JP2022061970A - 血糖値上昇抑制用組成物およびその用途 - Google Patents
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Abstract
【課題】 新規な植物材料を原料とすることにより低コストで製造でき優れた効能を発揮する新しいタイプの血糖値上昇抑制用組成物を提供する。【解決手段】 血糖値上昇抑制用組成物は、桑の葉抽出物及び菱科植物の外皮抽出物を有効成分として構成される。【選択図】 図5
Description
新規性喪失の例外適用申請有り
本発明は、生化学の技術分野に属し、特に、植物由来の血糖値上昇抑制用組成物に関する。
現代社会では、食生活の欧米化や交通手段の発達により、高脂肪な食生活、運動不足等の偏った生活習慣が慢性的に続きがちであり、高血糖状態になるリスクが高く、血糖値上昇を伴う糖尿病や様々な合併症を引き起こす人々が増えてきており社会問題化している。
生活習慣病を助長する血糖値の上昇を抑制することによって、生活習慣病を予防することが期待されている。
生活習慣病に対して優れた予防・抑制作用をもつ血糖値上昇抑制用組成物は、これまで多くのものが提案されているが、とりわけ、天然物(特に植物)を原料とするものは、石油を原料とする合成化合物よりも取扱い時の安全性が高いという利点があり、植物由来の血糖値上昇抑制用組成物が盛んに開発されている。
例えば、桑の葉は、天然由来物でありながら、各種の健康増大効果が知られており、そのうち血糖値上昇抑制作用も知られている。さらに、桑の葉と他の材料と混合させることによって、特徴ある血糖値上昇抑制用組成物を得ようとする研究がなされている。
このような従来の血糖値上昇抑制用組成物としては、例えば、茶花エキス、桑の葉エキス、及びキトサンを有効成分として含有する食後血糖値上昇抑制用組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、難消化性デキストリンと、レモングラス、ローズヒップ、及びクワからなる群より選ばれる少なくとも1種の植物素材とを有効成分として含有する血糖値上昇抑制組成物が知られている(例えば、特許文献2参照)。難消化性デキストリンと、ラベンダー、レモングラス、ドクダミ、ローズヒップ、及びクワからなる群より選ばれる少なくとも1種の植物素材とを有効成分として含有することを特徴とする血糖値上昇抑制組成物が知られている(例えば、特許文献3参照)。
しかし、従来の血糖値上昇抑制用組成物は、その原料として、ハーブ等のように、既に食用で販売されている高価な植物であったり、大量には採取できない植物が複数用いられているため、原料コストが高くなりがちであり、また原料を安定的に入手できない場合もあることから、血糖値上昇抑制用組成物としての実用化が十分に進んでいないという課題がある。また、桑の葉に特有の健康増大効果が、他の原料と混合することで希釈化され、桑の葉本来の血糖値上昇抑制作用が低下するおそれもある。
また、従来の血糖値上昇抑制用組成物は、桑の葉を用いての血糖値上昇抑制作用の観点から研究されているが、アンチエイジング等のその他の健康増進機能も併せ持つような多機能型の血糖値上昇抑制用組成物が実現されれば、疾病の予防的観点のみならず、積極的な美容効果等も促進でき、健康志向の高い消費者の満足度も高めることができると考えられるが、現在のところ、そのような優れた多機能型の血糖値上昇抑制用組成物は知られていない。
本発明の目的は、如上の課題を解決することであり、新規な植物材料を原料とすることにより低コストで製造でき優れた効能を発揮する新しいタイプの血糖値上昇抑制用組成物を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究の結果、大部分が未利用となっているある種の植物素材の存在に着目し、この植物素材と桑の葉を組み合わせることにより、低コストで製造できると共に抗酸化作用も併せ持つ血糖値上昇抑制作用を発揮できることを新たに見い出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明に従えば、桑の葉抽出物及び菱科植物の外皮抽出物を有効成分として構成される、血糖値上昇抑制用組成物が提供される。菱の外皮は、これまでのところ特段の用途が無く大部分が未利用となっていることから、本発明に係る血糖値上昇抑制用組成物は、低コストで製造することができるとともに、資源の有効活用という観点からも有益である。
本実施形態に係る血糖値上昇抑制組成物は、桑の葉抽出物及び菱科植物の外皮抽出物を有効成分として構成される。
本実施形態で用いられる菱科植物とは、菱科(Trapaceae)に属する植物(通称ヒシ)であれば特に制限されず、例えば、ワビシ(Trapa japonica)、オニビシ(Trapa natans)、トウビシ(Trapa bicornis)、ヒメビシ(Trapa incisa)などが挙げられる。
ヒシは、池、沼、および農村地帯に点在するクリークに自生する一年生水草であり、とげのある実が水底に固着して越冬し、春になると芽を出し、秋に果実をつける。ヒシの果実は、デンプン質が多く、茹でて中身を食用とすることや、民間薬やお茶として煎じて飲用され、さらには焼酎の原料としても利用されているが、ヒシの外皮については、現在のところ利用価値がなく、大部分が廃棄処分されている。
