JP2022063205A - 回転電気機械装置、圧縮機、冷凍装置、車両 - Google Patents

回転電気機械装置、圧縮機、冷凍装置、車両 Download PDF

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能成 浅野
Yoshinari Asano
義仁 三箇
Yoshihito Sanga
卓 小坂
Suguru Kosaka
裕明 松盛
Hiroaki Matsumori
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Abstract

【課題】第1界磁磁石間における磁化状態のばらつきを低減する。【解決手段】電機子巻線(40)は、電機子電流(i40)が供給されることで回転子(10)を回転させる回転磁界を発生させる。界磁巻線(50)は、界磁電流(i50)が供給されることで界磁磁束(M50)を発生させる。第1界磁磁石(70)は、界磁磁束(M50)により磁力を変更可能である。制御部(3)は、界磁磁束(M50)により第1界磁磁石(70)の磁力を変更する磁力制御において、回転子(10)の回転中に、界磁磁束(M50)により第1界磁磁石(70)の磁力が変更されるように、界磁電流(i50)を制御する。【選択図】図1

Description

本開示は、回転電気機械装置、圧縮機、冷凍装置、車両に関する。
回転電気機械の一種である電動機の中には、ハイブリッド界磁フラックススイッチングモータ(HEFSM)と称される電動機がある。例えば、特許文献1に開示されたHEFSMは、界磁スロットと電機子スロットとが形成された固定子コアと、固定子コアと所定のエアギャップをもって対向した回転子コアと、界磁スロットに収容された界磁巻線と、電機子スロットに収容された電機子巻線と、界磁スロットに収容された永久磁石とを備える。
特開2016-127610号公報
しかしながら、特許文献1では、永久磁石をどのように着磁するのかについては、論じられていない。
本開示の第1の態様は、回転電気機械装置に関し、この回転電気機械装置は、回転子(10)と、前記回転子(10)と所定のギャップ(G)を隔てて対向する固定子(20)とを有する回転電気機械(2)と、制御部(3)とを備え、前記固定子(20)は、周方向に交互に並ぶ電機子スロット(35a)と界磁スロット(35b)とが設けられた固定子コア(30)と、前記電機子スロット(35a)に収容される電機子巻線(40)と、前記界磁スロット(35b)に収容される界磁巻線(50)および第1界磁磁石(70)とを有し、前記電機子巻線(40)は、交流の電機子電流(i40)が供給されることで前記回転子(10)を回転させる回転磁界を発生させ、前記界磁巻線(50)は、直流の界磁電流(i50)が供給されることで界磁磁束(M50)を発生させ、前記第1界磁磁石(70)は、前記界磁磁束(M50)により磁力を変更可能であり、前記制御部(3)は、前記界磁磁束(M50)により前記第1界磁磁石(70)の磁力を変更する磁力制御において、前記回転子(10)の回転中に、前記界磁磁束(M50)により前記第1界磁磁石(70)の磁力が変更されるように、前記界磁電流(i50)を制御する。
第1の態様では、第1界磁磁石(70)間における磁化状態のばらつきを低減することができる。
本開示の第2の態様は、第1の態様の回転電気機械装置において、前記制御部(3)は、前記磁力制御において、前記回転子(10)の電気角が180°以上変化する期間中に、前記界磁磁束(M50)により前記第1界磁磁石(70)の磁力が変更されるように、前記界磁電流(i50)を制御する回転電気機械装置である。
第2の態様では、回転子(10)と固定子(20)との磁気的な対称性により、原理的に、第1界磁磁石(70)間における磁化状態のばらつきを低減することができる。
本開示の第3の態様は、第2の態様の回転電気機械装置において、前記制御部(3)は、前記磁力制御において、前記回転子(10)の電気角が360°以上変化する期間中に、前記界磁磁束(M50)により前記第1界磁磁石(70)の磁力が変更されるように、前記界磁電流(i50)を制御する回転電気機械装置である。
第3の態様では、回転磁界により回転子(10)と固定子(20)との磁気的な対称性が破られた場合であっても、第1界磁磁石(70)間における磁化状態のばらつきを低減することができる。
本開示の第4の態様は、第1~第3の態様のいずれか1つの回転電気機械装置において、前記制御部(3)は、前記磁力制御において、前記電機子巻線(40)に前記電機子電流(i40)が供給されている期間中に、前記界磁磁束(M50)により前記第1界磁磁石(70)の磁力が変更されるように、前記電機子電流(i40)および前記界磁電流(i50)を制御する回転電気機械装置である。
第4の態様では、磁力制御において電機子巻線(40)に電機子電流(i40)を供給することにより、磁力制御において回転子(10)の回転を維持(継続)することができる。
本開示の第5の態様は、第1~第4の態様のいずれか1つの回転電気機械装置において、前記制御部(3)は、前記磁力制御において、前記第1界磁磁石(70)の磁力の方向が維持された状態で前記第1界磁磁石(70)の磁力の大きさが変更されるように、前記界磁電流(i50)を制御する回転電気機械装置である。
第5の態様では、第1界磁磁石(70)の磁力の方向が変更されるように界磁電流(i50)を制御する場合よりも、第1界磁磁石(70)の磁力を変更するために必要となる界磁電流(i50)を低減することができる。
本開示の第6の態様は、第1~第5の態様のいずれか1つの回転電気機械装置において、前記制御部(3)は、前記磁力制御において、前記界磁磁束(M50)によるトルク変動を抑制する方向に電機子電流(i40)を変化させる回転電気機械装置である。
第6の態様では、磁力制御において界磁磁束(M50)によるトルク変動を抑制することができる。
本開示の第7の態様は、第1~第6の態様のいずれか1つの回転電気機械装置において、前記第1界磁磁石(70)は、前記界磁スロット(35b)内において、前記界磁巻線(50)よりも前記回転子(10)から遠い側に配置される回転電気機械装置である。
第7の態様では、第1界磁磁石(70)が界磁巻線(50)よりも回転子(10)に近い側に配置される場合よりも、界磁磁束(M50)による第1界磁磁石(70)の磁力の変化を容易にすることができる。
本開示の第8の態様は、第1~第7の態様のいずれか1つの回転電気機械装置において、前記固定子(20)は、前記界磁スロット(35b)に収容される第2界磁磁石(60)を有する回転電気機械装置である。
第8の態様では、第1界磁磁石(70)の磁力が実質的にゼロである場合であっても、第2界磁磁石(60)により、一定方向の磁石磁束(M60)を提供することができる。
本開示の第9の態様は、第7の態様の回転電気機械装置において、前記制御部(3)は、前記磁力制御において、前記回転子(10)の回転中に、前記回転子(10)の電気角が0°を含む第1範囲内となる第1期間と、前記電気角が120°を含む第2範囲内となる第2期間と、前記電気角が240°を含む第3範囲内となる第3期間とにおいて、パルス状の界磁電流(i50)が流れることで、前記界磁磁束(M50)により第1界磁磁石(70)の磁力が変更されるように、前記界磁電流(i50)を制御する回転電気機械装置である。
第9の態様では、第1界磁磁石(70)の磁力の変更を効率よく行うことができる。
本開示の第10の態様は、第9の態様の回転電気機械装置において、前記制御部(3)は、前記回転子(10)の回転速度が閾値を下回る場合に、前記磁力制御において、前記回転子(10)の回転中に、前記第1期間と前記第2期間と前記第3期間とにおいて、パルス状の界磁電流(i50)が流れることで、前記界磁磁束(M50)により第1界磁磁石(70)の磁力が変更されるように、前記界磁電流(i50)を制御し、前記回転子(10)の回転速度が前記閾値を下回らない場合に、前記磁力制御において、前記回転子(10)の回転中に、前記界磁磁束(M50)により第1界磁磁石(70)の磁力が変更されるように、前記界磁電流(i50)を制御する回転電気機械装置である。
第10の態様では、回転子(10)の回転速度に応じて磁力制御を適切に行うことができる。
本開示の第11の態様は、圧縮機に関し、この圧縮機は、第1~第10の態様のいずれか1つの回転電気機械装置を備える。
本開示の第12の態様は、冷凍装置に関し、この冷凍装置は、第11の態様の圧縮機を備える。
本開示の第13の態様は、車両に関し、この車両は、第1~第10の態様のいずれか1つの回転電気機械装置を備える。
図1は、実施形態1の回転電気機械装置の構成を例示する横断面図である。 図2は、実施形態1における回転電気機械の要部の構成を例示する横断面図である。 図3は、実施形態1の第1磁力制御における磁束の流れを例示する横断面図である。 図4は、実施形態1の第2磁力制御における磁束の流れを例示する横断面図である。 図5は、実施形態1の第1回転制御における磁束の流れを例示する概略図である。 図6は、実施形態1の第2回転制御における磁束の流れを例示する概略図である。 図7は、実施形態1の第3回転制御における磁束の流れを例示する概略図である。 図8は、実施形態1の第4回転制御における磁束の流れを例示する概略図である。 図9は、実施形態1の第5回転制御における磁束の流れを例示する概略図である。 図10は、実施形態1の第6回転制御における磁束の流れを例示する概略図である。 図11は、実施形態2の回転電気機械装置の構成を例示する横断面図である。 図12は、実施形態2における回転電気機械の要部の構成を例示する横断面図である。 図13は、実施形態2の第1磁力制御における磁束の流れを例示する横断面図である。 図14は、実施形態2の第2磁力制御における磁束の流れを例示する横断面図である。 図15は、実施形態2の第1回転制御における磁束の流れを例示する概略図である。 図16は、実施形態2の第2回転制御における磁束の流れを例示する概略図である。 図17は、実施形態2の第3回転制御における磁束の流れを例示する概略図である。 図18は、実施形態2の第4回転制御における磁束の流れを例示する概略図である。 図19は、実施形態2の第5回転制御における磁束の流れを例示する概略図である。 図20は、実施形態2の第6回転制御における磁束の流れを例示する概略図である。 図21は、実施形態3における回転電気機械の要部の構成を例示する断面図である。 図22は、実施形態4の回転電気機械装置の構成を例示する横断面図である。 図23は、界磁電流の波形を例示する波形図である。 図24は、回転電気機械装置の比較例における第1界磁磁石の磁化状態を例示する概略図である。 図25は、回転電気機械装置の比較例における無負荷鎖交磁束の波形を示す波形図である。 図26は、実施形態の回転電気機械装置における第1界磁磁石の磁化状態を例示する概略図である。 図27は、実施形態の回転電気機械装置における無負荷鎖交磁束の波形を示す波形図である。 図28は、界磁電流の波形の変形例1を示す波形図である。 図29は、界磁電流の波形の変形例2を示す波形図である。 図30は、磁力制御の変形例2における界磁電流の波形を例示する波形図である。 図31は、回転子の電気角が0°である場合の回転子の位置を例示する断面図である。 図32は、回転子の電気角が0°である場合の回転電気機械の一部を直線展開して例示する模式図である。 図33は、回転子の電気角が0°である場合に回転電気機械に形成される磁気回路を例示する模式図である。 図34は、回転子の電気角が180°である場合の回転電気機械の一部を直線展開して例示する模式図である。 図35は、回転子の電気角が180°である場合に回転電気機械に形成される磁気回路を例示する模式図である。 図36は、着磁電流密度と誘起電圧着磁率との関係を例示するグラフである。 図37は、磁力制御の変形例3における界磁電流の波形を例示する波形図である。 図38は、圧縮機の構成を例示する縦断面図である。 図39は、冷凍装置の構成を例示する配管系統図である。 図40は、車両の構成を例示する概略図である。
以下、実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一の符号を付しその説明は繰り返さない。
(実施形態1)
図1は、実施形態1の回転電気機械装置(1)の構成を例示する。この回転電気機械装置(1)は、回転電気機械(2)と、制御部(3)と、シャフト(4)とを備える。この例では、回転電気機械(2)は、インナーロータ型の電動機を構成する。具体的には、回転電気機械(2)は、ハイブリッド界磁フラックススイッチングモータ(HEFSM)を構成する。例えば、電動機を構成する回転電気機械(2)は、自動車や空気調和装置などに用いることができ、後述する回転子(10)に連結されたシャフト(4)により自動車のトランスミッションや空気調和機の圧縮機などを駆動する。
なお、以下の説明において、「軸方向」は、回転子(10)の回転中心軸(P)の方向のことであり、具体的には、後述するシャフト(4)の軸心の方向のことである。「径方向」は、軸方向と直交する方向のことであり、「周方向」とは、回転子(10)の回転方向に沿う方向のことである。「径方向外側」は、回転中心軸(P)からより遠い側のことであり、「径方向内側」は、回転中心軸(P)により近い側のことである。「横断面」とは、軸方向と直交する断面のことである。
〔回転電気機械〕
回転電気機械(2)は、回転子(10)と、固定子(20)とを備え、ケーシング(図示省略)に収容される。固定子(20)は、回転子(10)と所定のギャップ(G)を隔てて対向する。
〔回転子〕
回転子(10)は、回転子コア(11)を有する。回転子コア(11)は、軟磁性体で構成される。例えば、回転子コア(11)は、電磁鋼板をプレス加工によって打ち抜いて作製した多数のコア部材を軸方向に積層した積層コアにより構成される。
この例では、回転子コア(11)は、軸方向から見て歯車状に形成される。具体的には、回転子コア(11)は、回転子ヨーク(12)と、複数の突部(13)とを有する。図1の例では、回転子コア(11)に、10個の突部(13)が設けられる。回転子ヨーク(12)は、円柱状に形成される。複数の突部(13)は、回転子ヨーク(12)から径方向外側へ向けて突出する。また、複数の突部(13)は、周方向に等ピッチで並び、僅かなギャップ(G)を隔てて固定子(20)と対向する。回転子ヨーク(12)の中心部には、貫通孔(15)が設けられる。貫通孔(15)には、シャフト(4)が挿入されて固定される。
なお、複数の突部(13)は、固定子(20)に対する回転子(10)の相対的位置により磁気抵抗を異ならせるため設けられる。したがって、複数の突部(13)は、必ずしも厳密に等ピッチで並んでいなくてもよい。また、軸方向から見た回転子(10)の形状は、歯車状ではない他の形状であってもよい。例えば、回転子コア(11)の突部(13)の間に形成された凹部に薄肉の回転子コア(図示省略)を設けることで、回転子(10)の形状を真円状としてもよい。
〔固定子〕
固定子(20)は、固定子コア(30)と、複数の電機子巻線(40)と、複数の界磁巻線(50)と、複数の第1界磁磁石(70)と、複数の第2界磁磁石(60)とを有する。図1の例では、固定子コア(30)に、12個の電機子巻線(40)と、12個の界磁巻線(50)と、12個の第1界磁磁石(70)と、12個の第2界磁磁石(60)とが設けられる。
〈固定子コア〉
固定子コア(30)は、軟磁性体で構成され、略円環状に形成される。例えば、固定子コア(30)は、電磁鋼板をプレス加工によって打ち抜いて作製した多数のコア部材を軸方向に積層した積層コアによって構成される。
固定子コア(30)は、固定子ヨーク(31)と、複数のティース(32)とを有する。図1の例では、固定子コア(30)に、24個のティース(32)が設けられる。固定子ヨーク(31)は、円環状に形成され、固定子コア(30)の外周部を構成する。複数のティース(32)は、固定子ヨーク(31)の内周面から径方向内側へ向けて突出する。また、複数のティース(32)は、回転中心軸(P)回りに周方向に等ピッチで配置される。これにより、複数のティース(32)の間には、複数のスロット(35)が形成される。
複数のティース(32)の間にそれぞれ形成された複数のスロット(35)は、電機子スロット(35a)と、界磁スロット(35b)とに大別される。具体的には、電機子スロット(35a)は、複数のスロット(35)のうち周方向において1つ飛ばしで隣り合うスロット(35)であり、界磁スロット(35b)は、複数のスロット(35)のうち界磁スロット(35b)を除くスロット(35)である。言い換えると、固定子コア(30)では、電機子スロット(35a)と界磁スロット(35b)とが周方向に交互に並ぶ。
図1の例では、固定子コア(30)に、24個のスロット(35)が設けられる。24個のスロット(35)のうち周方向において1つ飛ばしで隣り合う12個のスロット(35)が12個の電機子スロット(35a)を構成し、残りの12個のスロット(35)が12個の界磁スロット(35b)を構成する。
なお、以下の説明では、ティース(32)、電機子スロット(35a)、界磁スロット(35b)のような複数の構成要素において特定の構成要素に着目する場合、その構成要素の参照符号に枝番が付されている。例えば、ある特定のティース(32)の参照符号は「32-1」と表記される。
