外周面と磁極部の内周面との密着性を高めることができ、軸受ホルダの内部に配置されるロータとの距離を縮めて駆動力を維持することができる。
また、軸受ホルダは、非磁性のステンレス鋼または真鍮から構成される。これにより、軸受ホルダを容易に製造することができる。
また、シャフトに固定されるロータマグネットは、希土類磁石から構成される。これにより、ロータマグネット径が小径であり、ステータコアの磁極部の内周面とロータマグネットの外周面との間に軸受ホルダが存在するために大エアギャップ長であっても、希土類磁石といった残留磁束密度の大きい磁石を用いることで、出力を維持することができる。
また、一対の転がり玉軸受は、軸受ホルダの内周面に形成された2つの段差部に一端がそれぞれ支持される。これにより、転がり玉軸受の位置決めを容易に行うことができる。
また、一対の転がり玉軸受の他端は、コイルばねと止め輪とによりそれぞれ支持される。これにより、転がり玉軸受の位置に対し、振動等に対して若干の余裕をもたせることができる。
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
1 ファン,2 ハウジング,21 吸気口,22 排気口,23 風洞部,24 固定翼,25 貫通孔,26 モータベース部,28 ボス部,29 外周壁,3 インペラ,31 ハブ,32 羽根,33、34 凹部,35 貫通孔,4 モータ,5 ロータ,51 シャフト,52、53 転がり玉軸受,54 内輪,55 外輪,56 シール,57 ロータコア,58 ロータマグネット,6 ステータ,61 ステータコア,62 コアバック部,63 磁極部,64 スロット,65 インシュレータ,66 コイル,7 軸受ホルダ,81 コイルばね,82 止め輪,9 回路基板
Claims (6)
- インナーロータ型モータを備えたファンであって、
インペラに結合したシャフトを回転可能に支持する一対の転がり玉軸受が、非磁性金属材から形成された軸受ホルダの内側に配置され、
前記軸受ホルダの外周面に、コイルが巻回されたステータコアが配置され、
前記ステータコアは、環状のコアバック部と、該コアバック部から径方向内方に延在する複数の磁極部とを備え、
前記磁極部の内周面に前記軸受ホルダが嵌着されている、
ファン。 - 前記軸受ホルダは中空円筒状であり、
前記磁極部の内周面は、前記軸受ホルダの外周面に一致する円弧状の曲面に形成されている、
請求項1に記載のファン。 - 前記軸受ホルダは、非磁性のステンレス鋼または真鍮から構成される、
請求項1または2に記載のファン。 - 前記シャフトに固定されるロータマグネットは、希土類磁石から構成される、
請求項1~3のいずれか一つに記載のファン。 - 前記一対の転がり玉軸受は、前記軸受ホルダの内周面に形成された2つの段差部に一端がそれぞれ支持される、
請求項1~4のいずれか一つに記載のファン。 - 前記一対の転がり玉軸受の他端は、コイルばねと止め輪とによりそれぞれ支持される、
請求項5に記載のファン。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
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JP2020174793A Pending JP2022065956A (ja) | 2020-10-16 | 2020-10-16 | ファン |
Country Status (1)
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2020
- 2020-10-16 JP JP2020174793A patent/JP2022065956A/ja active Pending
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