本実施形態に係る桑の葉抽出物に用いられる桑とは、桑科桑属に属する植物である。桑の産地は特に限定されないが、例えば、桑の特産地である佐賀県神埼市産の桑を用いることができる。桑の葉抽出物は、その葉部分を抽出して得られるものである。
その抽出方法としては、食用での安全性を考慮して、桑の葉抽出物および菱科植物の外皮を熱水中で攪拌することによって熱水抽出することが好ましい。桑の葉抽出物および菱科植物の外皮を同時に熱水抽出することもできるが、別々に熱水抽出した後に混合することもできる。
熱水とは60℃~100℃に加熱された水を指し、例えば90℃とすることができる。また、攪拌する際には、超音波振動を適用することもでき、これによって、抽出が効率的に行なわれる。このように熱水で抽出することによって、アルコール抽出法のように残留するアルコールによって生じる人体への刺激(例えば、突き刺すような痛み)やアルコール独特の刺激臭が無く、取扱いが容易であり人体にも優しい血糖値上昇抑制組成物が得られる。
本実施形態の血糖値上昇抑制組成物は、その利用形態は特に限定されず、粉末形態、錠剤形態、顆粒形態、カプセル、又はシロップ等の任意の形態で利用可能である。このうち粉末形態としての利用であれば、例えば、乾燥粉末の桑の葉2.85 g、菱の外皮0.15 g(重量比率にして95:5)を含有する合計3 gの粉末をスティック状の袋(1包)に包装して製造や販売に利用することができ、水に溶かすだけで購入者が手軽に飲用に供することができる。さらに、本実施形態の血糖値上昇抑制組成物は、特定保健用食品、機能性表示食品、サプリメント、医薬品、又は医薬部外品として利用することができる。
本実施形態の血糖値上昇抑制組成物は、必要に応じて、経口用として許容される有効成分以外の他の成分を添加して、公知の方法によって製造することが可能である。例えば、製薬上許容され得る担体、希釈剤、活性剤、賦形剤、充填剤、浸透促進剤、増粘剤、香料、乳化剤、分散助剤または結合剤等と組み合わせて使用することができる。
このようにして得られた抽出物は、生活習慣病に深い関連性がある血糖値の上昇を抑制する作用を有することがヒト臨床試験においても確認されている(後述の実施例参照)。さらに、桑の葉抽出物及び菱科植物の外皮抽出物との相乗作用により、これら抽出成分単独よりも優れた効能を発揮することが確認されている。
桑の葉抽出物と菱科植物の外皮抽出物との重量比は、特に限定されないが、血糖値の上昇を有意に抑制できる点から、桑の葉抽出物と菱科植物の外皮抽出物との重量比が、乾燥質量換算で、(桑の葉抽出物):(菱科植物の外皮 抽出物)について、20:80~95:5の範囲であることが好ましく、さらに優れた抗酸化作用も同時に発揮しやすい点からは30:70~70:30の範囲であることがより好ましい(後述の実施例参照)。
本実施形態に係る血糖値上昇抑制組成物は、血糖値の上昇を抑えることができ、糖尿病をはじめとする症状が予防または改善されるような疾患の予防又は治療の有効成分として用いることができる。さらに、優れた抗酸化活性も同時に作用し、血糖値の上昇を抑制すると共に、体内の細胞膜の酸化によるアンチエイジング効果も得られるものである。
本実施形態に係る血糖値上昇抑制組成物は、医薬分野の用途に限定されず、例えば、茶、そうめん、酒、清涼飲料、ミルク、粉末乳製品、ヨーグルト、アイスクリーム、コーヒー、ゼリー、クッキー、チョコレート、ケーキ類、煎餅、またはスナック菓子類等の加工食品の原料(添加剤)として混ぜ込んだり溶かしたり練り込んだりする等で利用することもできるが、これらに限定されず、これら以外の食料品類や飲料類についても利用することができる。この場合には、例えば、本血糖値上昇抑制組成物を混ぜた茶を菱桑茶として、また本血糖値上昇抑制組成物を混ぜた酒を菱桑酒として、また本血糖値上昇抑制組成物を練り込んだそうめんや、本血糖値上昇抑制組成物を混ぜたミルクや粉末乳製品等のように、得られた加工食品を日常生活のなかで摂取することによって手軽に健康改善できるという利便性がある。
以下に、本実施形態の特徴をさらに具体的に示すために実施例を記すが、本実施形態は以下の実施例によって制限されるものではない。
(実施例1)
(1)桑菱茶試料および熱水抽出液の調製
実施例1に係る血糖値上昇抑制組成物として、水や湯に溶かしてお茶(桑菱茶)として飲料可能な粉末を製造した。
(1)桑菱茶試料および熱水抽出液の調製
実施例1に係る血糖値上昇抑制組成物として、水や湯に溶かしてお茶(桑菱茶)として飲料可能な粉末を製造した。
実施例1に係る血糖値上昇抑制組成物の原料として、桑の葉および菱(和菱、Trapa Japonica)の外皮は、佐賀県神埼市神埼町産のものであり、乾燥させて粉砕機にて微粉末としたものを用いた。桑の葉および菱の外皮の微粉末を混合して、実施例1に係る血糖値上昇抑制組成物(桑菱茶粉末)として、桑の葉抽出物の配合率を0、10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、100%としたものを作成した。桑菱茶粉末500mgを精秤し、50mlディスポーザブル遠沈管に入れ、純水30mlを加えて沸騰水にて30分間加熱を行った。冷却後、ろ紙(No.1、アドバンテック社製)にて濾過を行い、50mlメスフラスコに純水にて定容した。さらに、遠心分離を行い、その上清をメンブランフィルター(0.45μm)にてろ過を行ったものをサンプル溶液とした。