〈電機子巻線〉
複数の電機子巻線(40)は、互いに同様の構成を有する。電機子巻線(40)は、電機子スロット(35a)に収容される。そして、電機子巻線(40)は、交流の電機子電流(i40)が供給されて回転子(10)を回転させるための回転磁界を発生させる。例えば、電機子巻線(40)は、三相の電機子巻線であり、電機子巻線(40)に供給される電機子電流(i40)は、三相の交流電流である。
この例では、複数の電機子巻線(40)は、複数の電機子スロット(35a)に収容され、複数のティース(32)に巻回される。具体的には、周方向において隣り合う一対の電機子スロット(35a)の間に挟まれる一対のティース(32)(以下では「一対の電機子ティース(32a)」と記載)に対して、1つの電機子巻線(40)が巻回される。言い換えると、一対の電機子ティース(32a)が1つのティースとみなされ、これに1つの電機子巻線(40)が集中巻で巻回される。具体的には、電機子巻線(40)は、径方向に沿う軸を巻回軸として一対の電機子ティース(32a)に巻回される。
図1を用いて具体的に説明すると、電機子巻線(40-1)は、周方向において隣り合う2つの電機子スロット(35a-1,35a-2)の間に挟まれた2つのティース(32-1,32-2)により構成された一対の電機子ティース(32a)に巻回される。
〈界磁巻線〉
複数の界磁巻線(50)は、互いに同様の構成を有する。界磁巻線(50)は、界磁スロット(35b)に収容される。そして、界磁巻線(50)は、直流の界磁電流(i50)が供給されて界磁磁束(M50)を発生させる。
この例では、複数の界磁巻線(50)は、複数の界磁スロット(35b)に収容され、複数のティース(32)に巻回される。具体的には、周方向において隣り合う一対の界磁スロット(35b)の間に挟まれる一対のティース(32)(以下では「一対の界磁ティース(32b)」と記載)に対して、1つの界磁巻線(50)が巻回される。言い換えると、一対の界磁ティース(32b)が1つのティースとみなされ、これに1つの界磁巻線(50)が集中巻で巻回される。具体的には、界磁巻線(50)は、径方向に沿う軸を巻回軸として一対の界磁ティース(32b)に巻回される。
図1を用いて具体的に説明すると、界磁巻線(50-1)は、周方向において隣り合う2つの界磁スロット(35b-1,35b-2)との間に挟まれた2つのティース(32-2,32-3)により構成された一対の界磁ティース(32b)に巻回される。
この例では、複数の界磁巻線(50)に共通の界磁電流(i50)が流れるように、複数の界磁巻線(50)が直列または並列に接続される。そして、複数の界磁巻線(50)は、周方向において隣り合う2つの界磁巻線(50)の巻回方向が互いに逆方向となるように、複数対の界磁ティース(32b)に巻回される。
〈界磁巻線の磁束:界磁磁束〉
なお、界磁スロット(35b)に収容された界磁巻線(50)の周りに発生する界磁磁束(M50)には、固定子コア(30)内を循環する磁束と、回転子コア(11)と鎖交する磁束とが含まれる。以下の説明では、界磁磁束(M50)のうち固定子コア(30)内を循環する磁束を「短絡磁束(M51)」と記載し、界磁磁束(M50)のうち回転子コア(11)と鎖交する磁束を「鎖交磁束(M52)」と記載する。短絡磁束(M51)は、第1界磁磁石(70)を通過する。鎖交磁束(M52)は、回転子コア(11)を通過する。短絡磁束(M51)は、第1界磁磁石(70)の着磁に利用される。鎖交磁束(M52)は、回転子(10)の回転トルクの向上に寄与する。
〈第1界磁磁石〉
複数の第1界磁磁石(70)は、互いに同様の構成を有する。第1界磁磁石(70)は、界磁スロット(35b)に収容される。この例では、第1界磁磁石(70)は、横断面が矩形状に形成され、径方向内側から径方向外側へ向けて周方向長さが一定である。第1界磁磁石(70)の軸方向長さは、固定子コア(30)の軸方向長さと概ね同じである。
第1界磁磁石(70)は、その第1界磁磁石(70)に対応する第2界磁磁石(60)と磁気的に並列に配置される。このような構成により、第1界磁磁石(70)の磁束の流れ方向を第2界磁磁石(60)の磁束の流れ方向と同方向または逆方向にすることができる。
また、第1界磁磁石(70)は、その第1界磁磁石(70)に対応する界磁巻線(50)の界磁磁束(M50)により磁力を変更可能である。具体的には、第1界磁磁石(70)は、界磁巻線(50)の界磁磁束(M50)により着磁量および方向が変更し、この変更により磁力を変更可能である。この例では、界磁スロット(35b)の界磁巻線(50)の短絡磁束(M51)は、その界磁スロット(35b)の第1界磁磁石(70)を通過する。そして、第1界磁磁石(70)は、その第1界磁磁石(70)を通過する短絡磁束(M51)により、磁力の大きさおよび方向を変更可能である。言い換えれば、第1界磁磁石(70)は、その第1界磁磁石(70)を通過する短絡磁束(M51)により、短絡磁束(M51)を取り去った後、磁化状態、すなわち、磁化の大きさおよび方向を変更可能である。一般的に、磁化の大きさを大きくする、または、最大にすることを、「着磁する」といい、磁化の大きさを小さくする、または、磁化をほぼゼロにすることを、「減磁させる」または「脱磁する」と言われる。
この例では、第1界磁磁石(70)は、第2界磁磁石(60)よりも径方向外側に配置される。そして、第1界磁磁石(70)は、磁極面が周方向を向くように着磁される。言い換えると、第1界磁磁石(70)は、周方向に着磁可能であり、磁化方向を周方向に沿う方向にすることが可能である。また、この例では、複数の第1界磁磁石(70)は、周方向において同じ極性の磁極面が向かい合うように着磁される。言い換えると、複数の第1界磁磁石(70)は、それぞれの磁化方向が周方向に沿う方向となり、且つ、周方向の一方側へ向けて交互に異なる極性の磁極面を向けるように、着磁される。
〈第1界磁磁石の磁束:第1磁石磁束〉
なお、第1界磁磁石(70)の磁束には、固定子コア(30)内を循環する磁束と、回転子コア(11)と鎖交する磁束とが含まれる。以下の説明では、第1界磁磁石(70)の磁束を「第1磁石磁束(M70)」と記載し、第1磁石磁束(M70)のうち固定子コア(30)内を循環する磁束を「第1短絡磁束(M71)」と記載し、第1磁石磁束(M70)のうち回転子コア(11)と鎖交する磁束を「第1鎖交磁束(M72)」と記載する。
〈第2界磁磁石〉
複数の第2界磁磁石(60)は、互いに同様の構成を有する。第2界磁磁石(60)は、界磁スロット(35b)に収容される。この例では、第2界磁磁石(60)は、横断面が台形状に形成され、径方向内側から径方向外側へ向けて周方向長さが次第に長くなる。第2界磁磁石(60)の軸方向長さは、固定子コア(30)の軸方向長さと概ね同じである。なお、第2界磁磁石(60)の横断面の形状は、台形状に限定されない。
また、第2界磁磁石(60)は、磁極面が周方向を向く。言い換えると、第2界磁磁石(60)は、周方向に着磁され、磁化方向が周方向に沿う方向である。この例では、複数の第2界磁磁石(60)は、周方向において同じ極性の磁極面が向かい合うように複数の界磁スロット(35b)にそれぞれ配置される。言い換えると、複数の第2界磁磁石(60)は、それぞれの磁化方向が周方向に沿うように着磁され、周方向の一方側へ向けて交互に異なる極性の磁極面を向けて配置される。
〈第2界磁磁石の磁束:第2磁石磁束〉
なお、第2界磁磁石(60)の磁束には、固定子コア(30)内を循環する磁束と、回転子コア(11)と鎖交する磁束とが含まれる。以下の説明では、第2界磁磁石(60)の磁束を「第2磁石磁束(M60)」と記載し、第2磁石磁束(M60)のうち固定子コア(30)内を循環する磁束を「第2短絡磁束(M61)」と記載し、第2磁石磁束(M60)のうち回転子コア(11)と鎖交する磁束を「第2鎖交磁束(M62)」と記載する。
〈順方向と逆方向〉
また、以下の説明では、第1界磁磁石(70)の第1鎖交磁束(M72)の流れ方向がその第1界磁磁石(70)に対応する第2界磁磁石(60)の第2鎖交磁束(M62)の流れ方向と同方向となるときの第1界磁磁石(70)の磁化方向を「順方向」と記載する。また、第1界磁磁石(70)の第1鎖交磁束(M72)の流れ方向がその第1界磁磁石(70)に対応する第2界磁磁石(60)の第2鎖交磁束(M62)の流れ方向の逆方向となるときの第1界磁磁石(70)の磁化方向を「逆方向」と記載する。なお、「第1界磁磁石(70)に対応する第2界磁磁石(60)」は、第1界磁磁石(70)とともに共通の界磁スロット(35b)に収容される第2界磁磁石(60)のことである。
〈着磁状態と脱磁状態〉
また、第1界磁磁石(70)は、界磁磁束(M50)により磁力を変更することで、着磁状態と脱磁状態とに切り換え可能である。着磁状態は、有効な磁力を有する状態のことである。脱磁状態は、磁力が実質的にゼロの状態である。例えば、着磁状態では、第1界磁磁石(70)の第1鎖交磁束(M72)が回転子コア(11)と鎖交し、脱磁状態では、第1界磁磁石(70)の第1鎖交磁束(M72)が回転子コア(11)と鎖交しない。なお、着磁状態には、第1界磁磁石(70)の磁力の方向(磁化方向)が順方向となる第1着磁状態と、第1界磁磁石(70)の磁力の方向(磁化方向)が逆方向となる第2着磁状態とが含まれる。
〔界磁磁石の磁気特性〕
第2界磁磁石(60)は、界磁巻線(50)の界磁磁束(M50)による磁力の変化が可能な限り生じないように構成される。第1界磁磁石(70)は、界磁巻線(50)の界磁磁束(M50)により磁力が変化するように構成される。
この例では、回転電気機械(2)の使用温度範囲内において、第1界磁磁石(70)の保磁力の最大値は、第2界磁磁石(60)の保磁力の最小値よりも小さい。例えば、回転電気機械(2)の使用温度範囲の上限は、100℃、150℃、200℃のいずれかであり、回転電気機械(2)の使用温度範囲の下限は、0℃、―50℃のいずれかである。
また、「第2界磁磁石(60)の残留磁束密度」と「第2界磁磁石(60)の磁極面積」との積は、「第1界磁磁石(70)の残留磁束密度」と「第1界磁磁石(70)の磁極面積」との積よりも大きくてもよい。
なお、第2界磁磁石(60)は、界磁巻線(50)に界磁電流(i50)が流れる場合に不可逆的な磁力変化が実質的に生じない磁石である。第2界磁磁石(60)には、運転中に意図しない僅かな不可逆的な磁力変化が生じるものも含まれる。言い換えると、第2界磁磁石(60)は、界磁巻線(50)に界磁電流(i50)が流れる場合に不可逆的な磁力変化が相対的に生じにくい磁石である。具体的には、第2界磁磁石(60)は、第1界磁磁石(70)よりも、界磁巻線(50)に界磁電流(i50)が流れる場合に不可逆的な磁力変化が生じにくい磁石である。また、第2界磁磁石(60)は、着磁方向一定で使用される磁石である。例えば、第2界磁磁石(60)は、5%以下の着磁率の変化を伴って使用される磁石であることが望ましい。
また、第1界磁磁石(70)は、界磁巻線(50)に界磁電流(i50)が流れる場合に不可逆的な磁力変化が生じる磁石である。言い換えると、第1界磁磁石(70)は、界磁巻線(50)に界磁電流(i50)が流れる場合に不可逆的な磁力変化が相対的に生じやすい磁石である。また、第1界磁磁石(70)は、着磁方向の変更を伴って使用される磁石であってもよい。また、第1界磁磁石(70)は、常温(例えば25℃)で保磁力が第2界磁磁石(60)の1/2以下である磁石であってもよい。例えば、第1界磁磁石(70)は、概ね30%以上(望ましくは50%以上)の着磁率の変化を伴って使用される磁石である。
〔界磁スロット内の構成〕
図2は、実施形態1における界磁スロット(35b)内の構成を例示する。界磁スロット(35b)は、界磁巻線(50)を収容する巻線収容部(350)と、第2界磁磁石(60)を収容する第2磁石収容部(351)と、第1界磁磁石(70)を収容する第1磁石収容部(352)とを含む。
実施形態1では、第1磁石収容部(352)は、第2磁石収容部(351)よりも径方向外側に配置され、巻線収容部(350)は、第2磁石収容部(351)よりも径方向外側に配置される。このような構成により、実施形態1では、第1界磁磁石(70)は、界磁スロット(35b)内において第2界磁磁石(60)よりも径方向外側に配置され、界磁巻線(50)は、界磁スロット(35b)内において第1界磁磁石(70)よりも径方向外側に配置される。
また、実施形態1では、第1界磁磁石(70)の周方向長さ(LC70)は、第2界磁磁石(60)の径方向外側の部分の周方向長さ(LC60)以下であり、且つ、界磁スロット(35b)の巻線収容部(350)の径方向内側の部分の周方向長さ(LC350)以下である。
なお、図2の例では、第1磁石収容部(352)は、第2磁石収容部(351)と連通し、巻線収容部(350)は、第2磁石収容部(351)と連通する。第1界磁磁石(70)は、第2界磁磁石(60)の径方向外側に隣接し、界磁巻線(50)は、第1界磁磁石(70)の径方向外側に隣接する。第1界磁磁石(70)の周方向長さ(LC70)は、第2界磁磁石(60)の径方向外側の部分の周方向長さ(LC60)と同一であり、且つ、巻線収容部(350)の径方向内側の部分の周方向長さ(LC350)よりも短い。第1界磁磁石(70)の径方向長さ(LR70)は、第1界磁磁石(70)の周方向長さ(LC70)よりも短い。また、第1界磁磁石(70)の径方向長さ(LR70)は、第2界磁磁石(60)の径方向長さ(LR60)および巻線収容部(350)の径方向長さ(LR350)の各々よりも短い。これにより、特に、第1界磁磁石(70)は固定子コア(30)に突出した角部がないので、フリンジング磁束などによる強い減磁界が印加されることを避けることができ、磁力を変化させずに運転する場合において、減磁を防止することができる。
また、図2の例では、第2界磁磁石(60)は、所定のギャップ(G)を隔てて回転子コア(11)と対向する。そのため、第2界磁磁石(60)には、フリンジング磁束などにより強い減磁界が印加されやすい。したがって、第2界磁磁石(60)の保磁力を高くしておくことが望ましい。例えば、第2界磁磁石(60)は、希土類元素を用いた磁石(いわゆる希土類磁石)であってもよい。具体的には、第2界磁磁石(60)は、ネオジムと鉄とホウ素を主成分とする希土類磁石(ネオジム-鉄-ボロン系の磁石)であることが望ましい。また、第2界磁磁石(60)は、焼結磁石であると好適である。なお、第2界磁磁石(60)は、ボンド磁石であってもよい。第1界磁磁石(70)は、第2界磁磁石(60)と同様に、ネオジム-鉄-ボロン系の磁石であってもよい。また、第1界磁磁石(70)は、アルニコ磁石であってもよいし、サマリウムコバルト磁石であってもよいし、フェライト系磁石であってもよい。
〔制御部〕
図1に示すように、制御部(3)は、電機子巻線(40)に電機子電流(i40)を供給し、界磁巻線(50)に界磁電流(i50)を供給する。そして、制御部(3)は、電機子電流(i40)と界磁電流(i50)とを制御することにより、回転電気機械(2)の動作を制御する。この例では、制御部(3)は、電源(81)と、制御回路(82)とを有する。
〈電源〉
電源(81)は、電機子電源部(81a)と、界磁電源部(81b)とを有する。
電機子電源部(81a)は、複数の電機子巻線(40)に電気的に接続される。そして、電機子電源部(81a)は、制御回路(82)による制御に応答して、複数の電機子巻線(40)に交流の電機子電流(i40)を供給する。電機子電源部(81a)の構成には、周知の電源の構成を採用することが可能である。例えば、電機子電源部(81a)は、インバータにより構成されてもよい。
界磁電源部(81b)は、複数の界磁巻線(50)に電気的に接続される。そして、界磁電源部(81b)は、制御回路(82)による制御に応答して、複数の界磁巻線(50)に直流の界磁電流(i50)を供給する。界磁電源部(81b)の構成には、周知の電源の構成を採用することが可能である。例えば、界磁電源部(81b)は、インバータにより構成されてもよい。なお、第1界磁磁石(70)の着磁/脱磁の際に供給される界磁電流(i50)は、流れる時間が極めて短いパルス状の直流の電流であってもよい。
〈制御回路〉
制御回路(82)は、電源(81)を制御することにより、回転電気機械(2)の動作を制御する。具体的には、制御回路(82)は、回転電気機械(2)の各種のパラメータを検出する各種のセンサ(図示省略)の出力に基づいて、回転電気機械(2)が所望の動作を行うように電源(81)を制御する。例えば、制御回路(82)は、プロセッサと、プロセッサと電気的に接続されてプロセッサを動作させるためのプログラムおよび情報を記憶するメモリとにより構成される。
〔制御部の動作〕
実施形態1の制御部(3)は、第1磁力制御と、第2磁力制御と、第1回転制御と、第2回転制御と、第3回転制御と、第4回転制御と、第5回転制御と、第6回転制御とを選択的に行う。
以下の説明では、周方向に並ぶ3つの電機子スロット(35a)を「電機子スロット(35a-1)」と「電機子スロット(35a-2)」と「電機子スロット(35a-3)」と記載する。第1番目および第2番目の電機子スロット(35a-1,35a-2)の間に配置される第1番目の界磁スロット(35b)を「界磁スロット(35b-1)」と記載する。第2番目および第3番目の電機子スロット(35a-2,35a-3)の間に配置される第2番目の界磁スロット(35b)を「界磁スロット(35b-2)」と記載する。