(2)成分分析
以下、得られた桑菱茶粉末(以下、単に桑菱茶ともいう)の成分の特徴を分析するために、桑菱茶中に含まれる総ポリフェノール、1-デオキシノジリマイシン、およびヒシポリフェノールの分析を行った。
以下、得られた桑菱茶粉末(以下、単に桑菱茶ともいう)の成分の特徴を分析するために、桑菱茶中に含まれる総ポリフェノール、1-デオキシノジリマイシン、およびヒシポリフェノールの分析を行った。
(2-1)総ポリフェノールの定量
総ポリフェノールの定量は、フォーリン・チオカルト法にて行った。サンプル溶液または既知濃度の没食子酸溶液100μl、フェノール試薬100μlをマイクロチューブに入れて撹拌した後、3分放置した。さらに、10%炭酸ナトリウムを100μl加え、よく混ぜ、60分放置した。遠心分離(3000rpm、15分)を行い、その上清をとり、吸光度(750nm)を測定した。没食子酸標準溶液の検量線を作成し、以下の式に代入して、サンプル100g当たりの没食子酸のg数を求めた。
総ポリフェノールの定量は、フォーリン・チオカルト法にて行った。サンプル溶液または既知濃度の没食子酸溶液100μl、フェノール試薬100μlをマイクロチューブに入れて撹拌した後、3分放置した。さらに、10%炭酸ナトリウムを100μl加え、よく混ぜ、60分放置した。遠心分離(3000rpm、15分)を行い、その上清をとり、吸光度(750nm)を測定した。没食子酸標準溶液の検量線を作成し、以下の式に代入して、サンプル100g当たりの没食子酸のg数を求めた。
総ポリフェノール量(g/100g)=x×A/100×100/w×1000×1/1000×希釈倍率
x=検量線からの没食子酸の濃度(mg/100ml)
A:試料を抽出したときの容量(ml)
w=サンプルの採取量(mg)
x=検量線からの没食子酸の濃度(mg/100ml)
A:試料を抽出したときの容量(ml)
w=サンプルの採取量(mg)
各桑菱茶に含まれる総ポリフェノール含量を以下の表にまとめた。総ポリフェノールは、桑の葉抽出物のみの場合や菱の外皮抽出物のみの場合よりも、桑の葉抽出物と菱の外皮抽出物を混合して、菱の外皮抽出物30%~50%(桑の葉抽出物70%~50%)とした場合に極値的なピークが得られた。
(2-2)1-デオキシノジリマイシンの定量
実施例1の原料である桑には、その特有の成分として1-デオキシノジリマイシン(DNJ)が知られている。そこで、実施例1の桑菱茶中に含まれる1-デオキシノジリマイシン(DNJ)の分析を以下のように行った。
実施例1の原料である桑には、その特有の成分として1-デオキシノジリマイシン(DNJ)が知られている。そこで、実施例1の桑菱茶中に含まれる1-デオキシノジリマイシン(DNJ)の分析を以下のように行った。
試料液またはDNJ標準液0.5mlをサンプルチューブに入れ、30mMホウ酸緩衝溶液2.4ml、5mg/mlの4-フルオロ-7-ニトロベンゾフラザン溶液100μlを加えて混合した。60℃の恒温水にて40分間加熱した。直ちに冷却し、1N塩酸2mlを加え、メンブランフィルター(0.45μm)にてろ過を行い、HPLCに供した。HPLC装置はProminence LC-20AT (島津製作所)、カラムは、CAPCELLPAK C18 UG120 φ4.6×250 mm 粒径5μm(資生堂株式会社)を用いた。移動相はA液;0.05%リン酸、B液;メタノール:5%リン酸(99:1)で、0分(A液100%)→45分(A液95%、B液5%)のグラジエント溶離を行った。流速は1ml/min、カラム温度は40℃とし、蛍光検出器(Ex470nm、Em530nm)にて蛍光強度を検出した。DNJ標準溶液の検量線を作成し、サンプル100g当たりの含有量を求めた。
桑菱茶中のDNJ含量を調べた結果を図1に示す。桑の葉抽出物の配合率20%からDNJが検出されはじめ、桑の葉抽出物の配合率が増えるとともにDNJ含量が多くなった。
(2-3)ヒシポリフェノールの分析
実施例1に係る血糖値上昇抑制組成物(桑菱茶)に用いた菱の外皮に含まれる特徴的な3つのポリフェノールである、オイゲニイン、1,2,3,6-tetra-O-galloyl-D-glucopyranose(Tetra-GG)、トラパインの分析を行った。HPLC装置にはProminence LC-20AT (島津製作所)、カラムはCAPCELL PAK C18 UG120 (長さ250 mm×内径4.6 mm, 粒径5 μm、資生堂)を用い、カラム温度、流速は、それぞれ40℃と1 ml/minとした。溶離液は0.1%ギ酸/アセトニトリルを用い、スタート時95/5%(v/v)から30分後に 70/30% (v/v)となるようにリニアグラジエント溶離を行った。検出は紫外可視検出器を用い、波長は280 nmとした。
実施例1に係る血糖値上昇抑制組成物(桑菱茶)に用いた菱の外皮に含まれる特徴的な3つのポリフェノールである、オイゲニイン、1,2,3,6-tetra-O-galloyl-D-glucopyranose(Tetra-GG)、トラパインの分析を行った。HPLC装置にはProminence LC-20AT (島津製作所)、カラムはCAPCELL PAK C18 UG120 (長さ250 mm×内径4.6 mm, 粒径5 μm、資生堂)を用い、カラム温度、流速は、それぞれ40℃と1 ml/minとした。溶離液は0.1%ギ酸/アセトニトリルを用い、スタート時95/5%(v/v)から30分後に 70/30% (v/v)となるようにリニアグラジエント溶離を行った。検出は紫外可視検出器を用い、波長は280 nmとした。
菱外皮に含まれるヒシポリフェノール(オイゲニイン、Tetra-GG、トラパイン)の分析を行った結果を図2に示す。桑の葉抽出物の配合率が70%以上ではヒシポリフェノールは検出限界以下となったが、菱の外皮抽出物の配合率が大きいほどヒシポリフェノールが多く含まれていた。
(3)効能分析
以下、得られた桑菱茶の効能を分析するために、桑菱茶の抗酸化活性、α-グルコシダーゼ阻害活性、1-デオキシノジリマイシン、およびヒシポリフェノールの分析を行った。
以下、得られた桑菱茶の効能を分析するために、桑菱茶の抗酸化活性、α-グルコシダーゼ阻害活性、1-デオキシノジリマイシン、およびヒシポリフェノールの分析を行った。
(3-1)抗酸化活性の測定
桑菱茶の抗酸化活性は、DPPHラジカル補足活性法にて調べた。サンプル溶液または既知濃度のトロロックス溶液(検量線用)50μlを98穴のマイクロプレートに入れた。DPPH混液(400μM DPPH:MES-NaOH緩衝溶液(pH6):エタノール=2:1:2)150μlを加え、室温にて20分間放置後、520nmにおける吸光度を測定した。トロロックス標準溶液の検量線を作成し、以下の式に代入して、サンプル1g当たりのDPPH単位(1μmolのトロロックスに相当するDPPHラジカル消去能)を求めた。
桑菱茶の抗酸化活性は、DPPHラジカル補足活性法にて調べた。サンプル溶液または既知濃度のトロロックス溶液(検量線用)50μlを98穴のマイクロプレートに入れた。DPPH混液(400μM DPPH:MES-NaOH緩衝溶液(pH6):エタノール=2:1:2)150μlを加え、室温にて20分間放置後、520nmにおける吸光度を測定した。トロロックス標準溶液の検量線を作成し、以下の式に代入して、サンプル1g当たりのDPPH単位(1μmolのトロロックスに相当するDPPHラジカル消去能)を求めた。
サンプルのDPPHラジカル補足活性(μmolTE/g)
= x×A/1000×1/w×1000×希釈倍率
x:検量線からのモル濃度(μM)
w:サンプルの採取量(mg)、A:サンプルを抽出した時の容量(ml)
= x×A/1000×1/w×1000×希釈倍率
x:検量線からのモル濃度(μM)
w:サンプルの採取量(mg)、A:サンプルを抽出した時の容量(ml)
実施例1に係る桑菱茶中の抗酸化活性をDPPHラジカル補足活性により調べた結果を図3に示す。菱外皮の含量が多い方が高い抗酸化活性を示す傾向であった。桑の葉抽出物の配合率20%~70%の範囲においては、上述のポリフェノール含量も多かったことから、高い抗酸化活性を示したと考えられる。
(3-2)α-グルコシダーゼ阻害活性
基質溶液{74mMマルトースまたは74mMスクロースとなるよう、50mMマレイン酸緩衝液(pH6.0)に溶解したもの}80μlにサンプル溶液20μl加えた。50mMマレイン酸緩衝液(pH6)を30μl加え、混合した後、37℃で3分間予備加熱した。酵素液{ラット小腸アセトン粉末1gに50mMマレイン酸緩衝液(pH6.0) 9mlを加え、氷中で超音波洗浄機にて攪拌し、3000rpm、4℃で10分間遠心分離した上清を粗酵素溶液としてスクラーゼ用に用い、粗酵素溶液を3倍に希釈したものをマルターゼ用とした}40μlを加えて混合し、37℃で30分間酵素反応させた。蒸留水640μlを加え、沸騰水中で2分間、加熱することで酵素反応を停止させた。冷却後、50μl採取し、発色試液(ラボアッセイ(TM)グルコース、富士フイルム和光純薬株式会社)を750μl加え、37℃で5分間加熱した。マイクロプレートリーダーにて波長505nmにおける吸光度を測定した。
以下の式に代入して、α-グルコシダーゼ阻害活性を求めた。
基質溶液{74mMマルトースまたは74mMスクロースとなるよう、50mMマレイン酸緩衝液(pH6.0)に溶解したもの}80μlにサンプル溶液20μl加えた。50mMマレイン酸緩衝液(pH6)を30μl加え、混合した後、37℃で3分間予備加熱した。酵素液{ラット小腸アセトン粉末1gに50mMマレイン酸緩衝液(pH6.0) 9mlを加え、氷中で超音波洗浄機にて攪拌し、3000rpm、4℃で10分間遠心分離した上清を粗酵素溶液としてスクラーゼ用に用い、粗酵素溶液を3倍に希釈したものをマルターゼ用とした}40μlを加えて混合し、37℃で30分間酵素反応させた。蒸留水640μlを加え、沸騰水中で2分間、加熱することで酵素反応を停止させた。冷却後、50μl採取し、発色試液(ラボアッセイ(TM)グルコース、富士フイルム和光純薬株式会社)を750μl加え、37℃で5分間加熱した。マイクロプレートリーダーにて波長505nmにおける吸光度を測定した。