また、第1番目の電機子スロット(35a-1)と第1番目の界磁スロット(35b-1)との間に挟まれる第1番目のティース(32)を「ティース(32-1)」と記載する。第1番目の界磁スロット(35b-1)と第2番目の電機子スロット(35a-2)との間に挟まれる第2番目のティース(32)を「ティース(32-2)」と記載する。第2番目の電機子スロット(35a-2)と第2番目の界磁スロット(35b-2)との間に挟まれる第3番目のティース(32)を「ティース(32-3)」と記載する。第2番目の界磁スロット(35b-2)と第3番目の電機子スロット(35a-3)との間に挟まれる第4番目のティース(32)を「ティース(32-4)」と記載する。
また、第1番目の界磁スロット(35b-1)に収容される第1界磁磁石(70)と第2界磁磁石(60)を「第1界磁磁石(70-1)」と「第2界磁磁石(60-1)」と記載する。第2番目の界磁スロット(35b-2)に収容される第1界磁磁石(70)と第2界磁磁石(60)を「第1界磁磁石(70-2)」と「第2界磁磁石(60-2)」と記載する。
〔第1磁力制御〕
図3は、実施形態1の第1磁力制御における磁束の流れを例示する。
第1磁力制御では、制御部(3)は、複数の界磁巻線(50)に界磁電流(i50)を供給する。そして、制御部(3)は、複数の界磁スロット(35b)の各々において、その界磁スロット(35b)の界磁巻線(50)の短絡磁束(M51)がその界磁スロット(35b)の第1界磁磁石(70)を順方向に通過するように、複数の界磁巻線(50)に供給される界磁電流(i50)を制御する。これにより、複数の界磁スロット(35b)の各々において、第1界磁磁石(70)が順方向に着磁される。
なお、この例では、第1磁力制御において界磁巻線(50)に供給される界磁電流(i50)は、流れる時間が極短時間(例えば10msec未満)である準インパルス電流である。また、第1磁力制御において界磁巻線(50)に供給される界磁電流(i50)の絶対値は、後述する回転制御(具体的には第2,第4,第6回転制御)において界磁巻線(50)に供給される界磁電流(i50)の絶対値よりも大きい。例えば、第1磁力制御における界磁電流(i50)の絶対値は、回転制御における界磁電流(i50)の最大値の1.5~10倍程度である。
また、第1磁力制御では、制御部(3)は、必要に応じて、複数の電機子巻線(40)に対する電機子電流(i40)の供給を行う。
第1磁力制御における磁束の詳細は、以下のとおりである。
〈界磁巻線の磁束:短絡磁束〉
第1磁力制御では、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の短絡磁束(M51)は、固定子ヨーク(31)から、ティース(32-2)、第1界磁磁石(70-1)、ティース(32-1)を順に通過し、固定子ヨーク(31)に戻る。このように、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の短絡磁束(M51)は、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の周りを時計回り方向に循環する。なお、界磁スロット(35b-2)の界磁巻線(50)の短絡磁束(M51)の流れ方向は、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の短絡磁束(M51)の流れ方向の逆方向である。
〈界磁巻線の磁束:鎖交磁束〉
第1磁力制御では、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の鎖交磁束(M52)は、固定子ヨーク(31)から、ティース(32-3)、回転子コア(11)、ティース(32-1)を順に通過し、固定子ヨーク(31)に戻る。このように、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の鎖交磁束(M52)は、固定子コア(30)と回転子コア(11)を時計回り方向に循環する。なお、界磁スロット(35b-2)の界磁巻線(50)の鎖交磁束(M52)の流れ方向は、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の鎖交磁束(M52)の流れ方向の逆方向である。
〈第2界磁磁石の磁束:第2短絡磁束〉
第1磁力制御では、第2界磁磁石(60-1)の第2短絡磁束(M61)は、第2界磁磁石(60-1)から、ティース(32-1)、第1界磁磁石(70-1)、ティース(32-2)を順に通過し、第2界磁磁石(60-1)に戻る。このように、第2界磁磁石(60-1)の第2短絡磁束(M61)は、第2界磁磁石(60-1)と第1界磁磁石(70-1)との周りを時計回り方向に循環する。なお、第2界磁磁石(60-2)の第2短絡磁束(M61)の流れ方向は、第2界磁磁石(60-1)の第2短絡磁束(M61)の流れ方向の逆方向である。
〈第2界磁磁石の磁束:第2鎖交磁束〉
第1磁力制御では、第2界磁磁石(60-1)の第2鎖交磁束(M62)は、第2界磁磁石(60-1)から、ティース(32-1)、回転子コア(11)、ティース(32-3)、固定子ヨーク(31)、ティース(32-2)を順に通過し、第2界磁磁石(60-1)に戻る。このように、第2界磁磁石(60-1)の第2鎖交磁束(M62)は、固定子コア(30)と回転子コア(11)を反時計回り方向に循環する。なお、第2界磁磁石(60-2)の第2鎖交磁束(M62)の流れ方向は、第2界磁磁石(60-1)の第2鎖交磁束(M62)の流れ方向の逆方向である。
〈第1磁力制御の効果〉
以上のように、第1磁力制御を行うことにより、第1界磁磁石(70)の磁力が順方向に強くなるように、第1界磁磁石(70)の磁力の大きさおよび方向を変化させることができる。具体的には、第1界磁磁石(70)の状態が「第1界磁磁石(70)の磁化方向が順方向となる第1着磁状態」である場合、第1界磁磁石(70)の順方向に作用する磁力を強めることができる。また、第1界磁磁石(70)の状態が「第1界磁磁石(70)の磁化方向が逆方向となる第2着磁状態」である場合、第1界磁磁石(70)の逆方向に作用する磁力を弱めることができる。また、第1界磁磁石(70)の状態を第2着磁状態から脱磁状態に切り換えることができ、さらに、脱磁状態から第1着磁状態に切り換えることができる。
〔第2磁力制御〕
図4は、実施形態1の第2磁力制御における磁束の流れを例示する。
第2磁力制御では、制御部(3)は、複数の界磁巻線(50)に界磁電流(i50)を供給する。そして、制御部(3)は、複数の界磁スロット(35b)の各々において、その界磁スロット(35b)の界磁巻線(50)の短絡磁束(M51)がその界磁スロット(35b)の第1界磁磁石(70)を逆方向に通過するように、複数の界磁巻線(50)に供給される界磁電流(i50)を制御する。これにより、複数の界磁スロット(35b)の各々において、第1界磁磁石(70)が逆方向に着磁される。
なお、この例では、第1磁力制御と同様に、第2磁力制御において界磁巻線(50)に供給される界磁電流(i50)は、流れる時間が極短時間である準インパルス電流である。また、第2磁力制御において界磁巻線(50)に供給される界磁電流(i50)の絶対値は、後述する回転制御(具体的には第2,第4,第6回転制御)において界磁巻線(50)に供給される界磁電流(i50)の絶対値よりも大きい。例えば、第2磁力制御における界磁電流(i50)の絶対値は、回転制御における界磁電流(i50)の最大値の1.5~10倍程度である。
また、第1磁力制御と同様に、第2磁力制御では、制御部(3)は、必要に応じて、複数の電機子巻線(40)に対する電機子電流(i40)の供給を行う。
第2磁力制御における磁束の詳細は、以下のとおりである。
〈界磁巻線の磁束:短絡磁束〉
第2磁力制御における短絡磁束(M51)の流れ方向は、第1磁力制御における短絡磁束(M51)の流れ方向の逆方向である。具体的には、第2磁力制御では、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の短絡磁束(M51)は、固定子ヨーク(31)から、ティース(32-1)、第1界磁磁石(70-1)、ティース(32-2)を順に通過し、固定子ヨーク(31)に戻る。このように、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の短絡磁束(M51)は、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の周りを反時計回り方向に循環する。なお、界磁スロット(35b-2)の界磁巻線(50)の短絡磁束(M51)の流れ方向は、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の短絡磁束(M51)の流れ方向の逆方向である。
〈界磁巻線の磁束:鎖交磁束〉
第2磁力制御における鎖交磁束(M52)の流れ方向は、第1磁力制御における鎖交磁束(M52)の流れ方向の逆方向である。具体的には、第2磁力制御では、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の鎖交磁束(M52)は、固定子ヨーク(31)から、ティース(32-1)、回転子コア(11)、ティース(32-3)を順に通過し、固定子ヨーク(31)に戻る。このように、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の鎖交磁束(M52)は、固定子コア(30)と回転子コア(11)を反時計回りに循環する。なお、界磁スロット(35b-2)の界磁巻線(50)の鎖交磁束(M52)の流れ方向は、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の鎖交磁束(M52)の流れ方向の逆方向である。
〈第2界磁磁石の磁束〉
第2磁力制御における第2磁石磁束(M60)(具体的には第2短絡磁束(M61)と第2鎖交磁束(M62))は、第1磁力制御における第2磁石磁束(M60)と同様である。
〈第2磁力制御の効果〉
以上のように、第2磁力制御を行うことにより、第1界磁磁石(70)の磁力が逆方向に強くなるように、第1界磁磁石(70)の磁力の大きさおよび方向を変化させることができる。具体的には、第1界磁磁石(70)の状態が「第1界磁磁石(70)の磁化方向が順方向となる第1着磁状態」である場合、第1界磁磁石(70)の順方向に作用する磁力を弱めることができる。また、第1界磁磁石(70)の状態が「第1界磁磁石(70)の磁化方向が逆方向となる第2着磁状態」である場合、第1界磁磁石(70)の逆方向に作用する磁力を強めることができる。また、第1界磁磁石(70)の状態を第1着磁状態から脱磁状態に切り換えることができ、さらに、脱磁状態から第2着磁状態に切り換えることができる。
また、第2磁力制御では、第2界磁磁石(60)の第2短絡磁束(M61)が第1界磁磁石(70)を通過する方向は、逆方向(具体的には第1界磁磁石(70)の磁化方向の順方向の逆方向)となっている。これにより、第2磁力制御では、界磁巻線(50)の短絡磁束(M51)による第1界磁磁石(70)の逆方向の着磁を促進させることができる。したがって、第2磁力制御における界磁電流(i50)の絶対値を、第1磁力制御における界磁電流(i50)の絶対値よりも小さくすることができ、回転電気機械(2)の銅損を低減することができる。例えば、第2磁力制御における界磁電流(i50)の絶対値を、第1磁力制御における界磁電流(i50)の絶対値の1/2に設定することができる。
〔第1回転制御〕
図5は、実施形態1の第1回転制御における磁束の流れを例示する。
第1回転制御では、複数の界磁スロット(35b)の各々において、第1界磁磁石(70)の磁化方向は、順方向に設定される。これにより、界磁スロット(35b)の第1界磁磁石(70)の第1鎖交磁束(M72)の流れ方向は、その界磁スロット(35b)の第2界磁磁石(60)の第2鎖交磁束(M62)の流れ方向と同方向となる。
また、第1回転制御では、制御部(3)は、複数の電機子巻線(40)に電機子電流(i40)を供給する。これにより、回転子(10)が回転する。なお、制御部(3)は、複数の界磁巻線(50)に対する界磁電流(i50)の供給を行わない。
第1回転制御における磁束の詳細は、以下のとおりである。
〈第1界磁磁石の磁束:第1短絡磁束〉
第1回転制御では、第1界磁磁石(70-1)の第1短絡磁束(M71)は、第1界磁磁石(70-1)から、ティース(32-1)、固定子ヨーク(31)、ティース(32-2)を順に通過し、第1界磁磁石(70-1)に戻る。このように、第1界磁磁石(70-1)の第1短絡磁束(M71)は、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の周りを時計回り方向に循環する。なお、第1界磁磁石(70-2)の第1短絡磁束(M71)に流れ方向は、第1界磁磁石(70-1)の第1短絡磁束(M71)に流れ方向の逆方向である。
〈第1界磁磁石の磁束:第1鎖交磁束〉
第1回転制御では、第1界磁磁石(70-1)の第1鎖交磁束(M72)と第1界磁磁石(70-2)の第1鎖交磁束(M72)とが合成される。そして、第1界磁磁石(70-1,70-2)の第1鎖交磁束(M72)は、第1界磁磁石(70-1)から、ティース(32-1)、回転子コア(11)、ティース(32-3)、第1界磁磁石(70-2)、ティース(32-4)、固定子ヨーク(31)、ティース(32-2)を順に通過し、第1界磁磁石(70-1)に戻る。このように、第1界磁磁石(70-1,70-2)の第1鎖交磁束(M72)は、固定子コア(30)と回転子コア(11)を反時計回り方向に循環する。
〈第2界磁磁石の磁束:第2短絡磁束〉
第1回転制御では、第2界磁磁石(60-1)の第2短絡磁束(M61)は、第2界磁磁石(60-1)から、ティース(32-1)、固定子ヨーク(31)、ティース(32-2)を順に通過し、第2界磁磁石(60-1)に戻る。このように、第2界磁磁石(60-1)の第2短絡磁束(M61)は、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)と第1界磁磁石(70-1)の周りを時計回り方向に循環する。なお、第2界磁磁石(60-2)の第2短絡磁束(M61)に流れ方向は、第2界磁磁石(60-1)の第2短絡磁束(M61)に流れ方向の逆方向である。
〈第2界磁磁石の磁束:第2鎖交磁束〉
第1回転制御では、第2界磁磁石(60-1)の第2鎖交磁束(M62)と第2界磁磁石(60-2)の第2鎖交磁束(M62)とが合成される。そして、第2界磁磁石(60-1,60-2)の第2鎖交磁束(M62)は、第2界磁磁石(60-1)から、ティース(32-1)、回転子コア(11)、ティース(32-3)、第2界磁磁石(60-2)、ティース(32-4)、固定子ヨーク(31)、ティース(32-2)を順に通過し、第2界磁磁石(60-1)に戻る。このように、第2界磁磁石(60-1,60-2)の第2鎖交磁束(M62)は、固定子コア(30)と回転子コア(11)を反時計回り方向に循環する。
〈第1回転制御の効果〉
以上のように、第1回転制御では、界磁巻線(50)に対する界磁電流(i50)の供給が行われない。これにより、回転電気機械(2)の銅損を低減することができる。
また、第1回転制御では、第1界磁磁石(70)の第1鎖交磁束(M72)と、第2界磁磁石(60)の第2鎖交磁束(M62)とが回転子コア(11)と鎖交する。第1鎖交磁束(M72)の流れ方向は、第2鎖交磁束(M62)の流れ方向と同方向である。したがって、第2鎖交磁束(M62)と第1鎖交磁束(M72)との和に応じたトルクを回転子(10)に発生させることができる。
例えば、第1回転制御は、低速/低トルク運転に好適である。低速/低トルク運転では、回転子(10)の回転速度が比較的に低く、且つ、回転子(10)の回転トルクが比較的に低くなるように、回転電気機械(2)が制御される。例えば、回転電気機械(2)が自動車の動力源として利用される場合を例に挙げると、低速/低トルク運転は、市街地走行などのシーンにおいて行われる。
〔第2回転制御〕
図6は、実施形態1の第2回転制御における磁束の流れを例示する。なお、図6の例では、界磁巻線(50)に対する界磁電流(i50)の供給より生じる磁界により、短絡磁束(M51)と第1短絡磁束(M71)と第2短絡磁束(M61)がなくなる。
第2回転制御では、複数の界磁スロット(35b)の各々において、第1界磁磁石(70)の磁化方向は、順方向に設定される。これにより、界磁スロット(35b)の第1界磁磁石(70)の第1鎖交磁束(M72)の流れ方向は、その界磁スロット(35b)の第2界磁磁石(60)の第2鎖交磁束(M62)の流れ方向と同方向となる。
また、第2回転制御では、制御部(3)は、複数の電機子巻線(40)に電機子電流(i40)を供給する。これにより、回転子(10)が回転する。また、制御部(3)は、複数の界磁巻線(50)に界磁電流(i50)を供給する。そして、制御部(3)は、複数の界磁スロット(35b)の各々において、その界磁スロット(35b)の界磁巻線(50)の鎖交磁束(M52)の流れ方向がその界磁スロット(35b)の第2界磁磁石(60)の第2鎖交磁束(M62)の流れ方向と同方向になるように、複数の界磁巻線(50)に供給される界磁電流(i50)を制御する。
第2回転制御における磁束の詳細は、以下のとおりである。
〈界磁巻線の磁束:鎖交磁束〉
第2回転制御では、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の鎖交磁束(M52)は、固定子ヨーク(31)から、ティース(32-1)、回転子コア(11)、ティース(32-3)を順に通過し、固定子ヨーク(31)に戻る。このように、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の鎖交磁束(M52)は、固定子コア(30)と回転子コア(11)を反時計回り方向に循環する。なお、界磁スロット(35b-2)の界磁巻線(50)の鎖交磁束(M52)の流れ方向は、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の鎖交磁束(M52)の流れ方向の逆方向である。
〈第1界磁磁石の磁束:第1鎖交磁束〉
第2回転制御では、第1界磁磁石(70-1)の第1鎖交磁束(M72)は、第1界磁磁石(70-1)から、ティース(32-1)、回転子コア(11)、ティース(32-3)、固定子ヨーク(31)、ティース(32-2)を順に通過し、第1界磁磁石(70-1)に戻る。このように、第1界磁磁石(70-1)の第1鎖交磁束(M72)は、固定子コア(30)と回転子コア(11)を反時計回り方向に循環する。なお、第1界磁磁石(70-2)の第1鎖交磁束(M72)の流れ方向は、第1界磁磁石(70-1)の第1鎖交磁束(M72)の流れ方向の逆方向である。
〈第2界磁磁石の磁束:第2鎖交磁束〉
第2回転制御では、第2界磁磁石(60-1)の第2鎖交磁束(M62)は、第2界磁磁石(60-1)から、ティース(32-1)、回転子コア(11)、ティース(32-3)、固定子ヨーク(31)、ティース(32-2)を順に通過し、第2界磁磁石(60-1)に戻る。このように、第2界磁磁石(60-1)の第2鎖交磁束(M62)は、固定子コア(30)と回転子コア(11)を反時計回り方向に循環する。なお、第2界磁磁石(60-2)の第2鎖交磁束(M62)の流れ方向は、第2界磁磁石(60-1)の第2鎖交磁束(M62)の流れ方向の逆方向である。
〈第2回転制御の効果〉
以上のように、第2回転制御では、界磁巻線(50)の鎖交磁束(M52)と、第1界磁磁石(70)の第1鎖交磁束(M72)と、第2界磁磁石(60)の第2鎖交磁束(M62)とが回転子コア(11)と鎖交する。鎖交磁束(M52)の流れ方向は、第2鎖交磁束(M62)の流れ方向と同方向である。第1鎖交磁束(M72)の流れ方向は、第2鎖交磁束(M62)の流れ方向と同方向である。したがって、鎖交磁束(M52)と第1鎖交磁束(M72)と第2鎖交磁束(M62)との和に応じたトルクを回転子(10)に発生させることができる。
また、第2回転制御では、界磁電流(i50)を制御することにより、界磁巻線(50)の鎖交磁束(M52)を制御することができ、その結果、回転子(10)に発生するトルクを制御することができる。
例えば、第2回転制御は、低速/高トルク運転に好適である。低速/高トルク運転では、回転子(10)の回転速度が比較的に低く、且つ、回転子(10)の回転トルクが比較的に高くなるように、回転電気機械(2)が制御される。例えば、回転電気機械(2)が自動車の動力源として利用される場合を例に挙げると、低速/高トルク運転は、急坂走行、段差乗上、発車時などのシーンにおいて行われる。
〔第3回転制御〕
図7は、実施形態1の第3回転制御における磁束の流れを例示する。
第3回転制御では、複数の界磁スロット(35b)の各々において、第1界磁磁石(70)は、脱磁状態に設定される。これにより、複数の界磁スロット(35b)の各々において、第1界磁磁石(70)の磁力は、実質的にゼロとなる。
また、第3回転制御では、制御部(3)は、複数の電機子巻線(40)に電機子電流(i40)を供給する。これにより、回転子(10)が回転する。なお、制御部(3)は、複数の界磁巻線(50)に対する界磁電流(i50)の供給を行わない。
第3回転制御における磁束の詳細は、以下のとおりである。
〈第2界磁磁石の磁束〉
第3回転制御における第2磁石磁束(M60)(具体的には第2短絡磁束(M61)と第2鎖交磁束(M62))は、第1回転制御における第2磁石磁束(M60)と同様である。
〈第3回転制御の効果〉
以上のように、第3回転制御では、界磁巻線(50)に対する界磁電流(i50)の供給が行われない。これにより、回転電気機械(2)の銅損を低減することができる。
また、第3回転制御では、第2界磁磁石(60)の第2鎖交磁束(M62)が回転子コア(11)と鎖交する。これにより、第2鎖交磁束(M62)に応じたトルクを回転子(10)に発生させることができる。
例えば、第3回転制御は、高速/低トルク運転に好適である。高速/低トルク運転では、回転子(10)の回転速度が比較的に高く、且つ、回転子(10)の回転トルクが比較的に低くなるように、回転電気機械(2)が制御される。例えば、回転電気機械(2)が自動車の動力源として利用される場合を例に挙げると、高速/低トルク運転は、高速道巡航などのシーンにおいて行われる。
〔第4回転制御〕
図8は、実施形態1の第4回転制御における磁束の流れを例示する。なお、図8の例では、界磁巻線(50)に対する界磁電流(i50)の供給より生じる磁界により、短絡磁束(M51)と第2短絡磁束(M61)がなくなる。
第4回転制御では、複数の界磁スロット(35b)の各々において、第1界磁磁石(70)は、脱磁状態に設定される。これにより、複数の界磁スロット(35b)の各々において、第1界磁磁石(70)の磁力は、実質的にゼロとなる。
また、第4回転制御では、制御部(3)は、複数の電機子巻線(40)に電機子電流(i40)を供給する。これにより、回転子(10)が回転する。また、制御部(3)は、複数の界磁巻線(50)に界磁電流(i50)を供給する。そして、制御部(3)は、複数の界磁スロット(35b)の各々において、その界磁スロット(35b)の界磁巻線(50)の鎖交磁束(M52)の流れ方向がその界磁スロット(35b)の第2界磁磁石(60)の第2鎖交磁束(M62)の流れ方向と同方向になるように、複数の界磁巻線(50)に供給される界磁電流(i50)を制御する。
第4回転制御における磁束の詳細は、以下のとおりである。
〈界磁巻線の磁束〉
第4回転制御における界磁磁束(M50)(具体的には鎖交磁束(M52))は、第2回転制御における界磁磁束(M50)と同様である。
〈第2界磁磁石の磁束〉
第4回転制御における第2磁石磁束(M60)(具体的には第2鎖交磁束(M62))は、第3回転制御における第2磁石磁束(M60)と同様である。
〈第4回転制御の効果〉
以上のように、第4回転制御では、界磁巻線(50)の鎖交磁束(M52)と、第2界磁磁石(60)の第2鎖交磁束(M62)とが回転子コア(11)と鎖交する。鎖交磁束(M52)の流れ方向は、第2鎖交磁束(M62)の流れ方向と同方向である。したがって、鎖交磁束(M52)と第2鎖交磁束(M62)との和に応じたトルクを回転子(10)に発生させることができる。
また、第4回転制御では、界磁電流(i50)を制御することにより、界磁巻線(50)の鎖交磁束(M52)を制御することができ、その結果、回転子(10)に発生するトルクを制御することができる。
例えば、第4回転制御は、低速/高トルク運転に好適である。
〔第5回転制御〕
図9は、実施形態1の第5回転制御における磁束の流れを例示する。
第5回転制御では、複数の界磁スロット(35b)の各々において、第1界磁磁石(70)の磁化方向は、逆方向に設定される。これにより、界磁スロット(35b)の第1界磁磁石(70)の第1鎖交磁束(M72)の流れ方向は、その界磁スロット(35b)の第2界磁磁石(60)の第2鎖交磁束(M62)の流れ方向の逆方向となる。
また、第5回転制御では、制御部(3)は、複数の電機子巻線(40)に電機子電流(i40)を供給する。これにより、回転子(10)が回転する。なお、制御部(3)は、複数の界磁巻線(50)に対する界磁電流(i50)の供給を行わない。
第5回転制御における磁束の詳細は、以下のとおりである。
〈第1界磁磁石の磁束:第1短絡磁束〉
第5回転制御における第1短絡磁束(M71)の流れ方向は、第1回転制御における第1短絡磁束(M71)の流れ方向の逆方向である。具体的には、第5回転制御では、第1界磁磁石(70-1)の第1短絡磁束(M71)は、第1界磁磁石(70-1)から、ティース(32-2)、固定子ヨーク(31)、ティース(32-1)を順に通過し、第1界磁磁石(70-1)に戻る。このように、第1界磁磁石(70-1)の第1短絡磁束(M71)は、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の周りを反時計回り方向に循環する。なお、第1界磁磁石(70-2)の第1短絡磁束(M71)の流れ方向は、第1界磁磁石(70-1)の第1短絡磁束(M71)の流れ方向の逆方向である。
〈第1界磁磁石の磁束:第1鎖交磁束》
第5回転制御における第1鎖交磁束(M72)の流れ方向は、第1回転制御における第1鎖交磁束(M72)の流れ方向の逆方向である。具体的には、第5回転制御では、第1界磁磁石(70-1)の第1鎖交磁束(M72)と第1界磁磁石(70-2)の第1鎖交磁束(M72)とが合成される。そして、第1界磁磁石(70-1,70-2)の第1鎖交磁束(M72)は、第1界磁磁石(70-1)から、ティース(32-2)、固定子ヨーク(31)、ティース(32-4)、第1界磁磁石(70-2)、ティース(32-3)、回転子コア(11)、ティース(32-1)を順に通過し、第1界磁磁石(70-1)に戻る。このように、第1界磁磁石(70-1,70-2)の第1鎖交磁束(M72)は、固定子コア(30)と回転子コア(11)を時計回り方向に循環する。
〈第2界磁磁石の磁束〉
第5回転制御における第2磁石磁束(M60)(具体的には第2短絡磁束(M61)と第2鎖交磁束(M62))は、第1回転制御における第2磁石磁束(M60)と同様である。
〈第5回転制御の効果〉
以上のように、第5回転制御では、界磁巻線(50)に対する界磁電流(i50)の供給が行われない。これにより、回転電気機械(2)の銅損を低減することができる。
また、第5回転制御では、第1界磁磁石(70)の第1鎖交磁束(M72)と、第2界磁磁石(60)の第2鎖交磁束(M62)とが回転子コア(11)と鎖交する。第1鎖交磁束(M72)の流れ方向は、第2鎖交磁束(M62)の流れ方向の逆方向である。したがって、第1鎖交磁束(M72)と第2鎖交磁束(M62)との差に応じたトルクを回転子(10)に発生させることができる。
例えば、第5回転制御は、高速/低トルク運転に好適である。
〔第6回転制御〕
図10は、実施形態1の第6回転制御における磁束の流れを例示する。なお、図10の例では、界磁巻線(50)に対する界磁電流(i50)の供給より生じる磁界により、短絡磁束(M51)と第1短絡磁束(M71)と第2短絡磁束(M61)がなくなる。
第6回転制御では、複数の界磁スロット(35b)の各々において、第1界磁磁石(70)の磁化方向は、逆方向に設定される。これにより、界磁スロット(35b)の第1界磁磁石(70)の第1鎖交磁束(M72)の流れ方向は、その界磁スロット(35b)の第2界磁磁石(60)の第2鎖交磁束(M62)の流れ方向の逆方向となる。
また、第6回転制御では、制御部(3)は、複数の電機子巻線(40)に電機子電流(i40)を供給する。これにより、回転子(10)が回転する。また、制御部(3)は、複数の界磁巻線(50)に界磁電流(i50)を供給する。そして、制御部(3)は、複数の界磁スロット(35b)の各々において、その界磁スロット(35b)の界磁巻線(50)の鎖交磁束(M52)の流れ方向がその界磁スロット(35b)の第2界磁磁石(60)の第2鎖交磁束(M62)の流れ方向と同方向になるように、複数の界磁巻線(50)に供給される界磁電流(i50)を制御する。
第6回転制御における磁束の詳細は、以下のとおりである。
〈界磁巻線の磁束〉
第6回転制御における界磁磁束(M50)(具体的には鎖交磁束(M52))は、第2回転制御における界磁磁束(M50)と同様である。
〈第1界磁磁石の磁束:第1鎖交磁束〉
第6回転制御における第1鎖交磁束(M72)の流れ方向は、第2回転制御における第1鎖交磁束(M72)の流れ方向の逆方向である。具体的には、第6回転制御では、第1界磁磁石(70-1)の第1鎖交磁束(M72)は、第1界磁磁石(70-1)から、ティース(32-2)、固定子ヨーク(31)、ティース(32-3)、回転子コア(11)、ティース(32-1)を順に通過し、第1界磁磁石(70-1)に戻る。このように、第1界磁磁石(70-1)の第1鎖交磁束(M72)は、固定子コア(30)と回転子コア(11)を時計回り方向に循環する。なお、第1界磁磁石(70-2)の第1鎖交磁束(M72)の流れ方向は、第1界磁磁石(70-1)の第1鎖交磁束(M72)の流れ方向の逆方向である。
〈第2界磁磁石の磁束〉
第6回転制御における第2磁石磁束(M60)(具体的には第2鎖交磁束(M62))は、第5回転制御における第2磁石磁束(M60)と同様である。
〈第6回転制御の効果〉
以上のように、第6回転制御では、界磁巻線(50)の鎖交磁束(M52)と、第1界磁磁石(70)の第1鎖交磁束(M72)と、第2界磁磁石(60)の第2鎖交磁束(M62)とが回転子コア(11)と鎖交する。鎖交磁束(M52)の流れ方向は、第2鎖交磁束(M62)の流れ方向と同方向である。第1鎖交磁束(M72)の流れ方向は、第2鎖交磁束(M62)の流れ方向の逆方向である。したがって、「鎖交磁束(M52)と第2鎖交磁束(M62)と和」と「第1鎖交磁束(M72)」との差に応じたトルクを回転子(10)に発生させることができる。
また、第6回転制御では、界磁電流(i50)を制御することにより、界磁巻線(50)の鎖交磁束(M52)を制御することができ、その結果、回転子(10)に発生するトルクを制御することができる。
例えば、第6回転制御は、低速/高トルク運転に好適である。なお、第6回転制御は、省略されてもよい。また、他の制御についても同様である。
〔実施形態1の効果〕
以上のように、実施形態1の回転電気機械装置(1)では、回転電気機械(2)は、回転子(10)と、固定子(20)を備える。固定子(20)は、固定子コア(30)と、電機子巻線(40)と、界磁巻線(50)と、第1界磁磁石(70)と、第2界磁磁石(60)とを有する。固定子コア(30)には、周方向に交互に並ぶ電機子スロット(35a)と界磁スロット(35b)とが設けられる。電機子巻線(40)は、電機子スロット(35a)に収容される。界磁巻線(50)と第1界磁磁石(70)と第2界磁磁石(60)は、界磁スロット(35b)に収容される。電機子巻線(40)は、交流の電機子電流(i40)が供給されることで、回転子(10)を回転させる回転磁界を発生させる。界磁巻線(50)は、直流の界磁電流(i50)が供給されることで、界磁磁束(M50)を発生させる。第2界磁磁石(60)は、磁極面が周方向を向く。第1界磁磁石(70)は、第2界磁磁石(60)と磁気的に並列に配置され、界磁磁束(M50)により磁力を変更可能である。
上記の構成では、界磁磁束(M50)により第1界磁磁石(70)の磁力の大きさおよび向きを変化させることができる。これにより、例えば、第1界磁磁石(70)の磁力の方向が順方向となる第1着磁状態と、第1界磁磁石(70)の磁力が実質的にゼロとなる脱磁状態と、第1界磁磁石(70)の磁力の方向が逆方向となる第2着磁状態とに切り換えることができる。また、界磁巻線(50)に界磁電流(i50)が供給される通電状態と、界磁巻線(50)に界磁電流(i50)が供給されない非通電状態とに切り換えることができる。これにより、6つの運転モードを実現することができるので、回転電気機械(2)の制御を多様化させることができる。
また、実施形態1の回転電気機械装置(1)では、固定子(20)は、界磁スロット(35b)に収容される第2界磁磁石(60)を有する。
上記の構成では、第1界磁磁石(70)の磁力が実質的にゼロである場合であっても、第2界磁磁石(60)により、一定方向の磁石磁束(M60)を提供することができる。
また、実施形態1の回転電気機械装置(1)では、回転電気機械(2)の使用温度範囲内において、第1界磁磁石(70)の保磁力の最大値は、第2界磁磁石(60)の保磁力の最小値よりも小さい。
上記の構成では、界磁巻線(50)の界磁磁束(M50)による第2界磁磁石(60)の磁力の変化が可能な限り生じないように、第2界磁磁石(60)を構成することができる。これにより、第1着磁状態と脱磁状態と第2着磁状態との切り換えを適切に行うことができ、回転電気機械(2)の制御を適切に行うことができる。
また、実施形態1の回転電気機械装置(1)では、第1界磁磁石(70)は、界磁スロット(35b)内において第2界磁磁石(60)よりも径方向外側に配置される。
上記の構成では、界磁スロット(35b)内において第2界磁磁石(60)が第1界磁磁石(70)よりも径方向外側に配置される場合よりも、第2界磁磁石(60)を回転子(10)に近づけることができる。これにより、第2界磁磁石(60)の磁束が回転子(10)と鎖交しやすくなるので、第2界磁磁石(60)の磁束を有効に利用することができる。
また、実施形態1の回転電気機械装置(1)では、界磁巻線(50)は、界磁スロット(35b)内において第1界磁磁石(70)よりも径方向外側に配置される。