以下の式に代入して、α-グルコシダーゼ阻害活性を求めた。
α-グルコシダーゼ(マルターゼ、スクラーゼ)阻害活性(%)
= 100-100×(D-C)/(B-A)
A:対照(水)のブランク(酵素なし)の吸光度
B:対照(水)の吸光度
C:サンプルのブランク(酵素なし)の吸光度
D:サンプルの吸光度
ポジティブコントロールとして、アカルボース(10μg/ml)および1-デオキシノジリマイシン(10μg/ml)を用いた。
= 100-100×(D-C)/(B-A)
A:対照(水)のブランク(酵素なし)の吸光度
B:対照(水)の吸光度
C:サンプルのブランク(酵素なし)の吸光度
D:サンプルの吸光度
ポジティブコントロールとして、アカルボース(10μg/ml)および1-デオキシノジリマイシン(10μg/ml)を用いた。
(3-2-1)マルターゼ阻害活性
マルターゼは、マルトースをグルコース2分子に分解する酵素で、この酵素の活性が強いほど血糖値が上昇する。つまり、マルターゼの活性を阻害することで血糖値の急激な上昇を抑えることができる。図4に桑菱茶のマルターゼ阻害活性の結果を示す。アカルボース、DNJは、それぞれ10μg/mlの標準溶液である。
マルターゼは、マルトースをグルコース2分子に分解する酵素で、この酵素の活性が強いほど血糖値が上昇する。つまり、マルターゼの活性を阻害することで血糖値の急激な上昇を抑えることができる。図4に桑菱茶のマルターゼ阻害活性の結果を示す。アカルボース、DNJは、それぞれ10μg/mlの標準溶液である。
菱外皮100%では14%の阻害活性しか認められなかったが、桑の葉抽出物の配合率10%以上では70%以上の高い阻害活性が認められた。これらは、ポジティブコントロールのアカルボース(10μg/ml)よりも高かった。桑の葉抽出物90%以下の配合率でも高い阻害活性を示したことから、桑の葉抽出物中のDNJ以外の成分と菱の外皮抽出物に含まれる成分との相乗効果によるものと考えられる。
(3-2-2)スクラーゼ阻害活性
スクラーゼとは、ショ糖をグルコースとフルクトースに分解する酵素である。スクラーゼの活性を阻害することで血糖値の上昇を防ぐことができる。桑菱茶によるスクラーゼ阻害活性を調べた結果を図5にまとめた。アカルボースおよびDNJは、それぞれ10μg/mlの標準溶液である。菱外皮のみの抽出物ではほとんど活性を示さなかったが、桑の葉抽出物の配合率が10、20%の場合では47%の阻害活性が認められた。さらに、桑の葉抽出物の配合率が30%以上の場合では約60%の阻害活性が認められた。これは、ポジティブコントロールのアカルボース(10μg/ml)の阻害活性よりも高くなった。
スクラーゼとは、ショ糖をグルコースとフルクトースに分解する酵素である。スクラーゼの活性を阻害することで血糖値の上昇を防ぐことができる。桑菱茶によるスクラーゼ阻害活性を調べた結果を図5にまとめた。アカルボースおよびDNJは、それぞれ10μg/mlの標準溶液である。菱外皮のみの抽出物ではほとんど活性を示さなかったが、桑の葉抽出物の配合率が10、20%の場合では47%の阻害活性が認められた。さらに、桑の葉抽出物の配合率が30%以上の場合では約60%の阻害活性が認められた。これは、ポジティブコントロールのアカルボース(10μg/ml)の阻害活性よりも高くなった。
DNJ標準溶液(10μg/ml)のスクラーゼ阻害活性を調べたところ、57%の阻害活性となった。DNJ標準溶液よりも、桑の葉抽出物の配合率30%以上の場合の方が阻害活性が高いことが分かった。この結果は、先ほどのマルターゼ阻害活性よりも高いことが示唆された。
このスクラーゼ阻害活性も、DNJに起因するものと考えられる。桑の葉抽出物の配合率90%以下の桑菱茶では、DNJ標準溶液の濃度(10μg/ml)よりも低い濃度であったものの高い阻害活性を示しているのは、桑の葉や菱外皮に含まれる成分との相乗効果によるものと推察される。
このスクラーゼ阻害活性も、DNJに起因するものと考えられる。桑の葉抽出物の配合率90%以下の桑菱茶では、DNJ標準溶液の濃度(10μg/ml)よりも低い濃度であったものの高い阻害活性を示しているのは、桑の葉や菱外皮に含まれる成分との相乗効果によるものと推察される。
以上の結果から、実施例1に係る桑菱茶に含まれる機能性成分(ポリフェノールおよびDNJ)の分析からは、熱水抽出によって、ポリフェノールおよびDNJ等の機能性成分が有意に存在していることが確認され、食用としての安全性と高機能性が両立されていることが確認された。DNJについては、桑の葉抽出物の配合率が高いほど多く含まれていることが確認された。
また、実施例1に係る桑菱茶による抗酸化活性については、このDNJの含有量に反して、桑の葉抽出物の配合率が80%~100%以上という高い場合には、逆に抗酸化活性が低いことが確認された。その一方で、実施例1に係る桑菱茶は、桑の葉抽出物の配合率が20%~70%(菱の外皮抽出物の配合率が30%~80%)で菱の外皮抽出物と組み合わされた場合には、桑の葉単独の抽出物よりも著しく高い抗酸化活性が発揮されていた。つまり、実施例1に係る桑菱茶では、桑の葉単独の抽出物の場合では得られない抗酸化活性が得られたことになる。