上記の構成では、界磁スロット(35b)内において界磁巻線(50)と第1界磁磁石(70)との間に第2界磁磁石(60)が介在する場合よりも、第1界磁磁石(70)を界磁巻線(50)に近づけることができる。これにより、界磁巻線(50)の界磁磁束(M50)を第1界磁磁石(70)に効率よく通すことができるので、界磁磁束(M50)による第1界磁磁石(70)の磁力の変化を容易にすることができる。また、界磁巻線(50)から見て第1界磁磁石(70)が第2界磁磁石(60)よりも内周側に位置するので、第1界磁磁石(70)の着磁/脱磁の際に、界磁巻線(50)の界磁磁束(M50)は、第2界磁磁石(60)よりも第1界磁磁石(70)を優先的に通る。これにより、第1界磁磁石(70)の着磁/脱磁を容易にすることができる。また、回転子(10)の位置決めも不要である。
また、実施形態1の回転電気機械装置(1)では、第1界磁磁石(70)の周方向長さ(LC70)は、第2界磁磁石(60)の径方向外側の部分の周方向長さ(LC60)以下であり、且つ、界磁スロット(35b)のうち巻線収容部(350)の径方向内側の部分の周方向長さ(LC350)以下である。
上記の構成では、回転子(10)の回転中心軸(P)から第1界磁磁石(70)を見た場合に第1界磁磁石(70)の周方向の端部が第2界磁磁石(60)から食み出さないようにすることができる。これにより、第1界磁磁石(70)の周方向の端部におけるフリンジング磁束の発生を抑制することができるので、フリンジング磁束による第1界磁磁石(70)の減磁を低減することができる。このように、一定の磁力で運転する場合に、第1界磁磁石(70)の磁束を有効に利用することができる。
(実施形態2)
図11は、実施形態2の回転電気機械装置(1)の構成を例示する。実施形態2の回転電気機械装置(1)は、回転電気機械(2)の固定子(20)の界磁スロット(35b)内の構成が実施形態1の回転電気機械装置(1)と異なる。実施形態2の回転電気機械装置(1)のその他の構成は、実施形態1の回転電気機械装置(1)の構成と同様である。
〔界磁スロット内の構成〕
図12は、実施形態2における界磁スロット(35b)内の構成を例示する。実施形態2の界磁スロット(35b)内の構成は、界磁巻線(50)および第1界磁磁石(70)の配置が実施形態1の界磁スロット(35b)内の構成と異なる。実施形態2の界磁スロット(35b)内のその他の構成は、実施形態1の界磁スロット(35b)内の構成と同様である。
実施形態2では、巻線収容部(350)は、第2磁石収容部(351)よりも径方向外側に配置され、第1磁石収容部(352)は、巻線収容部(350)よりも径方向外側に配置される。このような構成により、実施形態2では、界磁巻線(50)は、界磁スロット(35b)内において第2界磁磁石(60)よりも径方向外側に配置され、第1界磁磁石(70)は、界磁スロット(35b)内において界磁巻線(50)よりも径方向外側に配置される。
また、実施形態2では、第1界磁磁石(70)の周方向長さ(LC70)は、界磁スロット(35b)の巻線収容部(350)の径方向外側の部分の周方向長さ(LC350)以下である。
なお、図12の例では、巻線収容部(350)は、第2磁石収容部(351)と連通し、第1磁石収容部(352)は、巻線収容部(350)と連通する。界磁巻線(50)は、第2界磁磁石(60)の径方向外側に隣接し、第1界磁磁石(70)は、界磁巻線(50)の径方向外側に隣接する。第1界磁磁石(70)の周方向長さ(LC70)は、第2界磁磁石(60)の径方向外側の部分の周方向長さ(LC60)と同一であり、且つ、巻線収容部(350)の径方向内側の部分の周方向長さ(LC350)よりも短い。第1界磁磁石(70)の径方向長さ(LR70)は、第1界磁磁石(70)の周方向長さ(LC70)よりも短い。また、第1界磁磁石(70)の径方向長さ(LR70)は、第2界磁磁石(60)の径方向長さ(LR60)および巻線収容部(350)の径方向長さ(LR350)の各々よりも短い。
〔制御部の動作〕
実施形態1の制御部(3)と同様に、実施形態2の制御部(3)は、第1磁力制御と、第2磁力制御と、第1回転制御と、第2回転制御と、第3回転制御と、第4回転制御と、第5回転制御と、第6回転制御とを選択的に行う。
〔第1磁力制御〕
図13は、実施形態2の第1磁力制御における磁束の流れを例示する。
実施形態2の第1磁力制御における制御部(3)の動作は、実施形態1の第1磁力制御における制御部(3)の動作と同様である。実施形態2の第1磁力制御における磁束の詳細は、以下のとおりである。
〈界磁巻線の磁束:短絡磁束〉
第1磁力制御では、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の短絡磁束(M51)は、第2界磁磁石(60-1)から、ティース(32-2)、第1界磁磁石(70-1)、ティース(32-1)を順に通過し、第2界磁磁石(60-1)に戻る。このように、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の短絡磁束(M51)は、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の周りを反時計回り方向に循環する。なお、界磁スロット(35b-2)の界磁巻線(50)の短絡磁束(M51)の流れ方向は、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の短絡磁束(M51)の流れ方向の逆方向である。
〈界磁巻線の磁束:鎖交磁束〉
第1磁力制御では、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の鎖交磁束(M52)は、固定子ヨーク(31)から、ティース(32-1)、回転子コア(11)、ティース(32-3)を順に通過し、固定子ヨーク(31)に戻る。このように、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の鎖交磁束(M52)は、固定子コア(30)と回転子コア(11)を反時計回り方向に循環する。なお、界磁スロット(35b-2)の界磁巻線(50)の鎖交磁束(M52)の流れ方向は、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の鎖交磁束(M52)の流れ方向の逆方向である。
《第2界磁磁石の磁束:第2短絡磁束》
第1磁力制御では、第2界磁磁石(60-1)の第2短絡磁束(M61)は、第2界磁磁石(60-1)から、ティース(32-1)、第1界磁磁石(70-1)、ティース(32-2)を順に通過し、第2界磁磁石(60-1)に戻る。このように、第2界磁磁石(60-1)の第2短絡磁束(M61)は、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の周りを時計回り方向に循環する。なお、第2界磁磁石(60-2)の第2短絡磁束(M61)の流れ方向は、第2界磁磁石(60-1)の第2短絡磁束(M61)の流れ方向の逆方向である。
《第2界磁磁石の磁束:第2鎖交磁束》
第1磁力制御では、第2界磁磁石(60-1)の第2鎖交磁束(M62)は、第2界磁磁石(60-1)から、ティース(32-1)、回転子コア(11)、ティース(32-3)、固定子ヨーク(31)、ティース(32-2)を順に通過し、第2界磁磁石(60-1)に戻る。このように、第2界磁磁石(60-1)の第2鎖交磁束(M62)は、固定子コア(30)と回転子コア(11)を反時計回り方向に循環する。なお、第2界磁磁石(60-2)の第2鎖交磁束(M62)の流れ方向は、第2界磁磁石(60-1)の第2鎖交磁束(M62)の流れ方向の逆方向である。
〈第1磁力制御の効果〉
実施形態2の第1磁力制御では、実施形態1の第1磁力制御の効果と同様の効果を得ることができる。
〔第2磁力制御〕
図14は、実施形態2の第2磁力制御における磁束の流れを例示する。
実施形態2の第2磁力制御における制御部(3)の動作は、実施形態1の第2磁力制御における制御部(3)の動作と同様である。実施形態2の第2磁力制御における磁束の詳細は、以下のとおりである。
〈界磁巻線の磁束:短絡磁束〉
第2磁力制御における短絡磁束(M51)の流れ方向は、第1磁力制御における短絡磁束(M51)の流れ方向の逆方向である。具体的には、第2磁力制御では、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の短絡磁束(M51)は、第2界磁磁石(60-1)から、ティース(32-1)、第1界磁磁石(70-1)、ティース(32-2)を順に通過し、第2界磁磁石(60-1)に戻る。このように、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の短絡磁束(M51)は、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の周りを時計回り方向に循環する。なお、界磁スロット(35b-2)の界磁巻線(50)の短絡磁束(M51)の流れ方向は、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の短絡磁束(M51)の流れ方向の逆方向である。
〈界磁巻線の磁束:鎖交磁束〉
第2磁力制御における鎖交磁束(M52)の流れ方向は、第1磁力制御における鎖交磁束(M52)の流れ方向の逆方向である。具体的には、第2磁力制御では、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の鎖交磁束(M52)は、固定子ヨーク(31)から、ティース(32-3)、回転子コア(11)、ティース(32-1)を順に通過し、固定子ヨーク(31)に戻る。このように、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の鎖交磁束(M52)は、固定子コア(30)と回転子コア(11)を時計回り方向に循環する。なお、界磁スロット(35b-2)の界磁巻線(50)の鎖交磁束(M52)の流れ方向は、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の鎖交磁束(M52)の流れ方向の逆方向である。
〈第2界磁磁石の磁束〉
第2磁力制御における第2磁石磁束(M60)(具体的には第2短絡磁束(M61)と第2鎖交磁束(M62))は、第1磁力制御における第2磁石磁束(M60)と同様である。
〈第2磁力制御の効果〉
実施形態2の第2磁力制御では、実施形態1の第2磁力制御の効果と同様の効果を得ることができる。
〔第1回転制御〕
図15は、実施形態2の第1回転制御における磁束の流れを例示する。
第1回転制御では、第1界磁磁石(70)の磁化方向は、順方向に設定される。実施形態2の第1回転制御における制御部(3)の動作は、実施形態1の第1回転制御における制御部(3)の動作と同様である。実施形態2の第1回転制御における磁束の詳細は、以下のとおりである。
〈第1界磁磁石の磁束:第1短絡磁束〉
第1回転制御では、第1界磁磁石(70-1)の第1短絡磁束(M71)は、第1界磁磁石(70-1)から、ティース(32-1)、固定子ヨーク(31)、ティース(32-2)を順に通過し、第1界磁磁石(70-1)に戻る。このように、第1界磁磁石(70-1)の第1短絡磁束(M71)は、第1界磁磁石(70-1)と固定子ヨーク(31)を時計回り方向に循環する。なお、第1界磁磁石(70-2)の第1短絡磁束(M71)に流れ方向は、第1界磁磁石(70-1)の第1短絡磁束(M71)に流れ方向の逆方向である。
〈第1界磁磁石の磁束:第1鎖交磁束〉
第1回転制御では、第1界磁磁石(70-1)の第1鎖交磁束(M72)と第1界磁磁石(70-2)の第1鎖交磁束(M72)とが合成される。そして、第1界磁磁石(70-1,70-2)の第1鎖交磁束(M72)は、第1界磁磁石(70-1)から、ティース(32-1)、回転子コア(11)、ティース(32-3)、第2界磁磁石(60-2)、ティース(32-4)、固定子ヨーク(31)、ティース(32-2)を順に通過し、第1界磁磁石(70-1)に戻る。このように、第1界磁磁石(70-1,70-2)の第1鎖交磁束(M72)は、固定子コア(30)と回転子コア(11)を反時計回り方向に循環する。
〈第2界磁磁石の磁束:第2短絡磁束〉
第1回転制御では、第2界磁磁石(60-1)の第2短絡磁束(M61)は、第2界磁磁石(60-1)から、ティース(32-1)、第1界磁磁石(70-1)、ティース(32-2)を順に通過し、第2界磁磁石(60-1)に戻る。このように、第2界磁磁石(60-1)の第2短絡磁束(M61)は、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の周りを時計回り方向に循環する。なお、第2界磁磁石(60-2)の第2短絡磁束(M61)に流れ方向は、第2界磁磁石(60-1)の第2短絡磁束(M61)に流れ方向の逆方向である。
〈第2界磁磁石の磁束:第2鎖交磁束〉
第1回転制御では、第2界磁磁石(60-1)の第2鎖交磁束(M62)と第2界磁磁石(60-2)の第2鎖交磁束(M62)とが合成される。そして、第2界磁磁石(60-1,60-2)の第2鎖交磁束(M62)は、第2界磁磁石(60-1)から、ティース(32-1)、回転子コア(11)、ティース(32-3)、第2界磁磁石(60-2)、ティース(32-4)、固定子ヨーク(31)、ティース(32-2)を順に通過し、第2界磁磁石(60-1)に戻る。このように、第2界磁磁石(60-1,60-2)の第2鎖交磁束(M62)は、固定子コア(30)と回転子コア(11)を反時計回り方向に循環する。
〈第1回転制御の効果〉
実施形態2の第1回転制御では、実施形態1の第1回転制御の効果と同様の効果を得ることができる。
〔第2回転制御〕
図16は、実施形態2の第2回転制御における磁束の流れを例示する。なお、図16の例では、界磁巻線(50)に対する界磁電流(i50)の供給より生じる磁界により、短絡磁束(M51)と第1短絡磁束(M71)と第2短絡磁束(M61)がなくなる。
第2回転制御では、第1界磁磁石(70)の磁化方向は、順方向に設定される。実施形態2の第2回転制御における制御部(3)の動作は、実施形態1の第2回転制御における制御部(3)の動作と同様である。実施形態2の第2回転制御における磁束の詳細は、以下のとおりである。
〈界磁巻線の磁束:鎖交磁束〉
第2回転制御では、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の鎖交磁束(M52)は、固定子ヨーク(31)から、ティース(32-1)、回転子コア(11)、ティース(32-3)を順に通過し、固定子ヨーク(31)に戻る。このように、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の鎖交磁束(M52)は、固定子コア(30)と回転子コア(11)を反時計回り方向に循環する。なお、界磁スロット(35b-2)の界磁巻線(50)の鎖交磁束(M52)の流れ方向は、界磁スロット(35b-1)の界磁巻線(50)の鎖交磁束(M52)の流れ方向の逆方向である。
〈第1界磁磁石の磁束:第1鎖交磁束〉
第2回転制御では、第1界磁磁石(70-1)の第1鎖交磁束(M72)は、第1界磁磁石(70-1)から、ティース(32-1)、回転子コア(11)、ティース(32-3)、固定子ヨーク(31)、ティース(32-2)を順に通過し、第1界磁磁石(70-1)に戻る。このように、第1界磁磁石(70-1)の第1鎖交磁束(M72)は、固定子コア(30)と回転子コア(11)を反時計回り方向に循環する。なお、第1界磁磁石(70-2)の第1鎖交磁束(M72)の流れ方向は、第1界磁磁石(70-1)の第1鎖交磁束(M72)の流れ方向の逆方向である。
〈第2界磁磁石の磁束:第2鎖交磁束〉
第2回転制御では、第2界磁磁石(60-1)の第2鎖交磁束(M62)は、第2界磁磁石(60-1)から、ティース(32-1)、回転子コア(11)、ティース(32-3)、固定子ヨーク(31)、ティース(32-2)を順に通過し、第2界磁磁石(60-1)に戻る。このように、第2界磁磁石(60-1)の第2鎖交磁束(M62)は、固定子コア(30)と回転子コア(11)を反時計回り方向に循環する。なお、第2界磁磁石(60-2)の第2鎖交磁束(M62)の流れ方向は、第2界磁磁石(60-1)の第2鎖交磁束(M62)の流れ方向の逆方向である。
〈第2回転制御の効果〉
実施形態2の第2回転制御では、実施形態1の第2回転制御の効果と同様の効果を得ることができる。
また、実施形態2の第2回転制御では、界磁巻線(50)の短絡磁束(M51)は、第1界磁磁石(70)を順方向に通過する。短絡磁束(M51)が第1界磁磁石(70)を通過する方向と第1界磁磁石(70)の磁化方向とが同方向であるので、短絡磁束(M51)による第1界磁磁石(70)の減磁が生じにくい。このように、回転電気機械(2)の運転時に第1界磁磁石(70)が減磁しにくいので、回転電気機械(2)の運転効率を向上させることができる。
〔第3回転制御〕
図17は、実施形態2の第3回転制御における磁束の流れを例示する。
第3回転制御では、第1界磁磁石(70)は、脱磁状態に設定される。実施形態2の第3回転制御における制御部(3)の動作は、実施形態1の第3回転制御における制御部(3)の動作と同様である。実施形態2の第3回転制御における磁束の詳細は、以下のとおりである。
〈第2界磁磁石の磁束〉
第3回転制御における第2磁石磁束(M60)(具体的には第2短絡磁束(M61)と第2鎖交磁束(M62))は、第1回転制御における第2磁石磁束(M60)と同様である。
〈第3回転制御の効果〉
実施形態2の第3回転制御では、実施形態1の第3回転制御の効果と同様の効果を得ることができる。
〔第4回転制御〕
図18は、実施形態2の第4回転制御における磁束の流れを例示する。なお、図18の例では、界磁巻線(50)に対する界磁電流(i50)の供給より生じる磁界により、短絡磁束(M51)と第2短絡磁束(M61)がなくなる。
第4回転制御では、第1界磁磁石(70)は、脱磁状態に設定される。実施形態2の第4回転制御における制御部(3)の動作は、実施形態1の第4回転制御における制御部(3)の動作と同様である。実施形態2の第4回転制御における磁束の詳細は、以下のとおりである。
〈界磁巻線の磁束〉
第4回転制御における界磁磁束(M50)(具体的には鎖交磁束(M52))は、第2回転制御における界磁磁束(M50)と同様である。
〈第2界磁磁石の磁束〉
第4回転制御における第2磁石磁束(M60)(具体的に第2鎖交磁束(M62))は、第3回転制御における第2磁石磁束(M60)と同様である。
〈第4回転制御の効果〉
実施形態2の第4回転制御では、実施形態1の第4回転制御の効果と同様の効果を得ることができる。
〔第5回転制御〕
図19は、実施形態2の第5回転制御における磁束の流れを例示する。
第5回転制御では、第1界磁磁石(70)の磁化方向は、逆方向に設定される。実施形態2の第5回転制御における制御部(3)の動作は、実施形態1の第5回転制御における制御部(3)の動作と同様である。実施形態2の第5回転制御における磁束の詳細は、以下のとおりである。
〈第1界磁磁石の磁束:第1短絡磁束〉
第5回転制御における第1短絡磁束(M71)の流れ方向は、第1回転制御における第1短絡磁束(M71)の流れ方向の逆方向である。具体的には、第5回転制御では、第1界磁磁石(70-1)の第1短絡磁束(M71)は、第1界磁磁石(70-1)から、ティース(32-2)、固定子ヨーク(31)、ティース(32-2)を順に通過し、第1界磁磁石(70-1)に戻る。このように、第1界磁磁石(70-1)の第1短絡磁束(M71)は、第1界磁磁石(70-1)と固定子ヨーク(31)を反時計回り方向に循環する。なお、第1界磁磁石(70-2)の第1短絡磁束(M71)の流れ方向は、第1界磁磁石(70-1)の第1短絡磁束(M71)の流れ方向の逆方向である。
〈第1界磁磁石の磁束:第1鎖交磁束〉
第5回転制御における第1鎖交磁束(M72)の流れ方向は、第1回転制御における第1鎖交磁束(M72)の流れ方向の逆方向である。具体的には、第5回転制御では、第1界磁磁石(70-1)の第1鎖交磁束(M72)と第1界磁磁石(70-2)の第1鎖交磁束(M72)とが合成される。そして、第1界磁磁石(70-1,70-2)の第1鎖交磁束(M72)は、第1界磁磁石(70-1)から、ティース(32-2)、固定子ヨーク(31)、ティース(32-4)、第2界磁磁石(60-2)、ティース(32-3)、回転子コア(11)、ティース(32-1)を順に通過し、第1界磁磁石(70-1)に戻る。このように、第1界磁磁石(70-1,70-2)の第1鎖交磁束(M72)は、固定子コア(30)と回転子コア(11)を時計回り方向に循環する。
〈第2界磁磁石の磁束〉
第5回転制御における第2磁石磁束(M60)(具体的には第2短絡磁束(M61)と第2鎖交磁束(M62))は、第1回転制御における第2磁石磁束(M60)と同様である。
〈第5回転制御の効果〉
実施形態2の第5回転制御では、実施形態1の第5回転制御の効果と同様の効果を得ることができる。
〔第6回転制御〕
図20は、実施形態2の第6回転制御における磁束の流れを例示する。なお、図20の例では、界磁巻線(50)に対する界磁電流(i50)の供給より生じる磁界により、短絡磁束(M51)と第1短絡磁束(M71)と第2短絡磁束(M61)がなくなる。
第6回転制御では、第1界磁磁石(70)の磁化方向は、逆方向に設定される。実施形態2の第6回転制御における制御部(3)の動作は、実施形態1の第6回転制御における制御部(3)の動作と同様である。実施形態2の第6回転制御における磁束の詳細は、以下のとおりである。
〈界磁巻線の磁束〉
第6回転制御における界磁磁束(M50)(具体的には鎖交磁束(M52))は、第2回転制御における界磁磁束(M50)と同様である。
〈第1界磁磁石の磁束:第1鎖交磁束〉
第6回転制御における第1鎖交磁束(M72)の流れ方向は、第2回転制御における第1鎖交磁束(M72)の流れ方向の逆方向である。具体的には、第2回転制御では、第1界磁磁石(70-1)の第1鎖交磁束(M72)は、第1界磁磁石(70-1)から、ティース(32-2)、固定子ヨーク(31)、ティース(32-3)、回転子コア(11)、ティース(32-1)を順に通過し、第1界磁磁石(70-1)に戻る。このように、第1界磁磁石(70-1)の第1鎖交磁束(M72)は、固定子コア(30)と回転子コア(11)を時計回り方向に循環する。なお、第1界磁磁石(70-2)の第1鎖交磁束(M72)の流れ方向は、第1界磁磁石(70-1)の第1鎖交磁束(M72)の流れ方向の逆方向である。
〈第2界磁磁石の磁束〉
第6回転制御における第2磁石磁束(M60)(具体的には第2鎖交磁束(M62))は、第5回転制御における第2磁石磁束(M60)と同様である。
〈第6回転制御の効果〉
実施形態2の第6回転制御では、実施形態1の第6回転制御の効果と同様の効果を得ることができる。なお、第6回転制御は、省略されてもよい。また、他の制御についても同様である。
〔実施形態2の効果〕
実施形態2の回転電気機械装置(1)では、実施形態1の回転電気機械装置(1)の効果と同様の効果を得ることができる。例えば、6つの運転モードを実現することができるので、回転電気機械(2)の制御を多様化させることができる。
また、実施形態2の回転電気機械装置(1)では、界磁巻線(50)は、界磁スロット(35b)内において第2界磁磁石(60)よりも径方向外側に配置される。第1界磁磁石(70)は、界磁スロット(35b)内において界磁巻線(50)よりも径方向外側に配置される。
上記の構成では、界磁スロット(35b)内において界磁巻線(50)と第1界磁磁石(70)との間に第2界磁磁石(60)が介在する場合よりも、第1界磁磁石(70)を界磁巻線(50)に近づけることができる。これにより、界磁巻線(50)の界磁磁束(M50)を第1界磁磁石(70)に効率よく通すことができるので、界磁磁束(M50)による第1界磁磁石(70)の磁力の変化を容易にすることができる。
また、実施形態2の回転電気機械装置(1)では、第1界磁磁石(70)の周方向長さ(LC70)は、界磁スロット(35b)のうち巻線収容部(350)の径方向外側の部分の周方向長さ(LC350)以下である。
上記の構成では、回転子(10)の回転中心軸(P)から第1界磁磁石(70)を見た場合に第1界磁磁石(70)の周方向の端部が巻線収容部(350)から食み出さないようにすることができる。これにより、第1界磁磁石(70)の周方向の端部におけるフリンジング磁束の発生を抑制することができるので、フリンジング磁束による第1界磁磁石(70)の減磁を低減することができる。このように、第1界磁磁石(70)の磁束を有効に利用することができる。
(実施形態3)
実施形態3の回転電気機械装置(1)は、回転電気機械(2)の固定子(20)の界磁スロット(35b)内の構成が実施形態1の回転電気機械装置(1)と異なる。実施形態3の回転電気機械装置(1)のその他の構成は、実施形態1の回転電気機械装置(1)の構成と同様である。
〔界磁スロット内の構成〕
図21は、実施形態3における界磁スロット(35b)内の構成を例示する。実施形態3の界磁スロット(35b)内の構成は、界磁巻線(50)および第1界磁磁石(70)の配置が実施形態1の界磁スロット(35b)内の構成と異なる。実施形態3の界磁スロット(35b)内のその他の構成は、実施形態1の界磁スロット(35b)内の構成と同様である。
実施形態3では、巻線収容部(350)は、第2磁石収容部(351)よりも径方向外側に配置される。第1磁石収容部(352)は、巻線収容部(350)の間に挟まれずに、巻線収容部(350)の周方向の両側の少なくとも一方に配置される。このような構成により、界磁巻線(50)は、界磁スロット(35b)内において前記第2界磁磁石(60)よりも径方向外側に配置される。第1界磁磁石(70)は、界磁スロット(35b)内において、界磁巻線(50)の間に挟まれずに、界磁巻線(50)の周方向の両側の少なくとも一方に配置される。また、第1界磁磁石(70)は、径方向に着磁される。
図21の例では、第1界磁磁石(70)は、界磁スロット(35b)内において界磁巻線(50)の周方向の両側に配置される。このように、1つの界磁スロット(35b)内に2つの第1界磁磁石(70)が収容される。そして、第1界磁磁石(70)は、磁極面が径方向を向くように着磁される。言い換えると、第1界磁磁石(70)は、径方向に着磁可能であり、磁化方向を径方向に沿う方向にすることが可能である。なお、図21の右側の第1界磁磁石(70)の順方向は、図21の上側から下側へ向かう方向であり、図21の左側の第1界磁磁石(70)の順方向は、図21の下側から上側へ向かう方向である。
〔制御部の動作〕
実施形態1の制御部(3)と同様に、実施形態3の制御部(3)は、第1磁力制御と、第2磁力制御と、第1回転制御と、第2回転制御と、第3回転制御と、第4回転制御と、第5回転制御と、第6回転制御とを選択的に行う。
〔実施形態3の効果〕
実施形態3の回転電気機械装置(1)では、実施形態1の回転電気機械装置(1)の効果と同様の効果を得ることができる。例えば、6つの運転モードを実現することができるので、回転電気機械(2)の制御を多様化させることができる。
また、実施形態3の回転電気機械装置(1)では、界磁巻線(50)は、界磁スロット(35b)内において第2界磁磁石(60)よりも径方向外側に配置される。第1界磁磁石(70)は、界磁スロット(35b)内において界磁巻線(50)の間に挟まれずに、界磁巻線(50)の周方向の両側の少なくとも一方に配置される。また、第1界磁磁石(70)は、径方向に着磁される。
上記の構成では、界磁スロット(35b)内において界磁巻線(50)と第1界磁磁石(70)との間に第2界磁磁石(60)が介在する場合よりも、第1界磁磁石(70)を界磁巻線(50)に近づけることができる。これにより、界磁巻線(50)の界磁磁束(M50)を第1界磁磁石(70)に効率よく通すことができるので、界磁磁束(M50)による第1界磁磁石(70)の磁力の変化を容易にすることができる。
(実施形態4)
図22は、実施形態4の回転電気機械装置(1)の構成を例示する。実施形態4の回転電気機械装置(1)は、回転電気機械(2)の固定子(20)の界磁スロット(35b)内の構成が実施形態2の回転電気機械装置(1)と異なる。実施形態4の回転電気機械装置(1)のその他の構成は、実施形態2の回転電気機械装置(1)の構成と同様である。
〔界磁スロット内の構成〕
実施形態4では、界磁スロット(35b)内において第2界磁磁石(60)が省略されている。第1界磁磁石(70)は、界磁スロット(35b)内において界磁巻線(50)よりも径方向外側に配置される。
〔順方向と逆方向〕
実施形態4における第1界磁磁石(70)の磁化方向の「順方向」は、予め定められた磁化方向である。実施形態4における第1界磁磁石(70)の磁化方向の「逆方向」は、予め定められた磁化方向の逆方向である。
〔制御部の動作〕
実施形態2の制御部(3)と同様に、実施形態4の制御部(3)は、第1磁力制御と、第2磁力制御と、第1回転制御と、第2回転制御と、第3回転制御と、第4回転制御と、第5回転制御と、第6回転制御とを選択的に行う。
〔実施形態4の効果〕
実施形態4の回転電気機械装置(1)では、実施形態2の回転電気機械装置(1)の効果と同様の効果を得ることができる。例えば、6つの運転モードを実現することができるので、回転電気機械(2)の制御を多様化させることができる。
(磁力制御の詳細)
次に、実施形態1~4の各々における第1磁力制御と第2磁力制御の詳細について説明する。以下では、実施形態1~4の総称を「実施形態」と記載し、第1磁力制御および第2磁力制御の総称を「磁力制御」と記載する。磁力制御は、界磁磁束(M50)により第1界磁磁石(70)の磁力を変更する制御である。
〔制御部の動作〕
制御部(3)は、磁力制御において、回転子(10)の回転中に、界磁磁束(M50)により第1界磁磁石(70)の磁力が変更されるように、界磁電流(i50)を制御する。
好ましくは、制御部(3)は、磁力制御において、回転子(10)の電気角が180°以上変化する期間中に、界磁磁束(M50)により第1界磁磁石(70)の磁力が変更されるように、界磁電流(i50)を制御する。なお、この例では、回転電気機械(2)の極対数は、10となっている。例えば、回転子(10)の機械角に基づいて回転子(10)の回転を制御する場合、制御部(3)は、回転子(10)の機械角が18°(=180°/10)以上変化する期間中に、界磁磁束(M50)により第1界磁磁石(70)の磁力が変更されるように、界磁電流(i50)を制御する。
さらに好ましくは、制御部(3)は、磁力制御において、回転子(10)の電気角が360°以上変化する期間中に、界磁磁束(M50)により第1界磁磁石(70)の磁力が変更されるように、界磁電流(i50)を制御する。例えば、回転子(10)の機械角に基づいて回転子(10)の回転を制御する場合、制御部(3)は、回転子(10)の機械角が36°(=360°/10)以上変化する期間中に、界磁磁束(M50)により第1界磁磁石(70)の磁力が変更されるように、界磁電流(i50)を制御する。
また、好ましくは、制御部(3)は、磁力制御において、電機子巻線(40)に電機子電流(i40)が供給されている期間中に、界磁磁束(M50)により第1界磁磁石(70)の磁力が変更されるように、電機子電流(i40)および界磁電流(i50)を制御する。
この例では、制御部(3)は、磁力制御において、回転子(10)の電気角が360°以上変化する期間であり、且つ、電機子巻線(40)に電機子電流(i40)が供給されている期間中に、界磁磁束(M50)により第1界磁磁石(70)の磁力が変更されるように、電機子電流(i40)および界磁電流(i50)を制御する。
具体的には、制御部(3)は、回転子(10)の回転が維持(継続)されるように、電機子電流(i40)を制御する。また、図23に示すように、制御部(3)は、界磁電流(i50)が電気角の一周期に対応する期間(P0)以上のハイレベル期間を有する準インパルス電流となるように、界磁電流(i50)を制御する。期間(P0)は、電気角が360°変化する期間である。回転子(10)の回転数が高回転数である場合、期間(P0)は、極短時間(例えば10msec未満)となる。図23の例では、界磁電流(i50)は、期間(P0)と同等のハイレベル期間を有する準インパルス電流となっている。
また、この例では、制御部(3)は、磁力制御において、界磁磁束(M50)によるトルク変動を抑制する方向に電機子電流(i40)を変化させる。例えば、界磁磁束(M50)が発生していない場合よりも界磁磁束(M50)によりトルクが大きくなる場合、制御部(3)は、界磁磁束(M50)が発生していない場合よりも電機子電流(i40)を小さくする。逆に、界磁磁束(M50)が発生していない場合よりも界磁磁束(M50)によりトルクが小さくなる場合、制御部(3)は、界磁磁束(M50)が発生していない場合よりも電機子電流(i40)を大きくする。これにより、回転電気機械(2)の負荷のイナーシャが小さい場合であっても、回転子(10)の安定した回転状態を保持することができる。
〔第1界磁磁石の磁力の変化のしやすさ〕
なお、磁力制御では、回転子(10)の回転位置によって、複数の第1界磁磁石(70)の各々の磁力の変化のしやすさが変わる。具体的には、界磁スロット(35b)と隣り合うティース(32)と回転子(10)の突部(13)との位置の関係により、その界磁スロット(35b)内の第1界磁磁石(70)の磁力の変化のしやすさが変わる。
例えば、実施形態2の回転電気機械装置(1)では、界磁スロット(35b)と隣り合うティース(32)の先端に回転子(10)の突部(13)が位置する場合、その界磁スロット(35b)内の第1界磁磁石(70)に界磁磁束(M50)が通りやすいので、界磁磁束(M50)により第1界磁磁石(70)の磁力が変化しやすい。逆に、界磁スロット(35b)と隣り合うティース(32)の先端に回転子(10)の突部(13)が位置しない場合、その界磁スロット(35b)内の第1界磁磁石(70)に界磁磁束(M50)が通りにくいので、界磁磁束(M50)により第1界磁磁石(70)の磁力が変化しにくい。
また、実施形態1の回転電気機械装置(1)では、界磁スロット(35b)と隣り合うティース(32)の先端に回転子(10)の突部(13)が位置する場合、その界磁スロット(35b)内の第1界磁磁石(70)に界磁磁束(M50)が通らずに回転子(10)を通ってしまうので、界磁磁束(M50)により第1界磁磁石(70)の磁力が変化しにくい。逆に、界磁スロット(35b)と隣り合うティース(32)の先端に回転子(10)の突部(13)が位置しない場合、その界磁スロット(35b)内の第1界磁磁石(70)に界磁磁束(M50)が通りやすいので、界磁磁束(M50)により第1界磁磁石(70)の磁力が変化しやすい。