さらに、実施例1に係る桑菱茶の糖質分解酵素(α-グルコシダーゼ)阻害活性については、桑の葉単独の抽出物が有効成分DNJにより本来的に有する血糖値上昇抑制作用を、菱の外皮抽出物と混合することで、DNJの含有量が低下したにも関わらず、桑の葉単独の抽出物の場合と同等もしくは高い糖質分解能が確認されており、特にスクラーゼ阻害活性については、桑の葉抽出物の配合率が40%~95%(菱の外皮抽出物の配合率が5%~60%)の場合に桑の葉単独の抽出物以上の高い活性が極値的に確認された。
このように、実施例1に係る桑菱茶は、桑の葉抽出物および菱の外皮抽出物とを混合することによって、桑の葉単独の抽出物では得られなかった抗酸化活性を併せ持つ血糖値上昇抑制作用が得られたことが確認された。以上のことから、実施例1に係る桑菱茶は、食後血糖値が急激に上昇することを防ぎ、糖尿病の予防や高血糖状態の緩和にもつながると同時に、優れた抗酸化活性も作用し、体内の細胞膜の酸化によるアンチエイジング効果も期待できるという新しいタイプの血糖値上昇抑制組成物としての桑菱茶が得られたことが確認された。このような桑菱茶は、スティックタイプの粉末形態として利用することができ、日常的に手軽に血糖値上昇抑制組成物を摂取することができる。
(実施例2)
上述のように、実施例1で製造した桑菱茶について、スティックタイプの粉末形態として利用することができることから、本実施例では、スティックタイプの粉末形態の桑菱茶を用いて、実際に血糖値が高めの方に対してヒト臨床試験を行い、当該桑菱茶の摂取がヒトの血糖値上昇に与える影響を調べた。
上述のように、実施例1で製造した桑菱茶について、スティックタイプの粉末形態として利用することができることから、本実施例では、スティックタイプの粉末形態の桑菱茶を用いて、実際に血糖値が高めの方に対してヒト臨床試験を行い、当該桑菱茶の摂取がヒトの血糖値上昇に与える影響を調べた。
(1)実験方法
(1ー1)被験者
被験者は、神埼市に在住または神埼市内に勤務している20歳以上65歳以下の成人(男女問わず)とし、除外基準に該当しない血糖値が高めの方を被験者とした。被験者としての選択基準として、空腹時血糖値が目安として100 mg/dL以上126 mg/dL 未満またはヘモグロビンA1cの値が目安として5.6%以上6.5%未満とした。被験者の除外基準は、<1>前述の参加基準(居住地または勤務地、年齢)を満たさない者、<2>血糖値およびヘモグロビンA1cが糖尿病に該当する方(空腹時血糖値126 mg/dL以上、ヘモグロビンA1c 6.5%以上)、<3>薬物による継続的な治療を行っている者、<4>試験結果に影響する可能性のあると思われる医薬品、特定保健用食品、機能性表示食品、健康食品を常食している者、<5>心臓、肝臓、腎臓、消化器等に重篤な疾患の罹患歴および既往歴がある者、<6>アルコールを過度に摂取している者、<7>交代制勤務者・深夜勤務者など生活リズムが不規則な者、<8>医薬品および食物にアレルギーがある者、<9>妊娠中または妊娠している可能性のある者、<10>授乳中の者、<11>その他、試験担当医師が被験者として不適当と判断した者、<12>被験者から中止の申し出があった者(同意撤回書を受け随時除外)とした。
(1ー1)被験者
被験者は、神埼市に在住または神埼市内に勤務している20歳以上65歳以下の成人(男女問わず)とし、除外基準に該当しない血糖値が高めの方を被験者とした。被験者としての選択基準として、空腹時血糖値が目安として100 mg/dL以上126 mg/dL 未満またはヘモグロビンA1cの値が目安として5.6%以上6.5%未満とした。被験者の除外基準は、<1>前述の参加基準(居住地または勤務地、年齢)を満たさない者、<2>血糖値およびヘモグロビンA1cが糖尿病に該当する方(空腹時血糖値126 mg/dL以上、ヘモグロビンA1c 6.5%以上)、<3>薬物による継続的な治療を行っている者、<4>試験結果に影響する可能性のあると思われる医薬品、特定保健用食品、機能性表示食品、健康食品を常食している者、<5>心臓、肝臓、腎臓、消化器等に重篤な疾患の罹患歴および既往歴がある者、<6>アルコールを過度に摂取している者、<7>交代制勤務者・深夜勤務者など生活リズムが不規則な者、<8>医薬品および食物にアレルギーがある者、<9>妊娠中または妊娠している可能性のある者、<10>授乳中の者、<11>その他、試験担当医師が被験者として不適当と判断した者、<12>被験者から中止の申し出があった者(同意撤回書を受け随時除外)とした。
上記の基準を満たした30名を被験者とし、年齢、性別、空腹時血糖値等を考慮して、被験者をA群とB群に無作為に割り付けた。被験者の特性を以下の表に示す。
(2)試験方法
(2ー1)試験食品
被験食品として用いた桑菱茶は、神埼市産の桑の葉および菱の外皮を乾燥させ、破砕し、焙煎を行い、粉末化したものを用いた。被験食品(1包)中には、桑の葉2.85 g、菱の外皮0.15 gを含有する合計3 gの粉末をスティック状の袋に入れたものとした。なお、被験食品3 g中に含まれる1-デオキシノジリマイシンおよび総ポリフェノールの含有量は、5.1 mgおよび87. 3mgであった。プラセボ食品は、コーンフラワー、着色料を配合し、被験食品に似たものとした。被験食品またはプラセボ食品は、熱水200 mlを入れてよく混ぜたものを被験者に摂取させた。また、負荷食品として米飯(サトウのごはん、サトウ食品株式会社) 200 g(エネルギー300 kcal、 炭水化物68.8g)を湯せんで温めたものを用いた。
(2ー1)試験食品
被験食品として用いた桑菱茶は、神埼市産の桑の葉および菱の外皮を乾燥させ、破砕し、焙煎を行い、粉末化したものを用いた。被験食品(1包)中には、桑の葉2.85 g、菱の外皮0.15 gを含有する合計3 gの粉末をスティック状の袋に入れたものとした。なお、被験食品3 g中に含まれる1-デオキシノジリマイシンおよび総ポリフェノールの含有量は、5.1 mgおよび87. 3mgであった。プラセボ食品は、コーンフラワー、着色料を配合し、被験食品に似たものとした。被験食品またはプラセボ食品は、熱水200 mlを入れてよく混ぜたものを被験者に摂取させた。また、負荷食品として米飯(サトウのごはん、サトウ食品株式会社) 200 g(エネルギー300 kcal、 炭水化物68.8g)を湯せんで温めたものを用いた。
(2ー2)試験デザイン
試験は、ランダム化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー比較試験とした。1回目の試験では、A群は被験食品、B群はプラセボ食品を摂取させた。約1週間の休止期間を設け、2回目の試験では、A群はプラセボ食品、B群は被験食品を摂取させた。それぞれの試験では、まず、空腹時に採血を行った後、試験食品またはプラセボ食品200 mlを飲用させ、すぐに負荷食品の米飯200 gを10分以内に摂取させた。その後、30、60、90、120分後に採血を行い、血糖値とインスリンを測定した。
被験者には、試験前日21時以降から検査終了までは水以外の飲食を禁止した。また、試験期間中は試験参加前からの食事、運動等の生活習慣を大きく変えないこととした。
試験は、ランダム化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー比較試験とした。1回目の試験では、A群は被験食品、B群はプラセボ食品を摂取させた。約1週間の休止期間を設け、2回目の試験では、A群はプラセボ食品、B群は被験食品を摂取させた。それぞれの試験では、まず、空腹時に採血を行った後、試験食品またはプラセボ食品200 mlを飲用させ、すぐに負荷食品の米飯200 gを10分以内に摂取させた。その後、30、60、90、120分後に採血を行い、血糖値とインスリンを測定した。
被験者には、試験前日21時以降から検査終了までは水以外の飲食を禁止した。また、試験期間中は試験参加前からの食事、運動等の生活習慣を大きく変えないこととした。
(2ー3)倫理的配慮
このヒト臨床試験は、ヘルシンキ宣言に基づき、西九州大学倫理委員会の承認を得た(承認番号:21BIQ03)。本研究への応募者には、合同説明会を開催し、研究目的や方法、情報の取り扱い等について十分に説明し、対象者の自由意思による同意を得た上で実施した。個人情報は、ID管理により秘密保持を徹底した。
このヒト臨床試験は、ヘルシンキ宣言に基づき、西九州大学倫理委員会の承認を得た(承認番号:21BIQ03)。本研究への応募者には、合同説明会を開催し、研究目的や方法、情報の取り扱い等について十分に説明し、対象者の自由意思による同意を得た上で実施した。個人情報は、ID管理により秘密保持を徹底した。
(2ー4)統計解析
すべてのデータは平均値±標準偏差で示した。有意差の検定は、繰り返しのある二元配置分散分析で交互作用を確認したあと、ポストホックテスト(post-hoc test)(事後検定)として、群間差検定をペア検定、時間推移の検定をダネット法(Dunnett法)により行った。全ての統計解析はSPSS Statistics Version 22 (日本アイ・ビー・エム(株)) を用いて解析し、有意水準は両側検定でp<0.05とした。
すべてのデータは平均値±標準偏差で示した。有意差の検定は、繰り返しのある二元配置分散分析で交互作用を確認したあと、ポストホックテスト(post-hoc test)(事後検定)として、群間差検定をペア検定、時間推移の検定をダネット法(Dunnett法)により行った。全ての統計解析はSPSS Statistics Version 22 (日本アイ・ビー・エム(株)) を用いて解析し、有意水準は両側検定でp<0.05とした。
(3)結果および考察
(3ー1)血糖値
負荷食品摂取後のΔ血糖値の推移を図6に示した。なお、Δ血糖値は、負荷食品を摂取する前(0分)の血糖値を0とした時の血糖値の変化量である。プラセボ食品群および試験食品摂取群ともに負荷食品摂取後にΔ血糖値が上昇し、60分後で最大に達した後、120分後まで徐々に減少した。30分後および60分後で試験食品はプラセボ食品に比べて有意に低値(P<0.001)を示した。また、負荷食品摂取前から摂取120分後までの血糖上昇曲線下面積(ΔIAUC)の比較結果を図7に示す。得られた結果から、試験食品がプラセボ食品に比べて有意に低い値(P<0.001)となった。つまり、本実施例に係る桑菱茶による血糖値上昇抑制作用が有意に認められた。