以上のとおり、磁力制御では、回転子(10)の回転位置によって複数の第1界磁磁石(70)の各々の磁力の変化のしやすさが変わるので、回転子(10)を回転させずに磁力制御が行われると、第1界磁磁石(70)間における磁化状態のばらつきが大きくなる。
〔実施形態と比較例との対比〕
次に、図24~図27を参照して、実施形態と比較例との対比について説明する。以下では、実施形態2の回転電気機械装置(1)を例に挙げる。また、実施形態2の回転電気機械装置(1)の比較例を「回転電気機械装置(9)」と記載する。また、説明の便宜上、回転電気機械装置(9)の構成要素のうち実施形態2の回転電気機械装置(1)の構成要素と同様の構成要素については、実施形態2の回転電気機械装置(1)の構成要素の符号と同一の符号を付している。
回転電気機械装置(9)は、磁力制御における回転子(10)の挙動が実施形態2の回転電気機械装置(1)と異なる。回転電気機械装置(9)では、回転子(10)は、磁力制御において回転しない。回転電気機械装置(9)のその他の構成は、実施形態2の回転電気機械装置(1)の構成と同様である。
図24は、回転電気機械装置(9)における複数の第1界磁磁石(70)の磁化状態を例示する。回転電気機械装置(9)では、第1界磁磁石(70)間における磁化状態のばらつきが大きい。具体的には、周方向に隣り合う2つの第1界磁磁石(70)の各々における着磁率の分布は、互いに異なっている。回転電気機械装置(9)では、第1界磁磁石(70)内における磁化状態が不均一であり、且つ、第1界磁磁石(70)間における磁化状態も不均一である。
図25は、回転電気機械装置(9)における無負荷鎖交磁束の波形を例示する。図25において、実線は、U相の鎖交磁束の波形を示し、一点鎖線は、V相の鎖交磁束の波形を示し、W相は、W相の鎖交磁束の波形を示す。回転電気機械装置(9)では、各相の鎖交磁束のピークにばらつきがあり、鎖交磁束が不平衡となっている。
図26は、実施形態2の回転電気機械装置(1)における複数の第1界磁磁石(70)の磁化状態を例示する。実施形態2の回転電気機械装置(1)では、第1界磁磁石(70)間における磁化状態のばらつきは、回転電気機械装置(9)の第1界磁磁石(70)間における磁化状態のばらつきよりも小さい。具体的には、周方向に隣り合う2つの第1界磁磁石(70)の各々における着磁率の分布は、互いに同様である。図26の例では、周方向に隣り合う2つの第1界磁磁石(70)の各々における着磁率の分布は、径方向に延びる線を軸として線対称となっている。実施形態2の回転電気機械装置(1)では、第1界磁磁石(70)内における磁化状態は不均一であるが、第1界磁磁石(70)間における磁化状態は、均一になっているとみなせる。
また、図26に示した実施形態2の回転電気機械装置(1)における第1界磁磁石(70)の着磁率は、図24に示した回転電気機械装置(9)における第1界磁磁石(70)の着磁率の約1.5倍となっている。
図27は、実施形態2の回転電気機械装置(1)における無負荷鎖交磁束の波形を例示する。図27において、実線は、U相の鎖交磁束の波形を示し、一点鎖線は、V相の鎖交磁束の波形を示し、W相は、W相の鎖交磁束の波形を示す。実施形態2の回転電気機械装置(1)では、回転電気機械装置(9)よりも、各相の鎖交磁束のピークにばらつきが小さく、鎖交磁束の不平衡が解消されている。
〔実施形態の効果〕
以上のように、実施形態の回転電気機械装置(1)では、制御部(3)は、界磁磁束(M50)により第1界磁磁石(70)の磁力を変更する磁力制御において、回転子(10)の回転中に、界磁磁束(M50)により第1界磁磁石(70)の磁力が変更されるように、界磁電流(i50)を制御する。このような構成により、第1界磁磁石(70)間における磁化状態のばらつきを低減することができる。なお、第1界磁磁石(70)内における磁化状態は、不均一であってもよい。
好ましくは、制御部(3)は、磁力制御において、回転子(10)の電気角が180°以上変化する期間中に、界磁磁束(M50)により第1界磁磁石(70)の磁力が変更されるように、界磁電流(i50)を制御する。回転子(10)と固定子(20)との磁気的な対称性により、原理的に、第1界磁磁石(70)間における磁化状態のばらつきを低減することができる。
さらに好ましくは、制御部(3)は、磁力制御において、回転子(10)の電気角が360°以上変化する期間中に、界磁磁束(M50)により第1界磁磁石(70)の磁力が変更されるように、界磁電流(i50)を制御する。このような構成により、回転磁界により回転子(10)と固定子(20)との磁気的な対称性が破られた場合であっても、第1界磁磁石(70)間における磁化状態のばらつきを低減することができる。また、回転子(10)の電気角が360°以上変化するので、界磁電流(i50)の通電開始時における回転子(10)の初期位置決めが不要となる。
また、実施形態の回転電気機械装置(1)では、制御部(3)は、磁力制御において、電機子巻線(40)に電機子電流(i40)が供給されている期間中に、界磁磁束(M50)により第1界磁磁石(70)の磁力が変更されるように、電機子電流(i40)および界磁電流(i50)を制御する。このような構成により、磁力制御において電機子巻線(40)に電機子電流(i40)を供給することにより、磁力制御において回転子(10)の回転を維持(継続)することができる。これにより、磁力制御において回転子(10)の安定した回転状態を保持することができる。
なお、電機子巻線(40)に電機子電流(i40)が供給されて電機子巻線(40)の温度が上昇していたとしても、電機子巻線(40)ではなく界磁巻線(50)に界磁電流(i50)が供給されるので、電機子巻線(40)の温度上昇には影響しない。
また、実施形態の回転電気機械装置(1)では、制御部(3)は、磁力制御において、界磁磁束(M50)によるトルク変動を抑制する方向に電機子電流(i40)を変化させる。このような構成により、磁力制御において界磁磁束(M50)によるトルク変動を抑制することができる。これにより、磁力制御において回転子(10)の安定した回転状態を保持することができる。
また、実施形態2および実施形態4の回転電気機械装置(1)では、第1界磁磁石(70)は、界磁スロット(35b)内において、界磁巻線(50)よりも径方向外側(回転子(10)から遠い側)に配置される。このような構成により、第1界磁磁石(70)が界磁巻線(50)よりも径方向内側(回転子(10)に近い側)に配置される場合よりも、界磁磁束(M50)による第1界磁磁石(70)の磁力の変化を容易にすることができる。
また、実施形態1~3の回転電気機械装置(1)では、固定子(20)は、界磁スロット(35b)に収容される第2界磁磁石(60)を有する。このような構成により、第1界磁磁石(70)の磁力が実質的にゼロである場合であっても、第2界磁磁石(60)により、一定方向の磁石磁束(M60)を提供することができる。
(磁力制御の変形例1)
なお、制御部(3)は、磁力制御において、第1界磁磁石(70)の磁力の方向が維持された状態で第1界磁磁石(70)の磁力の大きさが変更されるように、界磁電流(i50)を制御してもよい。
以上のような構成により、第1界磁磁石(70)の磁力の方向が変更されるように界磁電流(i50)を制御する場合よりも、第1界磁磁石(70)の磁力を変更するために必要となる界磁電流(i50)を低減することができる。
例えば、実施形態4の回転電気機械装置(1)では、第2界磁磁石(60)が省略されているので、第1界磁磁石(70)は、常に同じ方向に着磁されていることが望ましい。そのため、第1界磁磁石(70)の磁力の方向が維持された状態で、第1界磁磁石(70)の磁力の大きさのみが変更されることが望ましい。言い換えれば、第1界磁磁石(70)の内部に、固定界磁部分と可変界磁部分とが存在すると考えることができる。
なお、第1界磁磁石(70)として磁力の方向が維持されていれば、第1界磁磁石(70)内において部分的に磁力の方向が維持されずに逆方向になっていてもよい。
(界磁電流の波形の変形例1)
図28に示すように、制御部(3)は、磁力制御において、界磁電流(i50)が電気角の一周期に対応する期間(P0)以上の期間において所定の間隔で連続する複数のパルスとなるように、界磁電流(i50)を制御してもよい。
図28の例では、所定の間隔で連続する複数のパルスを含む期間は、界磁電流(i50)が電気角の一周期に対応する期間(P0)と同等となっている。
(界磁電流の波形の変形例2)
図29に示すように、制御部(3)は、磁力制御において、それぞれが電気角の一周期に対応する複数の期間(P1,P2,P3)毎に複数のパルス(界磁電流(i50)となるパルス)が所定の間隔で連続し、且つ、複数の期間(P1,P2,P3)毎に複数のパルスの位相がずれるように、界磁電流(i50)を制御してもよい。
図28の例では、3つの期間(P1,P2,P3)の各々において4つのパルスが時間(Δtp)の間隔で連続している。第2番目の期間(P2)に含まれる4つのパルスは、第1番目の期間(P1)に含まれる4つのパルスよりも第1時間(Δt1)だけ遅れている。第3番目の期間(P3)に含まれる4つのパルスは、第1番目の期間(P1)に含まれる4つのパルスよりも第2時間(Δt2)だけ遅れている。第2時間(Δt2)は、第1時間(Δt1)の2倍の時間であり、時間(Δtp)は、第1時間(Δt1)の3倍の時間である。このような制御により、電気角の一周期において第1時間(Δt1)の間隔で連続する12個のパルスを、3つの期間(P1,P2,P3)に分配することができる。
(磁力制御の変形例2)
実施形態2、4(具体的には界磁スロット(35b)内において第1界磁磁石(70)が界磁巻線(50)よりも径方向外側に配置される場合)において、次のような磁力制御が行われてもよい。
図30に示すように、制御部(3)は、磁力制御において、回転子(10)の回転中に、第1期間(PP1)と第2期間(PP2)と第3期間(PP3)とにおいて、パルス状の界磁電流(i50)が流れることで、界磁磁束(M50)により第1界磁磁石(70)の磁力が変更されるように、界磁電流(i50)を制御してもよい。
なお、第1期間(PP1)は、回転子(10)の電気角が0°を含む第1範囲内となる期間である。例えば、第1範囲は、0°に誤差(例えば±5°)を加えた範囲である。第2期間(PP2)は、回転子(10)の電気角が120°を含む第2範囲内となる期間である。例えば、第2範囲は、120°に誤差(例えば±5°)を加えた範囲である。第3期間(PP3)は、回転子(10)の電気角が240°を含む第3範囲内となる期間である。例えば、第1範囲は、240°に誤差(例えば±5°)を加えた範囲である。
〔回転子の電気角と磁力制御の効率との関係〕
ここで、図31、図32、図33を参照して、回転子(10)の電気角が0°である場合について説明する。以下では、U相の電機子巻線(40)を「U相巻線(U)」と記載し、V相の電機子巻線(40)を「V相巻線(V)」と記載し、W相の電機子巻線(40)を「W相巻線(W)」と記載する。
図31は、回転子(10)の電気角が0°である場合の回転子(10)の位置を例示している。図32は、回転子(10)の電気角が0°である場合の回転電気機械(2)の第1領域(Ra)を直線展開して例示する。図33は、回転子(10)の電気角が0°である場合に回転電気機械(2)に形成される磁気回路を例示する。
図32に示すように、回転子(10)の電気角が0°である場合、U相の磁束鎖交数が順方向に最大となる。また、V相巻線(V)とW相巻線(W)とが収容される電機子スロット(35a)に対して、回転子(10)の突部(13)が完全対向する。具体的には、電機子スロット(35a)の周方向における中心線と回転子(10)の突部(13)の周方向における中心線とが一致する。なお、回転子(10)の突部(13)の周方向長さは、電機子スロット(35a)の周方向長さよりも長い。
図33に示すように、W相巻線(W)を収容する2つの電機子スロット(35a)の間に配置された界磁スロット(35b)内の界磁巻線(50)の周りに、磁気回路が形成される。回転子(10)の電気角が0°である場合、磁気回路における回転子(10)と固定子(20)との対向面積が比較的に大きいので、磁気回路におけるギャップ(G)の磁気抵抗(R1)が比較的に小さくなっている。そのため、W相巻線(W)を収容する2つの電機子スロット(35a)の間に配置された界磁スロット(35b)内の第1界磁磁石(70)の磁界強度が最大となる。
次に、図31、図34、図35を参照して、回転子(10)の電気角が180°である場合について説明する。この例では、回転子(10)の回転方向は、図31における反時計回り方向である。回転子(10)の電気角が180°である場合の回転子(10)の位置は、図31に示した位置から機械角で18°だけ反時計回りに回転させた位置となる。
図34は、回転子(10)の電気角が180°である場合における回転電気機械(2)の第2領域(Rb)を直線展開して例示する。図35は、回転子(10)の電気角が180°である場合に回転電気機械(2)に形成される磁気回路を例示する。
図34に示すように、回転子(10)の電気角が180°である場合、U相の磁束鎖交数が逆方向に最大となる。また、V相巻線(V)とW相巻線(W)とが収容される電機子スロット(35a)に対して、回転子(10)の突部(13)が完全対向する。具体的には、電機子スロット(35a)の周方向における中心線と回転子(10)の突部(13)の周方向における中心線とが一致する。
図35に示すように、W相巻線(W)を収容する2つの電機子スロット(35a)の間に配置された界磁スロット(35b)内の界磁巻線(50)の周りに、磁気回路が形成される。回転子(10)の電気角が180°である場合、磁気回路における回転子(10)と固定子(20)との対向面積が比較的に小さいので、磁気回路におけるギャップ(G)の磁気抵抗(R2)が比較的に大きくなっている。そのため、W相巻線(W)を収容する2つの電機子スロット(35a)の間に配置された界磁スロット(35b)内の第1界磁磁石(70)の磁界強度が最小となる。
また、上記の界磁スロット(35b)と同様に、U相巻線(U)を収容する2つの電機子スロット(35a)の間に配置された界磁スロット(35b)内の第1界磁磁石(70)の磁界強度は、回転子(10)の電気角が120°である場合に最大となり、回転子(10)の電気角が300°である場合に最小となる。また、V相巻線(V)を収容する2つの電機子スロット(35a)の間に配置された界磁スロット(35b)内の第1界磁磁石(70)の磁界強度は、回転子(10)の電気角が240°である場合に最大となり、回転子(10)の電気角が60°(=240°+180°-360°)である場合に最小となる。
以上のように、回転子(10)の電気角が0°、120°、240°に近づくに連れて、第1界磁磁石(70)の磁界強度が次第に大きくなる。また、回転子(10)の電気角が180°、300°、60°に近づくに連れて、第1界磁磁石(70)の磁界強度が次第に小さくなる。
したがって、磁力制御において、「回転子(10)の電気角が0°を含む第1範囲内となる第1期間(PP1)」と「回転子(10)の電気角が120°を含む第2範囲内となる第2期間(PP2)」と「回転子(10)の電気角が240°を含む第3範囲内となる第3期間(PP3)」に、パルス状の界磁電流(i50)を流すことにより、第1界磁磁石(70)の磁力の変更を効率よく行うことができる。
〔磁力制御の変形例2と比較例との対比〕
次に、図36を参照して、磁力制御の変形例2とその比較例とを対比して説明する。なお、以下では、説明の便宜上、比較例となる回転電気機械装置の構成要素のうち実施形態(磁力制御の変形例2)の回転電気機械装置(1)と同様の構成要素については、実施形態の回転電気機械装置(1)の構成要素の符号と同一の符号を付している。
比較例となる回転電気機械装置では、回転子(10)を回転させずに、磁力制御が行われる。一方、磁力制御の変形例2では、回転子(10)の回転中に、磁力制御が行われる。
図36において、曲線(L1)は、磁力制御の変形例2における着磁電流密度と誘起電圧着磁率との関係を例示する。極性(L9)は、比較例における着磁電流密度と誘起電圧着磁率との関係を例示する。着磁電流密度は、界磁巻線(50)に供給される界磁電流(i50)の電流密度に対応する。誘起電圧着磁率は、複数の第1界磁磁石(70)の着磁率の平均に対応する。
比較例では、回転子(10)を回転させずに磁力制御が行われるので、複数の第1界磁磁石(70)を均一に着磁することが困難である。そのため、比較例における誘起電圧着磁率は、磁力制御の変形例2における誘起電圧着磁率よりも低くなっている。
一方、磁力制御の変形例2では、回転子(10)の回転中に、磁力制御が行われる。具体的には、「回転子(10)の電気角が0°を含む第1範囲内となる第1期間(PP1)」と「回転子(10)の電気角が120°を含む第2範囲内となる第2期間(PP2)」と「回転子(10)の電気角が240°を含む第3範囲内となる第3期間(PP3)」において、パルス状の界磁電流(i50)が流れる。これにより、比較例よりも、複数の第1界磁磁石(70)を適切に着磁することができる。