(3ー1)血糖値
負荷食品摂取後のΔ血糖値の推移を図6に示した。なお、Δ血糖値は、負荷食品を摂取する前(0分)の血糖値を0とした時の血糖値の変化量である。プラセボ食品群および試験食品摂取群ともに負荷食品摂取後にΔ血糖値が上昇し、60分後で最大に達した後、120分後まで徐々に減少した。30分後および60分後で試験食品はプラセボ食品に比べて有意に低値(P<0.001)を示した。また、負荷食品摂取前から摂取120分後までの血糖上昇曲線下面積(ΔIAUC)の比較結果を図7に示す。得られた結果から、試験食品がプラセボ食品に比べて有意に低い値(P<0.001)となった。つまり、本実施例に係る桑菱茶による血糖値上昇抑制作用が有意に認められた。
(3ー2)インスリン
負荷食品摂取前のインスリンの値を0としたときのインスリンの変化をΔインスリンとし、負荷食品摂取後のΔインスリンの推移の結果を図8に示す(** P<0.01、*** P<0.001)。得られた結果から、プラセボ食品および試験食品のΔインスリンの値は、負荷食品摂取後に上昇した。しかし、いずれの時間においても試験食品はプラセボ食品よりも有意に低値を示した。また、負荷食品摂取前から摂取120分後までのインスリン上昇曲線下面積(ΔIAUC)の比較結果を図9に示す。得られた結果から、試験食品がプラセボ食品に比べて有意に低い値(P<0.001)となった。つまり、本実施例に係る桑菱茶によるインスリン分泌抑制作用が有意に認められた。
負荷食品摂取前のインスリンの値を0としたときのインスリンの変化をΔインスリンとし、負荷食品摂取後のΔインスリンの推移の結果を図8に示す(** P<0.01、*** P<0.001)。得られた結果から、プラセボ食品および試験食品のΔインスリンの値は、負荷食品摂取後に上昇した。しかし、いずれの時間においても試験食品はプラセボ食品よりも有意に低値を示した。また、負荷食品摂取前から摂取120分後までのインスリン上昇曲線下面積(ΔIAUC)の比較結果を図9に示す。得られた結果から、試験食品がプラセボ食品に比べて有意に低い値(P<0.001)となった。つまり、本実施例に係る桑菱茶によるインスリン分泌抑制作用が有意に認められた。
これらの結果は、桑の葉に含まれるDNJおよび菱外皮に含まれるポリフェノールによる糖質分解酵素(α-グルコシダーゼ)の阻害活性が重畳的に増大して得られたものと考えられる。これらの成分が相乗的に働くことで、桑の葉抽出物および菱外皮抽出物の各々単独の場合よりも、食後の血糖値の急激な血糖上昇を抑制した結果、インスリンも無駄に分泌する必要がなかったものと推察される。
(4)まとめ
本実施例に係る桑菱茶摂取による食後血糖値に対する効果を調べるために、血糖値またはヘモグロビンA1cが高めの方を対象として、ランダム化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー比較試験を用いて実施した。その結果、プラセボ食品に比べ本実施例に係る桑菱茶の摂取により、負荷食品摂取後の食後血糖値およびインスリンの上昇が有意に抑制されることが明らかになった。
本実施例に係る桑菱茶摂取による食後血糖値に対する効果を調べるために、血糖値またはヘモグロビンA1cが高めの方を対象として、ランダム化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー比較試験を用いて実施した。その結果、プラセボ食品に比べ本実施例に係る桑菱茶の摂取により、負荷食品摂取後の食後血糖値およびインスリンの上昇が有意に抑制されることが明らかになった。
以上の結果より、本実施例に係る桑菱茶の摂取は、食後の血糖値上昇を抑制し、それに伴いインスリン分泌も抑制されたことから、糖尿病発症のリスクを低減できることが確認された。
Claims (6)
- 桑の葉抽出物及び菱科植物の外皮抽出物を有効成分として構成される、血糖値上昇抑制用組成物。
- 桑の葉抽出物と菱科植物の外皮抽出物との重量比が、20:80~95:5である、請求項1に記載の血糖値上昇抑制用組成物。
- 桑の葉抽出物と菱科植物の外皮抽出物との重量比が、30:70~70:30である、請求項2に記載の血糖値上昇抑制用組成物。
- 態様が、粉末形態、錠剤形態、顆粒形態、カプセル、又はシロップである、請求項1~3のいずれか1項に記載の血糖値上昇抑制用組成物。
- 特定保健用食品、機能性表示食品、サプリメント、医薬、又は医薬部外品である、請求項4に記載の血糖値上昇抑制用組成物。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載の血糖値上昇抑制用組成物を含む、茶、そうめん、酒、清涼飲料、ミルク、粉末乳製品、ヨーグルト、アイスクリーム、コーヒー、ゼリー、クッキー、チョコレート、ケーキ類、煎餅、またはスナック菓子類である、食品。
Applications Claiming Priority (2)
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JP2020170111 | 2020-10-07 |
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