〔磁力制御の変形例2の効果〕
以上のように、制御部(3)は、磁力制御において、回転子(10)の回転中に、回転子(10)の電気角が0°を含む第1範囲内となる第1期間と、回転子(10)の電気角が120°を含む第2範囲内となる第2期間と、回転子(10)の電気角が240°を含む第3範囲内となる第3期間とにおいて、パルス状の界磁電流(i50)が流れることで、界磁磁束(M50)により第1界磁磁石(70)の磁力が変更されるように、界磁電流(i50)を制御する。このような制御により、第1界磁磁石(70)の磁力の変更を効率よく行うことができる。
(磁力制御の変形例3)
実施形態2、4(具体的には界磁スロット(35b)内において第1界磁磁石(70)が界磁巻線(50)よりも径方向外側に配置される場合)において、回転子(10)の回転速度に応じて磁力制御が切り換えられてもよい。
この変形例3では、回転子(10)の回転速度が閾値を下回る場合に、図30に示すように、制御部(3)は、磁力制御において、回転子(10)の回転中に、第1期間(PP1)と第2期間(PP2)と第3期間(PP3)とにおいて、パルス状の界磁電流(i50)が流れることで、界磁磁束(M50)により第1界磁磁石(70)の磁力が変更されるように、界磁電流(i50)を制御する。また、回転子(10)の回転速度が閾値を下回らない場合に、図37に示すように、制御部(3)は、磁力制御において、回転子(10)の回転中に、界磁磁束(M50)により第1界磁磁石(70)の磁力が変更されるように、界磁電流(i50)を制御する。
なお、回転子(10)の回転速度が閾値を下回る場合に行われる磁力制御において回転子(10)の電気角の一周期中に流れる界磁電流(i50)の角度での積分値は、回転子(10)の回転速度が閾値を下回らない場合に行われる磁力制御において回転子(10)の電気角の一周期中に流れる界磁電流(i50)の角度での積分値よりも小さい。
〔回転子の回転速度と界磁巻線の通電時間との関係〕
回転子(10)の回転速度が低速である場合、磁力制御のために直流の界磁電流(i50)を界磁巻線(50)に供給し続けると、界磁巻線(50)の通電時間が長くなり、その結果、固定子(20)の構成要素の温度が上昇してしまうおそれがある。なお、回転子(10)の回転速度が低速である場合に行われる磁力制御の例としては、回転電気機械(2)の起動直後に行われる磁力制御が挙げられる。例えば、回転電気機械(2)の起動前に第1界磁磁石(70)がどのような着磁状態であるのか不明である場合、第1界磁磁石(70)の着磁状態を予め定められた初期状態に設定するために、回転電気機械(2)の起動直後に磁力制御が行われる。
一方、回転子(10)の回転速度が高速である場合、仮に、回転子(10)の電気角の一周期に相当する期間中に界磁電流(i50)を界磁巻線(50)に流し続けたとしても、界磁巻線(50)の通電時間は短時間となるので、界磁巻線(50)の通電による固定子(20)の構成要素の温度上昇は、問題にならない。
〔磁力制御の変形例3の効果〕
以上のように、制御部(3)は、回転子(10)の回転速度が閾値を下回る場合に、磁力制御において、回転子(10)の回転中に、第1期間(PP1)と第2期間(PP2)と第3期間(PP3)とにおいて、パルス状の界磁電流(i50)が流れることで、界磁磁束(M50)により第1界磁磁石(70)の磁力が変更されるように、界磁電流(i50)を制御する。また、制御部(3)は、回転子(10)の回転速度が閾値を下回らない場合に、磁力制御において、回転子(10)の回転中に、界磁磁束(M50)により第1界磁磁石(70)の磁力が変更されるように、界磁電流(i50)を制御する。このような制御により、回転子(10)の回転速度に応じて磁力制御を適切に行うことができる。
(圧縮機)
図38は、圧縮機(CC)の構成を例示する。圧縮機(CC)は、回転電気機械装置(1)と、ケーシング(CC1)と、圧縮機構(CC2)とを備える。
ケーシング(CC1)は、圧縮機構(CC2)と回転電気機械(2)とを収容する。この例では、ケーシング(CC1)は、上下方向に延びて両端が閉塞された円筒状に形成される。ケーシング(CC1)には、吸入管(CC11)と、吐出管(CC12)とが設けられる。吸入管(CC11)は、ケーシング(CC1)の胴部を貫通して圧縮機構(CC2)に接続される。吐出管(CC12)は、ケーシング(CC1)の上部を貫通してケーシング(CC1)の内部空間と連通する。
圧縮機構(CC2)は、流体を圧縮する。この例では、圧縮機構(CC2)は、回転電気機械(2)の下方に配置される。圧縮機構(CC2)は、吸入管(CC11)を通じて吸入した流体を圧縮し、その圧縮された流体をケーシング(CC1)の内部空間に吐出する。ケーシング(CC1)の内部空間に吐出された流体は、吐出管(CC12)を通じて吐出される。この例では、圧縮機構(CC2)は、ロータリ式の圧縮機構である。
シャフト(4)は、回転電気機械(2)と圧縮機構(CC2)とを連結する。この例では、シャフト(4)は、上下方向に延びる。回転電気機械(2)は、シャフト(4)を回転駆動する。シャフト(4)の回転駆動により、圧縮機構(CC2)が駆動する。
(冷凍装置)
図39は、冷凍装置(RR)の構成を例示する。冷凍装置(RR)は、冷媒が循環する冷媒回路(RR1)を備える。この例では、冷凍装置(RR)は、空気調和機を構成する。具体的には、冷媒回路(RR1)は、回転電気機械装置(1)を有する圧縮機(CC)と、第1熱交換器(RR5)と、第2熱交換器(RR6)と、膨張機構(RR7)と、四方切換弁(RR8)とを有する。
圧縮機(CC)は、冷媒を圧縮し、その圧縮された冷媒を吐出する。圧縮機(CC)の吐出側は、四方切換弁(RR8)の第1ポートに接続される。圧縮機(CC)の吸入側は、四方切換弁(RR8)の第2ポートに接続される。
第1熱交換器(RR5)は、冷媒と空気とを熱交換させる。第1熱交換器(RR5)のガス端は、四方切換弁(RR8)の第3ポートに接続される。第1熱交換器(RR5)の液端は、膨張機構(RR7)を経由して第2熱交換器(RR6)の液端に接続される。例えば、第1熱交換器(RR5)は、熱源熱交換器であり、室外に設けられる。
第2熱交換器(RR6)は、冷媒と空気とを熱交換させる。第2熱交換器(RR6)のガス端は、四方切換弁(RR8)の第4ポートに接続される。例えば、第2熱交換器(RR6)は、利用熱交換器であり、室内に設けられる。
膨張機構(RR7)は、冷媒を膨張させて減圧する。例えば、膨張機構(RR7)は、電子膨張弁である。
四方切換弁(RR8)は、第1ポートと第3ポートとが連通し且つ第2ポートと第4ポートとが連通する第1状態(図39の実線で示す状態)と、第1ポートと第4ポートとが連通視且つ第2ポートと第3ポートとが連通する第2状態(図39の破線で示す状態)とに切り換え可能である。
四方切換弁(RR8)が第1状態である場合、圧縮機(CC)から吐出された冷媒は、第1熱交換器(RR5)において放熱し、膨張機構(RR7)において減圧された後に、第2熱交換器(RR6)において吸熱する。第2熱交換器(RR6)から流出した冷媒は、圧縮機(CC)に吸入される。
四方切換弁(RR8)が第2状態である場合、圧縮機(CC)から吐出された冷媒は、第2熱交換器(RR6)において放熱し、膨張機構(RR7)において減圧された後に、第1熱交換器(RR5)において吸熱する。第1熱交換器(RR5)から流出した冷媒は、圧縮機(CC)に吸入される。
(車両)
図40は、車両(VV)の構成を例示する。車両(VV)は、回転電気機械装置(1)と、車輪(VV1)と、動力伝達機構(VV2)とを備える。動力伝達機構(VV2)は、回転電気機械(2)の回転力を車輪(VV1)に伝達する。回転電気機械(2)が回転駆動すると、回転電気機械(2)の回転力が動力伝達機構(VV2)を通じて車輪(VV1)に伝達され、車輪(VV1)が回転駆動する。
(その他の実施形態)
なお、図3~図10および図13~図20に示した各種の磁束の流れは、あくまで一例であり、回転子(10)の回転位置(例えば突部(13)の位置)に応じて各種の磁束経路が異なり得る。ただし、回転子(10)の回転位置が変化しても各種の磁束は、回転子(10)を経由して流れて界磁磁束として回転子(10)に作用する。
また、以上の説明において、磁力制御における回転子(10)の回転速度は、一定であってもよいし、変動してもよい。例えば、制御部(3)は、回転子(10)の電気角が0°を含む第1範囲内となる位置において回転子(10)が第1期間(PP1)に対応する時間だけ停止し、回転子(10)の電気角が120°を含む第2範囲内となる位置において回転子(10)が第2期間(PP2)に対応する時間だけ停止し、回転子(10)の電気角が240°を含む第3範囲内となる位置において回転子(10)が第3期間(PP3)に対応する時間だけ停止するように、回転電気機械(2)の動作を制御してもよい。
また、以上の説明において、回転電気機械(2)は、インナーロータ型の電動機を構成している。したがって、径方向外側は、回転子(10)から遠い側であり、径方向内側は、回転子(10)に近い側である。
なお、以上の説明では、回転電気機械(2)がインナーロータ型の電動機を構成する場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、回転電気機械(2)は、アウターロータ型の電動機を構成してもよい。
また、以上の説明では、制御部(3)が回転電気機械(2)の各種パラメータを検出する各種センサ(図示省略)の出力に基づいて回転電気機械(2)を制御する場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、制御部(3)は、センサレス運転により、回転電気機械(2)を制御してもよい。
また、以上の説明では、回転電気機械(2)が電動機を構成する場合を例に挙げたが、回転電気機械(2)は、発電機を構成するものであってもよい。
以上の説明では、回転子コア(11)および固定子コア(30)が積層コアにより構成される場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、回転子コア(11)および固定子コア(30)は、絶縁物を含有する圧粉磁心により構成されてもよい。
また、以上の説明では、シャフト(4)が挿入される貫通孔(15)が回転子コア(11)の中心部に設けられる場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、シャフト(4)は、回転子コア(11)の軸方向の両側に設けられた端板(図示省略)に取り付けられてもよい。この場合、貫通孔(15)は不要である。
また、以上の説明では、第1界磁磁石(70)が界磁スロット(35b)内において第2界磁磁石(60)よりも径方向外側に配置される場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、第1界磁磁石(70)は、界磁スロット(35b)内において第2界磁磁石(60)よりも径方向内側に配置されてもよい。
また、以上の説明では、界磁スロット(35b)において巻線収容部(350)と第1磁石収容部(352)と第2磁石収容部(351)とが連通する場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、巻線収容部(350)と第1磁石収容部(352)と第2磁石収容部(351)とが薄肉の壁部(図示省略)を隔てて隣り合うように構成されてもよい。言い換えると、巻線収容部(350)と第1磁石収容部(352)と第2磁石収容部(351)は、互いに独立したスロットであってもよく、界磁スロット(35b)は、これらのスロットの集合体であってもよい。
また、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり置換したりしてもよい。
以上説明したように、本開示は、回転電気機械装置、圧縮機、冷凍装置、車両として有用である。
1 回転電気機械装置
2 回転電気機械
3 制御部
4 シャフト
10 回転子
20 固定子
30 固定子コア
35 スロット
35a 電機子スロット
35b 界磁スロット
350 巻線収容部
351 第2磁石収容部
352 第1磁石収容部
40 電機子巻線
50 界磁巻線
70 第1界磁磁石
60 第2界磁磁石

Claims (13)

  1. 回転子(10)と、前記回転子(10)と所定のギャップ(G)を隔てて対向する固定子(20)とを有する回転電気機械(2)と、
    制御部(3)とを備え、
    前記固定子(20)は、周方向に交互に並ぶ電機子スロット(35a)と界磁スロット(35b)とが設けられた固定子コア(30)と、前記電機子スロット(35a)に収容される電機子巻線(40)と、前記界磁スロット(35b)に収容される界磁巻線(50)および第1界磁磁石(70)とを有し、
    前記電機子巻線(40)は、交流の電機子電流(i40)が供給されることで前記回転子(10)を回転させる回転磁界を発生させ、
    前記界磁巻線(50)は、直流の界磁電流(i50)が供給されることで界磁磁束(M50)を発生させ、
    前記第1界磁磁石(70)は、前記界磁磁束(M50)により磁力を変更可能であり、
    前記制御部(3)は、前記界磁磁束(M50)により前記第1界磁磁石(70)の磁力を変更する磁力制御において、前記回転子(10)の回転中に、前記界磁磁束(M50)により前記第1界磁磁石(70)の磁力が変更されるように、前記界磁電流(i50)を制御する
    回転電気機械装置。
  2. 請求項1の回転電気機械装置において、
    前記制御部(3)は、前記磁力制御において、前記回転子(10)の電気角が180°以上変化する期間中に、前記界磁磁束(M50)により前記第1界磁磁石(70)の磁力が変更されるように、前記界磁電流(i50)を制御する
    回転電気機械装置。
  3. 請求項2の回転電気機械装置において、
    前記制御部(3)は、前記磁力制御において、前記回転子(10)の電気角が360°以上変化する期間中に、前記界磁磁束(M50)により前記第1界磁磁石(70)の磁力が変更されるように、前記界磁電流(i50)を制御する
    回転電気機械装置。
  4. 請求項1~3のいずれか1つの回転電気機械装置において、
    前記制御部(3)は、前記磁力制御において、前記電機子巻線(40)に前記電機子電流(i40)が供給されている期間中に、前記界磁磁束(M50)により前記第1界磁磁石(70)の磁力が変更されるように、前記電機子電流(i40)および前記界磁電流(i50)を制御する
    回転電気機械装置。
  5. 請求項1~4のいずれか1つの回転電気機械装置において、
    前記制御部(3)は、前記磁力制御において、前記第1界磁磁石(70)の磁力の方向が維持された状態で前記第1界磁磁石(70)の磁力の大きさが変更されるように、前記界磁電流(i50)を制御する
    回転電気機械装置。
  6. 請求項1~5のいずれか1つの回転電気機械装置において、
    前記制御部(3)は、前記磁力制御において、前記界磁磁束(M50)によるトルク変動を抑制する方向に電機子電流(i40)を変化させる
    回転電気機械装置。
  7. 請求項1~6のいずれか1つの回転電気機械装置において、
    前記第1界磁磁石(70)は、前記界磁スロット(35b)内において、前記界磁巻線(50)よりも前記回転子(10)から遠い側に配置される
    回転電気機械装置。
  8. 請求項1~7のいずれか1つの回転電気機械装置において、
    前記固定子(20)は、前記界磁スロット(35b)に収容される第2界磁磁石(60)を有する
    回転電気機械装置。
  9. 請求項7の回転電気機械装置において、
    前記制御部(3)は、前記磁力制御において、前記回転子(10)の回転中に、前記回転子(10)の電気角が0°を含む第1範囲内となる第1期間と、前記電気角が120°を含む第2範囲内となる第2期間と、前記電気角が240°を含む第3範囲内となる第3期間とにおいて、パルス状の界磁電流(i50)が流れることで、前記界磁磁束(M50)により第1界磁磁石(70)の磁力が変更されるように、前記界磁電流(i50)を制御する
    回転電気機械装置。
  10. 請求項9の回転電気機械装置において、
    前記制御部(3)は、
    前記回転子(10)の回転速度が閾値を下回る場合に、前記磁力制御において、前記回転子(10)の回転中に、前記第1期間と前記第2期間と前記第3期間とにおいて、パルス状の界磁電流(i50)が流れることで、前記界磁磁束(M50)により第1界磁磁石(70)の磁力が変更されるように、前記界磁電流(i50)を制御し、
    前記回転子(10)の回転速度が前記閾値を下回らない場合に、前記磁力制御において、前記回転子(10)の回転中に、前記界磁磁束(M50)により第1界磁磁石(70)の磁力が変更されるように、前記界磁電流(i50)を制御する
    回転電気機械装置。
  11. 請求項1~10のいずれか1つの回転電気機械装置を備える圧縮機。
  12. 請求項11の圧縮機を備える冷凍装置。
  13. 請求項1~10のいずれか1つの回転電気機械装置を備える車両。
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